令和2(ヨ)35 四国電力伊方原発3号炉運転差止仮処分命令申立事件

裁判年月日・裁判所
令和3年11月4日 広島地方裁判所 却下
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判決文本文88,793 文字)

- 1 - 令和2年(ヨ)第35号四国電力伊方原発3号炉運転差止仮処分命令申立事件決定 主文 1 本件申立てをいずれも却下する。 2 申立費用は,債権者らの負担とする。 理由 第1 申立ての趣旨 1 債務者は,愛媛県西宇和郡伊方町九町字コチワキ3番耕地40番地3において伊方発電所3号炉の運転をしてはならない。 2 申立費用は,債務者の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,債権者らにおいて,債務者が設置,運転している発電用原子炉施設である伊方発電所(以下「本件発電所」という。)3号炉(以下「本件原子炉」という。)及びその附属施設(本件原子炉とまとめて以下「本件原子炉施設」という。)は,特に地震に対する安全性を欠いており,それに起因する重大な事故が上記運転中に発生し,これにより大量の放射性物質が放出されて,債権者らの生命,身体,生活の平穏等の重大な法益に対する侵害が生ずる具体的危険があるとして,債務者に対し,人格権に基づく妨害予防請求権としての本件原子炉の運転差止請求権を被保全権利として,本件原子炉の運転の差止めを命ずる仮処分命令を申し立てる事案である。 2 前提事実(争いのない事実又は疎明資料等により容易に認定できる事実(特に認定根拠を掲記しないものは,争いがないか,審尋の全趣旨により容易に認定できる事実である。))⑴ 当事者ア債権者らは,広島市a 区,広島市b 区,広島市c 区,広島市d 区,広島県尾 - 2 - 道市又は松山市に居住する者である。債権者らのうち松山市に居住する者の肩書住所地と本件発電所の距離は約60㎞,その余の債権者らの肩書住所地と本件発電所との距離は約100㎞(広島市)又は130㎞(広島県尾道市) 市に居住する者である。債権者らのうち松山市に居住する者の肩書住所地と本件発電所の距離は約60㎞,その余の債権者らの肩書住所地と本件発電所との距離は約100㎞(広島市)又は130㎞(広島県尾道市)である。 イ債務者は,一部地域を除く四国4県へ電力供給を行う一般電気事業者であるとともに,本件発電所において,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)2条5項所定の発電用原子炉を3機(1号炉ないし3号炉)設置している発電用原子炉設置者(同法43条の3の8第1項)である。 ⑵ 本件発電所の概要等ア本件発電所は,佐田岬半島の瀬戸内海側に位置している。 イ本件発電所に設置されている3機の原子炉のうち,1号炉は平成28年5月10日付けで,2号炉は平成30年5月23日付けで,いずれも「発電事業の用に供する発電用の電気工作物」(電気事業法27条の27第1項3号)としては廃止され,その運転を終了した。 本件原子炉(3号炉)は,債務者において昭和59年5月24日,通商産業大臣(当時)に対し,原子炉設置変更(増設)許可申請を行い,昭和61年5月26日,同許可処分を受けた上,平成6年12月15日に営業運転を開始した発電用原子炉であって,その定格電気出力は,89万キロワットである。 ⑶ 原子力発電所の仕組みア核分裂の仕組み全ての物質は元素(原子)からなっており,原子の中心には原子核(陽子と中性子の集合体)がある。 1個の原子核が複数の原子核に分裂する現象を核分裂という。ウラン235の原子核は,核分裂の際に,大きなエネルギーとともに,核分裂生成物 - 3 - (放射性物質であるヨウ素131,キセノン133等)及び2個又は3個の中性子を発生させる。ウラン235は,核分裂性核種の は,核分裂の際に,大きなエネルギーとともに,核分裂生成物 - 3 - (放射性物質であるヨウ素131,キセノン133等)及び2個又は3個の中性子を発生させる。ウラン235は,核分裂性核種の一つとされ,中性子を吸収すると2個(まれに3個)に核分裂しやすい性質を有し,その核分裂によって発生した中性子の一部が別のウラン235の原子核に吸収されて次の核分裂を起こす(核分裂が次々と繰り返されることを核分裂連鎖反応という。)。 もっとも,ウラン235の原子核は,速度の遅い中性子(いわゆる熱中性子)に対する場合に核分裂しやすいところ,ウラン235の原子核の核分裂の際に生じる中性子は速度が速いため(いわゆる高速中性子),効率的にウラン235の核分裂を起こすには,核分裂によって生じた中性子の速度を熱中性子のそれにまで減速させる必要がある。また,核分裂を安定的に持続させていくためには,核分裂を起こす中性子の数を調整することも必要である。 このため,原子炉では,前者の目的を達するために減速材を,後者の目的を達するために制御材を,それぞれ用いている。イ原子力発電の仕組み原子力発電は,核分裂連鎖反応によって持続的に生じるエネルギーを熱エネルギーとして取り出し,この熱エネルギーによって発生させた蒸気でタービンを回転させて行う発電である。 ウ原子炉の種類減速材を用いる原子炉のうち,減速材として軽水を用い,かつ,減速材を冷却材(炉心を冷却するとともに,原子炉で発生したエネルギーを取り出すための媒介となるもの)と兼用するものを軽水炉という。また,軽水炉は,(ア)冷却材を原子炉内で沸騰させ,その蒸気をタービンに直接送って発電するタイプのもの(沸騰水型原子炉)と,(イ)一次冷却系と二次冷却系を有し,原子炉で発生させた高温高圧の一次冷 。また,軽水炉は,(ア)冷却材を原子炉内で沸騰させ,その蒸気をタービンに直接送って発電するタイプのもの(沸騰水型原子炉)と,(イ)一次冷却系と二次冷却系を有し,原子炉で発生させた高温高圧の一次冷却材の持つ熱エネルギーを蒸気発生器を介して二次冷却系に伝達し,二次冷却系で発生した蒸気をタービンに送って - 4 - 発電するタイプのもの(加圧水型原子炉)に分けられる。 本件原子炉は,加圧水型原子炉である。 ⑷ 本件原子炉施設の基本構成ア本件原子炉(ア) 原子炉容器原子炉容器は,燃料集合体等を収納する,胴部の厚さが約20㎝の容器であり,内部は一次冷却材である軽水で満たされている。 (イ) 燃料集合体燃料集合体は,原子力発電の燃料(本件原子炉にあっては,二酸化ウラン又はウラン・プルトニウム混合酸化物を用いた燃料)を成型し,焼き固めたペレットを燃料被覆管の中に詰めた燃料棒を束ねたものである。 (ウ) 制御材a ホウ素ホウ素は,中性子を吸収しやすい性質を利用し,一次冷却材に添加して一次冷却材中のホウ素濃度を調整することによって,原子炉内の中性子の数を調整する目的で用いられる。一次冷却材中のホウ素濃度の調整は,平常運転時においては,体積制御タンク,充てんポンプ,ホウ酸タンク,ホウ酸ポンプ等の設備から構成される化学体積制御設備において濃度を調整したホウ酸水を一次冷却設備に注入するなどして行われる。 b 制御棒制御棒は,本件原子炉においては,燃料集合体の上部から挿入できるよう組み込まれており,制御棒の先端(下端)は,常に燃料集合体の中に入った状態となっている。1つの燃料集合体に挿入される制御棒の全ては上部で束ねられており(制御棒クラスタ),これを駆動装置によって保持するととも ており,制御棒の先端(下端)は,常に燃料集合体の中に入った状態となっている。1つの燃料集合体に挿入される制御棒の全ては上部で束ねられており(制御棒クラスタ),これを駆動装置によって保持するとともに,原子炉内で上下に駆動させることで,原子炉内の中性子の数を調整し,核分裂の連鎖を安定した状態に制御する。 - 5 - イ一次冷却設備一次冷却設備は,原子炉内で核分裂によって生じた熱エネルギーによって高温となった一次冷却材を蒸気発生器に送り,蒸気発生器内において一次冷却材と二次冷却材との間で熱交換を行い,その結果低温になった一次冷却材を,再び原子炉に戻し循環させる回路状の設備である。 ウ二次冷却設備二次冷却設備は,蒸気発生器内で熱交換を行って一次冷却材を除熱するとともに蒸気となった二次冷却材をタービンに送り,発電した後の蒸気を水に変えた後で,再び蒸気発生器に戻すための設備である。 エ電気設備(ア) 発電機発電機は,二次冷却設備のタービンに同軸で直結され,タービンが回転するエネルギーをもとに電気を発生させる設備である。 (イ) 外部電源外部電源は,本件発電所とは別の発電所で発電した電気を本件発電所に供給するための設備であり,発電機の停止中に本件発電所内の機器を運転するのに必要な電気の供給源として位置づけられている。 (ウ) 非常用ディーゼル発電機非常用ディーゼル発電機は,発電機が停止しかつ外部電源が喪失した場合に,発電所の安全を確保するために必要な設備を起動するための設備である。 (エ) 直流電源設備直流電源設備は,2組のそれぞれ独立した蓄電池,充電器,直流コントロールセンタ等で構成され,発電機が停止し,かつ,外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの交流電源を全て喪失した場合であって 源設備直流電源設備は,2組のそれぞれ独立した蓄電池,充電器,直流コントロールセンタ等で構成され,発電機が停止し,かつ,外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの交流電源を全て喪失した場合であっても,原子炉の温度,圧力等を監視・制御するために必要な機器に電気を供給すること - 6 - を目的としている。 オ工学的安全施設(ア) 原子炉格納容器放射性物質を閉じ込める施設として,原子炉格納容器及びコンクリート遮へい壁を設けている。 原子炉格納容器は,原子炉及び一次冷却設備等を囲っている気密性の極めて高い密封容器であって,一次冷却材喪失事故(LossofCoolantAccident。以下「LOCA」という。)等が発生した場合に圧力障壁となり,放射性物質の放出に対する障壁となる。 コンクリート遮へい壁は,原子炉格納容器のさらに外側をコンクリートで囲んでおり,胴部の厚さは最大で約140㎝である。 原子炉格納容器とコンクリート遮へい壁の間には密閉された円環状空間であるアニュラス部を設け,二重格納の機能を持たせている。 (イ) 非常用炉心冷却設備非常用炉心冷却設備は,仮にLOCA等が発生して一次冷却材が減少し原子炉を冷却する機能が低下した場合であっても,原子炉容器内にホウ酸水を注入することで,燃料の重大な損傷を防止するための設備である。 (ウ) 原子炉格納容器スプレイ設備原子炉格納容器スプレイ設備は,LOCA等が発生した場合に,核分裂により生成された放射性ヨウ素を吸収しやすくなる薬剤を添加しながら原子炉格納容器内にホウ酸水を噴霧することで,原子炉格納容器内の水蒸気を凝固させて圧力上昇を抑えるとともに,原子炉格納容器内に浮遊する放射性ヨウ素等を除去する機能を持つ。 (エ) アニュラス空気再循環 納容器内にホウ酸水を噴霧することで,原子炉格納容器内の水蒸気を凝固させて圧力上昇を抑えるとともに,原子炉格納容器内に浮遊する放射性ヨウ素等を除去する機能を持つ。 (エ) アニュラス空気再循環設備アニュラス空気再循環設備は,LOCA等が発生した場合に,アニュラス部を負圧に保つ一方,原子炉格納容器からアニュラス部に漏えいした空 - 7 - 気を浄化しながら再循環させ,もって,上記漏えいに係る空気に含まれる放射性物質が外部へ放出されることを抑制するための設備である。 カ使用済燃料ピット使用済燃料ピットは,原子炉から取り出された使用済燃料を貯蔵する設備である。本件原子炉においては燃料取扱棟内に設置されており,壁面及び底部を鉄筋コンクリート造とし,その内面にステンレス鋼板を内張りした構造物である。 ⑸ 2011年東北地方太平洋沖地震及び東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故平成23年3月11日,2011年東北地方太平洋沖地震(以下「東北地方太平洋沖地震」という。)が発生した。同地震は,三陸沖の太平洋海底を震源とする海溝型のプレート間地震(Mw(モーメントマグニチュード)9.0)であった。 その当時,東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)には,いずれも沸騰水型軽水炉である発電用原子炉1号機ないし6号機が設置されていた。このうち,運転中であった1号機ないし3号機は,地震を感知した直後に自動的に緊急停止したものの,地震による外部からの送電設備の損傷や津波等により,結果的に,1号機,2号機は全電源を,3号機は全交流電源を,いずれも喪失した。このため,1号機ないし3号機は,冷却機能を失い,相次いで炉心溶融を起こした。そして,原子炉建屋の水素爆発(1 等により,結果的に,1号機,2号機は全電源を,3号機は全交流電源を,いずれも喪失した。このため,1号機ないし3号機は,冷却機能を失い,相次いで炉心溶融を起こした。そして,原子炉建屋の水素爆発(1号機及び3号機),ブローアウトパネルの脱落による原子炉建屋内部と外気との連絡(2号機)及びベント(原子炉格納容器内の圧力を下げるために放射性物質を含む空気をあえて排出する措置。1号機及び3号機)等により,放射性物質が大量に外部に放出された。(福島第一原発において上記のとおり生じた一連の事象をまとめて以下「福島第一原発事故」という。) - 8 - 福島第一原発事故の結果,避難区域指定は福島県内の12市町村に及び,避難した人数は,平成23年8月29日の時点において,合計約14万6520人に達した。また,東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法に基づいて設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(以下「国会事故調査会」という。)の調査によれば,福島第一原発を中心とする半径20㎞圏内にある7つの病院と介護老人保健施設に入院し又は入所していた者で,平成23年3月末までに死亡した者は,合計で少なくとも60人に上った。 ⑹ 福島第一原発事故を受けた規制の強化ア平成24年6月27日,原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号。以下「設置法」という。)が新たに施行された。 設置法は,福島第一原発事故を契機に明らかとなった原子力の研究,開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し,並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため,原子力利用における事故の発生を常に想定し,その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って,確 織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため,原子力利用における事故の発生を常に想定し,その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って,確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し,又は実施する事務を一元的につかさどるとともに,その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し,もって国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とするものである(同法1条)。 原子力規制委員会は,設置法に基づいて設置された機関であって,国家行政組織法3条2項の規定に基づく環境省の外局として位置づけられる(設置法2条)。そして,原子力規制委員会は,国民の生命,健康及び財産の保護,環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため,原子力利用における安全の確保を図ることを任務とし(同法3条),同任務を達成するために原子力 - 9 - 利用における安全の確保に関することなどの事務をつかさどる(同法4条)。 また,原子力規制委員会は,その所掌事務について,法律若しくは政令を実施するため,又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて,原子力規制委員会規則を制定することができるものとされている(同法26条)。 イそして,設置法附則に基づき,原子力基本法及び原子炉等規制法もそれぞれ改正された。また,新たに設置された原子力規制委員会は,原子力規制委員会規則の制定や同委員会における審査基準に関する内規の策定等について所要の検討を遂げた。 その結果,発電用原子炉をめぐる一連の規制基準に関する法令及び内規が次のとおり整備され,「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び 査基準に関する内規の策定等について所要の検討を遂げた。 