平成24(行ケ)10187 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年12月26日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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判決文本文19,735 文字)

平成24年12月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(行ケ)第10187号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年12月5日判決原告株式会社エム・エヌ・ジャパン同訴訟代理人弁理士佐藤英昭丸山 亮被告日本薬品開発株式会社同訴訟代理人弁理士深見久郎森田俊雄竹内耕三小澤美香齋藤 恵 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が取消2011-300586号事件について平成24年4月17日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,原告の後記1の本件商標に係る商標登録に対する商標法51条1項に基づく取消しを求める被告の後記2の本件審判請求について,特許庁が当該商標登録を取り消すとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は後記3のとおり)には,後記4のとおりの取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。 1 本件商標原告は,平成7年12月8日,別紙本件商標目録記載の構成からなり,指定商品を第30類「小麦,大麦,オート麦,スピルリナ,クロレラ,花粉,緑茶,海草,種子類,ほうれ る。 1 本件商標原告は,平成7年12月8日,別紙本件商標目録記載の構成からなり,指定商品を第30類「小麦,大麦,オート麦,スピルリナ,クロレラ,花粉,緑茶,海草,種子類,ほうれん草,朝鮮人参,アルファルファ等を主成分とした粉末状の加工食料品」(以下「本件指定商品」という。)とする商標(以下「本件商標」という。)を登録出願し,平成9年12月12日に設定登録(登録第4091664号)を受けた(甲1)。 2 特許庁における手続の経緯(1) 被告は,平成23年6月27日,原告が本件商標と類似する別紙使用商標目録記載の商標(以下「使用商標」という。)を本件指定商品に使用する行為は,別紙引用商標目録記載1及び2の各商標(以下,順に「引用商標1」などといい,併せて「引用商標」という。)との関係で,被告の業務に係る商品と混同を生ずるものであるとして,商標法51条1項の規定により,取消審判を請求した。 (2) 特許庁は,被告の上記請求を取消2011-300586号事件として審理し,平成24年4月17日,「登録第4091664号商標の商標登録は取り消す。」との本件審決をし,同月26日,その謄本は原告に送達された。 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,要するに,原告が本件指定商品について本件商標に類似する使用商標を使用する行為は,被告の業務に係る商品と混同を生じさせるものであるから,本件商標の商標登録は,商標法51条1項の規定により,取り消されるべきである,というものである。 4 取消事由商標法51条1項該当性に係る判断の誤り第3 当事者の主張〔原告の主張〕 1 本件商標と使用商標との類似性について 本件審決は,使用商標からは,「ProGreens」の文字部分から「プログリーンズ」の 係る判断の誤り第3 当事者の主張〔原告の主張〕 1 本件商標と使用商標との類似性について 本件審決は,使用商標からは,「ProGreens」の文字部分から「プログリーンズ」の称呼が生ずるほか,構成文字全体から「マルチプログリーンズ」の称呼も生ずるとして,本件商標と使用商標とは類似すると判断した。 しかし,使用商標中の「multi」の文字部分は,自他商品識別力の弱い部分であり,視覚上「multi」と「ProGreens」とが分離把握されることから,使用商標において出所標識としての機能を果たす部分は,下段に配置された「ProGreens」の文字部分である。使用商標に接した需要者は,特に顕著に表された「ProGreens」の文字部分に強く印象付けられるから,使用商標からは「プログリーンズ」の称呼のみが生じるというべきである。 他方,本件商標からは,その構成文字に相応して「マルチプログリーン」若しくは「マルチプログリーンズ」の称呼が生じる。 使用商標と本件商標の称呼には,「マルチ」及び「ズ」の音の有無の差異があり,これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は大きく,それぞれ全体として称呼した場合に互いに紛れるおそれはない。また,使用商標と本件商標とは,その外観及び観念の点でも,相紛れるおそれはないから,非類似の商標である。 したがって,本件商標と使用商標とが類似するとした本件審決の判断は誤りである。 2 使用商標と引用商標との類似性について本件審決は,使用商標について,「ProGreens」の文字部分から「プログリーンズ」の称呼が生ずるほか,構成文字全体から「マルチプログリーンズ」の称呼も生ずると判断した。 しかし,前記1のとおり,使用商標からは「プログリーンズ」の称呼のみが生じると見るべきであり,本件審決の上記判断は誤 生ずるほか,構成文字全体から「マルチプログリーンズ」の称呼も生ずると判断した。 しかし,前記1のとおり,使用商標からは「プログリーンズ」の称呼のみが生じると見るべきであり,本件審決の上記判断は誤りである。 