○ 主文 1 被告が昭和四六年一一月一六日付で原告の昭和四三年分の所得税についてした再更正のうち繰り越す損失額五三万五二〇六円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。2 被告が昭和四六年一一月一六日付で原告の昭和四四年分の所得税についてした更正のうち納付すべき所得税額一一五万一七〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定のうち過少申告加算税額四万九六〇〇円を超える部分を取り消す。3 原告のその余の請求を棄却する。4 訴訟費用はこれを八分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告 1 被告が昭和四六年一一月一六日付で原告の昭和四三年分の所得税についてした再更正及び過少申告加算税の賦課決定、昭和四四年分の所得税についてした更正のうち所得税額二四万四三〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定のうち過少申告加算税額三六〇〇円を超える部分並びに昭和四五年分の所得税についてした更正のうち所得税額三八二万四九五〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定のうち過少申告加算税額一万八七〇〇円を超える部分を取り消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。二被告 1 原告の請求を棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。第二当事者の主張一原告の請求原因 1 原告は「ケテルス」の商号で飲食店を経営しているものであるが、原告が昭和四三年分ないし同四五年分の所得税についてした各確定申告、これらに対して被告がした各更正(但し、昭和四三年分については再更正。以下「本件各更正」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定(以下「本件各決定」という。)並びに国税不服審判所長が原告の審査請求についてした裁決(以下「本件裁決」という。)の経緯は別表一の1ないし3記載のとおりである。2 しか び過少申告加算税の各賦課決定(以下「本件各決定」という。)並びに国税不服審判所長が原告の審査請求についてした裁決(以下「本件裁決」という。 但し、昭和四三年分については再更正。以下「本件各更正」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定(以下「本件各決定」という。)並びに国税不服審判所長が原告の審査請求についてした裁決(以下「本件裁決」という。)の経緯は別表一の1ないし3記載のとおりである。2 しか び過少申告加算税の各賦課決定(以下「本件各決定」という。)並びに国税不服審判所長が原告の審査請求についてした裁決(以下「本件裁決」という。)の経緯は別表一の1ないし3記載のとおりである。2 しかしながら、本件各更正(いずれも本件裁決で維持された部分。以下同じ)は、以下に述べるとおり、原告の所得金額の認定を誤つて過大に認定したものであるから違法であり、これを前提としてされた本件決定も違法である。(一) 昭和四三年分(1) 被告は、原告のAに対する貸倒金五六二万五〇〇〇円の必要経費算入を否認するが、右貸倒れは次に述べるとおり所得税法第五一条第二項に該当するから、右貸倒れによる損失額は必要経費に算入されるべきである。Aは「ケテルス」の元支配人兼料理長であつたもので、原告とAとは従前から相互に事業遂行の必要上資金の融通を行なつてきた。ことに、昭和三五年「ケテルス」の店舗明渡請求事件の調停に際して、原告はAから七五〇万円の融資を受け経営の危機を脱したことがあつた。右のような経緯があつたため、原告はAの求めに応じ事業資金の中から同人に五六二万五〇〇〇円を貸し付けたのであつて、右貸付けは将来原告が事業資金を必要とするときにAから融資を受ける保証ともなるのである。このような原告とAとの間の事業資金の融通関係の全体の姿から見れば、右Aに対する貸社けが事業の遂行上なされたものであることは明らかである。このことは、昭和四三年分の再更正に先立つて行なわれた被告の二度の調査においても認められていたのである。そして、右貸付金債権は昭和四三年中に貸倒れになつたのであるから、右貸倒れによる損失額五六二万五〇〇〇円は必要経費に算入されるべきである。(2) 原告の昭和四三年分の雑所得の金額は八六万一六五〇円であるから、仮にAに対する貸倒債権が事業の遂行上生じたもの から、右貸倒れによる損失額五六二万五〇〇〇円は必要経費に算入されるべきである。(2) 原告の昭和四三年分の雑所得の金額は八六万一六五〇円であるから、仮にAに対する貸倒債権が事業の遂行上生じたものではないとするならば、右八六万一六五〇円の範囲内で右貸倒損失の金額を必要経費に算入すべきである。 原告の昭和四三年分の雑所得の金額は八六万一六五〇円であるから、仮にAに対する貸倒債権が事業の遂行上生じたもの から、右貸倒れによる損失額五六二万五〇〇〇円は必要経費に算入されるべきである。(2) 原告の昭和四三年分の雑所得の金額は八六万一六五〇円であるから、仮にAに対する貸倒債権が事業の遂行上生じたものではないとするならば、右八六万一六五〇円の範囲内で右貸倒損失の金額を必要経費に算入すべきである。(5) 原告は、昭和四三年分の所得税の確定申告において、Aに対する債権の貸倒れによる損失額五六二万五〇〇〇円を必要経費に算入するとともに、右債権につき昭和四〇年に設定した債権償却特別勘定(以下「本件特別勘定」という。)の残高二三一万二五〇〇円を取り崩して総収入金額に算入したのであるが、被告は昭和四三年分の再更正において右総収入金額算入はそのまま認めていた。しかしながら、仮にAに対する債権が原告の事業遂行上生じたものではないとして右債権の貸倒損失の必要経費算入を否認するならば、本件特別勘定の取崩しによる二三一万二五〇〇円の総収入金額算入も否認すべきである。(二) 昭和四四年分前記(一)(1)で述べたとおり、原告のAに対する貸倒金五六二万五〇〇〇円の必要経費算入は認められるべきであるから、昭和四四年分に繰り越す損失額は本件裁決で維持された昭和四三年分の総所得金額一七七万七二九四円から各五六二万五〇〇〇円を減じた三八四万七七〇六円である。従つて、昭和四四年分の所得金額の計算においては、右金額を控除すべきである。(三) 昭和四五年分被告は安藤興業株式会社(以下「安藤興業」という。)に対する貸倒金四四八万円及び右貸倒金の回収のために支払つた弁護士費用一〇万円の必要経費算入を否認する。しかしながら、かつて安藤興業が「ケテルス」の店内改装工事を請け負つた際その請負代金を相当長期の延払いとしてくれたため原告は経営の危機を切り抜けたことがあり、またその後も安 要経費算入を否認する。