平成22(ワ)39627

裁判年月日・裁判所
平成26年3月26日 東京地方裁判所
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判決文本文26,747 文字)

- 1 -平成26年3月26日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成22年(ワ)第39627号標章使用差止等請求事件口頭弁論終結日平成26年1月17日判決スイス連邦ヴァンドゥーヴル<以下略>原告X訴訟代理人弁護士佐藤雅巳 同 古木睦美 東京都世田谷区<以下略>被告株式会社ヌーヴェルヴァーグジャポン 訴訟代理人弁護士田久保 尚 武 主文 1 被告は,原告に対し,2322万1093円及びうち2240万6320円に対する平成22年4月23日から支払済みまで年6分の割合による,うち81万4773円に対する平成22年11月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 5 原告につき,この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 被告は,原告に対し,2648万0189円及びうち2240万6320円に対する平成22年4月23日から支払済みまで年6分の割合による,うち - 2 -407万3869円に対する平成22年4月23日から支払済みまで年 189円及びうち2240万6320円に対する平成22年4月23日から支払済みまで年6分の割合による,うち - 2 -407万3869円に対する平成22年4月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,原被告間の平成12年12月14日付け契約(原文は英語,表題は「AGREEMENT」。以下「本件契約」という。)に基づき,被告は本件契約第1条に定義される「X1商標」の独占的使用を許諾されていたが,被告によるロイヤルティの支払遅滞を理由に本件契約を平成22年2月1日に解除したとして,被告の本件契約の債務不履行に基づき,平成22年1月分までの未払ロイヤルティ2240万6320円及び本件契約10条d違反に基づく損害として平成22年2月分のロイヤルティ相当額407万3869円の合計2648万0189円及びこれに対する被告へのロイヤルティ等支払催告書面の到達後相当期間を経過した平成22年4月23日からの遅延損害金(平成22年1月分までの未払ロイヤルティ2240万6320円については商事法定利率による年6分の割合による,本件契約第10条d違反に基づく同年2月分のロイヤルティ相当額407万3869円については民法所定の年5分の割合による)の支払を求めた事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨より容易に認められる事実)(1) 当事者ら原告は,昭和17年(1942年)3月3日生まれのスイス国在住のフランス人であり,「X2」の名称で活動していたヘアデザイナーである。 被告は,平成7年7月7日に設立され,肩書地に本店を置く,美容室の経営等を目的とする株式会社である。 (2) 原 住のフランス人であり,「X2」の名称で活動していたヘアデザイナーである。 被告は,平成7年7月7日に設立され,肩書地に本店を置く,美容室の経営等を目的とする株式会社である。 (2) 原告の有する商標権原告は,わが国において,別紙商標権目録記載1ないし7の商標権(以下 - 3 -「本件商標」という。)を有している。 (3) 本件契約原告と被告は,平成12年12月14日付けで,本件契約を締結した。その内容は,以下のとおりである。〔甲8。本件契約においては,原告を「X1」,被告を「ライセンシー」と表記することとされている。内容は提出された訳文による。なお,訳文の正確性については当事者間に争いがない。〕「前文『X1』は,長年にわたりヘアドレッシングビューティーサロンを運営し,貴重なテクニカルノウハウを取得している。 …『ライセンシー』は,『X1』から,以下に規定するように日本において自ら及び『フランチャイズサロン』(注.複数)を通じてヘアドレッシングビューティーサロンを運営する目的のため,以下に定義する『X1ノウハウ』はもとより『X1商標』を使用する権利を『X1』から得ることを望んでいる。 両当事者は,『X1商標』の下で運営されるサロンが『X1』のノウハウ及び品質のスペックを満たすことを保証するため,トレーニングセッションを遂行することが不可欠であると看做している。 両当事者は,本契約は,5年間続いた従前の契約を引継ぐものであり,当該契約に基づき『ライセンシー』がライセンスを活用するための条件について充分な知識を得たことを宣言する。」「第1条定義a.『X1商標』とは,(ⅰ) 『X1』の名で日本で登録され将来登録される商標及び役務商標をいう。 活用するための条件について充分な知識を得たことを宣言する。」「第1条定義a.『X1商標』とは,(ⅰ) 『X1』の名で日本で登録され将来登録される商標及び役務商標をいう。 - 4 -(ⅱ) 『X1』のその他の名前又はロゴ(ⅲ) 『X2』の名前をいう。 b.『X1ノウハウ』とは,(1) 『X1』のヘアドレッシングのテクニック及びノウハウを言い,『X1』スタジオのノウハウを含むが『X1』スタジオのノウハウに限るものではない(2) 『直営サロン』(注.複数)ビジネス及び『フランチャイズサロン』ビジネスを運営するための情報及びノウハウ(3) 『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』用のデザインコンセプト(4) 『トレーニングサロン』(注.複数)を運営するためのコンセプト及びノウハウ及び(5) 上記(1)ないし(4)に関する如何なる資料,文書,スペック及びスチール写真(上記(1)ないし(4)に関する如何なるフィルム又はビデオテープも『X1』が選任した会社が作成するものとすること,及び,『ライセンシー』は当該会社に直接連絡を取ること,が了解されている)をいう。 c.『直営サロン』とは,『ライセンシー』又は『ライセンシー』が100%所有し支配する会社が直接経営する美容サロンをいう。 d.『フランチャイズサロン』とは,『X1』のコンセプト及びスペックに従って資格のある『ライセンシー』のフランチャイズヘアドレッサーにより運営される資格のある美容サロンをいう。 - 5 -e.『トレーニングサロン』とは,『ライセンシー』により『X1』のコンセプトに合致した方法で人員のトレーニングをするために運営するサロンをいう。 f.『広告エージェンシー』とは - 5 -e.『トレーニングサロン』とは,『ライセンシー』により『X1』のコンセプトに合致した方法で人員のトレーニングをするために運営するサロンをいう。 f.『広告エージェンシー』とは,ビューティー及びファッションビジネスに通じたエージェンシーをいう。」「第2条独占的ライセンス『X1』は,『ライセンシー』に,本契約の条項に従い,『X1商標』及び『X1ノウハウ』を『直営サロン』,『トレーニングサロン』及び『フランチャイズサロン』を日本で本契約に従い運営する目的のみのため使用する独占的権利を許諾する。」「第3条援助及びノウハウa.『X1』は,『X1ノウハウ』を独占的に『ライセンシー』に提供し,『ライセンシー』の事前の同意なしに直接又は間接に日本においてヘアサロンで使用するため『X1ノウハウ』に関する如何なる資料,文書,スペック,フィルム又は同種のものを出版し又は配布してはならない。 b.『X1』は,少なくとも年1回,助言,相談及び『ライセンシー』との協力のため,『X1』自身の費用で,日本を訪れることに同意する。但し,『ライセンシー』は『X1』の以下の実費を負担する。即ち,パリ-東京-パリの航空運賃(ファーストクラス)並びに『X1』が日本滞在中に負担した五ツ星ホテルへの滞在費を含む本契約に関する一切の費用。 