3 引用商標の周知性等について(1) 本件審決は,甲3に基づき,被告は平成3年から大麦若葉を主成分とする粉末状の加工食品(以下「被告製品」という。)の販売を開始したと認定した。 しかし,甲3は,被告が作成した販売実績表であって,客観的な証拠ではなく,その内容を裏付ける注文書,納品書,請求書等の取引書類すら提出されていないから,甲3には証拠能力がない。本件審決が甲3をもって安易に被告製品の販売の開始時期を平成3年と認定したのは誤りである。 (2) 本件審決は,甲3及び5ないし11等を挙げ,平成19年4月ないし平成20年11月の時点において,引用商標は被告製品を表示するものとして,健康食品関連分野の需要者の間では,広く認識されていたと認定した。 しかし,仮に,甲3に証拠能力が認められるとしても,甲3によれば,引用商標2を付した被告製品は平成3年に発売が開始されたものの,平成5年には販売が終了し,平成6年以降は「AGAプログリーン」という別の商標が付された商品のみが継続して販売されていたことが認められるのであり,引用商標2を付した被告製品は平成3年から僅か2年間販売されていたにすぎない。また,甲5ないし11については,その発行部数や配布先などに関する証拠が全くなく,いずれも引用商標の周知性を認めるには足りない。 したがって,本件審決の上記認定は誤りである。 (3) 本件審決は,甲4に基づき,被告製品は全国に約410店舗あるAGA会会員である薬局・薬店などを介して一般の需要者に販売されていると認定した。 しかし,甲4はそ 審決の上記認定は誤りである。 (3) 本件審決は,甲4に基づき,被告製品は全国に約410店舗あるAGA会会員である薬局・薬店などを介して一般の需要者に販売されていると認定した。 しかし,甲4はそのほとんどが黒塗りであり,被告がAGA会員であると主張する薬局・薬店を特定することができない。仮に,それらの薬局・薬店がAGA会会員であったとしても,当該薬局・薬店において被告製品が販売されていたことを示す証拠はない。また,前記(2)のとおり,平成6年以降,全国に約410店舗あるAGA加盟の薬局・薬店では,「AGAプログリーン」という別の商標が付された商品のみが継続して販売されていたのである。 したがって,本件審決の上記認定は誤りである。 (4) 被告は,乙6の1に記載された記事を挙げ,被告の製品は青汁の業界において第5位のシェアを占めているから,引用商標は被告の業務に係る商標として周 知であった旨主張する。 しかし,上記記事における被告の製品については,「グリーンマグマ,他」と記載され,引用商標を付した被告製品については一切記載されていない。 したがって,上記記事は,引用商標の周知性を認めるに足りる証拠ではない。 4 取引の実情について原告は,日本国内において,原告の商品の卸売は一切行っておらず,電話又はインターネットによる通信販売(甲15,16等)により,直接需要者に提供している。したがって,原告の商品は,輸入者である原告と最終需要者である一般消費者との直接取引である。これに対し,被告製品は,被告からAGA会に所属する薬局・薬店に卸売され,当該薬局・薬店の店頭に陳列された商品を最終需要者である一般消費者が購入するという販路が採られており,その販売方法は大きく異なる。 5 混同のおそれについて本件審決は,使用商標を付した健 され,当該薬局・薬店の店頭に陳列された商品を最終需要者である一般消費者が購入するという販路が採られており,その販売方法は大きく異なる。 5 混同のおそれについて本件審決は,使用商標を付した健康食品は「ProGreens」の文字が強調されていることにより,その需要者をして,周知な引用商標を付した被告製品を想起させ,当該商品が被告の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について誤認,混同を生じさせるおそれがあると判断した。 しかし,原告は,平成8年1月から使用商標の使用を開始しているところ,その時点において引用商標は商標登録出願されておらず,引用商標が需要者の間に広く認識されていたという事実はない。また,原告の商品と被告製品とは,いずれも健康食品であるという点において共通するものの,前記4のとおり,その販売方法は大きく異なり,業として薬局・薬店を営む被告製品の取引者の通常の注意力をもってすれば,原告が直接一般消費者に通信販売している原告の商品と,薬局・薬店にしか卸していない被告製品について,誤認,混同を生ずるおそれは非常に低いものである。 したがって,本件審決の上記判断は誤りである。 6 原告の故意について 本件審決は,原告は使用商標をその取扱いに係る商品に使用すれば,引用商標を付した被告製品との間に,出所の混同を生ずるおそれがあることを認識して,その使用を行っていたものと推認される旨判断した。 しかし,原告において,使用商標の使用について,商品の出所の混同を生ずることの故意がないことは明らかである。すなわち,原告は,平成7年10月,米国のニュートリコロジー社から「ProGreens」なる健康補助食品をサンプルで輸入を開始したが,間もなく当該商品には日本では食品として認可されない物質(VitaminE サクシネイ 年10月,米国のニュートリコロジー社から「ProGreens」なる健康補助食品をサンプルで輸入を開始したが,間もなく当該商品には日本では食品として認可されない物質(VitaminE サクシネイト)が含まれていることが判明した。そこで,原告は,同社に対して,当該物質を除いて製造するよう要請するとともに,成分の異なる商品を同一の商品名で輸入することはできないため,平成8年1月,「Multi」の文字を付加した使用商標を付することで輸入を再開することができた。平成11年頃,含有物質の食品許可の問題が解消したため,原告は,「ProGreens」のラベルに戻して平成18年2月頃まで販売していた。