- 1 -平成30年1月23日判決言渡平成26年(行ウ)第351号所得税更正処分取消等請求事件 主文 1 処分行政庁が平成25年3月13日付けで原告に対してした平成21年分の所得税の更正処分のうち総所得金額9381万3527 円,納付すべき税額1億3985万8900円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち725万3000円を超える部分をいずれも取り消す。 2 処分行政庁が平成25年3月14日付けで原告に対してした平成21年1月1日から同年12月31日までの課税期間に係る消費税 及び地方消費税の更正処分のうち納付すべき消費税額338万1900円及び納付すべき地方消費税額84万5500円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分のうち8000円を超える部分をいずれも取り消す。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,これを100分し,その9を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 処分行政庁が平成25年3月13日付けで原告に対してした平成21年分の 所得税の更正処分のうち総所得金額0円,退職所得の金額1億0549万4015円,納付すべき税額6732万0800円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 2 主文第2項と同旨第2 事案の概要 本件は,原告が,宅地の分譲等を業とするAと共に実施した宅地等分譲事業(以 - 2 -下「本件宅地等分譲」という。)について,Aから本件宅地等分譲により発生した損失負担金の支払を求める訴えを提起され,その訴訟の結果に従いAに対して支払った本件宅地等分譲に係る損失負担金(以下「本件損失負担金」という。),当該訴訟の弁護士 Aから本件宅地等分譲により発生した損失負担金の支払を求める訴えを提起され,その訴訟の結果に従いAに対して支払った本件宅地等分譲に係る損失負担金(以下「本件損失負担金」という。),当該訴訟の弁護士費用(以下「本件弁護士費用」という。)及び訴訟費用(以下「本件訴訟費用」といい,本件弁護士費用と併せて「本件各費用」という。)を 原告の事業所得に係る必要経費に算入して所得税の申告をするとともに,本件弁護士費用を消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に含めて消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の申告をしたが,処分行政庁から,本件宅地等分譲はAの単独事業であるとして,所得税及び消費税等に係る各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分(以下,併せて「本件各更正処分等」という。) を受けたため,処分行政庁が所属する国を被告として,本件各更正処分等の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め本件に関係する法令等の定めは,別紙2「関係法令等の定め」記載のとおりである(同別紙において定義した略語等は,本文においても用いることとする。)。 2 前提事実(1) 当事者等ア原告は,福島県α郡β町において「B」の屋号で遊技(パチンコ)業を営んでいる者である。 イ Aは,不動産売買に関する事業,不動産のあっせん及び仲介に関する事 業等を目的とする株式会社であるが,平成25年4月1日,親会社であるCに合併して解散した(乙5の1及び2)。 (2) 本件宅地等分譲ア Aは,平成5年10月頃,原告から,本件宅地等(本件宅地等分譲における分譲の対象地をいう。以下同じ。)の開発の話を持ちかけられたこと を契機として,本件宅地等分譲を行うこととした(なお,本件宅地等分譲 - 3 ,原告から,本件宅地等(本件宅地等分譲における分譲の対象地をいう。以下同じ。)の開発の話を持ちかけられたこと を契機として,本件宅地等分譲を行うこととした(なお,本件宅地等分譲 - 3 -が,原告とAとの共同事業か否かについては争いがある。)。 イ原告とAとは,平成5年11月10日,本件宅地等分譲に関する購入資金,開発費用,工事資金等及び利益を全て折半すること,Aが本件宅地等の所有権登記名義人となり,原告は本件宅地等に抵当権を設定することなどを内容とする覚書(以下「本件覚書1」という。)を締結した(乙6)。 ウ原告とAとは,平成7年4月17日,本件宅地等分譲については,Aにおいて事業を展開するものであること,本件宅地等分譲の立案者はA及び原告であり,原告は土地売買における立会人及び本件宅地等分譲に係る借入金の保証人であって,利益についてAと原告とで折半すること,本件宅地等分譲に係る借入金の金利負担はAと原告とで折半すること,本件宅地 等分譲において損失が発生した場合,損失負担はAと原告とで折半することを内容とする覚書(以下「本件覚書2」という。)を締結した(甲10,甲30)。 エ Aは,本件宅地等を造成して,平成8年2月頃から,本件宅地等の分譲を開始し,平成20年6月16日に本件宅地等の売却を完了した。 ⑶ Aによる訴え提起等ア Aは,本件宅地等分譲により損失が発生したことから,平成15年11月26日,福島地方裁判所D支部に対して,原告を被告として,本件宅地等分譲に係る損失負担金の支払を求める旨の訴えを提起したが,同裁判所は,平成18年12月20日,Aの請求を棄却する旨の判決をした(乙8)。 イ Aは,上記アの判決を不服として,仙台高等裁判所に控訴したとこ 金の支払を求める旨の訴えを提起したが,同裁判所は,平成18年12月20日,Aの請求を棄却する旨の判決をした(乙8)。 イ Aは,上記アの判決を不服として,仙台高等裁判所に控訴したところ,同裁判所は,平成20年9月18日,上記アの判決を変更して,1億8097万4019円及びこれに対する遅延損害金に係る請求の限度でAの請求を認容する旨の判決をし,同判決は,平成21年2月10日,最高裁判所による上告棄却及び上告不受理の決定により確定した(甲8,9)(以 下,原告とAとの第1審から上告審までの訴訟をまとめて「別件訴訟」と - 4 -いう。)。 (4) 本件訴え提起に至る経緯ア原告は,平成22年3月10日,平成21年分の所得税について,別表1「本件所得税更正処分等の経緯」(以下単に「別表1」という。)の「確定申告」欄のとおり記載した青色の確定申告書,及び,平成21年1月1 日から同年12月31日まで(以下「本件課税期間」という。)の消費税等について,別表2「本件消費税等更正処分等の経緯」(以下単に「別表2」という。)の「確定申告」欄のとおり記載した確定申告書を提出した。 イ原告は,平成24年11月28日,平成21年分の所得税について,別表1の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書(乙1。以下「本件所 得税修正申告書」という。),及び,本件課税期間の消費税等について,別表2の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書(乙4。以下「本件消費税等修正申告書」という。)を提出した。 ウ処分行政庁は,平成25年3月13日,平成21年分の所得税について,別表1の「更正処分等」欄のとおり,本件課税期間の消費税等について, 別表2の「更正処分等1」欄のとおり,それぞれ更正処分(以下, 行政庁は,平成25年3月13日,平成21年分の所得税について,別表1の「更正処分等」欄のとおり,本件課税期間の消費税等について, 別表2の「更正処分等1」欄のとおり,それぞれ更正処分(以下,所得税に係る同更正処分を「本件所得税更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下,所得税に係る同賦課決定処分を「本件所得税賦課決定処分」といい,本件所得税更正処分と併せて「本件所得税更正処分等」という。)をした。 エ処分行政庁は,平成25年3月14日,本件課税期間の消費税等について,上記ウの更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消し,同日付けで,別表2の「更正処分等2」欄のとおり,更正処分(以下「本件消費税等更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件消費税等賦課決定処分」といい,本件消費税等更正処分と併せて「本件 消費税等更正処分等」という。)をした。 - 5 -オ原告は,平成25年4月9日,本件所得税更正処分等を不服として,国税不服審判所長に対して審査請求をした。 また,原告は,平成25年5月1日,本件消費税等更正処分等を不服として,異議審理庁に対して異議申立てをしたところ,異議審理庁は,上記異議申立てを審査請求として取り扱うことを適当と認めて,同月17日付 けで,その旨を原告に通知し,原告が同月23日にこれに同意したことから,上記異議申立ては,国税不服審判所長に対する審査請求がされたものとみなされた(平成26年法律第69号による改正前の国税通則法89条1項)。 カ国税不服審判所長は,平成26年2月25日,原告の上記オの各審査請 求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 キ原告は,平成26年7月30日,本件訴えを提起した。 1項)。 カ国税不服審判所長は,平成26年2月25日,原告の上記オの各審査請 求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 キ原告は,平成26年7月30日,本件訴えを提起した。 3 争点(1) 本件宅地等分譲が所得税法上の事業所得を生ずべき事業に当たるか(2) 本件宅地等分譲が所得税法上の事業所得を生ずべき事業に当たるとした場 合,本件各費用が必要経費に当たるか⑶ 本件損失負担金を平成21年分の事業所得の必要経費として控除できるか(4) 本件弁護士費用が消費税法上の課税仕入れに係る支払対価に当たるか 4 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(本件宅地等分譲が所得税法上の事業所得を生ずべき事業に当た るか)について(被告の主張)ア事業所得とは,自己の計算と危険において独立して営まれ,営利性,有償性を有し,かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい,ある事業が所得税法上の「事業所得 を生ずべき事業」に該当するか否かは,①対価を得て継続的に行っている - 6 -か,②自己の計算と危険において独立して営まれているか,③営利性,有償性を有しているか,④反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務かという種々のファクターを参考として社会通念によって判断されるべきである。 そして,ある経済活動が当該納税者にとって所得税法上の「事業所得を 生ずべき事業」といえるか否かは,原則として,当該納税者の当該事業への関与の内容や程度等を考慮して納税者ごとに判断されることになり,最高裁平成27年6月12日第二小法廷判決(民集69巻4号1121頁。 以下「平成27年最判」という。)も, て,当該納税者の当該事業への関与の内容や程度等を考慮して納税者ごとに判断されることになり,最高裁平成27年6月12日第二小法廷判決(民集69巻4号1121頁。 以下「平成27年最判」という。)