令和6(行ケ)10084 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月12日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文16,779 文字)

令和7年3月12日判決言渡 令和6年(行ケ)第10084号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和7年1月22日判決 原告スパイナルエレメンツインコーポレーテッド 同訴訟代理人弁理士香原修也 同古井かや子 同伊藤大地 被告ルナライト株式会社 同訴訟代理人弁理士伊藤捷雄 同小林慶哉 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由 第1 請求 特許庁が取消2022-300305号事件について令和6年5月1日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 被告は、次の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である。(甲6〔審判手続における乙10〕) 登録番号第2700409号 商標の構成 指定商品 第5類 医療用腕環、これらの部品及び附属品 第9類 理化学機械器具、光学機械器具、映画機械器具・これらの部品及び附属品 第10類 医療用機械器具・これらの部品及び附属品 第12類 車いす・これらの部品及び附属品 出願日 昭和62年6月30日 設定登録日 平成6年11月30日 書換登録日 10類医療用機械器具・これらの部品及び附属品第12類車いす・これらの部品及び附属品出願日昭和62年6月30日設定登録日平成6年11月30日書換登録日平成17年6月1日 ⑵ 原告は、令和4年3月30日、本件商標の指定商品中、第5類「医療用腕環、これらの部品及び附属品」及び第10類「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」(以下、これらの指定商品を「本件請求商品」という。)について、商標登録取消審判を請求した(取消2022-300305号。以下、この審判請求に基づく手続を「本件審判手続」という。)。上記審判請求の予 告登録日は同年4月18日である。(甲1、14)⑶ 特許庁は、令和6年5月1日、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は同月9日に原告に送達された(附加期間90日)。 ⑷ 原告は、令和6年9月6日、本件訴えを提起した。 2 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由は、別紙1審決書(写し)のとおりであり、その要旨は、次のとおりである。 ⑴ 被告(被請求人)が提出した証拠及び被告の主張によれば、以下の事実が認められる。 ア被告は、令和2年11月頃、令和3年2月頃、同年7月頃及び令和4年 1月頃に、株式会社ナカニシ(以下「ナカニシ社」という。)からの発注を受けて、「照明ユニット ⅤA970LUX-SC(E351603)」(以下「使用商品」という。)を、それぞれ1000個又は2000個販売し、その代金を請求した。 イ使用商品は、径が14.5㎜の略円形の基板上にLEDが2個載置され ているものである。 ウナカニシ社が製造販売する「バリオス750」は、超音波振動で人又は動物の歯の歯石を除去 した。 イ使用商品は、径が14.5㎜の略円形の基板上にLEDが2個載置され ているものである。 ウナカニシ社が製造販売する「バリオス750」は、超音波振動で人又は動物の歯の歯石を除去し、歯周治療等の治療行為を行う医療機器であり、そのハンドピースに口腔内の治療部位を照らして治療を行えるライト(リングライト)付きのものがある。 エ被告は、上記アの各時期に、ナカニシ社からの発注を受けて、箱に使用商品を梱包して納品したが、その際、別紙2使用商標目録記載1の商標(以下「使用商標1」という。)の記載のあるシールを貼り付けた。 オ被告は、ナカニシ社に対し、別紙2使用商標目録記載2の商標(以下「使用商標2」という。)の記載のある請求書、納品書及び受領書が1枚にまと められた取引書類を送付し、使用商品の代金を請求した。 ⑵ ナカニシ社の担当者が、バリオス750に使用商品が使用されていることを陳述していることに加え、バリオス750の操作者がリングライト付きのハンドピースを握って治療を行うことからして、ハンドピースの径は10ないし20mm程度であると推認できることからすれば、使用商品はバリオス 750の円筒形のハンドピース内のリングライトとして収容されていると推 認することができる。 上記事実及び前記⑴アないしウの各事実によれば、使用商品は、医療機器であるバリオス750のハンドピースに専用のリングライトであるといえるから、使用商品は、本件請求商品中「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品である。 ⑶ 使用商標1及び2は、いずれも、本件商標と構成態様、称呼及び観念で共通するから、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。 そうすると、前記⑴エの事実につき、商標権者が、商標法 ⑶ 使用商標1及び2は、いずれも、本件商標と構成態様、称呼及び観念で共通するから、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。 そうすると、前記⑴エの事実につき、商標権者が、商標法50条2項にいう「その審判の請求の登録前3年以内」の期間(平成31年4月18日から令和4年4月17日まで。以下「要証期間」という。)において、使用商標1 について同法2条3項2号に規定する使用行為を行ったといえ、前記⑴オの事実につき、商標権者が、要証期間において、使用商標2について同項8号に規定する使用行為を行ったといえる。 ⑷ 以上によれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において、本件請求商品中、「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品 の包装に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して譲渡した(商標法2条3項2号に該当)とともに、「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品の取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布した(同項8号に該当)と認めることができる。 したがって、被告は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内におい て、本件商標の商標権者が、その審判の請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。 3 取消事由原告が主張する取消事由は、商標の使用に関する本件審決の判断の誤りであ るが、具体的には、以下の点を取消事由として主張している。 ⑴ 取消事由1本件請求商品についての使用に該当するとの判断の誤り⑵ 取消事由2社会通念上同一と認められる商標に該当するとの判断の誤り第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件請求商品に 消事由1本件請求商品についての使用に該当するとの判断の誤り⑵ 取消事由2社会通念上同一と認められる商標に該当するとの判断の誤り第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件請求商品についての使用に該当するとの判断の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 商品としての医療用機械器具の部品や附属品が製造・販売(生産・譲渡)されたというためには、その部品・附属品自体が、当該医療用機械器具の有 する機能実現に向け必須かつ専用の部材として、すなわち医療用機械器具の部品・附属品として完成した状態で買主に引き渡されている必要がある。このように解することは、特許庁が公開している「商品及び役務の区分解説〔国際分類第12-2024版対応〕」において、「眼鏡ケース」が一般的な「収納用容器」ではなく、「専ら眼鏡を収納するためのものとして、それ自体で取 引されるものですので、『眼鏡の部品及び附属品』に含まれます。」とされていたり、「自動車用シガーライター」が、自動車専用の部品であることから、喫煙用具に含まれず、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」に属するとされていたりすることからも明らかである。 被告が、ナカニシ社から、同社の「バリオス750」という製品に装着す るための「照明ユニット」を受託加工するよう依頼され、その照明ユニットの仕様についての検査を経て、検査条件に適合したLEDを納品したとしても、「照明ユニット」それ自体が医療用機械器具として必須かつ専用的な機能を有しているわけではなく、この「照明ユニット」を、医療用機械器具として完成した「バリオス750」に必須の専用部品又は附属品と同視すること はできない。被告が検査し完成品として納品した商品が、たまたま医療用機 械器具の部品として使用されたとしても、そ として完成した「バリオス750」に必須の専用部品又は附属品と同視すること はできない。被告が検査し完成品として納品した商品が、たまたま医療用機 械器具の部品として使用されたとしても、それが医療用機械器具として必須かつ専用的な機能を有していることは何ら立証されておらず、いまだ「照明ユニット」の域を出ていない。被告が製造販売したのは、医療用機械器具に組み込まれる構成部材としての汎用品たるLEDであり、被告の行為をして、医療用機械器具の部品・附属品の製造・販売であったと評価することはでき ない。 なお、「使用商品」と定義付けられた、被告の製造・販売する「照明ユニット VA970LUX-SC」は、ナカニシ社のカタログ(甲20)ではケーブル類と目される「ハンドピースコード」と表示されている。