【DRY-RUN】主 文 原決定および第一審決定のうち、白井裁判官に対する忌避に関する部分 を取り消し、これを福岡地方裁判所に差し戻す。 真庭裁判官に対する忌避に関する本件抗告を棄却する。
主 文 原決定および第一審決定のうち、白井裁判官に対する忌避に関する部分 を取り消し、これを福岡地方裁判所に差し戻す。 真庭裁判官に対する忌避に関する本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告趣意は、別紙のとおりである。 所論にかんがみ、職権により調査するに、原決定およびその維持する第一審決定 のうち、裁判官白井博文に対する忌避に関する部分は、取り消しを免れないが、裁 判官真庭春夫に対する忌避に関する部分については、本件抗告を棄却すべきものと 考える。その理由は、以下のとおりである。 まず、白井裁判官に対する忌避に関する部分について判断する。 刑訴法および刑訴規則は、公平な裁判所による公平な裁判を保障することを目的 として、その総則において、一定の事由の存するときは、裁判官は当然に職務の執 行から除斥されるべきことを規定し(刑訴法二〇条)、その実効を期するため、右 除斥事由があるとき、または不公平な裁判をする虞があるときは、検察官および被 告人に忌避の申立権を認めるとともに(同法二一条一項)、裁判官は、忌避事由が あると思料するときは、みずから回避しなければならない旨を規定している(刑訴 規則一三条一項)。除斥、忌避および回避の制度は、窮極においては、終局判決の 公正を期するものではあるが、それは、単に公判手続における裁判官の職務執行を 対象とするにとどまらず、広く裁判官の職務執行一般を対象とするものであること は、右規定が総則に存するという条文の配置およびその文言上明らかであるといわ なければならない。 本件において、申立人らの忌避の申立は、付審判請求事件(刑訴法二六二条)の 審理を担当する地方裁判所の合議体(同法二六五条一項)を構成する裁判官を対象 - 1 - とするものである。付審判請求は、現行法において、はじめ 立人らの忌避の申立は、付審判請求事件(刑訴法二六二条)の 審理を担当する地方裁判所の合議体(同法二六五条一項)を構成する裁判官を対象 - 1 - とするものである。付審判請求は、現行法において、はじめておかれた制度である が、それは、特殊の犯罪について、検察官の不起訴処分の当否に対する審査を裁判 所に委ねたものであり、その審査にあたる裁判所は、いうまでもなく、職務の独立 性を保障された裁判官をもつて構成され、かつ、その権限は極めて広範なものであ る(刑訴法二六五条二項)。かような裁判所を構成する裁判官について、その職務 執行の公正を期するため、除斥、忌避および回避の規定の適用のあることは、その 制度のおかれた趣旨等にかんがみるときは、いうをまたずして明らかである。 もつとも、刑訴法二〇条二号、三号、五号および二一条一項には、「被告人」の 文言が使用され、あたかも、公訴提起の後にのみ、右諸規定の適用があるかのごと くである。しかし、法律の条文は、文理による解釈ももとより重要ではあるが、必 ずしもこれのみにとらわれることなく、立法の沿革、制度の趣旨等を広く考慮し、 目的論的な見地から合理的な解釈をする必要があることも、また、多言を要しない ところである。したがつて、刑訴法二〇条二号、三号、五号および二一条一項に、 被告人の文言が使用されていることは、付審判請求事件について、裁判官の除斥、 忌避および回避の諸規定が適用されるとする解釈の妨げとなるものではない。 以上の次第で、刑訴法二一条一項に忌避申立権者として定められた被告人には、 当然に付審判請求事件の被疑者も含まれると解しなければならない。これに反する 原決定およびその維持する第一審決定は、同条項の解釈、適用を誤まつたものであ り、これを取り消さなければ著しく正義に反すると認められる。よつて、憲法三七 条一項違反の論旨に ければならない。これに反する 原決定およびその維持する第一審決定は、同条項の解釈、適用を誤まつたものであ り、これを取り消さなければ著しく正義に反すると認められる。よつて、憲法三七 条一項違反の論旨につき判断するまでもなく、職権により、原決定および第一審決 定のうち、白井裁判官に対する忌避に関する部分を取り消し、さらに審理を尽くさ せるため、これを第一審裁判所に差し戻すべきものである。 次に、真庭裁判官に対する忌避に関する部分について判断する。 真庭裁判官が、昭和四四年八月五日付で宮崎地方裁判所に転補され、本件の付審 - 2 - 判請求事件の審理を担当する裁判所の合議体の構成を離れたことは、当裁判所に顕 著な事実である。したがつて、真庭裁判官に対する忌避の申立は、その対象をうし ない、現在においては、同裁判官に対する忌避の申立を却下した第一審決定および これを維持した原決定を取り消す実益を欠くに至つたというべきであるから(昭和 二六年(し)第九六号同二九年四月二六日大法廷決定、刑集八巻四号五三九頁参照)、 結局、この部分に関する本件抗告は、論旨につき判断するまでもなく、棄却を免れ ない。 よつて、主文第一項につき、刑訴法四三四条、四二六条二項を、主文第二項につ き、同法四三四条、四二六条一項を適用し、裁判官全員一致の意見で、主文のとお り決定する。 昭和四四年九月一一日 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 岩 田 誠 裁判官 入 江 俊 郎 裁判官 長 部 謹 吾 裁判官 松 田 二 郎 裁判官 大 隅 健 一 郎 - 3 - 長 部 謹 吾 裁判官 松 田 二 郎 裁判官 大 隅 健 一 郎 - 3 -
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