平成30(ネ)10074 営業差止等請求,不正競争行為差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成31年2月27日 知的財産高等裁判所 1部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 平成27(ワ)34338
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判決文本文14,037 文字)

平成31年2月27日判決言渡平成30年(ネ)第10074号営業差止等請求,不正競争行為差止等請求控訴事件原審・東京地方裁判所平成27年(ワ)第34338号,同28年(ワ)第17767号(以下,それぞれ「第1事件」「第2事件」という。)口頭弁論終結日平成31年2月6日判決 控訴人(第1事件原告,第2事件被告)株式会社Shapes 同訴訟代理人弁護士高橋隆二寺島英輔 被控訴人(第1事件被告,第2事件原告)株式会社ShapesInternational 同訴訟代理人弁護士神田孝井嶋倫子 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴人の当審における追加請求を棄却する。 3 当審における訴訟費用は全て控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中,第1事件の請求の趣旨第3項を棄却する部分を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙商標権目録記載1ないし3の各商標権(商標権1ないし3)の移転登録手続をせよ(控訴人は,原審において営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての移転登録手続請求を求めていたが,当審において,事務管理に基づく取得した権利の移転としての移転登録手続請求を追加した。 なお,原判決別紙商標権目録記載3の商標権3の登録商標について,別紙のとおり訂正する。)。 3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要等 転登録手続請求を追加した。 なお,原判決別紙商標権目録記載3の商標権3の登録商標について,別紙のとおり訂正する。)。 3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要等 1 事案の概要(略称は,特に断らない限り,原判決に従う。)(1) 第1事件(請求の趣旨第3項)は,控訴人が,被控訴人に対し,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録手続を求める事案である。 なお,第1事件(請求の趣旨第1,2,4及び5項)は,控訴人が,被控訴人に対し,ライセンス契約に基づく営業の差止め及びライセンス契約の債務不履行に基づく損害賠償などを求める事案である。第2事件は,被控訴人が,控訴人及び控訴人代表者であるAに対し,不正競争防止法3条に基づく差止め,同法4条に基づく損害賠償並びに商標権4ないし6の侵害に基づく差止め及び損害賠償などを求める事案である。 (2) 原審は,控訴人及び被控訴人の上記各請求をいずれも棄却した。 (3) そこで,控訴人が,商標権1ないし3の移転登録手続を求める部分(第1事件の請求の趣旨第3項)について控訴した。また,控訴人は,当審において,被控訴人に対し,事務管理に基づく取得した権利の移転(民法697条類推,701条,646条2項)としての商標権1ないし3の移転登録手続請求を,選択的に求める訴えの追加的変更をした。なお,その余の部分は不服の対象とされていない。 2 前提事実 原判決の「事実及び理由」の第2の2記載のとおりであるから,これを引用する。 3 争点争点は,次のとおりである。 (1) 控訴人が本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するか否か(原判決における争点(4))(2) 控訴人が事務管理に基づく取得し のとおりである。 (1) 控訴人が本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するか否か(原判決における争点(4))(2) 控訴人が事務管理に基づく取得した権利の移転としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するか否か第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(控訴人が本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するか否か)〔控訴人の主張〕(1) 被控訴人が本件営業譲渡契約を基礎として新たに登録した商標につき,被控訴人には本件営業譲渡契約の解除の効果としての原状回復義務が生じるから,控訴人は,被控訴人に対し,商標権1ないし3の移転登録請求権を有する。 