主文 1 被告は原告に対し、4万2725円及びこれに対する平成12年11月14日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを50分し、その49を原告の、その余を被告の負担とする。4 この判決第1項は、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 原告と被告との間に雇用契約が存在することを確認する。 2 被告は原告に対し、平成12年8月以降、毎月20万2300円を支払え。 3 被告は原告に対し、7万2315円及びこれに対する平成12年11月14日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は原告に対し、10万円及びこれに対する平成12年11月14日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、原告が、(a)下記1(1)②の雇用関係に基づき、雇用契約の確認と未払給料の支払を、(b)後示2(1)②の残業を主張して、賃金及び労基法上の割増賃金の支払を、(c)下記1(10)(11)の食費寮費の控除に関し、後示2(1)③④の不当利得を主張して、その返還を、(d)休憩時間の不付与等に関し、後示2(1)⑤の不法行為を主張して慰謝料を、それぞれ請求する事案である。 1 争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実(1) 当事者等① 被告は、居酒屋チェーンを展開する養老乃瀧株式会社全国総本部の傘下の飲食業を主な目的とする会社であり、名古屋市中区栄で直営の居酒屋、女子大小路店(以下本件店舗という)を経営している。 ② 原告は、平成12年(以下同年中の日付は月日のみで示す)大学を卒業し、3月16日被告に採用された者で(以下この契約を本件契約という)、同月23日から本件店舗に勤務し、その寮(以下本件寮という)に入っていた。 Aは、原告の父親である 日付は月日のみで示す)大学を卒業し、3月16日被告に採用された者で(以下この契約を本件契約という)、同月23日から本件店舗に勤務し、その寮(以下本件寮という)に入っていた。 Aは、原告の父親である。 (2) 本件店舗の関係者及び厨房の構成① 本件当時、Bは被告の代表取締役、C(現代表取締役)は専務取締役、Dは本部長、Eは本件店舗の店長だった者である。 ② また、本件店舗には、原告と同時期に、FとGの2名の男性従業員が入っていた(以下これらの者を同期生などということがある)。 ③ 同店の厨房には、担当業務の異なる調理場、焼き場、フライ場の3つの調理部署があり(以下この名称で表す)、原告は、当初調理場に配属された。 (3) 被告の勤務体制等(ただし、下記①の就労の実態等に争いがある)① 被告には後示(12)の就業規則があって、1か月を単位とする変形労働時間制(労基法32条の2)が取られており、原告の原則的な就業時間帯は、午後3時から12時まで、休憩時間は、(a)午後3時30分から5時までと、(b)8時から10時までのうち各30分だった。また、本件店舗従業員の休日は、1か月8回以上で(以上同規則6条、10条)、E店長が指定していた。 ② 本件店舗では、手書きの出勤簿に従業員が押印する方法で就労時間を管理していたが、その後コンピューターで打ち込んだ勤務表を使用する方法に変更した(以下本件変更という)。 ③ 被告従業員の給料は、毎月1日から月末までの分が翌月15日に支払われていたところ(以下これを当月分の給料と表示する)、原告の3、4月分の給料日には残業代の支払がなかったが、その後残業代として3万7791円が支払われた。 (4) 原告の欠勤等(ただし、4月15日が無断欠勤か、同月19日以降も被告が仕事を上がるよう指示したか、原告がこれらに従ったか等につ 支払がなかったが、その後残業代として3万7791円が支払われた。 (4) 原告の欠勤等(ただし、4月15日が無断欠勤か、同月19日以降も被告が仕事を上がるよう指示したか、原告がこれらに従ったか等につき争いがある)① 原告は、4月14日無断欠勤して、被告に退職の意向を伝え、翌15日も欠勤したが、同月17日Aと被告事務所を訪れて、B社長らに謝罪し、終業時刻の配慮などを申し出たうえ(以下同日のやりとりを本件面談Ⅰという)、結局その後も勤務を続けた。 ② これに対し、被告は、終業時刻の配慮などを了解し、4月17日、18日の午後12時に、E店長が仕事を上がっていいと伝えたが、原告は、少なくとも4月17日には仕事を中止せず、更に続行した。 (5) Aと原告の被告訪問等(ただし、訪問時の面談内容につき争いがある)① 同人らは、5月18日被告事務所でD本部長らに、作成の表(乙6。以下本件表という)を示して残業代を請求(以下本件請求という)し、本件店舗の従業員数の確認等をした(以下このやりとりを本件面談Ⅱという)。 ② この際、E店長が将来どのような希望を持っているか尋ねたのに対し、原告は、「ノーコメント」と答えた。 (6) 原告の出勤簿への押印拒絶(ただし、押印拒否の経過等につき争いがある)原告は、5月22日出勤簿への押印を拒否し、これに対しC専務は、翌23日、出勤簿に判を押さないと出勤していないことになる旨を話した。 (7) 被告の解雇予告の意思表示等(ただし、その効力に争いがある)① 被告は、5月24日原告に対し、就業規則19条3号、4号所定の解雇事由に基づき、6月23日限り解雇する旨の解雇予告をした(乙2)。 ② 原告は、5月31日の就労中左手を火傷し、6月15日まで休業した。 ③ 被告は、6月24日原告に対し、再度就業規則19条3号、4号所定の解雇事 、6月23日限り解雇する旨の解雇予告をした(乙2)。 ② 原告は、5月31日の就労中左手を火傷し、6月15日まで休業した。 ③ 被告は、6月24日原告に対し、再度就業規則19条3号、4号所定の解雇事由に基づき、7月23日限り解雇する旨の解雇予告をした(乙3。以下これに基づく解雇を本件解雇という)。 (8) 原告の労働基準監督署への申告(ただし、その時期及び被告が本件解雇当時これを知っていたかにつき争いがある)(下記指導につき、被告の自認)原告は、5月中に名古屋北労働基準監督署に、3、4月分の残業代の不払いを申告し(以下本件申告という)、同署は、5月29日被告に指導をした。 (9) 本件解雇当時の原告の給料(乙4の1ないし5)同給料は、月額20万2300円(うち基準給与14万7700円、職能給1万9600円、現業手当3万5000円)だった。 (10) 本件店舗の賄い等(控除につき乙4の1ないし5)同店では、営業日の昼食と夕食は、従業員が一緒に食事(以下賄いという)を取っていたところ、原告は、5月20日以降、昼の賄いにほとんど参加せず、他にも賄いを取らないときがあったが、被告は、これらについても、その費用として1回当たり205円を原告の給料から控除していた。 (11) 原告の退寮等(控除につき乙4の2ないし5)原告は、5月28日本件寮から退寮したが、被告は、寮費として月額4500円を、その後6月分までの原告の給料から控除していた。 (12) 養老乃瀧グループの就業規則(ただし、本件に関係ない部分を省略する)被告を含む同グループ各社の就業規則(乙1)には、別紙1、2の内容の記載がある(以下本件就業規則ないし本件賃金規則という)。 2 争点本件の主たる争点は、(ア)被告主張の解雇事由の存否(後示(2)④。抗弁)、(イ)原告の解雇権濫用の主張の当否( 別紙1、2の内容の記載がある(以下本件就業規則ないし本件賃金規則という)。 2 争点本件の主たる争点は、(ア)被告主張の解雇事由の存否(後示(2)④。抗弁)、(イ)原告の解雇権濫用の主張の当否(後示(1)⑧。再抗弁)、(ウ)原告の残業の有無・内容(後示(1)②。請求原因)、(エ)休憩時間の不付与等に関する後示(1)⑤の不法行為の存否(請求原因)であり、更に、(a)上記(イ)につき、本件解雇が本件申告への嫌悪等によるものであるかが、(b)上記(ア)(ウ)につき、原告主張の残業が被告の指示に基づくものか否かが、(c)上記(ア)ないし(エ)全般につき、就労状況や経過に関して原告が記録したとする下記⑩のメモの正確性が重要な争点となっている。 (1) 原告の主張① 前示1(1)②のとおり、原・被告間には本件契約が存在しており、被告には、8月以降、毎月前示1(9)と同額の給料の支払義務がある。 ② 原告は、別表1残業手当計算書(以下別表1ないし3の計算書等を単に別表といい、その符号を付して引用する)残業時間欄記載のとおり、早出残業及び深夜残業をしたから、被告には賃金及び労基法に基づく割増賃金の支払義務があるところ、原告は、同表残業代欄記載のうち、下記⑩のメモによる正確な記録のある4月17日以降の分合計11万0106円から、前示1(3)③の3万7791円を控除した残額7万2315円を請求する。 ③ 原告は、4月初めから6月末まで、別表2のとおり賄いを取ったが、前示1(10)のとおり参加しなかった38回分についても、1回当たり205円の費用を徴収されており、その合計は7790円である。 ④ 原告は、前示1(11)のとおり5月28日本件寮を退去したが、その後も6月末日までの寮費を徴収されており、その合計は4935円である。 ⑤ 原告は、(ア)前示③のとおり の合計は7790円である。 ④ 原告は、前示1(11)のとおり5月28日本件寮を退去したが、その後も6月末日までの寮費を徴収されており、その合計は4935円である。 ⑤ 原告は、(ア)前示③のとおり不参加の分や休日の分も費用を徴収されるなど、賄いへの参加を強制されて休憩時間の自由利用を妨げられ、C専務から個人の勝手はだめと叱責され、4、5月には、所定の時間帯以外での休憩を余儀なくされて、所定の休憩時間を与えられず、別表3のとおり合計8時間44分の休憩を取れなかったうえ、(イ)4月1日から13日まで相当の無償残業をさせられ、(ウ)賄いの買出し時間も無償で労働させられたほか、(エ)本件請求後、後示⑨(d)(e)等のように、E店長から人格を否定する屈辱的な罵倒を浴びせられ、他の従業員からも退職を迫るいじめを受けて、本件寮からの退去を余儀なくされたが、以上に対する慰謝料は10万円が相当である。 ⑥ よって、原告は被告に対し、(a)本件契約の確認及び本件解雇後の前示①の給料の支払、(b)前示②ないし⑤の残業代、不当利得金、慰謝料及びこれらに対する訴状送達の翌日以以降の遅延損害金の支払を求める。 ⑦ 後示(2)④の解雇事由は、以下のとおり否認する。