⚖️ 判例マッチング
ホーム判例一覧裁判所裁判官解析 / 仮想裁判
🏠ホーム📋判例一覧📄解析⚖️仮想裁判
ホーム›裁判情報一覧›平成10(ワ)18217 保険金請求

平成10(ワ)18217 保険金請求

裁判所

平成13年11月28日 東京地方裁判所

👤裁判官プロフィール機能は近日公開予定
全文PDFダウンロード

68,633 文字

平成13年11月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成10年(ワ)第18217号保険金請求事件 主文 1 被告は,原告に対し,金9631万9812円及びこれに対する平成10年8月14日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。2 原告のその余の請求を棄却する。3 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。4 この判決は,第1,3項に限り,仮に執行することができる。事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,金3億0286万2538円及びこれに対する平成9年12月8日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,企業費用,利益総合保険契約(以下「本件企業保険契約」という。)及びテナント総合保険契約(以下「本件テナント保険契約」という。)(以下,これらを総称して「本件各保険契約」という。)に基づき,原告が火災にあったとして,保険金を請求しているのに対し,被告が,本件各保険契約については,火災が,原告代表者の故意により惹起されたものであるとする故意による事故招致免責,原告の保険金請求が過大であったとする不実申告による免責,本件企業保険契約については,原告が帳簿その他の書類の閲覧を拒否したことによる保険契約の解除を主張して,保険金の支払義務はないとして争っている事案である。1 争いのない事実等(1) 原告は,衣服の製造販売等を業とする株式会社であり,被告は,損害保険業を業とする株式会社である(争いのない事実)。(2) 原告と被告は,平成9年8月29日,以下のとおり,本件企業保険契約及び本件テナント保険契約を締結した(争いのない事実)。ア本件企業保険契約(ア) 保険契約者原告(イ) 保険目的の所在地東京都渋谷区g-h-i(ウ) 被保 ,以下のとおり,本件企業保険契約及び本件テナント保険契約を締結した(争いのない事実)。 を業とする株式会社であり,被告は,損害保険業を業とする株式会社である(争いのない事実)。(2) 原告と被告は,平成9年8月29日,以下のとおり,本件企業保険契約及び本件テナント保険契約を締結した(争いのない事実)。ア本件企業保険契約(ア) 保険契約者原告(イ) 保険目的の所在地東京都渋谷区g-h-i(ウ) 被保 ,以下のとおり,本件企業保険契約及び本件テナント保険契約を締結した(争いのない事実)。ア本件企業保険契約(ア) 保険契約者原告(イ) 保険目的の所在地東京都渋谷区g-h-i(ウ) 被保険者原告(エ) 保険の目的及びこれを収容する建物の構造,用法,面積,級別等a 柱鉄骨耐火被覆b 外壁コンクリートc 屋根陸屋根d 建物地上3階地下1階塔屋1棟e 用法事務所f 面積1戸1棟 352.1平方メートルg 構造級別A級h 職作業繊維製品販売業(オ) 保険の種類利益保険(カ) 物件種別一般(キ) 払込方法一時払(ク) 保険期間平成9年8月31日午後4時から平成10年8月31日午後4時まで(ケ) 約定方式てん補期間6箇月(コ) 担保区分利益保険(サ) 保険金額4億7000万円(シ) 証券番号19714070427イ本件テナント保険(ア) 保険契約者原告(イ) 被保険者原告(ウ) 対象施設の所在地東京都渋谷区g-h-i(エ) 商品製品の保管場所同上(オ) 店舗の構造等a 構造級別1級b 面積352.1平方メートル(カ) 物損害に対する保険金額a 商品,製品1億5000万円b 設備,什器2000万円c その他300万円(キ) 保険期間平成9年8月31日午後4時から平成10年8月31日午後4時まで(ク) 払込方法一時払(ケ) 証券番号49714070035(3) 平成9年12月8日午前5時15分ころ,東京都渋谷区g-h-i所在の原告事務所(以下「本件事務所」という。)において,地下1階より火災が発生しているのが発見された(以下「本件火災」という。)(争いのない事実)。(4) 被告は,原告に対し,平成10年4月 -i所在の原告事務所(以下「本件事務所」という。)において,地下1階より火災が発生しているのが発見された(以下「本件火災」という。)(争いのない事実)。(4) 被告は,原告に対し,平成10年4月2日,本件企業保険契約について,伝票,帳簿類の閲覧拒否を理由に解除するとの意思表示をした(争いのない事実,甲7)。 (以下「本件火災」という。)(争いのない事実)。(4) 被告は,原告に対し,平成10年4月 -i所在の原告事務所(以下「本件事務所」という。)において,地下1階より火災が発生しているのが発見された(以下「本件火災」という。)(争いのない事実)。(4) 被告は,原告に対し,平成10年4月2日,本件企業保険契約について,伝票,帳簿類の閲覧拒否を理由に解除するとの意思表示をした(争いのない事実,甲7)。2 争点(1) 本件火災は,原告代表者又はその意を受けた者の故意によって惹起されたか。その結果,被告は,原告に対し,本件各保険契約に基づく,保険金を支払う義務を免れるか。(2) 原告は,被告に対し,本件火災による損害について,不実の申告をしたか。その結果,被告は,原告に対し,本件各保険契約に基づく,保険金を支払う義務を免れるか。(3) 原告は,被告に対し,帳簿その他の書類について閲覧を拒否したか。その結果,被告は,原告に対し,本件企業保険契約を解除できるか。(4) 原告が被告に対して本件火災により,本件各保険契約について請求できる保険金額はいくらか。3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)について(被告の主張)以下の各事実にかんがみると,本件火災は,原告代表者の故意又はその意を受けた者の故意により惹起されたというべきであるから,被告は,原告に対し,本件企業保険契約については,同保険普通保険約款第1章第2条,第3条,第2章第2条,第3条により,本件テナント保険契約については,同保険普通保険約款第2条により,保険金を支払う義務がない。ア本件火災の出火原因本件火災は,すべて施錠されていた本件事務所において発生したものであり,出火場所は,消防の認定するとおり,本件事務所地下1階南西側部分に置かれた,2組のパイプハンガーの中央のあわせ部分の脚部付近の床面であり,電気火災及びたばこによる出火の可能性は考えられず,火源 り,出火場所は,消防の認定するとおり,本件事務所地下1階南西側部分に置かれた,2組のパイプハンガーの中央のあわせ部分の脚部付近の床面であり,電気火災及びたばこによる出火の可能性は考えられず,火源のない場所からの出火であった。また,被告が,出火元付近と推定される上記2組のパイプハンガーの中央のあわせ部分の脚部付近から採取した焼残物試料を分析した結果,この試料からは系列的な脂肪族飽和炭化水素が検出されており,これの炭素数分布は,灯油又はその熱変性物に類似するものであった。 れた,2組のパイプハンガーの中央のあわせ部分の脚部付近の床面であり,電気火災及びたばこによる出火の可能性は考えられず,火源のない場所からの出火であった。また,被告が,出火元付近と推定される上記2組のパイプハンガーの中央のあわせ部分の脚部付近から採取した焼残物試料を分析した結果,この試料からは系列的な脂肪族飽和炭化水素が検出されており,これの炭素数分布は,灯油又はその熱変性物に類似するものであった。そして,この油性反応は,ナイロン,ポリエステル等の石油化学製品である衣類から検出されるものとは質的にも量的にも全く相違するものであった。以上から,本件火災は,本件事務所の合い鍵を所持した何者かが,本件事務所に侵入し,もともと火源のない場所に,灯油を散布して放火したことにより惹起されたものと考えられる。イ本件火災発生時の原告代表者の行動等(ア) 本件事務所の鍵の所持者について本件火災当時,本件事務所の出入口はすべて施錠されており,何者かが出入口を破壊して本件事務所内に侵入した形跡はないところ,本件事務所の合い鍵を持っているのは,原告代表者を始めとする,原告従業員ら原告関係者のみである。(イ) 火災の発見状況について本件火災の第一発見者は,原告代表者であり,原告代表者の申告によれば,当日参加する「Dチャリティーゴルフコンペ」(以下「本件ゴルフコンペ」という。)に出す景品を取りに行くために,平成9年12月8日の午前5時過ぎころ,本件事務所に到着し,本件事務所の1階の正面入口のドアに鍵を入れて開けたところ,ドアを開けた瞬間に本件事務所内からもうもうと煙が出てきて,建物に入ることができないまま,119番通報した,というものである。そもそも,原告代表者が,当日参加する のドアに鍵を入れて開けたところ,ドアを開けた瞬間に本件事務所内からもうもうと煙が出てきて,建物に入ることができないまま,119番通報した,というものである。そもそも,原告代表者が,当日参加するゴルフコンペの景品を早朝に回り道をして取りに行くこと自体不自然であり,かつ,そのときに火災を発見するのは単なる偶然とは思われない。(ウ) 火災発見時の同行者について原告は,原告代表者が,火災発見当時,株式会社C2代表取締役C1と一緒にいたと主張しているが,原告代表者は,被告から調査を依頼された株式会社F1(以下「F1」という。)に対しては,火災発見時にC1と一緒にいたことについて何ら話していない。 ゴルフコンペの景品を早朝に回り道をして取りに行くこと自体不自然であり,かつ,そのときに火災を発見するのは単なる偶然とは思われない。(ウ) 火災発見時の同行者について原告は,原告代表者が,火災発見当時,株式会社C2代表取締役C1と一緒にいたと主張しているが,原告代表者は,被告から調査を依頼された株式会社F1(以下「F1」という。)に対しては,火災発見時にC1と一緒にいたことについて何ら話していない。さらに,原告代表者は,F1に対し,本件ゴルフコンペへの欠席の連絡及び参加費の立替えについては,友人であり同コンペに参加するEに依頼したと述べていたのに,本件訴訟においては,同行していたC1に対し,欠席の連絡及び参加費の立替えを依頼した旨供述している。原告代表者が,故意に火災を惹起したのでないのであれば,火災発見時にC1と一緒にいたことについて自ら積極的に話すのが自然であるところ,上記のように原告代表者がそのことについて話していないのは,F1において,C1に対する調査をしてほしくないと思っていたからであると推認される。そして,株式会社C2は,原告に対し,本件火災当時,5000万円の売掛金債権を有していて,現在においても4300万円ほど残っており,原告が,被告から保険金を受領すれば,同保険金により上記債権を回収できる関係にある。また,株式会社C2は,原告の仕入先であり,通常の取引によれば,原告から入金を受ける立場であるにもかかわらず,原告に対し,平成8年1月から平成9年10月までの間に,11回にわたり,合計9350万円の振り込みをしている。( の仕入先であり,通常の取引によれば,原告から入金を受ける立場であるにもかかわらず,原告に対し,平成8年1月から平成9年10月までの間に,11回にわたり,合計9350万円の振り込みをしている。(エ) 本件火災前の原告従業員G1の行動について原告の幹部従業員であるG1は,本件火災の2日前である平成9年12月6日(土曜日)に,H1有限会社(以下「H1」という。)が,1週間前に納入したコート150着について縫製不良があったため,再納入してもらうために出勤したと申告するが,H1に確認したところによれば,そのような事実はなかったし,また,納入されたコート150着について,損害品にも計上していないから,G1の同申告は虚偽である。(オ) 以上によれば,原告代表者が,C1と共に本件火災を惹起させたか,原告代表者の指示を受けた何者かが本件火災を惹起させ,C1は原告代表者のアリバイ作りに利用されているかのいずれかであると考えられる。 ,再納入してもらうために出勤したと申告するが,H1に確認したところによれば,そのような事実はなかったし,また,納入されたコート150着について,損害品にも計上していないから,G1の同申告は虚偽である。(オ) 以上によれば,原告代表者が,C1と共に本件火災を惹起させたか,原告代表者の指示を受けた何者かが本件火災を惹起させ,C1は原告代表者のアリバイ作りに利用されているかのいずれかであると考えられる。ウ帳簿その他の書類の閲覧拒否(ア) 帳簿等の書類の閲覧拒否原告は,被告が,伝票,帳簿その他の書類の提出を求めたにもかかわらず,本件火災によって,重ねて置いてあった伝票等の書類のすべてが,煤により判読不能になったとして,提出しなかった。しかし,重ねてあった書類について,本件火災による煤により判読不能になるのは,表面部分に限られるのであり,中の部分は判読できるのであるから,原告が伝票,帳簿その他の書類の提出をしなかったのには,相当な理由がない。(イ) コンピューターのデータ原告の在庫管理や経理はコンピューターによって管理されており,そのデータが入手できれば,原告の営業状態がすべて判明するものである。このような重要な意味を有するコンピューターについて,F1が,原告に対し,平成10年2月17日,処分先を問い合わせたと ており,そのデータが入手できれば,原告の営業状態がすべて判明するものである。このような重要な意味を有するコンピューターについて,F1が,原告に対し,平成10年2月17日,処分先を問い合わせたところ,原告は,処分先が容易に判明しないような情報を与えて,F1の調査を妨げた。また,原告は,コンピューターのデータの復旧について,大塚商会に問い合わせて不可能であると言われたり,原告の使用していたコンピューターのソフトのメンテナンスを担当していた有限会社I1代表のI2にコンピューターは修理不能といわれたりしただけであきらめているが,上記のようなコンピューターの役割の重大性にかんがみると,データの復旧についてこの程度の努力に止まり,さらなる努力を行わなかった原告の姿勢は極めて不自然である。しかも,原告は,本件火災後,事務所を移転して営業を継続したが,かかる営業継続のためにはコンピューターが不可欠であるから,原告は,被告に対し,コンピューターの使用ができたにもかかわらず,使用不能として,データの提出を拒んでいる。 きらめているが,上記のようなコンピューターの役割の重大性にかんがみると,データの復旧についてこの程度の努力に止まり,さらなる努力を行わなかった原告の姿勢は極めて不自然である。しかも,原告は,本件火災後,事務所を移転して営業を継続したが,かかる営業継続のためにはコンピューターが不可欠であるから,原告は,被告に対し,コンピューターの使用ができたにもかかわらず,使用不能として,データの提出を拒んでいる。エ被害品にかかる原告の申告内容原告は,以下のとおり,被害品の申告について,不実の申告をしている。(ア) 事務用機器及び什器備品原告は,平成9年12月26日,本件事務所から,新事務所である新宿区の事務所に,事務用機器や什器備品も搬送しているから,これらがすべて使用不能になったということはできないにもかかわらず,原告は,被告に対し,本件火災により,本件事務所にあったすべての事務用機器及び什器備品が使用不能になったとして,その損害についても保険金請求をしているから,被害品の申告について,不実の申告をした。(イ) 商品原告は,本件火災後,新宿区の新事務所に移転して,事業を継続していたから,商品のすべてが使用不能になったとはいえないに 険金請求をしているから,被害品の申告について,不実の申告をした。(イ) 商品原告は,本件火災後,新宿区の新事務所に移転して,事業を継続していたから,商品のすべてが使用不能になったとはいえないにもかかわらず,原告は,被告に対して,すべての商品をり災商品として申告しているから,明らかに過大な申告であった。また,原告は,本件火災による損害品について,実施棚卸しにより数量を確認し,価額は記憶により算出したとして,本件請求をしているが,かかる損害品一覧が膨大であることに照らすと,原告は全く虚偽の申告をしているか,実際にはコンピューターからデータを取り出して,申告していたものと考えられ,このことからも,原告の申告は虚偽であると考えられる。さらに,本件火災の時期において在庫となっている冬物は,デッドストックとして,低い評価しか得られないものである。オ原告の経済状態原告は,本件火災直前の決算は黒字申告としているが,これは会社の実態を正確に表したものではなく,粉飾決算を行っていたものであり,実際には,不良在庫が相当あるか架空の在庫計上があることが疑われ,資金繰りが苦しい上に,債務超過の状態にあったし,以下のとおり,簿外債務を抱えていたり,負債の返済が遅滞するなど,経済的に逼迫した状況にあった。 ドストックとして,低い評価しか得られないものである。オ原告の経済状態原告は,本件火災直前の決算は黒字申告としているが,これは会社の実態を正確に表したものではなく,粉飾決算を行っていたものであり,実際には,不良在庫が相当あるか架空の在庫計上があることが疑われ,資金繰りが苦しい上に,債務超過の状態にあったし,以下のとおり,簿外債務を抱えていたり,負債の返済が遅滞するなど,経済的に逼迫した状況にあった。(ア) 銀行取引についてaP1銀行P1銀行は,原告のメインバンクであるところ,平成9年10月の時点での融資残高は約1億7000万円であるが,いずれの貸出しにおいても当初の条件では返済されずに,延滞が多発して,返済条件の変更がされている。bP2銀行平成9年10月の時点での融資残高は約7000万円であるが,この借入れについては決算書上の記載がない簿外債務である。cP3銀行平成9年10月30日の時点での融資残高は4676万7000円であ 平成9年10月の時点での融資残高は約7000万円であるが,この借入れについては決算書上の記載がない簿外債務である。cP3銀行平成9年10月30日の時点での融資残高は4676万7000円であるが,同日,返済条件の変更を行い,月々の返済額を大幅に減額している。なお,決算書上の期末残高は,約4100万円であり,約500万円が簿外債務となっている。dP4公庫原告は,P4公庫から,平成5年7月に1500万円,平成8年6月に850万円,平成9年6月に2800万円の融資を受けたが,平成9年10月の時点での融資残高は,それぞれ200万円,600万円,2565万円であり,平成8年8月及び平成9年2月に延滞を起こしている。(イ) その他の取引についてa 納入先について原告は,取引店舗を133と申告しているが,本件火災後に被告が調査したところ,実際に原告製品が陳列されていたのは20店舗にすぎず,本件火災後であることを考慮しても,少なすぎる。b 佐川急便原告は,佐川急便への支払を,平成9年10月20日以降滞らせていた。カ原告代表者個人の経済状態原告代表者個人の平成6年から8年にかけての所得は,いずれも給与所得であるところ,それぞれ252万円であり,また,以下のとおり,多額の負債を負っており,その他にも3000万円から4000万円ほどの負債を負っていた。そして,原告代表者個人が原告の80パーセントの株式を保有し,原告のその他の株主は原告代表者の妻と母ということからすれば,原告は原告代表者の個人会社であると評価され,原告と原告代表者個人の経済状況は密接に関連するものである。 かけての所得は,いずれも給与所得であるところ,それぞれ252万円であり,また,以下のとおり,多額の負債を負っており,その他にも3000万円から4000万円ほどの負債を負っていた。