も,所得区分の判断が,営業者の営む事業の内容に従って当然に決定されるものではなく,個々の匿名組合員に とってその所得が有する性質に従って判断されるべきものとしている。 なお,民法上の組合は,一般的に,組合事業に係る資産及び負債が自己の持分に応じて個々の組合員(構成員)に帰属しているという実態がある上,組合員個々の活動が組合活動の事業目的と合致しており,結果的に,組合員個々の活動が「事業所得を生ずべき事業」に該当するための種々の ファクターを備えていると考えられることから,組合事業の内容に従って所得区分が決定されているものであるが,民法上の組合といえども,契約当事者間の合意により組合員の地位等につき一定の範囲で別段の定めをすることも可能であり,組合事業の収益や損失を直接組合員に帰属させるためには,契約において,各組合員に当該事業に係る重要な意思決定に関与 するなどの共同事業者組織性が認められることがその要件になると解される。 イ本件では,原告は,パチンコ業を営む者であり,不動産業の専門知識や宅地建物取引業に必要な免許を有しておらず,本件覚書2によれば,原告とAとの間では,本件宅地等分譲は,Aにおいて事業を展開する旨が定め られ,本件宅地等の区割りの決定,造成工事の発注及び販売業務等の本件 - 7 -宅地等分譲の主要部分はAにおいて行われており,原告は,本件宅地等分譲に関する経営判断に関与していないこと,本件宅地等の所有者であったE及びF(以下Eと併せて「Eら」という。)との間の基本協定(以下「本 分譲の主要部分はAにおいて行われており,原告は,本件宅地等分譲に関する経営判断に関与していないこと,本件宅地等の所有者であったE及びF(以下Eと併せて「Eら」という。)との間の基本協定(以下「本件基本協定」という。)及び売買契約は,AとEらとの間で締結されたものであり,原告はその立会人にすぎないこと,本件宅地等分譲の開発許可 申請もA名義で行われていること,原告はAから本件宅地等分譲の対価を受け取っていないばかりか,本件宅地等分譲の費用の全てをAが負担していたこと,原告が本件宅地等分譲に関わったのは当初の3年足らずにすぎないことなどからすれば,本件宅地等分譲の主体はAであったというべきである。 ウそして,本件覚書2には,原告が本件宅地等分譲に関する意思決定に関与する権限等は何ら定められておらず,原告の実際の関与の状況を見ても,原告は,Aが本件宅地等分譲に要する資金の借入れにつき連帯保証をするという形で関与したにすぎないというべきであり,その他の点についてはAが主体的に行っている。すなわち,本件宅地等の取得について,原告は, 本件基本協定等に立会人として関与したり,AがGに対する本件宅地等の処分禁止の仮処分の申立て等をするに当たり,弁護士事務所に同行したりしたにすぎず,本件宅地等を取得する際に発生した問題を解決したのはAというべきであるし,本件宅地等の販売についても,原告は,友人に口利きをしたり,原告の妻名義で本件宅地等を購入したりしたにすぎず,原告 が積極的に本件宅地等の販売業務に関わっていたとも認められない。また,原告が,本件宅地等分譲に係る重要な事項についてAから適時に報告を受けていたとは認められないし,仮に,原告がAから何らかの報告を受けたことがあったとしても,本件宅地等の区割りについて原告 い。また,原告が,本件宅地等分譲に係る重要な事項についてAから適時に報告を受けていたとは認められないし,仮に,原告がAから何らかの報告を受けたことがあったとしても,本件宅地等の区割りについて原告が意見したにもかかわらず,同区割りが変更されなかったことからもうかがわれるとおり, それは単なる報告にすぎず,原告自身が意思決定したことや原告が本件宅 - 8 -地等分譲についてAの業務執行を監督していたことを示すものではない。 したがって,原告とAとの間の本件宅地等分譲に係る契約において,原告に本件宅地等分譲に係る重要な意思決定に関与できる地位あるいは権限が付与されていたとは認められず,実際にも,原告が,上記地位等を有していたとも認められないのであって,本件宅地等分譲が,原告とAとの共 同事業であると認めることはできない。 エまた,前記アの基準に照らして,本件宅地等分譲が原告にとって所得税法上の事業に当たるか否かについてみると,本件宅地等分譲の具体的な事業計画を作成したのはAであること,原告が,Aから本件宅地等分譲の対価を受け取っていないこと,原告が,平成8年以降,本件宅地等分譲に関 与していないことなどからすれば,原告が対価を得て本件宅地等分譲を継続的に行っていたとは認められない。 さらに,原告は,パチンコ業を営むであり不動産業の専門知識を有しておらず,宅地建物取引業に必要な免許も有していないこと,本件宅地等分譲の主要な部分はAによって行われ,本件宅地等分譲における経営判断 はAに委ねられ,原告は,その判断に関与していないこと,本件宅地等分譲に係る費用の全てをAが負担しており,原告は,費用を何ら支払っていないことからすれば,原告が,本件宅地等分譲を自己の計算と危険において独立 られ,原告は,その判断に関与していないこと,本件宅地等分譲に係る費用の全てをAが負担しており,原告は,費用を何ら支払っていないことからすれば,原告が,本件宅地等分譲を自己の計算と危険において独立して営んでいたとは認められない。 加えて,上記の事情に鑑みれば,本件宅地等分譲が,原告にとって,反 覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務であるとはいえない。 オ以上によれば,本件宅地等分譲は,前記アの基準に照らして原告の事業とは認められず,また,原告とAとの共同事業であるか否かという観点から見て共同事業とは認められないことを併せ考慮すると,事業所得を生ず べき事業に当たるということはできない。 - 9 -(原告の主張)ア共同事業から生じる所得区分の判定は,所得の帰属主体が実質的に共同事業者としての地位を有するか否かによって異なり,所得の帰属主体が実質的に共同事業者としての地位を有する場合には,その共同事業の内容に従って,事業所得該当性を判断すべきである。そして,ここでいう所得の 帰属主体が実質的に共同事業者としての地位を有するか否かは,共同事業に係る契約において,その所得の帰属主体に対して,共同事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限が付与されているか等の観点から,共同の事業の業務執行に一定程度の関与をしているか否かによって判断すべきであるところ(平成27年最判),この重要な意思決定などの権限には, 共同事業の経営判断,意思決定を自ら行ってそれを実行する権限,すなわち,業務執行権又はそれと同等の権限に至らない権限を含むというべきであり,少なくとも,事業に係る重要な財産の処分若しくは譲受け,又は,事業に係る多額の借財に関する業務の執行の決定に関与している なわち,業務執行権又はそれと同等の権限に至らない権限を含むというべきであり,少なくとも,事業に係る重要な財産の処分若しくは譲受け,又は,事業に係る多額の借財に関する業務の執行の決定に関与している場合には,事業に係る重要な意思決定に関与しているものといえる(租税特別措置法 41条の4の2,会社法362条4項参照)。 イ(ア) Aは,本件宅地等分譲において,単独で事業を遂行するに足りる資金及び信用力を有しておらず,原告が信用を供与することが当然の前提とされ,銀行からの融資関係は原告の役割とされていた。そして,原告は,福島銀行H支店(以下単に「H銀行」という。)に対し,本件宅地 等分譲に係る融資の依頼を行い,H銀行との間で,融資の形態の協議を行った上,当該協議に基づいて,Aに融資を受けさせるために,連帯保証をしたり,定期預金を担保として提供したりしたほか,原告は,AとEらとの間の本件宅地等の売買契約に係る手付金5000万円の支払に充てるための借入れに際し,H銀行に対して,Aと共同して約束手形を 振り出し,さらには,原告は,H銀行と交渉して,3回にわたり借入金 - 10 -の利息を引き下げさせている。 以上からすると,原告は,Aとの合意に基づいて,本件宅地等分譲に係る融資関係の業務執行を行ったことは明らかであり,その意思決定に原告が関与している。 (イ) また,本件宅地等分譲においては,Eらとの調整は原告の役割とさ れ,原告は,Eらとの間で,本件基本協定,停止条件付き売買契約など,本件宅地等の取得に関する契約を締結する際には,必ず共同事業者の一人として署名及び実印を用いて押印したり,本件宅地等を確保するために本件宅地等の一部を自ら取得して,所有権移転登記請求権仮登記手続をしたり,Gが本件宅地等の一部 を締結する際には,必ず共同事業者の一人として署名及び実印を用いて押印したり,本件宅地等を確保するために本件宅地等の一部を自ら取得して,所有権移転登記請求権仮登記手続をしたり,Gが本件宅地等の一部に根抵当権を設定した際には,Eらに 当該根抵当権設定登記を抹消する旨の確約書を提出させたり,Iに委任して,Eらをして,売買契約の履行に関する協定を締結させたり,Gに対する訴訟等を提起する際に,Jと共に弁護士に相談したり,司法書士に依頼して本件宅地等に対して仮差押えを行った者らに対して通知書を送付したり,本件宅地等に係る所有権移転登記手続が完了した際,Fな どに,今後のトラブルは,責任をもって処理する旨の確約書を原告及びA宛てに提出させたりしている。 以上からすると,原告が,本件宅地等分譲に関して,Aとの合意に基づいて,本件宅地等の取得に係る業務執行を行ったことは明らかであり,その意思決定に原告が関与している。 (ウ) そのほか,本件宅地等の区割りに関して,事前にAと原告とが協議した上,最終的にはAが提案した区割りを原告が了承したことにより,本件宅地等分譲に係る区割りが確定し,これを変更する際にも原告の了承を得ていることからすれば,原告は,宅地造成に係る重要な部分についても,その意思決定に関与していたし,Aから本件宅地等の造成に関 する計画,事業計画,行政手続の状況,本件宅地等の販売状況(販売価 - 11 -格の決定及び改訂を含む。)及び事業収支などの報告を口頭又は書面によって受けていた。 (エ) 以上によれば,原告は,本件宅地等分譲に関して,Aとの合意に基づき,融資(多額の借財)に関する業務及び本件宅地等(重要な財産)の取得に関する業務の執行を行うとともに,本件宅地等の造成の重要な 部分の よれば,原告は,本件宅地等分譲に関して,Aとの合意に基づき,融資(多額の借財)に関する業務及び本件宅地等(重要な財産)の取得に関する業務の執行を行うとともに,本件宅地等の造成の重要な 部分の意思決定に関与していたほか,共同事業者としてAが実行した業務に関する報告を受けていたことからすれば,原告は,本件宅地等分譲の共同事業者としての地位を有するものというべきであり,本件宅地等分譲は,原告にとって所得税法上の事業所得を生ずべき事業に当たる。 (2) 争点(2)(本件宅地等分譲が所得税法上の事業所得を生ずべき事業に当た るとした場合,本件各費用が必要経費に当たるか)について(被告の主張)ア事業所得の必要経費に該当するか否かは,当該支出が事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であることを要し,その判断は,単に事業主の主観的判断によるのではなく,当該事業の業務内容など個別具体的な諸事情に即 して社会通念に従って客観的に行われるべきである。 イ本件各費用は,別件訴訟を解決するために要した費用であるところ,別件訴訟は,原告とAとの間に生じた本件宅地等分譲により生じた損失の帰属をめぐる紛争であり,本件宅地等分譲の業務の遂行を妨げる紛争を解決するための訴訟とは認められないのであるから,本件各費用は,本件宅地 等分譲の遂行上必要であるとはいえない。 ウしたがって,本件各費用は,原告の事業所得の必要経費に該当しない。 (原告の主張)ア必要経費該当性の判断基準は,事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であるかどうかであり,ある支出が業務の遂行上必要なものであれば,所得 税法37条1項の「その所得を生ずべき業務について生じた費用」として - 12 -必要経費に算入できるところ,業務を あるかどうかであり,ある支出が業務の遂行上必要なものであれば,所得 税法37条1項の「その所得を生ずべき業務について生じた費用」として - 12 -必要経費に算入できるところ,業務を営む者が当該業務の遂行上生じた紛争等を解決するために支出した弁護士の報酬その他の費用は,資産の取得費等一定のものを除き,その支出をした日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入すると解されている(所基通37-25)。そして,一般に,事業を行う者が,事業による収益の補填を目的と して,事業所得の減少分に係る損害賠償請求訴訟を提起することを弁護士に依頼した場合には,その費用は総収入金額を得るために直接要したものであるから,その金額を必要経費の額に算入することができるとされており,訴訟の目的が事業所得を構成する収入や経費に関するものであれば,当該訴訟を遂行するために必要な弁護士費用及び訴訟費用は,事業所得の 必要経費に該当するというべきである。 なお,事業所得を生ずべき事業が共同事業である場合,対外的な事業活動だけではなくて,共同事業そのものを組成,維持及び管理するための費用も,共同事業という形態で事業を遂行するために必要なものであるから,必要経費の額に算入することができるというべきである。 イ本件では,本件各費用は,本件宅地等分譲について,その事業所得を構成する損失の負担の有無及び金額に関して原告とAとの間で争いが生じ,Aが原告の事業所得を構成する損失の支払を求めて提起した別件訴訟に原告が応訴したため発生したものであり,別件訴訟の目的は事業所得を構成する損失そのものに関するものであるから,別件訴訟の応訴に要した本件 各費用は必要経費に当たる。 (3) 争点(3)(本件損失負担金を平成21 たものであり,別件訴訟の目的は事業所得を構成する損失そのものに関するものであるから,別件訴訟の応訴に要した本件 各費用は必要経費に当たる。 (3) 争点(3)(本件損失負担金を平成21年分の事業所得の必要経費として控除できるか)について(被告の主張)ア所得税法36条1項は,「その年分の各種所得の計算上収入金額とすべ き金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き, - 13 -その年において収入すべき金額」とする旨を規定しており,現実の収入がなくとも,その収入の原因となる権利が確定した場合には,その時点で現実の所得の実現があったものとして,上記権利確定の時期に属する年分の課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用しており,収入となるべき権利が発生した後,これを法律上行使できるようになり, 権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態になったときは,権利が確定したといい得るものと解される。そして,必要経費についても,所得税法37条1項が,「その年における販売費,一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)」と規定していることから,業 務について生じた費用についても,債務確定主義が妥当するものと解するのが相当である。 イ本件宅地等分譲は,平成5年11月4日にAとEらとの間で本件基本協定を締結してから平成20年6月16日に本件宅地等の売却が完了するまで14年余りの期間(以下「本件事業継続期間」という。)を要している が,Aが,本件事業継続期間の各決算期において,本件宅地等分譲に係る全ての収入及び費用をAのものとしてその損益を計算し,未売却の土地を自 期間(以下「本件事業継続期間」という。)を要している が,Aが,本件事業継続期間の各決算期において,本件宅地等分譲に係る全ての収入及び費用をAのものとしてその損益を計算し,未売却の土地を自己の棚卸資産に計上して法人税の確定申告書を提出していたことからも明らかなとおり,本件宅地等分譲は,各決算期において収支が判明しないものではない。また,原告が,Aに対して負う本件損失負担金に係る債務 は,本件覚書2において,原告とAとの間の合意に基づくものであり,本件宅地等分譲の損益は本件事業継続期間の各年分において確定しており,かつ,原告がAに対して本件宅地等分譲に係る利益及び損失を折半することも本件宅地等分譲の当初から決定されていたものである。 ウそして,原告が構成員課税の対象として本件宅地等分譲に係る収益及び 損失を原告の事業所得として計算する場合には,①本件事業継続期間の暦 - 14 -年ごとに,分譲した宅地等の譲渡収入,当該分譲した宅地等の販売原価及び当該暦年中に支出した一般管理費等に,原告の分配割合を乗じて,原告の総収入金額及び必要経費を算出して原告の損益を計算するか,②任意組合等の1年以内の計算期間における確定決算により生じた損益に原告の分配割合を乗じて,本件事業継続期間の確定決算の日の属する年分の原告の 損益として計算するかして,各該当年分の事業所得として申告する必要がある(所基通36・37共-19の2)。 エ以上によれば,原告が本件宅地等分譲に係る収益及び損失を自らの事業所得として申告する場合には,本件覚書2に基づき,Aの確定決算において計算された本件宅地等分譲の損益の2分の1を,本件事業継続期間のそ れぞれの確定決算の日の属する各年分の事業所得として申告すべきであって,平成21年分の 件覚書2に基づき,Aの確定決算において計算された本件宅地等分譲の損益の2分の1を,本件事業継続期間のそ れぞれの確定決算の日の属する各年分の事業所得として申告すべきであって,平成21年分の事業所得において,本件損失負担金をまとめて申告することはできない。 (原告の主張)ア事業所得に係る損失の額は,その債務が確定したときに必要経費に算入 されるところ,債務が確定したというためには,損失に係る債務が成立していること,当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること,その金額を合理的に算出することができることが必要であり,債務の存否又は額が当事者間で争われており,一方当事者の主観的判断ではなく,客観的にも当該債務の存否又は額の確定が困難な場合に は,債務の額を必要経費の額に算入することはできないというべきである。 そして,共同事業に係る事業の場合,各当事者が負担する損失の額は,共同事業に係る契約で定められた利益又は損失の分配割合に応じた金額であり(所基通36・37共-19,同21),共同事業に係る契約で定められた利益又は損失の分配の有無又は割合が確定しない場合には,当該共 同事業の当事者に配賦された利益又は損失の額は未確定であり,その未確 - 15 -定な利益又は損失を必要経費の額に算入することはできないところ,共同事業に係る契約で定められた利益又は損失の分配の有無又は割合に関して争いがあり,一方当事者の主観的な判断ではなく,客観的にも利益又は損失の分配の有無又は割合の確定が困難な場合には,共同事業に係る契約で定められた利益又は損失の分配の有無又は割合が確定しないのであるから, その未確定の利益又は損失を必要経費の額に算入することはできない。 イ 合の確定が困難な場合には,共同事業に係る契約で定められた利益又は損失の分配の有無又は割合が確定しないのであるから, その未確定の利益又は損失を必要経費の額に算入することはできない。 イ本件損失負担金については,Aが,別件訴訟を提起し,第1審ではAの請求が棄却されたものの,控訴審ではAの請求が一部認容された上,上告審において上告棄却及び上告不受理の各決定がされて,原告が本件損失負担金を負担することが確定したものである。しかも,原告とAとの間に係 る共同事業の合意において損失負担金の計算方法や計算の基となる収入及び費用も一義的に定まらず,別件訴訟の控訴審の判決が確定するまで,その合意の内容を確定して当該合意に基づいて原告に配賦される本件損失負担金の額を適正に見積もることは不可能であった。 したがって,本件損失負担金に係る債務が確定したのは平成21年であ り,本件損失負担金は平成21年分の必要経費になる。 ウなお,本件宅地等分譲は,平成20年6月16日に本件宅地等の売却が完了し,その時点で本件宅地等分譲が終了しているが,原告は,本件宅地等分譲以外にも事業を行っていることから,所得税法63条の適用はなく,本件損失負担金を平成20年分又は平成19年分の必要経費に算入するこ とはできない。 (4) 争点(4)(本件弁護士費用が消費税法上の課税仕入れに係る支払対価に当たるか)について(被告の主張)ア消費税法上の「事業」は,所得税法上の「事業所得を生ずべき事業」よ りも広いものであり,基本的には,所得税法上の「事業」を包含するもの - 16 -と解されるが,前記(1)と同様,本件宅地等分譲は,原告にとっての消費税法上の「事業」に当たらない。 イ仮に,本 のであり,基本的には,所得税法上の「事業」を包含するもの - 16 -と解されるが,前記(1)と同様,本件宅地等分譲は,原告にとっての消費税法上の「事業」に当たらない。 イ仮に,本件宅地等分譲が原告にとっての消費税法上の「事業」に当たるとしても,前記(2)のとおり,別件訴訟は,本件宅地等分譲を遂行する上で生じた事件ではなく,本件宅地等分譲により生じた損失について原告がそ の負担義務を負うか否かを争ったものであって,本件弁護士費用は,当該紛争を解決するために要した費用にすぎない。 したがって,本件弁護士費用は,本件宅地等分譲に係る「事業として」の役務の提供の対価に当たらず,原告の消費税法上の課税仕入れに係る支払対価に該当しない。 (原告の主張)ア消費税法の課税対象が「事業として」行われている取引に限定されている趣旨は,非事業者に係る取引については,課税の把握が困難であるとともに,税収としての規模が小さいというところにあり,消費に広く負担を求めるという趣旨からすれば,消費税法上の事業の範囲を狭く捉える必要 はなく,消費税法上の「事業」というためには,所得税法上の「事業」とは異なり,その規模は問わず,反覆継続独立して行われるものであれば足りるというべきであり,費用と事業との関連性も緩やかに解するべきである。 そして,共同事業の場合には,当事者間で消費税を転嫁できるような費 用の負担の合意があり,社会通念上の共同事業としての実態が存在する限り,各当事者の関与の程度を問うことなく,共同事業の内容に従って,消費税法上の「事業」の該当性を判断すべきである。 イ本件では,別件訴訟において,本件宅地等分譲が共同事業であるとの認定がされた上で,本件宅地等分譲に係る ことなく,共同事業の内容に従って,消費税法上の「事業」の該当性を判断すべきである。 イ本件では,別件訴訟において,本件宅地等分譲が共同事業であるとの認定がされた上で,本件宅地等分譲に係る費用を負担する旨の合意の存在が 認定されたのであるから,消費税を転嫁できるような費用の負担の合意が - 17 -あり,社会通念上,共同事業としての実態が存していたともいえるのであって,仮に,本件宅地等分譲が所得税法上の「事業」に当たらないとしても,消費税法上の「事業」に該当する。 また,仮に,本件弁護士費用が,本件宅地等分譲の遂行に必要ないものとして,事業所得の必要経費に該当しないとしても,事業との関連性は認 められるから,消費税法上の課税仕入れに係る支払対価に該当する。