平成21(行ウ)146 公金支出差止等請求事件(住民訴訟)

裁判年月日・裁判所
平成26年8月20日 大阪地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文81,012 文字)

- 1 -平成26年8月20日判決言渡平成21年(行ウ)第146号公金支出差止等請求事件(住民訴訟)主文 1 本件訴えのうち,Aに対して損害賠償請求をするよう被告に求める部分を却下する。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙2「工事目録」記載の建設工事(以下「本件工事」という。)に関して公金を支出し,契約を締結又は履行し,債務その他の義務を負担してはならない。 2 被告は,Aに対し,1億3500万円及びうち2208万6295円に対する平成21年5月1日から,うち1億1291万3705円に対する平成20年11月15日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 3 被告は,Bに対し,44億7775万7347円及びうち2278万5000円に対する平成23年4月26日から,うち20億3777万9999円に対する平成24年4月24日から,うち24億1719万2348円に対する平成25年5月1日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 第2 事案の概要 1 本件は,堺市(以下「市」という。)の住民である原告らが,①本件工事は必要性,合理性を欠き,また,②市から指名停止措置を受けた業者が本件工事の下請けとなり,さらに,③工事実施により周辺住民の健康・財産等を害する危険を有し,加えて,④河川法等にも違反しており,そのような本件工事に関 - 2 -する公金の支出は財務会計法規上の義務に違反し違法であるにもかかわらず,本件工事について,C株式会社(以下「C」という。)との間で,前市長のAが平成▲年度及び平成▲年度の各実施協定を,現市 2 -する公金の支出は財務会計法規上の義務に違反し違法であるにもかかわらず,本件工事について,C株式会社(以下「C」という。)との間で,前市長のAが平成▲年度及び平成▲年度の各実施協定を,現市長のBが平成▲年度~平成▲年度の各実施協定を締結するとともに,各協定に基づく工事費用に係る支出命令を行い,各工事費用が支出され,今後も同様の財務会計行為が行われるものであって,上記各実施協定の締結及び支出命令について,AないしBにはそれぞれ善管注意義務違反や故意・過失があり,AないしBの上記各行為によって市は各工事費用に係る支出額相当の損害を被った旨主張して,市の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,本件工事に関する財務会計行為の差止めを求める(以下「本件1号請求」という。)とともに,同項4号本文に基づき,本件工事に関し市が上記各年度に支出した額並びにこれに対する各年度の実施協定締結及び支出命令の後の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金について,A及びBに対する不法行為に基づく損害賠償請求をするよう求める(以下「本件4号請求」という。)住民訴訟である。 2 前提となる事実(顕著な事実,当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告らは,いずれも市の住民である。 イ被告は,市の執行機関(市長)である。 ウ Aは,遅くとも平成▲年▲月▲日から平成▲年▲月▲日まで,市長の職にあった。 Bは,平成▲年▲月▲日以降,市長の職にある。 (2) 本件工事及び支出の経緯ア大和川線及び常磐西ランプの概要大阪府道高速大和川線(以下「大和川線」という。)は,阪神高速道路 - 3 -4号湾岸線から,堺市αに設けられる三宝ジャ 2) 本件工事及び支出の経緯ア大和川線及び常磐西ランプの概要大阪府道高速大和川線(以下「大和川線」という。)は,阪神高速道路 - 3 -4号湾岸線から,堺市αに設けられる三宝ジャンクション(仮称)で分岐し,松原市βに設けられた三宅ジャンクションで阪神高速道路14号松原線に連絡する,全長約9.9kmの,東西方向に走る都市高速道路である。 大和川線では,基本的に地下に道路設備が設置されるものの,阪神高速道路4号湾岸線や阪神高速道路14号松原線との接続部(ジャンクション),一般道との接続部(ランプ)等において,地上に道路が出てくる構造となっている。 大阪府は,平成7年9月13日,大和川線について,都市計画道路(自動車専用道路)として,常磐西ランプの設置を含む都市計画決定をした(以下「本件都市計画決定」という。なお,本件都市計画決定は,その後,数回にわたって変更されている。)。 大和川線の建設工事は,当初,阪神高速道路公団(当時)の都市計画事業として進められたが,阪神高速道路公団の民営化,平成18年4月1日に市が政令指定都市となったこと等から,現在は大阪府,C及び市が,それぞれの担当する区間について施行者となって施工している(市は,平成18年4月1日,都市計画事業の認可を受けた。)。市が施行者となっている区間は,堺市γ(浅香川付近)から同町δを経て同町ε付近(松原市境界)までの,本線延長約1.6kmの区間である。市の事業区間は,更に4区間に分けられるが,本件工事の区間はそのうちのD小学校付近からE公園付近までの区間(以下「本件工事区間」という。)である。 常磐西ランプは,本件都市計画決定において,堺市ζ地内に設置され,府道大阪高石線から大和川線の西方向車線へ入るためのランプ(以下「常磐西入口ランプ」と (以下「本件工事区間」という。)である。 常磐西ランプは,本件都市計画決定において,堺市ζ地内に設置され,府道大阪高石線から大和川線の西方向車線へ入るためのランプ(以下「常磐西入口ランプ」という。)と大和川線の東方向車線から府道大阪高石線に出るためのランプ(以下「常磐西出口ランプ」という。)によって構成される。なお,常磐西ランプの東隣に,大和川線の東方向車線へ入るためのランプと大和川線の西方向車線から出るためのランプによって構成され - 4 -る常磐東ランプが設置されることとなっている。 (甲21,乙13,24の3)イ本件工事の概要等本件工事は,西除川下流の河川構造物を撤去して,開削工法(ただし,常磐西出口ランプの設置工事についてはシールド工法)によるトンネル構造で大和川線本線(延長約0.4km)と常磐西ランプ(本線からの分岐部及び本線への合流部を含む。)を築造する工事であって,主要な工種ごとに,①西除川下流の河川構造物を撤去し,代替の仮設の河川通水管及び雨水管を敷設するなどの準備工事である第1期工事,②本件工事区間の両側に沿って土留壁を埋設し,土留壁の内側を開削するなどの工事である第2期工事,③高速道路の構築,埋戻し等の工事である第3期工事に分けられていた。なお,地下に道路を建設する工法としては,開削工法(地上から土留壁を設置し,土留壁に囲まれた箇所の土砂を掘削した上で,トンネル構造の躯体を築造し,再び土砂を埋め戻す工法)とシールド工法(シールド機が地中で穴を掘りながら掘進していくことにより,地下にトンネル構造の躯体を築造していく工法)とがある。 市は,平成▲年5月27日,第1期工事を開始したが,同年11月1日,工事を中断し,平成▲年1月17日,工事を再開した。 平成25年2月時点で,常磐西ラン 躯体を築造していく工法)とがある。 市は,平成▲年5月27日,第1期工事を開始したが,同年11月1日,工事を中断し,平成▲年1月17日,工事を再開した。 平成25年2月時点で,常磐西ランプは平成30年3月末の完成が予定され,現在も第2期工事の開削工事が進められている。 (甲6,8,201,乙14の2,15の4,16,17の3,18,20,21,22の7・9・11,23の2,24の3,25の2)ウ本件基本協定の締結等市は,Cとの間で,平成19年5月2日,以下の内容の「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する基本協定」(以下「本件基本協定」という。)を仮協定として締結した。上記仮協定は,市議会が同年6月2 - 5 -0日に同意したことにより,本協定として発効した。(乙1)(ア) 対象範囲(3条)本件基本協定が対象とする範囲は,大和川線の建設工事のうち,別紙2「工事目録」の別添図1中で「本協定の対象範囲」として示される範囲(市が施行する街路事業の範囲。以下「市の事業範囲」という。)の工事とする。 (イ) 委託内容及び費用負担(5条)a 市は,市の事業範囲のうち,別紙2「工事目録」の別添図1及び2中でそれぞれ「乙への委託工事範囲」ないし「乙への委託工事の範囲」として示される範囲の建設工事(以下「Cへの委託工事」という。)をCに委託するものとする(1項)。 b 市は,Cへの委託工事に要する費用を全て負担するものとし,市とCに共通する費用は,市とCそれぞれの施行する構造物の延長,数量等に基づき按分するものとする(2項)。 cCへの委託工事に要する費用額は,326億4058万1000円(取引に係る消費税相当額及び地方消費税相当額を含む。)とする(3項)。 dCへの委託工事の内容は別紙2「工 のとする(2項)。 cCへの委託工事に要する費用額は,326億4058万1000円(取引に係る消費税相当額及び地方消費税相当額を含む。)とする(3項)。 dCへの委託工事の内容は別紙2「工事目録」記載の工事(本件工事)を含む本線及び常磐西ランプ建設工事一式(以下「本件全工事」という。)とし,この委託内容の変更等により,上記cに定める金額を変更する必要が生じた場合には,市とCが協議の上,本件基本協定を変更することができるものとする(4項)。 (ウ) 実施協定(8条)市とCは,本件基本協定を実施するため,市が毎年度計上する予算の範囲において,各年度に行う工事の内容及びその範囲,費用並びに支払方法,その他必要な事項について年度実施協定を締結するものとする。 - 6 -(エ) 報告等(11条)aCは,Cへの委託工事の施工に際し,市と協議するものとする(1項)。 bCは,Cへの委託工事の一部を建設会社等に請け負わせた場合には,速やかにその旨を市に報告するものとする(2項)。 c 市は,必要があると認めたときには,CにCへの委託工事の進捗状況について,報告を求めることができるものとする(3項)。 エ平成19年度の実施協定等の締結,支出命令及び支出(ア) 市は,Cとの間で,平成19年12月20日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協定(平成19年度締結)」を,平成20年3月28日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下,上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成19年度実施協定」という。)。本件平成19年度実施協定による市の負担額は3952万3901円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は 上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成19年度実施協定」という。)。本件平成19年度実施協定による市の負担額は3952万3901円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は2103万4567円(消費税別)であった。(乙3~5)(イ) 市の職員は,本件平成19年度実施協定に基づき,大和川線事業検討業務に係る委託料として,別紙3「支出関係一覧」の「平成19年度」欄記載のとおり,合計3952万3901円の支出命令及び支出をした。 (乙65,66)オ下請契約の締結Cは,平成20年6月5日,本件工事について,総合評価落札方式による一般競争入札(以下「本件入札」という。)を実施し,F株式会社(以下「F」という。)及びG株式会社(以下「G」という。)の工事共同企業体(以下「H」という。)が落札した。 - 7 -Cは,Hとの間で,同年6月16日,本件工事について請負金額153億8250万円の約定で(ただし,請負金額はその後変更されている。),請負契約(以下「本件下請契約」という。)を締結した。 カ平成20年度の実施協定等の締結,支出命令及び支出(ア) 市は,Cとの間で,平成20年5月28日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協定(平成20年度締結)」を,平成21年3月2日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下,上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成20年度実施協定」という。)。本件平成20年度実施協定による市の負担額は1億5222万4800円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は1億0753万6862円(消費税別)であった。(乙6~8)(イ) 市の職員は,本件平成2 0年度実施協定による市の負担額は1億5222万4800円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は1億0753万6862円(消費税別)であった。(乙6~8)(イ) 市の職員は,本件平成20年度実施協定に基づき,大和川線事業検討業務に係る委託料として,別紙3「支出関係一覧」の「平成20年度」欄記載のとおり,1億5222万4800円の支出命令及び支出をしたが,平成21年3月31日頃,375万6190円について戻入をした。 (乙8,67,68)キ平成21年度の実施協定等の締結市は,Cとの間で,平成21年4月1日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協定(平成21年度締結)」を,同年7月1日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,平成22年2月22日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下,上記各「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成21年度実施協定」という。)。本件平成21年度実施協定による市の負担額は9696万9 - 8 -863円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は0円であった。 (乙9~11)ク平成22年度の実施協定等の締結,支出命令及び支出(ア) 市は,Cとの間で,平成22年4月1日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協定(平成22年度締結)」を,平成23年3月15日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下,上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成22年度実施協定」という。)。本件平成22年度実施協定による市の負担額は1億2534万0387円(消費税込み)であり, ぞれ締結した(以下,上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成22年度実施協定」という。)。本件平成22年度実施協定による市の負担額は1億2534万0387円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は2170万円(消費税別)であった。(乙12,71,72)(イ) 市の職員は,本件平成22年度実施協定に基づき,大和川線事業検討業務に係る委託料として,別紙3「支出関係一覧」の「平成22年度」欄記載のとおり,合計1億2534万0387円の支出命令及び支出をした。(乙73~75の各1・2)ケ平成23年度の実施協定等の締結,支出命令及び支出(ア) 市は,Cとの間で,平成23年4月1日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協定(平成23年度締結)」を,平成24年3月15日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下,上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成23年度実施協定」という。)。本件平成23年度実施協定による市の負担額は24億6032万5867円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は19億4074万2857円(消費税別)であった。(乙76~78)(イ) 市の職員は,本件平成23年度実施協定に基づき,大和川線事業検 - 9 -討業務に係る委託料として,別紙3「支出関係一覧」の「平成23年度」欄記載のとおり,合計24億6032万5867円の支出命令及び支出をした。(乙79の1・2,80)コ平成24年度の実施協定等の締結,支出命令及び支出(ア) 市は,Cとの間で,平成24年4月1日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協 24年度の実施協定等の締結,支出命令及び支出(ア) 市は,Cとの間で,平成24年4月1日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協定(平成24年度締結)」を,同月6日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,平成25年3月25日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下,上記各「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成24年度実施協定」といい,本件平成19年度実施協定,本件平成20年度実施協定,本件平成22年度実施協定及び本件平成23年度実施協定と併せて「本件各年度実施協定」と総称する。)。本件平成24年度実施協定による市の負担額は28億8771万8531円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は23億0208万7951円(消費税別)であった。(乙81~84)(イ) 市の職員は,本件平成24年度実施協定に基づき,大和川線事業検討業務に係る委託料として,別紙3「支出関係一覧」の「平成24年度」欄記載のとおり,合計28億8771万8531円の支出命令(以下,本件各年度実施協定に基づく支出命令を併せて「本件各支出命令」と総称する。)及び支出をした。(乙85の1・2,86)サ平成25年度の実施協定等の締結,支出命令及び支出(ア) 市は,Cとの間で,平成25年4月1日,本件基本協定8条に基づき,同年度の実施協定である「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する実施協定(平成25年度締結)」を,同年7月1日,上記実施協定の一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下, - 10 -上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成25年度実施協定」という。)。本件平成25年度実施協定による市の 一部を変更する「変更協定書」を,それぞれ締結した(以下, - 10 -上記「変更協定書」による変更後の上記実施協定を「本件平成25年度実施協定」という。)。本件平成25年度実施協定による市の負担額は34億7878万9846円(消費税込み)であり,うち本件工事に係る工費は29億3827万3574円(消費税別)であった(ただし,いずれも精算額確定前の額である。)。(乙87,88)(イ) 市の職員は,本件平成25年度実施協定に基づき,同年6月28日頃,大和川線事業委託料として,8億0235万7969円の支出命令をし,同年7月19日,上記額を支出した。(乙89の1・2)(3) 監査請求ア原告らは,平成21年5月27日,市監査委員に対し,本件基本協定に係るCへの委託工事に関する財務会計行為の差止めを求める監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行った。(甲1)イ市監査委員は,同年7月23日付けで,原告らに対し,本件監査請求には理由がない旨の監査結果の通知をした。(甲1)(4) 本件訴え提起及び訴えの変更ア原告らは,同年8月21日,本件全工事に関する財務会計行為の差止めを求めて本件訴えを提起した。(顕著な事実)イ原告らは,平成23年1月21日,本件平成22年度実施協定に基づく同年7月30日の支出(上記(2)コ(イ)参照)に関し,Bに対して損害賠償請求をするよう求める請求を追加する訴えの変更をした。(顕著な事実)ウ原告らは,平成26年4月9日,本件工事に関する財務会計行為の差止めを求めるとともに,本件各支出命令により市が支出した額のうち本件工事に関する部分に関し,Bに対して損害賠償請求をするよう求める請求に請求の趣旨を変更する訴えの変更をした。(顕著な事実)エ原告らは,同月11日,上記ウの損害賠償請求 り市が支出した額のうち本件工事に関する部分に関し,Bに対して損害賠償請求をするよう求める請求に請求の趣旨を変更する訴えの変更をした。(顕著な事実)エ原告らは,同月11日,上記ウの損害賠償請求をするよう求める請求に関し,本件平成19年度実施協定及び本件平成20年度実施協定並びにこ - 11 -れらに基づく各支出命令に関する請求の相手方をBからAに変更する訴えの変更をした。(顕著な事実)オ原告らは,同月14日,上記ウのBに対して損害賠償請求をするよう求める請求に関し,損害賠償請求額を減額する旨の請求の減縮をした。(顕著な事実) 3 争点及びこれに対する当事者の主張本件の争点は,①本件各年度実施協定の締結及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為が,財務会計法規上の義務に違反する違法なものといえるか(争点1。本件1号請求及び本件4号請求に係る争点),②違法な財務会計行為についてのAないしBの善管注意義務違反又は故意若しくは過失の有無(争点2。本件4号請求に係る争点),③違法な財務会計行為により市が被った損害及び額(争点3。本件4号請求に係る争点)である。 (1) 争点1(財務会計行為の違法性)について(原告らの主張)本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為は,以下のとおり,財務会計法規上の義務に違反するものであって違法である。 ア常磐西ランプ設置の必要性・合理性の欠如について(ア)a 本件工事は常磐西ランプを築造するものであるが,常磐西ランプの設置が予定されるθ地区では大和川線の利用に対するニーズが大きくない上,大和川線には,常磐西ランプの西隣に鉄砲ランプ,東隣に天美ランプ(西向き)及び三宅西ランプ(東向き)があり,ランプ設置 ンプの設置が予定されるθ地区では大和川線の利用に対するニーズが大きくない上,大和川線には,常磐西ランプの西隣に鉄砲ランプ,東隣に天美ランプ(西向き)及び三宅西ランプ(東向き)があり,ランプ設置間隔も短いことから,θ地区にランプを設けなくても何ら支障がない。 b 被告は,費用便益分析マニュアルによって常磐西ランプの設置によ - 12 -る整備効果を208億円又は280億円,費用を110億円と算定している。 しかし,上記算定は,Cの分析に依拠するのみで被告として上記算定の妥当性を説明できていない。常磐西ランプが緊急時に有用であるとの被告の主張も,客観的根拠を示さない漠然とした説明にすぎない。 