【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人土川修三、同大塩量明、同南谷幸久、同南谷信子の上告理由第一点及 び第
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人土川修三、同大塩量明、同南谷幸久、同南谷信子の上告理由第一点及 び第二点について 普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が、当該普通地方公共団体の事務を 遂行し対外的折衝等を行う過程において、社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の 接遇を行うことは、当該普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動し ている以上、右事務に随伴するものとして、許容されるものというべきであるが、 それが公的存在である普通地方公共団体により行われるものであることに思いを致 すと、対外的折衝等をする際に行われた接遇であっても、それが社会通念上儀礼の 範囲を逸脱したものである場合には、右接遇は当該普通地方公共団体の事務に当然 伴うものとはいえず、これに要した費用を公金により支出することは許されないも のというべきである。そして、このことは、地方自治法二八四条一項所定の一部事 務組合の管理者等の執行機関が行う接遇の場合であっても同様であって、これを別 異に解すべき合理的理由はないものというべきである。 本件についてこれをみるに、原審が適法に確定したところによると、(1) 上告 人は、岐阜県海津郡a町の町長であるが、同町と同郡b町が設立した一部事務組合 であるD水防事務組合(以下「訴外組合」という。)の管理者を兼務していた、( 2) 訴外組合は、長良川河口堰事業に関連して岐阜県が策定したD地域開発事業 計画に盛り込まれた治水事業等について、建設省、水資源開発公団及び岐阜県等の 関係機関と頻繁に協議を重ね、これらの機関に対し陳情を行うなどしていた、(3) 昭和五四年九月二八日岐阜市内の料亭で開かれた本件宴会は、訴外組合が、岐阜 - 1 - 県当局者に対し右事業計画に 県等の 関係機関と頻繁に協議を重ね、これらの機関に対し陳情を行うなどしていた、(3) 昭和五四年九月二八日岐阜市内の料亭で開かれた本件宴会は、訴外組合が、岐阜 - 1 - 県当局者に対し右事業計画に関する要望を伝え、両者の間の意思の疎通を図る趣旨 で、岐阜県当局者を接待するために設営したものであって、その出席者は、岐阜県 側から知事、土木部長、開発企業局長ら計六名、訴外組合側からは上告人、b町長 ら計七名の合計一三名であり、これに要した費用は、合計二九万四九七二円である が、右費用には、料理飲食料等の一五万七四九二円のほかに、芸妓四名に対する花 代である九万五一二〇円、右出席者の一部が宴会終了後引き続き二次会としてバー で遊興した費用である四万二三六〇円が含まれていた、(4) 本件宴会に要した右 費用は、訴外組合の管理者である上告人の支出命令により、訴外組合の公金により 支払われた、というのである。右事実関係によれば、本件宴会が持たれた趣旨は、 訴外組合が岐阜県当局者に対し前記事業計画に関する要望を伝え、両者の間の意思 の疎通を図ることにあったというのであるが、前記の本件宴会による接待が行われ るに至った経緯、本件宴会に要した費用の総額、また、これに相当高額な芸妓花代 も含まれていること、更には、二次会で遊興した費用までも訴外組合において負担 していることなどの諸点に照らすと、本件宴会による接待は、訴外組合がその事務 を遂行する過程で、社交儀礼の範囲にとどまる程度の接待を行ったという態様・内 容のものであるとはいい難く、これを客観的にみて、岐阜県当局者に対する宴会に よる接待それ自体をその主たる目的とするものとみられてもやむをえない態様・内 容のものであって、訴外組合が行う接待として社会通念上儀礼の範囲を逸脱したも のといわざるをえない。そうすると、本件宴会に要した費用を それ自体をその主たる目的とするものとみられてもやむをえない態様・内 容のものであって、訴外組合が行う接待として社会通念上儀礼の範囲を逸脱したも のといわざるをえない。そうすると、本件宴会に要した費用を訴外組合が負担し、 これを訴外組合の公金により支出することが許されるものでないことは、前記説示 に照らし、明らかというべきであるから、訴外組合の管理者である上告人が、本件 宴会を主催し、これに要した費用を支払うため本件支出命令を発したことは、違法 であるといわなければならない。以上と同旨の見解に立って、上告人がした本件支 出命令が違法なものであるとした原審の判断は、正当として是認することができ、 - 2 - 原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。 同第三点について 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、所論の点に関する原審の判断は、 正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用する ことができない。 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官 全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 安 岡 滿 彦 裁判官 伊 藤 正 己 裁判官 坂 上 壽 夫 裁判官 貞 家 克 己 - 3 -
▼ クリックして全文を表示