主文 1 本件控訴を棄却する。 2 本件附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 3 附帯被控訴人は,附帯控訴人Aに対し,2664万9500円,同B及び同Dに対し,それぞれ1132万4750円並びにこれらに対する平成7年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 附帯控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審とも,これを10分し,その9を控訴人(附帯被控訴人)の負担とし,その余を被控訴人(附帯控訴人)らの負担とする。 6 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 (以下,「控訴人(附帯被控訴人)」を単に「控訴人」と,「被控訴人(附帯控訴人)」を単に「被控訴人」という。)第1 控訴の趣旨 1 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。 第2 附帯控訴の趣旨 1 原判決を次のとおり変更する。 2 控訴人は,被控訴人Aに対し,3152万4000円,同B及び同Dに対し,それぞれ1311万2000円並びにこれらに対する平成7年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は,第1,2審とも,控訴人の負担とする。 第3 事案の概要本件は,亡Eが,控訴人の開設する春日井市民病院(以下「控訴人病院」という。)において診療を受けたが,控訴人病院の医師らがEのくも膜下出血を発見できなかったため,再度のくも膜下出血によって死亡したとして,Eの遺族である被控訴人らが,控訴人に対し,診療契約上の債務不履行及び不法行為(民法715条)に基づく損害賠償(逸失利益,慰謝料,葬儀 見できなかったため,再度のくも膜下出血によって死亡したとして,Eの遺族である被控訴人らが,控訴人に対し,診療契約上の債務不履行及び不法行為(民法715条)に基づく損害賠償(逸失利益,慰謝料,葬儀費用,弁護士費用及び本件不法行為の結果発生の日である平成7年4月22日からの遅延損害金)を請求した事案であるが,原審が被控訴人らの一部勝訴の判決を言い渡したので,これに不服がある控訴人が控訴し,被控訴人らが附帯控訴したものである。 なお,原判決は,控訴人病院の医師の過失を認めた(F医師が確定診断をすべき義務に違反したとするもの)が,過失相殺(Eが腰椎穿刺を拒否したことを考慮するもの)をして3割を減じており,被控訴人Aには1969万余円,被控訴人B及び同Dにはそれぞれ792万余円といずれもこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容した。 1 争いのない事実(1) 当事者被控訴人Aは,Eの夫であり,被控訴人B及び同Dは,被控訴人AとEとの間の子である。 控訴人は,愛知県春日井市上八田町6363番地に控訴人病院(春日井市民病院)を設置している地方自治体であり,内科医のH医師,内科医のI医師及び神経内科医のF医師(上記3名の医師を「控訴人病院医師ら」ということがある。)は,後記のとおりEが控訴人病院にて受診した当時控訴人病院に勤務していた者である。 (2) 事実経過ア Eは,平成7年4月20日午後9時ころ(以下,原則として「平成7年4月」の記載は省略する。),激しい頭痛,悪心及び嘔吐を訴えて,控訴人病院で受診し,控訴人との間で,Eの疾患を診断し,それを治癒させるべく適切な診療行為を行うことを内容とする診療契約を締結した。 イ当日の当直医であった内科医のH医師は,問診及び頭部CT検査(コンピュータ断層撮影)を含む諸検査をし,鎮痛薬 し,それを治癒させるべく適切な診療行為を行うことを内容とする診療契約を締結した。 イ当日の当直医であった内科医のH医師は,問診及び頭部CT検査(コンピュータ断層撮影)を含む諸検査をし,鎮痛薬を処方するとともに,翌日控訴人病院の内科へ受診することを勧めて,Eを帰宅させた。 21日,Eは,控訴人病院において内科医のI医師に受診したところ,I医師は,問診及び諸検査等の結果,神経内科医の判断を仰ぐこととした。そこで,Eは,神経内科医のF医師に受診したところ,F医師は,問診等をし,腰椎穿刺検査(ルンバール)を勧めたものの,Eがこれを断ったことから,鎮痛薬等を処方し,Eを帰宅させた。 ウ 22日,Eは,頭痛と吐き気のため,午前8時前に救急車で控訴人病院に搬送されたが,くも膜下出血が生じたことが原因となって,同日午前9時18分ころ死亡した。 2 争点(1) 本件診療における控訴人病院医師らの過失の有無(争点1)(控訴人病院医師らに,Eのくも膜下出血を確定診断すべき注意義務,又はくも膜下出血を疑い,脳神経外科医に相談し,あるいは脳神経外科に転科させるべき注意義務があったか否か)(2) 控訴人病院医師らの過失とEの死亡との相当因果関係の有無(争点2)(3) 過失相殺の有無(争点3)(4) 損害額(争点4) 3 争点に対する当事者の主張(1) 本件診療における控訴人病院医師らの過失の有無(争点1)ア被控訴人らの主張(ア) Eの臨床症状についてaEが,20日午後9時30分ころにH医師に訴えた主訴は,頭痛であり,しかも,19日昼ころ突然発生し,「割れるような」これまでに経験したことのない非常に強い痛みであり,嘔吐が数回あるとともに悪心を伴うというものであった。 b 一般に,医師としては,患者が頭 ,しかも,19日昼ころ突然発生し,「割れるような」これまでに経験したことのない非常に強い痛みであり,嘔吐が数回あるとともに悪心を伴うというものであった。 b 一般に,医師としては,患者が頭痛を訴える場合には,くも膜下出血,脳腫瘍,髄膜炎等の緊急の処置が必要な重大な疾患を見逃さないことが重要であるところ,患者が,夜間,救急外来をあえて受診するのは,その痛みが翌朝まで我慢できないものであるということを認識しなければならない。また,くも膜下出血の典型的症状は,それまでに経験したことのないような激しい頭痛が突然起き,吐き気や嘔吐を伴うものであるところ,Eの頭痛は,その典型的症状を示しているものといえる。 なお,髄膜炎は感染性疾患であるところ,Eにはその典型症状の一つである発熱がなく,また,炎症反応を示すCRP(炎症所見)の値も上昇していなかったのであるから,通常の髄膜炎については,これを否定することができたが,くも膜下出血の可能性を否定することはできなかったものである。 (イ) 本件CT写真について一般に,正常な頭部CT写真においては,脳底槽やシルビウス裂,迂回槽等のくも膜下腔は脊髄液が存在しているため黒く描出され(低吸収域),血液は脊髄液よりも多くX線を吸収することから白く描出される(高吸収域)ところ,20日に撮影されたEの頭部CT写真(乙3の1。以下「本件CT写真」という。)