その結果,発電用原子炉をめぐる一連の規制基準に関する法令及び内規が次のとおり整備され,「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則」(平成25年6月28日原子力規制委員会規則第5号。以下「設置許可基準規則」という。)とともに,同年7月8日に施行された(設置法附則1条4号,26条,設置許可基準規則附則1項)。 (ア) 発電用原子炉を設置しようとする者は,政令で定めるところにより,原子力規制委員会の許可(原子炉設置許可)を受けなければならず(原子炉等規制法43条の3の5第1項),原子力規制委員会は,上記許可の申請があった場合においては,その申請が同法43条の3の6第1項各号所定の基準に適合していると認めるときでなければ,上記許可をしてはならない(同法43条の3の6第1項)。そして,原子炉設置許可を受けた者が,使用の目的,発電用原子炉の型式,熱出力及び基数,発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備等の事項(同法43条の3の5第2項2ないし5号又は8ないし10号に掲げる事項)を変更しようとするときは,政令で定めるところにより,原子力規制委員会の許可(原子炉設置変更許可)を受けなければならないが(同法43条の3の8第1項),この場合にも同法43条の3の6第1項が準用される(同法43条の3の8第2項)。 - 10 - (イ) 上記原子炉設置許可及び原子炉設置変更許可の基準の一つである「発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること」(原子炉等規制法43条の3の6第1項4号,43条の3の8第2 質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること」(原子炉等規制法43条の3の6第1項4号,43条の3の8第2項)にいう「原子力規制委員会規則」が設置許可基準規則である。 そして,設置許可基準規則で定める基準のうち,地震による損傷の防止の点については,「耐震重要施設は,その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(基準地震動による地震力)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。」との基準が設けられている(4条3項。本件にあっては,上記基準をもって,以下「新規制基準」という。)。 なお,上記基準をめぐる定義の定めは,次のとおりである。 「耐震重要施設」 設計基準対象施設のうち,地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの(設置許可基準規則3条1項)「設計基準対象施設」 発電用原子炉施設のうち,運転時の異常な過渡変化又は設計基準事故の発生を防止し,又はこれらの拡大を防止するために必要となるもの(同2条2項7号)「設計基準事故」 発生頻度が運転時の異常な過渡変化より低い異常な状態であって,当該状態が発生した場合には発電用原子炉施設から多量の放射性物質が放出するおそれがあるものとして安全設計上想定すべきもの(同2条2項4号)(ウ) 設置許可基準規則の解釈については「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則の解釈」(原規技発第1306193号(平成25年6月19日原子力規制委員会決定)。以下「設置 - 11 - 許可基準規則解釈」という。なお の附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則の解釈」(原規技発第1306193号(平成25年6月19日原子力規制委員会決定)。以下「設置 - 11 - 許可基準規則解釈」という。なお,令和元年9月2日付けで改定されている(乙89))が,発電用軽水型原子炉施設の設置許可段階の耐震設計方針に関わる審査において審査官等が設置許可基準規則及び設置許可基準規則解釈の趣旨を十分踏まえ,基準地震動の妥当性を厳格に確認するために活用することを目的とする内規として「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド」(以下「地震ガイド」という。甲23,乙67)が,いずれも原子力規制委員会によって示されている。 ⑺ 東北地方太平洋沖地震以後の本件原子炉の運転再開までの経過ア本件原子炉は平成23年4月29日から定期検査に入っていたところ,債務者は,平成25年7月8日,原子力規制委員会に対し,本件原子炉に係る原子炉設置変更許可を申請するとともに(以下「本件申請」という。),工事計画認可及び保安規定変更認可の各申請をした。 本件申請については,平成27年5月21日から同年6月19日までの間,原子力規制委員会が作成した本件原子炉施設の変更をめぐる審査書案に対する科学的・技術的意見の公募手続(パブリックコメント)が実施された上,同年7月15日,平成27年度第19回原子力規制委員会において「四国電力株式会社伊方発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(3号原子炉施設の変更)に関する審査書」(乙37)が確定されるとともに,本件申請に対する原子力規制委員会の許可処分がされた。また,工事計画認可申請については平成28年3月23日に,保安規定変更認可申請については同年4月19日に,それぞれ原子力規制委員会の認可処分がされた。 イその後,本 規制委員会の許可処分がされた。また,工事計画認可申請については平成28年3月23日に,保安規定変更認可申請については同年4月19日に,それぞれ原子力規制委員会の認可処分がされた。 イその後,本件原子炉については,同年9月7日,安全対策工事の内容が認可を受けた工事計画どおりであることなどを確認する検査(使用前検査)が終了し,その頃,通常運転を再開した。 ⑻ 本件申請において策定された基準地震動ア本件申請時点における新規制基準の内容(乙89) - 12 - 設置許可基準規則解釈別記2第5項は,基準地震動は,最新の科学的・技術的知見を踏まえ,敷地及び敷地周辺の地質・地質構造,地盤構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から想定することが適切なものとし,次の方針により策定することと定めている(なお,基準地震動の妥当性を厳格に確認するため,設置許可基準規則及び同規則解釈をさらに敷衍したものが地震ガイドである。)。 (ア) 基準地震動は,「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」について,解放基盤表面(基準地震動を策定するために,基盤面上の表層及び構造物がないものとして仮想的に設定する自由表面であって,著しい高低差がなく,ほぼ水平で相当な拡がりを持って想定される基盤の表面をいう。ここでいう上記の「基盤」とは,おおむね,せん断波速度Vs=700m/秒以上の硬質地盤であって,著しい風化を受けていないものとする。)における水平方向及び鉛直方向の地震動としてそれぞれ策定すること。 (イ) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は,内陸地殻内地震,プレート間地震及び海洋プレート内地震について,敷地に大きな影響を与えると予想される地震(以下「検討用地震」という。)を複 (イ) 「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」は,内陸地殻内地震,プレート間地震及び海洋プレート内地震について,敷地に大きな影響を与えると予想される地震(以下「検討用地震」という。)を複数選定し,選定した検討用地震ごとに,不確かさを考慮して応答スペクトルに基づく地震動評価及び断層モデルを用いた手法による地震動評価を,解放基盤表面までの地震波の伝播特性を反映して策定すること。なお,上記の「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」については,次に示す方針により策定すること。 「内陸地殻内地震」とは,陸のプレートの上部地殻地震発生層に生じる地震をいい,海岸のやや沖合で起こるものを含む。「プレート間地震」とは,相接する二つのプレートの境界面で発生する地震をいう。「海洋プレート内地震」とは,沈み込む(沈み込んだ)海洋プレート内部で発生する - 13 - 地震をいい,海溝軸付近又はそのやや沖合で発生する「沈み込む海洋プレート内の地震」又は海溝軸付近から陸側で発生する「沈み込んだ海洋プレート内の地震(スラブ内地震)」の2種類に分けられる。 