令和2(ワ)25891 特許権侵害に基づく損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年12月23日 東京地方裁判所
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令和4年12月23日判決言渡同日原本交付裁判所書記官令和2年(ワ)第25891号特許権侵害に基づく損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和4年11月4日判決原告アールジエイレイノルズタバコカンパニー原告ニコベンチャーズトレーディングリミテッド原告ら訴訟代理人弁護士設樂隆一同大野聖二同小林英了同高橋美智留原告ら訴訟復代理人弁護士井深大同深沢正志原告ら訴訟代理人弁理士松野知紘被告フィリップ・モリス・ジャパン合同会社被告双日株式会社被告ら訴訟代理人弁護士田中昌利同小原淳見同中島慧同中所昌司同福原裕次郎 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、原告アールジエイレイノルズタバコカンパニーに対し、連帯して、1億円及びこれに対する令和2年10月31日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 被告らは、原告ニコベンチャーズトレーディングリミテッドに対し、連帯して、1億円及びこれに対する令和 0月31日(訴状送達の日の翌日) から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 被告らは、原告ニコベンチャーズトレーディングリミテッドに対し、連帯して、1億円及びこれに対する令和2年10月31日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 3 仮執行宣言 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、 発明の名称を「フィルタ内に管状要素を含むフィルタ付シガレット」とする特許権を有する原告アールジエイレイノルズタバコカンパニー(以下「原告レイノルズ」という。)及び原告レイノルズから同特許権について独 占的通常実施権の許諾を受けた原告ニコベンチャーズトレーディングリミテッド(以下「原告ニコベンチャーズ」という。)のそれぞれが、被告フィリップ・モリス・ジャパン合同会社(以下「被告フィリップ・モリス」という。)が輸入、販売、販売の申出をし、被告双日株式会社(以下「被告双日」という。)が輸入販売している製品が特許発明の技術的範囲に属するとして、民法709条及び 特許法102条3項に基づき、被告らに対して1億円及び不法行為の後の日である訴状送達の日の翌日である令和2年10月31日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の連帯支払を請求する事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実) ア原告レイノルズは、ニコチンたばこの製造、販売及び輸出入等を業とす る米国法人である。(弁論の全趣旨)イ原告ニコベンチャーズは、加熱式たばこ製品及びニコチン等関連製品の開発及び商業化を業とする英国法人である。(弁論の全趣旨)ウ被告フィリップ・モリスは、たばこ及びたばこ関連製品のマーケティング、 原告ニコベンチャーズは、加熱式たばこ製品及びニコチン等関連製品の開発及び商業化を業とする英国法人である。(弁論の全趣旨)ウ被告フィリップ・モリスは、たばこ及びたばこ関連製品のマーケティング、輸入、販売及びプロモーションを業とする法人である。(争いなし) エ被告双日は、たばこ及びたばこ関連製品の販売及び輸入を業とする法人である。(争いなし)原告レイノルズは、以下の特許権(以下、「本件特許権」といい、本件特許権に係る特許を「本件特許」という。)を有している。(甲1)特許番号特許第6131244号 発明の名称フィルタ内に管状要素を含むフィルタ付シガレット優先日平成23年4月8日(以下「本件優先日」という。)出願日平成24年4月3日登録日平成29年4月21日本件特許権の特許請求の範囲の請求項39の記載は、以下のとおりである (以下、請求項39に記載された発明を「本件発明」といい、本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書」という)。 タバコロッドと前記タバコロッドに接続されたフィルタ要素とを備えるシガレットであって、前記フィルタ要素は前記タバコロッドの基端にある端部と、前記シガレットのマウス端を画成する前記タバコロッドから末端にあ る端部とを有し、前記フィルタ要素は第1繊維性フィルタ材を備え、1つ以上のチャンネルキャビティが、前記第1繊維性フィルタ材内に形成され且つ前記第1繊維性フィルタ材を通って少なくとも部分的に長手方向に延在し、前記少なくとも1つのチャネルキャビティのそれぞれは、前記タバコロッドと、(i)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列さ れた繊維性フィルタ材の第2部分であって、煙変性剤を含まない繊維性フィ キャビティのそれぞれは、前記タバコロッドと、(i)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列さ れた繊維性フィルタ材の第2部分であって、煙変性剤を含まない繊維性フィ ルタ材の第2部分および(ii)前記シガレットの前記マウス端のうちの一方との間で主流煙が通過するために適合され、前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在する煙変性剤を含み、主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する、シガレット。 本件発明は、次のとおり分説することができる(以下、分説されたものについて、符号に従い「構成要件A」などという。)。 A タバコロッドと B 前記タバコロッドに接続されたフィルタ要素とC を備えるシガレットであって、 D 前記フィルタ要素は前記タバコロッドの基端にある端部と、前記シガレットのマウス端を画成する前記タバコロッドから末端にある端部とを有し、E 前記フィルタ要素は第1繊維性フィルタ材を備え、F 1つ以上のチャンネルキャビティが、前記第1繊維性フィルタ材内に形 成され且つ前記第1繊維性フィルタ材を通って少なくとも部分的に長手方向に延在し、G 前記少なくとも1つのチャネルキャビティのそれぞれは、前記タバコロッドと、(i)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された繊維性フィルタ材の第2部分であって、煙変性剤を含まない 繊維性フィルタ材の第2部分および(ii)前記シガレットの前記マウス端のうちの一方との間で主流煙が通過するために適合され、H 前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿 よび(ii)前記シガレットの前記マウス端のうちの一方との間で主流煙が通過するために適合され、H 前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在する煙変性剤を含み、 I 主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する、 J シガレット。 被告フィリップ・モリスは、別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)の全てについて平成29年4月21日から現在までの間の少なくとも一部の時期に輸入、販売及び販売の申出を行い、被告双日は、被告製品の全てについて平成29年4月21日から現在までの間の少なくとも 一部の時期に輸入及び販売した。(争いなし)被告製品は、いずれも次の構成を共通して備えており、その形状等は、概ね別紙被告製品の構成のとおりである。なお、被告製品はいずれも、発売当初はC区画にスレッドが含まれていたが、令和3年2月頃から被告製品目録記載1から6、9から13の製品については、スレッドが含まれなくなっ た。(弁論の全趣旨)ア被告製品は、円筒状のたばこスティックであり、その内部は4つの区画(以下、吸い口から遠い順に「A区画」、「B区画」、「C区画」、「D区画」という。)が順次隣接する構成になっている。 イ A区画はタバコロッドであり、棒状に折り畳まれたタバコシートによっ て構成されている。 ウ B区画は、セルロースアセテート繊維が筒状に形成されて構成されており、中空(空間は円柱状。以下「本件空洞部」という。)になっている。 エ C区画はPLAポリマーシートを円筒状になるように寄せ集めて構成されている。シート間に隙間があるため、気体が通過することができる。 オ D区画(吸口)は、 部」という。)になっている。 エ C区画はPLAポリマーシートを円筒状になるように寄せ集めて構成されている。シート間に隙間があるため、気体が通過することができる。 オ D区画(吸口)は、セルロースアセテート繊維で構成されている。 カ A区画からD区画までのいずれの区画においても、メンソールが分布している。 A区画がタバコロッド(構成要件A、B、D)に当たること、セルロースアセテート繊維が繊維性フィルタ材(構成要件E、F、G)に当たるこ とについては当事者間に争いがない。 3 争点原告ニコベンチャーズが原告レイノルズから独占的通常実施権を付与されたか(争点1)被告製品は本件発明の技術的範囲に属するかアメンソールが「煙変性剤」(構成要件H、I)に当たるか(争点2-1) イ被告製品のB区画及びC区画が「フィルタ要素」(構成要件B、D、E、F)に当たるか(争点2-2)ウ本件空洞部が「前記タバコロッドと、・・・(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端・・・との間で主流煙が通過するために適合され」(構成要件G)ているか(争点2-3) エ被告製品において「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過」(構成要件I)するか(争点2-4)オ被告製品が「シガレット」(構成要件C、J)に該当するか(争点2-5)損害(争点3)本件特許に無効理由があるか ア本件発明が特表2007-507230号公報(乙7。以下「乙7公報」という。)に記載された発明と同一であり、または、同公報を主引例として進歩性を欠き、本件特許に新規性欠如又は進歩性欠如の無効理由があるか(争点4-1)イ本件発明が特表2005-518204号公報(乙10。以下「乙10公報」 という。)に記 を主引例として進歩性を欠き、本件特許に新規性欠如又は進歩性欠如の無効理由があるか(争点4-1)イ本件発明が特表2005-518204号公報(乙10。以下「乙10公報」 という。)に記載された発明と同一であり、本件特許に新規性欠如の無効理由があるか(争点4-2)ウ本件発明が欧州特許出願公開第0579410号明細書(乙14。以下「乙14公報」という。)に記載された発明と同一であり、本件特許に新規性欠如の無効理由があるか。(争点4-3) エ本件特許にサポート要件違反の無効理由があるか(争点4-4) 4 争点に対する当事者の主張原告ニコベンチャーズが原告レイノルズから独占的通常実施権を付与されたか(争点1)について(原告らの主張)原告ニコベンチャーズは、令和2年8月10日、原告レイノルズから加熱式 たばこ製品について、独占的通常実施権の許諾を受けた。 (被告らの主張)原告らの主張は不知。原告らは独占的通常実施権の付与について何ら立証していない。 メンソールが「煙変性剤」(構成要件H、I)に当たるか(争点2-1)につ いて(原告らの主張)特許請求の範囲には、単に「煙変性剤」と規定されているところ、これは煙を変性させるものと字義どおり解釈でき、また、味質及び官能的特徴に悪影響を及ぼすとの記載はないのであるから、「好ましい味質」を提供するメンソー ルも当然に「煙変性剤」に含まれる。このように、メンソールが「煙変性剤」に該当することは、本件明細書の【0031】【0040】の記載からも明らかである。 本件発明の作用効果は、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することにある。 「煙変性剤」が好ましい 記載からも明らかである。 本件発明の作用効果は、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することにある。 「煙変性剤」が好ましい味質を提供する香料(例えばメンソール)であるとした場合でも、フィルタ要素の一部分であるチャネルにおいて煙変性剤に接触させることなく主流煙を通過させることで、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供するという、作用効果を奏することができる。 (被告らの主張) 本件発明の作用効果は、タバコロッドで発生した主流煙が煙変性剤に実質的に接触することなくマウス端まで到達することにより、実質的に改変されない味質及び官能的特徴を有する主流煙が喫煙者に提供されることである。したがって、「煙変性剤」は、少なくとも本件発明との関係では、主流煙と接触することによって主流煙の味質及び官能的特徴に喫煙者から見て悪影響を与えるも のを意味する。このように解さなければ、本件発明の作用効果自体が不明になる。 原告らは、メンソールが「煙変性剤」に該当する旨主張する。しかし、少なくとも本件発明との関係では、本件発明の作用効果を奏しない範囲をも包含する結果となるような「煙変性剤」の解釈は採り得ないから、原告らの上記主張 には理由がない。 被告製品のB区画及びC区画が「フィルタ要素」(構成要件B、D、E、F)に当たるか(争点2-2)について(原告らの主張)ア吸口端フィルタ部(D)に加え、タバコ端フィルタ部(B)及び中央フィ ルタ部(C)もまた、「フィルタ要素」の一部であり、本件発明と対比されるべき「フィルタ要素」は、たばこ端フィルタ部(B)、中央フィルタ部(C)及び吸口端フィ コ端フィルタ部(B)及び中央フィ ルタ部(C)もまた、「フィルタ要素」の一部であり、本件発明と対比されるべき「フィルタ要素」は、たばこ端フィルタ部(B)、中央フィルタ部(C)及び吸口端フィルタ部(D)から構成されるフィルタ(E)である。 イ本件発明の課題は、「望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供する」ことにあり (本件明細書の【0007】)、本件発明の「フィルタ要素」は全体としてこのような課題の解決に寄与するものであれば足り、その全ての部分が特定の気相成分を除去することまでを目的とする必要はない。本件明細書の【0038】に「他の実施形態において、フィルタ要素は単一のセグメントを備えるか、または空洞フィルタを含む3つ、4つ、または5つ以上のセグメント を備え得る(例えば「プラグ-空間-プラグ」フィルタ)」と記載されてい るとおり、本件発明の「フィルタ」は単一のセグメントに限定されるものではなく、あるセグメントないしその一部において実際に特定の気相成分を除去してさえいればその全体が「フィルタ要素」に該当し得る。 ウまた、被告製品のたばこ端フィルタ部(B)は、吸口端フィルタ部(D)と同様にセルロースアセテート繊維材から構成されているところ、被告 らは吸口端フィルタ部(D)が特定の気相成分が除去される「フィルタ要素」に該当することは認めている。そうであれば、同じ材質で形成されているタバコ端フィルタ部(B)でもタバコロッド(A)からの蒸気やエアロゾルが通過すれば特定の気相成分が除去されるといえ、これは「フィルタ要素」に当たる。 また、被告製品の中央フィルタ部(C)を構成するPLAポリマーはフィルタ材として想定されている(本件明細書の 通過すれば特定の気相成分が除去されるといえ、これは「フィルタ要素」に当たる。 また、被告製品の中央フィルタ部(C)を構成するPLAポリマーはフィルタ材として想定されている(本件明細書の【0012】)。被告製品では、中央フィルタ部(C)を通過する蒸気やエアロゾルがPLAポリマーの表面に接触する際に、蒸気やエアロゾルに含まれる気相成分の一部がPLAポリマーに吸着され得るのであるから、蒸気やエアロゾルがPL Aポリマーの部分を通過する過程で気相成分が除去されるといえる。よって、被告製品の中央フィルタ部(C)も本件発明の「フィルタ要素」に該当する。 エ特許請求の範囲には「フィルタ要素」が特定の気相成分を除去することを「目的」としているかどうかは規定されていないから、フィルタ要素が特定 の気相成分を除去することを「目的」としているかは問題とならない。 (被告らの主張)ア本件発明の「フィルタ要素」は、主流煙から特定の気相成分を除去することを目的とする部材である(本件明細書の【0004】、【0007】等)。 被告製品の「たばこ端フィルタ部(B区画)」は、タバコロッド(A区画) と「中央フィルタ部(C区画)」との間に設けられたスペーサーである。こ れは、加熱式タバコスティックに一定の長さ及び強度を持たせ、かつ、PLAポリマー部が熱で構造が変化することがないように、加熱されたタバコロッドで発生した蒸気やエアロゾルの温度をPLAポリマー部に到達する前に下げることを目的とするものにすぎず、特定の気相成分を除去することを目的とするものではないから、本件発明の「フィルタ要素」には該当しない。 また、被告製品の「中央フィルタ部(C区画)」は、PLAポリマーのシートで形成されているところ、当該部材は、加熱式タバ を目的とするものではないから、本件発明の「フィルタ要素」には該当しない。 また、被告製品の「中央フィルタ部(C区画)」は、PLAポリマーのシートで形成されているところ、当該部材は、加熱式タバコスティックに一定の長さ及び強度を持たせ、かつ、蒸気を冷却し、エアロゾルを形成する機能を果たすためのものであるのであり、特定の気相成分を除去することを目的とするものではないから、本件発明の「フィルタ要素」には該当しない。 イ本件明細書の段落【0038】には「空洞フィルタ」がフィルタの要素であることが記載されているが、同段落には、「他の実施形態において、フィルタ要素は単一のセグメントを備えるか、または空洞フィルタを含む3つ、4つ、または5つ以上のセグメントを備え得る(例えば「プラグ-空間-プラグ」フィルタ)」とも記載されている。この記載がフィルタ材(プラグ) によってはさまれた領域に空間が存在する場合に、当該空間をも含めた全体が「フィルタ要素」に該当し得ることを示すものであるとしても、フィルタ材の外側に空間がある場合(例えば「プラグ-プラグ-空間」という順序で配置されている場合)に、当該空間をも含めた全体が「フィルタ要素」に該当することを示すものではない。被告製品は「フィルタ部(D区画)-PL Aポリマー部(C区画)-スペーサー(B区画)」という順序で部材が配置されているところ、フィルタ材であるフィルタ部(D区画)の外側にある部材(PLAポリマー部(C区画)及びスペーサー(B区画))までもが「フィルタ要素」に該当することにはならない。 ウ原告らは、タバコ端フィルタ部(B区画)がD区画と同じセルロースア セテート繊維材で構成されていることを理由に、タバコロッド(A区画) からの蒸気やエアロゾルが通過す ない。 ウ原告らは、タバコ端フィルタ部(B区画)がD区画と同じセルロースア セテート繊維材で構成されていることを理由に、タバコロッド(A区画) からの蒸気やエアロゾルが通過すれば特定の気相成分が除去されるといえると主張する。しかし、原告らは、タバコロッドからの空気及びエアロゾルのほとんどはスペーサー(B区画)の壁(原告らの表現では「たばこ端フィルタ部(B区画)のフィルタ部分」)を通過しないと主張していて、特定の気相成分が原告らのいう「たばこ端フィルタ部(B区画)のフィル タ部分」によって除去されることは立証されていない。 原告らは、PLAポリマーはフィルタ材として想定されていて蒸気やエアロゾルがPLAポリマーの部分を通過する過程で気相成分が除去されるといえると主張する。 しかし、本件明細書の【0012】は「フィルタ要素」の材料としてP LAポリマーを用いることができることを記載しているにすぎず、PLAポリマーで形成されていれば「フィルタ要素」に当たることを記載しているわけではない。上記記載が想定しているのは、PLAを繊維状に形成してフィルタとして用いることであって、被告製品のPLAポリマー部(C区画)のようなPLAポリマーのシートとは根本的に異なる。そして、被 告製品のPLAポリマー部(C区画)(「中央フィルタ部(C区画)」)によって特定の気相成分が除去されることは立証されていない。 本件空洞部が「前記タバコロッドと、・・・(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端・・・との間で主流煙が通過するために適合され」(構成要件G)ているか(争点2-3)について (原告らの主張)ア構成要件Gの選択肢(ⅱ)は、文言上、チャネルキャビティがマウス端まで延在することを要件とはしておらず、フィルタ され」(構成要件G)ているか(争点2-3)について (原告らの主張)ア構成要件Gの選択肢(ⅱ)は、文言上、チャネルキャビティがマウス端まで延在することを要件とはしておらず、フィルタ要素の一部に延在すれば足りる。被告製品では、たばこ端フィルタ部(B)の本件空洞部を介してタバコロッド(A)から吸口端(D1)まで蒸気及びエアロゾルが流れるから、 本件空洞部は、「前記タバコロッドと、・・・(ⅱ)前記シガレットの前記マ ウス端・・・との間で主流煙が通過するために適合され」ている。 イ本件発明の作用効果は、フィルタ要素の一部分であるチャネルにおいて煙変性剤に接触させることなく通過させることで、望まれ得る官能的特徴を有することにあり、主流煙がマウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないというものではない。本件発明では、フィルタ要素の一部分に煙変性剤と 実質的に接触しないチャネルが存在することで、フィルタ要素にチャネルが存在しない場合と比べて、主流煙の味質及び望まれ得る官能的特徴の変更が低減される。本件発明は、チャネル内以外の箇所で煙変性剤と実質的に接触し、主流煙の味質及び官能的特徴が実質的に改変されることについては何ら規定していない。仮に本件発明の選択肢(ⅱ)が、主流煙がシガレット内の 全ての煙変性剤と実質的に接触しないと解釈されるとすると、主流煙と実質的に接触しない煙変性剤をあえてシガレットに設ける必要がなくなってしまうのであるから、このような解釈は著しく不合理である。 ウ被告らは、国際出願段階での本件特許の出願人の書面の記載を根拠として、構成要件Gはチャネルキャビティがタバコロッドからマウス端まで延在して いることを意味する旨主張する。 しかしながら、本件特許の出願人の書面に での本件特許の出願人の書面の記載を根拠として、構成要件Gはチャネルキャビティがタバコロッドからマウス端まで延在して いることを意味する旨主張する。 しかしながら、本件特許の出願人の書面における記載は、日本特許における出願手続ないしクレーム解釈とは関係がないものであるし、上記書面により補正された請求の範囲(請求項39)も、主流煙がマウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないとは規定していないし、上記書面も主流煙がマ ウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないとまでは記載していない。 エ被告らは、本件特許の出願過程における補正を根拠として、構成要件Gの選択肢(ⅱ)をチャネルキャビティがマウス端まで延在すると解釈しなければ、主流煙が煙変性剤と実質的に接触する場合も含まれてしまう旨主張する。 しかし、付加された「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通 過する」(構成要件I)との構成における「煙変性剤」は、構成要件Hの第1 繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤を意味するものであり、また、チャネルキャビティがマウス端まで延在していなければならないといった追記も全くないのであるから、本件発明は、第1繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤以外の要素と主流煙が接触しないことまでは規定していない。第1繊維性フィルタ材以外の要素との関係で、主流煙が煙変性剤と実質的に接触する 場合があるとしても、それは本件発明の充足性と関係がない。 オ被告らは、原告らの解釈を前提とすると、構成要件Gのうち選択肢(ⅱ)は意味がなくなってしまう旨主張する。 しかし、選択肢(ⅱ)は「前記タバコロッドと前記シガレットの前記マウス端との間で主流煙が通過するために適合され」と規定しているのであるか ら、主流煙の通過に関して ってしまう旨主張する。 しかし、選択肢(ⅱ)は「前記タバコロッドと前記シガレットの前記マウス端との間で主流煙が通過するために適合され」と規定しているのであるか ら、主流煙の通過に関して定めたものであり、単にチャネルキャビティの位置のみを規定したものではなく、選択肢(ⅱ)が無意味になるものではない。 仮に構成要件Gがなければ、主流煙は第1繊維性フィルタ材の部分において、チャネルキャビティ以外の領域を通過してもよいことになるが、それでは第1繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤と実質的に接触し得ることになっ てしまう。また、複数の構成要件でチャネルキャビティの構成が重複していたとしても、構成要件の特定として問題があるわけではなく、選択肢(ⅱ)が無意味となるものでもない。選択肢(i)は、「繊維性フィルタ材の第2部分」をその構成要素として含んでいる点で選択肢(ⅱ)と構成が相違するのであるから、チャネルキャビティの存在し得る領域が重複するからといっ て、選択肢(i)が無意味になるものではない。 (被告らの主張)ア本件発明の作用効果は、タバコロッドで発生した主流煙が煙変性剤に実質的に接触することなくマウス端まで到達することにより、実質的に改変されない味質及び官能的特徴を有する主流煙が喫煙者に提供されることである。 また、構成要件Gは、チャネルキャビティの一方の端を「前記タバコロッ ド」と定めた上で、他方の端を、「(i)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された繊維性フィルタ材の第2部分であって、煙変性剤を含まない繊維性フィルタ材の第2部分」と、「(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端」との2つの選択肢のいずれかとして、択一的に定めている。そして、選択肢(ⅰ)は、フィルタ要素が、繊維性フ て、煙変性剤を含まない繊維性フィルタ材の第2部分」と、「(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端」との2つの選択肢のいずれかとして、択一的に定めている。そして、選択肢(ⅰ)は、フィルタ要素が、繊維性フィルタ材の第1部 分と煙変性剤が含まれていない繊維性フィルタ材の第2部分から構成されている場合(本件明細書の図2等)に関するものであるのに対し、選択肢(ⅱ)は、フィルタ要素が繊維性フィルタ材の第1部分のみから構成されている場合(すなわち、繊維性フィルタ材の第2部分が存在しない場合)(本件明細書の図8、図9等)に関するものである。 選択肢(ⅰ)については、主流煙と煙変性剤が実質的に接触することを避けることができ、上記の本件発明の作用効果を奏する。選択肢(ⅱ)については、上記の本件発明の作用効果を奏するためには、主流煙が通過するチャネルキャビティが、「タバコロッド」から「マウス端」まで延在する必要がある。 イまた、本件特許は、出願過程において、引用文献(WO2005/032287)に基づく新規性、進歩性の有無が問題になったが、同文献の図4及び図9をみると、タバコロッド12とマウス端(各図の左端)との間の少なくとも一部には、チャネル48が存在する。本件特許の出願人は、「(引用文献)は、主流煙がタバコロッドから出て(ⅰ)繊維性フィルタ材の第2部分及 び(ⅱ)シガレットのマウス端のうちの一方に入るための通路を開示していない。よって、新規性及び進歩性を欠如する旨の審査官の主張は、本件発明には当てはまらない。」と主張しており、これは被告らの解釈を前提に主張したものといえる。 WO2005/032287の図4及び図9(12:タバコロッド、32:区画、34:吸着剤、36:フィルタ材料、38:フィルタ材料、4 被告らの解釈を前提に主張したものといえる。 WO2005/032287の図4及び図9(12:タバコロッド、32:区画、34:吸着剤、36:フィルタ材料、38:フィルタ材料、48:チャネル、50:イオン交換樹脂)ウ本件特許の出願人は国際出願段階及び日本国での出願過程において、一貫 して、本件発明の主流煙が、チャネルキャビティを通過することにより、煙変性剤との接触を回避することができることを意見書において主張し、当該主張に対応する補正を行った。すなわち、「前記少なくとも1つのチャネルのそれぞれは、前記タバコロッドからの主流煙が前記フィルタ材を通って少なくとも部分的に長手方向に通過するために適合され、」という当初の記載 を、まず、「前記タバコロッドと、(ⅰ)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された繊維性フィルタ材の第2部分および(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端のうちの一方との間で主流煙が通過するために適合され、」という記載に変更し、さらに、「繊維性フィルタ材の第2部分」は煙変性剤を含まないという限定を追加した上で、「主流煙は、煙変性 剤に実質的に接触することなく通過する」という限定まで追加した。出願過程における出願人による上記の各主張及び補正は、被告らの解釈を前提にしている。 エ仮に原告らの解釈を前提とすると、構成要件Gの選択肢(ⅱ)については、その文言上、チャネルキャビティの位置は、タバコロッドとマウス端の間の どこにあってもよいこととなる。 しかし、構成要件B、D、E及びFにより、チャネルキャビティがタバコ ロッドとマウス端の間にあることが既に定められている。したがって、仮に原告らの解釈を前提とすると、チャネルキャビティの配置方法に関する構成要件 E及びFにより、チャネルキャビティがタバコ ロッドとマウス端の間にあることが既に定められている。したがって、仮に原告らの解釈を前提とすると、チャネルキャビティの配置方法に関する構成要件Gの記載(「前記タバコロッドと、(i)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された繊維性フィルタ材の第2部分であって、煙変性剤を含まない繊維性フィルタ材の第2部分および(ⅱ)前記シ ガレットの前記マウス端のうちの一方との間で」)のうち、選択肢(ⅱ)は意味がないことになる。このような解釈は不合理である。 また、上記の配置方法の特定に関する記載は、本件特許の出願人が、特許協力条約34条に基づく補正により挿入した記載であり、当該補正に係る記載が意味を有しないことになる原告らの解釈は不合理である。 オ構成要件Gのみに着目しても、原告らの解釈によると、構成要件Gを択一形式にした意味がなくなる。原告らの解釈を前提とすると、選択肢(ⅱ)を選んだ場合には、チャネルキャビティの位置は、タバコロッドとマウス端の間のどこにあってもよいことになる。他方、選択肢(i)を選んだ場合には、チャネルキャビティの位置は、タバコロッドと繊維性フィルタ材の第2部分 と間のどこにあってもよいことになる。ここで、「繊維性フィルタ材の第2部分」は、「フィルタ要素」内の部分であることから、選択肢(i)を選んだ場合のチャネルキャビティの存在し得る範囲は、選択肢(ⅱ)を選んだ場合のチャネルキャビティの存在し得る範囲に、包含されることになる。したがって、原告らの解釈を前提とすると、選択肢(i)と選択肢(ⅱ)とが包 含関係にあることになり、構成要件Gを択一形式にして選択肢(i)を記載した意味がないことになり、このような解釈は不合理である。 カ原 の解釈を前提とすると、選択肢(i)と選択肢(ⅱ)とが包 含関係にあることになり、構成要件Gを択一形式にして選択肢(i)を記載した意味がないことになり、このような解釈は不合理である。 カ原告らは、仮に本件発明の選択肢(ⅱ)が、主流煙がシガレット内の全ての煙変性剤と実質的に接触しないと解釈されるのであれば、主流煙と実質的に接触しない煙変性剤をあえてシガレットに設ける必要がなくなってしま うから、このような解釈は不合理であると主張する。 しかし、構成要件Iは、「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する、」というものであるところ、原告らの上記主張は、「実質的に」という文言を軽視するものである。構成要件Iの「実質的に」という文言は、本件発明によって回避される主流煙と煙変性剤の接触は、主流煙の味質及び官能的特徴を実質的に改変するような接触であることを明らかにするもの である。そして、本件明細書においては、「煙変性剤は主流煙から様々な蒸気相化合物を除去するために有用である。」(【0009】)、「チューブ壁は、主流煙の少なくとも一部がチューブ壁を通って、チューブを包囲するフィルタ材の部分に浸透するよう、十分な多孔率を有し得る。」