は,本来黒く描出されるべき脳底槽やシルビウス裂,迂回槽が黒く写っておらず,いずれも白ないし灰色に描出されていて(高ないし等吸収域),くも膜下腔に出血があることを示している。 (ウ) 控訴人病院医師らの過失についてa くも膜下出血の確定診断を下すべき注意義務控訴人病院医師らは,Eの臨床症状及び本件CT写真からくも膜下出血の確定診断 腔に出血があることを示している。 (ウ) 控訴人病院医師らの過失についてa くも膜下出血の確定診断を下すべき注意義務控訴人病院医師らは,Eの臨床症状及び本件CT写真からくも膜下出血の確定診断を下さなければならない注意義務があった。 b 脳神経外科医に相談し,くも膜下出血の除外診断をなすべき注意義務仮に控訴人病院医師らが自らEをくも膜下出血と診断すべき注意義務があったとまではいえないとしても,臨床症状からくも膜下出血が疑われる場合であって,くも膜下出血は放置すると,初回出血から近い時期に死に至る再出血が起きる可能性が高いので,くも膜下出血を完全に除外診断できるまで,常にくも膜下出血の可能性を考えて診断にあたらなければならない。くも膜下出血を専門領域とするのは脳神経外科であり,控訴人病院は脳神経外科を標榜する地域の中核公立総合病院であるから,控訴人病院医師らは,脳神経外科医に相談する注意義務があった。 cH医師の過失一般に,頭痛を主訴として救急外来を訪れる患者の中には,生命を脅かし緊急処置を必要とする者も含まれていること,前記Eの臨床症状及び本件CT写真の異常性から,くも膜下出血を疑うべきであったところ,H医師は,くも膜下出血と疑うべきであったし,仮に自ら確定診断ができない場合であっても,くも膜下出血を専門の診断領域とする脳神経外科医の診断に委ね,あるいは相談をすべきであった。そもそも,自分の専門と異なる疾患について,とりわけ緊急の対応を要求される重大な疾患に関しては,断定的かつ最終的な判断をしてはならず,専門医に相談することが不可欠である。H医師は,内科医でしかも研修医という立場にあって,くも膜下出血が強く疑われるEを,脳神経外科医に相談することなく,翌日内科へ受診するよう勧めてEを帰宅させたことに,過失があ ることが不可欠である。H医師は,内科医でしかも研修医という立場にあって,くも膜下出血が強く疑われるEを,脳神経外科医に相談することなく,翌日内科へ受診するよう勧めてEを帰宅させたことに,過失があることは明らかである。H医師は,放射線科医に本件CT写真の読影を依頼しているが,控訴人病院には放射線科医にCT写真の読影を緊急に依頼するシステムは整っていなかったのであり,翌日F医師がEの診察をした昼頃までには,実際にEの診察にあたった医師の下には,放射線科医の読影結果報告書が届けられなかったのであるから,当直医として行うべきことを行ったとは到底評価できず,腰椎穿刺検査実施のいかんを含めて,脳神経外科医に相談すべき注意義務を尽くしていなかった。 なお,控訴人病院では,いわゆるオンコール体制をとっていて,連絡をすれば脳神経外科医が対応できるよう待機していたのであり,相談等を容易にすることができたのであるから,H医師が,脳神経外科医に相談する等のことをせず,Eの診察を終了し,帰宅させたことに過失があることは明らかである。 また,控訴人病院は,救急病院として告示されており,救急病院とは,「救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。」がその認定基準とされているのであるから(救急病院等を定める省令1条1号),仮に,20日当日にH医師が脳神経外科医又は放射線科医に相談することができなかったのであれば,控訴人病院の医療体制に問題があり,そのことで控訴人が免責されるものではない。 dI医師の過失I医師は,前記Eの臨床症状,本件CT写真の異常性及び自ら問診した結果,項部硬直等の所見を認めたのであるから,Eのくも膜下出血を最も疑うべきであり,自ら確定診断ができない場合であっても,脳神経外科医に相談等 前記Eの臨床症状,本件CT写真の異常性及び自ら問診した結果,項部硬直等の所見を認めたのであるから,Eのくも膜下出血を最も疑うべきであり,自ら確定診断ができない場合であっても,脳神経外科医に相談等すべきであったが,これを怠ったもので,その注意義務違反は明らかである。 なお,I医師は,髄膜炎の可能性を疑っていたが,髄膜炎は感染性疾患であることから,その基本的臨床症状は発熱であるところ,Eの体温は,36.7℃と発熱は認められず,また,炎症反応を示すCRPの値も上昇していなかったのであるから,髄膜炎の典型的症状はなく,くも膜下出血を否定すべき理由はなかったものである。 eF医師の過失F医師についても,前記Eの臨床症状,本件CT写真の異常性及び自ら問診した結果,項部硬直等の所見を認めたのであるから,くも膜下出血を疑うべきであり,脳神経外科医に相談等をするべきであったが,これを怠ったものであり,その注意義務違反は明らかである。 なお,F医師は緊張性頭痛と判断しているが,緊張性頭痛はいわゆる慢性頭痛の一種であるから,緊張性頭痛と判断するためには,患者が受診するまでの間,いつ頃からどのような頭痛があったのかについて問診しなければならないのに,このような問診は行うことなく,安易に,Eの症状を,神経内科を受診する頭痛患者のうち最も多いとされる緊張性頭痛であると判断している。 前記のとおり,Eの臨床症状及び本件CT写真から,控訴人病院医師らは,自らくも膜下出血の確定診断をし,あるいは,脳神経外科に相談すべきであった。しかるにF医師においては,そもそも実施する必要性がない上,くも膜下出血の確定診断のために脳動脈瘤再破裂等の危険性を有する腰椎穿刺検査を実施することはむしろ避けるべきであり,仮に腰椎穿刺を実施するのであれば,腰 おいては,そもそも実施する必要性がない上,くも膜下出血の確定診断のために脳動脈瘤再破裂等の危険性を有する腰椎穿刺検査を実施することはむしろ避けるべきであり,仮に腰椎穿刺を実施するのであれば,腰椎穿刺は脳動脈瘤の再破裂の危険性があるのだから,脳神経外科医に相談した上で実施すべきところ,これを怠った点でも過失のあることは明らかである。 また,F医師は,脳に異常がないことを告げた上で,念のため腰椎穿刺をすることを勧めたにすぎず,Eにおいて,腰椎穿刺を実施するか否かについて自ら決定するに十分な説明はなされておらず,F医師の説明義務が尽くされたとはいえない。したがって,Eが腰椎穿刺の実施を断ったからといって,F医師の注意義務が免除されることにはならない。 イ控訴人の主張(ア) Eの臨床症状についてH医師は,20日の診察の際,項部硬直の有無を含めた神経学的検査を行ったところ,いずれも異常はなかった。そして,頭痛がセデスGで軽快していること,Eは歩いて診察室に入り,話しぶりにも異常が認められなかったことから,Eの臨床症状からくも膜下出血を疑うことは不可能であった。 21日においても,Eには,くも膜下出血の典型的臨床症状である神経学的症状や血圧の上昇も認められなかった。したがって,Eの臨床症状からくも膜下出血を疑うことは不可能であった。 