すなわち,原状回復すべき範囲を判断するに際しては,契約締結に至る経緯と解除原因,商標法の趣旨,商標権7と商標権1ないし3との関係,控訴人が被る不利益と救済方法の有無等を考慮し,公平の見地から検討すべきである。生ゴミ処理装置事件最高裁判決(最高裁平成9年(オ)第1918号同13年6月12日第三小法廷判決・民集55巻4号793頁)の趣旨によれば,行政処分の名宛人になっていないとの形式的な理由のみによってその行政処分に係る権利の帰属を論じることはできない。 (2) 被控訴人は,本件営業譲渡契約に基づき控訴人から商標権7の移転登録を受けた後,後記(6)などのとおり,商標7と実質的に同一又は類似する商標1ないし3を商標登録出願し,商標法4条1項11号の適用を受けずに商標登録を受けた。仮に,本件営業譲渡契約が当初から存在しなかったのであれば,商標1ないし3は,商標7と実質的に同一又は類似する商標として,同号を理由に登録を拒絶されてい たものである。 被控訴人が控訴人に対し原状回復義務を履行すると 初から存在しなかったのであれば,商標1ないし3は,商標7と実質的に同一又は類似する商標として,同号を理由に登録を拒絶されてい たものである。 被控訴人が控訴人に対し原状回復義務を履行するということの具体的意味は,被控訴人が商標権7の移転登録を受けた権利者としての法的地位に基づき初めて出願・登録が可能となった商標権1ないし3による利益を被控訴人に享受させないことであり,そのための方法としては,実質的には控訴人に移転登録手続をするしかない。商標権1ないし3を被控訴人に保有させておくことは,類似範囲にある商標権7の経済的価値を著しく毀損する。 類似商標の分離移転が,相手方の債務不履行など,商標権者が意図せざる事情に起因して生じた場合には,混同防止表示(商標法24条の4)がされないから,出所の混同という問題が生じる。控訴人が商標権7を回復しても,原状回復の範囲を超える不利益を負担することになる。商標法の重大な要請である出所混同防止の観点から,控訴人・被控訴人間で類似商標が分離して存続する状態は直ちに除去されるべきである。 (3) 控訴人には,他の救済手段もない。すなわち,商標権1ないし3は,商標法4条1項11号に違反して登録されたものではないから,控訴人は,商標権1ないし3の無効審判請求をすることにより救済されることはない。 (4) 商標権7は本件営業譲渡契約の解除により控訴人に返還されるべきものであったところ,前訴の係属期間中に,被控訴人はBと共謀して不使用取消審判を請求することにより,対象物である商標権7の登録を抹消させた。控訴人が被控訴人に商標権7に基づく権利行使ができない事態になっている事情も考慮されるべきである。 (5) 商標1ないし3を出願し登録を受けたのは被控訴人であるが,そのおおもとである商標7について,出願し登 訴人に商標権7に基づく権利行使ができない事態になっている事情も考慮されるべきである。 (5) 商標1ないし3を出願し登録を受けたのは被控訴人であるが,そのおおもとである商標7について,出願し登録を受けたのは控訴人である。商標7と社会通念上同一である商標1ないし3について,控訴人が自ら出願し登録を受けたものと同視できる。 なお,商標1ないし3の成立及び維持に関して被控訴人が負担した登録料等は, 控訴人の損害に比して著しく低廉であって,被控訴人に償還すれば足りるものである。 また,被控訴人は,商標権1ないし3の社会的価値と周知性は被控訴人の投資と努力によって高められたなどと主張する。しかし,これらは,そもそも控訴人のノウハウや実績に基づくshapesブランドに基づくものである。被控訴人は,本件営業譲渡契約によって,かかるshapesブランドを取得するや,直ちに同契約を解除に至らせるような債務不履行行為をしたものである。 (6) 商標7と商標3の類似性商標7と商標3の外観は,同一の6文字の欧文字から成り,文字が若干右方に傾斜している点で同一である。両者は,筆記体かブロック体かの相違があるにすぎない。また,商標7と商標3の称呼は,「シェイプス」であり,同一である。さらに,商標7と商標3の観念について,「Shape」の部分につき,英語で「形作る」「姿」を意味するものの,日本人にとって一般に容易に理解可能な単語ではない。 仮に親しまれた用語であるとしても,指定役務の需要者・取引者に対しては,「痩身・減量・ダイエットにより姿形を整えるための指導(を業として行う者)」との同一の観念が生じる。 加えて,指定役務の需要者・取引者に対しては,「Shapes」全体が,「A」が考案・創作したフィットネス・エクササイズ及びボディートレーニングを知 導(を業として行う者)」との同一の観念が生じる。 加えて,指定役務の需要者・取引者に対しては,「Shapes」全体が,「A」が考案・創作したフィットネス・エクササイズ及びボディートレーニングを知覚させるという意味において,強い自他識別能力を有する。 