(【0011】)などと記載されている。このように、本件発明においては、主流煙が煙変性剤に実 質的に接触することなく通過しつつも、主流煙に含まれる蒸気相化合物の少なくとも一部が第1繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤によって除去されることは当然の前提とされているから、タバコロッドで発生した主流煙がマウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないことにより、煙変性剤をシガレットに設ける意義が失われることにはならず、また、主流煙の味質及 び官能的特徴は煙変性剤によって実質的に改変 主流煙がマウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないことにより、煙変性剤をシガレットに設ける意義が失われることにはならず、また、主流煙の味質及 び官能的特徴は煙変性剤によって実質的に改変されることはない。そして、本件明細書においては、本件発明に係る特許請求の範囲(請求項39)に対応する実施形態として、チャネルの存在により、主流煙がシガレット内のいずれの煙変性剤とも実質的に接触しない実施形態が記載されている。 被告製品において「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過」 (構成要件I)するか。(争点2-4)について(原告らの主張)ア構成要件Iは、「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」と規定されており、ここでいう「煙変性剤」は構成要件Hの、第1繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤を意味するから、構成要件Iの充足性にあ たっては、「第1繊維性フィルタ材」に相当するタバコ端フィルタ部(B) に含まれるメンソール(煙変性剤)との関係で被告製品の構成を特定すれば足りる。 イ被告らは、構成要件Iの「煙変性剤」が第1繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤に限定されるものではないと主張する。 しかし、本件発明の作用効果は、フィルタ要素の一部分であるチャネルに おいて煙変性剤に接触させることなく通過させることで、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成することにあり、主流煙がマウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないというものではない。本件発明は、第1繊維性フィルタ材以外の箇所で主流煙がどの程度、煙変性剤に接触するかについて規定していない。 ウ被告製品では、たばこ端フィルタ部(B)のフィルタ部分よりも内部の空洞部(b3)の空気抵抗がかなり小さいことから、タバコロッド(A の程度、煙変性剤に接触するかについて規定していない。 ウ被告製品では、たばこ端フィルタ部(B)のフィルタ部分よりも内部の空洞部(b3)の空気抵抗がかなり小さいことから、タバコロッド(A)を通過した空気及びエアロゾルのほとんどが、メンソールを含むたばこ端フィルタ部(B)のフィルタ部分ではなく、空洞部(b3)を通過することは明らかである。 また、被告製品のタバコ端フィルタ部(B)の断面写真において、内部は使用後においても茶色にならずに白いままであり、タバコロッドからの空気及びエアロゾルのほとんどが、当該フィルタ部(B)の壁を通過していないことを裏付けている。すなわち、タバコロッド(A)を通過した空気及びエアロゾル(「主流煙」)のほとんどは、たばこ端フィルタ部(B)の内部に分 布するメンソールと接触しない。 被告製品は、タバコロッド(A)を通過した空気及びエアロゾルの大部分は、メンソールを含むたばこ端フィルタ部(B)のフィルタ部分ではなく、本件空洞部(b3)を通るから、本件発明の構成要件Iを充足する。 (被告らの主張) ア構成要件Iにおける「煙変性剤」は、第1繊維性フィルタ材に含まれる煙 変性剤に限定されない。 構成要件Iにおける「煙変性剤」が「第1繊維性フィルタ材」に含まれるものに限定されるということは、特許請求の範囲にも本件明細書の発明の詳細な説明にも記載されていない。本件明細書には、「フィルタ要素内では、主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過するよう導かれ、その結果として、 煙変性剤との接触に起因する煙の官能的特性の変化は阻止または低減されることとなる。」(【0039】)として、「フィルタ要素内」において「主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過する」ことが記載されている。ここ との接触に起因する煙の官能的特性の変化は阻止または低減されることとなる。」(【0039】)として、「フィルタ要素内」において「主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過する」ことが記載されている。ここで、本件発明の「フィルタ要素」は、タバコロッドの基端にある端部とシガレットのマウス端を画成する端部とを有するものであるから(構成要件D)、主 流煙が、第1繊維性フィルタ材の内部か否かを問わず、フィルタ要素において煙変性剤に実質的に接触しないことは明らかである。原告らの上記主張は、本件明細書に何ら根拠を有しないばかりか、本件明細書の記載に反した解釈である。 また、本件発明の作用効果は、タバコロッドで発生した主流煙が煙変性剤 に実質的に接触することなくマウス端まで到達することにより、実質的に改変されない味質及び官能的特徴を有する主流煙が喫煙者に提供される点にある。それにもかかわらず、原告らの主張のように、構成要件Iにおける「煙変性剤」が第1繊維性フィルタ材に含まれるものに限定されると解釈すると、主流煙が第1繊維性フィルタ材以外の箇所で煙変性剤と大量に接触し、主流 煙の味質及び官能的特徴が実質的に改変される構成(上記の作用効果を奏しない構成)が本件発明の技術的範囲に含まれることとなるから、このような解釈を採用することはできない。 イメンソールが「煙変性剤」に該当するという原告らの主張を前提とすると、メンソールは、加熱式タバコスティックの至る所に分布し、蒸気及びエアロ ゾルがメンソールに実質的に接触することは明らかであるから、被告製品は、 「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」に該当せず、構成要件Iを充足しない。 被告製品が「シガレット」(構成要件C、J)に該当するか(争点2-5)につい 告製品は、 「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」に該当せず、構成要件Iを充足しない。 被告製品が「シガレット」(構成要件C、J)に該当するか(争点2-5)について(原告らの主張) 「シガレット」とは、「紙巻タバコ、巻タバコ」を意味する語句であり、棒状のタバコが紙によって巻かれている構成であれば「シガレット」に該当することは一義的に明確である。被告製品は、棒状のタバコが紙によって巻かれている構成であり、「シガレット代替品」ではなく「シガレット」に該当する。本件明細書の発明の詳細な説明の記載を斟酌して「シガレット」の意義を解釈する 必要はない。 また、本件明細書には、「「発熱するが燃焼しない」(heatbutnotburn)シガレット代替品」(【0019】)との記載があるが、「発熱するが燃焼しない」シガレットが「シガレット代替品」に該当するとは記載されていないのであり、燃焼式シガレットの代替品としての、発熱するが燃焼しない(heatbutnot burn)「シガレット」がなお記載されているといえる。 (被告らの主張)本件明細書では、「シガレットまたは「発熱するが燃焼しない」(heatbutnotburn)シガレット代替品等の喫煙物品」(【0019】)が記載されており、「シガレット」という用語と「「発熱するが燃焼しない」(heatbutnotburn)シガ レット代替品」という用語とは、明確に使い分けられている。「発熱するが燃焼しない」(heatbutnotburn)という種類の製品が「シガレット」ではなく、「シガレット代替品」に当たることは明確である。 損害(争点3)(原告らの主張) 被告らは、本件特許が登録された平成29 notburn)という種類の製品が「シガレット」ではなく、「シガレット代替品」に当たることは明確である。 損害(争点3)(原告らの主張) 被告らは、本件特許が登録された平成29年4月21日から現在に至るまで、 業として被告製品の販売等を行っており、この行為によって、平成29年4月21日から原告レイノルズが独占的通常実施権の許諾を行った令和2年8月10日の前日である同月9日までの間に、原告レイノルズが被った損害額は、1億円を下ることはない。 また、原告ニコベンチャーズは、令和2年8月10日、原告レイノルズより 本件特許権について、加熱式たばこ製品の範囲で独占的通常実施権の許諾を受け、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社を通じて、日本で同加熱式たばこ製品の販売を行っている。独占的通常実施権者は、本件特許権を独占的に実施できるという地位にある点で専用実施権者と変わるところはないから、特許法102条2項の類推適用がある。そして、令和2年8月1 0日以降における被告らによる被告製品の販売等により、被告らが受けた利益は少なくとも1億円を下ることはない。 (被告らの主張)否認ないし争う。 本件発明が乙7公報に記載された発明と同一であり、または、同公報を主引 例として進歩性を欠き、本件特許に新規性欠如又は進歩性欠如の無効理由があるか(争点4-1)について(被告らの主張)ア乙7公報には次の発明(以下「乙7発明」という。)が記載されている。 タバコ棒12と タバコ棒12に接続されたフィルタ素子20とを備える紙巻きタバコ10であって、フィルタ素子20は、タバコ棒12と当接する端部と、紙巻きタバコ10の吸い口端を画成するタバコ棒12とは逆側の端部とを有し、フ 接続されたフィルタ素子20とを備える紙巻きタバコ10であって、フィルタ素子20は、タバコ棒12と当接する端部と、紙巻きタバコ10の吸い口端を画成するタバコ棒12とは逆側の端部とを有し、フィルタ素子20は、酢酸セルローストウなどの繊維質のフィルタ材料で 構成されるタバコ端セクション38を含み、 チャネル48が、タバコ端セクション38の内部において、タバコ端セクション38の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成されており、タバコ棒12を出た主流煙は、チャネル48を介して吸い口端まで流れ、タバコ端セクション38は、タバコ棒12と当接する前記端部を始点としてフィルタ素子20に沿って長手方向に分布するイオン交換樹脂50を含 み、主流煙のほとんどは、イオン交換樹脂50を含むタバコ端セクション38のフィルタ部分ではなく、チャネル48を通過する紙巻きタバコ10。 イ次のとおり、本件発明の構成は、乙7発明の構成と同じであるから、本件 発明は新規性を欠く。 乙7発明の「タバコ棒12」は、本件発明の構成要件Aの「タバコロッド」に該当するから、乙7発明は、構成要件Aの構成を備える。 乙7発明の「フィルタ素子20」は、本件発明の構成要件Bの「フィルタ要素」に該当するから、乙7発明は、構成要件Bの構成を備える。 乙7発明の「紙巻きタバコ10」は、本件発明の構成要件Cの「シガレット」に該当するから、乙7発明は、構成要件Cの構成を備える。 乙7発明の「タバコ棒12と当接する端部」は、本件発明の構成要件Dの「前記タバコロッドの基端にある端部」に該当し、乙7発明の「紙巻きタバコ10の吸い口端を画成するタバコ棒12とは逆側の端部」は、本件 発明の構成要件Dの「前記シガレットのマウス端を画成する の「前記タバコロッドの基端にある端部」に該当し、乙7発明の「紙巻きタバコ10の吸い口端を画成するタバコ棒12とは逆側の端部」は、本件 発明の構成要件Dの「前記シガレットのマウス端を画成する前記タバコロッドから末端にある端部」に該当する。したがって、乙7発明は、構成要件Dの構成を備える。 乙7発明の「酢酸セルローストウなどの繊維質のフィルタ材料で構成されるタバコ端セクション38」は、本件発明の構成要件Eの「第1繊維性 フィルタ材」に該当するから、乙7発明は、構成要件Eの構成を備える。 乙7発明の「チャネル48」は、本件発明の構成要件Fの「チャンネルキャビティ」に該当するから、乙7発明は、構成要件Fの構成を備える。 乙7発明のチャネル48は吸い口端まで延在していないものの、仮に、構成要件Gの「前記少なくとも1つのチャネルキャビティのそれぞれは、前記タバコロッドと、・・・(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端・・・と の間で主流煙が通過するために適合され、」という文言に関する原告らの主張(「構成要件Gの選択肢(ⅱ)はチャネルキャビティがマウス端まで延在することを要件とされていないところ、被告製品では、たばこ端フィルタ部(B)の空洞部(b3)を介して、タバコロッド(A)から吸口端(D1)まで蒸気及びエアロゾルが流れるから、構成要件G・・・を充足 する。」)を前提とすれば、乙7発明は、構成要件Gの選択肢(ⅱ)に係る構成を備える。 本件明細書によれば、イオン交換樹脂は「煙変性剤」に該当するから(本件明細書の【0014】)、乙7発明の「イオン交換樹脂50」は、本件発明の構成要件Hの「煙変性剤」に該当する。したがって、乙7発明は、 構成要件Hの構成を備える。 構成要件Iについて、原告らは、主流煙 0014】)、乙7発明の「イオン交換樹脂50」は、本件発明の構成要件Hの「煙変性剤」に該当する。したがって、乙7発明は、 構成要件Hの構成を備える。 構成要件Iについて、原告らは、主流煙が第1繊維性フィルタ材以外に含まれる煙変性剤と実質的に接触したとしても、構成要件Iの充足性は否定されないと主張している。また、原告らは、「本件発明は、主流煙の少なくとも一部がフィルタ要素の一部を迂回する場合であれば等しく当て はまるものである。」とも主張している。 これに対し、乙7発明は、「主流煙のほとんどは、イオン交換樹脂50を含むタバコ端セクション38のフィルタ部分ではなく、チャネル48を通過する」という構成を有する。そのため、乙7発明においては、主流煙の少なくとも一部は「フィルタ要素」(フィルタ素子20)の一部を迂回し、 タバコ端セクション38のフィルタ部分に含まれるイオン交換樹脂50 とは実質的に接触しない。したがって、仮に原告らの上記主張を前提とすると、乙7発明は、構成要件Iの構成を備える。 乙7発明の「紙巻きタバコ10」は、本件発明の構成要件Jの「シガレット」に該当するから、乙7発明は、構成要件Jの構成を備える。 ウ仮に原告らが主張する相違点1-1が実質的な相違点に当たるとして も、煙変性剤を含むフィルタの内部に当該フィルタの中心軸に沿って長手方向に延びるように空洞を形成することは、本件優先日当時、周知技術であったから、これを適用することによって容易に想到できた。 また、仮に原告らが主張する相違点1-2が実質的な相違点に当たるとしても、心部の周りに煙変性剤に該当する炭素材を配置して炭素材に接 触することなく煙草煙が通過するという構成が周知技術であったから、これを適用することによって容易 2が実質的な相違点に当たるとしても、心部の周りに煙変性剤に該当する炭素材を配置して炭素材に接 触することなく煙草煙が通過するという構成が周知技術であったから、これを適用することによって容易に想到することできた。 よって、原告らが主張する相違点1-1または相違点1-2が実質的な相違点に当たるとしても、本件発明は進歩性を欠く。 (原告らの主張) ア本件発明と乙7発明は次の点で相違するため、本件発明は新規性を有する。 相違点1-1本件発明は、「1つ以上のチャンネルキャビティが、前記第1繊維性フィルタ材内に形成されかつ前記第1繊維性フィルタ材を通って少なくとも部分的に長手方向に延在」するのに対し、乙7発明は、セクション38 (イオン交換樹脂あり)を通過する流れチャネルを含むかどうかが不明である点相違点1-2本件発明は、「前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも長手 方向に延在する煙変性剤を含み、主流煙は、煙変性剤に実質的に接触する ことなく通過する」のに対し、乙7発明は、主流煙がセクション38内の吸着剤34に実質的に接触することなく通過するかどうかが不明である点イまた、本件発明は、次のとおり、上記相違点について当業者が容易に想到できたとはいえないから、進歩性も有する。 