なお,吐き気,嘔吐を伴うそれまでに経験したことのないような激しい頭痛,眼の奥の痛み,肩こりは,くも膜下出血だけに特有の症状というわけではなく,緊張性頭痛,片頭痛,群発性頭痛,良性頭蓋内圧亢進症,中耳炎・緑内障に伴う頭痛,副鼻腔炎に伴う頭痛,髄膜炎等にも共通してみられる症状である。また,Eの「それまでに経験したことのない激しい頭痛」との主訴は,主観によって大きく異 ,良性頭蓋内圧亢進症,中耳炎・緑内障に伴う頭痛,副鼻腔炎に伴う頭痛,髄膜炎等にも共通してみられる症状である。また,Eの「それまでに経験したことのない激しい頭痛」との主訴は,主観によって大きく異なるし,表現方法には個人差があることから,このような主訴があったとしても,当然にくも膜下出血を疑うことはできない。 (イ) 本件CT写真についてa 本件CT写真においては,脳底槽,シルビウス裂及び迂回槽が,周囲の白っぽいところに比べれば黒く写っているし,特にシルビウス裂は,低吸収域として描出されている。 なお,本件CT写真上に,くも膜下腔の白っぽい部分があるが,そもそもCT写真は,何ミリメートルかの情報を1枚の写真に集約したものであるところ,この部分は,灰白質(中枢神経系で神経細胞の密集する部分)が集約された結果の映像(パーシャルボリューム)である可能性がある。また,一般に脳底部でよく見られる,骨のアーチファクト(障害陰影のことをいい,頭部の動きや頭蓋内の骨稜,突起,空気及び石灰化等が原因となることが多い。)が写ることがあり,その結果白っぽくなっている可能性も十分考えられる。さらに,本件CT写真上,脳溝が左右対称に写っていないことからすると,被撮影者が撮影時に頭を動かしたことや,個体差であることも考えられる。 したがって,本件CT写真上にくも膜下腔に高吸収域が認められるとはいえない。 b なお,仮に,本件CT写真に高吸収域が認められるとしても,Eの脳は,年齢の割に萎縮化が進行していないものといえるところ,このような患者の場合,シルビウス裂等が黒色の低吸収域として写らないことがあることから,何ら異常所見とはいえない。 以上のことから,本件CT写真に異常は認められず,仮に,いわゆる正 ろ,このような患者の場合,シルビウス裂等が黒色の低吸収域として写らないことがあることから,何ら異常所見とはいえない。 以上のことから,本件CT写真に異常は認められず,仮に,いわゆる正常画像と異なるものであったとしても,それはEの個体差に基づくものであることから,控訴人病院医師らが,Eのくも膜下出血を確定診断し,あるいはこれを疑うことは不可能である。 (ウ) 控訴人病院医師らの過失についてa 控訴人病院医師らの注意義務本件においては,控訴人病院医師らの注意義務の程度が問題となるところ,医師個人の注意義務は,一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく,当該医師の置かれた諸条件を考慮した相対的な基準として考えるべきものであり,脳神経外科と内科・神経内科とでは,専門教育の差等から,脳神経外科医であれば読み取れるくも膜下出血であっても,内科医や神経内科医には読み取れない場合が生じ得る。また,脳神経外科医に相談等をするべき注意義務について,その必要性の認識可能性が,内科医・神経内科医においては,低いものといわざるを得ない。 そこで,内科医・神経内科医である控訴人病院医師らの注意義務を検討するに当たっては,各医師個人の置かれた諸条件等から総合的に判断しなければならない。 bH医師についてH医師は,20日の時点において,Eの臨床症状に異常が認められず,かつ,本件CT写真にも異常を認めなかったことから,緑内障に伴う頭痛,群発性頭痛及び片頭痛の可能性を疑い,頭痛薬であるセデスGを1グラム処方した上で,控訴人病院内のベッドで様子を見たところ,Eの頭痛が軽快したことから,さらに,セデスGを1グラム処方し,翌日の内科の受診を勧めて帰宅させたもので,何ら過失はない。 cI医師についてI医師は 控訴人病院内のベッドで様子を見たところ,Eの頭痛が軽快したことから,さらに,セデスGを1グラム処方し,翌日の内科の受診を勧めて帰宅させたもので,何ら過失はない。 cI医師についてI医師は,21日の診察において,Eが苦悶表情を示していること,項部硬直がわずかに感じられる状態に変化していたことから,神経内科医であるF医師に診察を依頼することにしたもので,何ら過失はない。 dF医師について(a) F医師は,Eの話しぶりが普通ではっきりしており,各種の脳神経テストにも特に異常を示す点はなかったこと,頭痛がひどいという主訴があることから,緊張性頭痛,片頭痛,群発性頭痛,良性頭蓋内圧亢進症,中耳炎・緑内障に伴う頭痛,副鼻腔炎に伴う頭痛,髄膜炎,くも膜下出血等を疑ったが,前日の頭痛がセデスGで軽快していること,Eの臨床症状から,緊張性頭痛を最も強く疑ったもので,何ら過失はない。 なお,F医師は,Eの項部硬直が「あるかないか」という程度であったこと,CT写真が52歳という年齢を考慮したときに正常とも異常とも言い難いものであると考えたことから,くも膜下出血及び髄膜炎の可能性も否定することができなかったため,Eに対し,腰椎穿刺検査を勧めたところ,これを拒否されたために実施できなかったものである。 F医師は,Eに対し,くも膜下出血や髄膜炎のように緊急に治療を要する疾患の疑いがあることを述べ,今までの所見ではこれを確定することはできないことから,診断を確定するためには腰椎穿刺検査を行う必要があること,この検査は,腰の脊髄腔に細い針を刺して脳脊髄液を採取して調べるものであること,針を刺す腰の部位に局所麻酔をしてから実施するため,それほど痛くないことなどを何度も説明したが,Eは,「絶対いや,いや,絶対にいや。」などと述べ い針を刺して脳脊髄液を採取して調べるものであること,針を刺す腰の部位に局所麻酔をしてから実施するため,それほど痛くないことなどを何度も説明したが,Eは,「絶対いや,いや,絶対にいや。」などと述べてこれを拒否した。 また,Eは,F医師の説明に対し,「痛み止めの注射はないかね。」とか,「昨日もらった痛み止めが効いたからもっと欲しい。」などと検査を避ける趣旨の言葉を述べ,決して検査を受けようとはしなかった。 (b) 腰椎穿刺検査は,検査による合併症や麻酔によるショックを起こす危険を伴い,ときには,後遺症を残したり死亡事故を生じることさえある危険性の高い検査であることから,患者本人の同意なくして実施することはできない。本件において,F医師は,腰椎穿刺検査の意義及びその重要性について十分に説明したにもかかわらず,Eは,その実施を拒否したのであるから,F医師としては,腰椎穿刺検査の実施を断念せざるを得なかった。 そもそも医療は,医師と患者の協同作業であるから,医療目的を達するためには患者の協力が不可欠であって,医療行為における患者側の過失が顕著な場合には,単なる過失相殺の問題にとどまらず,医師の責任を否定する要素となる。 したがって,Eの腰椎穿刺拒否によって,確定診断に決定的な影響を及ぼしたのであるから,F医師には,何らの注意義務違反もないことになる。 