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 原告とAなどとの関係等ア原告は,平成元年頃,キャビンプラザK店の出店に関して,地元の建設会社よりCの取締役であったLを紹介されたことを契機として,C及びAの代表取締役であったJなどと関係を持つようになり,仕事上の関係のみならず,JやLと家族ぐるみの付き合いもするようになった(甲11・1 頁,甲23・1頁,甲24・13頁~14頁,乙14・3枚目)。 イなお,原告のパチンコ業は順調に推移しており,福島県β町内における有数の高額納税者であり,H銀行における預金額や借入額も高かった(甲68・1頁,4頁)。 (2) 本件宅地等の分譲の開始 ア原告による本件宅地等分譲の提案等(ア) Eらは,原告とは別の福島県γ市のパチンコ業者から本件宅地等の一部を購入したいと 4頁)。 (2) 本件宅地等の分譲の開始 ア原告による本件宅地等分譲の提案等(ア) Eらは,原告とは別の福島県γ市のパチンコ業者から本件宅地等の一部を購入したいとの申出を受けたが,Eらが抱えていた多額の借入金債務を返済するために本件宅地等の全部を売却したいと考え,平成5年10月頃,原告が経営するパチンコ店の常連であったEの従兄弟である Mを通じるなどして,原告に対して,本件宅地等の全部を購入できない - 18 -かと話を持ちかけた(甲68・2頁~3頁,乙19・1頁,原告2頁)。 (イ) Eらから上記(ア)の話を持ちかけられた原告は,本件宅地等に他のパチンコ業者が出店するのは困ると考えるとともに,本件宅地等は,パチンコ店を経営するには広すぎるが,開発して分譲することには適しているのではないかと考え,Lを通じて,Aに本件宅地等を開発できない かと話を持ちかけた(甲11・1頁,甲23・1頁,甲24・2頁~3頁,甲25・1頁,甲26・2頁~3頁,甲68・3頁)。 (ウ) 原告から上記(イ)の話を持ちかけられたAは,本件宅地等を分譲することについて検討した結果,本件宅地等は立地条件が良く,おおまかに把握できる造成費,販売価格,減歩率等を考慮すると,遅くとも1年 程度で完売となり,1億円程度の利益が出るものと考え,本件宅地等分譲を実施することを承諾した。 もっとも,Aは,本件宅地等分譲の実施を承諾するに当たり,原告に対して,本件宅地等の総面積が大きく,Aのみでは本件宅地等分譲を実施できないとして,資金面での協力を求めるとともに,本件宅地等に抵 当権の設定や差押えがされていること,Eが癖のある人物であり,原告でなければ本件宅地等の取りまとめはできないとして,本件宅地等 施できないとして,資金面での協力を求めるとともに,本件宅地等に抵 当権の設定や差押えがされていること,Eが癖のある人物であり,原告でなければ本件宅地等の取りまとめはできないとして,本件宅地等の権利関係の整理を原告において行うことを求め,原告もこれに同意した(甲11・1頁,甲24・3頁~10頁,甲25・1頁,甲26・3頁~4頁,甲68・4頁,甲70・43頁,原告2頁~5頁,17頁)。 イ本件宅地等分譲の内容に係る原告とAとのやりとり等(ア) Aは,本件宅地等分譲に係る土地利用の計画図や事業計画(本件宅地等の購入費,開発費用等の諸経費及び販売価格の概算等)を作成し,平成5年11月10日,H銀行において,原告同席の下,H銀行の担当者に本件宅地等分譲の上記事業計画の内容等を説明した上で,原告との 間で,本件宅地等分譲に関する購入資金,開発費用,工事資金等及び利 - 19 -益を全て折半すること,Aが本件宅地等の所有権登記名義人となり,原告は本件宅地等に抵当権を設定することなどを内容とする覚書(本件覚書1)を締結した(甲11・2頁,甲23・1頁,甲24・12頁~13頁,甲25・1頁,甲26・4~5頁,27頁,乙6)。 なお,原告とAは,本件覚書1を締結する時点において,本件宅地等 分譲に関して,1年程度で本件宅地等は完売すると想定しており,損失が出ることはほとんど想定していなかった(甲68・6頁,甲70・17頁,甲71・2頁)。 (イ) 原告とAは,後記ウ(ウ)の手付金の支払のため,平成5年12月25日,H銀行に宛てて共同で金額を5000万円とする約束手形を振り 出し,同月29日,H銀行から5000万円を借り入れた(甲32~甲34)。 (ウ) Aは,平成6年1月27日 2月25日,H銀行に宛てて共同で金額を5000万円とする約束手形を振り 出し,同月29日,H銀行から5000万円を借り入れた(甲32~甲34)。 (ウ) Aは,平成6年1月27日に本件宅地等分譲に係る開発事業事前協議書を,平成7年2月28日に都市計画法29条(平成11年法律第87号による改正前のもの)による開発行為許可申請書を,それぞれ提出 しているところ,いずれについても提出前に原告にその内容を説明し,その了承を得た(甲11・4頁~5頁,甲26・10頁~11頁,甲35,甲41)。 (エ) Aは,平成7年4月頃,事業収支概算等の書類を作成し,これに基づき,原告に対して本件宅地等分譲による収支の概要を説明し,その了 承を得た(甲11・5頁,甲25・2頁,甲26・9頁~10頁,30頁~31頁,甲70・21頁~22頁)。 (オ) 原告とAは,平成7年4月17日,本件宅地等分譲については,Aにおいて事業を展開するものであること,本件宅地等分譲の立案者はA及び原告であり,原告は土地売買における立会人及び本件宅地等分譲に 係る借入金の保証人であり,利益についてAと原告とで折半すること, - 20 -本件宅地等分譲に係る借入金の金利負担はAと原告とで折半すること,本件宅地等分譲において損失が発生した場合,損失負担はAと原告とで折半することを内容とする覚書(本件覚書2)を締結した(甲10,甲30)。 (カ) Aは,平成7年5月1日,Cに対して,本件宅地等の造成工事を発 注した。なお,原告は,本件宅地等の造成工事の着工に至るまでの間に,Aから,本件宅地等分譲に係る区割りについて説明を受けており,その際,原告は,商業区画につき,間口が狭く縦長の形となっており,道路部分が少ないた 原告は,本件宅地等の造成工事の着工に至るまでの間に,Aから,本件宅地等分譲に係る区割りについて説明を受けており,その際,原告は,商業区画につき,間口が狭く縦長の形となっており,道路部分が少ないために車の出入りが難しくなっていることなどから売れないのではないかなどと強い反対意見を述べたが,Jから道路を広くする と売却する部分の面積が狭くなり,儲けが少なくなるからなどと反対されて,原告とJの意見が平行線をたどったため,原告は,最終的には専門家に任せるとして,Aの提案した区割りに同意した(甲11・5頁,甲26・37~40頁,甲68・9頁,甲72・5頁~6頁,乙19・8頁~9頁,原告8頁)。 (キ) Aは,平成7年5月8日,H銀行から5億5000万円を借り入れ,原告,C及びJは,同日,H銀行との間で,AのH銀行に対する借入金債務について,元本極度額を6億7500万円とする連帯保証契約を締結した(甲44)。 また,Aは,平成7年8月30日,H銀行から1億2500万円を借 り入れた。 (ク) Aは,平成7年11月頃,事業収支概算を作成し,原告に対してその内容を説明した上で,H銀行に提出したほか,原告に対して分譲開始時の販売価格について説明しているが,いずれについても原告の了承を得た(甲11・5頁,甲46,甲47,甲68・10頁)。 (ケ) Aは,平成7年11月20日,原告に説明をした上で,福島県知事 - 21 -に対して,国土利用計画法(平成10年法律第86号による改正前のもの)24条1項1号に該当しないことの確認を申請し,同年12月28日,同知事からその確認を受け,その旨原告に報告した(甲11・5頁)。 (コ) Aは,平成7年12月20日,H銀行から8100万円を借り入れ 1号に該当しないことの確認を申請し,同年12月28日,同知事からその確認を受け,その旨原告に報告した(甲11・5頁)。 (コ) Aは,平成7年12月20日,H銀行から8100万円を借り入れ,原告,C及びJは,同日,H銀行との間で,元本極度額1億3600万 円とする連帯保証契約を締結した(甲48)。 また,Aは,平成7年12月20日,本件宅地等の開発費用に充てるため,H銀行から原告の定期預金を担保に3000万円を借り入れた(甲11・2頁)。 (サ) 原告は,H銀行との間で,AのH銀行に対する借入金債務の利率の 引下げの交渉をし,同利率については,平成7年12月30日に年4. 7%から年3.7%に,平成8年2月16日に年3.7%から年3.4%に,同年7月4日に年3.4%から年3.075%にそれぞれ引き下げられた(甲11・2頁,甲68・10頁,原告9頁)。 (シ) Aは,平成8年2月頃,本件宅地等の分譲を開始して,その旨原告 に報告した。 なお,この頃,原告は,事務所に本件宅地等の分譲地の平面図を貼り,事務所に出入りする業者に対して,分譲地の説明をするなどし,客がいれば紹介してもらいたいなどと申し向けていた。(甲11・5頁,甲23・2頁,甲26・8頁,11頁,32頁) ウ本件宅地等の取得等に係る経緯(ア) Aは,平成5年11月4日,Eらとの間で,本件宅地等の売買に係る予定対価を5億2500万円とすること,Eらは,抵当権等の本件宅地等の所有権行使を阻害する制限又は負担があるときは,本件宅地等の所有権移転時までにこれを抹消して,完全な所有権をAに移転すること などを内容とする本件宅地等の売買に係る基本協定(本件基本協定)を - 22 -締結した。な があるときは,本件宅地等の所有権移転時までにこれを抹消して,完全な所有権をAに移転すること などを内容とする本件宅地等の売買に係る基本協定(本件基本協定)を - 22 -締結した。なお,原告は,本件基本協定に立会人として関与し,本件基本協定に係る協定書に署名押印した。(甲29)(イ) 原告は,平成5年11月17日,Eとの間で,本件宅地等の一部について,都市計画法29条所定の許可等を停止条件とする売買契約を締結し,Eに対して300万円を支払うとともに,上記本件宅地等の一部 について,売買予約を原因とし,原告を権利者とする所有権移転登記請求権仮登記をした。なお,原告が,上記のとおり,停止条件付き売買契約を締結したのは,Eらが経済的に困窮し,少しでもいいから早く金銭が欲しいと言っていたためである。(甲11・3頁,甲24・19頁~20頁,甲68・6頁~7頁,乙7の15及び16) (ウ) Aは,平成5年12月29日,Eとの間で,本件宅地等につき,都市計画法29条及び農地法5条による都道府県知事の許可等を受けることを停止条件として,Eにつき代金額4億4600万円(うち手付金4110万円)とする売買契約,Fにつき代金額7890万円(うち手付金890万円)とする売買契約をそれぞれ締結し,同日,Eらに上記手 付金合計5000万円を支払った。なお,原告は,上記各売買契約に立会人として関与し,同各売買契約に係る契約書に署名押印した(甲31の1及び2)。 Aは,平成6年1月5日,Eらから本件宅地等(上記(イ)の本件宅地等の一部を除く。)につき,売買予約を原因とする所有権移転請求権仮 登記を受けた(乙7の1~14,17~19)。 (エ) Eらは,平成6年9月29日,Gとの間で,本 記(イ)の本件宅地等の一部を除く。)につき,売買予約を原因とする所有権移転請求権仮 登記を受けた(乙7の1~14,17~19)。 (エ) Eらは,平成6年9月29日,Gとの間で,本件宅地等につき,売買予約契約及び極度額を1億5000万円とする根抵当権設定契約を締結し,同年10月11日,Gを権利者として,売買予約を原因とする所有権移転請求権仮登記及び根抵当権設定登記をした(乙7の1~19)。 