昭和63(行ウ)8 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成7年12月8日 京都地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文21,403 文字)

○ 主文一原告らの被告Aに対する請求をいずれも棄却する。 二 1原告らの被告Bに対する主位的請求をいずれも棄却する。 2 同被告は、京都市に対し、四〇万〇四九九円及びこれに対する昭和六二年二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 3 原告らの同被告に対するその余の予備的請求をいずれも棄却する。 三原告らの同Cに対する訴えをいずれも却下する。 四 1原告らの被告Dに対する主位的請求を棄却する。 2 同被告は、京都市に対し、二三一万六四四九円及びこれに対する昭和六二年二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 五 1原告らの被告Eに対する訴えのうち、別表1記載の番号19及び20の各支出に係るものにつき、いずれもこれを却下する。 2 原告らの同被告に対する訴えのうち、別表1記載の番号19及び20以外の各支出に係るものにつき、主位的請求を棄却する。 3 同被告は、京都市に対し、四二万七四七〇円及びこれに対する昭和六二年二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 六 1 原告らの被告Fに対する主位的請求をいずれも棄却する。 2 同被告は、京都市に対し、六二万〇二二九円及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 3 原告らの同被告に対するその余の予備的請求をいずれも棄却する。 七原告らの被告Gに対する訴えをいずれも却下する。 八 1 原告らの被告Hに対する主位的請求を棄却する。 2 同被告は、京都市に対し、一八万四一八四円及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 九 1原告らの被告Iに対する主位的請求を棄却する。 2 同被告は、京都市に対し、三四万三三一四円及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合に 年五分の割合による金員を支払え。 九 1原告らの被告Iに対する主位的請求を棄却する。 2 同被告は、京都市に対し、三四万三三一四円及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 一〇 訴訟費用は、これを二〇分し、その一を被告H、その二を同B、その二を同E、その二を同I、その三を同F、その余を同Dの負担とする。 ○ 事実及び理由第一請求一被告A、同B、同C、同Eは、京都市に対し、連帯して八二万七九六九円(別表1記載の番号3、5、7、12、19、20及び23の各支出に係るもの。)及びこれに対する昭和六二年二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 二被告A、同B、同C、同Dは、京都市に対し、連帯して二三一万六四四九円(別表1記載の番号1、2、4、6、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、21及び22の各支出に係るもの。)及びこれに対する昭和六二年二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 三被告A、同F、同Gは、京都市に対し、連帯して六二万〇二二九円(別表2記載の番号1及び2の各支出に係るもの。)及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 四被告A、同F、同Hは、京都市に対し、連帯して一八万四一八四円(別表2記載の番号6の支出に係るもの。)及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 五被告A、同F、同Iは、京都市に対し、連帯して三四万三三一四円(別表2記載の番号3、4、5及び7の各支出に係るもの。)及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要一請求の類型(訴訟物)本件は、京都市の住民である原告ら 4、5及び7の各支出に係るもの。)及びこれに対する昭和六一年一二月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要一請求の類型(訴訟物)本件は、京都市の住民である原告らが、別表1及び同2の名目欄中「支出金額・年月日」欄記載の各公金支出(以下「本件各支出」という。)が違法であることを理由として、地方自治法(以下「地自法」という。)二四二条の二第一項四号前段の規定に基づき、本件各支出につき被告らが同号の「当該職員」に該当するとして、京都市に代位して、被告らに対し、本件各支出金額に相当する損害賠償金及びこれに対する最終の支出日(別表1に係る各支出については昭和六二年二月一九日、別表2に係る各支出については昭和六一年一二月一二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた住民訴訟である。 二前提事実 1 当事者(一) 原告らは、いずれも京都市の住民である。 (争いがない。)(二) 被告らは、本件各公金支出がなされた当時、京都市において、それぞれ左記の役職にあった。 (争いがない。 )(1) 被告A京都市長(2) 被告B京都市民生局長(3) 被告C京都市民生局同和対策室長(ただし、昭和六一年六月一日から)(4) 被告D京都市民生局社会部長(5) 被告E京都市民生局社会部庶務課長(6) 被告F京都市住宅局長(7) 被告G京都市住宅局改良事業室長(8) 被告H京都市住宅局管理部長(9) 被告I京都市住宅局管理部住宅企画課長 2 専決権限京都市の局長等専決規程(昭和三八年五月一八日訓令甲第二号)(以下「専決規程」という。)三条別表1によれば、左記のとおり、共通専決権限の所在が定められていた。 (甲二二、乙三の一、二)(一) 局長一件五〇万円以下(ただし、昭和六一年一一 日訓令甲第二号)(以下「専決規程」という。)三条別表1によれば、左記のとおり、共通専決権限の所在が定められていた。 (甲二二、乙三の一、二)(一) 局長一件五〇万円以下(ただし、昭和六一年一一月一日以後は、一件二〇〇万円以下)の支出決定(二) 庶務担当部長一件二〇万円以下(ただし、昭和六一年一一月一日以後は、一件一〇〇万円以下)の支出決定(三) 庶務担当課長一件一〇万円以下の支出決定 3 本件各支出の存在(一) 別表1及び同2の名目欄記載のとおり、京都市民生局及び住宅局の職員が、他府県の同和行政担当者又は民間福祉団体を、地区施設視察や協議等の会合で接待したとして、各支出決定(以下、右各決定を「本件各支出決定」、同各決定のなされた文書を「本件各支出決定書」という。)が行われ、各支出命令を経たうえ、右名目欄記載のとおり、本件各支出がなされた。 (二) 本件各支出決定の各専決権者は、右1(二)、2によれば、以下のとおりである。 (争いがない。 )(1) 被告B別表1記載の番号19及び20の各支出(2) 被告D別表1記載の番号1、2、4、6、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、21及び22の各支出(3) 被告E別表1記載の番号3、5、7、12及び23の各支出(4) 被告F別表2記載の番号1及び2の各支出(5) 被告H別表2記載の番号6の支出(6) 被告I別表2記載の番号3、4、5及び7の各支出 4 本件各支出決定書の内容の虚偽性しかし、右名目欄記載の会合等は、実際には行われていなかった。したがって、本件各支出決定書の記載内容は、いずれも虚偽架空のものである。 (争いがない。) 5 監査請求(一) 原告らは、昭和六三年一月二一日、地自法二四二条一項に基づき、本件各支出が違法不当であることを理由として 支出決定書の記載内容は、いずれも虚偽架空のものである。 (争いがない。) 5 監査請求(一) 原告らは、昭和六三年一月二一日、地自法二四二条一項に基づき、本件各支出が違法不当であることを理由として、京都市監査委員に対し、監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。 (争いがない。)なお、本件各支出のうち、別表1記載の番号23以外のものに関しては、本件監査請求は、右各支出行為があった日から一年を経過しているが、監査請求期間を経過したことについて、地自法二四二条二項ただし書の「正当な理由」がある。 (弁論の全趣旨により、争いがない。)(二) これに対し、京都市監査委員は、同年三月一九日、本件監査請求には理由がないとの監査結果に達し、そのころ、原告らに対し、本件監査請求を棄却するとの通知をした。 (争いがない。) 6 訴訟の提起原告らは、同年四月一五日、地自法二四二条の二第一項四号に基づいて、本件各支出が違法であることを理由として、被告A、同B、同C、同E、同F及び同Gが、いずれも同号の「当該職員」に該当するとして、右被告らに対し、京都市に代位して、損害賠償を請求する訴えを当裁判所に提起した。 (争いがない。) 7 被告の変更(一) 原告らは、平成六年一月二六日、行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)四三条三項、四〇条二項、一五条一項に基づき、当裁判所に対し、別表1記載の番号1、2、4、6、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、21及び22の各支出について、被告をEからDに、別表2の番号3、4、5及び7の各支出について、被告をGからIに、別表2の番号6の支出について、被告をGからHに変更する(以下、D、H及びIを「新被告ら」という。)ことを許可するとの決定を求める申立てをした(当裁判所平成六年(行ク)第一号事件)。 をGからIに、別表2の番号6の支出について、被告をGからHに変更する(以下、D、H及びIを「新被告ら」という。)ことを許可するとの決定を求める申立てをした(当裁判所平成六年(行ク)第一号事件)。 (争いがない。)(二) これに対し、当裁判所は、同年六月二七日、右申立申立てを許可する決定(以下「本件被告変更決定」という。)をした。 (争いがない。)三争点 1 本案前(一) 被告C、同G及び同Eが地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当するか(二) 住民訴訟たる本件訴訟において行訴法一五条の準用があるか(三) 本件訴訟において、新被告らとの関係で、監査請求前置が充たされているか 2 本案(一) 本件各支出の違法性及び京都市の損害の有無(二) 損害賠償請求権発生の法的根拠(三) 被告らの責任第三争点に関する判断一被告C、同G及び同Eが地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当するか(争点1(一))について 1 原告らの主張地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」とは、(1)財務会計上の違法行為に直接的に関与した者又は(2)地自法上の義務を重大な過失により懈怠したために違法行為を防止できず、損害発生に間接的に原因を与えた者を指す。 (一) 本件では、被告らは、被告Aからその権限を委ねられた専決権者と共謀の上、あるいはその専決権者に指示をして、他府県職員や民間福祉団体の名義を冒用し、架空の接待目的を捏造するなどして、公文書を偽造して違法な本件各支出を行わせたものであるから、(1)専決権者とともに財務会計上の違法行為に直接的に関与した者として、右「当該職員」に該当する。 (二) また、被告らは、少なくとも、専決権者に対する監督義務を重大な過失により懈怠して、架空名目による本件各支出を意図的に放置して、京 法行為に直接的に関与した者として、右「当該職員」に該当する。 (二) また、被告らは、少なくとも、専決権者に対する監督義務を重大な過失により懈怠して、架空名目による本件各支出を意図的に放置して、京都市に損害を与えたものであるから、(2)京都市の被った損害に間接的な原因を与えた者として、右「当該職員」に該当する。 2 被告らの主張地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」とは、その適否が問題とされる地方自治体の財務会計上の行為を行う権限を本来的に有するとされている者(以下「本来的権限者」という。)、及び、その者から委任を受けるなどして右財務会計上の行為を行う権限を有するに至った者をいい、右の者以外に対する住民訴訟は、右法条の認める住民訴訟の類型に該らず、不適法である。 (一) 被告C及び同Gは、本件各支出に関し、いずれも本来的権限者でもなく、また、その権限を委ねられた者でもない。 (二) 被告Eは、別表1の番号19及び20の各支出については、本来的権限者から専決権限を委ねられていたものではない。 3 判断(一) 本件訴訟は、地自法二四二条の二第一項四号前段に基づく訴訟であるが、右訴訟において被告とされるべき「当該職員」とは、当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を(1)法令上本来的に有するとされている者及び(2)これらの者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者を広く意味し、(2)には、当該普通地方公共団体の内部において、訓令等の事務処理上の明確な定めにより当該財務会計上の行為につき法令上権限を有する者からあらかじめ専決することを任され、右権限行使についての意思決定を行うとされている者も含まれるが、他方、右「当該職員」と認められない者を被告として提起された訴えは、法により特に出訴が認められ する者からあらかじめ専決することを任され、右権限行使についての意思決定を行うとされている者も含まれるが、他方、右「当該職員」と認められない者を被告として提起された訴えは、法により特に出訴が認められた住民訴訟の類型に該当しない訴えとして、不適法であると解するのが相当である(最高裁判所昭和五五年(行ツ)第一五七号・同六二年四月一〇日第二小法廷判決・民集四一巻三号二三九頁、同裁判所平成二年(行ツ)第一三八号・同三年一二月二〇日第二小法廷判決・民集四五巻九号一五〇三頁参照。)。 (二) これを被告C及び同Gについてみると、本件各支出がなされた当時、両名がそれぞれ京都市民生局同和対策室長及び同市住宅局改良事業室長であったことは、第二の二1(二)説示のとおりであるから、(1)の「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者」に該当するとは認められない。また、右被告らは、本件各支出決定に関し、専決権限を与えられていないことについては、第二の二3(二)説示のとおり当事者間に争いがないから、(2)の「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を(1)の者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者」ないし「当該普通地方公共団体の内部において、訓令等の事務処理上の明確な定めにより当該財務会計上の行為につき法令上権限を有する者からあらかじめ専決することを任され、右権限行使についての意思決定を行うとされている者」に該当するものとも認められない。 したがって、被告C及び同Gは、本件各支出との関係では、地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当するとは認められない。 (三) また、被告Eについては、本件各支出がなされた当時、右被告が、京都市民生局社会部庶務課 は、本件各支出との関係では、地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当するとは認められない。 (三) また、被告Eについては、本件各支出がなされた当時、右被告が、京都市民生局社会部庶務課長であったことは、第二のニ1(二)説示のとおりであるから、(1)の「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するとされている者」に該当するとは認められない。 また、本件各支出のうち、別表1の番号19及び20に関しては、支出決定に関する専決権限を有していなかったことは、第二の二3(二)のとおり当事者間に争いがないから、右各支出に関しては、(2)の「当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を(1)の者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者」ないし「当該普通地方公共団体の内部において、訓令等の事務処理上の明確な定めにより当該財務会計上の行為につき法令上権限を有する者からあらかじめ専決することを任され、右権限行使についての意思決定を行うとされている者」に該当するものとも認められない。 したがって、被告Eは、別表1の番号19及び20の支出との関係では、地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当するとは認められない。 (四) これに対し、原告らは、(1)財務会計上の違法行為に直接的に関与した者又は(2)地自法上の義務を重大な過失により懈怠したために違法行為を防止できず、損害発生に間接的に原因を与えた者は、全て地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当すると主張するが、住民訴訟の趣旨に照らし、採用できない。 (五) よって、被告C及び同Gは、本件各支出との関係では、地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当しないから、右被告らに対する訴えは不適 するが、住民訴訟の趣旨に照らし、採用できない。 (五) よって、被告C及び同Gは、本件各支出との関係では、地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当しないから、右被告らに対する訴えは不適法であり、却下を免れない。 また、被告Eは、別表1の番号19及び20の支出との関係では、地自法二四二条の二第一項四号前段の「当該職員」に該当しないから、その限度で、右被告に対する訴えは不適法であり、却下を免れない。 二住民訴訟たる本件訴訟において行訴法一五条の準用があるか(争点1(二))について 1 原告らの主張民衆訴訟のうち、処分又は裁決の取消し、あるいは無効確認を求める訴訟以外のものについては、行訴法三九条及び四〇条一項を除き、当事者訴訟に関する規定が準用される(同法四三条三項)。当事者訴訟に関する行訴法四〇条二項によれば、出訴期間の定めあるものには、同法一五条が準用される。そうすると、行訴法一五条は、民衆訴訟のうち、処分又は裁決取消し、あるいは無効確認を求める訴訟以外のもので、かつ、出訴期間の定めのあるものに準用されることになる。 