主文 1 第24224号事件について(1)ア原告P1を除く原告らの,同原告らが被告訴訟引受人に対し,それぞれ別紙1「職位表」の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,被告訴訟引受人の退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける労働契約上の地位にあることの確認を求める訴えを却下する。 イ原告P1の,退職年金・第一年金額,退職年金・第二年金額の確認を求める訴えを却下する。 (2) 原告P1を除く原告らの,同原告らが総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる労働契約上の地位にあることの確認請求を棄却する。 (3) 金員請求についてア被告訴訟引受人は,原告P2に対し,金539万円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ被告訴訟引受人は,原告P3,同P4,同P1,同P5,同P6,同P7,同P8に対し,各人当たり金484万円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ被告訴訟引受人は,原告P9,同P10に対し,各人当たり金440万円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 エ被告訴訟引受人は,原告P11に対し,金407万円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 オ被告訴訟引受人は,原告P12に対し,金385万円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 カ原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 2 第12628号事件について(1) 原告P13の,退職年金・第一年金額,退職年金・第二年金額の確認を求める訴えを却下する。 (2) 原告P13のその余の請求をいずれも棄却する。 れも棄却する。 2 第12628号事件について(1) 原告P13の,退職年金・第一年金額,退職年金・第二年金額の確認を求める訴えを却下する。 (2) 原告P13のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用の負担について(1) 第24224号事件について生じた訴訟費用は,これを11分し,その1を同事件被告訴訟引受人の負担とし,その余を同事件原告らの負担とする。 (2) 第12628号事件について生じた訴訟費用は,同事件原告P13の負担とする。 4 この判決は,1(3)アないしオに限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1章当事者の申立て第1 第24224号事件について(原告ら)1(1) 原告P1を除く原告らは被告訴訟引受人に対し,同原告らが総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる労働契約上の地位にあることを確認する。 (2) 原告P1を除く原告らは被告訴訟引受人に対し,それぞれ別紙1「職位表」の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,被告訴訟引受人の退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける労働契約上の地位にあることを確認する。 2 被告訴訟引受人は,(1) 原告P3に対し,金5343万0630円,及び内金1631万0910円に対する平成6年1月7日から,内金962万5440円に対する平成7年12月7日から,内金985万5450円に対する平成9年12月9日から,内金934万1750円に対する平成11年12月2日から,内金829万7080円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(2) 原告P4に対し,金5392万4970円,及び内金1660万7470円に対する平成6年1月7日から,内金973万9290円に対する平成7年1 12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(2) 原告P4に対し,金5392万4970円,及び内金1660万7470円に対する平成6年1月7日から,内金973万9290円に対する平成7年12月7日から,内金991万2760円に対する平成9年12月9日から,内金935万6380円に対する平成11年12月2日から,内金830万9070円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(3) 原告P1に対し,金5496万5780円,及び内金1635万4360円に対する平成6年1月7日から,内金965万3600円に対する平成7年12月7日から,内金988万5260円に対する平成9年12月9日から,内金937万0900円に対する平成11年12月2日から,内金317万2500円に対する平成13年5月3日から,内金652万9160円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(4) 原告P9に対し,金4484万7550円,及び内金1434万0480円に対する平成6年1月7日から,内金805万1780円に対する平成7年12月7日から,内金801万4490円に対する平成9年12月9日から,内金751万9600円に対する平成11年12月2日から,内金692万1200円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(5) 原告P5に対し,金5415万6850円,及び内金1667万2480円に対する平成6年1月7日から,内金978万1860円に対する平成7年12月7日から,内金995万7420円に対する平成9年12月9日から,内金940万0050円に対する平成11年12月2日から,内金834万5040円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合 ,内金995万7420円に対する平成9年12月9日から,内金940万0050円に対する平成11年12月2日から,内金834万5040円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(6) 原告P6に対し,金5375万8980円,及び内金1640万2980円に対する平成6年1月7日から,内金968万5610円に対する平成7年12月7日から,内金991万8700円に対する平成9年12月9日から,内金940万3680円に対する平成11年12月2日から,内金834万8010円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(7) 原告P12に対し,金4484万7550円,及び内金1434万0480円に対する平成6年1月7日から,内金805万1780円に対する平成7年12月7日から,内金801万4490円に対する平成9年12月9日から,内金751万9600円に対する平成11年12月2日から,内金692万1200円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(8) 原告P11に対し,金4977万2580円,及び内金1637万2510円に対する平成6年1月7日から,内金915万9370円に対する平成7年12月7日から,内金885万1480円に対する平成9年12月9日から,内金812万4820円に対する平成11年12月2日から,内金726万4400円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(9) 原告P7に対し,金5402万4531円,及び内金1652万3760円に対する平成6年1月7日から,内金975万2930円に対する平成7年12月7日から,内金994万3021円に対する平成9年12月9日から,内金943万2830円に対する平成 金1652万3760円に対する平成6年1月7日から,内金975万2930円に対する平成7年12月7日から,内金994万3021円に対する平成9年12月9日から,内金943万2830円に対する平成11年12月2日から,内金837万1990円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(10) 原告P8に対し,金5382万8170円,及び内金1639万4620円に対する平成6年1月7日から,内金969万9360円に対する平成7年12月7日から,内金991万6280円に対する平成9年12月9日から,内金943万9980円に対する平成11年12月2日から,内金837万7930円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(11) 原告P10に対し,金4793万9870円,及び内金1581万8550円に対する平成6年1月7日から,内金859万0340円に対する平成7年12月7日から,内金851万7850円に対する平成9年12月9日から,内金790万7130円に対する平成11年12月2日から,内金710万6000円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,(12) 原告P2に対し,金5399万4270円,及び内金1650万9570円に対する平成6年1月7日から,内金972万6640円に対する平成7年12月7日から,内金992万6620円に対する平成9年12月9日から,内金944万7460円に対する平成11年12月2日から,内金838万3980円に対する平成13年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,を各支払え。 3 被告訴訟引受人は,原告P1に対し,同原告の退職年金・第一年金が年額155万2572円,退職年金・第二年金が年額115万6 年11月12日から,各支払済みまで年6分の割合による金員,を各支払え。 3 被告訴訟引受人は,原告P1に対し,同原告の退職年金・第一年金が年額155万2572円,退職年金・第二年金が年額115万6821円であることを確認する。 (被告訴訟引受人) 1 主位的答弁(1) 原告らの訴えのうち,原告P1を除く原告らの労働契約上の地位確認を求める訴え(原告らの1(1),(2)の訴え)及び原告P1の退職年金額の確認を求める訴え(同3の訴え)を却下する。 (2) 原告らのその余の請求を棄却する。 2 予備的答弁原告らの請求をいずれも棄却する。 第2 第12628号事件について(原告P13) 1 被告訴訟引受人は,原告P13に対し,金4795万9780円及びこれに対する平成10年6月16日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 被告訴訟引受人は,原告P13に対し,原告P13の退職年金・第一年金が年額154万4766円,退職年金・第二年金が年額57万0931円であることを確認する。 (被告訴訟引受人) 1 原告P13の訴えのうち,退職年金額の確認を求める訴え(原告P13の2の訴え)を却下する。 2 原告P13のその余の請求を棄却する。 第2章事案の概要第1 事案の要旨本件は,旧野村證券株式会社(両事件脱退被告の旧商号。以下同じ。)の女性社員である原告ら12名(うち1名は訴訟係属中に退職)が,同期同学歴の男性社員は入社後13年次には課長代理(被告訴訟引受人における現在の職位は総合職掌「指導職一級」)に昇格したのに原告らが課長代理に昇格していないのは,同社による女性差別のためであるとして,同社の権利義務を引き受けた被告訴訟引受人に対し,被告訴訟引受人に在職中の原告ら11名は,総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる地位 いのは,同社による女性差別のためであるとして,同社の権利義務を引き受けた被告訴訟引受人に対し,被告訴訟引受人に在職中の原告ら11名は,総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる地位にあること,入社後13年次に課長代理へ昇格したことを前提とする被告訴訟引受人の退職慰労金規程,退職年金規程の適用を受ける地位にあることの各確認を求めるとともに,入社後13年次に課長代理に昇格したとした場合の月例賃金,一時金と,原告らが現実に受領した月例賃金,一時金との差額,慰謝料,弁護士費用を,月例賃金,一時金ないし損害賠償金として請求し,訴訟係属中に退職した原告1名は,入社後13年次に課長代理に昇格したとした場合の月例賃金,一時金,退職一時金,年金一時金と,現実に受領した月例賃金,一時金,退職一時金,年金一時金との差額,慰謝料,弁護士費用を,月例賃金,一時金,退職一時金,年金一時金ないし損害賠償金として請求するとともに,入社後13年次に課長代理へ昇格したことを前提とする退職年金額の確認を求めている事案(第24224号事件)と,旧野村證券株式会社の女性社員であった原告1名が,同様の女性差別を受けたとして,同社の権利義務を引き受けた被告訴訟引受人に対し,入社後13年次に課長代理に昇格したとした場合の月例賃金,一時金,退職一時金,年金一時金と,現実に受領した月例賃金,一時金,退職一時金,年金一時金との差額,慰謝料,弁護士費用を,月例賃金,一時金,退職一時金,年金一時金ないし損害賠償金として請求するとともに,入社後13年次に課長代理へ昇格したことを前提とする退職年金額の確認を求めている事案(第12628号事件)とが併合されたものである。 第2 争いのない事実等(証拠によって認定した事実は,該当個所に証拠を摘示した。争いのない事実であっても,参照の便 る退職年金額の確認を求めている事案(第12628号事件)とが併合されたものである。 第2 争いのない事実等(証拠によって認定した事実は,該当個所に証拠を摘示した。争いのない事実であっても,参照の便宜のため証拠を摘示した部分もある。なお,以下,証拠として書証を摘示する場合,枝番のある書証は,特に断らない限り,枝番をすべて含む。) 1 当事者等(1) 原告らア原告P1(以下,個別原告については,単に姓のみで表示する。)及び原告P13を除く原告ら(以下,原告P1及び原告P13を除く原告らを一括して呼称するときは,「各原告ら」という。なお,原告P4の旧姓は「P14」である。)は,いずれも旧野村證券株式会社の権利義務を承継した両事件被告訴訟引受人(以下,単に「被告訴訟引受人」という。)の従業員であり,その総務部門に勤務する女性である。各原告らの生年月日,学歴,入社年月日,平成13年11月15日現在の勤続年数,勤務場所は,別紙2「原告一覧」(以下,単に「原告一覧」という。)の①ないし⑫(③を除く。)とおりである。その後各原告らの勤務場所に変更はないが,職位は,旧野村證券株式会社当時の人事制度の改定により,別紙1「職位表」(以下,単に「職位表」という。)のとおりとなっている。 イ原告P1は,かつて旧野村證券株式会社の従業員としてその総務部門に勤務していた女性であり,原告P1の生年月日,学歴,入社年月日は,原告一覧の③のとおりである。原告P1は,平成13年5月3日,60歳定年により,旧野村證券株式会社を退職した。原告P1の退職時の職位は,一般職掌リーダー職二級であった。 ウ原告P13は,かつて旧野村證券株式会社の従業員としてその名古屋支店に勤務していた女性であり,原告P13の生年月日,学歴,入社年月日は,原告一覧の⑬のとおりである。原告P13 職二級であった。 ウ原告P13は,かつて旧野村證券株式会社の従業員としてその名古屋支店に勤務していた女性であり,原告P13の生年月日,学歴,入社年月日は,原告一覧の⑬のとおりである。原告P13は,平成10年4月3日,60歳定年により,旧野村證券株式会社を退職した。同原告の退職時の職位は,一般職職掌リーダー職二級であった。 (2) 旧野村證券株式会社,被告訴訟引受人ア旧野村證券株式会社は,大正14年12月に設立され,平成9年3月現在,資本金1827億円,従業員1万2238人(男性従業員6141人,女性従業員3797人,ミディ社員2300人),肩書住所地に本店を置き,全国に135支店を有する総合証券会社であった。 野村證券分割準備株式会社は,平成13年10月1日,吸収分割により旧野村證券株式会社の営業を承継し,同日,商号を野村證券株式会社と変更した。これが被告訴訟引受人である。 また,同日,旧野村證券株式会社は,野村證券株式会社(被告訴訟引受人)等野村グループの会社の持株会社(商号は,野村ホールディングス株式会社)となった。 被告訴訟引受人は,本訴における旧野村證券株式会社の義務を承継し,これに伴い,旧野村證券株式会社は,本訴から脱退した。 イ被告訴訟引受人(旧野村證券株式会社時代を含む。以下,特に断らない限り,同じ。以下,「会社」ともいう。)の行う業務は,概ね次のとおりである。 ① 自己の計算に基づき,有価証券の売買等を行う業務(ディーラー業務)② 顧客より委託を受けて,有価証券の売買等を執行することを中心とした業務(ブローカー業務)③ 有価証券の引受け及び売出しの業務(アンダーライター業務)④ 有価証券の募集及び売出しの取扱い業務(ディストリビューター業務。セリング業務ともいう。)⑤ 公社債の元利金支払いの代理業などの )③ 有価証券の引受け及び売出しの業務(アンダーライター業務)④ 有価証券の募集及び売出しの取扱い業務(ディストリビューター業務。セリング業務ともいう。)⑤ 公社債の元利金支払いの代理業などの兼業業務⑥ 有価証券の保護預りなどの付随業務(3) 労働組合会社には,労働組合として,昭和38年に組織された野村証券労働組合(以下「労組」という。)と野村證券従業員組合があり,各原告らはいずれも労組に所属している。 原告P1は,労組に所属していたし,原告P13も,退職前の一時期労組に所属していた。(原告P13本人) 2 会社の人事制度(甲100,乙3ないし5,26ないし28,36,60)(1) 原告らが入社した当時,会社の職位は,下から一般社員,店内主任,主任,代理,課長,次長,部長等であった。 昭和43年4月に制定された会社の組織規程では,「一般社員」(組織規程上は「一般職員」)は「所属長の命を受け,定められた業務を処理する。」と,「店内主任」は,「所属長が定める業務を遂行し,所属長事故あるときは,内部関係の事務に限り所属長の職務を代行する。」と,「主任」は,「所属長が定める業務を遂行し,所属長事故あるときは,その業務の範囲内において所属長の職務を代行する。」と,「代理」は,「その所属長を補佐するとともに,所属長の定める業務を遂行し,所属長事故あるときは,別に定める順位により,その職務を代行する。」と,「課長」は,「部店長の命を受け,所属員を指揮監督するとともに,営業所又は課の業務を遂行する。部店長及び次長に事故あるときは,その営業所又は課の範囲内において,その職務を代行する。」とされている。 会社は,この職位を男性社員にのみ適用し,女性社員については,一般社員のほかは,下から店内主任待遇,主任待遇,代理待遇の名称を付与し,店内主任 範囲内において,その職務を代行する。」とされている。 会社は,この職位を男性社員にのみ適用し,女性社員については,一般社員のほかは,下から店内主任待遇,主任待遇,代理待遇の名称を付与し,店内主任,主任,代理とほぼ同等の処遇をしていた。 (2) 会社は,昭和61年4月,人事制度を改め(以下,この改めた人事制度を「昭和61年人事制度」という。),庶務,厚生職を除いた社員を,「総合職」または「一般職」の職種に属するものとし,総合職は,下から社員,主任(店内主任を主任に統合),代理,課長,次長,部長等とし,一般職は,下から社員,副主任,主任,代理とした。男性社員は総合職に,女性社員は一般職に属するものとされた。 (3) 会社は,昭和62年に,一般職から総合職への転換を可能とする「職種転換制度」を導入した。 (4) 会社は,平成6年10月新たな人事制度を導入し(以下,この制度を「平成6年人事制度」という。),それまでの「職種」を「職掌」と改称し,総合職を「総合職掌」,一般職を「一般職掌」と変更した。そして,「総合職掌」を「営業,企画,開発及び管理等当社の基幹的業務に従事し,その担当業務を自己の判断に基づき遂行する職掌。資格要件として,一種外務員資格の取得が義務付けられる。広範かつ異質な業務に従事することを前提とし,勤務地についても国内外を問わず必要に応じ随時異動の対象となる。」と,「一般職掌」を「総合職掌の社員の指導の下に,主として補助的又は定型的な業務に従事する職掌。原則として,転居を伴う異動はない。」と定義づけた。 総合職掌の職階,職位は,上から,経営職階(職位は一級ないし三級。(以下,括弧内は職位)),基幹職階(一級,二級),指導職階(一級,二級),業務職階(一級,二級)とされ,一般職掌の職階は,上からリーダー職階(リーダー職一級ない ,経営職階(職位は一級ないし三級。(以下,括弧内は職位)),基幹職階(一級,二級),指導職階(一級,二級),業務職階(一級,二級)とされ,一般職掌の職階は,上からリーダー職階(リーダー職一級ないし三級),担当職階(担当職一級,二級)とされた。 その結果,従前の代理の職位は総合職掌指導職一級となった(ただし,総合職掌指導職一級の会社における呼称は課長代理のままである。以下「課長代理」ともいう。) 3 会社の賃金制度(甲100,乙3,71)(1) 平成3年度(原告らが賃金等を請求している始期)以降現在までの会社の賃金制度は,次のとおりである(会社の就業規則37条,給与規程2条,3条,8条,10条,13条,14条,24条。ただし,平成6年9月30日までは,給与規程2条,3条,8条,11条,15条,16条)。 ア ①基準内給与として,本給,調整給,職位手当,職務手当,管理職手当,家族手当,その他があり(ただし,職位手当は平成6年10月に新設された。),②基準外給与として,時間外手当,通勤乗車券購入代等が,③臨時手当として,賞与が,それぞれある。 調整給は,各職位にある者に対して支給されるが,その一部または全部を本給に繰入れることがある。 職位手当は,経営職一級ないし三級,基幹職一級・二級,指導職一級・二級,リーダー職一級ないし三級等にある者に対して,支給される。 職務手当は,部(室)長,支店長,及び営業所長に対して支給される(ただし,平成6年9月30日までは,「職務手当は,部長,次長,課長,代理,主任,一般職代理,一般職主任,一般職副主任等及びそれぞれの付,待遇にある者に対して,支給される。」とされており,この職務手当が現行の職位手当に相当する。)。 管理職手当は,経営職一級ないし三級及び基幹職一級・二級にある者(平成6年9月30日ま それぞれの付,待遇にある者に対して,支給される。」とされており,この職務手当が現行の職位手当に相当する。)。 管理職手当は,経営職一級ないし三級及び基幹職一級・二級にある者(平成6年9月30日までは,部長,次長,課長及びそれぞれの付,待遇にある者)に対して,支給される。 (2) 昇給は,入社時の初任本給を基礎に,次年度より年1回社員の人物,能力,勤務成績等を考査し行われる。 (3) 毎月の給与は,基準内給与は,当月1日から末日までの分が当月10日に支給され,夏期の賞与(以下「一時金」ともいう。)は毎年6月,冬期の賞与(一時金)は毎年12月に支給される。 4 会社の退職金制度(平成6年以降のもの。甲100,乙3)(1) 会社の社員(総合職掌,一般職掌)は,退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける(退職慰労金規程2条,退職年金規程2条,就業規則3条)。 退職金は,退職一時金及び退職年金の2種類であり,退職一時金は普通一時金と加給一時金の2種類である(退職慰労金規程3条,9条)。退職年金は年金(第一年金と第二年金の2種類)と一時金(第一年金一時金と第二年金一時金の2種類)の2種類である(退職慰労金規程20条,退職年金規程11条,14条)。 (2) 普通一時金は,普通ポイント(勤続期間に応じて定めた勤続ポイントと,勤続期間の区分に応じて定めた1年当たりの職掌ポイントに区分ごとの勤続期間を乗じたものの累計との合計。勤続期間は5つに区分され,職掌ポイントは職掌ごとに定められている。)にポイント単価(平成6年1月1日以降は2700円)を乗じて算出した金額である。 加給一時金は,加給ポイント(指導職一級,二級,リーダー職一級ないし三級等にあって退職する者の加給ポイントは,職位ポイントに当該職位別の在職期間を乗じて,職位ごとに算出したポイントの合計 である。 加給一時金は,加給ポイント(指導職一級,二級,リーダー職一級ないし三級等にあって退職する者の加給ポイントは,職位ポイントに当該職位別の在職期間を乗じて,職位ごとに算出したポイントの合計である。職位ポイントは,職位ごとにポイント数が異なる。)に前記ポイント単価を乗じて算出した金額である(以上につき,退職慰労金規程10条ないし13条)。 (3)ア退職年金受給資格者(勤続期間20年以上,かつ,年齢53歳以上に達した加入者)が退職したときは,その者が年齢60歳に達したときから15年保証付終身年金が支給される。 退職年金の年額は,第一年金額と第二年金額の合計額である。 第一年金額は,次の算式により得た額である。 第一年金額=退職時の第一基準給与月額×第一年金支給率×繰延乗率第二年金額は,次の算式により得た額である。 第二年金の基礎額=(勤続ポイント+職掌ポイント)×2700円第二年金額=第二年金の基礎額×1/10.2882×繰延乗率第一基準給与月額は,毎年4月1日現在の基準給与とし,基準給与は,第一年金ポイント(指導職一級,二級,リーダー職一級ないし三級等にあって退職する者の第一年金ポイントは,①職掌別に定める基礎ポイントと,②職掌・職位別に定める1年あたりの在職ポイントに,当該職掌・職位ごとの在職期間を乗じて職掌・職位ごとに算出したポイントの合計との合計である。ただし,職掌・職位別にポイント上限が定められている。)に前記ポイント単価を乗じて算出した額である。(以上につき,退職慰労金規程20条ないし22条,退職年金規程12条ないし14条,46条)イ退職年金受給資格者が退職した場合,退職時に限り,会社がやむをえない事情があると認めたときは,「退職年金に代わる一時金」を受給できる。 退職年金に代わる一時金は,退職年金受給権 4条,46条)イ退職年金受給資格者が退職した場合,退職時に限り,会社がやむをえない事情があると認めたときは,「退職年金に代わる一時金」を受給できる。 退職年金に代わる一時金は,退職年金受給権者の選択により,①第1年金に代わる一時金額(退職時の第一基準給与月額×第一年金支給率×10.2882×選択割合。選択割合は,25パーセント,50パーセント,75パーセント,100パーセントのいずれかによる。以下,選択割合について同じ。),②第二年金に代わる一時金額(第二年金の基礎額×選択割合),③前記①と②の合計額,のいずれかであるが,退職年金受給権者が退職年金に代わる一時金を受給した場合の退職年金の支給額は,第一年金額又は第二年金額に(1-選択割合)を乗じた額である。 (以上につき,退職年金規程14条,25条,26条,46条)(4) したがって,各社員が在職期間のうち各役職(職位)にどれだけの期間就いていたかにより,退職慰労金及び退職年金の額が異なってくる。 5 原告P1及び各原告らの月例賃金・一時金と同期入社男性社員との差額(1) 月例賃金ア原告P1及び各原告らの1991年(平成3年)1月から2001年(平成13年)11月まで(原告P1については,2001年(平成13年)5月まで。以下「本件請求期間」という。)の月例賃金(個人によって支給の有無,額が異なる給与を除いた基準内給与のうち,前記原告らに支給された本給,調整給,職務手当(平成6年10月1日以降は職位手当)の合計額をいう。以下同じ。)は,別紙3「差額賃金一覧表(月例賃金)」(以下,単に「差額賃金一覧表(月例賃金)」という。)①ないし⑫の各個別原告の賃金欄記載のとおりである。 イ前記原告らとほぼ同時期である昭和35年に高校を卒業して同年4月に会社に入社し,以来一貫して総務部門の業務 額賃金一覧表(月例賃金)」という。)①ないし⑫の各個別原告の賃金欄記載のとおりである。 イ前記原告らとほぼ同時期である昭和35年に高校を卒業して同年4月に会社に入社し,以来一貫して総務部門の業務に従事し,入社13年次(入社13年目の7月1日。以下,年次について同じ。)に課長代理に昇格して,総合職掌指導職一級の地位にある男性社員P15の前記期間の月例賃金は,「差額賃金一覧表(月例賃金)」①ないし⑫の「P15の月例賃金」欄記載のとおりである。 ウ課長代理に昇格した場合,課長代理在籍10年ないし19年の者は毎年2000円,同20年ないし24年の者は毎年1000円,いずれも本給が昇給する(在籍25年以上では,本給の昇給はない。)。 前記原告らとP15との月例賃金の差額は,「差額賃金一覧表(月例賃金)」①ないし⑫の「差額」欄記載のとおりとなるが,前記原告らとP15とでは入社年次が異なるから,勤続年数に応じて支給額が異なる本給について,入社年次の違いによる差異を調整すると,その額は,同一覧表の「入社年次の差による調整」欄記載のとおりとなる。 エしたがって,前記原告らが「職位表」記載の「課長代理昇格の日付」欄記載の日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの月例賃金と,同原告らに実際に支給された月例賃金との平成3年1月から平成13年11月までの間の差額は,それぞれ,「差額賃金一覧表(月例賃金)」①ないし⑫の「差額」欄記載の金額から「入社年次の差による調整」欄記載の金額を控除した「同期入社男性社員との差額」欄記載の金額となる。 (2) 一時金ア原告P1及び各原告らの本件請求期間の一時金は,別紙4「差額一覧表(一時金)」(以下,単に「差額一覧表(一時金)」という。)①ないし⑫の各個別原告の一時金欄記載のとおりである。 イこの間のP15の一時金 1及び各原告らの本件請求期間の一時金は,別紙4「差額一覧表(一時金)」(以下,単に「差額一覧表(一時金)」という。)①ないし⑫の各個別原告の一時金欄記載のとおりである。 イこの間のP15の一時金は,「差額一覧表(一時金)」①ないし⑫の「P15の一時金」欄記載のとおりである。 なお,課長代理の一時金については,入社年次による差はない。 ウしたがって,前記原告らが「職位表」記載の「課長代理昇格の日付」欄記載の日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの一時金と,前記原告らに実際に支給された一時金との本件請求期間の間における差額は,それぞれ,「差額一覧表(一時金)」①ないし⑫の「差額」欄記載のとおりとなる。 (3) (1),(2)の合計額原告P1及び各原告らが「職位表」記載の「課長代理昇格の日付」欄記載の日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの月例賃金及び一時金と,前記原告らに実際に支給された月例賃金及び一時金との本件請求期間の間における差額の合計額は,それぞれ,別紙5「請求金額一覧表」(以下,単に「請求金額一覧表」という。)の①ないし⑫の各個別原告の「差額賃金合計」欄記載のとおり(月例賃金差額の合計額である「差額賃金一覧表(月例賃金)」①ないし⑫の欄外部分の額と一時金差額の合計額である「差額一覧表(一時金)」①ないし⑫の欄外部分の額とを合計した額と同じ。)である。 (4) 原告P1の退職一時金・退職年金と同期入社男性社員との差額ア原告P1は,退職に当たり,退職一時金34万0200円の支給を受け,第二年金に代わる一時金額を選択割合0パーセントとして選択した(以下,原告P1の選択したコースを「Aコース」という。)。この場合,第一年金は,全額年金として支給される(以下,これを「Fコース」という。)。 イ原告P1に将来にわたり終身支 セントとして選択した(以下,原告P1の選択したコースを「Aコース」という。)。この場合,第一年金は,全額年金として支給される(以下,これを「Fコース」という。)。 イ原告P1に将来にわたり終身支払われる退職年金の額(年額)は,第二年金が84万0322円であり,第一年金が111万8880円である。原告P1と同時期に高卒で入社した男性社員が入社13年次に課長代理に昇格し,以後退職時までその職位で在籍し,平成13年5月3日に総合職掌指導職一級で退職し,原告P1と同様の受給方法を選択して退職一時金及び退職年金の支給を受けた場合,退職一時金は351万2700円,第一年金(年額)は155万2572円,第二年金(年額)は115万6821円である。 ウしたがって,原告P1が高卒入社後13年次である昭和48年7月1日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの退職一時金と,原告P1に実際に支給された退職一時金との差額は,「請求金額一覧表」③の「差額退職一時金」欄記載のとおり,合計317万2500円となる。 6 原告P13の賃金等と同期入社男性社員との差額(1) 月例賃金・一時金ア原告P13の1995年(平成7年)4月から1998年(平成10年)3月まで(以下「原告P13請求期間」という。)の月例賃金及び一時金は,「差額賃金一覧表(月例賃金)」⑬及び「差額賃金一覧表(一時金)」⑬の同原告の賃金欄及び一時金欄記載のとおりである。 イ原告P13と同時期(昭和32年)に高校を卒業して同年4月に会社に入社し,入社後13年次に課長代理に昇格した男性社員P16の原告P13請求期間中の月例賃金は,「差額賃金一覧表(月例賃金)」⑬の「P16の月例賃金」欄記載のとおりであり,同人の同期間中の一時金は,「差額賃金一覧表(一時金)」⑬の「P16の一時金」欄記載のとおり 13請求期間中の月例賃金は,「差額賃金一覧表(月例賃金)」⑬の「P16の月例賃金」欄記載のとおりであり,同人の同期間中の一時金は,「差額賃金一覧表(一時金)」⑬の「P16の一時金」欄記載のとおりである。 ウしたがって,原告P13が高卒入社後13年次である昭和45年7月1日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの月例賃金及び一時金と,原告P13に実際に支給された月例賃金及び一時金との原告P13請求期間の間における差額の合計額は,「請求金額一覧表」⑬の「差額賃金合計」欄記載のとおり(月例賃金差額の合計額である「差額賃金一覧表(月例賃金)」⑬の欄外部分の額と一時金差額の合計額である「差額一覧表(一時金)」⑬の欄外部分の額とを合計した額と同じ。)である。 (2) 退職慰労金・退職年金ア原告P13は,退職に当たり,第二年金に代わる一時金額を選択割合50パーセントとして選択し(以下,原告P13の選択したコースを「Cコース」という。),退職年金に代わる一時金の受給を受けた。この場合,第一年金は,全額年金として支給される(5(4)の「Fコース」)。 イ原告P13に支払われた退職一時金は77万7600円,第二年金一時金(Cコース)は427万1400円,原告P13に将来にわたり終身支払われる年金の額(年額)は,第一年金(Fコース)が113万4000円,第二年金(Cコース)が41万5175円である。 原告P13は,入社後昭和41年5月から昭和42年7月まで11か月間休職した。