そして,原告代表者個人が原告の80パーセントの株式を保有し,原告のその他の株主は原告代表者の妻と母ということからすれば,原告は原告代表者の個人会社であると評価され,原告と原告代表者個人の経済状況は密接に関連するものである。(ア) P3銀行原告代表者個人は,P3銀行から,平成2年に,3600万円を借り入れ,当初は,約定どおり返済していたのであるが,平成8年1月返済分からは,月々の返 況は密接に関連するものである。(ア) P3銀行原告代表者個人は,P3銀行から,平成2年に,3600万円を借り入れ,当初は,約定どおり返済していたのであるが,平成8年1月返済分からは,月々の返済金額を約半分に変更しており,平成9年7月以降は延滞を起こしている。(イ) あさひ銀行原告代表者個人は,あさひ銀行と,昭和63年に,極度額3500万円のカードローン契約を締結したが,貸越残高は3525万7793円,未収貸越利息が53万4375円あり,利息の支払ができない状況にある。キ原告の保険金請求歴原告は,被告に対し,平成8年8月18日,盗難事故にあったとして,被告との間で締結していた盗難保険契約に基づいて保険金を請求し,保険金4300万1845円を取得した。その際,原告は,コンピューターのデータの提出を拒否し続けたのにもかかわらず,保険金を取得できたため,コンピューターのデータを提出しなくても保険金を取得できると学習したことも,本件火災による保険金請求を惹起した一因となっていると考えられる。(原告の主張)ア本件火災の出火原因本件火災の出火場所は,以下の各点にかんがみると,本件事務所地下1階南西側部分に置かれた2組のハンガーパイプのあわせ部分の床下であるとは考えられず,本件事務所地下1階南西側の西側壁におかれたスチール棚付近であると考えられ,同所には,電気スタンド(以下「本件電気スタンド」という。)が置かれていたから,本件電気スタンドのコードが短絡して火花を生じ,付近にあった製品に引火して,本件火災が生じたものと考えられる。(ア) スチール棚におかれた衣類は炭化し,棚の下に置かれたダンボール,衣類等も炭化し原型をとどめていないのに対し,ハンガーパイプの東側に掛けられたコート等の衣類はほとんど原型をとどめて残っている。 であると考えられ,同所には,電気スタンド(以下「本件電気スタンド」という。)が置かれていたから,本件電気スタンドのコードが短絡して火花を生じ,付近にあった製品に引火して,本件火災が生じたものと考えられる。(ア) スチール棚におかれた衣類は炭化し,棚の下に置かれたダンボール,衣類等も炭化し原型をとどめていないのに対し,ハンガーパイプの東側に掛けられたコート等の衣類はほとんど原型をとどめて残っている。(イ スチール棚におかれた衣類は炭化し,棚の下に置かれたダンボール,衣類等も炭化し原型をとどめていないのに対し,ハンガーパイプの東側に掛けられたコート等の衣類はほとんど原型をとどめて残っている。(イ) 本件電気スタンドのコードには短絡痕があったが,この短絡痕は,被覆が破損して短絡が起き,スパークによる火災に至る1次痕である可能性が否定できない。(ウ) 原宿警察署も,火元は本件電気スタンドであるといっていた。(エ) 消防は,原告代表者に対し,平成9年12月9日に,同電気スタンドを持ち帰って調べると言ったにもかかわらず,持ち帰らないで,焼残物の上に置いて帰ったのであり,その結果,同電気スタンドを調べることができなくなったものであるから,消防の判定結果は信用することができない。(オ) 本件事務所の地下1階及び1階の出入口の鍵のデットボルトにはいずれも煤が付着してるから,長時間,本件事務所内で煙が発生していたと考えられるし,南側スチール棚に収納されたダンボールは完全に燃えてはおらず,時間をかけてくすぶっていたものと考えられるから,何者かがハンガーパイプのあわせ部分の床下付近に灯油をまいて放火したと考えることはできない。(カ) また,仮に,本件火災の焼残物試料から油性反応が検出されたとしても,本件火災による焼残物はビニールに包まれた石油化学製品である商品がほとんどであるから,何ら不思議ではなく,かかる事実をもって,本件火災の出火原因が放火であると推認することはできない。イ本件火災発生時の原告代表者の行動等(ア) 火災の発見状況について原告代表者は,平成9年12月8日,本件ゴルフコンペに参加するに際し,景品として原告の商品を取りに行くため,同じくゴルフコンペに参加するC1に,午前5時ころ,原告代表者宅に迎えに来てもらって,本件事務所へ向 は,平成9年12月8日,本件ゴルフコンペに参加するに際し,景品として原告の商品を取りに行くため,同じくゴルフコンペに参加するC1に,午前5時ころ,原告代表者宅に迎えに来てもらって,本件事務所へ向かった。 者は,平成9年12月8日,本件ゴルフコンペに参加するに際し,景品として原告の商品を取りに行くため,同じくゴルフコンペに参加するC1に,午前5時ころ,原告代表者宅に迎えに来てもらって,本件事務所へ向 は,平成9年12月8日,本件ゴルフコンペに参加するに際し,景品として原告の商品を取りに行くため,同じくゴルフコンペに参加するC1に,午前5時ころ,原告代表者宅に迎えに来てもらって,本件事務所へ向かった。原告代表者は,同日午前5時15分ころ,本件事務所へ到着し,本件事務所1階入口ドアの鍵を解錠し,ドアを開けたところ,本件事務所内から煙が猛烈な勢いで吹き出したので,火事だと思って,119番通報した。このように,原告代表者は,自宅に,C1に迎えに来てもらって,本件事務所に向かったのであるから,原告代表者が,本件火災に関与していたということはできない。(イ) 火災発見時の同行者について原告代表者は,警察や消防に対しては,本件火災発見時にC1と一緒にいたことを申告しているのであり,F1に対して,C1と一緒にいたことを話さなかったのは,単にF1から聞かれなかったからであるにすぎない。また,原告代表者が,F1に対し,本件ゴルフコンペの参加費の立替えをEに依頼した旨話したのは,F1からDの発言を基にそのように確認されたからであり,原告代表者がこれを否定すれば,さらにDに確認を取られ,同人を煩わせることになると考えたためである。ウ帳簿その他の書類の閲覧拒否(ア) 帳簿等の書類の閲覧拒否原告は,被告に対し,本件火災の翌日である平成9年12月9日に受けた被告の指示に従って,消防庁作成のり災証明書,三期分の決算報告書及び附属書類,「残高及び損害見積額」と題する書面を交付し,さらには,被告が原告及び原告代表者個人の資産状況や取引状況を調査する際に必要となる,原告が,被告に対し,金融機関及び取引先に対して取引記録等の書類の閲覧及び交付を求める権限を与える旨の委任状並びに被告が本件火災について調査する際に必要となる,原告が,被告に対し,警察及び消防 る,原告が,被告に対し,金融機関及び取引先に対して取引記録等の書類の閲覧及び交付を求める権限を与える旨の委任状並びに被告が本件火災について調査する際に必要となる,原告が,被告に対し,警察及び消防に対して,被告が調査することに同意する同意書を交付しているのであり,被告の調査に協力している。 める権限を与える旨の委任状並びに被告が本件火災について調査する際に必要となる,原告が,被告に対し,警察及び消防 る,原告が,被告に対し,金融機関及び取引先に対して取引記録等の書類の閲覧及び交付を求める権限を与える旨の委任状並びに被告が本件火災について調査する際に必要となる,原告が,被告に対し,警察及び消防に対して,被告が調査することに同意する同意書を交付しているのであり,被告の調査に協力している。また,原告は,同月19日,被告の許可を得て,焼残物を処分したが,被告に対し,伝票類は,煤や消火剤により判読不能になっていたこと,コンピューターのデータについては,使用不能になったため提出できないことを報告していたにもかかわらず,被告は,原告に対し,本件火災発生後3箇月経過し,原告が伝票類及びコンピューターを処分した後に,伝票類は判読不能ではなかった,コンピューターは使用不能になってはいなかったと主張し始めたのである。(イ) コンピューターのデータ原告は,コンピューターをネットワーク化して利用していたわけではないし,また,在庫等の記録も逐一入力していたわけではなく,またデータ容量の関係で,1箇月ごとにデータをプリントアウトした後,更新して,データを削除していたのであるから,コンピューターは,原告の営業のために必要不可欠であり,データを取り出せば,営業状況がすべて判明するということはなく,せいぜい1箇月分のデータが存在するにすぎないから,それほどの重要性を有するものではない。そして,原告は,F1のコンピューターの処分先調査についても,可能な限り協力して,処分を依頼した株式会社J(以下「J」という。)の住所も正しく教えたにもかかわらず,F1が,Jを発見できなかったにすぎないし,原告は,Jがどこに下請に出したかなどを知る立場にはないから,原告がF1に下請先をすぐに教えられなかったことをもって,調査を妨害したということはできない。さらに,上記(ア)の かったにすぎないし,原告は,Jがどこに下請に出したかなどを知る立場にはないから,原告がF1に下請先をすぐに教えられなかったことをもって,調査を妨害したということはできない。さらに,上記(ア)のとおり,原告は,被告に対し,コンピューターのデータが使用不能で提出できないことを報告していた。エ被害品にかかる原告の申告内容(ア) 事務用機器及び什器備品本件火災時に,本件事務所内に存在した事務用機器や什器備品は,すべて火災によって煤が付着し,いくらふいてもとれない状態にあったため,新しい布をかぶせたり,表面に紙を貼るなどして使用していたものであり,本来であれば,使用できない状態にあったにもかかわらず,原告において,被告から保険金の支払を受けられない段階では,新たに購入することができないため,やむを得ず使用していたのであり,かかる事務用機器や什器備品を被害品として申告することは不実申告には当たらない。 品は,すべて火災によって煤が付着し,いくらふいてもとれない状態にあったため,新しい布をかぶせたり,表面に紙を貼るなどして使用していたものであり,本来であれば,使用できない状態にあったにもかかわらず,原告において,被告から保険金の支払を受けられない段階では,新たに購入することができないため,やむを得ず使用していたのであり,かかる事務用機器や什器備品を被害品として申告することは不実申告には当たらない。(イ) 商品原告は,本件火災時に本件事務所内に存在した商品については,すべて実際に数え,また,従業員の記憶に基づいて算定し,平成9年10月末時点の在庫と比較して相当な範囲内にあったため,被害品として申告したものであり,コンピューターにはその都度在庫品を入力していないことからすれば,より正確な申告をしたといえるとしても,なんら不実の申告をしたとはいえないし,そもそも,被害金額の申告まではしていないのであるから,不実の申告をすることはあり得ない。また,原告は,本件事務所から新宿の新事務所へ,商品を全く搬出していないし,原告が,新宿の新事務所において行っていた業務は,小売店からの返品等の処理であり,また,平成10年4月末にはその業務も行わなくなったのであるから,本件火災時に本件事務所内に存在した商品を販売していたということはない。加えて て行っていた業務は,小売店からの返品等の処理であり,また,平成10年4月末にはその業務も行わなくなったのであるから,本件火災時に本件事務所内に存在した商品を販売していたということはない。加えて,原告は,販売店から注文を受けて,それに追加注文,直接販売を見込んだ数量を加えて製造するという形態を取っていたのであり,本件火災時に本件事務所内にあった在庫製品の大部分は販売先が決まっていたから,適正な卸売価格で販売できるものであり,デットストック品であったということはできない。オ原告の経済状態(ア) 銀行取引について以下のとおり,各借入れの返済が遅滞していたのには,合理的理由があるから,原告は経済的に逼迫していたとはいえない。aP1銀行原告は,P1銀行から,約1億5000万円の長期融資,3000万円から4000万円の範囲で事業運転資金として短期融資を受け,短期融資については毎月約500万円を返済していたが,平成8年12月ころ,P1銀行から貸し渋りにより,短期融資の枠を2000万円に減額された。 銀行取引について以下のとおり,各借入れの返済が遅滞していたのには,合理的理由があるから,原告は経済的に逼迫していたとはいえない。aP1銀行原告は,P1銀行から,約1億5000万円の長期融資,3000万円から4000万円の範囲で事業運転資金として短期融資を受け,短期融資については毎月約500万円を返済していたが,平成8年12月ころ,P1銀行から貸し渋りにより,短期融資の枠を2000万円に減額された。そこで,原告は,従前どおり毎月500万円の返済をすると事業運営に不都合を来すことから,P1銀行との間で返済額の減額を交渉するため,意図的に毎月の返済をストップしていたにすぎず,返済額が毎月250万円と合意されてからは,全額支払っており,原告に支払能力がないため,返済が滞っていたわけではない。bP2銀行P2銀行からの約7000万円の融資は,実質的には原告代表者個人が借り入れたものであるのに,銀行側は,原告名義で融資した方が融資を行いやすいということだったので,原告名義で融資されているものにすぎず,返済も原告代表者個人が行っていた。したがって,かかる債務は簿外債務であるということはできない。cP3銀行平成9年10月30日時点での融資 ことだったので,原告名義で融資されているものにすぎず,返済も原告代表者個人が行っていた。したがって,かかる債務は簿外債務であるということはできない。cP3銀行平成9年10月30日時点での融資残高については知らない。返済条件の変更が行われたのは,貸し渋りにより融資枠が縮小されるとの連絡を受けたために,毎回の返済額を変更したものにすぎない。dP4公庫2回の延滞は,事務手続のミスにすぎず,返済期日の数日後には,入金返済をした。(イ) その他の取引についてa 納入先について原告は,本件火災によって,在庫品をすべて失い,納入ができなくなったのであるから,本件火災後に取引先店舗を調査し,原告製品が置いていないことをもって,原告が取引先店舗を過大に申告したことにはならないし,本件火災前の原告の営業の規模を推認させるものでもない。b 仕入先について原告は,仕入先に対し,本件火災前に,支払を遅滞したことがなかったのであるから,経済的に逼迫していたということはできない。カ原告代表者個人の経済状態原告代表者個人には,給与所得の外,年間1300万円余りの不動産賃貸収入があるし,以下のとおり,各負債の返済額の変更などには合理的な理由があるから,原告代表者に支払能力がなかったということはできない。 の営業の規模を推認させるものでもない。b 仕入先について原告は,仕入先に対し,本件火災前に,支払を遅滞したことがなかったのであるから,経済的に逼迫していたということはできない。カ原告代表者個人の経済状態原告代表者個人には,給与所得の外,年間1300万円余りの不動産賃貸収入があるし,以下のとおり,各負債の返済額の変更などには合理的な理由があるから,原告代表者に支払能力がなかったということはできない。(ア) P3銀行月々の返済額が半分程度になったのは,借入時に,最初の5年間は,利息の変動にかかわらず,定額返済をすることとしていた(利率の変動により,月々の元金と利息の返済額の内訳が変化する)のが,5年後からは,定額の元金と月々発生する利息を支払うこととされており,元金自体が少なくなったためである。また,平成9年7月以降,返済が遅れているのは,返済金の銀行引き落とし日を勘違いしていたためであり,半月程度の遅れで支払っていた。(イ) あさひ銀 とされており,元金自体が少なくなったためである。また,平成9年7月以降,返済が遅れているのは,返済金の銀行引き落とし日を勘違いしていたためであり,半月程度の遅れで支払っていた。(イ) あさひ銀行あさひ銀行は,バブル崩壊後,他の金融機関が貸出金利を下げていたにもかかわらず,バブル当時の高金利を適用していたため,原告代表者は,金利を下げるよう交渉していたのであり,その手段として,月々の支払をストップし,未払金が3箇月分になると,一括して返済していたのである。したがって,かかる事実をもって,原告代表者個人の返済能力がなかったということはできない。キ原告の保険金請求歴被告の主張する盗難事故については,警察によれば,犯人は,ドアを壊して本件事務所に侵入し,3階経理室から現金等を窃取したのみであるが,その後,ドアが壊されたままになっていたことから,別の者が本件事務所に侵入して,地下1階の商品を窃取したとのことであり,同盗難事故は,原告の関係者が関与したものではない。(2) 争点(2)について(被告の主張)原告は,(1)(被告の主張)エのとおり,不実の申告をしているから,被告は,原告に対し,本件企業保険契約については,同保険普通保険約款第3章第15条により,本件テナント保険契約については,同保険普通保険約款第9条により,保険金を支払う義務がない。(原告の主張)原告は,(1)(原告の主張)エのとおり,不実の申告をしていないから,被告の主張は理由がない。 ではない。(2) 争点(2)について(被告の主張)原告は,(1)(被告の主張)エのとおり,不実の申告をしているから,被告は,原告に対し,本件企業保険契約については,同保険普通保険約款第3章第15条により,本件テナント保険契約については,同保険普通保険約款第9条により,保険金を支払う義務がない。(原告の主張)原告は,(1)(原告の主張)エのとおり,不実の申告をしていないから,被告の主張は理由がない。(3) 争点(3)について(被告の主張)被告は,原告に対し,平成10年4月2日,本件企業保険契約について,原告が,(1)(被告の主張)ウ(ア)のとおり,帳簿その他の書類の閲覧を拒否していたから,同保険普通保険約款第3章第6条に基づき,解除するとの意思表示をした。したがって,被告は 業保険契約について,原告が,(1)(被告の主張)ウ(ア)のとおり,帳簿その他の書類の閲覧を拒否していたから,同保険普通保険約款第3章第6条に基づき,解除するとの意思表示をした。したがって,被告は,原告に対し,同保険契約に基づく保険金を支払う義務はない。(原告の主張)原告は,(1)(原告の主張)ウ(ア)のとおり,帳簿その他の書類の閲覧を拒否していないから,被告は本件企業保険契約を解除することはできず,被告の主張は理由がない。(4) 争点(4)について(原告の主張)ア本件企業保険契約に基づく保険金総計1億2734万5413円(ア) 利益保険金1億2587万3913円本件企業保険契約の喪失利益は,同保険約款第1章第6条第1項本文によれば,収益減少額に保険証券記載の約定てん補率を乗じて得られた額である。そして,本件企業保険契約においては,約定てん補率は,年間売上高100パーセントとされているから,同条第3項により,約定てん補率を利益率に置き換えて喪失利益を算出することになる。本件においては,事故直前の原告の1年の売上金額は7億9315万6365円であったから,6箇月分の標準営業収益は,3億9657万8182円となる。そして,てん補期間中の営業収益は0円であったから,収益減少額は,3億9657万8182円となる。また,利益率は,原告の直近1年の営業収益2265万0694円と経常費2億2915万0564円の和を売上金額7億9315万6365円で除した率となるから,31.74パーセントとなる。そうすると,収益減少額3億9657万8182円に利益率31.74パーセントを乗じた1億2587万3913円が,利益保険金となる。 て,てん補期間中の営業収益は0円であったから,収益減少額は,3億9657万8182円となる。また,利益率は,原告の直近1年の営業収益2265万0694円と経常費2億2915万0564円の和を売上金額7億9315万6365円で除した率となるから,31.74パーセントとなる。そうすると,収益減少額3億9657万8182円に利益率31.74パーセントを乗じた1億2587万3913円が,利益保険金となる。