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昭和38(ネ)374 建物収去土地明渡請求控訴事件

裁判所

昭和44年8月30日 東京高等裁判所

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6,701 文字

主文 本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。事実 控訴人ら代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の主張及び証拠の関係は、次に訂正付加するほか原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。控訴人らの主張一、 被控訴人が訴外Aに対し、その主張の頃本件土地を含む一九五坪八合二勺の土地の売買代金の催告と条件付契約解除の意思表示をした事実は認めるが、右意思表示は、控訴人Dの本件土地売買代金の支払に不安を懐いたAが右代金を早急に支払わせるため被控訴人に協力を求めた結果、両名通謀して殊更自己の代金支払期を繰上げてなさしめた虚偽の表示である。二、 控訴人は昭和三三年一〇月三〇日、その頃、被控訴人及びその弟妹四名(以下被控訴人らという)と本件土地を含む一九五坪八合二勺の土地を買受ける旨契約していたAとの間にそのうちの本件土地の所有権を代金坪当り二万円計二〇六万四、四〇〇円の約定で買受ける旨の契約を締結したが、その際、被控訴人らから一九五坪八合二勺の土地を賃借(賃貸借契約は被控訴人らの前主Bと締結)していた、Cの代理人たるAより本件土地の賃借権を代金坪当り一万円計一〇三万二、二〇〇円の約定で買受ける旨契約し、その頭手付金五万円を支払つて引渡を受け、また、残代金は昭和三四年二月一八日に完済した。しかるところ、被控訴人は、控訴人Dが昭和三四年三月頃妻Eの名義で本件土地上に本件建物を建築し、控訴人両名共同してこれを占有使用している事実を知りながらなんら異議を述べなかつたのであるからCと控訴人Dとの間の賃借権譲渡を暗黙に承諾したものというべきで Eの名義で本件土地上に本件建物を建築し、控訴人両名共同してこれを占有使用している事実を知りながらなんら異議を述べなかつたのであるからCと控訴人Dとの間の賃借権譲渡を暗黙に承諾したものというべきである。 頃妻Eの名義で本件土地上に本件建物を建築し、控訴人両名共同してこれを占有使用している事実を知りながらなんら異議を述べなかつたのであるからCと控訴人Dとの間の賃借権譲渡を暗黙に承諾したものというべきで Eの名義で本件土地上に本件建物を建築し、控訴人両名共同してこれを占有使用している事実を知りながらなんら異議を述べなかつたのであるからCと控訴人Dとの間の賃借権譲渡を暗黙に承諾したものというべきである。三、 仮りに被控訴人において本件土地の賃借権の譲渡を承諾した事実が認めうれないとすれば、控訴人らは、実質上は控訴人Dの所有にして、登記簿上は同Eの所有に属する本件建物を代金八〇〇万円て買取るべきことを被控訴人に請求する(昭和四一年一一月一六日の当審口頭弁論期日に陳述)。尤も、本件建物は控訴人DがCから本件土地の賃借権を譲受けた後に築造したものであるけれども、被控訴人としでは本件土地を含む一九五坪八合二勺の土地をAに売渡す旨の契約を締結するに当り、建築主名義を一応C又はAとすべきものとしたにせよ兎に角本件土地上の建物を建築することを許容したのであるし、Aが売買代金債務を完済しさえずれば控訴人Dの賃借権を容認せざるを得ない関係にあつたのであるから、控訴人Dは被控訴人らに対して本件建物の買取請求権を有するものというべきである。被控訴人の主張一、 控訴人らの前記主張事実中、被控訴人らが前主Bの生前からC対して本件土地を含む一九五坪八合二勺の土地を賃貸していた点及び本件建物の所有権は控訴人Eの名義であるが実質上は控訴人Dに属し両名共同でこれを占有使用しているものである点は認めるけれども、控訴人DがAと本件土地所有権の売買契約を締結し、また、Cのあ代理人たるAと本件土地賃借権の売買契約を締結したとの点は知らない。