同原告と同期入社の高卒男性社員で,同原告と同様に休職して総合職掌指導職一級で定年退職した者(入社後の休職期間11か月,総合職掌指導職一級27年10か月,指導職二級2年,社員10年4か月の者)を同原告との対比モデルとして設定し,その者が同原告同様の支払条件を選択した場合の退職一 退職した者(入社後の休職期間11か月,総合職掌指導職一級27年10か月,指導職二級2年,社員10年4か月の者)を同原告との対比モデルとして設定し,その者が同原告同様の支払条件を選択した場合の退職一時金は350万1900円,第二年金一時金(Cコース)は587万3900円,将来にわたり終身支払われる年金(年額)は,第一年金(Fコース)が154万4766円,第二年金(Cコース)が57万0931円である。 ウしたがって,原告P13が高卒入社後13年次である昭和45年7月1日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの退職一時金,第二年金一時金と,原告P13に実際に支給された退職一時金,第二年金一時金との差額は,「請求金額一覧表」⑬の「差額退職一時金」欄記載のとおり,合計432万6800円となる。 第3 争点 1 労働契約上,総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる地位,職位表の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職慰労金規程,退職年金規程の適用を受ける地位にあることの確認を求める各原告らの訴え,退職年金額の確認を求める原告P1及び原告P13の訴えについて,確認の利益があるか。 2 会社が,昇格ひいては月例賃金,一時金,退職一時金,退職年金について,原告らを差別しているか。差別しているとして,それが違法か。 3 各原告らが,労働契約上,総合職掌指導職一級の職位にあるものとして取り扱われる地位,職位表の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職金規程,退職年金規程の適用を受ける地位にあるか,また,原告P1及び原告P13の退職年金額は確認を求める額であるか。 4 原告らに差額賃金等の請求権があるか。 5 原告らに差額賃金相当損害金等の請求権があるか 退職年金規程の適用を受ける地位にあるか,また,原告P1及び原告P13の退職年金額は確認を求める額であるか。 4 原告らに差額賃金等の請求権があるか。 5 原告らに差額賃金相当損害金等の請求権があるか。 6 原告らに慰謝料及び弁護士費用の請求権があるか。 第3章争点に関する当事者の主張(要旨)第1 争点1(確認の利益)について(被告訴訟引受人) 1 各原告らの,労働契約上,総合職掌指導職一級の職位にあるものとして取り扱われる地位,職位表の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職慰労金規程,退職年金規程の適用を受ける地位にあることの確認を求める訴えについて各原告らは,賃金請求ないし賃金相当額の損害賠償請求をすることにより,紛争の抜本的解決を図ることができるから,総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる地位にあることの確認を求める利益はない。また,各原告らの退職金については,退職した時点で給付訴訟を提起することに何ら支障はないから,現時点で会社の退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける地位にあることを即時に確定する利益はなく,確認の利益はない。 2 原告P1及び原告P13の退職年金額の確認を求める訴えについて原告P1及び原告P13は,確認を求める退職年金について給付訴訟を提起できるから,確認の利益はない。 (原告ら) 1 各原告らの,労働契約上,総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる地位,職位表の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職慰労金規程,退職年金規程の適用を受ける地位にあることの確認を求める訴えの確認の利益について各原告らは,少なくとも課長代理以上の地位にあるべきであるにもかかわらず,現在,一般職 として,会社の退職慰労金規程,退職年金規程の適用を受ける地位にあることの確認を求める訴えの確認の利益について各原告らは,少なくとも課長代理以上の地位にあるべきであるにもかかわらず,現在,一般職掌リーダー職二級又は三級の資格しか与えられておらず,このままの状態では法律的に不安定であるし,各原告らが退職した場合,課長代理の地位にあることを前提として会社の退職慰労金規程,退職年金規程の適用を受けられるか否かも不安定であり,これらを除去し,法律関係の安定を図るために,確認判決を得る利益がある。また,昇格歴は,今後の月例賃金,一時金額や,退職金額の算定にも影響するから,この点からも,確認の利益がある。 2 原告P1及び原告P13の退職年金額の確認を求める訴えについて退職年金(第一年金及び第二年金)は,将来生涯にわたって支払われるものであるから,その額の確認がされない限り,原告P1及び原告P13は,将来にわたり毎年差額(同原告らが入社後13年次に課長代理に昇格した場合に受け取るべき年金額と実際に受け取る年金額との差額)が具体的に発生した後に差額請求訴訟の提起を余儀なくされるが,それは,原告P1及び原告P13にとり著しく不利益で,訴訟経済上も不利益であり,同原告らには年金額(原告P1については,退職年金・第一年金が年額155万2572円,退職年金第二年金が年額115万6821円であること,原告P13については,退職年金・第一年金が年額154万4766円,退職年金・第二年金が年額57万0931円であること)を確認する利益がある。なお,原告P1及び原告P13は既に年金受給年齢を過ぎ,その年金額は年額として確定しており,将来変更する可能性はないから,これを現時点で確認することの不安定要素は全くない。 第2 争点2(差別の有無及び違法性)について( 3は既に年金受給年齢を過ぎ,その年金額は年額として確定しており,将来変更する可能性はないから,これを現時点で確認することの不安定要素は全くない。 第2 争点2(差別の有無及び違法性)について(原告ら) 1 女性に対する昇格差別(1) 会社においては,高卒後入社の男性社員は,担当職務に関係なく,入社後11年次で店内主任に,12年次に主任に,13年次には特別の理由がない限り課長代理に,自動的に昇格してきたが,高卒後入社の女性社員は,入社後16年次から副主任待遇に,21年次から主任待遇に,26年次から課長代理待遇に昇格する資格が与えられるにすぎず,現実には,女性は,例外を除いて課長代理への昇格から排除された。 会社が社員を総合職,一般職の職種別としてからは,総合職は,入社後11年次で主任に,13年次で課長代理に自動的に昇格してきたが,一般職は,入社12年次で副主任に昇格する資格が与えられるにすぎなかった。会社においては,男性社員は総合職に,女性社員は一般職に,それぞれ属するものとされたから,それまでと同様に女性は課長代理への昇格から排除されていた。 (2) このような男女間の昇格格差は,会社が男性社員と同じく課長代理への昇格基準を満たしている女性社員を「自動昇格」から排除したことにより生じたもので,明らかな女性差別である。 2 女性に対する賃金・退職金差別(1) 会社は,原告らの入社当時もそれ以後も,男女別建,年功序列型賃金制度を採ってきた。現に,労働組合との賃金改定交渉において,会社は,男女別に回答してきた(総合,一般の別に回答した時期以降においても,総合は男性社員のみであり,一般は女性社員のみであるから,実質は男女別の回答である。)。 (2) 1のとおり,男性社員は,職種に関係なく高卒入社後13年次には自動的に課長代理に昇格するのに おいても,総合は男性社員のみであり,一般は女性社員のみであるから,実質は男女別の回答である。)。 (2) 1のとおり,男性社員は,職種に関係なく高卒入社後13年次には自動的に課長代理に昇格するのに対し,女性社員はこの昇格から排除されている。この女性差別の結果,男女別賃金格差は更に拡大され,また,会社は,入社後退職までの昇格経歴が退職金や退職年金の額を決める重要な要素とする制度をとっているため,これにも拡大して影響してくる。 このように,会社は,賃金,退職金についても,女性差別をしている。 3 原告らに対する差別の違法性(1) 原告らは,原告らと同期同学歴の男性社員と同一の労働条件で,会社に雇用された。 したがって,原告らと会社との労働契約の内容は,原告らと同期同学歴の男性社員と会社との労働契約の内容と同一である。 (2) 前記1,2の女性に対する昇格,賃金差別は,次のとおり憲法14条,労働基準法(以下「労基法」という。)3条の趣旨,同法4条,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「均等法」という。)6条,民法90条の公序に反し,違法・無効である。 ア憲法14条は,法の下の平等を定め,性別による差別を禁止している。労基法3条は,憲法14条を受けて,国籍,信条,社会的身分を理由とする差別的取扱を禁止し,同法4条は,女性であることを理由として賃金において差別してはならないことを規定している。これら労基法3条,4条の趣旨からすれば,賃金差別はもとより,性別を理由とする賃金以外の労働条件についての合理性を欠く差別的取扱が許容されるものではないことは明らかである。労働省が昭和22年9月に発した通達でも,「社会通念として又は当該事業場において女性労働者が一般的又は平均的に能率が悪いこと,勤続年数が短いこと等を理由と が許容されるものではないことは明らかである。労働省が昭和22年9月に発した通達でも,「社会通念として又は当該事業場において女性労働者が一般的又は平均的に能率が悪いこと,勤続年数が短いこと等を理由として,女性労働者に対し賃金に差別をつけることは違法である。」旨明言し,昭和22年に制定された国家公務員法の27条,昭和25年に制定された地方公務員法の13条などにおいても,男女平等取扱いの原則が確認されており,原告らが入社した当時においても,性によって異なる取扱いをすることの違法性は明らかであった。 均等法6条(改正前は8条)は,昇進(昇格を含む)について,「事業者は,労働者が女性であることを理由として,男性と差別的取扱いをしてはならない。」として,前記の趣旨を立法上確認しており,これを受けて労働省が平成10年3月に発出した「募集及び採用並びに配置,昇進及び教育訓練について事業者が適切に対処するための指針」(以下「指針」という。)は,昇進に関し,「昇進に当たって,女性であることを理由として,その対象から女性労働者を排除する」,「昇進に当たって,出勤率,勤続年数その他の条件を付す場合において女性労働者に対して男性と異なる条件を付すること」を均等法6条違反とし,異なる条件を付していると認められる例として,「男性労働者については一定の勤続年数を経た場合に昇進させるが,女性労働者については当該一定の勤続年数を超える年数を経なければ昇進できないこととすること」を挙げている。 したがって,女性差別は,これらに違反し,公序に違反する。 イ 1966年(昭和41年)に国際連合で採択された国際人権規約A規約及びB規約の各3条は,規約上の権利について男女平等の権利を確保することを定めており,A規約7条1項a①は,同一価値の労働についての同一報酬の原則,「特に, に国際連合で採択された国際人権規約A規約及びB規約の各3条は,規約上の権利について男女平等の権利を確保することを定めており,A規約7条1項a①は,同一価値の労働についての同一報酬の原則,「特に,女性については,同一の労働についての同一報酬とともに男性が享受するのと劣らない労働条件が保障されること」を定め,B規約26条は,法の下の平等を定めている。わが国は,1979年(昭和54年)に国際人権規約を批准した。 またILOでは,1951年(昭和26年)に「同一価値労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約」(第100号)及び勧告(第90号)が採択され,1958年(昭和33年)に雇用及び職業のすべての差別待遇を禁止する「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約」(第111号)及び勧告(第11号)が採択されている。わが国は1967年(昭和42年)に前者の条約を批准した。 さらに1979年(昭和54年)に国際連合で「女性に対するあらゆる形態の差別撤廃条約」(以下「女性差別撤廃条約」という。)が採択された。同条約は,男女平等を基本的人権ととらえ,雇用の分野については,全ての人間の奪い得ない権利としての労働の権利,そのための同一の雇用機会の権利,昇進・雇用の保障,同一価値の労働の同一報酬(手当を含む)及び同一待遇の権利並びに労働の質の評価に関する取扱の平等についての権利等,男女同一の権利を確保するために差別撤廃の措置を各締約国がとらなければならないことを定めている。わが国は1985年(昭和60年)に同条約を批准した。 したがって,わが国は,これらの批准した条約を遵守する義務がある。 また,ILOの条約・勧告適用専門家委員会は,1970年(昭和45年),1984年(昭和59年),1990年(平成2年),1999年(平成11年), これらの批准した条約を遵守する義務がある。 また,ILOの条約・勧告適用専門家委員会は,1970年(昭和45年),1984年(昭和59年),1990年(平成2年),1999年(平成11年),2000年(平成12年),2001年(平成13年)と一貫してわが国の女性差別を問題として取り上げ,その是正を日本政府に要請してきており,同委員会の見解はILO条約の内容と一体となるから,条約遵守義務の一環としてわが国もこれを遵守する義務がある。 わが国が批准したこれらの条約は,自動執行性をもつから,条約の国内法的効力からして,私人間の法律関係についても当然直接に適用されるし,批准していない条約であっても,確立された国際法規として適用されるべきである(憲法98条2項)。 また,以上のとおり,国際的にも雇用面での男女平等は公序として確立しているから,少なくともわが国が批准した国際条約は,国内の公序の内容となっているものである。 (3) 会社のとっている,男性のみを入社後13年次に課長代理に昇格させる取扱い(自動昇格基準)は,昇格についての女性差別であり,原告らとの会社との労働契約に違反するし,また,女性を排除する部分は,前記(2)のとおり,憲法14条,労基法3条の趣旨,労基法4条,民法90条の公序に違反し,無効である。 また,会社においては,昇格の有無は直接賃金を左右するものであるから,会社が原告らを課長代理昇格から排除したことは,会社が女性を理由として賃金について原告らに対して差別的取扱いをしたことになり,同様に違法である。 (被告訴訟引受人) 1 会社の人事制度(1) 会社は,原告らが入社した昭和32年ないし昭和40年当時,担当業務別又は目的別人事制度(実質的にはコース別人事制度とも目すべきもの)を採っていた。これは,社員をその担当する業務の内容 事制度(1) 会社は,原告らが入社した昭和32年ないし昭和40年当時,担当業務別又は目的別人事制度(実質的にはコース別人事制度とも目すべきもの)を採っていた。これは,社員をその担当する業務の内容,職責等により,すなわち基幹的業務を担当するのか,定型的・補助的業務を担当するのかによって区分し,担当する業務の重要度,職責等に応じて役職を付与し,それに相応しい賃金等の処遇を行うとともに,担当する業務に見合った研修その他転勤を含む人事管理を行うというものである。 したがって,基幹的業務に従事するものとして採用された社員と,定型的・補助的業務に従事するものとして採用された社員とでは,後記2以下のとおり,募集,採用を始め,入社後の配置,異動や発令単位,教育訓練等を全く異にしている。 (2) 基幹的業務,定型的・補助的業務の別を,原告らが所属している(ないし所属していた)支店各課における業務内容でみれば,以下のとおりである。 ア営業課(現在の資産管理課)基幹的業務は,支店内,顧客先を問わず,新規顧客開拓,投資勧誘,情報提供等の営業活動,商品販売の企画立案,部下の管理監督,育成指導等である。現在は,日本証券業協会の規則によって定められた一種外務員資格を有し,かつ,金融庁に外務員登録を行った総合職掌が担当している。 定型的・補助的業務は,電話の取り次ぎ,ワープロ操作,コピー作成,資料送付,注文伝票の整理等である。現在は,一般職掌や派遣社員が担当している。 イ法人課基幹的業務は,主に,地域金融機関を顧客対象とする,前記営業課における基幹的業務と同様の業務である。現在は,前記の総合職掌が担当している。 定型的・補助的業務は,前記営業課における定型的・補助的業務と同様の業務である。現在は,一般職掌や派遣社員が担当している。 ウ企業営業課(現在の 務である。現在は,前記の総合職掌が担当している。 定型的・補助的業務は,前記営業課における定型的・補助的業務と同様の業務である。現在は,一般職掌や派遣社員が担当している。 ウ企業営業課(現在の企業サービス課)基幹的業務は,主に,株式公開希望を持つ地域中堅企業を顧客対象とする,その公開準備作業の一切の指導・援助及び企業,オーナーの資産運用等の相談業務等並びに部下の管理監督,指導育成等である。現在は,前記の総合職掌が担当している。 定型的・補助的業務は,前記営業課における定型的・補助的業務と同様の業務である。現在は,一般職掌や派遣社員が担当している。 エ投資相談課(現在のお客様サービス課)基幹的業務は,主に,来店客を顧客対象とする,前記営業課における基幹的業務と同様の業務である。現在は,前記の総合職掌が担当している。 定型的・補助的業務は,来店した顧客の受付,店頭における投資相談,受け付けた注文の結果連絡,満期償還等の事務連絡,電話による新商品案内等である。現在は,一般職掌や派遣社員が担当している。 オ証貯営業課(現在の資産相談課)証貯営業課の業務内容は,担当地域内の個人顧客を顧客対象とする投資相談及び債券の販売であり,これらを期間の定めのある雇用契約を締結しているミディ社員が担当している。 基幹的業務は,もっぱら,顧客管理,ミディ社員管理等の管理業務等である。現在は,前記の総合職掌が担当している。 定型的・補助的業務は,前記営業課における定型的・補助的業務と同様の業務である。現在は,一般職掌や派遣社員が担当している。 カ総務課基幹的業務は,営業部門の営業活動が証券取引法その他の法令諸規則等に準拠し,適正に行われているかどうかを常時監査する等の適切な内部管理を行うこと,及び売買注文にかかる受渡精算について部下を統括 課基幹的業務は,営業部門の営業活動が証券取引法その他の法令諸規則等に準拠し,適正に行われているかどうかを常時監査する等の適切な内部管理を行うこと,及び売買注文にかかる受渡精算について部下を統括・管理し,その間にイレギュラーな事態が生じた場合にそれらを判断・処理することである。現在は,前記の総合職掌が担当している。 定型的・補助的業務の主たるものは,売買注文にかかる受渡精算の業務があり,総合職掌社員の統括・管理の下,一般職掌社員が分担・処理している。受渡精算の業務は,具体的には,顧客から受け入れた書類の照合,オンラインシステムへの登録等を行う業務(支店内の一般的呼称は,「口座係」である。以下の係も同様支店内の一般的呼称である。),顧客から受け入れた書類,現金もしくは有価証券とオンラインシステムとの照合,預り証もしくはそれに代わる証票及び計算書の作成等を行う業務(「合鑑受渡精算係」),現金,小切手,伝票,受領証等に関わる事務,照合及び入出金等を担当する業務(「現金係」),有価証券の受払,保管等に関わる事務を行う業務(「保管係」),営業部門において顧客から受注し,起票した注文伝票をオンラインシステムに入力する業務(「約定係」)等に細分化されている。その他に,定型的・補助的業務として,庶務事項を取り扱う業務(「庶務係」)等がある。 (3) これらの基幹的業務と定型的・補助的業務とは,原告らの入社した昭和32年ないし昭和40年ころも,会社において区別されて存在しており,原告らは,定型的・補助的業務に携わる者として採用された社員である。 なお,将来基幹的業務を担当すること,さらに管理職となることが予定されている高卒男性社員といえども,将来統括・管理することとなる定型的・補助的業務を熟知することは必要であり,入社後一定期間は同業務の経験のため 基幹的業務を担当すること,さらに管理職となることが予定されている高卒男性社員といえども,将来統括・管理することとなる定型的・補助的業務を熟知することは必要であり,入社後一定期間は同業務の経験のため高卒女性社員と同様の定型的・補助的業務を担当・習得するが,しかしそれは,将来基幹的業務を担当し,または管理職として職責を全うするための教育研修の一環である上,高卒男性社員にはそれ以上の課題が課されるのが常であるし,担当業務は,入社後数年を経過した時期から次第に基幹的業務ないし管理職的業務が増加し,代理への昇格時期に近接するときはその大部分が基幹的業務となるのである。したがって,男性社員が,支店の人員配置等の関係から,業務の一部として定型的・補助的業務を遂行することがあるとしても,大部分は基幹的業務を担当しており,高卒女性社員が専らその本来の業務として定型的・補助的業務のみを担当することとは意味が全く異なる。 (4) 会社は,昭和61年4月から,将来の担当業務及びこれに応じた処遇内容等の区分を一層明確にするため,従前の人事制度を発展的に改め,いわゆる「コース別人事制度」を導入し,昭和62年より「コース別」採用を行っている。 会社は,コース別人事制度の下で,会社の基幹的業務を行う社員を「総合職」と位置付け,定型的・補助的業務を行う社員を「一般職」と位置付けている。総合職の役職体系については,従前の男性社員のそれと同一とし(ただし,「店内主任」を「主任」に統合),一般職については,「一般職副主任」,「一般職主任」,「一般職代理」を設けた。 また,会社は,「コース別人事制度」を導入したことにより,従前とは異なり女性に対しても総合職として基幹的業務につく道を開くこととし,昭和62年より「職種転換制度」を導入して,一般職から総合職への転換も可能にしたほ 「コース別人事制度」を導入したことにより,従前とは異なり女性に対しても総合職として基幹的業務につく道を開くこととし,昭和62年より「職種転換制度」を導入して,一般職から総合職への転換も可能にしたほか,昭和63年4月より女性総合職の大学新卒採用を実施した。 (5) さらに,会社は,前記第2章第2の2(4)のとおり,平成6年10月から人事制度を改め,各々の職掌の業務範囲を明らかにした。 2 会社の社員募集,採用原告らが入社した昭和32年ないし40年代当時,会社における正社員の募集,採用とも,男女別,学歴別になされていた。すなわち,基幹的業務を担う男性については「大学新卒」,「高校新卒」,定型的・補助的業務を担う女性については「高校新卒」,「中途採用」の別に,それぞれ募集,採用をしていたが,これは,入社後の担当業務(男性は基幹的業務,女性は定型的・補助的業務)に対応させた目的別募集,採用ともいうべきものであった。 (1) 募集要項,求人票等会社案内は,男女別に作成され,基幹的業務や定型的・補助的業務の実際の内容などを説明していた。また,女性用の募集パンフレットには,定型的・補助的業務の就業場面が掲載されており,これらにより,当時の女性就職希望者は,入社後は定型的・補助的業務を担当することを十分理解していた。 募集要項は,男性は「大学新卒」,「高校新卒」,女性は「高校新卒」別に作成され,高卒男性については業務内容は特定されていないが,高卒女性については,「一般事務員,タイピスト,受付,電話交換等」として,その職務内容が限定されている。女性の「中途採用」についても,高校新卒女性の場合と同様,その職務内容を限定した上で募集している。 求人票も,男性は「大学新卒」,「高校新卒」,女性は「高校新卒」別に作成され,高卒男性については,「職種」を「 採用」についても,高校新卒女性の場合と同様,その職務内容を限定した上で募集している。 求人票も,男性は「大学新卒」,「高校新卒」,女性は「高校新卒」別に作成され,高卒男性については,「職種」を「事務職」,「作業内容」を「入社時研修後本支店総務・市場部員として従事し,5年目から適性に応じて営業,国際業務にも従事する。」と明記し,高卒女性については,「職種」を「事務職」,「作業内容」を「一般事務(伝票整理,対顧客精算事務,電話交換等),営業補助事務」と明記していた。 このように,会社は,高校新卒男性と高校新卒女性及び女性中途採用者については,職務,作業内容が異なることを明確に示した上で募集を行なった。 (2) 選考方法,選考場所,採用権限等高校新卒者の選考については,男女ともに学力試験,面接,身体検査等により選考を行っていたが,学力試験は男女別に問題が作成された。学力試験後に行われる面接も,男性は,本社に上京させ,採用担当者,人事部長を経て役員面接まで実施し,「本社一括採用」として社長権限により採用の合否を決定していたが,女性は,各支店の総務課長,支店長が面接し,「配属店採用」として支店長権限により採用の合否を決定していた(東京,大阪,名古屋地域においては「所属地域採用」として本社,大阪支店,名古屋支店が一括)。なお,入社式についても,高校新卒男性は,「本社一括採用」であることから,大卒男性と同様,全員東京本社において行ったが,高校新卒女性は,「配属店採用」であるので,支店ごとに行った。また,女性中途採用者については入社式は行われていない。 (3) 勤務場所高卒男性は,海外を含む本支店での勤務が予定され,転居を伴う異動の対象となっていたが,高卒女性(中途採用者を含む。)は,採用された地域に限定して勤務することとなっていた。このよ (3) 勤務場所高卒男性は,海外を含む本支店での勤務が予定され,転居を伴う異動の対象となっていたが,高卒女性(中途採用者を含む。)は,採用された地域に限定して勤務することとなっていた。このように高卒男性については募集地域の限定はなく,独身寮が完備されていたが,高卒女性は転居を伴う異動を予定しておらず,したがって通勤圏内に自宅があることが採用の条件となっていた。 (4) 採用前記(1)ないし(3)のとおり,男性は基幹的業務に従事する者として,女性は定型的・補助的業務に従事する者として,採用された。 3 採用後の会社における社員の配置,異動,研修(1) 配置採用後,高卒男性は,原則として独身寮に入寮し,出身地や親元,就職前居住地とは関係なく,地域的なバランス,会社の将来的な展望を考慮した上,本社及び全国各支店に配属され,本支店総務部門,市場部に配置された。これに対し,高卒女性は,自宅(親元)から通勤可能な範囲で主に本支店総務部門に配属された。 また,高卒男性の配置は取締役会で決定していたが,高卒女性の配置は人事部長権限とされていた。 発令の単位も,高卒男性が課・係といった職場単位であるのに対し,高卒女性は部店単位であったが,これは,高卒女性が部店長の指示命令の下に各職場共通ともいうべき定型的・補助的業務を処理することとされていたことによる。 (2) 異動高卒男性は,前記のとおり採用後は,本支店総務部門又は市場部に配置されて,証券業務の基礎知識を習得するが,会社はその間に,各人につきその適性を把握し,各人の将来のコースとして総務部門又は営業部門のいずれかを想定した上,当初の配属本支店に概ね5年前後勤務した時点で第1回目の異動(ほとんどの場合転居を伴う。)を実施し,転勤先の本支店の総務部門又は営業部門に配属する。高卒男性につい は営業部門のいずれかを想定した上,当初の配属本支店に概ね5年前後勤務した時点で第1回目の異動(ほとんどの場合転居を伴う。)を実施し,転勤先の本支店の総務部門又は営業部門に配属する。高卒男性については,その後も相当期間経過毎にかなり頻繁に異動を実施している。 これに対し,高卒女性は,業務拡大もしくは退職による人員の補充として,主に総務部門における定型的・補助的業務を担当させる目的で採用されたから,一貫して同業務を担当し,前記2(3)の地域限定的採用の経過から,採用時配属の本支店より他へ異動することはほとんどなく,極めてまれに行われる場合でも転居を伴わない。 (3) 研修新入社員研修においては,高卒男性の研修は,社内見学を含め1週間ないし10日間程度行われ,会社組織及び証券業務全体を学ぶこととされていた。これに対し,高卒女性は,社員としての心構え,接遇の基本といった内容で,本社地域では2日くらいの集合研修を実施し,その他の地域ではそれと同一内容のテキストとしおりに基づいて各部店で研修を行った程度であった。 その後の研修も,高卒男性については,入社2ないし3年目の社員を対象とした中間教育,入社6年目の社員を対象として,入社2年目の大卒男性社員とあわせて行う中間教育,総務部門から営業部門への配置換え時の営業関係の研修,主任を対象とした主任スクーリング等多種多様であり,期間も比較的長期で高度かつ専門的な内容であったが,高卒女性については,女性店頭補助者研修等が散見されるに過ぎなかった。 4 会社における昇格制度等(1) 役職体系高卒・大卒男性社員は,「社員」,「店内主任」,「主任」,「代理」,「課長」,「次長」,「部長」の役職体系の中でいずれかに任命され(職務権限は,第2章第2の2(1)のとおり。),基幹的業務を担う者として位置付け 性社員は,「社員」,「店内主任」,「主任」,「代理」,「課長」,「次長」,「部長」の役職体系の中でいずれかに任命され(職務権限は,第2章第2の2(1)のとおり。),基幹的業務を担う者として位置付けられていた。 一方,高卒女性社員の職務権限は,社員のそれ(「所属長の命を受け,定められた業務を処理する。」)であり,会社は,女性社員のモラールアップを図るため,「社員」に加え,「店内主任待遇」,「主任待遇」,「代理待遇」の名称を付与し,それぞれ店内主任,主任又は代理の男性社員とほぼ同程度の処遇を認めていたが,女性社員の場合,最高に位置付けられた「代理待遇」であっても,その職務権限は「社員」のそれと同様であった。 (2) 昇給・昇格ア高卒男性社員については,年1回,昇給昇格査定のための「評価・観察表(A表)」(昭和46年までは「考査表」)を用い,1次評定者として課長が,2次評定者として部店長が,それぞれ評定し,その結果は人事部に集約される。 一方,高卒女性社員の評価は,年2回部店長が記入する「勤務成績申告書」により行われた(昭和52年9月期以降は「勤務成績観察評定表」によっている。なお,高卒女性社員の評価においては,高卒男性社員の場合と異なり,育成に関する事項等は含まれていない。)。 これら評定表等に基づき,昇給・昇格の運用が行われる。具体的には,男性社員の場合,「評価・観察表(A表)」は,毎年1回行われる昇給査定の基本的資料とされ,これに基づき人事部が昇給原案を作成し,最終的に取締役会の場で各男性社員の昇給幅が決定される。賞与査定は,昇給査定とは別に,「賞与査定表(B表)」を用いて,まず部店長が半年間の業績の評定を行い,その結果が人事部に集約され,人事部が賞与査定原案を作成し,最終的に取締役会で決定される。昇格については,直近数年間 とは別に,「賞与査定表(B表)」を用いて,まず部店長が半年間の業績の評定を行い,その結果が人事部に集約され,人事部が賞与査定原案を作成し,最終的に取締役会で決定される。昇格については,直近数年間の昇給査定結果をもとに人事部が策定した昇格原案について,昇給査定と同様の手続を経て取締役会で決定される。 課長代理への昇格の基準は,①現に主任の役職にあり,入社後12年を経過すること,②課長代理として会社が求める基準に達していること,であり,毎年の昇給査定の内容,勤怠状況,懲戒処分の有無及びその軽重などの情報を総合的に検討した上,人事部案を立案し,担当取締役と協議検討の上,必要ならば修正を加え,その後取締役会に上程し,同会の決議によって課長代理昇格を決定する(ただし昭和51年以降は,人事部と担当取締役が協議検討して決定している。)が,高卒男性社員であっても,②の水準に達していないと判断された者もおり,原告らの主張するような,入社13年次に「自動昇格」している事実はない。 女性社員については,「勤務成績申告書」を基に,賞与査定,昇給査定がなされる。さらに,昇給査定を基に処遇の改定がなされるが,その基準は,能力,勤怠に加え,滞留年数等も考慮して人事部長が最終的決定を行い得ることとしていた。 このように,男性社員と女性社員とでは,業務において求めるものが全く異なる(男性は基幹的業務,女性は定型的・補助的業務)ため,評定表,昇格制度の運用等についても両者別建てのものとなっていた。 イ確かに,高卒男性社員は,入社後11年次で店内主任,12年次で主任,13年次で代理に昇格している例が多いが,これは,男性社員は,採用の時点で基幹的業務を担う者として潜在的に高い能力を持つ人材に絞られていたこと,及び入社後11ないし13年目までの間に3ないし4部店を経験し 次で代理に昇格している例が多いが,これは,男性社員は,採用の時点で基幹的業務を担う者として潜在的に高い能力を持つ人材に絞られていたこと,及び入社後11ないし13年目までの間に3ないし4部店を経験し,各課の基幹的業務の中で中核的役割を果たしていた者が多かったこと等によるものである。 これに対し,高卒女性社員については,もともと定型的・補助的業務を担当させる目的で採用し,入社以降一貫して同業務に従事していたことから,能力・勤怠に年功的な要素も加味した上処遇の改定を行っていたが,結果的に結婚を機に多くが退職したこともあり,女性が代理待遇まで位置付けられる例は少数であるのはやむを得ない。 5 原告らとの労働契約(1) 原告らは,前記2のとおり,基幹的業務に従事する高卒男性社員とは異なり,定型的・補助的業務に従事する者として募集・採用された者であり,この担当業務の違い及びその違いによるその後の処遇は,原告らと会社とが締結した労働契約の内容となっていた。 (2) 就業規則との関係基幹的業務と定型的・補助的業務の区別やこれによる昇格制度自体は,合意や就業規則への記載を問わず,客観的に存在していたものであり,前記(1)のとおり,原告らを含む高卒女性社員は,提供すべき労務の内容が事務的労働であって,かつ定型的・補助的業務であることを十分認識した上,雇用契約を締結し,会社に採用されたものである。採用後当該労働者の具体的現実的に提供すべき労務の内容を決定すること,すなわち,労働者の担当業務,職責,権限の付与,役職への就任,異動などは使用者の指揮命令に委ねられているから,将来の具体的な昇格制度まで採用者との間で合意する必要はないし,昇格の具体的内容について就業規則に規定がなければならないものでもない。 (3) 労使慣行ア原告ら入社当時から昭和50年代 いるから,将来の具体的な昇格制度まで採用者との間で合意する必要はないし,昇格の具体的内容について就業規則に規定がなければならないものでもない。 (3) 労使慣行ア原告ら入社当時から昭和50年代前半ころまでは,一般企業において,①大卒者の採用は男性のみに限定している,②教育訓練は男女別で行っている,③外部との折衝が多く,高度の判断力を要する業務・職場には女性は配置しない,④役職への昇進,昇格が女性にはない,⑤女性従業員の業務は,事務的事務の場合,一般事務,秘書,受付,電話交換である等が常識であり,多くの企業で,男性と女性とでは異なる取扱いがされるとの労使慣行が成立していた。 原告らの入社当時,会社においてもこれらの多くの企業と同様,会社における女性社員の担当業務,昇進・昇格については,同期,同学歴入社の男性社員とは異なる取扱い,制度を適用するとの確立した労使慣行が成立していた。 