(イ) 営業継続費用計147万1500円a 仮事務所移転にかかわる費用38万4750 万8182円に利益率31.74パーセントを乗じた1億2587万3913円が,利益保険金となる。(イ) 営業継続費用計147万1500円a 仮事務所移転にかかわる費用38万4750円(a) 仮事務所に関する仲介手数料15万7500円(b) 仮駐車場に関する仲介手数料4万7250円(c) 引越費用18万0000円b 仮事務所賃料94万5000円c 仮駐車場賃料14万2500円イ本件テナント保険契約に基づく保険金総計1億7551万7125円(ア) 損害保険金計1億7000万円a 商品の損害額1億3154万8500円原告の本件火災による商品の損害は,別紙損害一覧(1)のとおり,小売価格(上代)ベースで2億6309万7000円に上っている。そして,原告は,卸売価格(下代)を小売価格の60から65パーセントとしており,また,買取店と委託店の比率は7対3であった。委託店において,30パーセントが返品され,返品された商品は,バーゲン用として,小売価格の35パーセントのマークダウン掛け率で値引き再販し,その80パーセントを消化するとすると,下記の計算式の和のとおり,卸売価格は,小売価格の56.5パーセントとなる。買取店70%×60%(卸売掛率)=42%委託店30%×60%(卸売掛率)×70%(消化率)=12%委託店30%×35%(マークダウン掛率)×80%(消化率)=2.5%以上によれば,原告の被害商品の価格は,少なく見積もっても,小売価格の50パーセントは下らない。そうすると,被害商品の価格は,合計1億3154万8500円となる。b 生地及びファスナー,ボタン等付属品の損害額 2252万0300円原告が,本件事務所で実際に確認した,生 下らない。そうすると,被害商品の価格は,合計1億3154万8500円となる。 ×35%(マークダウン掛率)×80%(消化率)=2.5%以上によれば,原告の被害商品の価格は,少なく見積もっても,小売価格の50パーセントは下らない。そうすると,被害商品の価格は,合計1億3154万8500円となる。b 生地及びファスナー,ボタン等付属品の損害額 2252万0300円原告が,本件事務所で実際に確認した,生 下らない。そうすると,被害商品の価格は,合計1億3154万8500円となる。b 生地及びファスナー,ボタン等付属品の損害額 2252万0300円原告が,本件事務所で実際に確認した,生地及びファスナー,ボタン等付属品の損害額は,別紙損害一覧(2)のとおり,2252万0300円である。そして,商品及び生地,付属品に対する保険金額は,1億5000万円であるから,本件において,原告は,被告に対し,商品及び生地,付属品に対する保険金として,1億5000万円の保険金請求権を有する。c 設備什器備品の損害額2044万2050円各設備什器備品について,5年で償却するものとして,各購入価格に対し,下記のとおりの割合を乗じて時価相当額とし,購入時期を特定できないものについては,購入額の50パーセントを時価相当額とした。平成9年購入購入額の90パーセント平成8年購入購入額の80パーセント平成7年購入購入額の60パーセント平成6年購入購入額の40パーセント平成5年購入購入額の20パーセント以上に従って計算すると,設備什器備品についての原告の損害額は,別紙損害一覧(3)のとおり,2044万2050円である。そして,設備什器に対する保険金額は2000万円であるから,本件において,原告は,被告に対し,設備什器に対する保険金として2000万円の支払請求権を有する。(イ) 臨時費用保険金500万円原告は,被告に対し,テナント総合保険約款第5条第5号により,臨時費用保険金として,500万円の保険金請求権を有する。(ウ) 残存物取り片付け費用保険金 51万7125円原告は,被告に対し,同約款第5条第6号により,残存物取り片付け費用保険金として,51万7125円の保険金支払請求権を有する。ウ総保険金 残存物取り片付け費用保険金 51万7125円原告は,被告に対し,同約款第5条第6号により,残存物取り片付け費用保険金として,51万7125円の保険金支払請求権を有する。ウ総保険金額3億0286万2538円(被告の主張)ア本件企業保険契約に基づく保険金本件企業保険契約約款によれば,喪失利益の計算について,同約款第1章第6条1項1号により,収益減少額に約定てん補率を乗じて得られた額から,てん補期間中に支出を免れた経常費を同号所定の算式により得られた額を差し引いた額とされているが,原告主張の計算方式は,同約款に符合しない。 ,51万7125円の保険金支払請求権を有する。ウ総保険金額3億0286万2538円(被告の主張)ア本件企業保険契約に基づく保険金本件企業保険契約約款によれば,喪失利益の計算について,同約款第1章第6条1項1号により,収益減少額に約定てん補率を乗じて得られた額から,てん補期間中に支出を免れた経常費を同号所定の算式により得られた額を差し引いた額とされているが,原告主張の計算方式は,同約款に符合しない。また,原告は,第13期決算報告書の数字を基礎に収益減少額を計算しているが,同決算報告書は,原告の実態を反映しないものであって,同決算報告書を基礎に収益減少額を算定することはできない。なお,原告が,営業継続費用として挙げている各費目が,本件企業保険契約による保険金の支払の対象となることは認める。イ本件テナント保険契約に基づく保険金原告は,実施棚卸しに基づいて,被害品を算定したと主張するが,原告の恣意的な算定によるものであり,損害額の割合も何ら合理性がない。第3 争点に対する判断 1 証拠により認められる事実(1) 本件火災の出火原因ア本件火災を消防が覚知した時刻は,平成9年12月8日午前5時20分ころであり,消防は,本件火災の出火時刻を午前5時10分ころであるとしている(乙1の2)。原告は,本件事務所の1階東側出入口扉及び地下1階北側出入口扉の鍵のデットボルトには煤が付着していること,南側スチール棚に置かれたダンボールは完全には燃えていないことを理由に,本件火災は長い時間燻焼状態にあったと考えられるから,出火時刻は消防が認定した時刻よりももっと前であるはずだと主張し,証拠(甲1 側スチール棚に置かれたダンボールは完全には燃えていないことを理由に,本件火災は長い時間燻焼状態にあったと考えられるから,出火時刻は消防が認定した時刻よりももっと前であるはずだと主張し,証拠(甲18,乙1の5,原告代表者)によれば,本件事務所の1階東側出入口扉及び地下1階北側出入口扉の鍵のデットボルトには煤が付着していること,原告代表者が同5時20分ころ,地下1階北側出入口扉を開けたところ,本件事務所から煙が勢いよく吹き出してきたことが認められるが,証拠(乙1の2,証人T)によれば,煙の量や,流れによって,出火後10分程度でもデットボルトに煤が付着することはあり得ること,消防内部での検討も経た上で出火原因判定書が作成され,上記のとおり出火時刻を午前5時10分ころと認定していることが認められ,後記ウ(ア)のとおり,酸素不足で急激に燻焼状態になったとする意見書も存在することに照らすと,原告が指摘する事実は,消防の認定を覆すものではなく,本件火災の出火時刻は,平成9年12月8日午前5時10分ころと認められる。 後10分程度でもデットボルトに煤が付着することはあり得ること,消防内部での検討も経た上で出火原因判定書が作成され,上記のとおり出火時刻を午前5時10分ころと認定していることが認められ,後記ウ(ア)のとおり,酸素不足で急激に燻焼状態になったとする意見書も存在することに照らすと,原告が指摘する事実は,消防の認定を覆すものではなく,本件火災の出火時刻は,平成9年12月8日午前5時10分ころと認められる。イそこで次に,本件火災の出火場所について検討する。(ア) 証拠(乙1の3ないし9,47,証人T)によれば,以下の事実が認められる。a 本件事務所地下1階南西側部分に置かれた2組のハンガーパイプ(以下「本件2組のハンガーパイプ」という。)の中央のあわせ部分のパイプは,茄子色に変色しているが,西端,東端の下方の脚部では青色の塗装が残っていて焼けを免れている。b 本件2組のハンガーパイプの中央部下方の脚部は赤褐色に変色し,あわせ部分では黒焼して著しく損傷しており,キャスターのゴム製車輪は焼損し,車輪の一部は焼失している。c 本件2組のハンガーパイプの中央のあわせ部分の脚部付近の床面は,著しく焼けており,発泡痕がある(発砲痕は,床で直 て著しく損傷しており,キャスターのゴム製車輪は焼損し,車輪の一部は焼失している。c 本件2組のハンガーパイプの中央のあわせ部分の脚部付近の床面は,著しく焼けており,発泡痕がある(発砲痕は,床で直接油等の液状物質が燃え,量が少なくなったときに沸騰上の燃焼によって生ずる跡であると認められる。)。d 本件2組のハンガーパイプの中央のあわせ部分の上部の天井は,天井の材質が剥離した結果,本件事務所の建物の材質である黒色が露出している。e 本件事務所地下1階南側壁に沿って置かれたスチール棚に乗っていたダンボールは,西側の下方から火を受けて焼け上がった跡を残している(乙1の3ないし5,47,証人T)。f 本件事務所地下1階南西隅西側壁にそって置かれたスチール棚(以下「本件スチール棚」という。)に置かれていた収容物は,下段についてはすべて炭化しており,中段については棚の奥の方が高く焼け残っており,上段については,棚板が曲がって,崩れ落ちて燃えており,棚の前方の床面から火が燃え上がった様相を呈している。g 本件スチール棚の北側に立てかけられている板は,表面のベニヤ板は焼損しているが,木枠は残存していて焼けは比較的浅く,また,下部の方が焼けが強くなっており,これらの焼けは,本件2組のハンガーパイプの方から壁に向かって焼けている。 すべて炭化しており,中段については棚の奥の方が高く焼け残っており,上段については,棚板が曲がって,崩れ落ちて燃えており,棚の前方の床面から火が燃え上がった様相を呈している。g 本件スチール棚の北側に立てかけられている板は,表面のベニヤ板は焼損しているが,木枠は残存していて焼けは比較的浅く,また,下部の方が焼けが強くなっており,これらの焼けは,本件2組のハンガーパイプの方から壁に向かって焼けている。h 本件スチール棚付近の床面には焼けた本件電気スタンドのフレームがあり,本件スチール棚には被覆が焼損し芯線が露出した電源コードがあり,電源コードは西側壁面のコンセント方向に延びているが,芯線には短絡痕は見分されていない。そして,同西側壁面のコンセントに差し込まれた電源プラグの焼けは表面的であるが,コードは切れて,先端部に短絡痕が見分される。(イ) 前記(ア)aないしdに認定したとおり,本件2組のハンガーパイプのあわせ ,同西側壁面のコンセントに差し込まれた電源プラグの焼けは表面的であるが,コードは切れて,先端部に短絡痕が見分される。(イ) 前記(ア)aないしdに認定したとおり,本件2組のハンガーパイプのあわせ部分付近はハンガーパイプ,床面,その上部の天井などすべて損傷が激しく,本件火災の出火場所が本件2組のハンガーパイプの中央のあわせ部分の床下であることを推認させるものであるし,また,前記(ア)eないしgに認定した,本件2組のハンガーパイプ付近に置かれていた本件スチール棚,本件スチール棚の北側に立てかけられていた板,南側壁に沿って置かれたスチール棚の焼損状況は,本件2組のハンガーパイプの中央のあわせ部分の床下から発生した火災が順次燃え移っていった状況を推認させ,これらの事情を考慮すると,本件火災の出火場所は,本件2組のハンガーパイプの中央のあわせ部分の床下であると認めることができる。(ウ) なお,原告は,本件スチール棚の北側の下方には,蛍光灯のコードの短絡痕が発見されたのであり,この短絡痕は,被覆が破損して短絡が起き,スパークにより火災に至る1次痕である可能性も否定できないから,本件スチール棚の北側下方付近が出火場所であると主張し,警察もこの付近が出火場所であると言っていたと主張するので検討する。a まず,短絡痕について,証拠によれば,以下の事実が認められる。(a) 短絡痕について,被覆が破損して短絡が起き,スパークにより火災に至る1次痕であるか,他の火災により被覆が破損して短絡が起きる2次痕であるかの鑑別は,場合によっては,顕微鏡を使わなければできないことがあるが,1次痕の特徴は,その痕が光沢があり丸みを帯び,短絡痕の付近は極めて強い燃焼を示していることで,そのような状況を肉眼で観察することにより判断できる場合もある(甲76,77,乙2 認められる。(a) 短絡痕について,被覆が破損して短絡が起き,スパークにより火災に至る1次痕であるか,他の火災により被覆が破損して短絡が起きる2次痕であるかの鑑別は,場合によっては,顕微鏡を使わなければできないことがあるが,1次痕の特徴は,その痕が光沢があり丸みを帯び,短絡痕の付近は極めて強い燃焼を示していることで,そのような状況を肉眼で観察することにより判断できる場合もある(甲76,77,乙2 きないことがあるが,1次痕の特徴は,その痕が光沢があり丸みを帯び,短絡痕の付近は極めて強い燃焼を示していることで,そのような状況を肉眼で観察することにより判断できる場合もある(甲76,77,乙22,証人T)。(b) 証人Tは,本件火災後の現場調査で,本件電気スタンドのコードの短絡痕を現認した結果に基づき2次痕であると判定し,さらに,短絡痕付近の電源プラグの焼損状況は表面的にすぎず,差し歯部分に溶融が見られないことなども考え併せて,出火原因書には,2次痕の可能性があると記載したが,平成12年10月4日の本件第6回口頭弁論期日において,同短絡痕が,床下に落ちていたか,コンセントに差し込まれたコードの先端部にあったかについて,記憶が曖昧であった(乙1の3,証人T)。(c) 火災調査書,出火原因判定書の判定は,消防の内部の担当者間においても検討した結果記載され,完成されたものである(乙1(枝番含む),証人T)。(d) 本件電気スタンドのコードが切れたことにより,コードが落下しているが,落下したコードは,炭化木片と混在しており,火災中期に木片炭化物の落下と同じ時間帯に落下している(乙1の3,47)。(e) 本件スチール棚の北側に立てかけられていた板は,短絡痕が存在する付近から焼損している状態ではなく,本件2組のハンガーパイプの方からコンセントが存在する壁に向かって延焼している状態であった(乙1の3,4,証人T)。b 上記に認定した,短絡痕が1次痕か2次痕かの区別は肉眼で識別可能であることがあり,Tは短絡痕の現認状況によって2次痕であると判定し,消防内部における検討も経て,出火原因判定書においては,2次痕の可能性があるとされたこと,短絡痕付近の電源プラグの焼損状況は表面的にすぎず,差し歯部分に溶融が見られず,短絡痕の付近に極めて強い し,消防内部における検討も経て,出火原因判定書においては,2次痕の可能性があるとされたこと,短絡痕付近の電源プラグの焼損状況は表面的にすぎず,差し歯部分に溶融が見られず,短絡痕の付近に極めて強い燃焼があったという事実は認められないこと,落下したコードは炭化木片と混在しており,火災中期に木片炭化物の落下と同じ時間帯に落下していると考えられること,また,前記(イ)に認定した焼損状況及びa(e)に認定した本件スチール棚の北側に立てかけられていた板の延焼状況は,短絡痕が1次痕であり本件電気スタンドのコードを火元としたとき,合理的に説明できないものであることなどを考えると,短絡痕は2次痕であると認められる。 たという事実は認められないこと,落下したコードは炭化木片と混在しており,火災中期に木片炭化物の落下と同じ時間帯に落下していると考えられること,また,前記(イ)に認定した焼損状況及びa(e)に認定した本件スチール棚の北側に立てかけられていた板の延焼状況は,短絡痕が1次痕であり本件電気スタンドのコードを火元としたとき,合理的に説明できないものであることなどを考えると,短絡痕は2次痕であると認められる。なお,証人Tは,本件第6回口頭弁論期日においては,短絡痕の位置について明確な記憶を保持していない様子がうかがえるが,本件火災から3年近く後であることを考えると,上記事実は,証人Tの2次痕であるとする判定を覆すものではない。c 原告は,警察の見解も,本件電気スタンドのコードが火元であるとするものであったと主張し,原告代表者はこれに沿う陳述(甲61)ないし供述をしているが,原告代表者の陳述ないし供述以外に,警察の見解が,短絡痕付近が出火場所であったとする証拠はなく,かえって,証拠(甲57,58)によれば,消防署の本件火災調査の責任者であった進藤勝は,警察と消防の意見が分かれていたことは認めているものの,警察の見解が本件電気スタンド付近が出火場所というものではなかったと認識しているし,本件火災現場に赴いた進藤自身も,本件電気スタンドは,出火場所と考えられる本件2組のハンガーパイプのあわせ部分とは離れていたから,本件火災とは関係ないと認識していることが認められるから,原告の主張を採用することはできない。ウ次に,本件火災の出火原因につ と考えられる本件2組のハンガーパイプのあわせ部分とは離れていたから,本件火災とは関係ないと認識していることが認められるから,原告の主張を採用することはできない。ウ次に,本件火災の出火原因について検討する。(ア) 証拠によれば,以下の事実が認められる。a 本件2組のハンガーパイプのあわせ部分付近の床面及び本件スチール棚下方の床面には,たばこの吸い殻は見分されず,本件電気スタンドのコード及びコンセント部分からの出火は考えられないこと,施錠されている無人の建物内から出火していることなどから,消防は放火の可能性が十分考えられるとしている(乙1の4)。b 消防は,本件2組のハンガーパイプのあわせ部分付近の水には,肉眼で観察して,油が浮いていなかったから,油性反応の検出検査を行っていないが,F1が株式会社Qに対し焼残物中の可燃性液体の存在する可能性について調査を依頼したところ,本件2組のハンガーパイプのあわせ部分付近の床目地間焼残物,同部分の天井材,スチール棚の焼残物等からは,灯油あるいはそれに類似した可燃性液体が検出され,本件2組のハンガーパイプのあわせ部分付近の床目地間焼残物の検出量が最も多かった(乙10,16の1,証人T)。 ていなかったから,油性反応の検出検査を行っていないが,F1が株式会社Qに対し焼残物中の可燃性液体の存在する可能性について調査を依頼したところ,本件2組のハンガーパイプのあわせ部分付近の床目地間焼残物,同部分の天井材,スチール棚の焼残物等からは,灯油あるいはそれに類似した可燃性液体が検出され,本件2組のハンガーパイプのあわせ部分付近の床目地間焼残物の検出量が最も多かった(乙10,16の1,証人T)。c 上記bで検出された可燃性液体は,衣類の素材に用いられる化学繊維であるナイロン及びポリエステル並びに衣類を包装するビニールの成分であるポリプロピレンとポリエチレンの分子構造や,ビニールの量からいって,衣類やビニールから検出されたものではない(乙54の1)。d 本件火災原因は,灯油を撒いて放火したことによるものであり,短時間で酸素が欠乏し,炎が小さくなり燻焼状態になったとする意見書が存在する(乙47)。e 本件事務所の出入口は,1階東側と地下1階北側であり,地下1階北側の扉が,消火活動のため消防により破壊 ,短時間で酸素が欠乏し,炎が小さくなり燻焼状態になったとする意見書が存在する(乙47)。e 本件事務所の出入口は,1階東側と地下1階北側であり,地下1階北側の扉が,消火活動のため消防により破壊されている以外には破壊されている形跡はなく,1階東側出入口扉及び地下1階北側出入口扉の鍵のデットボルトには煤が付着していた(乙1の3ないし5,原告代表者)。(イ) 前記(ア)abcに認定のとおり,本件出火場所付近には,たばこの吸い殻は見分されず,灯油ないしそれに類似した可燃性液体が検出されていて,これは,本件事務所内にあった衣類やそれを包装するビニールに由来するものでないことが認められるから,本件火災の火源は,灯油ないしそれに類似した可燃性液体であると認めることができる。