被控訴人がAに対してなした一九五坪八合二勺の土地の売買契約解除の意思表示が通謀虚偽表示であるとの点及び被控訴人が右土地賃借権の譲渡につき黙示の承諾をしたとの点は否認する。なお、被控訴人が前記一九五坪八合二勺の土地売買契約締結に際し 合二勺の土地の売買契約解除の意思表示が通謀虚偽表示であるとの点及び被控訴人が右土地賃借権の譲渡につき黙示の承諾をしたとの点は否認する。なお、被控訴人が前記一九五坪八合二勺の土地売買契約締結に際して代金完済前でも地上に建物を新築することを許容する旨告げたが、それは借地人Cが建築する場合を予想してのことである。 の承諾をしたとの点は否認する。なお、被控訴人が前記一九五坪八合二勺の土地売買契約締結に際し 合二勺の土地の売買契約解除の意思表示が通謀虚偽表示であるとの点及び被控訴人が右土地賃借権の譲渡につき黙示の承諾をしたとの点は否認する。なお、被控訴人が前記一九五坪八合二勺の土地売買契約締結に際して代金完済前でも地上に建物を新築することを許容する旨告げたが、それは借地人Cが建築する場合を予想してのことである。二、 控訴人らの通謀虚偽表示及び借地権譲渡の承諾に関する主張が誤りであることは次の事情からも明らかであろう。被控訴人は、前記一九五坪八合二勺の土地をAに売渡す契約をした後の昭和三四年三月頃本件建物の築造工事が始まつたことを知り、その建築主は借地人のCかその妻美津子であろうと一応は考えたものの、Aとの売買契約には、代金完済によつて始めて買主に所有権が移転する旨の所有権留保約款が付せられていた関係上その所有権は未だ被控訴人らに属していたので、Aに問合せたところ、意外にも建築主は控訴人Eで、しかも、建築確認に関する地主の承諾書は被控訴人の印鑑を偽造して作成した事実が判明したので、控訴人らの不正を怒るとともにAの無責任を責めたが、善後策としでは速かにAから売買残代金を取立て同人に土地所有権を移転することによつて煩累を避けるに如かずと考え、Aに対して売買残代金の支払期限を短縮しこれを三月末日までに支払うよう要求したところ、同人は一旦はこれを承諾したものの同日に至つても金策がつかず、さらに六月一五日まで延期したが依然支払うことができなかつたので重ねて折衝した結果同人の金繰りを斟酌して八月末日まで猶予することにした。それにも拘らず、Aが同日までに支払わなかつたので催告と条件付契約解除の意思表示をしたのである。訂正原判決添付目録記載の土地の所在地を「東京都目黒区ab丁目c番d」と、また、同建物の所在地を東京都目黒区ab丁目c番地e」と 払わなかつたので催告と条件付契約解除の意思表示をしたのである。訂正原判決添付目録記載の土地の所在地を「東京都目黒区ab丁目c番d」と、また、同建物の所在地を東京都目黒区ab丁目c番地e」と訂正する。証拠関係(省略) 理由 一、 原判決添付目録記載の土地(但し、その後所在地の表示がab丁目c番dと変更された。以下、本件土地という)がもと被控訴人らの前主Bの所有であつたが同人の死亡により被控訴人らがこれを相続し共有するに至つた事実及びその地上に控訴人E名義の原判決添付目録記載の建物(但し、その後所在地の表示がab丁目c番地eと変更された。 同建物の所在地を東京都目黒区ab丁目c番地e」と訂正する。証拠関係(省略) 理由 一、 原判決添付目録記載の土地(但し、その後所在地の表示がab丁目c番dと変更された。以下、本件土地という)がもと被控訴人らの前主Bの所有であつたが同人の死亡により被控訴人らがこれを相続し共有するに至つた事実及びその地上に控訴人E名義の原判決添付目録記載の建物(但し、その後所在地の表示がab丁目c番地eと変更された。以下本件建物という)が存在し、控訴人らが共同使用して本件上地を占有している事実は当事者間に争いがない。