その後,平成18年7月頃に原告が使用商標の使用を再開したのは,上記「ProGreens」との商標の使用について,被告から通知書(甲23)による警告を受けたためである。そのような原告の行為は,正に誤認混同防止行為にほかならず,商取引上の秩序を正しく維持しようとの誠意ある対応の結果であるから,原告において,使用商標の使用について,引用商標を付した被告製品との間に出所の混同を生じることの故意があるはずはない。 7 小括以上によれば,商標法51条1項の規定により本件商標の登録を取り消すとした本件審決の判断は誤りであり,取り消されるべきである。 〔被告の主張〕 1 本件商標と使用商標との類似性について使用商標からは,「ProGreens」の文字部分から「プログリーンズ」の称呼が生ずるだけでなく,構成文字全体から「マルチプログリーンズ」の称呼も生ずる。そして,本件商標からは,上段の「MultiProGreens」の文字部分から「マルチプログ リーンズ」の称呼が,また,下段の「マルチプログリーン」の文字部分から「マルチプログリーン」の称呼が生じる ,本件商標からは,上段の「MultiProGreens」の文字部分から「マルチプログ リーンズ」の称呼が,また,下段の「マルチプログリーン」の文字部分から「マルチプログリーン」の称呼が生じるため,本件商標と使用商標とは称呼上類似する。 したがって,本件商標と使用商標が類似するとした本件審決の判断に誤りはない。 2 使用商標と引用商標との類似性について前記1のとおり,使用商標からは,「プログリーンズ」の称呼のほか,「マルチプログリーンズ」の称呼も生ずるのであり,使用商標からは「プログリーンズ」の称呼のみが生じると見るべきであるとの原告の主張は失当である。 3 引用商標の周知性等について(1) 原告は,被告製品の販売が平成3年に開始されたとの本件審決の認定は誤りであると主張する。 しかし,平成6年発行の「マグマニュース 1994年 Vol.19」(甲7の2)には,「野菜の代わりにと当店でお勧めしているのがプログリーンです。扱って3年目になりますが,お客さまからの反響も上々です。」との記載がある。この記載からすれば,被告製品が平成3年から販売されていることは明らかである。 (2) 原告は,甲3によれば,平成6年以降は「AGAプログリーン」という引用商標とは別の商標が付された商品のみが販売されていると主張する。 しかし,被告は,平成3年に引用商標を付した被告製品の販売を開始したが,平成6年以降はAGA会に所属する薬局・薬店のみを通じて同製品を販売するようになったため,AGA会会員に販売した被告製品であることが分かるように「AGAプログリーン」なる品目を立てて販売管理を行ってきたものである。被告は一貫して引用商標を付した被告製品を販売しており,原告が主張するように「AGAプログリーン」なる商標を付した商品を販売したことは プログリーン」なる品目を立てて販売管理を行ってきたものである。被告は一貫して引用商標を付した被告製品を販売しており,原告が主張するように「AGAプログリーン」なる商標を付した商品を販売したことはない。原告の主張は誤りである。 (3) 原告は,甲5ないし11について,その発行部数や配布先が不明であり,いずれも引用商標の周知性を認めるには足りない旨主張する。 しかし,上記各証拠のうち,甲7の1の発行部数は1万1500部,甲7の2ないし5は各5000部, 甲8の1ないし4は各400部,甲9の1・2は各28 万部,甲10の1ないし38は各1000部,甲11の1・2は各22万1697世帯,甲11の3は8万5800部,甲11の4は1万部,甲12の1は50万7043部,甲12の2は約40万部,甲12の3は約12万部である。甲5ないし11には,全国で流通する雑誌だけでなく,一地域を隈なくカバーするよう配布されている無料冊子も含まれている。 また,株式会社世界文化社発行の雑誌「MISS」(平成19年5月号)にも,引用商標を付した被告製品の写真が掲載されている。 さらに,株式会社日本マーケティング・レポートが平成20年12月15日に発行した「健康・サプリメント市場の実態」(乙6の2)において,被告の製品は,大麦青葉を原材料とする青汁の分野で,第4位のシェアを占めていることが記載され,株式会社富士経済が平成21年1月22日に発行した「2009年食品マーケティング便覧 No.5」(乙6の1)においても,被告の製品は,大麦若葉のほか,ケール,明日葉等を原材料とする青汁の分野において,第5位のシェアを占めていることが記載されている。 以上からすれば,引用商標が被告の業務に係る商標として周知されるに至っていることは明らかである。 4 取引の実情につ 料とする青汁の分野において,第5位のシェアを占めていることが記載されている。 以上からすれば,引用商標が被告の業務に係る商標として周知されるに至っていることは明らかである。 4 取引の実情について被告製品は,被告からAGA会に所属する薬局・薬店に卸売され,当該薬局・薬店の店頭に陳列された商品を最終需要者である一般消費者が購入するという販路が採用されている。なお,被告は,原告の商品の販売方法については知らない。 5 混同のおそれについて(1) 原告は,使用商標の使用を開始した平成8年1月の時点では引用商標は商標登録出願されておらず,引用商標が需要者の間に広く認識されていたという事実はないから,使用商標について,商品の出所について誤認,混同を生じさせるおそれがあるとした本件審決の判断は誤りである旨主張する。 しかし,商標法51条の趣旨は,商標の不当な使用によって一般公衆の利益が害 されるような事態を防止し,かつ,そのような場合に当該商標権者に制裁を課すことにあるから,同条の要件である出所混同のおそれの有無は使用商標の使用時点を基準に判断されるべきであり,使用開始時期の先後によって影響を受けるものではない。