なお,消防の報告書(乙1(枝番含む))には,油性反応が検出されたとの記載はないが,前記(ア)bのとおり,消防は,肉眼で見て油が浮いていなければ,油性反応の検出検査は行わないのであるから,このことは,油性反応が検出されたとの認定を左右するものではない。また,前記(ア)eに認定のとおり,本件事務所の出入口の鍵のデットボルトには煤が付着していたから,本件火災が発生したときには,本件事務所の出入口はすべて施錠されていたと認めることができる。 )には,油性反応が検出されたとの記載はないが,前記(ア)bのとおり,消防は,肉眼で見て油が浮いていなければ,油性反応の検出検査は行わないのであるから,このことは,油性反応が検出されたとの認定を左右するものではない。また,前記(ア)eに認定のとおり,本件事務所の出入口の鍵のデットボルトには煤が付着していたから,本件火災が発生したときには,本件事務所の出入口はすべて施錠されていたと認めることができる。そして,本件出火場所には,もともと灯油ないしそれに類似した可燃性液体が存在してこれに引火したとは考えられないから,本件事務所の合い鍵を所持した何者かが灯油を散布して放火したと認めることができる。(2) 本件火災後の被告による調査及びそれに対する原告の対応本件火災後の被告による調査及びそれに対する原告の対応について,証拠によれば,以下の事実を認めることができる。ア原告代表者は,被告に対し,平成9年12月8日の本件火災後,タジマ保険事務所を通 応本件火災後の被告による調査及びそれに対する原告の対応について,証拠によれば,以下の事実を認めることができる。ア原告代表者は,被告に対し,平成9年12月8日の本件火災後,タジマ保険事務所を通じて,本件火災が発生したことを報告した(甲11,乙18)。イ被告立川サービスセンターのセンター長B3は,株式会社K1鑑定事務所所属の鑑定人K2に同行を依頼した上,K2と共に,同月9日午後,本件事務所を訪れた。K2は,本件事務所内を回り,被害状況を見て,在庫商品のほとんどは煤で汚れるなどしていたため,商品価値はないものと判断したが,被害商品がどれくらいあるかについては,被害商品の多くは燃え尽きてはおらず,現実に数えることが不可能ではなかったにもかかわらず,数えることはしなかった。また,K2は,本件事務所の3階の机の上にあった書類をめくってみたところ,回りは煤により黒くなっていたが,中は白くて書いてある字が読めることを確認したが,地下1階にあった書類については,回りが黒くなっていたため,中を確認することはしなかった。また,K2は,本件事務所の地下1階にあったコンピューターについて,電源が切れていたため,作動するかどうかについての確認を行わなかった。K2は,原告代表者に対し,原告の前年及び平成9年10月末の決算データ,平成9年10月末の在庫調べ,毎月の売上と仕入れの金額,損害明細,損害品の置き場所,什器備品(資産台帳)の資料を提出するよう要求したところ,原告代表者から,損害明細については,小売価格である上代でもよいかと聞かれたので,上代でもよいと返答した。 ピューターについて,電源が切れていたため,作動するかどうかについての確認を行わなかった。K2は,原告代表者に対し,原告の前年及び平成9年10月末の決算データ,平成9年10月末の在庫調べ,毎月の売上と仕入れの金額,損害明細,損害品の置き場所,什器備品(資産台帳)の資料を提出するよう要求したところ,原告代表者から,損害明細については,小売価格である上代でもよいかと聞かれたので,上代でもよいと返答した。また,B3は,原告代表者に対し,出火原因の調査のため,現場維持を依頼したが,原告代表者は消防から早期に処理するよう言われていると返答し,さらに,B3は,原告代表者に対し,被告ないし被告の依 した。また,B3は,原告代表者に対し,出火原因の調査のため,現場維持を依頼したが,原告代表者は消防から早期に処理するよう言われていると返答し,さらに,B3は,原告代表者に対し,被告ないし被告の依頼した調査会社が,取引先や銀行において原告の取引状況を調査することを同意する書面に署名押印するよう要求したが,原告代表者は署名押印することに難色を示した(甲61,62,乙17,18,証人K2,原告代表者)。なお,K2は,原告代表者に対し,同日,本件事務所に行った際,コンピューターのデータを何とか取りだしてほしい,また,伝票や帳票類も提出してほしいと依頼したと陳述(乙17)ないし証言するが,原告代表者は,コンピューターのデータを取りだしてほしいとか伝票や帳票類も提出してほしいと言われたことはないと証言しており,また,K2が,原告代表者に対して提出してほしいものを記載して交付したメモ(甲62)には,コンピューターのデータや伝票及び帳票類は記載されていないことに照らすと,K2の陳述ないし証言は採用することができない。ウ原告が使用していたオフィスコンピューターをリース商品として販売したL1株式会社(以下「L1」という。)の従業員L2は,同月11日,本件事務所に,2000年問題対応のため訪れたが,原告従業員から,本件火災があったとして,コンピューター室には入れないと言われ,本件事務所への立入りを拒まれた(乙16の1,証人F2)。エ F1は,被告から本件火災についての調査を依頼されたので,その従業員である忠地が同月12日,本件事務所に赴き,出火地点の検証をして,本件2組のパイプハンガーの中央あわせ部分付近から焼残物を採取した。 2は,同月11日,本件事務所に,2000年問題対応のため訪れたが,原告従業員から,本件火災があったとして,コンピューター室には入れないと言われ,本件事務所への立入りを拒まれた(乙16の1,証人F2)。エ F1は,被告から本件火災についての調査を依頼されたので,その従業員である忠地が同月12日,本件事務所に赴き,出火地点の検証をして,本件2組のパイプハンガーの中央あわせ部分付近から焼残物を採取した。なお,F1も,この日の調査において,地下1階に置いてあった書類の中身について,煤により判読不能かを確認して写真に撮ることを して,本件2組のパイプハンガーの中央あわせ部分付近から焼残物を採取した。なお,F1も,この日の調査において,地下1階に置いてあった書類の中身について,煤により判読不能かを確認して写真に撮ることをしていない(甲11,乙10,16の1,27,証人F2)。オまた,K2は,同日,本件事務所に赴き,原告代表者に対し,大塚商会のコンピューターのデータ復旧についてのパンフレットを,手渡すか又は原告代表者の机の上に置くかして,原告代表者が見ることができる状態にした。原告代表者は,大塚商会に電話をして,データの復旧が可能か否かを確認したところ,熱による損傷の場合は復旧が難しいし,NECのオフィスコンピューターであれば,データの仕組みが公表されていないので,大塚商会ではデータの復旧ができないと言われたので,それ以上NECなどに問い合わせることをせず,データの復旧をあきらめた(甲65,乙17,18,49,証人K2,原告代表者)。カ原告は,本件事務所の内装業者であり,東京都港区南青山5-8-10に実在する業者であるJに対し,コンピューターや伝票及び帳簿類も含めて本件火災による焼残物等の処理を依頼し,Jは,原告に対し,同月17日,焼残物等の処理を81万5000円で行うとの見積もりを出した。Jは,株式会社Mに,株式会社MはNに,Nは有限会社Oにそれぞれ同処理を下請けし,有限会社Oは,同月20日から27日にかけて,中防処分場において焼残物等を処理した(甲61,68,乙16,31ないし34)。キタジマ保険事務所は,被告に対し,同月19日,消防から,本件事務所の取り片付けを早期にするよう言われていることを話し,原告に対して焼残物の取り片付けを許可するよう要請した(甲11)。ク F1のF2は,原告代表者に対し,同月24日,銀行や取引先に対する調査について 理を下請けし,有限会社Oは,同月20日から27日にかけて,中防処分場において焼残物等を処理した(甲61,68,乙16,31ないし34)。キタジマ保険事務所は,被告に対し,同月19日,消防から,本件事務所の取り片付けを早期にするよう言われていることを話し,原告に対して焼残物の取り片付けを許可するよう要請した(甲11)。ク F1のF2は,原告代表者に対し,同月24日,銀行や取引先に対する調査について り片付けを早期にするよう言われていることを話し,原告に対して焼残物の取り片付けを許可するよう要請した(甲11)。ク F1のF2は,原告代表者に対し,同月24日,銀行や取引先に対する調査についての同意書に署名押印するよう再び要求し,原告代表者は,銀行に対する調査の際に原告の決算書を持って行かれることを懸念したり,原告の取引先に対する調査の際に,原告の信用が落ちないかどうかを懸念したものの,最終的には,F2の要求に応じて,同意書に署名押印してF2に交付した。そして,原告代表者は,F2に対し,原告代表者個人の印鑑登録証明書,本件火災のり災証明書,損害明細書,り災商品の置き場所についての見取り図を交付し,また,3期分(平成6年11月1日から平成9年10月31日まで)の決算書及びそれに付随する減価償却資産の償却額の計算に関する明細書については,原告の顧問税理士であるU税理士を介して交付した。さらに,F2は,原告代表者に対し,同日,原告代表者個人の平成6年から8年分の所得証明,固定資産の評価証明を交付するよう要求した(甲63,64,乙12,13,16の2,27,証人F2,原告代表者)。ケ原告は,同月28日,本件事務所から新宿区西新宿5丁目16番4号川嶋ビルへ事務所(以下「新事務所」という。)を移転した。その際,原告は,株式会社Rに依頼して,本件事務所内にあった什器備品のうちの一部を新事務所に運んだ(甲59,乙16の3)。コ F2は,原告代表者に対し,平成10年1月6日,再度火災発見前後の状況や原告の経営についての調査を行い,F2が作成した事故経緯書と題する書面に原告代表者の記名押印をさせた。なお,同事故経緯書には,伝票や帳簿類が判読可能であったことやコンピューターのデータが取出し可能であったことについて何らの記載もされていない。また, 書と題する書面に原告代表者の記名押印をさせた。なお,同事故経緯書には,伝票や帳簿類が判読可能であったことやコンピューターのデータが取出し可能であったことについて何らの記載もされていない。 2が作成した事故経緯書と題する書面に原告代表者の記名押印をさせた。なお,同事故経緯書には,伝票や帳簿類が判読可能であったことやコンピューターのデータが取出し可能であったことについて何らの記載もされていない。また, 書と題する書面に原告代表者の記名押印をさせた。なお,同事故経緯書には,伝票や帳簿類が判読可能であったことやコンピューターのデータが取出し可能であったことについて何らの記載もされていない。また,F2は,原告の生産管理責任者G1に対し,同日,原告の提出した損害明細書について,各在庫商品につき納入した縫製業者を記載するように求め,それが記載された損害明細書を受領した(乙16の2,26)。サ F1は,P1銀行渋谷支店,P2銀行中目黒支店,富士銀行池尻大橋支店,同銀行青山支店に対し,同月14日,原告への融資状況等についての調査を行った。原告代表者は,F2に対し,同月16日,銀行へ調査に行くときには前もって伝えると約束していたにもかかわらず,F2は,当日の朝,調査先のメモを原告の新事務所に置いていったにすぎなかったため,原告代表者から,銀行に対して,調査に先立って連絡をすることができなかったとして,文句を言った。また,F2は,原告代表者に対し,同年2月15日までにはF1としての調査を終え,被告に報告すると伝えた(乙16の2,28)。シ F2は,原告代表者に対し,同年1月22日,コンピューターのデータがあれば,決算書の内容の確認も容易にできるが,原告においてコンピューターを処分したので,さらに調査をする必要があり,調査は,同年2月15日までかかると話した(乙30)。ス原告は,同年1月29日,L1に,オフィスコンピューターのリース元がNEC商品リースであることを聞き,NEC商品リースに対し,オフィスコンピューターが本件火災により使用不能になったとして,保険事故届を提出した。原告代表者は,保険事故届が遅れた理由について,リース期間がもう終わっていて,リース物件であるとは認識していなかったが,リース代が引き落とされていることに気付き,リースが て,保険事故届を提出した。原告代表者は,保険事故届が遅れた理由について,リース期間がもう終わっていて,リース物件であるとは認識していなかったが,リース代が引き落とされていることに気付き,リースが終わっていないことを認識したためと陳述ないし供述している(甲61,乙16の1,原告代表者)。 がもう終わっていて,リース物件であるとは認識していなかったが,リース代が引き落とされていることに気付き,リースが て,保険事故届を提出した。原告代表者は,保険事故届が遅れた理由について,リース期間がもう終わっていて,リース物件であるとは認識していなかったが,リース代が引き落とされていることに気付き,リースが終わっていないことを認識したためと陳述ないし供述している(甲61,乙16の1,原告代表者)。セ F1は,原告の営業責任者であるG2に対し,同年2月12日,平成9年11月末現在の原告の販売先について,一覧にして提出するように要求した。F1が,上記一覧表に基づき,平成10年1月29日に行った調査によれば,ブランチという店は,平成9年10月末で閉店しており,同年10月か11月が最後の仕入れであった(乙16の1,2)。ソ F2は,原告代表者に対し,同年2月16日になって,コンピューターの処分状況についての確認をしたところ,原告代表者は,F2に対し,同月17日,Jに廃棄処理を依頼したことを伝えた。F1は,Jに対し,コンピューターの処分についての確認をしたところ,下請に発注したと返答されたが,下請先を明確にされなかった。Jから下請を受けた株式会社Mは,F1に対し,同月23日,コンピューターを含めた廃材の処理をNに依頼したとするファックスを送付した。そこで,F1は,Nに対して確認したところ,Nはさらに,有限会社Oに下請したことが分かった。F1は,有限会社Oに対し,同月27日,廃材処理の状況を確認したところ,有限会社Oは,平成9年12月20日以降に,コンピューターも含めて廃材を,中防処分場に廃棄したと話した。なお,乙16の1には,Jが原告から送付されてきた住所地に存在しなかったとの記載があるが,Jは,原告が申告したとおりの場所に実在している(甲68,乙16の1)。タ被告代理人江口保夫弁護士は,原告代理人上村正二弁護士に対し,平成10年3月6日,原告 に存在しなかったとの記載があるが,Jは,原告が申告したとおりの場所に実在している(甲68,乙16の1)。タ被告代理人江口保夫弁護士は,原告代理人上村正二弁護士に対し,平成10年3月6日,原告から提出されていた在高及び損害見積額明細書について,①各商品の販売予約又は売買契約先名称,所在地,電話番号を明らかにすること,②同予約又は本契約の契約書作成の有無を返答しあればそれを開示すること,③同明細書記載の各単価が販売契約に基づくものか予定価額かを各商品ごとに明らかにすること,④同明細書記載の各商品について,春物,冬物の区別をすること,⑤同明細書の基礎資料は何かを開示し,それを送付することを依頼した。 れていた在高及び損害見積額明細書について,①各商品の販売予約又は売買契約先名称,所在地,電話番号を明らかにすること,②同予約又は本契約の契約書作成の有無を返答しあればそれを開示すること,③同明細書記載の各単価が販売契約に基づくものか予定価額かを各商品ごとに明らかにすること,④同明細書記載の各商品について,春物,冬物の区別をすること,⑤同明細書の基礎資料は何かを開示し,それを送付することを依頼した。これに対し,原告代理人上村正二弁護士らは,被告代理人江口保夫弁護士に対し,同月11日,①売買契約先名称及び所在地は既に書面で回答しているが,電話番号の照会は初めて受けたこと,②販売予約又は販売契約書は作成したが,本件火災により焼失又は判読不能な状態になったことはF1の担当者が本件事務所において確認したこと,③すべて販売契約に基づく販売予定価額であること,④そのような照会を受けたことはないこと,⑤基礎資料はすべて焼失又は判読不能になり存在しないこと,を返答した。これを受けて,被告代理人江口保夫弁護士は,原告代理人らに対し,同月16日,①④についてはさらに照会し,②③は確認していること,⑤基礎資料を焼失したことは聞いたことを伝え,⑥売買契約書や基礎資料については判読不能部分も含めて示すこと,⑦コンピューターの機器及び付属品を示すことを依頼した。原告代理人らは,被告代理人江口保夫弁護士に対し,同月20日,①④については,明らかにした資料を送付し,⑥売買契約書や基礎資料は既に処分してしまったこと,損害明細書は実施棚卸しに基づいて作成したこと, 告代理人らは,被告代理人江口保夫弁護士に対し,同月20日,①④については,明らかにした資料を送付し,⑥売買契約書や基礎資料は既に処分してしまったこと,損害明細書は実施棚卸しに基づいて作成したこと,⑦コンピューターは使用不能であったとする書面を送付した(甲5の1及び2,6,9,10)。チ被告は,原告に対し,同年4月2日,本件企業保険契約については,故意又は重大な過失免責,帳簿その他の閲覧拒否による保険契約解除及び不実申告免責による解除により,本件テナント保険契約については,故意又は重大な過失免責及び不実申告免責により,それぞれ支払義務がないとして,不払決定を行った旨を通知した。原告代理人らは,被告に対し,同月4日,上記不払決定について,異議を述べた(争いのない事実,甲7,8の1及び2)。 原告に対し,同年4月2日,本件企業保険契約については,故意又は重大な過失免責,帳簿その他の閲覧拒否による保険契約解除及び不実申告免責による解除により,本件テナント保険契約については,故意又は重大な過失免責及び不実申告免責により,それぞれ支払義務がないとして,不払決定を行った旨を通知した。原告代理人らは,被告に対し,同月4日,上記不払決定について,異議を述べた(争いのない事実,甲7,8の1及び2)。ツ原告は,同月ころ,事実上倒産し,営業をやめている(原告代表者)。(3) 原告の経済状態原告の経済状態について,証拠によれば以下の事実を認めることができる。ア決算等の関係について(ア) 原告は,被告に対し,本件企業保険契約を締結するに当たり,平成7年度の決算書について売上高を過大計上するなどの粉飾した決算書を提出した。なお,同決算書は,原告において,取引先から決算書を見せるように要求された場合に備えて作られたものである(甲63,乙11,原告代表者)。(イ) 原告において正確であると主張する決算書(甲63,乙12,13)については,3期分とも負債の方が多く,債務超過の状態にあり,固定資産と固定負債のバランスが悪く,長期借入金を運転資金として使用しているのではないかとの見解を記した報告書や,原告の粉飾した決算書は,ほとんどの科目の金額を操作して決算書として矛盾がないように粉飾されていることから,相当な会計知識がある者が粉飾を行っていること ているのではないかとの見解を記した報告書や,原告の粉飾した決算書は,ほとんどの科目の金額を操作して決算書として矛盾がないように粉飾されていることから,相当な会計知識がある者が粉飾を行っていることが推認され,原告において粉飾していないとする決算書も信頼できる決算書とはいえないとする公認会計士の意見書が存在する(乙16の2,48)。(ウ) また,後記イ(イ)(ウ)のとおり,原告には,総計約7500万円の簿外債務が存在する。イ銀行取引について(ア) P1銀行原告は,本件火災当時において,P1銀行から,約1億7000万円の借入れをしていたが,これらの借入れに関して,平成7年1月ころから延滞が生じており,平成8年2月19日,同年7月26日,平成9年2月27日などに返済条件を変更して返済額を減額してもらっており,さらに,同年9月29日には,各借入れに関し,毎月元金5万円の返済であったものを2万円の返済に変更してもらうなど,大幅な借入額の減額をしている(乙16の2)。 