令和2年1月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第11982号発信者情報開示請求事件口頭弁論終結日令和元年12月13日判決原告 X 同訴訟代理人弁護士中島博之被告クラウドフレアインク同訴訟代理人弁護士前田陽司二瓶ひろ子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録1及び2記載の各発信者情報を開示 せよ。 第2 事案の概要 1 本件は,漫画「人生リセット留学。」(以下「本件著作物」という。)の著作権者である原告が,被告に対し,被告がサーバーを提供しているウェブサイトに氏名不詳者が本件著作物を無断でアップロードしたことにより,原告が有 する公衆送信権及び送信可能化権が侵害されたことが明らかであり,権利の侵害に係る発信者情報の開示を受ける正当な理由があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告に対し,別紙発信者情報目録1及び2記載の各発信者情報(以下,符号に従い「本件発信者情 報1」及び「本件発信者情報2」といい,併せて「本件各発信者情報」という。) の開示を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。) める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。)(1) 当事者 原告は,「X’」のペンネームで活動する漫画家であり,本件著作物の著作権者である。(甲4~6)被告は,アメリカ合衆国カリフォルニア州法に準拠して設立された電気通信事業を営む会社である。(甲9,10,乙3)(2) 本件著作物のアップロード 氏名不詳者は,別紙投稿記事目録1~3の「投稿日時」欄記載の各日時に,「漫画村」という名称のウェブサイト(URLは「http://以下省略」である。 以下「本件サイト」という。)上のURLである「接続用URL」欄記載の各URLに,本件著作物をアップロードした(以下「本件各投稿」といい,本件各投稿を行った者を「本件発信者」という。)。(甲1~3) (3) 被告の提供するサービス被告は,インターネット上のサービスであるコンテンツデリバリーネットワークサービス(以下「被告サービス」という。)を提供している。(甲7)被告サービスは,利用者のインターネットサイト(以下「元サイト」という。)上のデータを,全世界に所在する被告のサーバーにおいてキャッシュとして 保存するというものであり,元サイトの閲覧者は,被告の全世界にあるサーバーのうち,閲覧者に地理的に近い被告のサーバーから,元サイトのデータが提供されることにより閲覧をすることができる。(甲7,16,弁論の全趣旨)本件サイトは,現在は閉鎖されているが,本件発信者は,過去に被告サー ビスを利用していた。 3 争点(1) 国際裁判管轄の有無等(争点1)(2) 権利侵害の明白性(争点 サイトは,現在は閉鎖されているが,本件発信者は,過去に被告サー ビスを利用していた。 3 争点(1) 国際裁判管轄の有無等(争点1)(2) 権利侵害の明白性(争点2)(3) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無(争点3)(4) 被告が本件発信者情報1を保有しているか(争点4) (5) 開示関係役務提供者該当性(争点5)第3 当事者の主張 1 争点1(国際裁判管轄の有無等)について〔原告の主張〕本件訴えについて,日本の裁判所は,民事訴訟法(以下「民訴法」という。) 3条の3第4号及び第5号に基づき,国際裁判管轄を有する。 (1) 被告は,日本語で記載された自社ウェブサイトを開設し,日本国内(東京)の営業所の電話番号を表示している(甲16)。このように,被告は電話番号を保有していることから,「営業所が日本国内」にあるということができるので,民訴法3条の3第4号に基づき,日本の裁判所に国際裁判管轄が認 められる。 (2) 被告は,日本語で記載された自社公式ウェブサイトを開設し,連絡先として日本国内(東京)の電話番号を表示している上,日本国内にサーバーを設置し,日本国内から本件サイトを閲覧する際は同サーバーに接続されている(甲8)。三井情報株式会社(以下「三井情報」という。)は,日本国内で 被告サービスを提供しているが,顧客が利用するのは被告が日本国内に有するサーバセンター(甲8,16)であり,三井情報は被告サービスを代理・媒介して販売しているにすぎない。 