また、採用から3か月間の試用期間も否認する。原告にその旨の就業規則が示された事実はない。 ア同アの事実は、以下のとおりいずれも否認する。 a 原告は、5月中に、担当する調理場のほぼ全商品をこなせる域に到達しており、習得能力は特に低くなかった。調理場は、他部署と比べて商品数が多く、3種類の包丁を使用するうえ、魚をさばく刺し身を造るといった調理技術は、短期間で習得できるものではなく、前示1(2)③の3部署の中では最も難度が高かった。これは、被告が調理場にH以外のアルバイトを配置していないことからも裏付けられてい 刺し身を造るといった調理技術は、短期間で習得できるものではなく、前示1(2)③の3部署の中では最も難度が高かった。これは、被告が調理場にH以外のアルバイトを配置していないことからも裏付けられている。 また、被告主張の失策中には、(a)尾の取れている甘エビなど針小棒大なものや、(b)焦げたホルモン炒めや冷蔵庫でのイカの保存などE店長の指示に従ったのを逆の評価に結びつけたもの、(c)豆腐の腐敗や口紅のついたコップなど、同店長の事実誤認によるものが相当数ある。 原告は、仕事上の失策を全面的に否定するものではないが、他の従業員にも失敗が多々あり、被告の主張は著しく偏跛で不公平である。 b また、被告の主張は、原告の人格、仕事への熱意、能力等を全面否定しようと事実関係を誇張、歪曲したもので、かえって本件店舗での原告へのいじめの構図を象徴的に浮かび上がらせている。 E店長は、原告に限らず、従業員に威圧的に臨み、弁解を封ずる断定的な語法を用いたり、怒鳴ることが異常に多かったが、特に本件請求以降は、原告をあからさまに敵視し、自主退職を誘うようにねちねちと嫌がらせの発言を繰り返し、エビの仕込みを15分でやれとか、フライ場の油受けを5分で掃除するよう命じて、時間を計るなど、その対応はいじめの連続といえるものだった。 c 原告と他の従業員との人間関係は必ずしも良好ではなかったが、これも原告の権利行使が被告やE店長を通じて与えた心理的影響に基づくもので、原告に非協調的なところはなく、問われるべき責任もない。 イ同イのうち、4月15日の無断欠勤は否認する。同月17日のE店長の発言はニュアンスを争い、店長の指示に対する反抗及び同月19日以降も仕事を上がるよう指示があったとの事実は、いずれも否認する。 原告は、4月14日夜E店長に電話して、16日まで休日にさせてもらう 長の発言はニュアンスを争い、店長の指示に対する反抗及び同月19日以降も仕事を上がるよう指示があったとの事実は、いずれも否認する。 原告は、4月14日夜E店長に電話して、16日まで休日にさせてもらう承諾を得ており(以下本件承諾という)、15日は無断欠勤ではない。14日の無断欠勤も、本件面談Ⅰによって決着したというべきである。 また、4月17日はE店長からあがってもいいよと言われたが、他の従業員から見て特別扱いのようで悪いという気持ちから、切りのつくまで作業を続けただけで、反抗したものではなく、翌18日は、店長の言葉があった時点で作業を終えている。4月19日以降は、被告側からなんらの指示も言葉もなく、原告は作業を継続するしかなかった。 ウ同ウのうち、4月9日の欠勤は否認する。原告は、誕生日の4月8日は家族で食事する習慣だが、平成12年は同日就労しており、もし9日が休日なら当然するはずの帰郷もしていないから、9日も就労している。また、前示イのとおり、4月17日以降の残業は指示に反するものではない。 エ同エのうち、5月19日専務と主張のような応答があったのは認めるが、本件表はパソコンに堪能なAが作成したもので、原告ではうまく説明できなかったというにすぎない。また、本件面談Ⅱの際ノーコメントと答えたが、賃金問題の折衝中、将来の希望を尋ねる方が問題である。 ⑧ 本件解雇は、以下のとおり、被告の就労実態に対する正当な改善要求と労働基準監督署への本件申告を嫌悪するとともに、残業代の支払を免れ、休憩時間も従業員を管理下に置こうとする被告の古い体質に基づくものであって、解雇権の濫用に当たり無効である。 ア本件店舗では、仕込みに時間を要するため、始業時刻前の出勤が必要であり、終業時刻後の深夜残業も常態化していたにもかかわらず、残業手当が支給されていなか あって、解雇権の濫用に当たり無効である。 ア本件店舗では、仕込みに時間を要するため、始業時刻前の出勤が必要であり、終業時刻後の深夜残業も常態化していたにもかかわらず、残業手当が支給されていなかった。一方、出勤簿は、当初原告がまとめて押印し、4月1日から他の従業員に押印を委ねていたが、昼時間、夜時間とも白紙で、たとえば3月31日は、翌日午前4時30分まで社長臨店の月例会のため清掃をしたのに残業の記載がないなど、記録が不正確だった。 イまた、被告を含む養老乃瀧グループには、賄いという独特の制度があって、前示⑤(ア)のとおり事実上参加が強制されており、夜の休憩時間は、就業規則所定の時間帯をしばしば外れ、時間も確保されていなかった。 ウ更に、休日の指定は直前になされることが多く、従業員は体調の調整が困難で、あらかじめ休日の予定を立てることも難しかった。 エそこで、原告とAは、本件面談Ⅱの際、これから労働基準監督署に行くと告げたうえ、名古屋北労働基準監督署に赴き、本件申告をしたもので、被告は、これを知って本件解雇をしたものである。 オ実際には、もともと被告は、原則的に残業手当を支払わない経営方針であり、本件店舗でも、正式な労働時間管理の方式を取らず、従業員の残業は無償のまま放置され、残業手当は支給されていなかった。 被告は、残業0とする方針を堅持しており、原告は、原告を含む全従業員の残業時間があらかじめ0とパソコンで打ち込まれた出勤簿を示されたため、前示1(6)のとおり押印を拒否したものである。 なお、E店長は残業の指示を否定しているが、残業が常態化、慣行化している職場においては、するなと指示しない限り、残業を指示したことになるというべきである。 カまた、被告が賄いという違法な制度を維持しているのは、これによって従業員の休憩時間を拘束し 化、慣行化している職場においては、するなと指示しない限り、残業を指示したことになるというべきである。 カまた、被告が賄いという違法な制度を維持しているのは、これによって従業員の休憩時間を拘束し、管理下に置くとともに、所定の30分を下回る休憩しかせず、その差に相当する時間を無償労働させること等により、多大な利益を確保できるからである。 ⑨ 本件解雇に理由のないことは、(a)労組を介した団体交渉中、被告の示す解雇理由が変遷し、途中まで原告の業務遂行能力を問題としていなかったこと、(b)4月19日、B社長が「労働基準法がどうこう言うやつはいらない」と述べていたこと、(c)5月18日本件面談Ⅱの際、D本部長が、被告として原告の時間外労働に対する手当を支払う意思がない旨表明し、(d)同日の原告の発言に立腹したE店長が、同夜本件寮で就寝中の原告のもとへ他の従業員を差し向け、同人らが大騒ぎして、脅迫的方法で退職させる手立てを話し合ったこと、(e)翌19日、E店長が原告に「辞めちゃえ」等と発言したことや、以上を裏付ける下記⑩のメモ等の記載からも明らかである。 ⑩ 原告の残業代や慰謝料の請求及び上記⑨の内容は、(a)4月1日から13日までについては、後日およその記憶に基づき、出退勤時刻を記載した甲13のメモ(以下本件メモⅠという)により、(b)4月17日以降は、Aの助言で、出退勤時刻や経過等を、その日のうちに記録した甲14、甲15のメモ(以下本件メモⅡ、Ⅲという)によって裏付けられている。 (2) 被告の主張① 前示(1)①の事実は否認する。原告は、前示1(7)のとおり解雇されたから、本件契約の確認請求や解雇後の賃金請求には理由がない。 ② 前示(1)②の事実は否認する。後示④イ、ウのとおり、被告が原告主張の残業を指示した事実はないし、本件メモⅠない 7)のとおり解雇されたから、本件契約の確認請求や解雇後の賃金請求には理由がない。 ② 前示(1)②の事実は否認する。後示④イ、ウのとおり、被告が原告主張の残業を指示した事実はないし、本件メモⅠないしⅢ等の記載も不正確である。4月17日以降、指示に基づく原告の残業は、5月中の深夜残業5.5時間分(乙5の4)だけで、6月15日の給料日に全額支払済である。 ③ 前示(1)③ないし⑤のうち、賄いの費用及び寮費の徴収は認めるが、その余は、いずれも否認ないし争う④ 被告は、原告を3か月以内は試用期間として採用したものであるが、大卒の幹部候補生としてリーダーシップを期待していた。しかるに、原告には、以下のとおり、(a)勤務態度の不良及び業務遂行能力の欠如、(b)店長の指示等に対する不服従や職場での協調性の欠如、(c)無断欠勤があったうえ、(d)残業に関して虚偽申告をして残業代を請求する、(b)父親頼りで幹部候補生としての資質に欠けるなど、本件就業規則19条3号、4号の解雇事由があった。そのため、被告は、試用期間中の5月24日、前示1(7)①のとおり解雇予告をしたが、その後同②の火傷があり、復帰後30日内の解雇を避けるため、6月24日再度解雇予告をしたもので、本件解雇は有効である。 ア原告は、以下のとおり、業務遂行能力や協調性等が欠けており、衛生を重んじ、客にサービスを提供する被告が雇用し続けることは不可能である。 a 本件店舗の調理場では刺し身、炒め物、温め等の、焼き場では串物、焼き魚、鉄板料理、炒め物等の、フライ場では揚げ物、サラダ、温め等の調理をしているが、いずれもあらかじめ下ごしらえや仕込みをしてある食材を切ったり炒める等の簡単な調理をして出すだけで、経験のない者でも容易にできるシステムになっている。そして、男性新入社員は、上記3部署を順番に が、いずれもあらかじめ下ごしらえや仕込みをしてある食材を切ったり炒める等の簡単な調理をして出すだけで、経験のない者でも容易にできるシステムになっている。そして、男性新入社員は、上記3部署を順番にローテンションし、先輩従業員のマンツーマン指導を受けながら仕事を覚えることになっており、原告と同期のFは、約1か月で焼き場の仕事を覚えて、フライ場に配転換えになった。 しかるに、原告は、調理場で先輩のHらの指導を受けたのに、以下のとおり仕事の覚えが悪く、勤務態度も不良で、配転換えできなかった(前示1(7)②の火傷後、危険性の低い焼き場に換えたことはある)。 b 被告では、失敗を恐れず実践することを重視しており、すぐに報告すれば、失敗してもなんの不利益もない。一方、衛生上及び営業上、調理に失敗した食材を冷蔵庫に入れたりすることは絶対に許されない。 