e 以上のことに加えて,本件において,放射線科医による本件CT写真の読影が行われたのは,控訴人病院医師らの診察が終了した後であり,控訴人病院医師らは,その読影の結果を確認することなく診察に当たらざるを得なかったことをも考慮に入れると,控訴人病院医師らに,本件症例からくも膜下出血を疑うことはできなかったものといわざるを得ず,また,脳神経外科医に相談等をするべ 確認することなく診察に当たらざるを得なかったことをも考慮に入れると,控訴人病院医師らに,本件症例からくも膜下出血を疑うことはできなかったものといわざるを得ず,また,脳神経外科医に相談等をするべき注意義務は存在しなかったものといえる。 f なお,原判決は,F医師において腰椎穿刺の実施を拒否したEに検査の必要性を説いてその実施を説得しなかったことが診察にあたった医師としての義務違反にあたるとするが,この考え方は,Eの明示した腰椎穿刺検査拒否の意思(これは患者の権利とされる自己決定権の行使である)を排除して,F医師が診察室を退出したEを追いかけて腰椎穿刺検査を受けるように重ねて執拗に説得しない限り責任を免れないことになるが,これでは,診療を担当する医師に不可能な事柄を求め,診療現場を無視したもので不当である。 (2) 控訴人病院医師らの過失とEの死亡との相当因果関係の有無(争点2)ア被控訴人らの主張くも膜下出血は,その重症度が軽い場合,早期手術の絶対的適応があるとされ,患者の術前状態が良好なほど,手術成績は良好となるのであって,控訴人病院医師らがくも膜下出血と診断できなくても,脳神経外科医に相談していれば,臨床症状と本件CT写真からくも膜下出血と診断され,その後手術を受けて良好な予後を得たものであり,控訴人病院医師らの過失とEの死亡との間に相当因果関係があることは明らかである。 イ控訴人の主張仮に控訴人病院医師ら3名のうちのいずれかに過失があったとしても,F医師が実施を試みた腰椎穿刺検査が行われれば,4月21日中にくも膜下出血との確定診断がなされ,脳神経外科医に引き継がれ,血管撮影と手術治療が進められたはずであり,発症3日以内に手術ができれば術後良好な が実施を試みた腰椎穿刺検査が行われれば,4月21日中にくも膜下出血との確定診断がなされ,脳神経外科医に引き継がれ,血管撮影と手術治療が進められたはずであり,発症3日以内に手術ができれば術後良好な予後措置を取ることができた蓋然性が極めて高いのである。すると,Eの協力義務違反という予期せぬ事態から生じた死の結果まで相当因果関係を認めることはできない。 (3) 過失相殺の有無(争点3)ア控訴人の主張Eが頑なに腰椎穿刺検査の実施を拒絶し,その結果くも膜下出血との確定診断に達することができずに死の結果を生じたことを考慮して,過失相殺がなされるべきである。 イ 被控訴人らの主張前記のとおり, F医師は,脳に異常がないことを告げた上で,念のため腰椎穿刺検査をすることを勧めたにすぎず,Eにおいて,腰椎穿刺検査を実施するか否かについて自ら決定するに十分な説明はなされていないのであるから,これをもって過失相殺することは不当である。 (4) 損害額(争点4)ア被控訴人らの主張(ア) 逸失利益 2644万8000円Eは,死亡当時52歳であり,67歳に達するまでの15年間は家事労働に従事することが可能であり,その家事労働は,女子労働者平均賃金額に等しいものと評価される。 したがって,毎年の年収額を344万0800円(賃金センサス平成7年第1巻第1表産業計,企業規模計,学歴計,52歳女子の平均賃金)とし,生活費として3割を減じ,中間利息をホフマン方式により控除して逸失利益の現価を算出すると,3,440,800×10.981×(1-0.3)=26,448,397であるところ,1000円未満を切り捨てて,2644万8000円となる。 逸失利益の現価を算出すると,3,440,800×10.981×(1-0.3)=26,448,397であるところ,1000円未満を切り捨てて,2644万8000円となる。 被控訴人Aは,同金額の2分の1にあたる1322万4000円,被控訴人B及び同Dは,各4分の1にあたる661万2000円の損害賠償請求権をそれぞれ相続した。 (イ) 慰謝料 2600万円被控訴人Aは最愛の妻を,被控訴人B及び同Dは最愛の母親を失ったものであり,その精神的苦痛は計り知れず,これを金銭評価すると,被控訴人Aは1300万円,被控訴人B及び同Dは各650万円を下らない。 (ウ) 葬儀費用 130万円被控訴人Aは,Eの葬儀を行ったが,控訴人の債務不履行又は不法行為と相当因果関係のある葬儀費用は,130万円である。 (エ) 弁護士費用 400万円被控訴人らは,被控訴人ら代理人らに本訴提起及び訴訟追行を委任したが,本件医療事故と相当因果関係のある弁護士費用は,400万円をもって相当とする。なお,弁護士費用を実際に負担するのは被控訴人Aであるから,これについては,被控訴人Aの損害として主張する。 イ控訴人の主張全て争う。 第4 争点に対する判断 1 控訴人病院における診療経過前記争いのない事実,証拠(乙1,乙4,乙17ないし19,原審証人H,同I,同F)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる。 (1) Eは,19日昼ころ,激しい頭痛,悪心及び嘔吐が生じたことから,20日午後9時30分ころ,控訴人病院において受診した。 (2) 当日の当直医であった一般内科医であるH医師の問診に対し,Eは,前日の昼ころから,頭全体,眼の奥及び後頭部が割 び嘔吐が生じたことから,20日午後9時30分ころ,控訴人病院において受診した。 (2) 当日の当直医であった一般内科医であるH医師の問診に対し,Eは,前日の昼ころから,頭全体,眼の奥及び後頭部が割れるように痛いこと,痛みは持続的であり非拍動性であること,今まで経験したことのないような痛みであること,悪心があり嘔吐も数回あったことを告げた。H医師は,最近の視野異常,めまい,複視,手足のしびれ,脱力,咳,鼻汁,最近の頭部打撲等について尋ねたところ,Eはめまいについては最初あったと答えたものの,その他については該当がない旨応答した。また,Eの意識は清明で,独歩可能な状態であった。 H医師は,脳神経所見を採るため,Eに対し,視野(指で視野の範囲を測定する。),対光反射(患者の瞳孔をライトで照らして瞳孔の反応をみる。),外眼運動(患者に眼を動かしてもらいその動きをみる。),顔面の運動感覚(目をつぶる,眉を上げる,額にしわを寄せる等の動作をしてもらいその動きをみる。),聴力,軟口蓋挙上(異常があるときは左右バランスよく上がらないことがある。),舌運動,四肢・徒手筋力テスト(患者の手足をつかんで抵抗力を量るもの。),感覚(指や筆で患者に触れて,患者が普通に感じるか,感覚があるか否かをみる。),ハンマーで行う腱の検査,バビンスキーテスト(患者の足の裏を金属でこすって反応をみるテスト),指鼻テスト・かかとひざテスト(患者に指で鼻を指したり,膝にかかとをあてることをしてもらいそれをみる。)