件火災当時において,P1銀行から,約1億7000万円の借入れをしていたが,これらの借入れに関して,平成7年1月ころから延滞が生じており,平成8年2月19日,同年7月26日,平成9年2月27日などに返済条件を変更して返済額を減額してもらっており,さらに,同年9月29日には,各借入れに関し,毎月元金5万円の返済であったものを2万円の返済に変更してもらうなど,大幅な借入額の減額をしている(乙16の2)。なお,原告は,P1銀行に短期融資の枠を減額されたから,返済額を減らすために,返済を意図的にストップするなどして交渉していたとして,原告の借入金の延滞が経済状況の悪化に伴うものではないと主張するが,上記のとおり,複数回にわたり,返済額を減額していることやP1銀行との取引経過を見ても,原告の主張を裏付けるに足りる証拠はないから,原告の主張は採用することができない。(イ) P2銀行原告のP2銀行への借入金は,平成9年10月末現在において6998万4000円であるが,原告は,P2銀行の借入金について決算書に記載していない。上記借入金の従前の契約条件は,7000万円を上限として借り入れることができ,残高の60分の1を支払えばよいという内容であったが,原告とP2銀行は,平成9年11 入金について決算書に記載していない。上記借入金の従前の契約条件は,7000万円を上限として借り入れることができ,残高の60分の1を支払えばよいという内容であったが,原告とP2銀行は,平成9年11月13日,元金10万円を返済する内容の債務承認弁済契約を締結している(乙16の2,原告代表者)。なお,原告代表者は,P2銀行からの借入れは,原告代表者個人のものではあるが,名義のみを原告にしていたものであり,同借入れについては,知人の会社に投資をしたが,結局損をしたものであると陳述(甲61)ないし供述するが,証拠(乙16の1)によれば,本件借入れについての抵当権は,原告代表者個人の所有物件に付けられており,原告代表者個人が借り入れたのであれば,あえて借入れ名義だけを原告にする必要はないと考えられるし,同借入れの使途についても客観的な裏付け証拠はなく,真に個人として費消したことについても不明であるから,原告代表者の陳述ないし供述は採用することができない。(ウ) P3銀行原告は,P3銀行に対し,平成9年10月30日当時において,4676万7000円の借入金を負っており,同日,返済条件の変更を行い,毎月の返済額を100万円余りから23万円に大幅に減額している。 けを原告にする必要はないと考えられるし,同借入れの使途についても客観的な裏付け証拠はなく,真に個人として費消したことについても不明であるから,原告代表者の陳述ないし供述は採用することができない。(ウ) P3銀行原告は,P3銀行に対し,平成9年10月30日当時において,4676万7000円の借入金を負っており,同日,返済条件の変更を行い,毎月の返済額を100万円余りから23万円に大幅に減額している。原告の決算書上は,同月31日時点のP3銀行への借入金残高が4126万7000円とされており,約500万円が簿外債務となっている(乙13,乙16の2)。(エ) P4公庫原告は,P4公庫から,平成5年7月に1500万円,平成8年6月に850万円,平成9年6月に2800万円の融資を受けており,平成10年1月当時,それぞれ,200万円,600万円,2565万円の残高があり,平成8年8月及び平成9年2月にそれぞれ支払を遅滞している(乙16の2)。原告代表者は,上記遅滞は事務手続上のミスにすぎない 年1月当時,それぞれ,200万円,600万円,2565万円の残高があり,平成8年8月及び平成9年2月にそれぞれ支払を遅滞している(乙16の2)。原告代表者は,上記遅滞は事務手続上のミスにすぎないと陳述(甲61)ないし供述しているが,P1銀行に対する借入れに関し,平成8年7月と平成9年2月に返済額を減額してもらっていることに照らすと,たやすく採用することはできない。ウその他の取引先について(ア) 納入先についてF1が,平成10年6月16日から同年8月18日までに行った調査によれば,原告が納入先として申告した店舗のうち,原告製品が置かれていたのは20店舗余りにすぎない(乙23ないし25)。(イ) 佐川急便原告は,佐川急便渋谷営業所に対する支払について,平成9年11月20日が支払期日の49万4329円,同年12月20日が支払期日の16万0041円をそれぞれ支払っていない(乙40,41,証人F2,原告代表者)。(ウ) 仕入先について原告は,本件火災まで,仕入先に対する支払を滞らせたことはない(甲22(枝番含む)ないし25,27ないし53,乙16の3)。(4) 原告代表者個人の経済状態証拠(乙16の2)によれば,原告代表者個人の平成6年から8年の所得のうち,税務署に申告しているのは,各年について252万円の給与所得のみであると認められ,不動産所得があったと認めるに足りる証拠はない。 証人F2,原告代表者)。(ウ) 仕入先について原告は,本件火災まで,仕入先に対する支払を滞らせたことはない(甲22(枝番含む)ないし25,27ないし53,乙16の3)。(4) 原告代表者個人の経済状態証拠(乙16の2)によれば,原告代表者個人の平成6年から8年の所得のうち,税務署に申告しているのは,各年について252万円の給与所得のみであると認められ,不動産所得があったと認めるに足りる証拠はない。また,証拠(乙16の2)によれば,原告代表者は,原告の8割の株を有する株主で,原告の取締役は,代表取締役である原告代表者の外,原告代表者の母と妻が就任していることが認められる。さらに,その他原告代表者個人の経済状態に関し,証拠によれば,以下の事実が認められる。ア P3銀行原告代表者個人は,P3銀行から,平成2年12月,アパート底地購入資金として,3 ことが認められる。さらに,その他原告代表者個人の経済状態に関し,証拠によれば,以下の事実が認められる。ア P3銀行原告代表者個人は,P3銀行から,平成2年12月,アパート底地購入資金として,3600万円を借り入れ,平成7年までは,毎月27万1720円ずつ返済していたが,平成8年からは14万2560円ずつ返済しており,平成9年7月からは延滞している(乙16の2)。原告は,平成8年から返済額が約半額になったことについて,当初からそういう契約であり,5年後からは,定額の元金と毎月発生する利息を支払うことになっていたと主張し,原告代表者はこれに沿う陳述(甲61)ないし供述をしているが,証拠(乙16の2)によれば,そもそも,当初から,毎月27万1720円の30年ローンとして契約したものであること,平成8年1月の段階で,残元金は3400万円近くあること,さらに,平成8年1月以降,14万2560円ずつ定額で返済していることが認められ,たとえ定額の元金返済に変更したとしても約半額の返済になるとは考えられず,また,定額の元金返済であるなら,利息も含めると定額にはならないはずであるのに,実際には利息も含め定額返済しているから,原告の主張する事実は認めることができない。また,原告は,平成9年7月以降の延滞は,返済日を忘れていたためであると主張し,原告代表者は,これに沿う陳述(甲61)ないし供述をしているが,上記のように,原告代表者は,返済額を減額してもらっていることなどに照らし,たやすく採用することはできない。 定額の元金返済であるなら,利息も含めると定額にはならないはずであるのに,実際には利息も含め定額返済しているから,原告の主張する事実は認めることができない。また,原告は,平成9年7月以降の延滞は,返済日を忘れていたためであると主張し,原告代表者は,これに沿う陳述(甲61)ないし供述をしているが,上記のように,原告代表者は,返済額を減額してもらっていることなどに照らし,たやすく採用することはできない。イあさひ銀行原告代表者個人は,あさひ銀行と,昭和63年4月,極度額3500万円の大型カードローン契約を締結しており,最近では,利息のみ支払をしており,残高は3500万円を超えている(乙16の2)。原告は,金利を下げる交渉のため,意図的に支 昭和63年4月,極度額3500万円の大型カードローン契約を締結しており,最近では,利息のみ支払をしており,残高は3500万円を超えている(乙16の2)。原告は,金利を下げる交渉のため,意図的に支払を止めていたと主張し,原告代表者もこれに沿う陳述(甲61)ないし供述をしているが,他にこれを裏付ける客観的証拠はないし,前記(ア)のとおり,原告代表者個人も他の銀行に対しては返済額を減額してもらっているし,また,前記(3)イのとおり,原告は,銀行に対する多額の負債について,返済に窮していたと認められることに照らし,採用することはできない。(5) 原告の保険金請求歴原告の保険金請求歴及びその後の保険契約について,証拠によれば,以下の事実が認められる。ア原告は,平成8年8月15日,本件事務所において盗難に遭っている。警察に逮捕された犯人は,警察に対し,本件事務所の1階の出入口のドアを破壊して侵入し,現金の盗難については明確な記憶がないが,商品を盗んではおらず,また,1階の鍵を開けたまま逃走したと供述している(乙16の3)。イ原告は,同月17日,商品及び有価証券の盗難事故に気付き,4966万7410円の損害の申告をし,被告から,盗難保険に基づき,保険金4300万1845円を取得した(乙16の3)。ウ原告代表者は,上記盗難事故により保険金は下りたものの,上下でセットのスーツについて,ズボンだけを盗まれた場合,上着だけで売るわけにはいかないから,実質的には,上下セットのスーツの分の損害があるにもかかわらず,保険金は盗まれたズボンの損害分しか下りなかったので,完全に損失を補填できず,また,盗難により,販売店に商品の納入ができなくなると,次のシーズンの納入が減ってしまうなどの損害も生じたことから,原告は,タジマ保険事務所を通じて,被告との間 たものの,上下でセットのスーツについて,ズボンだけを盗まれた場合,上着だけで売るわけにはいかないから,実質的には,上下セットのスーツの分の損害があるにもかかわらず,保険金は盗まれたズボンの損害分しか下りなかったので,完全に損失を補填できず,また,盗難により,販売店に商品の納入ができなくなると,次のシーズンの納入が減ってしまうなどの損害も生じたことから,原告は,タジマ保険事務所を通じて,被告との間 かったので,完全に損失を補填できず,また,盗難により,販売店に商品の納入ができなくなると,次のシーズンの納入が減ってしまうなどの損害も生じたことから,原告は,タジマ保険事務所を通じて,被告との間に,同月29日,本件企業保険契約を締結したと陳述している(甲61)。2 争点(1)について上記に認定した事実を基に,まず,争点(1)(故意による事故招致免責)について判断する。(1)ア前記1(1)に認定したとおり,本件火災の出火原因は,本件事務所の出入口の合い鍵を所持した何者かが,合い鍵を用いて本件事務所に侵入し,本件2組のハンガーパイプのあわせ部分の床下に灯油を散布して放火したものであるところ,かかる放火の態様自体からすると,何者かが特定の目的を持って放火したことが推認されるし,また,合い鍵を所持している原告関係者の関与の可能性が強く疑われる。イそこで,原告代表者が放火をする動機を有していたか否かについて検討するに,前記1(3)(4)に認定したとおり,原告代表者の個人会社ともいえる原告は,銀行に対して,約3億2000万円の借入金を有し,そのうち約7500万円を簿外債務としていたこと,原告代表者個人においても,3500万円を超える借金を負っており,原告及び原告代表者個人は,本件火災に近接する平成9年9月末などに,各借入金の返済条件を緩和するなどの変更を行っていたのであって,原告及び原告代表者個人は,これらの借入金の返済が困難になってきていたと認めることができる。もっとも,前記1(3)ウ(イ)(ウ)に認定したとおり,原告は,佐川急便渋谷営業所に対する支払を怠ったことがあるものの,仕入先に対しての支払を怠ったことはないことが認められる。しかし,前記(3)アのとおり,原告は,平成7年から平成9年の各決算において,負債が資産を上回って債務 に対する支払を怠ったことがあるものの,仕入先に対しての支払を怠ったことはないことが認められる。 きていたと認めることができる。もっとも,前記1(3)ウ(イ)(ウ)に認定したとおり,原告は,佐川急便渋谷営業所に対する支払を怠ったことがあるものの,仕入先に対しての支払を怠ったことはないことが認められる。しかし,前記(3)アのとおり,原告は,平成7年から平成9年の各決算において,負債が資産を上回って債務 に対する支払を怠ったことがあるものの,仕入先に対しての支払を怠ったことはないことが認められる。しかし,前記(3)アのとおり,原告は,平成7年から平成9年の各決算において,負債が資産を上回って債務超過の状態にあり,平成7年及び平成8年には営業損失も生じており,平成7年においては原告の業績が良好であることを取引先に示すために粉飾決算書を作成していたほどであり,また,前記のとおり銀行に対する返済が困難な状況にあり,営業を続けるために,銀行に対する返済を止めつつ,仕入先に対しては支払を続けたり,長期借入金を運転資金として使用していたとも考えられるのであり,原告が仕入先に対する支払を怠ったことがないことをもって,経済的に逼迫していなかったということはできず,本件火災時における原告の状況は,経済的にも困難な状況にあり,原告代表者には本件火災を惹起することにより保険金を得ようとする動機が存していたものと認められる。ウそこで,さらに,本件火災後の原告の被告の調査に対する対応に不自然な点があるか否かを検討する。(ア) 伝票や帳簿類の提出について前記1(2)イクに認定したとおり,原告は,K2から提出を求められた資料のうち,前年及び平成9年10月末の決算データ,平成9年10月末の在庫調べ,損害明細及び損害品の置き場所については提出し,資産台帳については決算書附属の書類により什器備品の資料を提出しているが,毎月の売上と仕入れの金額については提出していないし,調査会社が銀行や取引先に対する調査を行う際の同意書の提出についても一旦拒否をして,同年12月24日に提出した。そして,毎月の売上と仕入れの金額については,伝票や帳簿類で確認することができることは原告代表者も供述しているとおりであるところ,前記1(2)カに認定したとおり,原告は,Jに対し,同年1 提出した。そして,毎月の売上と仕入れの金額については,伝票や帳簿類で確認することができることは原告代表者も供述しているとおりであるところ,前記1(2)カに認定したとおり,原告は,Jに対し,同年12月17日に,本件事務所の伝票や帳簿類を含む焼残物の処理を依頼して処分し,前記1(2)タに認定したとおり,原告は,被告に対し,平成10年3月の段階において,伝票や帳簿類は重ねてあった部分についても煤が入り込み,黒くなって判読不能であったとの見解を通知している。 伝票や帳簿類で確認することができることは原告代表者も供述しているとおりであるところ,前記1(2)カに認定したとおり,原告は,Jに対し,同年12月17日に,本件事務所の伝票や帳簿類を含む焼残物の処理を依頼して処分し,前記1(2)タに認定したとおり,原告は,被告に対し,平成10年3月の段階において,伝票や帳簿類は重ねてあった部分についても煤が入り込み,黒くなって判読不能であったとの見解を通知している。しかし,前記1(1)に認定した本件火災の状況によれば,重ねてある伝票や帳簿類について,中につづられている書類までもがすべて黒くなって判読不能になるとは考え難いから,原告が,伝票や帳簿類について,判読可能であったにもかかわらず,進んで被告に提出することなく処分してしまったとの疑いが残るし,原告が当初調査会社が銀行や取引先に対する調査を行う際の同意書の提出を拒否していたことからも,原告の被告の調査に対する消極的姿勢と理解することができる。一方,K2が,原告代表者に対して,平成9年12月に伝票や帳簿類の提出を明確に指示したとまではいえないことは前記1(2)イに認定したとおりであるし,また,被告が,K2やF1などの調査会社に,本件事務所の調査をさせた際,調査会社が,本件事務所の地下1階にあった書類等についてはきちんと確認もせず,また,重ねてある伝票や帳簿類のうち中につづられている部分が判読可能であったか否かの記録を残していないのは,前記1(2)イに認定したとおりである。さらに,前記1(2)カキに認定したとおり,原告は,Jに対し,本件事務所の焼残物等の処理を依頼した後の同月19日に,タジマ保険事務所を通じて本件事務所の焼残物等の処分の許可を求めている。そうすると,確かに,原告においても,多 したとおり,原告は,Jに対し,本件事務所の焼残物等の処理を依頼した後の同月19日に,タジマ保険事務所を通じて本件事務所の焼残物等の処分の許可を求めている。そうすると,確かに,原告においても,多額の保険金の支払が問題となるであろう本件火災について,伝票や帳簿類を提出せずに処分してしまい,また,調査に対する同意書も早急に提出しないのは,不自然であり,被告の調査に対し協力的な対応をしなかったと評価せざるを得ないが,上記のとおり,被告が伝票や帳簿類について明確に提出するよう要求していないことや,当初,伝票,帳簿類の状態についてきちんと調査を行い記録を残すなどの関心を示していなかったことなどに照らすと,いまだ,原告において,被告の調査を妨害する意図で行ったものと認定することはできない。 ,また,調査に対する同意書も早急に提出しないのは,不自然であり,被告の調査に対し協力的な対応をしなかったと評価せざるを得ないが,上記のとおり,被告が伝票や帳簿類について明確に提出するよう要求していないことや,当初,伝票,帳簿類の状態についてきちんと調査を行い記録を残すなどの関心を示していなかったことなどに照らすと,いまだ,原告において,被告の調査を妨害する意図で行ったものと認定することはできない。(イ) コンピューターのデータについて前記1(2)ウオカに認定したとおり,L1のL2は,平成9年12月11日に,2000年問題対応のため,本件事務所を訪れたが,本件事務所内には入れてもらえなかったし,また,原告代表者は,同月12日に,K2から交付された大塚商会のコンピューターデータ復旧のパンフレットに基づき,大塚商会に電話したものの,同商会からオフィスコンピューターの場合,データの仕組みが公表されていないから復旧は難しいと言われて,それ以上NECにデータの復旧について問い合わせをすることなく,コンピューターを処分したことが認められる。原告は,原告の使用していたコンピューターは1箇月ごとに売上や仕入れを集計してプリントアウトし,その後,データがいっぱいになってしまうのでデータを削除していたから,コンピューターにはそれほどデータは入っておらず,重要でもないと主張し,原告のコンピューターソフトのメンテナンスを担当していたI2もこれに沿う陳述(甲54)をし,原告 のでデータを削除していたから,コンピューターにはそれほどデータは入っておらず,重要でもないと主張し,原告のコンピューターソフトのメンテナンスを担当していたI2もこれに沿う陳述(甲54)をし,原告代表者もこれに沿う陳述(甲61)ないし供述をしている。しかし,いくら大量のデータを入力したとしても,それほどすぐにコンピューターが容量オーバーになるとは考え難く,また,証拠(乙16の1)によれば,コンピューターの保守点検を行っていたL3株式会社(以下「L3」という。)において,原告では納品や受発注のデータ発行,顧客データの管理もコンピューターで行っていたため,その業務を行うだけの容量と能力のある機械を納入していたことが認められ,この事実に照らしても,コンピューターには,1箇月より短い期間のデータしか入っていなかったとの原告の主張は認めることはできない。 