そうすると,被告は,「日本において事業を行う者」に該当し,本件は,「日本における業務に関する」訴えに該当するため,民訴法3条の3第5号 に基づき,国際裁判管轄が認められ すぎない。 そうすると,被告は,「日本において事業を行う者」に該当し,本件は,「日本における業務に関する」訴えに該当するため,民訴法3条の3第5号 に基づき,国際裁判管轄が認められる。 〔被告の主張〕本件訴えは,民訴法3条の3第4号及び第5号に該当しないので,日本の裁判所は国際裁判管轄を有しない。 (1) 被告は,日本国内に事務所及び営業所を置いていない(乙3)。原告が指摘する電話番号(甲16)は,営業所の電話番号ではなく,時間帯によって 国外の被告の事業所に転送されるコールセンターの電話番号にすぎず,応答も英語である。 したがって,日本の裁判所は,民訴法3条の3第4号に基づく国際裁判管轄を有しない。 (2) 被告は,日本国内において継続的な事業を行っていない。被告のビジネス パートナーである三井情報が被告サービスを日本で提供しているとしても,本件サイトが被告サービスを利用し始めたのは,三井情報が日本向けの被告サービスの提供を始めた平成29年3月より前であり,本件サイトは三井情報が提供している被告サービスとは無関係である。また,被告の自社のウェブサイトが日本語で記載され,日本から閲覧できるとしても,これは自社の サービスについて案内する内容のものにすぎず,本件各投稿が被告のウェブサイト上に存在するものではない。そもそも,被告は,通信を中継しているサーバーを提供しているにすぎず,本件サイトを運用・管理しているウェブサイト運営者でもホストサーバでもない。 したがって,本件訴えは被告の「日本における業務に関するものであると き」に該当しないので,日本の裁判所が,民訴法3条の3第5号に基づき,国際裁判管轄を有するということはできない。 2 争点2(権利侵害の明白性 被告の「日本における業務に関するものであると き」に該当しないので,日本の裁判所が,民訴法3条の3第5号に基づき,国際裁判管轄を有するということはできない。 2 争点2(権利侵害の明白性)について〔原告の主張〕本件発信者は,被告サービスを利用することにより,本件サイトにアップロ ードした本件著作物のデータを被告サーバーにキャッシュとして蔵置し,自由 に第三者が閲覧できる状態にしていることから,本件発信者は,原告の公衆送信権及び送信可能化権を侵害していることが明らかである。 〔被告の主張〕不知又は争う。 3 争点3(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について 〔原告の主張〕原告は,本件発信者に対し,不法行為に基づく損害賠償請求等をする予定であり,この権利を行使するためには,被告が保有する本件各発信者情報の開示を受ける必要がある。 被告から本件発信者情報2のうちIPアドレス,タイムスタンプ,電子メー ルアドレスの開示を受けたことは認めるが,これらの情報のみから損害賠償請求等の相手方を特定することは不可能である。原告と被告が平成30年10月5日にビデオカンファレンスを行った際,被告側代理人は,発信者に関する支払者情報を保有しているが,この名義人の名称などの開示に関しては日本の裁判所による判決等,法的な手続に則る必要があり,任意開示はできないとのこ とであった。このように,被告は,原告に任意開示を行っていない情報を有しているところ,原告の権利行使のためには,法的に裏付けがある広範な情報を入手する必要性や,判決によって法的に裏付けがある情報を入手したという担保が必要である。 また,本件サイトの運営者と思われる人物が逮捕されているが,警察に対し て黙秘し けがある広範な情報を入手する必要性や,判決によって法的に裏付けがある情報を入手したという担保が必要である。 また,本件サイトの運営者と思われる人物が逮捕されているが,警察に対し て黙秘しており(甲20),現段階で損害賠償請求等をしても,被告が任意に開示した情報の正確性を争い,本件サイトの運営に関わっていないなどの反論をすることが予想される。そのため,原告が本件サイトの運営者に対して損害賠償請求等の権利行使をできる状態にあるとはいえない。 したがって,原告には,被告から本件各発信者情報の開示を受けるべき正当 な理由がある。 〔被告の主張〕プロバイダ責任制限法に基づく開示の対象は,損害賠償請求等を行う相手方を特定し,何らかの連絡を行うのに合理的に有用と認められる情報と解される。 