平成22(許)43 不動産仮差押命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

裁判年月日・裁判所
平成23年2月9日 最高裁判所第二小法廷 決定 破棄自判 東京高等裁判所 平成22(ラ)1724
ファイル
hanrei-pdf-81131.txt

判決文本文2,300 文字)

- 1 - 主文 原決定を破棄し,原々決定を取り消す。 本件を東京地方裁判所に差し戻す。 理由 抗告代理人小嶋正ほかの抗告理由について 本件は,権利能力のない社団である相手方を債務者とする金銭債権を有する抗告人が,第三者を登記名義人とする原々決定別紙物件目録記載の各不動産(以下「本件不動産」という。)は相手方の構成員全員に総有的に帰属するものであると主張し,相手方を債務者として本件不動産に対する仮差押命令の申立て(以下「本件申立て」という。)をした事案である。 記録によれば,本件の経緯は次のとおりである。 (1)抗告人は,相手方を債務者とする貸金債権等の金銭債権を有している。 (2)抗告人は,相手方及び本件不動産の登記名義人を被告として,本件不動産が相手方の構成員全員の総有に属することの確認を求める訴訟を提起し,平成21年3月26日,その請求を認容する第1審判決が言い渡されたが,上記判決は確定していない。 (3)抗告人は,平成22年7月9日,本件申立てをし,その申立書(以下「本件申立書」という。)に,本件不動産が相手方の構成員全員の総有に属することを証する書面として,上記訴訟において提出された主な書証及び上記判決の判決書等の各写しを添付した。 原審は,次のとおり判断して,本件申立てを却下すべきものとした。 (1)権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する- 2 -債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産(以下「構成員の総有不動産」という。)に対して強制執行をする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,強制執行の申立書に,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有 」という。)に対して強制執行をする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,強制執行の申立書に,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書(以下「確定判決等」という。)を添付して,当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきものと解するのが相当である(最高裁平成21年(受)第1298号同22年6月29日第三小法廷判決・民集64巻4号1235頁)。 (2)このことは,権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が構成員の総有不動産に対して仮差押えをする場合においても同様であるが,本件申立書に添付された書面は確定判決等には当たらないから,抗告人が,本件申立てをすることは許されない。 しかしながら,原審の上記(2)の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が,構成員の総有不動産に対して仮差押えをする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,登記記録の表題部に債務者以外の者が所有者として記録されている不動産に対する仮差押えをする場合(民事保全規則20条1号イ)に準じて,仮差押命令の申立書に,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属する事実を証する書面を添付して,当該社団を債務者とする仮差押命令の申立てをすることができるものと解すべきであり(前掲最高裁平成22年6月29日第三小法廷判決参照),上記書面は,強制執行の場合とは- 3 -異なり,上記事実を証明するものであれば足り,必ずしも確定判決等であることを要しないと解するのが相当であ 掲最高裁平成22年6月29日第三小法廷判決参照),上記書面は,強制執行の場合とは- 3 -異なり,上記事実を証明するものであれば足り,必ずしも確定判決等であることを要しないと解するのが相当である。なぜなら,上記債権者が,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている構成員の総有不動産に対して仮差押えをする場合に,上記不動産に対して強制執行をする場合と同様に,確定判決等を添付することを要すると解すると,上記債権者は,確定判決等を取得するまでは,上記不動産に対して仮差押えをすることができず,上記金銭債権の実現を保全することが著しく困難になる一方,上記不動産に対して仮差押えがされたとしても,上記不動産に対して強制執行がされた場合とは異なり,当該社団の構成員が権利を喪失することも,上記登記名義人が登記を抹消されることもないのであって,これらの者の利益に配慮して,仮差押命令の発令を,上記不動産の権利関係が確定判決等によって証明されたような場合に限ることまでは必要でないからである。 そして,記録によれば,本件申立書に添付された書面は,本件不動産が相手方の構成員全員の総有に属する事実を証明するに足るものとみる余地が十分にあるものというべきである。 以上と異なる原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原決定は破棄を免れない。そこで,本件申立てを却下した原々決定を取り消した上,更に審理を尽くさせるため,本件を原々審に差し戻すこととする。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 ( 裁判長裁判官千葉勝美裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫裁判官須藤正彦) 主文 する。 理由 (裁判長裁判官千葉勝美裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫裁判官須藤正彦)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る