しかしながら、かつて安藤興業が「ケテルス」の店内改装工事を請け負つた際その請負代金を相当長期の延払いとしてくれたため原告は経営の危機を切り抜けたことがあり、またその後も安藤興業が「ケテルス」の工事を請負つてきたという関係から、原告と安藤興業とは相互に事業遂行の必要に基づき資金を融通しあつてきたのであり、その一環として原告は事業資金の中から安藤興業に対し別表二記載のとおり四四八万円を貸し付けたのである。 しながら、かつて安藤興業が「ケテルス」の店内改装工事を請け負つた際その請負代金を相当長期の延払いとしてくれたため原告は経営の危機を切り抜けたことがあり、またその後も安藤興業が「ケテルス」の工事を請負つてきたという関係から、原告と安藤興業とは相互に事業遂行の必要に基づき資金を融通しあつてきたのであり、その一環として原告は事業資金の中から安藤興業に対し別表二記載のとおり四四八万円を貸し付けたのである。このような原告と安藤興業の事業資金の融通関係の全体の姿から見れば右貸付金が事業の遂行上生じたものであることは明らかであるところ、右貸付金債権は昭和四五年中に貸倒れになつたのであるから、右貸倒損失額の必要経費算入は認められるべきであるし、右貸付金の回収のために昭和四五年一〇月五日井手弘光弁護士に支払つた弁護士費用も必要経費に算入されるべきである。二請求原因に対する被告の認否及び主張 1 請求原因に対する認否請求原因1の事実は認める。同2の冒頭の主張は争う。同2(一)(1)のうち、原告がAに対して五六二万五〇〇〇円の債権を有していたこと、右債権が昭和四三年中に貸倒れになつたこと及び被告が右債権の貸倒損失の必要経費算人を否認したことは認めるが、その余の事実は知らない。法律上の主張は争う。同2(一)(2)のうち、原告の昭和四三年分の雑所得の金額が八六万一六五〇円であることは認めるが、法律上の主張は争う。同2(一)(3)の事実は認めるが、法律上の主張は争う。同2(二)の主張は争う。同2(三)のうち、原告が安藤興業に対し別表二記載のとおり四四八万円を貸し付けたこと、被告が右債権の貸倒損失額及び弁護士費用一〇万円の必要経費算人を否認したことは認めるが、右債権が昭和四五年中に貸倒れになつたとの点は否認し、その余の事実 表二記載のとおり四四八万円を貸し付けたこと、被告が右債権の貸倒損失額及び弁護士費用一〇万円の必要経費算人を否認したことは認めるが、右債権が昭和四五年中に貸倒れになつたとの点は否認し、その余の事実は知らない。法律上の主張は争う。2 被告の主張(一) 昭和四三年分(1) 原告の昭和四三年分の事業所得の金額は、本件裁決で認められた五六四万九一八八円に一一七万円を加算した六八一万九一八八円である。その理由は次のとおりである。本件裁決で認められた必要経費のうち利子割引料五五九万九四四七円には原告がB(ペンネームC。 したことは認めるが、右債権が昭和四五年中に貸倒れになつたとの点は否認し、その余の事実は知らない。法律上の主張は争う。2 被告の主張(一) 昭和四三年分(1) 原告の昭和四三年分の事業所得の金額は、本件裁決で認められた五六四万九一八八円に一一七万円を加算した六八一万九一八八円である。その理由は次のとおりである。本件裁決で認められた必要経費のうち利子割引料五五九万九四四七円には原告がB(ペンネームC。)に支払つた利息一一七万円が含まれているのであるが、右利息はAがBから借入れを行なうに際し原告が右借入金債務につき連帯保証人となり、その後Aが倒産したため原告が保証債務を履行することとなつたために生じた支払利息である。ところで、事業所得の金額の計算上必要経費に算入される利子割引料は、事業所得の総収入金額を得るために必要なものに限られるところ、原告の右保証債務は後記のとおり事業所得の総収入金額を得るために必要なものではないのであるから、右利息一一七万円は必要経費に算入すべきではない。(2) Aに対する債権の貸倒損失の必要経費算入の可否について(1) 原告のAに対する債権は、Aが中華料理店の建設資金をBから借入するに際し原告が連帯保証人となり、その後原告が保証債務を履行したことによつて取得した求償債権であるが、原告がAの連帯保証人となつたのは、Aが昭和二五年頃まで「ケテルス」の支配人兼料理長として勤めていたこと及び昭和三六年建物明渡の調停事件に関連してAが原告を代理して相手方との交渉にあたつてくれたこと等の特殊な関係があつたことによるものであつて、原告の営む飲食業の事業とは直接関係のない個人的な友好関係に基づくものである。ところ 事件に関連してAが原告を代理して相手方との交渉にあたつてくれたこと等の特殊な関係があつたことによるものであつて、原告の営む飲食業の事業とは直接関係のない個人的な友好関係に基づくものである。ところで、事業所得の金額の計算上控除が認められる貸倒損失に事業の遂行と関連を有するもののすべてをいうのではなく、当該事業所得の基因となる事業の範囲に属する事由によつて生じたもの、いいかえれば当該事業所得を得るために通常必要とされる貸付金の貸倒れに限られるものと解すべきであり、右必要性の判断にあたつては事業を営む者の主観的な判断基準によるのではなく、客観的な判断基準によつて判断すべきものと解されるところ、原告のなした連帯保証は、前記のとおり、原告の事業の遂行上通常必要なものではないから、原告のAに対する求償債権の貸倒損失の必要経費算入を認めることはできない。 つて生じたもの、いいかえれば当該事業所得を得るために通常必要とされる貸付金の貸倒れに限られるものと解すべきであり、右必要性の判断にあたつては事業を営む者の主観的な判断基準によるのではなく、客観的な判断基準によつて判断すべきものと解されるところ、原告のなした連帯保証は、前記のとおり、原告の事業の遂行上通常必要なものではないから、原告のAに対する求償債権の貸倒損失の必要経費算入を認めることはできない。なお、右保証債務の履行が原告の事業資金をもつてなされたとしても、必要経費性の有無は実質に即して判断すべきであるから、右求償債権の貸倒損失の必要経費算入を認める根拠とはならない。原告は、原告とAとは相互に資金を融通しあう関係にあり、右連帯保証はAから融資を受けるために必要な行為であつた旨主張するが、原告はそれまでAに対して融資したことはなく、また、仮に原告がAから融資を受けたことがあつたとしても、原告が右連帯保証を行なつた当時Aは原告の従業員でも事業上の取引先でもなかつたのであるから、原告がたまたまなした右連帯保証が原告の事業遂行上のものに当たるということはできない。(2) 原告に仮に前記求償債権が非事業に係る債権であるとしても雑所得の範囲内で右貸倒損失の金額を必要経費に算入すべきであると主張するが、原告は前記求償債権に関してA或いはBから何らの所得も得ていなかつたのであるから、右求償債権は雑所 に係る債権であるとしても雑所得の範囲内で右貸倒損失の金額を必要経費に算入すべきであると主張するが、原告は前記求償債権に関してA或いはBから何らの所得も得ていなかつたのであるから、右求償債権は雑所得を生ずべき業務の用に供される資産又は雑所得の基因となる資産に該当せず、右債権の貸倒れによつて生じた損失の金額を雑所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。