しかるに、原告は、いつまでもイカソーメンや豆腐をうまく調理できなかったが、再三の指導にもかかわらず、それぞれ5月上旬と、4月下旬から5月中旬にかけて、失敗したイカソーメンや崩した豆腐を何度か冷蔵庫に隠して腐らせ、更に焦がしたホルモン炒めを熱いまま冷蔵庫に隠すという暴挙に出たうえ、店長の注意に対し、「あのー、そのー。」などと取ってつけた言い訳をし、幼児じみた態度を取った。 c 被告では、客に送迎の挨拶をする、依頼事項は必ず従業員同士で復唱して確かめる等の決まりがあり、また本件店舗のホールリーダーや先輩従業員は、客から2回請求された商品は他の仕事に優先して作ることや冷蔵庫の清掃等を、原告に指導指示していた。 にもかかわらず、原告は、再三の注意や指導に従わず、送迎挨拶や依頼事項の復唱をせず、しても覇気のない小さな声で聞こえないようにしかせず、店内の雰囲気を悪くしたほか、2回請求された商品の優先や冷蔵庫の清掃等も わらず、原告は、再三の注意や指導に従わず、送迎挨拶や依頼事項の復唱をせず、しても覇気のない小さな声で聞こえないようにしかせず、店内の雰囲気を悪くしたほか、2回請求された商品の優先や冷蔵庫の清掃等も怠り、店内の秩序を乱した。 d 食材の仕込みは、どれも簡単なもので順番に教えられるが、原告は、同期生に比べ能力が著しく劣り、これらの者ですら1ケース15ないし20分でできるエビの仕込みや、25、6杯を30分でできるイカの仕込みが、それぞれ30分ないし1時間かかっても完了せず、期間が経過してもまったく上達しなかったが、過去これほど上達しない者はおらず、仕事に対する意気込みの差としかいいようがない。 e そのほか、原告は、食材の取扱が雑で、少し気を付ければ回避できる食材の破損を避ける気持ちがまったくなく、尻尾が取れているというだけで甘エビを捨てたり、焦がしたエビニラマンを捨てるなどしたほか、他の仕事でも雑なところが目立ち、たとえば何度食器の洗い方を指導しても従わず、口紅の付いたグラスでドリンクを作ったり、再三注意しても刺し身のつまを皿からはみ出して盛り付けるなど、指導を無視するかのように同じ失敗を繰り返し、食器の破損も他の3倍はあった。 イ原告は、前示1(4)のとおり4月14日、15日に無断欠勤し、更にその要請に基づき、同月17日以降もE店長らが午後12時に仕事を上がるよう指示していたのに仕事を続け、ことさら反抗する態度を示した。 ウまた、原告は、(a)実際は4月9日は出勤すらしていないにもかかわらず、同日就労したうえ4時間の残業をしたと、(b)また、上記イのとおり、4月17日以降は、前示②以外は被告の指示を無視して居残ったものであるのに、業務命令に基づく残業であると、いずれも虚偽の事実を主張し、その旨記載した本件表を提出して、前示1(5)①のと イのとおり、4月17日以降は、前示②以外は被告の指示を無視して居残ったものであるのに、業務命令に基づく残業であると、いずれも虚偽の事実を主張し、その旨記載した本件表を提出して、前示1(5)①のとおり本件請求をした。 エ更に、原告は、なにごとにつけて父親任せであり、上記ウのとおり本件表には疑義があったため、5月19日C専務が本件表の見方や資料等について尋ね、また無用な紛争を回避すべく、4月14日以前の分については原告申告の出退社時刻に基づき残業代を支払う旨の妥協案を示したのに対しても、「父親が作成したので、分からない」「父親に預けてある」「お父さんに任せてある」と、自ら解決する意欲を示さなかった。更に、前示1(5)のとおり、本件面談Ⅱの際将来の希望を尋ねられてノーコメントと答えるなど、期待された幹部候補生としての資質に欠けた。 ⑤ 前示(1)⑧ないし⑩の主張は否認ないし争う。 被告は、5月26日労働基準監督署から連絡されるまで、本件申告の事実を知らず、本件解雇は、原告の労働者としての権利行使とは無関係である。 また、被告は、前示1(4)②のとおり、本件面談Ⅰ時の原告の要請に基づき、E店長が仕事を上がっていいと指示しているのであり、残業代を支払わないのを経営方針にしているのでないことは明らかである。 第3 争点に対する判断 1 本件解雇事由の存否及び解雇権濫用の主張の当否(前示第2、2(2)③、同(1)⑧の主張について)(1) 前示第2、2(2)③アの解雇事由について① (a)前示第2、1(1)(2)(4)の各事実、乙9の1・2、乙10の1ないし22、乙11、乙13、乙14、乙20、乙24、証人E・同Fの各証言、被告代表者尋問の結果、弁論の全趣旨、(b)いずれも後示採用できない部分を除く甲1、甲4、乙7、乙8、乙17によれば、前示解雇事由に 、乙11、乙13、乙14、乙20、乙24、証人E・同Fの各証言、被告代表者尋問の結果、弁論の全趣旨、(b)いずれも後示採用できない部分を除く甲1、甲4、乙7、乙8、乙17によれば、前示解雇事由につき、おおむね被告主張に沿う以下の事実が認められる。 ア被告を含む養老乃瀧グループは、昭和30年代頃から居酒屋チェーンを展開している企業グループで、本件店舗などの直営店の経営を行なうほか、全国に約1800店の加盟店を有し、その開業・運営等を支援するフランチャイズ営業も行なっている。 上記加盟店には、他業種店の経営者や脱サラ組なども多く、これら居酒屋営業の未経験者の営業を可能にするため、養老乃瀧グループでは種々のノウハウを開発しており、商品調理に関しては、(a)各メニュー毎に商品マニュアルを作成して、未経験者でも調理方法や材料の保管方法、仕込み方等を容易に習得できるよう分かりやすく解説するとともに、その標準化を図り、商品の出来や分量にバラつきが出ないようにしており、(b)食材は、納入前に下ごしらえ済の加工品や半加工品を多用して、単純な調理だけで商品の提供が可能な方式を取っていた。その結果、各店舗では、たとえば刺し身は、すでに柵取りしてある魚の身を切るだけ、炒め物は、仕込んである野菜等をフライパンで炒めるだけ、食品の温め調理は、レトルト食品を温めて皿に盛り付けるだけで出来上がるなどというように調理が簡略化されており、また使用食材は、後示のエビ、イカなど一部を除き、現場で特別な仕込み作業を必要としないように準備されていた。 イ原告は、3月近畿大学農学部食品栄養学科を卒業して、被告に入社した。原告は、被告で初めての大卒新入社員であり、また商品開発担当の企画部等の事務職ないしスーパーバイザーとしての営業職を、第1、第2希望にしており、これらを受け 食品栄養学科を卒業して、被告に入社した。原告は、被告で初めての大卒新入社員であり、また商品開発担当の企画部等の事務職ないしスーパーバイザーとしての営業職を、第1、第2希望にしており、これらを受けて被告は、原告に従業員のリーダー的存在たる幹部候補生としての役割を期待していた。 入社後、原告は、3月16日から1週間にわたって東京で、ビデオ等による調理指導や、客への挨拶など接客の実技指導、あるいは就業規則の説明等を含む第1次研修を受け、その後同月23日、同期生のFとGや他の女性新入社員2名とともに本件店舗に配属された。 ウ同店の厨房には、扱う調理内容の異なる調理場、焼き場、フライ場の3つの調理部署と洗い場、カウンターがあって、調理場では刺し身、炒め物、温め等の、焼き場では串物、焼き魚、鉄板料理、炒め物等の、フライ場では揚げ物、サラダ、温め等の調理を担当していたが、男性の新入社員は、上記3部署を順次ローテンションして、各部署で先輩従業員の指導を受けながら仕事を覚えることになっていて、それぞれ大体1か月ずつで、1部署の商品調理や、各商品の規定量の把握、仕込みからの段取りを1人でこなせるようになるなど、当該部署の仕事全般に習熟することが予定されており、原告は、最初調理場に配属された。 調理場では、同部署の担当者で、養老乃瀧グループに約6年間の経験のあるアルバイト従業員のH(ただし、当初短期間のみ別の従業員)が、原告の指導に当たり、(a)まず4月3日まで、第2次研修として、同人のマンツーマン指導で、主に調理の実技指導のほか、接客と礼儀の重要性や商品保管と仕込み方法等の講習があり、(b)その後、原告は、調理や食器洗いなど通常の業務に従事しながら、当初枝豆やトマトのスライスの盛付け等の簡単な作業から始めて、順次他の料理の調理等に移っていったが、その勤 込み方法等の講習があり、(b)その後、原告は、調理や食器洗いなど通常の業務に従事しながら、当初枝豆やトマトのスライスの盛付け等の簡単な作業から始めて、順次他の料理の調理等に移っていったが、その勤務ぶりには、以下のような問題があった。 エまず、本件店舗には各調理部署毎に冷蔵庫があって、多様な食材が保管されており、その中で食材等を腐敗させると、食中毒の発生や、臭いが他の食材に移って商品価値を損なう虞れがあり、被告では、前示ア、イの研修等を通じて、新入社員らに再三冷蔵庫の管理について指導してきた。 しかるに、原告は、以下のとおり日数を重ねても業務に習熟せず、失敗を繰り返したが、そればかりではなく、自分の失敗を申告するのが心理的に耐えられない性格で、度々その隠蔽を図ろうとし、たとえば、豆腐をわざわざ手の上で切る等して失敗し崩すと、冷蔵庫内に隠してしまい、E店長らから注意されても同様の行動を反復した。その結果、原告は、4月中旬から5月中旬頃にかけて、崩した豆腐を何度か冷蔵庫に隠し、賞味期限が切れても報告しなかった。また、原告は、なかなか普通の細さのイカソーメンが造れなかったが、5月上旬頃失敗したイカソーメンを冷蔵庫に隠し、結局腐らせた。更に、原告は、上記の豆腐の件が発覚しE店長から注意されて間もない頃、今度は焦がしたホルモン炒めを隠そうとして、熱いまま冷蔵庫に入れるなど、著しく常識はずれの行動に出たりした。 更に、原告は、上記隠蔽等につき社会人として一人前の責任感ある態度が取れず、何度も豆腐を崩すため、E店長から同じ失敗を繰り返すことや失敗した豆腐をどうするつもりかを問い質されると、「豆腐が柔らかいもので…」とか、「いや…いや…」などと明確な返事をせず、また上記イカソーメンの腐敗が見つかって注意されると、「あのー、そのー」とか、「細く切れない うするつもりかを問い質されると、「豆腐が柔らかいもので…」とか、「いや…いや…」などと明確な返事をせず、また上記イカソーメンの腐敗が見つかって注意されると、「あのー、そのー」とか、「細く切れないので…」などと言うばかりだった。 オまた、原告は、協調性に乏しく、もともと同期や年下の従業員の言うことはほとんど聞こうとしなかったが、そればかりでなく、被告内の決まりや先輩の指示に従わないことが再三あり、たとえば、被告には店内の活気を盛り上げるため、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と勢いよく声を出して客に送迎の挨拶をするとか、商品注文など従業員同士の依頼事項は、必ず、「…をお願いします。」