仮に、カタログの表示を前提としても、使用商品は、当該ハンドピースコードの「一構 成部材として組み込まれた照明ユニット」にすぎないから、これを医療用機械器具の部品又は附属品であるということはできない。 ⑵ 被告は、そのホームページにおいて、「ルナ」の称呼を生じる「LUNA」を表示した上で、被告の業態と製品の特徴に関する説明を掲載しており(甲16~18)、この説明によれば、被告は、自社の各種LED製品を、取引先 の依頼に基づき受託加工して納品することを主たる業務内容としている。ホームページ上、個々のLEDについて定価が示されているなど、LEDが、商品として転々流通しているような記述は一切されていない。そうすると、本件商標を、商品の出所表示として理解する必要さえない可能性もある。 本件商標は、昭和62年6月30日になされた商標登録出願によるもので あるところ、その当時の商標は、標章であって「業として商品を生産し加工し証明し又 として理解する必要さえない可能性もある。 本件商標は、昭和62年6月30日になされた商標登録出願によるもので あるところ、その当時の商標は、標章であって「業として商品を生産し加工し証明し又は譲渡する者がその商品について使用するものをいう。」と定義され、「加工」をする者が使用をする商標も商品商標であるとされていた。ところが、平成3年商標法改正によりサービスマーク制度が導入され、商品に係る商標の定義から「加工」が除かれたのであるから、その後に同じく「加 工」という役務についての保護を求めるのであれば、別途サービスマークと しての商標登録出願を行うことが必要であった。また、平成3年商標法改正により商品と役務が峻別されたことに伴い、商標の使用についても整理がなされた。すなわち、商品についての商標の使用は商標法2条3項1号及び2号、役務についての商標の使用は同項3号ないし6号(現行法では同項3号ないし7号)と別個独立に規定された。このように、商品についての使用と 役務についての使用は別異の使用態様であると取り扱われてきたのである。 ゆえに、商品の加工を表象するものは、商品商標の使用ではなく、サービスマークの使用と捉えるべきである。 そうすると、平成3年改正法の施行後は、本件商標について加工サービスを表象するサービスマークの使用があったと認められる場合には、最早それ は商品について商標の使用があったとは言い難い。まして、本件審決が認定したように商品である「第10類医療用機械器具・これらの部品及び附属品」についての使用があったとはいえないものである。 ⑶ 商標法施行規則別表では、第1類から第45類までの区分に分かれて商品及び役務が列挙されているところ、その中に「部品及び附属品」の語が用い られているものにつき、 とはいえないものである。 ⑶ 商標法施行規則別表では、第1類から第45類までの区分に分かれて商品及び役務が列挙されているところ、その中に「部品及び附属品」の語が用い られているものにつき、同別表で例示として挙げられている商品は、もっぱらその主とする物品の用に供されるものであり、多用途物品たる汎用品やそれを組み合わせてなる物品が「部品及び附属品」に含まれるものではない。 被告がホームページ上で明らかにしているとおり、被告の製品は様々な用途に幅広く用いることができるのであり、このような取引の実情がある中、 納品先において組み込まれる製品の性質いかんによって、組み込まれる「部品及び附属品」の属する区分が変化するという解釈を採ることは妥当でない。 使用商品が、たまたまナカニシ社の「バリオス750」専用に設計され納品されたものであるとしても、被告のLED商品は、他の産業機器、とりわけ、被告が述べる「エレベーター/エスカレーター/自動車」等に広く応用され る性格の製品であったのだから、使用商品も、もともとは汎用性のあるLE D製品にすぎないと解すべきである。 ⑷ 国際分類上、商品「発光ダイオード(LED)」は、第9類「電子応用機械器具及びその部品」に属し(甲21)、LEDを用いた照明器具・ライトは、第11類「電球類及び照明用器具」に属するものとされる(甲22)。家具としての照明器具であっても第20類ではなく第11類に分類され(甲23)、 自動車用のライトも第12類ではなく第11類に分類される(甲24)。また、国際分類上、商品「抵抗器」や「抵抗線」も第9類に属する(甲25)。「手術用照明器具」、「外科用ヘッドライト」及び「歯科用硬化ライト」は第10類に分類されているが、これらは、通常の照明機器が医療目的で転用されている 抵抗器」や「抵抗線」も第9類に属する(甲25)。「手術用照明器具」、「外科用ヘッドライト」及び「歯科用硬化ライト」は第10類に分類されているが、これらは、通常の照明機器が医療目的で転用されているのではなく、照明部材以外の他の構成部品と相俟って医療用に特化して 設計された照明装置であるが故に医療用機械器具の一種として第10類に分類されているのであり、汎用性あるLED部材を医療用に特化された照明装置と同視することはできない。 