発信者情報開示請求は,証拠保全や証拠収集を目的とした手続ではないから,原告が主張するような,法的に裏付けがある広範な情報を入手する手段として 利用することはプロバイダ責任制限法の趣旨を没却する。 被告は,平成30年8月7日付けレターにより,原告に対し,本件発信者情報2のうちIPアドレス,タイムスタンプ及び電子メールアドレス等の情報を開示した(乙4,5。なお,実際に原告に開示したのは乙5のマスキングされていない状態のものである。)。原告代理人は,新聞社の取材等に対し,被告 から開示を受けた情報を基に,本件サイトの運営者とみられる東京都内の男性を特定したことや,本件サイトの運営者とされる人物が東京都新宿区の高級タワーマンションにいたことが確認できた旨を答えており(乙7,8),損害賠償請求等を行う相手方を特定している。 原告がさらに開示を求める対象は,本件発信者情報2のうち,氏名又は名称 及び住所であるが,本件 いたことが確認できた旨を答えており(乙7,8),損害賠償請求等を行う相手方を特定している。 原告がさらに開示を求める対象は,本件発信者情報2のうち,氏名又は名称 及び住所であるが,本件サイトの運営者及び関係者とされる者は著作権法違反の罪で逮捕・起訴され,その氏名は明らかになっている上(乙9~17),原告が同法違反事件の被害者であれば,刑事事件の記録に記載された確かな住所を閲覧することができる(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律3条1項,刑訴法53条1項)。 また,原告は,上記のとおり,本件サイトの運営者とされる人物の東京都新宿区の住所を入手済みであるし,当該人物は,刑事事件の公判期日を控え(乙17),刑事施設(福岡拘置所)に収容されているから,刑事施設の長に対して訴状を送達することにより,訴えを提起することが可能である(民訴法102条3項)。 したがって,原告には,本件発信者情報2の未開示の情報の開示を求める合 理的な必要性はないから,発信者情報の開示を受けるべき正当な理由は認められない。 4 争点4(被告が本件発信者情報1を保有しているか)について〔原告の主張〕被告サービスを利用するためには,アカウントを作成し,必要に応じて氏名 や住所等の各種情報を入力することが必要とされている(甲11~13)。 被告が本件発信者情報1を保有していないことは不知。発信者情報を実際には保有しているにもかかわらず,保有していないと述べるだけで開示請求が棄却されることはプロバイダ責任制限法の趣旨に反する。 〔被告の主張〕 本件サイトの閉鎖から時間が経過しているため,被告は,本件発信者情報1を保有していない。 5 争点5(開示関係 されることはプロバイダ責任制限法の趣旨に反する。 〔被告の主張〕 本件サイトの閉鎖から時間が経過しているため,被告は,本件発信者情報1を保有していない。 5 争点5(開示関係役務提供者該当性)について〔原告の主張〕本件各投稿は,不特定多数の者が自由に閲覧できるものであるから,プロバ イダ責任制限法2条1号の「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信」,すなわち「特定電気通信」に該当し,本件各投稿が経由したリモートホストは「特定電気通信の用に供される電気通信設備」に当たり,同条2号の「特定電気通信設備」に該当する。 被告は,上記特定電気通信設備を用いて,本件各投稿の閲覧を媒介し,又は 特定電気通信設備をこれら他人の通信の用に供する者であるから,同条3号の「特定電気通信役務提供者」に該当し,同法4条1項の「当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」,すなわち「開示関係役務提供者」に該当する。 〔被告の主張〕 争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(国際裁判管轄の有無等)について被告サービスは,元サイト上のデータを,全世界に所在する被告のサーバーにおいてキャッシュとして保存した上で,元サイトの閲覧者が,被告の全世界にあるサーバーのうち,閲覧者に地理的に近い被告のサーバーにアクセスして, 元サイトを閲覧することができるようにするものであり(前提事実(3),甲7,16),被告は,東京にもデータセンターを設け,サーバーを設置しているとの事実が認められる(甲8,16)。 また,被告は,日本国内の顧客に向けて日本語で記載されたウェブサイト(甲16)を開設し,当該サイトからサインアップし,登録することにより,被 を設置しているとの事実が認められる(甲8,16)。 