原告の主張はその前提を欠くものである。 (2) また,インターネットが広く普及した現在において,被告製品の購入を希望する一般消費者がインターネットを利用して被告製品の販売場所や購入方法を調べるであろうことは想像に難くない。かかる一般消費者に関していえば,原告の商品を購入する際の注意力と被告製品を購入する際の注意力とに差異はない。そして,使用商標と引用商標との類似性を考慮すれば,かかる一般消費者が原告の商品と被告製品とを混同するおそれがあるであろうことは十分予想できる。実際,被告のお客様相談室には,一般の消費者から,原告等 して,使用商標と引用商標との類似性を考慮すれば,かかる一般消費者が原告の商品と被告製品とを混同するおそれがあるであろうことは十分予想できる。実際,被告のお客様相談室には,一般の消費者から,原告等が販売しているニュートリコロジー社の「ProGreens」に関する問合せや,同商品と被告製品が同一の商品であるかとの問合せが多数寄せられており,これらの商品に出所の混同が生じていることは明らかである。 6 原告の故意について原告は,平成18年7月頃に使用商標の使用を再開したのは,「ProGreens」との商標の使用について,被告から通知書(甲23)による警告を受けたためであるから,使用商標の使用について,引用商標を付した被告製品との間に出所の混同を生じることの故意があるはずはない旨主張する。 しかし,原告は,平成8年1月の段階で使用した商標について,「ニュートリコロジー社の「ProGreens」のイメージを維持しつつも「Multi」の語を付加しなければならないという事情から,「ProGreens」の文字部分を特に顕著に表し,当該商標に接する需要者の多くが該文字部分に着目し,これより生ずる「プログリーンズ」の称呼のみをもって,商品の取引に当たるように意図したものである。」旨主張しており(原告の第1準備書面3頁23行目~31行目),かかる主張からすると,原告は,被告から通知書(甲23)を受けてその商品に使用する商標の構成を 変更する際に,「ProGreens」の上部に「multi」を付加しても,「ProGreens」の文字部分が商標の要部であると需要者に認識され,被告製品と原告の商品との間に混同が生じることを認識していたことは明らかである。 7 小括以上によれば,商標法51条1項の規定により本件商標の登録を取り消すとした本件審 ると需要者に認識され,被告製品と原告の商品との間に混同が生じることを認識していたことは明らかである。 7 小括以上によれば,商標法51条1項の規定により本件商標の登録を取り消すとした本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 商標法51条1項について商標法51条1項は,「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用…であって…他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは,何人も,その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。同項の規定は,商標の不当な使用によって一般公衆の利益が害されるような事態を防止し,そのような場合に当該商標権者に制裁を課す趣旨のものであり,需要者一般を保護するという公益的性格を有するものである(最高裁昭和58年(行ツ)第31号同61年4月22日第三小法廷判決・裁判集民事147号587頁参照)。 商標法51条1項の上記のような趣旨に照らせば,同項にいう「商標の使用・・・であって・・・他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるもの」に当たるためには,使用に係る商標の具体的表示態様が他人の業務に係る商品等との間で具体的に混同を生ずるおそれを有するものであることが必要であるというべきであり,そして,その混同を生ずるおそれの有無については,商標権者が使用する商標と引用する他人の商標との類似性の程度,当該他人の商標の周知著名性及び独創性の有無,程度,商標権者が使用する商品等と当該他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等に照らし,当該商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものであ 途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等に照らし,当該商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものである。 そこで,まず,本件商標と使用商標との類似性を検討した上で,上記のような観点から,①使用商標と引用商標との類似性の程度,②引用商標の周知著名性及び独創性の程度,③使用商標が付された商品と被告の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度,④商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情を総合して,使用商標の具体的表示態様が被告の業務に係る商品等との間に具体的に混同を生ずるおそれの有無について検討することとする。 2 本件商標と使用商標の類似性について(1) 本件商標について本件商標は,別紙本件商標目録のとおり,「MultiProGreens」の欧文字と「マルチプログリーン」の片仮名文字を上下2段に横書にした構成からなる。本件商標からは,上記各文字の構成全体に応じて,「マルチプログリーンズ」又は「マルチプログリーン」との称呼が生ずる。 (2) 使用商標について使用商標は,別紙使用商標目録のとおり,「ProGreens」の欧文字を横書にし,その左上に「multi」との欧文字を白抜きで横書にして配置した構成からなる。