a 内陸地殻内地震,プレート間地震及び海洋プレート内地震について,活断層の性質や地震発生状況を精査し,中・小・微小地震の分布,応力場及び地震発生様式(プレートの形状・運動・相互作用を含む。)に関する既往の研究成果等を総合的に検討し,検討用地震を複数選定すること。 b 内陸地殻内地震に関しては,次に示す事項を考慮すること。 ⒜ 震源として考慮する活断層の評価に当たっては,調査地域の地形・地質条件に応じ,既存文献の調査,変動地形学的調査,地質調査,地球物理学的調査等の特性を活かし,これらを適切に組み合わせた調査を実施した上で,その結果を総合的に評価し活断層の位置・形状・活動性等を明らか 件に応じ,既存文献の調査,変動地形学的調査,地質調査,地球物理学的調査等の特性を活かし,これらを適切に組み合わせた調査を実施した上で,その結果を総合的に評価し活断層の位置・形状・活動性等を明らかにすること。 ⒝ 震源モデルの形状及び震源特性パラメータ等の評価に当たっては,孤立した短い活断層の扱いに留意するとともに,複数の活断層の連動を考慮すること。 c プレート間地震及び海洋プレート内地震に関しては,国内のみならず世界で起きた大規模な地震を踏まえ,地震の発生機構及びテクトニクス的背景の類似性を考慮した上で震源領域の設定を行うこと。 d 上記aで選定した検討用地震ごとに,後記⒜の応答スペクトルに基づく地震動評価及び⒝の断層モデルを用いた手法による地震動評価を実施して策定すること。なお,地震動評価に当たっては,敷地における地震観測記録を踏まえて,地震発生様式及び地震波の伝播経路等に応じた諸特性(その地域における特性を含む。)を十分に考慮すること。 ⒜ 応答スペクトルに基づく地震動評価 - 14 - 検討用地震ごとに,適切な手法を用いて応答スペクトルを評価の上,それらを基に設計用応答スペクトルを設定し,これに対して,地震の規模及び震源距離等に基づき地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性を適切に考慮して地震動評価を行うこと。 ⒝ 断層モデルを用いた手法に基づく地震動評価検討用地震ごとに,適切な手法を用いて震源特性パラメータを設定し,地震動評価を行うこと。 e 上記dの基準地震動の策定過程に伴う各種の不確かさ(震源断層の長さ,地震発生層の上端深さ・下端深さ,断層傾斜角,アスペリティの位置・大きさ,応力降下量,破壊開始点等の不確かさ並びにそれらに係る考え方及び解釈の違いによる不確かさ)については,敷地にお 源断層の長さ,地震発生層の上端深さ・下端深さ,断層傾斜角,アスペリティの位置・大きさ,応力降下量,破壊開始点等の不確かさ並びにそれらに係る考え方及び解釈の違いによる不確かさ)については,敷地における地震動評価に大きな影響を与えると考えられる支配的なパラメータについて分析した上で,必要に応じて不確かさを組み合わせるなど適切な手法を用いて考慮すること。 f 内陸地殻内地震について選定した検討用地震のうち,震源が敷地に極めて近い場合は,地表に変位を伴う断層全体を考慮した上で,震源モデルの形状及び位置の妥当性,敷地及びそこに設置する施設との位置関係,並びに震源特性パラメータの設定の妥当性について詳細に検討するとともに,これらの検討結果を踏まえた評価手法の適用性に留意の上,上記eの各種の不確かさが地震動評価に与える影響をより詳細に評価し,震源の極近傍での地震動の特徴に係る最新の科学的・技術的知見を踏まえた上で,さらに十分な余裕を考慮して基準地震動を策定すること。 g 検討用地震の選定や基準地震動の策定に当たって行う調査や評価は,最新の科学的・技術的知見を踏まえること。また,既往の資料等について,それらの充足度及び精度に対する十分な考慮を行い,参照すること。 なお,既往の資料と異なる見解を採用した場合及び既往の評価と異なる - 15 - 結果を得た場合には,その根拠を明示すること。 h 施設の構造に免震構造を採用する等,やや長周期の地震応答が卓越する施設等がある場合は,その周波数特性に着目して地震動評価を実施し,必要に応じて他の施設とは別に基準地震動を策定すること。 (ウ) 「震源を特定せず策定する地震動」は,震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し,これらを基に, 基準地震動を策定すること。 (ウ) 「震源を特定せず策定する地震動」は,震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震について得られた震源近傍における観測記録を収集し,これらを基に,各種の不確かさを考慮して敷地の地盤物性に応じた応答スペクトルを設定して策定すること。なお,上記の「震源を特定せず策定する地震動」については,次に示す方針により策定すること。 a 解放基盤表面までの地震波の伝播特性を必要に応じて応答スペクトルの設定に反映するとともに,設定された応答スペクトルに対して,地震動の継続時間及び振幅包絡線の経時的変化等の地震動特性を適切に考慮すること。 b 上記の「震源を特定せず策定する地震動」として策定された基準地震動の妥当性については,申請時における最新の科学的・技術的知見を踏まえて個別に確認すること。その際には,地表に明瞭な痕跡を示さない震源断層に起因する震源近傍の地震動について,確率論的な評価等,各種の不確かさを考慮した評価を参考とすること。 (エ) 基準地震動の策定に当たっての調査については,目的に応じた調査手法を選定するとともに,調査手法の適用条件及び精度等に配慮することによって,調査結果の信頼性と精度を確保すること。また,上記の「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」の地震動評価においては,適用する評価手法に必要となる特性データに留意の上,地震波の伝播特性に係る次に示す事項を考慮すること。なお,上記の「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」及び「震源を特定せず策定する地震動」については,それぞれが対応する超過確率を参照し,そ - 16 - れぞれ策定された地震動の応答スペクトルがどの程度の超過確率に相当するかを把握すること。 a 敷地及び敷地周辺の地 地震動」については,それぞれが対応する超過確率を参照し,そ - 16 - れぞれ策定された地震動の応答スペクトルがどの程度の超過確率に相当するかを把握すること。 a 敷地及び敷地周辺の地下構造(深部・浅部地盤構造)が地震波の伝播特性に与える影響を検討するため,敷地及び敷地周辺における地層の傾斜,断層及び褶曲構造等の地質構造を評価するとともに,地震基盤の位置及び形状,岩相・岩質の不均一性並びに地震波速度構造等の地下構造及び地盤の減衰特性を評価すること。なお,評価の過程において,地下構造が成層かつ均質と認められる場合を除き,三次元的な地下構造により検討すること。 b 上記aの評価の実施に当たって必要な敷地及び敷地周辺の調査については,地域特性及び既往文献の調査,既存データの収集・分析,地震観測記録の分析,地質調査,ボーリング調査並びに二次元又は三次元の物理探査等を適切な手順と組合せで実施すること。 イ債務者による基準地震動の策定債務者は,本件申請に当たり,次のとおりの調査,検討に基づき,基準地震動を策定した(乙34,37,55ないし58,65。本件申請に対する審査の過程で補正した内容を含む。)。 (ア) 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動a 検討用地震の候補とする地震の選定⒜ 被害地震の調査債務者は,本件原子炉施設の敷地(以下「本件敷地」ということがある。)周辺の被害地震について,地震史料及び明治以降の地震観測記録を基に,地震の震央位置,規模等をまとめた地震カタログ(「最新版日本被害地震総覧」,「宇津カタログ(1982)」,「気象庁地震カタログ」等)による調査を行った。この調査によって抽出した地震について,規模及び位置等に関する最新の知見をもとに本件敷 - 17 - 地に影 」,「宇津カタログ(1982)」,「気象庁地震カタログ」等)による調査を行った。この調査によって抽出した地震について,規模及び位置等に関する最新の知見をもとに本件敷 - 17 - 地に影響を及ぼす地震として,本件敷地の震度が5弱(1996年以前は旧気象庁震度階級でⅤ)程度以上であったと推定される地震を以下のとおり選定した。 ・土佐その他南海・東海・西海諸道の地震(684年,M8 1/4)・日向灘の地震(1498年,M7 1/4)・安芸・伊予の地震(1649年,M6.9)・宝永地震(1707年,M8.6)・安政南海地震(1854年,M8.4)・伊予西部の地震(1854年,M7.0)・豊後水道の地震(1968年,M6.6)⒝ 国の機関等による知見地震調査研究推進本部(以下「地震本部」という。)は,長期的な観点から,南海トラフ沿いの地震について,四国沖から浜名湖沖までの領域を震源域とする地震を想定し,その評価のとりまとめを行っているところ,平成13年に,南海トラフ沿いの地震の発生位置(領域)及び震源域の形態を,既往の調査結果から総合的に判断して一定のモデルを提案し(想定南海地震(地震本部,M8.4)),また,平成17年には,日向灘のプレート間地震についても,1968年日向灘地震及び1662年の日向灘の地震に係る強震動評価を実施して断層モデルを示した(日向灘の地震(地震本部,M7.6))。 中央防災会議は,平成15年,「東南海・南海地震等に関する専門調査会」を設置し,東南海・南海地震などの過去の地震発生例を参考にして,東海地震,東南海地震及び南海地震をさまざまに組み合わせたケースを想定した検討を行い,想定南海地震として一定のモデルを設定した(想定南海地震(中央防災会議,M8.6))。 内閣 生例を参考にして,東海地震,東南海地震及び南海地震をさまざまに組み合わせたケースを想定した検討を行い,想定南海地震として一定のモデルを設定した(想定南海地震(中央防災会議,M8.6))。 内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(以下「内閣府検 - 18 - 討会」という。)は,南海トラフの巨大地震を対象として,過去に南海トラフで発生した地震の特徴やフィリピン海プレートの構造等に関する特徴などの現時点の科学的知見に基づきあらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震として,駿河湾から日向灘までを震源断層域とするM9クラスを想定した検討を行った。そして,南海トラフの巨大地震として4ケースのモデルを設定している。本件敷地に最も影響があると考えられるのは,強震動生成域が最も本件敷地の近傍に配置されている「陸側ケース」(内閣府検討会,M9.0))である。 また,地震本部が平成21年12月に作成した「『全国地震動予測地図』技術報告書」(乙56)において示されている,フィリピン海プレートのプレート間及びプレート内の震源断層をあらかじめ特定しにくい地震の地域区分,すなわち,南海トラフ沿い(領域1),日向灘(領域2),安芸灘~伊予灘~豊後水道(領域3)及び九州から南西諸島周辺のやや深発地震に対応する領域(領域4)の観点も踏まえ,債務者において,上記地域区分ごとに,過去に発生した海洋プレート内地震について,地震規模の推定結果に関する最新の知見も反映させた上,上記各領域において最も規模が大きなものとして次のとおり整理した。 ・領域1 ①2004年の地震(M7.4)・領域2 ②1769年の地震(M7.4)・領域3 ③1854年の地震(M7.0)・領域4 ④1909年の地震(M7.3)もっとも,これらの地震のうち,本 004年の地震(M7.4)・領域2 ②1769年の地震(M7.4)・領域3 ③1854年の地震(M7.0)・領域4 ④1909年の地震(M7.3)もっとも,これらの地震のうち,本件敷地を含む領域3における地震(③)以外の地震(①,②及び④)は,本件敷地との間の震央距離が離れているため,そのままでは本件敷地への影響は大きくないことから,債務者は,安全側に立ち,上記①,②及び④の地震については, - 19 - 当該各領域のうち最も本件敷地に影響を与える位置で発生するものとし,それらを想定することとした。すなわち,①を震央距離約225km の位置に(アウターライズ地震 (M7.4)),②を震央距離約77km の位置に(日向灘の浅い地震(M7.4)),④を震央距離約59km の位置に(九州の深い地震(M7.3))それぞれ想定することとした。 ⒞ 本件敷地周辺の地震発生様式及び地震発生状況本件敷地周辺の地震活動は,太平洋側沖合の南海トラフから陸側へ沈み込む海洋プレートと陸域プレートとの境界付近で発生するプレート間地震,海洋プレート内で発生する地震,陸域及び沿岸で発生する内陸地殻内地震の3つに大きく分けることができる。気象庁一元化震源のうち本件敷地周辺で発生したM5未満の地震(微小地震)の分布状況の調査,本件敷地周辺で発生した過去の地震に関する知見等を踏まえると,本件敷地周辺で発生する地震の主な特徴は概ね次のとおりであった。 ① プレート間地震南海トラフ沿いでM8程度の大地震が約100年から150年の間隔で発生し,日向灘周辺ではM7程度の地震が十数年から数十年に一度の割合で発生していること② 海洋プレート内地震安芸灘や伊予灘など瀬戸内海の西部から豊後水道付近のやや深いところ(約30~70㎞の深さ)でM7 向灘周辺ではM7程度の地震が十数年から数十年に一度の割合で発生していること② 海洋プレート内地震安芸灘や伊予灘など瀬戸内海の西部から豊後水道付近のやや深いところ(約30~70㎞の深さ)でM7程度の地震が発生しており,過去に本件敷地周辺の沿岸地域に被害をもたらした地震が知られていること③ 内陸地殻内地震本件敷地近傍ではほとんど発生しておらず,発生が認められるものもM2未満のものである一方,大分県別府付近でM7程度の地震が発生していること⒟ 活断層の分布状況 - 20 - 債務者は,本件敷地周辺の活断層の分布を把握するため,文献調査,地形調査,地表地質調査,海域地質調査,地球物理学的調査等の調査を行った。上記各調査の結果,本件敷地の北方には敷地前面海域の断層群(42㎞),伊予セグメント(23㎞),川上セグメント(36㎞)などから構成される中央構造線断層帯が四国陸域から佐田岬半島西端部の北方まで分布し,本件敷地の沖合約8㎞を通過すること,さらにその西方には,別府湾-日出生断層帯(76㎞)が豊予海峡から別府市西方まで分布すること,これら以外にも,伊予灘北方には上関断層(F-15),上関断層(F-16)等の活断層が,本件敷地の南方には,八幡浜の五反田断層(2㎞),宇和海のF-21断層(22㎞)が,それぞれ分布することが分かった。 このうち,中央構造線断層帯は,債務者による上記各調査が行われた当時の地震本部の知見(乙57)によれば,近畿地方の金剛山地の東縁から淡路島南部の海域を経て四国北部を東西に横断し,伊予灘に達する断層帯(全体としての長さ約360㎞)であって,過去の活動時期の違いなどから,①金剛山地東縁(長さ約23㎞),②和泉山脈南縁(長さ約44~52㎞),③紀淡海峡-鳴門海峡(長さ約43~51㎞),④讃岐 層帯(全体としての長さ約360㎞)であって,過去の活動時期の違いなどから,①金剛山地東縁(長さ約23㎞),②和泉山脈南縁(長さ約44~52㎞),③紀淡海峡-鳴門海峡(長さ約43~51㎞),④讃岐山脈南縁-石鎚山脈北縁東部(長さ約130㎞),⑤石鎚山脈北縁(長さ約30㎞)及び⑥石鎚山脈北縁西部-伊予灘(長さ約130㎞)の6つの区間に区分されており,その将来の活動については,上記6つの区間が個別に活動する可能性,複数の区間が同時に活動する可能性,これら6つの区間とは異なる範囲が活動する可能性,さらには,断層帯全体が同時に活動する可能性も否定できないと指摘されていた。 また,別府-万年山断層帯は,債務者による上記各調査が行われた当時の地震本部の知見(乙58)によれば,ほぼ東西方向の多数の正 - 21 - 断層から構成されているが,断層の走向や変位の向きから,別府湾―日出生断層帯(76㎞),大分平野-由布院断層帯(40㎞)等に区分され,本件敷地に最も近い別府湾-日出生断層帯は,東部と西部で最新活動時期が異なり,それぞれが単独で活動すると推定されているが,全体が同時に活動する可能性,さらには,その東端が中央構造線断層帯に連続している可能性があるとも指摘されていた。 一方,債務者は,本件敷地周辺において地質調査を実施し,断層の分布形態,活動様式等の性状を特定した結果,中央構造線断層帯を構成する活断層として,北東方向から南西方向へ,順に,①川上断層(断層の長さ約36㎞),②伊予断層(同約23㎞),③敷地前面海域の断層群(断層群の長さ約42㎞,本件敷地の沖合約8㎞に分布),④豊予海峡断層(同約23㎞)が存在すること,さらに上記各断層間には,断層破壊の末端(ジョグ)を示唆する地質構造が分布すること(上記①と②の断層の間には重信引張性ジ ,本件敷地の沖合約8㎞に分布),④豊予海峡断層(同約23㎞)が存在すること,さらに上記各断層間には,断層破壊の末端(ジョグ)を示唆する地質構造が分布すること(上記①と②の断層の間には重信引張性ジョグ(長さ約12㎞),同②と③の断層の間には串沖引張性ジョグ(同約13㎞),同③と④の断層の間には三崎沖引張性ジョグ(同約13㎞))が確認された。 ⒠ 地震の分類債務者は,以上で示した地震について,地震発生様式ごとに整理・分類し,検討用地震の候補とする地震を選定した。 ⅰ 内陸地殻内地震上記⒟で示した活断層の分布状況に基づき,本件敷地周辺において考慮すべき活断層による内陸地殻内地震として,以下のとおり選定した。 ・中央構造線断層帯による地震敷地前面海域の断層群(54㎞。両端のジョグのそれぞれ中 - 22 - 間まで延伸したもの)伊予断層(33㎞。上記と同じ)金剛山地東縁-伊予灘(360㎞)石鎚山脈北縁西部-伊予灘(130㎞)・別府湾-日出生断層帯による地震・ F-21断層による地震・五反田断層による地震(15㎞。長さが短く,孤立した断層であることから,地表で認められる活断層の長さが必ずしも震源断層の長さを示さない可能性を考慮したもの)・上関断層(F-15につき48㎞,F-16につき32㎞)ⅱ プレート間地震上記⒜及び⒝を考慮し,南海トラフ沿いの地震及び日向灘における地震として以下の地震を選定した。 ・土佐その他の南海・東海・西海諸道の地震(684年,M81/4)・宝永地震(1707年,M8.6)・安政南海地震(1854年,M8.4)・想定南海地震(地震本部,M8.4)・想定南海地震(中央防災会議,M8.6)・南海トラフの巨大地震(陸側ケ 宝永地震(1707年,M8.6)・安政南海地震(1854年,M8.4)・想定南海地震(地震本部,M8.4)・想定南海地震(中央防災会議,M8.6)・南海トラフの巨大地震(陸側ケース)(内閣府検討会,M9. 0)・日向灘の地震(1498年,M7 1/4)・日向灘の地震(地震本部,M7.6)ⅲ 海洋プレート内地震南海トラフから安芸灘~伊予灘~豊後水道海域へ西北西の方向に沈み込むフィリピン海プレートで発生する海洋プレート内地震につ - 23 - いて,上記⒜及び⒝の検討結果を踏まえ,以下の地震を選定した。 ・安芸・伊予の地震(1649年,M6.9)・伊予西部の地震(1854年,M7.0)・豊後水道の地震(1968年,M6.6)・九州の深い地震(M7.3)・日向灘の浅い地震(M7.4)・アウターライズ地震(M7.4)b 検討用地震の選定債務者は,上記a⒠のとおり選定した地震から,本件敷地に特に大きな影響を与えると予想される地震を地震発生様式の分類ごとに検討用地震として選定することとし,検討用地震の選定にあたっては,応答スペクトルに基づく地震動評価を行い,以下のとおり検討用地震を選定した。 ⒜ 内陸地殻内地震中央構造線断層帯による地震は,敷地前面海域の断層群を含む区間として複数の断層長さを考慮するケースを検討用地震の候補として選定しているが,検討用地震の選定にあたっては,敷地前面海域の断層群(54㎞)で代表させて検討を行った。その結果,候補となる各地震(上記a⒠ⅰ)のうち,本件敷地への影響が最も大きいと考えられる地震は,敷地前面海域の断層群による地震となった。 なお,敷地前面海域の断層群は,中央構造線断層帯の一部であり,当時,地震本部において中央構造線断層帯の敷 ,本件敷地への影響が最も大きいと考えられる地震は,敷地前面海域の断層群による地震となった。 なお,敷地前面海域の断層群は,中央構造線断層帯の一部であり,当時,地震本部において中央構造線断層帯の敷地前面海域の断層群を含む複数区間の連動の可能性及び中央構造線断層帯と別府-万年山断層帯との連動の可能性が言及されていたことを踏まえ,検討用地震としては,これらの連動を含む区間を考慮した断層群による地震を選定した。 ⒝ プレート間地震 - 24 - 候補となる各地震のうち,応答スペクトルによる地震動評価の結果,本件敷地への影響が最も大きいと考えられる地震は,内閣府検討会による南海トラフの巨大地震(陸側ケース)となったことから,これを検討用地震として選定した。 ⒞ 海洋プレート内地震候補となる各地震のうち,応答スペクトルによる地震動評価の結果,本件敷地への影響が最も大きいと考えられる地震は,1649年安芸・伊予の地震となったことから,これを検討用地震として選定した。 c 地震動評価のための敷地地盤の評価債務者は,本件敷地の地盤における増幅特性の有無を把握すべく次のとおりの地下構造評価を実施した。 ⒜ 地震観測記録を用いた評価債務者は,本件敷地地盤において,昭和50年から地震観測(強震及び微小地震)を実施しているところ,これまでに観測された比較的振幅の大きな地震は,全て海洋プレート内地震であり,内陸地殻内地震,プレート間地震について振幅の大きな記録は得られていない。債務者は,本件発電所で観測した地震のうち,距離減衰式の一つであるNodaet.al(2002)の方法(以下「耐専式」という。なお,以下において略称されている文献の表題等については,いずれも別紙文献等目録記載のとおりである。)との比較が可能な比較的規模の大き Nodaet.al(2002)の方法(以下「耐専式」という。なお,以下において略称されている文献の表題等については,いずれも別紙文献等目録記載のとおりである。)との比較が可能な比較的規模の大きい内陸地殻内地震を用いて,観測記録の応答スペクトルと耐専式により推定した応答スペクトルの比をとって増幅特性の検討を行った。その結果,本件敷地の岩盤が耐専式の想定する地盤よりも硬いこと,どれも遠方の地震であり観測記録の振幅が小さいことなどから,どの地震についても短周期側では観測値が予測値よりも小さい傾向を示しており,特に顕著な増幅特性を示す地震はなかった。 - 25 - 次に,債務者は,対象とする地震の規模をM2程度にまで広げて,地震波の到来方向によって特異性が見られないかの検討を行ったが,到来方向によって増幅特性が異なるような傾向はなかった。 ⒝ 深部ボーリング等による評価債務者は,本件発電所建設当時,最深深度500mのボーリング調査を実施済みであったが,平成22年から深部ボーリング調査を実施し,本件敷地のさらに地下深部までの地質及び地盤物性を把握するとともに,深部の地下構造に起因する地震動の増幅特性がないことを確認した。深部ボーリング調査は,本件敷地の南西部(荷揚岸壁付近)において,深度2000m,500m,160m,5mの4孔のボーリング孔を掘削するもので,深度2000mまでの連続したボーリングコアを採取し,これを観察して地質柱状図を作成するとともに,深部ボーリング孔内において物理検層やオフセットVSP探査を実施した。そして,従来のボーリング調査の結果と合わせて地下構造の検証を行った。また,地下深部における地震動を観測し,地表で観測した地震動との比較を行うことにより実際に地震動が増幅しないことを検証することなどを目的 従来のボーリング調査の結果と合わせて地下構造の検証を行った。また,地下深部における地震動を観測し,地表で観測した地震動との比較を行うことにより実際に地震動が増幅しないことを検証することなどを目的に,各ボーリング孔底部に地震計を設置し,地震観測を開始した。深部ボーリング調査の結果は次のとおりであり,本件敷地の地盤は速度構造的に特異性を有する地盤ではないことを確認した。 ⅰ 地質構造深部ボーリング調査の調査地点では,地表付近に埋立土や風化岩が薄く分布するものの深度約50mで新鮮な岩盤となり,深度約50mから深度約2000mまで堅硬かつ緻密な結晶片岩が連続する。 本件敷地の地盤を構成する塩基性片岩(以下「緑色片岩」ということがある。)の下位に三波川変成岩類のうち主に泥質片岩が分布し, - 26 - 塩基性片岩,珪質片岩及び砂質片岩の薄層を挟む。地表部の塩基性片岩を主体とする地層とその下位の泥質片岩を主体とする地層の境界面は緩く北へ傾斜していると推定され,本件原子炉の炉心位置では深度約350m以深が泥質片岩主体となっている。 ⅱ 速度構造深部ボーリング孔内での物理検層の結果によると,P波速度及びS波速度は地下深部に至るにつれて漸増し,地盤の密度は岩種に応じてやや変化するものの,深度方向への大きな増減傾向は認められない。 