また、被告が製造・販売する商品には「Assy」又は「ASSY」の記号が付されているが(乙1、2、4、5ほか)、「Assy」ないし「ASS Y」は、「機械を構成する部品・部材の種類を表す用語の一つで、複数の部品を組み合わせて構築されたひとまとまりの部品」を指すものとされ、「Assembly」の略記号として用いられる(甲26)。かかる状況下にあって、仮にこうした医療用機械器具に用いられる部品や附属品、例えば、ネジ(第6類)、LED(第9類)や電線(第9類)、ケーブル(第9類)、端子(第9 類)、電子ボタン(第9類)等の部品が、それぞれの部品単位では括弧書き内に記載の区分にそれぞれ属しているにも拘わらず、組み立て加工を施して医療用機械器具に用いられたからといって、商標実務上の区分の取り扱いが第10類に変質するはずはなく、かつ、そうあってはならない。アッセンブル納品される「LEDライト」や「抵抗基板」が医療用機械器具に組み込まれ ることは、これらの商品の分類を左右するものではなく、原則どおり「LE Dライト」は第11類、「LED」や「抵抗基板」は第9類に属すると判断するのが妥当である。 ⑸ 本件商標は昭和62年6月30日に出願されたものであり、商標登録原簿によると、登録時の指定商品は「理化学 ライト」は第11類、「LED」や「抵抗基板」は第9類に属すると判断するのが妥当である。 ⑸ 本件商標は昭和62年6月30日に出願されたものであり、商標登録原簿によると、登録時の指定商品は「理化学機械器具、光学機械器具、映画機械器具、医療機械器具、これらの部品及び付属品」となっているが、本願の出 願時に採用されていた商品区分は国際分類ではなく日本分類の第10類(以下「旧第10類」という。)である。そして、当該旧第10類の区分概念は、「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く。) 光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く。) 写真機械器具映画機械器具測定機械器具(電子応用機械器具に属するものおよび電気磁気測定器を除く。) 医療機械器具これらの部品および附属品(他の類に属するものを除く。)写真材料」と整理されていた(甲28)。これは、電子の作用を応用した医療用機械器具については、その機器の本質が医療用と理解できるものでなければ旧第10類には属しない商品であることを意味するものと解される。すなわち、旧第10類に属するかの判断において「電子応用機械器具に属するも の」や「他の類に属するもの」は、そもそも旧第10類の商品から除かれているとの前提がある。 したがって、本件商標の指定商品にも、自ずと「電子応用機械器具に属するもの」や「他の類に属するもの」は含まれていないことになる。 本件商標が医療用機械器具の部品又は附属品に使用されていると被告が 主張しても、「LED」は原始的に電子応用機械器具及びその部品の概念下の商品に、「LEDを用いた照明器具」は原始的に電球類及び照明用器具の概念下の商品に、それぞれ属するものであって、これらはいずれも旧第11類に属するものであり、かつ、当該商品単体で医療用機 の概念下の商品に、「LEDを用いた照明器具」は原始的に電球類及び照明用器具の概念下の商品に、それぞれ属するものであって、これらはいずれも旧第11類に属するものであり、かつ、当該商品単体で医療用機器であるといえない場合、やはり当該商品は医療用機械器具の部品又は附属品たり得ないという結論に 至る。 ⑹ 被告は、使用商品が医療機械器具の専用部品であることを主張するばかりで、使用商品が用いられていると主張する乙1に示された機器に本件商標が使用されていることについて何ら立証しない。また、当該医療機器に本件商標が付されていた、又は「ルナ」という称呼で取引されていたとしても、被告からは具体的な主張立証がないから、何をもって専用部品と言い得るのか 不明である。 〔被告の主張〕被告の製造、販売する使用商品は、医療用機械器具であるバリオス750のハンドピースに用いる必須の専用部品である。使用商品は、医療機械器具であるバリオス750のためだけに、設計・製造等されたものである。 したがって、本件商標の指定商品である「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」についての使用があると認められ、本件審決の認定及び判断に誤りはない。 2 取消事由2(社会通念上同一と認められる商標に該当するとの判断の誤り)について 〔原告の主張〕本件商標が「LunA」をロゴ化したものであっても、語頭及び末尾のみが大文字となる用法が英語に存在しないことも勘案すれば、本件商標において最も右に配置された「」は、我が国の需要者が見れば、大文字の「A」が配されると直ちに理解せず、極太のゴシック調で書した片仮名文字「ム」を左右に 反転させたものと捉えるのが自然であり、しかし片仮名文字そのものではないから、これが一体何であるのか一見して A」が配されると直ちに理解せず、極太のゴシック調で書した片仮名文字「ム」を左右に 反転させたものと捉えるのが自然であり、しかし片仮名文字そのものではないから、これが一体何であるのか一見して明らかではなく、結局は図形的要素であると認識するものである。 