(3) 原告のAに対する債権が前記(1)で述べたような求償債権ではなく、原告のAに対する貸付金債権であつたとしても、右債権が事業上の債権にも、また雑所得を生ずべき業務の用に供され又は雑所得の基因となる資産にも該当しないことに変わりないのであるから、その貸倒損失の必要経費算入を認めることはできない。(3) 被告は、昭和四三年分の再更正において、本件特別勘定の取崩額二三一万二五〇〇円の総収入金額への算入についてはそのまま容認しているが、その理由は以下に述べるとおりであつて何ら違法な点はない。 金債権であつたとしても、右債権が事業上の債権にも、また雑所得を生ずべき業務の用に供され又は雑所得の基因となる資産にも該当しないことに変わりないのであるから、その貸倒損失の必要経費算入を認めることはできない。(3) 被告は、昭和四三年分の再更正において、本件特別勘定の取崩額二三一万二五〇〇円の総収入金額への算入についてはそのまま容認しているが、その理由は以下に述べるとおりであつて何ら違法な点はない。Aに対する債権は前記(2)(1)で述べたとおり事業の遂行上生じたものではないから、本来は本件特別勘定を設定した昭和四〇年分の所得計算から除外する処理をしておくべきものであつたのであるが、当時被告は本件特別勘定設定の基因となつたAに対する債権が原告の事業の遂行上生じたものと認め、原告の会計処理をそのまま容認していたものにすぎず、また右債権が貸倒れとなつた昭和四三年以降は本件特別勘定を残しておくいわれがなくなつたので本件特別勘定を清算する結果となる原告の行なつた会計処理を再更正の対象としなかつただけであるが、本件特別勘定の如き企業の内部取引に基づく経理上の費用については、これを遡つて是正することをしないで後日当該特別勘定を取り崩してその年分の収益に計上することは会計処理上往々にして行なわれていると 、本件特別勘定の如き企業の内部取引に基づく経理上の費用については、これを遡つて是正することをしないで後日当該特別勘定を取り崩してその年分の収益に計上することは会計処理上往々にして行なわれているところであつて、被告が昭和四三年分の再更正に当たり原告の会計処理を否認しなかつたからといつて格別問題とされるいわれはないのである。また、昭和四〇年分については本件特別勘定の設定による必要経費算入はこれをそのままにしておき、昭和四三年分については本件特別勘定の取崩しによる総収入金総への算入を否認するということは租税負担公平の見地或いは衡平の原則からみて到底容認することはできない。原告は、Aに対する債権の貸倒損失の必要経費算入を否認するならば本件特別勘定の取崩金の総取入金額への算入も否認すべきであると主張するが、債権償却特別勘定の会計処理は、当該債権について所得税法第五一条第二項が規定している本来の貸倒れによる損失とは別個に取扱通達をもつて認められている制度であるから、当該債権本来の貸倒損失を否認したからといつて必ずしも右特別勘定の会計処理をも否認しなければならないものではないし、自らが行なつた会計処理が明らかに誤りであるというのであれば、原告は更正の請求によつてその是正を求めるべきであつて、本訴において主張すべき筋合いのものではない。 該債権について所得税法第五一条第二項が規定している本来の貸倒れによる損失とは別個に取扱通達をもつて認められている制度であるから、当該債権本来の貸倒損失を否認したからといつて必ずしも右特別勘定の会計処理をも否認しなければならないものではないし、自らが行なつた会計処理が明らかに誤りであるというのであれば、原告は更正の請求によつてその是正を求めるべきであつて、本訴において主張すべき筋合いのものではない。なお、原告が本件特別勘定の設定及びその取崩しという会計処理を行なつた結果、これをしなかつた場合に比較して原告の昭和四〇年分及び同四三年分の所得税の額は減少したのである。(二) 昭和四四年分原告は、前記Aに対する債権の貸倒損失の必要経費算入を認めるべきであるから昭和四四年分に繰り越す損失額は三八四万七七〇六円である旨主張するが、前記(一)(2)で述べたとおり右貸倒損失の必要経費算入は認められないのであるから、原告 損失の必要経費算入を認めるべきであるから昭和四四年分に繰り越す損失額は三八四万七七〇六円である旨主張するが、前記(一)(2)で述べたとおり右貸倒損失の必要経費算入は認められないのであるから、原告の右主張は失当である。(三) 昭和四五年分(1) 安藤興業に対する債権の貸倒損失の必要経費算入の可否について(1) 原告は安藤興業の依頼により同社に対する資金援助のためにいわゆる融通手形四枚額面合計四四八万円を振り出すことにより同社に対して右金額を貸し付けたのであるが、右融通手形の振出しが原告の事業の範囲に属するものでないことは明白であり、また、原告がかつて安藤興業から支払の猶予を受けたことがあつたとか、或いは融資を受けたことがあつたとかということだけで貸付けがされた場合、当該貸付けは単に原告の個人的な恩義に基づく私的な行為に属するものであつて事実上の行為とは認められないから、右貸付金の貸倒損失を必要経費に算入すべきではない。原告は、原告と安藤興業は相互に事業資金を融通しあう関係にあつたから原告の安藤興業に対する債権は事業遂行上のものである旨主張するが、原告と安藤興業との間の貸借の状況は別表三記載のとおりであり、右の表からも明らかなように、原告が安藤興業に対して貸し付けた回数、手形枚数及び金額は安藤興業からの借入のそれに比し著しく多数又は多額であつて、その貸借関係は安藤興業への貸付の方に極めて偏したものとなつている。 。原告は、原告と安藤興業は相互に事業資金を融通しあう関係にあつたから原告の安藤興業に対する債権は事業遂行上のものである旨主張するが、原告と安藤興業との間の貸借の状況は別表三記載のとおりであり、右の表からも明らかなように、原告が安藤興業に対して貸し付けた回数、手形枚数及び金額は安藤興業からの借入のそれに比し著しく多数又は多額であつて、その貸借関係は安藤興業への貸付の方に極めて偏したものとなつている。特に、昭和四四年以降においては原告が安藤興業から借り入れたことはなく安藤興業に対してのみ一方的に貸し付けているのであつて、少なくとも、昭和四四年以降においては原告が主張するような相互に事業資金を融資し合つているという状況にはなく、前記融通手形が振り出された当時、原告の安藤興業への融資と安藤興業の原告への融資との対応関係は全くな 、昭和四四年以降においては原告が主張するような相互に事業資金を融資し合つているという状況にはなく、前記融通手形が振り出された当時、原告の安藤興業への融資と安藤興業の原告への融資との対応関係は全くなかつたのであるから、原告の主張が失当であることは明らかである。なお、前記のとおり、必要経費性の有無は実質に即して判断すべきであるから、原告の安藤興業への貸付けが原告の事業資金をもつてなされたとしても右貸付金債権の貸倒損失の必要経費算入を認める根拠にはならない。