「はい、わかりました。」とはっきり声に出して復唱して確認する等の決まりがあり、前示イ、ウの研修を通じて新入社員らにも指導されていたのに、原告は、入店以来ずっと送迎の挨拶や依頼事項の復唱等の声を出さず、たとえ出しても、聞こえないような小さな声しか出さなかった。このため、店内の雰囲気が悪くなるのを心配したE店長らが何度も指導を行なったが、原告は、一時的に声を出すだけか、あるいは反抗的な態度を示して声出しをしなかった。 そのほか、本件店舗では、客から2回請求された商品は緊急なので、他の仕事に優先して作るよう指導していたが、原告は、これを守らないことがあり、再度請求された甘エビの刺し身や海鮮サラダを造らず、甘エビのときは怒った客が帰ってしまうなどのことがあった。また、原告は、指導担当のHなどから、冷蔵庫の整理(古い食材を前に出し、新しいのを奥に入れる)を指示されたのに、返事をするだけで実行しようとせず問題になり、これが、4月後半以降で7、8回繰り返された(原告も7月の段階で冷蔵庫の混乱を指摘された事実を認めるー甲4・9頁)。 カ更に、新入社員は、本 されたのに、返事をするだけで実行しようとせず問題になり、これが、4月後半以降で7、8回繰り返された(原告も7月の段階で冷蔵庫の混乱を指摘された事実を認めるー甲4・9頁)。 カ更に、新入社員は、本件店舗で行なう前示アのエビやイカ等の仕込みを、順次新しく教えられていたが、原告は、同期生より飲込みが悪く、期間が経っても向上が見られなかった。 このうちエビの仕込みは、背わたと触覚を取り、串に刺す作業で、同期のEは、3月末頃には1ケース約30尾のエビを約2、30分で処理し、その後上達して4月上旬には約15分でできるようになり、中村も当初から20分位で完了したが(ただし、同人はエビアレルギーなのが判明し、退社を余儀なくされた)、原告は、当初約1時間、5月中旬で30分以上かかり、仕込みが2、3ケースになると、その遅れは業務上無視できないものだった。また、イカの仕込みは、1ケース25、6杯の内蔵を抜き、刺し身用に約10杯の皮を剥ぎ、ゲソを切り分け味付けする作業で、Eが上記の量を当初約40分、慣れてからは約15ないし20分で仕込めるところが、原告は1時間かかっても完了せず、そのうちイカの色が変わり、商品として使えなくなってしまうという状態で(色の変わったことがあるのは原告も認めるー甲4・17頁)、以上は日数が経ってもあまり変化がなかったが、上達がこれほど遅い者は、過去に例がなかった。 更に、原告は、出し汁造りなど他の調理も手順が悪く、同期のFらより長時間をかけていた。 キ原告は、そのほかの仕事の仕方が雑で、食材の破損を回避しようという姿勢に乏しく、たとえば高価な甘エビは、簡単には無駄にできないのに、尻尾が取れたというだけで捨てたり、焦がしたエビニラマンを捨てて報告しなかったりした。また、ネギの根は、1本ずつ切るよう指導されていたのに、何本も束ねて切 高価な甘エビは、簡単には無駄にできないのに、尻尾が取れたというだけで捨てたり、焦がしたエビニラマンを捨てて報告しなかったりした。また、ネギの根は、1本ずつ切るよう指導されていたのに、何本も束ねて切って無駄を出したりしたほか、他の仕事でも指示や指導に従わず、たとえば先輩従業員から何度食器の洗い方を指導されても守らないで、グラスに口紅が付いていることに気づかないままドリンクを作ってしまったり、再三注意しても刺し身のつまを皿からはみ出して盛り付けるなど、同じ類いの単純な失敗を繰り返して進歩がみられなかった。また、食器の破損も他の従業員より多かった。 ク前示ウのとおり本件店舗の新入社員は、調理場、焼き場、フライ場の3部署を約1か月毎にローテーションして、約3か月で全部署の仕事を覚えることになっており、同期のFとGは、それぞれ当初配属のフライ場と焼き場の業務を短期間で順調に覚え、Fは、料理はほぼ未経験だったにもかかわらず、入店後約1か月でフライ場から焼き場に、更に約40日後に調理場に配転換えになった(配属状況につき乙20参照。これに反する乙7、乙8、乙17の記載は誤記と認める。なお、Gは、前示のエビアレルギーで4月に退社した)。また、未経験者も受けいれる加盟店店員の研修でも、約1か月で全部署の研修を終えるよう設定されていた。 これに対し、原告は、仕事の覚えが悪く、入社から2か月以上経過しても調理場の業務を習得できず、他部署への配置換えが実施できなかった(ただし、前示第2、1(7)②のとおり業務中の火傷で休業し、再度の労災を避けるため、7月14日から火傷の危険性の低いフライ場に配置換えになった)。また、原告は、ほとんどHやEらのもとで作業しており、6月末までに、一人で調理場を任せられたのはわずかな日数だった。 ケこのような原告の業務遂行能力の低 の危険性の低いフライ場に配置換えになった)。また、原告は、ほとんどHやEらのもとで作業しており、6月末までに、一人で調理場を任せられたのはわずかな日数だった。 ケこのような原告の業務遂行能力の低さや勤務上の問題点等については、すでに4月中旬本件欠勤のあった頃から、B社長ら被告の上層部に報告されており、同社長は、E店長にもっと指導するよう指示していたが、その後も何度注意しても改善が見られないため、更にC専務が、5月1日の月例会の際に同店長に原告に対する指導の強化を指示した。 これらを受けて、E店長は原告に、自分から調理場の仕事を積極的に覚える努力をするよう指導し、「早く一人で調理場を回せるようになってね。」などと励ましたりする一方、再三の指導にもかかわらず、同じ失敗を繰り返したりするときには、「どうしてアジの骨にそんなに身が付いているの?何度も教えたでしょ。」「汚い刺し身、これでお客様からお金が頂けるの?」等と叱責したが、原告は、洗い物ばかりして調理等に積極的に取り組もうとせず(その旨の注意を受けたことは原告も認めるー甲4・26頁)、容易に改善がみられなかった。また、C専務は、特に技術を必要としない復唱等の声出しは朝礼で徹底するよう指示し、E店長も指導したが、これも前示オのとおり改善がなかった。 結局、5月22日C専務とE店長の協議の結果、調理全般の能力が著しく劣る、注意しても直そうとしない、指示に従わないなどの状態が確認されたため、被告では、本件就業規則19条3号の「勤務成績又は能率が不良で、就業に適さないと認められた場合」に該当すると判断し、これを解雇理由の一つとして、前示第2、1(7)の解雇予告を行なった。 ② 以上の認定に対し、原告は、前示第2、2(1)⑦ア、同⑨のとおり、被告の主張事実を争い、(ア)甲4、甲5、原告本人の供述に 、これを解雇理由の一つとして、前示第2、1(7)の解雇予告を行なった。 ② 以上の認定に対し、原告は、前示第2、2(1)⑦ア、同⑨のとおり、被告の主張事実を争い、(ア)甲4、甲5、原告本人の供述には、(a)5月18日には、調理場の仕事は、ほぼ一人でこなせるようになっていたと、業務能力が特に低くなかった旨をいう部分や、(b)イカや豆腐は、E店長に刺し身や野菜の切れ端など使える物はすべて使うように言われていたから冷蔵庫に保管したもので、保管したのを忘れたことはあるが、失敗を隠したものではないし、イカも冷蔵庫内で腐っていない、(c)焦げたホルモン炒めも、また洗って使うようにE店長から指示されたものである、(d)忙しいときは冷蔵庫の清掃ができなかったが、手の空いたときに整理していた、(e)エビやイカの仕込みも他の従業員より多少時間がかかった程度で、被告の主張ほど遅くない、と自分の失敗等を否定する趣旨の部分、ないし、(f)他の従業員も食中毒を出したり、オーダーの調理し忘れ、調理の失敗等があって、E店長から注意されており、自分だけが特に劣っていたわけではないとの趣旨の部分がある。 一方、(イ)原告本人の供述や陳述書(甲1、甲4)には、調理場の作業に慣れなかった理由や業務上の失敗の弁解等として、(a)調理場は、炒め物、煮物、電子レンジ物など、他の部署に比べ商品数が多く、調理方法の範囲も広いし、包丁も3本使うなど作業が複雑である、(b)調理も難しいものが多く、特に刺し身は素人がすぐにできるものではない、(c)食材のうちタコ、イカや刺し身の鮮度の見極めも、素人にはなかなかできない、(d)全体に実技指導が少なく、時間も短かったため、自分でマニュアルを見て創意工夫して業務に当たらねばならなかった、(e)途中で何種類か新商品が出ても調理長の指導がなく、暗中模 にはなかなかできない、(d)全体に実技指導が少なく、時間も短かったため、自分でマニュアルを見て創意工夫して業務に当たらねばならなかった、(e)途中で何種類か新商品が出ても調理長の指導がなく、暗中模索で調理していた、(f)繁忙時には、10前後に及ぶオーダーを処理するだけで精一杯で依頼事項の復唱等ができないし、店長に返事できなかったのも、仕事に集中しているときか、店内の喧騒で聞き取れなかったためと思う、(g)再度請求された甘エビの刺し身の造り忘れは、オーダーの商品チケットを黙って置かれたために気づかなかったのである、以上のような部分がある。また、(h)原告は、甲5において、刺し身類の調理を、いずれも「困難」とか「極めて困難」に分類し、イカソーメン等を「超難」に分類している。 ③ しかしながら、まず、前示(ア)(a)の点についてみるに、本件店舗での新入社員教育は、前示①ク認定とおり調理関係の1部署の仕事を約1か月間で覚えて次の部署に移るのが通常で(加盟店店員の研修の場合は更に短期間)、現にFは、これにほぼ沿う形で配置換えになっており、仮に原告主張を前提としても、その業務遂行能力や習得能力が普通の者より劣っていたことは確かである。次に、5月18日までに調理場の業務をこなせていたとの主張を検討するに、仮にそうならば、原告は他の調理部署に配置換えになってしかるべきところ、実際には前示①クのとおり容易に配置換えできなかったのである。そして、原告側作成の甲5をみると、あたかも、当初はHと共同で作業していたのが、5月中旬頃までに原告単独で調理場の仕事をするようになったかのような記載があるが、実際は前示①ウ、ク認定のとおりHも調理場を担当しており、原告が一人だけで同部署の仕事をしたのはわずかな日数にとどまっていたのであって、上記記載には大きな誇張がある になったかのような記載があるが、実際は前示①ウ、ク認定のとおりHも調理場を担当しており、原告が一人だけで同部署の仕事をしたのはわずかな日数にとどまっていたのであって、上記記載には大きな誇張があると考えられる。 