く,また,証拠(乙16の1)によれば,コンピューターの保守点検を行っていたL3株式会社(以下「L3」という。)において,原告では納品や受発注のデータ発行,顧客データの管理もコンピューターで行っていたため,その業務を行うだけの容量と能力のある機械を納入していたことが認められ,この事実に照らしても,コンピューターには,1箇月より短い期間のデータしか入っていなかったとの原告の主張は認めることはできない。そうすると,コンピューターのデータは,原告が営業を続けるに当たっては,非常に重要なものであると評価されるのであるが,上記のとおり,L1のL2が訪問した際に,L2が現実にデータの復旧についての知識を有しているかはさておき,コンピューターの状態を確かめてもらったり,データの復旧についての問い合わせもしていないこと,また,原告代表者が,大塚商会に問い合わせた際に,データの仕組みが公表されていないから復旧が無理だと言われただけであきらめ,NECにデータの復旧について問い合わせをしていないのは,不自然であると評価される。また,証拠(乙16の1)によれば,L3が,原告との間で,コンピューターについて,保守点検が付帯されたリース契約を締結しており,本件火災前1年間で7回,平成9年11月25日にも,本件事務所に点検に赴いていることが認められるから,原告代表者又は原告従業員は,当然にコンピューターがリース契約 帯されたリース契約を締結しており,本件火災前1年間で7回,平成9年11月25日にも,本件事務所に点検に赴いていることが認められるから,原告代表者又は原告従業員は,当然にコンピューターがリース契約であることを知っていたと推認されるにもかかわらず,前記1(2)カスのとおり,原告は,リース契約であることを失念していたとして,本件火災後まもなくL3の了解を得ないでコンピューターを処分し,その処分から約1箇月後の平成10年1月29日になってL3に対し事故届を提出したのも不自然であると評価される。他方において,前記1(2)タに認定したとおり,被告が,原告に対し,コンピューターのデータ提出を明確に要求したのは,平成10年3月に入ってからであり,F2が,原告代表者に対し,コンピューターのデータがあれば調査が早く進むという趣旨の発言をしたのも同年1月22日であって,被告が,原告に対し,平成9年12月中に,コンピューターのデータ提出を要求したと認めることはできない。 たのも不自然であると評価される。他方において,前記1(2)タに認定したとおり,被告が,原告に対し,コンピューターのデータ提出を明確に要求したのは,平成10年3月に入ってからであり,F2が,原告代表者に対し,コンピューターのデータがあれば調査が早く進むという趣旨の発言をしたのも同年1月22日であって,被告が,原告に対し,平成9年12月中に,コンピューターのデータ提出を要求したと認めることはできない。そうすると,前記1(2)カに認定したとおり,原告は,Jに対し,同月17日に焼残物等の処理を依頼していること,被告に対し,同月19日に,焼残物の処分の許可を求めていること,同月28日には,本件事務所から新事務所に移転していることが認められるから,原告において,同月中に,被告から明確にコンピューターのデータの提出を求められていない以上,これを廃棄したとしても,殊更に被告の調査を妨害する意図の下行ったと認定することはできない。また,被告は,原告の提出した損害明細書は詳細なものであったから,コンピューターのデータがなければその作成は不可能なはずで,コンピューターはいまだ作動しており,また,新事務所への移転後も営業を続けているから,コンピューターも処分していないはずだと主張するが,コンピューター ーのデータがなければその作成は不可能なはずで,コンピューターはいまだ作動しており,また,新事務所への移転後も営業を続けているから,コンピューターも処分していないはずだと主張するが,コンピューターが作動していることや処分していないことを立証するに足りる証拠はないから,採用することはできない。さらに,被告は,原告が,F1のコンピューターの所在についての調査を処分委託先を不明確にすることにより妨げたと主張するが,前記1(2)カソに認定したとおり,原告が,処分委託先であると申告したJは原告申告どおりの住所地に実在したのに,F1の調査が不十分で発見できなかったにすぎず,また,原告が,Jがどこに下請に出したかについて明確に知らなかったとしても,それをもって,F1の調査を妨げたということはできないから,被告の主張は採用できない。(ウ) 上記によれば,原告において,営業継続の意思があるのであれば,コンピューターについては,被告からの依頼があろうとなかろうと,データ復旧に向けて最善の努力をするのが当然と考えられるのに,そこまでの努力をしていないという点で原告代表者の対応は不自然ではあるが,他方,被告においても,原告がコンピューターを処分した後になって,データを提出するよう要求したのにすぎないから,上記のことをもって,原告が,被告の調査を妨げたということはできない。 継続の意思があるのであれば,コンピューターについては,被告からの依頼があろうとなかろうと,データ復旧に向けて最善の努力をするのが当然と考えられるのに,そこまでの努力をしていないという点で原告代表者の対応は不自然ではあるが,他方,被告においても,原告がコンピューターを処分した後になって,データを提出するよう要求したのにすぎないから,上記のことをもって,原告が,被告の調査を妨げたということはできない。エ不実申告について(ア) 事務用機器及び什器備品について前記1(2)ケに認定したとおり,原告は,新事務所への移転の際に,什器備品について運び込んでいる一方で,被告に提出した損害明細には,運び込んだ什器備品も含めて申告していることが認められる。これに対し,原告は,什器備品については,本件火災によって煤で汚れにおいがついて実際には使用不能と評価される状態であったが,保険金が出ない段階 込んだ什器備品も含めて申告していることが認められる。これに対し,原告は,什器備品については,本件火災によって煤で汚れにおいがついて実際には使用不能と評価される状態であったが,保険金が出ない段階にあっては,カバーをするなどして使用するほかなく,そのために新事務所へ運んだが,実際には使用不能と評価されるのであるから,損害明細に記載したと主張し,原告代表者もこれに沿う陳述(甲61)ないし供述をしている。保険金が出ない段階にあっても,あえて本件事務所から新事務所まで運んで継続使用している以上は,什器備品は使用不能であったとはいえないのではないかとの疑問もないではない。しかし,証拠(証人K2)によれば,K2も,什器備品は使えないものが多いと思ったと証言し,K2は,本件事務所にあった什器備品のうち何が使用可能で何が使用不可能であったかということについて調査を行い記録として残すことをしていないことが認められる。そうすると,原告代表者の陳述ないし供述をいまだ虚偽であるとして排斥することはできず,原告が,使用可能な什器備品まで損害品として申告したものと認定することはできない。(イ) 商品について被告は,原告が,本件火災後,新事務所へ移転して営業を継続していたから,本件事務所内にあったすべての商品がり災したとはいえないとして,原告の商品についての損害の申告は虚偽であると主張する。しかし,原告の新事務所へ移転してからの営業状態がどのようなものであったかを証明するに足りる証拠はないし,また,被告において原告が実施棚卸しに基づき提出した損害明細書のうち,虚偽であるとして明確な主張をしているのは,H1からの150着の納品があったのに計上されていないという点のみであって,その他については,どの申告商品が虚偽であるかを明確に主張していない。 についての損害の申告は虚偽であると主張する。しかし,原告の新事務所へ移転してからの営業状態がどのようなものであったかを証明するに足りる証拠はないし,また,被告において原告が実施棚卸しに基づき提出した損害明細書のうち,虚偽であるとして明確な主張をしているのは,H1からの150着の納品があったのに計上されていないという点のみであって,その他については,どの申告商品が虚偽であるかを明確に主張していない。前記1(2 偽であるとして明確な主張をしているのは,H1からの150着の納品があったのに計上されていないという点のみであって,その他については,どの申告商品が虚偽であるかを明確に主張していない。前記1(2)イのとおり,K2は,本件事務所において,り災商品について実際に数えようと思えば可能な状態であったのにもかかわらず,実際には数えることをしていないし,また,証拠(証人K2)によれば,写真等から数えられるとしていた分についても,その後数えた形跡はなく,結局,被告において,り災商品の正確な把握が可能であったのにもかかわらず,それをしていないことに照らすと,原告の実施棚卸しによる損害の申告をいまだ虚偽であるとして排斥することはできない。そうすると,原告が,被告に対し,り災商品について,虚偽の申告をしたということはできない。オ原告の保険金請求歴について前記1(5)に認定したとおり,原告は,被告に対し,平成8年8月に盗難に遭ったとして,保険金を請求して受領したことが認められ,原告代表者は,従前の保険契約のみでは填補しきれない損害があったから,企業利益保険契約にも加入したと陳述している。B3は,平成8年8月の盗難による保険金請求の際も,原告は,コンピューターのデータの提出を拒否していたし,また,盗難されたとする商品の量が多すぎることなどをもって,本当に盗難があったかどうか疑問であると陳述(乙50)しており,また,K2も,同保険金請求の際,データがそろった時点で,損害額の鑑定をしたが,コンピューターのデータがなかったようであると証言するが,現に被告が原告に対し保険金を支払っていることは,前記1(5)イに認定したとおりであり,他に盗難の具体的な状況やその後の原告の保険金請求の状況についての何の証拠もない本件においては,B3やK2の上記陳述ないし証言 対し保険金を支払っていることは,前記1(5)イに認定したとおりであり,他に盗難の具体的な状況やその後の原告の保険金請求の状況についての何の証拠もない本件においては,B3やK2の上記陳述ないし証言は採用することができない。 っていることは,前記1(5)イに認定したとおりであり,他に盗難の具体的な状況やその後の原告の保険金請求の状況についての何の証拠もない本件においては,B3やK2の上記陳述ないし証言 対し保険金を支払っていることは,前記1(5)イに認定したとおりであり,他に盗難の具体的な状況やその後の原告の保険金請求の状況についての何の証拠もない本件においては,B3やK2の上記陳述ないし証言は採用することができない。また,原告は,被告と,平成8年8月末に企業利益保険契約を締結し,その契約が1回更新された後である平成9年12月8日という,比較的近接した時期に本件火災が発生しているが,前記1(5)ウのとおりの原告代表者の,従前の保険契約のみでは損害をすべて填補することはできなかったので本件企業保険契約を締結したとする陳述が,合理性を欠くものということはできない。そうすると,原告が,過去に盗難による保険金を受領した経験を有することは,原告代表者ないしその意を受けた何者かが本件火災を惹起させたという事実を推認させるものであるということはできない。カ以上によれば,本件火災については,何者かが,本件事務所に,合い鍵を用いて侵入し,灯油を散布して放火したものと認められ,原告及び原告代表者は,本件火災当時経済的に逼迫していた状態にあったことが認められるから,原告代表者は,放火についての動機を持つものと評価され,さらに,本件火災後に被告の調査を妨害したり,不実申告をしたものとまでの認定はできないものの,従前の営業活動を継続することを希望し,また,保険金の迅速な支払を受けるための調査活動に協力的な姿勢をとるという点において,いささか不自然な行動があることは認めざるを得ず,このような事情を考慮すると,本件火災は,原告代表者又はその意を受けた何者かが放火をしたことによって発生したものであることが疑われないわけではない。(2) そこでさらに,本件火災前後の原告代表者の行動等について検討する。ア本件火災前後の原告代表者の行動等について,証拠によれば したことによって発生したものであることが疑われないわけではない。(2) そこでさらに,本件火災前後の原告代表者の行動等について検討する。ア本件火災前後の原告代表者の行動等について,証拠によれば,以下の事実が認められる。(ア) 鍵の所持者について証拠(乙1の3)によれば,本件事務所の鍵は,原告代表者を含め,原告従業員9名が所持している上,退職者についての所持関係が明確でないことが認められる。 よれば したことによって発生したものであることが疑われないわけではない。(2) そこでさらに,本件火災前後の原告代表者の行動等について検討する。ア本件火災前後の原告代表者の行動等について,証拠によれば,以下の事実が認められる。(ア) 鍵の所持者について証拠(乙1の3)によれば,本件事務所の鍵は,原告代表者を含め,原告従業員9名が所持している上,退職者についての所持関係が明確でないことが認められる。なお,証拠(乙16の1)によれば,本件事務所の鍵の所持者は,本件事務所のオーナーと原告代表者や従業員の原告関係者のみであるとの記載もあるが,同記載には,何ら裏付けとなる記載がなく,どのような調査によって判明したかが不明であるから,上記のとおり,鍵の所持関係は不明確であるといわざるを得ない。(イ) 本件火災の発見状況について,原告代表者及びC1は,以下のとおり陳述(甲18,19,61)ないし供述(証言)をしている。a 原告代表者は,平成8年度の「Dチャリティーゴルフコンペ」で優勝したので,平成9年12月8日に開催される平成9年度の「Dチャリティーゴルフコンペ」(磯子カンツリークラブにおいて開催)に,原告の製造販売するコートを景品として出品しようと考えていた。原告代表者は,同月5日(金曜日)の帰宅時に,本件事務所から,景品とするコートを持っていくのを忘れ,同月7日(日曜日)の午後,そのことに気付いたので,翌日,ゴルフコンペに一緒に行くことになっていたC1に対し,電話で,商品を持っていくために本件事務所に寄りたいので,翌日午前5時ころ迎えに来てくれるよう依頼した。bC1は,同月8日午前4時50分ころ,東京都杉並区永福4丁目7番4号にある自宅を出発し,同日午前5時ころ,東京都目黒区東山3丁目16番25号にある原告代表者の自宅に到着した。そし よう依頼した。bC1は,同月8日午前4時50分ころ,東京都杉並区永福4丁目7番4号にある自宅を出発し,同日午前5時ころ,東京都目黒区東山3丁目16番25号にある原告代表者の自宅に到着した。そして,C1は原告代表者を乗せて,本件事務所に向かい,同日午前5時15分ころ,本件事務所に到着した。c 原告代表者は,本件事務所に到着し,1階のドアを鍵を開けて開いたところ,本件事務所の中から,激しい勢いで煙が出てきた。原告代表者は,火事だと思い,すぐに同日午前5時20分ころ,自身の持っていた携帯電話で,消防に119番通報した。 ,東京都目黒区東山3丁目16番25号にある原告代表者の自宅に到着した。そして,C1は原告代表者を乗せて,本件事務所に向かい,同日午前5時15分ころ,本件事務所に到着した。c 原告代表者は,本件事務所に到着し,1階のドアを鍵を開けて開いたところ,本件事務所の中から,激しい勢いで煙が出てきた。原告代表者は,火事だと思い,すぐに同日午前5時20分ころ,自身の持っていた携帯電話で,消防に119番通報した。d その後,消防署員が到着し,本件事務所に入って,火元を捜索した結果,火元が見つかったようだったので,C1は,同日午前5時45分ころ,原告代表者から本件ゴルフコンペの参加費を受け取って,C1だけ磯子カンツリークラブに向かった。(ウ) 本件火災時の原告代表者の行動に関する本件火災後のF1等の調査及び原告代表者とC1の関係等について,証拠によれば,以下の事実が認められる。a 原告代表者宅から,磯子カンツリークラブに向かうのに,本件事務所に立ち寄ることは,逆方向に向かうことになり,回り道となる(乙16の2)。b 原告代表者は,消防に対し,本件火災は,C1と一緒に本件事務所に来て発見したと申告した(乙1の2,原告代表者)。cF1は,原告代表者に対し,平成9年12月12日,初めて本件事務所に赴いたとき,本件火災発見時に誰と一緒にいたかについて聞かなかった(甲61,乙16の1,証人F2,原告代表者)。dF2は,原告代表者に対し,初めて自ら調査を行った同月24日,本件火災発見前後の状況については聞いているが,原告代表者が本件事務所に誰と同行していたかについては聞かなかった(甲61,乙28,証人F2,原告代表者)。eF 初めて自ら調査を行った同月24日,本件火災発見前後の状況については聞いているが,原告代表者が本件事務所に誰と同行していたかについては聞かなかった(甲61,乙28,証人F2,原告代表者)。eF2は,原告代表者に対し,平成10年1月6日,調査をしているが,原告代表者は,C1と同行していたことを話さなかった(甲61,乙26,証人F2,原告代表者)。fF2は,Dに対し,原告代表者が本件ゴルフコンペの欠席の連絡をどのように伝えたかを調査したところ,Dは,あまり記憶がない様子ではあったが,原告代表者の友人のEを通じて連絡を受けた旨返答した。その後,F2は,原告代表者に対し,本件ゴルフコンペへの欠席に関し,Eに携帯電話で連絡したのかと尋ね,原告代表者は,そうだと返答した(乙32,37,原告代表者)。 なかった(甲61,乙26,証人F2,原告代表者)。fF2は,Dに対し,原告代表者が本件ゴルフコンペの欠席の連絡をどのように伝えたかを調査したところ,Dは,あまり記憶がない様子ではあったが,原告代表者の友人のEを通じて連絡を受けた旨返答した。その後,F2は,原告代表者に対し,本件ゴルフコンペへの欠席に関し,Eに携帯電話で連絡したのかと尋ね,原告代表者は,そうだと返答した(乙32,37,原告代表者)。g 原告代表者が,Eに対し,本件火災後に,自らの携帯電話を使用して連絡をしたとの通話記録は存在しない(乙16の2)。h 原告代表者は,被告に対し,平成10年3月に弁護士が交渉に入ってきたときはもとより,同年4月2日に,被告から故意免責による不払決定の通知を受けた後も,本件火災時にC1と同行していたことを話していない(甲5の1及び2,6,9,10,原告代表者,弁論の全趣旨)。iC1が代表取締役を務める株式会社C2にとっては,原告は大口の卸先であり,本件火災当時には原告に対して,約5000万円,現在も原告に対して,約4300万円の債権を有しているが,一方,原告に対し,平成8年1月に950万円,同年6月に900万円,同年7月に1800万円,同年8月に1300万円,同年10月に1250万円,同年11月に2000万円,平成9年9月に600万円,同年10月に550万円を振り込んでいる。F1は,株式会社C2に対し,平成10年1月30日,原告との取引 300万円,同年10月に1250万円,同年11月に2000万円,平成9年9月に600万円,同年10月に550万円を振り込んでいる。F1は,株式会社C2に対し,平成10年1月30日,原告との取引状況等について調査をしたが,その調査の具体的態様は不明であり,C1は,その際,F1に対し,本件火災の際に,原告代表者と一緒にいたことを話していない(乙16の2,3,証人C1)。(エ) G1の行動についてaG1は,本件火災前の行動に関して,平成9年12月6日(土曜日)に,休日であったが仕事があったため午前11時ころ出社し,一度H1から納入を受けた150着の冬物のコートについて縫製不良のため再縫製を指示していたコートが納入されたので,これを受け取り,午後7時ころ本件事務所を出たと陳述している(甲15の1及び2)。bG1の本件火災前の行動に関し,証拠によれば,以下の事実が認められる。 