また,①本州四国連絡道路,東京湾アクアライン等,設置計画において示された予測交通量は,道路完成後の実績値を上回り,計画と実績とにかい離がみられる先例も多いこと,②国土交通省が平成14年当時,平成32年まで交通量が伸びるとの推計をしていたところ,実際には平成16年には交通量が減少に転じたこと,③訴外で被告が,大和川線の将来交通量予測値は平成11年道路交通センサスを基に国が予測した平成32年の数値であると説明していたことからすると,大和川線の上記予測値も上記②の推計を基礎としているものと推測されること,④平成22年度道路交通センサスによれば,大阪府内の道路の全車平均交通量は平成17年度に比べて11.6%減少していることなどからして,大和川線や常磐西ランプ整備の前提となる被告の交通需要予測は過大である可能性が高い。大和川線が供用されていない現状において,府道大堀堺線,府道堺大和高田線の交通量は減少しており,常磐西ランプ設置による上記各一般道の混雑緩和の必要性はない。 さらに,走行時間短縮便益の算定に当たっては,広範囲にわたっ い現状において,府道大堀堺線,府道堺大和高田線の交通量は減少しており,常磐西ランプ設置による上記各一般道の混雑緩和の必要性はない。 さらに,走行時間短縮便益の算定に当たっては,広範囲にわたって時間短縮がわずかな道路の便益をかき集め,便益を水増ししている。 以上の諸事情に照らし,常磐西ランプ設置による整備効果に係る被告主張の前記算定は参考とはならない。 c 被告は,大和川線を整備することにより,市や大阪市の臨海部にある工場,施設間の交通アクセスが向上することを宣伝していた。 - 13 -しかし,例えば,市がその臨海部のι地区に誘致したI株式会社(以下「I」という。)の新工場は,平成21年に稼働したばかりであるにもかかわらず,韓国メーカーとの競争激化や円高,地上デジタルへの移行に伴う特需の反動,東日本大震災の影響等により,生産停止や5割程度の減産といった大幅な生産調整を繰り返しており稼働率が落ち込んでいる。 また,大阪南港の物流・集客施設の代表であるJの入居率は5割程度であるし,Kについても,その運営会社であるL株式会社は,大阪市の支援なしに債務の返済が困難な状況が続いている。 こうした状況からすると,臨海部の工場,施設へ往来する交通需要はそれほど増えず,被告が宣伝するような交通アクセス向上による経済効果があるものとは考えられない。 d 前市長のAは,市内部の事務方と話を詰めたことを明らかにした上で,常磐西ランプ建設の凍結を約束する旨発言し,その旨記載された書面まで作成したのであり,このようなAの行動は,常磐西ランプが不可欠なものではないことを自認するものということができる。現市長のBも,平成21年の市長選挙において,常磐西ランプの不必要性を強調していたにもかかわらず,当選後,常磐西ランプが必要だと 西ランプが不可欠なものではないことを自認するものということができる。現市長のBも,平成21年の市長選挙において,常磐西ランプの不必要性を強調していたにもかかわらず,当選後,常磐西ランプが必要だと見解を変更したところ,Bがその変更理由をまともに説明できないのは,常磐西ランプが不要であることを示すものということができる。 (イ) 常磐西ランプは府道大阪高石線と連絡することになっているが,常磐西ランプ予定地のわずか200mほど南には,2800台収容可能な駐車場が設けられている巨大ショッピングセンター「M」があることから,府道大阪高石線等の周辺道路は,同所に出入りする車両によって現在も混雑し,交通渋滞が頻繁に発生している。この交通渋滞は土曜日及び日曜日に限られるものではなく,例えば同店の特売日に当たる火曜日 - 14 -や毎月10日,20日,30日も,府道大阪高石線等の周辺道路は非常に混雑している。常磐西ランプが設けられることにより,周辺道路の交通量が更に増加することは確実であり,一層の交通渋滞を招く事態となる。 (ウ) 以上の諸事情に照らし,常磐西ランプは不要であり,多額の費用を用いて建設する経済的メリットはなく,同ランプの設置を前提とする本件工事に関する経費の支払は,支出の原因が著しく合理性を欠いているというべきであって,本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が今後行う予定の財務会計行為は,地方自治法2条14項,地方財政法3条1項,4条1項及び4条の2に反し,違法である。 イ市が指名停止としていた業者が下請けとして受注したことについてFは,平成19年6月25日から平成20年6月24日までの間,Gは,平成19年11月16日から平成20年6月24日までの間,それぞれ,独占禁止法違反を理由として市から指名停止措置を受 ことについてFは,平成19年6月25日から平成20年6月24日までの間,Gは,平成19年11月16日から平成20年6月24日までの間,それぞれ,独占禁止法違反を理由として市から指名停止措置を受けていた。 したがって,市がHを入札に参加させて工事を発注すれば,市の条例及び地方自治法234条に反し,違法となる。そして,市は,上記違法行為の潜脱を防止するため,本件基本協定の締結に当たって,指名停止措置を受けている業者を本件工事についての競争入札に参加させてはならない旨本件基本協定で定めるか,Cにその旨指導を行うなどして,指名停止措置を受けていたF及びGが本件工事についての競争入札に参加することができないようにすべきであり,市が,このような措置を講じずにF及びGに本件工事を下請けさせた行為は,上記の市の条例及び地方自治法234条に反し,同法2条14項にも反するものであって,違法である。 また,本件基本協定11条によれば,Cが本件全工事の一部を建設会社等に請け負わせる場合には,速やかにその旨を市に報告するものとされており,市は,事後においても,上記脱法行為を是正することが可能であっ - 15 -たにもかかわらず,市は是正措置を講じていない。 よって,本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為は,地方自治法2条14項,同条16項,地方財政法3条1項,4条1項,4条の2及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律3条3号に反し,違法である。 ウ本件工事が周辺住民の健康・財産等を害する危険を有することについて本件工事は開削工法で行われるが,常磐西ランプを設置しなければ開削工法で行う必要はないし,仮に常磐西ランプを設置するとしても,シールド工法によりランプを設置することは可能であ を有することについて本件工事は開削工法で行われるが,常磐西ランプを設置しなければ開削工法で行う必要はないし,仮に常磐西ランプを設置するとしても,シールド工法によりランプを設置することは可能である。そして,本件工事で行われる開削工法は,シールド工法と異なって,以下のとおり,工事期間中及び竣工後,周辺住民に危害を及ぼすおそれが高いことから,本件工事の実施は,周辺住民に対する被告及びCによる共同不法行為を構成する。本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為も,不法行為の経費ないし対価の意味を持つので,当然違法であるし,地方自治法1条の2第1項,2条14項,同条16項,地方財政法4条1項,災害対策基本法4条,5条及び8条1項に反し,違法である。 (ア) 治水上の危険a 大和川は,全国でも有数の水害の多い河川であり,奈良時代以前から洪水被害が繰り返し生じていたことから,水路の付け替えが行われ堤防の設置等の工事が行われたが,被害を阻止できず,昭和になってからも何度も氾濫した。 西除川は,大阪府南部の流水を集めて大和川に流入する大和川の支流であるが,大和川と西除川との水位差が小さいこと等から,西除川と大和川の合流地点付近は水害の多い地域である。現在の西除川は,下流に大和川への放水路(以下「西除川放水路」という。)を設ける - 16 -などして,不十分ではあるものの,大和川との合流地点で水害が発生する危険性を低下させるための工夫がされ,治水上,重要な機能を担っている。そして,河川法16条の2所定の河川整備計画である大和川水系西除川ブロック河川整備計画(以下「本件河川整備計画」という。)では,西除川のうち堺市γ及びδの地域の南側の水路(以下「西除川本流」という。)の流量配分は25㎥/秒 定の河川整備計画である大和川水系西除川ブロック河川整備計画(以下「本件河川整備計画」という。)では,西除川のうち堺市γ及びδの地域の南側の水路(以下「西除川本流」という。)の流量配分は25㎥/秒と示され,西除川が増水して常磐堰が倒伏し西除川放水路に放水される場合も,西除川本流は通水しており,この通水により,西除川本流も,西除川の上記治水機能の一部を担っていた。 b それにもかかわらず,市は,本件河川整備計画について,西除川の増水時に常磐堰が倒伏し西除川放水路に放水される場合には常磐樋門が閉鎖されることになっており,西除川本流への通水は想定されておらず,西除川本流は治水機能を担っていないとの誤った理解をしている。そして,そのような理解の下,本件工事の際,西除川本流の一部を埋め立てて直径1.2mの1本の河川通水管に封じ込めるとともに,直径1.1~1.4mの2本の雨水管を設置して,流域から西除川本流に流入していた雨水を大和川に排出するという方法により,西除川本流の機能を代替させることとしている。 しかし,西除川は,延長約26km,下流部の川幅10~30m,流域面積54k㎡,ピーク時の流量460㎥/秒の一級河川であり,その下流部分を3本の管で代替させるのは常識的に考えても無理があり,豪雨時に溢水及び浸水の危険が増大することは明らかである。 また,開削工事期間中,上記の河川通水管及び雨水管は宙づり状態にされるが,約600mもの距離にわたり,3本の管を宙づりし,河川の機能を代替させることには,根本的な無理があり,地震等の際に管が損壊する危険がある。 - 17 -さらに,大雨で西除川と大和川の双方が増水すると,河川通水管が機能しなくなり,西除川の河川通水管より上流部で氾濫の危険が高まる。 そして,雨水管についても,従来周辺地域 る。 - 17 -さらに,大雨で西除川と大和川の双方が増水すると,河川通水管が機能しなくなり,西除川の河川通水管より上流部で氾濫の危険が高まる。 そして,雨水管についても,従来周辺地域から西除川本流に流入していた雨水を2本の雨水管に集約できるのかは疑問であるし,大雨になると,雨水管では処理できなくなり,雨水が地上に溢れて洪水となる可能性がある。すなわち,雨水管の容量を設計する際には,雨水の量(計画降雨量)及び雨水が河川に流入する割合(計画流出係数)を設定する必要があるが,本件工事区間に設置される雨水管の容量を設計する上で,市は10年に一度という確率の大雨が降った場合の降雨量(以下「10年確率降雨量」という。)しか想定しておらず,その雨量も48.4mm/時であり,この程度の大雨は数年に1回の割合で降っている。また,上記雨水管の容量を設計する上で市が使用する流出係数(降雨量のうち地中へ浸透等せずに雨水管等に流れ込む割合)は0.65であるが,これは,自然の森林や耕地等,雨水が地下に浸透しやすい土地で用いられる数値であり,本件工事区間周辺のような市街化が進んだ地域について用いるのは不適切である。さらに,従前は,既設雨水管の処理量を超える雨量が発生したとしても,西除川本流の貯水機能によって宅地に浸水するまでに,西除川本流に雨水管を通じずに直接雨水が流入し,洪水被害が防止されてきた。しかし,本件工事により西除川本流を潰し,開削工事をすることによって,西除川本流の貯水機能は失われてしまう。 c 市は,本件工事後,西除川本流を復元するものの,流路を変更するとともに,その断面積を大幅に減少させる計画である。そのため,本件工事後も,西除川本流の物理的な流水処理能力は,本件工事以前に比較して低下し,洪水時の氾濫の危険性が高まる。 ,流路を変更するとともに,その断面積を大幅に減少させる計画である。そのため,本件工事後も,西除川本流の物理的な流水処理能力は,本件工事以前に比較して低下し,洪水時の氾濫の危険性が高まる。 - 18 -d このように,本件工事は,西除川本流の治水機能を阻害し,本件河川整備計画にも反するものであり,本件工事により,工事期間中や竣工後,治水上の危険が高まる。 (イ) 騒音,振動,地盤沈下a 本件工事の開削工事は,まず,西除川の護岸や河床を撤去して3本の河川通水管及び雨水管を旧河床に敷設し,その後,西除川をいったん埋め立てることになっているが,これらの工事は,地盤からかなりの重量物を撤去したり,それを地盤に置いたりするものであり,それに伴う衝撃により振動や騒音が発生する。 続いて,開削区域の両側に長さ700mにわたって土留壁を造ることになるが,そのために西除川両岸沿いの道路を掘削することになり,特に,堺市γ,δでは住居の直近において,道路掘削が行われる。本件工事区間の周辺の地盤は,砂れき層と粘性土層が相互に堆積している地層であり,とりわけ堅い砂れき層を掘削するときに地盤の振動が激しくなると考えられる。 加えて,工事期間中,日常的に工作機械の稼働による振動,騒音が続くことになり,周辺住民は工事期間中正常な日常生活を送ることは不可能となるし,これらの振動,騒音によって健康上の被害や家屋の損傷等の財産的被害が発生する可能性が十分にある。現に,周辺住民の多くは,毎日大きな騒音や振動に悩まされ心身共に疲弊し,振動による家屋への被害も生じており,掘削により出土した泥土置場からは悪臭が生じている。 大阪府生活環境の保全等に関する条例にいう特定建設作業は,本来一時的な騒音を想定するものであるが,本件工事の工事期間は6年間が予定されて おり,掘削により出土した泥土置場からは悪臭が生じている。 大阪府生活環境の保全等に関する条例にいう特定建設作業は,本来一時的な騒音を想定するものであるが,本件工事の工事期間は6年間が予定されており,周辺住民は,一時的にとどまらず,恒常的といっても過言ではないほど,騒音に悩まされることになり,条例上の基準 - 19 -値を超えなければ騒音を生じさせてもよいというわけではない。 Cは,周辺住民が被害を訴えても,そのたびに作業を停止することはなく,その対応も本来被害を訴え出なくても講じておくべき対処にとどまり,十分な対応をしていない。防音シートは建物1階部分までの高さにとどまるし,貼られていない箇所もあり,そこからは音が聞こえてくるのであって,ほとんど無意味であるし,防音シートにより振動は防げない。かえって,防音シートにより,本件工事の現場の真横の道路を通行する自動車騒音が反射するため,周辺住民は一層の騒音にさらされている。 b 土留壁の工事においては,左右の土留壁の間の土砂を大量に掘削,搬出することになるが,これに伴って土留壁が掘削空間側にたわみ,掘削の外側の地盤が掘削空間側に移動するとともに地盤沈下が発生することにもなる。被告は切梁という突っ張りを入れることによって土留壁の変位を抑えるものとしているが,切梁を入れる前のたわみと切梁による押し戻しは外側の地盤に不可逆的な変位をもたらすことになる。地表面の沈下量は,土留壁から離れるほど小さくなるが,地盤沈下を起こす範囲は掘削の範囲と同等程度と言われている。常磐西ランプの付近では,掘削深さは20m余りであるから,地盤沈下を起こすのは土留壁から20m程度の範囲にわたり,最大沈下量は20cm(掘削深さの1%)程度になることが予想される。 c このように,本件工事は,原告らの居住地 深さは20m余りであるから,地盤沈下を起こすのは土留壁から20m程度の範囲にわたり,最大沈下量は20cm(掘削深さの1%)程度になることが予想される。 c このように,本件工事は,原告らの居住地域に,長期にわたって,社会生活上受忍すべき限度を超える激しい振動,騒音被害等を発生させたり,地盤沈下を引き起こす可能性が高い。 (ウ) 大震災による地下構造物の損壊等に伴う危険の発生本件工事は,周辺住民の住居の直近を,深さ20~30m以上,幅30~40m,長さ700m以上にわたって開削するものであるが,それ - 20 -によって周辺住民の住居のすぐ近くに巨大な開削空間が工事期間である6年間にもわたって出現することになる。大規模地震によって,開削空間両側の土留壁を支える支保工が損壊するなどして土留壁が内側に倒れたりたわんだりする可能性が十分にあり,その場合は直近にある住居の地盤が大きく崩れ,住居の損傷は甚大になる。 また,本件工事では高さ約50mにも及ぶクレーン等が用いられており,これらの重機が転倒し,住宅や歩行者等に重大な被害を与える危険もある。 (エ) 交通上の支障等本件工事は,西除川を埋め立てるだけでは工事用地を確保できないことから,西除川右岸(北側)沿いを東西方向に走る道路(市道常磐黒土線)敷地をも利用して行われる計画になっている。市道常磐黒土線はJR浅香駅へ至る道路であって通過交通量が一定程度あると同時に,θ地区にとって不可欠な生活道路であり,市道常磐黒土線の敷地をふさいで工事をされると,地域住民の生活は多大な影響を受ける。特に,火災時や急病人発生時に緊急車両が迅速に移動できるのか疑問であり,住民の生命身体が危険にさらされかねない。 (オ) 開通後の環境への影響西除川は,自然環境に富んだ河川であり,現在は川沿い 特に,火災時や急病人発生時に緊急車両が迅速に移動できるのか疑問であり,住民の生命身体が危険にさらされかねない。 (オ) 開通後の環境への影響西除川は,自然環境に富んだ河川であり,現在は川沿いに遊歩道が設けられ,豊富な自然環境は周辺住民に憩いの場を提供しているが,本件工事は,このような西除川の自然環境を破壊し,住民の憩いの場を奪うものである。 また,前記ア(イ)のとおり,常磐西ランプが設けられることにより,周辺道路の交通量が更に増加することは確実であり,一層の交通渋滞の悪化だけにとどまらず,常磐西ランプ周辺での大気環境や騒音の悪化は必至である。 - 21 -エ河川法違反について(ア) 上記ウ(ア)のとおり,本件工事は,本件河川整備計画に反するものであって,河川法が河川整備計画の策定を求めている趣旨を没却するものであるから,同法に反する違法なものである。 (イ) 市は,本件工事を行う西除川両岸について,平成21年5月26日,河川法24条,26条,55条に基づく許可(以下「本件河川法許可」という。)を得たが,河川工事を行うことの承認(同法20条)を得ていなかったため,現況復旧することが可能な範囲の工事しかできず,本件河川法許可にも,河川管理施設(護岸,防潮堤等)を損傷してはならないという条件が付されていた。 しかし,市は,平成23年5月末までに,河川の主要な構成部分である護岸や河床を破壊し,掘削するとともに,西除川本流の水流を遮断し,河川通水管を埋設するなど,西除川の形状を完全に変更する工事をした。 この行為は,本件河川法許可に付された上記の条件にも反するし,同法8条,20条,更にいえば同法全体に反し,違法である。 (ウ) 市は,本件工事に関し,河川管理施設の取壊し着手後,復元直前に河川法20条の承認を得たが, 法許可に付された上記の条件にも反するし,同法8条,20条,更にいえば同法全体に反し,違法である。 (ウ) 市は,本件工事に関し,河川管理施設の取壊し着手後,復元直前に河川法20条の承認を得たが,この承認は,本件河川整備計画に定められた流量配分を前提にすべきであるにもかかわらず,本件河川整備計画を無視して西除川本流への流量配分をゼロとする前提に立って行われたものであって,違法である。 (エ) 河川法26条1項に基づく許可に際しての一般的技術的基準である工作物設置許可基準(平成6年9月22日建河治発第72号。以下「本件設置許可基準」という。)は,道路を含む工作物を河川区域内に設置することを認めないことを原則としており,例外的にこれを認める場合も,その設置が必要やむを得ないこと,治水上の支障がないこと,地質的に安定した場所を選定すべきこと等の厳しい条件を満たすべき旨定め - 22 -ている。 そうであるところ,市は,本件工事に関し,本件河川法許可を得ているものの,大和川線本線及び常磐西ランプは大和川本流の河川区域内かつ河川の下という地質的にぜい弱な箇所に河川を縦断する形で設けられ,常磐西ランプは堤防と干渉する形で設けられる。大和川本流及び常磐西ランプを大和川本流の地下に縦断的に設置することはやむを得ないとはいえないし,治水上の支障となることも明白である。そして,大和川本流の堤防内に構造物を設置することについては,地震時の影響について慎重な検討が必要なところ,本件工事においてそのような検討はされていない。このように,本件工事は,本件設置許可基準に反し,違法である。なお,本件設置許可基準で定められている原則と異なり,河川の地下に縦断方向に道路を設置する事例は希有である。 (オ) このように,市が河川法や本件設置許可基準違反の 設置許可基準に反し,違法である。なお,本件設置許可基準で定められている原則と異なり,河川の地下に縦断方向に道路を設置する事例は希有である。 (オ) このように,市が河川法や本件設置許可基準違反の状態で本件工事を進めることは,治水上の危険,親水環境の破壊をもたらすものであり,地方自治法2条16項に反し,違法であり,Cに支払う委託金は,違法行為を進めるための経費的な性格を有するから,本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為も違法である。 (カ) なお,原告らは住民訴訟の原告適格を有しており,それ以上に河川法違反を主張する適格を問題にする必要はない。 (被告の主張)本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為は,以下のとおり,財務会計法規上の義務に違反するものではなく,何らの違法もない。 ア常磐西ランプ設置の必要性・合理性について(ア) 高速道路建設において,ランプを設置するかどうか,どこに設置す - 23 -るか,ランプの構造,施工方法をどのようにするかは,政策論であり,違法性が問題となる余地はない。 (イ) 常磐西ランプは,主要幹線道路である府道大阪高石線と大和川線とを接続させ,市北東部地域に高速道路利用による利便性を提供するものである。そして,これにより,市北東部地域と市臨海地域,関西国際空港方面,神戸方面とのアクセスに要する時間を短縮し,大きな経済効果をもたらすことも期待される。 また,常磐西ランプは,大堀堺線や堺大和高田線という東西方向に設けられた一般道の交通混雑の緩和にも資するものである。 さらに,大和川線は大部分がトンネルであるが,トンネル内で事故,災害等が起きたときには,常磐西ランプ及び隣接する常磐東ラン 線という東西方向に設けられた一般道の交通混雑の緩和にも資するものである。 さらに,大和川線は大部分がトンネルであるが,トンネル内で事故,災害等が起きたときには,常磐西ランプ及び隣接する常磐東ランプを通じて,一般車両は迅速に避難することができ,緊急車両は迅速に現場に到着し,負傷者を病院へ搬送することができる。常磐西ランプ付近で地震等の災害が発生し家屋倒壊等により一般道の通行ができない場合等は,大和川線を利用することになるが,常磐西ランプがあれば,これを通じてその周辺地域に緊急物資の輸送等が迅速に行われることになる。 なお,大和川線の常磐西ランプと同方向のランプとしては,常磐西ランプの西側と東側にそれぞれ鉄砲西ランプ及び天美ランプが設置され,その間隔はおおむね2~4kmであり,適正な間隔が確保されている。 そもそも,常磐西ランプは,平成7年9月に大和川線事業が都市計画決定された当初から設置が予定されているものであり,当初から必要性が認められ,その必要性に変化は生じておらず,適正な諸手続も経ている。 (ウ) M付近の東浅香山町交差点について,土曜日及び日曜日の午後,Mの北側入口に入るための右折車線が渋滞を生じている状況はあるが,この渋滞は土曜日,日曜日の午後等,一定の曜日等にのみ生じている特殊な状況であり,しかも東浅香山町交差点の右折車線に渋滞が生じている - 24 -としても,南へ直進する車線はスムーズに流れているのであるから,そのような特殊な状況をもって,常磐西ランプが設けられるとその渋滞が増悪するとする原告らの主張は理由がない。 