相違点1-1について乙7発明に被告が主張するチャネルを設けてしまうと、主流煙がイオン交換樹脂をほとんど通過しなくなってしまい、あえてイオン交換樹脂を設けたことが無意味になってしまう。乙7発明に被告が主張する発明を組み合わせることには、動機付けがなく、むしろ、阻害要因がある。 相違点1-2について被告が主張する周知技 ン交換樹脂を設けたことが無意味になってしまう。乙7発明に被告が主張する発明を組み合わせることには、動機付けがなく、むしろ、阻害要因がある。 相違点1-2について被告が主張する周知技術があったことは否認する。被告が指摘する文献からは当該周知技術を認めることはできない。仮に被告が主張する周知技術があったとしても、これを乙7発明に適用する動機付けを欠いている。 本件発明が乙10公報に記載された発明と同一であり、本件特許に新規性欠 如の無効理由があるか(争点4-2)について(被告らの主張)ア乙10公報には、次の発明(以下「乙10発明」という。)が記載されている。 たばこ棒4と たばこ棒4に接続されたフィルター部6とを備える紙巻きたばこ2であって、フィルター部6は、たばこ棒4に当接する端部と、紙巻きたばこ2の吸い口端を画成するたばこ棒4とは逆側の端部とを有し、フィルター部6は、酢酸セルロース繊維などの材料で構成されるプラグ2 4を含み、 空洞部が、プラグ24の内部において、プラグ24の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成されており、上記空洞部は、たばこ棒4から、プラグ24に当接する酢酸セルロース繊維などの材料で構成される吸い口フィルター8であって、香味付き炭素粒子を含まない吸い口フィルター8まで延在し、たばこ棒4を出た主流煙は、上 記空洞部を介して吸い口端まで流れ、プラグ24は、たばこ棒4と当接する前記端部を始点として、フィルター部6に沿って長手方向に分布する香味付き炭素粒子を含み、主流煙のほとんどは、香味付き炭素粒子を含むプラグ24のフィルタ部分ではなく、上記空洞部を通過する 紙巻きたばこ2。 イ次のとおり、本件発明の構成は、乙10発明の構成 炭素粒子を含み、主流煙のほとんどは、香味付き炭素粒子を含むプラグ24のフィルタ部分ではなく、上記空洞部を通過する 紙巻きたばこ2。 イ次のとおり、本件発明の構成は、乙10発明の構成と同じであるから、本件発明は新規性を欠く。 乙10発明の「たばこ棒4」は、本件発明の構成要件Aの「タバコロッド」に該当するから、乙10発明は、構成要件Aの構成を備える。 乙10発明の「フィルター部6」は、本件発明の構成要件Bの「フィルタ要素」に該当するから、乙10発明は、構成要件Bの構成を備える。 乙10発明の「紙巻きたばこ2」は、本件発明の構成要件Cの「シガレット」に該当するから、乙10発明は、構成要件Cの構成を備える。 乙10発明の「たばこ棒4に当接する端部」は、本件発明の構成要件D の「前記タバコロッドの基端にある端部」に該当し、乙10発明の「紙巻きたばこ2の吸い口端を画成するたばこ棒4とは逆側の端部」は、本件発明の構成要件Dの「前記シガレットのマウス端を画成する前記タバコロッドから末端にある端部」に該当する。したがって、乙10発明は、構成要件Dの構成を備える。 乙10発明の「酢酸セルロース繊維などの材料で構成されるプラグ24」 は、本件発明の構成要件Eの「第1繊維性フィルタ材」に該当するから、乙10発明は、構成要件Eの構成を備える。 乙10発明の「空洞部」は、本件発明の構成要件Fの「チャンネルキャビティ」に該当するから、乙10発明は、構成要件Fの構成を備える。 乙10発明において、たばこ棒4を出た主流煙は、プラグ24の内部に 形成された空洞部を通過して、香味付き炭素粒子を含まない吸い口フィルター8に流れることになるから、乙10発明は、構成要件Gの選択肢(ⅰ)に係る構成を備える。 を出た主流煙は、プラグ24の内部に 形成された空洞部を通過して、香味付き炭素粒子を含まない吸い口フィルター8に流れることになるから、乙10発明は、構成要件Gの選択肢(ⅰ)に係る構成を備える。 また、仮に、構成要件Gについて、その選択肢(ⅱ)はチャネルキャビティがマウス端まで延在することを要件とされておらず、被告製品では、 たばこ端フィルタ部(B)の空洞部(b3)を介して、タバコロッド(A)から吸口端(D1)まで蒸気及びエアロゾルが流れるから、構成要件Gを充足するとの原告らの主張を前提とすれば、乙10発明は、「たばこ棒4を出た主流煙は、上記空洞部を介して吸い口端まで流れ」るという構成を有するから、構成要件Gの選択肢(ⅱ)に係る構成を備えることになる。 乙10発明は「プラグ24は、たばこ棒4と当接する前記端部を始点として、フィルター部6に沿って長手方向に分布する香味付き炭素粒子を含」むという構成を備えるところ、乙10発明の「香味付き炭素粒子」については、乙10公報において、「この発明は香味付き炭素粒子を作るための方法を提供し、そこでは一つまたはそれ以上の香味成分を含む香味 剤が流動状態で活性炭粒子に付与される。」(段落【0025】)、「この発明の香味付き炭素粒子は主流煙から一つまたはそれ以上の選択された成分をろ過しながら香味を放出するのに使用されることができる。」(段落【0026】)と記載されている。 そして、本件明細書の【0014】では「煙変性剤は吸着剤であり得る」 とされるとともに、吸着剤の例として「活性炭」が挙げられていることか ら、乙10発明の「香味付き炭素粒子」は、本件発明の構成要件Hの「煙変性剤」に該当する。 したがって、乙10発明は、構成要件Hの構成を備える。 乙10発明 炭」が挙げられていることか ら、乙10発明の「香味付き炭素粒子」は、本件発明の構成要件Hの「煙変性剤」に該当する。 したがって、乙10発明は、構成要件Hの構成を備える。 乙10発明は、「上記空洞部は、たばこ棒4から、プラグ24に当接する酢酸セルロース繊維などの材料で構成される吸い口フィルター8であっ て、香味付き炭素粒子を含まない吸い口フィルター8まで延在し」及び「主流煙のほとんどは、香味付き炭素粒子を含むプラグ24のフィルタ部分ではなく、上記空洞部を通過する」という構成を有する。仮に、被告製品において、タバコロッド(A)を通過した空気及びエアロゾルの大部分は、メンソールを含むたばこ端フィルタ部(B)のフィルタ部分ではな く、空洞部(b3)を通ることが構成要件Iに該当するという原告らの主張を前提とすれば、乙10発明は、構成要件Iの構成を備える。 乙10発明の「紙巻きたばこ2」は、本件発明の構成要件Jの「シガレット」に該当するから、乙10発明は、構成要件Jの構成を備える。 (原告らの主張) 本件発明と乙10発明は次の点で相違するため、本件発明は新規性を有する。 ア相違点2-1本件発明は、「1つ以上のチャンネルキャビティが、前記第1繊維性フィルタ材内に形成されかつ前記第1繊維性フィルタ材を通って少なくとも部分的に長手方向に延在」するのに対し、乙10発明では、プラグ24の材質 が繊維状の材質か不明である点イ相違点2-2本件発明は、「前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも長手方向に延在する煙変性剤を含み、主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することな く通過する」のに対し、乙10発明は、たばこ棒4を出た主流煙 前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも長手方向に延在する煙変性剤を含み、主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することな く通過する」のに対し、乙10発明は、たばこ棒4を出た主流煙がプラグ2 4内の香味付き炭素粒子に実質的に接触することなく通過するかどうかが不明である点本件発明が乙14公報に記載された発明と同一であり、本件特許に新規性欠如の無効理由があるか(争点4-3)について(被告らの主張) ア乙14公報には、次の発明(以下「乙14発明」という。)が記載されている。 煙草充填剤ロッド340と煙草充填剤ロッド340に接続された2層フィルターエレメント300と を備える紙巻き煙草12であって、2層フィルターエレメント300は、煙草充填剤ロッド340に当接する端部と、紙巻き煙草12の吸い口端を画成する煙草充填剤ロッド340とは逆側の端部とを有し、2層フィルターエレメント300は、セルロースアセテートトウ繊維で構 成されるフィルタ材である環状部分370を含み、空洞365が、環状部分370の内部において、環状部分370の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成されており、空洞365は、煙草充填剤ロッド340から、環状部分370に当接するセルロースアセテート繊維で構成されるフィルタ材である端末プラグ32 0であって、炭素を含まない端末プラグ320まで延在し、煙草充填剤ロッド340を出た煙草煙は、空洞365を介して吸い口端まで流れ、環状部分370は、煙草充填剤ロッド340と当接する前記端部を始点として環状部分370に沿って長手方向に分布する炭素を含み、煙草煙は、環状部分370の炭素と接触することなく空洞365を通過す る 紙巻き煙草12。 0と当接する前記端部を始点として環状部分370に沿って長手方向に分布する炭素を含み、煙草煙は、環状部分370の炭素と接触することなく空洞365を通過す る 紙巻き煙草12。 イ次のとおり、本件発明の構成は乙14発明の構成と同じであるから、本件発明は新規性を欠く。 乙14発明の「煙草充填剤ロッド340」は、本件発明の構成要件Aの「タバコロッド」に該当するから、乙14発明は、構成要件Aの構成を備 える。 乙14発明の「2層フィルターエレメント300」は、本件発明の構成要件Bの「フィルタ要素」に該当するから、乙14発明は、構成要件Bの構成を備える。 乙14発明の「紙巻き煙草12」は、本件発明の構成要件Cの「シガレ ット」に該当するから、乙14発明は、構成要件Cの構成を備える。 乙14発明の「煙草充填剤ロッド340に当接する端部」は、本件発明の構成要件Dの「前記タバコロッドの基端にある端部」に該当し、乙14発明の「紙巻き煙草12の吸い口端を画成する煙草充填剤ロッド340とは逆側の端部」は、本件発明の構成要件Dの「前記シガレットのマウス 端を画成する前記タバコロッドから末端にある端部」に該当する。したがって、乙14発明は、構成要件Dの構成を備える。 乙14発明の「セルロースアセテートトウ繊維で構成されるフィルタ材である環状部分370」は、本件発明の構成要件Eの「第1繊維性フィルタ材」に該当するから、乙14発明は、構成要件Eの構成を備える。 乙14発明は、「空洞365が、環状部分370の内部において、環状部分370の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され」るという構成を有する。 乙14発明の「空洞365」は、本件発明の構成要件Fの「チャンネルキャビティ」に該当するから の内部において、環状部分370の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され」るという構成を有する。 乙14発明の「空洞365」は、本件発明の構成要件Fの「チャンネルキャビティ」に該当するから、乙14発明は、構成要件Fの構成を備える。 乙14発明は、「空洞365は、煙草充填剤ロッド340から、環状部分 370に当接するセルロースアセテート繊維で構成されるフィルタ材である端末プラグ320であって、炭素を含まない端末プラグ320まで延在し、煙草充填剤ロッド340を出た煙草煙は、空洞365を介して吸い口端まで流れ」るという構成を有する。 このように、乙14発明において、煙草充填剤ロッド340を出た煙草 煙は、環状部分370の内部に形成された空洞365を通過して、炭素を含まない端末プラグ320に流れることになるから、乙14発明は、構成要件Gの選択肢(ⅰ)に係る構成を備える。 また、構成要件Gについて、選択肢(ⅱ)はチャネルキャビティがマウス端まで延在することを要件としておらず、被告製品では、たばこ端フィ ルタ部(B)の空洞部(b3)を介してタバコロッド(A)から吸口端(D1)まで蒸気及びエアロゾルが流れるから構成要件Gを充足するとの原告らの主張を前提とすれば、乙14発明は、「煙草充填剤ロッド340を出た煙草煙は、空洞365を介して吸い口端まで流れ」るという構成を有するから、構成要件Gの選択肢(ⅱ)に係る構成を備える。 乙14発明は「環状部分370は、煙草充填剤ロッド340と当接する前記端部を始点として環状部分370に沿って長手方向に分布する炭素を含」むという構成を備える。 乙14発明の「炭素」については、乙14公報における、「前記吸収剤は炭素であることを特徴とする請求項3記載の喫煙物。」(乙1 状部分370に沿って長手方向に分布する炭素を含」むという構成を備える。 乙14発明の「炭素」については、乙14公報における、「前記吸収剤は炭素であることを特徴とする請求項3記載の喫煙物。」(乙14抄訳7頁2 4行)、「前記炭素は活性炭であることを特徴とする請求項4記載の喫煙物。」(乙14抄訳7頁25行)等の記載から、乙14発明の「炭素」は、吸収剤としての役割を果たす。 本件明細書の【0014】では、「煙変性剤は吸着剤であり得る」とされるとともに、吸着剤の例として「活性炭」が挙げられている。 乙14発明の「炭素」は、吸着剤としての役割を果たすものであるから、 本件発明の構成要件Hの「煙変性剤」に該当する。したがって、乙14発明は、構成要件Hの構成を備える。 本件発明の構成要件Iは、「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する、」であるところ、乙14発明は、「煙草煙は、環状部分370の炭素と接触することなく空洞365を通過する」という構成を有 する。したがって、乙14発明は、構成要件Iの構成を備える。 乙14発明の「紙巻き煙草12」は、本件発明の構成要件Jの「シガレット」に該当するから、乙14発明は、構成要件Jの構成を備える。 (原告らの主張)本件発明と乙14発明は次の点で相違するため、本件発明は新規性を有する。 ア相違点3-1本件発明は、「前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも長手方向に延在する煙変性剤を含み、主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」のに対し、乙14発明は、煙草煙が環状部分370の炭素粒子 に実質的に接触することなく通過するかどうかが不明である点イ相違点3-2 、主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」のに対し、乙14発明は、煙草煙が環状部分370の炭素粒子 に実質的に接触することなく通過するかどうかが不明である点イ相違点3-2本件発明は、第1繊維性フィルタ材を有するのに対し、乙14発明は、環状部分370の材質が繊維性フィルタ材かどうか不明である点本件特許にサポート要件違反の無効理由があるか(争点4-4)について (被告らの主張)ア原告らは、構成要件I(「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する、」)における「煙変性剤」は、第1繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤のみを意味すると主張する。 これは、要するに、主流煙が第1繊維性フィルタ材のチャネルキャビテ ィ以外の部分で煙変性剤と実質的に接触するから、シガレットに煙変性剤 を設ける意味があると主張するものである。 本件明細書においては、本件発明に係る特許請求の範囲(請求項39)に対応する実施形態として、チャネルの存在により、主流煙がシガレット内のいずれの煙変性剤とも実質的に接触しない実施形態しか記載されていない(図8、【0058】)。 したがって、本件明細書には、本件発明に係る特許請求の範囲に対応する実施形態として、主流煙が第1繊維性フィルタ材のチャネルキャビティ以外の部分で煙変性剤と実質的に接触するという構成が記載されていない。 原告らは、主流煙がチャネルキャビティ内において煙変性剤と接触しな ければ、チャネルキャビティ内以外の箇所で煙変性剤とどれほど大量に接触してもよいと主張する。しかし、たとえ主流煙がチャネルキャビティ内において煙変性剤と実質的に接触しなかったとしても、チャネルキャビティ内以外の箇所で煙変性剤と実質的に接触すれば、主流煙の味質 に接触してもよいと主張する。