ちなみに、所得税法第五一条第二項に規定する事業の遂行上生じた貸付金等とは、金融業者の貸付金や製造業者の下請業者に対して有する前渡金等のほか、自己の事業の用に供する資金の融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出している場合のその受取手形に係る債権や自己の製品の販売強化、企業合理化等のため特約店、下請先等に貸し付けている貸付金もこれに含まれるものと考えられるが、原告の安藤興業に対する債権は右のいずれにも該当しないものである。(2) 仮に、原告の安藤興業に対する貸倒損失が必要経費に算入されるべきものであるとしても、その算入すべき年分は昭和四五年分ではない。債権が貸倒れになつたとしてその損失額を所得金額の計算上損失に計上し得るためにはその債権が回収不能であるか、或いは債権の放棄という事実が確定していなければならないが、原告は安藤興業に対する貸付けの担保として取得した安藤興業振出の約束手形額面合計四四八万円について、昭和四七年にその支払いを求める訴訟を提起し、右訴訟は昭和五一年六月二四日原告が五〇万円の支払いを受けるという内容の和解によつて終了したのであるから、右債権が貸倒れとなつたのは昭和五一年であるというべきである。 ためにはその債権が回収不能であるか、或いは債権の放棄という事実が確定していなければならないが、原告は安藤興業に対する貸付けの担保として取得した安藤興業振出の約束手形額面合計四四八万円について、昭和四七年にその支払いを求める訴訟を提起し、右訴訟は昭和五一年六月二四日原告が五〇万円の支払いを受けるという内容の和解によつて終了したのであるから、右債権が貸倒れとなつたのは昭和五一年であるというべきである。(3) なお、 訴訟を提起し、右訴訟は昭和五一年六月二四日原告が五〇万円の支払いを受けるという内容の和解によつて終了したのであるから、右債権が貸倒れとなつたのは昭和五一年であるというべきである。(3) なお、右貸倒れも、実質的にはなんらの損失を生じなかつたというべきである。すなわち、安藤興業が昭和四四年にワンダーウエア日本株式会社の振り出した一二〇〇万円の手形を割り引く際、原告は同社の右割引に基づく債務を保証したところ、その後右手形が不渡りとなつたため原告は六〇〇万円の債務を履行しなければならなくなつたが、前記和解の結果、原告と安藤興業との間には前記五〇万円の支払義務のほか何らの債権債務もないこととされ、原告は、前記保証債務の履行を免れた。従つて、原告は、貸倒れによつて実質的に何らの損失も受けなかつたというべきである。(2) 弁護士費用の必要経費算入の可否について前記(1)(1)のとおり、原告の安藤興業に対する貸付金は原告の事業の遂行上生じたものではないから、仮に右貸付金の回収のために弁護士費用を支払つたとしても右費用を必要経費として認めることはできない。三被告の主張に対する原告の認否被告の主張(一)(1)のうち、原告がAの連帯保証人となり保証債務を履行することになつたとの点は否認し、法律上の主張は争う。原告はBから五六二万五〇〇〇円を借り入れ、それをAに貸し付けたのであつて、被告の主張する一一七万円は右借入金の支払利息である。同(一)(2)(1)のうち、原告がAの連帯保証人となつたとの点及び原告が右保証債務を履行したとの点は否認する。前述のとおり、原告がBから五六二万五〇〇〇円を借り入れ、それをAに貸し付けたのである。同(三)(1)(1)のうち、原告と安藤興業との間の貸借の状況が別表三記載のとおりであるとの点は否認する。同(三)(1) 、原告がBから五六二万五〇〇〇円を借り入れ、それをAに貸し付けたのである。 息である。同(一)(2)(1)のうち、原告がAの連帯保証人となつたとの点及び原告が右保証債務を履行したとの点は否認する。前述のとおり、原告がBから五六二万五〇〇〇円を借り入れ、それをAに貸し付けたのである。同(三)(1)(1)のうち、原告と安藤興業との間の貸借の状況が別表三記載のとおりであるとの点は否認する。同(三)(1) 、原告がBから五六二万五〇〇〇円を借り入れ、それをAに貸し付けたのである。同(三)(1)(1)のうち、原告と安藤興業との間の貸借の状況が別表三記載のとおりであるとの点は否認する。同(三)(1)(2)のうち、原告が安藤興業に対し四四八万円の債権についてその支払いを求める訴訟を提起し、右訴訟が昭和五一年六月二四日原告が五〇万円の支払いを受けるとの和解によつて終了したことは認めるが、その余は争う。安藤興業は昭和四五年六月一二日手形の不渡りを出して事実上倒産し、その時点で右債権は回収不能となつたのであり、右和解による五〇万円は株式会社安藤工業が安藤興業に代つて原告に支払つたものである。同(三)(1)(3)のうち、原告が被告主張の手形の割引につき安藤興業に対して保証をしたことは否認する。第三証拠関係(省略)○ 理由一請求原因1の事実については当事者間に争いがない。二そこで、本件各更正に原告主張の違法事由があるか否かについて検討する。1 昭和四三年分(一) 被告は本訴において原告のBに対する支払利息一一七万円の必要経費算人を否認し、原告の昭和四三年分の事業所得の金額は本件裁決で認められた五六四万九一八八円に右一一七万円を加算した六八一万九一八八円であると主張するので、まずこの点について検討する。成立に争いのない乙第四号証及び弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第五号証、原告本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を合わせると、原告は昭和四三年分の所得税について青色の申告書を提出していたこと及び被告は同年分の所得税の再更正において原告の申告どおり原告のBに対する支払利息一一七万円の必要経費算入を認め、従つて右支払利息一一七万円の必要経費算入の否認は更正の理由として更正通知書に附記されていなかつたことが認められる。ところが、所得 申告どおり原告のBに対する支払利息一一七万円の必要経費算入を認め、従つて右支払利息一一七万円の必要経費算入の否認は更正の理由として更正通知書に附記されていなかつたことが認められる。 税の再更正において原告の申告どおり原告のBに対する支払利息一一七万円の必要経費算入を認め、従つて右支払利息一一七万円の必要経費算入の否認は更正の理由として更正通知書に附記されていなかつたことが認められる。ところが、所得 申告どおり原告のBに対する支払利息一一七万円の必要経費算入を認め、従つて右支払利息一一七万円の必要経費算入の否認は更正の理由として更正通知書に附記されていなかつたことが認められる。ところが、所得税法第一五五条第二項は青色申告について更正をする場合には、更正通知書に更正の理由を附記すべき旨を現定しているが、右規定の趣旨は更正をする行政庁の判断の慎重さ及び合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えることにあると解されるところ、右規定の趣旨に鑑みれば、青色申告についての更正の取消訴訟において、更正を維持するために更正通知書に附記されていない理由を主張することは原則として許されないと解するのが相当である。