平成27年11月30日判決言渡平成27年(行ケ)第10152号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成27年11月11日判決 原告 X(審決上の氏名 X’)訴訟代理人弁護士吉原崇晃同柿崎洋子訴訟代理人弁理士工藤一郎 被告特許庁長官 指定代理人大森健司同根岸克弘同内山 進 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2014-19333号事件について平成27年6月30日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(1) 原告は,平成25年10月7日,「肉ソムリエ」の文字を標準文字で表 してなる商標(以下「本願商標」という。)について,指定商品及び指定役務を下記のとおりとして,商標登録出願(商願2013-78245号。以下「本願」という。)をした(甲1)。 記(指定商品及び指定役務)第29類「食肉」第41類「食に関する資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,資格取得に関する知識の教授」(2) 原告は,平成26年6月30日付けの拒絶査定(甲4)を受けたので,同年9月29日,拒絶査定不服審判を請求するとともに(甲5),同日付け手続補正書(甲6)により,本願の指定商品及び指定役務を下記のとおり補正した。 記(指定商品及び指定役務)第29類「食肉」第41類「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格検定試験の実施,肉食を中 品及び指定役務)第29類「食肉」第41類「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格検定試験の実施,肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格の認定及び付与,肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格検定試験に関する情報の提供,肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格取得に関する知識の教授」(以下,この指定役務を「本願指定役務」ということがある。)(3) 特許庁は,上記請求を不服2014-19333号事件として審理を行 い,平成27年6月30日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年7月10日,原告に送達された。 (4) 原告は,平成27年8月4日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,①本願商標の「肉ソムリエ」の文字は,「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させるものであるから,「肉ソムリエ」は,肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する知識を有している者であるといえる,②そうとすると,本願商標を本願指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者は,当該役務が「肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格検定試験の実施,肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格の認定及び付与,肉( について使用しても,これに接する取引者,需要者は,当該役務が「肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格検定試験の実施,肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格の認定及び付与,肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格検定試験に関する情報の提供,肉(食肉)に関する専門知識を有する者に関する資格取得に関する知識の教授」であることを容易に理解,認識するにとどまり,本願商標は,本願指定役務との関係において役務の質を表示したものにすぎないというのが相当であるから,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり,商標法3条1項3号に該当し,商標登録を受けることができないというものである。 3 取消事由本願商標の商標法3条1項3号該当性の判断の誤り第3 当事者の主張 1 原告の主張(1) 本件審決は,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程 の意味合いを容易に想起させると認定し,これを前提に,本願商標は商標法3条1項3号に該当する旨判断した。 しかしながら,商標の商標法3条1項3号該当性は,取引者,需要者が,当該商標から,直ちに一義的に指定役務の内容を理解,認識するにすぎないか否かによって判断されるものであり,比較の対象となるのは「指定役務」と「標章」のみというべきであるから,本願商標が上記のような意味合いを想起させるか否かは,同号該当性の判断に当たって無関係である。 