平成15(く)8 勾留期間更新決定に対する抗告申立

裁判年月日・裁判所
平成15年2月25日 高松高等裁判所
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判決文本文1,797 文字)

決定 被告人  A被告人に対する詐欺被告事件について,徳島地方裁判所が平成15年2月20日にした勾留期間更新決定に対し,検察官から抗告の申立てがあったので,当裁判所は,次のとおり決定する。 主文 原決定を取り消す。 理由 本件抗告の趣意は,検察官麻空一男作成の抗告申立書に記載のとおりであるから,これを引用する。 論旨は,要するに,上記被告事件につき平成15年2月6日原裁判所が発した勾留状による勾留の期間はその執行の日から2か月であるから,即日執行されたその勾留の期間を刑訴法60条2項により更新する場合には,同年4月6日からこれをなすべきであるのに,原裁判所が同年2月27日からこの勾留の期間を更新する旨決定したのは法令に違反し,取消しを免れない,というのである。 そこで,所論にかんがみ,一件記録を調査して検討するに,同記録によると,被告人は,平成14年11月13日,「Bと共謀の上,(1)平成12年2月10日ころ,Cから,株式会社Dの未公開株買付名下に100万円を詐取し,(2)同月26日ころから同月28日にかけて,Eから,同様の方法で1500万円を詐取した」との事実(以下「甲事件」ともいう。)で起訴(求令状起訴)され,同日,裁判官の発した勾留状により勾留されていたところ,この勾留中の同年12月27日,別件の「Bと共謀の上,平成12年1月下旬から同年2月2日ころにかけて,Fから,上記同様の方法で100万円を詐取した」との事実(以下「乙事件」ともいう。)で追起訴(在宅起訴)されて,この甲及び乙事件につき併合審理を受けていたこと,甲事件についての勾留は,勾留期間の更新を1回経た後の平成15年2月12日に期間満了 との事実(以下「乙事件」ともいう。)で追起訴(在宅起訴)されて,この甲及び乙事件につき併合審理を受けていたこと,甲事件についての勾留は,勾留期間の更新を1回経た後の平成15年2月12日に期間満了により終了し,被告人は甲事件につき釈放されたが,それに先立つ同月6日,原裁判所は乙事件につき勾留状を発し,これが即日執行されていたところ,原裁判所は,乙事件の勾留期間は,同事件が追起訴された平成14年12月27日から2か月間であるとの見解に立って,平成15年2月27日から同事件についての勾留期間を更新する旨の決定をしたことが認められる。 しかしながら,乙事件につき発せられた勾留状による勾留は,乙事件の勾留が現実に始まった日から期間を定めるものと解するのが相当であるから(また,その勾留期間も2か月と解するのが相当である。),原裁判所が乙事件の勾留期間につき追起訴の日を起算日としてなした勾留期間更新決定は,現実の勾留開始日を起算日としなかった点において不適法というべきである。 なお,原裁判所の上記見解は,乙事件につき追起訴時に勾留の要件が備わっていたのに,甲事件につき被告人が勾留されていたため,その目的を達しているとして,あえて乙事件につき被告人を勾留せず,甲事件の勾留を事実上利用して乙事件の審理が進められたことを実質的な根拠としているものとも解されるが,(1)そもそも両者は別個の勾留である上,(2)何をもって両者が利用関係にあったというのか,必ずしも明らかとはいえないほか,個別具体的な事案におけるそうした利用関係の有無やそれが生じた時期の判断にも困難を伴うことが予想され,勾留期間の確定に不安定をもたらすおそれがあることなどから,そうした見解は当裁判所の採用するところではない。 ちなみに,勾留期間につき事件単位の原則を貫くことによって生ずる被告人 伴うことが予想され,勾留期間の確定に不安定をもたらすおそれがあることなどから,そうした見解は当裁判所の採用するところではない。 ちなみに,勾留期間につき事件単位の原則を貫くことによって生ずる被告人の身柄拘束期間の長期化などの弊害は,起訴後の勾留につき慎重な運用を図るとともに,勾留しておく必要のない罪については,勾留期間を更新せず,あるいは勾留の取消しをすることなどにより,解決を目指すべきである。 論旨は理由がある。 よって,刑訴法426条2項により,原決定を取り消すこととして,主文のとおり決定する。 平成15年2月25日高松高等裁判所第1部裁判長裁判官正木勝彦裁判官齋藤正人裁判官河田泰常

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