更に、前示(ア)(c)は、容易にありそうにない内容であること、同(b)も、保管したはずの豆腐やイカが使われた形跡がないことや、現に原告にイカや豆腐が腐っていると注意があり、冷蔵庫内で豆腐が賞味期限切れになっていた点(原告もこれを認めるー平成14年1月15日付原告本人調書17頁以下、甲4・22頁)に照らし、いずれも容易に信用できず、原告が冷蔵庫内に失敗した食材をかくして腐敗させたのは確実な事実といわねばならない。また、前示①オの冷蔵庫の清掃を渋った点は、中に失敗した商品を隠していたこととの関連が疑われ、同(d)の弁解も直ちに採用できない。また、同(f)の点は、裏付けとなる客観的証拠がないうえ、本項冒頭認定のとおり原告の業務遂行能力が他の従業員より相当劣っていたのが明らかな点を考慮すれば、ほかの者にも失敗があったというだけで、直ちに前示認定が左右されるものではない。 したがって、以上のほか、反対趣旨の前示①冒頭(a)掲記の各証拠も総合すれば、前示②(ア)の点に関する原告に有利な証拠は、全体としても採用できず、原告は、前示①認定のとおり、業務の習熟が遅く、能力自体も低かったうえ、勤務態度も不良だったといわねばならない。 ④ 次に、前示②(イ)の点を検討するに、原告は、同(a)ないし(c)、(h)のとおり、担当した調理場が他と比べて難しい部署で、高度な技術等を要する旨を述べているが、もともと養老乃瀧グループのような大型の飲食業チェーンでは、前示①ア認定の事実から窺われるとおり、多数の店舗での未熟練労働力の大量使用が経営上の前提になって 、高度な技術等を要する旨を述べているが、もともと養老乃瀧グループのような大型の飲食業チェーンでは、前示①ア認定の事実から窺われるとおり、多数の店舗での未熟練労働力の大量使用が経営上の前提になっているのであり(その点はほとんど公知の事実といってよい)、商品マニュアルの設定や加工品の多用等により、作業の標準化、簡略化を図っているのであるから、原告主張のような高度の技術が必要だとは容易に考え難い。また、新人社員でも、前示①ウ、ク認定のように標準化された研修やオンザジョブ・トレーニングによって、必要な技術等を短期間で習得することが予定されているのが一般的である。そして、原告が難しさを強調する刺し身をみても、前示①ア認定のとおり、本件店舗に納入される刺し身材料は、基本的に柵取り済で、ウロコ取り、ワタ抜き、身のおろしや皮引きなどの手間のかかる作業は終わっており、現場では解凍のうえ包丁で引くだけで、所定の刺し身が造れるのであって、前示②(イ)(b)(h)のような高度の調理技術が必要だったとは認め難い(上記作業の必要なアジ、イワシ等は常時ある商品ではないー甲4・10頁)。また、同(c)のように、刺し身材料等の鮮度の見極めが大きな問題になるとも考えられない(なお、原告が供述中で言及するイカ、タコの切れ端は冷凍すべきものである)。 更に、前示①ア及び本項冒頭認定のような作業標準化の趣旨からすれば、各従業員毎の裁量に基づく調理は、これに反する行為というべきであるし、前示①ア認定のとおり非常に多数の加盟店等を有する大型飲食業チェーンで、商品マニュアルの配布のみで新メニューが導入されるのも当たり前というべきであって、前示②(d)(e)の弁解は、飲食業チェーンのこれら特質を理解していない言い分といわねばならない。 そのほか、前示①オ認定のとおり、従業員同士は、 メニューが導入されるのも当たり前というべきであって、前示②(d)(e)の弁解は、飲食業チェーンのこれら特質を理解していない言い分といわねばならない。 そのほか、前示①オ認定のとおり、従業員同士は、声を出して依頼事項を伝え復唱して確認していた点からすれば、前示②(f)(g)も採用できない。 したがって、以上に加えて、反対趣旨の前示①冒頭(a)掲記の各証拠や、前示①ウ認定のとおり、原告がもっぱらベテランのHから指導を受けていた点も考慮すれば、前示②(イ)の原告に有利な前示各証拠は、全体として容易に採用できず、原告の業務能力の低さや勤務態度上の問題点について、これを直ちに正当化できるだけの事情は認められないというのが相当である。 ⑤ そのほか、甲1、甲3、甲4、証人C恒夫の証言、原告本人の供述中には、被告からの解雇予告時に、勤務成績や態度等についての説明はなく、労組との団体交渉の際も、途中まで原告の業務遂行能力の欠如等が解雇事由として説明されなかったなどと前示認定を争う趣旨の部分があるが、前示①ケ及び前示第2、1(7)①③のとおり、原告の業務能力や勤務態度については、4月中旬の時点から問題になり、指導も強化されたうえ、2回にわたる解雇予告では、いずれも本件就業規則19条3号の解雇事由が援用されていたことは明らかである。そして、労組との団体交渉に不慣れな使用者の中には、ともかく紛争を避けたいという気持ちから、あるいは交渉の雰囲気や相手方の対応に呑まれて、紛争経過を十分説明、アピールしないままの者もいるのであって、これらの事情に照らせば、被告の主張に不合理な変遷等があったとは容易に認め難い(労組の中には、使用者側の萎縮を狙って、あえて上記のような交渉態度を取るものも見受けられないではない)。 そのほか、原告の主張中には、前示第2、2(1)⑧⑩のと 理な変遷等があったとは容易に認め難い(労組の中には、使用者側の萎縮を狙って、あえて上記のような交渉態度を取るものも見受けられないではない)。 そのほか、原告の主張中には、前示第2、2(1)⑧⑩のとおり解雇権の濫用となるべき事由があるとして、これを根拠に解雇事由の存在そのものを争うかのような部分があるが、この点は、解雇権濫用の成否と併せて検討するのが適切であるから、後示(4)において判断することとする。 (2) 前示第2、2(2)③イないしエの解雇事由について① (a)前示第2、1(3)①、(4)、(5)の事実、乙4の3、乙8、乙11、乙12、乙17、証人Eの証言、被告代表者尋問の結果、(b)いずれも後示採用することができない部分を除く甲1、乙5の3、原告本人尋問の結果のほか、(c)乙6の存在によれば、おおむね原告主張に沿う以下の事実が認められる。 ア本件店舗従業員の休日は、E店長が指定しており、原告の場合、4月は、3日、5日、9日、11日、16日、21日、24日の7日間があらかじめ同月の休日に指定され、原告は、これら休日をいずれも取得した。また、原告は、その後4月30日にも休日を取得し、その振替として5月3日に勤務した(平成14年1月29日付E証人調書6頁、甲24・3枚目左側。なお、乙5の3、4の出勤簿のうち4月30日、5月3日の出勤状況に関して上記認定に反する部分は、あらかじめ4月下旬に、以後の出勤状況を、見込みで出勤簿に記載したため生じた誤記と認められるー上記証人調書3頁以下)。 イ一方、原告は、本件店舗の勤務に慣れず、下痢になるなど体調を崩して、4月中から退職や転職を考えるようになっていたが、4月14日の勤務を無断欠勤して、午後4時頃突然、被告名古屋事務所に出頭し、居合わせた事務員に保険証と社章を差し出して退職する意向を伝えた を崩して、4月中から退職や転職を考えるようになっていたが、4月14日の勤務を無断欠勤して、午後4時頃突然、被告名古屋事務所に出頭し、居合わせた事務員に保険証と社章を差し出して退職する意向を伝えた。これに対し、同事務員は、E店長に連絡するよう指導したが、原告は、本件店舗には向かわず、三重県四日市市の実家に一旦帰ってしまった。しかし、原告は、その後Aらと話し合うなどした結果、退職の意向を撤回することにし、16日夜11時頃E店長に電話して、結局C専務の指示に基づき、翌17日(月曜日)に被告側と話をすることになった。 ウ 4月17日朝、原告は、会社を休んだAとともに被告事務所を訪れて、B社長、D本部長らに会い、もっぱらAが話す形で、退職の意向を撤回した。これに対し、D本部長が退職の意向を示したり無断欠勤した原因を尋ねたが、原告は、「いや…その…」などと言うだけではっきり答えず、無断欠勤についても明確な反省の意思を示さなかった。 そして、原告側は、やはり主にAが話をする形で、残業がつらいので終業時刻を配慮してもらいたい、休日もできるだけ早く決めてほしい等の要望を出した。これに対し、B社長らは、これらの点の配慮を承諾し、原告の勤務時間は、本件就業規則のとおり厳格に午後3時から午後12時とし(その旨説明されたのは原告側も認めるー甲1・15頁、甲2・19頁)、終業時刻を守る、12時になったらあがっていいとの旨を説明するとともに、同日朝礼の際に従業員らに対し、原告を定時(午後12時)にあげられるようにすること、他の従業員も、洗い物など残った作業は翌日回しにしてもよいなどの指示を出した。また、D本部長は、E店長に休日の予定をできるだけ早く指定するよう伝えた。 エそして、上記を受けてE店長は、同4月17日午後12時になると、勤務に復帰していた原告にもう仕 もよいなどの指示を出した。また、D本部長は、E店長に休日の予定をできるだけ早く指定するよう伝えた。 エそして、上記を受けてE店長は、同4月17日午後12時になると、勤務に復帰していた原告にもう仕事をあがるよう指示をした。ところが、原告は、上記面談の際、自分の側から終業時刻の配慮を求めていたにもかかわらず、E店長の指示に従わずに、更に業務を続け、翌18日にも、店長の指示を無視して作業を続けようとした。 そのため、翌日以降本件店舗では、アラーム付の時計をセットし、午後12時にアラームが鳴ると、(E店長は、経理の集計など他の業務中で、みずから上記の指示をするのに支障もあったため)指導を担当していたHや他の従業員らが、原告に仕事をあがるように告げ、これ以降、あえてやり掛けのわずかな作業を続ける以外に、原告が午後12時以降の深夜残業を行なうことはほとんどなくなり、被告の業務命令に基づく深夜残業も、5月2日、5日、6日、12日、14日にそれぞれ30分から1時間半程度の作業があったにすぎなかった(これらは、E店長がチェックして、5月分の給料日に支払済である)。 オしかるに、原告は、5月18日Aとともに被告名古屋事務所を訪れ、4月1日から30日までの出退勤時刻等を記載した本件表を示して、残業代の請求をし、同表には、同期間中に合計70時間27分の時間外労働をした旨が記載されていた(なお、このときの請求金額については、明確な資料がないが、乙6の記載によれば10万円を下らないと考えられる)。 