そのため,原告は,E及びMと折衝し,「Eの責任のもとにGの売買 - 23 -の根抵当権仮登記を抹消すること」,「AがGの根抵当権仮登記解除を求める訴訟をおこすことに同意する」ことなどを内容とするA宛ての確約書を作成させ,同確約書をAに宛てて提出させた(甲36,原告7頁~8頁)。 (オ) Aは,平成6年10月25日,原告が依頼したIの仲介の下,弁護 士事務所において,Eとの間で,本件宅地等の売買に係る義務を履行することを促す内容の協定を締結しており,原告はその場に立ち会った(甲11・3頁,甲24・21頁)。 (カ) 原告,A及びEは,平成6年11月1日,前記(イ)の本件宅地等の一部につき,原告とEとの間において平成5年11月17日に停止条件 付売買契約が締結されたことを再確認した上で,原告が,同契約上の地位をAに譲渡したこと及びEがこれを承諾したことを確認すること,原告が,Aに対し,上記契約上の地位の移転を原因として,前記(イ)の所有権移転請求権仮登記の移転登記手続をすること,Eは,Aに対し,本登記手続ができるよう協力することなどを内容とする覚書を締結し,A は,同月8日,原告から,平成5年12月29日付け贈与を原因として,上記所有権移転請求権仮登記につき移転の付記登記を受けた(甲38, 続ができるよう協力することなどを内容とする覚書を締結し,A は,同月8日,原告から,平成5年12月29日付け贈与を原因として,上記所有権移転請求権仮登記につき移転の付記登記を受けた(甲38,乙7の15及び16)。 (キ) Eらは,平成6年11月17日,原告が依頼したIの仲介の下,EらのAに対する本件宅地等の売買契約に係る代金債権をH農協等に譲渡 し,当該債権譲渡の合意の場面には原告も立ち会った(甲11・3頁)。 (ク) Aは,福島地方裁判所D支部に対して,Gを相手方として,本件宅地等に係る処分禁止の仮処分を申し立て,同裁判所は,平成6年12月22日,Gに対して,本件宅地等に係る処分禁止仮処分の決定をした(甲39)。 また,Aは,福島地方裁判所D支部に対し,Gを被告として,本件宅 - 24 -地等に係る所有権移転請求権仮登記に基づく本登記手続をすることの承諾を求める訴えを提起し,同裁判所は,平成7年3月20日,Aの請求を認容する旨の判決をした(甲40)。 なお,上記仮処分の申立てあるいは訴え提起のための代理人である弁護士との打合せには,原告も同行していた(甲11・4頁,原告22頁)。 (ケ) 本件宅地等には,Nによる平成6年11月24日受付の仮差押えの登記,γ市による平成7年1月25日受付の差押えの登記,O株式会社による同年4月4日受付の仮差押えの登記がされていたところ,原告は,同月19日,依頼した司法書士を通じて上記3名に対して,通知書を送付した(甲11・4頁,乙7の1~19)。 (コ) Aは,平成7年5月8日,Eらに対して,本件宅地等の売買代金の残金を支払い,本件宅地等に係る所有権移転請求権仮登記につき本登記を受けた。 その際,F,I及びP(Eらの親戚)は,本 (コ) Aは,平成7年5月8日,Eらに対して,本件宅地等の売買代金の残金を支払い,本件宅地等に係る所有権移転請求権仮登記につき本登記を受けた。 その際,F,I及びP(Eらの親戚)は,本件宅地等のAへの明渡しが完了した後は,「E氏より金品の要求,嫌がらせ等,又は,残金受取 についてのトラブルがあった場合は当方の責任において処理し貴殿に対しては一切迷惑の掛かることのないよう対処することを確約致します」などと記載された確約書をA及び原告宛てに提出した。(甲11・4頁,甲24・21頁,甲45,乙7の1~19)(サ) 原告は,平成7年5月8日,Iに対して,売買契約成立金として3 00万円を支払ったが,当該300万円については,Aに支払を請求したことはない(甲11・4頁,甲24・21頁,甲37,甲71・18頁,28頁,原告19頁~20頁,33頁)。 (3) 本件宅地等の分譲開始後の経緯ア Aは,前記(2)イ(シ)のとおり,平成8年2月頃から,本件宅地等の分譲 を開始したが,平成11年頃になっても,宅地区画(住宅用地)15区画 - 25 -のうち1区画,商業区画(店舗用地)5区画のうち4区画が,それぞれ売却未了であった(甲49)。 イそのため,Aは,平成11年1月頃,それまでの事業収支概算を作成し,原告に当該事業収支概算や平面図等を見せて相談するなどして,原告の了承を得た上で,所定の開発許可を受けて,商業区画(店舗用地)を宅地区 画(住宅用地)に開発して,平成11年秋頃から平成12年頃に本件宅地等の再分譲を開始した(甲11・5頁~6頁,甲24・23頁~24頁,甲25・2頁,甲26・12頁~13頁,41頁~43頁,甲50,甲68・10頁~11頁)。 ウ Aは,再分譲を 頃に本件宅地等の再分譲を開始した(甲11・5頁~6頁,甲24・23頁~24頁,甲25・2頁,甲26・12頁~13頁,41頁~43頁,甲50,甲68・10頁~11頁)。 ウ Aは,再分譲を開始した後も本件宅地等が売れないことから,平成14 年4月頃及び10月頃に2度にわたり分譲価格の値下げをするなどして分譲を続け,平成20年6月16日に本件宅地等の全てについて売却が完了した。 なお,原告は,平成13年頃から体調を崩すなどしており,それ以降はAと接触することはほとんどなくなっていた(甲11・6頁,甲68・1 2頁~13頁,原告10頁)。 (4) 事実認定の補足説明ア被告は,原告とAとの間において,原告が本件宅地等の権利関係を整理することの合意につき,本件各覚書などに記載はないことなどからすれば,上記合意が存在したとは認められないと主張する。 確かに,上記合意を本件各覚書に入れなかったことについての原告の供述(原告17頁~18頁)があいまいであることは否定できないが,Jは,別件訴訟において,土地のとりまとめは原告が行うことになっていた旨を供述等しているほか(甲11・1頁,甲24・7頁,9頁,19頁),本件においては,不動産売買に関する事業等を業とするAが関与しているに もかかわらず,原告が,Eらなどに各種確約書(甲36,甲45)を提出 - 26 -させたり,Iなる者に仲介を依頼したりするなど本件宅地等の円滑な取得に向けた行動に及んでいることからすれば,原告が主張するとおり,原告において本件宅地等の権利関係を整理する旨の合意が存在したものと認めるのが相当であり,被告の主張は採用することができない。 イまた,被告は,原告が本件宅地等に係る問題解決のためにIに所定の委 本件宅地等の権利関係を整理する旨の合意が存在したものと認めるのが相当であり,被告の主張は採用することができない。 イまた,被告は,原告が本件宅地等に係る問題解決のためにIに所定の委 任をしたことについて,当該委任を示す客観的証拠はなく,原告の領収書(甲37)に係る供述(原告33頁~34頁)があいまいである旨を主張するが,別件訴訟において,Jは原告がIに対してお礼金として300万円を支払った旨を供述し,原告もこれに沿う供述をしているのであって(甲24・21頁,甲71・18頁),本件訴訟における原告の供述は,上記 領収書作成時点から既に20年以上が経過した後にされたものであり,上記領収書の存在自体記憶になかったというのであるから,原告の供述があいまいであることをもって,前記認定を左右するものとはいえない。 ウ被告は,原告とAとの本件宅地等分譲に係る説明及び協議に関する原告の供述等が変遷していること(甲72・6頁~7頁,原告32頁)をもっ て,原告の適時に報告を受けていたなどとする主張は信用することができないなどと主張するところ,原告は,別件訴訟において,平成7年5月頃に,本件宅地等分譲に係る区割りについてAと意見が対立した後は,本件宅地等分譲に関して,その事業計画や造成工事費用等の説明を一切受けていないなどとも供述等している(甲71・8頁,甲72・6頁~7頁)。 しかし,平成13年頃までの間,Aから原告に対し,本件宅地等分譲の進捗状況等について一定の報告や相談がされていたことは,別件訴訟においてJなどが供述等するところであり(甲11,甲24~甲26),原告の供述等が変遷等しているとしても,それをもって前記認定が直ちに左右されるものではなく,原告は,本件宅地等分譲に係るAの借入金債務の保 供述等するところであり(甲11,甲24~甲26),原告の供述等が変遷等しているとしても,それをもって前記認定が直ちに左右されるものではなく,原告は,本件宅地等分譲に係るAの借入金債務の保 証人であるほか,最終的にその意見が取り入れられなかったとはいえ,本 - 27 -件宅地等分譲に係る区割りについても一定の意見を述べる状況にあったのであるから,Aがそのような原告に本件宅地等分譲に係る各種説明をしていないというのは不自然であり,上記被告の主張及び別件訴訟の原告の供述等をもってしても,前記認定事実のとおり認めるのが相当である。 2 争点(1)(本件宅地等分譲に係る事業所得該当性)について (1) 前記認定事実によれば,原告とAとは,本件宅地等分譲を実施するに当たって,Aにおいて本件宅地等の開発及び分譲を実施し,本件宅地等分譲による損益を両者で折半することを合意しており,原告は,かかる合意に基づき,本件宅地等分譲によって生じた損益について,Aから利益の分配を受け,あるいはAにその負担すべき損失を支払うことになるものと解される。 ところで,所得税法は,公平負担の観点から,納税者の所得を,その源泉又は性質によって10種類に区分し,担税力に応じた計算方法等を定めているところ,かかる所得区分の判断に当たっては,当該利益が生み出される具体的態様を考慮して実質的に判断されるべきものと解され,上記のように他者の営む事業から生じた利益の分配を受ける旨の合意がされている場合にお いて,当該合意に基づいて当該他者から受領した利益の所得区分については,当該利益の分配を受ける者が実質的に当該他者と共同してその事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該他者の営む事業の内容に従って判断されるべきものと解 利益の所得区分については,当該利益の分配を受ける者が実質的に当該他者と共同してその事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該他者の営む事業の内容に従って判断されるべきものと解され,他方で,当該利益の分配を受ける者がこのような地位を有するものと認められない場合には,当該他者の営む 事業の内容にかかわらず,当該利益の分配を受ける者にとってその所得が有する性質に従って判断されるべきものと解される。そして,当該利益の分配を受ける者が上記地位を有するものといえるかどうかは,当該事業に至る経緯,当該事業に係る合意内容,当該事業に対する関与の程度等を総合して実質的に判断するのが相当である。 (2)ア前記認定事実によれば,Eらから本件宅地等の全部の買取りを打診され - 28 -た原告が,同業他社の出店を阻止することを目的とするとともに,本件宅地等が分譲事業に適していると考えて,日常的に交流のあるAに本件宅地等を対象とする分譲事業を提案したところ,Aにおいても本件宅地等の立地条件等が良好であると判断するなどしたため本件宅地等分譲が実施されることになったものである。そして,土地の分譲事業においては,一般的 に分譲の対象とする土地の選定が最も重要な要素の一つであると考えられるところ,本件宅地等分譲においては,上記のとおり,原告が分譲に適すると考えて提示した本件宅地等がそのまま分譲の対象とする土地として受け入れられており,本件覚書2において,Aと並んで原告が本件宅地等分譲の立案者と明示されていることも鑑みれば,本件宅地等分譲の重要な内 容の一つである土地の選定ひいては本件宅地等分譲の実施の決定に当たって原告が与えた影響は少なくないというべきである。 イまた,前記認定事実によれば,本件宅地等分譲の 件宅地等分譲の重要な内 容の一つである土地の選定ひいては本件宅地等分譲の実施の決定に当たって原告が与えた影響は少なくないというべきである。 