イ市が指名停止としていた業者が下請けとして受注したことについてFは,平成19年3月9日から同年6月22日までの間及び同年7月9日から同年10月8日までの間,Gは,平成19年7月9日から同年9月 イ市が指名停止としていた業者が下請けとして受注したことについてFは,平成19年3月9日から同年6月22日までの間及び同年7月9日から同年10月8日までの間,Gは,平成19年7月9日から同年9月8日までの間,それぞれ,独占禁止法違反を理由としてCから指名停止措置を受けていたが,本件工事についての競争入札に参加した時点では,上記指名停止期間は既に終了していた。 市は,本件工事をCに委託しており,受託者がどのような業者を利用するかは受託者の裁量的判断に委ねられているのであるから,受託者に対し,一定の工事業者を利用してはならないと要求するかどうかは,市の裁量に委ねられている。 そして,市は,Cが公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律2条1項の特殊法人等の一つであり,Cの発注工事の入札及び契約については,国土交通省等とほぼ同様の適正化のための措置が講じられていて,本件工事の委託に当たっても,Cによる適正な入札手続及び契約手続が履践されるものと信用できたこと,同法15条3項が上記特殊法人等の自主性を考慮してもよいものとしている趣旨等から,本件工事においても,利用する工事業者の選定,契約について,Cの裁量的判断に委ねたのである。 Cは,F等に対し,上記のとおり,国土交通省等とほぼ同様に指名停止措置を講じ,その指名停止期間が終了したことから,本件工事についての競争入札の参加資格を認めたのであり,実際の落札率も73.03%と,およそ談合の可能性が認められないものであった。 したがって,市が,Cに対し,本件工事についての競争入札を実施する - 25 -に当たって,F等の一定の業者を排除するよう要求等しなかった行為は,何ら違法ではなく,本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為も違 - 25 -に当たって,F等の一定の業者を排除するよう要求等しなかった行為は,何ら違法ではなく,本件各年度実施協定及び本件各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為も違法ではない。 ウ本件工事が周辺住民の健康・財産等を害する危険を有しないことについて(ア) 治水上の危険a 本件工事を行う西除川下流部には,西除川本流の直前で,直接大和川に放水するための西除川放水路が整備されており,雨が降って西除川の上流からの流量が増加し,西除川放水路に設けられている常磐堰付近の水位が河床から3.1mを超えると,常磐堰が倒伏して大和川へ直接放水されるようになっている。また,西除川本流と西除川放水路との分岐部には水門(常磐樋門)が整備されており,本件河川整備計画において,西除川本流には一定流量の水しか流入しないようになっているのであって,大雨時は常磐樋門を閉鎖することにより,上流からの水は西除川本流に流入しないようになっている。このように,西除川の下流部の治水機能は西除川放水路及び常磐樋門が担っているのであって,西除川本流は治水計画上重要な機能を担っているものではない。 そして,西除川放水路,西除川本流等には,大和川が計画高水位(計画高水流量〔その流域に100年に一度の確率の規模の雨が降った場合に川に流入するとされる流量〕が河川改修後の河道断面を流下するときの水位)に達したときも,大和川から背水してくる水に耐えられる高さの堤防(大和川の計画堤防高と同じ高さの堤防)が設けられている。 b 本件工事においては,西除川の河川構造物等を撤去し,埋め立てることとなっている。 - 26 -しかし,上記工事の際は,仮設河川通水管を設置して,その管に西除川を流下する水を通水させることになっている。その仮設河川通水 河川構造物等を撤去し,埋め立てることとなっている。 - 26 -しかし,上記工事の際は,仮設河川通水管を設置して,その管に西除川を流下する水を通水させることになっている。その仮設河川通水管は,西除川下流の河川環境の維持に必要な流量を考慮して,直径1200mmのものとすることになっているし,仮設河川通水管の設置後も,管の持つ所定流量以上の水は西除川放水路から直接大和川に放水されることになる。仮設河川通水管の下流側末端部分には,逆流防止弁を付けるので,西除川本流の下流から仮設河川通水管へ水が逆流することもない。河川通水管の上流端と下流端には,大和川の計画堤防高と同じ高さの堤防も設ける予定であるので,本件工事のために,河川の水が浸水することもない。 なお,本件工事の施工中において,大和川が氾濫し,その水が大和川の堤防から越水するような状態となった場合は,大和川から西除川放水路や西除川本流への背水も,それぞれの堤防から越水して,宅地等が浸水することになるが,これは,大和川の氾濫による影響・被害であって,本件工事において仮設河川通水管を設置したことによる影響・被害ではない。 c また,本件工事の際は,仮設河川通水管とは別に,仮設雨水管を2本設置して,西除川本流の北側及び南側の地域の雨水管を通じて西除川本流へ流入する雨水を,西除川本流の代替として処理することになっている。本件工事区間の周辺の関係排水区における既設の雨水管は,10年確率降雨量,市街地について用いられる流出係数0.65等に基づき整備されており,本件工事において設置する仮設雨水管は,このような既設雨水管の整備状況を勘案し,直径1000~1400mmの管を設置することとしている。仮設雨水管の下流側末端部分にも,逆流防止弁を付けるので,西除川本流の下流から仮設雨水管へ水 水管は,このような既設雨水管の整備状況を勘案し,直径1000~1400mmの管を設置することとしている。仮設雨水管の下流側末端部分にも,逆流防止弁を付けるので,西除川本流の下流から仮設雨水管へ水が逆流することはない。 - 27 -さらに,西除川本流の流域に降った雨は,通常は,上記のとおり,既設雨水管により処理されるが,既設雨水管で処理しきれなくなった雨水が土地の表面を流れて西除川本流へ流入する場合もある。このような雨水は,本件工事の第2期工事において,工事区間の掘削を開始するまでの間は,工事区域を周辺地盤より低くし,施工ヤード内に一時的な貯水池を設けるので,この工事区域内や貯水池に流入することになるし,掘削を開始した後は,掘削した空間が貯水池代わりになり,開削空間に流入することになる。 なお,西除川本流の流域に10年確率降雨量を超える大雨が降った場合は,既設雨水管がその降雨を処理し切れない可能性があり,それにより宅地等が浸水する可能性もあり得るが,これは,降雨が既設雨水管の処理能力をオーバーすることに起因するものであって,本件工事において仮設雨水管を設置したことに起因するものではない。 d 仮設河川通水管や仮設雨水管は,開削工事期間中は,管をつり下げる専用の桁を設置し,これにつり下げる方法(つり防護)により維持することになっているが,つり防護は,地下工事において河川通水管や雨水管について多くの実績が積まれている信頼できる工法であって,管の振れ止めの措置も講じることになっていることから,地震等によって,仮設河川通水管や仮設雨水管が損壊するおそれもない。 e 西除川本流は,本件工事後,本件工事前より若干川幅が狭くなる。 しかし,本件河川整備計画の諸元に基づいて算定される計画高水流量である10㎥/秒(計算上6㎥/秒)を流下 管が損壊するおそれもない。 e 西除川本流は,本件工事後,本件工事前より若干川幅が狭くなる。 しかし,本件河川整備計画の諸元に基づいて算定される計画高水流量である10㎥/秒(計算上6㎥/秒)を流下させる能力は確保して復旧するので,治水上の危険はない。 また,常磐西出口ランプは,西除川本流の計画堤防内に設置されることになるが,西除川本流の堤防は,西除川本流の河川構造物等を全て撤去し,本件工事区間を開削し,大和川線道路構造物を設置した後, - 28 -開削空間を全て埋め戻した後に,土木構造物標準設計を用いて復旧するものであり,安全性,安定性を十分に確保し,沈下等のおそれもないものであるから,この観点からも治水上の危険はない(なお,常磐西出口ランプは,西除川放水路の堤防に与える影響範囲外に設置される。)。 さらに,西除川本流を復旧する際にその沿岸に整備する堤防は,西除川本流と大和川との合流地点からの背水の影響を考慮して,その合流地点の計画高水位より1.5mの余裕高をもって設置される。 f 以上のとおり,本件工事によって治水上の危険が発生,増大することはない。 (イ) 騒音,振動,地盤沈下a 原告らが主張する受忍限度を超える騒音及び振動並びに地盤沈下の発生のおそれは漠然としたものであって具体性がない。 b 市,C及びH(以下「市ら」という。)は,本件工事の第1期工事において西除川の河川構造物を破砕・撤去するときには,騒音・振動がより発生しないように配慮した機械を使用することとしている。 また,市らは,本件工事の第2期工事において土留壁を設置するときには,ソイルセメント地中連続壁工法(以下「TRD工法」という。)により,チェーンソー型のカッターで地盤を切るように削り,そこにセメントミルクを注入して地中連続壁を造ること いて土留壁を設置するときには,ソイルセメント地中連続壁工法(以下「TRD工法」という。)により,チェーンソー型のカッターで地盤を切るように削り,そこにセメントミルクを注入して地中連続壁を造ることとしており,振動発生を可能な限り抑制するようにしている。 さらに,市らは,周辺住民の苦情申立てに応じて,防音シートの追加,比較的発生音の大きい機械を防音パネルで囲うこと,掘削機械の極低騒音型への機種変更等の工夫により更なる騒音等の低減に努めている。 そして,市らは,本件工事期間中,随所に騒音振動計を設置し,万 - 29 -一,大阪府生活環境の保全等に関する条例に定められている規制基準値を超えたとき等は工事を停止し,対応策を検討しながら工事を進めていくこととしているが,これまでのところ,本件工事により生ずる騒音や振動は,上記規制基準値(特定建設作業騒音基準値85db,特定建設作業振動基準値75db)を大幅に下回っている。 したがって,本件工事により生じている騒音・振動は受忍限度の範囲内にとどまっているというべきであり,違法ではない。 c 市らは,土留壁について,その変位を抑えるために曲げ剛性の大きい土留壁を採用し,本件工事区間の掘削開始後,速やかに切梁等の支保工を施工するようにし,必要に応じてあらかじめジャッキで圧力をかけて土留壁の変位を抑制するなどの措置を講じることとしており,周辺住民に被害を生じさせるような地盤沈下の発生を防止している。 (ウ) 大震災による地下構造物の損壊等に伴う危険の発生原告らが主張する大震災による地下構造物の損壊等に伴う危険発生のおそれは漠然としたものであって具体性がない。 国土交通省は,阪神大震災を踏まえ平成13年12月27日付けで「橋,高架の道路等の技術基準」を改訂し,これに伴い,道路等の耐震基 壊等に伴う危険発生のおそれは漠然としたものであって具体性がない。 国土交通省は,阪神大震災を踏まえ平成13年12月27日付けで「橋,高架の道路等の技術基準」を改訂し,これに伴い,道路等の耐震基準を定める「道路橋示方書」も改訂されたところ,本件工事の第2期工事において開削空間両側の土留壁を支えるために施工する土留支保工は,上記改訂後の耐震基準に基づき設計されており,阪神大震災クラスの地震に対する耐震性が確保されている。しかも,本件の土留壁のような仮設構造物については,耐震性に関する解析を行うことは一般的に要求されないが,本件工事においては,念のため,上記基準を用いて地盤と地下の構造物に対する影響を忠実に再現する分析を行って,土留壁が崩壊することがないことが確認されている。 また,本件工事で用いられる重機についても,次のとおり,転倒の危 - 30 -険性はない。すなわち,①本件工事では,上記(イ)bのとおり,TRD工法が採用されており,同工法で用いられる機械は,従来工法で用いられるものより地上高が低いし,施工中にはカッターポストが地中深くに挿入されるため,安定性が高く,転倒の可能性が極めて小さいこと,②クレーン作業に際しては,あらかじめ作業を行う地盤の状態を確認し,必要に応じて地盤を固めた上で鉄板を敷くなどして安定を保つようにしていること,③クレーンに万一,気象等の影響で機械の能力を超える力が作用しようとした場合には,運転席の近傍に設置された表示ランプのうちの赤いランプが点灯するようになっており,運転手は常時このランプを確認しながら慎重に作業を行っており,赤いランプが点灯すれば作業を継続しようとしても自動的に機械が停止すること,④作業のない夜間や休日においては一般道路に出ないようにしつつ,できる限りクレーンのブーム(アーム 慎重に作業を行っており,赤いランプが点灯すれば作業を継続しようとしても自動的に機械が停止すること,④作業のない夜間や休日においては一般道路に出ないようにしつつ,できる限りクレーンのブーム(アーム)を倒しているなどの対応をしていること等から,クレーン等が転倒する危険性はない。 (エ) 交通上の支障等市は,本件工事の第2期工事で土留壁の設置等をする際に市道常磐黒土線の一部を使用する必要があるため,第1期工事において,市道常磐黒土線上に施工ヤードの内外を分けるフェンスを設置することとしており,これにより市道常磐黒土線の通行が一部制限されることになる。 しかし,その代わり,通行を制限する期間は,施工ヤード内に2車線(片側1車線)の代替道路を確保し,通過交通に支障が生じないようにすることとしているし,市道常磐黒土線の北側(住宅地寄りの方)の1車線分程度の車道と,更にその北側の歩道は,住民の生活道路として確保することとしている。 また,市らは,緊急車両の迅速な移動ができるように所轄消防署とも綿密に打合せをしている。 - 31 -(オ) 開通後の環境への影響市は,大和川線については,常磐西ランプの開口部からの排気ガスの漏出がほとんど生じないよう所要の対策を計画しており,常磐西ランプの開口部周辺地域に大きな影響を与えるものではない。 また,市は,西除川本流の河川敷について,遊歩道を設置するなど,良好な親水環境を確保するための整備実施を計画している。 (カ) 工法本件工事は,大和川線本線と常磐西ランプとの分岐・合流部を築造する工事を含むものである。このような本線との分岐・合流部は,車線数の増減に伴い道路幅員が変化すること等から道路の形状,構造等が複雑となるため,完全非開削のシールド工法による工事は極めて困 部を築造する工事を含むものである。このような本線との分岐・合流部は,車線数の増減に伴い道路幅員が変化すること等から道路の形状,構造等が複雑となるため,完全非開削のシールド工法による工事は極めて困難である。 また,本件工事区間をシールド工法で施工したとしても,開削工法により施工する場合よりも施工幅が広くなるとともに,パイプルーフを設置するための立坑を開削で設けることが必要となって,完全な非開削による工法とはならないし,パイプルーフの掘削空間に地下水が入らないようにするため,遮水壁を一部周辺住民の宅地内に設置しなければならず,周辺住民に著しい負担を課すことになってしまう。 一方,本件工事区間を開削工法で施工すれば,土留壁を周辺住民の宅地の南側に走っている市道常磐黒土線内に設置することで足り,生活用の歩道も確保することができ,周辺住民の負担を軽減することができる。 なお,原告らは,市が当初本件工事区間全部について開削工法で実施することを予定しながら,後に一部をシールド工法で実施することに変更したことについて,工法の検討が不十分であったことを示すものである旨主張する。しかしながら,市は,平成21年10月の市長の交代を機に,同年11月から平成23年1月までの間,本件工事を一時中断して検討した結果,開削工法によりながらも,より一層住民負担の少ない - 32 -工法として,段階施工の方法を採用することとし,同月,第1段階の施工として,開削工法によって大和川線本線及び常磐西入口ランプのみを設置する工事を再開した。そして,第2段階の施工として,常磐西出口ランプを設置する工事を行うこととなったが,この段階での施工は,矩形シールドによる工法により進めていくことにした。矩形シールドによる工法は,形状的に,円形シールドマシンを使うより施工幅 ,常磐西出口ランプを設置する工事を行うこととなったが,この段階での施工は,矩形シールドによる工法により進めていくことにした。矩形シールドによる工法は,形状的に,円形シールドマシンを使うより施工幅が狭くて済むので,施工区域と沿道住民の住宅地との離隔ができるだけ確保できるようになり,工事の騒音・振動の低減も一層図られ,住民負担の軽減につながる。 エ河川法との関係について(ア) 河川法は公物管理法であって,原告らの個別的な権利の保護等に関わるものではないから,原告らに河川法違反の主張をする適格はない。 (イ) 上記ウ(ア)aのとおり,本件工事は,本件河川整備計画に反するものではない。 (ウ) 本件工事のうち,河川法20条に基づく承認を要する「河川工事」に該当するのは,第3期工事の中でも,大和川線本線等の駆体等を埋設・設置するなどした後の,開削状態を埋め戻し,西除川本流を復旧・整備する工事であり,大和川線本線等の躯体等を埋設・設置するに至るまでの高速道路建設のための工事及びこれに関連する工事は,同条に基づく承認を要する「河川工事」には該当しない。 また,本件河川法許可に付された条件は,本件工事の許可範囲外での河川管理施設等の損壊,機材等の放置等を禁じるというものであり,市がC等をして,西除川本流の河川構造物等を撤去したり,工事に必要な機材,土砂等を搬入したりさせていることは,本件工事の内容そのものであって,上記条件に違反するものではない。 したがって,本件工事は,河川法20条及び本件河川法許可に付され - 33 -た上記の条件に反するものではない。 (エ) 市は,平成24年8月30日付けで,河川管理者から,本件工事に関し,河川法20条に基づく承認を得た。そして,市は,西除川本流の復旧計画について,河川管理者であ の条件に反するものではない。 (エ) 市は,平成24年8月30日付けで,河川管理者から,本件工事に関し,河川法20条に基づく承認を得た。そして,市は,西除川本流の復旧計画について,河川管理者である大阪府と十分に協議を重ねており,復旧後の西除川本流は,川幅がやや狭くなるものの,本件河川整備計画の内容に沿うものであり,計画高水流量である10㎥/秒の流量にも対応できるのであって,西除川本流の復旧の観点からも何ら問題はない。 (オ) 本件工事により,河川の地下の縦断方向に工作物である大和川線及び常磐西ランプを設置することになるが,そのような設置もやむを得ないものであるし,治水上又は利水上の支障はなく,その設置場所として地質的にも安定した箇所が選定されているほか,常磐西ランプは,西除川放水路の堤防に与える影響範囲外に設置されるものである(上記ウ(ア)e)から,本件工事が本件設置許可基準に反するものではない。このことは,河川管理者が,市に対し,河川法26条に基づく許可を含む本件河川法許可をしたことからも明らかである。 (カ) したがって,本件工事に関し,河川法等に関する違法はない。 (2) 争点2(A及びBの故意又は過失等)について(原告らの主張)平成▲年度実施協定及び平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく支出命令はAが,平成▲年度実施協定,平成▲年度実施協定及び平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく支出命令はBが行ったものであるところ,上記(1)の(原告らの主張)記載のとおり上記各財務会計行為が違法であるにもかかわらず,両名は,善管注意義務に違反し,又は故意若しくは過失によりこれらを行ったものであるから,それらにより市が被った損害について,それぞれ債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 (被告の主張) - 務に違反し,又は故意若しくは過失によりこれらを行ったものであるから,それらにより市が被った損害について,それぞれ債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 (被告の主張) - 34 -上記(原告らの主張)は否認ないし争う。 (3) 争点3(市の被った損害)について(原告らの主張)市は,上記(2)の(原告らの主張)記載のA及びBの違法な各財務会計行為により,これらに基づき本件工事に係る工事費用として支出された額(別紙4「常磐工区開削トンネル工事(常磐西ランプ建設工事を含む)に関する支出」の「年度(平成)」欄記載の各年度に対応する「消費税込」欄記載の額)に相当する額の損害(Aとの関係では平成▲年度及び平成▲年度の支出に係るもの,Bとの関係では平成▲年度~平成▲年度の支出に係るもの)を被った。 (被告の主張)上記(原告らの主張)は争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件訴えのうち,A及びBに対して損害賠償請求をするよう被告に求める部分の適法性(1) まず,本件において,原告らは,本件基本協定に基づいて締結された本件各年度実施協定及びこれらに基づく本件各支出命令という財務会計上の行為が違法である旨主張して,被告に対し,本件各年度実施協定及び本件各支出命令を行った当該職員とするA及びBに対して損害賠償をするよう求めている。 ところで,原告らは,前記第2の2(3)のとおり,本件監査請求において,本件基本協定に基づいて行われる本件全工事に関する財務会計行為の差止めを求めていたのであり,本件各年度実施協定及びこれらに基づく本件各支出命令のうち,本件監査請求の時点でいまだ行われていなかった財務会計行為である本件平成22年度実施協定,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各 これらに基づく本件各支出命令のうち,本件監査請求の時点でいまだ行われていなかった財務会計行為である本件平成22年度実施協定,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各支出命令は,本件監査請求の対象とさ - 35 -れていたといえる。 そして,上記差止請求についての監査請求が適法にされたことは前記第2の2(3)のとおりであるから,本件訴えのうち,差止めを求める部分が適法な監査請求を経ていることはもちろん,本件平成22年度実施協定,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各支出命令に関してBに対して損害賠償請求をするよう求める部分についても,実質的に監査請求を経たものというべきであり,地方自治法242条の2第1項,242条1項に規定する住民監査請求前置の要件を満たしているといえる。 他方,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各支出命令は,本件監査請求がされた時点では既に行われていたのであるから,本件基本協定に係る財務会計行為の差止めを求める本件監査請求の対象とされていたものとは認め難く,本件訴えのうち,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各支出命令に関してAに対して損害賠償請求をするよう求める部分は,住民監査請求前置の要件を満たしていない。 (2) 次に,訴えの変更は,変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから,上記訴えにつき出訴期間の制限がある場合には,出訴期間遵守の有無は,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事 間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き,上記訴えの変更の時を基準としてこれを決すべきである(最高裁昭和58年9月8日第一小法廷判決・裁判集民事139号457頁参照)。 