しかして、当審における控訴人E本人尋問の結果に弁論の全趣旨を斟酌すれば、本件建物は控訴人ら相談の上建築したものであり登記簿上の所有名義を控訴人Eにしたのも控訴人らが話合の上でなしたものである事実が認めうれる。二、 被控訴人らが昭和三三年一〇月三〇日Aとの間に本件土地を含む一九五坪八合二勺の土地を同人に売渡す旨契約した事実は当事者間に争いがないが、成立に争いのない甲第八号証、原審及び当審における証人F(原審は第一、二回)の証言並びに被控訴本人尋問の結果によれば、被控訴人らとAとの右売買契約には被控訴人主張の趣旨の所有権留保約款が付せられているのみならず、被控訴人がAに対し昭和三四年九月三日到達の書面をもつて、七日の期間を付した催告並びに条件付契約解除の意思表示をした事実は当事者間に争いがなく、郵便官署の作成部分につき成立に争いがなく、その余の部分につき弁論の全趣旨から成立を認める甲第二号証の一、成立に争いのない同号証の二によれば、被控訴人はAに対し、同月一〇日到達の 者間に争いがなく、郵便官署の作成部分につき成立に争いがなく、その余の部分につき弁論の全趣旨から成立を認める甲第二号証の一、成立に争いのない同号証の二によれば、被控訴人はAに対し、同月一〇日到達の書面をもつて右催告期間を同月一九日まで延長した事実が認めうれるのでAが延長された催告期間内に残代金を支払つた事実の主張立証がない本件においでは右売買契約は同月一九日の経過とともに解除ざれたものといわなければならず、いずれにしても被控訴人は本件土地の所有権を失わなかつたものというべきである。控訴人らは右契約解除の意思表示は仮装行為であると主張するけれども右主張事実を肯認させる的確な資料はない。なお、被控訴人とAとが話合の上で当初定めた代金支払期限を約半年も短縮した事実は当事者間に争いのないところであるが、原審(第一、二回)及び当審証人Fの証言(後記採用しない部分を除く)及び原審及び当審における被控訴本人尋問の結果によれば、それは被控訴人主張のように控訴人らが本件土地上に被控訴人に無断で本件建物を建築し、しかも、建築確認に関する地主の承諾書が被控訴人の印鑑を偽造して作成されたことを怒り、Aの無責任を責めてなしたものである事実が認めうれるので、被控訴人の売買契約解除の意思表示が仮装行為であることを裏付ける資料となるものでない。 証人Fの証言(後記採用しない部分を除く)及び原審及び当審における被控訴本人尋問の結果によれば、それは被控訴人主張のように控訴人らが本件土地上に被控訴人に無断で本件建物を建築し、しかも、建築確認に関する地主の承諾書が被控訴人の印鑑を偽造して作成されたことを怒り、Aの無責任を責めてなしたものである事実が認めうれるので、被控訴人の売買契約解除の意思表示が仮装行為であることを裏付ける資料となるものでない。三、 次に控訴人DがCから本件土地の賃借権を譲受けた事実の有無について検討する。成立に争いのない甲第三号証、原審(第一、二回)及び当審証人Fの証言、当審における控訴人D本人尋問の結果により成立を認める乙第一、二号証同第六号証、右証言及び本人尋問の結果(いずれも後記採用しない部分を除く)並びに当審における控訴人E本人尋問の結果を綜合すれば、昭和三三年一〇月頃、Aは被控訴人と一九五坪八合二勺の土地売買の交渉を進めている際偶々控 言及び本人尋問の結果(いずれも後記採用しない部分を除く)並びに当審における控訴人E本人尋問の結果を綜合すれば、昭和三三年一〇月頃、Aは被控訴人と一九五坪八合二勺の土地売買の交渉を進めている際偶々控訴人らが適当な宅地を物色している事実を知つたので妻Fも交えて控訴人らと話合つた結果、同月末頃Aと控訴人Dとの間にAは控訴人Dに対し被控訴人から買受けるべき土地のうち本件土地部分を坪当り二万円で売渡すこととする。代金支払方法は後日協議して定める。控訴人DはAが被控訴人に支払うべき代金の資金をできる限り調達することとする等の内容の合意の成立をみ、覚書を取交したがその際、AはCの代理人として(代理権を有していたかどうかの点は暫くおく)控訴人Dに対し、Cの有する本件土地の賃借権をも代金坪当り一万円の場合で売渡すべきことを約し、その手付金五万円を受領した。