平成17(行コ)187 事業認定取消・各収用裁決取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成14年(行ウ)第296号(甲事件)・平成16年(行ウ)第291号(乙事件)・平成16年(行ウ)第341号(丙事件))

裁判年月日・裁判所
平成20年6月19日 東京高等裁判所 公用負担・公用収用など
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判決文本文119,899 文字)

- 1 -主文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人ら⑴原判決を取り消す。 ⑵控訴人目録1記載の控訴人ら(原審甲事件の原告ら(第1原告ないし第5原告。以下「甲事件一審原告ら」という)の請求)。 被控訴人国土交通大臣が,平成14年4月19日付けで行った,一般国道468号(一般有料道路「首都圏中央連絡自動車道。以下「圏央道」とい」う)と高速自動車国道中央自動車道(以下「中央道」という)富士吉田。 。 線との接続点から東京都青梅市α1地内の青梅インターチェンジまでの間を結ぶ延長20.30キロメートルの区間(以下「本件圏央道事業区間」という)に設置が予定されている一般有料自動車専用道路(以下「本件道路」。 という)の新設工事及びこれに伴う附帯事業(以下「本件圏央道事業」と。 いう)のうち,東京都八王子市α2地内の延長0.58キロメートルの区。 間及び同市α3地内から同市α4地内までの延長4.83キロメートルの区間の合計5.41キロメートルの区間(以下「本件起業地区間」という)。 のもの並びに八王子ジャンクション(仮称)の新設事業(東京都八王子市α2地内。以下「本件八王子ジャンクション事業」といい,両者を併せて「本件事業というについての土地収用法16条所定の事業の認定以下本」。)(「件事業認定」という)を取り消す。 。 ⑶控訴人目録2記載の控訴人ら(原審乙事件の原告ら(第6原告ないし第8原告。以下「乙事件一審原告ら」という)の請求)。 被控訴人東京都収用委員会(以下「被控訴人収用委員会」という)が,。 - 2 -平成16年5月17日付けで行った乙事件一審原告らにかかる原判決別紙裁決目録記載1から6までの各権利取得裁決(以下「本 被控訴人東京都収用委員会(以下「被控訴人収用委員会」という)が,。 - 2 -平成16年5月17日付けで行った乙事件一審原告らにかかる原判決別紙裁決目録記載1から6までの各権利取得裁決(以下「本件各権利取得裁決」という)及び各明渡裁決(以下「本件各明渡裁決」といい,両者を総称して。 「本件各裁決」という)をいずれも取り消す。 。 ⑷控訴人目録3記載の控訴人ら(原審丙事件の原告ら(第9原告及び第10原告。以下「丙事件一審原告ら」という)の請求)。 被控訴人収用委員会が,平成16年5月17日付けで行った丙事件一審原告らにかかる原判決別紙裁決目録記載3から6までの各権利取得裁決及び各明渡裁決をいずれも取り消す。 ⑸訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 (なお,控訴状記載の控訴の趣旨は,上記と異なる点があるが,原審における控訴人らの請求の趣旨は,原判決「事実及び理由」欄「第二当事者の求める裁判」に記載のとおりであり,当審においても同一の請求をするものと解される)。 被控訴人ら主文同旨第2事案の概要等 本件は,⑴本件事業に係る起業地(以下「本件起業地」という)の一部。 であって,圏央道と中央道との接続点である八王子ジャンクション(仮称)の建設予定土地(東京都八王子市α2地内)若しくは同土地上の立竹木に所有権若しくは賃借権を有する者,同建設予定土地周辺のα5地区等に居住する者又はα5・高尾山等の自然等を保護しようとする個人若しくは環境保護団体等である甲事件一審原告らが,圏央道は建設の公益性,必要性がなく,かえって,水文環境に悪影響を与え,高尾山の歴史的環境と生態系,α6城跡,オオタカの営巣地,景観等の周辺環境を悪化させ,大気汚染,騒音等による健康被害をもたらし,周辺住民の生活を破壊するなどの不利益を生じさせ 水文環境に悪影響を与え,高尾山の歴史的環境と生態系,α6城跡,オオタカの営巣地,景観等の周辺環境を悪化させ,大気汚染,騒音等による健康被害をもたらし,周辺住民の生活を破壊するなどの不利益を生じさせるものであるか- 3 -ら,本件起業地について土地収用法16条所定の本件事業認定を行うことは同法20条2号から4号までの要件を満たしておらず,また,事業の認定に際して周辺住民の意見が十分に反映されていないなど本件事業認定の手続に違法があった旨を主張して,被控訴人国土交通大臣が平成14年4月19日付けで行った本件起業地についての本件事業認定の取消しを求め(原審甲事件,⑵)本件事業認定後に被控訴人収用委員会が平成16年5月17日付けで行った本件各裁決について,乙事件及び丙事件一審原告らが,本件事業認定の違法性が承継され,かつ,裁決の手続及び内容にも固有の違法があった旨を主張して,被控訴人収用委員会に対しその取消しを求めるものである(原審乙事件及び丙事件。 )原審は,控訴人らの主張を認めず,各請求を却下または棄却したことから,控訴人らが控訴した。 なお,高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)により,平成17年10月1日,P1株式会社が成立し,原審甲事件参加人日本道路公団の有する権利及び義務を承継し,同公団を当事者とする訴訟を承継し,本訴における同参加人の地位を承継した(ただし,この承継の前後を問わず,参加人訴訟承継人を「参加人道路公団」と表示する。 。)また,本件起業地及びその周辺の概要については,原判決添付別紙地図(その1)及び同地図(その2)のとおりである。 本件の各事項についての略称は,原判決「事実及び理由」欄「第一略称」に記載のとおりであるから,これを引用する。 ,「」「」 本件に関する法令の定めは原判決事実及 の2)のとおりである。 本件の各事項についての略称は,原判決「事実及び理由」欄「第一略称」に記載のとおりであるから,これを引用する。 ,「」「」 本件に関する法令の定めは原判決 事実及び理由 欄第三事案の概要二に記載のとおりであり,前提となる事実は,同「事案の概要」三に記載のとおりであるから,それぞれ引用する(ただし,原判決57頁22行目の「同青」「」「,,梅市から同58頁1行目の埼玉県川越市までを同あきる野市同α7同羽村市,同青梅市,埼玉県入間市,同狭山市,同日高市,同川越市,同鶴ヶ- 4 -島市」と,同頁11行目の「乙1・3頁」を「乙1・3頁,乙2の2)と()(それぞれ改める。 。) 争点及び当事者の主張の要旨は,第3において当審における主要な主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」欄「第三事案の概要」四,五(原判決別紙「当事者の主張の要旨)に記載のとおりであるから,これを引用する。 」第3当審における主要な主張一控訴人らの主張 当事者適格について⑴原判決は,控訴人らの事業認定取消の訴えについて,甲事件一審原告らのうち,起業地内に不動産を所有する者(原審原告目録1記載の第1原告,起業地内の不動産について賃借権を有する者(同目録2記載の第2)原告。ただし,第2原告P2を除く,起業地内の立木について所有権。)を有する者(同目録3記載の第3原告)については,原告適格を認めた。 しかし,本件起業地周辺に居住しα6城・高尾山を日常的に利用している者及びα6城・高尾山の自然的・歴史的・文化的・景観的価値の保全に強い関心を持ちその保全運動に取り組んできた者(同目録4記載の第4原告,α6城・高尾山の自然的・歴史的・文化的・景観的価値の保全に取)り組む環境保護団体(同目録5 史的・文化的・景観的価値の保全に強い関心を持ちその保全運動に取り組んできた者(同目録4記載の第4原告,α6城・高尾山の自然的・歴史的・文化的・景観的価値の保全に取)り組む環境保護団体(同目録5記載の第5原告)について,原告適格を認めなかった。 (「」。)⑵最高裁判所平成17年12月7日大法廷判決以下P3判決というは,原告適格の範囲を実質的に拡大すべく,原告適格に関する従来の判断枠組みを維持しつつ,次の2点において,そのあてはめ方を修正した。すなわち,第1に,原告適格の判断にあたり,旧公害対策基本法と東京都環境影響評価条例の諸規定を参照した。都市計画事業は都市計画に適合するものであること,公害防止計画に適合するものでなければならず,都市計画の決定・変更に際しては環境影響評価手続等を通じて公害防止等への適- 5 -正な配慮を図らねばならないという法構造に着目したのである。第2に,個別的利益認定の緩和である。従来は,法令の規定が個々の個別的利益を保護していることが厳格に要求されたが,法令が個々人の個別的利益を保護している根拠として関係諸規定を用いることを認め,従来の厳格な個別的利益の認定の仕方を緩和した。 ⑶本件事業は,東京都による都市計画決定に基づく公共事業であって,P3判決とほぼ同様の事案であり,少なくとも同判決が認めた範囲で原告適格が認められるべきである。 まず,土地収用法は,公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し,その要件,手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定することで「公共の利益の増進と私有財産との調整を図り,も,って国土の適正且つ合理的な利用に寄与すること」を目的とする(第1条。そして,公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする)場合において,その土地を当該事業の 有財産との調整を図り,も,って国土の適正且つ合理的な利用に寄与すること」を目的とする(第1条。そして,公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする)場合において,その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であることを基本理念としている(第2条。さらに,土地収)用法は,国土交通大臣が事業認定をしようとする場合において,当該事業の認定について利害関係を有する者から公聴会を開催すべき旨の請求があったときその他必要があると認めるときは,公聴会を開いて一般の意見を求めなければならないと規定している(第23条。また,その前提とし)て,国土交通大臣は,事業認定をしようとするときは,起業地が所在する市町村の長に対して事業認定申請書及びその添附書類のうち当該市町村に関係のある部分の写を送付しなければならず,市町村長がこれらの書類を受け取つたときは,直ちに,起業者の名称,事業の種類及び起業地を公告し公告の日から2週間その書類を公衆の縦覧に供しなければならない第,(24条。この公告があったときは,事業認定について利害関係を有する)者は,縦覧期間内に,都道府県知事に意見書を提出することができる(第- 6 -25条。 )そして,本件道路建設については,平成元年に都市計画法上の都市計画決定がされており,この都市計画決定が適法であることを前提として事業認定がされている。道路という都市施設の建設について都市計画決定がされた場合,起業者としては,都市計画法上の都市計画事業認可を得るルートと,土地収用法上の事業認定を得るルートを選ぶことができる。都市計画事業認可は事業認定と同様の法的効果を有する(都市計画法70条。 )都市計画事業の認可にあたっては都市計画への適合が要求されるところ(同法61条1号,都市計画決定が違法で 選ぶことができる。都市計画事業認可は事業認定と同様の法的効果を有する(都市計画法70条。 )都市計画事業の認可にあたっては都市計画への適合が要求されるところ(同法61条1号,都市計画決定が違法である場合には違法な都市計画)決定を実現するものとして事業認定も当然に違法であるから,事業認定も都市計画に適合することが当然の前提であり,都市計画事業認可の場合と同様に都市計画への適合が法律上要請されている。 被控訴人らは,本件都市計画決定の違法は,本件事業認定の違法事由にならないことを論拠としている。しかし,そうであれば,都市計画決定に,,違法があったとしても当該違法について司法審査を求めることはできず都市計画決定の違法は宙に消えることになる。この点,土地収用法は事業認定が都市計画決定に適合することを明示的に求めてはいないが,都市施設に関する都市計画決定がされ,その実現のために事業認定がされる以上は,事業認定が都市計画決定に適合するものであることは条理上当然に要求される前提である。少なくとも土地収用法20条3号の規定は都市計画。 ,決定への適合を当然の前提としているというべきであるそうでなければ都市計画法が都市計画決定を通じて都市施設の建設にあたり法的統制を及ぼした趣旨が没却されかねない。都市施設の建設により健康被害等の不利益を受ける周辺住民にとって,都市施設に関する都市計画決定が,都市計画事業認可により実現されるのか,それとも事業認定により実現されるのかは行政の便宜によって決められることであり,それにもかかわらず司法- 7 -救済の点で異なる手続保障しか受け得ないとするのは,法解釈として不合理である。 ⑷したがって,都市計画法は事業認定の関係法令であり,原告適格の判断において,その趣旨・目的や都市計画に関する規定が考慮されるべ 異なる手続保障しか受け得ないとするのは,法解釈として不合理である。 ⑷したがって,都市計画法は事業認定の関係法令であり,原告適格の判断において,その趣旨・目的や都市計画に関する規定が考慮されるべきである。 そして,都市計画法は,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とし(1条,都市計画の基本理念の一つとして,健康で文化的な都市生活を確保)すべきことを定めており(2条,都市計画の基準に関して,当該都市に)ついて公害防止計画が定められているときは都市計画がこれに適合したものでなければならないとしている(13条1項。また,同法は,都市計)画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等,住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとし(16条1項,都市計画を決定しようとする旨の公告があったときは,)関係市町村の住民及び利害関係人は,縦覧に供された都市計画の案について意見書を提出することができるものとしている(17条1項,2項。 )⑸公害対策基本法及び東京都環境影響評価条例上記の公害防止計画の根拠となる法令である公害対策基本法は,国民の健康を保護するとともに,生活環境を保全することを目的とし(1条,)事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染,騒音,振動等によって人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを公害と定義した上で(2条,国及び地方公共団),(,体が公害の防止に関する施策を策定し実施する責務を有するとし4条5条,内閣総理大臣が,現に公害が著しく,かつ,公害の防止に関する)施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域等について,公 定し実施する責務を有するとし4条5条,内閣総理大臣が,現に公害が著しく,かつ,公害の防止に関する)施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域等について,公害防止計画の基本方針を示して関係都道府- 8 -県知事にその策定を指示し,これを受けた関係都道府県知事が公害防止計画を作成して内閣総理大臣の承認を受けるものとしている(19条。な)お,同法は,環境基本法の施行に伴い平成5年11月19日に廃止されたが,新たに制定された環境基本法は,内閣総理大臣が上記と同様の地域について関係都道府県知事に公害防止計画の策定を指示し,これを受けた関係都道府県知事が公害防止計画を作成して内閣総理大臣の承認を受けなければならないとしている(環境基本法17条。さらに,同条は,平成1)1年法律第87号及び第160号により改正され,現在は,環境大臣が同,,様の指示を行いこれを受けた関係都道府県知事が公害防止計画を作成し環境大臣に協議し,その同意を得なければならないとしている。 公害防止計画に関するこれらの規定は,相当範囲にわたる大気汚染,騒音,振動等により健康又は生活環境に係る著しい被害が発生するおそれのある地域について,その発生を防止するために総合的な施策を講ずること。 ,,を趣旨及び目的とするものと解されるそして都市計画法13条1項が都市計画は公害防止計画に適合しなければならない旨を規定していることからすれば,都市計画の決定又は変更に当たっては,上記のような公害防止計画に関する規定の趣旨及び目的を踏まえて行われることが求められている。 さらに,東京都においては,環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施が環境に及ぼす影響について事前に調査,予測及び評価を行い,これらの結果について公表すること等の手続に とが求められている。 さらに,東京都においては,環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施が環境に及ぼす影響について事前に調査,予測及び評価を行い,これらの結果について公表すること等の手続に関し必要な事項を定めることにより,事業の実施に際し公害の防止等に適正な配慮がされることを期し,都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的として,東京都環境影響評価条例が制定されている。この条例は,東京都が,良好な環境を保全し,都民の健康で快適な生活を確保するため,条例に定める手続が適正かつ円滑に行われるよう努めなければならない基本的責務を負うものと- 9 -した上で(3条,事業者から提出された環境影響評価書及びその概要を)対象事業に係る許認可権者(都市計画の決定又は変更の権限を有する者を含む。2条8号)に送付して(24条2項,許認可等を行う際に評価書)の内容に十分配慮するよう要請しなければならないとし(25条,対象)事業が都市計画法の規定により都市計画に定められる場合においては,この条例による手続を都市計画の決定の手続に合わせて行うよう努めるもの()。 ,,としている45条これらの規定は都市計画の決定又は変更に際し環境影響評価等の手続を通じて公害の防止等に適正な配慮が図られるようにすることもその趣旨及び目的とするものである。 本件事業についても,昭和63年12月に都市計画決定がされた際にこの条例に基づく環境影響評価手続が行われ,さらに本件事業認定申請に際して再評価が行われている。 事業認定は,都市計画事業の認可と同様に,都市計画に事業の内容が適合することが要求されるものであり,上記のような,事業認定に関する土地収用法の規定及び都市計画に関する都市計画法の規定に加えて,公害対策基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し,併 画に事業の内容が適合することが要求されるものであり,上記のような,事業認定に関する土地収用法の規定及び都市計画に関する都市計画法の規定に加えて,公害対策基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し,併せて,土地収用法が上記のような利害関係人への配慮を規定していることも考慮すれば,事業認定に関する同法の規定は,事業に伴う大気汚染,騒音等によって,事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境を保全すること,すなわち土地の適正且つ合理的な利用を図ることもその趣旨及び目的とするものと解される。 ⑹都市計画法又はその関係法令に違反した違法な都市計画の決定又は変更を基礎として事業認定がされた場合には,そのような事業に起因する大気汚染,騒音,振動等による被害を直接的に受けるのは,事業地の周辺の一定範囲の地域に居住する住民に限られ,その被害の程度は,居住地が事業- 10 -地に接近するにつれて増大するものと考えられる。また,このような事業に係る事業地の周辺地域に居住する住民が,当該地域に居住し続けることにより上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,これらの住民の健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねないものである。 以上のような事業認定に関する土地収用法及び事業認定が前提とする都市計画法の都市計画に関する規定の趣旨及び目的,これらの規定が事業認定の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,土地収用法は,これらの規定を通じて,土地の適正かつ合理的な利用の具体的内容としての都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,大気汚染,騒音等によって健康又は生活環境に係る著しい被 つ合理的な利用の具体的内容としての都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,大気汚染,騒音等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。したがって,事業認定がされた起業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより大気汚染,騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有する。 ⑺関係地域内に居住する控訴人らについて本件環境影響評価において旧東京都環境影響評価条例に基づき定められる関係地域は別紙1記載のとおり,八王子市,青梅市,秋川市(現あきる野市,α8(現羽村市)及びα7の各一部とされている(乙19。そ))して,甲事件一審原告(原審第4原告)らのうち,別表1記載の控訴人ら,,21名は本件事業に係る上記関係地域内の各住所地に居住しているからこれらの住所地と本件事業の起業地との距離関係などに加えて,上記条例2条5号の規定する関係地域が,対象事業を実施しようとする地域及びそ- 11 -の周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として東京都知事が定めるものであることを考慮すれば,甲事件一審原告らのうち別表1記載の控訴人らについては,本件事業が実施されることにより大気汚染,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たると認められ,本件事業認定の取消しを求める原告適格を有する。 ⑻上記関係地域内に居住し されることにより大気汚染,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たると認められ,本件事業認定の取消しを求める原告適格を有する。 ⑻上記関係地域内に居住していないが高尾山を日常的に利用している甲事件一審原告らについてP3判決は,事業認定の起業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより大気汚染,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者について原告適格を認めている。すなわち,同判決は,被害の原因を「大気汚染,振動」に限定しているわけではなく,健康のみならず生活環境に係る被害を受ける場合についても原告適格を認める余地を残している。そうすると,高尾山はアクセスの良さも手伝って年間260万人もの人々が訪れる関東地方のオアシスであってα6城・高尾山の有する自然的・歴史的・文化的・景観的価値以,(下,一括して「環境的価値」という)の利用を日常的に行っている者が。 少なからず存在し,それらの者にとっては,他の一般人とは異なり,α6城・高尾山の日常的利用が心身の健康を維持・増進させるなどの形でその者の生活環境の一部を構成している。α6城・高尾山の環境的価値は,次世代のための価値であり,存在するだけで価値を有しているものではあるが,当該環境的価値の利用者が存在して初めて認識されるものである。すなわち,本件環境影響評価において,陸上生物,陸上動物,水生生物,地形・地質,史跡,文化財,景観といった項目について本件事業による影響が予測評価されたのは,α6城・高尾山の環境的価値を利用する者が存在することを前提に,それらの者の生活環境に対し著しい被害を与えないよ- 12 -うにするためである。そして,α6城・高尾山を日常的に利用するためには,α6城・高尾山へのア 的価値を利用する者が存在することを前提に,それらの者の生活環境に対し著しい被害を与えないよ- 12 -うにするためである。そして,α6城・高尾山を日常的に利用するためには,α6城・高尾山へのアクセスを考慮すると,一部の例外を除いて,少なくとも関東地域に居住していることが必要である。したがって,甲事件一審原告(特に第4原告)らは,α6城・高尾山の環境的価値を保全するために公益擁護のため本件訴訟を提起し,関東地域に居住する者はすべてα6城・高尾山を日常的に利用しているものであり,原告適格が認められるべきである。 ⑼甲事件一審原告らのうち,前記の関係地域及び関東地域内に居住していない控訴人らについては,P3判決の藤田補足意見,町田補足意見のとおり,行政事件訴訟法の改正により原告適格に関する従来の公式が変更され,,るべきことが求められているというべきでこの公式を変更すべきであり原告適格が認められるべきである。 本件起業地が本件事業の用に供されることによって失われる利益について-大気汚染の被害について-⑴原判決は,本件圏央道事業による大気汚染について,二酸化窒素,SPM(浮遊粒子状物質)などの環境影響はいずれも環境基準を下回ると予想され,その環境影響は低いと判断した。 しかし,原判決は,①プルーム・パフモデルでの予測が不適切であることを看過し,②控訴人らが行った3次元流体モデルでの予測シュミレーションの結果(甲70)を評価せず,③3次元流体モデルの正しさを検証した検証シュミレーション(甲210)について充分な検討をせず,④SPMについては予測すらされていないジャンクション,インターチェンジ部分で「環境基準を下回ることが期待できる」と免責する点で不当である。 ⑵α5地域でプルームモデルでの予測は不適切であることア二酸化窒素に ては予測すらされていないジャンクション,インターチェンジ部分で「環境基準を下回ることが期待できる」と免責する点で不当である。 ⑵α5地域でプルームモデルでの予測は不適切であることア二酸化窒素について,控訴人らが環境基準以上の汚染がα5の住宅地域に広がると予測したのに対し(甲70,起業者らはプルームモデル)- 13 -を用い,α5地域で環境基準以下の年平均値0.018ppmという結果を予測している(乙19。 ),(. ,イしかしα5地域のような急峻な谷地地形長さ45キロメートル谷幅500から800メートルのⅤ字の峡谷)で,巨大なジャンクションという構造物もある中で,プルームモデルを用いて大気汚染を予測することはできない。プルームモデルは地形影響などを排除し簡略化したモデルであり,汎用性がないものである。このことは文献の指摘でも明らかである(昭和58年の環境影響評価制度の手引(甲120,大気)・水・環境負荷の環境アセスメント(Ⅱ(丙10。他方,控訴人ら)))が用いた3次元流体モデルは数値解析モデルの1つであり,複雑地形でも適用できるモデルとして知られている。 ウ国交省報告書では「道路整備)マニュアル」の予測手法が適用でき(る限界として拡散幅設定条件を定め,その適用範囲を道路横断方向150メートル程度以内と定め,現行マニュアルの予測手法をそのまま広域()。 汚染予測に適用することは避けるべきであるとされている甲121本件環境影響評価において用いられたのは,上記道路整備マニュアルどおりの拡散幅,拡散幅の各係数であり(乙20,丙48,その適用範)囲はきわめて小さく,α5地域のような広範な地域における大気汚染に適用できるものではない。 エ風洞実験の問題点本件環境影響評価における風洞実験の内容は,予測の あり(乙20,丙48,その適用範)囲はきわめて小さく,α5地域のような広範な地域における大気汚染に適用できるものではない。 エ風洞実験の問題点本件環境影響評価における風洞実験の内容は,予測の結果を風洞実験で確認したものではなく,予測結果と実験において得られた結果との違いを示し,予測結果をどの程度補正するかという補正値を求めているものであり,予測結果が正しいことを確認したものではなく,むしろ予測結果が実験結果と食い違っていることを示している。さらに,そもそも強い接地逆転層が発生するα5地域で風洞実験を行うのは適切ではない- 14 -(甲122,240。しかも,谷底部分で西風が卓越しているという)理由だけで,西風の場合しか検討せず,上空に吹く実際の風が地形の影響を受け谷底付近で西風に変化している状況を再現していないこと等の問題がある。 ⑶3次元流体モデルでの予測結果についてア3次元流体モデルは,空気が連続した空間を地形の影響を受けながら,(),,流れる状況大気汚染が発生源自動車から排出され空間を移動し拡散されていく状況を空間的に連続したものとして計算するものであり,当該地域の気象条件(風向風速出現頻度)によって年間の濃度分布を求めるものである。山や谷,構造物がある地域では,その影響を考慮できる3次元流体モデルがより正確に汚染濃度を算出できることは明らかである。そして,3次元流体モデルで予測した場合,α5に広範な環境基準以上の大気汚染が広がること予測された(甲70,図7-1から4。 )イ3次元流体モデルへの批判に対する反論(ア)α9測定室の気象データを使用している点3次元流体モデルで必要なのは,構造物・地形の影響を受ける前の風のデータである。本来であればα5地域で上空を一定の高度で区切って観測し 判に対する反論(ア)α9測定室の気象データを使用している点3次元流体モデルで必要なのは,構造物・地形の影響を受ける前の風のデータである。本来であればα5地域で上空を一定の高度で区切って観測したデータを使うのが理想的な方法である。しかし,α5では被控訴人らもこのような観測は行っていないため,データそのもの,,,が存在せず年間データがそろっていてしかもα5地区に一番近くかつ地形的影響のより少ないα9測定室のデータを使用したものである。 (イ)日交通量を使用した点被控訴人らは日交通量を使用し,排出量の時間的変化,風向,大気安定度などの変化が考慮できないと批判する。確かに時間ごとの交通- 15 -量と時間ごとの風向風速を対応させて予測すればより正確な予測は可能である。しかし,時間ごとの時間交通量で計算をすれば,3次元流体モデルでは膨大な計算量になり,膨大な時間を費やさなければならず,いかにコンピューターの性能が向上しても限界があり,そのため日交通量で予測している。しかし,ここで算出するのは年平均値であり,日交通量で計算しても時間交通量で計算しても,それほど大きな違いは結論として生じないのである。 (ウ)二酸化窒素と窒素酸化物の相関関係について被控訴人らは「本件対象地域は圏央道と中央道の道路沿道」地域であると決めつけ,窒素酸化物と二酸化窒素の関係について,道路から離れた位置にあり,窒素酸化物に占める二酸化窒素の割合が大きくなるα9測定室の相関関係を使うと,二酸化窒素の割合が大きくなると批判する。しかし,調査したのは圏央道の沿道だけではない。住宅地は圏央道から1キロメートル近く離れた所まで続いている。このような圏央道の非沿道地域に対しては,通常の沿道よりも一般地域での二酸化窒素と窒素酸化物の相関関係を使うことが正しく,α1 ではない。住宅地は圏央道から1キロメートル近く離れた所まで続いている。このような圏央道の非沿道地域に対しては,通常の沿道よりも一般地域での二酸化窒素と窒素酸化物の相関関係を使うことが正しく,α10街道から420メートルの位置にあるα9測定室のデータを用いて換算しても何の問題もない。 ⑷検証シュミレーション(甲210)についてア自動車公害防止計画や総量削減計画においては,必ず「現況再現シュミレーション」を行っている。現況再現シュミレーションとは,現状の交通量,排出係数によってシュミレーションを実施し,現実に観測されている大気汚染濃度を再現できるかどうかを確認する作業である。控訴人らは現況再現を行い(甲210,極めて高い整合がとれていること)がわかっている。他方,起業者らのアセスメントでは,現況再現シュミレーションが行われず,予測モデルが現実の現象を再現できるか確認し- 16 -ていない。 イ現況再現につき被控訴人らの批判への反論(ア)控訴人らが道路近傍での実測データを除外したのは,それが高濃度であるからではなく3次元流体モデルにおける道路近傍の解像度精,(密度)が低いため計算値と実測値の整合が取れないことからである。 (イ)被控訴人らは計算値といってもバックグラウンド濃度が5割から7割程度を占め,実測値に近く,実質的には実測値同士の比較を行っていると批判している。しかし,実際にはバックグラウンド濃度14. 9ppbに対し,中央道からの影響を含めた合計濃度は,37.8ppbから18.9ppbまで広範に広がっているのである。これだけの濃度の広がりがあり,バックグラウンド濃度が高いから整合性がとりやすいなどということはない。 (ウ)被控訴人らはカプセルを使用した市民の大気汚染測定は,6月と12月の2回,わずか3日間の測 だけの濃度の広がりがあり,バックグラウンド濃度が高いから整合性がとりやすいなどということはない。 (ウ)被控訴人らはカプセルを使用した市民の大気汚染測定は,6月と12月の2回,わずか3日間の測定にすぎず,短期NO2濃度から長期NO2濃度に推計した段階で客観的な濃度という意味は失われ,さらにNOxに変換した段階でおよそ実測値と呼べるものではないと批判する。しかし,カプセルによる測定は,全国各地で定期的に行われ,かつ測定地点が非常に多いことから,各地の大気汚染状況を判定する上で貴重な資料である。各測定値は,常時測定局の数値との関係で補正値を求めて補正をしているため,実測値との関連性は高く,その結果は充分信用することができる。 (エ)被控訴人らは,甲210で甲70の検証をするならば,交通量,排出係数,道路構造など甲70と同じ数値を設定しない限り,検証にはならないと批判する。しかし,甲70はあくまでも将来予測を行ったものであるのに対し,甲210は現状での中央道の実測値と計算値を比較したものである。将来における排出係数,交通量が現況と異なる- 17 -のは当然であり,異なった数値を用いることは誤りではない。 (,),,⑸控訴人らの追加調査甲380 は①気象モデルについてはα5の気象データ及び八王子市内のα9測定室以外のデータ(α11,α12)をも用いる,②日交通量ではなく時間交通量を用いる,③換気塔からの影響は考慮しないという前提で調査を行い,しかも現況の中央道の汚染と,プルーム・パフモデルでの計算値との相関を調査比較したものである。その結果判明した事実は次のとおりである。 ア中央道による汚染実測値とα5の気象データを用いた計算値との相関を示したグラフをみると,計算値の方が実測値よりもより低い濃度にな,, たものである。その結果判明した事実は次のとおりである。 ア中央道による汚染実測値とα5の気象データを用いた計算値との相関を示したグラフをみると,計算値の方が実測値よりもより低い濃度にな,,る方向にずれ計算値のほうが過小になることを示しているのに対してα9測定室の気象データを用いた場合は,ほとんどのポイントが黒点線の枠内に収まり,計算値と実測値がよく整合していることを示している(甲381図4-2。これは,α5の気象データを使った方がより過)小に予測値が算出されることを示している。 イ控訴人らは,プルーム・パフモデルで計算し,その結果得られた計算,(),値と現況の中央道の実測値の相関を見たところ甲381図4-3計算値は,実測値とほとんど相関がとれないほど過小に算出されていることが示されている。 ウα5の気象データを用いると,計算値の方が実態よりも小さくなるという傾向はあるが,それでも圏央道完成時にはα5には環境基準以上の汚染が広がり,α9,α5,α12,α11の各測定点の気象データを用いて予測を行っても,いずれも環境基準以上の汚染がα5地域に現れることとなる(甲380図3-2ないし4,図4-4。 )⑹SPM(浮遊粒子状物質)の調査をしないことについてア原判決は,SPMについて,α5地域では一度も予測が行われていない事実を認めながら,技術的にやむを得ないとしている。 - 18 -しかし,予測は技術的には可能であった。本件アセスが発表されたのは昭和63年12月であるが,以後,次々と予測手法は紹介されている(昭和63年3月環境庁「総合大気環境保全対策検討調査(浮遊粒子状物質予測解析調査(甲239,平成9年環境庁「浮遊粒子状物質汚)」)染予測マニュアル(丙16,平成12年建設省「道路環境影響評価」)の技術 環境庁「総合大気環境保全対策検討調査(浮遊粒子状物質予測解析調査(甲239,平成9年環境庁「浮遊粒子状物質汚)」)染予測マニュアル(丙16,平成12年建設省「道路環境影響評価」)の技術手法(乙25の1,2。少なくとも平成14年3月の本件環」))境影響照査(甲90)の時点では予測ができたはずである。原判決は上記照査の時点もジャンクション,インターチェンジの部分は排出係数の設定が解明されていないとする。しかし,少なくともその時点で解明されている排出係数では過小評価になることを付記した上で予測することは可能であった。 イ圏央道が計画されて以来20年以上が経過し,いまだに予測手法が確立されないことを理由に予測していないのは怠慢というほかはない。SPMは近年呼吸器疾患,特に気管支喘息の原因物質として危険性が注目されており,SPM予測がいまだできていないというのは,本件事業に伴う健康影響の安全性を立証できていないということであり,本件事業認定を取り消すべきである。 ウ平成14年10月からの自動車単体規制が始まり,SPM汚染は好転をしているが,それは規制が始まったために効果が劇的に現れているにすぎず,今後,同様にSPM濃度の改善が進むかどうかはまったく予測できない。原判決は改善を期待できるとし,被控訴人らも近年の改善効果を主張するが,今後改善傾向が進むのか,現状が維持できるのか,何の保障もないのである。また,SPMより粒子の細かい微小粒子状物質について,大気中の濃度が高まると呼吸器疾患で死亡するリスクが増す可能性のあることが,環境省が国内で初めて実施した大規模疫学調査で明らかになった(平成19年7月24日環境省専門家検討会発表。米)- 19 -国では平成9年に環境基準が作成され,日本でも環境基準策定が望まれている。この が国内で初めて実施した大規模疫学調査で明らかになった(平成19年7月24日環境省専門家検討会発表。米)- 19 -国では平成9年に環境基準が作成され,日本でも環境基準策定が望まれている。このような中でSPM濃度が一時的に改善していることだけで健康被害の生じる危険が少ないと考えるのはあまりに危険である。 騒音被害について⑴原判決は,α5地域全体に騒音に関する「道路に面する地域」の環境基準を適用することを認め,控訴人らが主張した「道路に面する地域」は道路端から20メートル以内とする主張を認めなかったが,以下のとおり,この判断は誤りであり,圏央道完成後の道路騒音の予測結果(甲92,株式会社P6の調査結果)は科学的で信用できるものであり,控訴人P7宅の騒音調査結果(甲376,377)等から,すでにα5地域には受忍限度を超える騒音被害が発生しており,今後も被害が増大することが明らかである。 ⑵「道路に面する地域」の環境基準の適用についてア原判決は「道路に面する地域」について環境基準の指針値を緩和し,たのは,道路の公共性を中心として,当該地域の道路による受益性,道路交通騒音の実態などを総合的に踏まえたもので,道路からの受益性という観点を中心として設定されたものでないこと,道路の公共性が極めて重視されたことからすると「道路に面する地域」の適用範囲を画す,る際に道路からの距離を考慮することは適当ではなく,道路騒音の影響を受ける地域全体が「道路に面する地域」に当たるものとして緩和された環境基準の適用を認めることが環境基準の制定趣旨に沿うものとする。 しかし,道路の公共性が重視されたからといって,道路からの受益性の観点を無視してよいということにはならない。道路から利益を得ていることを前提に,道路交通の公共性が高いことを理由に環境基 のとする。 しかし,道路の公共性が重視されたからといって,道路からの受益性の観点を無視してよいということにはならない。道路から利益を得ていることを前提に,道路交通の公共性が高いことを理由に環境基準を緩和したのであるから,道路から受益していることは前提になっており,道- 20 -路に面しているということは,文字どおり道路に建物が接しているか面していることをいい,道路から利益を得ている場合をいうのである。α5地域の控訴人ら住民の居住地域は中央道から最も近いところでも50メートル,遠いところでは約200メートルも離れている地域であり,しかも,中央道からは騒音被害を受けているだけで何らの利益も受けていない地域である。しかも中央道と控訴人ら住民の居住地域との間にはP8の鉄道(P9線)が通っており,中央道に面していない。したがって,α5地域が中央道の道路騒音が支配的な音源である地域であったとしても,環境基準が「道路に面している地域」と想定していない地域である。 イ原判決のような認定は新たに道路建設をしやすくする立場から道,,「路に面する地域」の適用対象を不当に拡大解釈するものであり,このことは,P10教授の指摘(甲118)や環境庁の大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会の騒音分科会におけるP11座長の発言(甲119,P12教授の原審における証言等から明らかである。 )ウ原判決は,新環境基準の「幹線交通を担う道路に近接する空間」が道路端から20メートルの距離としているのは「道路に面する地域」の,うちの幹線交通を担う道路に近接する空間についての特例であることから「道路に面する地域」は「幹線交通を担う道路の近接空間」より広,い概念であるとして「道路に面する地域は」道路端から20メートル,以内とする控訴人らの主張を否定 る空間についての特例であることから「道路に面する地域」は「幹線交通を担う道路の近接空間」より広,い概念であるとして「道路に面する地域は」道路端から20メートル,以内とする控訴人らの主張を否定した。 しかし,近接空間の範囲が道路端から20メートルであるからといって「道路に面する地域」がそれ以上広い範囲の地域まで及ぶというこ,とにはならない「幹線交通を担う道路に近接する空間」を道路端から。 20メートル以内としたことと道路に面する地域が道路端から20メートル以内であるとすることとは矛盾するものではない。道路に面する地- 21 -域の中で「幹線交通を担う道路」に面する地域は道路端から20メートル以内としていることは,むしろ「道路に面する地域」は道路端から20メートルを想定していたことを証明するものである。 ⑶甲92(株式会社P6の調査結果)についてア原判決は,甲92について,実際に使用した地形データや各予測地点の予測高さについて何ら具体的な記載がなく,地点における評価及び面的評価のいずれにおいても,地形による騒音の反射や吸収の有無,地形が騒音の伝播に及ぼす影響について,どのような地形のどのような状態をどのように考慮したのかが明らかでないから,予測結果は科学的な根拠が乏しいとする。 イしかし,甲92は,予測手法についても具体的に説明している。それによると,国土交通省が行った「新たな手法による環境影響照査」による「圏央道技術資料作成13G8報告書(甲90)と同じ手法で,」交通量や速度など国土交通省が圏央道の騒音予測で使ったのと同じデータに基づいて日本の音響学会が提案しているASJモデル1998(B法)で行ったものである。また,甲92は,予測高さを地上1.2メートルとし,α5地域の地形に関しては,2500分の1の地図を参照し ータに基づいて日本の音響学会が提案しているASJモデル1998(B法)で行ったものである。また,甲92は,予測高さを地上1.2メートルとし,α5地域の地形に関しては,2500分の1の地図を参照して東西方向2100メートル南北方向1300メートルの範囲の地形を,,考慮しメッシュ規模は東西南北方向とも5メートル間隔となっており使用した地形データは10万9200個あり,地形データの結果を示したものが甲92の4頁図3-2である(当審証人P13。 )本件環境影響評価や本件環境影響照査での騒音調査こそ,結果のみが記載されているだけで,使用された予測のための数値や計算方法について何ら具体的な記載がなく,予測過程やデータは全く明らかにされておらず,むしろこの予測結果の方が甲92よりも科学性が少ないのである(当審証人P13。 )- 22 -ウASJモデル1998(B法)は,一般的な場合を想定してモデルが構築,検証されており,必ずしもすべてのケースにおいて現況再現が可能とはいえないことから,中央道の現況再現調査を行い,その実測値と使用したモデルによる現況再現シミュレーション結果を比較して,その差は道路に近い地点ではシミュレーション結果が3デシベル程度過小評価になっていたが,信用できるモデルであることが確認されている。また,甲92は将来予測の騒音結果を本件環境影響照査と比較している。 その比較結果は,α5西側近接空間(控訴人P14宅付近)では甲92の予測が昼間55デシベル,夜間57デシベルであるのに対し,本件環境影響照査は53デシベルと55デシベルであり,その差は2デシベル程度で,α5西側背後地では甲92の予測結果は昼間52デシベル,夜間54デシベルであるのに対し本件環境影響照査では昼間52デシベル,夜間54デシベルと同じ結果になっている。 あり,その差は2デシベル程度で,α5西側背後地では甲92の予測結果は昼間52デシベル,夜間54デシベルであるのに対し本件環境影響照査では昼間52デシベル,夜間54デシベルと同じ結果になっている。このように甲92は,実測値も検討したうえで信用性が高いモデルであることが確認されており,起業者らの予測結果ともほぼ一致し整合性があることが明らかとなっている。起業者らの予測と甲92との相違は,騒音の予測結果ではなく,環境基準で「道路に面する地域」の基準を当てはめて基準以下とするか「道路に面する地域」の基準ではなく「一般住宅地域」の環境基,準を適用して基準をオーバーする騒音状況であるかの判断の違いだけである。 エ甲92が適用した上記モデルは,将来の自動車騒音規制を考慮して自動車のパワーレベルを大型車で0・9デシベル,小型車で1・4デシベル低減させているが,P15道路交通騒音調査研究委員会がこれを改良したASJRTNモデル2003では,将来の規制強化は考慮せずに将来のデータの蓄積を待つことになっているから,これを適用すれば甲92の予測結果よりも予測数値が1デシベル程度大きくなる。さらに,甲- 23 -92の予測結果は,前提データを事業者アセスに合わせたため平均走行速度を時速80キロメートルとしているが,実際の走行速度は時速100キロメートルが実態であり,平均走行速度を時速100キロメートルとすれば予測騒音は4デシベル高くなるから,実際の自動車走行速度を反映させればさらに予測騒音値は高くなる。 ⑷原判決は,控訴人らが高尾山登山道においても現況調査及び将来予測とも夜間の環境基準が不適合であると主張したのに対し,住居がない高尾山登山道に環境基準を適用する必要はないと判断した。 しかし,高尾山は年間260万人もの人々が自然を楽しむために訪れ, 及び将来予測とも夜間の環境基準が不適合であると主張したのに対し,住居がない高尾山登山道に環境基準を適用する必要はないと判断した。 しかし,高尾山は年間260万人もの人々が自然を楽しむために訪れ,またP16という施設もあり歴史も古く,自然環境,施設,歴史環境が豊かであり,このような地域は,自動車騒音から自然環境を守り人々の生活を守るために,特に静穏を要するAA類型の地域の環境基準を守る視点で環境アセスをすべきである。原判決の考え方は最近の環境アセスの視点を全く考慮しておらず,従来の基準クリア型の思考であり時代遅れの判断である。最近の環境影響評価の手引きとなっている「道路環境影響評価の技術手法(甲233の3)では「特に静寂性が求められる触れ合い活動の」場」には近傍の風景の変化や雰囲気が阻害される地域について道路から500メートル程度の範囲まで環境アセスを考慮すべきである旨の記載がある。新しい環境アセスにおいては特に静穏を要する地域の確保が重要となっているのであり,原判決のように人が居住する地域を中心とする生活環境の騒音だけを考慮するのは時代遅れの考え方である。 ⑸原判決は,α5地域は旧環境基準では夜間50ホン以下が適用されているが,この値は騒音レベルが40ホンになると睡眠影響が出るとされ,家屋の遮音効果が約10デシベル見積もることができることから屋外で50ホン以下とすれば屋内で40ホン以下となり,ほぼ睡眠妨害を免れる水準であるとし,本件環境影響照査では新環境基準でα5地域はA地域の2車- 24 -線以上の道路に面する地域の夜間屋外55デシベル以下が適用されているが,新環境基準の設定についても睡眠影響に関する科学的知見を踏まえ道路に面する地域の屋内指針で夜間40デシベル以下とされ,これに建物の遮音性能(通常の建物において窓を開けた ベル以下が適用されているが,新環境基準の設定についても睡眠影響に関する科学的知見を踏まえ道路に面する地域の屋内指針で夜間40デシベル以下とされ,これに建物の遮音性能(通常の建物において窓を開けた状態の平均防音性能10デシベル,窓を閉めた状態で25デシベル)を踏まえて屋外55デシベルであれば,ある程度窓を開けた状態でも睡眠影響に関する屋内指針40デシベルを満たすことが可能であるとし,これらの夜間の環境基準は睡眠妨害に対する影響が考慮されているとして,環境基準を下回って深刻な睡眠妨害を生じるとはいえないと判断した。 しかし,原判決はアメリカ環境保護庁の騒音指針や世界保健機構(以下「WHO」という)のガイドラインから見ても間違った判断である。屋。 内40ホン(新環境基準では40デシベル)以下なら睡眠妨害が生じないとするのは間違っている。 WHOの1980年の専門委員会勧告では戸外LAeq(等価騒音レベル)45デシベル,室内LAeq35デシベルが基準値である。WHOの1999年の最新ガイドラインでは睡眠妨害を防止する指針として,寝室の屋内値LAeq30デシベル,Lmax45デシベル,寝室の屋外値をLAeq45デシベルとさらに厳しくしている(甲233の2。連続的)な騒音による睡眠妨害を考える場合は評価単位としてLAeqを用いてよいが,間欠的な騒音の場合は同じLAeqでも妨害が大きいことから,ピークレベルを表すLmaxを考慮する必要があり,間欠騒音がある場合はLAeqに+αを上乗せする必要がある(P17「聴力影響・睡眠影響からみたLAeqによる騒音評価・甲73。α5地域に適用された「道」)路に面する地域」の屋外の環境基準である夜間LAeq55デシベルでは屋内でのLAeq30デシベルを確保することは困難であり,睡眠妨害を防止できない。ま 評価・甲73。α5地域に適用された「道」)路に面する地域」の屋外の環境基準である夜間LAeq55デシベルでは屋内でのLAeq30デシベルを確保することは困難であり,睡眠妨害を防止できない。また,道路に面する地域の家屋の遮音効果を25デシベル- 25 -とするのも問題である(証人P12。 )⑹被控訴人らは「騒音規制の手引き(丙124)の騒音基準について,」の言及を引用するが,睡眠影響のレベルに「一般地域」と「道路に面する地域」に5デシベルの差を設け,道路に面する地域の屋内の睡眠影響指針を40デシベル以下とした根拠が科学的に明らかにされているのではない「道路に面する地域」の夜間の環境基準は日本家屋の平均遮音性能1。 0デシベルを前提にすると50デシベルになるはずであるが,5デシベル加算して55デシベルとしているのである「道路に面する地域」の家屋。 の方が一般地域の家屋よりも遮音効果が5デシベル高く15デシベルもあるのか全く理解できない。仮に,被控訴人らが主張するようにα5地域に「道路に面する地域」の環境基準を適用しても,夜間の50デシベルを超える騒音は睡眠妨害が生じるレベルといえる。 ⑺甲92では,地点予測では,夜間の騒音がLAeq52デシベルから最高で高尾山登山道のLAeq59デシベルの数値が予測され,睡眠妨害が発生する危険なレベルになることが予測されている。夜間の騒音予測がLAeq58デシベルとなった地点は,控訴人P14宅付近である。この地点は中央道から約50メートル離れた位置にあり,その周辺には控訴人P7,同P18らの居住地点があり,同じ騒音レベルに到達することが予測される。また,面的予測では,夜間の騒音レベルは,控訴人ら住所地を含む居住地全域はLAeq45デシベルを大幅に超え,すべてLAeq50デシベル以上の地 地点があり,同じ騒音レベルに到達することが予測される。また,面的予測では,夜間の騒音レベルは,控訴人ら住所地を含む居住地全域はLAeq45デシベルを大幅に超え,すべてLAeq50デシベル以上の地域で,地域的にはLAeq55デシベルからLAeq60デシベルの地域が多くを占め,屋内値に換算するとLAeq45からLAeq50という深刻な睡眠妨害を生じるレベルである。 ⑻控訴人らは,平成17年11月1日午後10時から同月2日午前6時までの夜間における控訴人P7宅の屋外及び屋内の中央道による道路交通騒音の状況を調査した。その結果,屋外はLAeq61デシベル,室内はL- 26 -Aeq47デシベルという結果であった(甲376,377。この調査)結果により,控訴人P7宅は現在の中央道の騒音だけでも睡眠妨害を受けるひどい騒音状況であることが判明した。さらに圏央道が開通すれば現在以上の騒音状況になることは明らかである。 被控訴人らは,控訴人P7宅は都市計画法8条1項1号により用途地域が定められていない地域であるから,適用される夜間の環境基準は60デシベルであるとして,控訴人らが主張する夜間のP7宅に適用する環境基準を45デシベルとするのは誤っていると主張する。しかし,用途地域が定まっていない地域でも人間が住んでいる地域の夜間の環境基準を道路に面する地域は60デシベルで十分であるとする考え方自体が,睡眠妨害の被害を発生させないレベルを維持しようとする環境基準の考え方に合わないもので間違っている。60デシベルは家屋の遮音効果を考慮しても,屋内でも45デシベルを超えるレベルであることは明らかで睡眠妨害が生じる。しかも,控訴人P7宅の騒音調査結果は,夜間平均61デシベルであり,被控訴人らが主張する夜間の環境基準60デシベルさえも上回っており,被控訴人 ルを超えるレベルであることは明らかで睡眠妨害が生じる。しかも,控訴人P7宅の騒音調査結果は,夜間平均61デシベルであり,被控訴人らが主張する夜間の環境基準60デシベルさえも上回っており,被控訴人らは,これに対し圏央道の両側に高さ3メートルの遮音壁を設置し,中央道南側に高さ3メートルの遮音壁を設置する予定になっているので,環境基準を下回ることが予想されると主張するのみであった。そして,控訴人らが上記騒音が睡眠妨害を生じるレベルであることを指摘したところ,あわてて平成18年春に中央道の南側の控訴人P7宅に面する側に高さ3メートルの遮音壁を設置する工事を行ったのである。 ⑼控訴人らは,上記遮音壁設置工事を行った後の同年6月28日午後10時から翌日午前6時までの間,控訴人P7宅の屋外の騒音を測定した(測定場所は甲376等と同じ地点。その結果,夜間屋外で59.2デシベ)ルで,Lmax69.9であった(甲446。この騒音レベルは,夜間)の環境基準45デシベル(控訴人P7宅が都市計画法上用途地域の定めが- 27 -ないB類型の地域としても環境基準は同様)を14デシベル以上も超えている。しかも,上記P7宅の家屋の遮音効果が約14デシベルあることを考慮しても睡眠妨害が生じるレベルであり,上記遮音壁を設置しても環境基準を超え睡眠妨害が生じることは明らかである。起業者らによって遮音壁などの騒音対策が行われたとしても,睡眠妨害を生じるのを防止できないことが明らかとなった。 そして,平成19年6月23日,圏央道α6城跡トンネル(以下「本件トンネル」という)及び八王子ジャンクションが完成し,中央道と圏央。 道が連結した。その後の控訴人P7宅の騒音状況の調査結果(甲447,測定場所は,甲376等と同じ地点)によれば,上記連結前と後の控訴人P7宅の騒音測 び八王子ジャンクションが完成し,中央道と圏央。 道が連結した。その後の控訴人P7宅の騒音状況の調査結果(甲447,測定場所は,甲376等と同じ地点)によれば,上記連結前と後の控訴人P7宅の騒音測定結果は屋外では殆ど変わらなかった。これは,いまだ八王子ジャンクション交通量は1日約2万4000台(甲448)であり,事業者の予定交通量の半分程度であることから,八王子ジャンクション開通による騒音増加がまだ顕著に現れていないだけのことである。今後圏央道高尾山トンネル開通や圏央道相模縦貫道開通後の交通量の増加により,事業者アセスの予測交通量程度に交通量が増加すれば騒音状況は悪化し,夜間の騒音状況は60デシベルに近づくかこれを超えることが予測される。甲92では,控訴人P7宅と近い地点(E地点)の予測値が夜間58デシベルで補正値が62デシベルとなっていることは騒音の悪化を予測さ。 ,,,せるまた上記騒音実態調査の結果は甲92の予測と符合するものでその科学性を裏付けている。 ⑽原判決は,本件環境影響評価で平均走行速度を時速80キロメートルとしたことに不合理はないと判断した。しかし,実際の高速道路の自動車走行速度は時速80キロメートル以上で時速100キロメートル前後であるのが常識である。平均走行速度が時速10キロメートル上昇すると騒音は2デシベル上昇する。したがって,通常自動車専用道路での渋滞のない時- 28 -の自動車平均速度は時速100キロメートル前後が経験則上実態であるから騒音予測値は4デシベル程度上昇する。本件環境影響評価における騒音レベルは夜間LAeq49デシベル(A)と予測している。しかし,夜間は渋滞が考えられないので,時速100キロメートル以上の走行が実態であるとすると,騒音レベルは4デシベル上昇し53デシベルとなり,夜 レベルは夜間LAeq49デシベル(A)と予測している。しかし,夜間は渋滞が考えられないので,時速100キロメートル以上の走行が実態であるとすると,騒音レベルは4デシベル上昇し53デシベルとなり,夜間のA類型の旧環境基準40デシベルを13デシベルも超えることになる。 被控訴人らの主張する「道路に面する地域」の旧環境基準である50ホンでも3ホン超えることになるのである。 ⑾原判決は,本件環境影響評価では中央道・都市計画道路秋2・3・3及び都市計画道路青2・3・13,一般国道411号との合成騒音が検討されているから適切に合成騒音も予測されているとした。しかし,上記評価は圏央道と一般国道411号との交差部分しか合成騒音の予測をしておらず,中央道等との合成騒音を予測していない。 被控訴人らは,合成騒音の予測は環境影響評価の義務ではないが都知事の意見を尊重して行ったものであるなどと反論し,参考として,一般国道411号との交差部分及びα13街道との交差部分の騒音の合成結果が検,,討されα5で中央道と圏央道との合成騒音も予測していると主張するがそれぞれの騒音がどの程度でその合成騒音が夜間で49ホンになるという説明は一切していない。中央道の現況騒音が夜間50ホンあり,圏央道が,,完成した場合中央道の現況の騒音よりも自動車の走行台数も倍近く増え騒音も増加するのに,なぜ現況より低い49ホンになるのか合理的に説明できるものではない。証人P12の証言も中央道と圏央道の合成騒音は52ホン程度になるはずであると指摘している。被控訴人らは,圏央道が完成すれば遮音壁などの騒音対策を行うので合理的に説明できると反論するだけであり,どのような環境保全対策の結果そのような結論になるのか具体的に明らかにしていない。 - 29 - 水文環境に与える影響について⑴ などの騒音対策を行うので合理的に説明できると反論するだけであり,どのような環境保全対策の結果そのような結論になるのか具体的に明らかにしていない。 - 29 - 水文環境に与える影響について⑴原判決は,本件環境影響評価(乙19)を無批判に認容したうえで,被控訴人らの主張を受け入れ,水文環境に対して控訴人らの危惧するような影響を及ぼすおそれは低いと考えられると判断したが,事実を誤認しまたは事実の評価を誤まったものである。 ,(「」。)⑵原判決は本件トンネルの建設工事以下本件トンネル工事というによる不圧地下水及び表流水への影響は軽微なものにすることができるとして,本件トンネル工事による地下水及び表流水への影響を否定した。 しかし,この判断が誤りであったことは,平成17年5月に,これまで涸れたことがなかったα14の滝が涸れるという事態が生じたこと(甲3)。 ,() から明らかである被控訴人らはこれを降雨量の減少少雨傾向によるものとしていたが(丙128,引き続く滝涸れの頻発に,降雨量)の減少が原因とは言えなくなり,その原因を究明できない状況に立ち至っている。α14の滝の滝涸れの原因が本件トンネル工事にあることは,以下の事実から裏付けられ,証拠によって明らかである。 ⑶平成17年5月以降,α14の滝が涸れた日時,復活した日時は甲414に記載のとおりであり,日降雨量30ミリ程度の雨が降ると滝が復活するものの,しばらくするとまた涸れてしまうことを繰り返している。 また,α15川の河川水までが枯渇する事態が生じている。本件トンネル工事現場より下流に位置する地点(甲407のD点)とα14滝下流地点(E点)においては,平成18年度の年間最小流量及び年間最小比流量がこれまでの最小値を示しているのに,本件トンネル工 。本件トンネル工事現場より下流に位置する地点(甲407のD点)とα14滝下流地点(E点)においては,平成18年度の年間最小流量及び年間最小比流量がこれまでの最小値を示しているのに,本件トンネル工事現場の上流に位置する地点(B点)では,例年に比べ必ずしも少ないとはいえない状況に至っている。この原因は,本件トンネル工事によって岩盤内にあった裂罅水(岩盤の割れ目にたまった水)がトンネル内に引き込まれるか,トンネルに沿ってできた「みずみち」を通って他に流出したことによりα15川- 30 -の流量が著しく減少したことによるものである(控訴人P19,甲383。さらに,観測孔2の水位が,本件トンネル工事の拡幅工事の結果,)工事前の水位から35メートルも下がった事実があり,本件トンネル周辺,,の地下水の水位が下がりα15川北支流の河川水量にも影響をもたらしその結果,α14の滝が再三にわたり涸れるといった事態が生じた。被控訴人らは,α15川の表流水と地下水では電気伝導率が異なり表流水と地下水とはつながってはおらず,表流水の枯渇と地下水位の低下とは関係がない旨を主張するが,電気伝導率が異なるから水がつながっていないということはできない。 ⑷建設省(当時)関東地方建設局相武国道工事事務所作成の「首都圏中央連絡自動車道(仮称)α6城跡トンネル調査結果報告平成10年1月」(甲404の8)において「トンネル内の湧水を防止し,かつトンネル,沿いにα15川流域から他流域に地下水が流出しない対策を施し,α14の滝の水涸れ等の影響を生じさせることのないよう万全の対策を実施することとする」としている。また平成11年6月24日付け記者発表資料。 (丙22)においても,トンネル内に水を引き込まず,かつトンネル沿いにα15川流域から他流域に地下水が流出しない の対策を実施することとする」としている。また平成11年6月24日付け記者発表資料。 (丙22)においても,トンネル内に水を引き込まず,かつトンネル沿いにα15川流域から他流域に地下水が流出しないよう万全の対策を実施するとしている。起業者らは,本件トンネル工事着工前から他流域への地下水の流出の可能性等を十分予測しながら,実際にはその対策を怠ったか,あるいは対策が効を奏さなかったことが明らかとなった。 ⑸本件トンネルの止水工事が止水対策にならないことは,控訴人P19が本人尋問において指摘するとおりであり,証人P20は,次のとおり止水工事によって漏水を完全に止めることは不可能である旨証言している。すなわち,トンネル工事による地下水への影響は,①地下水横取型の影響②地下水遮断型の影響③岩盤のゆるみの影響④複合効果があり,止水工事が①の横取型の影響のみに効果があり,他の影響を防止できないこと- 31 -を指摘している。 ⑹控訴人らは,原審において,圏央道は瑕疵ある道路として被害を発生させるとして「水脈破壊「α5の地下水破壊と生活被害」との主張(最終」準備書面第4章第3節)をしたが,原判決はこれに対し何ら具体的な判断をしておらず,判断を脱漏したものである。原判決は,土地収用法第20条3号について「この要件を満たしているか否かを判断する際に比較衡,量すべき諸価値の中には,起業地内の不動産又は立竹木等についての個々人の財産価値のほか,起業地の周辺地域等も含んだより広範な地域の都市環境,居住環境,自然県境,景観,文化環境,歴史的環境等の種々の社会的な価値も含まれることがあり得る」と判示しており,控訴人らは,α5等の地下水問題について法的保護の必要性が高いものである旨を主張していたのであり,このような控訴人らの主張について判断しないのは 会的な価値も含まれることがあり得る」と判示しており,控訴人らは,α5等の地下水問題について法的保護の必要性が高いものである旨を主張していたのであり,このような控訴人らの主張について判断しないのは重大な判断脱漏である。 圏央道の公益性・公共性について⑴広域的な視点による利益の欠如被控訴人らは,広域的な視点による利益として,①都心部の慢性的交通混雑の緩和と首都圏全体の交通円滑化,②近郊都市の発展への貢献(地域間交流の拡大・産業活動の活性化)及び③首都圏全体の調和の取れた発展(一極集中型から多極型へ)の3点を主張し,原判決はこれを認めるが,これらはいずれも具体的な根拠を欠いている。 ⑵都心部の慢性的交通混雑の緩和と首都圏全体の交通円滑化についてア被控訴人らは,圏央道を建設すれば,都区部通過交通の一部が圏央道に転換し,都心部の慢性的交通混雑の緩和と首都圏全体の交通円滑化に,(),役立つと主張し平成15年3月付けの調査報告書丙88を引用し東京都区部の通過交通(都区部内に起終点を持たずに都区部内の道路を通過した交通)が交通量で42万台/日,全体の6パーセントと大きい- 32 -こと,走行量(交通量と走行距離の積)では927万台キロ,全体の14パーセントであることから,このような通過交通を排除することの効果を認めている。しかし,都区部通過交通の交通量を42万台/日とすることについては,13.5万ないし17万台/日の「都区部をかすめるような交通,すなわち「かすめ交通」が含まれ,通過交通は25万」ないし29万台である。また,東京都区部の通過交通でも圏央道により迂回させられない交通は多数あるから,そのうち圏央道により排除できる交通量がどの程度であるかの具体的根拠は何ら示されていない。 イ圏央道は都心から離れすぎているた 京都区部の通過交通でも圏央道により迂回させられない交通は多数あるから,そのうち圏央道により排除できる交通量がどの程度であるかの具体的根拠は何ら示されていない。 イ圏央道は都心から離れすぎているため通過交通の転換効果が少なく,都心部の交通混雑を緩和するためには道路建設によるのではなく,交通需要管理のさまざまな方策をとることが有効かつ適切であり,必要十分である。そもそも,都心部を通過する交通のうち,その走行距離が20キロメートル以上の交通は約25万台とみられ,都区部通過交通のうち圏央道の外外交通は4万台/日で(丙88,これが都心部通過交通の)うち圏央道に転換可能性のある理論上最大の交通量であり,現実に迂回する通過交通はさらに少ない。すなわち,この4万台がすべて圏央道を利用するわけではない。圏央道の全面開通は将来のことであるし,圏央道の供用部分は全体のごく一部である。さらに千葉県から神奈川県,静,,岡県以西に行くにはアクアラインまたは湾岸線を利用すると考えられ千葉県関係の都心通過交通は通過交通全体の4ないし6割を占めている。 また,中央環状線,外環道などに転換する交通もありうるし,料金抵抗も考慮しなければならないから,圏央道による都心部渋滞の緩和効果はせいぜい1万数千台/日程度で,都区部交通量705万台/日の約0. 2パーセント程度である。 ,,ウまた圏央道に転換する圏央道外外交通が3万台/日であるとしても- 33 -都心部交通渋滞の緩和効果は著しく小さい。都区部関連交通705万台/日からすれば,日々の変動量に飲み込まれてしまう程度の交通量にす。 ,,,ぎない仮に3万台/日とし首都高速道を利用している2万台/日一般道を利用している1万台/日が転換するとして,交通量に占める割合は首都高速道の交通量90万台/日に対 の交通量にす。 ,,,ぎない仮に3万台/日とし首都高速道を利用している2万台/日一般道を利用している1万台/日が転換するとして,交通量に占める割合は首都高速道の交通量90万台/日に対して2.2パーセント,一般道では交通量615万台/日に対して0.16パーセントにすぎない。 エ被控訴人らは,交通量(台/日)ではなく,走行量(台キロ/日)という異なる概念を持ち出し,圏央道外外交通は他の交通に比べて走行量が多いため,わずかな転換であっても混雑緩和効果が大きいとする。し,「」「」かし渋滞を議論する際に問題となるのは交通量であって走行量ではない。走行量は排気ガスの排出量等において問題とされるが,交通渋滞の緩和効果を考える際には交通量が単位として用いられている。