使用商標からは,後記3ウ(ア)のとおり,「ProGreens」の文字部分から「プログリーンズ」との称呼が生ずるほか,構成文字全体に応じた「マルチプログリーンズ」との称呼が生ずる。 (3) 本件商標と使用商標の類否について本件商標と使用商標とは,その構成中に「Multi」又は「multi」との欧文字や「ProGreens」との欧文字を含んでいる点で共通性を有しているものの,各文字の 本件商標と使用商標の類否について本件商標と使用商標とは,その構成中に「Multi」又は「multi」との欧文字や「ProGreens」との欧文字を含んでいる点で共通性を有しているものの,各文字の配置や,本件商標の構成中には,使用商標にはない「マルチプログリーン」との片仮名文字も含まれているという点で相違しているから,両者は,全体としてその外観そのものが顕著に類似するものではない。 また,本件商標を構成する「Multi」や使用商標を構成する「multi」との語も,「多くの」,「種々の」等の意味を有するものであるにすぎないし(研究社「NEW COLLEGIATE 英和辞典」第5版),「ProGreens」や「プログリーン」は,いずれも造語であるから(弁論の全趣旨),本件商標と使用商標とは,いずれも特定の観念を生ずるものではない。 そして,1個の商標から2個以上の称呼,観念を生じる場合には,その1つの称呼,観念が登録商標と類似するときは,それぞれの商標は類似すると解すべきであるところ(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁参照),使用商標からは,「プログリーンズ」との称呼が生ずるほか,構成文字全体に応じた「マルチプログリーンズ」との称呼も生じ,本件商標から生じる称呼の1つである「マルチプログリーンズ」と称呼が同一である以上,使用商標は,本件商標と類似するものというべきである。 3 混同のおそれについて(1) 使用商標と引用商標との類似性の程度についてア使用商標の構成等について使用商標の構成等は,前記2(2)のとおりである。 イ引用商標の構成等について(ア) 引用商標1について引用商標1は,別紙引用商標目録1記載のとおり,「PROGREEN 等について使用商標の構成等は,前記2(2)のとおりである。 イ引用商標の構成等について(ア) 引用商標1について引用商標1は,別紙引用商標目録1記載のとおり,「PROGREEN」の欧文字からなり,構成文字全体に応じた「プログリーン」との称呼が生ずるものである。 (イ) 引用商標2について引用商標2は,別紙引用商標目録2記載のとおり,「プログリーン」の片仮名文字からなり,構成文字全体に応じた「プログリーン」との称呼が生ずるものである。 ウ使用商標と引用商標との類否について(ア) 結合商標の類否の判断複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを 他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されない。他方,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものである(前掲最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 これを使用商標についてみると,「ProGreens」の文字は,「multi」の文字に比べて,構成文字が多く,その文字の幅も約5倍程度になっていること,「mul 裁判集民事228号561頁参照)。 これを使用商標についてみると,「ProGreens」の文字は,「multi」の文字に比べて,構成文字が多く,その文字の幅も約5倍程度になっていること,「multi」の文字は白抜きで表記されているのに対し,「ProGreens」の文字は,白抜きでない通常の文字で表記されていることなどからすると,外観上,「ProGreens」の文字は,「multi」の文字に比して,見る者の注意をより強く引くものであるということができる。また,前記のとおり,「multi」との語は,「多くの」,「種々の」等の意味を有するものであり,「multi」との語自体が自他商品の識別のために格別の意義を有するものではない。 そうすると,使用商標のうち「ProGreens」との文字部分は,これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできず,当該文字部分だけを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって,使用商標からは,その構成全体である「multiProGreens」だけでなく,「ProGreens」との文字部分からも,称呼,観念を生じ得るものというべきである。 (イ) 使用商標と引用商標1との類似性の程度について前記のとおり,使用商標は,「ProGreens」の文字部分だけを引用商標と比較し て商標の類否を判断することも許されるものであるところ,使用商標の「ProGreens」の文字部分と引用商標1については,引用商標1ではその構成文字が全て大文字であるのに対し,使用商標の「ProGreens」の文字部分では「P」と「G」以外が小文字であるという差異と,使用商標の「ProGreens」の文字部分の末尾には「s」の文字がある 文字が全て大文字であるのに対し,使用商標の「ProGreens」の文字部分では「P」と「G」以外が小文字であるという差異と,使用商標の「ProGreens」の文字部分の末尾には「s」の文字があるが,引用商標1の末尾には「s」がないという差異があるにすぎず,当該「s」を除いた8文字からなる構成文字の綴りは同一のものである。したがって,使用商標と引用商標1は,外観上類似するというべきである。 