しかし、同表には、(a)前示アのとおり、実際は欠勤した4月9日に出勤したと記載されていたばかりか、4時間の残業までした旨記載されており、(b)また、前示ウのとおり、4月17日以降原告は、ほとんど深夜残業していないか、あるいは午後12時以降に残っていても、前示エ末尾の と記載されていたばかりか、4時間の残業までした旨記載されており、(b)また、前示ウのとおり、4月17日以降原告は、ほとんど深夜残業していないか、あるいは午後12時以降に残っていても、前示エ末尾の場合を除き、被告側の指示に基づかないものだったのに、長時間の深夜残業をした旨の記載があった。 一方、この面談の際、Aと原告は、本件店舗の従業員数が10名以上か否か、労働時間の原則はどうなっているか等を尋ね、D本部長から、前者は10名以上であり、後者は週40時間の1か月を単位とする変形労働時間制である旨の説明を受けた。また、原告は、E店長から将来の希望を尋ねられたのに対し、ノーコメントと答えるなどした。 カ上記のとおり本件表には疑問があったため、被告では、翌5月19日にC専務が原告と会い、本件表の見方や基礎となった資料等について尋ねるとともに、前示オ(a)のとおり欠勤したはずの4月9日に出勤したように記載されている点について質したが、原告は、「父親が作成したので、分からない」「父親に預けてある」などと答えるだけで、具体的な説明をしようとしなかった、また、このときC専務が、無用な紛争を避けようと、独自の判断に基づき、4月14日以前の分は原告申告の出退社時刻に基づき残業代を計算して払うことなどの条件で解決したい旨の妥協案を提案したのに対しても、「お父さんに任せてある」と、自分の問題をみずからの判断で解決する態度を示さなかった。 ② 以上の認定に対し、甲1、甲2、甲4、証人Aの証言、原告本人の供述中には、(a)4月14日午後12時頃E店長に電話し、翌日と16日に休む許可を得たから、15日は無断欠勤ではない、(b)5月18日以前に、仕事を残してもあがってよいと言われたのは、4月17日、18日にE店長から言われた以外にはない、(c)他の従業員が片付け作業 に休む許可を得たから、15日は無断欠勤ではない、(b)5月18日以前に、仕事を残してもあがってよいと言われたのは、4月17日、18日にE店長から言われた以外にはない、(c)他の従業員が片付け作業をしているときに、午後12時に帰れというのは、自分に対する差別である、(d)当時は、深夜に体が疲れきり、意識がもうろうとしており、一人だけ仕事をあがれるような状態ではなく、午後12時に仕事をあがったら、もう仕事を教えてもらえないと不安を感じていたので残業せざるを得なかった(甲1・11頁以下)、(e)4月9日は出勤しており、これを前提とした本件請求は真実である、(f)5月19日にC専務と話した際、4月9日は欠勤しているはずだと言われたり、その点について本件表の根拠を聞かれたことはない(平成14年1月15日付同本人調書41頁等)、以上の趣旨の部分がある。そして、(g)原告作成の本件メモⅠには、4月9日午後1時30分に出勤し、翌日午前2時30分に退勤した旨の記載が、(h)本件メモⅡには、4月中は原告主張に沿う時刻に退勤していた旨の記載がある。更に、(i)4月9日の出勤の根拠として、原告は、「4月8日が誕生日なので、9日が休みなら帰郷するはずなのに、帰っていないので働いていたと思う。」(平成13年10月30日付同本人調書7頁)とか、「4月9日の桜花賞で好きな馬が走っていたのに、このレースを見た記憶がないから、休んでいないと確信している。」(平成14年1月15日付同本人調書40頁以下)と供述している。 ③ しかしながら、まず4月9日の欠勤の問題をみるに、前示①ア認定の4月の休日予定によれば、(ア)仮に4月9日が当初から休日でなかったとすると、同月の休日予定日は6日間にすぎないこととなって、1カ月8日以上という本件就業規則10条の定めに比べ、いかにも過 ア認定の4月の休日予定によれば、(ア)仮に4月9日が当初から休日でなかったとすると、同月の休日予定日は6日間にすぎないこととなって、1カ月8日以上という本件就業規則10条の定めに比べ、いかにも過少である(なお、甲1・14頁には、4月17日も休日予定日だったかのような部分があるが、これを裏付ける証拠はないし、仮に同日を休日に算入しても、やはり就業規則の定めより過少な点にかわりはない)。また、被告が同日を欠勤扱いして、その分の賃金を払わなかった点も後で問題になるはずである。(イ)反対に、本来休日の予定だった4月9日に原告が出勤したとすれば、振替休日の取得や休日労働に対する賃金の支払が問題になるべきところ、本件紛争中に原・被告の間で以上の各点が問題になった形跡はないのである。 また、甲16、甲26によれば、4月9日の出退勤に関する本件メモⅠの記載は、後日原告が記憶に基づきなしたというのであって信用性に乏しいし、紛争から長期間経過後になって前示②(i)後段の経過を思い出したというのも不自然である。更に、この点についての被告の態度は、4月9日の欠勤を主張する内容で一貫しているのであって、C専務からその点を問い質さなれかったとの前示(f)の原告供述は、到底真実とは考えられない。 以上によれば、4月9日の残業に関する原告に有利な前掲証拠は採用できず、原告は、同日の残業つき真実に反する請求をしたといわねばならない。 ④ 次に、4月17日以降の深夜残業の問題について検討する。 まず、被告の指示の有無をみるに、前示①ウ、エ認定のとおり4月17日の面談の際に、被告側が終業時刻や休日についての配慮を承諾し、勤務時間を厳格に午後3時から午後12時とし、終業時刻を守る、12時になったらあがっていいと約束したうえ、朝礼でも従業員にその旨指示しており、4月17日、18 が終業時刻や休日についての配慮を承諾し、勤務時間を厳格に午後3時から午後12時とし、終業時刻を守る、12時になったらあがっていいと約束したうえ、朝礼でも従業員にその旨指示しており、4月17日、18日はE店長が仕事をあがるよう指示し、19日以降は時計のアラームによって、Hら他の従業員が同様の指示をしていたのであるから(アラームが鳴っていたのは原告も認めるー甲4・29頁)、被告から午後12時に仕事を止める指示がなかったといえないのは当然で、前示②(b)は容易に採用できないし、同(c)も馬鹿げた言い分である。 そして、前示②(d)のように疲労していた者が、仕事をあがる指示に従えないなどというのは到底ありそうもない話である。また、当時被告側は、前示(1)①ケ認定のとおり原告の習熟の遅さを問題視していたのであり、午後12時にあがると仕事を教えないなどと言う状況があったとは直ちに考えられない。 また、このような指示があるのに、客観的事実として、午後12時以降の作業が、原告主張のように長時間にわたって継続していたとも容易に考えられないのであって、原告に有利な前掲証拠はいずれも採用できない。 結局、原告は、4月17日以降の深夜残業について不当な請求をしたものであり、本件メモⅡの前示②(h)の記載も原告がほしいままにしたもので、ほとんど信用性がないと認めるのが相当である。また、そればかりでなく、前示①エ認定のとおり、本件面談Ⅰで自分から終業時刻の配慮を求めたにもかかわらず、格別首肯できる理由も見当たらないのに、4月17日、18日とE店長の指示に従わず、作業を続けようとした点からすれば、当時原告は、なんらかの不正常な意図に基づき、あえて残業の外形を作出しようとした疑いも払拭できないというべきである。 ⑤ そして、そのほか前示②(a)についても、これを裏付けるだ うとした点からすれば、当時原告は、なんらかの不正常な意図に基づき、あえて残業の外形を作出しようとした疑いも払拭できないというべきである。 ⑤ そして、そのほか前示②(a)についても、これを裏付けるだけの客観的証拠はないから、以上を総合すれば、原告に有利な前示②の証拠は、全体としても容易に採用できず、前示①の認定を左右することができない。 (3) 小括上記によれば、前示(1)①認定の原告の業務遂行能力の低さや協調性の欠如、勤務態度の不良等は、本件就業規則19条3号所定の解雇事由に該当し、前示(2)①認定の無断欠勤や残業代の不当な請求は、同条4号の「その他前各号に準ずるやむを得ない事由がある場合」に該当するというのが相当である。 また、前示(2)①ウ、オ、カのとおり、原告は、自分の重要な問題についても父親任せで、一人前の社会人としての責任感ある行動を取っていないと認められるところ、この点は、それだけで直ちに本件就業規則19条4号の解雇事由に該当するとは認め難いが、前示解雇事由を補強する事情というべきであって、これらを総合すれば、本件解雇には、相当な理由があると認められる。 (4) 解雇権濫用の主張の当否等① 以上に対し、原告は、前示第2、2(1)⑧のとおり解雇権の濫用を主張するとともに、これを根拠に解雇事由の存在そのものも争っており、前示第2、2(1)⑦⑩の主張中にも、同主張に関連する部分がある。 そして、本件メモⅡ、Ⅲ中には、(a)4月19日、B社長が「労働基準法がどうこう言うやつはいらない」と述べた、(b)5月19日には、E店長らから「辞めちゃえ」等と言われた旨の記載があるほか、甲1、甲2、甲4、甲10、証人Aの証言、原告本人の供述中には、(c)5月18日本件面談Ⅱの際に、D本部長から、被告として原告の時間外労働に対する手当を払うつもりは 」等と言われた旨の記載があるほか、甲1、甲2、甲4、甲10、証人Aの証言、原告本人の供述中には、(c)5月18日本件面談Ⅱの際に、D本部長から、被告として原告の時間外労働に対する手当を払うつもりはないと言われた、(d)同日夜、本件寮で就寝中の原告のところへ、E店長の意向を受けたHなどの従業員がやってきて、大音響でコンポをかけるなど騒いで、原告を起こして会社を辞めるよう説得しようとし、更に嫌がらせの方法等につき、「辞めろって、皆で説得すんの」「あいつが商品をあげても、無視してやろうか」「煙草の火、押し付けてやろうか」等と相談していた、(e)本件請求後、E店長から、「イワシの刺し身がぼろぼろで粘土細工みたい。」「アジさばくのに、なんで骨に身がそんなに付くの。」などと怒鳴られたり、繁忙時で対応できないのが分かっていながら、商品を請求されるなどのいじめを受けたなどと、原告主張に沿う部分がある。 そのほか、本件メモⅡ、甲1ないし甲3、証人Aの証言、原告本人の供述中には、本件解雇予告当時、被告が本件申告を知っていた根拠として、(f)5月18日本件面談Ⅱの際に、労働基準監督署に行くことを被告側に告げており、(g)同日、愛知県労働者権利センターで、「会社には、『今から労働基準監督署に残業代不払いを訴えに行く』と伝えたが、行く意味があるのか」と尋ねた、(h)5月22日には、原告がE店長に、賄いのことについては、労働基準監督署や関係各方面と話合いのうえで会社と交渉する旨を告げた、(i)同日AがC専務から示談を持ちかけられたが、労基署が調査中なので、その結果が出てから話し合いたい旨告げた、以上の部分がある。 ② しかしながら、まず前示①(a)についてみるに、前示(2)①ウ認定のとおり、B社長らは、4月17日に原告の要望に応えて、労基法を遵守する形で終業時刻 から話し合いたい旨告げた、以上の部分がある。 ② しかしながら、まず前示①(a)についてみるに、前示(2)①ウ認定のとおり、B社長らは、4月17日に原告の要望に応えて、労基法を遵守する形で終業時刻の配慮等を約束し、実際にこれに対応する行動も取っていたのであるから、直後の4月19日に同人が、これに反するような前示①(a)の発言をしたというのは、いかにも不自然であるが、原告本人の供述等を精査しても、そのような発言に至るべき相応の経過があったとは認め難い。 また、前示①(c)の嫌がらせの相談の点をみるに、Hらは、Eの意向を受け、退職強要のため深夜わざわざ本件寮に押しかけてきたはずなのに、実際に原告を起こしもせず、またその後も、たとえばAがD本部長に電話で抗議したという5月20日(甲2・4頁)までに、上記相談にかかる嫌がらせを実行した形跡もないが、これらは、まことに奇異といわざるを得ない。 更に、前示①(g)について検討するに、甲2やAの証言によれば、Aは、かつて労働組合の役員を務め、現在も管理職として部下の労働時間管理をしており、労基法の知識があるところ、前示(2)①オ第3段認定のAの質問は、明らかに労基法89条、32条の2を意識したもので、その労使関係の知識は相当高度と考えられるが、このような人物が、愛知県労働者権利センターで、労働基準監督署に行く意味があるのかなどという初歩的な質問をするというのも信用性に乏しい話である。 したがって、そのほか、(ア)前示①(c)(d)(f)(g)については、原告が付けていたはずの本件メモⅠないしⅢの中にも、裏付けとなる明確な記載がないこと、(イ)前示①(a)(b)(h)の基礎となった本件メモⅡ、Ⅲは、後示2(2)のとおり基本的に信用性を認め難いものであること、(ウ)反対趣旨の乙11、乙12、証人Eの証言、 なる明確な記載がないこと、(イ)前示①(a)(b)(h)の基礎となった本件メモⅡ、Ⅲは、後示2(2)のとおり基本的に信用性を認め難いものであること、(ウ)反対趣旨の乙11、乙12、証人Eの証言、被告代表者尋問の結果も考慮すれば、前示①掲記の各証拠は直ちに採用できず、また本件申告を契機とするE店長のいじめや、従業員らによる退職を迫る脅迫的言動等も認められないというべきである。 ③ 結局、被告には、後示4(1)のように、労働時間の管理にいささかおろそかな面があり、この点で非難を甘受しなければならないところがあるが、前示(2)①ウ認定のとおり、4月17日には終業時刻の配慮等を約束し、これ以降原告が午後12時に仕事を終われるように配慮もしているのであって、このような被告の姿勢に照らせば、同社が残業代を支払わないのを経営方針にしていたなどというのは、明らかに言いがかりに近いというべきである。 また、被告が本件解雇予告前に本件申告の事実を知っていたと認むべき明確な証拠もないのであって、これらを総合すれば、前示第2、2(1)⑧アないしウの事実の存否にかかわらず、原告の解雇権濫用の主張は直ちに採用することができず、また、その主張事実をもって解雇事由自体を否定することもできないというのが相当である。 したがって、前示(3)認定の解雇事由に基づく本件解雇は有効であり、原告の本件契約の確認請求や将来の賃金請求には理由がない。 2 原告の残業の有無等(前示第2、2(1)②の主張について)(1) 前示第2、1(3)①のとおり、本件紛争当時の原告の原則的な就業時間帯は、午後3時から12時までであるところ、原告は、4月17日以降の上記始業時刻前及び就業時刻後に前示第2、2(1)②のとおり就労したと主張し、本件メモⅡ、Ⅲには、出退勤時刻につき上記主張に沿う記載がある。 後3時から12時までであるところ、原告は、4月17日以降の上記始業時刻前及び就業時刻後に前示第2、2(1)②のとおり就労したと主張し、本件メモⅡ、Ⅲには、出退勤時刻につき上記主張に沿う記載がある。また、甲1、甲2、甲4、甲7ないし甲9、甲20、甲26、証人Aの証言、原告本人の供述中にも、この点につき原告の主張に沿う部分がある。 そのほか、上記証拠中には、もともと本件店舗では、仕込み作業に長時間を要するため、始業時刻の前から出勤せねばならなかったとの部分や、被告には定時の30分前に出てくる養老時間と呼ばれるきまりがあったと、早出出勤が義務づけられていた旨の部分がある。そして、本件メモⅡには、(a)4月18日欄に、E店長から、養老時間は出社時間の30分前に来るものだから来いとと言われた、(b)4月22日欄には、E店長から午後3時の30分前に来るように言われた、(c)5月12日欄にも、仕込みが間に合わなければ、始業時刻より早く来るよう指示された旨の記載がある。更に、甲9には、(d)原告が午後1時30分に出勤するようになった以後、E店長から仕込み中の新入社員らに、上記より更に早い時刻に出勤しているアルバイトのHに遅れないように出勤せねばならない旨の発言があったとの部分がある(同号証3頁)。 (2) そこで、まず、原告の出退勤時刻の主張の基礎である本件メモⅡ、Ⅲの正確性等につき検討するに、以下のとおり、これら書証は、全体として信用性が認められず、後示(4)認定以外の部分は採用できないというのが相当である。 すなわち、まず、前示1(2)④認定のとおり、4月17日以降の本件メモⅡの退勤時刻の記載は、当時の被告の指示内容や原告の就労状況等に照らし信用性に乏しいといわざるを得ず、したがって本件メモⅢの同時期の退勤時刻も、同様に原告がほしいままに記載した疑 7日以降の本件メモⅡの退勤時刻の記載は、当時の被告の指示内容や原告の就労状況等に照らし信用性に乏しいといわざるを得ず、したがって本件メモⅢの同時期の退勤時刻も、同様に原告がほしいままに記載した疑いが高いといわねばならない。 また、本件メモⅡ、Ⅲの作成経過につき、原告は、甲16、甲26のとおり、休日の予定以外の労働時間や職場での出来事等の部分は、Aのアドバイスで、勤務終了後その日のうちに記載したと陳述しているが、(a)留置にかかる本件メモⅡ、Ⅲの原本を点検すると、1日分の記載の途中で筆記用具が変わっている箇所が相当数あり(本件メモⅡでは、4月20日欄から5月10日欄にかけて存在し、本件メモⅢでは、5月1日から5月8日の記載にかけて顕著である)、この中には、原告が重要なものとして援用する退社時刻のみが別の筆記用具になっていて、当該部分を後日加筆した疑いの強いものが含まれている(上記括弧内以外にも、たとえば前示1(4)①(b)のE店長の発言のみが別の筆記用具によるなど、原告に有利な記載の加筆が疑われる例が見受けられる)。 更に、(b)本件メモⅡの5月29日欄末尾から翌30日欄にかけて、「休日」という文字を挟んで、「PM20:00前後ヤケド労災にあった」「AM10:00前後名古屋国」との記載が、当該期日欄の筆記用具と一見同じような筆記用具で一旦記入後、抹消されている箇所が見受けられるが、その直後の5月31日欄末尾から翌6月1日欄に上記鉤括弧内とまったく同一の記載が出てくる点からすると、上記は、一度当該頁の記載を完了した後、同じような筆記用具で加筆を図ったものの、記入すべき欄を間違えたために生じたものと推認できるのであって、同一筆記用具による他の記載中にも、後日の加筆部分が含まれている可能性が否定できない(勤務終了後その日のうちに記入したので ったものの、記入すべき欄を間違えたために生じたものと推認できるのであって、同一筆記用具による他の記載中にも、後日の加筆部分が含まれている可能性が否定できない(勤務終了後その日のうちに記入したのであれば、31日にすべき記載のうち、上記火傷に関する記載のみを本来より2日も前の欄に書くということは容易にあり得ることではない)。 したがって、そのほか、同じく原告のした本件メモⅠの記載にも前示1(2)③のとおり信用性に乏しい箇所がある点を併せ考慮すれば、本件メモⅡ、Ⅲには、基本的に信用性が認められないというのが相当である。 (3) 更に、前示(1)第2段の証拠についても検討するに、まず同(a)ないし(c)の基礎となった本件メモⅡに信用性に疑問があるのは、上記(2)のとおりである。 また、前示1(2)①ウ、エのとおり、B社長から原告の勤務時間を午後3時から12時までとするとの指示を受け、これに従っていたE店長が、直後に、上記指示に反する前示(1)(a)の発言をしたというのも容易に信じ難い。 更に、乙6と対比すると、午後1時30分より更に早く出勤するように言われたという前示(1)(d)の内容は、原告が無断欠勤した4月14日より以前の話と理解するのが相当であるが、この時点ですでに始業時刻より1時間半以上も前に早出出勤するよう指示があったというのであれば、その後、わざわざ前示(1)(a)(b)のように始業時刻より30分前に出勤するよう指示があったというのもおかしな話であって、矛盾があるというべきである。 したがって、以上を考慮すれば、原告に有利な前掲証拠も容易に採用できず、前示1(2)ウのとおり、B社長らから勤務時間を厳格に午後3時から12時までにする旨の説明があったことにより、4月17日以降原告には、始業時刻前の早出出勤や終業時刻後の深夜残業をする必要が できず、前示1(2)ウのとおり、B社長らから勤務時間を厳格に午後3時から12時までにする旨の説明があったことにより、4月17日以降原告には、始業時刻前の早出出勤や終業時刻後の深夜残業をする必要がないとの一般的な指示があった認めるのが相当である。そして、証人Eの証言によれば、養老時間については、出勤時刻ギリギリに来て忘れ物をした原告に対し、時間の余裕を持つべき心構えを説いたにすぎないものと認められる。 (4) 以上によれば、出退勤時刻に関する原告側の証拠は容易に採用できず、また仮に4月17日以降、原告に始業時刻前の出勤や終業時刻後の退勤があったとしても、上記(3)末尾のB社長らの指示に照らせば、以下の場合を除き、いずれも基本的に業務命令に基づくものではなく、原告は残業による賃金や労基法上の割増賃金を請求することができないというべきである。 ただし、(a)本件メモⅡの4月18日欄と、本件メモⅢの5月1日欄によれば、上記の各日には、社長指導会と月例会があり、前者は午前10時30分から午後0時50分まで2時間20分、後者は午後0時15分から3時まで2時間45分の早出残業があり、また、(b)証人Fの証言によれば、そのほかにも、始業時刻の前に賄いの買出しをする場合があったと認められるが、これらは、いずれも個別の業務命令によるものというのが相当である。