被控訴人らは,首都高速道において圏央道外外通過交通が占める走行量の割合は5パーセントであり,5パーセントの削減は渋滞量を40パーセントも大幅に減らすことができると主張し,首都高速道の日交通量と渋滞量の関係図とそれに基づく関係式(原判決別紙「首都高速道東京線の利用台数と交通集中渋滞量,以下「関係図」という)を示し,原判」。 決はこれを上記判断の根拠にした。しかし,関係図は,何ら走行量と渋滞量の関係を示すものではなく,あくまでも交通量と渋滞量の関係を示しているのであり,交通量が5パーセントも減少するとは被控訴人らも主張していないのである。また,関係図は3次曲線によって首都高速道の利用台数(横軸)が85万台/日を超えると急激に渋滞量(縦軸)が増加することを立証しようとしたが,両者に統計学上の統計的相関は認,(,,)。 められず統計的に無意味である甲403の1の12証人P21そもそも渋滞は交通隘路地点における特定時間帯の交通集中によるものであり,日 としたが,両者に統計学上の統計的相関は認,(,,)。 められず統計的に無意味である甲403の1の12証人P21そもそも渋滞は交通隘路地点における特定時間帯の交通集中によるものであり,日交通量では相関が弱く,ばらつきが大きい(したがって,ピ- 34 -ークカットが有効な渋滞対策となる。首都高速道では入口閉鎖によ。)る交通量の制御を行っているため,日利用台数は統計学的には日交通集中渋滞量を説明できる変数ではない。原判決は,統計的相関のない関係,,図に全面的に依拠するとともに走行量と交通量を混同する誤りを犯し5パーセントの転換による都心の交通混雑緩和の効果が大きいとして圏央道の公益性を認定してしまった。 オ被控訴人らは,中央環状線,外環道も整備するといい,中央環状線の開通も間近になっている「東京外かく環状道路(関越道~東名高速。「間)についての考え方」に基づく将来交通量について(甲385)に」よれば,平成32年に外環道を通る交通の中には北関東・東北方面から東海・関西方面が9パーセント含まれておりこれは上記仮定による3,「万台/日」の圏央道外外交通の一部にほかならない。圏央道は,都心から遠すぎることにより都心の交通混雑緩和に与える効果が少なく,放射的性格を持つ道路と位置づけられ,そのバイパス効果は限りなく小さい(甲101。被控訴人らは,環状道路が必要であるという一般論をい)うが,都心環状線のほかに,中央環状線,外環道,さらには圏央道と4つもの環状道路が必要であるという根拠を何ら具体的に説明していない。 カ首都高速道の走行量の合計は,平成11年に1551万台キロであるが,平成17年は1422万台キロとなり,8.3パーセントも減少している(甲425。走行量が減少したのは,交通量の減少によるもの)で,断面交 道の走行量の合計は,平成11年に1551万台キロであるが,平成17年は1422万台キロとなり,8.3パーセントも減少している(甲425。走行量が減少したのは,交通量の減少によるもの)で,断面交通量の合計は,平成11年の205万8598台から平成17年には195万1296台へと5.2パーセント減少している。警視庁の統計(甲426)でも全日平均の通行台数は,平成11年度には85万6千台であったものが,平成17年度は83万台になっている。しかし,8.3パーセントも走行量が減少しても,首都高速道の渋滞が解- 35 -。 ,,消されているわけではない混雑度混雑時平均旅行速度を比較すると平均値で見ると混雑度は減少しているが,それで旅行速度が上昇しているわけではない。走行量が減少しても,かえって旅行速度は7ないし9パーセントも減少している(甲425。渋滞は個別事情に依存する点)が大きいため,交通量の減少も旅行速度や混雑度の変化と対応しているわけではない。 キ道路交通センサスによれば,平成6年度の区部内の交通量は459万7000台であったが,平成11年度には495万5000台となった(平日。甲102。これは都区部における開発の結果であるが,都心)部の慢性的交通混雑の緩和を図るには,道路建設によるのではなく,開発の抑制又は開発によって生ずる交通需要を自動車交通に依存させない方策をとることによらなければならない。都区部への出入りを含む東京都区部全体の交通量は,平成6年度は625万台であったが,国交省による将来予測によれば,平成32年には766万台と増加する(甲103。このような課題は圏央道による通過交通の排除によって解決され)るものではない。むしろ,①地域内・広域のバス,路線電車,環状鉄道等の公共交通の整備,②パークアンドライド,ロ 台と増加する(甲103。このような課題は圏央道による通過交通の排除によって解決され)るものではない。むしろ,①地域内・広域のバス,路線電車,環状鉄道等の公共交通の整備,②パークアンドライド,ロードプライシング,貨物共同配送,駐停車禁止区域の設定と厳格な執行,住宅地内への進入禁止等によるTDM(交通需要管理,③過剰地域への局地的対策,④自)動車の共同利用,⑤歩道・自転車専用路線の設定,バスベイの設定・拡幅等の一般幹線の道路構造・交通流の改善,⑥一般主要環状幹線の交差点の立体化等のさまざまな手法によって総合的に費用効率的に対処すべき問題である。 ク多摩地域において,圏央道のほかに数多くの都市計画道路の整備計画があり,圏央道よりも内側にあるこれらの都市計画道路はより具体的な都心部渋滞緩和効果を有するはずである。南北方向の道路整備が積極的- 36 -に行われ(甲428,P9線の高架化やP3線の高架化事業も進み,)開かずの踏み切りの解消が進み,南北方向の渋滞解消のための政策はより具体的かつ効果的に実行されている(甲429。 )⑶近郊都市の発展への貢献(地域間交流の拡大・産業活動の活性化)についてア圏央道は,沿道にα16,α17等の大規模な開発計画があり,そのための道路として位置づけられていた。これらの開発計画が頓挫したにもかかわらず,道路計画を維持するために地域経済の活性化という議論が登場した。しかし,地域間交流のためには一般道路の方がすぐれており,圏央道という自動車専用の通過するだけの道路は,都市を分断し破壊してしまう恐れの方が大きい。 イ圏央道の開通により地域が発展するとの抽象的な見通しを信じた沿線各市から圏央道建設促進の要望が出ている。しかし,社会的なメリットは基本的に短期的に発現する一方で,社会的なデメリットの多 大きい。 イ圏央道の開通により地域が発展するとの抽象的な見通しを信じた沿線各市から圏央道建設促進の要望が出ている。しかし,社会的なメリットは基本的に短期的に発現する一方で,社会的なデメリットの多くは長期の時間遅れを伴って発現する。すなわち,物流コストの低減や交通利便性の向上等はいずれも短期的に発現する一方で,地元商工業の衰退やストロー効果の進行,地産地消経済の衰微等はいずれも緩慢な過程で進行する(甲430。地域への固着性が強い地元の商工業に関してはデメ)リットが多く存在するという傾向が挙げられる。上記のような建設促進の要望は,このようなデメリットの存在を知らされない状態で出されたものであり,財務省向けの予算獲得のためのアリバイ的なものにすぎない。 ⑷首都圏全体の調和の取れた発展(一極集中型から多極型へ)の見込みがないことについてア圏央道の建設により首都圏全体がどのように調和の取れた発展をするのか具体像は全く明らかになっていない。一極集中を促進することが明- 37 -白な都市再生本部決定の中に,多極分散型の発展を志向するとされる圏央道建設計画が位置づけられている矛盾があることからも「首都圏全,体の調和の取れた発展」が具体性を欠いていることは明らかである。全,,国総合開発計画の見直しに伴って都市再生プロジェクト第二次決定も首都圏整備計画もその内容が見直されているが,圏央道建設に対する位置づけは変わっていない。 (。 イ平成18年度首都圏白書平成17年度首都圏整備に関する年次報告平成18年5月。甲431)は「大都市圏整備計画体系の見直し」と,題する項目において,首都圏整備法に基づく諸制度は,主に既成市街地における産業及び人口の集中抑制と中枢管理機能の分散を目的としていたが,成熟社会での首都圏においては,既存の集積 体系の見直し」と,題する項目において,首都圏整備法に基づく諸制度は,主に既成市街地における産業及び人口の集中抑制と中枢管理機能の分散を目的としていたが,成熟社会での首都圏においては,既存の集積やストックを有効に活用しつつ,広域的な課題に柔軟に対応していくことが求められ,首都圏をはじめとする大都市圏制度については,新たな国土形成計画との整合を図りつつ,制度のあり方を検討することとしたとしており「一極,集中型から多極分散型へ」という「公共の利益」をあきらめて「既存,」。 の集積やストックの有効利用をするという転換がされているのである⑸地域的な視点による利益論に対する反論ア被控訴人らは,地域的な視点による利益として,幹線道路(一般国道16号,一般国道411号等)の交通問題への対処を挙げた上で,①慢性的な交通渋滞,②多発する交通事故,③自動車保有台数の増加,④市街地生活道路の通過車両(安全な道路交通環境の確保の必要性)の4つの問題点を指摘し,本件事業により対処することができると主張している。 ,。 イしかし慢性的な交通渋滞は道路建設により対応すべきものではない(ア)東京環状道路である一般国道16号については,これまで順次拡幅工事が行われ,2車線を4~6車線にする事業が進められ,平成15- 38 -年2月にはα18地区端であるα19交差点の改良が一部完成して左,。 折専用レーンが一車線増設されたことにより混雑が緩和されている渋滞はボトルネックである2車線区間によるもので,これを解消すればほぼ解消される(甲106の1,甲432。一般国道16号の渋)滞はその改良により解消することが可能であり,巨費を投じて屋上屋を重ねる必要はない。 (イ)一般国道411号については,バイパスとなるα20街道が東京都の事業として建設中 。一般国道16号の渋)滞はその改良により解消することが可能であり,巨費を投じて屋上屋を重ねる必要はない。 (イ)一般国道411号については,バイパスとなるα20街道が東京都の事業として建設中であり(甲106の2,これに加えてさらに圏)央道までを建設する必要性は全くない。 (ウ)被控訴人らは,圏央道の供用開始部分の効果として一部の周辺道路の交通量が減少したなどと主張している。しかし,東京都から埼玉県にかけて,平成6年には青梅インターチェンジから鶴ヶ島ジャンクションが開通しているが,これと並行する一般国道16号及び国道407号の交通量を道路交通センサス一般交通量調査箇所別基本表を用いて比較すると,一般道の交通量が圏央道にシフトし一般道が空いたという関係は見出せない。むしろ圏央道の供用と同時に交通量が急増している地点もあり,圏央道の供用によって,それにアクセスする一般道の交通量が増加したと理解するのが合理的である(甲403の1の1。また,圏央道の都県境(東京都と埼玉県)交通量(青梅インタ)ーチェンジ・入間インターチェンジ間交通量)は平成17年度平均値が1.8万台であるにもかかわらず,これと平行している一般国道16号の交通量は増減を繰り返して平成17年度までほぼ横ばいのままとなっている。 (エ)被控訴人らは,インターチェンジの開通効果として,日の出インターチェンジが開通して青梅インターチェンジ周辺の交通量が減少し,あきる野インターチェンジが開通して日の出インターチェンジ周辺の- 39 -交通量が減少したとしているが,それはインターチェンジを出入りする交通が青梅から日の出,日の出からあきる野へとシフトしたことによる当然の現象である。 インターチェンジの開通により,アクセスする交通量がそのインターチェンジ付近で開通前より増加し ェンジを出入りする交通が青梅から日の出,日の出からあきる野へとシフトしたことによる当然の現象である。 インターチェンジの開通により,アクセスする交通量がそのインターチェンジ付近で開通前より増加したことは明らかであり,インターチェンジ延伸でそれが減ったとしても圏央道の開通効果とはいえな。 ,,い局所的には改善があったとしても広域的には総交通量が増加しまたその増加分が他の地域における渋滞を増加させている可能性も推定される(甲403の1の1。 )(オ)原判決は,混雑度を根拠に圏央道を合理化しようとする被控訴人らの主張を無批判に受け入れたが,判断を誤っている。本件事業認定申請書では,α21区間の混雑度が2.25に達しているとして「各,」。 ,,,所での慢性的な交通混雑を説明しているしかし混雑度は本来巨視的な道路評価に適用を限定すべきであり,個々の道路区間レベルで混雑度が1.0を超えたからといって道路整備をし当該区間の車線数を増すべきであるといった短絡的な解釈をすべきではない。また,平成9年のα21区間の混雑度は1.24であり,混雑度の急上昇には大きな疑問がある。まず,混雑度は実交通量を交通容量で除したものであるから,青時間比,すなわち進行方向の信号が青である時間が長ければ長いほど交通容量が大きく,混雑度は小さくなり,逆に青時間比が小さくなれば混雑度は大きくなる。α21区間の青時間比が平成9年に67であったものが平成11年に28になったことについて合理的な説明は困難である。平成17年度交通センサスでは,α21区間の青時間比は29であり,その代表交差点はα22交差点で,信号サイクル長は150秒,青時間は44秒である。しかし,この信号サイクルと青時間が控訴人らの現地計測結果と異なるため,調査をし- 40 -た結果 比は29であり,その代表交差点はα22交差点で,信号サイクル長は150秒,青時間は44秒である。しかし,この信号サイクルと青時間が控訴人らの現地計測結果と異なるため,調査をし- 40 -た結果,α22交差点の信号サイクル長は140秒であり,青信号は80から81秒で,青時間比は57となった。平成17年度と平成11年度の交通センサスでは混雑度にほとんど違いがないから,平成11年度交通センサス青時間比についても同様に実際とは異なる青時間比が用いられたと考えられる。したがって,実態と異なる青時間比に,,. 基づく混雑度は誤りであって実際の青時間比によれば混雑度は14程度にすぎない。 ⑹被控訴人らは,圏央道の開通による交通事故の減少について青梅インターチェンジから日の出インターチェンジの整備で生活道路の事故件数が約2割減少し,今後の開通区間でも事故の減少が期待されるとしている。 しかし,交通事故の減少はさまざまな取り組みの成果として現れるものであり,交通事故が減少しているとの事実があったとしても,これが圏央。 ,道の開通によってもたらされたと直ちに結論づけることはできないまた交通事故対策として道路建設を行うことは費用対効果が著しく悪い。交通事故はさまざまな手法を通じて総合的に対処されるべき問題であり,圏央道の建設によって解消されるような類の問題ではない。特に飲酒運転による死亡事故の減少が目立っており,飲酒運転を厳罰化した改正道路交通法が施行された成果であると警察庁は分析している。警察庁は,これ以外にも危険運転致死傷罪の新設やシートベルト着用率向上等を挙げている。また,被控訴人らは一般国道16号における事故をことさらに強調するが,仮に道路整備によって対処するとしても,一般国道16号自体の道路整備により対処すべき事柄である。 ⑺市街 率向上等を挙げている。また,被控訴人らは一般国道16号における事故をことさらに強調するが,仮に道路整備によって対処するとしても,一般国道16号自体の道路整備により対処すべき事柄である。 ⑺市街地生活道路の通過車両(安全な道路交通環境の確保)について圏央道の建設によって,どの道路の交通量が減少するのかが具体的に示されたことはなく,道路建設による通過車両の排除は抽象的な議論にとどまっている。仮に,一般国道16号の渋滞解消によりいずれかの生活道路- 41 -の通過車両が減少するとしても,一般国道16号の渋滞が圏央道建設以外の方法で解消できる以上,圏央道建設によるべき必要性はない。通過車両の減少のためには,住宅地域内の速度制限,一方通行・右左折禁止等の通行制限,バンプ(車道の隆起・シケイン(車道の蛇行)等の物理的障害)の設置といった対策による方が効果的でかつ費用効率的である。 ⑻費用便益分析について被控訴人らは本件事業における費用便益比を22と評価している丙,. (52。しかし,この費用便益分析は,複数の代替案の比較検討がなく,)被控訴人らが準拠しているという費用便益分析マニュアルは,費用・便益にかかわる項目及びそれに関係のあるごく一部項目のみを取り上げたものであって,その条件の設定により,結果はいかようにも変化するものである。また,事業者が採用している推計手法(分配配分法)による旅行時間(ある区間の通過時間)は過大推計と考えられる。費用便益分析の前提となった交通量推計は,各リンクにおける事業実施前後における推計であるから,リンク交通量などの各種データに関し,その結果が保存されていなければ算出ができないはずであるのに,整理・保存の必要がないなどとしてデータを開示しないものであり,不審な点が多く,合理的な説明を欠いている。 通量などの各種データに関し,その結果が保存されていなければ算出ができないはずであるのに,整理・保存の必要がないなどとしてデータを開示しないものであり,不審な点が多く,合理的な説明を欠いている。 ,「」,費用便益分析において費用側で大部分を占める事業費については被控訴人らが算定に用いた推定事業費に対して,既開通区間の実績事業費はすでに約1.5倍近く(5300億円,甲403の20)に膨張している。他方で,前記のとおり事業者の推計手法による旅行時間が過大推計と考えられ,誘発交通を考慮していないことによりさらに過大な推計となっており,実際には便益が約4分の1ないしはそれ以下に低下し(甲403の1の1,被控訴人らのいう方法による費用便益比が1.0を下回って)いる可能性が高い。費用便益比は本件事業の公益性を裏付けるものではな- 42 -く,むしろ公益性に乏しいことを裏付けている。 ⑼環境改善効果について被控訴人らは圏央道開通によるCO2削減を中心とする環境改善効果を主張するが,次のとおり誤りである。 ア国土技術政策総合研究所が東京大学生産技術研究所に委託した「交通施策による大気汚染低減効果に関する研究(平成12年3月)によれ」ば,圏央道を始め中央環状線,外環道など3環状が首都圏の渋滞緩和や「」,環境改善に資するという施策評価は行われていないのが現状であり「」。 環状道路建設による環境改善効果は何ら科学的に証明されていないイ圏央道による環境改善効果は,圏央道に交通が転換して既存道路における交通量が減少した結果として走行速度が上がり,排出ガスが減少したとして計算されている。しかし,埼玉県の平行道路区間で圏央道開通前と比べて交通量が減少していないし,道路の整備効果は局所的に渋滞緩和をもたらしても,広域的に見ると総交通 が上がり,排出ガスが減少したとして計算されている。しかし,埼玉県の平行道路区間で圏央道開通前と比べて交通量が減少していないし,道路の整備効果は局所的に渋滞緩和をもたらしても,広域的に見ると総交通量を増加させている(甲403の1の1。 )ウ環境面から考察すると,平均走行速度が向上すると,大気汚染やCO2排出量など,自動車1台の走行距離あたりの環境負荷は軽減される。 他方,自動車の総走行量が増加すると,それに比例して環境負荷が増加。 ,。 するすなわちいずれの影響が上回るかという評価をすることになるたとえば,走行速度の増加によって自動車1台の走行距離あたりのCO2排出量は2.3パーセント低下するが,自動車総走行量(台キロメートル)は4.2パーセント増加するとすれば,3環状を整備した方がCO2総排出量は増加することになり環境負荷の低減につながらない甲,(403の1の1。道路整備による渋滞改善(自動車の平均走行速度が)向上)によって燃費が改善され,CO2排出量が減少するが,走行速度の改善で走行距離が増大する関係があり,道路を整備するほどCO2排- 43 -出量が増加するという関係にある(甲435。以上のように,圏央道)整備による環境改善効果はない。 ⑽財政状況からも,圏央道は無駄で国民に巨額な財政負担を強いるものである。事業者である参加人らは巨額な赤字を抱え,さらに財政赤字を招く圏央道事業は公益性,公共性がないことが明らかである。 ア本件事業認定申請書等によると,本件圏央道事業区間20.3キロメートルに要する費用は本体工事及びジャンクション工事の合計で約4315億円であり(乙1,圏央道全体(総延長300キロメートル)の)工事費に換算すると約6兆円の費用を要し,工事費の高いトンネル工事部分があることや物価上昇を考慮すると ンクション工事の合計で約4315億円であり(乙1,圏央道全体(総延長300キロメートル)の)工事費に換算すると約6兆円の費用を要し,工事費の高いトンネル工事部分があることや物価上昇を考慮すると,総工事費は10兆円になるといわれている。本体工事費用は約3890億円とされていたが,実際にかかった費用は平成5年から平成17年まで約5300億円で(甲403の1の1,403の20,証人P21,1.36倍に増えている。 )平成18年度,平成19年度の工事費を加算すれば2倍程度に増加する可能性がある。 イ財務省の統計資料によると,平成16年末で国及び地方の長期債務残(,)高は719兆円国が548兆円地方が204兆円で重複分33兆円で,そのうち国債残高が483兆円であった(甲318の1。国債の)うち公共事業のための建設国債が222兆円と約半分を占めている。平成16年度の一般会計予算では税収及び税外収入合計が約45兆5000億円であるのに対し,一般歳出約47兆6000億円,地方交付税約16兆5000億円,国債の返済費約17兆5000億円と歳出が約82兆円で,歳入が足りない分の約36兆5000億円は国債を発行し,国の累積債務は年々巨額になっている(甲319。そして,この財政)危機を招いているのは巨額な道路投資であり,平成10年度の予算をみると,道路整備事業費は一般会計だけで年間4兆円を超えていた。一般- 44 -会計以外に国の特別会計,地方自治体の予算,財政投融資を加えると約13兆円,建設国債,建設地方債の利払いも含めると年間約15兆円が道路関連費用に使われている。これは公共事業に使われる国及び地方の投資額約50兆円の3割にあたる(甲30。平成18年度の国及び地)方の長期債務残高は767兆円(国の債務が600兆円,地方の債務が, 路関連費用に使われている。これは公共事業に使われる国及び地方の投資額約50兆円の3割にあたる(甲30。平成18年度の国及び地)方の長期債務残高は767兆円(国の債務が600兆円,地方の債務が,)(),201兆円重複分34兆円と債務が増大する傾向が続き甲436平成19年3月末の国債及び借入金残高は834兆円に達していることが財務省から発表されている(甲437。 )ウ平成10年6月,第五次全国総合開発計画である21世紀の国土のグランドデザインに基づいて,新たな地域高規格道路指定路線の追加指定が行われ,高規格幹線道路網約1万4000キロメートルと併せ全国で約2万キロメートルにも及ぶ自動車専用道路計画が進められることとなった。しかし,この基礎になっている第四次全国総合開発計画が現在の社会経済状況の下では実行が不可能かつ不適切であること,本四連絡橋・東京湾横断道路(アクアライン)等のように,供用を開始しても利用交通量が予定交通量に達しないため,債務の返済のみならず維持管理費と利子の返済が不可能な路線が多い実態が明らかになり(甲328,329,高速自動車国道(法定高速道路)の当面の整備目標整備残23)20キロメートルの建設は,財政投融資中心の今までの方式では難しいことが明らかとなった。 エ圏央道事業は,本件環境影響評価がされて以来18年を経ながら,全体計画のうち開通したのは鶴ヶ島から八王子ジャンクションまでの約41キロメートルにすぎず,全面供用の見通しは立っていない。圏央道の経済採算性に関する状況は,2520億円の負債で,営業区間である鶴ヶ島ジャンクションと青梅インターチェンジ間の約20キロメートルの営業で年間146億円の赤字となっている(甲324。また,道路関)- 45 -係四公団民営化推進委員会資料(甲328)によれ る鶴ヶ島ジャンクションと青梅インターチェンジ間の約20キロメートルの営業で年間146億円の赤字となっている(甲324。また,道路関)- 45 -係四公団民営化推進委員会資料(甲328)によれば,鶴ヶ島ジャンクション,日の出インターチェンジ間(約28キロメートル)の平成9年から平成13年の実績によれば,参加人道路公団分の道路建設費が20,,。 79億円未償還額は2267億円赤字は187億円にのぼっている,。 その後の資料を基に分析すると圏央道での建設費回収は不可能であるすなわち,あきる野インターチェンジまで30.5キロメートル開通後の平成16年度の営業実績を見ると,参加人道路公団の総工事費(総資産額)は3614億円,年間の収支は料金収入91億円に対して支出は管理費15億円,金利70億円,損失補填引当金17億円の計102億円で11億円の損失で,上記引当金を除いても6億円の黒字にすぎない(甲440。工事費と損失の累計である要償還額は3885億円であ)り(甲440,この額は収支が赤字のため年々増加し,回収不能の状)況は変わらない。 ,。 オ交通量も予測を大幅に下回り収入による借金分の回収も困難である青梅インターチェンジから日の出インターチェンジ間は,平成12年時点の将来交通量推計は4万2600台/日とされていたが,平成14年度は約7499台/日,平成15年度は8865台/日の交通量しかない(甲330。実際の工事費は予定の1.3倍以上で財政負担は増え)る一方である。平成5年から平成17年度までのα5から青梅市までの圏央道工事に関し参加人国と東京都の負担した工事費は2885億円で,東京都の負担額は965億円である(甲403の20。参加人国)と東京都の負担割合は全体の6割であるので,全体の工事費は4808億円になり,ジ 関し参加人国と東京都の負担した工事費は2885億円で,東京都の負担額は965億円である(甲403の20。参加人国)と東京都の負担割合は全体の6割であるので,全体の工事費は4808億円になり,ジャンクション工事費が429億円かかっているから総額は約5237億円となり,当初予定工事費3900億円の1.35倍かかっていることになる(甲441の1。今後も工事費がかかり当初予)定工事費の2倍程度かかる可能性が高い。圏央道は赤字路線であり赤字- 46 -を累積させるだけの道路といえる。 以上のように,事業者である参加人らは財政が破綻し,本件事業は,さらに赤字を生み出し新たな巨額な負債を国民に負担させるものであり,公益性,公共性がない。したがって,本件事業認定は,土地収用法20条2号,4号の要件を欠いており違法である。 ⑾以上のとおり,圏央道建設より得られるとされる公共の利益は広域的な視点,地域的な視点のいずれによっても抽象的で根拠のない期待にすぎない。また,中央環状線,外環道が整備される中でさらにその外側に圏央道を建設することが都心部の交通渋滞緩和のために必要であることが具体的に説明されたことは一度もない。多摩地域の交通渋滞は,より効果的な南北方面の道路自体の改修・積極的整備によって緩和の具体的成果が得られつつあり,圏央道建設による必要性はどこにもない。しかも,巨額な建設費用は赤字財政の参加人国に対し巨額な財政負担を強いるものであり,圏央道が位置付けられてきた上位計画はすでに破綻し,大きな修正を迫られているが,圏央道は常に「3環状まとめて言及」されるにすぎず,その建設について具体的な公益性が説明されたことはない。 ⑿日光太郎杉事件の東京高等裁判所昭和48年7月13日判決は「本件,計画がどうしてもそれによらざるを得ないと判断し得るだけ されるにすぎず,その建設について具体的な公益性が説明されたことはない。 ⑿日光太郎杉事件の東京高等裁判所昭和48年7月13日判決は「本件,計画がどうしてもそれによらざるを得ないと判断し得るだけの必要性,換言すれば,本件土地付近の有する前記のような景観,風致,文化的諸価値を犠牲にしてもなお本件計画を実施しなければならない必要性,ないしは環境の荒廃,破壊をかえりみず右計画を強行しなければならない必要性があることが肯定されなければならないというべきである。けだし,前記のようなかけがいのない景観,風致,文化的諸価値ないし環境の保全の要請は,国民が健康で文化的な生活を営む条件にかかわるものとして,行政の,。」,上においても最大限度に尊重さるべきものであるからであるとして「本件土地」が有する景観,風致,文化的諸価値を最大限に尊重する必要- 47 -性を認め,このような要請・必要性から,建設大臣の裁量判断に縛りをかけたものである。本件においてもこの判決と同様の判断基準が用いられるべきである。 高尾山は,行基の昔から長い年月をかけて保護されてきた山であり,標高600メートルでありながら,多様な植物が生息しているなど長時間をかけて保護され育成されてきた自然がある。本件でもっとも重視されるべきは高尾山の貴重な価値であり,ひとたびトンネル,ジャンクションという建造物ができることで破壊され,決して元に戻ることはできない。一方得られる価値は上記のとおりきわめて小さく,高尾山の自然という失われる利益のほうが遙かに大きい。 本件事業認定は土地収用法20条3号の要件を欠き違法である。 二被控訴人らの控訴人らの主要な主張に対する反論 当事者適格について⑴P3判決についてアP3判決は,都市計画法59条2項に基づく事業認可処分の取消訴訟におい 3号の要件を欠き違法である。 二被控訴人らの控訴人らの主要な主張に対する反論 当事者適格について⑴P3判決についてアP3判決は,都市計画法59条2項に基づく事業認可処分の取消訴訟において,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち,事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に同訴訟の原告適格を認めたものであって,都市計画法とは趣旨及び目的を全く異にする土地収用法の事業認定の取消しを求める本件訴訟にその判断が及ぶものではない。この点の原判決の判断は正当である。 イ行政事件訴訟法9条2項は行政事件訴訟法の一部を改正する法律平,(成16年法律第84号)によって新設された条項であるところ,改正前の同法9条(現9条1項)における「法律上の利益」の解釈において,「法律上保護された利益説」に立った上で,一連の判例が形成され,これが通説とされていた。すなわち「法律上の利益を有する者」とは,,- 48 -当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであって,当該処分の根拠となる行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合にのみ,。 ,かかる利益が上記法律上保護された利益に当たると解されていたまたその検討においては,規定の文言のみによる解釈を行うことは厳に慎まなければならない(行政事件訴訟法9条2項)ものの,個別の行政実体法を解釈するに当たり,立法者の意思に基づいて定められた法文の文理,,が重要な手がかりになることは法の解釈である以上当然のことであり当該法令の趣旨及 政事件訴訟法9条2項)ものの,個別の行政実体法を解釈するに当たり,立法者の意思に基づいて定められた法文の文理,,が重要な手がかりになることは法の解釈である以上当然のことであり当該法令の趣旨及び目的を判断する上でも,下位法令を含めて根拠法令の規定の文言が大事なものである。 ウP3判決においては,都市計画の違法が事業認可の取消原因として主張され,これが争点となり,公害対策基本法及び東京都環境影響評価条例の趣旨及び目的が考慮された。 すなわち,都市計画に関する都市計画法の規定の内容が検討され,都市計画の基準に関して,当該都市について公害防止計画が定められているときは都市計画がこれに適合したものでなければならないとされているため(13条1項柱書き,公害防止計画の根拠となる法令である公)害対策基本法の趣旨及び目的が検討された。また,東京都は,環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施が環境に及ぼす影響について,事前に調査,予測及び評価を行うための条例を定め,事業者から提出された環境影響評価書及びその概要の写しを都市計画の決定又は変更の権限を有する者に送付して,同決定等を行う際に評価書の内容に十分配慮するよう要請しなければならないとし,対象事業が都市計画法の規定により都市計画に定められる場合においては,東京都環境影響評価条- 49 -例による手続を都市計画の決定の手続に合わせて行うよう努めるものとしているため,この条例の趣旨及び目的が検討されたものである。 ⑵本件起業地内の不動産等について権利を有しない周辺住民や自然保護団体には土地収用法に基づく事業認定の取消しを求める原告適格はない。 土地収用法が,甲事件一審原告らが主張する不利益の前提をなす,公害被害を受けないという利益や自然環境を悪化させないという利益を,一般的公益の中に吸 法に基づく事業認定の取消しを求める原告適格はない。 土地収用法が,甲事件一審原告らが主張する不利益の前提をなす,公害被害を受けないという利益や自然環境を悪化させないという利益を,一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むか否かという点につき,次のとおり本件事業認定の根拠となった土地収用法の文言,趣旨及び目的を考慮して判断する必要がある。 ア土地収用法の趣旨及び目的(ア)土地収用法の趣旨及び目的は,公共の利益と私有財産との調整,収用又は使用に係る土地等の所有者や当該土地等の関係人との利害を調整することであり,同法の趣旨及び目的からすると,保護すべき個々人の個別的利益として,当該事業の対象となる起業地周辺住民及び自然保護団体の環境上の利益を含んでいると解することはできない。 (イ)土地収用法20条3号は「事業計画が土地の適正且つ合理的な利,用に寄与するものであること」を事業認定の要件と規定しているが,これは,土地が適正かつ合理的に利用されることになるか否かという点について,専ら国民経済的,専門技術的な観点に立って,当該土地がその事業の用に供されることによって得られるべき公共の利益と,当該土地がその事業の用に供されることによって失われる私的利益ないし公共の利益とを比較衡量することによって判断すべき義務を行政庁に課したにとどまるものであって,同号が起業地の周辺住民及び自然保護団体の環境上の利益を個別,具体的に保護する趣旨を含むものと解することはできない。 - 50 -都市計画法においては,公害防止計画が定められている場合には,都市計画はこれに適合することが求められるとする公害対策基本法の規定や,都市計画事業の実施に際し公害の防止等に適正な配慮がされることを期し,都民の においては,公害防止計画が定められている場合には,都市計画はこれに適合することが求められるとする公害対策基本法の規定や,都市計画事業の実施に際し公害の防止等に適正な配慮がされることを期し,都民の健康で快適な生活の確保に資することを趣旨及び目的とする東京都環境影響評価条例の規定から,個人の健康や生活環境に係る具体的な利益を保護する趣旨を見いだすことができる。