そして,取引者,需要者は,本願商標に接したときに,直ちに一義的に,本願指定役務の内容である(肉食…に関する)「資格検定試験の実施」,「資格の認定及び付与」,「資格検定試験に関する情報の提供」,「資格取得に関する知識の教授」の意味を容易に理解,認識すると 義的に,本願指定役務の内容である(肉食…に関する)「資格検定試験の実施」,「資格の認定及び付与」,「資格検定試験に関する情報の提供」,「資格取得に関する知識の教授」の意味を容易に理解,認識するとはいえないから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本件審決の判断は誤りである。 (2)ア本件審決は,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させることの根拠となる事情として,本願商標の構成中の「肉」の文字部分は,「食用とする鳥獣のにく」を意味すること,「ソムリエ」の文字は,ワイン以外の分野においても専門的な知識を有する者を「○○ソムリエ」(「○○」は商品名)と称して使用されており,さらに,食品に関する資格やその検定を取り扱う業界においても,近年,特定の食品分野における一定の専門知識を有する者であることを証する資格の名称を表すものとして,「○○ソムリエ」(「○○」は食品名)の語が広く採択されていることを挙げるが,いずれも失当であるから,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させるとの本件審決の認定は,以下のとおり誤りである。 (ア) まず,本願商標の構成のうち,「肉」の語は,①動物の,主として筋肉からなる部分,②上記①の食用となるもの,③果実の皮と種子の間にある柔軟な部分,④厚み,太さ。また,豊かさや厚みとなる部分など の多様な意味を有しており,「ソムリエ」は,例えば「動物ソムリエ」,「眠りのソムリエ」,「暮らしのソムリエ」など,飲食物との結び付きに限られないから,たとえ「肉」の文字が「ソムリエ」の文字と結合しても,役務内容として筋肉の量や質に関する専門的知識を生かした役務も一般的に想定され,必然的に上記②の食肉の意味に限定される理由はなく,本願商標の構 ,たとえ「肉」の文字が「ソムリエ」の文字と結合しても,役務内容として筋肉の量や質に関する専門的知識を生かした役務も一般的に想定され,必然的に上記②の食肉の意味に限定される理由はなく,本願商標の構成中の「肉」の文字部分が「食用とする鳥獣のにく」を意味するとの本件審決の上記認定は誤りである。 (イ) 次に,「○○ソムリエ」(「○○」は食品名)の語が特定の食品分野における一定の専門知識を有する者であることを証する資格の名称を表すものとして,広く採択されている事実はなく,数件の使用例があるだけであり,その周知性は非常に低い。 また,本件審決が列挙する「○○ソムリエ」の使用例は,いずれも資格検定試験の実施に関する役務の名称として記載されたものではない。 さらに,本願商標のように「○○ソムリエ」という構成からなる登録商標は,200件近く存在し,特に,「魚ソムリエ」や「野菜ソムリエ」については,魚や野菜等に関する知識の教授,資格検定試験の実施,資格の認定・授与などを指定役務として商標登録されている。仮に,「○○ソムリエ」との文字が「○○に関する専門知識を有する者」と容易に理解,認識され,その結果として「○○ソムリエ」が「○○に関する資格検定試験の実施」等との関係で識別力がないとすると,「魚ソムリエ」や「野菜ソムリエ」についても,指定役務との関係で識別力がないとの結論になるはずであり,これらの商標が登録されていることは,需要者が,かかる商標から一義的に直ちに指定役務の内容を理解,認識するわけではないことを裏付けるものである。 (ウ) 以上によれば,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させるとの本件審決の認定は誤りである。 イ本件審決は,本願指定役務中「肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の れば,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させるとの本件審決の認定は誤りである。 イ本件審決は,本願指定役務中「肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する知識」は,「肉(食肉)に関する専門知識」の範疇に属する旨認定した。 しかしながら,肉の調理方法や肉と他の食材との組み合わせについては,専門性が必要なのは調理や栄養についてであり,「肉」に関する専門知識の範疇に含まれないから,本件審決の上記認定は誤りである。 ウ前記ア及びイのとおり,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本件審決の判断は,その判断の前提となる事実認定に誤りがあるから,誤りである。 (3) 商標法3条1項3号の趣旨は,役務を流通過程又は取引過程におく場合に必要な表示であるから何人も使用する必要があり,かつ,何人もその使用を欲するものだから一私人に独占を認めるのは妥当ではなく,また,多くの場合に既に一般的に使用がされあるいは将来必ず一般的に使用がされるものであるから,自他役務の識別力を認めることはできないというものである。 