原告らは,この労使慣行を十分認識した上,これに同意して労働契約を締結した(この労使慣行は,民法92条所定の事実たる慣習に該当するから,原告らが,採用時にこの慣行につき具体的な認識を有していなかったとしても,会社との間の労働契約の内容となっているものと解すべきである。)。 イ仮に会社に採用された時点においては,原告らが,担当業務や昇進・昇格が女性社員と男性社員では異なる旨の労使慣行上の制度,取扱いについて知悉していなかったとしても,原告らは,採用後遅くとも数年間のうちに,これらの労使慣行について認識するに至ったものと解すべきである。しかし,原告らは,本件訴えの提起時点に至るまで,会社に対し何ら異議を述べておらず,同時点で少なくともこの労使慣行につき黙示的に同意したもので,その結果,それが原告らと会社との間の労働契約の内容となっていたものである。 6 以上の 時点に至るまで,会社に対し何ら異議を述べておらず,同時点で少なくともこの労使慣行につき黙示的に同意したもので,その結果,それが原告らと会社との間の労働契約の内容となっていたものである。 6 以上のとおり,会社は,原告らを採用した時点において,昭和61年に導入した「コース別人事制度」の前身ともいうべき「コース別」(担当業務別又は目的別)人事制度を実質的に運用していた。同制度では,会社の業務がその内容,職責などの差異から基幹的業務と定型的・補助的業務に区別され,前者に従事するものとして採用された社員と後者に従事するものとして採用された社員とでは,募集,採用の段階はもとより,入社後の配置,異動や発令単位,教育訓練等を全く異にし,昇給,昇格の体系,賃金体系も同様に異なっており,かかる差異の取扱いは合理的であった。 確かに,原告らの入社した当時,募集,採用の段階で基幹的業務に従事するものとしては大卒男性及び高卒男性がその対象であり,他方定型的・補助的業務に従事するものとしては高卒女性がその対象とされていたが,これは,女性の勤続の短さ,外部折衝や外勤,出張の多寡などに見る仕事の特質,女性の補助的業務の性格,法制上の制約などのためであり,昭和52年においてさえ,金融,保険業を始めとする日本の各企業は,女性を男性と全く同一に扱うことはしていなかったのであり,原告ら入社時に会社が実質的に運用していた「コース別」人事制度によって男女を区別していたことは,当時としては何ら公序に反せず,適法である。 また,男性と女性とで異なる募集,採用手続,採用基準により労働契約を締結し,入社以来従事してきた業務内容,職責などの差異が現実に存在し,それに基づく賃金体系の差異が合理的なものである以上,これによった処遇は適法である。 会社は,昭和61年4月に施行された均等法 を締結し,入社以来従事してきた業務内容,職責などの差異が現実に存在し,それに基づく賃金体系の差異が合理的なものである以上,これによった処遇は適法である。 会社は,昭和61年4月に施行された均等法を踏まえ,昭和62年4月に「職種転換制度」を採用し,能力,意欲のある一般職社員に総合職に転換する機会を提供し,昭和63年以降は「大卒総合職」として,新卒女性にも新卒男性と同一の採用,処遇をしている。本件訴訟は平成3年からの請求であり,この時期における会社の人事制度には何ら差別扱いはない。なお,原告らは,職種転換制度による「総合職」への転換を求めたことは一度もない。 このように,原告ら高卒女性社員と高卒男性社員との間で,昇格,賃金等に差があるのは,従事する職務の内容が異なるためであるから,これは,女性差別には当たらない。 7 原告ら主張の女性差別の違法性について(1)ア憲法14条を含む憲法第3章の規定は,もっぱら公権力と私人との関係を規律するもので,私人相互の関係を規律するものではないから,私人間には直接適用されない。仮に憲法14条の適用が問題となるとしても,私的自治に対する一般的制限規定(民法90条,709条等)の適用を通じて問題となるのであるから,結局は,私的自治に対する一般的制限規定の適用の可否を判断すれば足りるものである。 イ労基法3条は,「労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として」の差別的取扱を禁じるもので,男女差別には適用がない。 労基法4条は,「女性であること」を理由とする「賃金」についての差別を禁止するのみであり,賃金以外の労働条件である昇格について同条の適用はない。また,同条は,労働者が「女性であること」のみを理由として賃金について差別することを禁ずるもので,男女の労働者の間に担当業務,職責,権限,役職等の差異があ 働条件である昇格について同条の適用はない。また,同条は,労働者が「女性であること」のみを理由として賃金について差別することを禁ずるもので,男女の労働者の間に担当業務,職責,権限,役職等の差異があることによって賃金に差異が存することは,同条の「差別的取扱」に当たらない。 ウ均等法は,昭和61年4月に施行されているから,それ以前には同法の適用はあり得ない。昭和61年4月以降においても,会社のコース別人事制度は,職種による区分であるし,職種転換制度による一般職から総合職への転換の機会もあるから,均等法に違反するものではない。 (2) 国際人権規約A規約及びB規約は,昭和54年に批准されたものであり,原告らの採用時点はもとより,それ以降批准時までは適用されない。また,いずれの規約も,プログラム規定であって,自動執行性(国家の立法行為を必要とせず,直ちに裁判規範となり得る効力)を有しないから,これらが,日本の裁判所において裁判規範として直接適用されることはあり得ない。 ILO条約第100号は,原告らの労働と同期高卒男性社員らの労働とが同一価値でない本件については,該当しない。ILO条約第111号はわが国が批准していないから,国内において法的効力を有しないし,ILO勧告第90号及び第11号はいずれも「勧告」にすぎず,法的効力は存しない。 女性差別撤廃条約は,同条約の批准された昭和60年6月以前は原告らに適用されない。 ILO条約,女性差別撤廃条約が,それ自体直接に国内の裁判規範とはならないことは,国際人権規約と同様である。 (3) 前記1ないし3のとおり,会社のコース別人事制度は職種(基幹的業務と定型的・補助的業務)による区分であるし,原告ら入社時に女性を定型的・補助的業務に従事する者として募集,採用したからといって,女性を男性と全く同一に扱 おり,会社のコース別人事制度は職種(基幹的業務と定型的・補助的業務)による区分であるし,原告ら入社時に女性を定型的・補助的業務に従事する者として募集,採用したからといって,女性を男性と全く同一に扱うことをしていなかった当時の企業の雇用管理からすれば,これが公序に反するとはいえない。 また,会社は,男性と女性とでは異なる募集,採用手続,採用基準により労働契約を締結しており,それにより入社以来従事してきた業務内容,職責などの差異が現実に存在し,それに基づき賃金体系に差異が生じているのである。したがって,この賃金体系の差異が合理的なものである以上,これによった処遇は,公序に反するものではない。 (被告訴訟引受人の主張に対する原告らの反論) 1 会社の人事制度について(1) 原告らの入社当時の会社の人事制度が,担当業務別又は目的別人事制度であったことは争う。社員の処遇に関し,そのような人事制度は存在しなかったし,そのような運用もされていなかった。 (2) そもそも会社の業務は多種多様であって,これを「基幹的業務」と「定型的・補助的業務」の2つに截然と区別することは不可能である。 原告らが大半所属してきた総務部門は,顧客の注文の執行から精算,その後の株券等の保管業務までの分野を担当する証券事務部門であって,受注などの分野を担当する営業部門とともに証券業務に不可欠な部門であり,両部門の業務は相互に一体となって機能している。会社のように,業務を「基幹的業務」と「定型的・補助的業務」に区分することは,このような証券業務の実態とも相容れない。 総務部門においては,男性も女性も同様の仕事をしてきており,今もしている。 原告らが入社した当時,会社では高卒入社の男性社員も最低4年間は総務部門に配属され,女性社員と同様に総務部門における証券事務の業務に従事し いては,男性も女性も同様の仕事をしてきており,今もしている。 原告らが入社した当時,会社では高卒入社の男性社員も最低4年間は総務部門に配属され,女性社員と同様に総務部門における証券事務の業務に従事していた。男性社員については,その後,営業部門に配属される者もいたが,引き続き総務部門の業務に従事する者も多く,総務部門の業務に従事する男性社員は,課長代理に昇格するまでの入社後12年間,実際に担当する業務において,女性社員のそれと何ら差異がなかった。もとより,原告らが従事してきた業務について,男性社員が指導監督した事実もない。 会社が基幹的業務とする部分は,管理職(課長)が行っており,課長でない男性社員がしたものではない。例えば,会社が「定型的・補助的業務」として上げている売買注文にかかる受渡精算の業務は,その業務そのものが証券取引法,諸規則によって定められ,これに沿って処理してはじめて証券取引が完結するもので,証券会社に不可欠の業務であり,「定型的・補助的業務」とはいえない。また,原告らは,男性社員と同様,企画立案,顧客・税務署等との対外的折衝業務にも従事し,営業にも貢献している。原告らは,会社の主要な業務を担っているとの自信こそあれ,「定型的・補助的業務」のみに従事したとの認識はないし,現実に原告らが従事した業務は,高度の専門的知識と判断力を要する業務であり,「定型的・補助的業務」に当たらない。 (3)アコース別人事制度が認められるためには,コースを分ける基準が,それによって賃金・昇進・昇格等の処遇に差異を設けることに合理性があり,かつ,すべての従業員に対してコースを選択する機会が平等に与えられることが必要である。 会社が昭和61年に導入したコース別人事制度も,実態は男女差別処遇である。 会社によれば,同制度におけるコースを分ける基準 ての従業員に対してコースを選択する機会が平等に与えられることが必要である。 会社が昭和61年に導入したコース別人事制度も,実態は男女差別処遇である。 会社によれば,同制度におけるコースを分ける基準は,「基幹的業務」(総合職)か「定型的・補助的業務」(一般職)かである。しかし,前記(2)のとおり,この基準は曖昧であり,また,すべての従業員に対し,コースを選択する機会が平等に与えられてもいない。会社は,制度導入に際して,従業員に説明することもせず,機械的に男性を総合職,女性を一般職に振り分けており,社員に選択の余地はない。会社は,同制度導入後1年後に「職種転換制度」を導入して女性にも選択の機会を与えたというが,この内容は女性に明示されず,その要件の説明もない上,総合職に転換するためには,男性には要求されない上司の推薦と大卒程度の英語の試験等の合格を要するという厳しいもので,女性が総合職に転換することはおよそ不可能に近く,制度として機能していないに等しい。結局コース別人事制度においても,「総合職」は「男性」,「一般職」は「女性」と差別されていたもので,このことは,平成6年の人事制度で,総合職が総合職掌と,一般職が一般職掌とされた後も同様であった。 イこのような,従前の男女賃金体系を維持することを意図又は容認する内容の職掌別人事制度は,労基法4条に違反するし,仮に制度自体が同条に違反しないとしても,定型的・補助的業務に従事する旨を合意していない女性労働者を定型的・補助的業務に従事する一般職ないし一般職掌として取り扱い,賃金について差を設けることは,同条に違反する。 また,会社のコース別人事制度は,男性は全員総合職に,女性はごく一部を除いて全員一般職に位置づけ,さらに,一般職に位置づけた女性については,厳しい職種転換制度を利用しなければ総 ,同条に違反する。 また,会社のコース別人事制度は,男性は全員総合職に,女性はごく一部を除いて全員一般職に位置づけ,さらに,一般職に位置づけた女性については,厳しい職種転換制度を利用しなければ総合職への転換を認めないもので,女性にのみ特別な条件を課した男女で異なる取扱いをしたものであるから,コース別人事制度それ自体及びそれによる原告ら女性の一般職への位置づけは,配置についての差別的取扱いを禁止した均等法6条にも違反する。このことは,労働省が平成12年6月に発出した「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」(以下「留意事項」という。)が,「コース等で区分した雇用管理を導入,変更又は廃止するに当たって既存の労働者をコース等に分ける際に,性別を理由に一律に分けたり,一定のコース等に分ける場合に女性にのみ特別な条件を課す等,男女で異なる取扱いをすること」が均等法に違反するとしていることからも明らかである。 2 会社の募集・採用について原告らは,高卒又は中途採用であったが,会社は,原告らの募集当時,男女とも職種はいずれも「事務職」として募集し,初任給も同一としていた。会社は,募集・採用時に,労働条件を,男性は「基幹的業務」,女性は「定型的・補助的業務」として明示しておらず,男性を「基幹的業務」に,女性を「定型的・補助的業務」に区別して「目的別」に募集してはいなかった。また,採用に当たっての選考場所の違いは,女性に対して自宅通勤を条件としている結果であるし,筆記試験の内容や面接においても,男性が「基幹的業務」,女性は「定型的・補助的業務」と区別して受験者に明らかにされた事実はなく,男女とも本店が採用した。 会社は,男性を「基幹的業務」,女性を「定型的・補助的業務」に従事するものとして採用したのではないし,原告らもそのような認識で採用さ して受験者に明らかにされた事実はなく,男女とも本店が採用した。 会社は,男性を「基幹的業務」,女性を「定型的・補助的業務」に従事するものとして採用したのではないし,原告らもそのような認識で採用されたわけではない。 3 配置,異動,研修について採用後の男女における配置,異動,研修の差は,担当業務別又は目的別採用を裏付けるものではなく,これらは,会社の労務管理権行使の結果にすぎない。むしろ,会社が採用後の配置,異動,研修において男女で差を設けることこそ男女差別である。 高卒女性につき,採用時に自宅(親許)通勤を採用条件としたからといって,入社後もこれに限定する合意は,公序に反し無効であり,高卒入社時に自宅(親許)通勤する者を採用するという範囲でのみ意味があるにすぎないから,退職までの勤務場所を自宅(親許)から通勤できる範囲に限定するという合意が成立したわけではない。 4 昇格制度等について原告らの採用時に,昇格について男女別扱いとするとの合意はなく,そのような労働契約は成立していない上,採用入社後は,会社の就業規則に基づき昇進,昇格が行われるところ,会社の就業規則において,昇格について会社主張のような男女別の役職体系,昇格制度は存しない。 5 原告らの労働契約について(1) 労働契約の内容原告らと会社との労働契約において,原告ら高卒女性社員と高卒男性社員との間での担当業務の違い及びその違いによるその後の処遇が労働契約の内容となっていたことは争う。 労働契約は,労働者と使用者の合意によって成立するものである上,労働契約の締結に当たっては,労働条件が明示されなければならず,明示された内容が労働契約の内容となるものである(労基法15条1項,同法施行規則5条)。 原告らは,募集・採用の段階で,男女とも業務内容は事務とされ,初任給も ては,労働条件が明示されなければならず,明示された内容が労働契約の内容となるものである(労基法15条1項,同法施行規則5条)。 原告らは,募集・採用の段階で,男女とも業務内容は事務とされ,初任給も男女同額であるとされており,男性は「基幹的業務」,女性は「定型的・補助的業務」の目的別に採用する旨の明示は一切されていないし,就業規則にも,業務を「基幹的業務」,「定型的・補助的業務」に区別するとは規定されていない。また,原告らが定型的・補助的業務のみに従事する旨会社と合意した事実もない。 したがって,原告らの労働契約は,男女同一内容のものとして締結されたもので,採用後は男女とも同一の就業規則が適用されるのであるから,男性と同一の労働契約である。 会社が仮に女性に定型的・補助的業務のみを担当させ続け,男性には異なる業務を担当させたとしても,それは,労働者の能力の有無を問わない使用者の一方的な期待ないし予定と女性に対する偏見に基づく一方的な配属にすぎず,このような労務管理権の行使による労務管理が労基法4条に違反する男女別賃金体系を正当化するものではない。 (2) 労使慣行について被告訴訟引受人主張の労使慣行(第2(被告訴訟引受人)5(3))は会社には存在しないし,そのような男性と異なる取扱いをすることこそ女性を差別するものである。男女で業務を分けて採用し,その後の昇進・昇格もその対象は男性のみで女性は一切昇進・昇格させないとの取扱い,すなわち,女性が女性であるという理由だけで,その能力を発揮する業務につく機会を奪われ,昇進・昇格から排除され,賃金において著しい差別を受け,それが退職まで,年金に至るまで続くことは,著しい人権侵害であり,違法であるから,それが事実上の慣行としていかに広く一般的に行われようとも,法的には何らの効力も有しない。 金において著しい差別を受け,それが退職まで,年金に至るまで続くことは,著しい人権侵害であり,違法であるから,それが事実上の慣行としていかに広く一般的に行われようとも,法的には何らの効力も有しない。 また,原告らは,労働組合を通じて男女差別の抜本的是正を繰り返し要求してきたから,原告らが黙示的にも男女を異なる取扱いにすることに同意した事実はない。 第3 争点3(地位等の確認)について(原告ら) 1 労働契約に基づく請求(1) 会社は,高卒入社後13年次で課長代理に昇格させるとの昇格基準を設定しており,これは原告らをはじめとする労働者との労働契約の内容となっていた。 (2) 仮にそうでないとしても,後記第4(原告ら)2(1)のとおり,使用者である会社には,労働契約上,男女を平等に取り扱う義務があるから,会社が,男性を高卒入社後13年次に課長代理に昇格させている以上,原告らを同様に高卒入社後13年次で課長代理に昇格させる義務がある。 (3) したがって,原告らは,同期同学歴入社の男性の課長代理と同様,高卒入社後13年次の7月1日に昇格したものとして,すなわち,原告P1及び各原告らについては「職位表」の「課長代理昇格の日付」欄記載の日に,原告P13については昭和45年7月1日に,それぞれ課長代理に昇格したものとして,取り扱われるべきであるから,各原告らは,総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる労働契約上の地位,「職位表」の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける労働契約上の地位にあり,また,原告P1及び原告P13は,その請求に係る退職年金額を受ける地位にある。 2 労基法13条に基づく請求(1) 会社のとっている,男性のみを高卒入社後13年 の適用を受ける労働契約上の地位にあり,また,原告P1及び原告P13は,その請求に係る退職年金額を受ける地位にある。 2 労基法13条に基づく請求(1) 会社のとっている,男性のみを高卒入社後13年次に課長代理に昇格させる取扱い(自動昇格基準)は,昇格についての女性差別であり,女性を排除する部分は,前記第2(原告ら)3(2)のとおり,憲法14条,労基法3条,4条,均等法6条に違反し,民法90条の公序に反して無効である。 (2) 労基法13条は,「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分については無効とする。この場合において,無効となった部分は,この法律で定める基準による。」としているところ,その趣旨は,無効となった部分を補完することにあるから,その場合の「この法律で定める基準による。」には,労基法が定める基準のみならず,無効とされた部分を補完する具体的な労働基準がある場合も含むものである。 会社には,男性について高卒入社後13年次に課長代理に昇格させるという明確な基準があるから,原告らには,その無効部分につき,労基法13条の適用ないし類推適用により,この基準が適用され,原告らは,男性と同様に昇格したものとして取り扱われることになる。 (3) したがって,原告らは,前記1(3)のとおりの地位にある。 (被告訴訟引受人) 1 労働契約に基づく請求について高卒入社後13年次で課長代理に昇格させることが労働者との労働契約の内容となっていたこと,会社に原告ら主張の義務があることは争う。会社と原告らとの労働契約には,原告らの採用区分,入社後の配置,担当業務,職責に無関係に,同期,同学歴の男性社員と同様の昇格を行うなどという合意は,全く存在しない。 2 労基法13条に基づく請求について会社は,会社における社員の昇格につい 分,入社後の配置,担当業務,職責に無関係に,同期,同学歴の男性社員と同様の昇格を行うなどという合意は,全く存在しない。 2 労基法13条に基づく請求について会社は,会社における社員の昇格については,査定,選抜を行い,昇格決定の発令を経た上で昇格させている。 しかし,原告らについては,会社は昇格決定をしていないのであるから,この昇格決定がないにもかかわらず,原告らを昇格した者と同様に扱わなければならない根拠はない。 会社が原告らに課長代理の昇格決定をしなかったことにより,原告らの役職が一般職主任ないし副主任であるという労働条件が仮に無効であると解しても,この無効となった部分を補充すべき基準を労基法の中に見出すことはできないから,昇格決定行為の不存在を補うべき法的根拠はなく,原告らを昇格した者と同様に取り扱うことはできない。 第4 争点4(差額賃金等の請求権)について(原告ら) 1 労基法4条に基づく請求会社においては昇格の有無は直接賃金を左右するから,会社のした女性に対する昇格差別は,賃金において女性に差別的取扱いをしたものであり,労基法4条に違反する。 労基法4条は,男女同一賃金の原則を定めているから,原告らは,同条に基づき,直接課長代理へ昇格した場合の賃金等と現実の賃金等との差額を請求することができる。 2 労基法13条に基づく請求(1) 使用者は,労働者の人格を尊重しなければならないことから生じる本質的義務として,労働契約において,男女を能力に応じ労働条件において平等に取り扱う義務を負担している。労基法3条,4条は,この義務を具体的に明らかにしたものである。 会社が原告らを高卒入社後13年次に課長代理に昇格させなかったのは,性差別によるものであるから,前記労働契約上の義務及び労基法3条,4条に違反し,原告らに対する賃金 的に明らかにしたものである。 会社が原告らを高卒入社後13年次に課長代理に昇格させなかったのは,性差別によるものであるから,前記労働契約上の義務及び労基法3条,4条に違反し,原告らに対する賃金,資格の定めは無効である。 また,労使には労基法4条を含む労基法を遵守する義務があるから,会社が「コース別人事制度」導入に際し,原告ら女性社員を一般職に配置し,総合職ないし総合職掌(男性)に比し著しく低く定められている一般職ないし一般職掌賃金体系(専ら女性に適用される。)を適用したことは,前記(第2(原告ら)3(2))のとおり,憲法14条,労基法3条,4条,均等法6条に違反し,民法90条の公序に反して無効である。 (2) 前記(1)の無効となった部分については,差別がないとされた場合に形成されるべき基準である,高卒入社後13年次で課長代理に昇格し,現在では総合職掌指導職一級の資格にある同期男性社員の基準(=賃金額)が原告らの労働契約の内容として補充される。 (3) 労基法13条により,労基法上の男女同一賃金規定が原告らの労働契約を直接規律することになるから,原告らの無効となった賃金決定部分は,前記(2)のとおり補充された内容のものとなり,原告らは,労基法13条に基づき,前記1の差額を請求できる。 3 原告らの差額賃金等の額(1)ア原告P1及び各原告らが男性と差別されることなく,男性と同様に「職位表」記載の「課長代理昇格の日付」欄記載の日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの月例賃金,一時金と,前記原告らに実際に支給された月例賃金,一時金との本件請求期間中の差額の合計額は,前記第2章第2の5(3)のとおり,「請求金額一覧表」①ないし⑫の「差額賃金合計」欄記載のとおりである。 イ原告P1が男性と差別されることなく,男性と同様に前記の日に課 件請求期間中の差額の合計額は,前記第2章第2の5(3)のとおり,「請求金額一覧表」①ないし⑫の「差額賃金合計」欄記載のとおりである。 イ原告P1が男性と差別されることなく,男性と同様に前記の日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの退職一時金の男性社員との差額は,前記第2章第2の5(4)のとおり,合計317万2500円である。 (2) 原告P13が男性と差別されることなく,男性と同様に昭和45年7月1日に課長代理に昇格していれば支給されたはずの月例賃金,一時金と同原告が実際に支給された月例賃金,一時金との原告P13請求期間中の差額の合計額は,前記第2章第2の6(1)のとおり,「請求金額一覧表」⑬の「差額賃金合計」欄記載のとおりである。同じく退職一時金,第二年金一時金の差額は,前記第2章第2の6(2)のとおり,合計432万6800円である。 (被告訴訟引受人) 1 争う。前記第2(被告訴訟引受人)5のとおり,原告らの昇格,賃金等と高卒男性社員とのそれとの差は,従事した業務が異なることによるもので,会社が女性差別をした事実はないから,原告らに差額賃金等の請求権は発生しない。 そもそも,原告らのいう「差額賃金」請求権は,賃金の支払に関し,会社に債務不履行がある場合に発生するところ,会社は,原告らに対し,原告らが組合員であった労組との間で合意・決定した賃金額の支払をしているから,会社に債務不履行はなく,したがって,「差額賃金」の請求権は発生しない。 2 労基法4条に基づく請求について会社では,昇格により特定の役職に任ぜられた結果,これに対応した賃金等が定められ,支払われているにすぎないから,労基法4条には違反しない。 のみならず,賃金は,会社の賃金決定行為によってはじめてその債権額が決定ないし改定され,法的請求権が発生するのであるから,会社 が定められ,支払われているにすぎないから,労基法4条には違反しない。 のみならず,賃金は,会社の賃金決定行為によってはじめてその債権額が決定ないし改定され,法的請求権が発生するのであるから,会社の具体的な賃金決定行為が存在しないにもかかわらず,原告らがその主張の「差額賃金」について賃金請求権を有することはない。 3 労基法13条に基づく請求について前記第2(被告訴訟引受人)4のとおり,昇格は,査定,選抜を行い,昇格決定の発令を経た上で行われるものであるから,会社が原告らについて昇格決定をしていない以上,原告らを昇格した者と同様に扱わなければならない根拠はない。 また,会社が原告らに課長代理の昇格決定をしなかったことにより,原告らの役職が一般職主任ないし副主任であるという労働条件が仮に無効であると解しても,この無効となった部分を補充すべき基準を労基法の中に見出すことはできないから,昇格決定行為の不存在を補うべき法的根拠はなく,昇格ひいてこれに伴う賃金等の請求権が発生することはない。 第5 争点5(差額賃金等相当損害金の請求権)について(原告ら)女性差別は,憲法14条,労基法3,4条,均等法6条,民法90条に違反するもので,会社は,故意又は過失により,原告らの女性であることを理由に賃金等において差別されない権利を侵害した。 したがって,原告らは,会社に対し,民法709条に基づき,不法行為による損害賠償として,前記第4(原告ら)記載の差額賃金等に相当する損害賠償金を請求することができる。 (被告訴訟引受人)争う。前記第2(被告訴訟引受人)1ないし7のとおり,会社が女性差別をしたことはなく,会社のとった措置は不法行為としての違法性を帯びるものではない。 第6 争点6(慰謝料,弁護士費用の請求)について(原告ら) 1 慰謝料について )1ないし7のとおり,会社が女性差別をしたことはなく,会社のとった措置は不法行為としての違法性を帯びるものではない。 第6 争点6(慰謝料,弁護士費用の請求)について(原告ら) 1 慰謝料について原告らは,会社のした女性差別により人間の尊厳をおかされ,性別により昇格,賃金等において差別されないという期待権,人格権が侵害され,精神的苦痛を被った。 さらに,原告P13は,会社による株式累積投資制度の導入・運用に貢献し,上司からも昇格を示唆されたのに,課長代理への昇格が実現しないまま退職を余儀なくされた。 原告らは,労働契約上の債務不履行又は不法行為に基づき,原告P13を除く原告らにつき一人当たり700万円(一部請求),原告P13につき3000万円の慰謝料を請求する。 2 弁護士費用について原告らは,会社から昇格,賃金等で差別されたことにより,本訴の提起を余儀なくされた。 原告らは,差額賃金等(ないし同額の相当損害金等)と慰謝料の合計額の1割を代理人弁護士らに支払う旨約した。 原告らは,被告訴訟引受人に対し,労働契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として,「請求金額一覧表」の「弁護士費用」欄各記載の金額を弁護士費用として請求する。 (被告訴訟引受人) 1 慰謝料について債務不履行による損害賠償の範囲は,民法419条1項の範囲に限られるべきであり,本件において,債務不履行による慰謝料請求が許されるとの特段の事情もない。このことは,弁護士費用についても同様である。 不法行為による請求についても,本件では,原告らに対する特段の具体的な人格的利益の侵害はなく,仮に原告らに精神的損害があっても,それは財産的損害(差額賃金等相当額)の賠償で完全に慰謝されるから,慰謝料が発生する余地はない。 2 弁護士費用について不法行為に 体的な人格的利益の侵害はなく,仮に原告らに精神的損害があっても,それは財産的損害(差額賃金等相当額)の賠償で完全に慰謝されるから,慰謝料が発生する余地はない。 2 弁護士費用について不法行為に基づく損害賠償において,弁護士費用は,事案の内容である不法行為が明白であり,かつ,その違法性が極めて強度であるのに,応訴して争うこと自体が不法行為と評価される場合に,損害として認められるが,本件は,この場合に当たらないから,原告らが弁護士費用を請求することはできない。 第7 原告らの請求のまとめ 1 第24224号事件についてよって,各原告らは,被告訴訟引受人に対し,会社との労働契約又は労基法13条に基づき,(1)各原告らが総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる労働契約上の地位にあることの確認,(2)「職位表」の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職金規程及び退職年金規程の適用を受ける労働契約上の地位にあることの確認を求めるとともに,労基法4条,13条に基づき,(3)差額賃金(月例賃金及び一時金)及び付帯遅延損害金(商事法定利率年6分の割合。付帯遅延損害金の起算日は,支払日の後の日。付帯遅延損害金の利率につき,以下同じ。)の支払を求め,予備的に不法行為に基づき,(4)前記(3)と同額の損害賠償金(付帯遅延損害金の起算日は,不法行為日の後の日)の支払を求め,あわせて,労働契約上の債務不履行又は不法行為に基づき,(5)慰謝料及び弁護士費用並びに付帯遅延損害金(付帯遅延損害金の起算日は,不法行為日又は債務不履行日の後の日)の支払を求める。 また,原告P1は,被告訴訟引受人に対し,会社との労働契約又は労基法13条に基づき,(1)原告P1の退職年金・第一年金,退職年金・第二年金の額が 行為日又は債務不履行日の後の日)の支払を求める。 また,原告P1は,被告訴訟引受人に対し,会社との労働契約又は労基法13条に基づき,(1)原告P1の退職年金・第一年金,退職年金・第二年金の額が原告P1主張のとおりであることの確認を求めるとともに,労基法4条,13条に基づき,(2)差額賃金(月例賃金及び一時金)及び差額退職金(一時金及び年金)並びに付帯遅延損害金(率及び起算日は前記原告らと同じ。)の支払を求め,予備的に不法行為に基づき,(3)前記(2)と同額の損害賠償金の支払を求め,あわせて,労働契約上の債務不履行又は不法行為に基づき,(4)慰謝料及び弁護士費用並びに付帯遅延損害金(率及び起算日は各原告らと同じ。)の支払を求める。 2 第12628号事件についてよって,原告P13は,被告訴訟引受人に対し,会社との労働契約又は労基法13条に基づき,(1)原告P13の退職年金・第一年金,退職年金・第二年金の額が原告P13主張のとおりであることの確認を求めるとともに,労基法4条,13条に基づき,(2)差額賃金(月例賃金・一時金,退職一時金・退職年金)及び付帯遅延損害金(商事法定利率年6分の割合。付帯遅延損害金の起算日は,支払日の後の日。付帯遅延損害金の利率につき,以下同じ。)の支払を求め,予備的に不法行為に基づき,(2)前記(1)と同額の損害賠償金の支払を求め,あわせて,労働契約上の債務不履行又は不法行為に基づき,(3)慰謝料及び弁護士費用並びに付帯遅延損害金(付帯遅延損害金の起算日は,不法行為日又は債務不履行日の後の日)の支払を求める。 第4章争点に対する判断第1 争点1(確認の利益)について 1 一般に,確認の訴えの利益は,原告の権利又は法律的地位に危険・不安定が現存し,その危険・不安定を除去する方法として確認の判決をすることが有 章争点に対する判断第1 争点1(確認の利益)について 1 一般に,確認の訴えの利益は,原告の権利又は法律的地位に危険・不安定が現存し,その危険・不安定を除去する方法として確認の判決をすることが有効適切である場合に認められる。 原告が,当該確認請求にかかる請求権に基づき給付訴訟を提起できるときは,それによることで紛争の解決が図られるから,その請求権の確認の利益は原則として認められないが,基本たる権利又は法律関係から派生する給付請求権について給付訴訟が可能な場合でも,基本たる権利又は法律関係を確認することが現存する原告の権利又は法律的地位についての危険・不安定を除去する方法として有効適切であるときは,確認の利益があるというべきである。 2(1) 各原告らは,総合職掌「指導職一級」の地位にあるものとして取り扱われる地位にあることの確認を求めているところ,各原告らはその地位に基づいて賃金ないし損害賠償請求ができるとしても,各原告らがその地位にあることは,賃金ないし損害賠償請求の基本たる法律関係であるということができ,被告訴訟引受人がこれを争っていることは明らかであるから,各原告らはその地位についての危険・不安定を除去するために,その地位にあることの確認を求めることができるというべきである。 (2) しかし,各原告らの課長代理に昇格した総合職掌として会社の退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける地位にあることの確認を求める訴えについては,退職慰労金及び退職年金請求権に基づく請求の基本たる法律関係であるその主張の地位は各原告らが退職した時点におけるものであるところ,各原告らは現在被告訴訟引受人に在職しているのであるから,この地位は現存する法律関係とはいえず,したがって,その地位の確認を求める訴えは,現存の不安・危険ではなく,将来の不安・危 ものであるところ,各原告らは現在被告訴訟引受人に在職しているのであるから,この地位は現存する法律関係とはいえず,したがって,その地位の確認を求める訴えは,現存の不安・危険ではなく,将来の不安・危険の除去を求めるものであるから,確認の利益を欠くものというべきである。 