これに対し,土地収用法には事業計画が公害防止計画に合致していることを要求する規定はなく,また,環境に係る利益等について具体的に定めた規定はない。環境に係る利益は,同法20条3号の適合性の判断において比較衡量の一要素として考慮される結果,保護されることがあったとしても,事業計画全体の合理性を基礎づける多数の得られるべき利益又は失われるべき利益の一つにすぎない。 (ウ)土地収用法上の事業認定が同法26条1項に基づいて告示されると,起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更を行うことが制限され(28条の3,起業者は,同法の手続により土)地の収用,使用をすることができ(35条以下,そのために起業者)に対し,起業地内の土地調書,物件調書作成のための立入調査権(35条1項,裁決申請権(39条1項)といった権限が与えられてい)る。 これらの規定によれば,起業地内の土地等について権利を有する者は,事業認定の取消しを求める法律上の利益を有するということができるが,起業地内の土地等について権利を有しない者は,事業認定に。 ,,よりその権利を侵害される立場にはないP3判決は前記のとおり都市計画法66条が,同法の事業認可の告示があったときは,施行者が,事業の概要について事業地及びその付近地の住民に説明し,意見を聴取する等の措置を講ずることにより,事業の施行についてこれら- り都市計画法66条が,同法の事業認可の告示があったときは,施行者が,事業の概要について事業地及びその付近地の住民に説明し,意見を聴取する等の措置を講ずることにより,事業の施行についてこれら- 51 -の者の協力が得られるように努めなければならないと規定していることを,都市計画事業の認可に関する同法の規定が良好な生活環境を保全すること等もその趣旨及び目的としていることの根拠の一つとした。他方,土地収用法28条の2は「起業者は,第二十六条第一項,の規定による事業の認定の告示があったときは,直ちに,国土交通省令で定めるところにより,土地所有者及び関係人が受けることができる補償その他国土交通省令で定める事項について,土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない」と定め。 ているにすぎず,そもそも周辺住民はその対象とされていない。この点でも,土地収用法が周辺住民の個別具体的利益を保護する趣旨を含むものでないことは明らかである。 (エ)P3判決は,都市計画法上,都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認められるときは,公聴会の開催等,住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとし(同法16条1項,都市計画を決定しようとする旨の公告があったときは,関係市)町村の住民及び利害関係人は,縦覧に供された都市計画の案について(,意見書を提出することができるものとしていること同法17条1項2項)を判示している。しかし,都市計画法上の手続と土地収用法上の手続には,以下のような相違があることに照らせば,そのような手続が設けられているという一事をもって,土地収用法について,起業地の周辺住民の具体的利益を保護する趣旨を導くことはできない。土地収用法において,事業認定に係る手続規定は,多くの人々の意見を ような手続が設けられているという一事をもって,土地収用法について,起業地の周辺住民の具体的利益を保護する趣旨を導くことはできない。土地収用法において,事業認定に係る手続規定は,多くの人々の意見を参考とし,できる限り公正妥当な事業認定が行われるための公益目的の規定であって,起業地の周辺住民及び自然保護団体の環境上の利益を個別,具体的に保護する趣旨を含むものではない。 すなわち,旧土地収用法23条は,事業認定機関は,事業認定に関- 52 -する処分を行おうとする場合において必要があると認めるとき,公聴会を開いて一般の意見を求めることができる旨規定するが,これは,事業の実施により影響が広範囲に及ぶものなどについては,同法20条の要件,特に同条3号の要件の認定をするに当たり,困難かつ微妙な価値判断が必要になる場合があるために設けられた規定である。公聴会は,利益の比較衡量に必要な情報の収集を目的とするものであって,起業地の周辺住民等の個々の健康や生活環境に係る具体的な利益を保護するものではない。また,都市計画法17条2項は,関係市町村の住民及び利害関係人は,都道府県知事又は市町村に対し,縦覧された都市計画の案について意見書を提出することができる旨規定する。他方,旧土地収用法25条は,事業認定に関する処分を行おうとする場合においてその公告があったときは,事業の認定について利害関係を有する者は,都道府県知事に意見書を提出することができる旨規定する。同条にいう「利害関係を有する者」とは,起業地周辺の住民で,事業の恩恵に浴する者や事業により環境面での影響を受ける者も含まれるものの,同条による意見の収集は,事業認定機関が事業認定に関する処分をするに当たって,広く一般からの意見を求めることにより,公正妥当な判断をするための資料を得ることを趣旨とす 響を受ける者も含まれるものの,同条による意見の収集は,事業認定機関が事業認定に関する処分をするに当たって,広く一般からの意見を求めることにより,公正妥当な判断をするための資料を得ることを趣旨とするものである。したがって,この意見書提出も,利益の比較衡量に必要な情報の収集を目的とするものであり,起業地の周辺住民等の個々の健康や生活環境に係る具体的な利益を保護するためその意向を事業に反映させるためのものではない。 イ処分の根拠となる法令と目的を共通にする関係法令の趣旨及び目的の参酌について(ア)控訴人らは,本件事業について,都市計画法上の都市計画決定がされていることから,土地収用法上の事業認定処分は,都市計画法上の- 53 -都市計画に適合しなければ違法である旨主張し,これを前提に,都市計画法,公害対策基本法及び東京都環境影響評価条例を関係法令と位置づけ,本件にもP3判決の判旨が妥当すると主張する。 (イ)しかし,土地収用法は,事業認定の対象となる事業の内容として同法3条各号,事業認定要件として同法20条各号を定めるだけで,当該事業が都市計画に一致しなければならないとの要件はなく,都市計画法上の違法は事業認定の取消原因とはならない。土地収用法は都市計画法と趣旨・目的を異にし,都市計画法の趣旨・目的を参酌するのは誤りである。また,そうである以上は,公害対策基本法と土地収用法との間にも何ら接点も関係もなく,これを関係法令として参酌することはできない。 (ウ)本件圏央道事業区間について,平成元年3月13日に,都市計画法11条の都市施設として,東京都知事により,同法に基づいて都市計画決定がされ,同決定の際,東京都環境影響評価条例に基づく本件環境影響評価が実施されている(乙19。しかしながら,控訴人らが)取消しを求めているのは, して,東京都知事により,同法に基づいて都市計画決定がされ,同決定の際,東京都環境影響評価条例に基づく本件環境影響評価が実施されている(乙19。しかしながら,控訴人らが)取消しを求めているのは,平成14年4月19日にされた土地収用法に基づく本件事業認定であり,本件事業認定申請に先立って,東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価の実施が義務付けられているものではない。起業者らは,平成13年11月20日の本件事業認定申請に当たって,本件環境影響評価以降に得られた新たな知見に基づき,本件事業の実施が環境に及ぼす影響について補足的に照査を行っているが,これは,東京都環境影響評価条例によって義務付けられた事後調査等ではなく,その結果は参考資料として起業者らから提出されたものにすぎない。東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価は,都市計画法の都市計画決定に当たって行われるものであって,土地収用法に基づく事業認定とは無関係であり,土地収用法との間には- 54 -何らの接点も関係もなく,同条例は,土地収用法と目的を共通にする関係法令であるということはできない。 ⑶本件における原告適格は,処分の根拠法令である土地収用法や,その関連法令の趣旨及び目的に照らして検討されるべきであるところ,土地収用法に関しては,起業地の周辺住民等の個々の健康や生活環境に係る利益を保護することを趣旨及び目的としているとは解されない。まして自然環境を悪化させないという利益を保護することを趣旨及び目的としていないことは当然である。甲事件一審原告らのうち本件起業地内の不動産について権利を有しない者には,本件事業認定の取消しを求める法律上の利益はなく,本件訴訟における原告適格は認められない。 また,甲事件一審原告らのうち権利能力なき社団である自然保護団体にすぎない者は, いて権利を有しない者には,本件事業認定の取消しを求める法律上の利益はなく,本件訴訟における原告適格は認められない。 また,甲事件一審原告らのうち権利能力なき社団である自然保護団体にすぎない者は,そもそも健康や生活環境に係る具体的利益を有するとはいえないから,この点からも,本件事業認定の取消しを求める法律上の利益がないことは明らかである。 大気汚染の被害について⑴原判決は,本件事業による大気汚染は環境基準内のもので,過大視すべきものとはいえないと判断している。控訴人らの原判決への批判は以下のとおり理由がない。なお,原判決は「起業地における圏央道の開通によ,り,相当な大気汚染が生じることが予想され,このような新たな環境への負荷が生じることは,好ましくない(原判決170ページ)とも述べて」いるが,都区部通過交通の圏央道への迂回交通のうち,大型車の割合が約6割と想定され,自動車による大気汚染の原因の大半が大型車であることを勘案すれば,大局的に見れば,圏央道は大気環境の改善に対しても大きな効果を有しているというべきである。 ⑵本件環境影響評価が複雑地形にプルーム・パフモデルを用いていることへの批判について- 55 -ア控訴人らは,本件環境影響評価を複雑地形にプルーム・パフモデルを用いているものであるとして批判するが,これらの拡散モデルは,複雑地形や地表に構造物等が存在する場合であっても,適正な予測をすることができる汎用性のあるものであり,本件環境影響評価における大気汚染予測は適切である。 イ控訴人らは,原判決は甲121にある拡散幅の限界について答えていないとも主張するが,そもそも甲121は拡散幅の限界を示したものではない。 ウさらに,控訴人らは,本件環境影響評価を検証する上で起業者らの行った風洞模型実験をも非難するが, の限界について答えていないとも主張するが,そもそも甲121は拡散幅の限界を示したものではない。 ウさらに,控訴人らは,本件環境影響評価を検証する上で起業者らの行った風洞模型実験をも非難するが,この風洞模型実験は,可能な限りα5地区の大気状況を再現して行ったものであり,その結果には,地形及び接地逆転層等による影響が十分に反映されており,プルーム・パフモデルを用いた予測評価結果を検証する方法として十分に信頼できるものである。なお,上記風洞模型実験において西風の場合しか検討していないが,α5地区においては,冬季夜間の卓越風向が西風であるため,上記風洞実験においても西風について実験したものであって(乙20,)控訴人らの指摘は理由がない。 ⑶控訴人らは,原判決が3次元流体モデルを用いた大気汚染シミュレーション(甲70,71)の結果を採用することができないとしたことについ,,。 て判断を誤ったと主張するが原判決の認定は以下のとおり正当であるア本件3次元流体モデルは,①気象モデルとして,α5地区周辺の気象条件を代表するとはいい難く,地形その他の影響を受けていないともいい難いα9測定室の気象条件を用いているため,α5地区の風向・風速を再現できていないこと,②発生源モデルとして日交通量を用いているため,時間の変化にともなう排出量の変化,風向の変化や,大気の安定度の変化が全く考慮されていないこと,③拡散モデルとして,およそ生- 56 -じ得ない状況を前提とするケース,理論的に適用すべきではない拡散式を用いるケースが含まれていること,④NOxをNO2に変換する際,変換割合が最も大きくなるα9測定室における相関関係を用いているため,実際より高いNO2濃度が算定されるおそれがあることであり,いずれも正しい認定である。加えて,甲70には,NO O2に変換する際,変換割合が最も大きくなるα9測定室における相関関係を用いているため,実際より高いNO2濃度が算定されるおそれがあることであり,いずれも正しい認定である。加えて,甲70には,NO2の年平均値で環境基準を超過するかを判断しているという問題もあり,3次元流体モデルの予測評価の信頼性を否定した原判決の判断は正当である。 イ甲70の正確性を検証したとする甲210も信頼性が低いことまた,控訴人らは,甲70の正確性を検証するとして提出した甲210を原判決が採用しなかったことも誤りであると主張するが,甲210については原判決が認定するとおり以下の問題がある。 すなわち,①道路からの影響が大きい道路端(中央道近傍等)の測定値を除外し,実測値と計算値との整合性が検証されていない一方で,バックグラウンド濃度の占める割合が高いため,実測濃度と計算値との整合が図られやすい道路からの影響が比較的小さい部分の検証となっていること,②精度の劣る簡易測定法を用いていること,③合理的な理由もなく甲70と大きくかけ離れたバックグラウンド濃度を採用していること,④予測結果と実測値の整合性の検証方法に問題があることなど問題を含むものであり,検証としての信頼性は著しく低い。 ウ予測に用いた3次元流体モデルは,予測単位であるメッシュサイズが大きいため,濃度勾配の大きい道路端及び道路近傍では検証が不可能であり,また,道路近傍以外の地域の濃度予測の検証も適正に行われているとはいい難く,検証の信頼性を否定した原判決は正当である。 なお,中央道近傍の測定点を除外したことについて,控訴人らは,道路近傍の濃度予測が目的でない旨主張するが,道路近傍の濃度予測が目的でないのであれば,高濃度地域が出現する結果となっている道路近傍- 57 -の予測値は,予測結果からも除くべ いて,控訴人らは,道路近傍の濃度予測が目的でない旨主張するが,道路近傍の濃度予測が目的でないのであれば,高濃度地域が出現する結果となっている道路近傍- 57 -の予測値は,予測結果からも除くべきである。そもそも,控訴人らは,「」,,道路近傍がどの範囲を指すのかどの範囲まで検証が不可能なのかまた評価に値しないのかの説明もしないまま,特定の測定点のみを除外しているのであって,このような調査は科学的根拠を欠く信頼性の低いものといわざるを得ない。 エ原判決が判断するとおり,被控訴人らは,控訴人らの行った3次元流体モデルによる予測(甲70,71)及び検証(甲210)について,種々の重要な問題点があることを指摘した。すると,控訴人らは,これに対応したと主張して,時間変動を考慮した交通量を用いた上,α9測定局,α11測定局(旧α23測定室,α12測定局及び本件環境影)響評価で用いたα5での気象データを用いて再計算を行ったと主張する(甲380,381。 )控訴人らは,3次元流体モデルにおいてα9測定室の気象データを用いたことについて「3次元流体モデルで重要なのは,地形・構造物の,影響を受ける前の風がいかなるものかという点である」と主張し「α,9測定室の気象データはα9測定室の地域の地形影響を受けたものではある「α9測定室の気象データのほうが「より上空の気象データに」,近い」といえるので,α9の気象データを用いた」などと主張した。控訴人らは,すでに地形・構造物の影響を受けていると自認するα5の気象データや,α9測定室よりも更に市街化された地域にあり,かつ,より標高の低い場所に位置し,地形・構造物の影響を受けていると考えられるα11測定局及びα12測定局(甲92)の気象データを用いて再計算を行い,その予測結果についてα9 街化された地域にあり,かつ,より標高の低い場所に位置し,地形・構造物の影響を受けていると考えられるα11測定局及びα12測定局(甲92)の気象データを用いて再計算を行い,その予測結果についてα9測定局の気象データによる予測結果に比べて「南西部側にやや汚染範囲が広がっている「むしろ人」,家への影響が広がる」などとし「いずれの気象条件を使っても環境基,準以上の大気汚染は起こる」と主張するに至ったものである。 - 58 -精度に問題のあるデータや誤ったデータを用いても,数値そのものは算出されるのであり,そのようなデータによる計算結果は不正確なものであることはいうまでもなく,上記再計算が,何ら科学的根拠を持たないものであることは明らかである。上記再計算は,3次元流体モデルによる大気汚染予測の正確性を証明するものでもなければ,甲70,71の正確性を証明するものでもない。 ⑷SPMに関する控訴人らの主張についてア控訴人らは,SPMについての予測評価が本件環境影響評価において行われず,環境基準を下回る評価が得られた本件環境影響照査においても,インターチェンジやジャンクションについての評価は行われていないことにつき,各時点で予測手法が確立されていないためやむを得ないとした原判決の判断に対し,本件環境影響評価の結果が発表された昭和63年12月には,限定された手法であったとはいえ予測は可能であっ,,,たし本件環境影響照査が行われた平成14年にはインターチェンジジャンクション部分も過小評価になることを前提に予測ができたと主張する。 イしかしながら,本件環境影響評価が行われた昭和61年当時には,SPMの汚染予測方法が確立されておらず(乙20,本件環境影響照査)が行われた平成14年当時も,インターチェンジやジャンクションにおける加速 ながら,本件環境影響評価が行われた昭和61年当時には,SPMの汚染予測方法が確立されておらず(乙20,本件環境影響照査)が行われた平成14年当時も,インターチェンジやジャンクションにおける加速車線や減速車線の走行パターンに対応したSPMに関する排出(,),係数の設定方法が解明されていなかったこと乙25の1丙15はいずれも原判決が認定するとおりである。本件環境影響評価が行われた当時の旧東京都環境影響評価条例10条は,予測及び評価の項目について「予測及び評価の項目は,大気汚染,水質汚濁,土壌汚染,騒音,,振動,地盤沈下,悪臭,日照阻害,電波障害その他の公害,植物,動物,,,,その他の自然環境史跡文化財その他の歴史的環境景観等について- 59 -すでに得られている科学的知見に基づき予測及び評価を行うことが可能なもののうちから選択するものとする」と規定しており,このことからも,当時,十分な科学的知見が得られていなかったSPMに関する予測をしなかったからといって,本件環境影響評価が適正に行われなかったということができないことは明らかである。なお,この点について,東京高等裁判所平成▲年(行コ)第▲号事件の判決(乙73)も「以上,認定した事実によれば,浮遊粒子状物質(SPM)に関しては,工場,事業場からのばいじん,土壌,自動車排出ガス,自動車の巻き上げ等発生源が多様であり,各発生源からの発生状況を把握するための情報が乏しく,また,ガス状で排出された物質が大気中の物理的科学的変化により粒子化するいわゆる二次生成について反応機構,変換速度等が不明確であること等から,その汚染機構は明らかでない部分が多く,平成9年6月時点においても,環境庁の政府委員が,国会の委員会において,浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染の 反応機構,変換速度等が不明確であること等から,その汚染機構は明らかでない部分が多く,平成9年6月時点においても,環境庁の政府委員が,国会の委員会において,浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染の予測手法がまだ十分確立されていない状況である旨の答弁を行う状況にあり,昭和62年の前記「浮遊粒子状物質汚染の解析・予測(環境庁大気保全局大気規制課監修」のもの)の掲げる解析手法も未だ多くの課題を抱え,環境濃度の再現。 精度が十分でなく,いわば試行的なものにすぎず,そして,本件環境影響評価がなされた当時浮遊粒子状物質(SPM)が大幅に基準値を上回ることを推測させるような的確な証拠はなく,なお,本件事業認定後に行われた環境影響照査によれば,その予測値は基準値を下回る程度のものであったことが認められるから,このような事実に照らすと,本件環境影響評価の際に,浮遊粒子状物質(SPM)の将来予測を行わなかったことをもって合理性を欠くものということはできない」と判示して。 いるところである。 ウ控訴人らは,原判決が今後SPM濃度の改善を期待できるとしたこと- 60 -には根拠がなく,本件事業が完成した後の周辺地におけるSPM濃度が環境基準以下になると期待することは非科学的であるなどと主張する。 しかしながら,原判決が認定したとおり,本件環境影響照査においては,SPMについて環境基準を下回る予測結果が得られ,本件事業認定当時における東京都内のSPM濃度に関して,東京都で減少あるいは横ばいである旨の分析がされ,国や地方自治体によりSPMに関する改善施策が積極的に進められていた(乙35ないし40)のであり,加えて本件事業認定後においても,平成15年10月から「粒子状物質排出基準の遵守等-ディーゼル車の排出ガス規制-」が施行されているところであって,改 的に進められていた(乙35ないし40)のであり,加えて本件事業認定後においても,平成15年10月から「粒子状物質排出基準の遵守等-ディーゼル車の排出ガス規制-」が施行されているところであって,改善の期待に根拠がないという批判は当たらない。現に,SPM濃度の改善は着実に進んでおり,最新のデータである平成18年9月4日に東京都が発表した「平成17年度大気汚染状況の測定結果について」によれば,SPMについて「初めて都内の全ての測定局で環境基準を達成することが出来ました」とされており「一般局では,昨年。 ,に続いて2年連続で達成しました,また「自排局(自動車排出ガス。」,測定局)では,昭和48年に観測を開始して以来初めて全局で達成しました」とされているのである(乙82。また,東京都と同様の施策。 )を行っている神奈川県において,平成18年6月30日に発表した「平成17年度大気環境及び水域環境の状況について(概要」によれば,)一般局については調査開始以来初めて全局で環境基準を達成し,自排局については未達成は1局のみで,測定局全体でみると達成率は過去最高となったとされている(乙83。このことは,埼玉県(乙84)及び)千葉県(乙85)でも同様の傾向が見られる。なお,平成18年10月13日に環境省が発表した「平成17年度大気汚染状況について」によれば,全国規模において,環境基準の達成率は,平成16年度に比べてやや低下しているが,年平均値の推移は近年ゆるやかな改善傾向がみら- 61 -れるとされている(乙86。 ) 騒音被害について⑴控訴人らは,起業者らの騒音予測に関する控訴人らの主張を排斥した原判決の判断が誤りであると主張するが,その主張は以下のとおり理由がない。 アまず,控訴人らは「道路に面する地域」について環境基準を 控訴人らは,起業者らの騒音予測に関する控訴人らの主張を排斥した原判決の判断が誤りであると主張するが,その主張は以下のとおり理由がない。 アまず,控訴人らは「道路に面する地域」について環境基準を緩和し,た理由は,道路からの受益が前提になっているとして「道路に面する,地域」とは道路に建物が接しているか面していることにより道路から利益を得ている場合であると主張する。 しかしながら,道路交通騒音に係る環境影響評価は,道路の新設により発生する騒音の影響が及ぶ範囲について,その影響の程度を予測評価するものであるから,その対象地域は,本来「道路に面する地域」と一致するものでなければならず「道路に面する地域」が「道路交通騒,,音が支配的な音源である地域(丙19)あるいは「当該道路より発す」る道路交通騒音の影響を受ける地域(乙32,丙41)を意味するこ」とは,旧環境基準及び新環境基準の解説からも明らかである。控訴人らが主張の根拠とする指針値設定の理由についてみても旧環境基準の道,「路に面する地域」の指針値は,単に道路からの受益性という観点のみでなく,道路の公共性,当該地域の道路による受益性,道路交通騒音の実,,態などを総合的に踏まえて設定されたものであって控訴人らの主張は「道路に面する地域」の指針値設定の理由を正解しないものといわざるを得ない。このことは「道路に面する地域」の考え方について「我,,が国の活発な経済活動を反映して主要幹線道路などの交通量が著しく増加していること,道路の公益性は極めて高いものでありながら必ずしも道路網が整備されていないこと,道路周辺の地域住民が道路から利便を得ている場合が少なくないことなどの事情を考慮して,道路に面する地- 62 -域について道路に面しない裏側の地域と同じ基準を適用することは が整備されていないこと,道路周辺の地域住民が道路から利便を得ている場合が少なくないことなどの事情を考慮して,道路に面する地- 62 -域について道路に面しない裏側の地域と同じ基準を適用することは妥当ではないと判断され設定されたものである。また,車線数によって基準値に差が設けられたのも,一般に車線数の多い道路ほど幹線道路としての性格が強く,公益性がより大きくなり,このような幹線道路に面する地域は,道路交通騒音についてより受忍性が強いと考えられたからである」とされていること(丙124)からも明らかである。 イ控訴人らは,新環境基準において「幹線交通を担う道路に近接する,空間」を道路端から20メートルの範囲の距離としていることに照らすと「道路に面する地域」は道路端から20メートルの範囲を想定して,いる旨主張する。しかし,新環境基準における「幹線交通を担う道路に近接する空間」の基準値は「道路に面する地域」の特例として掲げら,れているのであるから「道路に面する地域」が「幹線交通を担う道路,」。 ,に近接する空間より広い概念であることは明らかであるしたがって「道路に面する地域」の該当性判断については,道路境界からの距離で一律に定義するのは適切ではなく,環境基準における「道路より発する道路交通騒音の影響を受ける地域」との定義を踏まえ,一般的には,当該地点の騒音測定を実施し,その測定結果により主たる音源が道路交通騒音であるかを判別し,これにより当該地点での評価において,道路に面する地域の基準値を適用するかの判断を行うことになる。 ⑵甲92についてア控訴人らは,原判決が控訴人らの騒音予測評価(甲92)の信頼性を否定したのは誤りであると主張する。 しかし,甲92は,シミュレーションの計算範囲の設定について,実際に使用した地形データ についてア控訴人らは,原判決が控訴人らの騒音予測評価(甲92)の信頼性を否定したのは誤りであると主張する。 しかし,甲92は,シミュレーションの計算範囲の設定について,実際に使用した地形データや各予測地点の予測高さについて何ら具体的な記載がなく,地点における評価及び面的評価のいずれにおいても,地形による騒音の反射や吸収の有無,そのほか地形が騒音の伝播に及ぼす影- 63 -響について,どのような地形のどのような状態をどのように考慮したのかが全く明らかではなく,原判決が判示するとおり科学的な根拠に乏し。 ,,. いものである控訴人らが主張するところも結局予測高さが地上12メートルであることと,地形データの結果が甲92の4ページの図3-2であることの説明にとどまり,上記の問題点を解消するものではない。 イまた,控訴人らは甲92と本件環境影響照査との結果の違いは環境基準の当てはめの違いに尽きるかのように主張する。まさに,その当てはめにおいて,甲92が「道路に面する地域」の判断を誤り,背後地につ「」,「」いて道路に面する地域の環境基準を用いず一般のA及びB類型の環境基準を用いている点において誤っているのである。 ウ控訴人らは,高速道路における走行速度の実態のほか,甲92が用いたモデルは将来の自動車騒音規制を考慮して自動車のパワーレベルを低減させているのに対し,その改良モデルではこれを考慮していないこと,。 を挙げ予測騒音は甲92より3ないし4デシベル高くなると主張するしかしながら,実際の走行速度なるものに科学的,実証的な妥当性は認められないのであって,このようなものを科学的根拠に乏しい甲92に反映させても,科学的根拠を有する結果が得られるわけではないし,本件環境影響評価の騒音の予測評価が適正にされていな 実証的な妥当性は認められないのであって,このようなものを科学的根拠に乏しい甲92に反映させても,科学的根拠を有する結果が得られるわけではないし,本件環境影響評価の騒音の予測評価が適正にされていないことになるわけでもない。また,改良モデルについても,2003年のモデルを本件環境影響評価及び本件環境影響照査に反映させることは不可能であるから,控訴人らの主張は考慮に値するものではない。 ⑶控訴人らは,原判決が高尾山登山道が環境影響評価の予測評価の対象とならないと判断したことを批判する。 しかし,本件環境影響評価における騒音の予測は,建設省技術指針(丙1)及び東京都技術指針(丙5)に基づき,本件環境影響照査は,建設省- 64 -の技術手法(平成12年10月)及び東京都技術指針(平成11年7月。 乙24)等に基づいて実施されたものであり,原則として官民境界から80メートルないし150メートルまでの範囲について予測が行われ,八王子ジャンクションが位置するα5地域においては,本件事業の計画,地形の状況及び住居の位置等にもかんがみ,最大でおおよそ200メートルの範囲における平面予測が行われている(乙19。そして,このような予)測地域の設定は,上記各技術指針等に照らし適切妥当といえる。高尾山登山道は,上記予測地域の範囲から大きく外れている。したがって,住居の存在しない高尾山登山道については,制度上,環境影響評価を行うことは必要とされていないとする原判決の判断は正当であり,本件環境影響評価及び本件環境影響照査において,かかる地域まで騒音の予測地域としていないとしても,何ら不合理なことではない。 ⑷本件環境影響評価及び本件環境影響照査におけるα5地域における夜間の予測値については「道路に面する地域」の夜間の旧環境基準及び新環,境基準を下回ってい ないとしても,何ら不合理なことではない。 ⑷本件環境影響評価及び本件環境影響照査におけるα5地域における夜間の予測値については「道路に面する地域」の夜間の旧環境基準及び新環,境基準を下回っているところ,控訴人らは「道路に面する地域」におけ,る環境基準では睡眠妨害を防止できないと主張する。 旧環境基準及び新環境基準における「道路に面する地域」の環境基準の指針値の設定においては,睡眠に対する影響が適切に考慮されており,本件事業によって控訴人らの主張するような深刻な睡眠妨害が生じるものではない。環境基準については「常に適切な科学的判断が加えられ,必要,な改定がなされなければならない(環境基本法16条3項)と規定され」ているところ,新環境基準を定めるに当たっては,中央環境審議会が,平成10年5月22日,環境庁長官に対し「騒音の評価手法等の在り方に,」,,,「」ついてとの答申をしこれに基づき環境庁は騒音に係る環境基準を告示した(環境庁告示第64号。新環境基準への改訂は,旧環境基準),,の設定以来年月を経ていたことから環境基準全般の見直しを含んでおり- 65 -最新の科学的知見に基づき,政府の新たな目標値として定められたものである。新環境基準は,まず,屋内指針を定め,これに住居の遮音性能を考慮して夜間と昼間の屋外基準を求め,さらに,一般地域と道路に面する地域の区分や地域特性の区分などにより基準値を定めている。この屋内指針値については,中央環境審議会答申において,昼間については会話影響から,夜間については睡眠影響から,それぞれ等価騒音レベルを用いて定めている。夜間の屋内指針において,一般地域と道路に面する地域で5デシベルの差があるのは,騒音レベルの変動が大きい場合は,より低いレベルで睡眠影響が生じるとの考え方 それぞれ等価騒音レベルを用いて定めている。夜間の屋内指針において,一般地域と道路に面する地域で5デシベルの差があるのは,騒音レベルの変動が大きい場合は,より低いレベルで睡眠影響が生じるとの考え方によるものである。また,屋外の基準設定に必要な家屋の遮音性能については,旧環境基準と同様に10デシベルとしているが,上記中央環境審議会での資料によれば,窓を開けた状態で平均9.1デシベル,窓を閉めた状態では平均23.8デシベルであり,我が国の最近の建物の遮音性能は,一般には著しく向上している(丙124。屋外の基準である道路に面する地域の環境基準の指針値のうち,専)ら住居の用に供される地域(C地域,新環境基準の「A地域のうち,2車線以上の車線を有する道路に面する地域」と同義)の指針値を定めるに当たっては,地域補正に関する考え方を総合すると,C地域はA地域に対して昼間+5デシベルの補正を行うことが考えられる。また,騒音影響に関する屋内指針において,道路に面する地域の睡眠影響に関する指針値が一般地域のそれに対して5デシベル高くなっていることから,夜間については更に+5デシベル補正し,A地域に対して計+10デシベルの補正を行うことが考えられる。そこで,昼間60デシベル以下,夜間55デシベル以下とすると,ある程度窓を開けた状態(防音効果が15デシベルとなる),。 状態においても騒音影響に関する屋内指針を満たすことが可能である新環境基準においては,これらの諸点を踏まえ,C地域における環境基準の指針値については昼間60デシベル以下,夜間55デシベル以下とする- 66 -ことが適当であるとされたのである(丙42。控訴人らは,WHOのガ)イドラインを指摘するが,上記ガイドラインはWHOが各国政府に対し,報告資料に記載された基準値を遵守するよう勧告 る- 66 -ことが適当であるとされたのである(丙42。控訴人らは,WHOのガ)イドラインを指摘するが,上記ガイドラインはWHOが各国政府に対し,報告資料に記載された基準値を遵守するよう勧告するなどしたものではなく,これによって我が国の環境基準が直ちに不合理となるものではない。 ⑸控訴人らは,甲92の予測結果から控訴人らの居住地に深刻な睡眠妨害が発生するレベルの騒音被害が予測されると主張する。 しかし,本件環境影響照査と甲92の結果の違いが専ら「道路に面する地域」の基準か「一般住宅地域」の基準かの当てはめにあることは,控訴人ら自身が主張するところであり,その当てはめが誤っており,控訴人ら主張の騒音被害の根拠である甲92の予測に科学的な根拠が乏しいことは,,。 前記のとおりであるからいずれにしても控訴人らの主張は理由がない⑹控訴人らは,高速道路における実際の走行速度は,時速100キロメートルが実態であり,平均走行速度が時速80キロから100キロになれば騒音は4デシベル高くなると主張し,規制速度ないしその上限値と考えられる設計速度である時速80キロメートルを用いた本件環境影響評価に問題があると主張する。