しかし,「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格検定試験の実施」等について,「肉ソムリエ」との標章を何人も使用する必要があるわけではなく,かつ,何人もその使用を欲するとまではいえない。また,「肉ソムリエ」との標章が,既に一般的に使用されているわけではなく,将来必ず一般的に使用がされるという見込みもない。 したがって,本願商標については,上記の趣旨は妥当しないから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本件審決の判断は誤りである。 2 被告の主張(1)ア本願商標の構成中, みもない。 したがって,本願商標については,上記の趣旨は妥当しないから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本件審決の判断は誤りである。 2 被告の主張(1)ア本願商標の構成中,「肉」の文字部分は「食用とする鳥獣のにく」の意味を,「ソムリエ」の文字部分は「ワインに関する専門的知識をもち,レストランなどで客の相談に応じてワインを選ぶ手助けをする給仕人」の 意味を有する。 本願商標と同様の構成である「○○ソムリエ」(「○○」は特定の分野名)の語は,ワイン以外の分野においても,その分野の専門的な知識を有する者を表す語として使用されており,また,資格やその検定を取り扱う業界においても,近年,資格や検定に係る特定の分野における一定の専門知識を有する者であることを証する資格やその検定の名称を表すものとして,広く採択されている実情がある。 さらに,肉(食肉)を取り扱う分野においても,「肉ソムリエ」等の語が「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを表す語として使用されている実情がある。 そうすると,本願商標を構成する「肉ソムリエ」の語は,これに接する者をして,「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」を表すものと容易に理解,認識されるといえる。 イまた,本願指定役務に係る「資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,資格取得に関する知識の教授」(以下,これらをまとめて「資格検定試験の実施等」ということがある。)の業界において,「○○ソムリエ」の語は,特定の分野における専門知識を有する者であることを証する資格やその検定の名称を表すものとして広く採択されている。 そして,本願指定役務は,肉(食肉)に関する資格検定試験の実施等に関するものであって,その需要者は,肉(食 有する者であることを証する資格やその検定の名称を表すものとして広く採択されている。 そして,本願指定役務は,肉(食肉)に関する資格検定試験の実施等に関するものであって,その需要者は,肉(食肉)に関する専門知識を欲する事業に携わる者(肉(食肉)の加工業者,販売業者,調理業者等)である。 そうすると,「肉ソムリエ」の語は,本願指定役務の需要者によっても,「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを表すものと容易に理解,認識されるものといえる。 なお,本願指定役務は,肉(食肉)の分野に関することが明らかであるから,その需要者をして,本願商標中の「肉」の文字部分からは「食用の肉」を理解するとみるのが自然である。 ウ商標が商標法3条1項3号に該当するか否かは,その商標がその指定役務に使用された場合における需要者の認識によって決せられるものである。 そして,本願指定役務は資格検定試験の実施等であるところ,このような役務においては,「資格」の対象が何に関するものであるかが需要者にとって極めて重要であるから,その資格の対象を表す文字が当該役務に使用された場合には,これに接する需要者に,「その資格の対象に関する役務の提供」として,役務の質を表示するものと理解,認識されるというべきである。 そして,本願指定役務の分野における取引等の実情からすると,本願商標を資格検定試験の実施等に係る役務に使用した場合,需要者は,「肉(食肉)についての専門知識を有する者に関する」という役務の質を直ちに理解することができるというべきである。 エ以上によれば,本願商標は,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,商標法3条1項3号に該当するから,本件審決の判断に誤りはない。 (2) 原告の主張 る。 エ以上によれば,本願商標は,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,商標法3条1項3号に該当するから,本件審決の判断に誤りはない。 (2) 原告の主張(1)ないし(3)は,いずれも争う。 商標登録の可否は個別具体的に判断すべきであるから,原告主張の「魚ソムリエ」,「野菜ソムリエ」などの商標が登録されているからといって,本願商標が商標法3条1項3号に該当しないということはできない。 