これを本件についてみると,前記第2の2(4)のとおり,原告らは,平成21年8月21日,本件全工事に関する財務会計行為の差止めを求めて出訴期間内に本件訴えを提起した(地方自治法242条の2第2項1号)ところ, - 36 -本件訴え提起後,上記財務会計行為である本件平成▲年度実施協定,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各支出命令がされたため,これらの財務会計行為に関してBに対して損害賠償請求をするよう求める請求に請求の趣旨を変更する訴えの変更をしたのであって,このような両者の間に存する関係に鑑みると,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるというべきである。 (3) したがって,本件訴えのうち,差止めを求める部分(本件1号請求)と本件平成▲年度実施協定,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各支出命令に関してBに対して損害賠償請求をするよう求める部分は適法であるが,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定並びにこれらに基づく各支出命令に関してAに対して損害賠償請求をするよう求める部分は不適法である(なお,以下,本件平成▲年度実施協定,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定,これらの各協定に基づく各支出命令並びに被 令に関してAに対して損害賠償請求をするよう求める部分は不適法である(なお,以下,本件平成▲年度実施協定,本件平成▲年度実施協定及び本件平成▲年度実施協定,これらの各協定に基づく各支出命令並びに被告が本件工事に関し今後行う予定の財務会計行為を「本件財務会計行為」と総称する。)。 2 争点1(本件財務会計行為の違法性)(1) 常磐西ランプ設置の必要性・合理性についてア前記第2の2(2)アのとおり,常磐西ランプを設置することは,本件都市計画決定において定められており,本件基本協定においてCに対して常磐西ランプ建設工事(本件工事の一部)を委託するとされていることは,本件都市計画決定を前提としているものと認められる。 イ平成8年法律第48号による改正前の都市計画法は,都市計画について,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと等の基本理念の下で(2条),都市施設の整備に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを一体的かつ総合的に定めなけれ - 37 -ばならないとし(13条1項柱書き),都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることとしているところ(同項6号),このような基準に従って都市施設の規模,配置等に関する事項を定めるに当たっては,当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきである(最高裁平成18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁参照)。そして,そのような都市計画 すると,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきである(最高裁平成18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁参照)。そして,そのような都市計画決定を基礎としてされる都市施設の設置に係る事業の施行についても,施行者に都市計画決定と同様の裁量を認めることが相当であり,裁判所が上記事業の施行の内容の適否を審査するに当たっては,事業の施行に係る判断が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当であるウ証拠(乙23の2,26)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事区間の施行者である市は,市北東部地域における高速道路の利便性向上,東西方向の一般道路の混雑の緩和,地下トンネルでの災害時の避難路確保,震災時の緊急物資等の輸送路の確保といった観点から,本件都市計画決定のとおり,常磐西ランプを設置することとしたことが認められる。 エそして,各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 - 38 -(ア) 阪神高速道路の平均ランプ間距離は約2.6kmであるが,常磐西ランプと西側に隣接する同方向のランプである鉄砲西ランプとの間の距離は約3.9kmであり,東側に隣接する同方向のランプである天美ランプとの間の距離は約2.5kmである。阪神高速道路の出入口の数は,出口と入口とを各1か所として数えた場合,4号湾岸線は約32.7k 離は約3.9kmであり,東側に隣接する同方向のランプである天美ランプとの間の距離は約2.5kmである。阪神高速道路の出入口の数は,出口と入口とを各1か所として数えた場合,4号湾岸線は約32.7kmに35か所,14号松原線は約12.1kmに14か所,15号堺線は約13.4kmに12か所であるのに対し,大和川線(約9.9km)は14か所設置する予定である。(甲26,27,乙23の2,26)(イ)a 道路事業における費用便益分析とは,ある年次を基準年とし,道路整備が行われる場合と,行われない場合のそれぞれについて,一定期間の便益額,費用額の現在価値を算定し,道路整備に伴う費用の増分と,便益の増分とを比較することにより分析,評価を行うものである。便益を費用で除した結果が1以上(便益が費用を上回る場合)であれば,その事業は妥当なものと評価できる。道路事業における費用便益分析の算定に用いられる便益とは,走行時間短縮便益,走行経費減少便益及び交通事故減少便益であり,費用とは,道路整備に要する事業費(用地費を含む。)及び道路維持管理に要する費用である。(甲126~129)bCが平成22年度の事業継続の当否の判定等のために平成21年度を基準年として大和川線について作成した「再評価結果(平成22年度事業継続箇所)」と題する書面によれば,事業の前提条件としての事業の効率性について,費用便益分析の結果,便益が費用を上回っているとされ,「当初からの事業の必要性,重要性は変わらないと考えられる。」との理由で,「事業継続」との対応方針が決定された。また,上記書面において,事業の効果や必要性を評価するための指標について,①並行区間の一般道の混雑の緩和,②大阪南港,関西国際空 - 39 -港へのアクセスの向上,③都市再生プロジェクト(大都市圏におけ 書面において,事業の効果や必要性を評価するための指標について,①並行区間の一般道の混雑の緩和,②大阪南港,関西国際空 - 39 -港へのアクセスの向上,③都市再生プロジェクト(大都市圏における環状道路体系の整備)に大和川線が位置付けられており,同プロジェクトを支援するものであること,④ι地区における開発プロジェクト(下記カ(エ)b(a)のI新工場等)を支援するものであること,⑤緊急輸送通路や他の高速道路の代替路線となるものであること等が示され,「事業の効果等」として,「都市の再生(都市再生プロジェクトで大阪圏における環状道路の一部として位置づけ)」「臨海部の開発(新工場進出等)を支援」が指摘された。(甲135)c 上記bの費用便益分析の結果を踏まえた,大和川線の費用便益分析の結果では,常磐西ランプを設置した場合の費用及び便益の基準年(平成21年度)における現在価値はそれぞれ4428億円,9018億円であったが,常磐西ランプを設置しなかった場合の大和川線の費用便益分析の結果,費用及び便益の基準年(平成21年度)における現在価値はそれぞれ4323億円,8738億円であった。(甲130~132,135)オ道路事業における費用便益分析の結果は,道路事業を行う必要性を判断する資料となり,その分析において格別不合理な点は見当たらず(下記のとおり,上記分析結果の信用性の欠如等に係る原告らの主張は,いずれも直ちに採用することができない。),上記費用分析の結果等に照らせば,大和川線は,便益が費用を上回っており,並行区間の一般道の混雑の緩和や,港湾地域と内陸地域とのアクセスの手段,緊急輸送通路や他の高速道路の代替路線といった観点から必要性が認められるものといえる。 そして,常磐西ランプについては,阪神高速道路の他の路線のランプの ,港湾地域と内陸地域とのアクセスの手段,緊急輸送通路や他の高速道路の代替路線といった観点から必要性が認められるものといえる。 そして,常磐西ランプについては,阪神高速道路の他の路線のランプの数及び阪神高速道路の平均ランプ間距離(2.6km)に照らしても,その必要性が明らかに否定されるほどに,隣接する鉄砲西ランプ及び天美ランプと近接しているとまではいえないし,費用便益分析の結果,常磐西ラ - 40 -ンプを設置しなかった場合に比べて,常磐西ランプを設置した場合,費用の基準年(平成21年度)における現在価値が105億円増大するのに対し,便益の基準年(平成21年度)における現在価値が280億円増大するとされ,上記のとおり,その分析において格別不合理な点は見当たらないことなどの事情に照らせば,常磐西ランプの設置について,必要性,合理性がないということはできない。 なお,原告らは,上記エ(イ)cの費用便益分析について,Cが実施したものであり資料の根拠等がないものであって信用することができない旨主張する。確かに,Cは大和川線の事業主体の1つであって,事業推進の立場から,費用便益分析について便益が費用を上回るように結果を誘導する動機があることは否定できないが,さりとて,上記費用便益分析の結果が重要部分において誤りであることをうかがわせる具体的事情もないのであるから(原告らが指摘する諸事情も,後記カのとおり,上記誤りの存在を具体的に基礎付けるに足りるものではない。),上記費用便益分析が信用できないとする原告らの上記主張は採用することができない。 カ原告らの主張について(ア) 原告らは,①本州四国連絡道路,東京湾アクアライン等,他の道路の交通量の実績と計画がかい離していたこと,②国土交通省が平成14年に,平成32年まで交通量が い。 カ原告らの主張について(ア) 原告らは,①本州四国連絡道路,東京湾アクアライン等,他の道路の交通量の実績と計画がかい離していたこと,②国土交通省が平成14年に,平成32年まで交通量が伸びるとの推計をしていたところ,実際には平成16年には交通量が減少に転じたこと,③訴外で被告が,大和川線の将来交通量予測値は,平成11年道路交通センサスを基に国が予測した平成32年の数値であると説明したことからすると,大和川線の上記予測値も上記②の推計を基礎としているものと推測されること,④平成22年度道路交通センサスによれば,大阪府内の道路の全車平均交通量は平成17年度に比べて11.6%減少していることなどから,被告の交通需要予測は過大である旨主張する。 - 41 -しかし,他の道路の交通量の実績と計画がかい離していたことから,直ちに大和川線に関する被告の交通需要予測が過大であるということはできない。また,証拠(甲112,113)及び弁論の全趣旨によれば,国土交通省は,平成20年12月,平成17年道路交通センサスの結果等を踏まえ,費用便益分析の際に用いる交通量について,平成20年から平成42年まで微減する考え方を採用することを明らかにしたことが認められるところ,仮に,上記③の訴外での被告の説明があったとしても,少なくとも,平成22年度の事業継続の当否の判定等のために実施された上記エ(イ)bの平成21年度を基準年とする大和川線についての費用便益分析(甲135)やこれを踏まえた同cの常磐西ランプについての費用便益分析(甲130,131)については,その分析実施の時期のほか,市とCが同年6月に作成した常磐西ランプの供用開始時の交通量予測等に関する資料は,平成17年度道路交通センサスの結果等を使用していること(乙22の5)をも併せ については,その分析実施の時期のほか,市とCが同年6月に作成した常磐西ランプの供用開始時の交通量予測等に関する資料は,平成17年度道路交通センサスの結果等を使用していること(乙22の5)をも併せ考慮すると,特段の反証のない本件においては,いずれも,上記の国土交通省の考え方を踏まえて行われたものと推認することができる。 そして,平成22年度道路交通センサスによれば,大阪府内の道路の全車平均交通量が平成17年度に比べて減少しているとしても,下記(イ)に説示する点に照らせば,上記交通量減少の事実から直ちに,被告の上記交通需要予測が過大であって常盤西ランプの設置について必要性,合理性が否定されるとまではいうことはできない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (イ) 原告らは,大和川線が供用されていない現状において,常磐西ランプ付近で大和川線と東西に並行する府道大堀堺線,府道堺大和高田線の交通量は減少しており,常磐西ランプ設置による混雑緩和の必要性はない旨主張する。 - 42 -確かに,府道大堀堺線,府道堺大和高田線は,常磐西ランプ付近で大和川線と東西に並行する(乙22の6,23の2,26)ところ,証拠(甲114,115)によれば,府道大堀堺線及び府道堺大和高田線の道路交通センサスにおける12時間交通量及び24時間交通量は,平成11年度から平成17年度にかけては大きな変化はないものの,同年度から平成22年度にかけてはおおむね減少していることが認められる。 しかし,並行する一般道路の交通量が減少しているからといって,直ちに常磐西ランプ設置の必要性がないということはできない。 なお,Oが平成22年5月21日付けで作成した「阪神高速道路大和川線常磐工区に関する予備調査報告書」(甲18)によれ るからといって,直ちに常磐西ランプ設置の必要性がないということはできない。 なお,Oが平成22年5月21日付けで作成した「阪神高速道路大和川線常磐工区に関する予備調査報告書」(甲18)によれば,常磐西ランプ及び常磐東ランプを設置しない場合,設置した場合と比べて隣接ランプの予測交通量は1日当たり約1600~2100台増加するものの,最も予測交通量の多い鉄砲東ランプにおいても,渋滞等の問題は生じないとされていることが認められる。しかし,上記報告書の記載に従ったとしても,常磐西ランプ及び常磐東ランプの設置によって,隣接ランプの交通量が1日当たり約1000台以上減少すると予測されている(甲18)のであるから,常磐西ランプ設置の必要性がないということはできない。 (ウ) 原告らは,上記エ(イ)b,cの費用便益分析について,走行時間短縮便益の算定に当たっては,時間短縮がわずかな道路の便益をかき集めて便益を水増ししているのであって,上記算定は参考とはならない旨主張する。 確かに,証拠(甲133,134)によれば,費用便益分析における走行時間短縮便益の算定に当たって,走行時間短縮の効果がほとんど見込まれない道路を含めて算定しているとの批判がされていることが認められる。そして,証拠(甲135)によれば,上記エ(イ)cの常磐西ラ - 43 -ンプを設置した場合の費用便益分析について,走行時間短縮便益の算定に当たって1万4787.2kmの道路について考慮していることが認められる。 しかし,たとえ個々の道路について時間短縮がわずかであっても,その時間短縮による便益を考慮して走行時間短縮便益を算定することが直ちに合理性を欠くとまではいえないのであって,上記エ(イ)b,cの費用便益分析が信用できないとまではいえない。 (エ)a 原 も,その時間短縮による便益を考慮して走行時間短縮便益を算定することが直ちに合理性を欠くとまではいえないのであって,上記エ(イ)b,cの費用便益分析が信用できないとまではいえない。 (エ)a 原告らは,ι地区に誘致したIの新工場の稼働率が落ち込んでいることや,大阪南港の物流・集客施設の代表であるJの入居率は5割程度であり,Kについても,その運営会社であるL株式会社は大阪市の支援なしに債務の返済が困難な状況が続いていることからすると,臨海部の工場,施設へ往来する交通需要はそれほどには増えない旨主張する。 b 各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (a) 市は,平成17年に企業立地促進条例を制定するなど,企業の市への誘致施策を実行し,平成21年,ι地区に全面稼働時の敷地面積127万㎡のIの工場が稼働を開始した。上記工場の物流としては陸路が主体となり,Iの本社や奈良県,三重県にある既存の工場,研究施設等へのアクセスの手段として,完成後の大和川線の利用が予定されている。もっとも,Iは,平成23年頃から業績が悪化した。(甲117~120)(b) 平成16年2月,大阪湾の臨海地域開発を担う第三セクターである株式会社N及びL株式会社について,特定調停が成立し,株式会社Nは,平成21年3月26日,会社更生手続開始の申立てを行い,平成22年3月29日,更生計画が認可決定された。上記更生計画 - 44 -において,Jは,大阪府に売却され,株式会社Nは,同年7月末に解散することとされた。 大阪府の部局は,同年11月からJに入居を始め,平成23年3月末までに2万4600㎡に入居した。一方,当時Jに入居していた大阪市の部局は,その頃からKに転出を始め,同年9月時点で,Jは,利用可能な7万2 の部局は,同年11月からJに入居を始め,平成23年3月末までに2万4600㎡に入居した。一方,当時Jに入居していた大阪市の部局は,その頃からKに転出を始め,同年9月時点で,Jは,利用可能な7万2390㎡中,3万4290㎡が利用されているにとどまる。 (甲121,122,124)c このように,ι地区に全面稼働時の敷地面積127万㎡の工場が稼働しており,上記工場に関するアクセスの手段として,完成後の大和川線が予定されていること,平成23年9月現在,Jについて3万4290㎡が利用されている状況に照らせば,Iの業績が悪化し,Jの入居率が5割程度であることを考慮したとしても,常磐西ランプと臨海部の工場,施設との間を往来する交通需要の増加が,常磐西ランプ設置の必要性の否定につながるほどにわずかなものにとどまるものとまではいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。 (オ) 原告らは,前市長のA及び現市長のBの言動を理由として,常磐西ランプが不要である旨主張する。 この点,証拠(甲4,5,8)及び弁論の全趣旨によれば,Aは,平成▲年9月22日,大和川線の本線の工事をシールド工法で行い,ランプ設置は将来の課題とする旨記載された「覚書」と題する書面を作成し,同日,原告らの一人に対し,市長選挙で当選した場合,4年間は常磐西ランプの設置工事を行わない旨述べたことが認められる。 また,証拠(甲3,8,46,48)及び弁論の全趣旨によれば,Bは,市長就任前の同年6月,常磐西ランプの設置に反対する旨記載された「ご署名のお願い」と題する書面に賛同者として署名したこと,同年 - 45 -8月27日,常磐西ランプ設置に関する公開質問状に対し,常磐西ランプ設置については,地元住民の合意を得ることが工事着工の前提であり,住民の合意 面に賛同者として署名したこと,同年 - 45 -8月27日,常磐西ランプ設置に関する公開質問状に対し,常磐西ランプ設置については,地元住民の合意を得ることが工事着工の前提であり,住民の合意のないまま工事を進めるべきではないなどと回答したこと,この頃,常磐西ランプの設置及びシールド工法について否定的な発言を繰り返したことが認められる。 一方,市は,Bが市長就任後の同年11月1日,常磐西ランプをシールド工法で設置することを内容とする本件工事を中断したものの,平成▲年1月17日,本件工事を再開しており(前記第2の2(2)イ),証拠(甲2,8,51)及び弁論の全趣旨によれば,Bは,平成▲年4月26日,周辺住民に対する説明会において,本件工事に関して,「具体的にシールド工法に変更する,またランプを廃止するというふうな明言は確かに致しておらないというふうに認識しております」などと述べ,平成▲年3月4日,市議会の総務財政委員会における質問に対し,本件工事に関して,「シールドがどうのこうの,そしてランプがどうのこうの,その選挙時にも一切申し上げてません」などと述べたことが認められる。 このように,常磐西ランプの設置に関するBの言動は一貫しているとはいい難く,常磐西ランプの設置に反対する住民が,常磐西ランプの設置に関するAの上記言動とも相まって,これらのBの言動の変遷に不信感を募らせたとしても無理からぬものがある。 しかし,上記のA及びBの言動を踏まえても,上記エ,オの認定事実や事情に照らせば,常磐西ランプ設置の必要性がないということはできない。 (カ) 原告らは,常磐西ランプ予定地のわずか200mほど南には,2800台収容可能な駐車場が設けられている巨大ショッピングセンター「M」があることから,府道大阪高石線等の周辺道路は できない。 (カ) 原告らは,常磐西ランプ予定地のわずか200mほど南には,2800台収容可能な駐車場が設けられている巨大ショッピングセンター「M」があることから,府道大阪高石線等の周辺道路は,同所に出入りする車両によって現在も混雑し,交通渋滞が頻繁に発生しているのであ - 46 -って,常磐西ランプが設けられることによって,周辺道路の交通量が更に増加することは確実であり,一層の交通渋滞を招く事態となる旨主張する。 確かに,証拠(甲24の1)及び弁論の全趣旨によれば,常磐西ランプ予定地の200m程度南に大規模なショッピングセンター「M」が存在することが認められ,常磐西ランプの設置によって,上記M付近の府道大阪高石線等の道路が混雑する可能性は否定できない。 しかし,原告らの主張を前提としても,交通渋滞が発生しているのは一定の日に限られるのであるし,しかも,府道大阪高石線の上記Mの北側からの右折車線に渋滞が生じていても,南へ直進する車線は渋滞していないのであるから(甲140,弁論の全趣旨),常磐西ランプの設置によって,府道大阪高石線等の道路が混雑する可能性があるとしても,そのことによって,常磐西ランプの設置の不利益が利益を上回り,設置の必要性が否定されるものとまではいえない。 (キ) 原告らは,被告が,本件工事について,周辺住民の約7割が賛同しているとして,工事再開を強行したが,実際には周辺住民の約7割が賛同しているわけではなく,被告の上記主張は虚偽である旨主張する。 確かに,下記(3)イ(イ)のとおり,本件工事に伴い,騒音,振動等の点で,周辺住民が一定の負担を強いられていることは否定できず,周辺住民が賛同した上で本件工事を行うことが望ましいことはいうまでもない。また,周辺住民が賛成していることはランプ設置の ,騒音,振動等の点で,周辺住民が一定の負担を強いられていることは否定できず,周辺住民が賛同した上で本件工事を行うことが望ましいことはいうまでもない。また,周辺住民が賛成していることはランプ設置の必要性を基礎付ける事情となり得るものである。 しかし,仮に,本件工事について,周辺住民の約7割の賛同という事実がなかったとしても,上記エ,オの認定事実,事情に照らせば,常磐西ランプ設置の必要性がないということはできない。 キ上記カのとおり,原告らの主張は,いずれも採用することができず,本 - 47 -件において,常磐西ランプを設置することとした判断が,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に当たることを認めるに足りる証拠はなく,都市計画事業の施行者として本件都市計画決定のとおり常磐西ランプを設置することとした市の判断が違法であるということはできない。 したがって,本件財務会計行為は,常磐西ランプの必要性,合理性との関係で,地方自治法2条14項,地方財政法3条1項,4条1項及び4条の2に反し,違法であるとは認められない。 (2) 指名停止期間中の業者が下請けとして受注したことについてア証拠(甲1,16)及び弁論の全趣旨によれば,Fは,平成19年2月28日から平成20年6月24日までの間,Gは,平成19年6月25日から平成20年6月24日までの間,それぞれ,独占禁止法違反行為があったことを理由として市から建設工事等入札参加有資格者の指名停止措置を受けており,本件入札時に,市の実施する建設工事の入札に参 5日から平成20年6月24日までの間,それぞれ,独占禁止法違反行為があったことを理由として市から建設工事等入札参加有資格者の指名停止措置を受けており,本件入札時に,市の実施する建設工事の入札に参加することができなかったことが認められる。 そして,証拠(乙28)によれば,堺市入札参加有資格者の入札参加停止等に関する要綱(以下「堺市入札参加停止要綱」という。)においては,入札参加停止者は,入札参加停止の措置を受けている期間は,市が発注する契約の全部又は一部について下請けをし,又は再委託を受けることができない旨の規定(9条)があることが認められる。 Hが,市の実施する建設工事の下請けである本件工事の入札(本件入札)に参加し,Cとの間で本件下請契約を締結したことは,堺市入札参加停止要綱9条に反するものである。 - 48 -また,本件基本協定には,Cは,Cへの委託工事の一部を建設会社等に請け負わせた場合には,速やかにその旨を市に報告するものとする旨の条項があること(11条2項。前記第2の2(2)ウ(エ)b)から,市としても,本件下請契約が締結されたことは速やかに把握できたというべきであって,堺市入札参加停止要綱9条に照らし,市が本件下請契約に関して何らの措置を講じなかったことは,その妥当性に疑問があるものといわざるを得ない。 イしかし,堺市入札参加停止要綱9条が,市が工事を発注する際に,その市の入札参加停止者が下請けをすることを防止するために具体的な措置を講じることまでも法的に義務付けていると解することはできず,本件基本協定の締結に当たって,市が,指名停止措置を受けている業者を本件工事についての競争入札に参加させてはならない旨を本件基本協定で定めたり,Cにその旨の指導を行ったりしなかったことをもって違法であるとま 協定の締結に当たって,市が,指名停止措置を受けている業者を本件工事についての競争入札に参加させてはならない旨を本件基本協定で定めたり,Cにその旨の指導を行ったりしなかったことをもって違法であるとまではいうことができない。 また,F及びGが,本件入札時に,Cから指名停止措置等,入札に参加できなくなる措置を執られていたのではないこと(弁論の全趣旨)や,Hの本件入札についての落札率も予定価格の73.03%であって,市発注の土木工事における平均落札率(平成19年度が81.33%,平成20年度が77.24%)と比較しても低く(甲1,弁論の全趣旨),談合等の不正が疑われる数値ではなかったこと等の事情に照らせば,市が,事後に,Cに対して本件下請契約に関する是正のための措置を講じていないことも違法とまではいうことができない。 したがって,本件基本協定を前提とする本件財務会計行為が,指名停止期間中の業者が下請けとして受注したこととの関係で,地方自治法2条14項,16項,地方財政法3条1項,4条1項,4条の2及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律3条3号に反するものとは認め - 49 -られない。 (3) 本件工事が周辺住民の健康・財産等を害する危険を有するか否かについてア治水上の危険について(ア) 証拠(甲188,乙110,115のほか,各項末尾記載の証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 西除川について(a) 現在の西除川は,始点を河内長野市にある市道橋とし,狭山池を通って大和川との合流地点を終点とする,延長2万6202mの一級河川であり,流域面積は54k㎡である。(甲9,10)(b) 西除川本流を含む西除川下流は,大和川の洪水による背水の影響を避けるため等の理由から,大和川と水 を終点とする,延長2万6202mの一級河川であり,流域面積は54k㎡である。(甲9,10)(b) 西除川本流を含む西除川下流は,大和川の洪水による背水の影響を避けるため等の理由から,大和川と水位が同じになるまで大和川と並行する現在のものに付け替えられた経緯がある。現在の西除川は,下流において,大和川に合流する放水路(西除川放水路)と堺市γ及びδの地域の南側の水路(西除川本流)に分岐している。そして,西除川本流は,浅香川及び狭間川と合流し,大和川に合流する。西除川放水路への入口には風船堰である常磐堰が,西除川本流への入口には開閉可能な水門である常磐樋門が,それぞれ設置されている。(甲9,10,13,14,60,乙27,64の1・2)(c) かつては,西除川放水路は整備されておらず,常磐樋門も設置されていなかった。 市内では,昭和57年8月1日から同月3日までの間,総雨量が250~300mm,最大1時間降雨量が40.0mmの豪雨に見舞われた。そして,大和川は,当時,西除川本流との合流地点付近の計画高水位がO.P.(大阪湾最低潮位)+9.26mであったところ,最大O.P.+9.306mとなるなどして西除川本流へ逆流し,西除川流域の住宅も,大きな被害に遭った。 - 50 -そこで,大阪府は,昭和57年度から昭和62年度までの間に,西除川下流及び中流について,河川激甚災害対策特別緊急事業を実施し,常磐樋門の設置,西除川放水路の整備(昭和60年6月完成),西除川本流の堤防のO.P.+11.447mへのかさ上げ等の工事をした。 (甲59,60,108,乙27,64の1・2)(d) 現在,大和川について,西除川本流との合流地点付近の計画高水位はO.P.+9.947m,西除川放水路との合流地点付近の計画高水位はO. (甲59,60,108,乙27,64の1・2)(d) 現在,大和川について,西除川本流との合流地点付近の計画高水位はO.P.+9.947m,西除川放水路との合流地点付近の計画高水位はO.P.+11.147mであり,西除川本流両岸及び西除川放水路付近両岸の大和川からの背水区間の計画堤防高は,それぞれ,上記計画高水位から1.5mの余裕を持たせたO.P.+11.447m,O.P.+12.647mであって,実際に上記計画堤防高の堤防が整備されている(ただし,下記c(a)で埋め立てた部分は除く。)。なお,西除川放水路付近両岸の計画堤防高には,パラペット(胸壁)によるものが含まれている。(甲18,170,乙64の1・2,108の1・2)b 西除川本流と西除川放水路の水流量の記載等について(a) 大阪府は,河川法79条1項に基づき,西除川全体計画を策定し,昭和43年に建設大臣の認可を受けたところ,大阪府が昭和44年11月に作成した上記全体計画に係る「西除川全体計画概要書」と題する書面(以下「西除川全体計画概要書」という。)では,河道計画として,西除川放水路を整備することのほか,「現西除川には汚染された水の希釈などから考えて20㎥/Sまでを樋門を通じ流す。これを越える流量については樋門の閉鎖で捷水路へ流す。転倒堰は20㎥/Sで自動的に倒れる構造とする。」(「現西除川」とは,西除川本流を指す。)との記載がある。(甲100,乙64の - 51 -2)(b) 昭和57年11月付けの「西除川改良工事全体計画(激特下流部)」と題する書面(以下「西除川改良工事全体計画書」という。)の流量配分図(計画高水流量を示すもの。以下同じ。)中には,西除川放水路に「360」,西除川本流入口に「20」(なお,その入口付近には,後出の本件河川整 (以下「西除川改良工事全体計画書」という。)の流量配分図(計画高水流量を示すもの。以下同じ。)中には,西除川放水路に「360」,西除川本流入口に「20」(なお,その入口付近には,後出の本件河川整備計画書中の流量配分図のように,実線は付されておらず,上記「20」の数字は西除川本流の手前から西除川本流に水流が流れ込むことを示す矢印とともに記載されている。),西除川本流と浅香川との合流地点の直前に「25」との記載がある。(甲142の2)(c) 大阪府が昭和60年頃作成した「西除川捷水路の概要」と題するパンフレットには,流量配分図として,西除川下流に360㎥/秒,西除川本流の入口に20㎥/秒との記載がある(なお,その入口付近には,後出の本件河川整備計画書中の流量配分図のように,実線は付されていない。)。また,上記パンフレットには,洪水時に西除川下流の360㎥/秒の水量が西除川放水路に340㎥/秒,西除川本流に20㎥/秒,それぞれ通水する旨の記載がある。(甲108)(d) 大阪府が昭和63年7月頃作成した西除川下流及び中流の河川激甚災害対策特別緊急事業(上記a(c))の説明パンフレットには,西除川の河川計画諸元の「流量配分図」として,西除川下流から西除川放水路にかけて「400」,西除川本流の入口に「20」との記載がある(なお,その入口付近には,後出の本件河川整備計画書中の流量配分図のように,実線は付されておらず,上記「20」の数字は西除川本流の手前から西除川本流に水流が流れ込むことを示す矢印とともに記載されている。)。(甲60) - 52 -(e) 大阪府が昭和61年8月頃作成した「狭山治水ダム建設事業全体計画書」と題する書面には,西除川下流の計画高水流量を400㎥/秒とする旨の記載がある。(甲101)(f) 大阪府 52 -(e) 大阪府が昭和61年8月頃作成した「狭山治水ダム建設事業全体計画書」と題する書面には,西除川下流の計画高水流量を400㎥/秒とする旨の記載がある。(甲101)(f) 大阪府は,平成17年4月,大和川水系西除川ブロック河川整備計画(本件河川整備計画。以下,同計画に係る書面を「本件河川整備計画書」という。)を策定した。なお,平成9年法律第69号による河川法の改正により同法16条の2において河川整備計画についての定めが新たに設けられたところ,本件河川整備計画は,その定めに基づき,新たに策定されたものである。 本件河川整備計画書には,洪水時には常磐堰が倒伏し,西除川放水路から直接大和川へ通水する旨の記載があるが,常磐樋門の閉鎖に関する記述はない。また,本件河川整備計画書中に掲げられている「西除川・狭間川流量配分図」(11頁)には,西除川放水路に380㎥/秒(計画高水流量)を通水する旨の記載がある一方,西除川本流の入口部分にはその入口を閉じるような形で実線が記載されるとともに,西除川本流の狭間川への合流地点までに25㎥/秒(計画高水流量)を通水する旨の記載がある。 (甲14,乙64の2)(g) 平成20年発行の「大和川付替えと流域環境の変遷」と題する文献には,西除川放水路が西除川の洪水水量360㎥/秒のうち340㎥/秒を放流するものであるとの記載がある。また,同年発行の「大和川百話」と題する文献にも,同趣旨の記載がある。(甲9,10)c 河川通水管及び雨水管の併設(a) 本件工事では,第1期工事において,常磐樋門を閉鎖して,西除川本流への通水を遮断した上,西除川本流のうち,常磐樋門から浅 - 53 -香川との合流地点の手前までの区間について,いずれも仮設の河川通水管(以下「本件仮設河川通水 常磐樋門を閉鎖して,西除川本流への通水を遮断した上,西除川本流のうち,常磐樋門から浅 - 53 -香川との合流地点の手前までの区間について,いずれも仮設の河川通水管(以下「本件仮設河川通水管」という。)及び雨水管(以下「本件仮設雨水管」という。)を敷設して埋め立てた。また,上記の区間の上流端及び下流端には,それぞれ,西除川放水路付近両岸及び西除川本流両岸と同じ高さの仮の堤防を設置し,上記の区間の下流側の本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管の出口には,逆流防止弁を設置した。(前記第2の2(2)イ。乙18,27)(b) 西除川の年間平均流量(大和川合流直前)はおおむね2.0㎥/秒であり,本件工事の際には実測値を基に,工事区間の平常時の流量が2.153㎥/秒と設定された。 本件仮設河川通水管は直径1.2m(内径1.176m)であり,O.P.+8.576m(常磐堰の高さ。これを超えると,常磐堰を超えて西除川放水路に水が流れることになる。)以下の水位で2. 153㎥/秒の水量を処理する能力を有する。 (乙27,33,34)(c) 本件仮設雨水管は,西除川本流右岸(北側)と西除川本流左岸(南側)に合計2本敷設し,既設の雨水管(右岸3本,左岸4本。以下,右岸の既設雨水管を上流のものから順に「本件右岸既設雨水管1」「本件右岸既設雨水管2」等と,左岸の既設雨水管を上流のものから順に「本件左岸既設雨水管1」「本件左岸既設雨水管2」等と,それぞれ称する。)に接続するものである。 市が平成19年度に作成した堺市流域関連公共下水道事業計画変更申請書(今池処理区)では,10年確率降雨量を48.4mm/時とし,市街区域,集落等の流出係数を0.65としており,本件仮設雨水管に接続される既設雨水管は,上記10年確率降雨量や流出係数を前提 更申請書(今池処理区)では,10年確率降雨量を48.4mm/時とし,市街区域,集落等の流出係数を0.65としており,本件仮設雨水管に接続される既設雨水管は,上記10年確率降雨量や流出係数を前提とした処理能力を有するものとして計画,設置されて - 54 -いる。そして,本件仮設雨水管による排水区域について,「建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編」に示される流出係数の標準値である屋根0.90,道路0.85,その他不浸透面(駐車場等)0.80,水面1.00,間地0.20,芝,樹木の多い公園0.21を使用して,現状の土地利用を前提とした流出係数を算定すると,西除川本流右岸平均0.64,西除川本流左岸平均0.54となった。上記10年確率降雨量及び流出係数0.65を使用して,上記の各既設雨水管について,排水区域の面積,雨水管の長さ,雨水管内での流速等を考慮した上で雨水流出量を算定すると,本件右岸既設雨水管1が0.649㎥/秒,本件右岸既設雨水管2が0. 115㎥/秒,本件右岸既設雨水管3が0.310㎥/秒,本件左岸既設雨水管1が1.640㎥/秒,本件左岸既設雨水管2が0. 261㎥/秒,本件左岸既設雨水管3が0.081㎥/秒,本件左岸既設雨水管4が0.143㎥/秒である。 本件仮設雨水管のうち西除川本流右岸の雨水管の本件右岸既設雨水管3と接続する直前までの管径は1.0m,本件右岸既設雨水管3と接続したところからの管径は1.1mであり,処理能力はそれぞれ0.861㎥/秒,1.116㎥/秒であって,上記の各既設雨水管について算定した雨水流出量について処理することができる。また,本件仮設雨水管のうち西除川本流左岸の雨水管の本件左岸既設雨水管2と接続する直前までの管径は1.3m,本件左岸既設雨水管2と接続したところからの管径は1. 流出量について処理することができる。また,本件仮設雨水管のうち西除川本流左岸の雨水管の本件左岸既設雨水管2と接続する直前までの管径は1.3m,本件左岸既設雨水管2と接続したところからの管径は1.4mであり,処理能力はそれぞれ1.759㎥/秒,2.151㎥/秒であって,上記の各既設雨水管について算定した雨水流出量について処理することができる。 (甲8,乙27,35) - 55 -(d) 本件工事の際,本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管は,開削工事期間中は,管をつり下げる専用の桁を設置し,これにつり下げる方法(つり防護)により維持されることになるが,このような設置方法は,北海道や神奈川県でも採用実績がある。 また,埋設する本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管には,土留とは独立して地盤から覆工板にかけて設置されている中間杭から水平方向にストッパー付きの振れ止めが設置される。つり防護がされた埋設管は,上記振れ止めにより,その振れ幅が抑制されるため,地中の仮設構造物とほぼ同じ動きをすることになり,地震等の影響による埋設管の損傷も防止されるものであって,仮設構造物の安全性が確認されると,当該仮設構造物と一体となって動く埋設管も安全と評価することができる。なお,本件工事については,計算上,埋設する本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管に地震力を作用させた場合に,各部材に及ぶ発生力が鋼材の持つ基準値(弾性限界の90%)以内であることが確認されている。 (乙27,53)(e) 本件工事において,本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管を敷設して埋め立てる際には,貯水池が確保され,また,掘削,土留支保工の際には,掘削した空間が貯水機能を果たし得る。 もっとも,市らが平成21年5月に作成した本件工事の河川防災計画書には,本件 敷設して埋め立てる際には,貯水池が確保され,また,掘削,土留支保工の際には,掘削した空間が貯水機能を果たし得る。 もっとも,市らが平成21年5月に作成した本件工事の河川防災計画書には,本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管の敷設後は,工事範囲内に流入する水は全て埋設鋼管内を経由して下流側に流下する計画となっている旨の記載がある。また,周辺住民が,Hに対し,平成25年9月16日,上記貯水の方法について問い合わせたところ,Hの担当者は,上記貯水のために特段の措置は講じない旨回答した。 - 56 -(甲32,183,189,乙27,100,101)d 常磐堰の倒伏と常磐樋門の閉鎖常磐堰は,水位が3.1m(O.P.+8.876m)に上昇すれば自動的に倒伏する。 そして,平成22年4月から,大阪府の水防等非常勤務要領において,西除川放水路常磐橋堰上流水位観測所の河川水位が常磐堰倒伏水位(3.1m)に達し,常磐堰が倒伏したときは,別冊(資料編)「水防時における西除川常磐樋門の施設操作(閉鎖)について」により,常磐樋門を閉鎖することとされた。常磐樋門の閉鎖により,西除川上流から流れてきた水は全て西除川放水路を経由して大和川へ流れることとなる。なお,平成21年度以前は,上記の水防等非常勤務要領のような具体的記載のある資料はなかった。 (甲145の1・2,189,乙34,54,64の1・2,111,112)e 市内の降雨状況昭和51年から平成23年6月までの間で,市内での最大1時間降水量が48.4mm(前記c(c)の10年確率降雨量)を超えたのは,昭和54年6月27日の52mm,昭和63年8月24日の74mm,平成11年8月11日の61mm,平成19年8月23日の53mm,平成20年9月5日の93.5mmの5回 年確率降雨量)を超えたのは,昭和54年6月27日の52mm,昭和63年8月24日の74mm,平成11年8月11日の61mm,平成19年8月23日の53mm,平成20年9月5日の93.5mmの5回であった。その後,市内では,平成24年9月,最大1時間降水量50.5mmを記録した。(甲12,40,144)f 本件工事後の復元計画大阪府は,本件工事区間の西除川本流の復元計画の検討に当たり,本件河川整備計画において,洪水時に常磐樋門は閉鎖するものとされ,西除川本流は常磐樋門を通じての西除川からの流量配分を受けていな - 57 -いとの理解の下に,降雨が西除川本流のうち常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間に直接流れ込む区域について100年に一度程度発生する大雨が降った場合の流出解析を行い,復元河川について,その計算結果による浅香川合流前のピーク流量10㎥/秒(計算結果の6㎥/秒を5㎥単位で切上げ)の洪水を安全に流下させることのできるような断面を有するものとすることを決定した。 西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間については,本件工事前と比べて若干川幅が狭くなるが,上記ピーク流量を流下させる能力は確保される予定である。 また,常磐樋門から西除川本流にかけては,本件工事前から,内空幅3.4m,高さ2.6mの函渠が設けられていたが,本件工事後,西除川本流側に新たに同じ大きさの函渠を設けて西除川に通水するようにする予定である。 さらに,西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間に整備する堤防は,西除川本流と大和川との合流地点からの背水の影響を考慮して,その合流地点の計画高水位(O.P.+9.947)より1.5mの余裕高をもって設置される。 なお,本件 前までの区間に整備する堤防は,西除川本流と大和川との合流地点からの背水の影響を考慮して,その合流地点の計画高水位(O.P.+9.947)より1.5mの余裕高をもって設置される。 なお,本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管は,西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間の復元に伴い,撤去される。 (乙64の1・2,96の1~7,97,98の1・2,114)(イ) 河川通水管についてa 上記(ア)認定のとおり,本件工事の際,西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間については,仮設の河川通水管(本件仮設河川通水管)を敷設して埋め立てられるが,本件仮設河川通水管は,常磐堰の高さ(O.P.+8.576m)以下の水 - 58 -位で,実測値を基に設定された平常時の流量である2.153㎥/秒の水量を処理する能力を有している。 そして,水位がO.P.+8.576mを超えても,その超えた西除川の水流分は,常磐堰を超えて西除川放水路に流れ,さらに,水位がO.P.+8.876mを超えれば,常磐堰が倒伏し,その場合には,常磐樋門は閉鎖され,本件仮設河川通水管には通水しないのであり,下流側の出口に逆流防止弁を設置していることも考慮すると,本件仮設河川通水管は十分な水量を処理する能力を有しているといえる。 b(a) ところで,原告らは,本件河川整備計画で示されている西除川本流の流量配分は25㎥/秒であって,西除川本流は,常磐堰が倒伏して西除川放水路に放水する場合も通水し,西除川放水路と西除川本流の両方で排水されていたものであり,常磐堰倒伏時に常磐樋門が閉鎖され西除川に通水されないことを前提とすることは,本件河川整備計画に反するものであり,上記通水を考慮すれば,本件仮設河川通水管は常 本流の両方で排水されていたものであり,常磐堰倒伏時に常磐樋門が閉鎖され西除川に通水されないことを前提とすることは,本件河川整備計画に反するものであり,上記通水を考慮すれば,本件仮設河川通水管は常磐堰倒伏時に期待される十分な処理能力を有しない旨主張する。 これに対し,被告は,増水時に水位がO.P.+8.876mを超えれば,常磐堰が倒伏し,その場合には,常磐樋門は閉鎖され,西除川本流には通水がないのであり,本件河川整備計画も,その前提に立って洪水時の西除川本流への流量配分を定めており,西除川本流には,洪水時の治水機能はない旨主張する。 (b)① この点について,西除川の河川管理者であり,本件河川整備計画の策定主体である大阪府知事は,被告の照会に対し,洪水時に常磐堰が自動倒伏したときに,常磐樋門を閉鎖することとなっており,本件河川整備計画書に示された流量配分図もそのこ - 59 -とを前提としている旨,被告の主張に沿う回答をし(乙64の2),また,大阪府都市整備部河川室も,別件の民事訴訟での調査嘱託において,同旨の回答をしている(乙32)。そして,大阪府の河川整備課長作成の陳述書(乙110)には,洪水時に常磐堰が自動倒伏したときに,常磐樋門を閉鎖することとなっている旨の記載があり,同人は別件訴訟で同旨の証言をする(甲188,乙115)。