- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人川口和子の上告趣意は,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,被告人がわずか18日の間に,遊興費等を得る目的で一人暮らしの女性宅2軒に侵入して各1名を殺害の上,現金合計約66万7000円などを強取した2件の住居侵入・強盗殺人のほか,金品窃取目的での住居ないし建造物侵入窃盗4件,建造物侵入,占有離脱物横領各1件を犯したという事案である。 これらのうち2件の強盗殺人等における各犯行の態様は,いずれも被害女性宅に侵入して殺害の上金品を強奪しようなどと企て,凶器を携帯して侵入し,長時間にわたり帰宅を待ち伏せ,あるいは犯行の機会をうかがって敢行した計画的なもので,しかも各被害女性のけい部を手で強く絞め付けた後,被害者の心音を聞いて死亡を確認したり,あるいは息を吹き返すことのないようビニールひもをけい部に巻き付けて縛って固定するなどしており,殺害に対する強固な意思の認められる甚だ執ようかつ冷酷,残忍なものである。パチンコやカラオケスナックなどの遊興にふけって借金を重ねた挙げ句に家出をし,生活費や遊興費を得るために,本件各犯行に及んだ動機や犯行に至る経緯に酌むべき事情は見いだし得ない。2名の生命を奪った結果は極めて重大であって,遺族らの処罰感情は非常に厳しく,本件が社会に与えた影響も大きい。 - 2 -以上のような諸事情に照らすと,被告人が本件に対する反省悔悟の情を示していること,その不遇な成育歴等,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,本件各犯行についての被告人の刑事責任は,極めて重大であり,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれ 示していること,その不遇な成育歴等,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,本件各犯行についての被告人の刑事責任は,極めて重大であり,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官酒井邦彦公判出席(裁判長裁判官那須弘平裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官田原睦夫)
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