イまた,前記認定事実によれば,本件宅地等分譲の対象とする本件宅地等は,立地条件に優れ,原告とAの双方が本件宅地等分譲において損失が発生することは想定していなかったが,本件宅地等には抵当権が設定されて いることに加え,地権者であるEらの性格等から,本件宅地等の取得に向けた折衝等に一定の困難が伴うことが原告及びAの共通認識となっており,本件宅地等分譲においては,本件宅地等の取得に係る部分が大きな課題であったところ,原告は,Aの求めに応じて,Eらとの折衝など本件宅地等の取得に向けた権利関係の整理等を主として原告において行うことを承諾 したものである。そして,原告は,実際に,AとEらとの間の本件基本協定の締結に立ち会い,基本協定書に署名押印して以降,Eらに各種確約書を提出させたり,Iに依頼してEに対して本件宅地等の売買契約の義務の履行に係る協定書を作成させるなどした上で,売買契約成立金としてIに300万円を支払ったりしているなど,Aが本件宅地等を分譲に適した状 態で取得するための各種対応を行っている。 - 29 -このように,原告は,Aとの合意において,本件宅地等の取得に向けた権利関係の整理等を主として原告が行うという本件宅地等分譲における重要な役割を担うこととされ,その合意に従い,本件宅地等の取得に向けた相当程度の対応を行っている。 ウまた,前記認定事実によれば,原告は,AのH銀行からの借入金につい て連帯して保証するにとどまらず,本件宅地等分譲に係る損益を,原告とAとで折半する旨を合意しているところ,原告が負担することになる損失には上限が定められて 原告は,AのH銀行からの借入金につい て連帯して保証するにとどまらず,本件宅地等分譲に係る損益を,原告とAとで折半する旨を合意しているところ,原告が負担することになる損失には上限が定められていないなど,原告が最終的に本件宅地等分譲から受ける経済的な損益の状況はAと同一のものであったほか,原告は,AのH銀行からの借入金債務につき,自ら主体的にH銀行と折衝し,数次にわた り,その利率を引き下げるといった行動にも出ているのであって,原告の本件宅地等分譲における資金面での関与は大きいものである(なお,原告とAとが本件宅地等分譲により損失が発生することを想定していなかったこと,本件宅地等分譲における各種経費は一次的にAが支払っていたことがあるとしても,最終的にはAと同様の損失を原告において負担する状況 にある以上,このように評価することが妨げられるものではない。)。 エ以上のことからすれば,原告は,本件宅地等分譲の内容面に関わる土地の選定あるいは本件宅地等分譲の実施の決定そのものに大きく関わり,しかも,Aと同一の経済的な利害関係の下において,本件宅地等の取得に係る地権者であるEらとの折衝などという本件宅地等分譲における不可欠か つ重要な役割を担っていたものであって,かかる原告とAとの合意の内容あるいは原告の実際の行動内容等に照らせば,原告が本件宅地等分譲において果たした役割は,単なる信用供与にとどまらず,その業務遂行の重要な場面にも及んでいたものであって,原告が本件宅地等分譲に相当程度関与していたものということができる。 (3) また,前記認定事実のとおり,原告とAは,本件宅地等分譲はAにおいて - 30 -行う旨を合意しているが,Aは,適宜の時期に,原告に対して,開発行為許可申請書等の各種書類 。 (3) また,前記認定事実のとおり,原告とAは,本件宅地等分譲はAにおいて - 30 -行う旨を合意しているが,Aは,適宜の時期に,原告に対して,開発行為許可申請書等の各種書類や本件宅地等分譲に係る事業収支の概算等の説明をして,その内容について原告から了承を得ているほか,原告は,平成7年5月1日,Aから本件宅地等分譲の区割りの説明を受けた際,説明を受けた区割りに強く反対する旨の意見を述べて,Jと対立する場面もあり,最終的には 原告がやむなく承諾することによって上記Aの説明した区割りにより分譲を行うこととなったものである。これらの事実に照らせば,原告としては,本件宅地等分譲の内容については,宅地等の分譲事業を専門に取り扱うAに相当程度委ねざるを得ない部分があったとしても,Aにおいて,原告の了承もないまま自らの判断のみをもって本件宅地等分譲を推し進めることまではで きなかったというのが相当であり,上記区割りに関する原告とAとの対立状況も鑑みれば,原告の了承は形式的なものにとどまらず,必要に応じて意見を述べるなどの一定程度の実質を伴ったものであったというべきである。 したがって,原告としては,本件宅地等分譲の重要な意思決定に関わることのできる立場にあったものと評価できる。 (4) 以上のとおり,原告が,本件宅地等分譲において果たした役割あるいは関与の程度に加え,原告が本件宅地等分譲の意思決定に関わり得る地位にあったことに鑑みれば,原告は,本件宅地等分譲に関して,実質的にAと共同してその事業を営む者としての地位を有するものと認めるのが相当である。 (5)アこれに対し,被告は,原告は,EらとAとの本件基本協定及び売買契約 の締結や確約書の作成に立ち会ったにすぎず,Aによる本件宅地等に係る 地位を有するものと認めるのが相当である。 (5)アこれに対し,被告は,原告は,EらとAとの本件基本協定及び売買契約 の締結や確約書の作成に立ち会ったにすぎず,Aによる本件宅地等に係る処分禁止の仮処分の申立て等に当たっても,弁護士との打合せに同行したにすぎないことから,本件宅地等を取得する際に発生した問題を解決したのはAであると主張する。 しかしながら,土地を取得するに当たっては,地権者との折衝が重要で あり,折衝によって売買契約の内容が定まるものであるから,折衝に関与 - 31 -したことそのものが,本件宅地等の取得に向けた重要な関与といえるし,確約書についても,前記認定事実のとおり,原告においてEらに提出させたものであって,単にその作成に立ち会ったにすぎないものとはいえない。 また,本件宅地等に係る上記仮処分の申立て等についても,弁護士が受任して行っていることからすれば,その実質的な訴訟活動等は当該弁護士が 行っていることがうかがわれ,単にAが申立人等となったということのみをもって,Aが本件宅地等を取得する際に発生した問題を解決したとの主張は,その形式的な側面を過度に重視するものであり,適当とはいえない。 したがって,上記被告の主張をもって,原告の本件宅地等分譲に係る関与の程度が低いということはいえない。 イまた,被告は,原告が本件宅地等の区割りについて意見を述べても区割りが変更されなかったように,原告がAから受けていたのは単なる報告にすぎず,本件宅地等分譲に係る意思決定をしたり,Aの業務執行を監督したりしていたなどとは認められないと主張する。 しかしながら,前記認定事実のとおり,原告は,Aが提案する本件宅地 等の区割りに反対したものの,Aが区割りに関する意見 業務執行を監督したりしていたなどとは認められないと主張する。 しかしながら,前記認定事実のとおり,原告は,Aが提案する本件宅地 等の区割りに反対したものの,Aが区割りに関する意見を曲げなかったため,やむなく不動産業の専門家であるAの提案に同意したというのであり,本件宅地等の区割りが変更されなかったのは,原告が専門家であるAの意見を最終的には尊重し,自身の意見を取り下げた結果にすぎないというべきである。そして,原告がAの提案した区割りに強く反対したという事実 は,その専門性の違いゆえに場面は限定的であったにせよ,原告が本件宅地等分譲に係る意思決定に関与し得る立場にあったことをうかがわせるものといえるのであって,被告の上記主張は採用することができない。 ウ被告は,原告が本件宅地等分譲に関わっていたのは当初の3年足らずにすぎないとも主張するが,Aが本件宅地等を取得した後は,本件宅地等を 開発して分譲する段階となり,それ以降は宅地建物取引業の資格を有しな - 32 -い原告が関与する機会が少なくなるのは当然であるし,前記認定事実によれば,原告とAは,本件宅地等分譲を開始した当初,1年程度で本件宅地等が完売することを想定していたのであって,当該想定に反して本件宅地等の分譲が進まず,本件宅地等分譲が長期化したにすぎないものであり,これらの事情を踏まえると,本件宅地等分譲が完了するまでの全体の期間 から見た場合に,原告が関与した期間が少ないとしても,原告の関与が希薄であるなどと評価することは適当ではない。 エさらに,被告は,原告が,別件訴訟の時点においては,共同事業ではないという感情であった旨を供述していることから(原告11頁~12頁),別件訴訟以前は,原告自身も本件宅地等分譲がAとの共同事業で エさらに,被告は,原告が,別件訴訟の時点においては,共同事業ではないという感情であった旨を供述していることから(原告11頁~12頁),別件訴訟以前は,原告自身も本件宅地等分譲がAとの共同事業であるとい う認識ではなかったとして,本件宅地等分譲は共同事業ではないと主張する。 しかしながら,既に述べたとおり,本件宅地等分譲において,原告がAと共同して事業を営む者としての地位を有するか否かは,事業に至る経緯や当該事業に係る合意内容,当該事業に対する関与の程度等を総合して実 質的に判断すべきものであり,原告の単なる主観的な認識のみをもって,本件宅地等分譲が原告とAとの共同事業か否かという点に係る評価が左右されるものでもない。 (6) 以上を前提にすると,原告がAから本件宅地等分譲により生じた利益の分配を受けることに係る所得区分は,Aの営む事業の内容に従って判断され るべきことになるところ,Aは不動産売買に関する事業等を目的とする株式会社であり,本件宅地等分譲はAが目的とする事業そのものであることに照らせば,原告が本件宅地等分譲により生じた利益の分配を受けることに係る所得区分は事業所得に当たり,本件損失負担金は,原告の事業所得の必要経費になるというべきである。 3 争点(2)(本件宅地等分譲が所得税法上の事業所得を生ずべき事業に当たると - 33 -した場合,本件各費用が必要経費に当たるか)について(1) 所得税法37条1項は,その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費,一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務につ いて生じた費 あるものを除き,これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費,一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務につ いて生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする旨を規定しているところ,ここにいう必要経費に当たるというためには,当該支出が事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な費用であることを要すると解される。 (2) 本件各費用は,別件訴訟に要した弁護士費用及び訴訟費用であるところ, 別件訴訟は,原告とAとの間の本件宅地等分譲により生じた損失の負担をめぐる訴訟であり,本件各費用は,本件宅地等の販売等そのものに係る業務の遂行等に必要なものとして生じた費用ではなく,被告が主張するように本件宅地等分譲そのものの遂行上必要となったものとはいえない。 しかしながら,本件宅地等分譲に係る原告に生じる所得は,本件宅地等の 販売等によって生じた利益そのものではなく,飽くまでAから分配を受けることになる利益であり,その利益が原告にとっての事業所得となるものであることからすれば,本件宅地等分譲により生じた利益をAから分配を受けることまでが原告にとっての事業所得を生ずべき業務であると解するのが相当である。