しかし,平均走行速度の設定は環境影響評価の手法に従ったものであり,設計速度の趣旨からも,これを大幅に超えるような走行をもって適切な平均走行速度と認めることができないこと,将来の圏央道における平均走行速度が設計速度を上回るとは限らないことは,原判決が判示するとおりであって,上記控訴人らの主張が,科学的・実証的に認められているわけではない。平均走行速度を時速80キロメートルとした予測評価に合理性を認めた原判決の判断は正当である。 ,,,参加人らは本件事業の実施に当たり沿道の道路交通騒音対策として本件環境影響照査における計画交 。平均走行速度を時速80キロメートルとした予測評価に合理性を認めた原判決の判断は正当である。 ,,,参加人らは本件事業の実施に当たり沿道の道路交通騒音対策として本件環境影響照査における計画交通量の見直しに伴って必要となった遮音壁の追加対策を今後実施していくとともに,低騒音舗装(高機能舗装)の導入などの適切な対策を実施し,さらに騒音の低減を図ることを目指して- 67 -いる。 ⑺控訴人らは,本件環境影響評価が,圏央道と一般国道411号の交差部分しか合成騒音の予測をしておらず,中央道などとの合成騒音を予測していないのは不当であると主張する。 しかし,環境影響評価は,事業の実施が環境に及ぼす影響について予測及び評価を行うものであって,既存道路との合成騒音を予測することは,環境影響評価技術指針にも規定されていない。また,本件環境影響評価においては,本件事業区間のうち,特に合成騒音の影響を考慮する必要が高いと考えられる,中央道,都市計画道路秋2・3・3,都市計画道路青2・3・13について予測が行われ,参考として,主要幹線道路である一般国道411号との交差部及び交通量が最も多く主要幹線道路を代表する主要地方道であるα13街道との交差部における騒音の合成結果が検討されている。なお,控訴人らは評価の指標を下回ることを合理的に説明できないと主張するが,本件環境影響評価においては,中央道と接続される八王子ジャンクションがあるα5地域においては,圏央道,ランプ及び中央道の各影響要因を検討し,圏央道両側に高さ3メートルの遮音壁及び幅20メートルの環境施設帯を,中央道の南側に高さ3メートルの遮音壁を設置するとし,適切な環境保全のための措置を講ずることにより,予測結果において評価の指標を下回ったものであって,合理的に説明できないという指摘は理由がな 帯を,中央道の南側に高さ3メートルの遮音壁を設置するとし,適切な環境保全のための措置を講ずることにより,予測結果において評価の指標を下回ったものであって,合理的に説明できないという指摘は理由がない。 ⑻控訴人らは,控訴人P7宅における騒音調査結果(甲376,377)の評価に際し,夜間における屋外の環境基準については55デシベル,屋内についての基準については,近接空間の屋内基準値及びWHOのガイドラインで評価することを前提として,被控訴人らが主張する「道路に面する地域」に係る環境基準をも超える上,屋内での環境基準も超え,深刻な騒音被害が生じていると主張する。しかし,屋外の環境基準の適用につい- 68 -ては「騒音に係る環境基準について(乙29)に定める地域の類型に,」応じて評価し,地域の類型の当てはめは都道府県知事が指定することとされており,控訴人P7宅が存在する地域は,都市計画法8条1項1号の規,「」定により用途地域の定められていない地域であるため地域の類型のBに当たることとなる(乙28の3。そして,控訴人P7宅が存在する地)域に適用すべき環境基準は「B地域のうち2車線以上の車線を有する道,」,「」路に面する地域に係る基準であり夜間については60デシベル以下が適用される。また,近接空間とは,2車線を超える車線を有する道路の場合,道路端から20メートルの距離の範囲を意味するのであって,控訴人P7宅が存在する場所は近接空間には該当しないのであるから,当該空間で一定の条件を満たす場合に適用することができる「屋内へ透過する騒音に係る基準」を適用することを前提とした控訴人らの主張は,何ら正当な根拠に基づくものではない。もっとも,控訴人らが実施した控訴人P7宅における騒音測定値(61デシベル)は,被控訴人らが主 過する騒音に係る基準」を適用することを前提とした控訴人らの主張は,何ら正当な根拠に基づくものではない。もっとも,控訴人らが実施した控訴人P7宅における騒音測定値(61デシベル)は,被控訴人らが主張する「60デシベル以下」との環境基準を上回っている。しかし,控訴人らが調査した時点では,控訴人P7宅付近の中央道については遮音壁が設置されていなかった(丙132)ところ,前記のとおり本件環境影響評価及び本件環境影響照査では,α5地域において圏央道本線両側に高さ3メートルの遮音壁等を設け,中央道南側に高さ3メートルの遮音壁を設置することが予,,定されておりこれらの適切な環境保全のための措置を講ずることにより上記騒音は低減するものと考えられる。さらに,本件環境影響評価及び本()件環境影響照査においては考慮されていなかった低騒音舗装高機能舗装を導入するといった対策も実施し,更に騒音の低減を図ることが予定されている。このような適切な騒音対策により,環境基準を下回ることが見込まれるのである。 水文環境に与える影響について- 69 -⑴本件事業認定の適法性判断の基準時は本件事業認定時であり,本件事業認定後の事実は,本件事業認定の適法性判断とは直接には関係がない。したがって,控訴人らが,当審において,事業認定後の水文環境に関する事,。 実について主張する点も本件事業認定の適法性に直結するものではない本件事業認定について事業認定時において存在していた事実等と当該事実等を基礎とした当時の被控訴人国土交通大臣の判断が適正であったことは,原判決が認定するとおりである。また,東京高等裁判所平成▲年(行コ)第▲号事件の判決(乙73)が「本件事業認定後,工事の過程で,,本件トンネル,八王子市α3α37地区等において地下水の水位低下や井戸の水涸 定するとおりである。また,東京高等裁判所平成▲年(行コ)第▲号事件の判決(乙73)が「本件事業認定後,工事の過程で,,本件トンネル,八王子市α3α37地区等において地下水の水位低下や井戸の水涸れが発生したことが認められるが,これらは,事業認定後の工事の施工方法等の問題であって,ただちに事業認定の違法性に直結するものではない」と判示しているところである。 。 ⑵被控訴人らは,以下のとおり,本件トンネル工事に着手する前に十分な調査・検討を行い,かつ,慎重に工事を実施してきたものである。 ア起業者らは,本件トンネルが国史跡指定のα6城跡の下を通過することに配慮し,平成3年度から平成8年度にトンネルが通過する地域の地質の把握等を目的とするボーリング調査を実施するとともに,平成6年度から(一部平成2年度より)水理機構を把握するための降水量,地下水位,河川流量,水質,土壌水分等の水文調査を継続して実施し,それらの調査結果を踏まえてトンネル技術検討委員会において工事着手前における施工検討を実施し,止水構造の採用などの対策を計画した。 イ上記調査結果によると,トンネルが計画される岩盤深部の地下水位と地山浅部の地下水位との間には約50メートル以上の差があること,また,地山浅部の地下水位が降雨に敏感に反応するのに対し,岩盤深部の地下水位は変化が緩慢であり,地山浅部のような降雨の影響を受けていないことからすると,両者の地下水は直接連続していないと判断される- 70 -こと,α15川の河川水(α14の滝で採水)の電気伝導率は,100μS/cm前後で,岩盤中の地下水の電気伝導率は,150ないし200μS/cmとかなり高いことから,α14の滝より上流側のα15川の河川水の大部分は土壌,表層の土砂又は岩盤浅部に蓄えられていた水や雨水が河川に流出したもの の地下水の電気伝導率は,150ないし200μS/cmとかなり高いことから,α14の滝より上流側のα15川の河川水の大部分は土壌,表層の土砂又は岩盤浅部に蓄えられていた水や雨水が河川に流出したもので,岩盤深部の地下水はほとんど含まれていないことが判明した(丙22。さらに,α15川沿いの地質は,全)般に割れ目が多いことから,α15川直下においては河床からトンネル間の岩盤(砂岩・頁岩互層)への透水性はやや高いことも判明した。そのため,本件トンネルの施工にあたっては,トンネル内に水を引き込まず,かつトンネル沿いにα15川流域から他流域に地下水が流出しないよう万全の対策を実施することとした。 ウ起業者らは,事業を進めるに当たって,自然環境への影響に十分配慮する必要があるため,学識経験者等から構成される環境保全対策検討委員会を設置し,本件トンネル工事の施工に当たっても,同委員会から施工方法等について提案を受けた。環境保全対策検討委員会は,平成13年度から「トンネル技術検討委員会」として再編され,同委員会は止水対策を始めとしたトンネル施工方法全般につき検討を行っていた(丙125。 )⑶本件トンネル工事に当たっての水文環境の保全対策についてア本件トンネル工事に際しては,地域の水文環境を保全するため,α14の滝上流部のα15川集水域を通過する約1キロメートルについて止水構造(地山止水構造及び覆工止水構造)を採用することとし,また,トンネル縦断方向への地下水の流れが生じて,地下水が他流域に流出することがないよう,止水構造の両端部について,止水壁を形成するとともに,地山と防水シートの間の空隙を埋めてトンネル縦断方向への水の流れを止めるためグラウト(注入材)を注入するウォーターバリアを複- 71 -数設置するなどした。また,α25北支流付近 成するとともに,地山と防水シートの間の空隙を埋めてトンネル縦断方向への水の流れを止めるためグラウト(注入材)を注入するウォーターバリアを複- 71 -数設置するなどした。また,α25北支流付近についても同様に,北支流を通過する100メートル区間について止水構造及び止水壁を形成することとした(丙22,23。本件トンネル工事は,トンネル技術検)討委員会の助言を得ながら施工し,平成19年2月24日に本件トンネルの止水構造は完成した(丙154。 )イ本件トンネル工事施行後の状況について(ア)α26の井戸に水を供給している地下水は,地山浅部の強風化砂岩層と弱風化砂岩層の境界面上にある中間層地下水によってまかなわれ,下方の岩盤内の地下水からの涵養は受けていないと考えられること,本件トンネルがα26の井戸の約140メートル西方,約180メートル下方に位置することからも,本件トンネル工事によって,α26の井戸が影響を受けることはなく,その水位の変動は降雨量の影。 ,響と考えるのが合理的である本件トンネル工事の先進導抗が貫通し1年以上が経過した平成17年11月時点においても,α26の井戸の水位に影響している徴表は見られなかった。最新のα26の井戸と観測孔2の水位を表すグラフにおいても,地下水の変動に相関は見られず連動性は低いことが裏付けられた(丙162。 )(イ)観測孔2の水位について平成14年1月22日から同年2月1日にかけて観測孔2の水位低下があり,起業者らは,直ちに掘削を一時休止し,施工方法について専門家の意見を踏まえ,NATM(機械掘削)工法に加えてシールド工法による先進導坑を掘削する工法が採用され,掘削再開後のα26の井戸の水位,α14の滝の流量については,先進導抗(シールド)貫通後においても降雨による影響以外に特段の 械掘削)工法に加えてシールド工法による先進導坑を掘削する工法が採用され,掘削再開後のα26の井戸の水位,α14の滝の流量については,先進導抗(シールド)貫通後においても降雨による影響以外に特段の変化は生じず,観測孔2の水位は,平成16年11月時点まで約10か月間上昇を続け,TP+(標高。以下同じ)345メートルを超えるところまで上昇した- 72 -(水位低下前に比べてマイナス約3メートルの水位。先進導抗が。)貫通し(平成16年8月,1年以上経過した拡幅掘削の開始までの)時点においても,観測孔2の地下水位は安定して推移し,掘削が観測孔2の水位に影響を与えている徴表は見られなかった。なお,平成17年10月19日から拡幅掘削を開始したところ,観測孔2の水位が同月22日頃から低下を始めた。しかし,この水位低下は,平成17年2月開催の平成16年度第3回トンネル技術検討委員会において予想されていたものであり(丙126,平成17年度第3回トンネル)技術検討委員会において再度検討した結果,①α14の滝の流量及びα26の井戸の水位は,観測孔2の水位低下前後で大きな変化は認められず,トンネル掘削中及び施工完了後を通じてほとんど影響はしないと考えられる,②観測孔2の地下水位は,拡幅掘削の進行に伴い,低下傾向を示しているものの,早期に覆工コンクリートが構築されることにより,水位は徐々に上昇すると考えられると結論した(丙127。平成18年6月13日には標準断面による拡幅掘削が完了し,)その後,平成19年2月24日には覆工止水構造が完成した。 ,,(ウ)起業者らは平成18年度第1回トンネル技術検討委員会においてα15川の表流水が早く減少する傾向の原因を検討するため,覆工後のトンネルルート付近の岩盤地下水の挙動を早期に把握することを目的と (ウ)起業者らは平成18年度第1回トンネル技術検討委員会においてα15川の表流水が早く減少する傾向の原因を検討するため,覆工後のトンネルルート付近の岩盤地下水の挙動を早期に把握することを目的として,トンネル覆工裏面に水圧計を設置することが決定され(丙),, 上り線及び下り線のトンネルの外側部分にそれぞれ5箇所水圧計を設置し水圧を測定していたが(丙154,平成19年1月)10日頃から,止水構造の中間付近で「トンネルの外側の水圧」に,上昇傾向がみられ(丙155,その後,同年2月16日頃は,上り)線及び下り線のすべての水圧測定箇所において水圧の上昇が認められるとともに,同年2月8日頃から,観測孔2の水位も上昇し始め,約- 73 -5メートルの水位上昇が認められた(丙156。このような岩盤地)下水の水位上昇傾向は,その後も続き,同年3月5日,トンネル外側に設置しているすべての水圧測定箇所で水圧が上昇し続け(丙154,観測孔2の水位も,同月22日,約1か月半で約13メートル)の上昇が認められた。トンネル技術検討委員会は,本件トンネルの止水構造が予定どおり機能し,地下水全体が回復し始めているとの見解()。 ,を示した丙157その後も岩盤地下水の水位は上昇傾向を示し同年8月14日,水位は約TP+338メートルまで上昇し,平成17年10月19日の水位であるTP+345メートルに対し低下分の約7割まで回復し,地下水位は予測どおり上昇している(乙87。 )⑷α15川・α14の滝等の表流水についてア控訴人らは,平成17年5月以降,頻繁にα14の滝が涸れるという事態が生じ,これが本件トンネル工事の影響であると主張する。 ,,(),しかしα15川はもともと崖錐及び渓流堆積物土砂が分布し河川水が地表に現 月以降,頻繁にα14の滝が涸れるという事態が生じ,これが本件トンネル工事の影響であると主張する。 ,,(),しかしα15川はもともと崖錐及び渓流堆積物土砂が分布し河川水が地表に現われないで地中を流れる箇所もあり,雨が降った後は表流水が見られるものの,雨が降らない期間が続くと再び地表面の水が見えなくなること,α15川の3箇所の流量観測地点について,より下流にある観測地点の流量の方が下回ることがあることは以前から判明していた(丙142,148ないし150。また,トンネル技術検討委)員会において,観測孔2の水位が安定して推移していること,α15川の流量が降雨に対して明瞭に応答していること,本件トンネルの掘削前後で,同トンネルを挟んだ流量観測点間の流量の相関に大きな変化は見,,られないこと平成17年3月1日から同年5月21日までの降水量が昭和33年以降同時期で最も少ないものであったことなどの意見が示され,同委員会は,表流水が見られなくなった原因は,平成17年春季の少雨傾向によるものと結論した(丙128。 )- 74 -イまた,平成17年12月,α14の滝において,再び表流水が見られなくなったことについても,観測孔2の水位は低下傾向を示しているものの,覆工コンクリートが構築されることにより,水位は徐々に上昇すると考えられること,α15川の流量が降雨に対して明瞭に応答していること,本件トンネルの掘削前後で,流量観測点間の流量の相関に大きな変化は見られないこと,同年10月21日から同年12月20日までの降水量は平年の3分の1程度であり,昭和33年以降で3番目に少ないことなどの意見が示され,同委員会は,表流水が見られなくなったのは一般的な秋期から冬期の少雨傾向によるものであるとの結論を得た(丙142。 )ウ平成1 程度であり,昭和33年以降で3番目に少ないことなどの意見が示され,同委員会は,表流水が見られなくなったのは一般的な秋期から冬期の少雨傾向によるものであるとの結論を得た(丙142。 )ウ平成18年1月中旬以降の表流水が早く減少する傾向について,同年3月16日,施工業者である共同企業体も参加メンバーとする「α6城跡水環境保全施工対策チーム」を立ち上げ,水文環境の保全について万全な体策を検討・整備しながら施工することとし(丙143,水環境)保全に関し,今後の監視と管理を行うため「α6城跡トンネル水環境,保全管理計画」を策定し,いっそう水環境保全に向け取り組むこととした(丙145。同年7月11日及び同年8月3日のトンネル技術検討)委員会においては,α15川の表流水と本件トンネル施工の関係につい,,て明確な因果関係を示すデータ等は現時点では見当たらないことから現時点において「α14の滝」の流量と本件トンネル施工の関係を解,明することは非常に困難であり,今後も覆工裏面水圧など,岩盤地下水の上昇状況と表流水及び坑内湧水の挙動の把握といった覆工の施工経過で生じる事実を把握し,データを蓄積した上で可能な限り速やかな原因究明に努めることが望ましいとの見解が示され,他方,同委員会において,できる限り早期に覆工による止水構造を完成させることが重要であるとの見解が示された(丙152。その後,起業者らは,上記のとお)- 75 -り止水構造を完成させ,観測孔2の水位は回復を続けるに至った。 このような経緯からすれば,α14の滝が涸れるのが本件トンネル工事の影響であるとの主張に理由がないことは明らかである。 ⑸控訴人らは,観測孔2の水位が3メートル回復しなかったことにつきその科学的メカニズムは全く解明されていないとか,現状においてもトンネル 工事の影響であるとの主張に理由がないことは明らかである。 ⑸控訴人らは,観測孔2の水位が3メートル回復しなかったことにつきその科学的メカニズムは全く解明されていないとか,現状においてもトンネル湧水は存在し,仮にトンネル内湧水が見掛け上存在しなくなったとしてもトンネル側壁に沿って新しい「水みち」ができ,地下水の流れが変わったり水位が変化することは当然に予測されると主張する。 しかし,上記のような覆工止水構造完成前後の水位の動向を見れば,岩盤地下水の水位は被控訴人らの予測に従って推移し,控訴人らの主張は失当である。 以上のとおり,本件トンネル工事が,本件トンネル周辺の水文環境に著しい影響を及ぼすものではないことが明らかである。 本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益について⑴広域的な視点による利益ア原判決は「本件圏央道事業及び中央道と圏央道とを接合する本件八,王子ジャンクション事業は,広域的視点から見れば,①都区部を通過する都心部に流入する交通を一部分散させるものであって,都区部の交通混雑の緩和に大いに役立つとともに,②首都圏全体の交通の円滑化に資するものであり,また,③東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する諸都市が相互に連絡するネットワークの一翼を担うことにより,地域間の交通の拡大とこれによる産業活動の活性化にもつながるもの」と正当に判示している。さらに,後記のとおり圏央道は都心部の環境改善にも効果がある。 イまた,平成▲年(行コ)第▲号事件の東京高等裁判所判決は「圏央,- 76 -道の整備は,前記の全国総合開発計画や首都圏整備計画等が基本的な目標として掲げた,首都圏が,都心部への一極依存構造からネットワーク型の地域構造への転換を図り,都心部の交通渋滞を緩和すると 76 -道の整備は,前記の全国総合開発計画や首都圏整備計画等が基本的な目標として掲げた,首都圏が,都心部への一極依存構造からネットワーク型の地域構造への転換を図り,都心部の交通渋滞を緩和するとともに,圏央道の近傍に位置する広域連携拠点都市間で相互に補完,触発しあいながら交流する多極分散型の国土を形成するという公共の利益に資するものであると認められる(乙73)と正当に判示している。 。」ウ控訴人らは,圏央道事業の持つ公益性のうち最大のものとされる都区部の渋滞緩和効果は実際には極めて小さいなどと主張し,都心部の環境改善効果も争うが,控訴人らの主張は以下のとおり理由がない。 エ都心部の交通混雑の緩和効果について(ア)原判決は,都区部通過交通が,交通量で都区部全体(705万台/日)の約6パーセント(42万台/日,走行量では都区部全体(6)812万台キロ)の約14パーセント(927万台キロ)を占め(丙 このうち首都高速道を利用するものは交通量で東京全体 ),,(9.9万台/日)の約19パーセント(17万台/日,走行量では)全体(1804万台キロ)の約36パーセント(648万台キロ)を(),,占める丙89とし圏央道外側に起終点がある都区部通過交通は交通量で4万台/日,走行量では132万台キロと,都区部全体の走行量(6812万台キロ)の約2パーセントを占める旨判示した。その上で,①圏央道外側に起終点がある都区部通過交通の交通量4万台,,/日のうち3万台/日が圏央道に転換すると想定すると走行量では都区部通過交通(927万台キロ)の約11パーセント,都区部全体(6812万台キロ)の約1.5パーセントに相当する99万台キロが圏央道に転換することになり,②また,圏央道外側に起終点がある都区部通過交通の交 交通(927万台キロ)の約11パーセント,都区部全体(6812万台キロ)の約1.5パーセントに相当する99万台キロが圏央道に転換することになり,②また,圏央道外側に起終点がある都区部通過交通の交通量4万台/日のうち約71パーセントに当たる2万8288台/日が首都高速道を利用していることを前提にする- 77 -と,首都高速道から圏央道への転換についても,上記99万台キロのうち約70万台キロ(約71パーセント)が転換され,これは,首都高速道の都区部総走行量(1551万台キロ,丙91)の約5パーセントに相当し,③圏央道に転換される全体の99万台キロのうち約60万台キロ,首都高速道の約70万台キロのうち約43万台キロを大型車の走行量が占めることになり,これは,都区部全体における大型車総走行量の約5パーセント,首都高速道の大型車総走行量の約10パーセントに相当すると判示した。また,原判決は,大都市においては,自動車走行量が数パーセントないし十数パーセント排除されるだけでも,交通渋滞は緩和され,特に,大型車は,交通容量でみると普通車の2台分に相当するため(丙92,転換による交通混雑緩和の)効果には大きなものがあり,圏央道は都心部の交通渋滞の緩和に大きな効果を果たすものと判断した。 (イ)都区部通過交通の交通量・走行量について控訴人らは,原判決が都区部通過交通の交通量を42万台/日と認定したことについて「かすめ交通」が含まれ「本質的な通過交通」,,が25万ないし29万台であると決めつけるが,その根拠は不明であり,都区部通過交通を42万台/日と認定した原判決に誤りはない。 (ウ)控訴人らは,原判決が認定した圏央道外側に起終点がある都区部通過交通の交通量4万台/日について,都区部全体(705万台/日)の約0.6パーセントにすぎず,統計 と認定した原判決に誤りはない。 (ウ)控訴人らは,原判決が認定した圏央道外側に起終点がある都区部通過交通の交通量4万台/日について,都区部全体(705万台/日)の約0.6パーセントにすぎず,統計上の誤差の範囲内などと主張する。しかし,圏央道外側に起終点がある都区部通過交通は,それ以外の交通と比較して走行距離が長いという交通特性を有するものであるから,圏央道へ転換される効果も大きく,単純な交通量の割合で転換の効果を議論するのは相当ではない。原判決も,都区部通過交通全体の交通量,走行量を踏まえ,その走行量132万台キロが都区部全体- 78 -(6812万台キロ)の約2パーセントに当たることや,首都高速道を利用する交通の交通量,走行量等を総合的に検討した上で,都区部通過交通を排除することの有効性を判示しているのであって,交通量のみに着目した控訴人らの上記指摘は相当ではない。 (エ)圏央道へ転換される都区部通過交通について控訴人らは,圏央道建設による都心部渋滞の緩和効果はせいぜい1万数千台/日程度にすぎず,都区部交通量705万台/日の約0.2パーセント程度にすぎないと主張するが,この主張には根拠がない。 圏央道への転換需要と見込むことが難しい交通量は,4万台/日のうち約1万台/日程度と考えられること,一般国道16号の外側で圏央道の内側に起終点を持つ都区部通過交通からの転換も想定されること,一般道からの転換需要も発生することを考慮すれば,転換交通量として仮定した3万台/日は決して過大な数値とはいえず,控訴人らの主張は失当である。 また,控訴人らは,3万台/日が圏央道に転換したとしても,一般道からの転換量は1万台/日であり,都区部全体の一般道の交通量615万台/日の0.16パーセントにすぎず,統計上の誤差の範囲内などと主張する。圏央道外 は,3万台/日が圏央道に転換したとしても,一般道からの転換量は1万台/日であり,都区部全体の一般道の交通量615万台/日の0.16パーセントにすぎず,統計上の誤差の範囲内などと主張する。圏央道外側に起終点がある都区部通過交通はそれ以外の交通に比較して走行距離が長いという交通特性を前提にすると,そのような交通の転換による効果が及ぶ範囲も大きく,これによる効果を都区部全体の一般道の交通量との単純な比較で論じることができないことは明らかである。 (オ)圏央道の内側からの転換について控訴人らは,原判決が認めた圏央道の内側にある地域からの転換につき,圏央道をわざわざ高い料金を払って利用する車は限られ,基本的には外環道,中央環状線を利用するであろうと主張する。しかし,- 79 -上記主張は,圏央道が,交通上の役割として,都心部の通過交通のバイパス機能だけではなく,首都圏における3環状9放射の自動車専用道路の一部として交通ネットワークを構成し,この交通ネットワークにおける機能を有していることを正解しないものである。特に,首都圏における3環状9放射の道路ネットワークについては,外環道,中央環状線,圏央道のすべての供用が開始されるまで,圏央道の東北道,,より西側の全区間が未供用の環状線の機能を果たすことが見込まれ環状道路による迂回需要は首都圏の西側で特に大きい。また,将来の料金が確定しているものではなく,利用料金が抵抗となって圏央道を利用すべき交通が都心部を通過することがないよう措置されることも考えられるから,料金抵抗から需要が減少するとはいえない。 (カ)転換による都心部の渋滞緩和効果について控訴人らは,首都高速道の渋滞緩和効果について,原判決が,首都高速道の走行量の約5パーセントの転換が見込まれるのであるから,首都高速道の交通混雑 い。 (カ)転換による都心部の渋滞緩和効果について控訴人らは,首都高速道の渋滞緩和効果について,原判決が,首都高速道の走行量の約5パーセントの転換が見込まれるのであるから,首都高速道の交通混雑緩和に対して大きな役割を担うことになるといえると判示したことに対して,原判決が走行量と交通量を混同しているなどと非難する。また,控訴人らは,交通渋滞緩和効果を走行量で評価することが不合理で,渋滞を議論する際に問題となるのは交通量であって走行量ではないとも主張する。 しかし,走行量の意味や首都高速道における都区部通過交通の交通,,特性等からして原判決の渋滞緩和効果についての判断は正当であり交通量と走行量を混同したものでないことは明らかである。圏央道の公益性については,交通量を前提とした個別の交通隘路における交通容量と交通需要の関係だけでは到底説明ができない都区部全体や首都高速道全体の交通状況を対象とするものであるため,交通混雑の緩和効果の説明に当たっては,交通状況を巨視的に捉え,交通量よりも走- 80 -行量で説明することの方がより適切である。圏央道の外側に起終点を,,,持つ都区部通過交通は都区部内々内外に起終点を持つ交通に比べ都区部における走行距離が相対的に長くなることは自明であり,都区部における走行距離が長いという交通特性を持った交通が都区部から排除されることは,交通量でみれば,都区部や首都高速道を走行する全交通量に占める割合としては比較的小さいとしても,走行量でみれば交通混雑緩和に与える効果は大きいといえるのである。そして,上記主張を理解しやすいように,関係図により被控訴人らの主張を補充したものである。一般に大都市の交通渋滞においては,交通需要が交通容量を超えている割合は数パーセントから十数パーセント程度にすぎないといわ 張を理解しやすいように,関係図により被控訴人らの主張を補充したものである。一般に大都市の交通渋滞においては,交通需要が交通容量を超えている割合は数パーセントから十数パーセント程度にすぎないといわれている(丙90。そうすると,都区部の走行量が数)パーセントないし10パーセント程度でも排除されれば,それによる都区部の交通渋滞緩和の効果は大きなものとなると考えられ,原判決の判示は正当である。 (キ)控訴人らは,中央環状線の建設により渋滞緩和は図られ,加えて圏央道を建設する必要はないと主張する。しかし,この主張も圏央道が3環状9放射の道路ネットワークの1つとして果たす交通上の役割を正解せず,近視眼的な主張を繰り返すもので失当である。 オ圏央道は都心部の環境改善に効果があること都区部通過交通の圏央道への迂回交通のうち,大型車の割合が約6割と想定され,自動車による大気汚染の原因の大半が大型車であることを勘案すれば,圏央道は都心部の交通混雑緩和以上に大気環境の改善に対し大きな効果を有しているというべきである。 ⑵地域的な視点による利益ア八王子市から青梅市間の幹線道路である一般国道16号や一般国道411号は,市街地を通過していること等から,各所で慢性的な交通渋滞- 81 -を起こし,交通事故も多発している(乙1,3の1。本件事業が完成)すると,本件道路が多摩地域(八王子市,青梅市等)の南北方向の幹線道路として機能するとともに,一般国道16号等の幹線道路が担っている交通の一部が本件道路に流入することにより,地域全体の交通の流れも改善され,既設幹線道路・市街地生活道路について,交通事故の減少により,本来の生活道路としての機能回復が図られる。 イ圏央道の公益性が実証されていること(ア)部分的に供用されたあきる野インターチェンジから青梅 幹線道路・市街地生活道路について,交通事故の減少により,本来の生活道路としての機能回復が図られる。 イ圏央道の公益性が実証されていること(ア)部分的に供用されたあきる野インターチェンジから青梅インターチェンジ間でも,以下のとおり事業認定時に判断した効果が実証されている。平成19年6月23日に中央道と関越道が自動車専用道路で結ばれたことにより,通行の利便性は飛躍的に向上するものと期待されている。 (イ)平成17年3月21日に開通したあきる野インターチェンジから日の出インターチェンジまでの区間約2キロメートルにおける開通6か月後の交通量等の調査結果によれば,以下のとおり周辺道路の交通状況が確実に改善していることが確認されている(丙135。 )a周辺道路の交通混雑状況が改善し,並行する一般国道411号や市道の交通量が約3割減少した。当該開通区間の開通後の交通量は約9000台/日であったが,この交通量は,すでに開通している日の出インターチェンジから青梅インターチェンジ間の増加交通量(約3300台/日)を上回るものであった。このことは,圏央道が多摩地域(八王子市,青梅市等)の南北方向の幹線道路として機能することを示すとともに,一般国道411号等の既設幹線道路が担っていた交通の一部が圏央道に転換することにより,これら幹線道路の交通混雑の緩和や周辺の生活道路に流入していた通過車両が,。 排除され地域全体の交通の流れが改善されたことを実証している- 82 -b上記開通区間周辺において,生活道路の安全性が向上(交通事故が減少)している。すなわち,日の出インターチェンジから青梅インターチェンジまでの区間(平成14年3月開通)の整備により,生活道路における死傷事故が2割以上減少し,今後の開通区間でも死傷事故件数の減少が期待されている。 わち,日の出インターチェンジから青梅インターチェンジまでの区間(平成14年3月開通)の整備により,生活道路における死傷事故が2割以上減少し,今後の開通区間でも死傷事故件数の減少が期待されている。このことは,既設幹線道路や生活道路について交通事故が減少することにより,本来の生活道路としての機能回復が図られることを実証している。 cあきる野インターチェンジから日の出インターチェンジまでの区間の開通により,日の出インターチェンジから関越道と接続する鶴ヶ島ジャンクションまでの間の交通量も増加しており,圏央道の利便性が向上したことにより行動圏も拡大している。 なお,あきる野インターチェンジから日の出インターチェンジまでの区間の開通から1週間後の調査結果でも,同様の交通改善効果及び環境改善効果が得られている(丙136。 )(ウ)平成14年3月に日の出インターチェンジから青梅インターチェンジ間の開通による整備効果a同区間の供用1年後の交通量は増加し,他方,同区間に並行する一般国道16号や周辺の生活道路における供用後の交通量は供用前よりも減少した(丙137ないし139。 )b東京都あきる野市から埼玉県鶴ヶ島市までの移動時間が約3分の1に短縮されるとともに,一般道路を利用した場合においても周辺道路の混雑が緩和されたことにより,移動時間が約20パーセント短縮された(丙140。 )ウ控訴人らの主張に対する反論(ア)控訴人らは混雑度は必ずしも実態を反映していないと主張し八,,「王子α27」等の混雑度をとらえて地域的な交通渋滞を認めた原判決- 83 -を不当であると主張する。 しかしながら,混雑度が1.0よりも大きいということは,その道路区間が持つべきであるとして計画時に設定された交通量の水準を実交通量が超えたことを意味し,何ら - 83 -を不当であると主張する。 しかしながら,混雑度が1.0よりも大きいということは,その道路区間が持つべきであるとして計画時に設定された交通量の水準を実交通量が超えたことを意味し,何らかの道路整備が必要であるという判断を下す材料となるのは当然である(丙81。 )(イ)控訴人らは,平成17年度交通センサス中,α22交差点における青時間比が29とされている部分は誤っていると主張し,平成11年度交通センサス青時間比についても同様に,実際とは異なる青時間比が用いられていたと考えられ,実態と異なる青時間比,それに基づく誤った数値の混雑度を根拠にした地域の道路状況の説明は誤っていると主張する。しかし,被控訴人らにおいて,控訴人らと同様に警視庁の資料に基づき,交通センサスと同様な方法で青時間比を算出したところ,その値は25となるから(甲405の1,2の1・2,3,)控訴人らの上記主張はその前提に誤りがある。