及び項部硬直についての検査(仰向けになった状態で患者の首の後ろを両手の全指で支えてゆっくり上げて項部の状態をみる。)を行ったが,いずれも異常がなかった。また,体温は,36.7度,脈拍は60,血圧は150/80mmHgでほぼ正常であった。 H医師は,上記診察の 手の全指で支えてゆっくり上げて項部の状態をみる。)を行ったが,いずれも異常がなかった。また,体温は,36.7度,脈拍は60,血圧は150/80mmHgでほぼ正常であった。 H医師は,上記診察の結果疑われる疾患は多数(片頭痛,緑内障,群発性頭痛,副鼻腔炎,髄膜炎,くも膜下出血,脳腫瘍等の疾患が考えられた。)あり,さらに頭部CT検査と血液検査を実施することとした。 血液検査の結果,白血球数は10.2×1000とやや増加しているものの異常を認めず,CRPが0.6mg/dlと正常範囲内で重症の髄膜炎等の細菌感染は考えにくいと判断し,また,Eの頭部CT検査を行ったところ,本件CT写真に異常を認めなかったので,明らかな脳出血,脳腫瘍,くも膜下出血は対象疾患から除外した。また,Eに鎮痛剤であるセデスGを内服させた上,しばらく様子をみたところ,症状が軽快したことから,H医師は,重症な病気ではないと判断し,緑内障に伴う頭痛,群発性頭痛及び片頭痛の可能性を疑った。 H医師は,Eに対し,脳に異常はない旨説明し,再度,セデスGを処方するとともに,翌日内科を受診すること,何か変わったことがあったら来院するように勧めて,同日午後11時30分ころ,帰宅させた。なお,H医師は,放射線科の医師に本件CT写真の読影を依頼しているが,放射線科の医師は翌21日に読影して報告書をF医師に提出しているので,H医師はEの死亡までにこれを受け取っていない。 (3) 21日,Eは,控訴人病院内科を受診し,一般内科医であるI医師の診察を受けた。I医師は,前日のカルテの記載を確認し,本件CT写真を読影したが,異常とは認めなかった。 Eは,頭痛を訴え,苦悶表情をしていたが,セデスは効いている(5時間くらいは効く),寝ていると楽だが座っていると痛い旨述べ,血圧は120/70mmH T写真を読影したが,異常とは認めなかった。 Eは,頭痛を訴え,苦悶表情をしていたが,セデスは効いている(5時間くらいは効く),寝ていると楽だが座っていると痛い旨述べ,血圧は120/70mmHg,脈拍は18×4/mでほぼ正常であり,独歩していた。I医師は,咽頭,心雑音,肺のラ音,リンパ節,腹部,脳神経の各所見をとったが,項部硬直があるかないかという程度であることを確認したほかは,異常を認めなかった。なお,21日にも血液検査が実施されているが,報告は翌22日になされている。 I医師は,項部硬直が弱陽性であること,頭痛が48時間以上継続していることなど,髄膜炎,特にウイルス性髄膜炎をはじめとする器質的疾患がある症候性頭痛を疑ったが,発熱がなく20日の血液検査の結果も異常がなかったこと,寝ていると痛くないが座っていると痛いとして,通常,髄膜炎に伴う主訴とは逆の主訴をしていることから確定診断を下すことができなかったが,控訴人病院で髄膜炎に対する治療を担当する神経内科医による診察が必要であると考え,神経内科のF医師に直接Eの診療を引き継いだが,その際腰椎穿刺による髄液検査を行うことを依頼してはいない。なお,くも膜下出血については,本件CT写真の読影から否定的な見解であった。 (4) 神経内科医であるF医師は,カルテの記載を確認し,本件CT写真を読影して,脳溝が同年代の人に比べると狭いとの印象を持ち,全体的に浮腫状であると評価し,Eの52歳という年齢からすると,正常とも異常とも言い難いと判断し,突然発生した痛みではなく,非拍動性の痛みであること,来院までかなりの時間が経過していること,セデスで症状が軽快していることから,片頭痛,緊張性頭痛,緑内障等を疑った。 Eは,F医師に対し,19日午後2時ころふらっとした感じがあってそれから頭痛が 来院までかなりの時間が経過していること,セデスで症状が軽快していることから,片頭痛,緊張性頭痛,緑内障等を疑った。 Eは,F医師に対し,19日午後2時ころふらっとした感じがあってそれから頭痛が出てきたこと,今までになかった「ぐーっとおさえられるような」頭痛が継続していること,吐き気があること,肩こりのあること,セデスを服用したら効果があったことを告げた。 F医師は,精神状態(意識,精神,見当識),言語,脳神経(瞳孔,対光反応,眼球運動,眼振,振戦,舌出),運動(筋トーヌス。筋肉の緊張をみるもの。)の各所見をとったところ,いずれも異常がなく,項部硬直は,前後方向にあるかないかの程度で左右方向にはなく,ケルニッヒ徴候(仰臥位で患者の下肢を伸ばしたまま被動的に上に挙げて躯幹に近づけると,痛みのため顔をしかめ反射的に下肢が膝関節で屈折する現象)も認められなかった。 F医師は,診察の結果,特に頭痛が突然発生したのではないこと,緊張性頭痛の患者がよく訴える,ぐーっと押さえられるような頭痛との訴えがあったこと,セデスが効いたとのこと,神経系に異常が認められず,緊張性頭痛の場合にも項部硬直を感じることがあること,Eの話しぶりが明確で,独歩していたことから,一番考えられるのは肩こりからくる緊張性頭痛であったが,本件CT写真からEの脳が浮腫状であること,項部硬直の疑いがあること,体温36.7度,白血球数10.2×1000及びCRP0.6mg/dlから軽度の炎症が疑われたことから,髄膜炎やくも膜下出血等の可能性も考えられるので,Eに対して,腰椎穿刺による髄液検査を勧めてみたが,Eはこれを拒否した。 そこで,F医師は,緊張性頭痛を最も疑い,精神安定剤(セルシン)の筋注射をし,総合感冒薬(PL),抗生剤(メイアクト),筋弛緩剤(ミオナール),頭痛 る髄液検査を勧めてみたが,Eはこれを拒否した。 そこで,F医師は,緊張性頭痛を最も疑い,精神安定剤(セルシン)の筋注射をし,総合感冒薬(PL),抗生剤(メイアクト),筋弛緩剤(ミオナール),頭痛剤(セデス)及びはり薬の鎮痛薬(ゼラップ)を5日分処方し,次回の診察を翌週の火曜日である25日午前9時と予約させて,Eを帰宅させた。 (5) 22日,Eは,頭痛と吐き気のため,救急車で午前8時前に控訴人病院に搬送されたが,再度の脳動脈瘤の破裂発作に伴い,くも膜下出血が生じたことが原因となって,同日午前9時18分ころ死亡した。 2 くも膜下出血の一般的知見について証拠(甲1ないし3,甲7,8,10,甲14及び15,甲21,49の1,50,乙20,原審証人J,当審証人K,原審鑑定の結果)によれば,以下の事実が認められる。 (1) 患者が,頭痛を訴えるとき,様々な疾患が予想される。その内,くも膜下出血は,一般的には,くも膜下腔に病変があり,直接くも膜下腔に出血した場合をいい,外傷性と非外傷性(特発性)に大別され,非外傷性くも膜下出血のうち最も多く,最も重要なのは脳動脈瘤からの出血である。そして,脳動脈瘤によるくも膜下出血は,50歳代を中心として40歳代から60歳代に好発する。40歳代までは男性に多く,それ以後は女性に多い傾向がある。 