昭和44(し)3 事件を回付する決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告

裁判年月日・裁判所
昭和44年3月25日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件抗告の趣意は、別紙特別抗告状記載のとおりである。  抗告趣意第一点は、判例違反を主張する。すなわち、原決定は、地方裁

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判決文本文1,983 文字)

主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件抗告の趣意は、別紙特別抗告状記載のとおりである。  抗告趣意第一点は、判例違反を主張する。すなわち、原決定は、地方裁判所の支 部に係属した事件を本庁または他の支部に係属させること(以下事件の回付という。) は、地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則(昭和二二年最高裁判所規則第一四号、 以下地方裁判所等支部設置規則という。)並びに裁判官会議の定めるところに従つ てなすべきものであつて、地方裁判所内部の事務の分配にすぎず、訴訟法上の管轄 に関するものではなく、また、これに準じて処理すべきものでもないから、訴訟法 上の抗告の対象となし得ないと判断しているが、右判断は、事件の回付に対しても 訴訟法上の抗告をなし得るとする判例(昭和四二年(ラ)第三六四号、第三六五号 同年七月一四日東京高等裁判所決定、民集二〇巻四号三二九頁)に違反する、とい うのである。  ところで、憲法七七条一項、裁判所法三一条一項に基づき、最高裁判所は、裁判 所の司法事務処理に関する事項として、地方裁判所等支部設置規則を制定し、地方 裁判所の支部の名称、権限、管轄区域を定めている。右規則により設けられた地方 裁判所の支部は、地方裁判所の事務の一部を取り扱うため、本庁の所在地を離れて 設けられたものであるが、原則として、独立の司法行政権を与えられていないから、 それ自体司法行政官庁ではなく、司法行政官庁としての本庁に包摂され、外部に対 しては本庁と一体をなすものであつて、支部の権限、管轄区域は、裁判所内部の事 務分配の基準にすぎないものと解すべきである。  所論引用の判例は、「地方裁判所の本庁と支部又は支部相互間に上記規則によつ て、それぞれ管轄区域が定められた所以は、本来国民に対する司法行政上の便益供 - 1 - 与に出たものにすぎ 解すべきである。  所論引用の判例は、「地方裁判所の本庁と支部又は支部相互間に上記規則によつ て、それぞれ管轄区域が定められた所以は、本来国民に対する司法行政上の便益供 - 1 - 与に出たものにすぎないとしても、確立された管轄区域によつて、一たん保護され るに至つた国民の権利は、単なる事務取扱上の措置を理由に任意に剥奪されうるが ごときものと謂うを得ない。」という。しかし、訴訟法上の管轄は、国民の基本的 権利に直接関係あるものとして、本来法律で定められるべき事項であり、現にこの 点については、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律(昭和二二年法律第六 三号)によつて規定されているのである。管轄によつて保護される国民の法的利益 は、右の法律をもつて限度とされていることは極めて明らかであり、国民の便宜供 与の目的に出るとはいいながら、裁判所の司法事務処理に関する事項として制定さ れた地方裁判所等支部設置規則による管轄区域の定めは、裁判所内部の事務分配の 定めであるにすぎず、この定めによつて、国民が何らかの利益を受けるとしても、 それは、単に国民の事実上の利益にとどまり、法的利益にまで高められたものとは いえない。したがつて、地方裁判所の本庁と支部間あるいは支部相互間の事件の回 付は、訴訟法上の手続ではないから、回付の措置に対しては、当事者は、訴訟法に 準拠する不服申立はできないものといわなければならない。  以上の次第で、所論引用の判例は、これを変更し、原判断を維持するのが相当で あると認められるから、所論は、結局、理由なきに帰する。  つぎに、抗告趣意第二点は、事件の回付の性質につき、原決定の法令解釈は誤り であり、所論引用の判例に違反することを前提として、原決定の憲法三二条、三七 条一項違反を主張する。しかし、事件回付の性質に関する原決定の法令解釈は正当 であるから、所 質につき、原決定の法令解釈は誤り であり、所論引用の判例に違反することを前提として、原決定の憲法三二条、三七 条一項違反を主張する。しかし、事件回付の性質に関する原決定の法令解釈は正当 であるから、所論違憲の主張は前提を欠き、採用することができない。  よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文 のとおり決定する。   昭和四四年三月二五日      最高裁判所第三小法廷 - 2 -          裁判長裁判官    田   中   二   郎             裁判官    下   村   三   郎             裁判官    松   本   正   雄             裁判官    飯   村   義   美             裁判官    関   根   小   郷 - 3 -

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