また,使用商標からは「プログリーンズ」との称呼が,引用商標1からは「プログリーン」との称呼がそれぞれ生じ,両者は,語尾に「ズ」が付くか否かの差異があるものの,これを除く「プログリーン」の6音は共通しているから,称呼においても類似するものである。 そして,使用商標を構成する「ProGreens 」と引用商標1を構成する「PROGREEN」はいずれも造語であり,特定の観念を生ずるものではない。 以上に検討した外観,称呼及び観念における類似性からすると,使用商標と引用商標1は,類似の商標であるということができる。 (ウ) 使用商標と引用商標2との類似性について使用商標の「ProGreens」と引用商標2とは,外観上は類似するものではない。 しかし,使用商標を構成する「ProGreens」と引用商標2を構成する「プログリーン」は造語であって,いずれも特定の観念を生ずるものではないし,使用商標から生ずる「プログリーンズ」との称呼と,引用商標2から生ずる「プログリーン」との称呼は,前記(イ)と同様に類似するものである以上,使用商標と引用商標2は,類似の商標であるというべきである。 (2) 使用商標が付された商品と被告の業務に係る商品等との間の性質等における関連性の程度について使用商標が使用された商品は,大豆レシチン,スピルリナ,リンゴペクチンと繊 というべきである。 (2) 使用商標が付された商品と被告の業務に係る商品等との間の性質等における関連性の程度について使用商標が使用された商品は,大豆レシチン,スピルリナ,リンゴペクチンと繊維,亜麻仁粉,オリゴ糖,大麦ジュース粉末,オート麦ジュース粉末,小麦ジュー ス粉末,小麦の芽の粉末,アルファルファジュース粉末,クロレラ等を原料とするものであり(甲15,16),本件指定商品と実質的に同一のものである。 他方,引用商標は,前記のとおり,大麦若葉を搾汁し,繊維を取り除いた後,エキスを低温で乾燥させ,粉末化したという被告製品に使用されている。 そうすると,使用商標が付された商品と被告の業務に係る商品は,いずれも健康食品と呼ばれている分野の商品であるという点で共通性を有するものである。 (3) 商品等の取引者及び需要者の共通性等被告製品は,AGA加盟の薬局・薬店において,対面販売されているが(甲4,甲9の1・2,甲10の3・4・6~8・10~36・38),使用商標を付した原告の商品は,インターネットを通じて一般の需要者に販売されている(甲15)。 (4) 引用商標の周知著名性及び独創性の程度についてア独創性の程度について引用商標は,いずれも特定の観念を生じさせることのない造語であるが,引用商標1は「PROGREEN」との欧文字のみで構成され,引用商標2も「プログリーン」との片仮名文字のみで構成されるものであって,いずれも商標の構成としてはさしたる独創性を有するものではない。 イ周知著名性について(ア) 後掲各証拠によれば,引用商標の周知著名性について,次の事実が認められる。 a 被告は,遅くとも平成5年頃には,大麦若葉を搾汁し,繊維を取り除いた後,そのエキスを低温で乾燥させて粉末化した「プログリーン 証拠によれば,引用商標の周知著名性について,次の事実が認められる。 a 被告は,遅くとも平成5年頃には,大麦若葉を搾汁し,繊維を取り除いた後,そのエキスを低温で乾燥させて粉末化した「プログリーン」という名称の商品(被告製品)について,引用商標を付してその販売を開始し,平成6年以降は,AGAという名称の組織に加盟している薬局・薬店(平成20年現在で全国で400店舗余り)を通じて,その販売をしていた(甲5,甲6の1~3,甲10の3・4・6~8・10~36・38,乙1の1~7,弁論の全趣旨)。 平成11年6月頃から平成20年6月頃までの間に,上記AGAの本部が発行し た「AGA通信」には,引用商標又は少なくとも引用商標2を使用した被告製品の写真が掲載されている(甲10の3・4・6~8・10~36・38)。 b 「NHK きょうの健康」の平成13年4月1日版及び同年6月1日版並びに社団法人兵庫県薬種商協会が発行する薬種商会報の平成19年6月25日版,同年10月18日版,平成20年1月1日版及び同年6月25日版には,引用商標が付された被告製品の写真を使用した被告製品の宣伝広告が掲載されている(甲8の1~4,甲9の1・2)また,平成16年頃,岡山県倉敷市周辺の22万1697世帯に無料配布されたジョセイ新聞社発行の「こんにちは新聞」にも,少なくとも引用商標2を使用した被告製品の写真が掲載されている(甲11の1・2)。 さらに,株式会社宝島社が平成19年1月23日付けで発行した雑誌「spring」において,引用商標を付した被告製品の写真が掲載され,株式会社世界文化社が同年5月1日付けで発行した雑誌「MISS」においても,引用商標を付した被告製品の写真が掲載されている(甲12の2,乙5)。 加えて,株式会社日本マーケティング・レポートが れ,株式会社世界文化社が同年5月1日付けで発行した雑誌「MISS」においても,引用商標を付した被告製品の写真が掲載されている(甲12の2,乙5)。 加えて,株式会社日本マーケティング・レポートが平成20年12月に発行した「健康・サプリメント市場の実態」において,被告の製品は,大麦若葉を原材料とする青汁の分野で,企業別販売額で第4位のシェア(平成20年のシェアが1.7パーセント)を占めていることが記載され,株式会社富士経済が平成21年1月に発行した「2009年食品マーケティング便覧 No.5」においても,被告の製品は,大麦若葉のほか,ケール,明日葉等を原材料とする青汁の分野において,企業別販売額で第5位のシェア(平成20年のシェアが4.2パーセント)を占めていることが記載されている(乙6の1・2)。なお,上記各記事における被告の製品の販売額には,被告製品(プログリーン)のほか,被告の他の製品である「グリーンマグマ」や「バーリーグリーン」の販売額も含まれている(弁論の全趣旨)。 (イ) 原告の主張についてa 原告は,甲3の販売実績表にはその内容を裏付ける注文書,納品書,請求書 等が提出されていないから,証拠能力がない旨主張する。 しかし,記載内容の裏付けを欠いた書証については,その信用性の有無は問題になり得るとしても,証拠能力がないとまでいうことはできないから,原告の主張は採用できない。 もっとも,甲3の販売実績表には,被告が,平成3年以降,「プログリーン」又は「AGAプログリーン」との商品を販売していたことが記載されているが,甲3は,作成者や作成年月日の記載もない単なる表であり,記載された販売数量についての客観的な裏付けとなる資料も提出されていないから,甲3に記載されたとおりに上記各商品の販売が行われていたとまで認め 甲3は,作成者や作成年月日の記載もない単なる表であり,記載された販売数量についての客観的な裏付けとなる資料も提出されていないから,甲3に記載されたとおりに上記各商品の販売が行われていたとまで認めることはできない。また,平成6年発行の「マグマニュース 1994年 Vol.19」(甲7の2)には,「野菜の代わりにと当店でお勧めしているのがプログリーンです。扱って3年目になりますが,お客さまからの反響も上々です。」との記載があるものの,当該店舗で販売しているという「プログリーン」との商品について,引用商標が使用されていたか否かは明らかでない。したがって,引用商標を付した被告製品が平成3年から販売されていたと認定することはできない。 他方,証拠(乙1の1~7)によれば,平成5年頃には,薬局・薬店において,引用商標を付した被告製品が販売されていることが認められる。したがって,引用商標を付した被告製品の販売開始時期は,上記のとおり,遅くとも平成5年頃と認定するのが相当である。 b 原告は,甲4のAGA会員名簿は,そのほとんどが黒塗りであり,AGA会員である薬局・薬店を特定することができないし,当該薬局・薬店において引用商標を付した被告製品が販売されていたことを示す証拠もないなどと主張する。 確かに,甲4ではAGAの会員とされる薬局・薬店の名称等が黒塗りされているから,その会員を特定することはできない。しかし,AGA本部は,平成10年6月から平成20年6月まで,いずれも8頁程度からなる「AGA通信」(甲10の1~38)を年4回ずつ発行しており,その体裁や発行頻度等からすると,AGA は,実際に相応の会員数を有する団体として組織されていることがうかがわれるところである。そうすると,少なくとも平成20年の時点において,AGAが甲4に記載 裁や発行頻度等からすると,AGA は,実際に相応の会員数を有する団体として組織されていることがうかがわれるところである。そうすると,少なくとも平成20年の時点において,AGAが甲4に記載された400余りの会員を有していたことは認められるというべきである。そして,上記AGA通信には,引用商標を付した被告製品が全国各地の薬局・薬店において販売されている状況を写した写真が掲載されている以上,AGAに加盟する薬局・薬店では,引用商標を付した被告製品の販売をしていたものと認めるのが相当である。 (ウ) 前記認定のとおり,平成20年頃には,引用商標を付した被告製品を販売するAGAの加盟店が全国で400店舗余りとなり,また,平成13年頃から平成20年頃までの間に,著名な出版社が出版する雑誌等において,引用商標を付した被告製品の写真が掲載されていること,その結果,後記認定のとおり,原告がその商品に使用商標を使用した平成20年頃には,大麦若葉を原材料とする青汁市場あるいは大麦若葉のほかケール等を原材料とする青汁市場において,被告は,被告製品とそれ以外の製品との合算ではあるものの,企業別販売数で4位あるいは5位のシェアを占めるまでの販売実績を上げていることなどからすると,引用商標は,青汁等の健康食品の取引者,需要者の間で,著名ないし周知であったとまではいえないものの,一定の認知を得ていたものということができる。 (5) 小括以上のとおり,使用商標と引用商標は類似の商標であり,これらの商標が使用される商品も共通性を有するものである。また,引用商標は,独創性が高いものではなく,原告がその商品に使用商標を使用した平成20年頃には,いわゆる健康食品の需要者,取引者の間で,著名ないし周知であったとまではいえないものの,一定の認知を得ていたものとい ,独創性が高いものではなく,原告がその商品に使用商標を使用した平成20年頃には,いわゆる健康食品の需要者,取引者の間で,著名ないし周知であったとまではいえないものの,一定の認知を得ていたものということができる。そして,被告製品が薬局・薬店において対面販売されているのに対し,使用商標を付した原告の商品は,インターネットを通じて販売されるものであって,両者は販売態様,方法を異にしているから,そうした販売の実情に通じた薬局・薬店等の取引者であれば,使用商標が本件指定商 品について使用されていたとしても,それが被告の業務に係る商品であるとの誤認,混同を生ずるおそれが高いとまではいえないものの,使用商標を付した原告の商品はインターネットを通じて一般の需要者に対して直接販売されるものであり,引用商標の存在については認識しているが,上記のような販売の実情に通じていない一般の需要者にあっては,上記検討した使用商標と引用商標との類似性に照らして,インターネット上で接した原告の商品について,被告の業務に係る商品であるとの誤認,混同を生ずる具体的なおそれがあるものといわなければならない。 4 原告の故意について(1) 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア平成8年5月頃,原告は,米国のニュートリコロジー社が製造した健康補助食品「PROGREENS」について,使用商標に類似する商標(「ProGreens」の欧文字を横書にし,その左上に「Multi」との欧文字を横書にして配置した構成からなる。)