そうすると、本件商標は、極太のゴシック調の書体で欧文字「Lun」を書し、その右に一体感を持たせた図形的要素を配した、文字と図形の結合商標で あると捉えられる。 使用商標1についてみると、左3文字は本件商標の「Lun」と同一と言い得るが、右端に配された「」は、本件商標の図形部分を左に120度転回させ、この図形を成す線の両端及び頂点の形状が変更され、かつ縦横比まで変更されている。 使用商標2は、欧文字「LUNA」であるから、文字及び図形からなる本件 商標とはその構成を異にする。 したがって、使用商標1及び2が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるとした本件審決の認定は誤りである。登録商標の範囲は、願書の記載に基づいて虚心坦懐に観察されるべきであり、構成文字が共通のものと認定できるとか、「ルナ」の称呼が共通するとかいうことをもって社会通念上の同一性 を肯定すべきでない。 仮に、本件商標が「LunA」の文字から成るとしても、本件商標のように図形と目される構成要素が特異な書体で書された「A」の文字であるならば、その使用における同一性は、願書に記載された商標との対比で厳格に検討されなければならず、「LunA」の文字を認識させる構成態様であれば同一性の範 囲内であるなどと法令上の根拠もなく緩和して認定してはならない。 〔被告の主張〕本件商標の右端に配置されているのと同様の図案が用いられている登録商標で、当該図案が「A」であると認識されているも 囲内であるなどと法令上の根拠もなく緩和して認定してはならない。 〔被告の主張〕本件商標の右端に配置されているのと同様の図案が用いられている登録商標で、当該図案が「A」であると認識されているものが複数存在しており(乙3~6)、「A」の文字は、様々に変形された状態で用いられることが常態化して いる。 取消事由2に関する原告の主張は、原告自身が、本件商標から「ルナ」という称呼が発生することを自ら認めていること(本件審判手続に係る審判請求書。 甲1)と矛盾する。 したがって、使用商標1の4文字目「」は、本件商標の4文字目「」と 社会通念上同一であるとする本件審決の判断は正当である。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(本件請求商品についての使用に該当するとの判断の誤り)について⑴ 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア被告は、ネオンランプ又は発光ダイオードを組み込んだ表示灯の製造・ 販売等を目的とする会社である。被告は、LEDの既製品の販売のほか、既製品ではサイズや形状が合わないとする顧客の要望に応じて既製品をカスタマイズすることや、顧客から受領した設計図を基にした製品の受託加工も行っている。また、被告は、顧客の要望に応じたLEDランプのほか、LED点灯に必要な回路や基盤の設計も行っている。(甲16~18) イナカニシ社は、歯科用多目的超音波治療器である「バリオス750」を製造販売している。バリオス750は、歯科医が使用する医療機器であり、コントロールユニットに接続されて口腔内に挿入される円筒型のハンドピースが備えられており、ハンドピースの先端に取り付けるチップの振動や、チップからの水の噴射により、歯石の除去などを行うことができる。 バリオス750には、 て口腔内に挿入される円筒型のハンドピースが備えられており、ハンドピースの先端に取り付けるチップの振動や、チップからの水の噴射により、歯石の除去などを行うことができる。 バリオス750には、ハンドピースにリングライトが取り付けられた型のものと、リングライトが取り付けられていない型のものがある。(甲2〔審判手続における乙7〕、甲8〔審判手続における乙13、15〕、甲20、乙1)ウナカニシ社は、被告に対し、バリオス750のハンドピースに取り付け るものとして、LEDとプリント基板を組み合わせた製品(LED基盤Assy。「Assy」は、複数の部品を組み合わせて構築されたひとまとまりの部品をいう〔甲26〕。)を発注した。被告は、ナカニシ社の発注に基づき、外形寸法図を含む仕様書を作成して、基板に小さな2個のLEDを取り付けた製品の設計を行い、製品として製造した(型式ⅤA970LU X-SC。使用商品)。被告は、ナカニシ社に対し、令和2年11月24日 ころに1000個、令和3年2月22日ころに1000個、同年7月21日ころに2000個、令和4年1月19日ころに1000個、使用商品を納品し、それぞれ代金を請求した。被告は、ナカニシ社に対して使用商品を納品した際、使用商品を箱に入れて納品したが、この箱に原告の名称及び使用商標1が表示されたシールを貼り付けた。また、被告は、使用商品 の納入とともに、ナカニシ社に対し、使用商品に関するものとして、請求書、納品書及び受領書が1枚にまとめられた取引書類を送付し、この取引書類には使用商標2が表示されていた。ナカニシ社は、使用商品をバリオス750のハンドピースのリングライトに使用した。(甲2〔審判手続における乙3、5〕、甲6〔審判手続における乙12の1~4〕、甲10〔審判 商標2が表示されていた。