毎年1月終り迄に,『X1』及び『ライセンシー』は,パリで会議し,『X1』の訪日の計画を共に決定する。『ライセンシー』は,当該会議のため,同年の広告キャンペーンの計画書を持参する。 - 6 -c.『X1』の訪日の折,『ライセンシー』は,『広告エージェンシー』を含め両当事者が善意で合意する方法で『X1』についてのプロフェッショナルデ 持参する。 - 6 -c.『X1』の訪日の折,『ライセンシー』は,『広告エージェンシー』を含め両当事者が善意で合意する方法で『X1』についてのプロフェッショナルデモンストレーションショー(注.複数)をジャーナリスト(注.複数)の出席の下,開催するものとし,『X1』は,『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』の所有者及びスタッフメンバー(注.複数)に『X1』の仕事を開示し,無料で当該所有者及び当該メンバーに助言を与えるものとする。一回の訪日の期間は1週間を超えないものとする。『X1』は上記に関連する事項を直接『広告エージェンシー』と協議するものとする。 『ライセンシー』の求めがあるときは,『X1』は一名の経験を積んだ人員を日本に派遣し,『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』の人員に『X1』の費用で援助,トレーニング及び助言を与えるものとする。但し,…d.事前に『ライセンシー』から通知があったときは,『X1』は,『ライセンシー』の『教育指導要員』(第4条に定義する),『広告PR要員』(第8条に定義する),及び,『ヘアスタジオ要員』(第8条に定義する)に,パリの『X1』のサロン(注.複数)における『X1ノウハウ』について,かかる要員がファイル,ビデオテープ等を『X1ノウハウ』及びサロン運営のシステムの学習のために録音録画することを許諾することを含め,助言し援助する。 e.『ライセンシー』は,『X1』とのパリにおける1月の会議でその年度の『ライセンシー』の『トレーニング要員』のリストを『X1』に呈示するものとする。 f.『X1』は,『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』の所 - 7 -有者及びスタッフメンバーがパリの『 レーニング要員』のリストを『X1』に呈示するものとする。 f.『X1』は,『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』の所 - 7 -有者及びスタッフメンバーがパリの『X1』のサロンを訪ね『X1ノウハウ』の実務的なトレーニングを第9条b項に定める条件の下に受けることを許諾する。」「第7条サロンの目標数…『ライセンサー』及び『ライセンシー』は,『ライセンシー』が『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』を日本で2005年に50店舗以上運営することを約束することに,合意した。」「第8条広告及びパブリックリレーション…a.広告キャンペーン『ライセンシー』は,毎年日本で『ライセンシー』の選任する評判の良い『広告エージェンシー』による広告キャンペーンを行なうことを約束する。かかるキャンペーンの計画は,事前に承諾を得るため毎年1月『X1』に提出されるものとする。 かかる広告キャンペーンは,少なくとも以下を含むものとする。 - 2001,2002及び2003年の各年4色の広告頁6頁,並びに,2004年以降本契約の満了迄の各年8頁の広告頁を,日本において大きな販売数の婦人雑誌(例えば,マリークレール,フィガロジャポン,エルジャポン,アンアン等)に掲載すること。 - 8万フランスフランの予算を『編集広告』にあてること。 『編集広告』のために選ぶ雑誌のリストは,『X1』の承諾を要する。 『編集広告』を『ライセンシー』及び『X1』の満足の行くように実施できないときは,8万フランスフランの予算は, - 8 -上記の広告頁に加えて広告のために使 。 『編集広告』を『ライセンシー』及び『X1』の満足の行くように実施できないときは,8万フランスフランの予算は, - 8 -上記の広告頁に加えて広告のために使用するものとする。 - 本契約第3条に従って『X1』が日本を訪れる際に『ライセンシー』が選任する『広告エージェンシー』が用意する日本の全国向のテレビチャンネルで放送される『X1』のテレビインタビュー(注.複数)を可能な限り行うこと。 2001年を含め毎年1月,『ライセンシー』及び『広告エージェンシー』は,『X1』の承諾を得るため翌年のための広告キャンペーンの計画を『X1』に提出するものとする。当該広告キャンペーンは,『X1』が同意する計画に従って実施するものとする。 本条による広告キャンペーンに関する全ての費用は,『ライセンシー』のみが負担するものとする。広告への投資は,フレキシビリティーを持続するため『フランチャイズサロン』の数の増加に合わせて毎年両当事者により改訂されるものとする。 b.パブリックリレーション『ライセンシー』は,各シーズン毎に『X1』の最新のスタイルについてのプレスリリースを新しいスタイルが創作される都度発行するものとする。 『広告エージェンシー』の人員は『X1』の日本におけるイメージに気を配るものとする。 c.ヘアスタジオ『ライセンシー』は,本条に規定する広告及びパブリックリレーションの目的のため『X1ノウハウ』に従ってヘアスタジオのビジネスを行なうものとする。 『ライセンシー』は,雑誌及び広告エージェンシー(注.複数)の要請に応えるに必要な人員を段階的に進歩 目的のため『X1ノウハウ』に従ってヘアスタジオのビジネスを行なうものとする。 『ライセンシー』は,雑誌及び広告エージェンシー(注.複数)の要請に応えるに必要な人員を段階的に進歩するよう訓練 - 9 -するものとする。 『X1』は,Y1が何時でもパリに来て『ヘアスタジオマネージャー』としての訓練を受けることに同意する。 『X1』は,『ライセンシー』が本契約の履行の目的のみのため『X1』の名前及び『X1商標』を広告及びパブリックリレーションに使用することを許諾する。但し,『X1』の名前を美容器具に一切使用してはならないものとする。 広告及びパブリックリレーションにおいて,『X1』の名前又は『X1商標』は,他の商標,サービスマーク又は商号と一切併用してはならないものとする。」「第9条料金及びロイヤルティー本契約により『X1』が『ライセンシー』に許諾する権利,援助及びノウハウの対価として,『ライセンシー』は,以下の通り,年額ロイヤルティー及び料金を支払う。 a.『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』1サロン当たり年間50,000フラン(第7条に規定するサロンの目標数を超えたサロンについては,ロイヤルティーは,当該サロンが開設された月の翌月の初日から支払うものとし,当該サロンが閉鎖される月の前月の末日の後は支払われないものとする)但し,『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』について毎年『X1』に支払うロイヤルティーの総額は,以下の金額以上とする。 2001年 2,500,000FF(フランスフラン)(50,000FF×50サロン)2002年 2,500,000FF(フランスフラン) - 10 ,以下の金額以上とする。 2001年 2,500,000FF(フランスフラン)(50,000FF×50サロン)2002年 2,500,000FF(フランスフラン) - 10 -(50,000FF×50サロン)2003年 2,500,000FF(フランスフラン)(50,000FF×50サロン)2004年 2,500,000FF(フランスフラン)(50,000FF×50サロン)2005年 2,500,000FF(フランスフラン)(50,000FF×50サロン)(ユーロで支払うときは,2,500,000FF=381,122EUROとする。)