くも膜下出血を専門の診断領域とするのは脳神経外科医である。 (2) くも膜下出血の特徴的な臨床症状は,突発性の今まで経験したことのないような激しい頭痛であり,一過性に意識消失を伴うこともある。 項部痛や出血により脳髄膜刺激症状としての項部硬直,ケルニッヒ徴候も高率に認められ,嘔気,嘔吐を伴うことがある。 くも膜下出血の臨床症状の程度については,ハントとヘスによる重症度分類によって,分類・理解されることが多く,グレー 状としての項部硬直,ケルニッヒ徴候も高率に認められ,嘔気,嘔吐を伴うことがある。 くも膜下出血の臨床症状の程度については,ハントとヘスによる重症度分類によって,分類・理解されることが多く,グレード1は意識清明で神経症候がないもの,また,あってもせいぜい軽微な頭痛や軽度の項部硬直程度のもの,グレード2は意識清明で,中等度ないし強度の頭痛や項部硬直はあるが,脳神経麻痺以外の神経徴候はないもの,グレード3は傾眠,錯乱程度の意識障害のあるもの,又は,軽度な巣症候のあるもの,グレード4は昏迷程度の意識障害,中程度ないし強度の片麻痺,ときに除脳硬直及び自律神経障害の初期症候を示すもの,グレード5は深昏睡,除脳硬直,瀕死状態のものをいい,重症な全身疾患がある場合,強い血管攣縮があるときは,グレードを1つ悪い方に下げるとされている。 典型的な場合はくも膜下出血の診断はさほど困難ではないが,頭痛のみを訴える軽度の場合などは,他の疾患との鑑別診断に困難を伴う。 (3) くも膜下出血の鑑別のための第一選択の検査は,CT検査であり,出血が高吸収域として造影されることにより,確定診断が可能である。 髄液検査は,これにより血性髄液が証明された場合も,確定診断が可能となるが,急激に髄液圧を変動させると,動脈瘤からの再出血や小脳扁桃ヘルニアを誘発するなどの副作用があることなどから,くも膜下出血が疑われてもCT検査が困難な場合やCT写真上異常が明らかでない場合に実施される。 (4) 脳動脈瘤破裂は,保存的治療では,多くは再出血発作を繰り返し,発作は再出血のたびに重篤となり死に至るため,再出血を防ぎ,脳血管攣縮を防ぐため,早期の根治手術(脳動脈瘤柄部のクリッピング)が必要である。 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は,その症状が軽い場合,早期手術の絶対的適応がある り死に至るため,再出血を防ぎ,脳血管攣縮を防ぐため,早期の根治手術(脳動脈瘤柄部のクリッピング)が必要である。 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は,その症状が軽い場合,早期手術の絶対的適応があるとされ,患者の術前状態が良好なほど,手術成績は良好である。 3 本件診療における控訴人病院医師らの過失の有無(争点1)(1) Eの臨床症状について前記1のとおり,20日のEの臨床症状は,19日昼ころから,割れるような痛みを伴う頭痛,すなわち,突然,それまでに経験したことのなかった激しい頭痛を感じるものであること,その痛みは持続的,非拍動性のものであること,吐き気・嘔吐を伴っていたことが認められ,軽度のくも膜下出血における特徴的な臨床症状を示していたものと認めることができる。また,21日のEの臨床症状は,上記症状に加えて,項部硬直の疑いという神経学的異常が認められることから,くも膜下出血の特徴的な症状をより示していたものと認めることができる。 ところで,控訴人は,Eが,独歩可能な状態にあったこと,意識が清明であったこと,20日には項部硬直や,ケルニッヒ徴候等の髄膜刺激症状(神経学的異常)がなかったこと,血圧が正常であったこと,鎮痛剤の服用で症状が軽快したことなどを指摘しているが,これらは,くも膜下出血の症状と相容れないものではないことから,Eの臨床症状が,くも膜下出血の典型的症状を示していることに変わりはない。 (2) 本件CT写真についてア証拠(乙2の1,乙3の1)によると,本件CT写真において,脳底槽,シルビウス裂及び迂回槽は,灰色ないし白色の「等ないし高吸収域」として描出されていること,脳溝の一部が白色の「高吸収域」として描出されていることが認められる。 ところで,証拠(甲8,乙2の1,乙3の1,20,原審 は,灰色ないし白色の「等ないし高吸収域」として描出されていること,脳溝の一部が白色の「高吸収域」として描出されていることが認められる。 ところで,証拠(甲8,乙2の1,乙3の1,20,原審証人J,原審鑑定の結果)によれば,正常な頭部CT写真においては,脳底槽やシルビウス裂,迂回槽等のくも膜下腔は,脊髄液が存在しているため低吸収域として黒く描出され,出血部位は高吸収域として白く描出されることが認められるところ,脳神経外科医であるJ医師は,原審鑑定の結果(以下「J鑑定」という。)及び証言において,本件CT写真では,脳底槽,シルビウス裂,迂回槽が等吸収域ないしやや高吸収域を呈し,脳溝の一部が明らかな高吸収域を呈していることから,本件CT写真では,明らかに異常を示していることが認められ,脳外科医であれば経験が比較的豊富ではない医師でも異常を判断できる程度のものであって,くも膜下腔に生じた病変,すなわち,くも膜下出血,髄膜炎,特殊なものでは脳炎や悪性腫瘍の髄膜播種などの可能性が疑われるとしている。 また,脳神経外科医であるM医師は,鑑定意見書(甲8)において,本件CT写真では,右のシルビウス裂に軽度の高吸収域が写っていることを読み取ることができ,脳表面の脳溝も通常の低吸収域が認められず等吸収域となっていることを認めて,正常な画像ではなく,くも膜下出血を疑わせる画像であったとしていること,脳神経外科医であるN医師は,意見書(乙20)において,本件CT写真に,くも膜下出血を疑わせるもの,すなわち,右のシルビウス裂に軽度の高吸収域と脳表の脳溝が明らかでなく高吸収域も認められる所見があるとしていること,E死亡前の21日に本件CT写真を読影した控訴人病院放射線科医のO医師の報告書(乙1・33頁添付)においても,「右シルビウス裂に高吸収域 が明らかでなく高吸収域も認められる所見があるとしていること,E死亡前の21日に本件CT写真を読影した控訴人病院放射線科医のO医師の報告書(乙1・33頁添付)においても,「右シルビウス裂に高吸収域?? 不確かな所見ですがくも膜下出血の否定はむつかしいです」旨の記載があって,本件CT写真上,Eの右シルビウス裂に高吸収域が疑われ,くも膜下出血の否定は困難であるとの結論が出されていることがそれぞれ認められる。 以上のことから,本件CT写真は,くも膜下出血の病変を表しているものと認められる。 イ控訴人は,脳底槽やシルビウス裂,迂回槽等がいずれも白ないし灰色に描出されてはいないこと(脳質と同様に描出されている。),シルビウス裂に左右の明度の差はないこと,本件CT写真でくも膜下腔が白っぽく描出されているのは,アーチファクトやパーシャルボリュームの影響によるか,写真の条件・性質が異なるための明度の差異の範囲内のものであることなどを指摘して,本件CT写真は正常なものであることを主張したり,あるいは,そもそも頭部CT写真はそれぞれの個体によって正常像が異なるものであるところ,本件CT写真においては,シルビウス裂,迂回槽及びトルコ鞍等が黒い低吸収域に写し出されていないものの,これは,あくまでも個体差にすぎず,正常な画像であると主張する。 