青時間比は混雑度の算,,出に用いられ混雑度は道路計画策定の指標として用いられるところ混雑度の数値が指標としての意味を有するためには,現地の交通の状況をより適切に反映させる必要があり,α22交差点が,α28橋入口方向からの左折及びα22第2方向からの右折という一般国道16号の進行方向への交通が混雑していることによって渋滞ポイントに位,。 置づけられこの進行方向を青時間比の算定対象としているのであるこの点,控訴人らは,主たる交通の進行方向であるか否かにかかわらず,α22交差点における左折,直進,右折が可能な時間をすべて計算した青時間比をいうにすぎない。控訴人らの主張は混雑度の意味するところを理解しないもので失当である。 (ウ)圏央道における開通効果に対する批判についてaあきる野インターチェンジから日の出インターチェンジ 間比をいうにすぎない。控訴人らの主張は混雑度の意味するところを理解しないもので失当である。 (ウ)圏央道における開通効果に対する批判についてaあきる野インターチェンジから日の出インターチェンジ間が開通- 84 -することによって,日の出インターチェンジの出入り交通量は年平均交通量として9789台から4732台へと約5000台減少している。日の出インターチェンジへ向かうために,あきる野周辺地域などを通っていた交通が5000台減ったのであるから,既設幹線道路が担っていた交通の一部が圏央道に転換されたことは明らかである。 b控訴人らは,青梅インターチェンジができたことによって,これにアクセスする交通が増加した経過があることや,仮に交通量減少があったとしても,青梅インターチェンジ開通によって損なわれた周辺の生活道路としての機能が回復したにすぎないなどと主張し,青梅インターチェンジ周辺の生活道路における交通量の減少は,この周辺の交通状況の全体的反映であって,青梅インターチェンジから日の出インターチェンジ間の開通効果と結びつけることはできないなどと主張する。また,控訴人らは,平成11年度と平成17年度の交通センサスを比較した上,一般道の交通量が減少していないことから,日の出インターチェンジ開通と青梅インターチェンジ周辺の交通量は無関係であり,何ら開通効果は得られていない,道路の延伸,すなわちインターチェンジの開通の整備効果について,当該区間開通前後を比べることは合理的ではないなどと主張する。 しかし,当該区間の開通によって公益がもたらされたか否かを検証するため開通前後の交通量を比較するのは当然のことであり,何ら恣意的に結論を引き出しているわけではない。また,当該区間の開通前後の比較によって周辺の一般道路における交通量が減少している 否かを検証するため開通前後の交通量を比較するのは当然のことであり,何ら恣意的に結論を引き出しているわけではない。また,当該区間の開通前後の比較によって周辺の一般道路における交通量が減少していることは明らかであるから,控訴人らの上記主張は的確な証拠に基づかない憶測にすぎず失当である。 cさらに,控訴人らは,一般国道16号が,平成15年2月にはα- 85 -18地区端であるα19交差点の改良が一部完成して左折専用レーンが一車線増設されたことにより,混雑が緩和されたかのように主張するが,一般国道16号は,平成8年3月には福生市α29地区(α30交差点)から西多摩郡α31地区(東京都・埼玉県境)まで4車線で供用されており,圏央道の開通前(平成14年3月)と開通後(平成15年3月)とを比較して,当該区間と並行する一般国道16号などの既設幹線道路の拡幅工事などの改良事業が,当該区間の周辺道路の交通状況に影響を与えたとはいえないから,上記主張は理由がない。 (エ)交通事故の減少についてa控訴人らは,交通事故の減少効果があったとする丙135について,事故件数の減少という主張の裏付けとなるデータが,出典を含めて,具体的に明らかにされていない,交通事故の減少を目的として,飲酒運転に対する罰則強化,運転中の電話禁止など多様な規制策が講じられ,交通事故の減少が,圏央道によってもたらされたと結論づけることは非科学的であるなどと主張する。 bしかし,丙135は,警視庁の統計データを集計したもので適正,,()であり統計データ自体は暦年で整理され開通年次平成14年を除いた平成13年と平成15年を比較し,前者を開通前の状況,後者を開通後の状況として,事故の減少を示したものである。周辺,,地域の事故削減効果は東京都全体の削減効果を上回 開通年次平成14年を除いた平成13年と平成15年を比較し,前者を開通前の状況,後者を開通後の状況として,事故の減少を示したものである。周辺,,地域の事故削減効果は東京都全体の削減効果を上回るものであり全体の削減効果には多様な規制策による効果も含まれるが,上記比較には十分な合理性がある。 ⑶本件事業によって得られる公共の利益を裏付ける諸事情ア本件事業の公益性は,都市再生本部決定,全国総合開発計画,首都圏整備計画,都市計画,環境影響評価等各種公的機関の決定においても積- 86 -極的に認められ(乙10,平成11年には,事業評価監視委員会が本)件事業の継続を了承したことを受け,建設省(当時)は事業を継続することを決定していることからも裏付けられる。なお,事業評価監視委員会は平成14年12月19日にも開催され,道路整備の効果に関する説明がされ,本件事業の継続が了承されている(丙95,96。 )イ費用便益分析について(ア)本件費用便益分析の結果について被控訴人らは,本件事業の公益性の判断において,費用便益分析の結果を資料の1つに用いているところ,本件圏央道事業区間の便益及び費用は,便益が8095億円,費用が3645億円,費用便益分析の結果は「2.2」とされ,この点からも本件事業の公益性が認められる。 なお,本件事業認定後の事実ではあるが,八王子ジャンクションから日の出インターチェンジまでの区間の便益及び費用(基準年は平成15年度)は,便益が6150億円,費用が2300億円であり,費用便益分析の結果は「2.7」と見込まれている(丙96。 )(イ)控訴人らは,本件事業認定の際に行われた費用便益分析の前提となった交通量推計について,リンク交通量などの各種データに関し,費用便益分析の算出方法及び交通量推計の方法について,走 丙96。 )(イ)控訴人らは,本件事業認定の際に行われた費用便益分析の前提となった交通量推計について,リンク交通量などの各種データに関し,費用便益分析の算出方法及び交通量推計の方法について,走行時間短縮便益等の推計は各リンクにおける事業実施前後における推計であるか,。 らその結果が保存されていなければ算出ができないなどと主張する被控訴人らが行った費用便益分析の算出方法及び交通量推計の方法は,マニュアルに依拠して適正に行ったものであり,合理的である。 また,交通量推計は,関東甲信越地方の一般都県道以上の道路を対象とし,そのリンク数は約4万にも及ぶものであり,すべてのデータを整理保存することに意味はなく,コンピュータに自動的に集計され走- 87 -行時間短縮便益等が算出されるもので,恣意が入る余地はないから,控訴人らの主張は理由がない。 ウ八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジ間の開通による整備効果について(ア)本件圏央道事業区間については,日の出インターチェンジから青梅インターチェンジ間が,次いであきる野インターチェンジから日の出インターチェンジ間が供用されていたところ,平成19年6月23日には,本件事業の区間である中央道と接続する八王子ジャンクションからあきる野インターチェンジ間も供用されるに至った。上記区間の開通による効果として,平成17年度当時,整備効果として八王子インターチェンジから鶴ヶ島ジャンクション間の走行時間が71分短縮()()。 109分から38分へすること等が見込まれていた丙103(イ)また,開通の直前・直後に行われた交通量調査において,次の効果があることが確認され(乙77,上記整備効果とともに本件の事業)認定時の判断が合理的であったことが裏付けられた。 圏央道の交通量は2万06 た,開通の直前・直後に行われた交通量調査において,次の効果があることが確認され(乙77,上記整備効果とともに本件の事業)認定時の判断が合理的であったことが裏付けられた。 圏央道の交通量は2万0600台/日から2万1900台/日が計測され,これまでの開通区間であるあきる野インターチェンジから日の出インターチェンジ間の交通量も1万0600台/日から2万5300台/日へ約2.4倍に増加している。そして,上記区間の供用により圏央道周辺の一般国道411号の交通量は,八王子市α32交差点付近において1万7700台/日から1万3800台/日に減少し,一般国道16号と一般国道411号が交差する八王子市α33交差点からあきる野インターチェンジまでの所用時間は23分から16分へと7分短縮され,開通により周辺道路の交通状況が改善していることが確認されている。 さらに,中央道と関越道とが結ばれたことにより,鶴ヶ島ジャンク- 88 -ションにおける関越道郊外方向からの圏央道とのアクセス交通量は1万8100台/日から2万0200台/日に増加し,その効用が格段に増加していることが確認されている。 エ本件事業に高度の公益性・必要性が認められることは,多くの地元住民や沿線自治体等が圏央道事業そのものの必要性を前提として早期供用を求めていることから明らかである(丙104ないし121。 )(ア)圏央道の東京都内の沿線のすべての市町村の首長及び議会議長から「」,,なる首都圏中央連絡道路建設促進協議会は平成15年7月4日「首都圏中央連絡自動車道」東京都内区間のさらなる事業進捗を図「り,一日も早く中央自動車道と連結するとともに,更には東名高速までの連絡が図られるよう事業を推進すること。特に日の出インターチェンジから(仮称)あきる野インターチェンジ間に さらなる事業進捗を図「り,一日も早く中央自動車道と連結するとともに,更には東名高速までの連絡が図られるよう事業を推進すること。特に日の出インターチェンジから(仮称)あきる野インターチェンジ間においては,平成15年度中の供用が図れるよう事業の推進を図ることと要望した丙。」(113。 ),,(イ)平成5年12月以降多摩地区の圏央道の沿線すべての市町村から地方自治法99条の規定に基づき「圏央道の早期供用を求める意見,書」が提出され,平成15年以降についても,複数の市町村から意見書が提出された(乙78の1ないし8,丙104ないし112。 )(ウ)圏央道の東京都内の沿線すべての市町村の全議会議員のうち約9割にあたる168名(平成15年7月24日当時)からなる「圏央道を促進する議員ネットワーク」は,平成15年7月24日,1日も早い圏央道東京都内区間全線の供用を図ることについて強い要望をした(丙115。 )(エ)平成5年以降,6つの市町の住民有志による圏央道建設を促進する組織が発足するとともに,平成6年8月には,6組織の連絡会であり約10万人の会員数を有する「圏央道を促進する市町民の会連絡会」- 89 -が設立された(乙79。これらの団体により圏央道の早期実現に向)けての署名活動や事業促進の要望活動,シンポジウム等がそれぞれ精力的に実施され,圏央道に対して地元関係者が寄せる期待は非常に大きい(乙80の1ないし7,81の1ないし3。また「圏央道を),促進する議員ネットワーク」や圏央道の東京都区の沿線の首長及び議会議長からなる「首都圏中央自動車道建設促進協議会」からは,平成15年7月4日,被控訴人国土交通大臣に対し,約3万2000人の署名を添えて「私たちは,圏央道について速やかに工事を進め,中,央道,甲州街道 らなる「首都圏中央自動車道建設促進協議会」からは,平成15年7月4日,被控訴人国土交通大臣に対し,約3万2000人の署名を添えて「私たちは,圏央道について速やかに工事を進め,中,央道,甲州街道まで一日も早く開通するように求めます」との要望。 がされた(丙114。 )オ以上のとおり,本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益は極めて高いといえ,この点に関する原判決の判断は正当であり,原判決を批判する控訴人らの主張はいずれも理由がない。 第4当裁判所の判断一当事者適格等について 事業認定取消の訴え(原審甲事件)の原告適格につき,甲事件一審原告らのうち,本件起業地内の不動産や立木等につき権利を有しない者(原審第2原告P2,第4原告,第5原告)は,原告適格を有さず,その訴えを却下す。 ,,「」べきであるその理由は次に判断を付加するほか原判決 事実及び理由 欄「第六甲事件についての判断」の一(原判決118頁10行目から同135頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴控訴人らは,事業認定取消の訴えについて,甲事件一審原告らのうち,本件起業地内の不動産や立木等につき権利を有しない者,同じく権利を有,,しない自然保護団体についても当事者適格を認めるべきであると主張しそのうち,別表1記載の控訴人ら21名は,本件事業に係る環境影響評価条例による評価において定める関係地域内に住所を有し居住しているか- 90 -ら,本件事業が実施されることにより大気汚染,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たり,本件事業認定の取消しを求める原告適格を有する旨主張する。 ⑵上記甲事件一審原告ら21名に本件事業認定の取消しを求める法律上の(),,利益 著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たり,本件事業認定の取消しを求める原告適格を有する旨主張する。 ⑵上記甲事件一審原告ら21名に本件事業認定の取消しを求める法律上の(),,利益行政事件訴訟法9条1項があるか否かについては土地収用法が控訴人らが主張する不利益の前提をなす,公害被害を受けないという利益や自然環境を悪化させないという利益を,一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとするか否かという点につき,土地収用法の文言,趣旨及び目的を考慮して判断する必要がある。さらに,行政事件訴訟法9条2項は「裁判所は,処分,又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たっては,当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする」と定め,処分等の相手方以外の第三者の原告適格を基礎づける「法。 律上の利益」の有無を判断する際の考慮事項を規定している。そこで,上記の観点から,本件事業認定の取消しを求める訴えについて上記一審原告らが原告適格を有するかを検討する。 ⑶土地収用法は,憲法29条3項の規定を受けて「公共の利益の増進と,私有財産との調整を図り,もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与すること ついて上記一審原告らが原告適格を有するかを検討する。 ⑶土地収用法は,憲法29条3項の規定を受けて「公共の利益の増進と,私有財産との調整を図り,もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的」として制定されたものであり(土地収用法1条,公共の利)- 91 -益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において,その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であることを土地の収用又は使用の根拠としている(同法2条。そして,事業の認定)が告示されることで次のような法的効果が生ずる。すなわち,①起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更を行うことが制限され(同法28条の3,②起業者は,同法の手続により土地の収用,使用)をすることができ(同法35条以下,③そのために,起業者に対し,起),(),業地内の土地調書物件調書作成のための立入調査権同法35条1項裁決申請権(同法39条1項)が与えられる。 これらの規定によれば,起業地内の不動産又は立竹木等について財産上の権利を有する者は,違法な事業の認定がされると,それによって自己の権利を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれが生ずることになるのであるから,事業の認定の手続や要件等を定めた土地収用法の規定は,起業地内の不動産又は立竹木等につき財産上の権利を有する者の利益を保護することも目的とした規定と解することができる。 ⑷他方,上記の土地収用法の趣旨,目的からすると,土地収用法は,公共の利益と個々人の具体的な私有財産についての権利の調整を図ることを目的とするものであって,起業地内に私有財産を有しない周辺居住者等の権,,利・利益を保護する趣旨目的を有するものではないと解するほかはなく同法が定める事業の認定の手続も上記の観点から設けら とを目的とするものであって,起業地内に私有財産を有しない周辺居住者等の権,,利・利益を保護する趣旨目的を有するものではないと解するほかはなく同法が定める事業の認定の手続も上記の観点から設けられたもので,起業地内に私有財産を有しない周辺居住者等の利益を保護する趣旨ではないと解すべきである。都市計画法が,同法の事業認可の告示があったときは,施行者が,事業の概要について事業地及びその付近地の住民に説明し,意見を聴取する等の措置を講ずることにより,事業の施行についてこれらの()者の協力が得られるように努めなければならないと規定している66条のに対し,土地収用法は「起業者は,第26条第1項の規定による事業,- 92 -の認定の告示があつたときは,直ちに,国土交通省令で定めるところにより,土地所有者及び関係人が受けることができる補償その他国土交通省令で定める事項について,土地所有者及び関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない」と定め(28条の2,周辺住民はその対。 )象とされておらず,周辺住民の個別具体的利益を保護する趣旨でないことは明らかである。 ⑸また,事業の認定の要件を定める土地収用法20条1号,2号及び4号は,土地収用の対象事業を定めたり,起業者の事業遂行能力,収用又は使用の公益上の必要をいうものであって,公益的見地から事業の認定要件を定めたものである。もっとも,同条3号は「事業計画が土地の適正且つ,合理的な利用に寄与するものであること」を規定し,この「土地の適正かつ合理的な利用」の要件を満たしているか否かの判断においては,起業地内の不動産又は立竹木等についての個々の財産価値のほか,起業地の周辺地域等も含んだより広範な地域の都市環境,居住環境,自然環境,景観,文化環境,歴史的環境等の種々の社会的な価値 断においては,起業地内の不動産又は立竹木等についての個々の財産価値のほか,起業地の周辺地域等も含んだより広範な地域の都市環境,居住環境,自然環境,景観,文化環境,歴史的環境等の種々の社会的な価値が考慮され,このような多様な価値は,起業地の周辺住民のみならず,起業地内の自然環境,歴史的環境等に深い関心を抱く地域住民や社会全体が享受する価値であり,同法20条3号の規定は,公益的観点からこのような社会的価値を保護しようとしているものと見ることができる。もっとも,このような価値は,事業計画全体の合理性を基礎づける多数の得られるべき利益又は失われるべき利益のうちに含まれるものである。本件事業認定申請について適用のある旧土地収用法は,事業認定機関である被控訴人国土交通大臣又は都道府県知事が,事業の認定に関する処分を行おうとする場合において必要があると認めるときは,公聴会を開いて一般の意見を求めなければならず(旧土地収用法23条1項,事業の認定について利害関係を有する者は,都道)府県知事を通じて意見書を提出することができると定めるが(同法25条- 93 -1項,これは事業の認定を行うに当たり,土地所有者,関係人等にとど)まらず,広く地域住民等の意見を求め公正妥当な事業の認定を行おうとする公益目的の規定と解することができる。 上記各点を斟酌しても,土地収用法が起業地内に私有財産を有しない周辺居住者等の利益をも保護する趣旨と解することはできない。 ⑹次に,東京都環境影響評価条例は「環境影響評価及び事後調査の手続,,,に関し必要な事項を定めることにより計画の策定及び事業の実施に際し公害の防止,自然環境及び歴史的環境の保全,景観の保持等について適正な配慮がなされることを期し,もつて都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とする」と規 により計画の策定及び事業の実施に際し公害の防止,自然環境及び歴史的環境の保全,景観の保持等について適正な配慮がなされることを期し,もつて都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とする」と規定し(1条,都民の健康で文化的な生活。 )の確保という観点から,良好な環境を保護することを目的としているものと解することができ,土地収用法とは目的を異にしているといわざるを得ない。環境影響評価法あるいは東京都環境影響評価条例が,行政事件訴訟法9条2項にいう「当該法令と目的を共通にする関係法令」に当たるということはできない。 控訴人らは,本件事業について都市計画法上の都市計画決定がされていることから,事業認定についても都市計画に適合することが当然の前提であり,都市計画事業認可の場合と同様に都市計画への適合が法律上要請されている旨,当該都市について公害防止計画が定められているときは都市計画がこれに適合したものでなければならないことなどから,環境影響評価等の手続を通じて公害の防止等に適正な配慮が図られるようにすることもその趣旨及び目的とするものである旨主張し,都市計画法,公害対策基本法(環境基本法)及び東京都環境影響評価条例を関係法令と位置づけている。 しかし,土地収用法における事業認定の要件,効果は前記のとおりであり,同法の趣旨,目的を考慮しても,事業認定について都市計画への適合- 94 -が当然の前提であるということはできないのであり,土地収用法においては公害防止計画への適合を求める規定はなく,控訴人らがいう環境価値に配慮すべきことを具体的に定めた規定も存在しない。本件事業認定は,平成14年4月19日,土地収用法に基づいてなされたものであり,申請に先立って東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価の実施が義務付けられているものではない。 た規定も存在しない。本件事業認定は,平成14年4月19日,土地収用法に基づいてなされたものであり,申請に先立って東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価の実施が義務付けられているものではない。もっとも,起業者らは,申請に当たって,本件環境影響評価以降に得られた新たな知見に基づき,本件事業の実施が環境(),,に及ぼす影響について補足的に照査を行っているが乙3の2これは東京都環境影響評価条例や関係法令によって義務付けられたものではなく,本件環境影響評価が基礎とした計画交通量の推計年次が平成12年であり,その推計年次を平成32年と変更し計画交通量の見直しをし,新たな知見を加えて再予測をしたものであって,その結果は参考資料として起業者らから提出されたものである。したがって,東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価は,都市計画法の都市計画決定に当たって行われるべきものであって,上記の都市計画決定がされていることや本件環境影響照査が行われたことを考慮したとしても都市計画法公害対策基本法環,,(境基本法)及び東京都環境影響評価条例が土地収用法と目的を共通にする関係法令であるということはできず,この点に関する控訴人らの主張は理由がない。 ⑺したがって,別表1記載の控訴人ら21名は,本件事業認定取消しの訴え提起の当時,本件事業に係る環境影響評価条例による評価において定める関係地域内に住所を有し居住していた者であるが(ただし,控訴人P22(旧姓○○)は,東京都八王子市α2から平成16年1月1日に現住所地に転居した者である,本件事業が実施されることにより大気汚染,。)騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのあると主張するにすぎず,起業地内の不動産,立木等につき権利を有す- 95 -る者ではないか 施されることにより大気汚染,。)騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのあると主張するにすぎず,起業地内の不動産,立木等につき権利を有す- 95 -る者ではないから,原告適格を認めることができない。 本件各裁決の取消しを求める訴え(乙事件及び丙事件一審原告らの訴え)の原告適格及び訴えの利益について⑴乙事件及び丙事件一審原告らの乙事件及び丙事件についての原告適格及び訴えの利益についての判断は,原判決「事実及び理由」欄「第七乙事件及び丙事件についての判断」の一(原判決242頁16行目から同252頁14行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ⑵控訴人らは,原判決は,事業ではなく,収用される土地の権利者であるか否かで原告適格の有無を判断しているが,一体の事業を細分化することで司法審査を免れさせるもので不当である旨主張する。 しかし,土地収用法101条1項は,土地を収用するときは,権利取得裁決において定められた権利取得の時期において,起業者は当該土地の所有権を取得し,当該土地に関するその他の権利等は消滅する旨を規定し,当該裁決によりその対象となった土地又は立竹木等につき財産上の権利を有していた者が権利を失い,この者が土地の収用に係る権利取得裁決の取消しを求める訴えの原告適格を有するというべきであり,このように解することが権利取得裁決に対する司法審査を免れさせるもので不当であるということはできない。自らが権利等を有しない土地について被控訴人収用委員会がした本件各権利取得裁決に関しその取消しを求める原告適格がないことは明らかである。 ,,,なお原判決乙事件主文9項において原審第7原告兼第8原告である乙事件一審原告P23・P24・P25・P26・P27・P28・P2,,9・P30の8名につ がないことは明らかである。 ,,,なお原判決乙事件主文9項において原審第7原告兼第8原告である乙事件一審原告P23・P24・P25・P26・P27・P28・P2,,9・P30の8名につき第8原告としても除外される旨の表示がないがそれは,第7原告らの中で訴えが却下される者から除外される者を列挙する際,第8原告としても表示されているからで,この8名の本件権利取得裁決5の取消請求の訴えについては同項で却下されておらず,同主文10- 96 -項において各請求が棄却されたものである。 二当裁判所は,甲事件一審原告らの本件事業認定の取消しを求める請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり補正し,次項において当審における控訴人らの主要な主張につき判断を付加するほか,原判決 事実及び理由 欄第四時機に後れた攻撃防御方法についての判断第「」「」「五認定事実「第六甲事件についての判断」の二ないし一一に記載のとお」りであるから,これを引用する。 原判決「事実及び理由」欄「第五認定事実」の補正⑴原判決63頁4行目の青梅市から同頁5行目の川越市までをあ「」「」「きる野市,α7,羽村市,青梅市,埼玉県入間市,狭山市,日高市,川越市,鶴ヶ島市」と改める。 ⑵同64頁15行目の末尾に「そして,平成17年3月21日,日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジ間が供用され,平成19年6月23日には,あきる野インターチェンジから中央道と接続する八王子ジャンクション間も供用されるに至り,八王子西インターチェンジ,八王子ジャンクションが設けられ,関越道と中央道が圏央道で結ばれた(乙7 」を加える。 )。 ⑶同65頁22行目の「八王子北インターチェンジ」を「八王子北インターチ ,八王子西インターチェンジ,八王子ジャンクションが設けられ,関越道と中央道が圏央道で結ばれた(乙7 」を加える。 )。 ⑶同65頁22行目の「八王子北インターチェンジ」を「八王子北インターチェンジ(計画当初の仮称,以下同じ」と改める。 。)⑷同69頁12行目の「概要を公示し」を「関係地域の範囲,環境影響評価書案の概要,その縦覧に関する事項及び都民の意見書の提出に関する事項を告示し,同頁14行目の「その概要を公示した」を「その概要及び」縦覧に関する事項を告示した」とそれぞれ改める。 ⑸同79頁9行目の「対応方針と決定する」を「対応方針を決定する」。 。 と,同82頁15行目の「平成11年東京都告示893号」を「平成11年7月23日東京都告示893号により改定されたもの」とそれぞれ改。 - 97 -める。 ⑹同101頁10行目の「相模原市」から同頁11行目の「α34」までを「八王子市,青梅市」と,同102頁6行目の「こうした状況に対処するため計画された本件事業が完成すると」を「本件事業が完成することにより,関越道と中央道が自動車専用道路で連絡されることになり,広域的な利便性が飛躍的に高まるとともに,他の環状方向のネットワークである外環道,首都高速道と有機的に連絡し,都心部流入交通の分散導入,首都圏全体の交通の円滑化が図られ,地域間の交流の拡大,産業活動の活性化を促し,都心近郊に位置する八王子市や青梅市等の都市の発展に寄与する等の機能強化が図られる。また」と,それぞれ改める。 ⑺同105頁10・11行目の「坑口等には環境保全対策を講ずるもの」を「両坑口,盛土,切り土のり面等には樹木の速やかな創造等適切な環境保全対策を講じ,周辺環境の保全に努めること」と改める。 原判決「事実及び理由」欄「第六甲事件についての判断二ない 講ずるもの」を「両坑口,盛土,切り土のり面等には樹木の速やかな創造等適切な環境保全対策を講じ,周辺環境の保全に努めること」と改める。 原判決「事実及び理由」欄「第六甲事件についての判断二ないし一一」の補正⑴原判決137頁8行目の次に改行し,次のとおり加える。 「控訴人らは,本件事業においては,自然公園法56条1項に規定する国の機関と都道府県知事との協議,及び同条2項の都道府県知事と環境大臣との協議と環境大臣の同意を要するところ,これらは裁量権を逸脱してなされたものであって,自然公園法の要求している協議を実質的に経ないで,,なされたもので重大な違法性が存在するから同意があったとは言い難く起業者は土地収用法20条2号の法的「能力」を有さない旨主張する。しかし,後記のとおり(原判決「事実及び理由」欄第六,九2,被控訴人)国土交通大臣から東京都知事に対して協議がされ,自然公園法56条1項に基づく手続がとられたものであり,その際に協議図面その他の資料が提出されており,これらの資料を踏まえて,協議が行われたものと認められ- 98 -(甲350から352,控訴人らの上記主張は,採用することができな)い」を加える。 。 ⑵同141頁10・11行目の「132万台キロ(交通量は4万台/日)であり」の次に「うち大型車は80万台キロ,交通量は2万台/日」,()を加える。 同146頁19行目の「都区部通過交通量」を「都区部通過総走行量」と,同頁20行目の「交通量」を「走行量」と,同147頁3行目の「青梅市」から同頁4行目の「川越市」までを「あきる野市,α7,羽村市,青梅市,入間市,狭山市,日高市,川越市,鶴ヶ島市」と,同頁14行目の「第二時決定」を「第二次決定」と,同152頁8・9行目の「緩和するとともび」を「緩和するとともに」と, きる野市,α7,羽村市,青梅市,入間市,狭山市,日高市,川越市,鶴ヶ島市」と,同頁14行目の「第二時決定」を「第二次決定」と,同152頁8・9行目の「緩和するとともび」を「緩和するとともに」と,それぞれ改める。 ⑶同173頁1行目の別紙「道路交通騒音の予測結果」を,本判決末尾に添付する。 ⑷同178頁3行目の「とするだけで」を「とし,上記範囲を東側上空,から西側を眺望したという図3-2「スプライン補間による地域の地形」を付すだけで」と,同179頁17行目,同182頁8行目,同183,頁6行目,同頁10行目の各「現環境基準」を「新環境基準」と,それぞれ改める。 ⑸同205頁18・19行目の「崖錘箇所」を「崖錐(崖面から岩石がはく脱し,崖の下に落下して安定して形成された堆積物)箇所」と改める。 ⑹同207頁20行目の末尾の次に「オオタカは「絶滅のおそれのある,野生動植物の種の保存に関する法律」でいう国内希少野生動植物種に指定,,,され営巣中心域の保護への配慮を要するほかその保護方策については現地での生態調査の実施とその結果に基づく行動圏等の解析をもとに個別に検討を要し,事業の実施等については,これがもたらす繁殖期の巣への影響とともに,巣以外の場所であっても,生息する上で特に重要と考えら- 99 -れる場所が明らかになった場合には,当該場所への影響についても考慮のうえ検討すべきものである(甲31」を加える。 )。 ⑺同219頁8・9行目を次のとおり改める。 「控訴人らは,本件事業認定にかかる事前説明会は,その新聞報道(甲271)によれば,平成13年11月9日には「開始直後から,会場から,の質問を無視して,一方的に説明するなど,厳しく対立した説明会となっ。 ,た同事務所は説明会途中に約束した終了予定時刻の午後9時半 1)によれば,平成13年11月9日には「開始直後から,会場から,の質問を無視して,一方的に説明するなど,厳しく対立した説明会となっ。 ,た同事務所は説明会途中に約束した終了予定時刻の午後9時半になると説明会を強制的に打ち切った」というものであり,事前説明会は形を整。 えるために形式的に開催されたものであり,本件事業の説明については多くの疑問を残したままであり,本来の目的であるはずの情報共有,合意形成に向けての努力がまったくなされなかった旨を主張する」。 同220頁の2・3行目を次のとおり改める。 「土地収用法改正法が,裁決関連手続の合理化・迅速化を図り,事業認定に関する手続をより慎重にするよう定めたことから,その趣旨を尊重して事業認定手続が進められるべきであり,そのことから上記事前説明会が開催されたものであり,これが形を整えるためだけのものであったとまで認めるに足りる証拠はない。控訴人らが主張する,情報共有,合意形成に向けての努力がまったくなされなかったと認めることができない」。 同221頁の1・2行目を次のとおり改める。 「また,証拠(甲190,191,控訴人P31)によれば,公聴会は,平成13年12月21日,同月22日に,賛成の公述人5名,反対の公述人16人が参加し,公述人同士も質疑ができるという形式で行われ,控訴人P31らはあらかじめ公述人への質問事項を書面で明らかにし,その回答を求めていたことが認められる。