本件訴訟は、地自法二四二条の二第一項四号に基づく住民訴訟であり、同法二項によれば、出訴期間が定められているから、民衆訴訟のうち、処分又は裁決取消し、あるいは無効確認を求める訴訟以外のもので、かつ、出訴期間の定めのあるものに該当する。したがって、本件住民訴訟には行訴法一五条が準用されるものと解すべきである。 したがって、本件被告変更決定は、適法である。 2 被告らの主張本件被告変更決定は違法であるから、新被告らとの関係では、本件訴えは却下されるべきである。 (一) 行訴法一五条の規定する「被告の変更」とは、訴訟物を同じくすることを前提とする概念であり、本件のように訴訟物を異にする結果となる事案については、「被 では、本件訴えは却下されるべきである。 (一) 行訴法一五条の規定する「被告の変更」とは、訴訟物を同じくすることを前提とする概念であり、本件のように訴訟物を異にする結果となる事案については、「被告の変更」の概念を逸脱することになるから、右法条の準用は認められない。 (二) 本件訴訟において、被告の変更を認めると、地自法二四二条二項の期間の経過によって住民訴訟によって訴えられることがなくなるという個人的利益が失われるという不都合が生じる。 3 判断(一) 思うに、地自法二四二条の二第六項によれば、同条一項の住民訴訟には、行訴法四三条の適用があるものとされている。そして、行訴法四三条三項によれば、民衆訴訟のうち、処分又は裁決の取消し、あるいは無効確認を求める訴訟以外のものについては、行訴法三九条及び四〇条一項を除き、当事者訴訟に関する規定が適用される。また、当事者訴訟に関する行訴法四〇条二項によれば、出訴期間の定めのあるものには、同法一五条が準用される。 したがって、地自法二四二条の二第一項所定の住民訴訟のうち、少なくとも、処分又は裁決の取消し、あるいは無効確認を求める訴訟以外のもので、かつ、出訴期間の定めのあるものについては、行訴法一五条の準用があることになる。 本件訴訟は、地自法二四二条の二第一項四号前段の規定に基づく住民訴訟であるから、処分又は裁決の取消し、あるいは無効確認を求める訴訟以外のものに該当し、かつ、地自法二四二条の二第二項に出訴期間に関する規定があるため、出訴期間の定めのあるものに該当する。したがって、本件訴訟には、行訴法一五条が準用されるものと解すべきである。 (二) これに対し、被告らは、行訴法一五条の規定する「被告の変更」とは、訴訟物を同じくすることを前提とする概念であり、本件のように訴訟物を異にする結果となる事 が準用されるものと解すべきである。 (二) これに対し、被告らは、行訴法一五条の規定する「被告の変更」とは、訴訟物を同じくすることを前提とする概念であり、本件のように訴訟物を異にする結果となる事案については、「被告の変更」の概念を逸脱すると主張する。 思うに、行訴法一五条の趣旨は、以下のとおりであると解される。すなわち、取消訴訟は、処分等をした行政庁を被告として提起しなければならない(行訴法)一条)ところ、一般に行政関係法規や行政組織は複雑で、しばしば改正され、また、権限の委任が行われることも少なくないことから、だれが処分等をした行政庁に該当するかわかりにくく、原告が被告とすべき者を誤って訴えを提起してしまう事態が起こりうる。しかるに、右の場合に、原告が、新たに被告適格を有する者に対して同様の訴えを提起しようとしても、取消訴訟には出訴期間の制限がある(行訴法一四条)ため、新たな出訴が困難なことが少なくない。そこで、行訴法一五条は、右のような場合に、原告に対して被告変更の申立権を認め、被告変更が認められた場合には、新被告に対する訴えは、出訴期間の遵守という関係では、最初に訴えが提起された時に提起されたものとみなすこととして、原告を救済することとしたのである。 以上の趣旨にかんがみれば、訴訟物の同一性が、行訴法一五条の「被告の変更」の要件になっていると解すべき根拠は見当たらないのみならず、行訴法が、前示のとおり、民衆訴訟のうち出訴期間の定めのあるものについて同法一五条を準用するにあたり、「被告の変更」の要件として訴訟物の同一性が必要である旨を特に規定していないことにかんがみれば、被告らの右主張は、採用することができないものといわねばならない。 (三) また、被告らは、本件訴訟において、被告の変更を認めると、地自決二四二条二項の期間の経過に 定していないことにかんがみれば、被告らの右主張は、採用することができないものといわねばならない。 (三) また、被告らは、本件訴訟において、被告の変更を認めると、地自決二四二条二項の期間の経過によって住民訴訟によって訴えられることがなくなるという個人的利益が失われるという不都合が生じると主張するが、右にいう被告の利益は、地自法二四二条二項が手続上監査請求の期間を定めたことに由来する反射的利益にすぎず、法律上保護された利益にはあたらないと解するのが相当であるのみならず、新被告らは、本件訴訟が提起された当時、右訴訟の正当な被告が自己であり、後に原告らの申立てに基づいて被告が自己に変更される可能性のあることを容易に知りうる立場にあったことにかんがみれば、右のような不都合が生じるとしてもやむをえないものといわねばならない。よって、被告らの右主張も、採用することができない。 したがって、本件被告変更決定には、被告ら主張の違法はなく、適法である。 三本件訴訟において、新被告らとの関係で、監査請求前置が充たされているか(争点1(三))について 1 被告らの主張仮に本件被告変更決定が許されたとしても、新被告らとの関係では、住民訴訟の訴訟要件たる地自法二四二条一項所定の監査請求を経ていない。したがって、本件訴えは不適法である。 2 原告らの主張本件監査請求においては、原告らは、各公金支出の事実を特定し、被告A、同B、同Fなどの関係者に対して連帯して違法に支出した公金を京都市に返還することを求めているところ、右「関係者」には、新被告らも含まれる。したがって、本件訴えは、本件被告変更決定後の新被告らとの関係でも、地自法二四二条一項所定の監査請求を経ており、適法である。 3 判断本件訴訟において、新被告らとの関係で監査請求前置の要件を充たすためには、本 件訴えは、本件被告変更決定後の新被告らとの関係でも、地自法二四二条一項所定の監査請求を経ており、適法である。 3 判断本件訴訟において、新被告らとの関係で監査請求前置の要件を充たすためには、本件監査請求の対象とされた行為又は事実と本件被告変更決定後の住民訴訟において審判の対象とされている行為又は事実とが同一であると認められることが必要である。 この点、本件監査請求の対象とされた行為又は事実と本件訴訟において審判の対象とされている行為又は事実との同一性の判断にあたっては、請求の対象となる財務会計行為、右財務会計行為を違法とする事由、求められた措置及び監査請求の対象者等を総合して判断すべきものと解される。 