『直営サロン』及び『フランチャイズサロン』のロイヤルティーの支払いは,均等額で四半期毎に3月31日,6月30日,9月30日及び12月31日に支払う。 b.パリの『X1サロン』でのトレーニングパリの『X1サロン』で行なうトレーニングのためトレーニー1名1日当り1500フランスフラン上記トレーニングフィーは,マルブフコアヒュール社(社)又は「X1」が支配するその他の会社に対し4半期毎に即ち3月31日,6月30日,9月30日,12月31日に支払うものとする。 『X1』は,自らが選任した者をして『ライセンシー』の会計を監査させることができる。 『X1』への全ての支払いはフランスフランで『X1」が指定する『X1』の銀行口座に行なうものとする。支払いをユーロで行なうときは,1ユーロ=6.55957フランスフランで換算する。 本契約に基づき『ライセンシー』が支払うべき金額は,『X - 11 -1』又は本契約に規定する他の支払受領者に対して日本で支払うべき源泉税を除き満額支払うものとする。 本契約に基づき『ライセンシー』が支払うべき金額は,『X - 11 -1』又は本契約に規定する他の支払受領者に対して日本で支払うべき源泉税を除き満額支払うものとする。 『ライセンシー』は,『X1』に対し日仏租税条約に基づき上記源泉税の還付を受けるに必要な全ての文書を交付するものとする。 『X1』はパリの『X1サロン』での人員のトレーニングのためモデル(注.複数)を選任し,『ライセンシー』は『ライセンシー』の費用でパリの『X1サロン』での最長3日間の人員のトレーニングを担当する者を派遣するものとする。」「第10条期間及び終了a.本契約は,2001年1月1日に効力を生じ,2005年12月31日まで有効とする。 本契約は,少なくとも期間満了日の1年前迄に当事者の一方が文書で相手方から本契約を終了する通知を受領しない限り,自動的に5年間更新する。本契約の更新に際し両当事者は本契約の条項を検討することができる。 b.本契約は,以下の場合には,相手方へ書面により通知することにより,直ちに終了する。 (1) 『ライセンシー』が本契約に従がい『X1』に支払うべき金員の支払を期限通りにしなかったとき(2) 当事者のいずれかが破産,支払不能又は清算したとき(自ら申立た場合と第三者の申立の場合とを問わない)。 c.当事者の一方が,本契約の条項(上記b.(1)を除く)に違反し,文書により履行の催告を受けて2ヶ月以内に履行しなかったときは,他方当事者は,1ヶ月の期間を定めて文書で通知して本契約を終了させることが出来る。 - 12 -d.本契約が終了したときは,『ライセンシー』は,『X1商標』,『X1商標』と混同するおそれのある名前・名称及び商標 で通知して本契約を終了させることが出来る。 - 12 -d.本契約が終了したときは,『ライセンシー』は,『X1商標』,『X1商標』と混同するおそれのある名前・名称及び商標並びに『X1ノウハウ』の使用を停止し,『フランチャイズサロン』,『トレーニングサロン』及び『直営サロン』をして,かかる使用を停止させなければならない。」「第13条通知本契約に基づく一切の通知は書留郵便で確認するファクシミリにて送付するものとする。」(4) 本件契約における,裁判管轄についての合意条項の原文及び訳文は,以下のとおりである。 〔原文〕「14. APPLICABLELAWANDJURISDICTIONThisAgreementshallbegovernedbyFrenchlaw.AnydisputeconcerningorarisingoutofthisAgreementshallbeamicablysettledbetweenthepartieshereto. Failingthis,anydisputebetweenthepartiesshallbesubmittedtotheCommercialCourtinParis, France.」〔訳文〕「第14条準拠法及び管轄本契約の準拠法は,フランス法とする。 本契約に関する紛争又は本契約から生ずる紛争は,本契約の当事者において友好的に解決するものとする。かかる解決が出来なかったときは,両当事者間の紛争は,フランス国パリの商事裁判所に提起するものとする。」(5) 本件契約に基づき被告が経営する 本契約の当事者において友好的に解決するものとする。かかる解決が出来なかったときは,両当事者間の紛争は,フランス国パリの商事裁判所に提起するものとする。」(5) 本件契約に基づき被告が経営するサロン被告は,別紙「X1サロン目録」記載の番号1ないし27のサロン(以下,総称して「被告サロン」といい,同別紙に付された番号に従い,順に - 13 -「被告サロン1」等という。)を,本件契約に基づく直営サロンないしフランチャイズサロンとして経営していた。〔弁論の全趣旨〕(6) 本件契約の解除ア原告と被告との本件契約は,平成22年2月1日をもって解除された。 〔当事者間に争いがない〕イ原告は,代理人弁護士を通じ,平成22年4月6日,書面をもって未払ロイヤルティ20万6441.02ユーロの支払並びに被告サロン全27店舗における「X3」,「X1」の商標の使用の中止を催告し,同書面は同月7日,被告に到達した。〔甲13の1,2〕ウ原告代理人による上記未払ロイヤルティの支払催告には,金額算定の根拠が示されていなかったことから,被告は,平成22年4月13日,代理人弁護士を通じ,原告代理人に対し,上記金額算定の根拠を質したところ,原告代理人は,同年5月20日,同年1月分までの未払ロイヤルティのほか,被告サロン全27店舗において,原告の上記商標を中止するためには最低1か月の猶予が必要であることから,同年2月分のロイヤルティ3万1760.16ユーロも未払であるとして,これを合算した旨を回答した。 〔乙3,4の1〕エこれに対し,被告代理人は,平成22年6月9日,契約解除後のものである同年2月分について未払ロイヤルティの支払を求めることについての法的根拠を示すことを求めたところ,原告代理人は,被告サロンでサロン名を変更す 被告代理人は,平成22年6月9日,契約解除後のものである同年2月分について未払ロイヤルティの支払を求めることについての法的根拠を示すことを求めたところ,原告代理人は,被告サロンでサロン名を変更する等の作業を完了するためには,商標の使用を同年2月末までは継続せざるを得ないものと合理的に推測されることを挙げ,ただし同年1月分までの未払ロイヤルティ17万4680.98ユーロを直ちに支払うのであれば,同年2月分のロイヤルティの請求を断念する旨を通知した。 〔乙4の2,5の1,2〕オ被告代理人は,原告代理人に対し,上記平成22年6月9日付け書面に - 14 -おいて,被告サロンのうち10店舗について商標の使用中止の状況を報告したほか,同年7月6日に15店舗,同月16日に5店舗について商標の使用中止の状況について資料を添付して報告した。〔乙4の2,5の1,3,4〕カ原告代理人は,被告代理人宛て平成22年7月28日付け「最終催告書」において,上記同年1月分までの未払ロイヤルティ17万4680. 98ユーロの支払を求め,支払がない場合の提訴を予告した。〔乙6〕キその後,原告代理人と被告代理人との間で,上記未払ロイヤルティ17万4680.98ユーロの支払について和解協議がされたが,成立に至らなかった。〔乙7~10の2〕(7) 本件訴えの提起原告は,平成22年10月21日に本件訴えを提起し,同年11月6日に訴状が被告に送達された。 (8) 争いのない未払ロイヤルティの存在ア被告は,原告の請求するロイヤルティについて,次の(ア)ないし(ウ)のロイヤルティ支払債務合計17万4680.91ユーロについては,未払であることを認めている。 (ア) 4万7640.25ユーロ平成21年(2009年)9月30日支 次の(ア)ないし(ウ)のロイヤルティ支払債務合計17万4680.91ユーロについては,未払であることを認めている。 (ア) 4万7640.25ユーロ平成21年(2009年)9月30日支払分の残額(半分)(イ) 9万5280.50ユーロ同年12月31日支払分(全額)(ウ) 3万1760.16ユーロ平成22年(2010年)1月分イ被告は,平成24年6月8日に行われた第9回弁論準備手続期日において,予備的に,原告の請求する,上記平成22年1月分までの未払ロイヤルティ及び本件契約第10条d違反に基づく損害として同年2月分のロイ - 15 -ヤルティ相当額(以下,併せて「未払ロイヤルティ等」という。)と,原告の債務不履行により被告の有する損害賠償債権ないし不当利得返還請求権とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。 (9) 被告サロンのうち,被告サロン2,同3,同5,同7,同9,同11ないし同13,同17ないし同20,同23,同25,同26及び同27の16店舗については,平成21年3月以前に終了したものも含め,本件契約終了以前に既に解約ないし閉店等の理由により,被告との契約が終了している。〔弁論の全趣旨〕(10) 被告は,平成22年2月5日付けで,フランチャイズサロンに対し,原告との契約が同月1日に終了した旨を通知し,商標等の使用の停止を求める書面を郵送した。〔乙49〕(11) 本件契約には,本件契約第10条dに定める義務についての違約金の定めはない。 2 争点(1) 本件契約第14条の定めは,専属的裁判管轄の合意に当たるか(本案前の抗弁)(2) 未払ロイヤルティ等の請求につきア被告に未払ロイヤルティ等の支払義務があるかイ契約上の地位の譲渡により原告が 第14条の定めは,専属的裁判管轄の合意に当たるか(本案前の抗弁)(2) 未払ロイヤルティ等の請求につきア被告に未払ロイヤルティ等の支払義務があるかイ契約上の地位の譲渡により原告が未払ロイヤルティ等についての請求権を失ったかウ被告からの相殺の抗弁の成否第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(本件契約第14条の定めは,専属的裁判管轄の合意に当たるか〔本案前の抗弁〕)について〔被告の主張〕(1) 本件契約第14条は,本件契約から生じる紛争についての管轄裁判所をパ - 16 -リ商事裁判所とする旨の国際的専属的管轄の合意である。 したがって,日本の裁判所は,本件契約第14条に基づき,裁判権の行使ができなくなるから,本件訴えを却下すべきである。 国際的専属管轄についての合意である本件契約と,国内的専属的管轄の合意との差異については,以下のとおりである。 ア日本の裁判所は,裁判権の行使を排除される結果,仮に,本件において被告が応訴したとしても応訴管轄は生じない。また,仮に,本件において日本の裁判所が第1審の管轄裁判所としても,遅滞を避ける等のための移送をすることはできない。移送は裁判権の行使であるからである。 イ被告が仮に応訴したとしても応訴管轄が生じないのと同様に,原告が管轄の利益を有効に放棄できたとしても,日本の裁判所は,管轄の利益の放棄の有無やその有効性につき判断することはできない。管轄の利益の放棄やその有効性について判断することは,どこの国の裁判所に管轄権があるかにつき判断することになり,それ自体が裁判権の行使となるからである。 日本の裁判所は,パリ商事裁判所がフランス法のもと,本件につき管轄権を有するか否かを判断できるにすぎない。 (2) 仮に,原告が 判断することになり,それ自体が裁判権の行使となるからである。 日本の裁判所は,パリ商事裁判所がフランス法のもと,本件につき管轄権を有するか否かを判断できるにすぎない。 (2) 仮に,原告が主張するとおり,フランス法上,原告は管轄の利益を有効に放棄できるとしても,管轄の利益を有効に放棄できるか否かの基準は,法廷地である日本の国際民訴法によって決定されるべきものである。日本の国際民訴法においては,管轄の合意は,合意の内容に従い,管轄の消滅を生じさせる。 したがって,合意で専属的管轄裁判所と定めた裁判所(フランス国パリの商事裁判所)とは異なる裁判所(日本国東京地方裁判所)に訴えが提起された本件において,東京地方裁判所が法定管轄裁判所であるとしても,合意によりその管轄を失っているのであり,裁判権を行使することはできないから,いずれにしろ本件訴えは却下されなければならない。 - 17 -〔原告の主張〕(1) 本件契約第14条は,付加的合意管轄についての定めであり,専属的管轄についての合意ではない。 すなわち,本件契約第14条は,「両当事者間の紛争は,フランス国パリの商事裁判所に提起するものとする」と定めているが,両当事者間の「全ての」紛争は,フランス国パリの商事裁判所に提起するものとする,とは定めていないし,両当事者間の紛争は,フランス国パリの商事裁判所に「のみ」提起するものとする,とも定めていない。すなわち,本件契約第14条は,「両当事者間の紛争は,フランス国のパリ商事裁判所を唯一の専属管轄裁判所と定め,かかる紛争は全てフランス国パリの商事裁判所に提起する」と規定していない。 したがって,文言上,本件契約第14条の規定は,管轄裁判所についての専属的合意であると解することはできない。 (2) 仮に本件契 争は全てフランス国パリの商事裁判所に提起する」と規定していない。 したがって,文言上,本件契約第14条の規定は,管轄裁判所についての専属的合意であると解することはできない。 (2) 仮に本件契約第14条を当事者間の全ての紛争はパリの商事裁判所の専属管轄に属するとするものであると解すると,仮処分命令の申立てを想定した場合,仮処分命令の承認という制度はないから,仮処分命令が得られないことになり,適正かつ迅速な救済を得られないこととなって不合理である。 よって,本件契約第14条は,フランスのパリ商事裁判所を本件契約に関する全ての原被告間の紛争につき専属管轄裁判所とする趣旨ではなく,日本の裁判所の裁判権を認め日本の民事訴訟法に従って管轄裁判所に訴えの提起,仮差押仮処分命令の申立てができるほか,パリの商事裁判所を付加的に管轄裁判所とする趣旨である。 (3) なお,仮に本件契約第14条が国際的専属管轄の合意であるとしても,フランス法上,原告は管轄の利益を放棄できるので,被告の住所地を管轄する東京地方裁判所が,本件につき管轄を有する。〔甲40〕 2 争点(2)ア(未払ロイヤルティ等の請求につき,被告に未払ロイヤルティ等 - 18 -の支払義務があるか)について〔原告の主張〕(1) 被告は,本件契約に基づくロイヤルティの支払義務に反して,平成21年(2009年)9月30日に支払期限の到来したロイヤルティ9万5280.50ユーロの半分4万7640.25ユーロを支払わず,同年12月31日に支払期限の到来したロイヤルティ9万5280.50ユーロの支払をしなかった。 また,平成22年(2010年)1月分のロイヤルティ3万1760.16ユーロの支払をしなかった。 これら未払ロイヤルティの合計は,2240万6320円とな 0.50ユーロの支払をしなかった。 また,平成22年(2010年)1月分のロイヤルティ3万1760.16ユーロの支払をしなかった。 これら未払ロイヤルティの合計は,2240万6320円となる(上記未払ロイヤルティ合計額17万4680.91ユーロ相当分。平成22年4月6日のTTS 1ユーロ=128.27円による。)。 (2) さらに,被告は,同年2月以降も本件商標を使用していたが,その使用に対するロイヤルティ相当額は,同月分のみで3万1760.16ユーロになる。 そこで,原告は,同年4月6日,被告に対し,上記合計20万6441.07ユーロのうち20万6441.02ユーロの円貨換算額2648万0189円の支払を求め,同書面は,同月7日に被告に到達した。〔甲13の1,2〕(3) 被告は,平成22年2月においても,本件商標の使用を続けたところ,これは本件契約第10条dに違反するものであり,被告は,原告に対し債務不履行に基づく損害賠償の責めを負う。