【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人江川甚一郎の上告理由第一点について。 論旨は、手形振出人たる法人の
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人江川甚一郎の上告理由第一点について。 論旨は、手形振出人たる法人の肩書には、その所在地を正確に記載しなければ、法人の存在を特定し、これを認識すること不可能であるところ、所論約束手形において、その振出人たる所論有限会社は、その肩書に所在地でない場所を記載してあるから、実在しない架空のものとなるにも拘らず、原審がその架空を否定したのは違法であると主張する如くである。 しかし、原審は、証拠により、被上告人を代表とする所論有限会社が実在のものであることを認定して居り、その認定は是認し得られるのであつて、右手形の振出人たる所論有限会社の肩書地がその所在の場所でなかつたとしても、所論会社が架空のものとなるべき根拠を見出し得ない。 論旨は結局、原審の適法になした事実認定を非難するに帰するのであつて、これを採用し得ない。 同第二点について。 論旨は、原審が、右手形の振出人たる所論有限会社の肩書地を誤記であると認定しながら、これを記載したその代表者たる被上告人に過失がないと判断し、右手形の振出人たる同有限会社にその所在地でない場所を肩書し、これによつて上告人に損害を被らしめた同会社代表者たる被上告人の責任の有無を判断しなかつたのは、民訴一八五条に違反すると主張する。 原判文はその措辞必ずしも妥当といえないけれども、要するに原審は、証拠により、所論約束手形の振出人たる所論有限会社が実在のものであり、上告人が同会社- 1 -の所在地を知り得なかつたのは、上告人の調査粗漏にも因るものであることを認定し、かつ、右手形に記載せられた振出人たる同有限会社の肩書地は、同有限会社の所在地ではないけれども、振出人の肩書地は手形の記載要 在地を知り得なかつたのは、上告人の調査粗漏にも因るものであることを認定し、かつ、右手形に記載せられた振出人たる同有限会社の肩書地は、同有限会社の所在地ではないけれども、振出人の肩書地は手形の記載要件でなく、従つて手形に記載せられた振出人の肩書地が真実に合して居らなくても、手形を無効とするものでないから、同有限会社の所論約束手形上の義務の履行を訴求し得られるのであつて、粗漏のため右手形上の権利を行使し得なかつた結果、上告会社が損害を被つたとしても、これを右有限会社の代表者たる上告人の故意過失によるものとはなしえない旨判断して居るに外ならない。右認定は是認し得られ、右判断は正当である。 原判決に所論の違法はない。 論旨は採用し得ない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官石坂修一裁判官島保裁判官河村又介裁判官高橋潔- 2 -
▼ クリックして全文を表示