しかし,前記のとおりCT写真の読解に経験豊富な医師ら(J医師,M医師,N医師,O医師)は,いずれも本件CT写真は,正常な画像ではなく異常を認めることができるとしており,控訴人の上記主張はいずれも採用できない。 (3) 控訴人病院医師らの注意義務についてア前記2の事実及び証拠(甲1ないし3,21,原審証人J,原審鑑定の結果)によれば,くも膜下出血は,生死にかかわり,緊急な対応が要求される疾患であり,ま 3) 控訴人病院医師らの注意義務についてア前記2の事実及び証拠(甲1ないし3,21,原審証人J,原審鑑定の結果)によれば,くも膜下出血は,生死にかかわり,緊急な対応が要求される疾患であり,また,くも膜下出血についての知見は,文献等において十分に紹介されている一般的なものであることが認められることから,脳神経外科医に限らず,医師は,患者の診察に当たって,くも膜下出血の鑑別について十分な注意義務を果たさなければならないことは当然の責務であって,本件においても,控訴人病院医師らは,Eの症状や本件CT写真から,Eがくも膜下出血であると確定診断をすることができなかったか否かが問題となる。 イところで,くも膜下出血の鑑別診断においては,患者の訴える主訴が重要であるところ,控訴人は,患者の訴える内容には主観的な要素が多分に含まれており,Eの主訴から明らかにされた臨床症状のみからは,くも膜下出血を鑑別することは困難である旨を主張する。 確かに,証拠(乙7の1)によると,患者の頭痛の程度に関する主訴には主観的な要素が大きく,それを鵜呑みにしていては正確な診断をすることができないとされていることが認められるが,他方で,証拠(甲2,3,22,23,原審証人J)によると,急性あるいは亜急性頭痛として発症するものは,くも膜下出血,脳出血,髄膜炎など頭蓋内外の器質性疾患に基づくものが少なくなく,特にくも膜下出血は神経学的な異常所見を得られないので,頭痛と嘔吐が共通する所見として重要であって,今までなかったような激しい頭痛という患者の主訴が,鑑別診断のためには重要な資料となり,これを十分にふまえた上で診断をしなければならないとされていることが認められるのであり,患者の訴える主訴を軽視することはできないものである。 ウ前記(2)認定のとおり,本件C には重要な資料となり,これを十分にふまえた上で診断をしなければならないとされていることが認められるのであり,患者の訴える主訴を軽視することはできないものである。 ウ前記(2)認定のとおり,本件CT写真は,くも膜下出血の病変を描出したものであるが,一方で,証拠(原審証人J,原審鑑定の結果)によれば,本件CT写真は,くも膜下出血発症直後の,高吸収域がくも膜下腔に広がっていることを示した典型的なものではなく,出血量が少なく,出血後やや時間が経過して血液が流された後のものであると認められることから,本件CT写真がくも膜下出血の典型的な状態を描出しているものとまではいえないものであったと認められるところ,脳外科医であれば経験が比較的豊富ではない医師でも異常を判断できる程度のものであっても,脳神経外科以外の医師にとっては,くも膜下出血であるとの鑑別をすることは容易ではないこともありうるから,本件CT写真の異常性を読影することが可能であったか問題となる。 そして,証拠(原審証人J)によると,くも膜下出血の症例を専門として扱っている脳神経外科医は,他の専門科目の医師に比べて,CT写真等からくも膜下出血の鑑別診断を行うことに関しては訓練を受け,日常扱うCT写真の読影の機会等が他の専門科目の医師よりも格段に多いことが認められることに照らすと,くも膜下出血の鑑別診断に関して,脳神経外科以外の医師に脳神経外科医と同程度の能力を要求することはできない点も考慮すべきであると言うことができる。 エ(ア) H医師についてH医師は一般内科医であり,くも膜下出血について日常的に取り扱ってはおらず,くも膜下出血の鑑別診断についての経験は必ずしも十分であったとはいえないところ,前記1(2)認定のとおり,自らは,本件CT写真からは異常を認めることができ 下出血について日常的に取り扱ってはおらず,くも膜下出血の鑑別診断についての経験は必ずしも十分であったとはいえないところ,前記1(2)認定のとおり,自らは,本件CT写真からは異常を認めることができていない。 ところで,本件において,Eには,くも膜下出血を疑うべき臨床症状が認められるが,直ちにくも膜下出血と断定することのできない臨床症状も存在したものであり,また,本件CT写真はくも膜下出血等の病変を表すものであったことから,脳神経外科医であればくも膜下出血の確定診断が可能であったといえるが,Eのくも膜下出血は軽度で発症から時間を経過した後の受診であったため,くも膜下出血が専門的診断分野ではないH医師が,本件CT写真から出血を読み取ることは困難であったことから,Eがくも膜下出血であるとの確定診断に達しなかったこと自体はやむを得なかったともいいうる。 しかし,H医師が本件CT写真からはEがくも膜下出血であるとの確定診断ができなかったとしても,本件CT写真が正常なものではなく,明らかな異常があり,脳外科医であれば経験が比較的豊富ではない医師でも異常を判断できる程度のものであって,Eの臨床症状からはくも膜下出血が疑われる典型的な症状が認められ,くも膜下出血が放置すれば死亡する危険があり早期に手術をする必要性が高いものであることを十分念頭において考えれば,H医師は,くも膜下出血を専門領域とする脳神経外科医に相談すべきであり,しかも控訴人病院としては当直医が脳神経外科医と直ちに連絡をとることができる態勢をとっていたのであるから,当直医であるH医師は容易に連絡して脳神経外科医に相談することが可能であったというべきであったから,このような措置を執らなかった点に,過失があったといわざるを得ない。 (イ) I医師についてI医師は一 るH医師は容易に連絡して脳神経外科医に相談することが可能であったというべきであったから,このような措置を執らなかった点に,過失があったといわざるを得ない。 (イ) I医師についてI医師は一般内科医であるが,H医師の診察及び自らの診察により判明するEの臨床症状からは,くも膜下出血が疑われる上,本件CT写真からくも膜下出血との確定診断ができなかったとしても,H医師と同様に,くも膜下出血を専門領域とする脳神経外科医に連絡をとって,本件CT写真の読影を依頼するなどの措置を講ずることができたにもかかわらず,神経内科医のF医師に引き継いだものであるが,この措置は一般内科医の措置として相当であると評価することができず,過失があったと認められる。 (ウ) F医師について前記事実及び証拠(原審証人F)によれば,F医師は,I医師から直接Eの診察を依頼されたものであるが,F医師は,主に神経の疾患(パーキンソン病,脊髄小脳変性症等)を扱う神経内科医であり,くも膜下出血を専門的に扱うものではないが,CT写真等の読影は日常的に行っていて,くも膜下出血の発見も幾度となく経験していることを認めることができる。 そして,前記1(3)認定のとおり,F医師は,H医師及びI医師の診療録を検討し,自らもEを診察し,Eの項部硬直を確認し,さらに,本件CT写真を読影し,脳が浮腫状であると認めたものであるところ,脳が浮腫状である場合は,髄膜炎,髄膜脳炎,水頭症,脳梗塞等のほかくも膜下出血も考えられるのであるから,臨床症状や受診経過に照らせば,くも膜下出血を疑うことが十分可能であったにもかかわらず,緊張性頭痛を最も疑い,否定すべき根拠もないのに,くも膜下出血を十分念頭において診察治療にあたらなかったことには問題があるといわざるをえない。CT写真の読影については 可能であったにもかかわらず,緊張性頭痛を最も疑い,否定すべき根拠もないのに,くも膜下出血を十分念頭において診察治療にあたらなかったことには問題があるといわざるをえない。CT写真の読影については相当程度の経験があるF医師が,本件CT写真の読影によってくも膜下出血を疑うことが難しかったことを認めるに足りるだけの証拠は乏しく,仮にくも膜下出血との確定診断ができなくとも,くも膜下出血を疑ってこれを専門領域とする脳神経外科医に連絡をとって,本件CT写真の読影を依頼するなどの措置を講ずるべきであったといわざるを得ない。 オ以上によれば,控訴人病院医師ら各人について過失を認めることができる。 4 控訴人病院医師らの過失とEの死亡との相当因果関係の有無(争点2)(1) H医師については,20日の時点において,当直医としてEの本件CT写真の読影を脳神経外科医に依頼することにより,直ちに連絡をとることができる態勢にあった脳神経外科医が,本件CT写真を見てくも膜下出血を確定診断し,直ちに脳血管撮影を行って手術を実施することによって,軽症であったEの再出血を防ぎ,良好な予後措置を取ってEの死亡を避けることができたと考えられるから,H医師の過失とEの死亡との間に相当因果関係を認めることができる。 (2) I医師及びF医師については,いずれも21日の時点で,Eの本件CT写真の読影を脳神経外科医に依頼することにより,依頼を受けた脳神経外科医が,上記と同様に,本件CT写真を見てくも膜下出血を確定診断し,直ちに外科手術を実施することによって,軽症であったEの再出血を防ぎ,良好な予後措置を取ってEの死亡を避けることができたと考えられるから,両医師の過失とEの死亡との間に相当因果関係を認めることができる。 (3) 控訴人は,仮に控訴人病院医師ら3名 再出血を防ぎ,良好な予後措置を取ってEの死亡を避けることができたと考えられるから,両医師の過失とEの死亡との間に相当因果関係を認めることができる。 (3) 控訴人は,仮に控訴人病院医師ら3名のうちのいずれかに過失があったとしても,F医師が実施を試みた腰椎穿刺検査が行われれば,4月21日中にくも膜下出血との確定診断がなされ,脳神経外科医に引き継がれ,血管撮影と手術治療が進められたはずであり,発症3日以内に手術ができれば術後良好な予後措置を取ることができた蓋然性が極めて高いとして,Eの協力義務違反という予期せぬ事態から生じた死の結果まで相当因果関係を認めることはできない旨を主張するけれども,前記のとおり,F医師は,脳に異常がないことを告げた上で,念のため腰椎穿刺をすることを勧めたにすぎず,Eにおいて,腰椎穿刺を実施するか否かについて自ら決定するに十分な説明はなされていないのであるから,上記因果関係に影響を及ぼすものではない。 5 過失相殺の有無(争点3)控訴人は,Eが頑なに腰椎穿刺検査の実施を拒絶し,その結果くも膜下出血との確定診断に達することができずに死の結果を生じたことを考慮して,過失相殺がなされるべきであると主張するが,前記のとおり,F医師は,脳に異常がないことを告げた上で,念のため腰椎穿刺検査をすることを勧めたにすぎず,Eにおいて,腰椎穿刺検査を実施するか否かについて自ら決定するに十分な説明はなされていないのであるから,これをもって過失相殺することは相当ではない。 6 損害額(争点4)(1) 被控訴人らの損害ア逸失利益Eは,死亡当時52歳であり,67歳に達するまでの15年間は家事労働に従事することが可能であり,その家事労働は,女子労働者の平均賃金額に等しいものと評価されるところ,Eの年収額は,348万 Eは,死亡当時52歳であり,67歳に達するまでの15年間は家事労働に従事することが可能であり,その家事労働は,女子労働者の平均賃金額に等しいものと評価されるところ,Eの年収額は,348万2000円と評価され(賃金センサス平成7年第1巻第1表産業計,企業規模計,学歴計,52歳の平均賃金)とし,生活費として3割を減じ,中間利息をライプニッツ方式により控除して金額を算出すると,3,482,000×10.3796×(1-0.3)=25,299,237となり,逸失利益は2529万9000円(千円未満切り捨て)となるところ,被控訴人Aは,同金額の2分の1に当たる1264万9500円,原告B及び同Dは,各4分の1に当たる632万4750円をそれぞれ相続したものと認められる。 イ慰謝料被控訴人らが,Eの死亡によって受けた精神的苦痛は計り知れないものがあると認められるところ,本件口頭弁論において明らかになった一切の事情を斟酌すると,被控訴人らの慰謝料としては,被控訴人Aが1000万円,同B及び同Dが各500万円とするのが相当である。 ウ葬儀費用被控訴人Aは,Eの葬儀を行い,その費用を負担したものと認められるところ,本件不法行為と相当因果関係がある葬儀費用としては100万円が相当である。 (2) 弁護士費用被控訴人らは,被控訴人ら代理人らに本訴提起及び訴訟追行を委任し,被控訴人Aが,実際の弁護士費用の負担をしたものと考えられるところ,控訴人の債務不履行及び不法行為と相当因果関係のある弁護士費用としては,300万円が相当である。 7 結論以上のとおりであって,被控訴人らの請求は,控訴人に対し,被控訴人Aについて2664万9500円,同B及び同Dについてそれぞれ1132万4750円及び 用としては,300万円が相当である。 7 結論以上のとおりであって,被控訴人らの請求は,控訴人に対し,被控訴人Aについて2664万9500円,同B及び同Dについてそれぞれ1132万4750円及びこれらに対する本件不法行為の結果発生の日である平成7年4月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。すると,本件控訴は理由がないから棄却し,本件附帯控訴については上記限度で理由があるから原判決を上記のとおり変更することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官小川克介裁判官黒岩巳敏裁判官鬼頭清貴
▼ クリックして全文を表示