3 原告P1及び原告P13は,退職年金の第一年金額,第二年金額の確認を求めているところ,年金については年金請求権に基づき給付訴訟を提起することができるし,年金額それ自体は数額の問題であり,年金請求権の基本たる権利又は法律関係ということはできないから,原告P1及び原告P13のこの確認の訴えには,確認の利益がないといわざるを得ない。 原告P1及び原告P13の主張によっても,年金額は年額として確定しているというのであるから,既存分の差額年金については給付の訴えを,将来分の差額年金については将来給付の訴えを,それぞれ提起すれば足り,毎年差額が発生する度に差額請求訴訟の提起を余儀なくされるとはいえないし,その他原告P1及び原告P13が主張するところを考慮しても,原告P1及び原告P13に年金額確認の利益があるとはいえない。 第2 争点2(差別及びその違法性)について 1 男女間の格差の有無(1) 前記第2章第2の2ないし6の事実及び証拠(甲74,乙49,証人P17,原告P3本人(第1回))によれば,以下の事実が認められる。 ア原告らと同時期に採用された高卒男性社員の採用者数,入社後13年次の在籍者数,入社後13年次に課長代理へ昇格した者の数,昇格しなかった者の数,在籍者中昇格者した者の割合は,以下のとおりである(入社年次の年号は昭和である。)。 入社年次採用数在籍者数昇格者数未昇格者数割合35年 206 154 151 3 98.1%36年 339 245 は,以下のとおりである(入社年次の年号は昭和である。)。 入社年次採用数在籍者数昇格者数未昇格者数割合35年 206 154 151 3 98.1%36年 339 245 243 2 99.2%37年 350 282 275 7 97.5%38年 77 53 52 1 98.1%39年 38 24 22 2 91.7%40年 30 19 19 0 100%合計 1040 777 762 15 98.1%(採用数と在籍者数とに差があるのは,中途退職のためである。)他方,原告らと同時期に採用された高卒女性社員については,入社後13年次に課長代理に昇格した者はなく,入社後26年次で課長代理に昇格した者が出る程度である。 イ会社では,昇格と月例賃金,一時金,退職金及び退職年金支給額が連動しているため,昇格時期が遅れることにより,これら月例賃金等について,昇格した者と昇格しなかった者との間で格差が生じていくことになる。 ウ原告らと比較対象男性との賃金等の格差は,前記第2章第2の5,6のとおりである。 (2) 前記認定事実によれば,会社においては,高卒男性社員は入社後13年次にその大半が課長代理に昇格しているのに対し,高卒女性社員はその時期に昇格することは全くないのであるから,高卒採用社員について,男性と女性との間では,昇格時期に著しい格差があり,これと連動する賃金等についても同様に著しい格差があると認めることができる。 2 格差が生じた理由について(1) 原告らは,この格差は女性差別によるものであると主張するのに対し,被告訴訟引受人は,従事する業務の差異によるものであると主張するところ,前記1のように同時期に入社 格差が生じた理由について(1) 原告らは,この格差は女性差別によるものであると主張するのに対し,被告訴訟引受人は,従事する業務の差異によるものであると主張するところ,前記1のように同時期に入社した同学歴の男女の社員間において,昇格,賃金等について著しい格差がある場合には,その格差が生じたことについて合理的な理由が認められない限り,性の違いによって生じたものと推認することができると解されるから,以下,まずこの格差の生じた理由について検討する。 (2) 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア会社の業務について(甲41ないし43,46,47,51ないし53,57,59,61,63ないし65,187ないし190,192,194ないし196,乙1,30,49,81,89,証人P17,同P18,同P19(第2回),原告P3本人(第1,2回))(ア) 会社は,証券会社として,証券取引法2条8項及び34条に基づき,前記第2章第2の1(2)イのとおりの業務を行っているが,証券業務の内容については,証券取引法,省令,日本証券業協会規則などによって詳細に規定され,それに従った業務処理をすることが義務づけられている。 (イ) 会社の業務部門は,営業部門と総務部門に大別される。営業部門では,顧客からの有価証券取引の受注などの営業業務を行い,総務部門では,顧客の注文の執行から精算,その後の有価証券書類の保管などの事務管理業務を行っている。営業部門,総務部門の両者が相まって会社の業務が円滑に遂行できるもので,両部門の各業務が相互に不可欠である。 (ウ) 会社の標準的な支店は,営業部門である営業課(現在は,資産管理課),法人課,企業営業課(現在は,企業サービス課),投資相談課(現在は,お客様サービス課),証貯営業課(現在は,資産相談課)と (ウ) 会社の標準的な支店は,営業部門である営業課(現在は,資産管理課),法人課,企業営業課(現在は,企業サービス課),投資相談課(現在は,お客様サービス課),証貯営業課(現在は,資産相談課)と,総務部門である総務課からなっている。各課の業務内容は,以下のとおりである。 a 営業課新規顧客開拓,投資勧誘,情報提供等の営業活動,商品販売の企画立案等。 b 法人課主に地域金融機関を顧客対象とする,営業課で述べたのと同様の業務。 c 企業営業課主に株式公開希望を持つ地域中堅企業を顧客対象とする,その公開準備作業の指導・援助及び企業又はそのオーナーの資産運用等の相談業務等。 d 投資相談課主に来店客を顧客対象とする,営業課で述べたのと同様の業務。 e 証貯営業課担当地域内の個人客を顧客対象とする投資信託及び債券の販売。実際の販売は,主に,期間の定めのある雇用契約を締結しているミディ社員(会社の社員とは別の雇用形態の投信債券外務員である。)が担当している。 f 総務課①有価証券売買注文等に係る受渡精算業務が中心であり,その他に,②営業部門の営業活動が証券取引法その他の法令諸規則等に準拠し,適正に行われているかどうかの監査等の内部管理,③官公庁への対応,④顧客からのクレーム等のイレギュラーな事態が生じた場合の判断・処理等,を行っている。総務課には,総合職掌と一般職掌の両職掌社員が配置されている。 受渡精算の業務は,顧客との間で,現金・有価証券・証書その他の書類の受入・引渡を行う業務及びそれに付随する業務であり,具体的には,顧客から受け入れた書類の照合,オンラインシステムへの登録等を行う業務(支店内の一般的呼称は「口座係」である。以下の係も同様支店内の一般的呼称である。),顧客から受け入れた書類,現金もしくは有価証券とオンラインシ た書類の照合,オンラインシステムへの登録等を行う業務(支店内の一般的呼称は「口座係」である。以下の係も同様支店内の一般的呼称である。),顧客から受け入れた書類,現金もしくは有価証券とオンラインシステムとの照合,預り証もしくはそれに代わる証票及び計算書の作成等を行う業務(「合鑑受渡精算係」),現金,小切手,伝票,受領証等に関わる事務・照合及び入出金等を担当する業務(「現金係」),有価証券の受払,保管等に関わる事務を行う業務(「保管係」),営業部門において顧客から受注し,起票した注文伝票をオンラインシステムに入力する業務(「約定係」)等に細分化されている。 会社の業務においては,①各種法令,規則等に従った事務処理を行う必要があること,②取扱い商品(株式,債券,投資信託等)が膨大な数に上り,その知識が必要になること,といった特徴があるが,さらに,総務課においては,③顧客との受け答えが電話によることがほとんどで,正確・迅速な対応が必要とされること,③取扱い商品の価格が変動するため,受注後取引所への発注を正確・迅速に行う必要があること,といった特徴があり,事故発生のないよう細心の注意が要求される。 総務の事務処理の正確・迅速を期するため,各種マニュアルも配布されている。 イ昭和30年代ないし40年代ころの女性の職業意識,企業の見方等(ア) 内閣総理大臣官房広報室が昭和37年10月に行った「女性事務職員の意識調査」(回答者は,東京都23区内の製造業及び金融保険業の事業所女性事務職員919名)によれば,概要以下のとおりであった。(乙68)女性事務職員の大半(80パーセント)が結婚又は出産まで働こうとする者で,その後も続けるという者は極く少数(5パーセント。金融業のみでは3パーセント。)であった。大部分はそれほど不満なく仕事を受け入れており,給 の大半(80パーセント)が結婚又は出産まで働こうとする者で,その後も続けるという者は極く少数(5パーセント。金融業のみでは3パーセント。)であった。大部分はそれほど不満なく仕事を受け入れており,給与額に対する不満は多いが,身分や地位についてはさして関心がなく,職場内の女性の地位についても悲観的な現状をある程度認めているものが多い。配置転換の経験者は,その結果に満足しているものが多いが,未経験者は約半数があまり変化を求めていない。 (イ) 内閣総理大臣官房広報室が昭和41年1月に行った「婦人の就業に関する世論調査」(回答者は,全国の20歳から59歳の女性7369名)によれば,働いている婦人(1443名)のうち,今の仕事を当分続けるつもりである者は約8割であり,職業と家事とが両立しないために悩みを持っている者は約3割であった。現職に関して不満のある者は約半数であり,その内容は給与に関するものが多い。(乙67)(ウ) これに対し,日経連・日本産業訓練協会が昭和43年10月に共同で行った調査(対象は286社)では,以下の点が指摘されている。(乙64)女性従業員の勤続年数は,勤続年数5年未満が67.5パーセント(高卒の場合は,3年台が21パーセント,4年台が17.1パーセント,5年台が14パーセントである。)と,短い。 女性従業員の人事労務管理上の問題として,多くの企業が,「職業意識が低い」,「勤続年数が短い」,「時間外,深夜勤務,生理休暇など男性と異なる管理をしなければならない」,「異動させにくい」,「企業意識・愛社精神に乏しい」などをあげている。 意識行動管理面での問題点として,女性が感情的,自己中心的であって,問題をすぐ人間対人間の問題に置きかえる傾向にあること,能力面での問題点として,企画力,創意創造力,論理的思考能力,指導統率 る。 意識行動管理面での問題点として,女性が感情的,自己中心的であって,問題をすぐ人間対人間の問題に置きかえる傾向にあること,能力面での問題点として,企画力,創意創造力,論理的思考能力,指導統率力が男性従業員に比して劣るとされている。 女性従業員の昇進・昇格について,制度上男性と区別しているところはあまりないが,女性の勤務年数,管理能力の問題で,昇進・昇格があまり多くないのが現状と思われる。 (エ) 昭和49年3月,4月に日本生産性本部・日本経済青年協議会が行った調査では(対象者は新入社員6683名),新入社員の意識として,女性の場合8割強が昇進を考えておらず,「今の会社でずっと働きたいか」との問いには,女性の場合,「取りあえず」,「状況次第」と答える者が多かった。(乙69)(オ) 労働省婦人少年局が昭和52年9月に行った「女性労働者の雇用管理に関する調査」(対象は全国の約5000企業)によれば,概要以下のとおりであった。(乙25)a 採用,募集について(女性の採用方針)高卒の採用方針として,「男女とも採用する」企業は61.6パーセント,「男性のみ」採用する企業は7.2パーセント,「女性のみ」採用する企業は5.8パーセント,「男女とも採用しない」企業は25.4パーセントである。 (男女の採用条件の相違)高卒,中途採用のそれぞれにおいて,男女とも採用する方針の企業の採用条件につき,「男女とも同じ」とする企業の割合は,高卒の場合が70.6パーセント,中途採用が49.8パーセントである。採用条件は「男女とも同じ」とする企業の割合は,高卒の場合,金融・保険業が最も高く,また,大規模ほど高い。採用条件が異なる場合の内容としては,高卒の場合は,「資格,技能条件が男女異なる」が22.9パーセント,「雇用形態が男女異なる」が6.9パーセ の場合,金融・保険業が最も高く,また,大規模ほど高い。採用条件が異なる場合の内容としては,高卒の場合は,「資格,技能条件が男女異なる」が22.9パーセント,「雇用形態が男女異なる」が6.9パーセントなどとなっている。 b 賃金について同学歴の場合,新規学卒者の初任給額を「男女同じ。又は男女別にはきめていない」企業は27.4パーセントである(もっとも,金融・保険業では,73.7パーセントと特に高い)。 c 配置及び配置転換について91.5パーセントの企業では,女性を全く配置していない仕事が「ある」と回答している。その仕事の特徴は,「高度な技能を必要とする」が50.2パーセント,「外部との折衝が多い」が41.4パーセント,「外勤,出張等が多い」が37.3パーセント,「かなり高度の判断を要する」が31.1パーセントなどであり,金融・保険業において後三者を挙げる割合が高い。 定期的な配置転換を「女性には行っていない」企業は29.5パーセントであり,その理由は,「女性の補助的業務の性格から不必要」とするものが69.6パーセントと最も多く,次いで「女性は配置転換を希望しない」,「女性は短期雇用を前提としているので不必要」などとなっている。 d 昇進について女性にも役職への昇進の機会が「ある」企業は47.7パーセントであり,金融・保険業ではその割合が高い。女性に昇進可能な役職は,「係長相当まで」とする企業が40.5パーセント,「課長相当まで」とする企業が27.3パーセントであり,金融・保険業は,上位の役職に女性の昇進の道が開かれている企業の割合が他産業に比べて高い。 女性にも役職への昇進の機会が「ない」企業は52.3パーセントであり,その理由として,「女性の補助的業務の性格から無理」,「女性は勤続年数が短い」をあげたものが多く(金融・ が他産業に比べて高い。 女性にも役職への昇進の機会が「ない」企業は52.3パーセントであり,その理由として,「女性の補助的業務の性格から無理」,「女性は勤続年数が短い」をあげたものが多く(金融・保険業では「女性は勤続年数が短い」をあげた割合が高い。),次いで「女性は管理能力,統率力が劣る」などとなっている。 ウ原告らの募集・選考・採用について(甲48,49,乙6ないし13,24,49,50,125ないし129,証人P17)(ア) 募集原告らが入社した昭和32年ないし40年当時,会社は,男性については,「大学新卒」,「高校新卒」の別で,女性については,「高校新卒」,「中途採用」の別で,正社員を募集し,採用した。 会社は,男性については「大学新卒」,「高校新卒」の別で,女性については「高校新卒」の,それぞれ募集要項を作成した。 会社は,高卒者の採用につき,高校に推薦依頼をしたが,その依頼は男女別に行われた。男性については特に採用職種を明示しなかったが,「勤務地」は「本支店所在地(独身寮完備)」とし,女性については,「条件」を「自宅(親許)より通勤片道1時間以内のこと。」,「採用職種」を「一般事務員,タイピスト,受付,電話交換手等」とし,「勤務店」を「本店および都内支店」又は「○○支店」として(ただし,初任給をはじめとする待遇は男性と同一として),依頼した(会社側の依頼者は,男性については,会社人事部長であり,女性については,会社人事部長又は会社支店長であった。)。 会社は,公共職業安定所に対する高卒用求人票も,男性と女性では別にし,男性には,「補足事項」を「独身寮全国完備」,「職種」を「事務職」,「作業内容」を「入社時研修後本支店総務,市場部員として従事し,5年目から適性に応じて営業,国際業務等にも従事する。」,「選考場所」 性には,「補足事項」を「独身寮全国完備」,「職種」を「事務職」,「作業内容」を「入社時研修後本支店総務,市場部員として従事し,5年目から適性に応じて営業,国際業務等にも従事する。」,「選考場所」を「本社」として,女性には,「補足事項」を「自宅通勤に限る。最寄り支店まで通勤60分以内(首都圏90分以内)」,「職種」を「一般事務職」,「作業内容」を「一般事務,営業(店頭受付)補助事務」,「選考場所」を「本社及び各支店」として(ただし,男性及び女性とも賃金額は同額として),求人した。 また,会社は,新聞広告で高卒女子事務員を募集した際の応募条件として,「通勤親許より1時間内」を掲げていた。 なお,会社には男性用の会社案内はあったが,女性用の入社案内としては,最も古いものとして昭和49年版(乙24)が残っている。そこでは,女性社員の仕事内容は特に明記されていないが,女性社員が「店頭での応接」,「営業マンのアシスタント」などをしている様子が写真入りで紹介されている。 会社における高卒男性社員の募集・採用は,昭和55年までであった。 (イ) 選考・採用会社は,採用のための選考を,身体検査,学力試験,面接試験により行った。学力試験で使用された試験問題は,男性と女性では別であった。 会社は,男性社員については,採用選考を本社又は大阪支店等で行った上,本社人事部で採用を決定したが,女性社員については,東京地区,大阪地区,名古屋地区では,その地区の社員は,「所属地域採用」としてそれぞれ当該地域の母店(本社,大阪支店,名古屋支店)で,これらの各地区以外の地方支店では,その支店の社員をその支店で,それぞれ採用選考を行って,実質上,母店責任者又は支店長が採用を決定した(最終的には本社人事部が採用を決定した。)。 なお,入社式は,高校新卒男性は,東京の 方支店では,その支店の社員をその支店で,それぞれ採用選考を行って,実質上,母店責任者又は支店長が採用を決定した(最終的には本社人事部が採用を決定した。)。 なお,入社式は,高校新卒男性は,東京の本社で行われたが,高校新卒女性は,支店毎に行われた。また,女性中途採用者については入社式は行われなかった。 エ採用後の配置,異動,研修について(甲198,乙35,49,125ないし129,証人P17,同P19(第1回))(ア) 配置採用後,会社は,高卒男性については,出身地等とは関係なく,本社及び全国各支店に配属し,本支店総務部門,市場部に配置した。 これに対し,高卒女性については,自宅(親許)から通勤可能な範囲で主に本支店総務部門に配属した。 高卒男性の配置は社長権限であるが,高卒女性の配置は人事部長権限とされ,発令の単位は,高卒男性が課といった職場単位であるのに対し,高卒女性は部店単位であった。 (イ) 異動会社は,高卒男性については,当初の配属本支店に概ね5年前後勤務した時点で第1回目の異動(ほとんどの場合転居を伴う。)を実施し,転勤先の本支店の総務部門又は営業部門に配属し,その後も相当期間経過毎にかなり頻繁に異動を実施した。なお,会社は,異動に当たっては,配置,異動についての意見を記載した本人の「自己申告書」を参考とした。 これに対し,高卒女性については,採用時配属の本支店より他へ異動させることはほとんどなく,極めてまれに行われる場合でも,より親許に近い支店か,本人が結婚による同居のため転居を希望する場合などであった。 (ウ) 研修会社は,高卒男性については,新入社員研修,入社後一定年数経過の後の集合研修,総務部門から営業部門への配置換え時の営業関係の研修,主任を対象とした研修等多様な研修を行った。 これに対し,高卒 修会社は,高卒男性については,新入社員研修,入社後一定年数経過の後の集合研修,総務部門から営業部門への配置換え時の営業関係の研修,主任を対象とした研修等多様な研修を行った。 これに対し,高卒女性については,入社当時に,社員としての心構え,接遇の基本といった内容の研修を行う程度で,その後は,女性店頭補助者研修等を行う程度であった。 オ原告らが入社後に従事した業務等(ア) 原告P2(甲40,114,125ないし128,159,178,227,乙83ないし88,116,154,証人P18,原告P10本人)a 原告P2は,昭和40年3月愛知淑徳高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)名古屋支店で入社選考を受けて同年4月会社に採用され,名古屋駅前支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。名古屋駅前支店には,原告らのうちでは,原告P2のほか,原告P5,原告P9,原告P11,原告P10がいる。 原告P2は,入社に際し,会社から,担当する業務は,定型的・補助的業務であるとか,原告P2と基幹的業務を担当する者とでは採用区分を異にしているといった説明は受けなかった(この点は,その余の原告らについても同様である。)。 b 当初「保管」係に配属されたが,まもなく「電話交換」業務へ係替えとなり,昭和41年度上期(以下,上期とは4月から9月まで,下期とは10月から翌年3月までをいう。)より「得意先」業務を担当した。この業務は,顧客との取引成立に伴って作成された本伝票及び入金・出金の伝票が「得意先」担当者に回付されるので,同担当者がこの伝票の内容を「バロース会計機」という電気計算機に打ち込む方法で「顧客勘定元帳(約定年月日,銘柄,数量,単価,金額,受渡月日,借方,貸方,残高等が記載される法定帳簿)」を記帳するというものである。「得意先」担当者は,併せ 計機」という電気計算機に打ち込む方法で「顧客勘定元帳(約定年月日,銘柄,数量,単価,金額,受渡月日,借方,貸方,残高等が記載される法定帳簿)」を記帳するというものである。「得意先」担当者は,併せて定期的に,全顧客分の顧客勘定元帳リーフの合算と,別に「計算」担当者が,伝票自体から別途集計していた数額との突き合わせを行っていた。この業務は,その後合理化の進展に伴い大型コンピュータに代替され,現在は存在しない。 c 昭和43年度ころから,「代理事務」業務を担当していた。「代理事務」とは,有価証券の発行会社に代わって債券の元利金,投資信託の分配金・償還金を顧客に支払うための,事務手続を行う業務である。 顧客への支払は,会社が顧客より保護預りしている有価証券に係わるものと,顧客が利札もしくは本券を支店に持参するものとに大別される。会社が保護預りしている顧客の債券もしくは投資信託の利子・分配金については,本社で利払い伝票が作成され社内便で支店に送付されるので,支店の「代理事務」担当者は,①この本伝票を受け取り,顧客が受け取りに来店するまで保管する,②顧客来店時に,顧客から預り証を受入れ,保管している本伝票の支払銘柄・数量と照合し,預り証の裏面に支払済み印を,当該本伝票に扱印を,それぞれ押印し,預り証・本伝票を検印者に回付する,という業務に従事していた。 顧客が利札又は償還期日の到来した本券を持参した場合は,「代理事務」担当者は,①事故照会,支払期日確認を行い,②本伝票を作成し,③本伝票に扱印を,利札に消印を押印し,検印者に回付する作業を行った。なお,顧客からのクレームの対応も行った。 利払い後,本伝票と複写になっているOCRカード(光学式文字読取装置=オプティカル・キャラクター・リーダーに読み込ませるカード)を利払い終了の連絡のために本社に 客からのクレームの対応も行った。 利払い後,本伝票と複写になっているOCRカード(光学式文字読取装置=オプティカル・キャラクター・リーダーに読み込ませるカード)を利払い終了の連絡のために本社に送付し,支払済みの利札も,同様にまとめて本社に送付した。この業務は,その後,システム端末の操作によって利金・分配金の検索・計算・伝票作成ができるようになったため,業務量が大きく減少し,「保管」担当者の業務に吸収された。 d 昭和46年度以後の一時期,「口座」業務の一部分である「非課税」業務を担当した。この業務の内容は,顧客から受入れたマル優・特別マル優等の非課税書類(「顧客控」,「申告書」,「申込書」等が複写になっている。)につき,顧客の記名捺印のチェック及び顧客の非課税枠の残存金額の確認をし,システム端末に入力することで,社内的な登録を行うというもので,その他に,「申告書」の当月受入分を,翌月10日に所轄税務署に提出するため,枚数を数えることも行っていた。 e その後,「代理事務」担当になった後,昭和52年度上期より再び「非課税」担当となった。 なお,現在では登録・照会作業が合理化され,野村ビジネスサービス株式会社(会社は,昭和60年11月,事務処理システムの改善による効率化,専門化を図るため,同社を設立した。以下「NBS」という。乙53)に委託されたため,業務量は激減している。 f 昭和54年度上期は,現在の「口座」業務の前身である「コード」業務を担当した。この業務は,顧客から受け入れて回付されてきた取引申込書に基づいて,口座番号・氏名・住所・口座種別・税区分・電話番号・住所コード等を,50音順に「顧客音別索引台帳」に記入するものである。また,当該台帳を調べて,新規顧客であること,重複開設ではないことが確認できれば,「口座番号台帳」にも開 座種別・税区分・電話番号・住所コード等を,50音順に「顧客音別索引台帳」に記入するものである。また,当該台帳を調べて,新規顧客であること,重複開設ではないことが確認できれば,「口座番号台帳」にも開設年月日・氏名・住所・税区分等を記入し,口座番号を付与することも行った。その他に「コード」担当者は,「保護預り口座設定申込書」その他受入書類を50音順にファイルすること,預り証・受領証等に顧客が押印した印鑑を届出印と照合をすること,支店各課の問い合わせに対し顧客の氏名から口座番号を調べること等の業務も担当した。 g 昭和55年度下期より「口座」業務の担当となった。この業務の内容は,前記の「コード」業務と同一である。ただし,第2次オンラインシステムの稼働に伴い,「顧客音別索引台帳」,「口座番号台帳」は廃止され,システム端末を操作することにより照会・登録が可能となったことで,記入という手作業が無くなり,業務が簡素化されている。また,現在,NBSに,口座属性の登録作業,口座関係書類のファイル作業が移管され,この結果,支店には顧客からの受入書類のチェックと当該書類のNBSへの送付が残っている程度である。 なお,原告P2は,コンピュータ登録が進むにつれ,非課税処理の登録・管理ファイルや法人口座の申込書と登記簿謄本の請求管理なども行うようになった。 原告P2は,昭和58年7月店内主任待遇になった。また,平成元年7月社団法人日本証券業協会の定める一般外務員資格試験に合格した(なお,一般外務員資格は,平成2年から一種,二種に区分されたが,この制度変更以前に一般外務員の資格を取得した者は,一種外務員資格と同様の業務を行うことができるとされている。)。 h 平成2年度上期より「未済・未切換」業務を担当した。有価証券の取引に当たっては,約定代金の受け入れ,預り証 の資格を取得した者は,一種外務員資格と同様の業務を行うことができるとされている。)。 h 平成2年度上期より「未済・未切換」業務を担当した。有価証券の取引に当たっては,約定代金の受け入れ,預り証の発行又は回収は,必ず定められた期限内に行われなければならないが,これらの進行状況を営業担当者から聞き取り,それを総務管理者に報告するのが,この業務である。 「未済」業務とは,受渡日において顧客からの入金が無いか,入金に不足が存する場合,入金方法等を営業担当者に確認すること,顧客からの入金が銀行振込の場合は,銀行から送られるテレックスもしくは銀行への電話照会に基づいて,当該顧客勘定に計上するための振替入金送信を行うことである。「未切換」業務とは,「精算(成立した取引に係る預り証等の証票や付随して必要な書類を顧客から受け入れ,顧客勘定に残った残金の処理をして,顧客に引渡すべき証票があればそれを作成発行するという一連の作業)」を,受渡日から14営業日以内に完了するよう営業担当者に確認することである。 原告P2は,前記「未済」業務のうちの振替入金送信をアルバイトとともに行っていた。現在,レポート口座(預り証の授受を要しない旨を約した顧客の口座)が増えたことなどから,この業務はかなり減少している。 また別に,「配信」業務も担当した。この業務の内容は,毎営業日各種帳票(約定リスト,管理用リスト,取引報告書等)がセンターのコンピュータから支店に配信されるが,その際,それを受信する支店の「配信プリンター」に帳票セット指示が印字されブザーが鳴るので,指示に基づき白紙の帳票をセットして印字させ,印字が終了したら当該帳票を処理する担当者に渡すという作業である。原告P2は,この作業をアルバイトとともに行っていたが,その後システム化に伴い,配信業務は廃止されてい 紙の帳票をセットして印字させ,印字が終了したら当該帳票を処理する担当者に渡すという作業である。原告P2は,この作業をアルバイトとともに行っていたが,その後システム化に伴い,配信業務は廃止されている。 ⅰ 平成3年12月より「後方精算班」において「入金処理」業務を担当した。この業務の内容は,前記「未済」業務のうちの,振替入金送信を行うことである。 j 平成4年8月より,「総務サポート班」において「証書喪失処理」業務及び「証金ローン」業務等を担当した。 「証書喪失処理」業務とは,顧客が保護預り有価証券の預り証等必要証書を喪失した場合,「証書喪失届」(乙87。以下「喪失届」という。)が提出されるので,その届出印鑑,住所,筆跡,取引記録等を確認の上,受理年月日,氏名,口座番号,扱者,住所,喪失証書の発行年月日及び番号,銘柄,数量等を台帳に記人し,システム端末から喪失届受理の登録を行い,総務課長に台帳を見せて喪失届に検印(なお,一般に,昭和59年当時及びその後の検印者の範囲につき,甲67,72,73。以下,同じ。)を受け,約1か月後の段階でも発見できなかった場合,営業担当者を通じて顧客より念書及び印鑑証明書(甲114,乙88)を提出させて,証書無しの精算又は証書の再発行をシステム端末に入力し,総務課長に完了の検印を受けるという業務である。 喪失届が虚偽である可能性があるときは,総務課長又は課長代理に報告することとなっている。なお,レポート口座契約率の上昇により預り証等の発行が減少し,それに伴い最終的には喪失処理業務も減少した。また,現在,この業務はNBSに委託されており,支店で行うのは,顧客からの受付とコンピュータヘの登録のみとなっている。 「証金ローン」業務とは,証券金融株式会社が実施している有価証券担保融資の取り次ぎ業務であり,店頭受付 Sに委託されており,支店で行うのは,顧客からの受付とコンピュータヘの登録のみとなっている。 「証金ローン」業務とは,証券金融株式会社が実施している有価証券担保融資の取り次ぎ業務であり,店頭受付者が顧客より融資申し込み関係書類を受け入れ,総務課長が顧客と面談した後適正と判断した客について,担当者が,記載事項の確認,極度額の計算,融資・返済に係わる端末操作,担保状況の確認等を行うという業務である。 k 平成5年には,レポート化と喪失処理,相続係のフォローなどを,平成6年には外証,税務照会,みなし課税,申告書,住所不明,プリンターのリスト配布などを行い,平成8年には,残高証明書の発行と相続係のフォローとなり,平成9年からは,CF班で仕事をしている。 なお,名古屋駅前支店では,ミディ社員に対するに対する指示,指導は,総務の女性社員が行っていた。(甲199)l 原告P2は,以上の業務を担当して現在に至っている。 (イ) 原告P5(甲108,113,152,171の(1),乙116,原告P10本人)a 原告P5は,昭和36年3月名古屋大学教育学部付属高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)名古屋支店で入社選考を受けて同年4月会社に採用され,名古屋駅前支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。 b 昭和37年度上期には「受渡」業務の担当であった。この業務は,株式等の売買に伴う精算をすることである。 売買の約定が成立した後,「テレタイプ」担当者が,売買報告書・計算書・本伝票(受渡票と称していた。)・出納票・保管票兼計算書等が複写になった帳票にテレタイプで約定明細を受信し印字し,それらの帳票のうち,計算書が「受渡」担当者に回付される。「受渡」担当者は,①計算書を顧客別に分類する,②当該顧客の未精算の計算書がファイルされていればそれを抜き出し, イプで約定明細を受信し印字し,それらの帳票のうち,計算書が「受渡」担当者に回付される。「受渡」担当者は,①計算書を顧客別に分類する,②当該顧客の未精算の計算書がファイルされていればそれを抜き出し,売買の精算金額の差し引きを計算し,メモ記入する,③このメモ記入した未精算金額が,別途本伝票を顧客別に集計している「得意先」担当者の数字と合致するかどうかを確認する,④数字が合致すれば,計算書は,精算時までファイルに戻す,という業務を行う。 また,顧客が精算のため来店した場合には,店頭受付者から書類が回付されるので,その顧客の計算書をファイルから取り出し,過不足金に係る本伝票を作成し,回収すべき預り証を確認の上,記名捺印を照合し,新たに発行する預り証があれば,作成を担当する「カナタイプ」担当者に書類一式を回付し,顧客に引渡す有価証券があれば「保管」担当者に回付するという業務も行っていた。 現在では,未精算の明細は,約定データから自動的にオンラインシステムに反映するようになっており,大幅に作業が合理化されている。 c 昭和37年度下期より「得意先」業務の担当となった。これは原告P2のところで述べたもの((ア)b))と同様である。 d 昭和39年度上期には「継続投資」業務の担当となった。「継続投資」とは,「自動けいぞく投資」の略で,公社債投資信託・株式投資信託もしくは割引債券を購入し,その分配金もしくは償還差益を自動的に再投資し,元本に組み入れる仕組みの商品の総称である。 業務のうち,入金の処理は,以下のとおりである。 集金人(現在のミディ社員)が,顧客から集金した現金,作成した各種証票,新規先から受入れた「自動けいぞく投資申込書」を,「集金事務」担当者(「証貯事務」担当者とも呼ばれていた。)が内容をチェックし,現金出納担当者,検印者,「継続投 から集金した現金,作成した各種証票,新規先から受入れた「自動けいぞく投資申込書」を,「集金事務」担当者(「証貯事務」担当者とも呼ばれていた。)が内容をチェックし,現金出納担当者,検印者,「継続投資」担当者に仕訳して回付する。 「継続投資」担当者は,新規顧客については,①継続投資コースの口座番号を付与し,申込書に必要事項を補足記入する,②「積立金通帳」を用意し,扱店・口座番号・顧客名等を記入し,収入印紙を貼付し,支店名・入金年月日・入金額・領収印を押印する,③「積立金通帳発行記入帳」に発行年月日・通帳番号・顧客名・扱者・口座番号を記入する,④通帳を検印者に回付する,という作業を行い,次に,新規顧客・既得意顧客の当日分の積立金入金票をまとめ,「自動けいぞく投資積立金合計票(送付書)」に,コースごとにコース記号・購入回号・起算日・件数・合計金額支部店コード・支店名等を記人し,積立金入金票・申込書(副)・住所連絡票等とともに社内便で本社継続投資部宛に送付し(継続投資部は受入れた積立金入金票により買付の約定処理を行う。),最後に,新規顧客の「申込書(正)」をコース別に50音順にファイルするという業務を行う。 また,解約の処理は,以下のとおりである。 