けだし、取消訴訟において更正通知書に附記されていない理由を自由に主張できるとするならば、更正が安易に流れ、処分庁の判断の慎重さも減殺されるおそれがあり、青色申告についての更正に理由附記を要求した前記規定の趣旨が滅却されかねないからである。従つて、被告の前記主張を採用することはできない。(二) 次に、原告はAに対する債権の貸倒損失の金額五六二万五〇〇〇円を事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき旨主張するので、この点について検討する。(1) 原告がAに対して五六二万五〇〇〇円の債権を有していたこと及び右債権が昭和四三年中に貸倒れになつたことについては当事者間に争いがない。(2) 原本の存在及び成立に争いのない甲第一号証、証人Dの証言及び原告本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を合わせると以下の事実が認められる。すなわち、(1) Aは昭和一一、二年頃から昭和二五、六年頃まで一時中断したことはあつたが当時原告の父が経営していたレストラン「ケテルス」の料理長兼マネージヤー或いは共同経営者として働 認められる。すなわち、(1) Aは昭和一一、二年頃から昭和二五、六年頃まで一時中断したことはあつたが当時原告の父が経営していたレストラン「ケテルス」の料理長兼マネージヤー或いは共同経営者として働いてきた。(2) Aが「ケテルス」を退職した後も原告の父は「ケテルス」の事業資金をAから借入したことがあり、ことに「ケテルス」が営業していた家屋の建物明渡等請求事件で昭和三五年一二月二二日に成立した調停に際しては、原告の父及び昭和三六年原告の父の死去に伴い「ケテルス」の経営を引き継いだ原告はAから七五〇万円の融資を受けることができたため営業を継続することができたのであるが、右借入金の返済には二年半ないし三年近くかかつた。 ケテルス」を退職した後も原告の父は「ケテルス」の事業資金をAから借入したことがあり、ことに「ケテルス」が営業していた家屋の建物明渡等請求事件で昭和三五年一二月二二日に成立した調停に際しては、原告の父及び昭和三六年原告の父の死去に伴い「ケテルス」の経営を引き継いだ原告はAから七五〇万円の融資を受けることができたため営業を継続することができたのであるが、右借入金の返済には二年半ないし三年近くかかつた。(3) その後、原告とAとの間には取引はなく、また、原告がAから融資を受けることもなかつたが、前述のような経緯があつたため、昭和三九年頃原告は中華料理店の開業資金を必要としたAの求めに応じ、Bに右資金の融資を依頼し、AがBから五六二万五〇〇〇円を借入するに際し連帯保証人となつた。(4) 原告は、Aがその後事業に行き詰まつて破産したため保証債務の履行としてBに対し五六二万五〇〇〇円を弁済し、Aに対して右金額と同額の求償債権を得たが、右求償債権は昭和四三年中に貸倒れになつた(原告がAに対して五六二万五〇〇〇円の債権を有していたこと及び右債権が昭和四三年中に貸倒れとなつたこと自体については当事者間に争いがない。)。以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。ところで、所得税法第五一条第二項によれば、事業所得の金額の計算上必要経費算入が認められるのは事業の遂行上生じた債権の貸倒れによる損失の金額に限られているのであるが、右認定の事実によれば、原告は過去の個人的な恩義から原告の事業の遂行とは関係なくAに事業資金を得させるた 算入が認められるのは事業の遂行上生じた債権の貸倒れによる損失の金額に限られているのであるが、右認定の事実によれば、原告は過去の個人的な恩義から原告の事業の遂行とは関係なくAに事業資金を得させるために連帯保証人となつたと認めるのが相当であり、従つて、右連帯保証に基因して発生した原告のAに対する求償債権も原告の事業の遂行とは関係のないもの、すなわち原告の事業遂行上生じたものではないと認めるべきであるから、右債権の貸倒損失の金額を事業所得の金額の計算上必要経費に算入することを認めることはできない。原告は、原告とAとは相互に事業資金を融通しあう関係にあり、原告が将来Aから事業資金の融資を受ける保証となるからAに対して五六二万五〇〇〇円を貸し付けた旨主張するが、右主張を認めるに足りる証拠はない(原告のAに対する債権は前記認定のとおり求償債権である。 告の事業遂行上生じたものではないと認めるべきであるから、右債権の貸倒損失の金額を事業所得の金額の計算上必要経費に算入することを認めることはできない。原告は、原告とAとは相互に事業資金を融通しあう関係にあり、原告が将来Aから事業資金の融資を受ける保証となるからAに対して五六二万五〇〇〇円を貸し付けた旨主張するが、右主張を認めるに足りる証拠はない(原告のAに対する債権は前記認定のとおり求償債権である。)。また、原告は原告のAに対する債権が事業の遂行上生じたものであることの根拠として、事業資金の中からAに貸付けをしたこと及び本件各更正に先立つ被告の調査においては右債権が事業遂行上生じたものであると認められていたことを主張するが、仮に右事実が認められるとしても、右事実をもつて前記認定を覆すことはできないというべきであるから、右主張は失当である。(三) 更に、原告はAに対する債権の貸倒れによる損失の金額が事業所得の金額の計算上必要経費に算入されないとしても、原告の昭和四三年分の雑所得の金額八六万一六五〇円の範囲内で必要経費に算入すべき旨主張するので、この点につき検討する。原告の昭和四三年分の雑所得の金額が八六万一六五〇円であることについては当事者間に争いがなく、原告がAに対する債権に関して何らの所得も得ていなかつたことについては、原告において明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。ところ 八六万一六五〇円であることについては当事者間に争いがなく、原告がAに対する債権に関して何らの所得も得ていなかつたことについては、原告において明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。ところで、所得税法第五一条第四項によつて雑所得の金額の範囲内で必要経費算入が認められるのは、雑所得を生ずべき業務の用に供され又は雑所得の基因となる資産の損失の金額に限られるところ、右自白したものとみなした事実によれば、原告のAに対する債権を原告の雑所得を生ずべき用に供され又は雑所得の基因となる資産と認めることは到底できないから、原告の主張は失当といわざるを得ない。(四) また、原告は事業所得の金額の計算上原告のAに対する債権の貸倒損失の必要経費算入を否認するならば、本件特別勘定の取崩額二三一万二五〇〇円の総収入金額算入も否認すべき旨主張するので、この点について検討する。(1) 原告が昭和四三年分の所得税の確定申告において本件特別勘定の残高二三一万二五〇〇円を取り崩して総収入金額に算入したこと及び被告が昭和四三年分の再更正にあたり右総収入金額への算入をそのまま容認したことは当事者間に争いがない。 