同控訴人は,公聴会ではまともな回答はほとんどなかった,いままでの説明会でのいろいろな回答と異なるものではなかった旨を述べるが,同供述によっても,公聴会が住民意見の吸収- 100 -の場との役割を果たしていないとまで認めることはできない」。 「」「,」⑻同229頁3行目の圏央道がから同頁5行目のなるなど ,同供述によっても,公聴会が住民意見の吸収- 100 -の場との役割を果たしていないとまで認めることはできない」。 「」「,」⑻同229頁3行目の圏央道がから同頁5行目のなるなどとしてまでを「本件環境影響評価が約22.5キロメートルの広範な区域につき行われたもので,多様な地域特性を有し,工事期間も当初見込まれた平成5年12月1日から平成13年3月31日まで7年に及ぶものであり,ボーリング調査が平成6年に開始され,実際の着工は平成11年になってからで,しかも,オオタカの営巣が確認され,トンネル工事による水涸れが発生するなど,関係地域の状況が著しく異なっていることからすれば」,と改める。 同230頁17行目末尾に「控訴人らがいうように,本件環境影響評価後にオオタカの営巣が確認され,本件事業のトンネル工事による水涸れが発生したといえるが,オオタカの営巣,その対策の経緯は原判決「事実及び理由」欄第六,三3㈦のとおりであり,トンネル工事による水涸れの経緯や原因は同㈤のとおりであって,当初の評価時と関係地域の状況が著しく異なっていることが明らかになったとまでいうことはできない」を加。 える。 ⑼同231頁6行目の「②」から同12行目までを次のとおり改める。 「②昭和63年12月20日に八王子市都市計画地方審議会が本件事業について審議を行った際に,審議の途中で質疑打ち切りの動議が提出され,他の委員からは質疑続行の動議も提出され,採決の結果,審議会議事録によれば,質疑打ち切りの動議は「異議なし」として可決され,質疑続行の動議は賛成者少数として否決されたものとされ,質疑が打ち切られて,諮問第7号八王子市都市計画道路の変更の採決が行われたものであるが,そ,,,の際審議会長は賛成多数により可決されたものと宣言して閉会したが 数として否決されたものとされ,質疑が打ち切られて,諮問第7号八王子市都市計画道路の変更の採決が行われたものであるが,そ,,,の際審議会長は賛成多数により可決されたものと宣言して閉会したが2時間後に,記者会見で賛成6,反対6の可否同数で,自分の1票を賛成,「」に加えた旨説明しており可否同数のときは会長の決するところによる- 101 -との条例の定めは,審議会の採決の際に,審議会の席上で会長が決しなければならないことは明らかであるのに,それを行っていなかったという違法があるとして,本件都市計画決定手続の違法が後続手続である本件事業認定を違法ならしめる旨主張する」。 同232頁21行目の「前記1㈠①の主張」を「前記1①の主張」と改める。 同233頁1行目から同20行目までを次のとおり改める。 「4さらに,都市計画法18条1項に基づく関係市町村の意見聴取についても,関係市町村の意見形成に際して著しい瑕疵があり,関係市町村の意見を聴取したものとは認めることができないというような特段の事情がある場合を除き,関係市町村の意見に特に拘束されることなく,都道府県知事は都市計画決定をすることができるというべきである。 控訴人らの前記1②の主張は,当時の八王子市都市計画審議会条例によれば「審議会の議事は,出席した委員及び議案に関係のある臨時委員の,過半数をもって決し,可否同数のときは,会長の決するところによる」とされており,諮問第7号八王子市都市計画道路の変更の採決については可否同数であったのであるから,会長が,可否同数であること及び上記条例の規定により可決と決したことを宣言すべきであったのに,自らを賛成に加えて賛成多数と宣言したことを非難するものである。確かに,同日の八王子市都市計画審議会議事録(甲264)では,会長が上記諮問第7号を 規定により可決と決したことを宣言すべきであったのに,自らを賛成に加えて賛成多数と宣言したことを非難するものである。確かに,同日の八王子市都市計画審議会議事録(甲264)では,会長が上記諮問第7号を,,挙手による表決に付し賛成多数で可決したものと会長が宣言しているが新聞報道では,会長がその2時間後に記者会見で,賛成6,反対6の可否同数で,自分の1票を賛成に加えた旨説明したとされ(甲186,会長)代理も,会長は賛成多数と宣言したが,閉会後可否同数であったことが判明した旨の記載を含む申し入れ書を東京都都市計画地方審議会宛に提出している(甲266。これらのことを考えると,上記八王子市都市計画地)- 102 -方審議会の決議には,控訴人ら主張の瑕疵があった可能性が極めて高いものの,仮に正当に手続がされたとしても,決議の結果は可決になったはずであるから,上記諮問に対する決議の瑕疵は比較的軽微なものといわざるを得ない。そうすると,控訴人らの主張する瑕疵は,本件都市計画決定の無効事由はもちろん,違法事由にも当たらないというべきである。 控訴人らは,八王子市都市計画地方審議会は,審議の途中で,採決も満足に行わないまま審議打ち切りをした上,賛成票,反対票が不明なままで採決をしたもので,可否の票数が確定されなかった以上,その意思形成はなされていなかったと考えなければならず,したがって,東京都都市計画地方審議会は関係市町村の意見を聴取したとはいえないから,その意思形成の過程には重大な瑕疵があると考えるべきである旨主張する。しかし,八王子市都市計画地方審議会は,賛成多数で審議を打ち切り,採決をし,可否同数で議長が自らを賛成票に加え多数決による可決を宣言した可能性が高く,そうだとすれば,この点に瑕疵があった可能性が高いものの,その瑕疵は比較的軽微で 会は,賛成多数で審議を打ち切り,採決をし,可否同数で議長が自らを賛成票に加え多数決による可決を宣言した可能性が高く,そうだとすれば,この点に瑕疵があった可能性が高いものの,その瑕疵は比較的軽微であったことは前記のとおりであり,同審議会の意思は明らかにされており,そのような状況を踏まえた上で八王子市長が意見を述べたものであるから,東京都都市計画地方審議会が関係市町村の意見を聴取する点において重大な瑕疵がなかったことは明らかである。 したがって,控訴人らの前記1②の主張は,いずれにせよ失当というべきである」。 三当審における控訴人らの,甲事件についての主要な主張についての判断 控訴人らは,本件事業を含む本件圏央道事業及び本件八王子ジャンクション事業が環境面等に与える悪影響の有無及び程度について,また,圏央道のもたらす利益(公共性・公益性)について,原判決は判断を誤っている旨主張するが,判示の事実(原判決の引用にかかるもの)及び掲記の証拠によれば,以下のとおり認められる。 - 103 - 大気汚染について⑴控訴人らは,本件環境影響評価において,予測手法としてプルーム・パフモデルを用いたこと,浮遊粒子状物質(SPM)を対象にしなかったことが不相当であり,原判決が,調査対象とした一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化硫黄の濃度については環境基準を下回ることが予測され,浮遊粒子状物質(SPM)については予測方法がほぼ確立している一般部分において環境基準を下回ることが予測され,予測方法が確立していないインターチェンジやジャンクション部分においても,環境基準を下回ることを期待できると判断したことは誤っている旨主張する。 ⑵しかしながら,次のとおり判断することができる。 ア本件環境影響評価は,東京都知事が本件都市計画決定の手続に合わせて,本 環境基準を下回ることを期待できると判断したことは誤っている旨主張する。 ⑵しかしながら,次のとおり判断することができる。 ア本件環境影響評価は,東京都知事が本件都市計画決定の手続に合わせて,本件圏央道事業について,旧東京都環境影響評価条例等に基づき行ったものであり,調査の対象とする大気汚染物質を,自動車排出ガスに含まれる量が定量的に把握されていて,その量が一般大気中への排出量に占める割合が多く,環境基準にも定められている,一酸化炭素,二酸化窒素及び二酸化硫黄の3項目とし,大気質及び気象の現地調査(計画路線沿線地域を10地域に区分し,代表すると考えられる地点を調査地点として,大気質については春夏秋冬の各1週間ずつ計4週間にわたって,気象については同様に各1か月間ずつ計4か月間にわたって行ったもの)に基づき,年平均値について予測を行い,いずれの結果も評価。 の指標(環境基準〔1日平均値,一酸化炭素につき10ppm以下,〕二酸化窒素につき0.06ppm以下,二酸化硫黄につき0.04ppm以下)を下回ることから,環境に及ぼす影響は少ないとの評価したものである。 イまた,その予測手法については,一般部及び八王子ジャンクション部については,気象の現地調査の結果,谷部においては谷沿いの風が卓越- 104 -しており,その流れを阻害する地形・地物も特に見られないことなどから,有風時にはプルームモデル,静穏時にはパフモデルを用い,トンネル坑口部からの排出ガスの拡散予測は,静穏時には噴流モデル,有風時には噴流モデル及び等価排出強度モデルを用い,さらに,換気塔からの排出ガスの予測は,一般部と同様に有風時にはプルームモデル,静穏時にはパフモデルにより,予測を行ったものであった。また,α5地区を対象とした風洞模型実験を行い,接地逆転層の存在及びそ ,換気塔からの排出ガスの予測は,一般部と同様に有風時にはプルームモデル,静穏時にはパフモデルにより,予測を行ったものであった。また,α5地区を対象とした風洞模型実験を行い,接地逆転層の存在及びその影響をも考慮した上で環境影響評価が行われた。 ウ昭和58年の東京都環境保全局作成の環境影響評価制度の手引(甲120)においては,予測方法につき,予測手法のうちから適切なものを選択し,又は組み合せの方法によるとし,大気拡散式として,プルームモデル,パフモデル,差分モデルがあげられ,大気質の変化の予測は,大気拡散式(有風時:プルームモデル,無風時パフモデル)によることを基本とするとされ,気象条件及び物質の排出条件の時間的変化,臨海部における海陸風の循環,複雑地形の影響等を考慮しなければならない場合は,差分モデルの利用を検討するとされていた。 また,プルーム・パフモデルは,建設省所管道路事業環境影響評価技術指針(丙1)において採用されている予測方法である。 プルーム・パフモデルは,計算の容易さ,適合性からみて,地形等の条件が比較的単純で,実測調査に基づきパラメータ等が求められる場合には,解析解の正規型プルームモデルとパフモデルを基本とする予測方法が適しており,その算出式に用いられる拡散幅等については,既存の実測や実験データから設定することになっているので,統計モデルの性格を持ち,多くの適用事例とその検証を踏まえて用いられてきた汎用性のある拡散モデルである(丙48。 )そして,本件環境影響評価は,拡散計算に用いる気象データとして,- 105 -調査対象地区を代表する地点を選定して現地調査地点とし,その地点での実測データを採用し,α5地区の現地調査地点は,八王子ジャンクションの南東部真下に位置し,α5地区に居住する甲事件一審原告らの居(), 象地区を代表する地点を選定して現地調査地点とし,その地点での実測データを採用し,α5地区の現地調査地点は,八王子ジャンクションの南東部真下に位置し,α5地区に居住する甲事件一審原告らの居(),,住地にも近いから乙20・361頁発生源である道路のみならず住宅地域の気象状況をも代表し得るものということができる。α5地区は,南北を山に挟まれた東西の谷であり,東西に細長く一様な地形で単純な地形であって,当該地域において特に気流を阻害する地形は見られない。したがって,用いられた気象データは妥当なものであると評価することができ,その地形からみても,プルーム・パフモデルを当該地区における年平均値の予測・評価に適用しても問題はないものというべきである。 エまた,本件事業認定申請に当たり,本件道路及び八王子ジャンクションの計画交通量の推計年次を平成32年とし,同年の計画交通量を基礎として,本件環境影響評価以降に新たに得られた知見に基づき,本件事業の実施が環境に及ぼす影響について補足的に本件環境影響照査が行われた。その結果,一酸化炭素,二酸化窒素,二酸化硫黄については,最高の濃度を示す予測地域でも,予測値はいずれも環境基準を満足するものとされた。 オ控訴人らは,α5地域が複雑地形であり,プルーム・パフモデルには限界があり,3次元流体モデルを用いるべきであると主張する。 (ア)しかし,上記のとおり環境影響評価においては,予測方法につき,予測手法のうちから適切なものを選択し,又は組み合せの方法によるとし,大気拡散式として,プルーム・パフモデルによることが基本と。 ,,,されていたまたα5地区は南北を山に挟まれた東西の谷であり,,東西に細長く一様な地形であり特に気流を阻害する地形は見られず現地調査の結果を踏まえプルーム・パフ ことが基本と。 ,,,されていたまたα5地区は南北を山に挟まれた東西の谷であり,,東西に細長く一様な地形であり特に気流を阻害する地形は見られず現地調査の結果を踏まえプルーム・パフモデルにより予測し,実際の- 106 -地形,気流の状態を,温度分布等を再現した風洞模型実験を行い,そ(),,の結果も参酌し乙20予測の妥当性を裏付けているものであり相当な方法によって本件環境影響評価がされたというべきである。 (イ)また,上記風洞模型実験の具体的な方法に問題とすべき点は見当たらない。上記予測に用いた拡散幅は,現地での実地調査及び資料解析結果に基づき定められたもので,これが不当ということはできない。 甲121は数理モデル(プルーム・パフモデル)の適用条件(適用範囲)を検討したものであって,控訴人らがいうような予測手法の選択を制限するものではなく,本件環境影響評価がプルーム・パフモデルの方法によったことが甲121の検討結果に反するものということはできない。 (ウ)控訴人らは,控訴人らが行った3次元流体モデルを用いた評価(甲70,71)においては,環境基準を超える汚染が予測されると主張し,原審及び当審証人P13は同旨の供述をし,陳述書(甲212,382)を提出する。 しかし,甲70,71の評価は,α5地区とは明らかに異なるα9測定室の風向風速データを使用し,日交通量を使用すること等により採用しがたく,その正確性を検証したとする甲210も採用しがたいことは,原判決の説示するとおりである。 (エ)控訴人らは,α5の気象データ(地上のもの)及び八王子市内のα9測定局以外のデータ(α11,α12)をも用い,時間別気象データを用いる等して,追加調査(甲380,381)を行い,α9測定局の気象データを用いた場合よりも,α5の 地上のもの)及び八王子市内のα9測定局以外のデータ(α11,α12)をも用い,時間別気象データを用いる等して,追加調査(甲380,381)を行い,α9測定局の気象データを用いた場合よりも,α5の気象データを使った方が,,過小に予測値が算出されることプルーム・パフモデルでの計算値は実測値とほとんど相関がとれないほど過小に算出されていること,圏央道完成時にはα5には環境基準以上の汚染が広がり,α9,α5,- 107 -α12,α11の各測定点の気象データを用いて予測を行っても,いずれも環境基準以上の二酸化窒素汚染がα5地域に現れる旨を主張し,証拠(甲380ないし382,当審証人P13)によれば,株式会社P6(調査部長P13)がその主張する内容の調査結果を得たことが認められる。 しかし,3次元流体モデルは,大気拡散シュミレーションであり,「拡散場の風の場合をどのように仮定するか難しい(甲120)と」,,され地形・構造物の影響を受ける前の気象条件が重要であるところ上記再調査は,地形・構造物の影響を受けていると考えられるα5の気象データ(α5の谷底の気象データ)や,より標高の低い場所に位置し,地形・構造物の影響を受けていると考えられるα9測定局(測定高6.5メートル,さらに市街化され,より適切ではないと考え)られる地域にあるα11測定局(測定高12.39メートル)及びα(. )(,)12測定局測定高678メートルの気象データ甲70 を用いて再計算を行うものであり,この結果を直ちに採用することは困難というほかはなく,上記各証拠によっても,上記各判断を左右するものではない。 ⑶浮遊粒子状物質(SPM)についてア控訴人らは,浮遊粒子状物質(SPM)を対象としなかったのは不当であるというが本件環境影響評価 く,上記各証拠によっても,上記各判断を左右するものではない。 ⑶浮遊粒子状物質(SPM)についてア控訴人らは,浮遊粒子状物質(SPM)を対象としなかったのは不当であるというが本件環境影響評価の行われた当時浮遊粒子状物質S,,(PM)については,生成,移動,2次生成粒子等のメカニズムが解明されず,発生源からの寄与の特定ができないことから,予測対象とされなかったのであり,このことが不当であるということはできない。 ,,()イまた本件事業認定申請に際し建設省技術手法平成12年10月に基づき浮遊粒子状物質(SPM)の予測が行われ,最高の濃度を示す地域(α3)においても環境基準(1時間値の1日平均値が0.10ミ- 108 -リグラム/立方メートル以下であること)に対して,1日平均値が0. 096ミリグラム/立方メートルと予測され,環境基準を満足するとされた。加減速車線区間である八王子ジャンクション部等のインターチェンジやジャンクションについて予測が行われなかったのは,加減速車線の走行パターンは,本線の走行パターンとは異なるもので,そのような走行パターンに対応した浮遊粒子状物質(SPM)について排出係数の設定方法が解明されていなかったためであり,やむを得ないものというべきである。 ウもっとも,本件事業認定当時,東京都内の浮遊粒子状物質(SPM)濃度に関しては,東京都において,減少あるいは横ばいである旨の分析がされ,国や地方自治体により浮遊粒子状物質(SPM)に関する改善施策が積極的に進められ,軽油を燃料とする自動車(ディーゼル車)の排出ガス規制がされ,浮遊粒子状物質(SPM)濃度の改善が期待できたことは明らかであった。 なお,東京都においては「都民の健康と安全を確保する環境に関す,る条例」が施行され,平成15年1 ル車)の排出ガス規制がされ,浮遊粒子状物質(SPM)濃度の改善が期待できたことは明らかであった。 なお,東京都においては「都民の健康と安全を確保する環境に関す,る条例」が施行され,平成15年10月から「粒子状物質排出基準の遵守等-ディーゼル車の排出ガス規制-」が施行され(乙40,56,)改善の期待が現実となり,平成16年10月には,道路沿道におけるSPM濃度の改善が著しいとの速報がされた(乙57。SPM濃度の改)善は着実に進み,平成18年9月4日に東京都環境局が発表した「平成」,,17年度大気汚染状況の測定結果についてによればSPMについて初めて都内のすべての測定局(一般局44・自排局(自動車排出ガス測定局)34)で環境基準を達成することができ,自排局の低濃度状態が定着し,一般局との濃度差が少ない状態が続いているとされた(乙82。 ) 騒音被害について- 109 -⑴控訴人らは,圏央道完成後の道路騒音の予測結果(甲92)は科学的で,(,)信用できるものであり控訴人P7宅の騒音調査結果甲376 等から,すでにα5地域には受忍限度を超える騒音被害が発生し,今後も被害が増大することが明らかである旨主張する。 ⑵本件環境影響評価における工事完了後の騒音の予測結果は,別紙「道路交通騒音の予測結果」に記載のとおりであり,この予測結果に基づき,旧環境基準を評価の指標として評価した結果は,各評価地点ともすべての時間の区分において評価の指標を下回るものであった。また,本件環境影響照査においては,建設省技術手法(平成12年10月)に基づき,道路交通騒音の等価騒音レベル(LAeq)について予測を行い,その結果は,事業認定申請書の参考資料⑤「環境保全対策(参考(乙3の3)の1)」2頁,13頁の「騒音照査結果」 2年10月)に基づき,道路交通騒音の等価騒音レベル(LAeq)について予測を行い,その結果は,事業認定申請書の参考資料⑤「環境保全対策(参考(乙3の3)の1)」2頁,13頁の「騒音照査結果」に記載のとおりであり,道路の近接地空間及び道路の後背地について,いずれも新環境基準の評価の指標以下であった。 α5地域の夜間の環境基準として,本件環境影響評価においては,旧環境基準のA地域(主として住居の用に供される地域)のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域の基準値50ホン以下を適用し,本件環境影響照査においては,背後地について新環境基準のA地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域の基準値55デシベル以下が適用されている。 そして,この基準値が夜間の睡眠に対する影響が考慮されているものであり,その根拠も明確であることは,前記のとおり(原判決を引用)である。 ⑶控訴人らは,上記騒音に係る環境基準における「道路に面する地域」に関して,正に道路に接しているか,道路端から20メートルの距離に限定すべきである旨を主張する。 - 110 -しかし,道路に面する地域の指針値は,道路に面する地域の主たる騒音源が交通騒音であることにかんがみ「道路の公共性,当該地域の道路に,よる受益性,道路交通騒音の実態など」を総合的に踏まえて検討された結果,一般地域の指針値に対して5ないし10ホンを加えた補正が適正であると判断されたことにより設定されたものである(丙41。控訴人らが),,いうように道路から受ける利益に着目しこれを前提としたというよりも道路の公共性が大きく,かつ道路周辺の地域住民が道路から利益を受けている場合が少なくないことを考慮し,道路に面する地域について道路に面しない地域と同レベルの厳しい基準を適用することは妥当でないと判 道路の公共性が大きく,かつ道路周辺の地域住民が道路から利益を受けている場合が少なくないことを考慮し,道路に面する地域について道路に面しない地域と同レベルの厳しい基準を適用することは妥当でないと判断されたものである。車線数によって基準値に差が設けられたのも,一般に車線数の多い道路ほど幹線道路としての性格が強く公共性がより大であって道路に面する地域住民はより受忍性が強いと考えられたことによるものである。このような旧環境基準の制定経過からすると,具体的事例において「道路に面する地域」の適用範囲を決する際に,画一的に道路からの距離を考慮することは適当でなく,むしろ,道路騒音の影響を受ける地域全体が「道路に面する地域」に当たるものとして,緩和された環境基準の適用を認めることが,旧環境基準の制定の趣旨に沿うものである。旧環境基準の「道路に面する地域」の意義及びこれを踏まえて制定された新環境基準の「道路に面する地域」の意義は,道路からの距離にかかわらず,道路騒音の影響を受ける地域をいうものと解するのが相当であり,本件環境影響評価等における環境基準の適用に誤りはない。 ⑷控訴人らは,本件環境影響評価等において,高尾山登山道において調査は行われておらず,甲92によれば,現況調査,将来予測ともに,高尾山登山道で幹線道路近接地域なみに騒音レベルが高く,夜間には環境基準不適合となることを考慮すべきである旨主張する。 しかし,住居の存在しない高尾山登山道については,環境影響評価は必- 111 -要とされていないのであって,本件環境影響評価及び本件環境影響照査において騒音の予測地域としなかったことはやむを得ないものである。このことは,新・旧環境基準が,いずれも療養施設又は住居の有無などに着目して基準の適用範囲を定めていることや本件環境影響照査が依拠した建 おいて騒音の予測地域としなかったことはやむを得ないものである。このことは,新・旧環境基準が,いずれも療養施設又は住居の有無などに着目して基準の適用範囲を定めていることや本件環境影響照査が依拠した建設省技術手法(平成12年10月)において,騒音の調査・予測区間の設定について「明らかに騒音の影響がない又は極めて小さいと判断される区,間」を除外するが,この区間には対象道路実施区域及びその周囲に住居等,,が現存せずかつ将来の立地が計画されていない区間等が該当するとされ調査地域を「騒音の影響範囲内に住居等が存在する,あるいは立地する見込みがある地域とし,調査・予測区間ごとに設定する」としていること。 からも是認することができる。 ⑸控訴人らは,高速道路における実際の走行速度は,法定速度を大幅に上回っているのが実態であり,騒音予測の前提とする平均走行速度を時速80キロから100キロに変えると,予測される騒音は4デシベル高くなると主張し,平均走行速度を時速80キロメートルとしてした予測を上回る騒音が実際には予測されると主張する。 しかし,本件環境影響評価等は「予測に用いる平均走行速度は,原則,,()。 ,として道路交通法施行令で定める最高速度法定速度とするただし規制速度を予め設定できる場合には,その規制速度とする(乙41)。」との環境影響評価の手法に従ったものであり,本件道路の設計速度である時速80キロメートルを用いたもので,根拠があるものといえる。設計速度は,天候が良好でかつ交通密度が低く,車両の走行条件が構造的な条件のみに支配されている場合に,平均的な技量をもつ運転者が,安全にしかも快適性を失わずに走行できる速度とされており,実際の走行速度は,天候や交通密度等の要因によってこれより速くなったり,遅くなったりする に支配されている場合に,平均的な技量をもつ運転者が,安全にしかも快適性を失わずに走行できる速度とされており,実際の走行速度は,天候や交通密度等の要因によってこれより速くなったり,遅くなったりするものであり,本件道路においてこの設計速度を20キロメートル超える走- 112 -行速度での走行が常態であるということはできない。上記の設計速度を平均走行速度とする予測が相当でないということはできない。 ⑹環境影響評価は,事業の実施が環境に及ぼす影響について予測及び評価を行うものであって,既存道路との合成騒音を予測することは,環境影響評価技術指針にも規定されていない。したがって,本件環境影響評価において,本件事業区間のうち,特に合成騒音の影響を考慮する必要が高いと考えられる,中央道,都市計画道路秋2・3・3及び都市計画道路青2・3・13を影響要因として予測が行われ(乙19,主要幹線道路である)国道411号との交差部(α35地区)及び交通量が最も多く主要幹線道路を代表する主要地方道であるα13街道との交差部(α36地区)における騒音の合成結果が検討されたにとどまったが,このことが本件事業において道路交通騒音の影響が適正に考慮されたということの妨げとなるものではない。 なお,控訴人らは中央道による騒音実態からすると,上記予測が評価の指標を下回ることを合理的に説明できないと主張するが,本件環境影響評価等においては,中央道と接続される八王子ジャンクションがあるα5地域においては,圏央道本線両側に遮音壁(高さ3メートル)及び幅20メートルの環境施設帯,中央道上下線の各南側に遮音壁(高さ3メートル)を設置するものとして予測しているのであり,環境保全のための措置を講ずることを前提に予測結果において評価の指標を下回ったものであり,合理的な説明ができてい 道上下線の各南側に遮音壁(高さ3メートル)を設置するものとして予測しているのであり,環境保全のための措置を講ずることを前提に予測結果において評価の指標を下回ったものであり,合理的な説明ができている。 ⑺控訴人らは,甲92の報告書(騒音現況調査・予測編)による予測は科学的裏付けのある予測であり,これによれば上記基準値を超える騒音が予測されると主張し,証人P13はこれに沿う趣旨を供述し(甲212,原審及び当審証人,上記各証拠によれば,甲92の調査・予測が,国土交)通省が行った「新たな手法による環境影響照査」による「圏央道技術資料- 113 -作成13G8報告書(甲90)と同じ手法(P15が提案しているAS」Jモデル1998(B法)によるもので,交通量や速度など同じデータ)に基づいて行ったものであり,予測高さを地上1.2メートルとし,α5地域の地形に関しては,2500分の1の地図を参照して東西方向2100メートル南北方向1300メートルの範囲の地形を考慮し,メッシュ規模は東西南北方向とも5メートル間隔で,使用した地形データの結果を示したものが甲92(4頁)の図3-2であるとの事実が認められる。しかし,甲92は,各地点における評価及び面的評価のいずれにおいても,地形による騒音の反射や吸収の有無,そのほか地形が騒音の伝播に及ぼす影響についてどのように考慮したのかが不明というほかはなく,上記各証拠によっても,本件環境影響評価等による上記評価が誤っているとまでいうことはできないし,本件事業認定において,本件事業につき本件環境影響評価,本件環境影響照査を経ることによって道路交通騒音の影響を適正に考慮してなされたとの判断が左右されるものではない。 ⑻控訴人らは,平成17年11月1日から2日にかけての夜間における控訴人P7宅の屋外及び屋内 影響照査を経ることによって道路交通騒音の影響を適正に考慮してなされたとの判断が左右されるものではない。 ⑻控訴人らは,平成17年11月1日から2日にかけての夜間における控訴人P7宅の屋外及び屋内の中央道による道路交通騒音の状況を調査したところ,屋外はLAeq61デシベル,室内はLAeq47デシベルという結果で(甲376,377,中央道だけでも睡眠妨害を受けるひどい)騒音状況であり,本件道路による騒音によって被害を被ることは明らかである旨を主張する。 しかし,控訴人P7宅が存在する地域は,都市計画法の規定による用途地域の定められていない地域であり(乙第3号証の1中の別添資料2八王子市の都市計画図「騒音に係る環境基準についての地域類型の指定」),に定める地域の類型の「B」に当たり,適用すべき環境基準は「B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域」に係る基準であり,夜「」(,)。 間については60デシベル以下である乙28の1ないし3乙29- 114 -また,控訴人らが実施した騒音測定値は61デシベルで,この環境基準を上回っているが,この調査時点では,控訴人P7宅付近の中央道については遮音壁が設置されておらず,平成18年春に中央道の南側の控訴人P7宅に面する側に高さ3メートルの遮音壁を設置する工事が行われ,この工事後の平成18年6月28日から29日にかけての夜間における控訴人P7宅の屋外騒音を測定したところ,夜間屋外で59・2デシベルであった(甲446,丙132。また,中央道と圏央道が連結した前後のP7宅)の夜間騒音状況の調査結果(甲447)によっても,開通前(平成19年5月24日から同年6月3日まで)が54.2から57.5デシベルであったのに対し,開通後(平成19年7月6日から同月14日まで,同年8月3日 状況の調査結果(甲447)によっても,開通前(平成19年5月24日から同年6月3日まで)が54.2から57.5デシベルであったのに対し,開通後(平成19年7月6日から同月14日まで,同年8月3日から同月17日まで)は53.0から56.5デシベルであった。 本件環境影響評価及び本件環境影響照査では,中央道の南側に高さ3メートルの遮音壁を設置することが予定されており,環境保全のための措置を講ずることにより,騒音について評価の指標(環境基準)を下回るとされていたものであり,上記控訴人らの61デシベルの騒音があったとの調査結果が本件事業によって受忍限度を超える被害が生じることの証左であるとまでいうことはできない。 ⑼圏央道完成後の道路交通騒音がかなりのレベルに達し,住民の生活環境を悪化させるものと考えられるが,上記のような環境対策をとることによ,,って環境基準を下回るとの予測が可能であり道路交通騒音の観点からは本件事業が環境に与える影響は好ましいものではないことが明らかであるが,過大なものとまではいうことができない。 水文環境に与える影響について⑴控訴人らは,原判決が本件トンネル工事による地下水及び表流水への悪影響を否定した判断が誤りであったことは,平成17年5月に,これまで涸れたことがなかったα14の滝が涸れるという事態が生じたことからも- 115 -明らかである旨主張する。 しかし,当審における主張,立証を考慮しても,以下のとおり本件事業が水文環境に対して控訴人らの危惧するような影響を及ぼすおそれは低いと考えられるとした原判決の判断は相当である。 ⑵すなわち,α26の井戸の水位低下及びα37地区の井戸枯れについては,いずれも本件トンネル工事により生じたものとは認めがたく,α38トンネル工事によってα39の水枯れが生じたとの は相当である。 ⑵すなわち,α26の井戸の水位低下及びα37地区の井戸枯れについては,いずれも本件トンネル工事により生じたものとは認めがたく,α38トンネル工事によってα39の水枯れが生じたとの主張も同様にこれを認めることができない。その理由は原判決の判示のとおりである。 α26の井戸は,井戸底が標高約421メートルにあり,より標高の高い山体表層部には透水性の高い強風化砂岩層が分布し,その下位には比較的透水性の低い弱風化砂岩層が分布し,両者の境界面が山頂方向からα26方向に傾斜し,この境界面上にある中間層地下水によってまかなわれていると考えられる。しかも,本件トンネル(全長約2400メートル)がα26の位置より約140メートル西方,約180メートル下方に位置しており,α26の井戸の水位の変動は降雨量の影響と考えるのが合理的であり,地山深部の地下水とは切り離され,本件トンネル工事による影響はないものと考えられる(丙22。本件トンネルの先進導抗が貫通し,1)年以上が経過した平成17年11月時点においても,本件トンネル工事がα26の井戸の水位に影響している徴表は見られず,平成19年上期までのα26の井戸と観測孔2の水位を表すグラフにおいても,その変動に相関は見られず連動性は低いことが裏付けられている(乙87,丙23,125ないし128,162。 )⑶そして,観測孔2(本件トンネル工事による岩盤深部の地下水位への影響を観測するためのもの)が示す地下水位低下については,本件トンネ。 ル工事によって生じたものであるが,以下のとおり,専門家の意見を踏まえて対策が講じられ,その後の水位の回復状況をみても,今後,控訴人ら- 116 -が危惧するような本件トンネルが水環境に影響を及ぼすおそれは低いと考えられる。 ア平成11年10月11日から 踏まえて対策が講じられ,その後の水位の回復状況をみても,今後,控訴人ら- 116 -が危惧するような本件トンネルが水環境に影響を及ぼすおそれは低いと考えられる。 ア平成11年10月11日から本件トンネル工事による掘削(NATM工法)が始まり,7箇所に設けた観測孔により地下水位を観測しながら工事が進められたが,平成14年1月22日から同年2月1日にかけて観測孔2の水位がTP+348メートルから約12.6メートルも急激に低下したことから,起業者らは,掘削を一時休止し,応急止水工を行うとともに,トンネル技術検討委員会の意見を踏まえ,施工方法については問題がなく,覆工止水構造を当初計画位置より手前から施工することに変更し,本格的な止水注入を行い,その効果を確認した上で掘削を再開した。