しかし、たとえ主流煙がチャネルキャビティ内において煙変性剤と実質的に接触しなかったとしても、チャネルキャビティ内以外の箇所で煙変性剤と実質的に接触すれば、主流煙の味質及び官能的特徴が実質的に改変されることは明らかである。 したがって、構成要件Iにおける「煙変性剤」は、第1繊維性フィルタ材に含まれる煙変性剤のみを意味するという原告らが主張する解釈を前提とすれば、特許請求の範囲の記載は、当業者が上記の発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えることになる。 また、仮に、本件発明の作用効果について、本件発明の作用効果は、フ ィルタ要素の一部分であるチャネルにおいて煙変性剤に接触させることなく通過させることで、望まれ得る官能的特徴を有することにあり、主流煙がマウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないというものではないとの原告らの主張を前提としても、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、当業者が上記の発明の課題を解決できると認識できる範囲を超え るものである。 すなわち、原告らの上記主張は、要するに、主流煙が第1繊維性フィルタ材のチャネルキャビティ以外の部分で煙変性剤と実質的に接触するからこそ、シガレットに煙変性剤を設ける意味があると主張するものである。 しかし、主流煙が第1繊維性フィルタ材のチャネルキャビティ以外の部分で煙変性剤と実質的に接触することに技術的意義があるのであれば、その こと(第1繊維性フィルタ材以外の部分に煙変性剤が存在すること)が特許請求の範囲において特定されている必要があるところ、本件発明に係る特許請求の範囲には、そのような特定がなく、むしろ、「繊維性フィルタ材の第2部分」は「煙変性剤を含まない」とされている。したがって、仮に、本件発明の作用効果 れている必要があるところ、本件発明に係る特許請求の範囲には、そのような特定がなく、むしろ、「繊維性フィルタ材の第2部分」は「煙変性剤を含まない」とされている。したがって、仮に、本件発明の作用効果について、原告らの上記主張を前提とすると、特許請 求の範囲には、課題を解決するための手段が記載されていない。 以上のとおり、原告らの主張を前提とすると、本件発明は、①発明の詳細な説明に記載されていない発明を広範に包含するものであり、また、②当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでもないから、本件特許はサポート要件に違反する。 イ仮に原告が主張するとおり、メンソールなどの好ましい味質を提供する香料も、本件発明の「煙変性剤」に該当する場合、次のとおりサポート要件に違反する。 本件明細書によれば、本件発明の作用効果は、タバコロッドで発生した主流煙が煙変性剤に実質的に接触することなくマウス端まで到達するこ とにより、実質的に改変されない味質及び官能的特徴を有する主流煙が喫煙者に提供される点にある。本件明細書に記載された実施例のうち、本件発明に関するものは、上記の作用効果を奏するものとして記載されたものであるから、当業者は、これらの実施例における「煙変性剤」は、主流煙と実質的に接触することによって主流煙の味質及び官能的特徴に喫煙者 から見て悪影響を与えるものを意味すると当然に理解することになる。そ うすると、本件発明のうち、「煙変性剤」が好ましい味質を提供する香料とする発明は、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。 本件発明の作用効果は、タバコロッドで発生した主流煙が煙変性剤に実質的に接触することなくマウス端まで到達することにより、実質的に改変されない味質及び官能的特徴を有する主流煙が れた発明ではない。 本件発明の作用効果は、タバコロッドで発生した主流煙が煙変性剤に実質的に接触することなくマウス端まで到達することにより、実質的に改変されない味質及び官能的特徴を有する主流煙が喫煙者に提供される点 にある。これは、主流煙が「煙変性剤」に実質的に接触することにより、主流煙の味質及び官能的特徴が喫煙者から見て悪影響を受けることを当然の前提とするものである。 これに対し、メンソールなどの好ましい味質を提供する香料をシガレットに添加する場合には、上記とは逆に、主流煙と当該香料とを積極的に接 触させることが望ましい。 それゆえ、メンソールなどの好ましい味質を提供する香料が本件発明の「煙変性剤」に該当するという原告らの上記主張を前提とすれば、本件発明のうち、「煙変性剤」がメンソールなどの好ましい味質を提供する香料である発明については、主流煙が「煙変性剤」に実質的に接触することに より、主流煙の味質及び官能的特徴が喫煙者から見て悪影響を受けるという課題自体が存在しない。すなわち、本件発明は、当業者が発明の詳細な説明の記載によって課題を認識できない発明を含むものであり、当業者が本件発明により上記の課題を解決できると認識することはあり得ない。 したがって、本件発明は、当業者が上記の課題を解決できると認識でき る範囲を超えたものである。 (原告らの主張)ア本件発明の「発明が解決しようとする課題」は、「望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供する」(【0007】)ことであり、「課題を解決するための手段」 として、「チャネルは、主流煙の特定の内容物が煙変性剤に接触することな くフィルタ要素を通って進行することを可能にする。これにより 007】)ことであり、「課題を解決するための手段」 として、「チャネルは、主流煙の特定の内容物が煙変性剤に接触することな くフィルタ要素を通って進行することを可能にする。これにより、実質的に改変されない味質および望まれ得る官能的特徴を有する主流煙の内容物が喫煙者に提供されることとなる。」というものを含み、「フィルタ要素」について「フィルタ要素の各セグメントは、異なる特性を有し得、1つ以上の煙変性剤をそれぞれのセグメント内に含み得る。例えば、本発明の特定の実施 形態はフィルタ要素を提供する。なお、このフィルタ要素内では、主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過するよう導かれ、その結果として、煙変性剤との接触に起因する煙の官能的特性の変化は阻止または低減されることとなる」(【0039】)ことが本件明細書に開示されている。 そうすると、本件明細書の記載によれば、本件発明は、「主流煙の特定の内 容物が煙変性剤に接触することなくフィルタ要素を通って進行することを可能にするチャネル」を課題解決手段とし、フィルタ要素内にこのチャネルを含むことにより、「その結果として、煙変性剤との接触に起因する煙の官能的特性の変化は低減され」、もって、「望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供」 するから、本件発明の課題を解決できると認識できる。一方、本件発明の特許請求の範囲の記載は、構成要件G、H、Iにおいて、発明の詳細な説明に開示された課題解決手段を含むから、特許請求の範囲に記載された発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 イ被告らは、本件明細書にはチャネルの存在により主流煙がシガレット内のい された発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 イ被告らは、本件明細書にはチャネルの存在により主流煙がシガレット内のいずれの煙変性剤とも実質的に接触しない実施形態しか記載されていないとして、主流煙が第1繊維性フィルタのチャネルキャビティ以外の部分で煙変性剤と実質的に接触するという構成は、本件明細書に記載がない旨主張する。 しかしながら、本件明細書の【0039】には、「フィルタ要素の各セグ メントは、異なる特性を有し得、1つ以上の煙変性剤をそれぞれのセグメント内に含みうる」と記載されており、フィルタ要素においてチャネルキャビティ以外の部分で煙変性剤に実質的に接触し得るセグメントが存在することが想定されている。また、本件明細書の【0039】には、「このフィルタ要素内では、主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過するよう 導かれ、その結果として、煙変性剤との接触に起因する煙の官能的特性の変化は阻止または低減されることとなる」と記載されている。すなわち、本件明細書には、煙変性剤が存在しない領域を通過することで煙の官能的特性の変化が阻止される場合のみならず、官能的特性の変化が低減される場合についての記載がある。 これらによれば、本件明細書には、主流煙が第1繊維性フィルタのチャネルキャビティ以外で煙変性剤に実質的に接触し得る(主流煙が第1繊維性フィルタのチャネルキャビティを通過することで、煙の官能的特性の変化が低減される)構成も開示されていることが明らかである。 本件発明の課題は、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方 で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することにある(本件明細書の【0007】)。そし とが明らかである。 本件発明の課題は、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方 で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することにある(本件明細書の【0007】)。そして、主流煙がチャネル以外の要素において煙変性剤に実質的に接触することによっても、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供するという、本件発明の課題を解決できるのであるから、 サポート要件を充足する。 被告らは、主流煙が第1繊維性フィルタ材のチャネルキャビティ以外の部分で煙変性剤と実質的に接触するからこそシガレットに煙変性剤を設ける意味があるというのであれば、第1繊維性フィルタ材以外の部分に煙変性剤が存在することが特許請求の範囲に特定されている必要があると 主張する。しかし、本件発明の課題は、望ましい官能的特徴を有する主流 煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することにある。そして、本件発明の構成、特に、主流煙が、チャネルキャビティが形成された第1繊維性フィルタの煙変性剤に実質的に接触することなく通過することによっても、望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタ を提供することができるのであるから、第1繊維性フィルタ材以外の部分に煙変性剤が存在することを特許請求の範囲において特定する必要はない。 ウメンソールなどの好ましい味質を提供する香料についての被告らの主張は次のとおり理由がない。 被告らの主張イについて、当業者は、本件発明の実施例における「煙変性剤」は字義どおり煙を変性させるものを意味すると理解するのであるから、本件発明が発明の詳細な説明に記載されている い。 被告らの主張イについて、当業者は、本件発明の実施例における「煙変性剤」は字義どおり煙を変性させるものを意味すると理解するのであるから、本件発明が発明の詳細な説明に記載されていることは明らかである。 被告らの主張イについて、本件発明の作用効果は、望ましい官能的特 徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することにあるから、本件発明の作用効果に関する被告らの主張は誤りである。 第3 当裁判所の判断 1 本件発明について 本件明細書の記載(甲2)【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、タバコを原料とする製品もしくはタバコに由来する製品、または 別様にタバコを組み込み且つ人間により摂取されることを意図する製品に関 する。さらに詳細には、本発明はシガレット等の喫煙物品用のフィルタ要素に関する。 【背景技術】【0002】シガレット等の一般的な喫煙物品は、実質的に円筒ロッド形状の構造を有し、 細断タバコ(例えばカット充填材の形態の)等の喫煙材の装填物、ロール、または、カラムを紙ラッパーで包装することにより所謂「喫煙ロッド」または「タバコロッド」を形成したものを含む。通常、シガレットは、タバコロッドに端と端とを接して位置合わせされた円筒形フィルタ要素を有する。典型的には、フィルタ要素は、トリアセチンを用いて可塑化されたセルロースアセテートト ウを備え、このトウは「プラグ包装」として知られる紙材料により外包される。 典型的には、フィルタ要素は、「チップ紙」として知られる外包包装材料を用いて、タバコロッドの一方端に取り付けられる。チップ材料およびプラグ包装を穿孔して、吸い込まれた主流煙を環境空気で希 包される。 典型的には、フィルタ要素は、「チップ紙」として知られる外包包装材料を用いて、タバコロッドの一方端に取り付けられる。チップ材料およびプラグ包装を穿孔して、吸い込まれた主流煙を環境空気で希釈することも好ましいものとなった。シガレットおよびシガレットの様々な構成要素についての記述はDav isらのTobacco Production, Chemistry and Technology, (Eds.) (1999)に示される。シガレットは喫煙者がその一方端に着火しタバコロッドを燃焼させることにより使用される。次いで、喫煙者は、シガレットの反対端(例えばフィルタ端)から吸い込むことにより、喫煙者の口内に主流煙を受け取る。 【0004】炭素を組み込むシガレットフィルタ要素は、喫煙者が吸い込む間にフィルタ要素を通る主流煙から特定の気相成分を除去する傾向を有する。主流煙が炭素粒子等の吸着剤物質と相互作用することにより、特定の気相成分が、特定の程度で主流煙から除去されることとなる。主流煙の特性の係る変化により、主流煙の官能 的特性に変化が生じ得る。例えば、炭素を組み込む従来のシガレットフィルタ要 素を用いてフィルタされるタバコの主流煙は、わずかに金属的、乾燥的、および粉末的な風味特徴を有するものとしてしばしば特徴付けられ得る。 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0007】 かなりの量のシガレット主流煙の特定気相成分を効果的に除去するシガレットフィルタ要素を提供することは望ましいであろう。望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することも望ましいであろう。 【課題を解決するための手段】 【000 望ましいであろう。望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するシガレットフィルタを提供することも望ましいであろう。 【課題を解決するための手段】 【0008】本発明は、フィルタ要素を有するフィルタ付き喫煙物品に関する。喫煙物品の性質、形態、または種類は異なり得る。代表的な喫煙物品は、シガレットの形態の喫煙物品、またはタバコを燃焼させないエアロゾル生成喫煙物品を含む。 【0009】 さらに詳細には、本発明は、フィルタ要素がタバコロッドの基端にある端部およびタバコロッドから末端にある端部を有するよう、タバコロッドと、タバコロッドに接続されたフィルタ要素と、を含むシガレットを提供する。フィルタ要素は、様々な実施形態において、1つ以上のチューブがフィルタ材に挿入され且つフィルタ材を通って少なくとも部分的に長手方向に延在する状態で、フィルタ材 を含み得る。1つ以上のチューブのそれぞれは、タバコロッドからの主流煙がフィルタ材を少なくとも部分的に長手方向に通過するために適合されたチャネルを画成する。フィルタ材は、タバコロッドの基端にある端部から始まりフィルタ要素に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在する煙変性剤を含むことが好ましい。煙変性剤は主流煙から様々な蒸気相化合物を除去するために有用である。 1つ以上のチューブまたはチャネルは、主流煙の特定の内容物が煙変性剤に接触 することなくフィルタ要素を通って進行することを可能にする。これにより、実質的に改変されない味質および望まれ得る官能的特徴を有する主流煙の内容物が喫煙者に提供されることとなる。 【0010】特定の実施形態において、本発明に係るシガレットは、タバコロッドの基端に あるフィルタ材の第1長手 まれ得る官能的特徴を有する主流煙の内容物が喫煙者に提供されることとなる。 【0010】特定の実施形態において、本発明に係るシガレットは、タバコロッドの基端に あるフィルタ材の第1長手方向延在部分を含むフィルタ要素を備え得、このフィルタ材の第1部分はその内部に煙変性剤を含む。