そして、同控訴人は昭和三四年二月一八日右賃借権譲渡代金残額九八万二三〇〇円をAに支払つて本件土地の所有権及び賃借権譲渡に関する契約書を作成取交した事実が認めうれる。前掲証人Fの証言及び控訴人D本人尋問の結果中右認定に抵触する部分はにわかに採用できない。そこで、被控訴人が右賃借権の譲渡について承諾をした事実の有無を検討するに、控訴人らは、控訴人らが本件建物を建築して占有使用している事実を知りながら異議を述べなかつた事情から、被控訴人は暗黙の承諾をしたものと推定すべきであると主張するけれども、控訴人主張の事情のみから暗黙の承諾と推定することができないことはいうまでもない。 の証言及び控訴人D本人尋問の結果中右認定に抵触する部分はにわかに採用できない。そこで、被控訴人が右賃借権の譲渡について承諾をした事実の有無を検討するに、控訴人らは、控訴人らが本件建物を建築して占有使用している事実を知りながら異議を述べなかつた事情から、被控訴人は暗黙の承諾をしたものと推定すべきであると主張するけれども、控訴人主張の事情のみから暗黙の承諾と推定することができないことはいうまでもない。殊に本件においでは前段認定のように、被控訴人は、控訴人らが被控訴人らの所有に属する本件土地上に被控訴人らに無断で本件建物を建築したことを怒り、Aの責任を追及しているのであるから尚更である。控訴人らのこの点の主張は排斥を免れない。四、 人は、控訴人らが被控訴人らの所有に属する本件土地上に被控訴人らに無断で本件建物を建築したことを怒り、Aの責任を追及しているのであるから尚更である。控訴人らのこの点の主張は排斥を免れない。四、 次に、控訴人らの本件建物の買取請求権の主張について検討するに、本件建物を建築したのが控訴人らであることに争いがないので控訴人Dが買取請求権を有しないことはいうまでもない。なお、控訴人らは、被控訴人がAに対して本件土地を含む土地を同人に売渡すことを約した事実と、右売買契約締結の際所有権移転前でも右土地上にC名義で建物を建築することを許容した事実とを捉えて該事実は本件建物買取請求権の発生原因に該当すると主張するけれどもかかる主張は借地法第一〇条の明文を無視する見解で到底採用できない。五、 以上説示のとおり控訴人らの主張はすべて排斥を免れず、他に本件土地占有の正権原に関する主張立証がないので控訴人Eは本件建物を収去し、同Dはこれより退去してそれぞれ本件上地を被控訴人に明渡す義<要旨>務あるものというべきである。なお、本件建物は実質上控訴人Dの所有で同Eは名義上の所有者に過ぎな</要旨>いことは被控訴人の認めるところであるけれども、Dも建物の実質上の所有者の意を受け登記簿上の所有名義を自己とした以上、その所有権が自己にないことを理由としてその収去義務を免れることはできないものと解すべきであるから、同控訴人は本件土地明渡の方法として本件建物を収去する義務を負つているものというべきである。六、 されば被控訴人の本訴請求は正当であるから、これを認容した原判決は結局相当というべく、本件控訴は理由がない。 の認めるところであるけれども、Dも建物の実質上の所有者の意を受け登記簿上の所有名義を自己とした以上、その所有権が自己にないことを理由としてその収去義務を免れることはできないものと解すべきであるから、同控訴人は本件土地明渡の方法として本件建物を収去する義務を負つているものというべきである。六、 されば被控訴人の本訴請求は正当であるから、これを認容した原判決は結局相当というべく、本件控訴は理由がない。よつて、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官長 判決は結局相当というべく、本件控訴は理由がない。よつて、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官長谷部茂吉裁判官石田実裁判官麻上正信)

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