第4 当裁判所の判断 1 本願商標の法3条1項3号該当性について(1) 商標法3条1項3号が,「その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,態様,提供の方法若しくは時期その他の特徴,数量若し くは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」について商標登録の要件を欠くと規定しているのは,このような商標は,指定役務との関係で,その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。 そうすると,本願商標が,本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには,本件審決がされた平成27年6月30日の時点において,本願商標が本願指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務に使用された場合に,将来を含め,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解され ものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務に使用された場合に,将来を含め,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。 (2)ア本願商標は,「肉ソムリエ」の文字を標準文字で表してなるものであり,本願商標から「ニクソムリエ」の称呼が生じる。 大辞林第三版(平成18年10月27日発行。乙1及び2)によれば,本願商標を構成する「肉」の語は,「①動物の骨や植物の種子に付着した柔らかい部分。②食用とする鳥獣のにく。③からだ。④生身のからだだけで器具を用いないこと。⑤血縁であること。⑥印肉のこと。」を意味し,「ソムリエ」の語は,「ワインに関する専門的知識をもち,レストランなどで客の相談に応じてワインを選ぶ手助けをする給仕人。」を意味することが認められる。 イそして,本件審決日以前にウェブサイトに掲載された情報として,①「現在日本ではワイン以外でも○○ソムリエと,様々な専門分野に特化した専門家を○○ソムリエと呼ぶ事があります。」との記載に続き,「資格 を取得出来るソムリエやまた,ソムリエと同じく専門特化している資格等」の例として,「日本酒ソムリエ」,「焼酎ソムリエ」,「コーヒーソムリエ」,「野菜ソムリエ」,「だしソムリエ」,「ハーブソムリエ」,「シガーソムリエ」,「温泉ソムリエ」などが紹介され(2012年(平成24年)10月27日付け「777NEWS」。乙3),②「ソムリエといえば客の好みや料理に合わせてワインを選ぶ人のことをいいますが,最近では「専門的な知識を持っている人」という意味として使われることも増えています。その中でも今回は,ワイン以外のものに関係する食べ物のソムリエをいくつかご紹介しましょう。」との記載に続き,資格の認定等が行われて な知識を持っている人」という意味として使われることも増えています。その中でも今回は,ワイン以外のものに関係する食べ物のソムリエをいくつかご紹介しましょう。」との記載に続き,資格の認定等が行われている例として「オリーブオイルソムリエ」,「だしソムリエ」,「みそソムリエ」,「野菜ソムリエ」が紹介され(2013年(平成25年)9月5日付け「マイナビニュース」。乙4),さらに,③資格の認定等が行われている例として「タオルソムリエ」,「温泉ソムリエ」,「クラシックソムリエ」,「花ソムリエ」が紹介されている(同月7日付け「マイナビニュース」。乙5)ことからすると,本件審決日当時,「ソムリエ」の語の前に商品や食品,事柄を表す語を結合した語は,当該商品等についての専門的知識を有する者を意味する語として,一般に理解されていたことが認められる。 ウさらに,食肉業者や肉料理を提供する飲食店においては,食肉技術専門士協会の認定資格である「食肉技術専門士」を「肉のソムリエ」と称することがあるほか,商品である食肉の選択や品質管理等についての専門的知識を有する者を指す語として,「肉のソムリエ」,「お肉ソムリエ」,「肉ソムリエ」,「ビーフソムリエ」の語を用いている例があることが認められる(乙6ないし15,18)。 加えて,市民講座「丸の内朝大学」の2013年(平成25年)度秋学期クラス一覧(乙16)に,食肉の選び方,買い方や保存法,調理法等を 学ぶ講座として開講される「NoMeatNoLife 肉ソムリエクラス」が挙げられていること,2013年(平成25年)4月16日付け日本経済新聞朝刊(乙17)に,「丸の内朝大学」が開講する講座に関し,「食肉の選び方や料理法などを,食べながら学ぶ「肉ソムリエ」が一番の人気だ。」との記事があることが認めら 成25年)4月16日付け日本経済新聞朝刊(乙17)に,「丸の内朝大学」が開講する講座に関し,「食肉の選び方や料理法などを,食べながら学ぶ「肉ソムリエ」が一番の人気だ。」との記事があることが認められる。 そうすると,本件審決日当時,「肉」の語と「ソムリエ」の語を結合させた「肉のソムリエ」の語が,食肉業者間で「食肉技術専門士」の別称として用いられ,また,「肉ソムリエ」,「肉のソムリエ」,「お肉ソムリエ」などの語が,食肉の選択や品質管理等についての専門的知識を有する者を意味する語として用いられる例があったことが認められる。 (3) 本願指定役務である「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなど」に関する資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,資格取得に関する知識の教授に係る事業の取引者,需要者には,食肉の選択や調理等についての専門的知識の修得に関わる食肉業者や一般消費者などが含まれるところ,前記(2)認定の事実によれば,本願商標を構成する「肉ソムリエ」の語は,本件審決日当時,かかる取引者,需要者によって,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」を意味する語として,一般に認識されるものであったことが認められる。 そして,「資格検定試験の実施」,「資格の認定及び付与」などの役務においては,「資格」の内容は,当該役務の質(内容)を構成するものといえる。 そうすると,本願商標は,本件審決日当時,本願指定役務に使用されたときは,当該「資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,資格取得に関する知識の教授」に係る資格が,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」に関するものであるという本願指定役 務 試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,資格取得に関する知識の教授」に係る資格が,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」に関するものであるという本願指定役 務の質(内容)を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったものと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務識別力を欠くものというべきである。 加えて,本願商標は,標準文字で構成されているから,「肉ソムリエ」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるというべきである。 したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものと認められる。 2 原告の主張について(1) 原告は,本件審決は,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させると認定し,これを前提に,本願商標は商標法3条1項3号に該当する旨判断したが,商標の同号該当性は,取引者,需要者が,当該商標から,直ちに一義的に指定役務の内容を理解,認識するにすぎないか否かによって判断されるものであり,比較の対象となるのは「指定役務」と「標章」のみであるから,本願商標が上記のような意味合いを想起させるか否かは,同号該当性の判断に当たって無関係であり,本件審決の上記判断は誤りである旨主張する。 しかしながら,前記1(1)で説示したとおり,本願商標が,本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)であるというためには,本件審決時において,本願商標が本願指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願 で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)であるというためには,本件審決時において,本願商標が本願指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務に使用された場合に,将来を含め,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解されるものであって,取引者,需要 者が,「指定役務」と「標章」のみを比較の対象として,当該商標から,直ちに一義的に指定役務の内容を理解,認識するにすぎないか否かによって当該商標の同号該当性が判断されるものであるとはいえないから,原告の上記主張は,その前提において,採用することができない。 (2) 原告は,①本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させるとの本件審決の認定,②本願指定役務中「肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する知識」は,「肉(食肉)に関する専門知識」の範疇に属するとの本件審決の認定は,いずれも誤りであるから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本件審決の判断は,その前提となる事実認定に誤りがある旨主張する。 しかしながら,原告の主張は,以下のとおり理由がない。 ア上記①について原告は,本件審決は,本願商標は「肉(食肉)に関する専門知識を有する者」程の意味合いを容易に想起させることの根拠となる事情として,本願商標の構成中の「肉」の文字部分は,「食用とする鳥獣のにく」を意味すること,「ソムリエ」の文字は,ワイン以外の分野においても専門的な知識を有する者を「○○ソムリエ」(「○○」は商品名)と称して使用されており,さらに,食品に関する資格やその検定を取り扱う業界においても,近年,特定の食品分野におけ イン以外の分野においても専門的な知識を有する者を「○○ソムリエ」(「○○」は商品名)と称して使用されており,さらに,食品に関する資格やその検定を取り扱う業界においても,近年,特定の食品分野における一定の専門知識を有する者であることを証する資格の名称を表すものとして,「○○ソムリエ」(「○○」は食品名)の語が広く採択されていることを挙げるが,いずれも失当である旨主張する。 (ア) しかしながら,本願指定役務は,肉(食肉)の分野に関する役務であるから,その取引者,需要者が,本願商標の「肉」の文字部分から一般に食肉を想起することは明らかである。 (イ) また,前記1(2)及び(3)認定のとおり,本願商標を構成する「肉ソ ムリエ」の語は,本件審決日当時,取引者,需要者によって,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」を意味する語として,一般に認識されるものであったことが認められる。 この点に関し,原告は,本願商標のように「○○ソムリエ」という構成からなる登録商標は,200件近く存在し,特に,「魚ソムリエ」や「野菜ソムリエ」については,魚や野菜等に関する知識の教授,資格検定試験の実施,資格の認定・授与などを指定役務として商標登録されていることは,需要者が,かかる商標から一義的に直ちに指定役務の内容を理解,認識するわけではないことを裏付けるものである旨主張する。 しかしながら,商標の商標登録の可否は,商標の構成,指定商品又は指定役務,取引の実情等を踏まえて,当該商標毎に個別に判断されるものであり,原告が指摘するような商標登録事例があるからといって,そのことから直ちにそれらの商標とは構成,指定役務の異なる本願商標が,取引者,需要者によって,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」を意味する語として,一般に認識されるもの があるからといって,そのことから直ちにそれらの商標とは構成,指定役務の異なる本願商標が,取引者,需要者によって,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」を意味する語として,一般に認識されるものであったことを否定することはできない。 (ウ) 以上によれば,原告の上記①の主張は理由がない。 イ上記②について原告は,肉の調理方法や肉と他の食材との組み合わせについては,専門性が必要なのは調理や栄養についてであり,「肉」に関する専門知識の範疇に含まれないから,本願指定役務中「肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する知識」は,「肉(食肉)に関する専門知識」の範疇に属するとの本件審決の認定は誤りである旨主張する。 しかしながら,「肉ソムリエ」における「肉」が食肉を一般に想起するものであり,「ソムリエ」が「客の好みや料理に合わせてワインを選ぶ人」(乙4)を想起させるものである以上,その専門的知識は肉の調理方 法や肉と他の食材との組み合わせにも及ぶことが当然に想起されるところであり,原告の上記②の主張は採用することができない。 ウ小括以上のとおり,原告の上記①及び②の主張は理由がないから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本件審決の判断に誤りはない。 (3) 原告は,「肉食を中心とすることで健康を維持・促進するための肉の選択方法・肉の調理方法・肉と他の食材との組み合わせなどに関する資格検定試験の実施」等について,「肉ソムリエ」との標章を何人も使用する必要があるわけではなく,かつ,何人もその使用を欲するとまではいえないし,また,「肉ソムリエ」との標章が,既に一般的に使用されているわけではなく,将来必ず一般的に使用がされるという見込みもないから,本願商標が商標法3条1項3号に該当す の使用を欲するとまではいえないし,また,「肉ソムリエ」との標章が,既に一般的に使用されているわけではなく,将来必ず一般的に使用がされるという見込みもないから,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとの本件審決の判断は誤りである旨主張する。 しかしながら,前記1(3)で説示したとおり,本願商標は,本件審決日当時,本願指定役務に使用されたときは,当該「資格検定試験の実施,資格の認定及び付与,資格検定試験に関する情報の提供,資格取得に関する知識の教授」に係る資格が,「肉(食肉)に関する専門的知識を有する者」に関するものであるという本願指定役務の質(内容)を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったものと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務識別力を欠くものというべきであるから,原告の上記主張は採用することができない。 3 結論以上のとおり,本願商標は,本件審決日の当時において,本願指定役務との関係で商標法3条1項3号に該当する商標であったと認められるから,これと同旨の審決の判断に誤りはなく,原告の主張する取消事由は理由がない。 したがって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官田中正哉 裁判官神谷厚毅 中正哉 裁判官神谷厚毅
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