ナカニシ社は、使用商品をバリオス750のハンドピースのリングライトに使用した。(甲2〔審判手続における乙3、5〕、甲6〔審判手続における乙12の1~4〕、甲10〔審判 手続における乙16〕、甲12、乙2)⑵ 検討ア上記⑴の認定事実によれば、被告が製造してナカニシ社に納入した使用商品は、医療機器であるバリオス750のハンドピースにリングライトとして取り付けるものとして製造された製品であり、使用商品をバリオス7 50のハンドピースに取り付ける以外の用途に使用することはできないことが認められ、医療機器であるバリオス750のハンドピース専用の製品であるといえるから、使用商品は、医療機器の部品であって、本件請求商品のうち第10類「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範疇に属するものであると認められる。 イ被告が、使用商標1を付した箱に使用商品を納め、これをナカニシ社に納入したことは、商品の包装に使用商標1を付したものを譲渡又は引き渡した行為に該当するから、使用商標1について商標法2条3項2号の「使用」をしたものと認められる。そして、この商標の使用は、令和2年11月24日ころ、令和3年2月22日ころ、同年7月21日ころ、令和4年 1月19日ころであり、いずれも要証期間である平成31年4月18日か ら令和4年4月17日までの間に行われたものである。 ウ上記ア及びイの事実によれば、被告が、使用商標1を付した箱に使用商品を納め、これをナカニシ社に納入したことは、使用商標1の本件請求商品についての使用に該当すると認められる。 ⑶ 原告の当審における補充主張に対する判断 ア原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑴のとおり、被告が製造販売した使用商品は、医療用機械器具に組み 品についての使用に該当すると認められる。 ⑶ 原告の当審における補充主張に対する判断 ア原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑴のとおり、被告が製造販売した使用商品は、医療用機械器具に組み込まれる構成部材としての汎用品たるLEDであり、被告の行為が医療用機械器具の部品・附属品の製造・販売であったとはいえない旨主張する。 しかし、前記⑴及び⑵アのとおり、使用商品は、ナカニシ社からの発注 に基づき、原告が設計・製造し、ナカニシ社に納入した、バリオス750の専用品であって、汎用品ではない。本件で具体的に認められる事実関係を前提とすると、使用商品は本件請求商品のうち第10類「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範疇に属するものであると認められる。 原告は、ナカニシ社のカタログ(甲20)の37頁において、「VA97 0LUX-SC」が「ハンドピースコード」と表示されていることからすれば、使用商品は、当該ハンドピースコードの「一構成部材として組み込まれた照明ユニット」にすぎないから、医療用機械器具の部品又は附属品に当たらないとも主張する。しかし、このハンドピースが医療機器であるバリオス750の一部を構成しており、使用商品がバリオス750のハン ドピースに組み込む専用品のLED基板Assyとして製造され、ナカニシ社に販売されたものであることからすれば、使用商品がハンドピースのコードの構成部材として組み込まれるものである事実は、使用商品が医療用機械器具の部品に該当することと矛盾しない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑵のとおり、被告が、取引先の依 頼に基づきLED製品を受託加工して納品することを主たる業務内容としていることを挙げ、本件商標 ことができない。 イ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑵のとおり、被告が、取引先の依 頼に基づきLED製品を受託加工して納品することを主たる業務内容としていることを挙げ、本件商標を商品の出所表示として理解する必要がないとか、本件商標について加工サービスを表象するサービスマークの使用があったと認められる場合には、商品について商標の使用があったとはいえないなどと主張する。 しかし、前記1⑴のとおり、原告は、LED基盤Assyである使用商品を製造し、これをナカニシ社に販売したのであり、この販売の際の製品の納入に際して、使用商品を梱包する箱に使用商標1を表示したのであるから、使用商標は使用商品について商標としての使用がされたものといえ、使用商品がLED製品を加工して製造したものであるからといって、使用 商標が加工の役務について使用されたことにはならない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ウ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑶及び⑷のとおり主張するが、これらの主張は、要するに、使用商品が汎用品たるLEDであるから、被告の行為が医療用機械器具の部品・附属品の製造・販売であったとはいえな い旨の主張であると解されるところ、この主張を採用することができないことは前記アのとおりである。 