なお,商標3の「RebornMyself」の欧文字部分は,「痩身・減量・ダイエットにより姿形を整えるための指導」により「生まれ変わる」ことを表し,左下に小さく表示されているにすぎない。唐草模様部分も,文字の背景に曲線を含む何らかの図形があるという程度に目立たないように表示されている。 このように,商標7と商標3は,外観,称呼,観念のいずれにおいても同一であり,かつ,取引社会の通念に照らし,自他役務識別力を有する重要部分において同一といえるから,明らかに類似性を有する商標である。 (7) 以上のとおり,商標権の移転登録手続請求権を基礎付ける実体法上の根拠として本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復請求権が存在すること,商標権1ないし3は商標権7と類似し,実質的に同一であり,本件を解決する限りで控訴人自ら出願したものと同視しても差支えないこと,商標権は出願人によって権利内容が異ならないこと,被控訴人が負担した登録料等については当該負担に相当する金銭を償還すれば足りること,商標権1ないし3を被控訴人に保持させたままの状態を許せば,商品役務の出所混同防止機能という商標権の重要な機能を著しく害し,控訴人の権利保護にもとるという弊害があることからすれば,控訴人は,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するというべきである。 〔被控訴人の主張〕(1) 商標権1ないし3は,被控訴人が商標登録出願をし,その登録を受けて初めて成立した権利であって 状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するというべきである。 〔被控訴人の主張〕(1) 商標権1ないし3は,被控訴人が商標登録出願をし,その登録を受けて初めて成立した権利であって,本件営業譲渡契約により控訴人から譲り受けたものではない。したがって,同契約の解除に基づく原状回復の対象とはなり得ず,控訴人は,被控訴人に対する商標権1ないし3の移転登録請求権を有しない。 控訴人は,本件営業譲渡契約関係における原状の回復を求められるにすぎない。 原状回復義務の効果は,契約の相手方が契約締結後解除前に目的物とは別に新たに創設した権利に及ばない。商標権1ないし3は,特許庁による行政処分を経て創設された被控訴人独自の権利である。 生ゴミ処理装置事件最高裁判決は,事案の特殊性を指摘して,例外的に真の権利者による特許権の移転登録請求を認容したものである。商標権は特許権のように新規性を喪失する事態は生じないから,あえて控訴人に移転登録請求を認める必要はない。また,控訴人は,商標権1ないし3を自ら出願したものではなく,その効力を争った事実もないから,登録主義の構造に反してまで移転登録請求を認める必要はない。商標権7と商標権1ないし3の連続性は認められない。 (2) 商標権1は,控訴人が役務の区分を第10類でしか登録していなかった商標 8につき,被控訴人がパーソナルトレーニングジムを経営する上で,不可欠な役務の区分(第41類,44類)で出願登録したものである。控訴人には,商標権1の移転登録請求を正当化する経済的利益はない。 商標権2は,控訴人が図形でしか登録していなかった商標7について,被控訴人が別途標準文字で出願登録したものである。また,商標権7自体は,社会的に使用されていなかった。「Shapes」を標準文字として出願登録し,その社 が図形でしか登録していなかった商標7について,被控訴人が別途標準文字で出願登録したものである。また,商標権7自体は,社会的に使用されていなかった。「Shapes」を標準文字として出願登録し,その社会的価値を高めたのは被控訴人である。 商標権3は,被控訴人が独自にデザインしたものであって,商標権7とは社会的同一性もない。女性専用パーソナルトレーニングジムとして,商標権3の周知性を高めたのは,専ら被控訴人の営業努力による。 このように,被控訴人の投資と努力によって高められた商標権1ないし3の社会的価値と周知性を,控訴人が移転登録により労なくして得るのは,極めて不公平である。控訴人は,被控訴人の営業努力によって作られてきた商標権1ないし3の周知性にフリーライドしようとしているにすぎない。 (3) 商標権1ないし3は設定登録日から5年以上経過しているから,除斥期間の経過により,無効等の主張は許されない。控訴人による移転登録請求を認めると,法的安定性を定めた商標法47条を潜脱することになる。また,仮に商標の混同があるとすれば,控訴人は,商標法4条1項15号や19号を理由とする無効審判請求ができたものである。 (4) 商標7と商標3は社会通念上同一(商標法50条1項参照)とはいえない。 商標7は,幾何学的にデザインされたShapesの文字を金属的な光沢の半楕円の図形で二重に囲んだものであり,文字と図形が一体となっている。