昭和25(れ)910 麻薬取締規則違反

裁判年月日・裁判所
昭和27年3月28日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を東京高等裁判所に差し戻す。          理    由  東京高等検察庁検事長佐藤博の上告趣意及びこれに対する弁護人新谷春吉の答弁 並び

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判決文本文2,668 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理由 東京高等検察庁検事長佐藤博の上告趣意及びこれに対する弁護人新谷春吉の答弁並びに弁護人松本正雄、同遊田多聞及び同新谷春吉、同清瀬三郎の各上告趣意は末尾に添えた別紙記載のとおりである。 東京高等検察庁検事長佐藤博の上告趣意について。 本件公訴事実の要旨及びこれに対する原判決判示の要旨は所論摘示のとおりである。しかして所論は第一として右原判決判示の麻薬取締規則(以下規則と記す)第四六条第三号の解釈適用について争うので考えてみるに、同規則は第三条に麻薬取扱者の定義を掲げ、第四条に各業務種類別の免許を要求して麻薬取扱者の範囲を限定した上第四三条以下等においてはその取扱者をして常に麻薬の所在及び異動を明確にさせて、いわゆる無籍麻薬が存在しないように慎重を期しているのであつて、第四六条は麻薬使用者に対し一二月三一日現在で一月三一日までに年末に現在した麻薬の品名及び数量の報告書提出を命じその間何等の制限条件も定めていないのであるから年末に現在する麻薬が規則第二条に定める麻薬である限り、その現在するに至つた事情の如何を問わないものといわなければならない。それ故たとえ原判決判示のような事情の下に発見された麻薬であつても、麻薬使用者である被告人が同条所定の報告書を厚生大臣に提出するに当つては、これを数量中に加算しなければならないものと解せられるのである(昭和二三年(れ)第二五五号同年七月一七日第二小法廷判決参照)。されば原判決がこれと異なる見解の下に本件公訴事実について規則第四六条は適用されないと判断したのは法令の解釈適用を誤つた違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから論旨は理由があり原判決- 1 -は破棄を免れな 下に本件公訴事実について規則第四六条は適用されないと判断したのは法令の解釈適用を誤つた違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから論旨は理由があり原判決- 1 -は破棄を免れない。 次に所論は第二として前記本件公訴事実は被告人が前記麻薬を不法に所持していたという規則第四二条違反の事実をも包含するものであると前提して原判決の判断遺脱の違法を主張するのである。しかし右公訴事実中にはなるほど所論のように「所持していた」旨の語句は記載されてはいるが、それは前記規則第四六条所定の報告をしなかつたという公訴事実の内容である麻薬が現在していたという具体的要件を説明したものであつて所論のように規則第四二条違反の事実としての摘示とは解し得られない。蓋し規則第四六条所定の報告をしなかつたという事実と規則第四二条の不法所持の事実とは全く別個の事実であるから、仮に所論の事由にょり麻薬取扱者である被告人の麻薬所持をも不法所持として規則第四二条違反の事実として起訴するのであるならば所論正当なルート以外から入手したものであるとか、或いは自己の業務の範囲外の目的を以つて所持するものであるとかの要件事実を掲げなければならないわけであり、本件公訴事実のように単に被告人の麻薬所持の事実を記載したからといつて、到底所論規則第四二条違反の事実を別個独立の事実として起訴したものと認めるわけにはいかない。のみならず規則第四二条は麻薬取扱者の麻薬所持を認め別に何等の制限も条件も附していないのであるから、これは一般に所持と認められる凡ての場合を指すものと解せられ所論のように正当なルートから入手して所持している場合のみとか、自己の業務の範囲内の目的で所持している場合に限るとかと、限定して解釈することはできないのである(前掲当裁判所判決参照)。 従つてこれと同旨に出た に正当なルートから入手して所持している場合のみとか、自己の業務の範囲内の目的で所持している場合に限るとかと、限定して解釈することはできないのである(前掲当裁判所判決参照)。 従つてこれと同旨に出たものと認められる原判決は正当であつて所論の違法はなく論旨は理由がない。 弁護人松本正雄、同遊田多聞、同新谷春吉、同清瀬三郎の各上告趣意について。 麻薬取締規則第二三条は「麻薬取扱者でなければ麻薬を製剤、小分、販売、授与又は使用することはできない」と規定し直接麻薬取扱者の所為については何等の制- 2 -限も加えていないのである。もつとも同規則は前叙のように麻薬取扱者の範囲を限定し第二九条以下等において第三条に定める各取扱者の業態別にその行為について個別的な制限を規定し殊に第三四条以下においては麻薬使用者の業務行為に厳格な規則を加えてはいるのである。しかしながらそれだからといつて直ちに前記何等の制約もない規則第二三条の規定を新らたに制定された麻薬取締法第三条等と同様麻薬取扱者はその業務の目的以外のために所定の行為をしてはならない趣旨に帰着するものであると解釈することはできない。蓋し規則第二三条は直接には麻薬取扱者以外の者の所定行為を禁止したものであり、ここにいわゆる麻薬取扱者が規則第三条に定める麻薬取扱者以外の者でないことは同規則全般の趣旨に照し明らかであるから反面同規則にいわゆる麻薬取扱者は別段の定めがない限り第二三条所定の所為を許されたものであるといわなければならない。しかして同規則は麻薬取扱者である麻薬使用者の麻薬授与については特にこれを禁止処断する旨の規定をもうけていないのであるから同規則の下においては所詮麻薬使用者である被告人の本件所爲を処罰することはできないものという外はない。それ故右に反する見解の下に本件被告人の判示所爲について する旨の規定をもうけていないのであるから同規則の下においては所詮麻薬使用者である被告人の本件所爲を処罰することはできないものという外はない。それ故右に反する見解の下に本件被告人の判示所爲について、右規則第二三条を適用処断した原判決は法令の解釋適用を誤つた違法あるものというべく、右違法は判決に影響すること明らかであるから論旨は理由があり破棄を免れない。 よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四八条の二により主文のとおり判決する。 この判決は裁判官塚崎直義を除き、その他の裁判官全員一致の意見である。 検察官小幡勇三郎関与。 昭和二七年三月二八日最高裁判所第二小法廷裁判官霜山精一裁判官栗山茂- 3 -裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎裁判長裁判官塚崎直義は退官につき本件評議に関与しない。 裁判官霜山精一- 4 -

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