フィルタ要素は、タバコロッドから末端にあり且つフィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された、フィルタ材の第2長手方向延在部分も含み得る。フィルタ材の第1部分は第1部分を通って延在する1つ以上のチャネルを備え得る。なお、1つ以上のチャ ネルは主流煙が前記タバコロッドとフィルタ材の前記第2部分との間で通過するために適合された。特定の実施形態において、これらのチャネルは、フィルタ材の部分を通る通路を形成するためにフィルタ材の部分に挿入された予成形チューブであり得る。他の実施形態において、1つ以上のチャネルは、フィルタ自体の製造時にフィルタ材の部分内に形成され得る。 【0012】フィルタ要素の1つ以上の部分を形成するために用いられるフィルタ材は異なり得る。いくつかの実施形態において、フィルタは、セルロースアセテートトウ、ギャザーセルロースアセテートウェブ、ポリプロピレントウ、ギャザーポリプロピレンウェブ、ギャザーポリエステルウェブ、ギャザー紙、および再形成タ バコのストランドからなる群から選択され得る。PLAおよびPHAを含む他のポリマーも用いられ得る。特定の実施形態において、フィルタ材の第1部分およびフィルタ材の第2部分の両方がセルロースアセテートトウを含む。フィルタ要素は約15mm~約65mmの全長を有し得る。フィルタ材の2つの部分を備える実施形態においては、タバコロッドの基端にあるフィルタ材の部分がタバコロ セルロースアセテートトウを含む。フィルタ要素は約15mm~約65mmの全長を有し得る。フィルタ材の2つの部分を備える実施形態においては、タバコロッドの基端にあるフィルタ材の部分がタバコロ ッドから末端にあるフィルタ材の部分よりも長いことが好ましいであろう。例え ば、タバコロッドの基端にあるフィルタ材の部分は約5mm~約40mmの長さ、好適には約10mmから約30mmの長さを有し得る。タバコロッドから末端にあるフィルタ材の部分は約2mm~約25mmの長さ、好適には約5mm~約15mmの長さを有し得る。他の実施形態において、これらのフィルタ材の部分の相対的長さは逆転し得る。 【0013】フィルタ材は、フィルタ材を通過する煙の特性を改変するにあたり有用である多様な成分を含み得る。例えば、フィルタ要素は少なくとも1つの破壊可能なカプセルを含み得る。好適には、係る破壊可能なカプセルはフィルタ材内に配置される。いくつかの実施形態において、係る破壊可能なカプセルは、1つ以上のチ ューブのうちの少なくとも一方のチューブのチャネル内に配置され得る。同様に、チューブ壁も、風味剤またはチューブを通過する主流煙の1つ以上の特性を改変するにあたり有用な他の材料が含まれるよう、形成され得る。例えば、チューブは1つ以上のフィルタ材を含み得る。 【0014】 多様な煙変性剤がフィルタ要素内に含まれ得る。例えば、煙変性剤は吸着剤であり得る。いくつかの実施形態において、係る吸着剤は、活性炭、モレキュラーシーブ、粘土、活性アルミナ、シリカゲル、イオン交換樹脂、有機金属構造体(MOF)、分子インプリントポリマー(MIP)、風味剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好適には、吸着剤は、四塩化炭素吸収率が少な ナ、シリカゲル、イオン交換樹脂、有機金属構造体(MOF)、分子インプリントポリマー(MIP)、風味剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好適には、吸着剤は、四塩化炭素吸収率が少な くとも約80%である活性炭等の活性炭である。さらに、吸着剤は、粒子の少なくとも約80%が20~50メッシュであるような粒子寸法を有する等の、顆粒形態であり得る。他の実施形態において、煙変性剤は酸化触媒であり得る。例えば、酸化触媒は、アルカリ金属と、アルカリ土類金属と、IIIB族、IVB族、VB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族、IB族、およびIIB族の遷移金属と、IIIA族 元素と、IVA族元素と、ランタニドと、アクチニドと、からなる群から選択され る元素を含む触媒金属化合物であり得る。さらに詳細には、触媒金属化合物は、酸化鉄と、酸化銅と、酸化亜鉛と、酸化セリウムと、パラジウムと、白金と、ロジウムと、パラジウム、白金、またはロジウムのハロゲン化物と、パラジウム、白金、またはロジウムの硝酸塩と、これらの組み合わせと、からなる群から選択され得る。特定の実施形態において、煙変性剤は粉末状または顆粒形態であり得、 繊維性トウフィルタ材内に埋め込まれ得る。 【0015】上述の全般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、単に代表的且つ説明的であり、請求項に定められる本発明を限定するものではないことを理解すべきである。参照することにより本明細書に援用され且つ本明細書の1部分を構成する 添付の図面は、本発明の特定の実施形態を図示し、詳細な説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。 【0016】本発明の実施形態の理解を支援するために、添付の図面をここで参照する。なお、これらの図面においては同様の参照 態を図示し、詳細な説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。 【0016】本発明の実施形態の理解を支援するために、添付の図面をここで参照する。なお、これらの図面においては同様の参照番号は同様の構成要素を指し、これらの 図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない。これらの図面は例示としてのみ示されたものであり、本発明を限定するものであると解釈すべきではない。 【図面の簡単な説明】【0017】 【図1】シガレットの喫煙材、包装材構成要素、およびフィルタ要素を示す、シガレットの形態を有する喫煙物品の分解透視図である。 【図2】フィルタ要素は、タバコロッドの基端にあるフィルタ材の第1部分とタバコロッドから末端にあるフィルタ材の第2部分とを備え、フィルタ材の第1部分は、その内部に分散された煙変性剤を含み、タバコロッドとフィルタ材の第2 部分との間で延在する第1部分の中央長手方向軸に沿って配置されたチューブ も備える、本発明のシガレットの断面側面図である。 【図3】線A-Aに沿った図2のフィルタ要素の部分の断面図である。 【図4】本発明の1つの実施形態に係るチャネル構成を示す、フィルタ要素の部分の断面図である。 【図5】本発明の1つの実施形態に係る他のチャネル構成を示す、フィルタ要素 の部分の断面図である。 【図6】フィルタ要素が多孔性チューブ壁を有する予成形チューブを含む、本発明の他の実施形態に係るシガレットの断面側面図である。 【図7】チャネルのうちのいくつかがさらなるフィルタ材により満たされる、さらに他のチャネル構成を示す、本発明のフィルタ要素の部分の断面図である。 【図8】フィルタ材のただ1つのみの部分がタバコロッドからフィルタ要素の最終的なマウス端へと延在し、 り満たされる、さらに他のチャネル構成を示す、本発明のフィルタ要素の部分の断面図である。 【図8】フィルタ材のただ1つのみの部分がタバコロッドからフィルタ要素の最終的なマウス端へと延在し、さらなるフィルタ材により満たされたチューブがフィルタ要素の全長を通って延在する、本発明のシガレットの断面側面図である。 【図9】フィルタ材のただ1つのみの部分がタバコロッドからフィルタ要素の最終的なマウス端へと延在し、チューブがフィルタ要素の部分的な長さのみを通っ て延在し、煙変性剤が、タバコロッドの基端にあるフィルタ要素の部分内にのみ存在する、本発明のシガレットの断面側面図である。 【図10】タバコロッドの基端にあるフィルタ材の部分を通って堅固なチューブ壁が延在する状態で、フィルタ要素が予成形チューブを備え、且つフィルタ要素がその内部に破壊可能なカプセルをさらに含む、本発明のシガレットの断面側面 図である。 【発明を実施するための形態】【0018】本発明について、添付の図面を参照しつつ、以下でより詳細に説明する。本発明は多数の異なる形態で実施され得、本明細書で説明する実施形態に限定される と解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的且つ完全 なものとなり、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるよう、提供される。本明細書で用いられる単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容的に明らかに単数のみを参照する場合以外は、複数の参照も含むことに注意すべきである。 【0019】本発明は、シガレットまたは「発熱するが燃焼しない」(heat but n ot burn)シガレット代替品等の喫煙物品により生成される主流煙をフィルタリングするときに用いられるために適合されたフィル ガレットまたは「発熱するが燃焼しない」(heat but n ot burn)シガレット代替品等の喫煙物品により生成される主流煙をフィルタリングするときに用いられるために適合されたフィルタ要素を対象とする。 図1を参照すると、シガレットの形態の喫煙物品10が示される。シガレット10は、外包包装材16に含まれた喫煙充填材の装填物またはロールの略円筒形ロッド12を備える。ロッド12は、従来、「タバコロッド」と呼称される。タバコ ロッドの両端は開放されて、喫煙充填材が露出する。タバコロッド12の一方端は着火端18であり、フィルタ要素20は他方端に配置される。シガレット10は、所望による包装材16上にプリントされたバンド22を有するものとして示される。なお、このバンドはシガレットの長手方向軸を横切る方向にシガレットロッドを外包する。すなわち、このバンドはシガレットの長手方向軸に対する横 方向領域を提供する。このバンドは包装材の内側表面上に(すなわち喫煙充填材に対向して)印刷されてもよく、または包装材の外側表面上に印刷されてもよい。 図1に示すシガレットは1つの所望によるバンドを有する包装材を備えるが、シガレットは、さらに所望による離間するバンドを2つ、3つ、または4つ以上有する包装材も備えてよい。 【0020】シガレット10は、フィルタ要素およびタバコロッドが端と端とを接して、好適には互いに当接して、軸方向に整列するよう、タバコロッド12の一方端に近接して配置されたフィルタ要素20を備える。フィルタ要素20は略円筒形状を有し、その直径はタバコロッドの直径に実質的に等しい。フィルタ要素20の両 端は開放され、空気および煙がフィルタ要素20を通って流れることが可能であ る。フィルタ要素20は、少 状を有し、その直径はタバコロッドの直径に実質的に等しい。フィルタ要素20の両 端は開放され、空気および煙がフィルタ要素20を通って流れることが可能であ る。フィルタ要素20は、少なくとも1つのフィルタ材のセグメントすなわち部分24(例えば可塑化されたセルロースアセテートトウ)を含み、この部分24は、その長手方向に延在する表面に沿って、外包プラグ包装材26により包装される。典型的なプラグ包装材26は、空気流に対して多孔性であるかまたは非多孔性である紙等の、紙材料である。フィルタ要素20はフィルタ材の2つ以上の セグメント、および/または係るセグメント内に組み込まれた風味添加剤を有し得る。所望による実施形態はプラグ包装材を含まない場合もある。 【0021】フィルタ要素20はチップ材28によりタバコロッド12に取り付けられ、チップ材28は、フィルタ要素の全長とタバコロッドの近接領域との両方を外包す る。チップ材28の内側表面は、プラグ包装26の外側表面と、タバコロッドの包装材16の外側表面と、に好適な接着剤を用いて固定的に取り付けられる。所望により、通風または空気希釈される喫煙物品に対して、一連のパーフォレーション30等の空気希釈手段が提供される。なお、一連のパーフォレーション30のそれぞれは、チップ材28およびプラグ包装26を通って延在する。空気希釈 される場合には、フィルタ要素は、通常、通風され、それにより、約10~約85%の範囲の、好適には約30~約40%の範囲の空気希釈を有するシガレットが提供されることとなる。本明細書で用いられる用語「空気希釈」は、シガレットを通して吸い込まれてシガレットの最終的なマウス端から出る空気および煙の総体積に対する、空気希釈手段を通って吸い込まれる空気の体積の比( こととなる。本明細書で用いられる用語「空気希釈」は、シガレットを通して吸い込まれてシガレットの最終的なマウス端から出る空気および煙の総体積に対する、空気希釈手段を通って吸い込まれる空気の体積の比(百分率 で表される)である。Selkeら、Beitr. Zur Tabak. In., Vol. 4, p. 193 (1978)を参照されたい。パーフォレーション30は当業者に周知である様々な技術を用いて作製され得る。例えば、パーフォレーション30は、機構的なまたはマイクロレーザのオフライン技術を用いて、またはオンラインのレーザ穿孔を用いて、作製され得る。 【0026】 包装材は、通常、繊維材と、繊維材中に埋め込まれたまたは分散された少なくとも1つの充填材と、を組み込む。繊維材は異なり得る。最も好適には、繊維材はセルロース系物質である。好適には、充填材は実質的に水溶性粒子の形態を有する。加えて、充填材は、通常、無機成分を組み込む。充填材は、主流煙の蒸気相成分を吸収する能力または係る成分と反応する能力を有する触媒または吸着 剤材料を含み得る。カルシウム塩を組み込む充填材が特に好適である。1つの代表的な充填材は炭酸カルシウムの形態を有し、炭酸カルシウムは、最も好適には粒子形態で用いられる。例えば、Hamplに付与された米国特許第4,805,644号と、Sandersに付与された米国特許第5,161,551号と、Baldwinらに付与された米国特許第5,263,500号と、国際公開第 01/48316号と、を参照されたい。その他の充填材は、凝集された炭酸カルシウム粒子と、酒石酸カルシウム粒子と、マグネシウム酸化物粒子と、水酸化マグネシウムゲルと、炭酸マグネシウムタイプの物質と、粘土と、珪藻 16号と、を参照されたい。その他の充填材は、凝集された炭酸カルシウム粒子と、酒石酸カルシウム粒子と、マグネシウム酸化物粒子と、水酸化マグネシウムゲルと、炭酸マグネシウムタイプの物質と、粘土と、珪藻土物質と、二酸化チタン粒子と、ガンマアルミナ物質と、硫酸カルシウム粒子と、を含む。 充填材は、燃焼特性の改変または主流煙の特徴および含量を調節する能力(例え ば特定化合物の吸収による)等の、特定の有益な特徴が包装材に付与されるよう、選択され得る。いくつかの実施形態において、充填材は省略可能である。 【0038】図2~図7は、シガレット等の喫煙物品とともに使用するために適合された、本発明のフィルタ要素の様々な実施形態を示す。本発明のフィルタ要素は、通常、 1つ以上の長手方向に延在するセグメントを含む。特定の実施形態において、本発明のフィルタ要素は2つのセグメントを含む。なお、これらのセグメントは好適には端と端とを接した構成で配列されることが好ましい。他の実施形態において、フィルタ要素は単一のセグメントを備えるか、または空洞フィルタを含む3つ、4つ、または5つ以上のセグメントを備え得る(例えば「プラグ-空間-プ ラグ」フィルタ)。1つの好適な実施形態において、フィルタ要素はタバコ端セグ メント(すなわちタバコロッドの基端にあるフィルタ材の部分)およびマウス端セグメント(すなわちタバコロッドの末端にあるフィルタ材の部分)を備える。 【0039】フィルタ要素の各セグメントは、異なる特性を有し得、1つ以上の煙変性剤をそれぞれのセグメント内に含み得る。例えば、本発明の特定の実施形態はフィル タ要素を提供する。なお、このフィルタ要素内では、主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過するよう導かれ、その結果として、煙 れぞれのセグメント内に含み得る。例えば、本発明の特定の実施形態はフィル タ要素を提供する。なお、このフィルタ要素内では、主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過するよう導かれ、その結果として、煙変性剤との接触に起因する煙の官能的特性の変化は阻止または低減されることとなる。煙変性剤はフィルタ要素の単一セグメント内に隔離され、フィルタ要素のさらなるセグメントは実質的に煙変性剤を含まなくてもよい。他の実施形態において、本発明に係るフィル タ要素の単一セグメントは、係るセグメントの1部分のみに提供された煙変性剤を有し得る。