商標3は,筆記体にデザイン化されたShapesの文字に植物が絡まる図形が一体となっており,さらにRebornMyselfという文字が追加されている。文字も図形もそれぞれ別の外観で表示されているから,社会的同一性は否定される。 また,Shapesが「形,格好,姿」を意味する一般的な用語であり,一般に 痩身・減量・ダイエッ 追加されている。文字も図形もそれぞれ別の外観で表示されているから,社会的同一性は否定される。 また,Shapesが「形,格好,姿」を意味する一般的な用語であり,一般に 痩身・減量・ダイエット行為を「シェイプアップ」と呼ぶことに照らせば,指定役務(第41類)との関係では,Shapesの独占適応性が高いとはいえない。そして,商標3には,RebornMyselfという文字が付記され,「自分自身を再生する」というメッセージが明確である。 さらに,商標7は,欧文字「h」から右に伸延する横置きU字図形と,最右端の「s」から左に伸延する横置きU字形によって欧文字Shapesを取り囲み,最右端の「s」上部に球体図形を3つ配置して光沢を表現した金属的かつ幾何学的な構成であるのに対し,商標3は,柔らかいイメージの筆記体Shapesの背景に赤色の花柄模様が大きく施された女性的なイメージで統一されており,商標3にない顕著な図形要素がある。 (5) よって,控訴人は,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するものではない。また,控訴人の移転登録請求は,被控訴人の投資と労力によって高められた商標権1ないし3の社会的価値を,控訴人が労なくして得ることになるから,権利濫用に当たる。 2 争点(2)(控訴人が事務管理に基づく取得した権利の移転としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するか否か)〔控訴人の主張〕本件営業譲渡契約に基づき控訴人から商標権7の移転登録を受けた被控訴人は,平成24年9月26日付けの法定解除権の行使により本件営業譲渡契約が有効に解除されたにもかかわらず,その後に商標権7と実質的に同一又は類似する商標1ないし3の登録出願をし,商標登録を受けた。 被控訴人は,解除により商標権7を保持 除権の行使により本件営業譲渡契約が有効に解除されたにもかかわらず,その後に商標権7と実質的に同一又は類似する商標1ないし3の登録出願をし,商標登録を受けた。 被控訴人は,解除により商標権7を保持する権限を失う結果として,商標7に類似する後願商標を取得する権限も失うから,商標1ないし3の出願は,他人である控訴人の事務である。そして,被控訴人は,義務なく控訴人のために商標1ないし3の登録出願をし,商標登録を受けたものである。本件営業譲渡契約は,控訴人と被控訴人との共同事業の遂行を目的とするものであるから,被控訴人の管理意思が 否定されることもない。したがって,事務管理の規定の類推適用により,利益の調整がなされるべきである。 よって,控訴人は,事務管理に基づく取得した権利の移転としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有する。 〔被控訴人の主張〕事務管理は「他人のために」「他人の事務」を管理しなければならない。被控訴人は,自己のフランチャイズ事業のために自己の業務として商標1ないし3について出願登録したものであり,自己のために自己の事務を行ったにすぎない。 事務管理上の権利移転請求につき適用も類推適用もできないから,控訴人は,事務管理に基づく取得した権利の移転としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するものではない。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,控訴人の請求は,以下のとおり,いずれも理由がないと判断するものである。 1 認定事実前提事実及び証拠によれば,次のとおり商標権1ないし3の移転登録手続請求に係る事実が認められる。 (1) 控訴人の設立等Aは,平成7年頃以降,トレーニング方法を開発し,「シセトレ」,「姿勢トレ」,「Aメソッド」などと名付けて実践するようになった。このトレーニング方法は,メディア等で る。 (1) 控訴人の設立等Aは,平成7年頃以降,トレーニング方法を開発し,「シセトレ」,「姿勢トレ」,「Aメソッド」などと名付けて実践するようになった。このトレーニング方法は,メディア等でも取り上げられ,注目を集めるようになった。その後,Aは,「ダイエットと女性ボディメイク」専用の個別指導によるトレーニング(パーソナルトレーニング)を行うジムの店舗を展開しようと考え,控訴人を設立することになった。 控訴人は,平成18年5月23日,Aを代表取締役として設立された株式会社である。控訴人の主たる業務は,健康トレーニング,健康管理の企画及びコンサルタント業務並びにスポーツトレーニングに対する指導及び業務委託である。 