- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人吉田繁實の上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。なお,所論にかんがみ記録を調査しても,同法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件各犯行中,A及びBを各被害者とする監禁,強盗殺人(以下「本件強盗殺人」という。)は,次のような内容の事件である。 (1)被告人は,自己の経営する会社の経営悪化に伴い,多額の借金を抱えてその返済に苦慮していたところ,土地の売却により高額の金員を取得したAと,同人の財産管理に深く関与していたBをら致し,両名を殺害して現金を奪おうと考え,Cにその計画を持ち掛けた。Cはこれに応じ,その後,Dも同計画に加わることになった。 (2)上記計画では,A及びBを殺害した上,犯行の発覚を防ぐため山林に掘った穴に埋めることになっており,C及びDは,その穴を事前に準備するため,Eを仲間に引き入れて,栃木県にある国有林内で穴を掘った。 (3)その後,C,D及びEは,被告人の指示に従い,計画どおりA及びBを東京都内のマンションの1室に監禁し,Aから同人所有の現金約79万円及び同人名義のキャッシュカード3枚を強取し,次いで,A及びBに睡眠薬を飲ませるなどした上,自動車に乗せて上記穴を掘った山腹まで連行し,同所において,抵抗するAの頸部を所携のひもで締め上げ全裸にして上記穴の中に入れ,また,Bにけん銃を- 2 -向けながら「往生せいや。」などと脅迫して全裸にした上,上記穴の中に追い込んで横たわらせ,その上から土砂等をかけて被害者両名を土中に埋没させて窒息死させた。 本件強盗殺人は,金銭的利欲に基づく計画的な犯行で罪質が極めて悪く,動機に酌量の余地は全く 上記穴の中に追い込んで横たわらせ,その上から土砂等をかけて被害者両名を土中に埋没させて窒息死させた。 本件強盗殺人は,金銭的利欲に基づく計画的な犯行で罪質が極めて悪く,動機に酌量の余地は全くなく,何ら落ち度のない被害者両名を冷酷,非情な手段で殺害した犯行態様も極めて悪質である。理不尽な犯行により,いずれも妻子を残したまま,30代の若さで前途を断たれた被害者両名の無念は想像を絶する。しかも,本件強盗殺人は,約4年を経てDが犯行を自白したことなどにより,ようやく明るみに出たものであって,その間帰りを待ち続けた家族が受けた衝撃も察するに余りある。2名の尊い生命を奪った結果はもとより重大であるところ,見るべき慰謝の処置も講じられておらず,遺族らの被害感情は極めて厳しい。医師あるいは実業家として平穏な生活を送っていた被害者両名を監禁した上,生き埋めにしたという残虐な犯行が一般社会に与えた影響も誠に大きい。 被告人は,本件強盗殺人の実行行為には直接関与していないものの,利己的な動機から犯行計画を立てて共犯者らに実行させた首謀者にほかならず,その刑事責任は最も重いというべきである。 以上の事情に照らすと,被告人が,本件強盗殺人につき,捜査段階では事実をおおむね認め,公判でも一定の限度では責任を認めて,被害者両名の死を悼む心情も吐露していること,被告人の次に情の重いCに対する刑が無期懲役で確定していることなど被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 - 3 -よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官竹田勝紀公判出席(裁判長裁判官島田仁郎裁判官横尾和子裁判 - 3 -よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官竹田勝紀公判出席(裁判長裁判官島田仁郎裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官才口千晴)
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