また,オフセットVSP探査(地表に震源を設置して地震波を人工的に発生させ,地下の地層境界面(反射面)で反射した地震波をボーリング孔内の受振器で観測することにより,ボーリング孔周辺の地下構造を調査する手法)の結果によると,地下深部までほぼ水平な反射面が連続し(オフセットVSP探査による反射面と反射法探査による反射面とを比較しても連続性に問題はない。),大規模な断層を示唆する不連続,地震動の特異な増幅の 果によると,地下深部までほぼ水平な反射面が連続し(オフセットVSP探査による反射面と反射法探査による反射面とを比較しても連続性に問題はない。),大規模な断層を示唆する不連続,地震動の特異な増幅の要因となる低速度域及び褶曲構造は認められず,本件敷地地盤の速度構造(地震波の速度分布)は,乱れがなく,均質である。 ⒞ 解放基盤表面の設定債務者は,以上のような本件敷地の地盤に係る状況を総合的に判断し,原子炉建屋及びその周りの地盤は,約2600m/秒のS波速度を持つ堅固な岩盤が十分な広がりと深さを持っていることが確認されていることを踏まえ,敷地高さと同じ標高10mを解放基盤表面として設定した。 d 地震動評価⒜ 内陸地殻内地震 - 27 - ⅰ 基本震源モデル債務者が内陸地殻内地震の検討用地震として選定したのは敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)の地震であった。債務者は,その基本震源モデルを設定するに当たり,断層長さにつき,中央構造線断層帯と九州側の別府-万年山断層帯が全区間(480㎞)において連動するケース(以下「480㎞ケース」という。)と設定する一方,上記区間の中で部分破壊による地震が起こることを想定することとし,四国西部のセグメント(130㎞)が連動するケース(以下「130㎞ケース」という。)及び敷地前面海域セグメント(54㎞)が単独で活動するケース(以下「54㎞ケース」という。)をも設定し,それぞれ不確かさを考慮した解析を行うこととした。 また,断層モデルを用いた手法による地震動評価において必要なパラメータ(地震モーメント,平均応力降下量,アスペリティの応力降下量等)を設定する上で用いるスケーリング則については,壇ほか(2011)を基本として採用した。さらに,480㎞ケース及び130㎞ケースでは タ(地震モーメント,平均応力降下量,アスペリティの応力降下量等)を設定する上で用いるスケーリング則については,壇ほか(2011)を基本として採用した。さらに,480㎞ケース及び130㎞ケースではFujiiandMatsu’ura (2000) のスケーリング則を,54㎞ケースでは入倉・三宅(2001)によって算出される地震モーメントにFujiiandMatsu’ura (2000)の平均応力降下量を組み合わせて用いる手法(以下「入倉・三宅の手法」という。)をそれぞれ基本震源モデルに織り込むこととした。債務者が,480㎞ケース及び130㎞ケースにつきFujiiandMatsu'ura (2000)を採用したのは,現在提案されている主要なスケーリング則のうち,同手法が壇ほか(2011)と並び長大断層を含んだデータに基づいて開発された手法の一つであり,地震本部が作成した平成21年12月21日改訂に係る「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(「レシ - 28 - ピ」)」(以下「レシピ」という。乙44)においても長大断層の知見としてこの手法による平均応力降下量を用いる手法が提案されていることを踏まえたもの,54㎞ケースにつき入倉・三宅の手法を採用したのは,レシピにおいてこれらを用いる手法が提案されていることを踏まえたものであった。 ⅱ 不確かさの考慮債務者は,応答スペクトルに基づく地震動評価において,480㎞,130㎞及び54㎞の3ケースそれぞれについて,不確かさの考慮として,断層傾斜角が鉛直のモデルと北傾斜のモデルを考慮することとした。さらに,債務者は,応答スペクトルに基づく地震動評価の過程で,断層長さを69㎞とするケース(以下「69㎞ケース」という。)を設定し,これについても,不確かさの考慮として断層傾斜 慮することとした。さらに,債務者は,応答スペクトルに基づく地震動評価の過程で,断層長さを69㎞とするケース(以下「69㎞ケース」という。)を設定し,これについても,不確かさの考慮として断層傾斜角が鉛直のモデルと北傾斜のモデルとをそれぞれ評価し,基準地震動Ssの策定において考慮することとした。 なお,債務者は,69㎞ケースは,ジョグで破壊が停止せずさらに長い区間で連動することを意味するが,もともと,ジョグは,断層の破壊が停止し,乗り移る領域のため,変位量は低減するはずであって,科学的には考え難い連動ケースであると考えており,新規制基準が定められる以前の地震動評価においては不確かさの一つとして考慮していたが,新規制基準実施後においては,69㎞ケースを包含する480㎞ケース及び130㎞ケースを基本震源モデルとして設定することにより,69㎞ケースの評価はそれに含まれるものと理解していた。もっとも,債務者は,平成26年9月12日の原子力規制委員会の審査会合において,69㎞ケースの地震動評価についても応答スペクトル法での評価を求められたことから,平成26年11月7日付けコメント回答においてその評価を示すことに - 29 - した。 また,債務者は,断層モデルで用いた地震動評価における不確かさの考慮にあたり,①破壊開始点につき,地震動評価への影響が大きくなるように,断層東下端,中央下端及び西下端の3か所のケース又は上記3か所に敷地前面海域セグメントのアスペリティ下端2か所を加えた合計5か所のケースのいずれかに設定し,②アスペリティ深さにつき,上記①と同様の趣旨で断層上端にアスペリティを配置した上,③断層長さにつき,480㎞ケースに加え,130㎞ケース,54㎞ケースでも評価することとし,上記①ないし③の不確かさを,いずれも基本震 つき,上記①と同様の趣旨で断層上端にアスペリティを配置した上,③断層長さにつき,480㎞ケースに加え,130㎞ケース,54㎞ケースでも評価することとし,上記①ないし③の不確かさを,いずれも基本震源モデルに織り込むこととした。その一方,債務者は,④短周期レベルの応力降下量,⑤断層傾斜角(北傾斜),⑥断層傾斜角(南傾斜),⑦破壊伝播速度及び⑧アスペリティの平面位置については,基本震源モデルの不確かさに重畳させる,独立した不確かさとして考慮することとした。 債務者は,具体的には,上記④ないし⑧の不確かさを次のとおり考慮した。 ・上記④について 2007年新潟県中越沖地震(以下「新潟県中越沖地震」という。)の震源特性として,短周期レベルが平均的な値の1.5倍程度大きかったという指摘があるところ,これは,ひずみ集中帯に位置する逆断層タイプの地震という地域性によると考えられるため,本来ならば,過去の地震観測記録に基づいて本件原子炉施設周辺で発生する地震の震源特性の分析を行うべきところであるが,本件原子炉施設周辺では規模の大きい内陸地殻内地震は発生していないことを踏まえ,新潟県中越沖地震の知見を反映し,短周期レベルと相関関係のある応力降下量を基本震源モデルの1.5倍又は20M㎩とした場 - 30 - 合の評価を行う。 ・上記⑤について敷地前面海域の断層群の震源断層は横ずれ断層と推定されるため傾斜角が高角度である可能性が高いが,活断層としての中央構造線が北へ傾斜する地質境界と一致する可能性を完全には否定できないことから,横ずれ断層については,傾斜角90度の場合(以下「鉛直モデル」という。)のみならず,北に30度傾斜させた場合(以下「北傾斜モデル」という。)の評価を行う。 ・上記⑥について断層傾斜角のばらつきを踏まえ, ついては,傾斜角90度の場合(以下「鉛直モデル」という。)のみならず,北に30度傾斜させた場合(以下「北傾斜モデル」という。)の評価を行う。 ・上記⑥について断層傾斜角のばらつきを踏まえ,敷地側に傾斜する場合を考慮し,横ずれ断層について南に80度傾斜させた場合(以下「南傾斜モデル」という。)の評価を行う。 ・上記⑦について海外の長大な活断層の破壊伝播速度がS波速度を超える事例があるとの知見を踏まえ,480㎞及び130㎞の各ケースについては破壊伝播速度Vr=Vs(Vsは地震発生層のS波速度)の場合の評価を行い,54㎞ケースについては,平均的な破壊伝播速度の不確かさに関する知見を踏まえ破壊伝播速度Vr=0.87Vsの場合の評価を行う。 ・上記⑧について基本的にはジョグにアスペリティは想定されないものの,完全には否定できないことから,敷地正面のジョグにアスペリティを配置する場合の評価を行う。 なお,FujiiandMatsu'ura (2000)を用いた480㎞及び130㎞の各ケースでは,壇ほか(2011)による検討結果から,影響が比較的大きかった応力降下量と破壊伝播速度を考慮することとした。 