顧客より受け入れた「返還請求書」と積立金通帳が「継続投資」担当者に回付されるので,「継続投資」担当者は,①顧客宛に通帳を預かる旨記した「受付票」を作成し,検印者に回付する,②ファイルしてある申込書と返還請求書の捺印を照合し,残高を本社から毎月送られてくる帳票で確認する,③「テレタイプ」担当者に返還請求書を回付する(「テレタイプ」担当者は,返還請求書に基づき解約注文の送信をする。),④翌営業日以降支店に配信される「売付報告書」を,内容確認の上顧客宛発送する,⑤2枚目以降の計算書・出金伝票・受領証を を回付する(「テレタイプ」担当者は,返還請求書に基づき解約注文の送信をする。),④翌営業日以降支店に配信される「売付報告書」を,内容確認の上顧客宛発送する,⑤2枚目以降の計算書・出金伝票・受領証を,返還請求書及び受付票控とともに,精算時まで留め置く,⑥精算のため顧客が来店した場合は,店頭受付者を通じて受付票と売付報告書を回収し,受領証の記名捺印を照合する,⑦回収物件,出金伝票,計算書,積立金通帳を,検印者に回付する,⑧返還請求書は,製本し保存する,という業務を行う。 現在は,これらの業務はすべて合理化され,システム化又はNBSに業務委託され,「継続投資」担当者は存在しない。 e 昭和39年度下期には「残高照合」業務の担当となった。これは,有価証券本券の入出庫を顧客別に記入した「保護預り有価証券明細簿」の,適宜抽出された顧客の分をコピーし,回答書を同封して顧客宛に発送する業務であり,その後の顧客の問い合わせ,苦情についても対応していた。 現在は,最低でも年1回預り残高の存する全顧客について,「残高照合書」がセンターのコンピュータによって自動的に作成され発送されるので,支店にはこの業務は存在しない。 f その後,昭和40年度下期に「代理事務」業務の担当となった。この業務は,原告P2のところで述べたもの((ア)c)と基本的に同様であるが,有価証券の本社集中保管は昭和42年秋から順次実施されたため,それ以前は,支店保管分の支払期日の到来した債券もしくは投資信託の利子・収益分配金の支払い伝票は,支店の「保管」担当者が作成し,本券から切り取った利札とともに「代理事務」担当者に回付しており,原告P5はこの業務も行っていた点が異なる。 g 昭和40年代後半から昭和51年度下期にかけて「整理事務」業務の担当となった。「整理事務」業務は,前営業日に約定 もに「代理事務」担当者に回付しており,原告P5はこの業務も行っていた点が異なる。 g 昭和40年代後半から昭和51年度下期にかけて「整理事務」業務の担当となった。「整理事務」業務は,前営業日に約定が成立した売買・募集についての顧客宛郵送用の「取引報告書」が午前中に支店に配信されるので,これを用紙に受信し,売買もしくは募集伝票と,氏名・口座番号・銘柄・数量・売り買いの別を照合した上で,(もし指示があれば講演会の案内・新商品紹介・新制度の解説等とともに)封筒に封入し,照合後の売買もしくは募集伝票は,定められた順に並べ替え,製本し,保管するというものである。 現在,伝票との照合,取引報告書の発送は,NBSに事務委託されており,支店ではごく少数の例外が残っている程度である。 h 昭和52年度上期から「非課税」業務の担当となった。これは原告P2のところで述べたもの((ア)d)と同様である。 なお,原告P5は,昭和58年に店内主任待遇となった。また,昭和62年4月から平成元年6月まで「証書喪失処理」業務を,一部担当した。同業務も,原告P2のところで述べたもの((ア)j)と同様である。 ⅰ 平成元年度上期より「郵送精算」業務の担当となった。これは,顧客から受入れた書類と預り証等の証票類をチェックし,顧客宛に発行する物件を作成する業務であり,具体的には,取引に伴い発生する顧客から受け入れが必要な書類(申込書・約諾書・税金関係の申告書等)・預り証等の証票等が,オンラインシステムに約定日の翌営業日に反映されるので,必要な書類・証票等が全て受け入れられたかどうかを確認し,押印してある印鑑を届出印鑑と照合し,残金があれば,銀行送金で返却するか繰越預り金にするかの指示を担当営業社員から受け,発行物件を作成し顧客に引渡すというものである。これら一連の作業を「精 を確認し,押印してある印鑑を届出印鑑と照合し,残金があれば,銀行送金で返却するか繰越預り金にするかの指示を担当営業社員から受け,発行物件を作成し顧客に引渡すというものである。これら一連の作業を「精算」といい,引渡を郵送によって行うことを「郵送精算」という。 「郵送精算」担当者は,受入書類を「口座」担当者に回付し,また,回収票を添付した預り証,本伝票は,検印者に回付し,発行物件は,送付書を添付して,同じく検印者に回付する。なお,発行物件引渡しの郵送作業は,順次NBSに移管され,支店での作業量は大きく減少している。 原告P5は,別に,レポート顧客(預り証の授受を要しない旨契約した顧客)の「郵送精算」も担当していた。 現在,レポート顧客を含む「郵送精算」業務もNBSに委託され,支店の作業量は大幅に減少している。 j 平成3年12月からは,「後方精算班」において,前記「郵送精算」業務の担当となった。 k 平成4年3月より「合鑑精算班」において「現金出納」業務の担当となった。 これは,来店された顧客が返金を求めた場合,合鑑精算担当者が作成し検印を受けた本伝票の出金額に従って現金を用意し,テラーズマシンという現金出納機に出金の記録をし,その後,本伝票とともに回付されてきた計算書・証票と用意した現金とを引渡担当者に回付する業務である。来店した顧客から入金がある場合は,入金額の明細が記入してある「入金票」と本伝票が検印を受けてから回付されてくるので,顧客名・金額に相違がないかどうかを確認し,テラーズマシンに入金を記録し,釣り銭が必要であればその用意をし,その後,計算書・証票等を引渡担当者に回付する。 その他に,開店前に現金残高を数え直すこと,テラーズマシンに現金をセットすること,開店後現金残高を数えオンラインシステム上の現金残高データと照合するこ 後,計算書・証票等を引渡担当者に回付する。 その他に,開店前に現金残高を数え直すこと,テラーズマシンに現金をセットすること,開店後現金残高を数えオンラインシステム上の現金残高データと照合すること,現金分の本伝票・受領証の連番チェック(その日作成された本伝票,受け入れた受領証を集め,1番から欠番なく最終作成分までそろっていることを確認すること。),本伝票を集計のためNBSに送ることも行っている。 また,顧客への銀行送金で,支店から銀行に直接振込の指示を行うケースが1日に数件発生するが,その際,本伝票に従って送金小切手をチェックライターで作成し,振込依頼票を記入し,検印者に回付することも行っている。最近では,ATMの利用件数が多く,現金そのものの出納業務の割合は減少しつつある。 原告P5は,平成10年6月二種外務員資格試験に合格した。 l 現在は,「相続業務」を担当している。その内容は,後記の原告P9のところで述べるもの((ウ)1)と同一である。 m 原告P5は,以上の業務を経て現在に至っている。 (ウ)原告P9(甲107ないし112,117ないし123,151,170,174,乙81,82,116,152,証人P18,原告P10本人)a 原告P9は,昭和36年3月明和高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)名古屋支店で入社選考を受けて同年4月会社に採用され,名古屋駅前支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。 b 入社当時は,「テレタイプ」の業務に従事していたが(その内容は,後記の原告P7のところで述べるもの((ク)b)と同様である。なお,会社において,「テレタイプ」の業務に男性社員が従事したことはなかった。),昭和37年度上期には「個人別」業務の担当となった。この業務は,顧客との有価証券本券の預り・返却又は売買に伴い作成される ,会社において,「テレタイプ」の業務に男性社員が従事したことはなかった。),昭和37年度上期には「個人別」業務の担当となった。この業務は,顧客との有価証券本券の預り・返却又は売買に伴い作成される「出納票」,「保管票」,「出入券票」に基づいて,個人別に本券の入出庫を記人することで,「保護預り有価証券明細簿」を作成するというものであり,この明細簿の記載内容は,預り年月日,銘柄,数量,名義人,預り証番号,引出年月日,引出事由等である。 この業務は,その後,入出庫記録が自動的にオンラインシステムで把握され,明細簿が,センターのコンピュータからマイクロフィルムの形で出力される顧客勘定元帳の一部として作成されるようになったことから,廃止された。 c 昭和38年度上期に「現金出納」業務の担当となった。これは,原告P5のところで述べたもの((イ)k)と基本的に同様であるが,当時は入出金ごとにカナタイプで「現金出納帳」に記入しており,閉店後の現金残高はこの「現金出納帳」上の残高と照合をしていたし,さらに別途本伝票から「計算」担当者が作成した「合計表」とも照合し,また,本伝票は「合計表」や「日計表」作成のため計算担当者に回付していたので,これらの業務も行っていた点が異なる。 この「合計表」による照合は,昭和40年代後半からは原告P5のところで述べたとおり((イ)k),オンラインシステム上の現金残高データと照合するようになった。 d 昭和39年度下期より「代理事務」業務の担当となった。これは,原告P2のところで述べたもの((ア)c)と基本的に同様であるが,当時は有価証券本券の本社集中保管が実施される前であり,募集による方法で顧客が買付けた証券を除いて全て支店で保管されていたため,支店保管分の支払期日の到来した債券・投資信託の利子・収益分配金の支払い伝票 有価証券本券の本社集中保管が実施される前であり,募集による方法で顧客が買付けた証券を除いて全て支店で保管されていたため,支店保管分の支払期日の到来した債券・投資信託の利子・収益分配金の支払い伝票は,支店の「保管」担当者が作成し,「代理事務」担当者に回付していたし,また,OCRカードを本社に送付する必要もなかったから,原告P9がこれらについての業務をしていない点で異なる。 e 昭和40年度下期より「保管」業務の担当となった。当時,有価証券本券は,前記dのとおり,ほとんどが支店で保管されていたが,「保管業務」とは,この本券について,顧客及び本社・大阪支店・名古屋支店の受渡担当部との出納,銘柄別の入出庫明細の記録,及び定期的な保管有価証券の現物照合を行うものである。また,債券・投資信託の利払い時には,利札を切り取り,支払伝票を作成の上,代理事務担当者に回付する等の業務も行った。具体的には,①買付後本社・大阪支店・名古屋支店の受渡担当部から支店に送付される有価証券と「受渡有価証券記番号帳(兼送付書)」とを,事前に作成されている「出納票」と照合した上で受け入れて,支店内の金庫に保管する,②顧客が本券の返却を求めた場合,受付者が顧客から記名捺印された預り証を受け入れて印鑑を照合し,「保管」担当者に回付し,「保管」担当者は,金庫から該当の本券を確認の上出庫し,予め作成されファイルされている「保管票」等を抽出し,本券・書類をセットにして検印者に回付する,③顧客が本券を持参し,売却もしくは保護預りを求めた場合,受付者が本券を確認し,「仮入券票」を作成して「保管」担当者に回付し,「保管」担当者は,再度本券を確認し,預り証作成を担当するカナタイプ担当者に回付し,売却が成立した場合は,該当の本券を,本社・大阪支店・名古屋支店の受渡担当部に送付するという業務 」担当者に回付し,「保管」担当者は,再度本券を確認し,預り証作成を担当するカナタイプ担当者に回付し,売却が成立した場合は,該当の本券を,本社・大阪支店・名古屋支店の受渡担当部に送付するという業務である。これらの作業の結果,支店金庫内の本券には毎日移動が生じるが,各種帳票に基づいて記入した銘柄別の預り残高と金庫内の証券の残高を,最低年2回,他からの応援も得て,突き合わせを行った。 また,決算月間近になった銘柄の保有者の中で,名義書換を行っていない顧客に対して,書き換えの案内を送付し,「名義書換請求書」を受け入れ,請求書と株券を代行会社に持ち込む準備を行い,書き換えが完了し,代行会社から本券を受け入れた後の作業も行っていた。 「保管」担当者の業務量は,本券の本社集中保管が昭和42年秋から順次実施されたことにより,大幅に減少した。名義書換の作業も,平成3年10月から平成4年10月にかけて段階的に株券保管振替による決済制度が実施されたことや,NBSへの業務の一部委託により,著しく減少している。 f 昭和43年度上期には「カード」業務の担当者であった。「カード」業務とは,顧客毎に用意されたカードに,住所・氏名・売買した銘柄・数量・単価等の取引記録を,売買・募集伝票から記入することである。 なお,その後,作成したカードを利用することが漸減したことから,カード作成業務は廃止された。 g 昭和45年度下期から「非課税」業務の担当となった。これは原告P2のところで述べたもの((ア)d)と同様である。 h 昭和40年代後半は「整理事務」業務の担当となった。その内容は,原告P5のところで述べたもの((イ)g)と同様である。 ⅰ 昭和51年度上期から再び「非課税」業務の担当となった。 原告P9は,昭和55年店内主任待遇となり,昭和62年一般職主任となった。 容は,原告P5のところで述べたもの((イ)g)と同様である。 ⅰ 昭和51年度上期から再び「非課税」業務の担当となった。 原告P9は,昭和55年店内主任待遇となり,昭和62年一般職主任となった。 j 昭和60年度下期から「店頭引渡」業務の担当となった。来店した顧客の精算を「合鑑精算」担当者が行い,検印後,出金・釣り銭があるものは現金出納担当者を経由して,精算物件が「店頭引渡」担当者に回付されるが,「店頭引渡」業務とは,「店頭引渡」担当者が,現金・計算書・証票等の精算物件を再度確認し,店頭の引渡カウンターで当該物件を引渡すというものであり,開店後は,本伝票の一部である「振替伝票」(例えば,顧客と銀行を介した資金のやりとりをする等の際に作成する本伝票)の連番チェックも担当した。なお,揃えた振替伝票は,集計のためNBSに社内便で送付していた。 また,顧客より預り証の提示を受け利金を支払う「店頭利払い」業務も担当していた。 k 平成元年度上期から「回答書」業務と「売買損益・証明書作成」業務の担当となった。 「回答書」業務とは,レポート顧客に対しては,定期的に売買の一覧と作成日現在の保護預り有価証券残高を記載したレポートが本社から顧客宛に郵送されるが,その際支店は,顧客から,回答書に記名捺印してもらった上,定められた期限までに受入れなくてはならないため,「回答書」担当者が,受け入れた回答書の記名捺印の照合をすること,発送リストに「受入済み」の表示をして消し込むこと,期限前に回答書未入顧客のリストを営業担当者や総務管理者に配布すること,回答書を返送依頼のレター・印影のコピー・返信用封筒とともに顧客あて再送すること,受け入れた回答書を受入日順に製本すること等の業務を担当するというものであり,原告P9は,これをアルバイトとともに行っていた。 こ 頼のレター・印影のコピー・返信用封筒とともに顧客あて再送すること,受け入れた回答書を受入日順に製本すること等の業務を担当するというものであり,原告P9は,これをアルバイトとともに行っていた。 この業務は段階的にNBSに移管され,現在は,記名捺印の照合,製本,リスト消し込みに代わる受入登録送信はNBSが行い,未入顧客リストはシステム端末で照会できるようになり,支店における業務は受け入れの督促と回答書再送のみが残っている。なお,回答書省略契約が認可され,回答書を受入れなくてはならない顧客は大幅に減少している。 「売買損益・証明書作成」業務は,顧客からの依頼,営業担当者らからの連絡を受けて,「売買損益計算書」,買付・売付の「約定証明書」,「残高証明書」等を作成することである。顧客からの依頼であれば,「諸書類交付申請書」を顧客に記入・捺印してもらった上受け入れて印鑑照合をした上,これらの書類を作成する。 ①売買損益計算書は,依頼された対象期間の顧客勘定元帳をマイクロフィルムからコピーし,この元帳から売買・募集・証拠金取引の決済損益のみを抽出しながら,売買取引計算書を作成し(作成する内容は,銘柄コード・銘柄名・現物取引か信用取引かの別・数量・単価・精算金額である。),売却・決済については,対応する買付を見つけて記入し,差し引きを計算して,益か損かその金額を記入し,最後に,損益の合計を記入して,作成する。②買付・売付の「約定証明書」とは,約定成立時に郵送した取引報告書とほぼ同内容のもので,主に税務署提出用に顧客から依頼されるが,依頼があると,当該約定内容を前記元帳から探し,その明細に基づいて証明書を作成する。③残高証明書は,相続開始日等過去に遡って残高を調べるもの等,顧客からの依頼によって様々な内容となるが,依頼に応じた残高証明書を作成する。 を前記元帳から探し,その明細に基づいて証明書を作成する。③残高証明書は,相続開始日等過去に遡って残高を調べるもの等,顧客からの依頼によって様々な内容となるが,依頼に応じた残高証明書を作成する。 いずれの場合も,所定の様式に従って作成した書面とその材料となる前記元帳等の資料を総務管理者へ回付し,検印後コピーを取り支店の控えとして保存し,顧客宛交付するものであれば,送付書を作成し郵送する。 現在,「売買取引計算書」,「残高証明書」の作成については,NBSへの業務委託により支店で作成する件数は減少している。 原告P9は,平成元年7月一般外務員資格試験に合格した。 l 平成3年12月から「管理班」において主に「相続事務」業務を担当した。 「相続事務」業務の内容は,以下のとおりである。 まず営業担当者からの連絡ないしは顧客の遺族の申し出などに基づき,相続開始受付の登録をコンピュータのオンラインに入力することによって,売買・精算・証券引出を停止する。顧客の遺族の手続申し出が遺産分割決定の前か後か,顧客の契約内容,預り有価証券の中身等によって,遺族から受け入れる書類が決められており,必要な書類の有無をチェックし,それらが全部揃ったら(不備があれば連絡する。),総務課長に回付する。検印終了後,相続人の口座に有価証券を移管する送信をし(希望により証券類を返還する場合もある。),被相続人の口座を閉鎖する送信を行い,相続人に相続手続の完了を知らせる「お預り明細のお知らせ」を郵送する。その際,端株のみの預りの処理,非課税制度の利用などについても説明することもあった。証書類は,永久保存と定められているのでファイルする。 担当者には,「相続形態別必要書類一覧表」などのマニュアルが交付されているが,原告P9は,業務に必要な知識を身に付けるべく自らも努力していた。 。証書類は,永久保存と定められているのでファイルする。 担当者には,「相続形態別必要書類一覧表」などのマニュアルが交付されているが,原告P9は,業務に必要な知識を身に付けるべく自らも努力していた。 かつてこの「相続事務」は,課長又は課長代理が担当していた時期もあった。 なお,平成4年3月からは,「総務サポート班」において「相続事務」業務を担当したが,現在この業務についても受付業務を除くすべての業務がNBSに委託されており,支店では,主に相続人等の来店時の対応を行う程度である。 m 平成6年2月より「るいとう」(後記の原告P13のところで述べる。(ス)c)の業務の一部(株券引き取りか保護預りかを顧客に確認して処理する業務)を担当し,また,税務調査の業務も担当した。 n 原告P9は以上のような業務の変遷を経て,現在に至っている。 (エ) 原告P11(甲115,乙116,原告P10本人)a 原告P11は,昭和37年3月松蔭高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)名古屋支店で入社選考を受けて同年4月会社に採用され,名古屋駅前支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。 b 入社当時は「得意先」業務の担当であり,これは原告P2のところで述べたもの((ア)b)と同様である。 c 昭和37年度下期に「受渡」業務の担当となった。これは原告P5のところで述べたもの((イ)b)と同様である。 d 昭和39年度下期から「得意先」業務の担当に戻った。 e 昭和46年度ころは,「預り証の回収」業務と「報告書の発送」業務を担当していた。 f 昭和40年代後半からは「利払い」業務の担当となった。この業務は,原告P2のところで述べた「代理事務」業務((ア)c)の一部であり,利金受け取りのために来店した顧客を主に担当するもので,①顧客が利札を持参した場合は,利札と記名 」業務の担当となった。この業務は,原告P2のところで述べた「代理事務」業務((ア)c)の一部であり,利金受け取りのために来店した顧客を主に担当するもので,①顧客が利札を持参した場合は,利札と記名捺印された「利金・収益金支払い請求書」を受入れ,事故照会を行い,銘柄・回号・数量に基づいて支払金額を計算した上,利札の裏面に支払済み印を押印し,支払請求書とともに検印者に回付し,検印後,利金計算害と利金を顧客に引渡し,利札は本社に送付する,②顧客が預り証を持参した場合は,預り証を受け入れ,利払い伝票と照合し,受領証に記名捺印したもらった上受け入れ,預り証の裏面に支払済み印を押印し,検印者に回付し,検印後,利金,利金計算書及び預り証を顧客に引渡す,というものである。 g 昭和54年度上期から「コード」業務の担当となった。これは原告P2のところで述べたもの((ア)f)と同様である。 昭和55年度下期から「口座」業務の担当となったが,これも原告P2のところで述べたもの((ア))g)と同様である。 原告P11は,昭和55年に店内主任待遇となった。 h 昭和59年度上期から「未済・未切換」業務の担当となった。これは原告P2のところで述べたもの((ア)h)と同様である。 また,原告P2のところで述べた「配信」業務((ア)h)をアルバイトとともに担当していた。 ⅰ 平成2年度上期に「法人受渡」業務の担当となり,支店の法人顧客についての精算を担当した。業務の内容は,以下のとおりである。 営業担当者・社外受渡担当の庶務社員が客先に出向いて精算・受渡を行う「社外精算」の場合,まず営業担当者が「社外受渡連絡票」に受入明細・持参明細を記入し,上司の検印後,「法人受渡」担当者に回付するが,「法人受渡」担当者は,①受入・持参の明細とオンラインシステム上の未精算明細とを 場合,まず営業担当者が「社外受渡連絡票」に受入明細・持参明細を記入し,上司の検印後,「法人受渡」担当者に回付するが,「法人受渡」担当者は,①受入・持参の明細とオンラインシステム上の未精算明細とを照合して記入漏れがないかどうかを確認し,もし漏れがあれば追記する,②次に所定の手続きに従って計算書・発行証票・本伝票等を作成し,受入必要書類を用意する,③扱印を押印し,これらをまとめて検印者に回付する。 「郵送精算」の場合は,原告P5が平成元年以降行っていた業務((イ)ⅰ)と同様である。 平成3年12月からは「後方精算班」において,この「法人受渡」業務を担当していた。 j 平成4年3月から「合鑑精算班」の「店頭引渡」業務の担当となった。これは原告P9のところで述べたもの((ウ)j)と同様である。 k 平成4年11月から「後方精算班」の「法人受渡」業務の担当に戻った。 l 平成5年10月ころから「総務サポート班」で「証明書作成」業務,「住所不明口座の追求」業務,「担保ローン」業務(原告P2のところで述べた証金ローン((ア)j)と同内容の業務である。)の担当となった。「証明書作成」業務は,原告P9のところで述べた「売買損益・証明書作成」業務((ウ)k)のうちの「証明書作成」業務と同様である。 「住所不明口座の追求」業務とは,顧客へ送付した郵便物が住所不明等で返戻された場合,営業担当者に確認する等原因を追求し,新住所が判明すれば,顧客へ住所変更届を郵送し受け入れることである。この業務についても,現在そのほとんどはNBSに委託されている。 原告P11は,平成6年6月一般職主任となった。また,平成10年5月二種外務員資格試験に合格した。 m 以上のような経過をたどって,原告P11は現在に至っている。 (オ) 原告P10(甲66,103ないし105,1 成6年6月一般職主任となった。また,平成10年5月二種外務員資格試験に合格した。 m 以上のような経過をたどって,原告P11は現在に至っている。 (オ) 原告P10(甲66,103ないし105,115,158,177,乙91,116,原告P3本人(第1回),原告P10本人)a 原告P10は,昭和39年3月,四日市商業高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)名古屋支店で入社選考を受けて同年4月会社に採用され,名古屋駅前支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。 b 入社後「残高照合」業務の担当になったが,まもなく「カナタイプ」業務の担当となった。これは顧客に発行する預り証をカナタイプで作成する業務であり,併せて「預り証発行記入帳」に記録を行っていた。 現在ではシステム端末に入力すれば,自動的に預り証その他の証票が作成され,タイプ作成することはなく,また預り証発行記入帳も,顧客勘定元帳の一部としてセンターのコンピューターで作成されるようになり,記録の必要はない。 c 昭和43年度上期には「得意先」業務の担当となった。これは原告P2のところで述べたもの((ア)b)と同様である。 d 昭和46年度上期から「代理事務」業務の担当となった。これも原告P2のところで述べたもの((ア)c)と同様である。昭和47年には「財形事務」業務の担当となった。その内容は,後記の原告P8のところで述べるもの((カ)f)と同様である。 e 昭和51年度下期から「整理事務」業務の担当となった。これは原告P5のところで述べたもの((イ)g)と同様である。 f 昭和54年度下期から「非課税」業務も一部担当するようになり,昭和58年度下期からは「非課税」業務のみを担当した。その内容は原告P2のところで述べたもの((ア)d)と同様である。 原告P10は,昭和57年店内主任待 ら「非課税」業務も一部担当するようになり,昭和58年度下期からは「非課税」業務のみを担当した。その内容は原告P2のところで述べたもの((ア)d)と同様である。 原告P10は,昭和57年店内主任待遇となった。 g 昭和60年度下期から「受渡」業務の担当となり,主に「社外精算」・「郵送精算」を担当していた。その内容は,原告P11のところで述べたもの((エ)ⅰ)と同様であるが,対象顧客は法人に限らず,個人も担当していた。 h 昭和62年度上期から「継投約定」業務の担当となった。これは「継続投資コース約定送信」業務の略で,原告P5のところで述べた「継続投資」業務((イ)d)と本質的には同様であるが,オンラインシステムが整備され自動化が進展したため,業務は大幅に簡素化されていた。 例えば買付の場合,営業担当者は,買付約定の注文伝票を作成し,買付代金の入金経路(預り金充当,銀行振込,他商品売却等)を記入し,「継投約定」担当者に回付し,その際営業担当者は,当該コースの買付が初めてであれば,コースを開設するための「口座開設連絡票」も併せて作成し添付するが,「継投約定」担当者は,①顧客属性を確認し,コースを開設する,②注文伝票は入力確認の扱印を押印し,複写となっている注文伝票をはがし,営業担当者用・精算担当者用・製本保存用とに仕訳し,それぞれの担当者に回付する,というものであった。 売付の場合は,営業担当者が注文伝票を作成し,売却代金の受取方法(現金,銀行送金,他商品買付等)を記入し,「継投約定」担当者に回付するが,「継投約定」担当者は,①売却すべき証券の残高があるかどうかをシステム端末で確認し,残高があれば,売却の約定内容を受取り方法に従って端末に入力する,②注文伝票は買付時と同様の処理をし,受渡日に改めて精算が必要なものは手元に一時保留する,とい があるかどうかをシステム端末で確認し,残高があれば,売却の約定内容を受取り方法に従って端末に入力する,②注文伝票は買付時と同様の処理をし,受渡日に改めて精算が必要なものは手元に一時保留する,というものであった。 また,約定確認リストが配信されるので,「継投約定」担当者が自ら明細を確認することも行っていたし,売買に伴い,約定日の翌営業日に取引報告書が配信されるので,注文伝票を「報告書発送」担当者に回付して確認を受けることも行っていた。 現在では,報告書の照合・発送業務はほとんど全てNBSが行っており,支店には同業務は存在しない。また,約定内容のシステム端末への入力も,そのほとんどを営業担当者が行っており,「継投約定」担当者が行うのは,一部の商品のみとなっている。 ⅰ 平成元年度上期から「非課税」業務の担当となった。これは原告P2のところで述べたもの((ア)d)と同様である。 また,「証書喪失処理」業務も一部担当した。これは原告P2のところで述べたもの((ア)j)と同様である。 原告P10は,平成元年7月一般外務員資格試験に合格した。 j 平成3年12月から「約定班」において「継投約定」業務に戻った。 原告P10は,平成4年6月に一般職主任となった。 k 平成4年8月「法人受渡」業務の担当となった。その後,平成4年11月「合鑑精算班」の「店頭引渡」業務の担当となった。その内容は,原告P9のところで述べたもの((ウ)j)と同様である。 l 平成5年5月「合鑑精算班」の「保管」業務の担当となった。これは,原告P9のところで述べたもの((ウ)e)と同様であるが,証券を集中保管したこと,オンラインシステムが整備されたことによって簡素化が進んでおり,以下のような内容になっていた。 ① 本券を顧客に返却する場合は,営業担当者が「本券取寄依頼票」を起 様であるが,証券を集中保管したこと,オンラインシステムが整備されたことによって簡素化が進んでおり,以下のような内容になっていた。 ① 本券を顧客に返却する場合は,営業担当者が「本券取寄依頼票」を起票し,総務管理者に回付するので,「保管」担当者は,総務検印を押印後,当日分をNBSに社内便で送付する。NBSは同依頼票に基づいて本券を本杜から支店に取り奇せる送信を行い,通常4営業日目までに社内便でNBSから本券が送付されてくるので,「保管」業務担当者は,本券の名義・銘柄・数量を照合し(合併に伴う株式比率,単位株となっているかなども確認する。),検印を受け,顧客に返却するまで支店内の金庫に保管しておく。 返却時には,顧客から預り証等を受入れて印鑑照合をし,証券返却の送信をシステム端末に入力すると出券票が自動的に作成されるので,返却する本券と預り証等とともに検印者に回付する。なお,現在は,ほとんどの返却が郵送で行われており,支店での返却件数は大幅に減少している。 ② 顧客から本券を受け入れる場合は,受付者が仮入券票を作成し,本券とともに「保管」担当者に回付する。「保管」担当者は,再度銘柄・数量を確認し,事故照会をシステム端末に入力した後,証券預りの入力を行い,これにより入券票と預り証等が自動的に作成されるので,本券・入券票・預り証等を,扱印を押印後,検印者に回付する。検印後,入券票・本券が回付されてくるので,本券は本社に送付するまで支店内の金庫に保管し,翌営業日,本社から「集中預け証券送付書」・「直送リスト」が配信されるので,そのリストにあわせて社内便を作成し,検印を受け,本券を本社に送付する。 名義書換の作業については,平成3年10月から平成4年10月にかけて段階的に株券保管振替による決済制度が実施され,その後同制度が定着したことにより,著 作成し,検印を受け,本券を本社に送付する。 名義書換の作業については,平成3年10月から平成4年10月にかけて段階的に株券保管振替による決済制度が実施され,その後同制度が定着したことにより,著しく減少している。 また,有価証券は,原則的に,顧客に返却する予定のもの以外は支店に置かないこととなっており,保管有価証券の残高照合の事務も著しく減少している。 また,原告P10は,「代理事務」業務の担当者が行っていた業務も担当していた。これは,利払いを店頭で受取る顧客が減少したこと,ATMが設置され手作業での利払い処理件数が減少したことにより,「保管」業務と「代理事務」業務を同時に行うことができるようになったことによる。 m 平成6年から「総務サポート班」において,「保管」,「代理事務」を担当した。 平成8年から,「総務フロント班」において,「保管」,「代理事務」,「店頭精算」,「合鑑精算」,「未済,未切換」,「振込入金」,「社外受渡作成」等を担当している。 n 平成8年6月19日,顧客から日本興業銀行の古い株券(昭和14年発行。甲104)を売却したい旨の申し出があり,当時保管係であった原告P10は,「全国流通適格株券参考要覧」(甲115)で調査した。この株券は,同要覧上は流通不適格とはされていなかったものの,課内で開かれた事務管理確認会で偽造株券発行の件が報告されていたこともあって,原告P10が日本興業銀行の代行事務を担当する中央信託銀行に問い合わせたところ,現在では売却できない無効株券であることが判明したことがあった。(乙91は,問い合わせは,総務課長の指示によるものであったとするが,前掲証拠に照らし,採用できない。)o 以上の経過をたどって,原告P10は現在に至っている。 (カ) 原告P8(甲157,176,乙117)a 原告P ,総務課長の指示によるものであったとするが,前掲証拠に照らし,採用できない。)o 以上の経過をたどって,原告P10は現在に至っている。 (カ) 原告P8(甲157,176,乙117)a 原告P8は,昭和38年3月小倉西高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)小倉支店で入社選考を受けて同年4月会社に採用され,同支店に配属され,以後今日まで同支店に勤務している(昭和41年1月1日,小倉支店は北九州支店に名称を変更した。)b 配属当初は,株式配当金取立てや株式の名義書換の代行に関する事務をしていた。 c 昭和39年度上期には「保管」業務(原告P9のところで述べたもの((ウ)e)と同様である。)の一部を担当していた。 d 昭和40年度上期より「電話交換」業務の担当となり,社外からかかってくる電話の交換手を務めていた。 e 昭和43年度上期には「営業補助」業務の担当となった。これは,支店営業課男性社員の指示の下,資料作成・電話の取り次ぎ・売買伝票の発注送信の補助などの業務を行うものであった。 昭和43年度下期には店頭のカウンターで「店頭補助」業務の担当となった。これは,精算のため来店した顧客の受付をする業務である。昭和44年度下期は「保管」業務に一旦戻るが,昭和45年度上期には「営業補助」業務を再度担当するようになった。 f 昭和40年代後半は「財形事務」業務の担当であった。 「財形」とは,勤労者財産形成促進法に基づく「財産形成貯蓄制度」のことであり,その仕組みは,会社と覚書を交わした企業もしくは官公庁が,従業員の給与から予め契約した一定額を毎月控除し,一括して会社に送金し,会社は,その資金で,予め当該従業員と結んだ契約に従って公社債投資信託を当該従業員の口座で買い付けるというものである。 その業務の内容は,①申込書など必要書類を確認し, 除し,一括して会社に送金し,会社は,その資金で,予め当該従業員と結んだ契約に従って公社債投資信託を当該従業員の口座で買い付けるというものである。 その業務の内容は,①申込書など必要書類を確認し,ファイルすること,②口座開設を本社に依頼すること,③毎月,企業に払込の案内を送付し,入金を確認すること,④入金額を配信リストと照合後,買付の処理を本社に依頼すること,⑤解約希望者から返還請求書を受入れ,印鑑を照合し,返還請求書の記載事項に基づいてシステム端末に入力すること,⑥諸変更届を受け入れ,印鑑を照合の上,本社に変更登録の依頼をすること,⑦買付報告書・売付報告書・残高報告書・残高明細簿を本社から受け入れ,企業に送付すること,⑧その他の本社から送付される帳票をファイルすること,などであった。 現在,財形に係る全業務はNBSに移管されている。 g 昭和50年度下期には「保管」業務の担当であった。