また、原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑷において、「LEDライト」は、商標における指定商品・役務の分類では第11類、「抵抗基板」は第9類に属するから、「LEDライト」や「抵抗基板」が医療用機械器具に組み 込まれたとしても、「LEDライト」は第11類、「LED」や「抵抗基板」は第9類に属すると判断すべきである旨主張する。しかし、登録商標の指定商品の分類として様々な類に属する部品を組み合わせて完成させ 込まれたとしても、「LEDライト」は第11類、「LED」や「抵抗基板」は第9類に属すると判断すべきである旨主張する。しかし、登録商標の指定商品の分類として様々な類に属する部品を組み合わせて完成させた製品が、これらの部品の属する指定商品の類と異なる類に属すると解されることは当然にあり得ることであって、使用商品についても、これを構成す る部品であるLEDライトが第11類、抵抗基板が第9類であるとしても、 これらを組み合わせて製造された使用商品の全体について、その商品分類を考慮すべきであり、その構成部品ごとにLEDの部分が第11類、抵抗基板の部分が第9類であると解すべきことにはならない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 エ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑸のとおり、本件商標の指定商品 には「電子応用機械器具に属するもの」や「他の類に属するもの」は含まれないと解され、「LED」は原始的に電子応用機械器具及びその部品の概念下の商品に、「LEDを用いた照明器具」は原始的に電球類及び照明用器具の概念下の商品に、それぞれ属するものであり、当該商品単体で医療用機器であるといえない場合、当該商品は医療用機械器具の部品又は附属品 たり得ないと主張する。 しかし、使用商品がLEDを用いて製造されたものであるとしても、前記⑴の認定事実によれば使用商品が本件請求商品のうち第10類「医療用機械器具・これらの部品及び附属品」の範疇に属するものであると認められることは、前記⑵アのとおりであり、前記第3の1〔原告の主張〕⑸に おける原告の主張を考慮しても、上記認定は左右されない。 したがって、原告の主張は採用することができない。 オ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑹のとおり、被告は、乙1に示された医療機器 おける原告の主張を考慮しても、上記認定は左右されない。 したがって、原告の主張は採用することができない。 オ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑹のとおり、被告は、乙1に示された医療機器に本件商標が使用されていることについて何ら立証せず、かつ、当該医療機器に本件商標が付されていた、又は「ルナ」という称呼で 取引されていたとしても、被告からは具体的な主張立証がないから、何をもって専用部品と言い得るのか不明であると主張する。 しかし、前記⑵イのとおり、被告が、使用商標1を付した箱に使用商品を納め、これをナカニシ社に納入したことが、使用商標1について商標法2条3項2号の「使用」をしたものと認められ、本件審決もこの事実を認 定しているのであって、原告の上記主張はこの認定を覆すものではなく、 取消事由1に関する結論を左右しない。 ⑷ 取消事由1に関する結論以上によれば、使用商標1を付した箱に使用商品を納め、これをナカニシ社に納入したことが、本件請求商品についての使用に該当するとした本件審決の認定に誤りはなく、取消事由1には理由がない。 なお、この点に関し、被告が、本件請求商品に属する商品について、使用商標2を付した取引書類を交付したのは、ナカニシ社に対するものが4回認められ、被告が使用商品の他に本件請求商品に属する商品を製造販売していたことを認めるに足りる証拠はないから、本件請求商品に属する商品について、ナカニシ社以外の取引先に使用商標2を付した取引書類を交付したとは 認められないところ、これが「頒布」(商標法2条3項8号)に当たるかどうかはともかくとして、上記のとおり、使用商標1について、本件請求商品についての使用が認められるから、取消事由1に理由がないとの判断は左右されない。 2 取消事由2 標法2条3項8号)に当たるかどうかはともかくとして、上記のとおり、使用商標1について、本件請求商品についての使用が認められるから、取消事由1に理由がないとの判断は左右されない。 2 取消事由2(社会通念上同一と認められる商標に該当するとの判断の誤り) について⑴ 商標法50条にいう「登録商標」には、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標 を含む(同法38条5項)。 本件商標の構成は、前記第2の1⑴のとおりであり、「LunA」の欧文字を、「A」の文字を図案化してなる商標であると認められる。本件商標から生じる称呼は「ルナ」であると認められる。