平成15年5月,6月に開催されたトンネル技術検討委員会において,水文環境の保全をより図ることができるとの理由で,NATM(機械掘削)工法に加えてシールド工法による先進導坑を掘削する工法が採用され,同年11月26日から先進導抗の掘削が開始され(丙67,観測孔2の水位は,その後急激に低下し,平成16年1月28日)に326メートルにまで低下したが,間もなく平成15年11月頃の水位程度まで回復し,平成16年5月頃から上昇に転じ,同年10月には345メートルまで上昇し,水位低下前に比べてマイナス約3メートルにまで回復した(丙23,34,35,127,147。 )イ平成16年8月先進導抗が貫通し,後記の拡幅掘削が開始されるまでの間,観測孔2の水位は安定して推移していた。平成16年度第3回トンネル技術検討委員会において,高強度の岩盤掘削が可能なリーミングTBM工法の採用により短期間での拡幅掘削の施工が可能になり,水環境の保全が図られるとの意見が採用され,拡幅掘削 平成16年度第3回トンネル技術検討委員会において,高強度の岩盤掘削が可能なリーミングTBM工法の採用により短期間での拡幅掘削の施工が可能になり,水環境の保全が図られるとの意見が採用され,拡幅掘削により岩盤地下水が一時的に水位低下する可能性は否定できないが,覆工止水構造が構築されることにより水位は上昇するものとされ(丙126,平成17年1)- 117 -0月19日からリーミングTBM工法により拡幅掘削が開始された。すると,観測孔2の水位が同月22日頃から低下を始め,高さ約315メートルまで(30メートル)低下した。平成17年度第3回トンネル技術検討委員会が,この地下水位低下につき検討し,上記工法による拡幅掘削の進行に伴い低下傾向を示しているものの,覆工コンクリートが構築されることにより,水位は徐々に上昇すると考えられると結論し(丙127,147,152,平成18年6月13日には拡幅掘削を完了)し,平成19年2月24日,覆工止水構造が完成した。 ウ本件トンネル外側に設置した水圧計は,平成19年2月16日から全箇所で上昇傾向を見せ,観測孔2の水位は,同年2月8日頃から上昇し始め,半月間で約5メートルの水位上昇が認められ(丙154,水位)上昇傾向はその後も続き,同年3月22日,上昇を始めて約1か月半で約13メートルの上昇が認められた。トンネル技術検討委員会は,本件トンネルの止水構造が予定どおり機能し,地下水全体が回復し始めているとの見解を示した(丙157。その後も水位は上昇傾向を続け,同)年8月14日,水位は約338メートルまで上昇し,かつての水位である345メートルに対し低下分の約7割が回復した(乙87。 )エ本件トンネルにつき覆工止水構造が完成したものの,α15川沿いの地質は全般に割れ目が多いことから,α15川直下にお ,かつての水位である345メートルに対し低下分の約7割が回復した(乙87。 )エ本件トンネルにつき覆工止水構造が完成したものの,α15川沿いの地質は全般に割れ目が多いことから,α15川直下においては河床から本件トンネル間の岩盤の透水性がやや高く,本件トンネルに沿ってα15川流域から他の流域に地下水が流出しないよう万全の対策を要するものであり,本件トンネルに沿って地下水が流出することが考えられるものの(丙22,控訴人P19,上記の経緯からすれば,その程度が相)当高度なものであるとまでいうことはできない。 ⑷控訴人らは,平成17年5月に,これまで涸れたことのなかったα14の滝が涸れるという事態が生じ,滝涸れはその後も続き,本件トンネル周- 118 -辺の地下水の水位が下がり,α15川北支流の河川水量にも影響をもたらしたことの結果であり,その原因が本件トンネル工事にあることは明らかであり,本件トンネル工事が水環境に大きな影響を与えるものである旨主張し,これに沿う証拠(甲372,383,404の1ないし9,控訴人P19)を提出する。 ,,しかし高尾山地域で実施したボーリング調査及び水文調査の結果から表層土層の厚さは尾根部で8ないし14メートル,谷斜面で2ないし6メ,,,ートル谷底部で2メートル以内の厚さであり表層土層は浸透能が高く全体として水分貯留容量が大きいことが認められ,谷川の水の大半は岩盤(),地下水とは別の中間層地下水により涵養されていると考えられ乙19α14の滝よりも上流側のα15川の河川水は,主として表層の土砂等に蓄えられた水が流出したものであり,このことはα15川の河川水(α14の滝で採水)の電気伝導率が100μS/cm前後であるのに対し,岩盤中の地下水の電気伝導率は,150ないし200μS/cmとか に蓄えられた水が流出したものであり,このことはα15川の河川水(α14の滝で採水)の電気伝導率が100μS/cm前後であるのに対し,岩盤中の地下水の電気伝導率は,150ないし200μS/cmとかなり高く,両者に明らかな相違があることから明らかであった(丙22。 )したがって,平成14年1月22日から同年2月1日にかけて岩盤地下水の水位を示す観測孔2の水位が低下した際も,その前後で,α15川の流量に差異はなく,α14の滝への影響は認められず(丙23,シール)ド工法による先進導抗の堀削はα14の滝の流量に影響を与えなかった(乙49,丙125。また,その後の拡幅堀削の開始により平成17年)10月22日頃から観測孔2の水位が低下を始めたが,α14の滝の流量及びα26の井戸の水位は,その水位低下前後で大きな変化は認められなかった(丙127。観測孔2の水位は,7割回復したにとどまるもので)あるが,その低下が直接α14の滝の流量に影響するものということはできない。 もっとも,α14の滝が涸れるという事態が続いており(甲372,4- 119 -14,岩盤地下水位(観測孔2の水位)は上昇傾向にあるとはいえ,元)の水位には復していないのであるから,控訴人らが危惧する本件トンネル側壁に沿って新しい「水みち」ができ,岩盤地下水の流れが変わったり地下水位が変化することがある程度予測できるものであり,これがα15川の河川水にも影響を与えることが考えられる。 しかし,その経緯は上記のとおりであり,本件トンネル工事がα6城跡一帯の地下水や表流水等に深刻な影響を及ぼすとまでいうことはできない。 ⑸控訴人らは,原判決は,水脈破壊,地下水破壊及び生活破壊についての控訴人らの主張について判断をせず判断脱漏があると主張するが,この控訴人らの主張は,本件トンネ 及ぼすとまでいうことはできない。 ⑸控訴人らは,原判決は,水脈破壊,地下水破壊及び生活破壊についての控訴人らの主張について判断をせず判断脱漏があると主張するが,この控訴人らの主張は,本件トンネル工事による地下水への影響が環境問題をもたらす,α6城跡の史跡としての価値に深刻な影響が及んでいるというものであり,上記のとおり,原判決は,本件トンネル工事による地下水への影響,α26の井戸,α14の滝への影響について判示し,α6城跡や景観等への影響についても判示しているから,上記主張は理由がない。 本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益について⑴広域的な視点による利益についてア控訴人らは,原判決が,本件事業が完成すると,都心部の通過交通の一部を転換することにより都心部の交通混雑を緩和することに寄与すると判断し,圏央道外側に起終点がある都区部通過交通量4万台/日(丙88)のうち圏央道に転換する交通量について3万台/日と仮定して都心部渋滞の緩和効果を検討したことを批判し,転換される交通量は1万数千台/日程度で都区部交通量705万台/日の約0.2パーセント程度にすぎないと主張する。 しかし,平成14年交通流動調査業務報告書(丙88)は,平成11- 120 -年度道路交通センサスによる交通量の現況と当時の道路網を基に,QV式モデルを使用し現況シミュレーションを実施し,都区部通過交通における自動車交通に関する現況分析及び圏央道の内外交通内訳に関する分析を行ったものであり,その調査結果及び予測方法は信頼するに足りるものである。その結果によると,都区部における交通量は,705万台/日であるのに対し,都区部通過交通の交通量は,その約6パーセントに相当する42万台/日(うち大型車15万台/日)であり,走行量では全体の ある。その結果によると,都区部における交通量は,705万台/日であるのに対し,都区部通過交通の交通量は,その約6パーセントに相当する42万台/日(うち大型車15万台/日)であり,走行量では全体の6812万台キロに対し,14パーセント(4捨5入)に相当する927万台キロと算定されている。そして,圏央道への転換需要と見込むことができる圏央道外側に起終点がある都区部通過交通は,交通量で4万台/日(うち大型車が2万台/日,走行量では132万台キ)ロであり,圏央道の内側に起終点を持つ都区部通過交通からの転換も想定できること,一般道からの転換需要も発生することを考慮すれば,転換交通量として仮定した3万台/日は過大な数値といえないことが明らかである。圏央道による転換可能なのはせいぜい1万数千台/日程度にすぎないという控訴人らの主張は根拠がない。 圏央道が都心から離れて位置し,圏央道外に起終点を有する都区部通過交通中には,外環道,中央環状線を利用し圏央道を利用しないものが予測されるとしても,上記程度の転換交通量を仮定することが相当でないということはできない。 イまた,控訴人らは,交通量3万台/日が圏央道に転換したとしても,一般道からの転換量は1万台/日で,首都高速道からの転換量は2万台/日であり,都区部全体の一般道の交通量615万台/日(都区部全体の交通量705万台/日から首都高速道の交通量約90万台/日を控除したもの)の0.16パーセント,首都高速道の交通量の2.2パー。 セントにすぎず,統計上の誤差の範囲内であって交通渋滞に影響しない- 121 -と主張する。 しかし,圏央道外側に起終点がある都区部通過交通はそれ以外の交通と比較して走行距離が長いという交通特性を有することは明らかであって,このような交通の転換による効果の及ぶ範囲も大きい -と主張する。 しかし,圏央道外側に起終点がある都区部通過交通はそれ以外の交通と比較して走行距離が長いという交通特性を有することは明らかであって,このような交通の転換による効果の及ぶ範囲も大きいことからすれば,上記交通量であっても圏央道による転換効果を相当に考えることができ,交通量の割合だけを論じることは相当ではない。控訴人らが主張するように,交通渋滞は交通隘路地点での特定時間帯における交通集中,,に起因するものであり首都高速道では入口閉鎖等の利用制御も行われ個別事情の影響があり,利用台数だけで交通渋滞の原因を説明することはできないが,交通量,走行量を減少させることが渋滞要因を緩和するものであり,首都高速道においては,転換可能な走行量が70万台キロで(転換可能な132万台キロの4分の3に当たる99万台キロのうち71パーセントに相当する首都高速道分,都区部総走行量の5パー。)セント(小数点以下4捨5入)に及ぶと考えられることからすれば,渋滞緩和の効果があると考えられる。その程度を検討するにつき,交通渋滞と首都高速道の交通量との関係を原判決添付の「関係図」が示しており,交通量が85万台/日を超える場合は交通量を減少させることが渋滞緩和に役立ち,上記の交通量・走行量の減少によって渋滞緩和の効果があると考えることが相当でないとはいえない。 ウ本件圏央道事業及び本件八王子ジャンクション事業が完成すると,圏央道を介して中央道と関越道が自動車専用道路で連絡されることになり,他の環状道路である外環道,中央環状線と連絡し,都心部の通過交通の一部を転換することにより都心部の交通混雑を緩和し,首都圏全体の円滑かつ安全な交通の確保が図られることに寄与するものというべきである。 ⑵地域的な視点による利益について- 122 -控訴人らは,原 を転換することにより都心部の交通混雑を緩和し,首都圏全体の円滑かつ安全な交通の確保が図られることに寄与するものというべきである。 ⑵地域的な視点による利益について- 122 -控訴人らは,原判決が圏央道の地域的な視点による利益として,八王子市から青梅市間の幹線道路(一般国道16号,同411号)における交通混雑の緩和に役立つもので,周辺の生活道路に流入していた通過車両が一部排除され,地域全体の交通の流れを改善するものであると認めたことにつき,具体的ではなく相当ではないと非難する。 ,,,しかし前記のとおり圏央道が首都圏の諸都市を結ぶものであること高規格道路として相当な交通容量を有していることからすれば,上記幹線道路における交通混雑の緩和に役立つもので,周辺の生活道路に流入していた通過車両が一部排除され,地域全体の交通の流れを改善するものと認めた原判決の判断は正当である。このことは以下の事実からも明らかである。 ア日の出インターチェンジから青梅インターチェンジまでの区間が平成14年3月に供用されているが,供用前の交通量と比べ,供用後の交通量は,同区間に並行する一般国道16号の,α40街道との交差より北(関越道方向)の計測地点で13パーセント,同交差の南でα41街道との交差よりも北の計測地点で9パーセント,α41街道との交差より南の計測地点で3パーセント,いずれも減少し(丙138,周辺の生)活道路である青梅市α42の計測地点で21パーセント,羽村市α43の計測地点で7パーセント減少した(丙139。また,この供用によ)り圏央道を利用することにより東京都あきる野市役所から埼玉県鶴ヶ島市役所までの移動が32分(平成14年9月19日午前7時台,午後1時台,午後5時台の両方向走行の平均時間)で可能となり,一般道を走(),行 用することにより東京都あきる野市役所から埼玉県鶴ヶ島市役所までの移動が32分(平成14年9月19日午前7時台,午後1時台,午後5時台の両方向走行の平均時間)で可能となり,一般道を走(),行する1年前の所要時間上記と同様に計測の約3分の1に短縮され一般道を走行する場合を比較しても16分(約20パーセント)短縮された(丙140。 )イ平成17年3月21日,あきる野インターチェンジから日の出インタ- 123 -ーチェンジまでの区間約2キロメートルが開通し,同年10月13日(木)の交通量の調査結果(丙135)によれば,平成16年10月28日(木)と比べて,上記開通区間に並行する一般国道411号(α44)の交通量が1万7700台/日から1万1800台/日に約33パーセント減少し(うち大型車の減少率は約47パーセント,市道×号)(α45)の交通量が1万2700台/日から8700台/日に約31パーセント(うち大型車の減少率は約52パーセント)減少した。当該開通区間の開通後の交通量は平均(平成17年9月)で8900台/日であったが,この交通量は,青梅インターチェンジから日の出インターチェンジ間の増加交通量(平均約3300台/日。33パーセントの増加)を上回るものであり(丙135,圏央道が多摩地域(八王子市,)青梅市等)の南北方向の幹線道路として機能し,一般国道411号等の幹線道路が担っていた交通の一部が転換されたことを示している。 また,同区間の開通により,日の出インターチェンジから関越道と接続する鶴ヶ島ジャンクションまでの間の上記以外の交通量も増加しており(丙135,圏央道の利便性が向上したことにより交通量が増加し)たものと考えられる。 ウ平成19年6月23日,あきる野インターチェンジから八王子ジャンクションまでが開通し,中 通量も増加しており(丙135,圏央道の利便性が向上したことにより交通量が増加し)たものと考えられる。 ウ平成19年6月23日,あきる野インターチェンジから八王子ジャンクションまでが開通し,中央道と関越道が自動車専用道路で結ばれたことにより,圏央道通行の利便性が向上した。このことは,開通の直前・直後に行われた交通量調査(乙77)の結果から明らかである。すなわち,交通量は,あきる野インターチェンジから八王子西インターチェンジ間で2万0600台/日,八王子西インターチェンジから八王子ジャンクション間で2万1900台/日が計測され,あきる野インターチェンジから日の出インターチェンジ間の交通量も1万0600台/日から2万5300台/日へ約2.4倍に増加した。上記区間の供用により圏- 124 -央道周辺の一般国道411号(八王子市α32交差点付近)の交通量。 が1万7700台/日から1万3800台/日に3900台(約2割)減少した。また,一般国道16号と一般国道411号が交差する八王子市α33交差点からあきる野インターチェンジまでの所用時間は23分から16分に7分短縮され,鶴ヶ島ジャンクションにおける関越道郊外方向から圏央道へのアクセス交通量は1万8100台/日から2万0200台/日に増加した。 エ控訴人らは,道路の延伸,すなわちインターチェンジの開通による効果について,当該区間開通前後を比べることは合理的ではないなどと上記判断が相当ではない旨の主張をし,証拠(甲403の1の1,証人P21)によれば,鶴ヶ島ジャンクションから青梅インターチェンジまでが開通後,これにおおむね並行する一般国道16号の交通量が増加したこと,幹線道路の整備により広域的に総交通量が増加し,増加分が他の地域における渋滞を増加させることがあることが認められる。しか ジまでが開通後,これにおおむね並行する一般国道16号の交通量が増加したこと,幹線道路の整備により広域的に総交通量が増加し,増加分が他の地域における渋滞を増加させることがあることが認められる。しかし,圏央道の供用により圏央道にアクセスする一般道の交通量が増加すること,広域的な総交通量の増加があるものと考えられるが,上記認定の交通量の変化等について具体的にこのことと関連させて,その利便性を否定したり幹線道路における交通混雑の緩和に効果がないとまで説明することは困難であって,このような事実をもって上記認定を左右するものとまでいうことはできない。 オ控訴人らは,原判決が圏央道開通前にα21区間の混雑度が2.25に達し,一般国道16号が各所での慢性的な交通混雑を起こしていたと認定判断したことにつき,個々の道路区間レベルで混雑度が1.0を超えたからといって道路整備をすべきであるといった短絡的な解釈をすべきではないし,上記混雑度は誤った青時間比を使用したもので,混雑度自体が誤りであると主張する。 - 125 -しかし,混雑度は,当該道路区間に想定される計画水準と区間の設計交通容量,ピーク率,重方向率とから求められる1日あるいは昼間12時間の評価基準となる交通量(評価基準交通量)に対する,実際に通過した交通量の比として定義され,混雑度が1よりも大きい場合は,その道路区間が持つべきであるとして計画時に設定された交通量の水準を実交通量が超えたことを意味していること,混雑度が道路整備5箇年計画の策定や道路隘路区間の抽出,道路改良事業の必要性の判断のための資料として使われ(丙81,本件事業認定においても,交通情況を把握)し,本件事業の必要性の判断のための資料の一つとして活用すべきものであることは明らかである。 また,控訴人らは,α21区間の混雑度 料として使われ(丙81,本件事業認定においても,交通情況を把握)し,本件事業の必要性の判断のための資料の一つとして活用すべきものであることは明らかである。 また,控訴人らは,α21区間の混雑度の算定は誤った青時間比を前提にするものであると主張し,これに沿う甲405の1を提出し,証人P21は同旨を供述する。しかし,平成17年度交通センサス中,α22交差点における青時間比(29パーセント)が誤りであるか否かは,α22交差点がα28橋入口方向からの左折及びα22第2方向からの右折という一般国道16号の進行方向への交通が混雑していることから,この進行方向を青時間比の算定対象とすることによって定めるか,控訴人らがいうようにα22交差点における左折,直進,右折可能な時間をすべて加算するかの相違によるものであり,上記センサスの算定する混雑度は,一般国道16号の進行方向を青時間比の対象としたものと考えられ(甲405の2の1,2,405の3,これが誤った青時間)比を用いたものということはできない。したがって,混雑度を2.25とする平成11年度交通センサスについて,その前提となった青時間比が誤りであるということはできない。 カ費用便益分析について(ア)控訴人らは本件事業区間の費用便益比を22と評価している丙,. (- 126 -),「」, ことについて費用側で大部分を占める事業費については被控訴人らが算定に用いた推定事業費に対して,開通区間の実績事業費はすでに約1.5倍近く(約5300億円,甲403の20)に膨張し,他方で,事業者が採用している推計手法(分配配分法)による旅行時間(ある区間の通過時間)が過大推計と考えられ,誘発交通を考慮していないことによりさらに過大な推計となり,便益が約4分の1ないしはそれ以下に低下 業者が採用している推計手法(分配配分法)による旅行時間(ある区間の通過時間)が過大推計と考えられ,誘発交通を考慮していないことによりさらに過大な推計となり,便益が約4分の1ないしはそれ以下に低下し,被控訴人ら主張の方法によっても費用便益比が1.0を下回っている可能性が高く,公共性があることを理由付けるものではない旨主張する。そして,この主張に沿う証拠(甲403の1の1,3,証人P21)が存在し,証人P21は上記推計においては,各リンク(経路)への配分交通量の予測に利用者均衡配分法を採用すべきであるのに,分割配分法を用いたものであり,この配分には不安定性があり,旅行時間を過大に推計する傾向があり,上記分割配分法により予測したことで旅行時間を過大に推計した誤りがある旨供述する。 (イ)しかし,本件圏央道事業区間(八王子ジャンクション~青梅インターチェンジ)の費用便益分析(丙52)は,マニュアル(丙51)に基づいて行ったものであり,その方法が相当ではないということはできない。 費用便益分析は,ある年次を基準年とし,一定期間の便益額及び費用額を算定するものであり,便益は,道路整備が行われる場合と,行われない場合の交通量推計を用い,走行時間短縮,走行経費減少,交通事故減少の各項目について,道路投資の評価方法として定着している消費者余剰を計測することによって算出し,算出した各年次の便益の値を割引率(4パーセント)を用いて現在価値に換算し,総便益の現在価値を算出するものであり費用は道路整備に要する事業費用,,(- 127 -地費を含む,供用後に必要となる維持管理に要する費用を算定し,。)事業費及び維持管理費についても,割引率を用いて,基準年次における現在価値を算定し,総便益の現在価値を総費用の現在価値で除して便益比を求めるもの 用後に必要となる維持管理に要する費用を算定し,。)事業費及び維持管理費についても,割引率を用いて,基準年次における現在価値を算定し,総便益の現在価値を総費用の現在価値で除して便益比を求めるものである。そして,前提となる交通量推計の手法において,対象地区のOD表を作成し,分布交通量を推計し,その配分手法に関してはQ-Ⅴ式を用いた配分を原則とするとされており(丙),(), 本件費用便益分析における将来平成32年交通量の推計将来の発生集中交通量,分布交通量の推計は,マニュアルに従うものであって,これが相当でないということはできない。 控訴人らは,費用便益分析の前提となった交通量推計は,各リンクにおける事業実施前後における推計であるから,リンク交通量などの各種データに関し,その結果が保存されていなければ算出ができないはずであるのに,整理・保存の必要がないなどとしてデータを開示しないものであり,不審な点が多く,合理的な説明を欠いている旨主張するのに対し,被控訴人らは,交通量推計は,関東甲信越地方の一般都県道以上の道路を対象とし,そのリンク数は約4万にも及ぶものであり,すべてのデータを整理保存することに意味はなく,コンピュータに自動的に集計され走行時間短縮便益等が算出されるもので,恣意が入る余地はないから,控訴人らの主張は理由がない旨主張する。 コンピュータの計算そのものは,プログラムに従ってデータを処理するのであるから,恣意が入る余地はないが,その計算に使用されたプログラムとデータを開示し,図等で必要な説明をすることなくしては,推計結果の妥当性を第三者が客観的に評価できないことは明らかである。コンピュータを使用して推計されたのであるから,そのデータはデジタル化されているはずであり,媒体に保存することにそれほどの困難がある 計結果の妥当性を第三者が客観的に評価できないことは明らかである。コンピュータを使用して推計されたのであるから,そのデータはデジタル化されているはずであり,媒体に保存することにそれほどの困難があるとは考えられず,開示するに当たってもデジタルデー- 128 -タとして開示すれば比較的容易であり,それ以上にデータを整理することは不要と考えられる。 ,,自らの行った推計結果の正確性妥当性を部内で点検するためにも専門知識を有する第三者からの検証によって明らかにするためにも,使用したプログラムと使用したデータを保存,開示することが必要であることは明白であり,控訴人らの開示を求めたデータのすべてが必ずしも保存されているものではないとしても,使用したデータを保存することに意味がないとの被控訴人らの主張は採用できない。 しかしながら,費用便益分析の前提となった交通量推計の手法や条件は示されており(丙52,53,控訴人らが主張するようなデー)タの開示が行われないことから,費用便益分析の前提となった交通量推計に不実な点が多いとかデータの改ざんが行われたとまで認定することはできず,控訴人らの主張は採用できない。 (ウ)また,道路整備に要する事業費(用地費を含む)は,各年度の工。 事費,用地費等を実績及び計画額として設定し,同様に基準年次における現在価値を算定するものであり(丙51,工事費(建設費)を)2400億9000万円,用地費を1099億1000万円として事業費合計3500億円としたものであり,各数値の設定が不相当ということはできない。控訴人らは,実際に要した工事費用が上記事業費を上回ったことをもって,この費用便益分析の結果が公共性を根拠付けるものではないと主張するが,上記算出方法からすれば,実際に要した事業費と比較することで直ちにそのよ 実際に要した工事費用が上記事業費を上回ったことをもって,この費用便益分析の結果が公共性を根拠付けるものではないと主張するが,上記算出方法からすれば,実際に要した事業費と比較することで直ちにそのようにいうことはできない。 キ控訴人らは,起業者である参加人らは巨額の赤字をかかえ,さらに巨額な負担となる圏央道事業は公益性・公共性がない旨を主張する。 しかし,圏央道は,東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより,地域間の交流- 129 -を拡大し,地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに,首都圏から放射状にのびる東名高速道,中央道,関越道,東北道,常磐道,東関東道水戸線及び東関東道千葉富津線を相互に連絡することにより,都心部への交通の集中を緩和し,首都圏全体の発展に貢献すること等を目的に計画された環状道路であり,平成19年6月23日,あきる野インター,,チェンジから八王子ジャンクション間が開通し圏央道事業全体のうち圏央道と関越道とが接続する鶴ヶ島ジャンクションから中央道が接続する八王子ジャンクションまでが開通し,中央道と関越道とを圏央道が結び,参加人らによりさらにその整備が進められているものである。 控訴人らが主張するような参加人らの負債状況や要する工事費用等が巨額であり,負担が増加していることを斟酌しても,このような首都圏全体に及ぶ高速自動車国道のネットワークを形成しようとする事業につき,参加人らの財政負担が巨大であることをもって直ちに公共性がないということはできない。 また,控訴人らは,既開通区間の供用による収支が赤字であり,交通量も将来交通量推計を下回っていることを挙げるが,圏央道がいまだ部分開通をしているにすぎないことからすれば,このような収支や交通量の予測を直ちに公共性 ,既開通区間の供用による収支が赤字であり,交通量も将来交通量推計を下回っていることを挙げるが,圏央道がいまだ部分開通をしているにすぎないことからすれば,このような収支や交通量の予測を直ちに公共性と関連付けて論ずるのは相当ではない。 控訴人らの主張はいずれも理由がない。 土地収用法20条3号は「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄,与するものであること」と定め,同法1条が「公共の利益の増進と私有財産との調整を図り,もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与する」と同法の目的を定めていることに照らすと,事業計画が国土全体の土地利用の観点から見て適正かつ合理的であることを要する旨を規定したものであるところ,上記のとおり認められ,控訴人らの主張及び提出の証拠を検討しても,本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益と,この- 130 -ことによって失われる利益とを比較し,前者が後者に優越するものと認められ,本件事業はこの要件に適合するものである。 四控訴人らの本件各裁決の取消請求(乙事件,丙事件)について当裁判所も,前記一2において原告適格を認められた控訴人らの本件各権利取得裁決の取消請求は理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」欄「第七乙事件及び丙事件についての判断」二ないし四に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決253頁末行の次に改行し,次のとおり加える。 「控訴人らは,被控訴人収用委員会は,本件各裁決の申請がされた平成15年3月24日よりも前の同月7日に,第1回の公開審理期日の予定を同年7月31日として会場である八王子市民会館を予約し,あらかじめ参加人道路公団ら起業者と打合せをして上記予約をしたものであり,対立構造が予想される審理手続において公正さ 1回の公開審理期日の予定を同年7月31日として会場である八王子市民会館を予約し,あらかじめ参加人道路公団ら起業者と打合せをして上記予約をしたものであり,対立構造が予想される審理手続において公正さを害した旨,また,公開審理期日の指定において,権利者ら代理人弁護団に日程上の都合をあらかじめ確かめたりすること,,なく多忙な弁護士に対し何ら配慮をせずに一方的に期日指定をしたもので審理期日の手続に違法がある旨を主張する。 しかし,被控訴人収用委員会において,本件各裁決の申請が近くなされることを想定して,その申請前に公開審理のための会場を予約することが,多人数を収容することが可能な会場の確保が比較的困難であることからすれば,相当な措置であり,起業者らの都合だけを優先させた措置であるとは認めがたく,被控訴人収用委員会において審理手続の公正さを害したとまで認めることはできない。 また,被控訴人収用委員会は,第1回審理期日の指定にあたり,多数の権利者らから委任を受け,その出頭が予定され,期日の調整を希望する権利者ら代理人弁護士に対し,あらかじめ期日の調整を何ら行うことなく期日を指定し,同年7月11日付けで「審理の開始について(通知(丁16)を)」- 131 -発し,同年8月21日に審理を行う旨の通知をし,そのため,上記審理期日の冒頭に,上記弁護士(控訴人ら代理人弁護士)らから抗議を受け,同弁護士らはあらかじめ期日の調整をして続行期日の指定をするよう被控訴人収用委員会会長に求めたことが認められる(甲A1。 )しかし,公開審理期日の指定は,被控訴人収用委員会がその権限と職責において行うべき事柄であり,審理期日の円滑な進行を図るためには,上記代理人弁護士らとの期日の調整をすることが望ましいことは明らかであるが,対象となる本件起業地の権利者・関係 委員会がその権限と職責において行うべき事柄であり,審理期日の円滑な進行を図るためには,上記代理人弁護士らとの期日の調整をすることが望ましいことは明らかであるが,対象となる本件起業地の権利者・関係人は多数に及ぶことや,多人数を収容できる会場の確保等の問題もあり,上記のような経緯で期日指定がされたからといって,審理手続が違法に行われたとまで認めることはできない」。 同257頁9行目の次に改行し,次のとおり加える。 「控訴人らは,本件事業認定手続が旧土地収用法のもとで行われたことによる不利益を考慮して,収用裁決関連手続では弾力的な運用がされるべきである旨主張するが,本件各裁決の申請に関する審理の経緯は判示(原判決「事実及び理由」欄第五一〇2)のとおりであり,発言の希望者には,審理における発言内容,発言時間に関する要望を意見書で提出するよう求め,権利者らの代理人弁護士らの「収用委員会の公開審理に対する意見書(丁21。 」()。)事業認定の違法性無効について審理すべきであるなどと主張するものに対しても応答し,本件事業認定の無効原因の存在についても,提出した意見書に追加する意見を述べる機会を与えるなどし,平成15年8月21日から平成16年2月23日まで8回の期日を設けて行われたものであり,土地収用法の趣旨に従った運用がなされなかったということはできない」。 同261頁1行目の次に改行し,次のとおり加える。 「控訴人らは,不明裁決により収用する土地につき「争いがある境界の間にある土地」と一般的に述べるだけであり,それ自体の特定がされておらず,このような裁決は許されない旨を主張するが,本件未確定地は,本件土地1- 132 -を取り囲むように本件土地4,6,7が位置し,隣地との境界のうち本件土地1とその余の本件土地4,6,7との境 ず,このような裁決は許されない旨を主張するが,本件未確定地は,本件土地1- 132 -を取り囲むように本件土地4,6,7が位置し,隣地との境界のうち本件土地1とその余の本件土地4,6,7との境界点であるK1,K2,K3の各境界点(甲A40・159頁図面2記載のもの)が確定しがたいとされた。 にすぎず,収用対象土地の全体は確定し,本件未確定地の位置(本件土地6とその余の土地との相対的な関係)が確定しがたいため,上記各点の移動によっては各土地の位置にずれが生じ「争いがある境界の間にある土地」に,つき所有者がいずれであるか確定できないというものである。したがって,これが調査を尽くした上確定できないからといって収用できないとするのは相当ではなく,その確定しがたい土地につき所有者がいずれか不明として収用裁決すべきであると判断したものであり(甲A40,この判断は相当で)あり,上記控訴人らの主張は理由がない」。 同261頁17行目の「援用する」を「採用する」と改め,同267頁19行目の「P7」の次に「,第8原告P23,同P24,同P25,同P26,同P27,同P28,同P29,同P30」を加える。 五 結論 したがって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,いずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第14民事部裁判長裁判官西田美昭裁判官犬飼眞二裁判官窪木稔

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