算上原告のAに対する債権の貸倒損失の必要経費算入を否認するならば、本件特別勘定の取崩額二三一万二五〇〇円の総収入金額算入も否認すべき旨主張するので、この点について検討する。(1) 原告が昭和四三年分の所得税の確定申告において本件特別勘定の残高二三一万二五〇〇円を取り崩して総収入金額に算入したこと及び被告が昭和四三年分の再更正にあたり右総収入金額への算入をそのまま容認したことは当事者間に争いがない。(2) ところで、債権償却特別勘定は所得税法第五一条が規定する資産損失の必要経費算入の特例として所得税法基本通達五一-一八以下で認められた特別の制度であるから、債権償却特別勘定の対象となる債権は所得税法第五一条でその貸倒損失の必要経費算入が認められる債権に限られると解すべきところ、前記(二)及び(三)で判示したとおり原告のAに対する債権はその貸倒損失の必要経費算入が認められないものであるから、右債権は債権償却特別勘定の対象とはならないというべきであり、従つて本件特別勘定の設定及びその取崩しは違法なものとして本来その両者を否認すべきである。被告は、(1)原告 められないものであるから、右債権は債権償却特別勘定の対象とはならないというべきであり、従つて本件特別勘定の設定及びその取崩しは違法なものとして本来その両者を否認すべきである。被告は、(1)原告のAに対する債権が貸倒れとなつた昭和四三年以降は本件特別勘定を残しておくいわれがなくなつたところ、本件特別勘定の残高を取り崩すことによつて本件特別勘定は清算されること、(2)本件特別勘定の如き企業の内部取引に基づく経理上の費用についてはこれを遡つて是正することをしないで後日当該特別勘定を取り崩してその年分の収益に計上することは会計処理上往々にして行なわれていること、(3)昭和四〇年分については本件特別勘定の設定による必要経費算入はそのままにしておき、昭和四三年分については本件特別勘定の取崩しによる総収入金額への算入を否認するということは租税負担公平の原則或いは衡平の原則に反すること、(4)原告が本件特別勘定の設定及びその取崩しという会計処理を行なつた結果、これをしなかつた場合に比較して原告の所得税の額は減少したこと等の理由により、本件特別勘定の取崩額の総収入金額への算入を否認しなくとも違法ではない旨主張する。しかしながら、必要経費として計上できない筈のものが計上されている場合には、その計上されている年度においてこれを否認すべきことは必要経費の期間計算についての所得税法第三七条第一項の現定に徴しても明らかというべきである。 いう会計処理を行なつた結果、これをしなかつた場合に比較して原告の所得税の額は減少したこと等の理由により、本件特別勘定の取崩額の総収入金額への算入を否認しなくとも違法ではない旨主張する。しかしながら、必要経費として計上できない筈のものが計上されている場合には、その計上されている年度においてこれを否認すべきことは必要経費の期間計算についての所得税法第三七条第一項の現定に徴しても明らかというべきである。事業の遂行上生じた債権の貸倒れ等による損失の必要経費への算入(同法第五一条第二項)は、納税者の資産損失による担税力の減少を考慮して認められるものであるが、これについても、もしその必要経費算入が認められないのであれば、計上された年度においてこれを否認すべきことに変りはないし、前記のとおり所得税法基本通達によつて認められた債権償 められるものであるが、これについても、もしその必要経費算入が認められないのであれば、計上された年度においてこれを否認すべきことに変りはないし、前記のとおり所得税法基本通達によつて認められた債権償却特別勘定の設定及びその繰入額についての必要経費算入についても全く同様である。これに反し、特別勘定設定時にその繰入額の必要経費算入を否認することなく、その後において納税者が貸倒れが発生したとして繰入額を取崩し必要経費に計上して来た時にその取崩しはそのままとして必要経費計上のみを否認することを許せば、本来特別勘定設定年度における収入金額に加算されるべきであつた右否認額がたまたま納税者が取崩しをした年度の収入金額へ加算されることを認める結果となる。もつとも、特別勘定は、いわゆる経過勘定の一種であつて、その設定は経過的、暫定的な処理に過ぎず、右特別勘定の取崩しとその必要経費計上によつて最終的処理がされるわけであるから、その最終的処理を否認することも許されるべきであるとし、事業の遂行上生じた債権でなかつた場合には本来必要経費として計上することは許されなかつた筋合であるから、右否認を許しても実質的になんら納税者の利益を害するものではないとする見解にも一理はある。しかしながら、経過的、暫定的な措置であるにせよ、前記のように特別勘定の設定、繰入れによる必要経費の算入を制度として認めた以上、その設定、繰入れ自体をその年度において是正すべきが本筋であり、それが更正期間等の関係で不可能であるとするならば、一般の更正期間の経過の場合と同様もはや設定、繰入れによる必要経費算入を是正する途がなくなつたものとするほかないと解すべきである。 ではないとする見解にも一理はある。しかしながら、経過的、暫定的な措置であるにせよ、前記のように特別勘定の設定、繰入れによる必要経費の算入を制度として認めた以上、その設定、繰入れ自体をその年度において是正すべきが本筋であり、それが更正期間等の関係で不可能であるとするならば、一般の更正期間の経過の場合と同様もはや設定、繰入れによる必要経費算入を是正する途がなくなつたものとするほかないと解すべきである。納税者としては、債権償却特別勘定の設定、繰入れが否認されることなく更正期間を過ぎれば、当然その繰入額についての必要経費算入が確定的に容 入を是正する途がなくなつたものとするほかないと解すべきである。納税者としては、債権償却特別勘定の設定、繰入れが否認されることなく更正期間を過ぎれば、当然その繰入額についての必要経費算入が確定的に容認されたものとの期待を抱くのも無理ないところであるから、このような場合に取崩しの時点での貸倒損失の必要経費計上の否認を認めるとすると、納税者の右期待を裏切ることとなる。のみならず、特別勘定の設定、繰入れが経過的、暫定的処理であるという理由のみで取崩時の必要経費算入の否認を認めるとすれば、前記基本通達五一-一八に基づき税務署長の承認を得て同通達五一-一九所定の額以上の特別勘定への繰入れをした場合の取崩しについても同様の結果を認めざるを得ないが、この場合には、右承認は事業の遂行上生じた債権であることを当然の前提としていると考えられるから、納税者の期待を裏切ること一層甚だしく、妥当な結果とはとうていいえない。以上の次第であるから、被告主張のように本件特別勘定の残高を取り崩すことによつて残しておくいわれのない右勘定が清算されることになるからといつて、右取崩しを是認すべきものとはいえないし、本件特別勘定の如き企業の内部取引に基づく経理上の費用について遡つて是正することをせず、後日特別勘定を取り崩してその年分の収益に計上することが会計処理上行われているとしても、直ちに税法上これを容認すべきことにはならない。