このように,河川管理者であり河川整備計画の作成主体である大阪府知事や関係部署及び職員が,本件河川整備計画について,被告の主張に沿う認識を示していることは,軽視することができない。 この点に関し,原告らは,大阪府知事も大和川線整備事業の施行者であり,大阪府知事や関係部署等は,事業推進のために,被告と通謀して,虚偽の事実を回答,証言した旨主張するが,一般的な可能性を指摘するにとどまり, し,原告らは,大阪府知事も大和川線整備事業の施行者であり,大阪府知事や関係部署等は,事業推進のために,被告と通謀して,虚偽の事実を回答,証言した旨主張するが,一般的な可能性を指摘するにとどまり,客観的裏付けを欠くものであって,原告らの上記主張は直ちに採用することができない。 ② また,本件河川整備計画書中の記載内容についてみると,前記認定のとおり,本件河川整備計画書中に掲げられている「西除川・狭間川流量配分図」(11頁)には,西除川放水路に380㎥/秒(計画高水流量)を通水する旨の記載があるとともに,西除川本流の狭間川への合流地点までに25㎥/秒(計画高水流量)を通水する旨の記載がある一方,西除川本流の入口部分にはその入口を閉じるような形で実線が記載されている。 そして,本件河川整備計画書中には,上記実線が意味するところを説明する記載はない(甲14)。このように,本件河川整備計画書それ自体の記載からは,本件河川整備計画が,計画高 - 60 -水流量との関係で,西除川上流から西除川本流への分岐,分流を想定し,西除川本流に洪水時の治水機能の一端を担わせる趣旨で策定されているかは必ずしも明らかではない。 しかしながら,西除川の河川管理を担当する大阪府富田林土木事務所は,平成13年ないし平成14年ころ,P株式会社(以下「P」という。)に対し,西除川等の治水計画の検討や基本高水等の検討を委託しているところ,上記委託を受けてPが作成した平成13年12月11日付けの「西除川水系河川整備基本方針(基本高水の検討)」と題する報告書の5頁では,作成当時の計画(前記(ア)b(b)の西除川改良工事全体計画書に係るもの)とその見直し検討案が対比形式で示されているところ,前者の計画に係るものとして示された流量配分図中には,西除川放水路に36 作成当時の計画(前記(ア)b(b)の西除川改良工事全体計画書に係るもの)とその見直し検討案が対比形式で示されているところ,前者の計画に係るものとして示された流量配分図中には,西除川放水路に360㎥/秒を流下させる一方,西除川から西除川本流にも20㎥/秒を分岐,流下させることを示す記載があり,その記載部分では,西除川の分岐部分(西除川本流への入口部分)付近には,実線等は記載されず,空白のままであるのに対し,見直し検討案として示されている流量配分図においては,西除川放水路に400㎥/秒を流下させる一方,西除川本流の浅香川合流前の流量として10㎥/秒を流下させることを示す記載があり,その記載部分では,西除川本流入口部分には入口を遮断するように実線が付されている(甲191,弁論の全趣旨)。 また,大阪府富田林土木事務所及びPが作成した平成14年3月付けの「一級河川西除川他治水計画検討委託報告書治水検討編」と題する報告書中には,西除川の流量配分図において,西除川放水路に380㎥/秒を流下させる一方,西除川本 - 61 -流の入口部分には入口を遮断するように実線が付された上,西除川本流の浅香川合流前の流量として10㎥/秒を流下させることを示す記載があるほか,備考欄には,「本計画対象区間は西除川上流からの流量は分担しない。」と記載されている(甲191,弁論の全趣旨)。 以上の各報告書の流量配分図の記載ぶり(実線の有無)や備考欄の記載等に照らすと,上記各報告書においては,計画高水流量を考える上で,西除川から樋門を通じて西除川本流への分流があるか否かを示すため,実線の有無をもって,これを区別し,実線が書き込まれている場合には,分流を否定する趣旨で記載されているものと解することができる。流量配分図は,計画高水流量等を示すも の分流があるか否かを示すため,実線の有無をもって,これを区別し,実線が書き込まれている場合には,分流を否定する趣旨で記載されているものと解することができる。流量配分図は,計画高水流量等を示すものとして,河川整備計画を策定し,対策措置を講ずる上での基礎となり得るものであり,一般に,流量配分図の記載は一定のルールに則って統一的に行われるものと考えられることからすると,本件河川整備計画書の西除川の流量配分図に示された実線の意味も,特段の反証がない限り,同様の意味で用いられているものと解することが相当である(本件において,上記特段の反証はない。)。 ③ さらに,西除川本流が流れる区間は,西除川本流と大和川との合流点からの背水影響区間として位置付けられ,その計画高水位が同合流点の計画高水位と同じ高さ(O.P.+9.947m)とされ,西除川本流沿いの堤防は,その計画高水位を基礎として1.5mの余裕高を持つように整備されており,西除川本流は,西除川放水路と大和川との合流点からの背水影響区間としては位置付けられてない(乙64の1・2,弁論の全趣旨)。そうであるところ,増水して常磐堰が倒伏したときでも, - 62 -常磐樋門が閉鎖されず,そのまま通水されることとなると,西除川放水路と大和川との合流点付近で大和川が増水し西除川放水路への背水が生じた場合,その背水は,西除川本流にも影響し得るのであり,上記のとおり,西除川本流が西除川放水路と大和川との合流点からの背水影響区間としては位置付けられていないことと整合しないことにもなる。 (c) 以上のとおり,河川管理者であり,本件河川整備計画の策定者である大阪府知事等が被告と同様の認識を示し,本件河川整備計画書上,被告の主張を基礎付けるような記載(西除川本流入口の実線)があるほか,西除川本 のとおり,河川管理者であり,本件河川整備計画の策定者である大阪府知事等が被告と同様の認識を示し,本件河川整備計画書上,被告の主張を基礎付けるような記載(西除川本流入口の実線)があるほか,西除川本流沿いの治水措置の内容も,被告の主張と整合的であることからすると,原告らの上記主張は,容易には採用し難いものといわざるを得ず,むしろ,上記諸事情に照らせば,被告の主張するとおり,本件河川整備計画は,常磐堰倒伏時に西除川本流について通水することは想定していないものと認められる(なお,被告の主張どおりの上記事実を積極的に認定することまではできないとの立場に立ったとしても,本件河川整備計画上,常磐堰倒伏時に西除川本流にも通水があることが想定されており,通水がないことを前提に本件工事を行うことが本件整備計画に反することについては,本件財務会計行為の違法を主張する原告らにおいて立証すべき責任があるものと解されるところ,上記の諸事情に照らせば,下記(d)で検討する原告ら指摘の諸事情等を併せ考慮しても,いまだその立証責任を充たしたものと認めることはできず,原告らの主張を採用できないとの結論に変わりはない。)。 (d)① なお,被告は,被告主張のような本件河川整備計画の理解が正しいことを実質的に基礎付ける証拠として,乙第60号証を提出 - 63 -し,これによって,上記理解を前提とした場合も,本件河川整備計画で示される西除川本流の大和川合流地点までの流量配分について,流域からの雨水流入量,西除川本流に流れ込む支流からの流入量等に照らし,合理的に説明することができる旨主張する。 しかしながら,証拠(甲180,188,192,乙115)及び弁論の全趣旨によれば,上記雨水流入量算定の基礎となる流域面積の把握において,不正確な点があることがう ことができる旨主張する。 しかしながら,証拠(甲180,188,192,乙115)及び弁論の全趣旨によれば,上記雨水流入量算定の基礎となる流域面積の把握において,不正確な点があることがうかがわれ,乙第60号証は,被告主張のような理解を裏付けるものとして直ちに採用することはできない。 この点に関し,原告らは,乙第60号証のような信用性を欠く証拠を提出すること自体,被告主張のような理解が誤っていることを基礎付ける旨主張するが,雨水流入量の算定には,不確定要素が少なからず含まれ,本件河川整備計画において,どのようにして配分流量が算定されたかも明らかではない本件においては,乙第60号証の提出をもって,直ちに被告の主張が誤っているものとまでは即断することができない。 ② また,原告らは,本件河川整備計画の策定より前に作成された前記(ア)b(a)~(d)記載の大阪府作成の各書面(西除川全体計画概要書,西除川改良工事全体計画書等)や本件河川整備計画の策定より後に発行された同(g)の各文献には,原告らの主張に沿う西除川本流への配分流量を明確に示す記載があるのであり,特に,西除川全体計画に係るものは,本件河川整備計画の基礎となるものであって,西除川本流に常磐堰倒伏時も20㎥/秒の通水が想定されていたことは明らかである旨主張する。 しかしながら,西除川全体計画概要書中の「現西除川には汚染 - 64 -された水の希釈などから考えて20㎥/Sまでを樋門を通じ流す。これを越える流量については樋門の閉鎖で捷水路へ流す。転倒堰は20㎥/Sで自動的に倒れる構造とする。」との記載のうち,「これを越える流量」との表現は,原告らの主張のような理解を裏付けるものということができるが,他方,「樋門の閉鎖」という表現に着目すれば,被告が主張す で自動的に倒れる構造とする。」との記載のうち,「これを越える流量」との表現は,原告らの主張のような理解を裏付けるものということができるが,他方,「樋門の閉鎖」という表現に着目すれば,被告が主張するような理解もあり得ないものではなく(「これを越える流量については」との表現も,「20㎥/秒を超える流量が生じた場合には」との意味と解することができないものではない。),上記記載をもって,直ちに西除川全体計画が原告らが主張するような流量配分を前提とするものであるとまでは断定し難い。 また,確かに,西除川改良工事全体計画書中の流量配分図の記載からは,原告らが主張するとおり,同計画書においては,増水時にも西除川本流に20㎥/秒を通水することが想定されていたものとしか理解できず,前記(ア)b(c),(d)記載各パンフレットの記載も同様である。しかし,前記(b)②で言及した平成13年12月11日付けの「西除川水系河川整備基本方針(基本高水の検討)」と題する報告書中の西除川改良工事全体計画書に係る流量配分図の脇には「本計画においては西除川の西除川の分流20㎥/sを考慮しているが,H8.5西除川全体計画では最下流への分流は行わない計画となっている。」とも記載されており,このような記載に照らせば,増水時の西除川本流への通水について,西除川全体計画ないし西除川改良工事全体計画自体が既に平成8年段階で見直し,変更され,本件河川整備計画もその見直し,変更後の流量配分を基礎として策定された可能性も否定できない。 さらに,本件河川整備計画は,平成17年に河川法16条の2 - 65 -に基づき新たに作成されたものであり,他方,西除川全体計画は,それ以前の昭和43年に河川法79条1項に基づき定められたものであるところ,両者が全く無関係なものではないと 6条の2 - 65 -に基づき新たに作成されたものであり,他方,西除川全体計画は,それ以前の昭和43年に河川法79条1項に基づき定められたものであるところ,両者が全く無関係なものではないとしても,河川法16条の2に基づき新たに策定される河川整備計画において,それ以前の全体計画等を見直し,これと異なる流量配分を決定することができないことをうかがわせる証拠はない。仮に,西除川全体計画において,常磐堰倒伏時に西除川本流にも20㎥/秒の通水が行われることが想定され,その後も,そのような流量配分の考え方に変更がなかったとしても,前記(b)②記載の事実に照らすと,平成13年ないし平成14年ころには,Pに委託して,西除川改良工事全体計画書に係る計画の見直しが図られていたことがうかがわれ,そのような事情からすると,西除川全体計画等の見直しを経て,本件河川整備計画が策定された可能性も十分考えられる。 以上の諸事情に照らせば,本件河川整備計画以前に作成された各書面の記載中に原告らの主張に沿うものが含まれていることが,前記(c)の認定を左右するものではない。また,本件河川整備計画の後に発行された文献については,いずれも私人が作成したものであり(甲9,10),その記載内容がどのような根拠に依拠するものかも明らかではないから,直ちに採用することはできない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 なお,上記の点に関連して,原告らは,大和川と西除川放水路との合流付近は,大和川と西除川の水位の差がさほど大きくないため,背水の危険が高く,かつて,頻繁に洪水被害を受けていたものであり,従前,常磐堰倒伏時には20㎥/秒もの少なからぬ - 66 -流量が西除川本流に通水されることが想定されていたにもかかわらず,それが通水 が高く,かつて,頻繁に洪水被害を受けていたものであり,従前,常磐堰倒伏時には20㎥/秒もの少なからぬ - 66 -流量が西除川本流に通水されることが想定されていたにもかかわらず,それが通水されないこととなれば,より一層背水による洪水の危険が高まる旨主張する。しかしながら,西除川の深さ(大和川の計画高水位O.P.+11.147mの場合の川底からその計画高水位までの高さ)は,常磐堰付近で約5mであるところ(甲108の3枚目の縦断面図参照),大和川と西除川放水路との合流部分に係る背水影響区間の西除川両岸の堤防は,本件河川整備計画の策定以前に,大和川の上記計画高水位から1.5mの余裕をもった高さで設置されている。仮に,本件河川整備計画策定以前に,西除川全体計画等において西除川本流への流入分20㎥を含むものとして西除川の計画高水流量が380㎥/秒ないし400㎥/秒と定められ,それに沿う運用がされていたとしても,西除川本流への流入分は,上記計画高水流量の20分の1程度にとどまるのであり,上記のような河川の深さと堤防の余裕高(堤防の余裕高1.5mは,大和川の計画高水位の場合の大和川の深さ約5mの10分の3程度)からすると,西除川本流への流入分がすべて西除川放水路に流れるようになったからといって,洪水の危険が格別危惧されるほどに増大するものとまでは認め難く,原告らの上記主張をもって,全体計画の見直しの可能性が否定されるものではない。 ③ さらに,原告らは,従来から,常磐堰が倒伏して,西除川放水路への放水が行われている時も,西除川本流には通水があったものであり,このことは,前記(a)の原告らの主張を裏付ける旨主張する。 確かに,平成21年10月及び平成24年2月の時点で,西除川放水路への放水時も常磐樋門が閉鎖されていなかった旨の西 あったものであり,このことは,前記(a)の原告らの主張を裏付ける旨主張する。 確かに,平成21年10月及び平成24年2月の時点で,西除川放水路への放水時も常磐樋門が閉鎖されていなかった旨の西除 - 67 -川本流周辺住民の陳述,別件訴訟の尋問における供述及び証言並びに写真(甲71,72,98,156,167,168)等に照らし,西除川放水路への放水時にも,西除川本流に通水されることがあったことは否定できない。 しかし,上記の事態が恒常的に繰り返され,運用上,そのような扱いになっていたことを認めるに足りる証拠はないし,本件河川整備計画の内容周知の不徹底,担当者の怠慢等の運用上の問題から,上記の事態が生じた可能性も否定できず,上記の事情をもって,直ちに,前記(a)の原告らの主張が裏付けられるものとも,前記(c)の認定が左右されるものともいうことはできない。 (e) 以上のとおり,前記(a)の原告らの主張は,採用することができない。本件において,前記aの認定(本件仮設河川通水管に十分な処理能力があること)を覆すに足りる証拠はない。 c 本件において,本件工事の際の本件仮設河川通水管の設置により,西除川について治水上の危険性が高まることを認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 雨水管についてa 上記(ア)c(c)のとおり,本件仮設雨水管は,既設雨水管に接続されるものであり,既設雨水管からの流入量(西除川本流の各既設雨水管について,10年確率降雨量48.4mm/時及び流出係数0.65を使用して,排水区域の面積等も考慮した上で算定した雨水流出量)について処理する能力を有している。また,本件仮設雨水管の下流側の出口には逆流防止弁を設置している。 b なお,原告らは,48.4mm/時程度の大雨は数年に1回の割合で降っており, た雨水流出量)について処理する能力を有している。また,本件仮設雨水管の下流側の出口には逆流防止弁を設置している。 b なお,原告らは,48.4mm/時程度の大雨は数年に1回の割合で降っており,被告が提出する流域ごとの雨水流入量に関する書面(乙60)を前提としても,浅香川合流前の西除川本流へ流れる雨量は6. - 68 -0㎥/秒であるところ,本件仮設雨水管は最大3.199㎥/秒しか処理できない旨主張する。 確かに,上記(ア)eのとおり,昭和51年から平成23年6月までの間に,市内での最大1時間降水量が48.4mmを超えたことは5回ある。 しかし,本件仮設雨水管は,西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間の復元に伴い,撤去されるものであり(上記(ア)f),本件工事は,平成21年5月に着工され,平成25年2月時点で,常磐西ランプが平成30年3月末の完成を予定され(前記第2の2(2)イ),その頃には復元工事も完了するものと推測されることからすれば,10年確率降雨量(48.4mm/時)以上の降雨量を想定すべき現実的必要性は必ずしも高くない。また,上記(ア)c(e)のとおり,本件工事において,本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管を敷設して埋め立てる際には,貯水池を確保し,掘削,土留支保工の際には,掘削した空間が貯水機能を果たし得るものであり(なお,本件工事の河川防災計画書には,河川通水管及び雨水管の敷設後は,工事範囲内に流入する水は全て埋設鋼管内を経由して下流側に流下する計画となっている旨の記載があることや,Hの担当者が,周辺住民の上記貯水に関する問い合わせに対し,特段の措置は講じない旨回答したこと等に照らすと,市らは,掘削した空間を積極的に貯水のために使用するとは認められないものの,掘削した空間 ,Hの担当者が,周辺住民の上記貯水に関する問い合わせに対し,特段の措置は講じない旨回答したこと等に照らすと,市らは,掘削した空間を積極的に貯水のために使用するとは認められないものの,掘削した空間に貯水することが可能であることには変わりはない。),本件工事前は既設雨水管で処理しきれなかった雨水が西除川本流に流れ込んでいたとしても,本件工事の開始後は,その流入分は,上記貯水池や貯水機能によって対応される余地もある。なお,本件仮設雨水管は既設雨水管に接続するものであるから,既設雨水管の処理能力に限界がある以上,本件仮 - 69 -設雨水管の処理能力を増強したからといって,全体として雨水管の処理能力が上がるものではない。 以上の諸事情に照らせば,原告らが主張する上記各事情が,本件仮設雨水管の処理能力に問題があること,さらには,本件工事によって治水上の危険が生ずることを直ちに基礎付けるものということはできない。 c また,原告らは,上記流出係数(0.65)について,本件工事区間のような市街化が進んだ地域で用いるのは不適切である旨主張する。 確かに,証拠(甲105)によれば,流出雨水量の最大値を算定する際に用いる土地利用形態ごとの流出係数を定める告示(平成16年国土交通省告示第521号)においては,特定都市河川浸水被害対策法2条9項の「宅地等」に該当する土地のうち,宅地についての流出係数が0.90と定められていることが認められる。 しかし,特定都市河川浸水被害対策法は,都市部を流れる河川の流域において,著しい浸水被害が発生し,又はそのおそれがあり,かつ,河道等の整備による浸水被害の防止が市街化の進展により困難な地域について,浸水被害から国民の生命,身体又は財産を保護するため,当該河川及び地域をそれぞれ特定都市河川及 ,又はそのおそれがあり,かつ,河道等の整備による浸水被害の防止が市街化の進展により困難な地域について,浸水被害から国民の生命,身体又は財産を保護するため,当該河川及び地域をそれぞれ特定都市河川及び特定都市河川流域として指定し,浸水被害対策の総合的な推進のための流域水害対策計画の策定等の措置を定めることにより,特定都市河川流域における浸水被害の防止のための対策の推進を図ることを目的とするものである(同法1条)。そして,上記告示で定められる流出係数は,同法との関係で用いられることとされたものであって,一般的な公共下水道事業計画等に用いられるものではないところ,大和川や西除川が上記特定都市河川に指定されたり,本件工事区間が特定都市河川流域に含まれる - 70 -ことをうかがわせる証拠はない。 そして,「建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編」に示される流出係数の標準値を使用して,現状の土地利用を前提とした流出係数を算定した結果,西除川本流右岸平均0.64,西除川本流左岸平均0.54であったのであり,被告が使用した流出係数0.65は,上記算定結果に照らしても,不合理なものとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 d 以上のとおり,原告らの主張はいずれも採用することはできず,本件において,本件仮設雨水管の設置により,西除川について治水上の危険性が高まることを認めるに足りる証拠はない。 (エ) 河川通水管及び雨水管の地震による倒壊の危険について原告らは,開削工事期間中,本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管は宙づりにされることから,地震等の際に損壊する危険がある旨主張する。 しかし,原告らの上記主張は抽象的なおそれを述べるものにすぎず,具体的な根拠を欠く。 河川通水管及び雨 件仮設雨水管は宙づりにされることから,地震等の際に損壊する危険がある旨主張する。 しかし,原告らの上記主張は抽象的なおそれを述べるものにすぎず,具体的な根拠を欠く。 河川通水管及び雨水管に対するつり防護による設置方法は,北海道や神奈川県でも採用実績がある(上記(ア)c(d))。また,本件仮設通水管や本件仮設雨水管のように,つり防護がされた埋設管は,振れ止めにより,その振れ幅が抑制されるため,地中の仮設構造物とほぼ同じ動きをすることになり,地震等の影響による埋設管の損傷も防止されるものであり,仮設構造物の安全性が確認されれば,当該仮設構造物と一体となって動く埋設管も安全と評価することができるところ,後記ウのとおり,本件工事区間の仮設構造物について大震災による危険が発生するとはいえない以上,本件仮設河川通水管及び本件仮設雨水管についても大震災による危険が発生するとはいえない。さらに,本件においては,計算上 - 71 -も河川通水管及び雨水管の安全性が確認されている(上記(ア)c(d))。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 (オ) 本件工事後の復元計画について上記(ア)fのとおり,大阪府は,西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間について,本件工事前と比べて若干川幅を狭くするものの,10㎥/秒の洪水を安全に流下させる能力は確保し,また,本件工事後,西除川本流側に新たに従来の函渠と同じ大きさの函渠を設けて西除川に通水するようにし,さらに,上記の区間に整備する堤防については,西除川本流と大和川との合流地点からの背水の影響を考慮して,その合流地点の計画高水位(O.P.+9.947)より1.5mの余裕高をもって設置することを予定している。 上記の10㎥/秒という は,西除川本流と大和川との合流地点からの背水の影響を考慮して,その合流地点の計画高水位(O.P.