を使用して日本国内での販売を始めた(甲56,62)。 イその後の平成11年頃から平成18年2月頃まで,原告は,上記健康補助食品「PROGREENS」について,「ProGreens」の欧文字から構成される商標を使用していた。 (甲56,62)。 イその後の平成11年頃から平成18年2月頃まで,原告は,上記健康補助食品「PROGREENS」について,「ProGreens」の欧文字から構成される商標を使用していた。 ウ平成18年2月22日,被告は,原告に対し,「原告がインターネットを通じ,「PROGREENS」の宣伝広告等を行うことは,引用商標に係る被告の商標権を侵害するものであり,直ちに当該行為の停止を求める」旨記載した書面を送付した(甲23)。 これに対し,平成18年3月20日頃,原告は,被告に対し,「原告としては,早急に被告が指摘した業務を中止するとともに,今後は本件商標を付して商品の販売をする」旨記載した書面を送付した(甲24)。 エしかし,平成19年4月12日頃,原告は,インターネット上において,原告の会社概要のほか,使用商標を付した商品の写真を掲載していた(甲26)。 オそこで,平成19年4月17日,被告は,原告に対し,「multi Progreens」との商標を付したパッケージの使用は,引用商標の商標権を侵害する行為である旨記載した書面を送付した(甲27)。 これに対し,原告は,被告に対し,平成19年5月8日付けで,対応策を検討する旨記載した回答書を送付した(甲28)。 カしかるに,原告は,平成20年11月頃,インターネット上で,使用商標を付した商品の写真を掲載して,当該商品の宣伝広告をした(甲15)。 (2) 前記3(5)のとおり,使用商標は,これを本件指定商品に使用した場合,客観的には,当該商品が被告の業務に係るものであるとの誤認,混同を生ずるおそれを有するものであるところ,原告は,平成19年4月17日,被告から,「multiProgreens」との商標が引用商標に係る被告の商標権を侵害するとの通知を受けていな との誤認,混同を生ずるおそれを有するものであるところ,原告は,平成19年4月17日,被告から,「multiProgreens」との商標が引用商標に係る被告の商標権を侵害するとの通知を受けていながら,その後である平成20年11月頃に,使用商標を用いた商品の宣伝を行っているのであるから,少なくとも,その宣伝行為に当たっては,使用商標を使用した結果,被告の業務に係る商品との誤認,混同を生じさせるおそれのあることを認識し,かつこれを認容していたものと認めるのが相当である。 (3) 原告の主張について原告は,原告による使用商標の使用開始は平成8年1月頃であり,その当時,引用商標は商標登録されておらず,引用商標が需要者の間に広く認識されていた事実はなかったとか,原告が平成18年7月頃に使用商標の使用を再開したのは,被告からの通知書(甲23)による警告を受けたためであるなどとして,原告には使用商標を付した商品について出所の混同を生じさせる故意があるはずはないなどと主張する。 確かに,証拠(甲62)によれば,原告は,平成8年5月当時,その販売に係る商品について,使用商標に類似する商標(「ProGreens」の欧文字を横書きにし,その左上に「Multi」の欧文字を横書きにして配置したもの)を使用していたことが認められるが,商標法51条1項所定の故意の有無は使用商標の使用時点を基準に判断すべきであるから,その頃原告が当該商標を使用していたとの事実は,原告 が平成20年11月頃に使用商標を使用した際に,被告の業務に係る商品との誤認,混同を生じさせるおそれのあることを認識し,かつこれを認容していたという上記認定を左右するものではない。また,原告による使用商標の使用が,被告の通知書による警告を契機としたものであったとしても,上記「multi るおそれのあることを認識し,かつこれを認容していたという上記認定を左右するものではない。また,原告による使用商標の使用が,被告の通知書による警告を契機としたものであったとしても,上記「multiProGreens」との商標の使用について,被告から引用商標に係る商標権侵害を警告されていた原告が,その商品に使用商標を使用することによって,被告の業務に係る商品との誤認,混同を生ずるおそれのあることを認識し,かつこれを認容していたことは明らかであり,原告による使用商標の使用が被告からの通知書による警告の後であるという事実も,上記認定を左右するものではない。 したがって,原告の主張は採用できない。 5 結論以上の次第であるから,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官土肥章大 裁判官髙部眞規子 裁判官齋藤 巌 (別紙) 本件商標目録 (別紙) 使用商標目録 (別紙) 引用商標目録 (1) 構成 (2) 指定商品第29類:麦類若葉を主原料とする粉末状・錠剤状・粒状・液状・顆粒状加工食品,加工野菜及び加工果実,冷凍野菜及び冷凍果実(3) 出願日:平成17年6月3日(4) 登録日:平成18年2月3日(5) 登録番号:登録第4925352号 (1) 構成 (2) 指定商品第29類:麦類若葉を主原料とする粉末状・錠剤状・粒状・液状・顆粒状加工食品,加工野菜及び加工果実,冷凍野菜及び冷凍果実(3) 出願日:平成17年6月3日(4) 登録日:平成18年2月3日( :麦類若葉を主原料とする粉末状・錠剤状・粒状・液状・顆粒状加工食品,加工野菜及び加工果実,冷凍野菜及び冷凍果実(3) 出願日:平成17年6月3日(4) 登録日:平成18年2月3日(5) 登録番号:登録第4925351号

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