そして,被告の本件契約第10条d違反による原告の損害は,ロイヤルティと同額と算定するのが合理的である。 直営サロンとフランチャイズサロン50店舗までのロイヤルティは,年額255万フラン(38万1122ユーロ)である。 そして,同月に本件商標を使用していた被告の直営サロン及びフランチャ - 19 -イズサロンは,別紙「X1サロン目録」の記載から減少したとしても,22店舗あるはずであり,これは本件契約に定める50店舗以下の場合に当たるから,1か月当たりの損害額は255万フラン(38万1122ユーロ,年額)の12分の1となり,3万1760.16ユーロとなる。 なお,3万1760.16ユーロの円換算額は,407万3876円(3万1760.16ユーロ×128.27円)である 38万1122ユーロ,年額)の12分の1となり,3万1760.16ユーロとなる。 なお,3万1760.16ユーロの円換算額は,407万3876円(3万1760.16ユーロ×128.27円)である。 そうすると,平成22年(2010年)2月の被告の本件契約第10条d違反に基づく被告ないし被告サロンによる違法な本件商標の使用による損害は407万3876円となるところ,うち407万3869円を請求する。 (4) よって,原告は,被告に対し,2648万0189円並びにうち2240万6320円に対する支払催告後相当期間が経過した平成22年4月23日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金及びうち407万3869円に対する平成22年4月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 〔被告の主張〕(1) 平成22年1月までの支払分について以下のアないしウ記載のロイヤルティ支払債務合計17万4680.91ユーロについては未払であることを認める。 ア 4万7640.25ユーロ平成21年(2009年)9月30日支払分イ 9万5280.50ユーロ同年12月31日支払分ウ 3万1760.16ユーロ平成22年(2010年)1月分(2) 平成22年2月分のロイヤルティ相当額の請求について本件契約第10条d違反による損害3万1760.16ユーロについて - 20 -は否認ないし争う。 被告の直営サロンでは,平成22年2月1日以降,本件商標を使用していないが,仮に使用していたとしても,以下の理由により,被告は同月分のロイヤルティ相当額につき,支払義務はない。 ア商標等の使用停止義務についての合理的解釈本件契約第10条dによれば,被告は,平成22年2月1 しても,以下の理由により,被告は同月分のロイヤルティ相当額につき,支払義務はない。 ア商標等の使用停止義務についての合理的解釈本件契約第10条dによれば,被告は,平成22年2月1日以降,「できる限り速やかに」商標等の使用停止義務を負うものと解される。したがって,「できる限り速やかに」この義務を履行すれば,その義務を果たしたことになる。これが本件契約第10条dの合理的解釈である。本件契約が終了した翌日にこの義務を負うことは,物理的に不可能であるからである。 そして,被告は,同年1月25日付け本件契約の解除通知を同年2月1日に受領した。この翌日にこの義務を履行することは,事実上無理である。 また,不可能を強いる契約条項は無効であるともいえる。 イ相殺の抗弁平成22年2月に違法に本件商標が使用されたことについて,本件契約第10条dの債務不履行が被告にあったとしても,その損害賠償義務について,被告は,後記4のとおり,相殺の抗弁を主張する。 3 争点(2)イ(未払ロイヤルティ等の請求につき,契約上の地位の譲渡により原告が未払ロイヤルティ等についての請求権を失ったか)について〔被告の主張〕原告は,平成21年3月ころ,原告の営むX2サロンを,Aの率いるプロヴァリアンス・グループへ営業譲渡した。譲渡された営業用財産は,フランス4店舗,被告サロンのうち約20店舗であるから,被告が平成12年12月14日に原告との間で締結した本件契約上の地位は,既に原告からプロヴァリアンス・グループへ移転しており,被告は,本件契約上の地位の移転を承認してい - 21 -る。 したがって,原告には,もはや被告に対する未払ロイヤルティ等の請求権はないから,本件請求は,棄却されなければならない。 〔原告 上の地位の移転を承認してい - 21 -る。 したがって,原告には,もはや被告に対する未払ロイヤルティ等の請求権はないから,本件請求は,棄却されなければならない。 〔原告の主張〕原告は,平成21年(2009年)3月6日,期間6年の約定で,パリにおいてX1の商標を用いて美容サロンを展開するゲランコワフュール(GUERINCOIFFURE)等の経営権を,プロヴァリアンス・グループ傘下の会社に許諾し,美容院サロンの展開のための使用権を,日本及びパリにあるデパートを除き,許諾した。また,原告は,被告から直接あるいは間接に受領する年間報酬の50%を契約の相手方である上記会社に譲渡することを約した。〔甲22〕以上によれば,原告の被告に対する未払ロイヤルティ等の請求については影響を受けないから,被告の主張には理由がない。 4 争点(2)ウ(未払ロイヤルティ等の請求につき,被告からの相殺の抗弁の成否)について〔被告の主張〕(1) 原告の債務不履行原告は,被告に対し,独占的に「X1ノウハウ」を提供する義務がある(本件契約第3条aないしh)。「X1ノウハウ」とは,①原告の美容技術及びノウハウの他,②直営サロン及びフランチャイズサロンを経営するための情報及びノウハウ等である(同第1条b)。 また,原告は,被告に対し,「原告はパリにおいて美容サロンを経営する」「原告は,パリにおいてX1商標を他に譲渡してはならない」との義務を負っている。「X1パリ」との標章から,当然に認められる義務である。 仮に,この義務が本件契約上認められないとしても,信義則上同様の義務が発生するというべきである。 - 22 -そして,原告は,平成19年(2007年)1月から,原告の美容技術,ノウハウや,直営サロン及び 上認められないとしても,信義則上同様の義務が発生するというべきである。 - 22 -そして,原告は,平成19年(2007年)1月から,原告の美容技術,ノウハウや,直営サロン及びフランチャイズサロンを経営するための情報,ノウハウを提供せず,本件契約第3条aないしhの義務に違反したのみならず,平成21年(2009年)3月6日,パリにおいてX1標章下でサロンを展開する会社の管理権をプロヴァリアンス・グループへ譲渡し,本件契約第3条aないしhの義務ないし上記信義則上の義務に違反した。 その結果,被告は,原告の債務不履行により,平成19年3月30日から平成21年9月30日までの間,原告へ支払った合計86万7232.35ユーロのうち,その半額(ただし,平成21年9月30日支払分は全額)合計45万7436.3ユーロの損害を被った。 そこで,被告は,原告に対し,債務不履行に基づく上記損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権を自動債権として,フランス民法1289条,1291条に基づき,原告が被告に対して有する請求債権とその対当額において相殺する旨の意思表示をした。 (2) 自働債権の内容(金額,成立日)被告が原告に対して有する債務不履行に基づく損害賠償請求権は,原告の債務不履行(平成19年1月以降)により発生し,被告は平成19年1月から本件契約が終了する平成22年1月まで,原告に対し,ロイヤルティ支払金額の半額(平成21年9月30日支払分は全額)を請求できる状態にある。 なお,被告が原告に対し支払済みの分(下記①ないし⑫)については,主位的に債務不履行による損害賠償請求,予備的に不当利得に基づく返還請求である。 (金額ユーロ) (成立日)① 4万2876.285 平成19年3月30日② 同 ,主位的に債務不履行による損害賠償請求,予備的に不当利得に基づく返還請求である。 (金額ユーロ) (成立日)① 4万2876.285 平成19年3月30日② 同上同年6月29日③ 4万2876.285 同年9月28日 - 23 -④ 同上同年12月28日⑤ 4万7640.315 平成20年3月31日⑥ 同上同年6月30日⑦ 2万8584.19 同年9月30日⑧ 4808.7 同年10月31日⑨ 3万3392.89 同年12月30日⑩ 3万8112.25 平成21年3月31日⑪ 同上同年6月30日⑫ 4万7640.25 同年9月30日被告は,上記①ないし⑫の順序で相殺の充当をする。 (3) 受働債権の内容(金額,弁済期)被告は,原告に対し,ロイヤルティを4半期ごと(3月31日,6月30日,9月30日,12月31日)に支払わなければならない(本件契約第9条)とされているから,原告の主張する未払ロイヤルティ債務が存することになる。仮に,被告に本件契約第10条dの違反による3万1760.16ユーロの支払義務があるとするのであれば,これも受働債権として主張する。 被告が受働債権として主張するのは,原告の主張する下記債権全額である。 (金額ユーロ) (弁済期)① 4万7640.25 平成21年9月30日② 9万5280.50 同年12月31日③ 3万1760.16 平成22年3月31日④ ) (弁済期)① 4万7640.25 平成21年9月30日② 9万5280.50 同年12月31日③ 3万1760.16 平成22年3月31日④ 3万1760.16 同年4月7日〔甲13の1.2〕(4) 相殺適状を生じた日前記(2)の①ないし⑫の成立日記載の日が,相殺適状を生じた日である。 〔原告の主張〕否認ないし争う。 - 24 -原告は,本件契約におけるライセンサーとしての義務を履行しており,被告主張の自働債権は発生する余地がない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件契約第14条の定めは,専属的裁判管轄の合意に当たるか〔本案前の抗弁〕)について本件契約における裁判管轄の合意は,解除による契約終了後においても効力を失わない,いわゆる訴訟契約として有効であることにつき,当事者間に争いがない。その上で,被告は,本件契約第14条における管轄合意は,国際的専属管轄の合意である旨主張する。 国際的裁判管轄の合意の訴訟法上の効力については,法廷地である我が国の法律における解釈を前提とすべきであり,その合意は特定国の裁判所を管轄裁判所として明示的に指定する少なくとも当事者の一方が作成した書面に基づいて締結されれば足りるところ,ある訴訟事件について我が国の裁判権を排除し特定の外国の裁判所を第一審の専属的管轄裁判所と指定する国際的専属的裁判管轄の合意は,当該事件が我が国の裁判権に専属的に服するものではなく,かつ,指定された外国の裁判所がその外国法上当該事件につき管轄権を有する場合には,原則として有効であると解される(最高裁判所第三小法廷昭和50年11月28日判決・昭和45年(オ)第297号・民集29巻10号1 れた外国の裁判所がその外国法上当該事件につき管轄権を有する場合には,原則として有効であると解される(最高裁判所第三小法廷昭和50年11月28日判決・昭和45年(オ)第297号・民集29巻10号1554頁参照)。 これを本件についてみると,本件契約における管轄合意条項は,「本契約に関する紛争又は本契約から生じる紛争は,本契約の当事者において友好的に解決するものとする。かかる解決が出来なかったときは,両当事者間の紛争は,フランス国パリの商事裁判所に提起するものとする。」とするものであり,本件訴訟における未払ロイヤルティの支払を含む債務不履行責任に関する紛争は我が国の裁判所が専属管轄を有するものではなく,かつ上記管轄合意条項により指定された裁判所が当該事件につき管轄権を有していると認め - 25 -ることができるから,本件契約における上記管轄合意条項は,裁判管轄の合意として有効であると解される。 しかし,上記管轄合意条項が国際的専属管轄の合意であるか否かに関しては,上記管轄合意条項の規定は,文言上,フランス国パリの商事裁判所のみを残して,これを専属管轄裁判所とするものとも,また,我が国の裁判権を排除するなど他の裁判所の管轄権を排除するものともなっていないこと,原告は個人であるものの,商人間のフランチャイズ契約と認められる本件契約に関する紛争について,フランス国パリの商事裁判所は法定管轄を有する裁判所の一つであると解されるところ,フランス国においては,通常裁判所として我が国の地方裁判所に相当する大審裁判所のほかに,我が国に存しない商事紛争を管轄する特別の裁判所である商事裁判所が存することもあって,法定管轄裁判所の一つであるパリの商事裁判所にあえて付加的な裁判管轄の合意をしたものと解しても,当事者の合理的意思解釈とし しない商事紛争を管轄する特別の裁判所である商事裁判所が存することもあって,法定管轄裁判所の一つであるパリの商事裁判所にあえて付加的な裁判管轄の合意をしたものと解しても,当事者の合理的意思解釈として不相当とはいえないこと,さらに,本件契約の準拠法であるフランス法においても,フランス民事訴訟法48条は,「直接的又は間接的に土地管轄に関する定めに抵触するすべての条項は,記載なきものと見なす。ただし,その条項が商人の資格で契約したものの間で合意されており,かつ,それをもって対抗される当事者の契約書において非常に明白に特記されているときは,このかぎりではない。」と規定しており,本件契約の管轄合意について付加的合意管轄の定めであると解しても,特段問題は生じない。以上の点を総合考慮すると,本件契約における管轄合意は,我が国の裁判管轄を排除するものではなく,付加的合意管轄についての定めであると解するのが相当である。 以上の検討によれば,原告の主張する管轄利益の放棄の点について判断するまでもなく,本件は,被告の普通裁判籍所在地を管轄する東京地方裁判所に提起されたものであるから,適法であるということができる。 2 争点(2) ア(未払ロイヤルティ等の請求につき,被告に未払ロイヤルティ等 - 26 -の支払義務があるか)について(1) 前記第2,1の前提事実並びに証拠(甲1~42,乙1~55)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,同認定を覆すに足る的確な証拠はない。 ア原告は,パリで美容師として活動していた昭和62年頃,株式会社小林コーセー(現在の株式会社コーセー化粧品。以下「コーセー」という。)と提携して日本にフランチャイズ店を開店することを計画し,これを受けてコーセーは,原告との間で,昭和62年に本件契 頃,株式会社小林コーセー(現在の株式会社コーセー化粧品。以下「コーセー」という。)と提携して日本にフランチャイズ店を開店することを計画し,これを受けてコーセーは,原告との間で,昭和62年に本件契約と同旨の契約を締結し,日本におけるフランチャイズ事業等の展開のため,子会社として株式会社クレアシオン(以下「クレアシオン」という。)を設立した。被告代表者は,美容師であり,当時はコーセーの社員であったところ,設立されたクレアシオンの顧問となり,原告とのフランチャイズ事業を担当した。 平成7年に至り,コーセーは原告との契約を解消することとしたが,その事業については,これを担当してきた被告代表者が引き継ぐこととなり,被告代表者は平成7年7月7日に被告を設立して,原告との間で,コーセーとの契約と同旨の契約を締結した。 原告と被告は,平成12年12月14日付けで上記契約を更新する形で本件契約を締結し,さらに,平成17年に本件契約を従前と同一の内容で更新した。 イ被告代表者は,本件契約に基づき,毎年春にパリの原告のもとを訪れて打ち合わせを行い,事業に関する計画等を話し合うこととされていたため,平成19年(2007年)1月22日,原告との打合せのためパリを訪れたが,原告が急病で入院したため,会うことができなかった。