これは原告P9のところで述べたもの((ウ)e)と基本的には同様であるが,既に「本券の本社集中保管」が実施されており,以下のように業務を行っていた。 まず本券を顧客に返却する場合は,「保管」業務担当者は,①本券を本社から支店に取り奇せる旨,OMR(オンライン・マーク・リーダーというマークシートカードを読みとる機械)を使って送信する,②該当する証券の保管票をファイルから取り出し,手元に置いておく,③後日社内便で送付されてくる本券の名義・銘柄・数量を確認し,検印を受け,顧客に返却するまで支店の金庫に保管しておく,④返却時には,顧客から預り証などを受入れて印鑑を照合し,保管票と本券を取り出す,⑤OMRを使って,証券を返却する旨の送信をシステム端末に入力する,⑥返却する本券・預り証・保管票を検印者に回付する,⑦検印者から回付される保管票を製本し,保存する,な し,保管票と本券を取り出す,⑤OMRを使って,証券を返却する旨の送信をシステム端末に入力する,⑥返却する本券・預り証・保管票を検印者に回付する,⑦検印者から回付される保管票を製本し,保存する,などを行っていた。 次に顧客から本券を受け入れる場合は,受付者が仮入券票を作成し,本券とともに「保管」担当者に回付するので,「保管」担当者は,①再度銘柄・数量を確認する,②本社から配られるリストと照合し,事故証券でないことを確認する,③カナタイプで預り証を作成する(入券票・保管票・添付票も,その際複写で作成される。),④OMRかテレタイプを使って,証券を預る旨の連絡を入力する,⑤入券票・その他の伝票・預り証・本券を扱印を押印後,検印者に回付する,⑥検印後・入券票などとともに本券が回付されてくるので,本券は本社に送付するまで支店内の金庫に保管する,⑦翌営業日,本社から「集中預け証券送付書」,「直送リスト」が配信されるので,そのリストにあわせて社内便を作成し,検印を受け本券を本社に送付する,⑧入券票を製本し,保管票をファイルする,などを行っていた。 名義書換については,名義書換受付期限に間に合うよう顧客に名義書換の案内を送付し,名義書換請求書を受入れ,書換中である旨システム端末に登録をし,本社に名義書換請求書を送付することを行っていた。前記のとおり((オ)1),現在では名義書換業務は大幅に減少している。 保護預り口座を設定し株券を寄託している顧客からは,日本証券業協会の規則に基づき,1か月以内に口座管理料を徴収しなければならないが,原告P8は,口座管理料の支払いを営業担当者を通じて顧客に確認し,その途中経過を総務管理者に報告する業務も,担当していた。 なお,口座管理料の徴収に関する日本証券業協会の規則は平成10年に廃止され,会社は,現在は会社 料の支払いを営業担当者を通じて顧客に確認し,その途中経過を総務管理者に報告する業務も,担当していた。 なお,口座管理料の徴収に関する日本証券業協会の規則は平成10年に廃止され,会社は,現在は会社規則によって口座管理料を徴収している。 h 昭和53年度上期から「非課税」業務の担当となった。これは,原告P2のところで述べたもの((ア)d)と同様である。 原告P8は,昭和56年7月店内主任待遇となった。 ⅰ 昭和59年度下期から「発送」業務の担当となった。「発送」業務は,社内における「社内便」に係る作業と郵便物に係る作業とに大別される。社内便に係る作業の場合は,受け取りについては,毎朝本社から社内便が運送業者によって支店に届くので,社内便の袋を開けて中身を仕訳し,支店内の各担当者に渡るように予め用意された段ボール箱に入れる作業(特別に受領印が必要なものがあれば,捺印をもらうために出向くこともある。)を行い,発送については,夕方本社宛・NBS宛発送するものを専用の袋に詰め(その際,発送の控を残す必要のある「社内書留便」については,「書留発信簿」に記入し,検印をもらう。),最後に,袋に鍵をかけて,紐で縛り,帯封をして,割印を押すという作業(運送業者への引渡は,原告P8が行う場合もあるし,他の社員が行う場合もある。)を行った。 郵便物に係る作業の場合は,受け取りについては,①郵便局員が支店に配達する郵便物を受け取った上,②開封し,現金・切手・預り証などの証票・証券・クーポン配当金領収証が入っていれば,その内容を「受信簿」に記入し(書留便が届いた場合も同様に受信簿に記入する。),③仕訳して,それぞれ担当者に配布する(その際,受信簿に記録したものについては,受領印をもらう。)という作業を行い,発信については,①送付書と送付物を封入して封印し,重さを量 に受信簿に記入する。),③仕訳して,それぞれ担当者に配布する(その際,受信簿に記録したものについては,受領印をもらう。)という作業を行い,発信については,①送付書と送付物を封入して封印し,重さを量り,サタス(郵便切手に代わるシール)もしくは切手を貼り,②「諸報告書発送日報」に記入する必要のあるものについては「発送日報」を記入し,検印を受け(書留の発送(預り証・本券など)については,郵便局所定の「書留郵便物受領証」に記入する。),③サタス・切手・現金持ち込み分の額をそれぞれ計算し,④「発信簿」に記入し(そのとき,③で計算した金額も記入する。),⑤郵便局に持ち込む準備をし,検印者に回付する(実際に郵便局に持ち込むのは,社外受渡を専門に担当する庶務社員が主に行う。),⑥なお,「送付書控」を残すものは,送付書と複写になっている控をまとめて定期的に製本する,という作業を行っていた。これらのうち,郵便物の社外への発送及び受け取りは,NBSへの業務委託やシステムの対応により,現在かなり減少している。 j 平成3年度下期より前記「発送」業務に加えて,「精算」業務のうち「郵送精算」(その内容は,原告P5のところで述べたもの((イ)ⅰ)と同様である。)なども担当するようになったが,実際には,前記「発送」業務を別の一般職掌社員1名とアルバイト2名が担当しており,原告P8は,「郵送精算」のほか,「社外受渡」,スーパーゴールドのベロ送信(伝票による本社送信)を行っていた。 原告P8は,平成3年7月二種外務員資格試験に合格した。 k 平成7年下期には,「ミディ入金処理」,「回答書の受入」,「郵送精算」を担当し,平成8年には加えて「保管」業務も担当した。 平成9年保管係から口座係となり,主に口座業務を担当している。 l 原告P8は,以上のような業務を担当し,現在に至 「回答書の受入」,「郵送精算」を担当し,平成8年には加えて「保管」業務も担当した。 平成9年保管係から口座係となり,主に口座業務を担当している。 l 原告P8は,以上のような業務を担当し,現在に至っている。 (キ) 原告P3(甲56,62,71,160,181,乙119,原告P3本人(第1,2回))a 原告P3は,昭和35年3月一橋高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)の新聞広告による女子事務員中途募集に応じて入社選考を受け,昭和35年6月13日会社に採用され,本社機械計算部(昭和38年11月23日電子計算部に名称変更。)に配属された後,昭和39年10月24日α支店勤務となり,その後今日まで同支店に所属し,総務課に勤務している。 b 機械計算部においては「パンチ」業務の担当となった。これは,例えば,株式の約定結果を記載した伝票・給与支払いのための伝票・自動けいぞく投資商品の約定を知らせる伝票などが,関係各部から機械計算部に回付され,「パンチ」業務担当者に配布されるので,パンチ業務担当者は,伝票に基づき,せん孔機を使ってパンチカードに穴をパンチし,パンチ済みのカードをカードリーダーに読み込ませて,各種の計算・帳票作成を行う担当者に回付するというものである。 現在では,コンピュータへの入力は,キーボードの操作により行っており,「パンチ」業務は消滅している。 c 昭和39年10月α支店勤務となり,当初「投資信託受渡」業務の担当となった。その内容は,原告P5のところで述べた「受渡」業務((イ)b)と同様であるが,同業務のうち,投資信託に係わる精算を担当するものであり,加えて,毎営業日ごとに買い付けた投資信託の金額と口数の集計も行っていた。 この業務は,昭和44年10月より,約定が成立するとそのデータはオンラインシステムで自動計上されるよ を担当するものであり,加えて,毎営業日ごとに買い付けた投資信託の金額と口数の集計も行っていた。 この業務は,昭和44年10月より,約定が成立するとそのデータはオンラインシステムで自動計上されるようになったため,業務量は激減している。 d 昭和40年度上期より「集金事務」業務の担当となった。これは,集金人(現在のミディ社員)が顧客より集金した現金と,集金人が作成した仮入金票・積立金入金票・受付票もしくは引換票と,その他の物件とを,照合・点検の上受け入れる業務である。 具体的には,①積立金入金票,受付票及び引換票については,綴り裏面の発行簿の該当番号欄に,発行年月日と取扱印を押印する,②積立金入金票と仮入金票とを集計し,集金現金と一致することを確認する,③回収物件・申込書などがあれば印鑑照合印・回収印の押印など必要な作業をする,④受入物件を仕訳し,検印者・「継続投資」担当・「現金出納」担当などに回付する,⑤未使用分の証票を施錠可能なキャビネットに格納する,という業務であった。 e 昭和43年度上期には「個人別」業務の担当であった。これは原告P9のところで述べたもの((ウ)b)と同様である。 f 昭和43年度下期から「店頭」業務の担当となった。これは,店頭のカウンターで,精算のため来店した顧客の受付をすることと,精算後の引渡をする業務である。 具体的には,①受付時は,顧客から,預り証・申込書・取引報告書・現金・本券・受領証などを受け入れ,印鑑照合を行い,仮入金票・仮入券票を作成し,精算担当者に回付する,②引渡し時は,検印者もしくは現金出納担当者から引渡物件が回付されるので,その物件を当該顧客に引渡す,というものである。 g 昭和46年度上期から「受渡」業務の担当となった。これは,精算完了後回付されてくる回収済の預り証を,回収票と突き合わせた 引渡物件が回付されるので,その物件を当該顧客に引渡す,というものである。 g 昭和46年度上期から「受渡」業務の担当となった。これは,精算完了後回付されてくる回収済の預り証を,回収票と突き合わせた上で,「預り証発行記入帳」の該当欄と割印し,回収月日を記入し,その後回収預り証を回収票とともに製本し,保存するという業務である。なお,回収預り証の照合・製本は,昭和62年4月にNBSに業務委託されており,同業務は支店には存在しない。 また,「カナタイプ」業務も担当した。これは原告P10のところで述べたもの((オ)b)と同様である。 h 昭和51年度上期には「利払い」業務の担当であった。これは,原告P11のところで述べたもの((エ)f)と同様である。 また「精算受付」業務も担当した。これは前記fの①と同様である。 ⅰ 昭和50年代半ばころから「計算」業務も担当した。これは,本伝票を集計し,貸借が一致するかどうかを確認し,各勘定元帳に記入し,合計表,日計表を作成するという業務である。現在では,本伝票の集計,勘定元帳への記入の業務は,NBSに業務委託されている。また,合計表,日計表は,オンラインシステムにより計算・作成され,手書きの必要は無くなっている。 また「引渡」業務も担当するようになった。これは前記fの②で述べたものと同様である。 原告P3は,この時点で4つの業務(「利払い」,「精算受付」,「計算」,「引渡」)を担当することとなったが,そのうち計算業務はデスクワークで,残りの3つは,顧客の受付・引渡をするというものである。 原告P3は,昭和55年7月店内主任待遇となった。 j 昭和55年度下期からは「継投」業務(原告P5のところで述べた「継続投資」業務((イ)d)と同様である。)の一部と「計算」業務を担当するようになった。「継投」業務では 7月店内主任待遇となった。 j 昭和55年度下期からは「継投」業務(原告P5のところで述べた「継続投資」業務((イ)d)と同様である。)の一部と「計算」業務を担当するようになった。「継投」業務では,主に,「自動けいぞく投資」コース商品の売買伝票を整理し製本すること,郵便局もしくは銀行から会社宛て送金を行うための専用振込用紙綴りの発行手続を受け付けること,積立金通帳の発行・回収の記録をすること,約定日以後配信される計算書・取引明細書を受信し,精算時まで並べてファイルしておくこと,などを担当していた。 k 昭和59年から昭和60年にかけて「計算」業務は本社に吸収され,原告P3の担当から外れた。 l 昭和62年度上期より「精算窓口」業務を担当した。これは前記fの①と同様である。 m 平成2年度上期より「受渡精算」業務を担当した。「精算」業務の内容は,原告P5のところで述べたもの((イ)ⅰ)と同様である。 原告P3は,来店した顧客を対象とする精算(「合鑑精算」と称する。)を担当していた。 また,①社外精算の準備((エ)ⅰの①と同じ)をすること,②毎日記入している「証ひょう使用日報」の数字を1か月分集計し使用枚数を報告すること,③特定の「自動けいぞく投資」商品の,売買伝票と配信される約定確認リストとを照合すること,④当該売買伝票の連番チェックを行い,NBSに送付すること,も行っている。 n 平成9年には「受渡精算」と「保管」の業務に,平成10年からは「口座」の業務に,従事している。 原告P3は,平成10年7月二種外務員資格試験に合格した。 o 原告P3は,以上のような業務の変遷を経て,現在に至っている。 (ク) 原告P7(甲156,175,184ないし186,乙121,132,原告P3本人(第2回))a 原告P7は,昭和37年3月,日出女子学 は,以上のような業務の変遷を経て,現在に至っている。 (ク) 原告P7(甲156,175,184ないし186,乙121,132,原告P3本人(第2回))a 原告P7は,昭和37年3月,日出女子学園高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)本社での入社選考を受け,同年4月会社に採用され,本社機械計算部に配属された後,昭和40年1月29日に川崎支店勤務となり,その後今日まで同支店に所属している。 b 機械計算部において約1年「パンチ」業務に従事した後,「テレタイプ」業務の担当となった。これは,本社から支店に宛てて,必要なデータをテレタイプで送信する業務であり,具体的には,例えば株式の約定データ・本社からの連絡事項などが関係各部から回付されてくると,テレタイプ担当者は,その内容をテレタイプで紙テープにパンチし,パンチした内容を再確認した後,紙テープをテレタイプに読み込ませて支店宛送信するというものである。 c 昭和40年1月川崎支店勤務となり,「代理事務」業務の担当となった。これは,原告P5のところで述べたもの((イ)f)と同様である。 d 昭和41年度上期より「保管」業務と「個人別」業務の担当となった。「保管」業務は,原告P9のところで述べたもの((ウ)e)と同様であり,また「個人別」業務は,原告P9のところで述べたもの((ウ)b)と同様である。なお,川崎支店は,名古屋駅前支店に比して規模がはるかに小さく,業務量も少ないため,1人の女性社員が複数の業務を担当することも可能であった。 e 昭和49年代後半より「口座」業務の担当となった。これは,原告P2のところで述べた「コード」業務((ア)f)と同様であるが,同業務は,原告P2のところで述べたとおり((ア)g),昭和55年より業務が簡素化され,またNBSに口座属性の登録作業・口座関係書類のファイ ところで述べた「コード」業務((ア)f)と同様であるが,同業務は,原告P2のところで述べたとおり((ア)g),昭和55年より業務が簡素化され,またNBSに口座属性の登録作業・口座関係書類のファイル作業及び顧客からの郵便物受け取り作業が移管されたことにより,「コード」担当者の業務としては,来店や訪問による顧客からの受入書類をチェックすることと当該書類をNBSへ送付することのみが残っている。 原告P7は,昭和57年7月店内主任待遇となった。 f 昭和58年度下期より「精算」業務の担当となり,原告P3のところで述べた「合鑑精算」業務((キ)m)などを担当していた。 g 昭和62年度上期より「精算」業務のうち「合鑑精算」のみを担当することとなった。川崎支店は,支店の受付カウンターに,投資相談ではなく精算だけを専門に受け付ける「精算コーナー」を設け,原告P7に担当させた。原告P7は,来店した顧客から回収すべき証書・書類などを受け入れ,印鑑照合をし,システム端末に入力し,本伝票・計算書・証書などを作成し,検印者に回付する業務を行っていたが,徐々に来店顧客の受付のみを主とするようになり,計算書・本伝票・証書などの作成は他の「精算」担当者が行うようになった。原告P7は,来店した顧客からの精算金利用の相談にも応じていた。 原告P7は,平成2年7月二種外務員資格試験に合格した。 h 平成5年ころより主に「保管」業務の担当となった。「保管」業務の内容は,原告P10のところで述べたもの((オ)l)と同様である。 原告P7は,保護預り口座を設定し,株券を寄託している顧客の口座管理料について,口座管理料の支払いを営業担当者を通じて顧客に確認し,その途中経過を総務管理者に報告する業務も担当している(原告P8のところで述べたもの((カ)g)と同様である。)。 ⅰ 客の口座管理料について,口座管理料の支払いを営業担当者を通じて顧客に確認し,その途中経過を総務管理者に報告する業務も担当している(原告P8のところで述べたもの((カ)g)と同様である。)。 ⅰ 平成8年下期からは,管理班において,主に口座管理料未入管理,残高照合の回答書受入管理,約定伝票管理を担当した。 平成9年下期からは,フロント班において,約定伝票管理,合鑑精算,合鑑受渡を担当した。 j 平成10年下期からはお客様サービス課に配置された。 川崎支店のお客様サービス課では,一般職掌は主に,①来店顧客の精算受付,②投資相談及び勧誘,③注文の受付及び発注を担当している。 ①は,例えば,顧客が有価証券の売却代金を受け取りに来店した場合には,取引報告書や免許証等の本人確認書類の受入及び予め登録してある当該精算対象口座との照合,受領証の受入及び記載内容(氏名・金額・日付等)の確認並びに印鑑照合を行い,パソコンに口座番号を入力する(その他に必要書類がある場合にはパソコン画面に表示されるので,合わせて受け入れる。),以上の精算に必要な書類を総務課に回し,顧客へは精算を受け付けた証としての引き換え札を渡す,というものである。精算のパターンは複数あるが,定型化されており,担当者はマニュアル等により習得している。最近では,ATMの稼働期間の延長・機能向上により,対面精算に比べ顧客自身の操作による自動精算の比率が拡大している。 ②は,顧客の相談内容や属性に応じて,当該顧客の投資対象として適切な商品(主に投資信託と公社債)の説明や勧誘を行うものであるが,総合職掌が一定数を選択し,一般職掌がこれらを基礎として,顧客の希望に沿ったものを提示し,それぞれの商品内容,セールスポイント,リスク等を説明する。総合職掌が選定した商品や会社の主力商品については,予め 掌が一定数を選択し,一般職掌がこれらを基礎として,顧客の希望に沿ったものを提示し,それぞれの商品内容,セールスポイント,リスク等を説明する。総合職掌が選定した商品や会社の主力商品については,予め説明資料を準備し,勉強会を行うなどしている。また,株式の注文を処理する場合もある。 ③は,口座名・銘柄名・売買の別・数量・価格等の必要な項目を確認し,間違った内容で発注しないように,受け付けた内容を復唱して顧客へ確認した上,受け付けた内容をパソコンに入力し,入力した内容に応じて必要な書類や注意事項がパソコンの画面で表示されるので,そのメッセージに従って必要な処理・確認をした上,発注の送信を行う,というものである。 k 原告P7は,以上のような業務を経験し,現在に至っている。 (ケ) 原告P6(甲153,172,乙120)a 原告P6は,昭和36年3月天王寺商業高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)大阪支店で入社選考を受け同年4月会社に採用され,同支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。 b 入社後,最初に配置されたのは,同支店の「連絡部」であった。連絡部は,一般企業でいう「営業本部」であり,会社の近畿以西における営業体(近畿地方,中国地方,四国地方,九州地方に所在する支店の営業部門及び大阪支店内の営業部門)の営業推進にかかわる業務全般を担当するセクションであった。 連絡部は,連絡課,投資信託課,宣伝課(後に企画課),資料課の4課編成になっていたが,そのうち,投資信託課は,近畿以西の営業体の投資信託にかかわる営業推進業務(投資信託は,事務の流れが異なる等の事情から,連絡課とは別組織としていた。)を担当しており,原告P6は,投資信託課において,①電話で各営業体ごと,投資信託の銘柄ごとの出来高(販売額)を日々聞き取って売買日記帳に記帳し, が異なる等の事情から,連絡課とは別組織としていた。)を担当しており,原告P6は,投資信託課において,①電話で各営業体ごと,投資信託の銘柄ごとの出来高(販売額)を日々聞き取って売買日記帳に記帳し,日計,月計等を集計する業務,②この集計数字をもとに,表・グラフ等を作成する業務,③営業推進のために企画・立案された,営業体向け各種書類の作成補助業務,④その他の雑務(電話の取り次ぎ,コピー等)を担当していた。 c 昭和38年度下期より保管受渡部に配置替えになった。これは,会社の組織改正により,連絡部が廃止されたためである。原告P6の属していた保管受渡部受渡課の業務内容は以下のとおりである。 ①会社を通じて大阪証券取引所(以下「大証」という。)に発注された株式の売買注文成立分は,約定日ごとに大証によって取りまとめられ,当該約定日の3日目に「精算票」という形で送付されてくる。「精算票」には,当該日において売買取引が成立した銘柄ごとの売り・買いそれぞれの株数・約定金額及びその差引(売り越しか買い越しか)・総計としての差引が表示される。送付されてきた「精算票」には会社全体としてのデータしか表示されていないが,発注元は支店等を経由しての顧客からの委託注文であったり,会社のディーラー業務に基づくものであったりするため,会社のデータと突き合わせて,支店等,自己勘定の別に仕分けの作業をする。②仕分けの作業の後,個別に受渡準備作業に移る。 ②の受渡準備作業の処理内容は以下の形態によって異なる。 (a) 顧客より支店等を経由して発注された注文で「買い」のみの場合は,大証に顧客より支店等を通じて入金された当該約定金額を入金し,当該株券を大証より受け入れる。受け入れた株券は,当該顧客が会社に預けることを希望すれば,本社の専用金庫に保管するため証券管理部に,引き取りを に顧客より支店等を通じて入金された当該約定金額を入金し,当該株券を大証より受け入れる。受け入れた株券は,当該顧客が会社に預けることを希望すれば,本社の専用金庫に保管するため証券管理部に,引き取りを希望すれば当該支店等に,それぞれ送付する。 (b) 顧客より支店等を経由して発注された注文で「売り」のみの場合は,顧客が会社に当該株券を預けている場合は証券管理部より,預けていない場合は支店等を通じて顧客より,当該株券を受入れ,大証に引渡し売却代金を大証より受け入れる。 (c) 顧客より支店等を経由して発注された注文で「売り」「買い」同時の場合は,(a),(b)の内容を混合して行う。 (d) 自己勘定によって発注された注文で「買い」のみの場合は,大証に当該約定金額を入金し,当該株券を大証より受け入れる。受け入れた株券は証券管理部に送付する。 (e) 自己勘定によって発注された注文で「売り」のみの場合は,証券管埋部より当該株券を受け入れ,大証に引渡し,売却代金を大証より受け入れる。 (f) 自己勘定によって発注された注文で「売り」「買い」同時の場合は,(d),(e)の内容を混合して行う。 これらの業務((a)ないし(f))の過程で,原告P6は,株券を受け入れる場合は「入券票」,送付する場合は「出券票」という伝票を作成する業務,受入れた株券を数え,相違ないか確認する業務,株券を支店等に発送する際の荷造り等をする業務等を担当していた(実際に大証に出向き,株券の持ち込み,受入れ金銭のデリバリー等の受渡をする業務は,証券取引所には男性社員のみが登録されているなどの事情から,全て男性社員が行っていた。)。 また,前記(a)ないし(f)のどの形態においても,株券が受渡課を通過することになるが,その流れを記録するため,その全ての株券を起票された伝票とともに どの事情から,全て男性社員が行っていた。)。 また,前記(a)ないし(f)のどの形態においても,株券が受渡課を通過することになるが,その流れを記録するため,その全ての株券を起票された伝票とともにマイクロフィルムに撮影する作業(伝票と株券を機器に挿入すれば自動的に撮影される。)なども併せて行った。 d 昭和45年度上期に受渡部に,昭和46年度上期に経理部に,昭和57年度上期に総務部に配置替えになったが,これは全て会社の組織改正(組織の統廃合等)によるもので,原告P6の業務内容に大きな変更はなかった。 原告P6は,昭和55年7月に店内主任待遇となった。 e 平成5年度上期より総務部において事務統合課の業務の担当となった。これは,平成4年度下期から実施された「保管振替決済制度」(金融機関各社が財団法人証券保管振替機構に株券を預託することで,同機構が金融機関と証券取引所との受渡をコンピュータ管理する制度)によって受渡課が廃止されたことによる。 原告P6は,総務部事務統合課の業務のうち,「財形センター」の業務を担当した。「財形センター」とは,顧客が支店を経由して会社と結んでいる勤労者財産形成貯蓄契約(原告P8のところで述べたもの((カ)f)と同様である。)に基づく事務処理を行うセクションであるが,同センターは,大阪支店及び近畿圏に所在する14か店が取り扱っている契約を担当している。 具体的な事務作業としては,各団体・企業から送金されてきた金額が契約内容と相違ないかをチェックすること,それに伴う伝票の作成,システム端末への入力,契約団体・企業への郵送物の発送等であるが,入金時において契約内容どおりに処理されていれば,この業務は全てNBSが行っており,「財形センター」が担当するのは,各団体が処理を間違った場合及び契約内容を変更する場合である。 発送等であるが,入金時において契約内容どおりに処理されていれば,この業務は全てNBSが行っており,「財形センター」が担当するのは,各団体が処理を間違った場合及び契約内容を変更する場合である。 処理を間違った場合とは,主に入金金額の契約内容との不一致であり,契約内容の変更とは,団体における加入者が住所変更をする場合,積立金額を変更する場合,及び賞与時において臨時積立を行う場合である。 原告P6の具体的な業務は,①入金データと実際の入金額との一致を確認し,入金の不一致があった場合は,当該団体・企業へ電話で問い合わせ,確認をすること,②加入者が住所・積立金の変更をする場合,もしくは臨時積み立てをする場合は,所定の書類の送付及び受け入れた書類の処理(システム端末への入力等)をすること,③契約団体・企業及びその加入者からの電話による問い合わせ(解約した資金がいつ振込まれるか等)に答えること,等であり,業務内容のほとんどはマニュアル化されているが,問い合わせ内容は様々であり,これに正確に答えるには一定の知識が必要とされる。 原告P6は,平成6年6月二種外務員資格試験に合格した。 f 平成9年総務課「業務班」に配属となり,主に,社内外の郵便物を大阪支店内の12の部に集配すること,切手の入出庫,在庫管理と毎月の使用経費の付け替えなどを担当している。 g 原告P6は,以上の業務を経て現在に至っている。 (コ) 原告P12(甲154,173,179,乙118)a 原告P12は,昭和36年3月旭商業高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)大阪支店で入社選考を受けて同年4月会社に採用され,同支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。 b 入社後最初に配置されたのは,投資相談部であった。投資相談部は,店頭課(現在の支店における投資相談課の機能を持つ。) けて同年4月会社に採用され,同支店に配属されて今日まで同支店に勤務している。 b 入社後最初に配置されたのは,投資相談部であった。投資相談部は,店頭課(現在の支店における投資相談課の機能を持つ。)と通信販売課(当時は,電話等の通信機器が普及していなかったために手紙で売買のやりとり等を行っていた。)に大別されていたが,原告P12は店頭課の業務を担当していた。 店頭課の業務は,基本的には,①来店した顧客の投資相談全般,すなわち,投資相談を受ける過程で会社の取り扱う商品(株式,投資信託等)を推奨すること等の営業活動,②過去から蓄積された既得意顧客に対する訪問・電話等による営業活動であるが,これらの営業活動は男性社員である営業社員が担当しており,原告P12をはじめとする女性社員は,営業社員の業務遂行過程で発生する事務処理等以下のような業務を担当していた。 ①営業社員が顧客と約定し,起票した注文伝票を主にエアシューターで同支店内の当該部署(株式であれば株式部)に引渡し,約定結果を営業社員へ報告し,爾後の事務処理(顧客から受け入れ必要な書類の発送等)を行うこと。 ②営業社員の毎日の営業日報(当該営業社員がその日に約定した顧客名・銘柄・数量・売り買いの別等を記載)を記入すること。 ③営業社員が訪問活動等で不在の時に顧客が来店した場合は,その応対(来店理由が精算等の事務的なものであればその場で受け付け,投資相談等のものであれば帰社次第連絡させる旨伝えるか,他の在席している営業社員につなぐ。)をすること。 ④その他の雑務(電話の取り次ぎ,コピー等)。 ただし,③については,女性社員が投資相談について顧客から話を聞くこともあった。 c 昭和39年度下期に会社の組織改正により投資相談部は廃止され(電話等の通信機器の普及で通信販売課が不要になったことによる。 ③については,女性社員が投資相談について顧客から話を聞くこともあった。 c 昭和39年度下期に会社の組織改正により投資相談部は廃止され(電話等の通信機器の普及で通信販売課が不要になったことによる。),店頭課は投資相談課と名称を変更して営業部に吸収された。 これに伴い原告P12は営業部に配置替えとなったが,業務内容に大きな変更はなかった。 d 昭和44年度下期より公社債部に配置替えになった。 当時の公社債部の担当範囲は,①大阪支店における主に金融法人部(大阪に本社のある金融機関を顧客に持つ営業部門),事業法人部(大阪に本社のある上場企業を顧客に持つ営業部門)と,近畿以西に所在する支店における主に公社債営業課(その地域に本社のある金融機関を顧客に持つ営業部門)より注文のあった公社債の売買を執行すること,②会社における各営業担当者もしくは顧客である金融機関における担当者に対し,営業推進のために助言・提言をすること,③前記②における助言・提言に伴う資料の作成をすること,④公社債部の取り扱った売買における各種データを基にした統計資料の作成(主に会社における営業戦略上の資料として必要であった。)をすること等であった。 原告P12は,平成2年度上期に債券部に配置替えになるまで,一貫してこの業務に関与し,①男性社員が電話で注文を受けた公社債の売買(公社債売買のほとんどが相対取引,すなわち市場を通さない顧客と会社の直接交渉であるため,単なる仲介役ではなく,高度な判断が必要とされる。)が成立した後に行われる,注文伝票の作成,その内容のシステム端末への入力,約定結果の明細の営業社員への電話連絡等の業務,②顧客へ男性社員が助言・提言するために資料が必要なときは,その資料(表・グラフ等)をコンピュータで作成したり,複写,製本,保存等の作業を行う業務,③統 結果の明細の営業社員への電話連絡等の業務,②顧客へ男性社員が助言・提言するために資料が必要なときは,その資料(表・グラフ等)をコンピュータで作成したり,複写,製本,保存等の作業を行う業務,③統計資料作成のために,公社債部の取り扱った毎日の売買内容に基づいて,日報の記入(売り・買いの別,銘柄,数量等),各種集計等を行う業務を担当した。 会社は,昭和54年度より相対取引の部門を東京本社に集中化することとし,それに伴い近畿以西の支店は東京本社が担当することになり,公社債部としての担当地域は大阪支店のみとなったため,業務量は漸減していった。そのため,原告P12は,本店商品課への商品在庫の確認や,時には債券の売買も行うようになった。 なお,原告P12は,昭和55年に店内主任待遇,昭和62年に一般職主任になった。 e 平成2年度上期より債券部に配置替えとなり,転換社債ワラント課の業務を担当した。これは組織改正によって公社債部が債券部に名称変更したことによるが,同時に前記の相対取引部門の東京本社集中化,大阪に本社を置いていた金融機関・上場企業の東京本社化に伴う大阪支店の顧客の漸減によって,公社債部の機能・人材配置の見直しが図られたことによる。 なお,この経緯により,大阪支店債券部は平成3年度下期に廃止され,転換社債ワラント課は株式部に吸収され,さらに株式部は平成6年度上期の組織改正によって大阪エクイティ部に名称変更された。 原告P12は,この過程でそれぞれに配置替えとなったが,担当していた業務内容は一貫して転換社債ワラント課における,主に転換社債に係わる業務であった。 転換社債とは,発行時に定められた価格(転換価格)で発行会社に対し,株式に転換を請求できる社債のことであり,相当数の銘柄が東京証券取引所(以下「東証」という)及び大証等に上場して る業務であった。 転換社債とは,発行時に定められた価格(転換価格)で発行会社に対し,株式に転換を請求できる社債のことであり,相当数の銘柄が東京証券取引所(以下「東証」という)及び大証等に上場している(ただし,売買の多くは東証において行われている。)。 転換社債ワラント課における転換社債業務とは,支店等から大証に発注された売買注文の処理業務及び転換社債営業の推進に係わる業務等であり,原害P12が担当している業務は,具体的には,①大証に赴き,転換社債ワラント課が支店等より受け付けた売買注文を電話で受信し,当該注文を市場の仲介業者(市場において各証券会社の売買注文を取りまとめ,売買を成立させる業者)のところへ持参し,約定結果を転換社債ワラント課に電話で連絡する業務,②大阪支店内において,支店等からの注文を電話で受け付け,大証に電話で発注し,約定結果を支店等に連絡する業務,③大証からエアシューターで送付されてくる「照合票」(その日の売買成立銘柄,数量,売買成立時間等が記載されている。)に基づいて注文伝票との照合を行い,注文伝票に売買成立時間の打刻をする業務及び注文伝票をシステム端末に入力し,帳簿の記入等の伝票処理を行う業務であるが,原告P12は,この主に3種類の業務を同僚と1週間から1か月ごとのローテーションを組み,交替で行っていた。 f 平成10年5月,大阪エクイティ部は廃止され,原告P12は総務課「業務班」に配置され,以来原告P6と同様の業務((ケ)f)に従事している。 原告P12は,平成11年3月二種外務員資格試験に合格した。 g 原告P12は,以上の業務を経て現在に至っている。 (サ) 原告P4(甲149,169,乙123)a 原告P4は,昭和35年3月共立女子高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)の女子事務員中途募集に応募して は,以上の業務を経て現在に至っている。 (サ) 原告P4(甲149,169,乙123)a 原告P4は,昭和35年3月共立女子高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)の女子事務員中途募集に応募して選考を受け,同年8月会社に採用された。