そうすると,原告にとっての事業所得を生ずべき業務には,Aから 受ける利益及び損失の分配に係るものも含まれるというべきであり,Aとの損失の負担に係る別件訴訟に要した本件各費用は,原告の事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な費用に当たるというべきである。 (3) そして,前記前提事実及び証拠(甲1,甲68・13頁,甲73,甲74)及び弁論の全趣旨によれば,別件訴訟の控訴審の判決は,平成21年2月1 0日に確定しているところ, うべきである。 (3) そして,前記前提事実及び証拠(甲1,甲68・13頁,甲73,甲74)及び弁論の全趣旨によれば,別件訴訟の控訴審の判決は,平成21年2月1 0日に確定しているところ,原告は,同年6月9日,Q弁護士に対して,別 - 34 -件訴訟の第一審から上告審までの弁護士費用(報酬金)として1500万円(うち消費税71万4285円)(本件弁護士費用)を,同年9月3日,別件訴訟の結果に従い,Aに対して,訴訟費用として170万3400円(うち消費税8万1114円)(本件訴訟費用)をそれぞれ支払っていること,原告は,本件宅地等分譲以外も事業を営んでおり,平成21年においても事 業所得が生じていることが認められることからすれば,本件各費用は,原告の平成21年分の事業所得の必要経費として控除されることになる(なお,本件各費用について,それが原告の事業所得の必要経費に当たる場合,平成21年分の事業所得の必要経費として控除されることは当事者間に争いがない。)。 4 争点(3)(本件損失負担金を平成21年分の事業所得の必要経費として控除できるか)について(1) 所得税法37条1項は,必要経費に関して,その年における販売費,一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする旨を規 定しており,いわゆる債務確定主義を採用しているものと解されるところ,債務が確定したというためには,①当該費用に係る債務が成立していること,②当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること,③その金額を合理的に算定することができるものであることを要するものと解される(所基通37-2参照)。 ところで,所 に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること,③その金額を合理的に算定することができるものであることを要するものと解される(所基通37-2参照)。 ところで,所得税法36条1項は,その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,その年において収入すべき金額とする旨を規定し,いわゆる権利確定主義を採用しているものと解されるところ,所得税法がいわゆる権利確定主義を採用したのは課税に当たって常に現実収入のときまで課税できな いとしたのでは,納税者の恣意を許し,課税の公平を期し難いので,徴税政 - 35 -策上の技術的見地から,収入の原因となる権利の確定した時期を捉えて課税することにしたものであるところ(最高裁昭和39年(あ)第2614号同40年9月8日第二小法廷決定・刑集19巻6号630頁,同昭和43年(オ)第314号同49年3月8日第二小法廷判決・民集28巻2号186頁,同50年(行ツ)第123号同53年2月24日第二小法廷判決・民集32巻 1号43頁参照),上記債務確定主義もこれと同様の趣旨に基づくものと解され,債務が確定する時期はそれぞれの債務の特質を考慮し決定されるべきものと解される。 (2) 原告は,原告とAとの間に係る本件宅地等分譲の合意において損失負担金の計算方法や計算の基となる収入及び費用が一義的に定まらず,別件訴訟の 控訴審の判決が確定するまで,その合意の内容を確定して当該合意に基づいて原告に配賦される本件損失負担金の額を適正に見積もることは不可能であったとして,本件損失負担金に係る債務が確定したのは,上記判決が確定した平成21年2月10日であると主張する。 しかしながら,原告のAに対 本件損失負担金の額を適正に見積もることは不可能であったとして,本件損失負担金に係る債務が確定したのは,上記判決が確定した平成21年2月10日であると主張する。 しかしながら,原告のAに対する本件損失負担金に係る債務は,原告とA との間でされた損失負担の合意に基づくものである上,Aが,本件事業継続期間において,本件宅地等分譲に係る収支をAのものとして計算するなどして法人税の確定申告書を提出していたこと(乙13,乙14)からもうかがわれるように,本件宅地等分譲に係る各種費用の算定が困難であるともいえないのであり,かかる本件損失負担金に係る債務の性質に照らせば,本件損 失負担金に係る原告のAに対する債務は,別件訴訟の控訴審の判決の確定を待つまでもなく,その金額を合理的に算定できるものであったといえ,別件訴訟において本件宅地等分譲に係る損失負担の合意等に争いがあったとしても,それは単に本件損失負担金に係る債務の存否等につき,主観的に判断ができなかったというにとどまるものというべきである。 そして,前記認定事実のとおり,本件宅地等分譲は,平成20年6月16 - 36 -日に本件宅地等の全ての売却が完了しており,本件宅地等分譲に係る損益については,本件宅地等が完売した際に精算するものであったという原告の供述(原告22~23頁)等を前提にしても,遅くとも同日時点では,原告のAに対する本件損失負担金に係る債務が成立し,原告が,当該債務に基づき,Aに対して,本件損失負担金に係る金銭の給付をすべき原因となる事実が発 生していたというべきである。 そうすると,本件損失負担金に係る必要経費については,少なくとも原告の平成21年分の事業所得の計算において控除することはできないというべきである。 生していたというべきである。 そうすると,本件損失負担金に係る必要経費については,少なくとも原告の平成21年分の事業所得の計算において控除することはできないというべきである。 5 争点(4)(本件弁護士費用が消費税法上の課税仕入れに係る支払対価に当たる か)について消費税法2条1項12号は,課税仕入れにつき,事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供を受けることをいう旨を規定しているところ,前記2及び3のとおり,本件宅地等分譲は,原告にとって事業所得を生ずべき事業に当たり,Aとの損失の負担に係る別件訴訟 に関して,弁護士に委任して役務の提供を受けることも,当該事業の業務の遂行に必要なものというべきであるから,本件弁護士費用は,課税仕入れに係る支払対価に当たるというべきである(なお,本件弁護士費用について,それが原告の事業所得に係る必要経費に当たる場合には,消費税法上の課税仕入れに係る支払対価にも当たることは当事者間に争いがない。)。 6 本件各更正処分等の適法性(1) 本件所得税更正処分の適法性ア原告の平成21年分の事業所得の必要経費として本件各費用を控除できる一方,同必要経費として本件損失負担金を控除できないことは前記のとおりであり,これを前提とすると,原告の平成21年分の所得税額等は次 のとおりとなる。 - 37 -(ア) 総所得金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「①」欄)9381万3527円上記金額は,次のaからdまでの各金額の合計額である。 a 事業所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「②」欄)7895万5750円 上記金額は,原告が平成24年11月28日付けで提出した平成21年分の所得税の本件 各金額の合計額である。 a 事業所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「②」欄)7895万5750円 上記金額は,原告が平成24年11月28日付けで提出した平成21年分の所得税の本件所得税修正申告書に記載された事業所得の金額△1億1056万3762円に,次の(a)及び⒝の各金額の合計額1億8951万9512円を加算した金額である。 (a) 本件損失負担金 1億8951万9413円 (b) 雑収入金額 99円上記金額は,原告が総勘定元帳の雑損失勘定(乙2)に本件訴訟費用に係る「消費税額」として仮払いで計上した8万1114円及び本件弁護士費用に係る「消費税額」として仮払いで計上した71万4285円の合計額79万5399円から本件消費税等更正処分に より原告が新たに納付すべきことになった税額79万5300円(甲2)を差し引いた金額である。 b 不動産所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「③」欄)31万1277円上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された不動産所得の金額 と同額である。 c 給与所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「④」欄)699万円上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された給与所得の金額と同額である。 d 総合譲渡所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑤」欄) - 38 -755万6500円上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された総合譲渡所得の金額と同額である。 (イ) 株式等の譲渡所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑥」欄)8億0250万円 上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された株式等の譲渡所得の金額と同額である。 (ウ) 退職所得の金額(別表1「 渡所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑥」欄)8億0250万円 上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された株式等の譲渡所得の金額と同額である。 (ウ) 退職所得の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑦」欄)2億0120万円上記金額は,所得税法30条2項(平成24年法律第16号による改 正前のもの)の規定に基づき,原告が平成22年3月10日付けで提出した平成21年分の所得税の確定申告書(乙3の1。以下「本件所得税確定申告書」という。)に添付された有限会社Rの退職所得の源泉徴収票(乙3の2)の支払金額4億1000万円から退職所得控除額760万円を控除した残額の2分の1の金額である。 (エ) 所得控除の額の合計額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑧」欄)189万4204円上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された社会保険料控除の金額45万6464円,生命保険料控除の金額4万7740円,扶養控除の金額101万円及び基礎控除の金額38万円の合計額である。 (オ) 課税総所得金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑨」欄)9191万9000円上記金額は,前記(ア)の総所得金額9381万3527円から,前記(エ)の所得控除の額の合計額189万4204円を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項により1 000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 - 39 -(カ) 株式等に係る課税譲渡所得等の金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑩」欄)7億7400万7000円上記金額は,租税特別措置法(以下「措置法」という。)37条の12の2第6項の規定に基づき,前記(イ)の株式等の譲渡所得の金額8億 7億7400万7000円上記金額は,租税特別措置法(以下「措置法」という。)37条の12の2第6項の規定に基づき,前記(イ)の株式等の譲渡所得の金額8億0 250万円から,本件所得税確定申告書に添付された平成21年分の所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)(乙3の3)2面に記載された前年及び前々年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(本年の2年前分(平成19年分)の金額639万3760円及び本年の前年分(平成20年分)の金額2209万87 19円)の合計額2849万2479円を差し引いた後の金額(ただし,通則法118条1項により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (キ) 課税退職所得金額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑪」欄)2億0120万円 上記金額は,前記(ウ)の退職所得の金額と同額である。 (ク) 納付すべき税額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑲」欄)1億3985万8900円上記金額は,次のaの金額からb及びcの金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項により100円未満の端数を切り捨てた後 のもの)である。 a 算出税額の合計額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑮」欄)2億2775万6650円上記金額は,次の(a)から⒞までの各金額の合計額である。 (a) 課税総所得金額に対する税額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑫」 欄) - 40 -3397万1600円上記金額は,前記(オ)の課税総所得金額9191万9000円に所得税法89条1項(平成25年法律第5号による改正前のもの。 以下同じ。)の規定に基づき,所定の税率を乗じて算出した税額である。 ( 金額は,前記(オ)の課税総所得金額9191万9000円に所得税法89条1項(平成25年法律第5号による改正前のもの。 以下同じ。)の規定に基づき,所定の税率を乗じて算出した税額である。 (b) 株式等に係る課税譲渡所得等の金額に対する税額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑬」欄)1億1610万1050円上記金額は,前記(カ)の株式等に係る課税譲渡所得等の金額7億7400万7000円に措置法37条の10第1項(平成22年法律 第6号による改正前のもの)に基づき,100分の15の税率を乗じて算出した税額である。 (c) 課税退職所得金額に対する税額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑭」欄)7768万4000円 上記金額は,前記(キ)の課税退職所得金額2億0120万円に所得税法89条1項の規定に基づき,所定の税率を乗じて算出した税額である。 b 源泉徴収税額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑯」欄)8063万8900円 上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された源泉徴収税額の金額と同額である。 c 予定納税額(別表1「当裁判所の認定」欄の「⑱」欄)725万8800円上記金額は,本件所得税修正申告書に記載された予定納税額の金額 と同額である。 - 41 -イ本件所得税更正処分の適法性前記アのとおり,原告の平成21年分の所得税について納付すべき税額等を計算した結果は,別表1「当裁判所の認定」欄記載のとおりであるから,本件所得税更正処分のうち,総所得金額9381万3527円,納付すべき税額1億3985万8900円を超える部分は違法である。 (2) 本件所得税賦課決定の適法性前記(1)のとおり,原告の平成21年分の所得税について納付すべ 81万3527円,納付すべき税額1億3985万8900円を超える部分は違法である。 (2) 本件所得税賦課決定の適法性前記(1)のとおり,原告の平成21年分の所得税について納付すべき税額は1億3985万8900円であるところ,原告に課されるべき所得税に係る過少申告加算税の額は,通則法65条1項(平成28年法律第15号による改正前のもの。以下同じ。)に基づき,本件所得税更正処分により原告が新 たに納付すべきことになった税額7253万円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)を基礎として,これに100分の10の割合を乗じて算出した725万3000円となるから,本件所得税賦課決定処分のうち,この金額を超える部分は違法である。 (3) 本件消費税等更正処分の適法性 ア本件弁護士費用が原告の課税仕入れに係る支払対価に当たることは前記のとおりであり,これを前提とすると,本件課税期間に係る原告の消費税額等は次のとおりとなる。 (ア) 課税標準額(別表2「みなす審査請求」欄の「①」欄)9億1550万5000円 上記金額は,本件消費税等修正申告書に記載された課税標準額と同額である。 (イ) 課税標準額に対する消費税額(別表2「みなす審査請求」欄の「②」欄)3662万0200円 上記金額は,前記(ア)の金額に消費税法(平成24年法律第68号によ - 42 -る改正前のもの。以下同じ。)29条に規定する税率100分の4を乗じて算出した金額である。 (ウ) 控除対象仕入税額(別表2「みなす審査請求」欄の「③」欄)3129万4465円上記金額は,本件消費税等修正申告書付表2(乙4)の「課税仕入れに 係る支払対価の額(税込み)⑧」欄の金 (ウ) 控除対象仕入税額(別表2「みなす審査請求」欄の「③」欄)3129万4465円上記金額は,本件消費税等修正申告書付表2(乙4)の「課税仕入れに 係る支払対価の額(税込み)⑧」欄の金額8億2318万3097円から,原告が別件訴訟の結果に従いAに対し支払った訴訟費用170万3400円(消費税等相当額8万1114円を含む。)を減算した金額8億2147万9697円に,消費税法30条1項の規定に基づき,105分の4を乗じて算出した金額である。 (エ) 差引税額(別表2「みなす審査請求」欄の「④」欄)532万5700円上記金額は,前記(イ)の金額から前記(ウ)の金額を控除した金額(ただし,通則法119条1項により,100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (オ) 中間納付税額(別表2「みなす審査請求」欄の「⑤」欄)194万3800円上記金額は,本件消費税等修正申告書に記載された中間納付税額と同額である。 (カ) 納付すべき消費税額(別表2「みなす審査請求」欄の「⑥」欄) 338万1900円上記金額は,前記(エ)の金額から前記(オ)の金額を控除した金額である。 (キ) 地方消費税の課税標準額(別表2「みなす審査請求」欄の「⑦」欄)532万5700円 上記金額は,地方税法72条の77第2号及び72条の82の規定に - 43 -より,地方消費税の課税標準となる金額である。 (ク) 譲渡割額(別表2「みなす審査請求」欄の「⑧」欄)133万1400円上記金額は,前記(キ)の金額に地方税法72条の83(平成24年法律第69号による改正前のもの)に規定する税率100分の25を乗じて算 出した金額(ただし,地方税法附則9条の6第1項及び通則法119条1項に 記(キ)の金額に地方税法72条の83(平成24年法律第69号による改正前のもの)に規定する税率100分の25を乗じて算 出した金額(ただし,地方税法附則9条の6第1項及び通則法119条1項により,100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (ケ) 中間納付譲渡割額(別表2「みなす審査請求」欄の「⑨」欄)48万5900円上記金額は,本件消費税等修正申告書に記載された中間納付譲渡割額 と同額である。 (コ) 納付すべき譲渡割額(別表2「みなす審査請求」欄の「⑩」欄)84万5500円上記金額は,前記(ク)の金額から前記(ケ)の金額を控除した金額である。 (サ) 納付すべき消費税等の額(別表2「みなす審査請求」欄の「⑪」欄)422万7400円上記金額は,前記(カ)の金額と前記(コ)の金額の合計額である。 イ前記アのとおり,原告の本件課税期間について納付すべき消費税等の額等を計算した結果は,別表2「みなす審査請求」欄記載のとおりであるか ら,本件消費税等更正処分のうち,納付すべき消費税額338万1900円,納付すべき譲渡割額(地方消費税額)84万5500円(これらを合計した納付すべき消費税等の額は422万7400円)を超える部分は違法である。 (4) 本件消費税等賦課決定処分の適法性 前記(3)のとおり,原告が本件課税期間に係る納付すべき消費税等の額は4 - 44 -22万7400円であるところ,原告に課されるべき消費税等に係る過少申告加算税の額は,通則法65条1項に基づき,本件消費税等更正処分により原告が新たに納付すべきことになった税額8万円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)を基礎として,これに100分の10の割合を乗じて 件消費税等更正処分により原告が新たに納付すべきことになった税額8万円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの)を基礎として,これに100分の10の割合を乗じて算出した8000円となるから,本件消費 税等賦課決定処分のうち,この金額を超える部分は違法である。 第4 結論以上によれば,本件所得税更正処分等につき,本件所得税更正処分のうち総所得金額9381万3527円,納付すべき税額1億3985万8900円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち725万3000円を超える部 分,本件消費税等更正処分等につき,本件消費税等更正処分のうち納付すべき消費税額338万1900円,納付すべき譲渡割額(地方消費税額)84万5500円及び過少申告加算税の賦課決定処分のうち8000円を超える部分は,いずれも違法であり,取り消されるべきものである。 よって,原告の請求は,上記の限度で理由があるからこれらを認容することと し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官林俊之 裁判官衣斐瑞穂 - 45 - 裁判官池田好英(別紙1省略)(別表1省略)(別表2省略)
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