また、本件審決は、本件商標から、その構成文字に相応して、「月の女神」の観念が生じると認定しているところ、 原告も被告もこの認定については特に争っておらず、上記認定が不合理であ るとは解されず、本件商標から「月の女神」の観念が生じるものと認める。 使用商標1の構成は、別紙2使用商標目録記載1のとおりであり、「LunA」の欧文字を、「A」の文字を図案化してなる(ただし、図案化された「A」の部分の形状は、本件商標における図案化された「A」の部分の形状と異なる。)商標であると認められる。そうすると、使用商標1は、これを構成する 文字が本件商標を構成する文字と同一であって、使用商標1からは本件商標と同一の称呼及び観念が生じると認められる。 使用商標2の構成は、別紙2使用商標目録記載2のとおりであり、「LUNA」の欧文字からなる商標であると認められる。使用商標2と、本件商標とを比 本件商標と同一の称呼及び観念が生じると認められる。 使用商標2の構成は、別紙2使用商標目録記載2のとおりであり、「LUNA」の欧文字からなる商標であると認められる。使用商標2と、本件商標とを比較対照すると、その構成において、「u(U)」と「n(N)」について大 文字と小文字の違いがあり、「A」の文字が図案化されているか否かの違いもあるものの、いずれも欧文字の「L」、「u(U)」、「n(N)」及び「A」の4文字がこの順序で並ぶものである。また、このことから、使用商標2からは本件商標と同一の称呼及び観念が生じると認められる。 以上によれば、使用商標1及び2と本件商標とを比較対照すると、その外 観は異なるものの、商標を構成する文字、称呼及び観念において共通するから、使用商標1及び2は、いずれも、本件商標と社会通念上同一と認められる。 ⑵ 原告の当審における補充主張に対する判断原告は、前記第3の2〔原告の主張〕のとおり、本件商標は、極太のゴシ ック調の書体で欧文字「Lun」を書し、その右に一体感を持たせた図形的要素を配した、文字と図形の結合商標であると捉えられるものであって、使用商標1及び2は本件商標と社会通念上同一とは認められないと主張する。 しかし、本件商標の最も右側に配置された「」の部分は、その形状が欧文字の「A」に似ていること、欧文字「Lun」の後に置かれていること、 及び「Luna」の英単語が広く知られているものであることからすれば、 欧文字の「A」を図案化したものであると一般に認識されると認められ、この部分が片仮名の「ム」を裏返しにしたものであるとか、文字を図形化したものでない図形であると認識されるとは解されない。したがって、本件商標が文字と図形の結合商標であると捉えられるために使用商標1 この部分が片仮名の「ム」を裏返しにしたものであるとか、文字を図形化したものでない図形であると認識されるとは解されない。したがって、本件商標が文字と図形の結合商標であると捉えられるために使用商標1及び2が本件商標と社会通念上同一であると認められない、と解することもできない。 原告は、本件商標の「A」の文字は図形と目される構成要素が特異な書体で書されたものであるから、使用商標1及び2が本件商標と社会通念上同一の商標であると認められないという趣旨の主張もする。しかし、前記⑴のとおり、使用商標1及び2と本件商標とは、外観は異なるものの、商標を構成する文字、称呼及び観念において共通しており、これらのことからすれば社 会通念上同一の商標であるといえ、本件商標の「A」の文字が図案化されており、使用商標1の「A」の文字は図案化されているが本件商標とは異なるものであり、使用商標2の「A」の文字は図案化されていないものであることをもって、使用商標1及び2と本件商標とが社会通念上同一の商標であると認められないことにはならない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 取消事由2に関する結論以上によれば、使用商標1及び2が、本件商標と社会通念上同一の商標であるとした本件審決の判断に誤りはなく、取消事由2には理由がない。 3 結論 以上のとおり、取消事由1及び2は、いずれも理由がなく、要証期間に、本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標1が、本件請求商品に使用されたと認められるから、本件商標の取消しの請求は理由がなく、同旨の本件審決の判断に誤りはなく、本件審決に、これを取り消すべき違法はない。 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のと おり判決する。 主文 由がなく、同旨の本件審決の判断に誤りはなく、本件審決に、これを取り消すべき違法はない。よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 理由 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官水野正則(別紙1 審決書写し省略) (別紙2)使用商標目録 1 使用商標1 2 使用商標2 以上

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