これを本件について検討すると、証拠(甲四、五)及び弁論の全趣旨によれば、請求の対象となる財務会計行為(本件各支出)、それを違法とする事由(接待等の架空性)及び求められた措置(支出公金分の返還)はほぼ同一であることが認められる。さらに、証拠(甲四、五)によれば、原告らが、本件各支出にかかる公金相当額を京都市に返還(賠償)することを求めている相手方は、「A、Bその他関係者(あるいは「などの関係者」)」「A、Fその他関係者(あるいは「などの関係者」)」であると認められるところ、甲四、五の内容に徴すれば、右「関係者」とは、本件各支出に携わった者全体をさすものと解される。してみれば、第二の二3(二)説示のとおり、新被告らは、本件各支出のうちの一部について、支出決定をなしているのであるから、右「関係者」には、新被告らも含まれるものと解される。したがって、本件訴訟においては、本件監査請求の対象とされた行為又は事実と本件被告変更決定後の住民訴訟において審判の対象とされている行為又は事実とは同一であると認められる。 よって、本件訴訟は、新被告らとの関係 本件訴訟においては、本件監査請求の対象とされた行為又は事実と本件被告変更決定後の住民訴訟において審判の対象とされている行為又は事実とは同一であると認められる。 よって、本件訴訟は、新被告らとの関係でも、地自法二四二条の二第一項、二四二条一項所定の監査請求前置を経たものとして、適法であると認めるのが相当である。 四本件各支出の違法性及び京都市の損害の有無(争点2(一))について 1 原告らの主張(一) 内容虚偽の支出決定書を作成してなされた本件各支出は、財務会計の原則や京都市の条例、規則にも反する違法な支出である。 本件各支出が違法である以上、京都市には、右各支出にかかる金員の合計額四二九万二一四五円に相当する損害が生じている。 (二) 被告ら主張の別表1及び同2の実際欄記載の各会合は、開催年月日、会合目的、出席者とも、本件各支出決定書の記載と明らかに異なっている。被告らは、右各会合に出席した地元関係者の氏名を明らかにしておらず、したがって、右各会合の実在性及び目的の正当性並びに本件各支出の必要性及び合理性は、いずれも認められない。 2 被告らの主張(一) 別表1及び同2の名目欄記載の各会合は存在しないが、実際欄記載の各会合は存在し、その開催年月日、会合目的、出席者は、同欄記載のとおりである。 また、右各会合はいずれも、同和行政、建築行政、又は住宅対策の推進のために開催された正当かつ有益な会合である。 (二) 本件各支出は、右各会合に際しての会食の費用として支出がなされたものであり、同和行政、建築行政、又は住宅対策の適正円滑な実施に寄与するものであるから、右各支出の目的は正当なものである。 また、右各支出に際しては、専決規程により権限を与えられた京都市職員が、歳出予算の範囲内で、別表1及び同2の名目欄記載の各債権者との間で、飲食にかかる契 るから、右各支出の目的は正当なものである。 また、右各支出に際しては、専決規程により権限を与えられた京都市職員が、歳出予算の範囲内で、別表1及び同2の名目欄記載の各債権者との間で、飲食にかかる契約を締結したものであるから、各支出負担行為は適法に成立している。 (三) 本件各支出は、右各支出負担行為によって正当に負担した京都市の債務の履行として行われたものであるから、京都市には損害は生じていない。 また、右支出手続の一つの過程である本件各支出決定がなされるにあたり、右各決定にかかる本件各支出決定書のなかには、会合目的、開催年月日、出席者の記載が実際の各会合と異なっている場合があるが、債権者や金額等公金支出の本質的部分は、名目欄の記載と同一であるから、本件各支出は、異なる手続上の過誤があるにすぎず、その違法性は低く、右のとおり京都市に損害が生じていない以上、本件各支出手続の違法性は問題とならない。 3 判断(一) 地方公共団体の財務会計の処理は、地自法、地方財政法、地方自治体の財務に関する条例、規則等に従って適正に処理されなければならない。地自法は、二三二条以下に支出に関する定めを設け、地方公共団体の財政の運営に関する基本原則を定めた地方財政法は、予算の執行について、その目的を達成するための必要かつ最小の限度を超えて支出してはならないと定め(同法四条)、京都市も京都市会計規則により、支出に関する細則を定めている(甲二〇)。このように関係法令によって、地方公共団体の支出負担行為、これに続く支出命令、支出行為は、予算の範囲内において、正確、厳正、公正に処理されることが求められているのであって、真実に合致した会計処理をすべきことがその前提とされているといえる。したがって、右のような会計の基本原則に反し、虚偽架空の事実に基づいて会計処理が行われ、 処理されることが求められているのであって、真実に合致した会計処理をすべきことがその前提とされているといえる。したがって、右のような会計の基本原則に反し、虚偽架空の事実に基づいて会計処理が行われ、公金が支出された場合、かかる公金の支出手続は、それだけで当然に違法であり、かかる違法な公金支出がなされた場合には、右公金支出にかかる金員に相当する損害が、公金支出をした地方公共団体に生じたものといわなければならない。 これを本件についてみると、別表1及び同2の名目欄記載の会合が存在せず、虚偽架空であることは、第二の二4説示のとおりである。したがって、本件各支出にかかる支出手続は、右財務会計上の基本原則に違反し、違法であるといわざるをえず、よって、京都市には、本件各支出にかかる金員の合計額である四二九万二一四五円に相当する損害が生じたものと認められる。 (二) これに対し、被告らは、本件各支出は、別表1及び同2の実際欄記載のとおり実際に開催された各会合の接待費として支出がされたものであり、債権者、支出金額等支出の本質的部分は本件各支出と一致し、ただ手続上の過誤があるにすぎない旨主張する。そして、証人J及び被告Iはこれに副う供述をし、乙四ないし六(枝番号を含も。)にもこれに副う供述記載がみられる。 しかし、被告らの主張する各会合については、稟議書や報告書等の的確な裏付け資料は全く存在せず、出席した地元関係者の氏名も明らかでないうえ、被告ら主張の各会合の出席人数と債権者の作成した各請求書記載の人数にくいちがいのあるものが三〇件中二八件もある。これらに照らすと、右供述や供述記載のみをもって右各会合の実在の事実を裁判上認定することはできず、他に被告ら主張の事実を認めるに足りる的確な証拠は存在しない。