控訴人は,平成18年9月,東京都渋谷区において,「Shapes」という名称の女性専用パーソナルトレーニングジムを開設し,「姿勢トレ」,「シセトレ」,「Shapes」,「ShapesGirl」等の標章を使用して事業を行うようになった。 (2) 控訴人による商標7ないし10の出願及び登録ア控訴人は,平成19年3月12日,商標8につき,商品及び役務の区分を第10類(業務用美容マッサージ器等)として商標登録出願し,平成20年1月25日に登録された。 イ控訴人は,平成20年8月21日,商標7につき,商品及び役務の区分を第41類(ボディートレーニングに関する教授等)として商標登録出願し,同年10月31日に登録された。 ウ控訴人は,平成22年4月28日,商標9につき,商品及び役務の区分を第41類(ボディートレーニングに関する教授等)として商標登録出願し,同年10月29日に登録された。 エ控訴人は,平成22年4月28日,商標10につき,商品及び役務の区分を第41類(ボディートレーニングに関する教授等)として商標登 る教授等)として商標登録出願し,同年10月29日に登録された。 エ控訴人は,平成22年4月28日,商標10につき,商品及び役務の区分を第41類(ボディートレーニングに関する教授等)として商標登録出願し,同年10月29日に登録された。 (3) 被控訴人の設立等被控訴人は,平成22年11月22日,フランチャイズチェーン加盟店の募集,経営指導に関する業務を行うラスカの子会社とし,Cを代表取締役として設立された株式会社である。被控訴人の主たる業務は,フィットネスクラブの経営,企画,運営及び管理並びにフランチャイズチェーン加盟店の募集及び経営指導等の経営コンサルティングである。 被控訴人は,控訴人との間でライセンス契約を締結し,「Shapes」名の店舗に関するフランチャイズ事業を開始した。なお,その店舗は徐々に増加して,平成27年11月時点における店舗数は50店舗を超えるに至っている。 (4) 本件営業譲渡契約の締結ア控訴人及びAは,平成23年12月14日,被控訴人との間で,控訴人及びAが,被控訴人に対し,女性専用のダイエット・ボディメイクを目的としたパーソナルトレーニングに関する事業(本件事業)に関する一切の営業権及び知的財産・無形財産(本件営業権等)を譲渡する旨の営業権等譲渡契約(本件営業譲渡契約)を締結した。 本件営業譲渡契約には,おおむね以下の規定が置かれている。 第2条1項控訴人は,平成24年2月末をもって自らが直営する「Shapes」渋谷本店(旧渋谷本店)の営業を停止する。ただし,新規顧客の募集については,本日をもって停止する。 第3条1項控訴人及びAは,被控訴人に対し,女性専用のダイエット・ボディメイクを目的としたパーソナルトレーニングに関する事業(本件事業)に関する一切の営業権及び意匠,商標(S をもって停止する。 第3条1項控訴人及びAは,被控訴人に対し,女性専用のダイエット・ボディメイクを目的としたパーソナルトレーニングに関する事業(本件事業)に関する一切の営業権及び意匠,商標(Shapes,ShapesGirl等),著作権,ノウハウ,ロゴ,キャッチフレーズ(Aメソッド,A),ドメイン名(省略)その他の知的財産・無形財産(本件営業権等)を譲渡する。 第4条1項控訴人は,本契約締結後直ちに,本件事業の営業主体について混同が生じることを防止するため,Shapesに類似しない商号に変更する。 第5条控訴人と被控訴人は,本件事業に関する控訴人と被控訴人の間の平成23年8月30日付けライセンス契約(本件ライセンス契約)を解約する。 イ Aは,平成23年12月14日,被控訴人との間で,Aが被控訴人の顧問となり,被控訴人がAに顧問料を支払う旨の顧問契約(本件顧問契約)を締結した。 (5) 被控訴人による商標1ないし3の出願及び登録被控訴人は,平成24年2月1日,商標1ないし3につき,商品及び役務の区分を第41類(ボディートレーニングに関する知識の教授等)及び第44類として商標登録出願し,いずれも同年7月6日に登録された。 (6) 控訴人から被控訴人への商標権7ないし10の移転登録手続 商標権7ないし10は,平成24年2月10日受付により,控訴人から被控訴人へと移転登録手続が行われた。 (7) 本件営業譲渡契約等の解除控訴人及びAは,平成24年9月27日到達の「解除通知書」により,被控訴人に対し,本件営業譲渡契約及び本件顧問契約を解除する旨の意思表示をした。 なお,解除理由は,本件顧問契約について,被控訴人が,本件顧問契約の顧問料の支払をしていないなどというものであり,本件顧問契約等と一体となった本件営業譲渡契 顧問契約を解除する旨の意思表示をした。 なお,解除理由は,本件顧問契約について,被控訴人が,本件顧問契約の顧問料の支払をしていないなどというものであり,本件顧問契約等と一体となった本件営業譲渡契約についても併せて解除するというものであった(甲10,乙5)。 (8) 前訴ア控訴人及びAは,平成24年10月17日,被控訴人,ラスカ及びCを相手方として,東京地方裁判所に対し,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権7ないし10の移転登録の抹消登録手続などを求める本訴を提起した。 これに対し,被控訴人は,控訴人及びAに対し,商標権1ないし3の侵害に基づく差止め及び損害賠償を求める反訴を提起した。 イ前訴の控訴審判決は,平成28年2月18日,本訴につき,本件顧問契約の顧問料の支払債務の債務不履行を理由に,本件営業譲渡契約をも解除することができると判断し,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復として商標権8ないし10の移転登録の抹消登録手続請求を認容するなどした。なお,商標権7については,後記(9)アのとおり,平成27年6月5日に商標登録が抹消されたことから,その部分に係る抹消登録手続請求は棄却された。 また,同判決は,反訴につき,商標権1及び2の行使は権利の濫用に当たり許されないとして,商標権1及び2の侵害に基づく差止め及び損害賠償請求を棄却し,商標権3に基づく差止め及び損害賠償請求を一部認容するなどした。 ウ上記控訴審判決は,平成28年3月8日,確定した。 (9) 商標権7の不使用取消ア商標7の商標登録について,Bから,不使用を理由に取消審判請求がされ, 被請求人である被控訴人はこれに対して答弁をしなかったことから,平成27年3月31日付けで同商標の商標登録を取り消す旨の審決(原審決)がされた。原審決は 不使用を理由に取消審判請求がされ, 被請求人である被控訴人はこれに対して答弁をしなかったことから,平成27年3月31日付けで同商標の商標登録を取り消す旨の審決(原審決)がされた。原審決は,同年5月11日に確定し,同登録は同年6月5日に抹消された。 イ控訴人は,平成27年6月24日付けで,特許庁に対し,商標法58条1項に基づき,原審決に対し再審を請求したが,特許庁は,平成28年10月31日,控訴人の再審請求を却下する旨の審決をした。 控訴人が同審決の取消しを求める訴えを提起したところ,平成29年12月25日,原審決を取り消す旨の判決が言渡され,その後,同判決は確定した。同判決の理由は,民事訴訟法208条に基づき,B及び被控訴人が共謀して商標権7を害する目的をもって商標7に係る登録商標を取り消す旨の原審決をさせたという控訴人の主張は,真実と認めることができるというものである。 2 争点(1)(控訴人が本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求権を有するか否か)について(1) 被控訴人は,平成24年2月1日,商標1ないし3につき,自らの名で商標登録出願し,これらの商標は,同年7月6日に設定登録されたものである。 そして,被控訴人は,商標1ないし3を自己の業務に係る役務について使用する限り,商標法所定の要件のもとで,商標登録を受けることができる。このことは,商標1ないし3が,本件営業譲渡契約の目的物である本件事業,すなわち,Aが開発・実践することで注目を集めるようになったパーソナルトレーニングに関する業務に係る役務について使用するものであったとしても,同様である。 そうすると,商標権1ないし3が本件営業譲渡契約の目的物である本件事業から発生したものということはできない。 したがって,商標権1 務に係る役務について使用するものであったとしても,同様である。 そうすると,商標権1ないし3が本件営業譲渡契約の目的物である本件事業から発生したものということはできない。 したがって,商標権1ないし3が,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復の対象となり得ないことは明らかである。 (2) 控訴人の主張についてア控訴人は,商標権1ないし3の移転登録請求権を基礎付ける実体法上の根拠 として本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復請求権が存在すると主張する。 しかし,被控訴人は,本件営業譲渡契約の解除に基づき,控訴人を本件営業譲渡契約の締結前の原状に復させる義務を負うにとどまるものである。控訴人は,本件営業譲渡契約の締結前に,商標権1ないし3を有していたものではなく,商標1ないし3の商標登録出願により生じた権利を有していたものでもない。また,本件営業譲渡契約の目的物である本件営業権等を有する者であれば,社会通念上,商標権1ないし3を取得するということもできない。 したがって,本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復請求権は,商標権1ないし3の移転登録請求権を基礎付ける実体法上の根拠にはならない。 イ控訴人は,被控訴人は本件営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けていたから,それに類似する商標3の商標登録出願について商標法4条1項11号の不登録事由に該当することなく商標登録を受けることができた,商標1ないし3のおおもとは商標7である,などと主張する。 