また、前記のように解するとすれば、特別勘定の設定、繰入れが更正期間の関係で是正できない場合には、木来許されなかつた筈の貸倒損失の必要経費算人がそのまま放置される結果となるが、これも前述のとおり一般の更正期間経過の場合と異ならないというべきである。また、被告主張のような取扱いをした結果、特別勘定の設定、繰入れの否認をした場合に比較して原告の所得税の額 、直ちに税法上これを容認すべきことにはならない。また、前記のように解するとすれば、特別勘定の設定、繰入れが更正期間の関係で是正できない場合には、木来許されなかつた筈の貸倒損失の必要経費算人がそのまま放置される結果となるが、これも前述のとおり一般の更正期間経過の場合と異ならないというべきである。また、被告主張のような取扱いをした結果、特別勘定の設定、繰入れの否認をした場合に比較して原告の所得税の額 れる結果となるが、これも前述のとおり一般の更正期間経過の場合と異ならないというべきである。また、被告主張のような取扱いをした結果、特別勘定の設定、繰入れの否認をした場合に比較して原告の所得税の額が減少するとしても、それは、たまたま取崩しがされた昭和四三年度に繰越純損失があつたからに過ぎないのであつて、それを理由として被告の取崩し認容を正当化することはできないというべきである。また、被告は債権償却特別勘定は取扱通達をもつて認められた制度であるから当該債権本来の貸倒損失を、否認したからといつて必ずしも右特別勘定の会計処理をも否認しなければならないものではないし、自らが行なつた会計処理が明らかに誤まりであるというのであれば原告は更正の請求によつてその是正を求めるべき旨主張するが、債権償却特別勘定が取扱通達によつて認められた制度であるからといつて事業遂行上生じたものでない債権についての債権償却特別勘定の設定、取崩しを否認しなくてもよいとする根拠はないし、また、原告は主位的にAに対する債権が事業遂行上生じたものであるとしてその貸倒損失の必要経費算入を認めるべき旨主張しているのであるから、原告が更正の請求をすることなく、本訴において仮定的に本件特別勘定の取崩しを否認すべきことを主張することは当然許されるというべきである。従つて、被告の主張はいずれも失当である。(3) 以上述べたとおり、本件特別勘定の取崩しはこれを否認すべきところ、前記(1)判示のとおり被告は昭和四三年分の再更正において本件特別勘定の取崩しを是認していたのであり、また、弁論の全趣旨によれば、本件裁決においても本件特別勘定の取崩しは是認されていたと認められるから、昭和四三年分の再更正(本件裁決で維持された部分)は右の限度で違法であるといわざるを得ない。(五) 以上述べたところか れば、本件裁決においても本件特別勘定の取崩しは是認されていたと認められるから、昭和四三年分の再更正(本件裁決で維持された部分)は右の限度で違法であるといわざるを得ない。 いたのであり、また、弁論の全趣旨によれば、本件裁決においても本件特別勘定の取崩しは是認されていたと認められるから、昭和四三年分の再更正(本件裁決で維持された部分)は右の限度で違法であるといわざるを得ない。(五) 以上述べたところか れば、本件裁決においても本件特別勘定の取崩しは是認されていたと認められるから、昭和四三年分の再更正(本件裁決で維持された部分)は右の限度で違法であるといわざるを得ない。(五) 以上述べたところから原告の昭和四三年分の所得金額を算出すると、差引総所得金額は0、繰り越す損失額は五三万五二〇六円となるから、昭和四三年分の再更正のうち右金額を越える部分は違法である。2 昭和四四年分昭和四四年分の更正において前年からの繰越損失額が0とされていたことについては当事者間に争いがないところ、前記1(五)判示のとおり昭和四四年分に繰り越す損失額は五三万五二〇六円であるから、原告の昭和四四年分の差引総所得金額は三九九万六三一円となる。右金額と原告の争わない所得から差し引かれる金額の合計四〇万二〇〇〇円、分離長期譲渡所得金額二一六万六六六八円及び源泉徴収税額一万三〇〇〇円に基づき納付すべき所得税額を算出すると別紙計算書記載のとおり一一五万一七〇〇円となるから、昭和四四年分の更正のうち右金額を超える部分は違法である。3 昭和四五年分(一) 原告は安藤興業に対する貸付金債権四四八万円の貸倒れによる損失の額を必要経費に算入すべき旨主張するので、まずこの点について検討する。(1) 原告が安藤興業に対して別表二記載のとおり四四八万円を貸し付けたことは当事者間に争いがない。(2) 証人Eの証言によつていずれも真正に成立したと認められる乙第一、二号証及び原告本人尋問の結果によつて原本の存在及び成立が認められる甲第四号証、証人E、同D及び同F(後記採用しない部分を除く。)の各証言並びに原告本人尋問の結果(後記採用しない部分を除く。)を合わせると以下の事実を認めることができる。すなわち、(1) 昭和三六年頃安藤興業が「ケテルス」の内装工事を請け負い、原告は右工事 の各証言並びに原告本人尋問の結果(後記採用しない部分を除く。)を合わせると以下の事実を認めることができる。すなわち、(1) 昭和三六年頃安藤興業が「ケテルス」の内装工事を請け負い、原告は右工事代金を一年間の延払いで支払つたことがあり、これを契機としてその後も原告と安藤興業は取引関係をもち、安藤興業は昭和四五年頃まで「ケテルス」の内装工事等を請け負つてきた。 ルス」の内装工事を請け負い、原告は右工事 の各証言並びに原告本人尋問の結果(後記採用しない部分を除く。)を合わせると以下の事実を認めることができる。すなわち、(1) 昭和三六年頃安藤興業が「ケテルス」の内装工事を請け負い、原告は右工事代金を一年間の延払いで支払つたことがあり、これを契機としてその後も原告と安藤興業は取引関係をもち、安藤興業は昭和四五年頃まで「ケテルス」の内装工事等を請け負つてきた。(2) 右のような関係があつたため、昭和三八、九年頃から安藤興業は原告の求めに応じて同人に対し事業資金を融資するようになり、また、同四一年頃からは原告も安藤興業の求めに応じて同社に対して事業資金を融資するようになつたが、右融資は原告が安藤興業に対して振り出した手形を安藤興業が取引銀行に持ち込んで割り引いて貰い、右資金を安藤興業或いは原告が使用するという方法でなされた。そして、安藤興業が右資金を使用する場合には、安藤興業は原告に対して原告の振り出した手形の額面金額に見合う手形或いは小切手を振り出していたが、原告が右手形或いは小切手を割引に使用するということはなかつた。(3) 原告と安藤興業との間の融資関係は、当初は原告の借入れの比率が高かつたが、徐々に安藤興業の借入れに重点が移り、昭和四三年以降の原告の安藤興業に対する貸付け及び同社からの借入れは別表三記載のほか昭和四四年一二月三〇日の借入金一〇〇万円があるだけであつて、同日以降は専ら原告が安藤興業に対する貸付けをしていた(原告の取引銀行の当座預金元帳の写である甲第四号証中、昭和四四年四月二一日の欄に一六万円の借入金が記帳されているが、これはその記載からいつて安藤興業の従業員である新井個人からのものと認めるのが相当である。)。