したがって、被告らの主張する会合の実在する事実自体、これ 右供述や供述記載のみをもって右各会合の実在の事実を裁判上認定することはできず、他に被告ら主張の事実を認めるに足りる的確な証拠は存在しない。したがって、被告らの主張する会合の実在する事実自体、これを認めることができない。 以上のとおりであるから、右各会合の存在を前提とする被告らの主張は、採用することができない。 五損害賠償請求権発生の法的根拠(争点2(二))について 1 原告らの主張(申立て)(一) 原告らが代位する、京都市の本件各被告(被告Aを除く。)に対する損害賠償請求権は、主位的には民法七〇九条に基づくものであり、予備的には地自法二四三条の二第一項に基づくものである。 (二) 本件各被告(被告Aを除く。)は、地自法二四三条の二第一項後段の職員に該当する。 2 被告らの主張本件各被告(被告A、同C及び同Gを除く。)が、地自法二四三条の二第一項後段の職員に該当することは、認める。 3 判断(一) 本件訴訟は、地自法二四二条の二第一項四号の規定に基づき、被告らが同号所定の当該職員に該当するとし、京都市が当該職員である被告らに対して有する損害賠償請求権を代位行使するとして提起された、代位請求訴訟であるところ、右規定は住民に代位請求訴訟を提起する資格を付与するという訴訟法規的性格をもつ規定にすぎない(行訴法四二条参照。)から、同号所定の訴訟において、代位の対象となる実体法上の請求権の発生する根拠は、別途、民法、地自法上その他実体法の規定に求めなければならないと解される。 (二) そこで、次に、本件訴訟において原告らが代位行使する損害賠償請求権の実体法上の根拠を考察するに、この点に関し、地自法二四三条の二に地方公共団体の職員の損害賠償責任に関する規定があるので、まず、右規定の趣旨について検討する必要がある。 思うに、地自法二四三条の二の趣旨 体法上の根拠を考察するに、この点に関し、地自法二四三条の二に地方公共団体の職員の損害賠償責任に関する規定があるので、まず、右規定の趣旨について検討する必要がある。 思うに、地自法二四三条の二の趣旨は、同条一項所定の職員の職務の特殊性にかんがみて、同条所定の行為に起因する当該地方公共団体の損害に対する右職員の賠償責任に関しては、民法上の債務不履行又は不法行為による損害賠償責任よりも責任発生の要件及び責任の範囲を制限して、これら職員がその職務を行うにあたり萎縮し消極的となることなく、積極的に職務を遂行することができるよう配慮したものであると解される。 してみれば、地自法二四三条の二の規定は、同条一項所定の職員に関する限りその賠償責任については民法の規定を排除し、その責任の有無又は範囲は専ら同条一、二項の規定によるものと解され、他方、同条一項所定の職員には、当該地方公共団体の長は含まれず、当該普通地方公共団体の長の当該地方公共団体に対する賠償責任については、民法の規定によるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和五八年(行ツ)第一三二号・同六一年二月二七日第一小法廷判決・民集四〇巻一号八八頁参照。)。 (三) 右を前提に、本件訴訟において、原告らが代位行使を主張する実体法上の請求権の法的性格について検討する。 (1) 被告B、同D、同E、同F、同H及び同Iについて右被告らが地自法二四三条の二第一項後段の職員に該当することについては、右1、2のとおり争いがない。してみれば、本件訴訟において、原告らが右被告らに対して代位行使を主張する実体法上の請求権は、民法七〇九条ではなく、地自法二四三条の二第一項に基づくものであると解するのが相当である。 (2) 被告Aについて右被告が、本件各支出のなされた当時、京都市長であったことは、第二の二1(二)説示 、民法七〇九条ではなく、地自法二四三条の二第一項に基づくものであると解するのが相当である。 (2) 被告Aについて右被告が、本件各支出のなされた当時、京都市長であったことは、第二の二1(二)説示のとおりであるから、原告らが右被告に対して代位行使を主張する実体法上の請求権は、地自法二四三条の二第一項ではなく、民法七〇九条に基づくものであると解するのが相当である。 (3) なお、被告C及び同Gについては、一3説示のとおり、右被告らに対する訴えが不適法である以上、右被告らに対する実体法上の請求権の根拠を考察する必要はない。 (四) 結論以上のとおり、原告らが、被告B、同D、同E、同F、同H及び同Iに対して代位行使を主張する実体法上の請求権は、民法七〇九条ではなく、地自法二四三条の二第一項に基づくものであると解するのが相当である以上、この時点で、原告らの右被告らに対する主位的請求は棄却を免れないことになる。 六被告らの責任(争点2(三))について 1 原告らの主張(一) 専決権者としての責任被告B、同D、同E、同F、同H及び同Iは、本件各支出に関して、第二の二3(二)のとおり、専決権者であったにもかかわらず、本件各支出について虚偽架空の名目でなされていることを承知して決裁したのであるから、違法な本件各支出について当然に故意又は重過失があり、専決権者として京都市の受けた損害を賠償する責任がある。 (二) 指揮監督責任等(1) 被告Aア責任原因他人名義を利用した内容虚偽の文書の作成による公金支出は、京都市の方針だったのであり、その結果、本件各支出が、京都市民生局及び住宅局と局を超えて行われることになったものである。 被告Aは、別表1及び同2の違法な本件各支出に関して、京都市の最高責任者として、また、財務会計上の行為を行う権限を本来的に有 出が、京都市民生局及び住宅局と局を超えて行われることになったものである。 被告Aは、別表1及び同2の違法な本件各支出に関して、京都市の最高責任者として、また、財務会計上の行為を行う権限を本来的に有する者として、本件各会合の相手方の氏名を秘匿し、内容虚偽の公金支出関係書類を作成して違法に支出することにつき、これを指示し又は容認していた責任がある。また、少なくとも、右のような違法な公金支出について、専決権者に対する指揮監督上の義務に違反し、故意又は過失により専決権者が違法に公金を支出することを阻止しなかった責任がある。 イ証明軽減普通地方公共団体の長は、補助職員に対し包括的な指揮監督権限を有しているのであるから、補助職員の財務会計上の違法行為については、当然にその指揮監督上の義務に違反したと推認して、普通地方公共団体の長に損害賠償責任を負わせるべきである。