このようにして、本発明は、煙変性剤が、主流煙の全ストリームと必ずしも接触することなく、主流煙内の特定のガス種と相互作用することを可能にするフィルタ設計を提供する。3つ以上のフィルタセグメントが含まれる実施形態において、チャネルまたはチューブは2つ以上のセグメント内に形成され得 る。 【0040】本明細書で用いる用語「煙変性剤」は、例えば、特定ガス種の吸収(例えば有機化合物の除去)、特定ガス種との化学反応(例えば一酸化炭素の酸化)、または揮発性ガス成分の添加(例えば煙への風味剤の添加)等により、フィルタ要素を 通過する主流煙の構成を改変する能力を有する任意の物質を示す。煙変性剤は、例えば繊維の形態またはソリューションモノリス(solution monolith)上に噴霧された形態等の他の形態も本発明から逸脱することなく用いられ得るが、通常は粉末状または顆粒状と説明され得る形態で利用される。例えば吸着剤および風味剤の組み合わせ等の異なる種類の物質の組み合わせを含む 煙変性剤の組み合わせは同一フィルタ内で用いられ得る。 【0041】代表的種類の煙変性剤は、活性炭、モレキュラ よび風味剤の組み合わせ等の異なる種類の物質の組み合わせを含む 煙変性剤の組み合わせは同一フィルタ内で用いられ得る。 【0041】代表的種類の煙変性剤は、活性炭、モレキュラーシーブ(例えばゼオライトおよびカーボンモレキュラーシーブ)、粘土、活性アルミナ、シリカゲル、およびイオン交換樹脂等の吸着剤と、風味剤含有カプセル、およびペパーミントもしくはスペアミント葉または他の植物ベースの粒状香味材等の固体植物性添加剤を含 む風味剤と、を含む。本発明にしたがってフィルタ要素(またはフィルタ要素の特定セグメント)において用いられ得る吸着剤の量は、約10~250mg、しばしば約30~約150mg、頻繁には約40~約120mgであり得る。吸着剤の形態は異なり得る。通常、吸着剤は、米国シーブシステムを用いて約8×16メッシュ~約30×70メッシュの範囲の粒子寸法を有する顆粒状または粒 状の固体の形態で用いられる。一方、より小さい粒子またはより大きい粒子も本発明から逸脱することなく用いられ得る。いくつかの実施形態において、吸着剤は、少なくとも約80%の粒子が20~50メッシュとなるような粒子寸法を有し得る。「顆粒状」および「粒状」という用語は、国際公開第03/059096(A1)号に記載の所謂「ビーズカーボン」等の、非球形粒子および球形粒子の 両方を含むことを意図する。なお、同特許は参照することにより本明細書に援用される。 【0042】特定の実施形態において、吸着剤は特に活性炭であり得る。炭素の活性レベルは異なり得る。通常、炭素は、約60~約150四塩化炭素活性率(すなわち吸 収した四塩化炭素の重量パーセント)の活性を有する。ここで最も有用な活性炭は、主に炭素からなり、好適には約80重量パーセント以 得る。通常、炭素は、約60~約150四塩化炭素活性率(すなわち吸 収した四塩化炭素の重量パーセント)の活性を有する。ここで最も有用な活性炭は、主に炭素からなり、好適には約80重量パーセント以上の炭素含有率、さらに好適には約90重量パーセント以上の炭素含有率を有する。好適な炭質材料は歴青炭、タバコ材料、軟材パルプ、硬材パルプ、ヤシ殻、アーモンド殻、ブドウ種子、クルミ殻、マカダミア殻、カポック繊維、綿繊維、および綿リンタ等を炭 化または熱分解することにより提供される。ヤシ殻、アーモンド殻、ブドウ種子、 クルミ殻、およびマカダミアナッツ殻由来の炭素が特に好適である。好適な活性炭材料の例は、PCBおよびGRC-11としてCalgon社から入手可能な活性化されたヤシ殻を主成分とする炭素と、S-Sorb、BPL、CRC-11F、FCA、およびSGLとしてCalgon社から入集可能な石炭を主成分とする炭素と、WV-B、SA-20、およびBSA-20としてWestva co社から入手可能な木材を主成分とする炭素と、HMC、ASC/GR-1、およびSC IIとしてCalgon社から入手可能な炭質材料と、Rohm and Haas社から入手可能なWitco Carbon No.637およびAMBERSORB樹脂と、である。その他の炭質材料は、Whiteらに付与された米国特許第4,771,795号と、Clearmanらに付与 された米国特許第5,027,837号と、欧州特許出願公開第236,922号と、欧州特許出願公開第419,733号と、欧州特許出願公開第419,981号と、に記載される。特定の炭質材料は、遷移金属(例えば銀、金、銅、白金、パラジウム)、炭酸水素カリウム、タバコ抽出物、ポリエチレンイミン、二酸化 19,733号と、欧州特許出願公開第419,981号と、に記載される。特定の炭質材料は、遷移金属(例えば銀、金、銅、白金、パラジウム)、炭酸水素カリウム、タバコ抽出物、ポリエチレンイミン、二酸化マンガン、オイゲノール、および4-ケトノナン酸等の物質で含浸され得る。 特定の炭素組成物はセモリナ等の1つ以上の充填材を含み得る。ブドウ種子抽出物もフリーラジカル捕捉剤としてフィルタ要素に組み込まれ得る。例示的なイオン交換樹脂は、三菱化学株式会社から入手可能なDIAION(登録商標)イオン交換樹脂(例えばWA30およびDCA11)と、Rohm and Haas社から入手可能なDUOLIT(登録商標)イオン交換樹脂(例えばDUOL ITE(登録商標) A7)と、中国のDalian Trico Chemical社から入手可能なXORBEX樹脂と、を含む。 【0043】他の実施形態においては、煙変性剤は、一酸化炭素、NOX、シアン化水素、カテコール、ヒドロキノン、または特定のフェノール等の、主流煙中に存在する1 つ以上のガス種を酸化する能力を有する酸化触媒である。本発明において用いら れる酸化触媒は、通常、約110Da未満の分子量、より頻繁には約75Da未満の分子量、および最も頻繁には約50Da未満または約40Da未満の分子量を有する、主流煙の1つ以上のガス種を酸化する触媒金属化合物である。特定の運用理論に拘束されることなく、本発明に係るフィルタ要素は比較的小さい分子量のガス種の酸化に特に好適であるということが信じられている。 【0048】煙変性剤をフィルタ要素に組み込む手法は異なり得る。例えば、煙変性剤は、繊維性フィルタ材(例えばセルロースアセテートトウ)等のフィルタ材の部分内に埋め込ま じられている。 【0048】煙変性剤をフィルタ要素に組み込む手法は異なり得る。例えば、煙変性剤は、繊維性フィルタ材(例えばセルロースアセテートトウ)等のフィルタ材の部分内に埋め込まれるかもしくは分散され得、またはBlakleyらに付与された米国特許第5,360,023号に記載の炭素含有ギャザー紙等の紙に組み込まれ 得る。他の実施形態において、フィルタ要素は煙変性剤が配置され得る区画を備え得る。加えて、煙変性剤は、区画内に配置され、且つ1つ以上のフィルタ要素の部分内に埋め込まれ得る。所望による区画内の煙変性剤とフィルタ材中に埋め込まれたもしくは分散された吸着剤とは、同一であってもよく、また異なってもよい。 【0049】図2は、フィルタ材38の第1部分と、第1部分に端と端とを接した構成で配列されるフィルタ材36の第2部分と、を備える本発明のフィルタ要素20の1つの実施形態を示す。フィルタ材の部分のそれぞれは独立的に繊維性フィルタ材を含み得る。図示のように、フィルタ材38の第1部分はフィルタ要素20のタ バコロッド12の基端に配置され、フィルタ材36の第2部分はタバコロッド12から末端に(すなわちフィルタ要素20のマウス端に)配置される。フィルタ材38の第1部分は煙変性剤34を含み、好適には煙変性剤34は顆粒形態である。煙変性剤34は実質的にフィルタ材38の第1部分の全域に提供されるものとして図示されるが、いくつかの実施形態においては、煙変性剤34はフィルタ 材38の第1部分の定められた部分にのみ存在し得る。 【0051】タバコロッド12の基端にあるフィルタ材38の部分は、チューブ壁48Aがチューブ48を通って延在し主流煙がフィルタ材38の部分を通過するための通路をチュ 在し得る。 【0051】タバコロッド12の基端にあるフィルタ材38の部分は、チューブ壁48Aがチューブ48を通って延在し主流煙がフィルタ材38の部分を通過するための通路をチューブ48が提供する状態で、1つ以上のチューブ48を備える。チューブが図示されるが、代替的に、フィルタ要素はチューブに加えて、またはチュ ーブに代わって、チャネルを備え得ることが理解されるべきである。チャネルは、フィルタ材が存在しない開口部またはキャビティとして特徴付けられ得る。チューブは予成形チャネルとして特徴付けられ得る。チューブが用いられる実施形態において、チューブ48はフィルタ材38の第1部分に挿入され且つ第1部分を通って延在するものとして特徴付けられ得る。1つ以上のチューブ(またはチャ ネル)48は、フィルタ材38の第1部分内における煙変性剤34との接触が実質的に回避されつつ主流煙がタバコロッド12とフィルタ材36の第2部分との間を流れるために適合された妨害のない通路を提供する。図示はしないが、1つ以上のチューブまたはチャネルも、同様に、フィルタ材の第2部分内に含まれ得る。 【0052】前述のように、フィルタ要素はフィルタ材の複数の部分を備え得る。例えば、図1に戻って、フィルタ要素20は、タバコロッド12とフィルタ材38の第1部分との間に配置されたフィルタ材の第3部分を備えることが可能である。さらに、キャビティがフィルタ要素20内に、例えばフィルタ材38の第1部分とフ ィルタ材36の第2部分との間等の位置に、含まれ得る。 【0053】図3~図5は、タバコロッド12の基端にあるフィルタ部分38を通って延在する1つ以上のチューブ(またはチャネル)48に対する様々な代表的な構成を示す。図3は図2の線 まれ得る。 【0053】図3~図5は、タバコロッド12の基端にあるフィルタ部分38を通って延在する1つ以上のチューブ(またはチャネル)48に対する様々な代表的な構成を示す。図3は図2の線A-Aに沿った断面図である。図4、図5、および図7は、 図2の線A-Aに沿ったが、それぞれの代替的な実施形態における、断面図を同 様に示す。図3に示すように、フィルタ要素20は単一のチューブ48を備え得る。なお、このチューブ48は、例えばフィルタ材38の第1部分の中心軸に沿って、且つ係る中心軸の基端で、延在する。代替的に、図4および図5に示すように、複数のチャネル(または他の実施形態においてはチューブ)48が利用され得る。なお、複数チャネルの正確な配置および構成は異なり得る。図4の実施 形態では、複数のチャネル48がフィルタ部分38の中心軸の基端に配置される。 図5に示す代替的な実施形態において、複数のチャネル48はフィルタ部分38の周縁部に沿って配置される。1つの実施形態において、チャネル(またはチューブ)48の個数は1~約20個、1~約15個、または1~約10個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)である。 【0054】チャネル48の壁部は、チャネルが形成されるフィルタ材38の部分の物質により画成され得る。代替的に、チャネル48は、壁部を有するチューブの形態をとり得、チューブはフィルタ材に挿入されるかまたは別様にフィルタ材と組み合わされる。図3に示すように、チューブ48は、チューブ48が内径および外径 を有するよう、定められた厚さを有するチューブ壁48Aを有する。チューブ(すなわちチューブ壁)は、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、PLA、PHA、またはこれらの組 び外径 を有するよう、定められた厚さを有するチューブ壁48Aを有する。チューブ(すなわちチューブ壁)は、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、PLA、PHA、またはこれらの組み合わせ等の、自己支持構造を形成する能力を有する任意の材料(例えば高分子材料)を含み得る。 【0055】 1つ以上のチャネルまたはチューブ48の合計断面積は変化し得る。通常、チャネルまたはチューブ48の合計断面積は約0.1mm2~約50mm2、約0. 25mm2~約20mm2、または約0.5mm2~約15mm2である。チャネルまたはチューブ48の断面形状は異なり得、例えば長方形、円形、または三角形であり得る。特定の実施形態において、チューブ48は少なくとも約0.25m mの内径、少なくとも約0.5mmの 内径、または少なくとも約0.75mmの内径を有し得る。特定の実施形態において、チューブは、約0.25mm~約2mmの内径、約0.5mm~約1.5mmの内径、または約0.6mm~約1.25mmの内径を有し得る。チューブ壁48Aは、約0.1mm~約1mmの厚さ、約0.2mm~約0.8mmの厚さ、または約0.3mm~約0.5の厚さを有し得る。チューブ48の外径は、 チューブ内径とチューブ壁厚さとの所望の組み合わせに応じて異なり得る。予成形チューブが用いられるのではなくチューブが形成される実施形態において、チャネル直径は、チューブの内径に対して注記したのと同じ範囲となり得る。いくつかの実施形態(特にチャネルが予成形チューブの形態ではない場合)においては、チャネルの直径は、煙変性剤がチャネルまたはチューブ内に移動することが ないよう(すなわち、チャネルまたはチューブの直径が煙変性剤の粒子直径よりも小さくなり得る 形態ではない場合)においては、チャネルの直径は、煙変性剤がチャネルまたはチューブ内に移動することが ないよう(すなわち、チャネルまたはチューブの直径が煙変性剤の粒子直径よりも小さくなり得るよう)、選択され得る。他の実施形態においては、チューブ壁は、係る移動が回避されるよう、十分なバリア特性を提供し得、チューブの内径は、煙変性剤の粒子寸法から独立し得る。 【0056】 特定の実施形態において、フィルタ材38の第1部分におけるチューブ48の壁部48Aは定められた多孔率を有し得る。係る多孔率はチューブ作成に用いられた物質の固有の性質に起因し得る。特定の実施形態において、図6に示すように、多孔率は、チューブ壁48Aに形成されるパーフォレーション48Bを提供することにより達成(または増加)され得る。特に、チューブ壁は、主流煙の少 なくとも一部がチューブ壁を浸透してフィルタ材の第1部分に入るよう、十分な多孔率を有し得る。多孔率は、チューブを通過する主流煙の量が制限され、フィルタ材の第1部分内に存在する煙変性剤との接触が回避されるよう、定められ得る。 【0057】 図7に示す本発明に係るさらなる実施形態においてはさらなるフィルタ材4 9が所望により提供され、このフィルタ材48は、チャネルまたはチューブ48内において、少なくとも部分的にチャネルまたはチューブ48を満たすよう、配置される。図示の実施形態において、フィルタ材49は、フィルタ材38の第1部分内に存在するチューブ48の全個数よりも少ない個数のチューブ48内に提供される。他の実施形態において、存在する全部のチューブがさらなるフィル タ材で満たされ得る。チューブ48のうちの1つ以上に配置されるさらなるフィルタ材49は、フィルタ材38の第1 ブ48内に提供される。他の実施形態において、存在する全部のチューブがさらなるフィル タ材で満たされ得る。チューブ48のうちの1つ以上に配置されるさらなるフィルタ材49は、フィルタ材38の第1部分おおよびフィルタ材36の第2部分のうちの1つまたは両方と同一であってもよくまたは異なってもよい。さらに他の実施形態において、1つ以上のチャネルまたはチューブ48は、フィルタ材で裏打ちされるが、依然としてチャネルまたはチューブを通って延在する開放された 通路を有し得る。チューブの裏に設けられるフィルタ材は、任意の有用な材料であり得、チューブを包囲するフィルタ材と同一であっても、または異なってもよい。 【0058】図8および図9に示すさらに他の実施形態において、フィルタ要素20は、フ ィルタ材55の単一部分から形成され得る。なお、この単一部分は、本発明のさらなる実施形態におけるフィルタ材の部分で用いられる本明細書で記載の任意の材料から形成され得る。図8の実施形態において、チューブ48はフィルタ材55の部分の全長を長手方向に延在し、この部分はさらに煙変性剤34を含む。 チューブ48はさらなるフィルタ材49により満たされる。なお、フィルタ材4 9は、特に、上述のフィルタ材36の第2部分で用いられるのと同一種類の材料であり得る。他の実施形態において、チューブ48はさらなるフィルタ材49により部分的にのみ満たされ得、または、さらなるフィルタ材は完全に不在であり得る(すなわち、チューブ内にはフィルタ材がまったく存在せず、したがってチューブは開放チャネルとなる)。このように、タバコロッド12を出てチューブ 48を通過する主流煙は、煙変性剤34に接触することはないが、さらなるフィ ルタ材49がチューブ48内に存在す ーブは開放チャネルとなる)。