また,被告は,日本国内の顧客に向けて日本語で記載されたウェブサイト(甲16)を開設し,当該サイトからサインアップし,登録することにより,被告 のサービスを利用することができるようにしている上,同ウェブサイトには国内の電話番号も表示され,同番号に架電することにより問合せをすることも可能である。 そして,本件サイトが被告サービスを利用していることについては当事者間に争いがないところ,本件サイトは,日本語で記載され,日本において閲覧す ることが可能であり(甲1~3),また,本件サイトのデータは,被告の東京所在のデータセンターのサーバーに保存されているものと認められる(甲8,16)。 以上によれば,被告は,日本において継続的に事業を行っているということができるので,民訴法3条の3第5号の「日本において事業を行う者」に該当 し,本件著作物を原告に無断でアップロードしたとされる本件サイトは,被告が日本国内で提供するサービスを利用するものであるから,本件訴えは,被告の「日本における業務に関するもの」ということができる。 したがって,日本の裁判所は,民訴法3条の3第5号に基づき,本件訴えについての国際裁判管轄を有する。 2 争点3(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)及び争点4(被 告が本件発信者情報1を保有しているか)について事案に鑑み,争点3及び4について判断する。 (1) 認定事実後掲証拠によれば,以下の事実が認められる。 ア被告は,原告から送付された本件に係る訴状を受けて,平成30年8月 7日付け書簡ーを原告に送付し,本件発信者情報1を保有していないが,本件発信者情報2については,本件サイトの運 れる。 ア被告は,原告から送付された本件に係る訴状を受けて,平成30年8月 7日付け書簡ーを原告に送付し,本件発信者情報1を保有していないが,本件発信者情報2については,本件サイトの運営者に関する情報を提供する旨を伝え,本件発信者情報2のうち,本件サイトにログイン等をした際のIPアドレス,タイムスタンプ及びユーザーの電子メールアドレスを開示した。(乙4,5) イ原告代理人は,日本経済新聞社の取材に対し,上記アで開示を受けた情報に基づき,本件サイトの運営者とみられる東京都内の男性を特定し,損害賠償訴訟の提起などを検討している旨答えた(乙7)。なお,上記原告代理人のコメントが記載された平成30年11月6日付け日本経済新聞記事(乙7)には,本件サイトに関して,カリフォルニア州弁護士の資格を 持つ別の弁護士が,別の漫画家の依頼を受けてアメリカ合衆国連邦地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起し,同裁判所による召喚状の発付を得て,被告から配信サービスの契約者の氏名や住所,電子メールアドレスなどの開示を受け,これらの情報に基づき運営者とみられる人物にたどり着いた旨の記載がある。 ウ原告代理人は,インターネット上の令和元年7月13日付け記事において,本件サイトの運営者がフィリピン入国管理局に拘束され,日本で逮捕される予定であることに関し,上記アで開示を受けた情報から,フィリピンで拘束された運営者が東京都新宿区の高級タワーマンションにいたことが確認できた旨を述べている(乙8)。 エ本件サイトの運営を主導したとされる者は,令和元年9月24日に著作 権法違反の被疑事実で逮捕され,同年12月に初公判が開かれ,同サイトの運営に関与していた他の2名についても逮捕・起訴され,うち1名について 主導したとされる者は,令和元年9月24日に著作 権法違反の被疑事実で逮捕され,同年12月に初公判が開かれ,同サイトの運営に関与していた他の2名についても逮捕・起訴され,うち1名については,既に有罪判決がされている(乙9~17)。 (2) 争点4(被告が本件発信者情報1を保有しているか)について上記(1)アのとおり,被告は本件発信者情報1を保有していないと回答し ているところ,被告が本件発信者情報1を保有していると認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告の請求のうち,本件発信者情報1の開示を求める請求は理由がない。 (3) 争点3(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について 上記(1)アのとおり,原告は本件発信者情報2のうち,IPアドレス,タイムスタンプ及びユーザーの電子メールアドレスの任意開示を受けているので,これらの情報について,さらに開示を受ける正当な理由は認められない。 