+9.947)より1.5mの余裕高をもって設置することを予定している。 上記の10㎥/秒という水量は,当該区間に雨水が直接流れ込む流域を対象に100年に一度程度発生する大雨を対象に流出解析を行い,その計算結果の6㎥/秒を5㎥単位で切り上げたものであること,西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間には,西除川本流と大和川との合流地点の計画高水位(O.P.+9.947)より1.5mの余裕高をもって堤防を設置すること等を考慮すると,西除川本流について,上記の復元により直ちに治水上の危険が高まるということはできない。本件において,本件工事の復元計画の内容が治水上の危険を増加させることを認めるに足りる証拠はない。 (カ) 以上のとおり,本件工事により,その工事期間中や竣工後,本件工事前に比して治水上の危険が高まることを認めるに足りる証拠はない。 イ騒音,振動,地盤沈下等について(ア) 各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 本件工事の対象地の周囲に,騒音振動計が5か所設置された。(乙 - 72 -95)b 本件工事に係る作業は,大阪府生活環境の保全等に関する条例にいう特定建設作業に該当し,同条例による規制基準値は,特定建設作業騒音基準値が85db,特定建設作業振動基準値が75dbであったところ,上記aの騒音振動計のうちの一つの測定結果は,以下のとおりであり,その他の騒音振動計でも,上記規制基準値を超える騒音,振動は検知されなかった。(各項末尾記載の証拠のほか,乙22の4,39の1,116,弁論の全趣旨)(a) 平成23年9月から同年11月までの間は,構造物撤去工事 でも,上記規制基準値を超える騒音,振動は検知されなかった。(各項末尾記載の証拠のほか,乙22の4,39の1,116,弁論の全趣旨)(a) 平成23年9月から同年11月までの間は,構造物撤去工事,中間杭工事,土留工事等が行われたが,この期間の騒音は,工事が終日行われなかった日で日平均値73.1db~75.4db,工事日の作業中(ただし,昼を除く。)の日平均値はおおむね75db前後で最大約78dbであり,いずれも上記規制基準値の範囲内であった。同じ期間の振動は,工事が終日行われなかった日で日平均値34.0db~34.8db,工事日の作業中(ただし,昼を除く。)の日平均値はおおむね35db~40dbの範囲内であり,いずれも上記規制基準値の範囲内であった。(乙37)(b) 上記(a)の期間のうち,周辺住民から騒音や振動が大きいと苦情があった日については,騒音の測定値は,最大値でおおむね75db~80dbの範囲内であり,振動の測定値は,最大値でおおむね40db~45dbの範囲内であって,いずれも上記規制基準値の範囲内であった。(乙38)(c) 平成24年8月及び同年9月は,構造物撤去工事,中間杭工事,土留工事等が行われたが,この期間の騒音は,工事が終日行われなかった日で日平均値67.8db~68.2db,工事日の作業中(ただし,昼を除く。)の日平均値はおおむね70db~75db - 73 -の範囲内であり,いずれも上記規制基準値の範囲内であった。同じ期間の振動は,工事が終日行われなかった日で日平均値28.5db~29.0db,工事日の作業中(ただし,昼を除く。)の日平均値はおおむね30db~37dbの範囲内であり,いずれも上記規制基準値の範囲内であった。(乙103)c 市らは,本件工事における騒音,振動対策として,①低 日の作業中(ただし,昼を除く。)の日平均値はおおむね30db~37dbの範囲内であり,いずれも上記規制基準値の範囲内であった。(乙103)c 市らは,本件工事における騒音,振動対策として,①低騒音,低振動型機械の採用,②覆工板上の工事用道路のアスファルト舗装,③所員,作業員に対する騒音振動防止啓発のための電光表示板の設置,④防音シート,移動式防音パネル及び吸音型遮音パネルの設置,⑤建設機械の発電機を本体から分離して遮音パネルの中に格納すること等の対策を実施している。(甲8,乙14の2,16,18,21,22の3・9,36,44,45,48)d 当初,本件工事の作業時間は,午前8時から午後6時までとされ,日曜,祝日は休日(ただし音の出ない軽作業は除く。)とされた。しかし,市らは,工事期間の短縮を図るため,平成25年9月頃から,地下における比較的発生音の低い作業に限り,午後8時まで延長して作業を行うこととし,その頃,周辺住民に通知した。そして,市らは,更なる工事期間の短縮を図るため,同年12月の調査を経て,平成26年1月27日から,地下における比較的発生音の少ない作業に限り,午後8時以降午前8時まで延長して24時間作業を行うこととし,その頃,周辺住民に通知した。(甲196~199,乙14の2,15の2,16,17の2,18,21,22の8)e 市らは,本件工事に際し,地盤の強さ等を調べるための土質調査(ボーリング)等を行った。また,第2期工事で土留壁を設置した後に行う掘削工事においては,深さ約3mごとに切梁という突っ張りを入れながら掘削を行っており,切梁にはあらかじめ土留壁方向に力をかけ, - 74 -土留壁の変形を押さえる措置を取っている。その他,市らは,切梁にあらかじめかけた力を計測機器により常時測定して,異常な ら掘削を行っており,切梁にはあらかじめ土留壁方向に力をかけ, - 74 -土留壁の変形を押さえる措置を取っている。その他,市らは,切梁にあらかじめかけた力を計測機器により常時測定して,異常な力を監視するなど,地盤沈下の解析と計測を行っており,平成26年2月までに,上記計測機器において,異常な力の発生は検知されていない。(乙14の2,16,18,49,116)(イ) 騒音,振動等について確かに,証拠(甲53,55~57,63~65,70,73,74,76~83,86,156~158,167~169,186)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事によって,騒音,振動,砂塵及び悪臭が発生していることが認められるのであって,本件工事に伴い,周辺住民が一定の負担を強いられていることは否定できない。 しかし,前記認定のとおり,本件工事の対象地周辺に設置された騒音振動計によっても,大阪府生活環境の保全等に関する条例による規制基準値を超える騒音,振動は検知されていないこと,市らが本件工事における一定の騒音,振動対策を実施していること,当初,本件工事の作業時間は,午前8時から午後6時までとされ,日曜,祝日は原則として休日とされており,その後,工事期間の短縮を図るため,延長して作業をすることはあったが,地下における比較的発生音の少ない作業に限っていたこと等の事情に照らせば,前掲各証拠をもって,本件工事によって発生する騒音,振動について,周辺住民において社会生活上受忍すべき限度を超えるものであるとまでは即断できず,他にその騒音,振動の発生が,受忍限度を超えることを認めるに足りる証拠はない。また,砂塵や悪臭についても,前掲各証拠をもってしては,その程度,発生頻度等の具体的な状況が明らかではなく,周辺住民が社会生活上受忍すべき限度を超えるもので を超えることを認めるに足りる証拠はない。また,砂塵や悪臭についても,前掲各証拠をもってしては,その程度,発生頻度等の具体的な状況が明らかではなく,周辺住民が社会生活上受忍すべき限度を超えるものであるとまでは認められず,他にその砂塵,悪臭の発生が受忍限度を超えることを認めるに足りる証拠はない。 - 75 -なお,証拠(甲55,63,158,166の1・2,169)及び弁論の全趣旨によれば,周辺住民の中に,本件工事期間中,聴力が低下した者がいることが認められるが,本件工事と上記聴力の低下との間の因果関係を認めるに足りる証拠はない。また,証拠(甲55,56,70,169)によれば,原告Qら周辺住民の家屋のモルタルが割れたり,壁の一部が落下したりしたことが認められるが,いずれも経年による可能性も否定できず,本件工事との間の因果関係を認めるに足りる証拠はない。 また,原告らは,本件工事により,75db以上の騒音が生じ,時には,80dbに達しており,これは,騒音に係る規制基準(大阪府生活環境の保全等に関する条例施行規則54条,市の騒音規制法に基づく指定地域の騒音規制基準〔堺市平成8年告示第16号〕)を優に超えるものであり,特定建設作業に伴う騒音についての別途の規制基準に係る基準値を超えていないから騒音を生じさせてものよいというものではない旨主張する。しかし,本件工事により,75db以上,時には,80dbに達する騒音が発生したことがあるからといって,そのような事情から,直ちに,本件工事による騒音発生が受忍限度を超え,本件工事の実施自体の違法性を基礎付けるものとまではいえない(なお,証拠〔乙38,103〕からうかがわれる騒音のレベル,発生の頻度,継続時間をもって,本件工事により発生する騒音が受忍限度を超え,工事の実施が違法となるも 法性を基礎付けるものとまではいえない(なお,証拠〔乙38,103〕からうかがわれる騒音のレベル,発生の頻度,継続時間をもって,本件工事により発生する騒音が受忍限度を超え,工事の実施が違法となるものとまでは認められない。)。 (ウ) 地盤沈下について原告らは,本件工事により周辺土地に地盤沈下を引き起こす可能性が高い旨主張し,Oが作成した「阪神高速道路大和川線常磐工区に関する予備調査報告書」(甲18)には,本件工事区間の周辺土地について地盤沈下が起こる旨の記載がある。しかし,上記報告書は,本件工事区間 - 76 -の周辺土地のボーリング調査等を行って作成したものではなく,一般的,抽象的な危険性を指摘するにとどまるものであり,市らが,本件工事に際し,地盤の強さ等を調べるための土質調査(ボーリング)等を行ったこと,地盤沈下のための措置を講じた上,地盤沈下の解析と計測を行い,平成26年2月までに異常は検知されていないことにも照らせば,上記報告書の記載は直ちに採用することができない。その他,本件工事によって地盤沈下が発生する可能性が高いことを認めるに足りる証拠はない。 ウ大震災による地下構造物の損壊等に伴う危険の発生について(ア) 各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 地中構造物は,地震の際,地盤と同じように動くため,地上構造物と比較して耐震性に優れているとされている。特に,地中構造物の中でも本件工事で設置するような土留等の仮設構造物は,一般的に軽く柔軟な構造であることから,永久構造物と比較して,特に耐震性に優れているとともに,設置期間が短いため,地震に遭遇する確率が低いとされている。このような理由から,社団法人日本道路協会が平成11年3月に作成した「道路土工仮設構造物工指針」,東日本 特に耐震性に優れているとともに,設置期間が短いため,地震に遭遇する確率が低いとされている。このような理由から,社団法人日本道路協会が平成11年3月に作成した「道路土工仮設構造物工指針」,東日本旅客鉄道株式会社が平成16年12月に作成した「設計マニュアルⅦ仮設構造物編桁架設設計マニュアル」及び土木学会が作成した「トンネル標準示方書開削工法・同解説」において,一般に,地中の仮設構造物である掘削土留工については,耐震検討を実施することは不要であるとされている。実際にも,本件工事の現場のような地中の仮設構造物について,阪神大震災及び東日本大震災でも特に被害が生じたとの報告はない。(乙51,53)b 本件工事における地中の仮設構造物(以下「本件仮設構造物」とい - 77 -う。)では,周辺住民の要望を受けて,市らは,耐震補強(切梁の接合部に火打ちを設置)を行い,耐震検討を行った。すなわち,本件仮設構造物に対し,レベル2地震(阪神大震災のような大きな強度の地震)の地震動を軽減せずにそのまま作用させ,道路橋示方書等で通常求められる基準値(塑性限界)よりも厳しい基準値(弾性限界)を充足するかを調べ,これを充足するものとして,その安全性を確認した。 (乙51~53)c クレーンについて,本件工事では,TRD工法(ソイルセメント地中連続壁工法)が採用された。TRD工法は,従来工法と比べて,使用される機械の高さが低く,掘る部分も常に地中に入っていることから,安全性が高い。 (甲8,乙18,19,22の10,40,46,47,57,116)(イ) そもそも,大震災による地下構造物の損壊等に伴う危険の発生についての原告らの主張は,抽象的なおそれを述べるにすぎない。 また,上記(ア)a,bのとおり,地中の仮設構造物については,耐 (イ) そもそも,大震災による地下構造物の損壊等に伴う危険の発生についての原告らの主張は,抽象的なおそれを述べるにすぎない。 また,上記(ア)a,bのとおり,地中の仮設構造物については,耐震性に優れており,地中の仮設構造物である掘削土留工については,一般に耐震検討を実施することは不要であるとされていること,実際にも,本件工事の現場のような地中の仮設構造物について,近時の大震災でも特に被害が生じたとの報告はないこと,本件仮設構造物について耐震検討を行った結果,安全性が確認されたこと等に照らすと,本件仮設構造物については,大震災により倒壊し,周辺に被害を及ぼす危険があるものとは容易に認め難い。 また,クレーンについても,上記(ア)cのとおり,本件工事で採用されたTRD工法の安全性が高いことから,大震災により転倒し,周辺に被害を及ぼす危険があるものとは容易に認め難い。 - 78 -その他,本件工事に際し,大震災による地下構造物の損壊等に伴う危険が発生すると認めるに足りる証拠はない。 エ交通上の支障等について(ア) 各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 本件工事区間には東西に市道常磐黒土線が通っている。 当初の計画では,本件工事のうち,土留施工時並びに覆工板の設置及び撤去時に,市道常磐黒土線を本件工事の敷地内に新設する迂回道路に切り替え,市道常磐黒土線の北側の歩道のみを通行できるようにする予定であった。 しかし,市らは,その後,後記(4)イ(イ)のとおり,工事方法を変更して,本線及び常磐西入口ランプの施工を先行し,その後に常磐西出口ランプの施工を行うことを内容とする段階施工を行うこととし,第1段階(本線及び常磐西入口ランプ)の施工時に,一部を除き,市道常磐黒 して,本線及び常磐西入口ランプの施工を先行し,その後に常磐西出口ランプの施工を行うことを内容とする段階施工を行うこととし,第1段階(本線及び常磐西入口ランプ)の施工時に,一部を除き,市道常磐黒土線の北側の道路を1車線分,市道常磐黒土線の北側の住民のための生活道路として確保できることとなった。 (甲138,141の1・3,乙14の2,16,18,19,22の10,23の2,58,59)b また,本件工事区間の付近に,一般車両の案内,誘導のため,複数の交通誘導員を24時間態勢で配置している。(乙14の2,16,18,102)c 市消防局は,本件工事が行われていることは把握し,迂回路の変更があるたびに状況報告を受けるなどして迂回路についても把握した上,これを市内各消防署に周知させている。 市消防局は,平成24年11月15日午後10時24分,本件工事区間付近の住宅で傷病者が発生した旨の電話連絡を受け,救急隊は, - 79 -その地理的な知見に基づいて迂回路を使用し,連絡を受けてから9分17秒,出場してから7分41秒で現場に到着した。平成24年度の出場から現場到着までの平均所要時間は7分31秒であった。 (乙63の1・2)(イ) このように,本件工事に伴い,本件工事区間を走る市道常磐黒土線のうちの1車線が閉鎖され,迂回道路が新設されるのであるから,周辺住民に通行上の支障が全く生じないとはいえない。 しかし,工事方法の変更により,市道常磐黒土線の北側の道路を1車線分,生活道路として確保できるようになったこと,一般車両の案内,誘導のため複数の交通誘導員を24時間態勢で配置していること,市消防局は迂回路についても把握しており,実際の出動事例において迂回路を使用した救急隊の到着が他と比べて特に時間を要したとはいえな 案内,誘導のため複数の交通誘導員を24時間態勢で配置していること,市消防局は迂回路についても把握しており,実際の出動事例において迂回路を使用した救急隊の到着が他と比べて特に時間を要したとはいえなかったこと等の事情に鑑みれば,本件工事によって,周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超えるような通行上の支障が生じたり,交通上の支障に関し,周辺住民の生命,身体に危険が及ぶものとは容易に認め難い。 オ開通後の環境への影響について上記ア(ア)fのとおり,西除川本流のうち,常磐樋門から浅香川との合流地点の手前までの区間については,復元される予定であるし,証拠(乙93,94,96の1~5,114)及び弁論の全趣旨によれば,上記区間について,親水広場が設置され,西除川本流の南北両岸沿いに遊歩道が設けられる予定であることが認められる。 また,前記(1)カ(カ)のとおり,常磐西ランプの設置によって,府道大阪高石線等の道路が混雑する可能性は否定できないものの,原告らの主張を前提としても,交通渋滞が発生しているのは一定の日の特定の車線に限られるものである。 そして,他に,本件工事による常磐西ランプ周辺での交通渋滞の悪化, - 80 -大気環境や騒音の悪化によって,周辺住民が社会生活上受忍すべき限度を超える損害を被ると認めるに足りる証拠はない。 カ(ア) なお,原告らは,以下の事故等の発生を指摘し,そのような事情に照らし,本件工事についても,周辺住民の健康・財産等を害する危険がある旨主張する。 a 平成22年10月29日,本件工事を行うθ地区の約2km西方にある堺市ηにおいて,南海本線の線路横の盛土が二度にわたり陥没するという事故が発生した。 b 市のλ地区においては,本件工事に先立って,開削工法により大和川線の設置工事が行わ 地区の約2km西方にある堺市ηにおいて,南海本線の線路横の盛土が二度にわたり陥没するという事故が発生した。 b 市のλ地区においては,本件工事に先立って,開削工法により大和川線の設置工事が行われているところ,既にλ地区の沿線住民に重大な騒音,振動被害が発生している。 c 秋田中央道路は,本件工事区間と同じく地下部分のある自動車専用道路であり,開削工法で道路を造る工事が行われたが,平成19年6月,沿線の各所において1688か所にも及ぶ補修を要する地盤沈下等の被害が生じた。 d 平成23年9月29日午後9時頃,大阪市μ付近の阪神高速道路淀川左岸線正蓮寺川西工区開削トンネル工事の建設現場において,開削トンネルの掘削用土留壁が延長約30mにわたって崩壊し,隣接する仮水路が損傷し,水が開削部に流れ込んで浸水するという事故が生じた。Cの説明によれば,正蓮寺川を陸地化した地盤を掘削中に土留壁の変状が生じ,隣接する仮水路からの水により掘削部が浸水したとのことであった。 e 平成25年12月19日,本件工事の行われている隣の工区である常磐東工区に関し,平成18年度に都市整備部(富田林土木事務所)が発注した「都市計画道路大和川線シールド区間詳細設計委託」契約において,当該入札参加資格者が過失により成果品を粗雑にしたた - 81 -め,安定化対策を含めた追加工事が必要となるとともに,その対策の検討のために平成24年8月から現場の工事を休止せざるを得なくなるなど,重大な結果を生じさせたことから,上記入札参加資格者の入札参加資格を停止したとの報道発表があった。 (イ) しかし,原告らが主張するように,他の工事又は本件工事区間以外の地域について,事故が発生したり,騒音,振動,地盤沈下等の被害が生じたりしたとしても,その発生原因や被害の程度 表があった。 (イ) しかし,原告らが主張するように,他の工事又は本件工事区間以外の地域について,事故が発生したり,騒音,振動,地盤沈下等の被害が生じたりしたとしても,その発生原因や被害の程度も必ずしも客観的に明らかではないし,それらと同様の事故や被害が本件工事においても相応の蓋然性をもって生ずるおそれがあることをうかがわせる事情を認めるに足りる証拠はなく,原告らが指摘する事故等の発生をもって,直ちに,本件工事についても,周辺住民の健康・財産等を害する危険があるということはできない(なお,上記(ア)b,d,eは阪神高速道路の設置に関する事故又は被害であるが,本件工事区間とは実際の施工業者,土地の性状等の条件が異なるのであるから〔弁論の全趣旨〕,やはり,上記(ア)b,d,eの事故又は被害があったとしても,そのことから直ちに,本件工事について,周辺住民の健康・財産等を害する危険があるということはできない。)。 キ以上のとおり,本件工事が周辺住民の健康・財産等を害する危険を有していることを認めるに足りる証拠はなく,本件工事の実施が違法であるとはいえず,不法行為を構成するものとも認められない。本件財務会計行為が,地方自治法1条の2第1項,2条14項,同条16項,地方財政法4条1項,災害対策基本法4条,5条及び8条1項に違反する違法なものとは認められない。 (4) 本件工事の工法の選択についてア原告らは,本件工事について,シールド工法により常磐西ランプを設置することは可能である旨主張する。 - 82 -イ各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 本件工事区間は,本線とランプとの分岐・合流部分を含むので,車線数が増減し,それに伴い,道路幅員が変化すること等から高速道路の構造物の形 び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 本件工事区間は,本線とランプとの分岐・合流部分を含むので,車線数が増減し,それに伴い,道路幅員が変化すること等から高速道路の構造物の形状や構造が複雑である。本件工事区間を全てシールド工法で行うならば,本線とランプとは分離した構造となることから,施工幅が開削工法と比較して広がり,土留壁又は遮水壁が周辺の住宅に近づくことになる。また,シールド工法の種類によっては,パイプルーフの施工等のために立坑が必要となり,完全な非開削による工事とはならない。 (乙22の3,23の2)(イ) 市らは,上記(ア)のような理由から,当初,本件工事について,本線,常磐西入口ランプ及び常磐西出口ランプの全てを開削工法で実施することとしていたが,周辺住民が生活道路への影響等の生活環境の悪化に対する懸念を示したため,平成21年11月,本件工事を中断し,第1段階として本線及び常磐西入口ランプの施工を先行して,その後に第2段階として常磐西出口ランプを施工することとして,平成23年1月,本件工事を再開した。そして,市らは,第2段階の工法を再検討した結果,第2段階の常磐西出口ランプの施工は,第1段階を施工した結果できた空間を利用して矩形シールド工法で施工することとした。矩形シールド工法で施工することにより,開削工法で施工するのに比べて,新たな土留工事をする必要がなく市道常磐黒土線を立坑部,シールド発進部等の特殊部を除いて2車線確保することができる上,基本的に地下での作業になるため工事による騒音,振動を軽減させることができるほか,第1段階の施工と並行して施工することができるために工期を短縮することができる。(甲141の1~3,163の1・2,乙22の3,57~59) - 83 -ウ常磐西ランプを設 できるほか,第1段階の施工と並行して施工することができるために工期を短縮することができる。(甲141の1~3,163の1・2,乙22の3,57~59) - 83 -ウ常磐西ランプを設置することは,本件都市計画決定において定められ,市の都市計画事業として行われているが(前記第2の2(2)ア),地方公共団体において都市計画事業として都市高速道路のランプを設置する上で,どのような工法を採用するかについては,当該工法による施工に要する費用,当該工法の技術的難易度,当該工法による施工が周辺住民の生活環境等に与える影響,工期の長さその他の諸般の事情を総合考慮することを要し,専門技術的な知識,経験や政策的,公益的考量を要することからすると,一般にそのような知識,経験を有し,政策的,公益的な判断について第1次的な責任を負う地方公共団体である施行者の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。