このように、タバコロッド12を出てチューブ 48を通過する主流煙は、煙変性剤34に接触することはないが、さらなるフィ ルタ材49がチューブ48内に存在する場合には所望により依然としてフィルタされる。おそらく、さらなるフィルタ材49は、主流煙の官能的特性に悪影響を及ぼさないことが期待される物質のみを含むであろう。 【0059】図9に示す実施形態において、チューブ48は、再び、フィルタ材55の部分 の全長を長手方向に延在し、フィルタ材55の部分はさらに煙変性剤34を含む。 チューブ48は依然として、さらなるフィルタ材49を含む。なお、フィルタ材49は、特に、上述のフィルタ材36の第2部分において用いられるのと同一種類の材料であり得る。しかしこの実施形態において、さらなるフィルタ材49は、遮断されない通路48Bが依然としてチューブ48の全長にわたって延在する よう、チューブ壁48Aの内部のみの裏に設けられる。このように、タバコロッド12を出てチューブ48を通過する主流煙は、煙変性剤34に接触することはないが、チューブ48の壁部48Aの裏に設けられるフィルタ材49との接触により、依然としてフィルタされる。おそらく、さらなるフィルタ材49は、主流煙の官能的特性に悪影響を及ぼさないことが期待される物質のみを含むであろ う。図8および図9に関して説明される主題は、予成形チューブは用いられず、むしろ1つ以上のチャネル48がフィルタ材55の単一部分内で形成される実施形態も含み得る。例えば、図9に関して、フィルタ材55の部分を通る通路は形成されたチャネルとして構成され得、さらなるフィルタ材49は、タバコロッド12を出てチャネルを通過する主流煙が依然として煙変性剤34に接触しな いよ 関して、フィルタ材55の部分を通る通路は形成されたチャネルとして構成され得、さらなるフィルタ材49は、タバコロッド12を出てチャネルを通過する主流煙が依然として煙変性剤34に接触しな いよう、形成されたチャネルの壁部の裏に設けられ得る。 本件発明の意義本件明細書によれば、本件明細書に記載された発明の課題として、シガレットについて、「望ましい官能的特徴を有する主流煙を生成する一方で主流煙の気相成分を除去するフィルタを提供することも望ましい」(【0007】)とし た上で、その解決の手段として、シガレットを「タバコロッド」とこれに接続 した「フィルタ要素」で構成し、「フィルタ要素」については、「フィルタ材」を主流煙が少なくとも部分的に長手方向に通過するために適合したチャネルを備え、主流煙は、チャネルを通行することによって主流煙の内容物が「煙変性剤」に接触することなくフィルタ要素を通って進行することが可能となり、これによって、「実質的に改変されない味質および望まれ得る官能的特徴を有 する主流煙の内容物が喫煙者に提供される」(【0009】)ことが記載されている。 そうすると、本件発明は、フィルタ要素によって、気相成分の除去をしつつ、喫煙者に提供される主流煙の内容物が「煙変性剤」に接触しないことによって実質的に改変されない味質及び望まれ得る官能的特徴を有するようにするた めに、「フィルタ要素」内にチャネルを設けることに関する発明であるといえる。 2 メンソールが「煙変性剤」(構成要件H、I)に当たるか(争点2-1)について本件明細書によれば、「煙変性剤」について、「例えば、特定ガス種の吸引(例 えば有機化合物の除去)、特定ガス種との化学反応(例えば一酸化炭素の酸化)、または揮発性ガス成分 -1)について本件明細書によれば、「煙変性剤」について、「例えば、特定ガス種の吸引(例 えば有機化合物の除去)、特定ガス種との化学反応(例えば一酸化炭素の酸化)、または揮発性ガス成分の添加(例えば煙への風味剤の添加)等により、フィルタ要素を通過する主流煙の構成を改変する能力を有する任意の物質を示す。」(【0040】)とされ、その代表的種類の煙変性剤として、「風味材含有カプセル、およびペパーミントもしくはスペアミント葉または他の植物ベースの粒状 香味材等の固体植物性添加剤を含む風味剤と、を含む」(【0041】)とされている。そうすると、本件発明における「煙変性剤」は、主流煙に風味を添加する揮発性の風味剤を含むものといえる。 被告は、本件発明は、実質的に改変されない味質及び官能的特徴を有する主流煙が喫煙者に提供されることをその趣旨としているから、「煙変性剤」は、主 流煙と接触することによって主流煙の味質及び官能的特徴に喫煙者から見て 悪影響を与えるものであると主張する。しかし、前記のとおり、本件明細書には、煙変性剤として、香味材等を挙げた上で風味を添加するものが含まれることが記載されている。また、本件発明は実質的に改変されない味質及び望まれ得る官能的特徴を有するようにするためのものであるところ、主流煙に対して風味を添加する揮発性の風味剤を煙変性剤として用いた場合でも、本件発明の 構成をとることにより、上記効果を奏することはできるといえる。被告の主張は採用できない。 メンソールは、揮発性の香料であると認められる(弁論の全趣旨)から、主流煙に風味を添加する揮発性の風味剤であるといえ、「煙変性剤」(構成要件H、I)に当たると認められる。 3 被告製品において「主流煙は、煙変性剤に実質的に接 められる(弁論の全趣旨)から、主流煙に風味を添加する揮発性の風味剤であるといえ、「煙変性剤」(構成要件H、I)に当たると認められる。 3 被告製品において「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過」(構成要件I)するか(争点2-3)についてア構成要件Iには、「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」と規定されている。主流煙が接触しない「煙変性剤」のシガレット上の位置については、特許請求の範囲では、構成要件Iの「主流煙は、 煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」の直前で改行されて構成要件AからHまでの記載内容と区切られている。また、構成要件Iの「煙変性剤」について、「前記煙変性剤」とするなど対象となる煙変性剤を他の構成要件で記載された構成に限定する記載もない。そうすると、特許請求の範囲の記載は、構成要件AからHまでの構成及び構成要件Iの 構成がそれぞれ「シガレット」(構成要件J)の構成を説明していると理解できるものであって、「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」との構成要件Iの記載は、特許請求の範囲の記載上、本件発明のシガレットについて、タバコロッドで発生した主流煙が、マウス端に至るまでの間、煙変性剤に実質的に接触しないことを意味すると理解す ることができるものである。 また、構成要件Gにおいて、チャンネルキャビティがタバコロッドと「(i)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された繊維性フィルタ材の第2部分であって、煙変性剤を含まない繊維性フィルタ材の第2部分」及び「(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端」のうちの一方との間で主流煙が通過するために適合されるという二つの構成が 選択的に記載されていることは当事者間に争 含まない繊維性フィルタ材の第2部分」及び「(ⅱ)前記シガレットの前記マウス端」のうちの一方との間で主流煙が通過するために適合されるという二つの構成が 選択的に記載されていることは当事者間に争いがない。これらの選択的な構成と構成要件Hの構成を合わせると、特許請求の範囲には、(i)(第1繊維性フィルタ材に延在している)前記少なくとも1つのチャネルキャビティのそれぞれは、前記タバコロッドと前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された繊維性フィルタ材の第2部 分であって、煙変性剤を含まない繊維性フィルタ材の第2部分との間で主流煙が通過するために適合され、前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在する煙変性剤を含む構成(以下「本件構成ⅰ」という。)と、(ⅱ)(第1繊維性フィルタ材に延在している) 前記少なくとも1つのチャネルキャビティのそれぞれは、前記タバコロッドと前記シガレットの前記マウス端との間で主流煙が通過するために適合され、前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在する煙変性剤を含む構成(以下「本件構成ⅱ」という。)が 選択的に記載されていることとなる。 被告製品について、原告は、本件構成ⅱを充足することを前提とした主張をしているところ、本件構成ⅱにおいて、「煙変性剤」が配置される必要がある部位としては、「前記フィルタ要素」に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在と規定されている。本件発明は、前記1で説示したとお り、喫煙者に提供される主流煙の内容物が「煙変性剤」に接触しないこと によって実質 素」に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在と規定されている。本件発明は、前記1で説示したとお り、喫煙者に提供される主流煙の内容物が「煙変性剤」に接触しないこと によって実質的に改変されない味質及び望まれ得る官能的特徴を有するようにするために「フィルタ要素」内にチャネルを設けることに関する発明であるといえるのであって、煙変性剤がチャネルを設けた部位に限って配置されることによって、主流煙の大部分が空気抵抗の関係でチャネルを通過することになり、そのために煙変性剤と実質的に接触しなくなること を趣旨としていると認めることができる。他方で、仮にチャネルを設けない区画にまで煙変性剤を配置すると、主流煙は当該部位において煙変性剤に接触するのであり、チャネルを設けた部位に煙変性剤を配置してこれと接触しないようにした趣旨を没却することになる。したがって、本件発明の趣旨からも、本件構成ⅱは、このような接触を避けることを前提として 規定された構成であると理解するのが自然である。 また、本件構成ⅰは、チャネルが形成されている部位とチャネルが形成されていない部位が組み合わさって形成されることが記載されているところ、そのうちチャネルが形成されていないところについては煙変性剤が含まれないことが明示されている。この本件構成ⅰは、チャネルが形成さ れている部位では煙変性剤が配置されても主流煙の多くがチャネルを通過して煙変性剤に実質的に接触しないものの、チャネルが形成されていない部位に煙変性剤を配置すると、これに実質的に接触してしまうため、このような接触を避ける趣旨で明示されたものであると理解するのが自然であり、上記本件構成ⅱの趣旨に関する解釈を裏付けるものであるといえ る。 そして、本件明細書の発明の詳細な説明には め、このような接触を避ける趣旨で明示されたものであると理解するのが自然であり、上記本件構成ⅱの趣旨に関する解釈を裏付けるものであるといえ る。 そして、本件明細書の発明の詳細な説明には、実施例も含めて、煙変性剤が配置されるのはいずれもチャネルが配置されている区画である構成が記載されている。主流煙がマウス端に達するまでの間に煙変性剤と実質的に接触するような構成は記載されていないし、チャネルを備えない 部分において煙変性剤に接触することがあることや、その接触を前提と してチャネルを設けてチャネルにおいてのみ煙変性剤に接触しないことで発明の効果が奏されることについての記載もない。 本件発明について主流煙がマウス端に至るまで煙変性剤に実質的に接触しないことと解した場合に第1繊維性フィルタ材に煙変性剤を配置した意味について検討すると、チャネルを形成することにより、空気抵抗の 関係で主流煙の多くはチャネルを通過することになるが、本件発明の構成ではチャネルの周囲のフィルタ材がチャネルから完全に閉鎖されているとは限らないのであるから、主流煙のごく一部はチャネル以外の部位を通過ないし接触し煙変性剤に接触し得ることになる。構成要件Iでは、主流煙は、煙変性剤に「実質的に」接触することなく通過すると記載され ているのはこのことを意味していると解され、チャンネルが延在している区画のみに煙変性剤を配置した意味が完全になくなることはない。本件明細書の実施形態は、いずれも、煙変性剤が配置されるのがチャネルが配置されている区画のみであることからしても、本件発明においては、主流煙が、上記のような観点からマウス端に至るまで煙変性剤に「実質的に」 接触しない場合に発明の効果を奏するとしているといえる。 イこれらの特許請求 あることからしても、本件発明においては、主流煙が、上記のような観点からマウス端に至るまで煙変性剤に「実質的に」 接触しない場合に発明の効果を奏するとしているといえる。 イこれらの特許請求の範囲及び本件明細書の記載を考慮すると、「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」との規定は、本件構成ⅰをとる場合のほか本件構成ⅱをとる場合であっても、タバコロッドで主流煙が発生してから、マウス端に至るまで、主流煙が煙変性剤に実質的に接触しな いことを意味すると解するのが相当である。 この点について、原告は、構成要件I「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」について、「煙変性剤」とは、構成要件Hの第1繊維性フィルタ材の「煙変性剤」を指し、かつ、第1繊維性フィルタ材のうち、チャネルが形成されている部位に配置された「煙変性剤」のみに接触しないことを 規定していると主張する。 しかし、前記のとおり、構成要件Iの「煙変性剤」は構成要件Hの第1繊維性フィルタ材の「煙変性剤」を指すとはいえない。また、本件明細書には、チャネルを備えない部分において煙変性剤に接触することがあることや、その接触を前提としてチャネルを設けてチャネルにおいてのみ煙変性剤に接触しないことで発明の効果が奏されることについての記載はない。特許請求の範囲及 び本件明細書において、本件発明について、チャネルが形成されている部位以外で主流煙が煙変性剤に接触することがあり得ることを想定したり許容したりしていることをうかがわせる記載もなく、むしろ、それらの記載は、そのようなことを許容していないと認められる。原告の主張には理由がない。 以上を前提に被告製品が構成要件Iを充足するかを検討する。 被告製品では、タバコロッドで主流 しろ、それらの記載は、そのようなことを許容していないと認められる。原告の主張には理由がない。 以上を前提に被告製品が構成要件Iを充足するかを検討する。 被告製品では、タバコロッドで主流煙が発生してから、マウス端に至るまで、主流煙が煙変性剤に実質的に接触しないといえるかについて、被告製品ではいずれの区画においてもメンソールが分布しており、これが煙変性剤に当たることは前記2のとおりである。そうすると、被告製品では少なくともC区画にはチャネルが設けられていないため、主流煙はC区画のメンソールと実質的に接 触することになる。よって、被告製品は、「主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する」(構成要件I)を充足しない。 第4 結論よって、被告製品は本件特許の技術的範囲に属するとは認められないから、その余の争点について判断するまでもなく、原告らの請求にはいずれも理由がない ため棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官柴田義明 裁判官佐伯良子 裁判官仲田憲史 別紙被告製品目録 下記商品名のたばこスティック 1 MarlboroforIQOS メンソール 2 MarlboroforIQOS ミント 3 MarlboroforIQOS ブライトメンソール 4 MarlboroforIQOS イエローメンソール 5 MarlboroforIQOS パープルメンソール 6 MarlboroforIQOS トロピカルメンソール 7 MarlboroforIQOS アミ イエローメンソール 5 MarlboroforIQOS パープルメンソール 6 MarlboroforIQOS トロピカルメンソール 7 MarlboroforIQOS アミール 8 MarlboroforIQOS ユウゲン 9 HEETSforIQOS シトラスグリーンHEETSforIQOS フレッシュパープル HEETSforIQOS フレッシュエメラルドHEETSforIQOS フロストグリーンHEETSforIQOS クールジェイド 別紙被告製品の構成 (b1)(b2)(D1)(A区画)(B区画)(C区画)(D区画)(E区画)(B区画)(b3)(C区画)(D区画)

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