【DRY-RUN】主 文 本件上告はこれを棄却する。 理 由 弁護人田多井四郎治の上告趣意は同人作成名義の上告趣意書並びに上告趣意補充 書と題する末尾添附の書面記載の通りである
主文 本件上告はこれを棄却する。 理由 弁護人田多井四郎治の上告趣意は同人作成名義の上告趣意書並びに上告趣意補充書と題する末尾添附の書面記載の通りである。これに対し当裁判所は次の通り判断する。 第一、二点論旨は要するに、被告人は農地調整法第九条第一項に則り正当に本件土地を小作人Aから取上げたものであるから同条第三項の手続を履践する必要はないのに拘らず、原審は同条第一項の解釈を誤り延いて同条第<要旨>三項を適用して本件を有罪として処断したのは違法であるというにある。よつて原判決を査閲すると、判示に</要旨>は解除云々とあるが、これを原判決援用の証拠と対照すると被告人は本件土地取上げについて民法第五四一条に所謂解除権の行使に因つたものでなく、却つて農地調整法第九条第一項所定の信義に反する行為がAにあつたとして被告人は解約の申入をなし本件土地を同人から取上げたものであるという趣旨と解せられる。 そしてかゝる事実を事由として解約をなし小作地を取上げる場合には被告人の主張事実が存在し且つ正当である場合に於てもなお同条第三項の手続を践むことを要するものと解するが相当である。蓋し本件に適用さるべき昭和二十年法律第六十四号による改正後、同二十一年法律第四十二号による改正前の農地調整法第九条(昭和二十一年一月二十四日勅令第三十七号により同年二月一日から施行)と前掲二十一年法律第四十二号により改正規定とを比較対照すれば解除については農地委員会の承認を要しないが(最高裁判所昭和二二年(オ)第二六号同二三年一二月一八日判決参照)解約の場合には被告人に信義に反する行為があつても農地委員会の承認を要するのである。従つてその承認を得ないで解約により被告人が本件土地を取上げたのは不当であるからこれに対し前掲法律第十七 判決参照)解約の場合には被告人に信義に反する行為があつても農地委員会の承認を要するのである。従つてその承認を得ないで解約により被告人が本件土地を取上げたのは不当であるからこれに対し前掲法律第十七条の五によつて被告人を処断した原判決には所論のような違法はない。論旨理由ないものである。なお論旨中第九条第三項の市町村農地委員会の承認ということを都道府県知事の許可と読みかえる旨の規定があるから原判決が農地委員会の承認を要することを前提としているのは違法であるというが、昭和二十一年法律第四十二号附則第三項に所論のような規定があることは所論のとおりであるが、右法律第四十二号は昭和二十一年十一月二十一日から施行されたので本件犯行当時は未だ施行されていない。犯行当時は農地委員会の承認を要するのである。論旨は理由がない。 (裁判長判事吉田常次郎判事保持道信判事鈴木勇)
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