そして、これらは、被告が残業を自認する前示1(2)①エ末尾の範囲に入るとも認められないから、原告には当該労働時間相当の賃金及び割増率令所定の2割5分による割増賃金が支払われるべきであるが、上記(b)の就労時間を的確に認定するだけの証拠はないから、これを裁量によって認定するのが妥当であるところ、立証責任が原告側にあることも考慮のうえ、原告主張の4月17日以降5月末までの期間中に、上記(a)と併せて合計 を的確に認定するだけの証拠はないから、これを裁量によって認定するのが妥当であるところ、立証責任が原告側にあることも考慮のうえ、原告主張の4月17日以降5月末までの期間中に、上記(a)と併せて合計10時間の早出残業があったと認めることとする。 (5) したがって、前示第2、1(9)の本件解雇時の原告の給料額20万2300円(前示第2、1(9)の支給項目によれば、同金額中に労基法施行令21条の除外賃金は含まれていない)を基礎として、閏年である平成12年の年間日数366日と、本件就業規則10条所定の年間休日107日間、同規則6条所定の就業時間1日8時間に基づき、労基法施行令19条4号の計算方法を適用して前示(4)の賃金及び割増賃金を算定すると、次のとおり合計1万4645円となり(円未満切捨)、これから支払済の前示第2、1(3)③の残業代3万7791円を控除すると、結局被告が原告に支払うべき残業代はないというのが相当である(なお、上記支払済の残業代については、原告が本訴において請求していない4月14日以前の超過勤務に対する支払が一部含まれていると認められるから、上記認定の残業代が支払済の金額より少額になったとしても、これを不当ということはできない)。 10×1.25×202,300/{(366-107)×8÷12}=14,645 3 原告の不当利得請求の成否(前示第2、2(1)③④の主張について)甲27によれば、上記不当利得について原告の上記主張に沿う事実を認めることができ、不当利得金の額も、同主張のとおり、賄いの費用が7790円、寮費が4935円になると認められる。 4 原告主張の不法行為の成否(前示第2、2(1)⑤の主張について)(1)まず、前示第2、2(1)⑤(ア)ないし(ウ)の点についてみるに、前示1(2)①認定のの事実、いずれも前示 なると認められる。 4 原告主張の不法行為の成否(前示第2、2(1)⑤の主張について)(1)まず、前示第2、2(1)⑤(ア)ないし(ウ)の点についてみるに、前示1(2)①認定のの事実、いずれも前示採用できない部分を除く甲1、甲4、甲9、原告本人尋問の結果によれば、(a)4月17日に労働時間の厳格化が図られる以前には、原告について、一定程度の早出及び深夜の残業があり、(b)また賄いは、飲食業においてはかなり一般的な慣行であり、それ自体を不法ということはできないが、従前被告においては、これがあくまで自由参加である趣旨が必ずしも徹底されておらず、休憩時間の自由使用の原則との関係上問題があった、(c)原告には、前示2認定以外にも、賄いの買出しに伴う早出残業があったと認められるところ、諸般の事情を考慮すると、以上に対する慰謝料は3万円が相当である。 (2) 次に、前示第2、2(1)⑤(エ)の点をみるに、これについては、前示1(4)②末尾のとおり、いずれも原告の主張事実を認めることはできない。 5 結論以上の次第で、原告の請求は、前示3、4の不当利得金及び慰謝料合計4万2725円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成12年11月14日から支払済まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求する限度で理由がある。 名古屋地方裁判所民事第1部裁判官夏目明・(別紙省略)・(別紙1)就業規則4条(雇入条件)(2)新たに採用された者は、3か月以内を試用期間とする。 (3)試用期間中、会社は、技能、勤務状態、健康状態に関して、社員としして不適当と認めたときは解雇する。ただし、労基法20条、21条の定めによる。 6条(労働時間)(1)労働時間、始業及び終業の時刻は、次のとおりとする。ただし、業務の都合により所定労働時間の範囲内において、始業及び終業の時 解雇する。ただし、労基法20条、21条の定めによる。 6条(労働時間)(1)労働時間、始業及び終業の時刻は、次のとおりとする。ただし、業務の都合により所定労働時間の範囲内において、始業及び終業の時刻を変更することがある。1か月の変形労働時間制として、1か月30日の場合171.42時間、31日の場合177.14を超えることはない。また、起算日は、毎月1日とする。 (2)始終業時刻は、A9時00分~14時00分B17時30分~22時30分C15時00分~24時00分ただし、18歳未満の者は、13時~22時の勤務とする。 (3)休憩は、次の時間帯に、それぞれ30分宛、計1時間を交替で行なう。A・BなしC15時30分~17時00分、20時00分~22時00分9条(時間外労働)(1)業務の都合により所定時間外に就業させることがある。 (2)前項の場合は、従業員の代表と書面による協定をし、これを所轄労働基準監督署長に届け出て行なう。 10条(休日)従業員の休日は、1か月を通じて8日以上とし、個人自由休日と全員一斉休日の2本建とする。ただし、週休制の原則により、各店毎、各人毎予定表に基づき実施する。(年間休日107日)11条(休日の変更)(1)業務上必要がある場合には、前条の休日に出勤を命ずることがある。 (2)前項の休日が労基法35条に定める休日である場合は、従業員の代表と書面による協定をし、これを所轄労働基準監督署長に届け出て行なう。 19条(解雇)会社は、使用中の従業員であっても、次の各号に該当する場合には、30日前に予告するか、又は平均賃金の30日分を支給して即時解雇する。 ①やむを得ない業務の都合による場合。 ②精神又は身体の障害により、業務に耐えられない場合。 ③勤務成績又は能率が不良で、就業に適しないと認められた場合。 ④その他前各 30日分を支給して即時解雇する。 ①やむを得ない業務の都合による場合。 ②精神又は身体の障害により、業務に耐えられない場合。 ③勤務成績又は能率が不良で、就業に適しないと認められた場合。 ④その他前各号に準ずるやむを得ない事由がある場合。 26条(入場・退場)入場及び退場については、次の事項を守らなければならない。 ①始業時刻以前に入場し、就業の準備をしておくこと②退場は、職場内を整理整頓した後に行なうこと③入場の際は、出勤簿に押印、又は出退勤カードに打刻する。 ・(別紙2)賃金規則4条(支払日)賃金の計算期間は、毎月1日から月末までとし、原則として翌月15日に支払う。 ただし、当日が土曜、日曜、祭日に当たるときは、前日に支払う。 6条(控除)次のものは、毎月の賃金より控除する。 寮費、食費7条(日額の算出)日額の算出は、1か月を21.50日(閏年21.58日)、1日を就業規則6条第2項A・Bー5時間、Cー8.0時間として計算する。(年間勤務日数258日)8条(時間単位)時間単位は30分を基準とする。 9条(欠勤控除)(1)賃金計算期間中、欠勤のある場合、月給者に対しては欠勤控除はしない。 (3)前1項(の場合)、出勤日数皆無の場合は、支払わない。 10条(遅刻早退の取扱)日給月給者に対しては、遅刻早退があった場合は、その欠勤時間を欠給控除する。 ただし、支店長以上の上司に承認を得た場合(欠給の必要なし)は、この限りではない。 11条(賃金構成)賃金の構成は、次のとおりとする。 基準給与1.基本給2.職階給基準外給与1.職務給2.職能給3.現業手当4.食事手当5.住宅手当6.運転手当7.法定内手当8.法定外手当9.休日出勤手当10.深夜手当11.風呂手当12.通勤手当なお、賃金内容のうち、深夜手当・休日出勤手当・法定内手当・法定 .現業手当4.食事手当5.住宅手当6.運転手当7.法定内手当8.法定外手当9.休日出勤手当10.深夜手当11.風呂手当12.通勤手当なお、賃金内容のうち、深夜手当・休日出勤手当・法定内手当・法定外手当・その他の計算で、勤務時間帯の違うものについては、それぞれ就業規則6条の時間に読み替えるものとする。 【基準給与の内容】1基本給職種別、年齢、勤続年数を勘案し決定する。 2職階給別表のごとく28階級に区分けし、職階給を支給する。 【基準外給与の内容】1職務給別表のごとく28階級に区分けし、職務給を支給する。 2職能給職務能力に応じた手当等3現業手当営業部に属する従業員に対する手当、月額一律35,000円、通学社員21,000円とする。 4食事手当一律8,000円を支給する。(事務所勤務者のみ)5住宅手当世帯主に対し支給する手当で、GM1以上月額10,000円、GM2未満5,000円とする。 6運転手当運転業務に携わる者のみを対象に、運転頻度により月額2,500円より20,000円の範囲で支給する。 7法定内手当所定労働時間を超え、法定労働時間以内の場合は、次の算式により支給する。①[基準給与(1~2)+基準外給与(1~6)]/(21.50日×8.0時間)×(昼時間)②[基準給与(1~2)+基準外給与(1~6)]/(21.50日×8.0時間)×1.25×(夜時間)8法定外手当次の算式により計算支給する。 (1)昼時間分(午後10時前)[基準給与(1~2)+基準外給与(1~6)]/(21.50日×8.0時間)×1.25×(勤務時間)(2)深夜時間分(午後10時以降)[基準給与(1~2)+基準外給与(1~6)]/(21.50日×8.0時間)×1.5×(勤務時間)9休日出勤手当8の計算式で(1)は3割5分増、(2)は6割増、計算支給す 時間分(午後10時以降)[基準給与(1~2)+基準外給与(1~6)]/(21.50日×8.0時間)×1.5×(勤務時間)9休日出勤手当8の計算式で(1)は3割5分増、(2)は6割増、計算支給する。 10深夜手当所定労働時間内で深夜時間に該当する手当を、次の計算により支給する。 A/(8.0時間×21.50日)×0.25×深夜時間×勤務日数A=(基準給与のうち1~2と基準外給与1~6の計)11風呂手当支店居住者で支店に風呂設備のないところを対象に月額4,200円を支給する。12通勤手当非課税限度額まで支給。
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