そこで,被告代表者は,同年秋にも原告と会うため渡仏したいと申し入れたが,原告が手術を受けるために入院することとなって打ち合わせは不可能となり,結局,被告代表者は,平成19年においては,原告からノウハウ等のアド - 27 -バイスの提供を受けることができなかった。 ウ平成20年(2008年)6月10日,被告代表者は,原告との打合せのため再びパリを訪れたが,原告が未だ入院中であったため,病室での会談となった。その際, イスの提供を受けることができなかった。 ウ平成20年(2008年)6月10日,被告代表者は,原告との打合せのため再びパリを訪れたが,原告が未だ入院中であったため,病室での会談となった。その際,被告代表者が,本件契約において定められているフランチャイズサロン50店舗を前提としたロイヤルティ額は実情に合っていない旨申入れをしたところ,原告がロイヤルティの減額に応じることになり,その結果,平成20年9月及び同年12月のロイヤルティ支払については30店舗分である5万7168.38ユーロの,平成21年3月及び同年6月のロイヤルティ支払については40店舗分である7万6224. 50ユーロの,それ以降は従来の契約通り50店舗分のロイヤリティを支払うこととされた。〔甲28〕エその後,平成21年(2009年)に至り,Aの率いるプロヴァリアンス・グループが原告のX1サロン事業を買収したとの噂が我が国の美容師業界にも広がり,被告サロンやジャーナリストからも被告のところに問い合わせが来るなどしたが,被告代表者は,原告から何も知らされていなかったことから,その真偽を確かめるべく,同年2月23日付けで原告に対し,プロヴァリアンス・グループが原告のX1サロン事業を買収したとの噂の真偽につき,ファックスで問い合わせをした。〔乙27の1〕その後の同年3月6日,プロヴァリアンス・グループは,パリのX1サロンを買収するに至ったが,原告とプロヴァリアンス・グループとの同日付商標ライセンス契約書(甲22)第3条(ライセンス許諾領域)によれば,日本は上記商標ライセンス契約の対象から除外されることになっていた。 そこで,原告は,同月19日に至り,被告代表者からの上記問い合わせに対し,プロヴァリアンス・グループが原告のX1サロン事業を買収したのは事実であること,しか 対象から除外されることになっていた。 そこで,原告は,同月19日に至り,被告代表者からの上記問い合わせに対し,プロヴァリアンス・グループが原告のX1サロン事業を買収したのは事実であること,しかし,原告はパリのサロンの管理権を同グループ - 28 -に譲渡したにすぎず,日本における権利は依然原告にあること等を回答した。〔乙27の2〕このような状況であったため,平成21年の春にも,原告と被告代表者とのパリでの打ち合わせは行われなかった。 オそして,パリのX1サロンが買収されたとの情報が我が国の美容師の間に出回ったことにより,被告サロンに属する各店舗に被告からの脱退の動きが広まり,平成21年3月から平成22年1月までの間に,当時の被告サロン22店舗のうち,12店舗が被告サロンから脱退するに至った。 カ平成21年(2009年)9月10日,被告代表者がパリで原告と会談を行ったところ,原告は,既にパリに住んでいないことを理由にロイヤルティをスイスに送金してほしいと述べたので,被告代表者は,原告がパリに居住しておらず今後技術支援もできないのであれば,その実情に合わせてロイヤルティを25店舗分に減額してほしい旨述べたが,原告から拒絶され,かえって契約の打ち切りを申し入れられた。 キ平成21年(2009年)9月18日,被告代表者は,原告に対し,同月30日に支払うべきロイヤルティにつき,フランチャイズサロン25店舗分で換算した4万7640.31ユーロを支払うこと,同年12月31日についてもこれと同額とし,平成22年(2010年)3月31日に支払う分及び同年6月30日に支払う分については,それぞれ,フランチャイズサロン20店舗分で換算した3万8112.25ユーロを支払うものとすること,同年7月から同年12月までの6か月分の 月31日に支払う分及び同年6月30日に支払う分については,それぞれ,フランチャイズサロン20店舗分で換算した3万8112.25ユーロを支払うものとすること,同年7月から同年12月までの6か月分のロイヤルティについては免除することを求める書面を送付し,被告は,平成21年9月30日,原告に対し,ロイヤリティとして,4万7640.31ユーロを支払った。 これに対して原告は,当初特段の応答をしなかったものの,同年12月4日付け被告に対する書留書簡において,平成21年9月30日に支払うべき未払ロイヤルティ4万7640.19ユーロの支払を催告した。〔乙 - 29 -11,52〕ク被告は,プロヴァリアンス・グループ等を通じて,日本におけるX1サロン事業の継続について話し合い,プロヴァリアンス・グループは,原告と,被告との間の本件契約の継続についての検討を重ねたが,結局,原告との間での合意には至らなかった。〔乙44~48〕ケ原告は,パリの代理人弁護士を通じ,平成22年1月25日付けで,被告に対し,平成21年9月30日に支払うべき未払ロイヤルティが4万7640.19ユーロあること,同年12月31日に支払うべきロイヤルティ9万5280.50ユーロも支払われていないとして,本件契約第10条bに基づき,本件契約を解除する旨を通知し,併せて被告サロン等における本件商標の使用の中止等を求めた。〔乙11〕これに対して被告は,平成22年2月5日付けで,原告のパリの代理人弁護士に対し,契約の解除に同意し,被告サロン等における商標の使用を停止した旨を通知した。〔甲9〕コ被告は,平成22年2月5日付けで,被告サロンに対し,同年2月1日をもって原告と被告との間の本件契約が終了したこと,これに伴い,フランチャイズサロンにおけるX1 止した旨を通知した。〔甲9〕コ被告は,平成22年2月5日付けで,被告サロンに対し,同年2月1日をもって原告と被告との間の本件契約が終了したこと,これに伴い,フランチャイズサロンにおけるX1の表示,本件商標の使用の中止を求める書面を送付した。なお,それまでに被告サロンを脱退している各店舗についても,契約終了とともに本件商標等の使用について中止することを求めた。 〔乙49,52,55〕サ平成22年(2010年)2月1日現在で被告サロンであった店舗は,被告サロン4,同6,同8,同10,同14,同15,同21,同22及び同24の合計9店舗のフランチャイズサロンと被告サロン1の直営サロンであったところ,フランチャイズサロンについては,同月12日,被告代表者が電話をして,本件商標の使用の中止等についての確認をし,その後,本件商標を使用した営業は全て終了した。 - 30 -しかし,被告の直営サロンである被告サロン1は,同年1月末までに予約を受けた客については,同年2月に至っても営業を続けていた。〔乙52〕(2) 平成22年1月までに支払うべき分である,以下のロイヤルティ債務合計17万4680.91ユーロについて,これが未払であることについては当事者間に争いがない。 ア 4万7640.25ユーロ平成21年(2009年)9月30日支払分イ 9万5280.50ユーロ同年12月31日支払分ウ 3万1760.16ユーロ平成22年(2010年)1月分これについて,被告の主張する相殺の抗弁の成否については,下記5で判断する。 (3) 次に,被告が本件契約の終了時における義務である本件契約第10条dに違反し,被告サロンが平成22年2月においても本件商標を使用したことによる被告の債務不履行に基づく損害賠償義 判断 する。 (3) 次に,被告が本件契約の終了時における義務である本件契約第10条dに違反し,被告サロンが平成22年2月においても本件商標を使用したことによる被告の債務不履行に基づく損害賠償義務の有無について判断する。 