当初本社証券部に配属され,受渡部,本店営業総務部,営業総務部,営業総務一部を経て,現在は営業総務部に所属しており,入社以来一貫して東京の本社・本店で勤務している。 b 原告P4は,昭和36年度上期,受渡部に配属され,「公社債」業務の担当となった。これは,①割引債の運用預りについて顧客へ支払う運用料・精算金額等の計算を行うこと,②他部門が回収・回付してきた割引債の預り証に基づき「預り証発行簿」の消し込み(預り証と発行簿を割印すること)を行い,当該預り証をファイルすることであった。 c 昭和38年11月の組織改正に伴い,本店営業総務部に配置替えとなった(昭和39年10月の組織変更により営業総務部となる。)。営業総務部は,本店における個人,法人両営業部門の顧客につき,受渡し,有価証券投資に伴う諸通知,有価証券の元利金・配当金等の受け払い,現金出納等を担当する部門であり,支店における総務課の業務とほぼ同様の業務を行っていた。このうち,原告P4の業務は,①公社債売買に係る精算金額,経過利息,取引税等の計算,②割引債の運用預りに係る計算業務,割引債償還・運用料支払等の伝票の作成,③電力債等の募集債券についての投資家別の受入金額の計算等であり,これらの作業を他の1,2名の女性社員とともに行っていた。 d 昭和40年代前半は「個人別」業務の担当となった。これは,原告P9のところで述べたもの((ウ)b)と同様である。 e 昭和45年度下期からは「利払い」業務の担当となった。これは,原告P11のところで述べたもの((エ)f) 人別」業務の担当となった。これは,原告P9のところで述べたもの((ウ)b)と同様である。 e 昭和45年度下期からは「利払い」業務の担当となった。これは,原告P11のところで述べたもの((エ)f)と同様である。 昭和49年には「非課税」業務の担当となり,非課税申告書と買付リストをみて,非課税制度適用適格者かどうか,確認書類は正確かなどをチェックする仕事をしていた。 f 昭和50年度下期からは「残高照合」業務の担当となった。これは,残高照合書に同封し発送した回答書((イ)e参照)が顧客より返送されてきた場合,これらを製本する業務であるが,原告P4は,本店営業部・投資相談部・公社債営業部の顧客から返送されてきた回答書についてこれを担当していた。 g 昭和53年度ころは「預り証回収」の業務を担当していた。これは,営業担当各部が回収し,精算時に既にチェック済みの預り証が回付されてくるので,当該預り証に基づき「預り証発行簿」の消し込みを行った上で預り証をファイルするという業務であった。 h 昭和56年4月から同年12月まで,長男の生活訓練・機能訓練のため休職した。 j 昭和57年から「報告書発送」業務を担当した。これは,本社・本店の個人・法人営業関係各部に係る顧客の有価証券の売買取引につき,約定成立の翌日にラインプリンターから打ち出される売買報告書と注文伝票を照合の上,当該報告書を顧客別に封筒に封入する業務である。 原告P4は,昭和58年に店内主任待遇となった。また,昭和58年11月,組織変更により営業総務一部に配置替えとなったが,原告P4の業務内容に変更はなかった。 j 昭和59年度上期ころより,他2名の女性社員とともに「プロジェクト」の担当となった。「プロジェクト」とは,通常の仕事に属さない臨時的な業務を行うことを目的とするものであり,具体 更はなかった。 j 昭和59年度上期ころより,他2名の女性社員とともに「プロジェクト」の担当となった。「プロジェクト」とは,通常の仕事に属さない臨時的な業務を行うことを目的とするものであり,具体的には,①前記ⅰで述べた売買報告書の封入,②指定された顧客の一定期間の取引記録をマイクロフィルムから抽出・焼き付けし,切り貼りを行う作業(税務当局等からの依頼による。)などを中心に,③昭和63年には,利子税制改正に伴う案内文の顧客への発送作業,非課税用紙を受け入れた場合の事務処理,④平成5年には,株式累積投資業務(後記(ス)c参照)の増大に対応し,株式累積投資に係る事務処理に関する業務(申込書をとりまとめてNBSに送付する等)等を行った。 k 平成5年9月から前記j①の業務は原則としてNBSに移管されたため,前記j②に加え,①ラインプリンターから配信される「売買日報」「口座管理リスト」「精算チェックリスト」等の書類を本店営業部・第一企業部・法人営業部等6か部のそれぞれの部別に仕訳し,各部へ配布する作業,②受信したファックスを仕訳し,必要であればコピーの上,部内の関係者に配布する作業等も行っていた。 なお,原告P4は,平成6年6月,組織変更により営業総務部に配置替えとなったが,原告P4の業務内容に変更はなかった。 l 平成6年11月からは「管理班」になり,本店法人営業部の取引管理を担当し,注文伝票の内容のチェック,注文書の受け入れ,管理表の作成等を行った。平成10年1月以降,庶務係(郵便,用度品等の担当)をしている。 原告P4は,平成10年12月二種外務員資格試験に合格した。 m 原告P4は,以上のような業務を経験し,現在に至っている。 (シ) 原告P1(甲150,169,乙122)a 原告P1は,昭和35年3月武蔵野高校を卒業し,会社(旧野村 務員資格試験に合格した。 m 原告P4は,以上のような業務を経験し,現在に至っている。 (シ) 原告P1(甲150,169,乙122)a 原告P1は,昭和35年3月武蔵野高校を卒業し,会社(旧野村證券株式会社)の女子事務員中途募集に応募して選考を受け,同年11月28日会社に採用された。当初本社機械計算部に配属され,保管部,オンラインシステム推進室,庶務部を経て,退職時は総務部に所属しており,入社以来一貫して東京の本社で勤務していた。 b 入社当時配属された機械計算部では,「パンチ」業務の担当となった。これは,原告P3のところで述べたもの((キ)b)と同様である。 c 昭和36年10月保管部に配置替えとなり,同部で「パンチ」業務を担当した。これは,受渡部から回付されてきた株券の「入券票」・「出券票」に基づき,せん孔機を用いパンチカードにせん孔することであり,パンチされたカードはカードリーダーに読み込ませる担当者に回付され,当該担当者がコンピュータのカードリーダーに読み込ませることにより,株券の銘柄別の帳簿が作成された。その後,コンピュータによる自動化の進展に伴い「パンチ」業務は廃止された。 d 昭和39年より「代理事務」の担当となった。これは,支店及び本店営業各部より回付されてきた顧客への利金支払い済の投資信託の利札について,①利札に済印の押印,②利札に基づき支店等が立て替えた金額を計算し,支店等へ当該金額の送金を指示するための伝票の作成,③投資信託の委託会社に対し立て替え金額を請求するための利札の整理と取りまとめの作業を行うというものであり,原告P1は,これを他の6ないし7名の女性社員とともに担当していた。 e 昭和44年7月にオンラインシステム推進室に配置替えとなった。 オンラインシステム推進室は,第1次オンライン化のためのプロジェク 告P1は,これを他の6ないし7名の女性社員とともに担当していた。 e 昭和44年7月にオンラインシステム推進室に配置替えとなった。 オンラインシステム推進室は,第1次オンライン化のためのプロジェクトチームとして約2年間にわたり時限的に設けられた部署であるが,ここで原告P1は,コピー取り,資料の配布,電話の取り次ぎ,用度品の整理等の庶務事項を行うなどの業務を,他の2名の女性社員とともに行っていた。 f 昭和45年12月に庶務部に配置替えとなり,「配送センター」の業務を担当した。これは,野村コンピューターシステム株式会社(現株式会社野村総合研究所)で作成された顧客取引明細のマイクロフィルム(「コムフイルム」と称する。)について,カッティング(一枚ずつ切り離す)し,顧客口座元帳等の種類別に仕分けされたものを,①支店別に分別し,郵送のための専用封筒に挿入し,各支店に送付するための準備をすること,②同様のものを本社の控えとしてファイルすること等であった。 原告P1は,昭和55年に店内主任待遇となった。 なお,平成元年より,コムフイルムの支店への発送は,NBSに移管された。 g 昭和63年より「蔦友会」業務の担当となった。 同業務は,蔦友会(野村證券株式会社等の野村グループの定年退職者などで構成される親睦会)事務局の仕事であり,①メンバーの住所録の作成・更新,②年2回の懇親会の案内の郵送・出欠のチェックなどの準備,③年一回の会員名簿の発行等を行っている。 原告P1は,平成10年11月二種外務員資格試験に合格した。 h 原告P1は,以上のような業務を経験し,平成13年5月3日,60歳の定年により会社(旧野村證券株式会社)を退職した。 (ス) 原告P13(甲136ないし138,140,141,143,145,148,163ないし165,197,乙9 ,平成13年5月3日,60歳の定年により会社(旧野村證券株式会社)を退職した。 (ス) 原告P13(甲136ないし138,140,141,143,145,148,163ないし165,197,乙95ないし100,105,111,112,114,115,124,証人P20,原告P13本人)a 原告P13は,昭和32年名古屋西高校を卒業し,名古屋支店で入社選考を受け同年4月会社(旧野村證券株式会社)に採用され,名古屋支店総務部に配属され,以来一貫して名古屋支店総務部で勤務していた。 b 原告P13は,昭和41年5月病気のため休職し,昭和42年8月に復帰した。 昭和52年店内主任待遇(昭和62年より一般職副主任に変更)となり,昭和62年に一般職主任(平成6年よりリーダー職二級に変更)になった。 c 平成2年5月ころから,日本証券業協会において,個人投資家の証券投資促進のため,少ない金額でも株式投資ができる「株式累積投資制度」(毎月顧客から一定金額を集め,それを合計して特定の銘柄に投資する方法)の具体化が検討され,会社担当者もその検討に加わっていた。 会社は,平成3年当時,暴力団への資金援助や大口顧客への損失補填といった不祥事が発覚したため,「お客様第一」を行動の基準に掲げ,その実践の一環として,同年11月より社員を対象とした提案制度を実施した(甲137,乙100)。 原告P13は,平成4年1月,大衆向きの財テク商品として,「株式累積投資制度」とほぼ同内容の「株貯蓄口座」(甲138)を提案した。 会社は,大蔵省の承認を受け,月々一定額の積立で顧客が希望銘柄を購入できる「株式累積投資口座」(愛称「るいとう」)を平成5年2月に発売し,平成6年5月末には22万5000口座を獲得した。 原告P13は,提案した「株貯蓄口座」が「株式累積投資」として 希望銘柄を購入できる「株式累積投資口座」(愛称「るいとう」)を平成5年2月に発売し,平成6年5月末には22万5000口座を獲得した。 原告P13は,提案した「株貯蓄口座」が「株式累積投資」として商品化されたことを会社から感謝され,また,上司からも褒められた。 (原告P13は,「次長に昇格させる」などと上司から昇格を言われたとするが,乙92ないし94(原告P13の上司の陳述書)はこれを否定するところ,仮にその発言があり,原告P13が昇格を期待したとしても,原告P13の供述によっても,その発言がされた際の上司の意図が必ずしも明確ではないこと,昇格は会社の上司が決定するわけではないことからすれば,前記以上の認定は困難である。)d 前記bの復職の後,遅くとも平成8年当時,原告P13は,保管係の担当となった。その主な業務内容は,株式,公社債,投資信託等の有価証券の入庫・出庫に関する事務処理及び株式の名義書換等の代理事務業務であった。 有価証券の入庫・出庫に関する事務処理は,①顧客が本券を持参して会社で保護預かりをする場合は,店頭等で受け付けた者が本券の銘柄,数量等を確認した上で,仮入券票を作成し,本券に添付の上,精算係に回し,精算係は,再度本券の銘柄,数量等を確認し,システム端末からその内容を打ち込むことにより,預り証又は受領書を作成し,本券と仮入券票等を添付の上,検印を受け,検印後本券と仮入券票等を保管係に回し,保管係は,マイクロフィルマーという機械で記番号等を記録するために本券を撮影した上,再度本券の銘柄,数量等を確認し,本社宛てに送付する処理をする,②顧客に本券を返却する場合は,店頭等で受け付けた者が,顧客より署名捺印された預り証等を受け入れ,印鑑照合や内容を確認の上,精算係に回し,精算係は,本券返却の処理をするためシステム端末にその内 する,②顧客に本券を返却する場合は,店頭等で受け付けた者が,顧客より署名捺印された預り証等を受け入れ,印鑑照合や内容を確認の上,精算係に回し,精算係は,本券返却の処理をするためシステム端末にその内容を打ち込み,出券票を作成した上で保管係に本券の出庫を指示し,保管係は,精算係から指示を受けた時に回ってきた出券票等をもとに,予め本社から取り寄せていた本券をキャビネットから抽出し,精算係に引き渡す(あるいは直接預り証又は受領証を顧客に渡す)処理をするというものである。なお,営業社員が受け付けたものが保管係に回され,同様の処理をすることもある。 名義書換の業務は,顧客が会社に保護預かりしている株式の名義を本人名義に書き換えるため,受け入れた名義書換請求書について,印鑑等の必要事項を確認して株式代行整理票を起票し,名義書換手続中であることをコンピュータに表示させるために端末への打ち込みを行った上,処理された名義書換請求書をまとめて本社に送付し,また,名義書換請求書と同時に主として切手で送付されてくる名義書換料金の計上処理をするというものである。この他,請求書未入リストにより,配当,株主優待について期日の4日前までに名義書換用紙等を受け入れることを徹底すること等や諸届書類(住所変更届・配当金振込指定書等)の受け入れ・名義書換手続等の業務も行っていた。 e 原告P13は,体調不良のため休暇を取ることがあり,平成8年7月,後方事務センターの「点検精査」業務の補助に配置換えとなった。 「点検精査」業務において,原告P13が担当していた主な業務は,①会計伝票を精算係から収集し,NBSへ送付すること,②前日に顧客より受け入れた受領書及び来店カード(来店で顧客を受け付けた者が,顧客毎に顧客名,来店目的等を記入するカード)の点検,③回収された預り証を精算係か 精算係から収集し,NBSへ送付すること,②前日に顧客より受け入れた受領書及び来店カード(来店で顧客を受け付けた者が,顧客毎に顧客名,来店目的等を記入するカード)の点検,③回収された預り証を精算係から収集し,NBSへ送付すること,④郵送で受け入れた回答書(口座の預り高確認のため,残高明細と回答書を顧客へ送付し,顧客が内容確認及び回答書への署名捺印をした上,会社に送付されたもの)の印鑑照合と各精算班への配布等であった。 平成9年12月から総務部の組織変更により原告P13は「コンプライアンス班」所属となったが,業務内容に変更はなかった。 f 原告P13は,以上のような業務を担当して,平成10年4月3日,60歳の定年により会社(旧野村證券株式会社)を退職した。 カ総務事務の省力化等(甲134,乙90,130,131,証人P18)前記オ(ア)ないし(ス)でも触れたとおり,会社は,昭和44年ころより,コンピュータシステム化を進め,現在では,総務業務のうち,口座確認,印鑑照合,配信,預り残高明細,預り証作成,投信買付集計の各業務は大幅に省力化されている。 また会社は,昭和61年より順次NBSへの業務委託を行うようになり,平成11年段階で,NBSに,口座登録,口座照合,部店変更,講座書類審査,カード発行,ファイル,照会,報告書発送,預り証回収,税務照会,各種書類送付,用度品管理,名義書換,顧客勘定入金処理,郵送物受信業務,支払調書の作成,残高証明書の作成,名刺作成業務,持株会業務などの業務を委託している。 キ高卒男性社員が入社後に従事した業務等(乙125ないし129)原告らとほぼ同時期に会社に入社した高卒男性社員は,本社又は各支店に配属された後,当初は,女性社員と同様の業務を担当することもあったが,それに止まらず,業務処理等に必要な文書を 25ないし129)原告らとほぼ同時期に会社に入社した高卒男性社員は,本社又は各支店に配属された後,当初は,女性社員と同様の業務を担当することもあったが,それに止まらず,業務処理等に必要な文書を読むことを求められたり,課題を与えられたりした。その後は,多くは複数の各地への転勤を経験し,その間に,個別担当業務のほか,女性社員の指導,業務方法の改善策の企画立案や整備,徹底,イレギュラーな事態への対応,対外折衝など全体的立場から要求される業務も担当した。 ク会社の人事制度,就業規則等の定め等(第2章第2の2(2),(3),甲24,32,33,76,80,97,100,180,乙5,6,26ないし28,36,40,49,51,60,62,63,70ないし73,77ないし79,証人P17,同P19(第1,2回)(ア) 入社当時の就業規則等原告らが入社した当時,会社の就業規則,給与規程等の賃金規程等においては,男性と女性は区別されておらず,基幹的業務に従事する者と定型的・補助的業務に従事する者とで区別する旨の定めもなかった。 (イ) 昭和61年人事制度等a 会社は,昭和61年4月,庶務,厚生職を除いた社員を,「総合職」と「一般職」に区別することとし,総合職は,下から一般社員,主任,代理,課長,次長,部長等とし,一般職は,下から一般社員,副主任,主任,代理とし,男性社員は総合職に,女性社員は一般職に属するものとした(昭和61年人事制度)が,就業規則等の改定がされたのは,後記のとおり昭和62年7月であった。 なお,会社は,昭和61年人事制度への移行当時課長代理待遇であった女性社員については,暫定的に総合職の課長代理待遇として処遇したが,その対象者はごく少数であった。 会社は,昭和62年7月に就業規則,給与規程,退職慰労金規程等を改定し,そ 時課長代理待遇であった女性社員については,暫定的に総合職の課長代理待遇として処遇したが,その対象者はごく少数であった。 会社は,昭和62年7月に就業規則,給与規程,退職慰労金規程等を改定し,それまで社員は,「参事」,「副参事」,「主事」,「主事補」,「社員」,「社員補」と区分されていたのを,「総合職」と「一般職」に区分し,前記のとおり,総合職については,店内主任を廃止して主任に統合し,一般職については,副主任,主任,課長代理,主任を新設するとともに(従来の店内主任を副主任にした。),それに応じた職務手当,退職金を支払う旨に改めた(同年10月より実施)。しかし,総合職,一般職の定義については,特に規定されなかった。 なお,会社は,前記の暫定的に総合職の課長代理処遇としていた女性社員については,その希望を確認して,総合職の課長代理とする者と一般職の課長代理とする者に振り分けた。 b この間の1979年(昭和54年),国際連合で女性差別撤廃条約が採択された(わが国は,昭和60年にこれを批准した。)。 日本政府は,同条約の批准に向けて国内法の整備を図ることとし,昭和60年「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律」(以下「旧均等法」という。これが平成9年に改正されたのが現行の均等法である。)が制定され,昭和61年4月から施行された。同法では,募集,採用,配置,昇進等雇用における男女差別の規制は努力義務に止められた(配置,昇進については,8条において,「事業主は,労働者の配置及び昇進について,女子労働者に対して男子労働者と均等な取扱いをするよう努めなければならない。」としていた。)。(顕著な事実)なお,会社は,同法の施行に伴い,その概要とこれに伴う改正労基法の概要について,部店長,課長宛に通達 対して男子労働者と均等な取扱いをするよう努めなければならない。」としていた。)。(顕著な事実)なお,会社は,同法の施行に伴い,その概要とこれに伴う改正労基法の概要について,部店長,課長宛に通達を発した。 (ウ) 職種転換制度a 会社は,昭和62年4月職種転換制度を設け,一般職の社員が総合職に転換できるようにした。 会社は,一般職の社員に対し,総合職は,転居を伴う異動があること,業務の変更があること,職務遂行上の責任が増すこと等を説明し,同制度を利用して総合職に転換しようとする一般職社員がいる場合には,本人の応募理由書,部店長の推薦状を提出させた上,書類選考の後,筆記試験(論文試験,一般教養。なお,制度導入後しばらくの間は,論文試験の一つとして大卒程度の英語の試験があった。),面接試験を実施し,これに合格した者について総合職への転換を認めることとした。 労働組合は,申請に当たっては本人の希望を尊重すること,試験制度を廃止することなどを要求したが,会社の容れるところとならなかった。 b 昭和62年の同制度への応募者数は,有資格者1532名中7名(0.46パーセント)であり,合格者は6名であった。その後応募率は1パーセント前後で推移し,平成7年6月までの9年間で,有資格者数合計2万2083名中応募者は合計194名(0.88パーセント)であり,合格者は合計101名であった。 (エ) 平成6年人事制度a 会社は,現行人事制度の「役職」(部長,次長,課長,代理,主任)を中心とした位置づけを,「職階・職位」の位置づけに改め,職位に応じて月例給の,職階に応じて賞与の水準を決め,きめ細かい対応を図ることとするとして,平成6年6月ころより社員にその旨説明した。 b 会社は,平成6年10月就業規則を改定し,同月新たに職位規程を制定して,社員を「総合職 に応じて賞与の水準を決め,きめ細かい対応を図ることとするとして,平成6年6月ころより社員にその旨説明した。 b 会社は,平成6年10月就業規則を改定し,同月新たに職位規程を制定して,社員を「総合職掌」,「一般職掌」,「庶務職掌」及び「厚生職掌」に区分し,「総合職掌」,「一般職掌」を以下のとおり定義した。 なお,会社は,この職位規程を,労働組合や個々の従業員に示すことはしなかった。 (a) 「総合職掌」 営業,企画,開発及び管理等の基幹的業務に従事し,その担当業務を自己の判断に基づき遂行する職掌。資格要件として,一種外務員資格の取得が義務付けられる。広範かつ異質な業務に従事することを前提とし,勤務地についても国内外を問わず必要に応じ随時異動の対象となる。 「一般職掌」 総合職掌の社員の指導の下に,主として補助的又は定型的な業務に従事する職掌。原則として,転居を伴う異動はない。 (b) 「総合職掌」は,「経営職階」,「基幹職階」,「指導職階」,「業務職階」の4職階等に区分され,「一般職掌」は「リーダー職階」,「担当職階」の2職階に区分された。 本件に関係する各職階の基準は,以下のとおりである。 「総合職掌・指導職階」 部店及び課の基本方針に基づき,課の業務遂行の中核的立場を担うことのできる能力水準「総合職掌・業務職階」 上司の指示の下に業務を円滑に遂行することのできる能力水準「一般職掌・リーダー職階」 上司の指示に基づき担当業務を遂行するとともに,部店の組織運営に寄与できる能力水準「一般職掌・担当職階」 上司の指示に従い担当業務を遂行できる能力水準(c) また,各職階ごとに職位が区分され,「総合職掌・指導職階」の職位は「指導職一級及び二級」であり,「一般職・リーダー職階」の職位は「リーダー職一級ないし三級」,「一般職・担当職階」の職位は 準(c) また,各職階ごとに職位が区分され,「総合職掌・指導職階」の職位は「指導職一級及び二級」であり,「一般職・リーダー職階」の職位は「リーダー職一級ないし三級」,「一般職・担当職階」の職位は「担当職一級及び二級」であるとされた。「総合職掌・指導職階」の「指導職一級」の職位基準は,「高度な『ビジネス遂行力』を備え,管理職の補佐及び部下の育成・指導にあたり,或いは高度な専門能力の発揮により,課の業務遂行の中核的役割を果たすとともに,課の組織運営に貢献できる能力レベルにある」とされた。 c そして,会社は,給与規程を改定し,新たに職位手当を新設し,「総合職掌」経営職,基幹職,指導職,「一般職掌」リーダー職にある者に対してこれを支給するとともに,各職位にある者に対して調整給を支給し,また,職位が昇格や退職金にも反映することとした。 d 会社は,この職位制度導入とともに,従来の「総合職」社員をすべて「総合職掌」に,従来の「一般職」社員をすべて「一般職掌」に,振り分けた。この結果,従来の「総合職・主任」は「総合職掌・指導職二級」に,「総合職・代理」は「総合職掌・指導職一級」に,「一般職・副主任」は「一般職掌・リーダー職三級」に,「一般職・主任」は「一般職掌・リーダー職二級」に,「一般職・代理」は「一般職掌・リーダー職一級」に,それぞれ対応した。 ケ賃金交渉における会社の対応等(甲3ないし35,91,92,94ないし96,乙49,52,57,58,62,63,70ないし72,74ないし76,証人P17,同P19(第1,2回))(ア) 会社は,労働組合との給与改定,一時金交渉において,遅くとも昭和39年から昭和53年までは,回答を男女別に行っていた。 会社の回答は,男性社員については,高卒入社後11年次に店内主任,12年次に主任,13年次に 合との給与改定,一時金交渉において,遅くとも昭和39年から昭和53年までは,回答を男女別に行っていた。 会社の回答は,男性社員については,高卒入社後11年次に店内主任,12年次に主任,13年次に課長代理になるものとして示されたが,女性社員については,男女とも初任給は同じであったのに,入社後数年後から男女間に差が生じるものとして,すなわち年ごとの昇給額は男性社員のほうが多くなるものとして示され,また,店内主任,主任,課長代理になる時期が示されることはなかった。 また,会社は,昭和54年下期からは,「営業テーブル」,「非営業テーブル」,「一般テーブル」の別に,昭和56年下期は「総合(営業)」,「総合(非営業)」,「一般」の別に,昭和58年からは「総合テーブル」,「一般テーブル」の別に,それぞれ回答したが,一般ないし一般テーブルはすべて女性に適用され,その余は男性について適用されるものであった。 なお,会社の昭和58年5月の賃金交渉の際の説明では,「総合テーブル」は外務員資格者・国内外に配属できる者に,「一般テーブル」は,原則として転勤がない者,採用地域が限定・固定的な者に,それぞれ適用されるもので,女性社員は,後者の者であるとされた。 (イ) 会社は,昭和61年,人事制度を改定してからは,賃金テーブルを「総合職」,「一般職」に区別して回答したが,前記のように,女性社員はすべて一般職とされたことから,「一般職」が適用されるのは女性のみであった。 (ウ) なお,労働組合の賃上げ要求も,昭和61年までは,男女別にされていた。 コ会社の人事考課,昇格運用の実態(甲74,89,乙14ないし23,35ないし39,43ないし49,証人P17,同P19(第1,2回))(ア) 人事考課の仕組み会社は,男性高卒社員と女性高卒社員とでは,人事考課の仕 運用の実態(甲74,89,乙14ないし23,35ないし39,43ないし49,証人P17,同P19(第1,2回))(ア) 人事考課の仕組み会社は,男性高卒社員と女性高卒社員とでは,人事考課の仕組みを別にしていた。 男性高卒社員については,年1回,昇給・昇格査定のため,「評価・観察表(A表)」(業績,育成の両面についてのもの。1次評定者は課長,2次評定者は部店長)を用いて評定し,その結果を人事部に集約した(昭和45年までは評定者が評定した「考課表」。平成6年の人事制度改定後は,職階,職位に応じた「能力評定表(A表)」)。賞与については,年2回記入される「賞与査定表(B表)」(評定者は前記と同じ。平成6年の人事制度改定後は,職階に応じた「業績評定表(B表)),本人作成の「自己申告書(C表)」,部店長作成の「人事計画表(D表)」等を集約した。 一方,女性高卒社員については,評定は,年2回部店長が記入する「勤務成績申告書」(昭和52年9月期以降は「勤務成績観察評定表」)により行った(平成6年の人事制度改定後は,職階,職位に応じた「業務遂行能力評定表(A表)」により月例賃金の査定を,職階に応じた「業務成績評定表(B表)」により賞与査定を,それぞれ行った。)。女性高卒社員の評定においては,男性高卒社員の場合と異なり,育成に関する事項等は含まれていない。なお,代理待遇の女性社員であっても,他の一般女性社員と同様の評定表であった。 (イ) 会社は,これらの評定表等に基づき,昇給・昇格の運用を行った。 a 男性社員の場合,「評価・観察表(A表)」が,毎年1回行われる昇給査定の基本的資料とされ,これに基づき人事部が昇給原案を作成し,最終的に取締役会の場で各男性社員の昇給幅が決定された。賞与については,「賞与査定表(B表)」により部店長が半年間の業 1回行われる昇給査定の基本的資料とされ,これに基づき人事部が昇給原案を作成し,最終的に取締役会の場で各男性社員の昇給幅が決定された。賞与については,「賞与査定表(B表)」により部店長が半年間の業績を評定し,その結果を人事部に集約して,人事部が賞与査定原案を作成し,最終的に取締役会の場で各男性社員の賞与額が決定された。 昇格については,直近数年間の昇給査定結果をもとに人事部が策定した昇格原案について,昇給査定と同様の手続を経て取締役会で決定された。 課長代理への昇格の基準は,①現に主任の役職にあり,入社後12年を経過すること,②課長代理として会社が求める基準に達していることであり,毎年の昇給査定の内容,勤怠状況,懲戒処分の有無及びその軽重などの情報を総合的に検討した上,人事部案を下に,取締役会の決議によって課長代理昇格を決定した(ただし昭和51年以降は,人事部と担当取締役が協議検討して決定している。)男性高卒社員であっても,②の水準に達していないと判断されて課長代理に昇格されなかった者もあったが,現実には,①の基準に達している限り,特段の事情がない限り,課長代理に昇格していた。 b 女性高卒社員については,「勤務成績申告書」(男性社員とは異なり,1枚に複数の者について記入する。)をもとに,賞与査定を行い,これをもとに昇給査定をした。さらに,昇給査定や現場の長の意見をもとに処遇の改定をするが,その基準は,能力,勤怠に加え,滞留年数等も考慮して人事部長が最終的決定を行っていた。 しかし,高卒女性社員が課長代理(昭和61年4月以降は「総合職課長代理」,昭和62年以降は「一般職代理」)待遇となるのは,昭和63年6月までは,早くとも入社後24年次であり,同年7月以降は早くとも入社後19年次であった上,昇格対象者中実際に昇格する者の数は少なく, 」,昭和62年以降は「一般職代理」)待遇となるのは,昭和63年6月までは,早くとも入社後24年次であり,同年7月以降は早くとも入社後19年次であった上,昇格対象者中実際に昇格する者の数は少なく,平成4年当時,課長代理(「一般職代理」)に昇格した者は対象者60名のうちわずか3名であった。(甲74)サ大卒女性・短大卒女性の募集,採用及び人事制度改定後の募集,採用について(乙29ないし34,41,42,49,147ないし151,証人P17)(ア) 会社は,昭和43年から短大卒業予定の女性の募集,採用を始め,大学卒業予定の女性の募集,採用は,昭和49年及び昭和50年に行った後一時中断し,昭和60年に再開した。 (イ) 昭和61年に人事制度を改定し,総合職と一般職の区分を設けてからは,会社は,総合職については,それまで男性の大学卒業予定者のみを募集していたのを昭和62年から男女を問わず大学卒業予定の者を募集することにしたが,一般職については,大学,短大,高校卒業予定の女性のみを募集,採用した。総合職の求人票(乙34)では,「職種」は「営業部門・スタッフ部門・海外部門・総務部門」と,「勤務予定地」は「本社,本店,各支店,海外拠点」とされた。 一般職については,高卒,短大卒予定者につき,募集要領(乙32)を作成したが,そこでは,勤務地は本社及び全国各支店とされ,また,具体的に従事する業務は示されてはいなかった。高卒予定者用の求人票(乙31)では,「職種」は「事務職」と,「作業内容等」は「一般事務(伝票整理,対顧客精算事務,電話交換等)・営業事務補助」と,「就業場所」は「本社及び各支店」と,短大卒予定者用の求人票(乙33)では,「職種」は「一般事務・営業事務補助」と,「勤務予定地」は「本社,本店,各支店」とされた。 なお,会社案内は,総合職用 と,「就業場所」は「本社及び各支店」と,短大卒予定者用の求人票(乙33)では,「職種」は「一般事務・営業事務補助」と,「勤務予定地」は「本社,本店,各支店」とされた。 なお,会社案内は,総合職用(乙29)と一般職用(乙30)に分けて作成していたが,一般職用の会社案内では,証券会社の業務や支店内各課の業務の説明はあるものの,一般職の従事する業務が定型的・禰助的業務であるといった説明はなかった。(乙49,証人P17は,採用対象者に応じ,基幹的業務を担当するか,定型的・補助的業務を担当するかを明示したとするが,裏付けとなる証拠はない上,乙153に照らし,にわかに採用できない。)。 現実に会社が総合職に女性を採用したのは昭和63年4月からであった。 (ウ) 平成6年に人事制度を改定し,総合職掌,一般職掌の区別を設けた後も,その募集,採用は,(イ)の総合職,一般職の募集,採用と基本的に同様であったが,平成11年4月以降は,会社は,一般職掌についても,男女を問わず,募集,採用活動をしている。 シ均等法の成立及びこれに関する通達(ア) 平成9年6月,旧均等法を改正した均等法が成立し,平成11年4月1日から施行された。均等法では,「事業主は,労働者の募集及び採用について,女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない。」(5条),「事業主は,労働者の配置,昇進及び教育訓練について,労働者が女性であることを理由として,男性と差別的取扱いをしてはならない。」(6条)とされ,それまでの努力義務の規制が強行規定・禁止規定とされた。(顕著な事実)(イ) 労働省女性局は,コース別雇用管理につき,平成3年10月,「コース別雇用管理の望ましいあり方」と題する通達を発していたが,均等法の成立・施行後,平成12年6月16日,均等法等の規定内容に照らし事業主が留 省女性局は,コース別雇用管理につき,平成3年10月,「コース別雇用管理の望ましいあり方」と題する通達を発していたが,均等法の成立・施行後,平成12年6月16日,均等法等の規定内容に照らし事業主が留意すべき事項について,「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」と題する通達(留意事項)を発出した。留意事項では,企画的業務や定型的業務等の業務内容や,転居を伴う転勤の有無等によって幾つかのコースを設定して,コースごとに異なる配置・昇進,教育訓練等の雇用管理を行うシステムを「コース別雇用管理」と呼称し,次に掲げるような事項については,それを行うと明らかに均等法に違反することになるとしている。(甲213)○ 「総合職」(基幹的業務又は企画立案,対外折衝等総合的な判断を要する業務に従事し,転居を伴う転勤があるコース)は男性のみ,「中間職」(総合職に準ずる業務に従事するが転居を伴う転勤はないコース)や「一般職」(主に定型的業務に従事するが転居を伴う転勤はないコース)は女性のみといった制度を作るなど,一方の性の労働者のみを一定のコース等に分けるといった制度運営を行うこと。 ○ 「総合職」をはじめとするいずれのコース等についても男女とも配置とすることがあり得る制度とするなど,形式的には男女双方に開かれた制度になっているが,例えば,「総合職」は男性のみとする慣行があるなど,実際の運用において男女異なる取扱いを行うこと。 ○ コース等の各区分における募集,採用の際に,男女別で選考基準や採用基準に差を設けた上で行うこと(例えば,転勤があることが条件になっているコース等に応募した者のうち,女性に対してのみ,面接等において転勤の意思を確認すること等)。 ○ コース等の各区分における配置,昇進,教育訓練等の雇用管理について,男女別で運用基準に差を設けた上で行 ース等に応募した者のうち,女性に対してのみ,面接等において転勤の意思を確認すること等)。 ○ コース等の各区分における配置,昇進,教育訓練等の雇用管理について,男女別で運用基準に差を設けた上で行うこと(例えば,「総合職」であっても女性については営業業務から排除すること等)。 ○ コース等で区分した雇用管理を導入,変更又は廃止するに当たって既存の労働者をコース等の各区分に分ける際に,性別を理由に一律に分けたり,一定のコース等に分ける場合に女性にのみ特別な要件を課す等,男女で異なる取扱いをすること(例えば,女性労働者をすべて「一般職」に分けること,男性は全員「総合職」とするが,女性は希望者のみ「総合職」とすること等)。 (3) 前記認定事実に基づき,検討する。 ア被告訴訟引受人は,男女の処遇の差は,その業務の違い(男性は基幹的業務・女性は定型的・補助的業務)によって採用を異にしたことによるものであると主張する。 会社の行う証券業務には,多種多様のものがあり,この中には高度の専門的知識・能力を必要とするものから,そのような知識・能力をそれほど必要としない定型的なものまで様々なものが存在しているということができる((2)ア,オ,キ)。 このような,会社の行う証券業務の多種多様性からすれば,会社の行う証券業務について,これを被告訴訟引受人主張のように基幹的業務と定型的・補助的業務に明確かつ截然と区別することは困難であり,処理の困難度の高いものから低いものまで,その程度が異なるものが様々あるという程度で,両者の差異は相対的なものというべきである。 会社の社員が行う業務内容,原告らや男性高卒社員が現実に担当してきた業務((2)ア,オ,キ)からすれば,会社は,高卒採用者につき,男性社員については比較的処理の困難度の高い業務に,女性社員について 会社の社員が行う業務内容,原告らや男性高卒社員が現実に担当してきた業務((2)ア,オ,キ)からすれば,会社は,高卒採用者につき,男性社員については比較的処理の困難度の高い業務に,女性社員については比較的処理の困難度の低い業務に,それぞれ従事させてきたということはできるが,両者の境目は明らかではなく,その一部は重なり合っていたものと認めるのが相当である。現実に原告らが担当してきた業務についても,その内容からすれば,一定の専門的知識・能力が要求されるものが含まれているということができ,単なる定型的・補助的業務として扱われるものばかりであるとはいえない。これらのことは,原告らの従事した業務の内容((2)オ(ア)j,(ウ)l,(オ)n,(キ)k,(ク)e等)や総務課長らが担当していた業務を原告P9が担当した事実((2)オ(ウ)l)からも明らかである。 そして,会社は,原告らの採用に当たり,原告らに対して,原告らが従事する業務は定型的・補助的業務であると説明したわけでもない。 したがって,原告らを定型的・補助的業務に従事するものとして採用したとの被告訴訟引受人の主張は,それが原告らを同業務のみに従事するものとして採用したというのであれば,採り得ないというべきである。 イしかしながら,会社は,高卒社員(高卒後中途採用の社員を含む。以下同じ。)の募集,採用において,男性については,職種は明示しないか又は「事務職」とし,勤務地は限定しないとしているのに対し,女性については,職種を「一般事務員,タイピスト,受付,電話交換手等」又は「一般事務職」ないし「事務」とし,採用条件を自宅(親許)から通勤できる範囲とし,勤務店を一定地域ないし支店としており((2)ウ(ア)),試験も男女別に行っており,採用にあたり,少なくとも勤務地については,両者を区別して 務」とし,採用条件を自宅(親許)から通勤できる範囲とし,勤務店を一定地域ないし支店としており((2)ウ(ア)),試験も男女別に行っており,採用にあたり,少なくとも勤務地については,両者を区別しているのである。 したがって,この募集,採用により,原告らと会社の労働契約は,職種を前記のとおりとし,かつ,勤務地を一定地域ないし支店とする勤務地に限定のあるものとして締結されたと認めるのが相当であり,このことは,採用後の配置において,男性については,出身地等に関係なく全国に配置し,その後も全国的な異動を行っているのに対し,女性については,そのような配置ではなく,自宅(親許)から通勤可能な範囲で配置し,配置後は同一部店で勤務させているのが大半であり,全国的な異動の対象とはされていないこと((2)エ(ア),(イ))からも裏付けられる。 このような,高卒男性社員,女性社員の募集,採用条件,採用後の配置,異動状況のほか,採用後の男女の研修体系が異なっていること((2)エ(ウ)),全国的な異動をするものとして予定されている者(男性社員)と勤務地に限定のある者(女性社員)とでは,積む経験,知識も自ずから異なるものと考えられること,原告らが入社したころの女性の労働意識は,結婚又は出産まで勤務するとする者が大半であり,女性従業員の勤続年数は短かったこと,昭和52年ころにおいても,男女とも採用する企業の採用条件は,男女とも同じとする企業が約7割であったものの,男女で異にしていた企業も約3割あったこと,採用後の配置でも,約9割の企業において,外部との折衝が多いことや判断の高度性などを理由に,女性を全く配置していない仕事があり,女性に定期的な配置転換を行っていない企業が約3割,また,女性に昇進の機会のない企業が約5割であり,昇進の機会がある企業においても,係長 断の高度性などを理由に,女性を全く配置していない仕事があり,女性に定期的な配置転換を行っていない企業が約3割,また,女性に昇進の機会のない企業が約5割であり,昇進の機会がある企業においても,係長ないし課長相当までとするのが約7割であったことといった調査結果があること((2)イ)を併せ考えると,会社は,当時の社会情勢を踏まえた企業としての効率的な労務管理を行うため,男性社員については,主に処理の困難度の高い職務を担当し,将来幹部社員に昇進することが予定される者として処遇し,また,その勤務地も限定しないものとし,他方,女性社員については,そのような処遇をすることは予定せず,主に処理の困難度の低い業務に従事する者として処遇し,また,勤務地を限定することとしたものというべきであり,社員の採用にあたっても,このように男女で異なった処遇をすることを予定していたことから,男女別に異なった募集,採用方法を取っていたものと認められる。 したがって,会社は,高卒社員につき,被告訴訟引受人主張のようにまず職種の違いがあることを前提とするものではなく,男女の性による違いを前提に男女をコース別に採用し,その上でそのコースに従い,男性社員については主に処理の困難度の高い業務を担当させ,勤務地も限定しないものとし,他方,女性社員については主に処理の困難度の低い業務に従事させ,勤務地を限定することとしたものと認めるのが相当である。そして,その結果,賃金交渉における会社の対応((2)ケ)や人事考課,昇格運用((2)コ)から明らかなように,会社においては,入社後の昇格・賃金についても,その決定方法,内容が男女のコース別に行われていたもので,それに伴い,昇格時期,昇格内容及びこれに伴って賃金にも格差が生じていたということができる。 ウ原告らと会社との間で締結された労 についても,その決定方法,内容が男女のコース別に行われていたもので,それに伴い,昇格時期,昇格内容及びこれに伴って賃金にも格差が生じていたということができる。 ウ原告らと会社との間で締結された労働契約の内容は,前記イのとおりであると解すべきところ,会社は,男女で異なる取扱いをする旨の労使慣行が成立していたことを理由に,原告らとの労働契約の内容は被告訴訟引受人主張のとおりであるとするが(第3章第2(被告訴訟引受人)5(3)),そのような確立した労使慣行が成立していたことを認めるに足りる証拠はない。 3 格差の合理性について(1) 前記2(3)イのとおり,会社は,原告らの入社当時,職種を男性については明示しないか事務職とし,女性については「一般事務員,タイピスト,受付,電話交換手等」又は「一般事務職」ないし「事務」としつつ,会社が入社後男女別に予定する処遇と全国的な異動の有無により,男女をコース別に採用,処遇していたということができるが,このような採用,処遇の仕方は,その採用,処遇を性によって異にするというものであるから,法の下の平等を定め,性による差別を禁止した憲法14条の趣旨に反するものである。 しかしながら,憲法14条は,私人相互の関係を直接規律することを予定したものではなく,民法90条の公序良俗規定のような私的自治に対する一般的制限規定の適用を介して間接的に適用があるに止まると解するのが相当である。そして,性による差別待遇の禁止は,民法90条の公序をなしていると解されるから,その差別が不合理なものであって公序に反する場合に,違法,無効となるというべきである。以下,この見地から検討する。 (2)ア原告らが入社した当時,性による差別を禁じた実体法の規定としては,労基法4条があり,「使用者は,労働者が女性であることを理由として,賃 となるというべきである。以下,この見地から検討する。 (2)ア原告らが入社した当時,性による差別を禁じた実体法の規定としては,労基法4条があり,「使用者は,労働者が女性であることを理由として,賃金について,男性と差別的取扱いをしてはならない。」と定めている(当時の文言は,「女性」,「男性」ではなく,「女子」,「男子」)。また,同法3条は,「使用者は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的取扱いをしてはならない。」と定めている。 労基法3条は,その文言から明らかなように,性による差別の禁止を規定したものではなく,また,労働条件についての差別的取扱いを禁止しているに止まる。募集,採用に関する条件は労働条件に含まれないから,会社のとった男女のコース別採用,処遇が労基法3条に違反するとはいえない。 また,労基法4条は,性による賃金差別を禁止しているに止まるから,採用,配置,昇進などの違いによる賃金の違いは,同条に違反するものではなく,会社が行った男女のコース別の採用,処遇の違いにより男女間に賃金に差が生じても,それは,採用,配置,その後の昇進の違いによるものであるから,同条に直接違反するともいえない。 なお,昭和60年に制定された旧均等法は,募集,採用,配置,昇進についての男女の差別的取扱いに関して規定しているが,それをしないことを使用者の努力義務に止めており,その禁止が使用者の法的義務にまで高められたのは均等法(平成9年6月制定。平成11年4月1日より施行)になってからである((2)ク(イ)b,シ(ア))。 イ原告らが入社した当時において,会社が社員の募集,採用について,男性については,主に処理の困難度の高い職務を担当し,将来幹部社員に昇進することが予定される者であることから,勤 )b,シ(ア))。 イ原告らが入社した当時において,会社が社員の募集,採用について,男性については,主に処理の困難度の高い職務を担当し,将来幹部社員に昇進することが予定される者であることから,勤務地に限定のない者として,他方,女性については,主に処理の困難度の低い業務に従事することが予定される者であることから,勤務地に限定のある者として,男女別に行ったことは,女性に男性と均等の機会を与えなかった点で男女を差別するもので,法の下の平等に反するものとして公序に反するのではないかが問題となる。 しかしながら,前記アのとおり,社員の募集,採用に関する条件は,労基法3条の定める労働条件ではなく,また,前記(1)のような形態の男女のコース別の採用,処遇が労基法4条に直接違反するともいえないこと,原告らの入社当時,募集,採用,配置,昇進についての男女の差別的取扱いをしないことを使用者の努力義務とする旧均等法のような法律もなかったこと,企業には労働者の採用について広範な採用の自由があることからすれば,会社が,原告らの入社当時,社員の募集,採用について男女に均等の機会を与えなかったからといって,それが直ちに不合理であるとはいえず,公序に反するものとまではいえない。 ウ会社は,採用後も男女社員について異なる処遇をしているのであるが,原告らの採用時にその旨の説明はしていないし,原告らの採用時の会社の就業規則にもその旨の規定はない((2)オ(ア)a,ク(ア))。 しかしながら,使用者である企業は,労働者を雇用するに当たり,個別労働者と労働契約を締結するのであるから,企業が当該労働者に対して説明義務を負う範囲は,当該労働者との労働契約の内容となる労働条件に止まると解するのが相当であり,当該労働者に対し,他の労働者の労働条件についてまで説明する義務があると から,企業が当該労働者に対して説明義務を負う範囲は,当該労働者との労働契約の内容となる労働条件に止まると解するのが相当であり,当該労働者に対し,他の労働者の労働条件についてまで説明する義務があるとすることはできない。 原告らは,勤務地に限定のある社員として,職種を「一般事務員,タイピスト,受付,電話交換手等」,「一般事務職」などとする募集に応募して採用されたものであり,その後も,勤務地に限定のある一般職ないし一般職掌として,また,採用時に示された職種に携わる者として処遇されているから,その処遇について,原告らが締結した労働契約との間に違いはない。 エ使用者である企業は,採用後の社員の処遇についても広範な労務管理権を有しているから,社員に区分を設け,その区分に応じた処遇を行うことができると解されるが,前記イ,ウのような形態での男女別の採用,処遇をすることは,性別に基づくものであって,少なくとも均等法が施行された平成11年4月以降において,このような男女のコース別に社員を採用した上,男女に区分して処遇をすることが合理的であるということはできないから,会社が均等法施行後においてこの採用,処遇をすることは,均等法に違反すると同時に,公序に反するものとして違法であることは明らかである。 しかしながら,前記2(3)イによれば,原告らが入社した当時は,一般的にみて,企業においては,女性について全国的な異動を行うことは考え難かったといえるから,企業においても効率的な労務管理を行うためには,女性社員の採用,処遇についても,そのことを考慮せざるを得ず,これを考慮した会社の男女のコース別の採用,処遇が,原告らの入社当時において,不合理な差別として公序に反するとまでいうことはできない。また,前記2(3)アのように,男性と女性では,その従事する業務は一部 考慮した会社の男女のコース別の採用,処遇が,原告らの入社当時において,不合理な差別として公序に反するとまでいうことはできない。また,前記2(3)アのように,男性と女性では,その従事する業務は一部重なり合っていたものの,全く同一というわけではないから,このような会社のした男女のコース別の採用・処遇が労基法4条に違反し,不合理な差別であって公序に反するとまでいうこともできない。 なお,原告らは,国際人権規約,ILO条約,女性差別撤廃条約を根拠に,会社のした男女差別は違法であるとも主張するが,以上検討した会社の男女のコース別の採用,処遇の経緯,内容からすれば,これがこれらの条約に直ちに違反するとすることもできない。 オその後会社は,昭和61年から人事制度を改め,総合職と一般職の区別を設けているが,男性社員はすべて総合職に,女性社員は,課長代理待遇であったごく少数の者を除き,すべて一般職に位置付けているのであるから(2(2)ク(イ)),会社の男女のコース別の処遇が人事制度の改定によって変わったとすることはできない。会社の人事制度の改定は,昭和60年に旧均等法が制定され,昭和61年4月から施行されることから,これに対処し,男女のコース別の処遇を引き続き維持するため,総合職,一般職の区別を設けたにすぎないと認めるのが相当である。 また,会社は,その後平成6年に再度人事制度を改め,総合職を総合職掌,一般職を一般職掌とし,その職務内容等を規定しているが(2(2)ク(エ)),そこにいう基幹的業務と定型的・補助的業務との区別が相対的なものにすぎないことは前記2(3)アのとおりであり,会社は,従来の総合職社員はすべて総合職掌に,従来の一般職社員はすべて一般職掌に振り分けているのであるから,同制度の改定により,男女のコース別の処遇が改められたとはいえ 記2(3)アのとおりであり,会社は,従来の総合職社員はすべて総合職掌に,従来の一般職社員はすべて一般職掌に振り分けているのであるから,同制度の改定により,男女のコース別の処遇が改められたとはいえない。 しかしながら,旧均等法は,前記アのとおり男女で差別的取扱いをしないことを努力義務に止めているのであり,前記エで述べたところを併せ考えると,旧均等法が制定,施行されたからといって,会社の男女のコース別の処遇が公序に反して違法であるとまでいうことはできない。 カその後平成9年に均等法が制定され,平成11年4月1日から施行されているところ,同法が定めた男女の差別的取扱い禁止は使用者の法的義務であるから,この時点以降において,会社が,それ以前に会社に入社した社員について,男女のコース別の処遇を維持し,男性を総合職掌に位置づけ,女性のほとんどを一般職掌に位置づけていることは,配置及び昇進について,女性であることを理由として,男性と差別的取扱いをするものであり,均等法6条に違反するとともに,公序に反して違法であるというべきである。すなわち,原告らが会社と締結した,職種を一般事務職等とし,勤務地に限定のあるものとする労働契約のうち,勤務地に関する部分は配置に関するもので,同部分は,会社が男女という性の別によりコース別での配置等の処遇をするためのものであるというほかないところ,均等法施行以後会社に採用された女性社員については,同法施行後の男性社員及び女性社員についての採用形態(2(2)サ)からすれば,男性と同様に扱われているとはいえるものの,均等法施行以前に会社に入社した女性社員である原告らについては,前記のとおり均等法施行後もなおそれまでの男女の性の別によるコース別の処遇を維持しているのであり,そのような処遇を維持することは,均等法の施行以後にお に会社に入社した女性社員である原告らについては,前記のとおり均等法施行後もなおそれまでの男女の性の別によるコース別の処遇を維持しているのであり,そのような処遇を維持することは,均等法の施行以後においては,均等法が配置における男女差別を禁止したことにより,違法となり,無効となったものというべきである。 この間,会社は,昭和62年4月以降,女性社員の大半が属する一般職ないし一般職掌から男性社員の属する総合職ないし総合職掌への職種転換制度を設け,女性社員についても職域の拡大を図る努力をしている(2(2)ク(ウ))。しかしながら,職種転換制度は,一般職ないし一般職掌から総合職ないし総合職掌への転換のみを認めるもので,両職ないし両職掌の転換に互換性があるわけではないこと,一般職ないし一般職掌から総合職ないし総合職掌への転換に当たっても,上司の推薦を必要とし,一定の試験に合格した者のみの転換を認めていることからすれば,会社の設けた職種転換制度は,女性社員の大半が属する一般職ないし一般職掌と男性社員の属する総合職ないし総合職掌との間で差異を設け,また,女性に対して特別の条件を課するものといわざるを得ず(2(2)シ(イ)参照),配置に関する会社の労務管理権を考慮しても,会社が,総合職ないし総合職掌を勤務地の限定のない者としたことや,総合職掌について一種外務員資格の取得を義務づけた点はともかくとして,職種転換制度の存在により,配置における男女の違いが正当化されるとすることはできない。 なお,原告らは,職種転換制度を利用していないが,このように職種転換制度に問題がある以上,原告らがこれを利用しないことはこの判断を左右するに足りない。 会社は,昭和62年以降,勤務地に限定のない総合職ないし総合職掌についても男女を問わず募集し(現実の女性の採用は昭和 問題がある以上,原告らがこれを利用しないことはこの判断を左右するに足りない。 会社は,昭和62年以降,勤務地に限定のない総合職ないし総合職掌についても男女を問わず募集し(現実の女性の採用は昭和63年4月以降),平成11年4月以降,勤務地に限定のある一般職掌についても男女を問わず募集,採用しているが(2(2)サ),原告らの入社当時の労働契約は,男女のコース別であったのであるから,このことを理由に,原告らの労働契約の勤務地に関する部分が有効であるとすることもできない。 (3) 以上によれば,前記1の男女間の格差は,会社が,男性社員については,主に処理の困難度の高い職務を担当し,将来幹部社員に昇進することが予定され,勤務地に限定のない者として,他方,女性社員については,主に処理の困難度の低い業務に従事することが予定され,勤務地に限定のある者として,男女のコース別に採用,処遇してきたことによるものであるが,原告らが入社した当時において,男性は前者に,女性は後者に属するものとしたことには一定の合理性があり,それが公序に反するものとまではいえないものの,均等法の施行された平成11年4月1日以降は,原告ら(原告P13を除く。)と会社との労働契約中,前記の処遇部分は,同法6条に違反するとともに,不合理な差別として公序に反することになったというべきである。 しかしながら,原告P13は,均等法施行前の平成10年4月30日に会社(旧野村證券株式会社)を退職しているから,原告P13と会社との労働契約が違法又は無効であるということはできない。 第3 争点3(地位等の確認)について 1 各原告らの,職位表の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける労働契約上の地位にあること 等の確認)について 1 各原告らの,職位表の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職慰労金規程及び退職年金規程の適用を受ける労働契約上の地位にあることの確認,原告P1及び原告P13の,その請求に係る退職年金額を受ける地位にあることの確認の訴えが訴えの利益を欠いた不適法なものであることは,前記第1のとおりであるから,以下,各原告らの,各原告らが総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われる労働契約上の地位にあることの確認請求について検討する。 2 労働契約に基づく請求について(1) 各原告らは,高卒入社後13年次で課長代理に昇格させるとの昇格基準が各原告らと会社との労働契約の内容となっていた旨主張するが(第3章第3(原告ら)1(1)),この昇格基準が各原告らと会社との労働契約の内容となっていたことを認めるに足りる証拠はない。 (2) また,各原告らは,使用者に労働契約上男女を平等に取り扱う義務があるとして,男性と同様,各原告らを高卒入社後13年次で課長代理に昇格させる義務があるとも主張するが(第3章第3(原告ら)1(2)),労働契約は,使用者と労働者との個別の契約であり,前記第2の2(3)イでみた各原告らと会社との労働契約の内容からすれば,各原告らが会社と締結した労働契約において,労働契約上の具体的な法的義務として使用者である会社に男女を平等に取り扱う義務がその内容となっていたとするのは困難であり,会社に,労働契約上,各原告らを高卒入社後13年次で課長代理に昇格させる義務があるとはいえない。 3 労基法13条に基づく請求について会社においては,各原告らとほぼ同時期に入社した高卒男性社員は,一部の例外を除き,入社後13年次で課長代理に昇格しているが,各原告ら高卒女性社員は,このよう 3 労基法13条に基づく請求について会社においては,各原告らとほぼ同時期に入社した高卒男性社員は,一部の例外を除き,入社後13年次で課長代理に昇格しているが,各原告ら高卒女性社員は,このように処遇されていない(第2の1(1)ア,第2の2(2)コ(イ)b)。 しかしながら,会社は,会社における社員の昇格については,査定,選抜を行い,昇格決定の発令を経た上で昇格させているのであり(第2の2(2)コ),この昇格の決定についての使用者の総合的裁量的判断は尊重されるべきであるから,一般的には,発令行為のない段階で「あるべき昇格」を認めるのは困難であること,各原告らが入社した当時,会社のとっていた男女のコース別の採用,処遇が公序に反するものとまではいえないこと,この間に勤務地を異にすること等により,男性社員と女性社員との間で積まれた知識,経験にも違いがあったと考えられ(このことは,均等法施行後を取り出してみても同様である。),したがって,この男性社員についての昇格状況が各原告ら主張のように会社における男性社員の昇格基準であったとしても,そのことから,直ちに高卒女性社員についても同様の昇格をさせるべきであったともいえないこと,以上のことからすれば,会社が各原告らを入社後13年次で課長代理に昇格させなかったからといって,そのことが違法とはいえず,各原告らにその昇格請求権があるともいえないから,労基法13条に基づく各原告らの地位確認請求も理由がないといわざるを得ない。 第4 争点4(差額賃金等の請求権)について 1 前記第2,第3で判断したところによれば,原告P13に差額賃金等の請求権があるとはいえないし,その余の原告ら(以下,第4ないし第6では,単に「原告ら」ともいう。)の差額賃金等の請求権は,平成11年3月31日までのものについてはその請求権が 告P13に差額賃金等の請求権があるとはいえないし,その余の原告ら(以下,第4ないし第6では,単に「原告ら」ともいう。)の差額賃金等の請求権は,平成11年3月31日までのものについてはその請求権があるとはいえない。原告らについては,平成11年4月1日以降のものが問題となるので,以下これについて検討する。 2 労基法4条に基づく請求について会社においては,昇格することにより賃金も変わってくることになるが(第2の1(1)イ),労基法4条は,男女同一賃金の原則をうたっているとはいえ,「使用者は,労働者が女性であることを理由として,賃金について,男性と差別的取扱いをしてはならない。」と規定しているにとどまるから,文言上,同条から差別を受けた女性の差額賃金請求権が直接発生するとすることは困難であり,同条に基づき,原告らが差額賃金請求権を有するとはいえない。 3 労基法13条に基づく請求について(1) 前記3の2(2)のとおり,会社が労働契約上,具体的法的義務として,原告らに対し,原告ら主張の男女平等取扱い義務を負っているとはいえない。 (2) また,前記第2,第3で判断したとおり,原告らが入社した当時,会社のとっていた男女のコース別の採用,処遇が公序に反するものとまではいえないこと,この間に勤務地を異にすること等により,男性社員と女性社員との間で積まれた知識,経験にも違いがあったと考えられ,この知識,経験の違いが昇格にも反映すると考えられることからすれば,原告らが入社後13年次に課長代理に昇格したものとして差額賃金等の請求権を有するとはいえないから,均等法施行以降の原告らと比較対象男子との賃金格差が前記第2章第2の5のとおりである(ただし,該当時期分)からといって,それをそのまま原告らの差額賃金であるとすることはできない。 さらに,以上のこと 等法施行以降の原告らと比較対象男子との賃金格差が前記第2章第2の5のとおりである(ただし,該当時期分)からといって,それをそのまま原告らの差額賃金であるとすることはできない。 さらに,以上のことからすれば,仮に原告ら主張のように,原告らに対する賃金,資格の定めが無効であり,原告らに対し一般職ないし一般職掌の賃金体系を適用することが無効であるとしても,高卒入社後13年次に課長代理に昇格し,現在では総合職掌指導職一級の資格にある同期男性社員の基準が原告らに適用されるべき基準であるとすることはできないというほかない。したがって,原告らの労働契約を規律するところの無効となった部分を補充する,原告らに適用すべき明確な基準があるとはいえないことになるから,この点からしても,原告らに差額賃金等の請求権があるとはいえない。 4 以上によれば,原告らの差額賃金等の請求は,理由がない。 第5 争点5(差額賃金等相当損害金の請求権)について 1 前記第2,第3で判断したところによれば,原告P13に差額賃金等相当損害金の請求権があるとはいえず,その余の原告らの差額賃金等相当損害金の請求権は,平成11年4月1日以降のものが問題となる。 前記第2の3(2)カで判断したところによれば,会社は,均等法が施行された平成11年4月以降も,同法により禁止されているにもかかわらず,それまでの原告らに対する男女のコース別の処遇を維持していたのであるから,少なくとも男女のコース別の処遇を維持することを容認していたもので,会社には,違法な男女差別を維持したことについて過失があるというべきである。 2 したがって,会社は,原告らに対し,男女差別という不法行為によって原告らが被った損害を賠償する義務がある。 原告らについては,違法な男女差別により賃金等について男性社員と格差が生じてい ある。 2 したがって,会社は,原告らに対し,男女差別という不法行為によって原告らが被った損害を賠償する義務がある。 原告らについては,違法な男女差別により賃金等について男性社員と格差が生じているのであるから(第2の1(1)イ),原告らに損害が生じたこと自体は認められるといえるが,原告らと比較対象男子との賃金等の格差が前記第2章第2の5のとおりである(ただし,平成11年4月以降の分)からといって,それまでの違法とはいえない男女のコース別の処遇により,男性社員と女性社員とでは,知識,経験を異にしていると考えられることは前記第3の3のとおりであるから,その格差分がそのまま原告らの損害額であるとすることはできず,原告らの具体的損害額を確定することは困難である。そこで,この点は,原告らの慰謝料の算定に当たって考慮することとする(後記第6の1のとおり,被告訴訟引受人には慰謝料支払義務がある。)。なお,民事訴訟法248条がこのような取扱いを否定するものとは解されない。 第6 争点6(慰謝料,弁護士費用の請求)について 1 慰謝料について(1) 前記第5で判断したところによれば,原告P13を除くその余の原告らは,会社のした違法な男女差別により,性により差別されないという人格権を侵害されたものということができるから,会社は,原告らが被った精神的苦痛に対する慰謝料を支払う義務がある(第5の2のとおり,原告らの財産的損害の算定は困難であり,このことも慰謝料の斟酌事由となると解されるから,被告訴訟引受人主張のように,原告らの財産的損害がてん補されることにより,原告らの精神的損害も慰謝されたとすることはできない。)。 会社のした男女差別の態様,その期間(平成11年4月以降),この期間における原告らと比較対象男子との賃金等の格差の額,原告らの有する外務員資格 告らの精神的損害も慰謝されたとすることはできない。)。 会社のした男女差別の態様,その期間(平成11年4月以降),この期間における原告らと比較対象男子との賃金等の格差の額,原告らの有する外務員資格の種別(原告P2,同P9,同P10の外務員資格は一種に相当する。)その他本件に現れた諸般の事情を総合すると,原告らの慰謝料額は,原告P2については490万円,原告P3,同P4,同P1,同P5,同P6,同P7,同P8については各人当たり440万円(原告P1については,賃金等の差額が退職金にも反映されていることを考慮する。),原告P9,同P10については,各人当たり400万円,原告P11については370万円,原告P12については350万円と認めるのが相当である(この期間の原告らの慰謝料請求額はこの認定額を下回るが,原告らは同期間に他に賃金等の損害賠償も請求しており,前記のとおり,この認定額は原告らの財産的損害の算定が困難であることも斟酌したことからすれば,慰謝料の補完的作用からして,この額を認定することが弁論主義に反するものではない。)。 したがって,会社は,前記原告らに対し,以上の金額とこれに対する不法行為日である平成11年4月1日(均等法施行の日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある(不法行為に基づく損害賠償請求金の遅延損害金率が原告ら主張のように年6分であるとする特段の根拠はない。以下,弁護士費用を認容する場合の遅延損害金の額及びその始期については同じ。)。 (2) しかしながら,均等法施行前に会社を退職した原告P13に対しては,違法な男女差別があったとはいえないから,原告P13の慰謝料請求は理由がない。 2 弁護士費用について(1) 不法行為の被害者が,自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくさ 13に対しては,違法な男女差別があったとはいえないから,原告P13の慰謝料請求は理由がない。 2 弁護士費用について(1) 不法行為の被害者が,自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任した場合には,相当と認められる額の範囲内の弁護士費用は,不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである(最高裁判所昭和41年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号441頁)。これに反する被告訴訟引受人の主張は,採用しない。 弁論の全趣旨によれば,原告らは,会社の男女差別による損害を回復するため原告ら訴訟代理人弁護士らに訴訟追行を委任し,差額賃金等相当損害金及び慰謝料の合計額の1割を支払う旨約したことが認められるところ,本件事案の難易,前記1(1)の認容額その他諸般の事情を総合すると,会社が原告P13を除く原告らに支払うべき弁護士費用は,原告P2については49万円,原告P3,同P4,同P1,同P5,同P6,同P7,同P8については各人当たり44万円,原告P9,同P10については,各人当たり40万円,原告P11については37万円,原告P12については35万円をもって相当と認める。 (2) しかしながら,前記1(2)のとおり,原告P13に対する違法な男女差別があったとはいえないから,原告P13の弁護士費用の請求は理由がない。 第7 結論 1 第24224号事件について(1) 原告らの訴えのうち,原告P1を除く原告らが「職位表」の「課長代理昇格の日付」欄記載の日付をもって課長代理に昇格した総合職掌として,会社の退職慰労金規程,退職年金規程の適用を受ける地位にあることの確認を求める訴え,原告P1が退職年金額の確認を求める訴えは不適法であるから,却下する。 (2) 原告P1を除く原告らの,同原告らが総合職掌「指導職一級」の職位に 年金規程の適用を受ける地位にあることの確認を求める訴え,原告P1が退職年金額の確認を求める訴えは不適法であるから,却下する。 (2) 原告P1を除く原告らの,同原告らが総合職掌「指導職一級」の職位にあるものとして取り扱われることの労働契約上の地位にあることの確認請求,原告らの差額賃金等の請求は,いずれも理由がないから棄却する。 (3) 原告らの差額賃金等相当損害金,慰謝料,弁護士費用の各請求は,前記第6の1(1),2(1)の限度で理由があるから認容すべきであるが,その余は理由がないから棄却する。 2 第12628号事件について(1) 原告P13が退職年金額の確認を求める訴えは不適法であるから,却下する。 (2) 原告P13の差額賃金等,差額賃金等相当損害金,慰謝料,弁護士費用の各請求は,いずれも理由がないから棄却する。 3 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部裁判長裁判官山口幸雄裁判官木納敏和裁判官鈴木拓児
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