そこで,本件発信者情報2の氏名又は名称及び住所について,原告に開示を受ける正当な理由があるかどうかについて検討する。 ア上記(1)アないしエ記載のとおり,①原告は,被告から本件各投稿に係るIPアドレス,タイムスタンプ及びユーザーの電子メールアドレスの任意開示を受け,②原告代理人は,新聞社等に対し,これらのデータに基づき,本件サイトの運営者とみられる男性を特定し,その男性が新宿区の高級タワーマンションにいたことが確認できたと語り,③本件サイトの運営に関 わった3名の者は,いずれも逮捕・起訴され,その氏名は既に判明している上,そのうち公判中の2名については刑事施設に収容されているのであるから,原告は,本件発信者情報2の氏名又は名称及び住所を入手するまでもなく,本件発信者を既に特定し され,その氏名は既に判明している上,そのうち公判中の2名については刑事施設に収容されているのであるから,原告は,本件発信者情報2の氏名又は名称及び住所を入手するまでもなく,本件発信者を既に特定し,これらの者に対して損害賠償請求等をすることが可能な状態にあるものというべきである。 そうすると,前記判示のとおり,既に損害賠償請求等をする相手方を特 定している原告において,さらに本件発信者情報2のうち氏名又は名称及び住所の開示を受けるべき正当な理由があるとは認められない。 イこれに対し,原告は,本件サイトの運営者とされる者が刑事事件の取調べにおいて黙秘していることなどから,損害賠償請求訴訟等を提起しても,争われることが予想され,原告の権利行使のためには,法的に裏付け がある広範な情報を入手する必要性や,判決によって法的に裏付けがある情報を入手したという担保が必要であると主張する。 しかし,プロバイダ責任制限法4条の趣旨は,被害者の権利救済のため,権利行使をする前提として相手方を特定するための情報を入手することを可能にすることにあり,それ以上に,発信者に対する損害賠償請求訴訟 における自らの主張を裏付ける証拠として使用する目的で,同法に基づく発信者情報開示請求を行うことまでを認めるものではないと解される。そうすると,特定電気通信による権利侵害を受けたと主張する者が,既に加害者の特定をして損害賠償請求等の権利行使が可能となっている場合には,「発信者情報の開示を受けるべき正当な理由」があると認めることは できないというべきである。 ウしたがって,本件発信者情報2の氏名又は名称及び住所について,原告に開示を受ける正当な理由があるということはできない。 3 結論以上のとおり,本件発信者情 できないというべきである。 ウしたがって,本件発信者情報2の氏名又は名称及び住所について,原告に開示を受ける正当な理由があるということはできない。 3 結論以上のとおり,本件発信者情報1については被告が保有しているとは認められず,本件発信者情報2については開示を受けるべき正当な理由があるとは認められないので,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 𠮷野俊太郎 裁判官 今野智紀 別紙発信者情報目録 1 別紙投稿記事目録記載の各投稿記事の投稿日時において,同目録記載の接続用URLに接続し通信を行っていた電気通信設備を管理する者の下記情報 記 1氏名又は名称 2住所 3電子メールアドレス 4IPアドレス 別紙発信者情報目録 2 発信者情報目録別紙投稿記事目録記載の各投稿記事に係る発信者の使用するアカウントに関する情報のうち次の情報 1氏名又は名称 2住所 3電子メールアドレス 4上記アカウントにログインした際のIPアドレスのうち被告が保有するものすべて 5前項のIPアドレスを割り当てられた電気通信設備から被告の用いる特定電気通信設備に上記各 レス 4 上記アカウントにログインした際のIPアドレスのうち被告が保有するものすべて 5 前項のIPアドレスを割り当てられた電気通信設備から被告の用いる特定電気通信設備に上記各投稿情報が送信された年月日及び時刻(日本標準時) 別紙投稿記事目録 接続用URL http://以下省略 投稿日時 2018/02/21 13:54:05 接続用URL http://以下省略 投稿日時 2018/02/21 13:54:05 接続用URL http://以下省略 投稿日時 2018/02/25 09:06:29
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