前記(1)サの認定事実によれば,平成22年2月においては,原告と被告との間の契約は既に終了しているところ,同月に至っても,被告サロン1においては,本件商標を使用して営業を行っていたものと認められるところである。 そうすると,被告は,本件契約第10条dに関し,原告に債務不履行責任を負うものと解されるが,フランチャイズ契約においては,フランチャイザーにもフランチャイジーに対し,適宜適切な範囲での情報提供をすべき義務があると解されるところ,前記(1)認定のとおり,原告は,平成21年3月にパリのサロンを第三者に売却するなどし,これにより被告サロンから脱退する店舗が続出して,原告と被告との間の本件契約終了時における被告サロン - 31 -は直営サロンを含め10店舗に止まり,それら店舗においても営業終了に向けての活動を行っていたこと等の事情をも総合考慮すると,被告の債務不履行と相当因果関係のある原告の損害は,50店舗分のロイヤルティ相当額として原告の請求する407万3869円の20%である81万4773円と認めるのが相当である。 (4) この点に関して被告は,平成22年1月25日付け本件契約解除の通知を同年2月1日に受領してから,被告サロンに対して可能な範囲で本件商標の使用の停止を求めたものであるから,被告に本件契約第10条dの債務不履行はなく,また,そのような不可能を強いる契約条項は無効である旨主張する。 しかし,被告は,平成21年9月30日に支払うべきロイヤルティの一部及び同年12月31日に支 本件契約第10条dの債務不履行はなく,また,そのような不可能を強いる契約条項は無効である旨主張する。 しかし,被告は,平成21年9月30日に支払うべきロイヤルティの一部及び同年12月31日に支払うべきロイヤルティの全部の支払をしておらず,ロイヤルティの不払を理由に本件契約第10条b(1)に基づき本件契約を解除されたものであり,被告が契約解除後に本件契約第10条dに定められた義務を負うことは明らかであり,同条項は,その規定の内容からしても,不可能を強いる無効なものであると解すべき根拠もない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 3 争点(2)イ(未払ロイヤルティ等の請求につき,契約上の地位の譲渡により原告が未払ロイヤルティ等についての請求権を失ったか)について被告は,原告が,平成21年3月頃にX1サロンについてプロヴァリアンス・グループへ営業譲渡したことにより本件契約上の地位を移転したから,原告には,未払ロイヤルティ等の請求権がない旨主張する。 しかし,前記2(1)エのとおり,原告とプロヴァリアンス・グループとの間の契約によれば,日本におけるライセンス事業に関しては契約の範囲から除外されており,プロヴァリアンス・グループが未払ロイヤルティ等の債権譲渡ないし本件契約上の地位を譲り受けたものと認めるべき適切な証拠はないばかりか, - 32 -被告も,平成21年9月30日支払のロイヤルティについて,それまで通り原告に対して支払をしており,その他被告が未払ロイヤルティをプロヴァリアンス・グループに対して支払う旨を申し出るなり,供託の意向を表明するなりしたこともないことからすれば,原告が未払ロイヤルティ等についての請求権を失ったと認めるべき事実は存しないというほかない。 したがって,被告の上記主張は う旨を申し出るなり,供託の意向を表明するなりしたこともないことからすれば,原告が未払ロイヤルティ等についての請求権を失ったと認めるべき事実は存しないというほかない。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 4 争点(2)ウ(未払ロイヤルティ等の請求につき,被告からの相殺の抗弁の成否)について(1) 被告は,平成19年3月30日以降に原告に対し支払ったロイヤルティの半額,及び,平成21年9月30日に支払ったロイヤルティについてはその全額が,原告がライセンサーとしての義務を果たさなかった債務不履行に基づく損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権となるものであるから,これら被告が有する債権を自働債権とし,原告の未払ロイヤルティ等の請求権を受働債権として相殺する旨主張する。 確かに,平成19年以降は原告の体調不良もあって,原告の被告に対するノウハウや技術指導等が十分に行われていたのかという問題もあり,また,平成21年以降は,原告が被告に対し情報を提供することもなく,パリのX1サロンの経営権をプロヴァリアンス・グループに譲渡したことなどに鑑みると,原告が十分にライセンサーとしての義務を果たしたのかについては疑問なしとはしない。 しかし,既払のロイヤルティはまさに本件契約に基づき支払がされたものであって,特に平成20年及び平成21年のロイヤルティは,原告と被告代表者との間で,実情に見合ったものとする趣旨でのロイヤルティの減額交渉が行われた結果合意に至った金額であって,後に債務不履行が問題とされる趣旨のものとは解されない。 そして,本件契約の解除事由に鑑みれば,上記のような経緯で支払われた既 - 33 -払のロイヤルティが不当利得であるとすることは到底できない。 したがって,被告の主張する相殺の抗弁については失当であ の解除事由に鑑みれば,上記のような経緯で支払われた既 - 33 -払のロイヤルティが不当利得であるとすることは到底できない。 したがって,被告の主張する相殺の抗弁については失当であり理由がないというべきである。 (2) 以上のとおり,被告は,原告に対し,まず,平成22年1月分までの未払ロイヤルティとして17万4680.91ユーロの支払義務を負うが,外国の通貨をもって債権額が指定された金銭債権については,債権者は債務者に対して外国の通貨又は日本の通貨のいずれによってもこれを請求することができるところ,外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権について日本の通貨により裁判上の請求がされた場合,その債権額は,事実審の最終口頭弁論期日の外国為替相場によって外国の通貨を日本の通貨に換算した額とするのが相当である(最高裁判所第三小法廷昭和50年7月15日判決・昭和48年(オ)第305号・民集29巻6号1029頁参照)。 これを本件において検討すると,本件においては,上記のとおり債権はユーロ建てであり,本件口頭弁論終結時の円の対ユーロレートは約142円であると認められる(甲42,平成26年1月15日のレート)から,原告が平成22年1月分までの未払ロイヤルティとして請求する額である2240万6320円を下回ることはない。 よって,上記金額を認容することとし,遅延損害金の起算点については,催告後相当期間を経過した,原告の請求する平成22年4月23日とすべきである。 (3) 次に,被告の本件契約第10条d違反の債務不履行に基づく損害賠償請求については,上記と同様に,日本円に評価した81万4773円が相当な損害額であると解されるから,その金額を認容することとし,遅延損害金の起算点については,原告が被告の本件契約第10条d違反の債務 求については,上記と同様に,日本円に評価した81万4773円が相当な損害額であると解されるから,その金額を認容することとし,遅延損害金の起算点については,原告が被告の本件契約第10条d違反の債務不履行に基づく損害賠償請求としての支払催告をしたものと認められる訴状送達の日の翌日である平成22年11月7日とすべきである。 5 結論以上によれば,原告の請求は,主文掲記の範囲で理由があるから,その限度で認容することとし,その余は理由がないから棄却することし,主文第1項については仮執行宣言を付するのが相当であるからこれを付することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 足立拓人

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