令和7(わ)1827 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害

裁判年月日・裁判所
令和7年11月6日 大阪地方裁判所
ファイル
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判決文本文2,771 文字)

主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、B町長として、同町の事務を統括し、同町が発注する公共工事の入札等に関する事務を管理及び執行する職務に従事していたもの、分離前の相被告人Cは、土木建築工事の請負等を業とする株式会社Dの代表取締役として、同社の業務全般を統括していたもの、分離前の相被告人Eは、土木建築工事等を業とする株式会社Fの代表取締役として、同社の業務全般を統括していたもの、分離前の相被告人Gは、同社の従業員として同社における入札業務等に従事していたもの、分離前の相被告人Hは、従前から被告人及びEと親交を結んでいたものであるが、被告人は、第1[起訴状記載の公訴事実第1]令和6年7月30日にB町が執行した「消防本部庁舎仮眠室等個室化改良工事」の指名競争入札に関し、前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、Cと共謀の上、同月29日、B町役場内町長室において、同人に対し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ送信機能を利用して、同入札における秘密事項である最低制限価格(税抜き)を教示し第2[起訴状記載の公訴事実第3]令和6年7月30日にB町が執行した「令和6年度町道本通り線舗装改修工事」の指名競争入札に関し、前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、E、G及びHと共謀の上、同月29日、前記町長室において、Hに対し、電話で、同入札における秘密事項である最低制限価格(税抜き)の近似額を教示し、Hが、同日、大阪府内又 はその周辺において、Gに対し、電話で、同近似額を教示して、その頃、同人 において、Hに対し、電話で、同入札における秘密事項である最低制限価格(税抜き)の近似額を教示し、Hが、同日、大阪府内又 はその周辺において、Gに対し、電話で、同近似額を教示して、その頃、同人をして、Eにこれを教示させ、よって、同月30日、前記B町役場において執行された前記入札において、前記F社をして、前記最低制限価格に近似する1077万円で入札させて同工事を落札させ第3[起訴状記載の公訴事実第5]令和6年12月19日にB町が執行した「中央線11分区汚水管渠布設工事(10工区)」の指名競争入札に関し、前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、E、G及びHと共謀の上、同月18日、前記町長室において、Hに対し、電話で、同入札における秘密事項である最低制限価格(税抜き)の近似額を教示し、Hが、同日、堺市内の商業施設Iにおいて、Gに対し、電話で、同近似額を教示して、その頃、同人をして、Eにこれを教示させ、よって、同月19日、前記B町役場において執行された前記入札において、前記F社をして、前記最低制限価格に近似する1429万円で入札させて同工事を落札させ第4[起訴状記載の公訴事実第7]令和6年12月19日にB町が執行した「令和6年度町道J川左岸線舗装改修工事」の指名競争入札に関し、前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのに、その職務に反し、E、G及びHと共謀の上、同月18日、前記町長室において、Hに対し、電話で、同入札における秘密事項である最低制限価格(税抜き)の近似額を教示し、Hが、同日、前記商業施設Iにおいて、Gに対し、電話で、同近似額を教示して、その頃、同人をして、Eにこれを教示させ、よって、同月19日、前記B町役場において執行された前記入札 き)の近似額を教示し、Hが、同日、前記商業施設Iにおいて、Gに対し、電話で、同近似額を教示して、その頃、同人をして、Eにこれを教示させ、よって、同月19日、前記B町役場において執行された前記入札において、Gから同近似額に近接する価格の教示を受けたKが代表取締役を務める株式会社Lをして、前記最低制限価格に近似する1655万円で入札させもって、それぞれ、入札等に関する秘密を教示することにより入札等の公正を害す べき行為を行うとともに、偽計を用いて公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をしたものである。 (量刑の理由)本件は、B町長であった被告人が、建築会社の経営者らと共謀の上、同町発注の工事4件に関する入札に先立ち、その職務に反して、上記経営者らに対し、入札における秘密事項である最低制限価格やその近似額(最低制限価格を数千円から数万円程度上回る金額。以下、最低制限価格と併せて「最低制限価格等」という。)を教示するなどした事案である。 被告人は、限られた立場の者のみが知り得る指名競争入札の最低制限価格等を、一部の事業者に繰り返し教示していたものであるが、当該行為により教示を受けた事業者の公共工事の落札が容易になることは明らかであり、本件犯行は、入札の公正を著しく害するものといえる。また、入札案件がいずれも最低制限価格1000万円を超える一定規模のものであることや、判示第2及び第3の入札案件にあっては、教示を受けた事業者が実際に落札に至っていることも考慮すると、本件各行為により入札の公正が害された程度も小さくはない。 被告人は、B町長として、町政全般を適切に運営することが誰よりも求められる立場にありながら、かえってその立場を不正利用して各犯行に及んだから、その意思決定は強く非難される。被告人は、風通しのよい入 被告人は、B町長として、町政全般を適切に運営することが誰よりも求められる立場にありながら、かえってその立場を不正利用して各犯行に及んだから、その意思決定は強く非難される。被告人は、風通しのよい入札制度実現のため、最低制限価格を事前公表する必要性を感じており、本件は、その信条に沿った行為であった旨を述べるが、B町は、議論の末に最低制限価格の事後公表を採用していたと認められるから、被告人は、手続を経て採用された町の方針に反して独断的に行動したものであり、その動機に酌量すべき点はない。 以上からすれば、私利私欲に基づく犯行とはいえないことを踏まえても、被告人の刑事責任は軽視できず、本件は、懲役刑(付執行猶予)を選択するのが相当な事案といえる。 そこで、被告人は、自ら公職を辞し、公判廷においても反省の弁を述べているこ と、前科前歴がないことなど、一般情状として有利に斟酌すべき事情も考慮し、主文のとおり判決する。 (求刑-懲役1年6月)令和7年11月6日大阪地方裁判所第13刑事部 裁判長裁判官荒木未佳 裁判官沼田晃一 裁判官吉田純

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