G1の行動についてaG1は,本件火災前の行動に関して,平成9年12月6日(土曜日)に,休日であったが仕事があったため午前11時ころ出社し,一度H1から納入を受けた150着の冬物のコートについて縫製不良のため再縫製を指示していたコートが納入されたので,これを受け取り,午後7時ころ本件事務所を出たと陳述している(甲15の1及び2)。bG1の本件火災前の行動に関し,証拠によれば,以下の事実が認められる。(a) G1は,消防に対し,平成9年12月6日午前11時ころ出社し,同日午後7時ころに退社するまでの間,主に本件事務所2階で仕事をしていたこと,地下1階には午後4時ころ宅配の業者が来て,荷物を渡すために約30分間いたが,この間地下1階では喫煙していないと供述した(乙1の3)。(b) H1の専務取締役H2は,F2に対し,平成10年2月4日,原告の営業担当はH4,中村の両名であり,原告とH1との間に,縫製不良を巡ってトラブルが発生したことはないこと,平成9年12月6日に,原告へコートの再納入をしたことはなかったと話した(乙16の3,35)。(c) H1のH3が,自分は妻の旧姓であるH4と呼ばれていること,原告へ納入したコートの一部に縫製不良があったため,すべての商品の返品を受けて点検した後の平成9年12月6日に再納入したとする平成13年2月6日付けの陳述書が 妻の旧姓であるH4と呼ばれていること,原告へ納入したコートの一部に縫製不良があったため,すべての商品の返品を受けて点検した後の平成9年12月6日に再納入したとする平成13年2月6日付けの陳述書が存在し,H2の,営業の担当者レベルで解決できる問題は,自分までは知らされないとする同月2日付けの陳述書が存在する(甲74,75)。イ上記に認定した事実を基に,本件火災前後の原告代表者の行動によっても,原告代表者又はその意を受けた者が本件事務所を放火したといえるかについて検討する。(ア) 本件火災時にC1が一緒にいたかどうかについてa 前記ア(イ)によれば,原告代表者及びC1は,C1が原告代表者宅に迎えに行った後,本件事務所に行き,本件ゴルフコンペの景品用の商品をとってから磯子カンツリークラブに向かう予定であったと供述しているが,当日は著名人開催のゴルフコンペであり,スタートに遅れることは避けなければならないのに,原告代表者において休日であった前日又は前々日に景品を取りに行かず,当日の早朝に,わざわざ回り道をして景品を取りに行ったとする行動は,不自然な行動と評価される。 ,C1が原告代表者宅に迎えに行った後,本件事務所に行き,本件ゴルフコンペの景品用の商品をとってから磯子カンツリークラブに向かう予定であったと供述しているが,当日は著名人開催のゴルフコンペであり,スタートに遅れることは避けなければならないのに,原告代表者において休日であった前日又は前々日に景品を取りに行かず,当日の早朝に,わざわざ回り道をして景品を取りに行ったとする行動は,不自然な行動と評価される。b さらに,前記ア(ウ)によれば,原告代表者は,被告及びその調査会社に対し,最後まで,本件事務所に赴いた際C1を同行していたことを話しておらず,たとえ,被告から同行者についての質問がなかったとしても,本件火災時の発見状況を尋ねられたときには,同行者について進んで話をするのが自然であると考えられる上,原告代表者は,平成10年3月ころには,なかなか保険金の支払がされず,被告に弁護士が付いて種々の点にわたって照会をしていたのであるから,自身の放火が疑われていることに気付いていたと考えられるし,同年4月に不払決定を受けてからは,自身の放火により保険金を支払わないという決定をされ 付いて種々の点にわたって照会をしていたのであるから,自身の放火が疑われていることに気付いていたと考えられるし,同年4月に不払決定を受けてからは,自身の放火により保険金を支払わないという決定をされたことを明確に認識したのであるから,この段階に至っても,C1と同行していたことを話さなかったのは不自然であるといわなければならず,原告代表者にとっては,身の潔白を証明してくれる人物であるC1について,被告又はF1に対し,何ら話していないのは,C1に対する調査を避ける目的があったのではないかと疑われる。c また,前記ア(イ)及び(ウ)fのとおり,原告代表者は,本件火災時にはC1と一緒にいたとしており,C1に本件ゴルフコンペの欠席の連絡を頼んだとしているのにもかかわらず,F2から,Eに本件ゴルフコンペの欠席の連絡をしたのかと聞かれてこれを肯定していることも認められ,このような行動も,不自然であるといえる。d 加えて,前記ア(ウ)iのとおり,株式会社C2は,原告に対して,多額の債権を有していることが認められ,さらに,本来は,原告から支払を受ける立場であるのにもかかわらず,原告に対して金員を振り込んでおり,これについて証人C1は,原告から借用書もなく利息もなく借りたお金を返したものであると証言するが,合理性がなく,到底信用できず,これらの金員がいかなる経緯で振り込まれたのかは不明であり,株式会社C2と原告の密接な関係を推認させる。 おり,株式会社C2は,原告に対して,多額の債権を有していることが認められ,さらに,本来は,原告から支払を受ける立場であるのにもかかわらず,原告に対して金員を振り込んでおり,これについて証人C1は,原告から借用書もなく利息もなく借りたお金を返したものであると証言するが,合理性がなく,到底信用できず,これらの金員がいかなる経緯で振り込まれたのかは不明であり,株式会社C2と原告の密接な関係を推認させる。e しかしながら,他方において,前記ア(ウ)bに認定したとおり,原告代表者は,消防に対しては,本件火災を発見したときにC1と一緒にいたと申告しているのであるし,また,前記ア(ウ)gのとおり,原告代表者の携帯電話の通話記録にはEに対する通話記録が存在しないことは,前記ア(イ)dのとおり,原告代表者がEではなくC1に本件 一緒にいたと申告しているのであるし,また,前記ア(ウ)gのとおり,原告代表者の携帯電話の通話記録にはEに対する通話記録が存在しないことは,前記ア(イ)dのとおり,原告代表者がEではなくC1に本件ゴルフコンペの欠席の連絡を頼んだとする供述に合致している。faからdに挙げた原告代表者の行動及び対応は,不自然であって,被告の調査を混乱させることを意図したのではないかとの疑いがないわけではないが,しかし,eの事情を考えると,原告代表者が本件事務所にC1と一緒に赴き,本件火災を発見したとする原告代表者とC1の陳述ないし供述(証言)を虚偽であるとまではいうことができず,そうすると,原告代表者とC1の陳述ないし供述(証言)によって,原告代表者とC1は,本件事務所に一緒に赴き,本件火災を発見したと認定せざるを得ない。(イ) 原告代表者とC1が共謀して放火をした可能性についてそこで,本件火災時に原告代表者とC1が共謀をして放火をしたかどうかについて検討するに,前記(ア)bのとおり,原告代表者が,被告に対し,本件火災発見時にC1と一緒にいたことについて何ら申告をしていないという不自然な対応をとっていること,前記ア(ウ)iに認定した株式会社C2は原告に対し洋服を納入しており,現在4300万円の債権を有していること,原告とC1との間には不自然なお金のやりとりがあるなど両者には密接な関係があることが推認されるなどの事情から,原告代表者がC1と共謀して本件火災を発生させたとの疑いがないわけではない。 告に対し,本件火災発見時にC1と一緒にいたことについて何ら申告をしていないという不自然な対応をとっていること,前記ア(ウ)iに認定した株式会社C2は原告に対し洋服を納入しており,現在4300万円の債権を有していること,原告とC1との間には不自然なお金のやりとりがあるなど両者には密接な関係があることが推認されるなどの事情から,原告代表者がC1と共謀して本件火災を発生させたとの疑いがないわけではない。しかしながら,前記1(1)ウ(ア)fに認定したとおり,本件事務所の1階の出入口の扉のデットボルトには煤が付着しているから,本件火災が発生した後出入口の鍵は閉められた状態にあったという事実を前提として,原告代表者が,C1と本件火災を起こすことを共謀して,本件事 の1階の出入口の扉のデットボルトには煤が付着しているから,本件火災が発生した後出入口の鍵は閉められた状態にあったという事実を前提として,原告代表者が,C1と本件火災を起こすことを共謀して,本件事務所に赴き,本件事務所の地下1階に灯油をまいて放火を行い,一旦外に出た後,出入口の鍵を閉めて,しばらく様子をうかがい,その後再び開錠してドアを開け本件火災が生じていることを発見したことを装って消防に通報したという放火の態様を一般的に想定することは難しく,また,他に,原告代表者及びC1が放火行為を行ったことを推認させる具体的事情は認められないから,原告ないし原告代表者とC1とが密接な関係にあったことや本件火災後の被告に対する不自然な対応などの事情から原告代表者がC1と共謀して放火したと認めることはいまだ困難である。(ウ) 原告代表者ないしその意を受けた者が,本件火災発見よりも前に放火した可能性について次に,原告代表者がC1と共謀して放火したのではないとしても,原告代表者又はその意を受けた者が,本件火災発見よりも前に放火し,C1は原告代表者のアリバイ作りに利用された可能性について検討する。本件火災の出火時刻は,前記1(1)アのとおり,平成9年12月8日午前5時10分ころであると認められるところ,前記(ア)のとおり,本件火災発見前後の原告代表者とC1の行動に関する両名の供述は虚偽であるということはできず,前記ア(イ)abのとおり,原告代表者とC1は午前5時ころに原告代表者宅を出て本件事務所に向かっていることが認められるのであるから,原告代表者がその前に単独で本件事務所に放火をしたとすると,原告代表者は,遅くとも午前4時50分ころまでには本件事務所に放火をして本件事務所から原告代表者宅に向かわなければならず,この事実は,上記のとおり本件火災の の行動に関する両名の供述は虚偽であるということはできず,前記ア(イ)abのとおり,原告代表者とC1は午前5時ころに原告代表者宅を出て本件事務所に向かっていることが認められるのであるから,原告代表者がその前に単独で本件事務所に放火をしたとすると,原告代表者は,遅くとも午前4時50分ころまでには本件事務所に放火をして本件事務所から原告代表者宅に向かわなければならず,この事実は,上記のとおり本件火災の に単独で本件事務所に放火をしたとすると,原告代表者は,遅くとも午前4時50分ころまでには本件事務所に放火をして本件事務所から原告代表者宅に向かわなければならず,この事実は,上記のとおり本件火災の出火時刻が午前5時10分ころであることと矛盾するし,また,原告代表者が事前に本件事務所に赴いて放火をしたことを具体的に裏付ける何らの証拠も存在しない。さらに,原告代表者の意を受けた第三者が原告代表者とC1が本件事務所に赴く直前ころに放火をしたことについても,そのような可能性を示唆するような具体的な事情は,本件証拠上認めることはできないし,前記ア(ア)に認定したとおり,本件事務所の鍵をだれが所持しているかが必ずしも明確でなく,原告関係者以外の合い鍵の所持者が放火をした可能性について何らの調査も行われていない本件においては,上記の事実を認めることはできない。なお,前記ア(エ)aのG1の陳述中,平成9年12月6日にH1から150着の冬物のコートが再納入されたとの陳述部分は,前記ア(エ)bのとおり,H2がF2に対し原告とH1との間に縫製不良を巡ってトラブルが発生したことはないこと,平成9年12月6日に原告へコートの再納入をしたことはなかったと述べていることに照らして,信用することができないが,しかしながら,平成9年12月6日にH1から150着の冬物のコートが再納入されたことはない事実,そして,G1の陳述が信用に値しない事実をもって,G1が原告代表者の意を受けて本件火災発見よりも前に本件事務所に放火したとの事実を何ら推認させるものではないし,G1が,平成9年12月6日に本件事務所において火災が発生するように工作した事実をうかがわせる具体的な事情は,本件証拠上認めることはできないから,G1が原告代表者の意を受けて本件火災発見よりも前に本件事務所に放 年12月6日に本件事務所において火災が発生するように工作した事実をうかがわせる具体的な事情は,本件証拠上認めることはできないから,G1が原告代表者の意を受けて本件火災発見よりも前に本件事務所に放火したとの事実も認めることができない。 いて火災が発生するように工作した事実をうかがわせる具体的な事情は,本件証拠上認めることはできないから,G1が原告代表者の意を受けて本件火災発見よりも前に本件事務所に放 年12月6日に本件事務所において火災が発生するように工作した事実をうかがわせる具体的な事情は,本件証拠上認めることはできないから,G1が原告代表者の意を受けて本件火災発見よりも前に本件事務所に放火したとの事実も認めることができない。(3) 以上の検討によれば,本件火災は,本件事務所の合い鍵を所持した何者かが灯油を散布して放火をしたために発生したものであると認められ,本件火災当時経済的にも困難な状況にあった原告代表者には本件火災を惹起することにより保険金を得ようとする動機が存在すること,本件火災後の原告代表者の対応は不自然であって,被告の調査に協力的ではなかったこと,原告代表者は,本件火災の第一発見者であり,本件火災発生の直後に本件事務所に居合わせた者であることなどの事情はすべて,原告代表者が本件事務所を放火した者であることを支持する事情であるが,火災に伴う保険金請求の有無を判断する民事訴訟において,放火をした者であると認定したとしても刑事罰を科すものではないとはいえ,その事実は高度の蓋然性をもって証明される必要があることはいうまでもないところであり,本件においては,原告代表者は,友人のC1と共に本件火災発生の直後に本件事務所に赴いており,原告代表者がC1と共謀して放火したこと,原告代表者がC1と本件事務所に赴く前に放火をしたこと,原告代表者の意を受けた第三者が原告代表者とC1が本件事務所に赴く直前ころに放火をしたことなどの可能性を示唆する具体的な事情は本件証拠上認めることはできず,原告代表者が,C1と共に本件事務所に到着し,1階のドアを鍵を開けて開いたところ,本件事務所の中から,激しい勢いで煙が出てきたので,直ちに消防に119番通報したとの原告代表者とC1の陳述及び供述(証言)を虚偽の陳述及び供述(証言)であると排斥することはで を開けて開いたところ,本件事務所の中から,激しい勢いで煙が出てきたので,直ちに消防に119番通報したとの原告代表者とC1の陳述及び供述(証言)を虚偽の陳述及び供述(証言)であると排斥することはできないから,結局,原告代表者の具体的な行動において,原告代表者が自らあるいは第三者をして放火をした者であることをうかがわせる事情を認定できず,前記に記載した動機の存在,本件火災直後の対応等の背景的事情をもって,いまだ原告代表者が本件事務所を放火した者であると認定することは困難であるといわなければならない。 との原告代表者とC1の陳述及び供述(証言)を虚偽の陳述及び供述(証言)であると排斥することはできないから,結局,原告代表者の具体的な行動において,原告代表者が自らあるいは第三者をして放火をした者であることをうかがわせる事情を認定できず,前記に記載した動機の存在,本件火災直後の対応等の背景的事情をもって,いまだ原告代表者が本件事務所を放火した者であると認定することは困難であるといわなければならない。よって,本件火災は原告代表者又はその意を受けた何者かの故意により惹起されたとする被告の主張は理由がない。3 争点(2)について次に,争点(2)(不実申告)について判断する。前記2(1)エに判示したとおり,そもそも,被告は,実際に什器備品や商品について,何が損害品であるかを実際に数えられる状況にあったのにもかかわらず,実際には数えておらず,具体的にどの什器備品や商品が不実の申告であるかを明確にできないでいる上,本件においては,原告が使用可能な什器備品を損害品と申告したと認めることはできないし,商品についても,り災していないものまで損害品と申告したと認めることはできないから,不実申告を理由に保険金の支払義務はないとする被告の主張は理由がない。4 争点(3)について次に,争点(3)(帳簿等の閲覧拒否による解除)について判断する。前記2(1)ウに判示したとおり,被告が,原告に対し,伝票や帳簿類の提出及びコンピューターのデータを明確に要求したのは,平成10年3月に入ってからであり,本件火災からそれまでの間に提出を要求したことは認められず,一方,原告は,平成9年12月17日には,本件事務所の伝票,帳簿類やコンピューターを含む焼残物の処理を依頼し, 0年3月に入ってからであり,本件火災からそれまでの間に提出を要求したことは認められず,一方,原告は,平成9年12月17日には,本件事務所の伝票,帳簿類やコンピューターを含む焼残物の処理を依頼し,被告に対し,同月19日に,焼残物等の処分の許可を求め,その後,それらを処分しているから,平成10年3月になって初めて明確に提出要求しているにすぎない本件において,原告が閲覧を拒否したと評価することはできない。したがって,この点に関する被告の主張も理由がない。5 争点(4)について以上によれば,被告は,本件各保険契約について,保険金の支払を拒むことはできないから,本件各保険契約に基づく保険金額について検討することとする。 に,焼残物等の処分の許可を求め,その後,それらを処分しているから,平成10年3月になって初めて明確に提出要求しているにすぎない本件において,原告が閲覧を拒否したと評価することはできない。したがって,この点に関する被告の主張も理由がない。5 争点(4)について以上によれば,被告は,本件各保険契約について,保険金の支払を拒むことはできないから,本件各保険契約に基づく保険金額について検討することとする。(1) まず,保険金額を算定するに当たり,原告の決算報告書について検討する。ア原告の決算報告書等に関し,証拠によれば,以下の事実が認められる。(ア) 原告は,被告に対し,本件企業保険契約を締結するに当たり,ほとんどの科目が粉飾されている虚偽の第11期決算報告書(平成6年11月1日から平成7年10月31日まで)を提出した。また,原告は,同決算報告書を取引先に見せる際に使用していた(甲63,乙11,48,原告代表者)。(イ) 原告代表者が正確であると供述している第11期の決算報告書と,原告が,被告に対し,本件火災後に提出した第12期(平成7年11月1日から平成8年10月31日まで)及び第13期(平成8年11月1日から平成9年10月31日まで)の決算書は連続している(甲63,乙12,13,原告代表者)。(ウ) 原告の第11期の決算報告書のうち,虚偽であるとされている決算報告書は,ほとんどの科目が粉飾されているが,各科目の数字に不釣り合いがなく,相当の会計知識のあるものが粉飾をしていると考えられ,正確であるとされている決算報告書 のうち,虚偽であるとされている決算報告書は,ほとんどの科目が粉飾されているが,各科目の数字に不釣り合いがなく,相当の会計知識のあるものが粉飾をしていると考えられ,正確であるとされている決算報告書についても信用できず,また,正確であるとされている第11期の決算報告書及び第12期,第13期の決算報告書においては,貯蔵品がすべて350万円と同額になっており,正しく実施棚卸しているとは思えないとする公認会計士が作成した分析書が存在する(乙48)。(エ) 原告の生産管理責任者G1及び営業担当責任者G2によれば,原告の在庫管理及び棚卸しは,営業担当において行っており,例年冬物の在庫は,上代で2億7000万円から2億8000万円存在するとしている(乙16の2)。(オ) 原告の顧問税理士であるU税理士は,原告から提出される振替伝票類,当座入金記録,売掛金のコンピューターに入力されたデータと,残高試算書,棚卸計算書等を基にして原告の決算書を作成しており,振替伝票類の元となる帳票類までは確認していない。 