したがって,本件工事においても,常磐西ランプ設置に係る工法の採用に関する市の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものと評価されるときでなければ,施工する工法の選択が地方自治法2条14項等に反し違法となるものではないと解するのが相当である。 そして,本件工事を全てシールド工法で行うならば,施工幅が開削工法と比較して広がり,土留壁又は遮水壁が周辺の住宅に近づくなど,開削工法と比べて周辺住民の負担の軽減にはならないこと,市らは,当初,本件工事について,全てを開削工法で実施することとしていたが,周辺住民の懸念を踏まえ,段階的に施工することとし,その一部を矩形シールド工法で施工し,全て開削工法による場合と比べて周辺住民の負担を軽減させ,工期を短縮することができること等の諸事情に鑑みれば,本件工事を開削工法と矩形シールド工法の段階的 とし,その一部を矩形シールド工法で施工し,全て開削工法による場合と比べて周辺住民の負担を軽減させ,工期を短縮することができること等の諸事情に鑑みれば,本件工事を開削工法と矩形シールド工法の段階的施工によるとした市の判断がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであったということはできない。 本件財務会計行為が,本件工事の工法選択との関係で,何らかの違法を有するものとは考えられない。 エなお,原告らは,本件工事は,H&Vシールド工法等,他のシールド工 - 84 -法によって,全て非開削工事で行うことができる旨主張する。 しかし,仮に非開削のシールド工法が存在し,一般的に同工法による非開削工事が可能であるとしても,そのことから直ちに本件工事についても非開削のシールド工法で実施することができるとは限らないし,本件工事区間について,被告が選択した工法よりも周辺住民の負担を軽減することができるような,非開削のシールド工法によって常磐西ランプの設置が技術的に可能であることをうかがわせる的確な証拠もない本件においては,原告らの上記主張は,直ちに採用することができない。 (5) 河川法等との関係についてア河川法には,以下の定めがある。 (ア) 河川及び河川管理施設a 同法3条1項は,同法において「河川」とは,一級河川(同法4条1項)及び二級河川(同法5条1項)をいい,これらの河川に係る河川管理施設を含むものとする旨定めている。 なお,西除川は一級河川であり,大阪府知事が河川管理者(同法7条)である。(甲188,乙115)b 同法3条2項は,同法において「河川管理施設」とは,ダム,堰,水門,堤防,護岸,床止め,樹林帯その他河川の流水によって生ずる公利を増進し,又は公害を除却し,若しくは軽減する効用を有する施設を b 同法3条2項は,同法において「河川管理施設」とは,ダム,堰,水門,堤防,護岸,床止め,樹林帯その他河川の流水によって生ずる公利を増進し,又は公害を除却し,若しくは軽減する効用を有する施設をいう旨定めている。 (イ) 河川工事同法8条は,同法において「河川工事」とは,河川の流水によって生ずる公利を増進し,又は公害を除却し,若しくは軽減するために河川について行なう工事をいう旨定めている。 (ウ) 河川管理者以外の者の施行する工事等同法20条本文は,河川管理者以外の者は,同法11条,16条の3 - 85 -第1項,17条1項及び18条の規定による場合のほか,あらかじめ,政令で定めるところにより河川管理者の承認を受けて,河川工事又は河川の維持を行うことができる旨定めている。 (エ) 土地の占用の許可同法24条は,河川区域内の土地(河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。)を占用しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない旨定めている。 (オ) 工作物の新築等の許可同法26条1項前段は,河川区域内の土地において工作物を新築し,改築し,又は除却しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない旨定めている。 (カ) 河川保全区域における行為の制限同法55条1項本文は,河川保全区域内において,土地の掘さく,盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為(1号)又は工作物の新築若しくは改築(2号)をしようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない旨定めている。 イ証拠(甲146)によれば,建設省河川局治水課長(当時。以下同じ。)は,平成6年9月22日 うとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない旨定めている。 イ証拠(甲146)によれば,建設省河川局治水課長(当時。以下同じ。)は,平成6年9月22日付けで,各道府県土木主管部長等宛てに,「工作物設置許可基準について」(建河治発第72号)を発した。その内容は,河川法26条1項に基づく許可に際して,工作物の設置位置等について河川管理上必要とされる一般的技術的基準として,工作物設置許可基準(本件設置許可基準)を定めたので,その運用については,本件設置許可基準が,工作物の設置位置等について河川管理上必要とされる一般的な技術基準を定めたものであり,各河川管理者は,地域の実情等に応じ,法令又は本件設置許可基準の主旨を逸脱しない範囲において本件設置許可基準を補 - 86 -充する基準を設け許可することも可能であること等に留意の上,遺漏のないようにされたい旨等を通達するものであった。 そして,証拠(甲146)によれば,本件設置許可基準には,以下の定めがあることが認められる。 (ア) 基本方針本件設置許可基準第3は,工作物の設置等の許可は,当該工作物の設置等が①当該工作物の機能上,河川区域に設ける以外に方法がない場合又は河川区域に設置することがやむを得ないと認められる場合(1号),②当該工作物の設置等により治水上又は利水上支障を生ずることがなく,かつ,他の工作物に悪影響を与えない場合(2号)等に該当し,かつ,必要やむを得ないと認められる場合に行うことを基本とする旨定めている。 (イ) 設置等の一般的基準本件設置許可基準第4は,工作物の設置等に当たっての一般的基準として,①工作物の設置に当たっては,地質的に安定した箇所を選定することを基本とすること(2号),②水門及び樋門,橋台等 一般的基準本件設置許可基準第4は,工作物の設置等に当たっての一般的基準として,①工作物の設置に当たっては,地質的に安定した箇所を選定することを基本とすること(2号),②水門及び樋門,橋台等その機能上やむを得ず計画堤防(計画横断形の堤防に係る部分をいう。以下,この基準において同じ。)内に設けることが必要となる工作物以外の工作物については,計画堤防内に設置しないことを基本とすること(4号),③河川の縦断方向に上空又は地下に設ける工作物は,設置がやむを得ないもので治水上支障のないものを除き設けないものとすること(6号)等と定めている。 (ウ) 河底横過トンネル本件設置許可基準第36は,河底横過トンネルの設置の基準として,河底横過トンネルの設置の方向は洪水時の流水の方向に対して直角を基本とする旨(1号①)等と定めている。 - 87 -ウ各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 市は,本件工事に関し,工事ヤード(ストックヤード,進入路等)の確保から西除川を現況復旧することが可能となる土留工までを行うため,平成20年9月18日付けで,河川法24条,26条1項及び55条1項に基づく許可の申請を行い,河川管理者である大阪府知事から委任された大阪府富田林土木事務所長は,平成21年5月26日,上記申請に対し,以下の条件を含む条件(以下「本件許可条件」という。)を付して許可(本件河川法許可)をした。(甲17の2)a 工事により,河川管理施設(護岸,防潮堤等)その他の工作物を損傷しないように注意すること。万一損傷したときは,直ちにその旨を大阪府富田林土木事務所長に届け出て,その指示に従い原状回復しなければならない(本件許可条件6条1号)。 b 平成21年5月25日付けで,大阪府富田林土 すること。万一損傷したときは,直ちにその旨を大阪府富田林土木事務所長に届け出て,その指示に従い原状回復しなければならない(本件許可条件6条1号)。 b 平成21年5月25日付けで,大阪府富田林土木事務所長と被告との間で締結した覚書の内容を遵守すること(本件許可条件30条)。 なお,上記覚書には,3条において,市は,大和川線に関する西除川検討会において合意された最終取りまとめに基づき,速やかに河川法20条の許可の申請を行うものとする旨の定めがある。 (イ) 市は,大和川線の建設に伴う西除川の整備工事を行うため,平成24年3月16日付けで,河川法20条本文に基づく承認の申請を行い,大阪府富田林土木事務所長は,同年8月30日付けで,上記申請に対し,工事の目的を護岸新築,河床掘削,矢板打設,護岸撤去のためとするなどの条件を付して承認した(以下「本件河川法20条承認」という。)。 (乙55の1・2,114)エ本件工事が本件河川整備計画に反するとの原告らの主張について前記(3)ア(イ)b(c)で説示したところに照らし,本件工事は,本件河川 - 88 -整備計画に反するものとは認められない。 オ本件河川法20条承認を受ける前に本件工事を行ったことについて(ア) 原告らは,市らが,本件河川法20条承認を受ける前に,西除川の主要な構成部分である護岸や河床を破壊し,掘削するとともに,西除川本流の水流を遮断し,河川通水管を埋設するなど,西除川の形状を完全に変更する工事をしたとして,この行為が河川法8条,20条,更にいえば同法全体に反し,違法である旨主張する(なお,被告は,原告らに河川法違反の主張をする適格がない旨主張するが,独自の見解に基づくものであって,採用することができない。)。 同法20条本文は,河川管理者以外の者 ,違法である旨主張する(なお,被告は,原告らに河川法違反の主張をする適格がない旨主張するが,独自の見解に基づくものであって,採用することができない。)。 同法20条本文は,河川管理者以外の者は,あらかじめ,河川管理者の承認を受けて,河川工事(河川の流水によって生ずる公利を増進し,又は公害を除却し,若しくは軽減するために河川について行なう工事)又は河川の維持を行うことができる旨定めている。これは,河川工事又は河川の維持は,本来河川管理者の権限に属する事項であるが,他の行政機関,公共団体又は私人が,自らの必要に基づき,又は河川管理に協力する立場から,河川工事又は河川の維持を行うことを希望した場合には,これを認めることが適当な場合もあるので,このような場合,河川管理者以外の者に河川管理者の承認を受けて河川工事及び河川の維持を行うことを認めたものというべきである。 このような同条本文の趣旨及び同法26条が河川区域内の土地において工作物を新築等しようとする者は河川管理者の許可を受けなければならない旨定めていることに鑑みれば,河川に道路構造物を設置すること自体は,同法20条本文に基づく承認を要する河川工事等に該当しないが,上記設置に伴い,堤防,護岸等の河川管理施設を損壊する場合は,あらかじめ同条本文に基づく承認を得て河川工事として河川管理施設を再び設置しなければならないと解すべきである。 - 89 -本件工事は,西除川下流の河川構造物を撤去して,開削工法によるトンネル構造で大和川線本線と常磐西ランプの分岐・合流部等を築造する工事であり(前記第2の2(2)イ),河川管理施設を損壊する場合に当たることは明らかであって,あらかじめ,西除川の河川管理施設を再び設置することにつき同条本文に基づく承認を得るべきである。 そう 事であり(前記第2の2(2)イ),河川管理施設を損壊する場合に当たることは明らかであって,あらかじめ,西除川の河川管理施設を再び設置することにつき同条本文に基づく承認を得るべきである。 そうであるところ,市は,西除川の河川管理施設を再び設置する前の(弁論の全趣旨)平成24年8月30日付けで,本件河川法20条承認を受けているのであり,本件河川法20条承認が違法とはいえないのであれば,上記河川管理施設の再設置は違法とはならないというべきである。 なお,市らは,本件河川法20条承認を受ける前に,河川管理施設を損壊しており(弁論の全趣旨),上記河川管理施設の損壊自体も河川法20条本文の河川工事に含まれると解した場合,上記河川管理施設の損壊行為は,あらかじめ河川管理者の承認を受けるとする同条本文に反することになるが,仮にそれが違法であったとしても,その後に受けた本件河川法20条承認が違法といえないのであれば,上記違法の瑕疵は治癒されるものと解すべきであり,後記カのとおり,本件河川法20条承認は違法なものとはいえないから,上記違法の瑕疵は治癒されるものと認められる。 (イ) また,原告らは,本件河川法許可に,河川管理施設(護岸,防潮堤等)を損傷してはならないという条件(本件許可条件6条1号)が付されていたにもかかわらず,市は,平成23年5月末までに,河川の主要な構成部分である護岸や河床を破壊し,掘削するとともに,西除川本流の水流を遮断し,河川通水管を埋設するなど,西除川の形状を完全に変更する工事をしたのであって,このような行為は本件河川法許可に反し,違法である旨主張する。しかし,本件許可条件6条1号は,同号中の「万 - 90 -一損傷したときは」との文言に照らし,本件工事の許可範囲外での河川管理施設(護岸,防潮堤等)その他 許可に反し,違法である旨主張する。しかし,本件許可条件6条1号は,同号中の「万 - 90 -一損傷したときは」との文言に照らし,本件工事の許可範囲外での河川管理施設(護岸,防潮堤等)その他の工作物の損傷を想定したものと解され,市がC等をして,西除川本流の河川構造物等を撤去したり,工事に必要な機材,土砂等を搬入したりさせていることは,本件工事の内容そのものであって,上記条件に違反するものではないというべきである。 そして,市が,本件工事の許可範囲外で河川管理施設その他の工作物を損傷したと認めるに足りる証拠はない。 カ本件河川法20条承認について原告らは,本件河川法20条承認は,本件河川整備計画を無視して西除川本流への流量配分をゼロとする前提に立って行われたものであって,違法である旨主張する。 しかし,河川法が,同法20条本文に基づく承認をするか否かについて河川管理者の判断を拘束するような判断基準を何ら定めていないこと,その判断には高度な専門的,技術的知見を要すること等を考慮すれば,河川管理者や河川管理者から同条本文に基づく承認に係る権限の行使について委任を受けた者(以下「河川管理者等」という。)は,その承認に関して,裁量権を有し,承認するか否かの判断は,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるような場合に限り,裁量権の範囲を超え又はその濫用があるものとして違法となるというべきである。 そして,前示のとおり,本件工事の実施が本件河川整備計画に反するものではなく,治水上の危険,親水環境の破壊をもたらすことを認めるに足りる証拠もないことから,本件河川法20条承認が,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず,裁量権の範囲を超え又はその濫用があるものとはいえない。 したがって, めるに足りる証拠もないことから,本件河川法20条承認が,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず,裁量権の範囲を超え又はその濫用があるものとはいえない。 したがって,本件河川法20条承認は違法とはいえない。 キ本件設置許可基準について - 91 -(ア) 原告らは,本件工事は,本件設置許可基準に反している旨主張する。 (イ) しかし,本件設置許可基準自体は行政機関の内部的な取扱指針であり,法的拘束力はないため,たとえ,本件工事が本件設置許可基準に反していたとしても,そのことをもって,本件工事が違法であると判断されるものではない。 (ウ) もっとも,本件河川法許可が河川法に反してされた場合,本件河川法許可に基づいて行う本件工事も違法となる余地はある。 しかし,河川管理者等は,同法26条1項に基づく許可をするか否かの判断についても,同法20条本文に基づく承認の場合と同様,裁量権を有し,その判断は,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるような場合に限り,裁量権の範囲を超え又はその濫用があるものとして違法となるというべきである。 なお,本件設置許可基準は,河川管理者等が同法26条1項に基づく許可をするか否かの判断に当たって考慮する事項を例示的に示したものであって,河川管理者等の上記裁量権を拘束するものではないというべきである。 (エ) そして,証拠(甲188,乙115のほか,各項末尾記載の証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 本件工事で設置する常磐西ランプの工作物は,河川区域内に設置するものであり,かつ,河川の地下でその縦断方向に設けるものである。 (乙114)b 大阪府富田林土木事務所長は,市による上記ウ(ア)の河川法26条1項に基づく許可の申請 作物は,河川区域内に設置するものであり,かつ,河川の地下でその縦断方向に設けるものである。 (乙114)b 大阪府富田林土木事務所長は,市による上記ウ(ア)の河川法26条1項に基づく許可の申請について,各項記載の理由により,以下の本件設置許可基準の各定めに適合し,当該申請は本件設置許可基準に反しないとして,河川法26条1項に基づく許可をした。(乙107の1・2) - 92 -(a) 本件設置許可基準第3第1号常磐西ランプの設置による沿道地域への影響の大きさ,周辺の土地利用状況,実現性,西除川の特殊性等を勘案すると,常磐西ランプに係る工作物を河川区域内に設置することはやむを得ない。 (b) 本件設置許可基準第3第2号西除川本流は,洪水時に西除川放水路の常磐堰が倒伏したときに常磐樋門を閉鎖することにより西除川本流への流入が0㎥/秒となるという特殊性を有した河川であることから,常磐西ランプの設置等による治水上の影響はない。 また,本件工事区間においては,上水用及び農業用水としての取水等がないため,利水上の影響はない。 さらに,常磐西ランプは西除川本流の河川構造物との十分な離隔があり,河川の維持管理上にも支障が生じるものではない。 (c) 本件設置許可基準第4第2号本件工事区間の周辺の地盤は砂れき層と粘性土層が相互に堆積している洪積層が分布しており,開削工事を行う区間については,事前に土質調査を行い,地質的に安定していることが確認されている。 また,本件工事においては,いったん西除川本流の堤防その他の河川構造物等を全て撤去して,開削工法により地下にトンネル(道路構造物)を設置し,良質土等の十分な強度を有する部材で埋め戻しを行う上に,土木構造物標準設計を用いて西除川本流の復元工事を行う。 の河川構造物等を全て撤去して,開削工法により地下にトンネル(道路構造物)を設置し,良質土等の十分な強度を有する部材で埋め戻しを行う上に,土木構造物標準設計を用いて西除川本流の復元工事を行う。 (d) 本件設置許可基準第4第4号常磐西出口ランプに係る施工部分は,西除川放水路の堤防との関係において,河川区域外であり,堤防に与える影響範囲から外れていることから,堤防の弱点部となるおそれはない。 - 93 -一方,西除川本流においては計画堤防内への道路構造物の設置となるが,上記(c)と同様の理由から,堤防の弱点部となるおそれはない。 (e) 本件設置許可基準第4第6号上記(a),(b)と同様の理由から,河川の縦断方向に地下に設ける常磐西ランプに係る工作物は,設置がやむを得ないもので治水上支障のないものである。 c 建設省河川局治水課長通達「堤内地の堤脚付近に設置する工作物の位置等について」(平成6年5月31日建設省河治発第40号)で示された判断基準に照らすと,常磐西ランプの工作物は,西除川放水路の堤防に与える影響の範囲外に設置されるものと評価される。(乙56,105)d 常磐西ランプの工作物のうち地下に設置する部分は,西除川本流の河川構造物と8m程度の離隔距離をもって設置される。(乙114)(オ) 前記認定のとおり,本件工事で設置する工作物は,河川区域内に設置するものであり,かつ,河川の地下でその縦断方向に設けるものである。しかし,西除川本流両岸には住居が建ち並んでいること(当事者間に争いがない。),西除川放水路の堤防に与える影響の範囲外に設置され,地下に設置する部分は,西除川本流の河川構造物と8m程度の離隔距離をもって設置されること,常磐堰が倒伏したときは,常磐樋門を閉鎖することとされ,これによ 放水路の堤防に与える影響の範囲外に設置され,地下に設置する部分は,西除川本流の河川構造物と8m程度の離隔距離をもって設置されること,常磐堰が倒伏したときは,常磐樋門を閉鎖することとされ,これにより,西除川上流から流れてきた水は全て西除川放水路を経由して大和川へ流れることとなること(前記(3)ア(ア)d),市らが,本件工事に際し,地盤の強さ等を調べるための土質調査(ボーリング)等を行ったこと(前記(3)イ(ア)e)等の事情を考慮すると,大阪府富田林土木事務所長が,本件設置許可基準との関係について,上記(エ)bのような見解に立って行った河川法26条1項に基づく許可 - 94 -が,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず,裁量権の範囲を超え又はその濫用があるものとはいえない(このことは,河川の地下でその縦断方向に道路を設置する事例が希有であるとしても異ならない。なお,証拠〔甲147〕によれば,本件設置許可基準第36は,施工方法がシールド工法及び推進工法の道路等の場合の基準であり,本件工事のような開削工法の場合の基準ではないものと認められる。)。 したがって,本件河川法許可のうち,河川法26条に基づく許可は違法とはいえない。 その他,本件河川法許可が,河川法に反してされたことをうかがわせる証拠はない。 クこのように,本件財務会計行為は,河川法及び本件河川法許可等との関係でも,違法とはいえない。 (6) まとめ以上のとおり,本件財務会計行為は違法とは認められず,その余の点について判断するまでもなく,本件1号請求及び被告がBに対して損害賠償請求をするよう求める請求は,いずれも理由がない。 3 結論以上によれば,本件訴えのうち被告がAに対して損害賠償請求をするよう求める部分は不適法なのでこれ 件1号請求及び被告がBに対して損害賠償請求をするよう求める請求は,いずれも理由がない。 3 結論以上によれば,本件訴えのうち被告がAに対して損害賠償請求をするよう求める部分は不適法なのでこれを却下し,原告らのその余の請求はいずれも理由がないのでこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西田隆裕 - 95 - 裁判官斗谷匡志 裁判官狹間巨勝 - 96 -別紙2工事目録 堺市が事業者として,平成19年5月2日付け「大阪府道高速大和川線の建設にかかる工事に関する基本協定」に基づきC株式会社に工事を委託している,大阪府道高速大和川線の建設に係る本線及び常磐西ランプ建設工事一式のうち,以下の工事内容常磐工区開削トンネル工事(常磐西ランプ建設工事を含む別添図1及び2〔各図面中の「甲」は「堺市」を,「乙」は「C株式会社」を指す。〕の赤色部分の工事)位置別添図2上のア点(堺市γ先)とイ点(府道大阪高石線〔通称ときはま線〕との接続地点)とを結ぶ赤色部分延長ランプ部分を含め約0.8km

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