そして別表二記載の四四八万円貸付けは別表三の貸付けのうち昭和四五年に行なわれた最後の二回分に対応するもので はその記載からいつて安藤興業の従業員である新井個人からのものと認めるのが相当である。)。そして別表二記載の四四八万円貸付けは別表三の貸付けのうち昭和四五年に行なわれた最後の二回分に対応するものである。以上の事実を認めることができる。証人Fの証言及び原告本人尋問の結果中には昭和四五年においても原告は安藤興業から借入れをしていた旨の供述部分があり、甲第三号証にも同旨の記載があるが、右各供述部分は前掲各証拠に照らして採用できないし、原告本人尋問の結果によれば甲第三号証は原告の関与税理士が総勘定元帳に記載されたもののうち安藤興業関係と認めたものを抜すいして転記したものと認められるのであるから甲第三号証の記載を直ちに採用することはできず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。 昭和四五年においても原告は安藤興業から借入れをしていた旨の供述部分があり、甲第三号証にも同旨の記載があるが、右各供述部分は前掲各証拠に照らして採用できないし、原告本人尋問の結果によれば甲第三号証は原告の関与税理士が総勘定元帳に記載されたもののうち安藤興業関係と認めたものを抜すいして転記したものと認められるのであるから甲第三号証の記載を直ちに採用することはできず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。(3) ところで、所得税法第五一条第二項によりその貸倒損失の必要経費算入が認められる事業の遂行上生じた貸付金債権とは、必ずしも金融機関、貸金業者等の事業上の貸付金債権、自己の製品の販売強化、企業合理化等のため特約店、下請先等に貸し付けている貸付金債権に限られるものではなく、相互に融通手形を振り出して事業資金の調達をしている場合における受取手形に係る債権或いは融通手形を振り出してはいなくても相互に事業資金を融通しあい、しかも一方の融資と他方の融資が密接な関係にある場合における貸付金債権もこれに該当すると解するのが相当であるが、前記認定の事実によれば原告が安藤興業に対して四四八万円を貸し付けたのは過去に工事代金を延払いにして貰つたことがあり、また事業資金の融通を受けたことがあつたという恩義に報いるためであると認めるのが相当であつて、右貸付金債権は安藤興業の原告に対する融通と前記のような意味で密接な関係にあつたと認めることはできないから、右債権は事業の遂行上生じたものということ う恩義に報いるためであると認めるのが相当であつて、右貸付金債権は安藤興業の原告に対する融通と前記のような意味で密接な関係にあつたと認めることはできないから、右債権は事業の遂行上生じたものということはできず、従つて仮に右債権が昭和四五年中に貸倒れになつたとしてもその貸倒れによる損失の金額を必要経費に算入することはできないというべきである。なお、原告は右債権は原告と安藤興業とが相互に事業資金を融通しあつてきた一環として生じた旨主張するが、前記認定の事実によれば右主張が認められないことは明らかである。また、原告は事業資金の中から安藤興業に貸し付けた旨主張するが、仮にそうだとしても必要経費算入の根拠とはならないのみならず、原告の融資方法は前記(2)認定のとおり融通手形の振出しによるものであつたから、右主張は失当である。 というべきである。なお、原告は右債権は原告と安藤興業とが相互に事業資金を融通しあつてきた一環として生じた旨主張するが、前記認定の事実によれば右主張が認められないことは明らかである。また、原告は事業資金の中から安藤興業に貸し付けた旨主張するが、仮にそうだとしても必要経費算入の根拠とはならないのみならず、原告の融資方法は前記(2)認定のとおり融通手形の振出しによるものであつたから、右主張は失当である。(二) また、原告は前記安藤興業に対する四四八万円の債権の回収のために支払つた弁護士費用一〇万円を必要経費に算入すべき旨主張するが、仮に原告が右弁護士費用一〇万円を支出したとしても、前記(一)(3)で判示したとおり右債権は原告の事業の遂行上生じたものではないのであるから、右弁護士費用も原告の事業とは関連のない支出といわざるを得す、その必要経費算入を認めることはできない。(三) 以上述べたとおり、昭和四五年分の更正には原告主張の違法事由はないというべきである。三次に、本件各決定の適法性について検討する。前記二1(五)判示のとおり昭和四三年分の再更正のうち繰り越す損失額五三万五二〇六円を超える部分は違法であるから、これを前提としてされた同年分の過少申告加算税の賦課決定も違法であり、また、前記二2判示のとおり昭和四四年分の更正のうち納付すべき所得税額一一五万一七〇〇円を超える部分は違法であるから、これを前提としてされた同年分 れた同年分の過少申告加算税の賦課決定も違法であり、また、前記二2判示のとおり昭和四四年分の更正のうち納付すべき所得税額一一五万一七〇〇円を超える部分は違法であるから、これを前提としてされた同年分の過少申告加算税の賦課決定のうち右違法な部分に対応する部分、すなわち別紙計算書記載のとおり過少申告加算税額四万九六〇〇円を超える部分は違法であるが、前記二3(三)判示のとおり昭和四五年分の更正に原告主張の違法事由はないから、これを前提としてされた同年分の過少申告加算税の賦課決定に原告主張の違法事由はないというべきである。四結論よつて、原告の本訴請求は、昭和四三年度分の再更正のうち繰り越す損失額五三万五二〇六円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定並びに昭和四四年分の更正のうち納付すべき所得税額一一五万一七〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定のうち過少申告加算税額四万九六〇〇円を超える部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し、原告のその余の請求は、いずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第九二条本文を適用して、主文のとおり判決する。 申告加算税の賦課決定並びに昭和四四年分の更正のうち納付すべき所得税額一一五万一七〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定のうち過少申告加算税額四万九六〇〇円を超える部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し、原告のその余の請求は、いずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第九二条本文を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官藤田耕三原健三郎北澤晶)
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