によれば,原告の在庫管理及び棚卸しは,営業担当において行っており,例年冬物の在庫は,上代で2億7000万円から2億8000万円存在するとしている(乙16の2)。(オ) 原告の顧問税理士であるU税理士は,原告から提出される振替伝票類,当座入金記録,売掛金のコンピューターに入力されたデータと,残高試算書,棚卸計算書等を基にして原告の決算書を作成しており,振替伝票類の元となる帳票類までは確認していない。そして,U税理士は,原告に対し,社内在庫品については,税務当局の指導と基準により,上代の35パーセントで計上することとなっているから,上代の35パーセントの価格での棚卸金額の報告をするように指導している(乙16の2)。(カ) 本件事務所の建面積は100平方メートル,延べ面積は352.1平方メートルであり,原告代表者の供述によれば,地下1階は60から70平方メートルとされているところ,アパレルメーカーである株式会社S1は,150坪の倉庫に5000万円から6000万円ほどの在庫商品を置いている(甲2,乙1の4,16の2,原告代表者)。(キ) 平成8年6月まで原告に営業責任者として勤務しており,現在株式会社S1に勤務している清瀬は,原告は,平成5年ころに 0万円ほどの在庫商品を置いている(甲2,乙1の4,16の2,原告代表者)。(キ) 平成8年6月まで原告に営業責任者として勤務しており,現在株式会社S1に勤務している清瀬は,原告は,平成5年ころには年商が8億円あり,直営店もあったが,平成8年6月には直営店もなくなり,年商は5億か6億円と減少しており,また,原告は,原告代表者の指示により棚卸しは小売価格で計上しており,ほぼ毎月1億円ほどの在庫商品が,本件事務所の地下1階に存在していたと記憶している(乙16の2)。(ク) 原告に対する,平成8年11月から平成9年10月までの間,銀行口座への売上金と考えられる振込は,合計2億1800万円弱である(乙16の2)。(ケ) 原告の卸先であるS2は,原告に対する支払について,基本的には振込で支払うが,営業担当者が来社した際には,現金で支払うこともあり,また,同じく原告の卸先であるS3は,原告に対する支払について,買い入れた分は,銀行振込で支払い,借入金の返還については営業担当者が来社した際に現金で支払っている(乙16の3)。イ前記ア(ア)(イ)(ウ)によれば,原告は,第11期から第13期まで連続した決算報告書を作成しており,原告が正しいと主張する第11期決算報告書もその中に含まれていることが認められるが,原告は取引先用として売上高のみならずほとんどの科目を粉飾した決算書を作成していたのであり,また,前記1(2)クのとおり,銀行に対して原告の決算報告書を見せられることに懸念を示していたことや,前記1(3)ア(ウ)のとおり,正確であるとされている第11期決算報告書にも約7500万円の簿外債務が存在していることなどに照らすと,原告が正確であると主張する決算報告書についても,何らの粉飾も行っておらず,原告の真の経済状態を示しているものと認めることはで 目を粉飾した決算書を作成していたのであり,また,前記1(2)クのとおり,銀行に対して原告の決算報告書を見せられることに懸念を示していたことや,前記1(3)ア(ウ)のとおり,正確であるとされている第11期決算報告書にも約7500万円の簿外債務が存在していることなどに照らすと,原告が正確であると主張する決算報告書についても,何らの粉飾も行っておらず,原告の真の経済状態を示しているものと認めることはで 算報告書にも約7500万円の簿外債務が存在していることなどに照らすと,原告が正確であると主張する決算報告書についても,何らの粉飾も行っておらず,原告の真の経済状態を示しているものと認めることはできない。そして,売上高については,前記ア(ク)のとおり,銀行口座から把握される1年間の売上高は2億1800万円弱であり,前記ア(ケ)のとおり,現金で支払う取引先があったとしても,原告の第13期決算報告書上の売上高である7億9000万円余りというのは過大にすぎるものと考えられ,原告の平成8年11月1日から平成9年10月31日までの売上高が7億9000万円余りも存在したと認めることはできない。また,前記ア(エ)(キ)のとおり,原告の現在及び過去の従業員は,原告の棚卸しは上代で行っているとしていること,前記1(2)イクのとおり,原告代表者は,損害明細は上代ベースでよいかと確認した上で,実施棚卸しを行って上代ベースの損害明細書を提出していること,前記ア(オ)のとおり,U税理士は,原告に対し,上代の35パーセントで棚卸金額の報告をするよう指導していたが,決算報告書の作成に当たり,元となる帳票類までは確認していないことが認められ,以上によれば,原告の決算報告書の棚卸資産は,上代で記載されていると認められる。なお,前記ア(エ)のとおり,原告の従業員は,例年冬物は2億7000万円から2億8000万円あったと供述しているが,これに35パーセントを乗ずると1億円以下になるところ,証拠(乙13)によれば,第13期の決算報告書の貸借対照表上,商品は1億2800万円以上あるとされているから,貸借対照表上は下代で記載されているとしても上記金額と合致していないし,前記ア(キ)の原告の元従業員の話とも合致しないから,それほどの在庫があったと認めることはできない。以上の とされているから,貸借対照表上は下代で記載されているとしても上記金額と合致していないし,前記ア(キ)の原告の元従業員の話とも合致しないから,それほどの在庫があったと認めることはできない。 2800万円以上あるとされているから,貸借対照表上は下代で記載されているとしても上記金額と合致していないし,前記ア(キ)の原告の元従業員の話とも合致しないから,それほどの在庫があったと認めることはできない。以上の とされているから,貸借対照表上は下代で記載されているとしても上記金額と合致していないし,前記ア(キ)の原告の元従業員の話とも合致しないから,それほどの在庫があったと認めることはできない。以上の事実をかんがみると,原告の第13期決算報告書に記載された売上高等の金額が真実の金額を表しているものと認めることはできず,これに従って保険金額を算定することはできない。(2) 本件企業保険契約についてア喪失利益について前記(1)イのとおり,原告の第13期決算報告書の売上高を真実と認めることはできないところ,銀行振込により把握される売上高が2億1800万円弱であること,原告は銀行振込以外でも売上金の回収をしている場合もあることが認められるが,その具体的な金額について何らの証拠もない本件においてはせいぜい銀行振込と同額程度もあれば多い方であると考えられること,原告の元従業員も平成8年6月の段階において年商5億か6億であったとしていること,前記1(5)のとおり,原告は平成8年8月18日に盗難に遭っており,原告の主張によれば,一旦商品が納入できないと他社にシェアを奪われて奪還するのが大変であるとされていることからすると,平成8年6月よりもさらに年商が減っている可能性があることなどの事情を総合考慮すると,原告の平成8年11月1日から平成9年10月31日までの売上高は,第13期決算報告書の半額である3億9657万8183円と認定するのが相当であると考えられる。また,証拠(甲66)によれば,原告には,第14期(平成9年11月1日から平成10年10月31日まで)に8831万4541円の売上があったことが認められる(同決算書は,その決算期間からいって,本件訴訟が提起された後に作成されたものであり,これについて,原告としては売上高を過少申告すれば,利益保険 に8831万4541円の売上があったことが認められる(同決算書は,その決算期間からいって,本件訴訟が提起された後に作成されたものであり,これについて,原告としては売上高を過少申告すれば,利益保険金の関係でメリットになるが,過大に申告しても何らメリットはないのであるから,売上高について,記載の限度で認めることができるものである。 ものであり,これについて,原告としては売上高を過少申告すれば,利益保険 に8831万4541円の売上があったことが認められる(同決算書は,その決算期間からいって,本件訴訟が提起された後に作成されたものであり,これについて,原告としては売上高を過少申告すれば,利益保険金の関係でメリットになるが,過大に申告しても何らメリットはないのであるから,売上高について,記載の限度で認めることができるものである。)。なお,原告は,同期間には相当な値引き販売を行い,実際には損失になっているから営業収益は零として計算するべきであると主張するが,本件企業保険契約約款上「営業収益」とは,単に売上高を言うのであるから,値引き販売をしたか否かにかかわらず,期間中の売上高を差し引くべきものである。そうすると,原告の収益減少額は,第13期の売上から第14期の売上を引き,約定てん補期間である6箇月分とするために2分の1を乗じた1億5413万1821円であると認められる。イ利益率について利益率は,第13期決算報告書(乙13)によれば,31.7パーセントであるが,正しいとされている第11期決算報告書(甲63)によれば,29.2パーセントとなり,第12期決算報告書(乙12)によれば,26.0パーセントとなっている。これらの決算報告書が信用できないのは前記のとおりであり,ことに,第13期決算報告書のみ黒字決算になっていることも考え併せると,利益率は28パーセント程度であると認定するのが相当である。ウそうすると,利益保険金は,収益減少額に利益率を乗じた4315万6909円となり,また,原告が営業継続費用として掲げている費目が保険金の支給対象となることは当事者間に争いがなく,証拠(甲81ないし85(枝番含む))及び弁論の全趣旨によれば,営業継続費用として合計147万1500円を支出していることが認められるから,原告は,被告に対し,利益保険 ることは当事者間に争いがなく,証拠(甲81ないし85(枝番含む))及び弁論の全趣旨によれば,営業継続費用として合計147万1500円を支出していることが認められるから,原告は,被告に対し,利益保険契約に基づき,4462万8409円を請求することができる。(3) 本件テナント保険契約についてア商品損害額について(ア) 商品損害額について,証拠によれば,以下の事実が認められる。a 原告は,被告に対し,平成10年3月20日,上代ベースでの商品の損害額は,冬物が1億7313万9000円,春物が6614万1000円,夏物が393万円,定番物が1988万7000円の計2億6309万7000円であるとする損害明細報告書を提出した(甲10)。 求することができる。(3) 本件テナント保険契約についてア商品損害額について(ア) 商品損害額について,証拠によれば,以下の事実が認められる。a 原告は,被告に対し,平成10年3月20日,上代ベースでの商品の損害額は,冬物が1億7313万9000円,春物が6614万1000円,夏物が393万円,定番物が1988万7000円の計2億6309万7000円であるとする損害明細報告書を提出した(甲10)。b 原告の第13期決算報告書(平成9年10月31日現在)の,商品及び半製品,仕掛品を併せると,1億8300万9614円である(乙13)。c 原告は,被告に対し,平成9年10月末時点での在庫商品のうちの焼損商品は,2億6208万9800円であるとする損害明細書を提出した(乙16の2)。d 原告は,消防に対し,平成9年12月14日,ジャケット,パンツ,スカート,ワンピース,ブラウス,カットソー,ニット,小物の損害額は,1億5480万円とする動産り災申告書を提出した(乙16の2)。(イ) 前記(1)のとおり,原告の決算報告書について,直ちに真実であると認めることはできないし,また,原告は棚卸を上代で行っていたことが認められるから,前記(ア)dの消防に対する申告書についても,これだけを下代で行ったとは考えられず,これも上代の価格ではないかと考えられこと,前記(ア)abcのとおり,同じく上代で算出された在庫商品について,決算報告書と被告に提出した損害明細書の金額が著しく異なっていること,前記(1)ア(カ)(キ) 上代の価格ではないかと考えられこと,前記(ア)abcのとおり,同じく上代で算出された在庫商品について,決算報告書と被告に提出した損害明細書の金額が著しく異なっていること,前記(1)ア(カ)(キ)に認定したとおり,同業他社においては,150坪の倉庫に5000万から6000万円ほどの在庫商品しか置いていないこと,原告の元従業員が,平成8年6月ころの時点で,上代で約1億円の在庫があったとしていること,さらに,前記(2)アのとおり,原告の売上は,第13期決算報告書記載の金額の半額程度としか認定できないことを考慮すると,原告の本件火災当時の在庫については,上代で考えたとしても,第13期決算報告書記載の金額の半額の9150万4807円程度としか認定することはできない。そして,保険金額は,下代により算出されるところ,証拠(乙16の2及び3)によれば,冬物の納品は11月早々には終わり,12月の冬物在庫はバーゲン用として,卸価格は,上代の30から35パーセント程度になってしまい,さらにバーゲンでも売れ残った商品は処分価格になってしまうことが認められるから,本件火災当時の冬物在庫商品は,上代の30パーセントで評価するのが相当である。 円程度としか認定することはできない。そして,保険金額は,下代により算出されるところ,証拠(乙16の2及び3)によれば,冬物の納品は11月早々には終わり,12月の冬物在庫はバーゲン用として,卸価格は,上代の30から35パーセント程度になってしまい,さらにバーゲンでも売れ残った商品は処分価格になってしまうことが認められるから,本件火災当時の冬物在庫商品は,上代の30パーセントで評価するのが相当である。なお,原告は,本件事務所にあった在庫商品は販売先が決まっていたから,通常どおりの価格で販売することができたと主張するが,原告代表者の陳述(甲61)及び供述以外に同事実を認めるに足りる証拠はなく,同事実を認めることはできない。そこで,本件事務所にあった在庫商品のうち,冬物在庫がどの程度であったかを検討するに,原告代表者が冬物は8割程度であったと供述していること,上記ア(ア)の申告では約65パーセントが冬物であることなどに照らし,少なくとも,在庫商品の価格のうち,65パーセントは冬物であったと認めることができ,冬物以外の在庫 度であったと供述していること,上記ア(ア)の申告では約65パーセントが冬物であることなどに照らし,少なくとも,在庫商品の価格のうち,65パーセントは冬物であったと認めることができ,冬物以外の在庫については,35パーセントを占めており,上代の50パーセントが下代となると認められる。以上に基づき,在庫商品の下代を計算すると,本件事務所内の在庫商品は,下代で3385万6778円となる。9150万4807円×0.65×0.3+9150万4807円×0.35×0.5=3385万6778円イ什器備品並びに生地,ファスナー及びボタン等の付属品の損害額について(ア) 什器備品並びに生地,ファスナー及びボタン等の付属品の損害額について,証拠によれば,以下の事実が認められる。a 原告は,被告に対し,什器備品並びに生地,ファスナー及びボタン等の付属品の損害額について,2463万5000円であるとする損害明細書を提出した(乙16の2)。b 原告は,消防に対し,生地,ファスナー及びボタン等の付属品の損害額は,1713万5450円,什器備品の損害額は1951万円であるとする動産り災申告書を提出した(乙16の2)。c 原告の第13期決算報告書添付の定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書によれば,什器備品の,期末現在の残存価額は,合計444万9548円である(乙13)。 00円であるとする損害明細書を提出した(乙16の2)。b 原告は,消防に対し,生地,ファスナー及びボタン等の付属品の損害額は,1713万5450円,什器備品の損害額は1951万円であるとする動産り災申告書を提出した(乙16の2)。c 原告の第13期決算報告書添付の定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書によれば,什器備品の,期末現在の残存価額は,合計444万9548円である(乙13)。(イ) 前記のとおり,売上高や在庫高は,決算報告書記載の金額の半額程度しか認定できないこと,前記(ア)cの明細書に掲載されていない少額の什器備品も存在すると認められる(原告代表者)ことなどに照らし,什器備品並びに生地,ファスナー及びボタン等の付属品の損害額については,被告に対する損害明細書の5割の1231万7500円と認定するのが相当である。ウその他についてア,イによれ となどに照らし,什器備品並びに生地,ファスナー及びボタン等の付属品の損害額については,被告に対する損害明細書の5割の1231万7500円と認定するのが相当である。ウその他についてア,イによれば,被告が,原告に対し,支払うべき商品及び什器備品についての保険金額は,4617万4278円となる。(ア) 臨時費用保険本件テナント保険契約約款5条5項によれば,臨時費用保険金額は,上記の保険金額の30パーセント,但し,500万円を超えない額とされているから,本件における臨時費用保険金額は,500万円となる。(イ) 残存物取り方付け費用本件テナント保険契約約款5条6項によれば,残存物取り片付け費用保険金は,上記の保険金額の10パーセントを上限として支払うとされており,被告は,原告が主張する51万7125円について明らかに争わないから,残存物取り片付け費用保険金額は,51万7125円となる。エ以上から,本件テナント保険契約に基づく保険金額は,5169万1403円となる。(4) よって,本件各保険契約についての保険金額の合計は,9631万9812円となる。なお,保険金支払義務は,保険事故によって損害が発生してその損害額が確定したときに具体化するものであって,特約がない限り,期限の定めのない債務であるところ,本件において,被告は,保険金支払義務の履行期の特約について何らの主張もしておらず,また,原告も,本件訴えを提起する前に保険金の支払を請求したことについて明確に主張していない。 ,本件各保険契約についての保険金額の合計は,9631万9812円となる。なお,保険金支払義務は,保険事故によって損害が発生してその損害額が確定したときに具体化するものであって,特約がない限り,期限の定めのない債務であるところ,本件において,被告は,保険金支払義務の履行期の特約について何らの主張もしておらず,また,原告も,本件訴えを提起する前に保険金の支払を請求したことについて明確に主張していない。そして,利益保険契約に基づく保険金については,てん補期間が6箇月とされているから,本件火災後6箇月が経過した平成10年6月7日に損害額が確定していること,また,本件テナント保険契約に基づく保険金については,本件火災が鎮火した平成9年12月8日には確定していること れているから,本件火災後6箇月が経過した平成10年6月7日に損害額が確定していること,また,本件テナント保険契約に基づく保険金については,本件火災が鎮火した平成9年12月8日には確定していることがそれぞれ認められる。そうすると,原告は,被告に対し,本件各保険契約に基づく保険金額が確定した後である平成10年8月13日に,訴状をもって保険金を請求しているから,本件各保険契約に基づく保険金についての遅延損害金の起算日は,訴状送達の日の翌日である同月14日になると解される。6 以上によれば,原告の被告に対する請求は,保険金9631万9812円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成10年8月14日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官前田順司裁判官池町知佐子裁判官荒谷謙介

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る