【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 (昭和五五年(行ウ)第一四号事件) 一 請求の趣旨 被告が原告に対し、昭和五五年七月二六日付
○ 主文原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判(昭和五五年(行ウ)第一四号事件)一請求の趣旨被告が原告に対し、昭和五五年七月二六日付でした別紙記載の各登記申請の却下処分に対する審査請求を棄却する旨の(裁決)処分を取り消す。 二請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 (昭和五六年(行ウ)第一号事件)一請求の趣旨被告が原告に対し、昭和五五年六月一一日付でした別紙記載の各登記申請をいずれも却下する旨の処分(日記第一三一号及び第一三二号)を取り消す。 二請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張(両事件共通)一請求の原因 1 登記申請(一) 原告会社は、広島法務局登記官(昭和五六年(行ウ)第一号事件被告。以下、被告登記官という。)に対し、昭和五五年六月六日商業登記法(昭和三八年法第一二五号。以下、法という。)に基づき別紙記載の各登記申請をした。 (二) 右申請の内容は、いずれも同月一日開催された原告会社の社員総会及び取締役会において決定された、代表取締役及び取締役Aの辞任、監査役Bの辞任、取締役及び代表取締役Cの就任、監査役Aの就任(以上、別紙一)並びに広島市<地名略>に本店を移転すること(別紙二)の各登記を求めるものである。 2 登記申請却下処分被告登記官は原告に対し、同月一一日右各登記申請を次の理由で却下した。 (一) 別紙一記載の申請については、法二〇条所定の印鑑の提出がなく、また登記申請書の添附書類である、取締役の互選によつて代表取締役を定めたときのある取締役の一致があつたことを証する書面(以下、決議書という。)に押捺されている取締役Dの印鑑につき市区町村長の作成 、また登記申請書の添附書類である、取締役の互選によつて代表取締役を定めたときのある取締役の一致があつたことを証する書面(以下、決議書という。)に押捺されている取締役Dの印鑑につき市区町村長の作成した証明書(以下、印鑑証明書という。)の添附を欠いている。 (二) 別紙二記載の申請については、申請人である原告会社の代表者名が登記の記載に抵触する。 3 そこで原告は広島法務局長(昭和五五年(行ウ)第一四号事件被告。以下、被告法務局長という。)に対し、右各却下処分につき審査請求をしたが、被告法務局長は同年七月二六日、右各却下の理由正当として承認しこれを棄却した。 4 しかしながら、被告らのした右各処分はいずれも法令の解釈を誤つたもので違法であるから、原告は請求の趣旨記載のとおりそれらの取消を求める。 二請求の原因に対する認否(被告両名共通)請求原因事実1ないし3はすべて認める。 三被告らの主張(被告登記官)被告登記官のなした本件各却下処分は、次のような理由から適法である。 1 別紙一記載の申請について(一) (1)右申請にあたつて、原告はCの印鑑紙(商業登記規則《昭和三九年法務省令第二三号。以下、規則という。》九条一項参照。)を提出したにとどまり、同条四項及び五項による、本店、商号並びに代表者の資格、氏名及び住所を記載して押印した書面(以下、印鑑届書という。)を添附していなかつた。 (2) 法二〇条一項、規則九条四項及び五項によれば、登記の申請書に押印すべき者はあらかじめ、印鑑紙に印鑑届書等を添附する方法で印鑑を提出すべきものとされているところ、本件申請においては、新たに代表取締役に就任したCが右印鑑の提出をしていなかつたので、法二四条七号に該当するものとしてこれを却下したものである。(即ち、右法及び規則の規定は、登記の申請書に押印すべき者 件申請においては、新たに代表取締役に就任したCが右印鑑の提出をしていなかつたので、法二四条七号に該当するものとしてこれを却下したものである。(即ち、右法及び規則の規定は、登記の申請書に押印すべき者《これは自然人である。》にあらかじめその印鑑の提出をさせておき、爾後の登記申請にあたつて申請をする右自然人の同一性を担保し、もつて登記申請の真正を担保する趣旨であるから、本件の場合のように代表者の交替があつたときは、新たに就任した代表者が爾後登記の申請書に押捺すべき印鑑をあらかじめ提出しなければならず、この理は、右の印鑑が旧代表者が提出していたものと同一であるときも同様である。)(二) (1)次に右申請にあたつては、規則九三条、八二条三項本文により、決議書に記載されている各取締役の名下の印鑑につき印鑑証明書の添附を要するところ、原告は右決議書のうち、C名下に押捺された印鑑についてのみ同人の印鑑証明書を添附したにとどまり、右決議書に押捺されたDの印鑑についてはその印鑑証明書を添附しなかつた。 そこで被告登記官は原告が申請書に必要な書面を添附しないときに該当するとして右申請を法二四条八号の規定により却下したものである。 (2) なお、本件においては原告会社の従前の代表取締役であるAが従前登記所に提出していた印鑑(以下、本件従前の印鑑という。 )の印影と本件申請書に添附された決議書の代表取締役Cの名下に押捺された印鑑の印影とは同一であるが、規則八二条三項但書の適用される場合ではない。即ちア Aは右但書にいう「変更前の代表取締役」に該当しない。何故なら、原告会社においては、昭和五五年六月一日開催の社員総会で右Aが代表取締役及び取締役を辞任するとともに監査役に就任し、Cを取締役に選任したうえ、同日の取締役会で取締役Cを代表取締役に選任し、同人はこれを承 社においては、昭和五五年六月一日開催の社員総会で右Aが代表取締役及び取締役を辞任するとともに監査役に就任し、Cを取締役に選任したうえ、同日の取締役会で取締役Cを代表取締役に選任し、同人はこれを承諾したとされるのであるが、そうすると右Aの代表取締役辞任と右Cの代表取締役就任との間には少なくとも観念的には空白があり、かつその選出母体を異にしている。 イ次に、規則八二条三項は、会社の株主総会ないし社員総会、取締役会等の議事録を偽造して、会社の売買、乗つ取りをするといつた犯罪行為を防止する目的で昭和四二年九月新たに公布施行されたものであつて、その趣旨に鑑みると、同項但書は新代表取締役選任につき旧代表取締役が関与していることが取締役会の議事録等の記載から把握できる場合として、旧代表取締役が登記所に提出している印鑑をもつて当該議事録等に押捺しているときを取り上げ、そのことによつて当該議事録の真正が担保されているとみたものに他ならない。 本件においては、前述のとおり、旧代表取締役である右Aは新代表取締役Cを選任した取締役会の構成員ではなく、従つて右の選任決議には関与していないのであるから結局同項但書ではなく同項本文の適用をみる場合である。 2 別紙二記載の申請について右申請については、前述のとおり、登記されていない代表取締役Cの申請に係るものであるから、登記簿の代表取締役Aの記載に抵触するときに該当するので法二四条九号によつて却下したものである。 (被告法務局長)およそ裁決取消の訴においては原処分の違法を理由として取消を求めることができないと解すべきところ、原告は原処分の違法を主張するにとどまつているので、その主張自体理由がなく、原告の請求は棄却さるべぎである。 四被告らの主張に対する原告の認否及び反論(被告登記官の主張について) 1 主張1( ろ、原告は原処分の違法を主張するにとどまつているので、その主張自体理由がなく、原告の請求は棄却さるべぎである。 四被告らの主張に対する原告の認否及び反論(被告登記官の主張について) 1 主張1(別紙一記載の申請)について(一) 同(一)(1)は認める。 (2) は争う。本件従前の印鑑は原告会社代表者の印鑑であつて、その地位にある個人のものではないから、印鑑の新規提出に関する規定であると解すべき法二〇条の適用はなく、規則九条の四が適用される場合である。被告のいう自然人の同一性については、印鑑紙に記載されている氏名・住所によつて担保される。 (二) 同(二)(1)は認める。 (2) のうち、本件従前の印鑑の印影と本件申請書に添附された決議書のCの名下に押捺された印鑑の印影とが同一であることは認めるが、その余は争う。本件において、規則八二条三項但書にいう「変更前の代表取締役」は現に登記されているAであり、同人が登記所に提出している本件従前の印鑑と決議書に押捺された新代表取締役Cの名下の印鑑とが同一である本件のような場合には、決議書の印鑑(本件では取締役Dのもの。)につき、印鑑証明書の添附はなくとも、当該文書の真正は担保されるというのが同項但書の法意である。 2 同2(別紙二記載の申請)について争う。別紙一記載の申請が既述のとおり受理さるべきものである以上、別紙二記載の申請についても同様である。 (被告法務局長の主張について)争う。 第三証拠(省略)○ 理由一先ず、被告登記官に対する請求(昭和五六年(行ウ)第一号事件)について判断する。 1 請求原因1ないし3の事実はすべて当事者間において争いがない。 2 そこで、双方の主張に基づき被告登記官がなした本件各登記申請却下処分の適否について検討するに(一) 被告登記官の主張(一)(1)の事実 求原因1ないし3の事実はすべて当事者間において争いがない。 2 そこで、双方の主張に基づき被告登記官がなした本件各登記申請却下処分の適否について検討するに(一) 被告登記官の主張(一)(1)の事実(即ち原告が別紙一の申請をなすにあたり規則九条四項及び五項で要求されている印鑑届書を提出しなかつたこと)は当事者間に争いがないところである。 (二) (1)先ず、法二〇条の立法趣旨は、登記の申請書に押印すべき者(本件では原告会社の代表取締役がこれにあたる。)の印鑑をあらかじめ登記所に提出させておき、その後その者から登記の申請がなされるとき、登記所に提出しておいた右印鑑と同一のものを当該申請書に押捺させることにより、申請書面上の申請者と現実に申請をする者との同一性を担保し、もつて登記申請人の真意に基づいた登記がなされることを図るにあるものと解される。 (2) そして、右にいう申請者の同一性を担保するという観点からすると、ここでいう印鑑は、当該申請者、即ち本件にあつては原告会社の代表取締役個人を表章するものであつて、当該個人が代表する会社を表章するものではないことになる。 ちなみに一会社に数人の代表者がある場合、例えば各自代表権を有する数人の代表者や共同代表者が同一の印鑑を提出することはできないとする登記実務の取扱(昭和四三年一月一九日民事甲第二〇七号民事局長回答)もこのような解釈を前提にしたものと考えられる。 (3) 次に、規則九条一項、附録九号の様式によると、印鑑の提出は、提出者の氏名及び生年月日等を記載した印鑑紙をもつて行うこと、規則九条四項及び五項によると印鑑届書には、登記の申請書に押印すべき者が会社の代表者である場合には、その氏名及び住所等を記載することがそれぞれ規定されている。 (4) 原告は、法二〇条についてその「登記の申請書に押印すべき よると印鑑届書には、登記の申請書に押印すべき者が会社の代表者である場合には、その氏名及び住所等を記載することがそれぞれ規定されている。 (4) 原告は、法二〇条についてその「登記の申請書に押印すべき者」を本件にあつては抽象的な原告会社の代表取締役、即ち、その交替等があつても同一性を失わない代表取締役そのものと解したうえで、新代表取締役が従前と同一の印鑑を使用する場合には、その印鑑は右の意義の代表取締役を表章し、ひいてその代表する会社を表章するものであるから、あらためて印鑑届書の添附を要しないものと解すべきであると主張する。 (5) しかしながら、右にみたように、法二〇条によつて提出を要求されている印鑑は代表取締役の地位にある特定の自然人を表章するものであり、同条をうけた規則の該当条項もそれぞれ印鑑の提出について当該印鑑とこれを使用する特定の自然人とを結び付けた規定となつていることからすると、会社の代表者の交替があつた場合、新任者は、その使用する印鑑がたまたま前任者の登記所に提出しているものと同一であつても、あらためて、爾後当該印鑑を自らの意思に基づいて使用するものである旨表示した印鑑届書を添附すべきものと言わなければならない。 (6) そうすると、被告登記官が別紙一記載の登記申請につき法二〇条、規則九条所定の印鑑の提出がないとして、法二四条七号により右申請を却下した処分は、その余の争点につき判断するまでもなく正当ということになる。(なお、被告登記官は右申請却下の理由として「申請書に必要な書面《決議書記名の取締役Dの印鑑証明書》の添附がない。」ことも付加しているところ、当裁判所も結論的に右書面の添附が必要と解するものであるが、右結論に到達した理由については、被告登記官の前記1(二)(2)の主張からアの部分を除き、右主張を正当とするのでこれ も付加しているところ、当裁判所も結論的に右書面の添附が必要と解するものであるが、右結論に到達した理由については、被告登記官の前記1(二)(2)の主張からアの部分を除き、右主張を正当とするのでこれを採用する。)(三) 次に、右のとおり別紙一記載の登記申請に対する却下が正当である以上、同二記載の登記申請につき法二四条九号に該当するとしてこれを却下した被告登記官の処分が正当であることは当然の事理である。 3 以上のとおり、被告登記官がなした本件各登記申請却下処分はいずれも適法であるから、独自の見解に基づき右各処分の取消を求める原告の被告登記官に対する本訴請求は失当として棄却を免れない。 二次に、被告法務局長に対する請求について判断する。 1 法には、原処分(本件にあつては被告登記官の各登記申請却下処分)に対する出訴を許さず、裁決(同じく被告法務局長の審査請求棄却裁決)に対してのみ出訴を認める旨(いわゆる裁決主義)の定めがないから、行政事件訴訟法一〇条二項により、本件裁決取消の訴においては処分の違法を理由として主張することができないこと明らかである。 2 そして原告が本件において主張しているのは、被告登記官の各登記申請却下処分が法令の解釈を誤つたものであることのみであつて、右処分を支持した被告法務局長の審査請求棄却裁決についても同様であり、右裁決固有の瑕疵ついて論難するものではない。 3 そうすると、原告の被告法務局長に対する本件裁決取消の訴も理由がないこと明らかである。 三結論以上説示のとおり、原告の本訴各請求は理由がないからいずれもこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官植杉豊山崎宏征橋本良成)(別紙)一昭和五五年六月六日受付第四八九四号取締 ることとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官植杉豊山崎宏征橋本良成)(別紙)一昭和五五年六月六日受付第四八九四号取締役、代表取締役、監査役の変更登記申請二同日受付第四八九三号本店移転登記申請
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