しかし,仮に,被控訴人が本件営業譲渡契約により商標権7の移転登録を受けていたから,それに類似する商標3の商標登録を受けることができたものであるとしても,商標権1ないし3は,被控訴人による商標登録出願を受けた設定の登録により発生したものである。被控訴人が商標権7を有していたこと ,それに類似する商標3の商標登録を受けることができたものであるとしても,商標権1ないし3は,被控訴人による商標登録出願を受けた設定の登録により発生したものである。被控訴人が商標権7を有していたことは,商標法4条1項11号の不登録事由の不存在の根拠になったにすぎず,商標1ないし3のおおもとが商標7である,ということはできない。 したがって,商標1ないし3が商標登録されるに至った経緯を考慮しても,これらの商標権が原状回復義務の対象になるということはできない。 ウ控訴人は,今後,商標権7を回復しても,被控訴人がそれに類似する商標権1ないし3を保有する限り,出所の混同という不利益を被るところ,商標1ないし3の商標登録は商標法4条1項11号に違反して登録されたものではないから,これらの商標権を無効審判請求により無効にすることができず,控訴人は商標権1ないし3の移転登録を受けるほかに救済されないと主張する。 しかし,控訴人は,商標1ないし3に類似し得る商標8及び9に係る商標権を有し,さらには商標権7が再審により回復すれば,再度,商標権7の移転登録の抹消登録手続請求をすることにより商標権7も有することになるから,商標権1ないし3に類する効力を有する商標権自体を失ったものということはできない。そうすると,控訴人が被ったとする出所の混同という不利益は,それが可能であれば,被控訴人から損害賠償を受けることによって回復可能なものというべきである。そもそも,控訴人は,商標1ないし3の商標登録が商標法4条1項15号などの規定に違反してされたことを理由に,商標登録無効審判請求をするなどして,商標権1ないし3の有効性を争ってもいない。 したがって,控訴人が商標権1ないし3の移転登録を受けられないことが不当なものということはできない。 エ控訴人は 商標登録無効審判請求をするなどして,商標権1ないし3の有効性を争ってもいない。 したがって,控訴人が商標権1ないし3の移転登録を受けられないことが不当なものということはできない。 エ控訴人は,商標法が要請する出所混同防止の観点から,控訴人と被控訴人との間で,類似商標が分離して存続する状態は直ちに除去されるべきであると主張する。 被控訴人は商標権3を有するところ,今後,控訴人が商標権7を回復することができれば,類似商標が控訴人と被控訴人との間で分離して存続する状態になるということはできる。しかし,控訴人が現時点において商標権7を有していないことを措くとしても,冒認による移転登録を認める特許法74条に類する規定のない商標法において,実体法上の根拠なく,類似商標が分離して存続する状態を除去するための手段として,それらを同一人に帰属させるために移転登録請求を認めるべきであるということはできない。 オそして,控訴人のその余の主張によっても,商標権1ないし3が,本件営業譲渡契約の解除に基づいて原状回復すべき範囲に含まれるということはできない。 (3) よって,控訴人の本件営業譲渡契約の解除に基づく原状回復としての商標権1ないし3の移転登録請求は,理由がない。 3 争点(2)(控訴人が事務管理に基づく取得した権利の移転としての商標権1な いし3の移転登録請求権を有するか否か)について被控訴人は,平成24年2月1日,商標1ないし3につき,自らの名で商標登録出願したものである。被控訴人は,平成23年12月14日に本件営業譲渡契約を締結した後,平成24年9月27日に控訴人からそれを解除する旨の意思表示を受ける前に,自らの名で商標登録出願をしたのであるから,控訴人のために商標1ないし3の商標登録出願をしたものということはできない。 後,平成24年9月27日に控訴人からそれを解除する旨の意思表示を受ける前に,自らの名で商標登録出願をしたのであるから,控訴人のために商標1ないし3の商標登録出願をしたものということはできない。 よって,控訴人の事務管理に基づく取得した権利の移転(民法697条類推,701条,646条2項)としての商標権1ないし3の移転登録請求は,理由がない。 4 結論以上によれば,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却すべきである。また,控訴人の当審における追加請求は棄却すべきである。よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官高部眞規子 裁判官杉浦正樹 裁判官片瀬亮 別紙

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