また、普通地方公共団体の長の損害賠償責任を認めるためには、その補助職員に対する指揮監督上の帰責事由を推認させる外形的事実を立証すれば足りるとすべきである。 (2) 被告B、同D、同C及び同E右被告らは、別表1の違法な本件各支出に関して、行政の責任者として事情を知りながら何らの是正措置を取ることなくこれを放置し、もしくは自ら費消し又は部下や第三者が費消することを了承した責任がある。 (3) 被告F、同G、同H及び同I右被告らは、別表2の違法な本件各支出に関して、行政の責任者として事情を知りながら何らの是正措置を取ることなくこれを放置し、もしくは自ら費消し又は部下や第三者が費消することを了承した責任がある。 2 被告らの主張(一) 被告Aは、京都市の財務会計上の権限については、専決規定により局長以下の京都市職員に付与している。本件で問題となった事項も、局長以下に委ねた権限に属するもので 責任がある。 2 被告らの主張(一) 被告Aは、京都市の財務会計上の権限については、専決規定により局長以下の京都市職員に付与している。本件で問題となった事項も、局長以下に委ねた権限に属するものであり、被告Aは、事実上一切関知していない。したがって、被告Aに責任はない。 (二) 被告C及び同Gは、財務会計上の権限の付与を受けていない以上、右被告らに対する訴えは不適法であるし、加えて、右被告らは本件支出決定書等の作成に全く関与していないから、右被告らに責任はない。 (三) その余の被告らの責任も、争う。 3 判断(一) 被告B、同D、同E、同F、同H及び同Iの専決権者としての責任右被告らが、本件各支出に関して、各支出決定に関する専決権者であったことは、第二の二3(二)説示のとおりであり、また、右被告らの損害賠償責任の法的根拠が地自法二四三条の二第一項に求められるべきことは、五3(三)(2)説示のとおりである。そこで、本件においては、京都市が、地自法二四三条の二第一項に基づいて、右被告らに対し、損害賠償請求権を取得したかどうかが問題となるべきところ、同規定は、「職員が故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠った」場合に限り、同条の損害賠償請求権が発生するものとしているので、本件において、右被告らが本件各支出決定をなすにあたり、右「故意又は重大な過失」が認められるか否かを検討しなければならない。 本件において、本件各支出決定書の内容が虚偽であることは、第二の二4説示のとおりである。また、そのような虚偽架空内容の支出決定書に基づく会計処理は、およそ真実に合致した適正な処理を行うべきものとする財務会計処理の基本原則に違反し、その支出手続はそれだけで当然に違法であることは、四3説示のとおりである。そして、証拠(証人J、被 づく会計処理は、およそ真実に合致した適正な処理を行うべきものとする財務会計処理の基本原則に違反し、その支出手続はそれだけで当然に違法であることは、四3説示のとおりである。そして、証拠(証人J、被告I、乙四ないし六(枝番号を含む。))及び弁論の全趣旨によれば、右被告らは、本件各支出決定をした当時、本件各支出決定書の内容が虚偽であることを承知していたものと認められる。以上の事実によれば、右被告らは、法令の規定に違反して本件各支出決定をしたことに関して、地自法二四三条の二第一項にいう「故意」があったものと認められる。 したがって、右被告らは、京都市に対し、地自法二四三条の二第一項に基づいて、以下の限度で、専決権者としての損害賠償責任を負うことになる。 (1) 被告B 四〇万〇四九九円(別表1記載の番号19及び20の各支出の合計金額)(2) 被告D 二三一万六四四九円(別表1記載の番号1、2、4、6、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、21及び22の各支出の合計金額)(3) 被告E 四二万七四七〇円(別表1記載の番号3、5、7、12及び23の各支出の合計金額)(4) 被告F 六二万〇二二九円(別表2記載の番号1及び2の各支出の合計金額)(5) 被告H 一八万四一八四円(別表2記載の番号6の支出金額)(6) 被告I 三四万三三一四円(別表2記載の番号3、4、5及び7の各支出の合計金額) 一八万四一八四円(別表2記載の番号6の支出金額)(6) 被告I 三四万三三一四円(別表2記載の番号3、4、5及び7の各支出の合計金額)(二) 被告Aの指揮監督責任(1) 被告Aが、本件各支出当時、京都市長であったことは、第二の二1(二)説示のとおりであり、したがって、右被告は、財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有していたものである。しかし、本件各支出は、右(二)及び第二の二3(二)説示のとおり、被告Aから専決委任を受けた被告Bらにおいて、各支出決定を行ったものである。 このように、専決権者が、普通地方公共団体の長の権限に属する当該財務会計上の行為を専決により処理した場合には、右普通地方公共団体の長は、右専決権者が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、故意又は過失により右専決権者が財務会計上の違法行為をすることを咀止しなかったときに限り、普通地方公共団体に対し、右専決権者がした財務会計上の違法行為により当該普通地方公共団体が被った損害につき、賠償責任を負うものと解するのが相当である(最高裁判所平成二年(行ツ)第一三七号・同三年一二月二〇日第二小法廷判決・民集四五巻九号一四五五頁、同裁判所昭和六二年(行ツ)第一四八号・平成五年二月一六日第三小法廷判決・民集四七巻三号一六八七頁参照。)。 (2) そこで、以下、右の点について検討するに、証拠(証人J、被告I、甲二、三、一七ないし一九、二一、二四、乙一、二、四ないし六、(各枝番号を含む。))及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実を認めることができる。 ア京都市同和対策室及び改良事業室における従前からの事務処理の仕方及びその経費処理の手続、方法(ア) 京都市が、同和行政、建築行政及び住宅行政円 趣旨を総合すれば、以下の事実を認めることができる。 ア京都市同和対策室及び改良事業室における従前からの事務処理の仕方及びその経費処理の手続、方法(ア) 京都市が、同和行政、建築行政及び住宅行政円滑適正に遂行するにあたっては、地元住民の要望、意見等を充分踏まえる必要があり、そのためには、京都市と地元関係者との意思の疎通を図ることが必要であった。 (イ) そこで、京都市民生局同和対策室及び同住宅局改良事業室においては、かねてから、地元関係者との各種の会合を頻繁に行っていたが、ときには、右会合の際、飲食を伴うこともあった。 (ウ) 京都市民生局同和対策室及び同住宅局改良事業室としては、右のような飲食を伴う会合については、地元関係者との信頼関係を保っため、会合出席者の氏名については、明らかにしないという方針を採用していた。 (エ) 他方、京都市においては、接遇にあたって支出手続をする際には、書類上出席者名を明記することが定められていた。 (オ) そのため、京都市民生局及び同住宅局においては、支出決定書を作成するにあたり、他府県の同和行政担当者及び民間の福祉団体の氏名を冒用し、それとともに、その地位役職に対応させるため、京都市側の出席者の氏名も、現実の会合出席者とは異なる記載をする取扱いが行われていた。 (カ) このような状況の中で、四3及び第二の二3説示のとおり、各専決権者が本件各支出決定を行い、違法な本件各支出がなされた。 イ京都市における事務分掌の機構、体制と右アに対する被告Aの認識の有無(ア) 一方、京都市においては、京都市事務分掌条例や京都市事務分掌規則により、各部局の事務分担を定め、各部局において行政上必要と思われる会合の開催決定においては、各部局の判断に委ねられていた。 (イ) 本件のような会合の開催決定について、市長はその報告を受け 分掌規則により、各部局の事務分担を定め、各部局において行政上必要と思われる会合の開催決定においては、各部局の判断に委ねられていた。 (イ) 本件のような会合の開催決定について、市長はその報告を受ける体制にはなっておらず、現実にも、被告Aは、その報告を受けていなかった。 ウ本件各公金支出発覚後の対応その後、昭和六二年五月二〇日付けで、助役から各局長、室長、区長宛の「接遇の取扱いについて」と題する通達が発せられ、接遇は、社会的常識の範囲内でできる限り簡素に行うこととし、その実施決定や経費の支出については厳正な事務処理を行うこととされた。また、同日付けで、総務局長から「接遇の取扱要領について」と題する通知が発せられ、接遇の経費の支出手続の際には、出席者を確認し、役職名を明記し、所定の手続により責任ある執行をすることとされた。 (3) 以上認定の諸事実を総合考慮すると、被告Aにおいて、各専決権者が本件各支出決定をするに際し、右各専決権者が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、右専決権者が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったことにつき故意又は過失があったものと認めることはできないものといわなければならない。 (4) これに対し、原告らは、(1)普通地方公共団体の長は、補助職員に対し包括的な指揮監督権限を有しているのであるから、補助職員の財務会計上の違法行為については、当然にその指揮監督上の義務に違反したと推認して、普通地方公共団体の長に損害賠償責任を負わせるべきであり、また、(2)普通地方公共団体の長の損害賠償責任を認めるためには、その補助職員に対する指揮監督上の帰貴事由を推認させる外形的事実を立証すれば足りるとすべきである旨主張するが、独自の見解であり、採用できない。 (5) 結論以上のとおり、被告A 任を認めるためには、その補助職員に対する指揮監督上の帰貴事由を推認させる外形的事実を立証すれば足りるとすべきである旨主張するが、独自の見解であり、採用できない。 (5) 結論以上のとおり、被告Aについては、専決権者に対する指揮監督上の責任を認めることができないから、右被告に対する請求は棄却を免れないごとになる。 (三) 被告B、同D、同F及び同Hの指揮監督責任京都市においては、本件各支出がなされた当時、専決規定により、支出決定の共通専決権限の所在につき、第二の二2説示のとおり定めていた。してみれば、規定上は、一件二〇万円以下(昭和六一年一一月一日以後は、一件一〇〇万円以下)の支出決定に関しては、局長及び庶務担当部長間で、一件一〇万円以下の支出決定に関しては、局長、庶務担当部長及び庶務担当課長間で、それぞれ共通専決権限を重複して有していることになる。 このように、専決権限に上下関係が認められる場合、上位の専決権者と現実に専決権限を行使した下位の専決権者との関係は、(二)説示の普通地方公共団体の長と専決権者との関係とは異なり、現実に専決権限を行使して財務会計上の行為をしたと認められる者についてのみ責任を論ずれば足り、右の者以外の専決権者に対する損害賠償請求は理由がないものといわなければならない(最高裁判所平成二年(行ツ一第一三八号・同三年一二月二〇日第二小法廷判決・民集四五巻九号一五〇三頁、特に一五一〇頁参照。)しかるに、本件各支出は、右(一)及び第二の二3(二)説示の各専決権者において、各支出決定を行ったものである。したがって、上位専決権者としての右被告らの指揮監督責任に関する原告らの主張はそれ自体失当であり、したがって、右被告らに対する請求は、棄却を免れない。 (四) なお、被告C及び同Gの責任については、一3説示のとおり、右被告らに ての右被告らの指揮監督責任に関する原告らの主張はそれ自体失当であり、したがって、右被告らに対する請求は、棄却を免れない。 (四) なお、被告C及び同Gの責任については、一3説示のとおり、右被告らに対する訴えが不適法である以上、考察の必要がない。 第四結論以上のとおり、原告らの訴えのうち、被告C、同G及び被告Eに対する訴え(被告Eについては、別表1記載の番号19及び20の各支出に係るものに限る。)は、第三の一3(五)説示のとおり不適法であるから、いずれもこれを却下することとし、原告らの請求のうち、被告Aに対するものについては、第三の六3(二)(5)のとおり理由がないからいずれもこれを棄却し、被告B、同D、同E、同F、同H及び同Iに対する主位的請求(被告Eについては、前記訴え却下に係るものを除く。)については、第三の五3(四)のとおり理由がないからいずれもこれを棄却し、右被告らに対する予備的請求(被告Eについては、前記に同じ。)については、第三の六3(一)説示の限度で理由があるからいずれもこれを認容し、その余の予備的請求については、第三の六3(三)のとおり理由がないからいずれもこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 (裁判官松尾政行中村隆次府内覚)別表1、2(省略)

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