ちなみに,各基本震源モデルを解析したところ,断層長さの基本となる480㎞から断層長さを変えても地震動レベルはほぼ変わらない結果が得られた。したがって,130㎞及び54㎞の各不確か - 31 - さケースの地震動レベルについても,断層長さ480㎞における各不確かさケースの地震動レベルとほぼ等しいと推定される。このため,54㎞ケースで入倉・三宅の手法を用いる場合の各不確かさケース(480㎞ケースでは入倉・三宅の手法を用いていない。)と,54㎞ケースで壇ほか(2011)を用いる場合における破壊伝播速度の不確かさケース( ケースで入倉・三宅の手法を用いる場合の各不確かさケース(480㎞ケースでは入倉・三宅の手法を用いていない。)と,54㎞ケースで壇ほか(2011)を用いる場合における破壊伝播速度の不確かさケース(480㎞の不確かさケースとは設定値が異なる。)とを除き,130㎞及び54㎞の各不確かさケースの評価結果については,480㎞の各不確かさケースの評価結果で代表させることとした。 ⅲ 応答スペクトルに基づく地震動評価応答スペクトルに基づく地震動評価においては,480㎞,130㎞及び54㎞の3ケースに加え,敷地前面海域の断層群(42㎞)の両端にあるジョグ(各13㎞)のさらに両端まで連動することを想定した69㎞ケースのそれぞれについて,断層傾斜角が鉛直のモデルと北傾斜のモデルを考慮した。 また,適用する手法(距離減衰式)については,耐専式を基本とするものの,130㎞ケース,69㎞ケース及び54㎞ケースのうち,それぞれ断層傾斜角を鉛直とする3つのケースについては,耐専式による評価結果が過大となるとして,耐専式以外の複数の距離減衰式を用いた評価を行った。上記3ケースを除くケースについては,耐専式を含む複数の距離減衰式によって評価を行った。 そして,債務者は,地震規模の設定については,断層長さに基づいて,松田(1975)で紹介されている断層長さ(L)と地震のマグニチュード(M)との関係を示す経験式(以下「松田式」という。)により設定することとした。 ⅳ 断層モデルを用いた手法による地震動評価 - 32 - 断層モデルを用いた手法による地震動評価を行うにあたっては,まず,中央構造線断層帯及び別府-万年山断層帯の連動を考慮した480㎞の基本震源モデルについて,統計的グリーン関数法及び経験的グリーン関数法により評価し,両者を比較した。な 評価を行うにあたっては,まず,中央構造線断層帯及び別府-万年山断層帯の連動を考慮した480㎞の基本震源モデルについて,統計的グリーン関数法及び経験的グリーン関数法により評価し,両者を比較した。なお,経験的グリーン関数法に用いる要素地震は,2001年芸予地震(以下「芸予地震」という。)の余震である安芸灘の地震(M5.2)の本件敷地における観測記録を用いた。適用にあたっては,当該地震がスラブ内地震であるため,内陸地殻内地震の評価に用いることができるよう,距離及びパラメータ(地震モーメント,応力降下量等)を補正した。上記比較の結果,統計的グリーン関数法及び経験的グリーン関数法のいずれによった場合も整合的であることが確認されたものの,原子炉施設に影響の大きい周期0.1秒付近の地震動については経験的グリーン関数法の結果の方が厳しい結果を与えるものであったことから,断層モデルを用いた手法による地震動評価においては,経験的グリーン関数法を採用した。 ⒝ プレート間地震ⅰ 基本震源モデル基本震源モデルとしては,検討用地震として選定した,内閣府検討会の南海トラフの巨大地震(陸側ケース)(M9.0)を採用することとした。 ⅱ 不確かさの考慮南海トラフの巨大地震(陸側ケース)に設定された強震動生成域に加え,さらに本件敷地直下にも強震動生成域を追加配置する不確かさの考慮を行った。 ⅲ 応答スペクトルに基づく地震動評価応答スペクトルに基づく地震動評価では,パラメータとしてM8. - 33 - 3を採用し,耐専式に基づき評価を行った。 ⅳ 断層モデルを用いた手法による地震動評価プレート間地震については適切な要素地震が得られていないことや,内閣府検討会が統計的グリーン関数法を用いていることを踏まえ,統計的グリーン関数法及びハイ ⅳ 断層モデルを用いた手法による地震動評価プレート間地震については適切な要素地震が得られていないことや,内閣府検討会が統計的グリーン関数法を用いていることを踏まえ,統計的グリーン関数法及びハイブリッド合成法により評価を行った。 ⒞ 海洋プレート内地震ⅰ 基本震源モデル海洋プレート内地震については,1649年安芸・伊予の地震(M6.9)を検討用地震として選定したが,基本震源モデルの設定にあたっては,地震発生位置と規模の不確かさをあらかじめ織り込むこととし,本件敷地下方に既往最大規模(1854年伊予西部地震のM7.0)の地震を仮定するなどし,「想定スラブ内地震」として地震動評価を行った。 ⅱ 不確かさの考慮不確かさの考慮においては,芸予地震(M6.7)を再現したモデルをM7.0に較正したケース,本件敷地の真下に想定する地震規模をM7.2としたケース,アスペリティの位置を断層上端に配置したケース,本件敷地東方の領域に水平に近い断層面を考慮したケース(M7.4)を設定した。 ⅲ 応答スペクトルに基づく地震動評価応答スペクトルに基づく地震動評価では,耐専式に基づき評価を行った。 ⅳ 断層モデルを用いた手法による地震動評価断層モデルを用いた手法による地震動評価では,本件敷地で得られた芸予地震の余震である安芸灘の地震の観測記録を要素地震とし - 34 - た経験的グリーン関数法により評価を行った。 (イ) 震源を特定せず策定する地震動債務者は,震源を特定せず策定する地震動について,次のとおり評価した。 a 加藤ほか(2004)の知見債務者は,震源を特定せず策定する地震動に関する代表的な知見である加藤ほか(2004)が提案する「地震基盤における地震動」をもって震源を特定せず策定する地震動として考慮するこ か(2004)の知見債務者は,震源を特定せず策定する地震動に関する代表的な知見である加藤ほか(2004)が提案する「地震基盤における地震動」をもって震源を特定せず策定する地震動として考慮することとした。 b 震源近傍の観測記録の収集・検討⒜ 債務者が観測記録の収集対象として検討した地震は,地震ガイドが例示する別紙2記載の16の地震である(以下,別紙2記載の地震を個別に摘示するに当たっては,「No.1」のように番号を付することがある。)。 ⒝ 債務者は,地震ガイドがいう「地表地震断層が出現しない可能性がある地震」としてNo.3ないし16を対象に,これらの地震の観測記録を収集したところ,No.13の2004年北海道留萌支庁南部地震(以下「留萌支庁南部地震」という。)では信頼性の高い観測記録が得られたものの,その他の観測記録は,加藤ほか(2004)による応答スペクトルを下回るものであったり,観測記録が観測地点の地盤の影響を受けた信頼性の低いものであったりしたとして,考慮の対象から除外した。 留萌支庁南部地震は,震源近傍の観測点において1127ガルという大きな加速度を観測したものである。当初,観測記録は,地表のものしか得られず,既存の地盤情報も十分ではなかったが,観測地点の地盤についてボーリング調査等が行われ,佐藤ほか(2013)によって信頼性の高い地盤モデルが得られたものである。佐藤ほか(2013)は,S - 35 - 波速度が938m/秒となる深さ41mを基盤層に設定した上で解析評価を行い,基盤地震動の最大加速度は585ガルで地表観測記録の約1/2となる(観測記録の加速度は地盤の影響によって増幅している)ことを明らかにした。また,佐藤ほか(2013)以降の追加調査によって得られた試験データを用いて解析を行ったとこ ルで地表観測記録の約1/2となる(観測記録の加速度は地盤の影響によって増幅している)ことを明らかにした。また,佐藤ほか(2013)以降の追加調査によって得られた試験データを用いて解析を行ったところ,基盤地震動の最大加速度は561ガルとなり,佐藤ほか(2013)よりもやや小さめに評価された。本件敷地地盤のS波速度が2600m/秒である(より硬い地盤である)ことを考慮すれば,この観測記録を本件原子炉の地震動評価に用いればさらに小さい評価となるところ,不確かさを保守的に考慮した結果として,留萌支庁南部地震の基盤地震動を620ガルに引き上げた地震動をもって,震源を特定せず策定する地震動として考慮した。 ⒞ 一方,債務者は,地震ガイドがいう「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し,地表付近に一部の痕跡が確認された地震」としてNo.1の2008年岩手・宮城内陸地震(以下「岩手・宮城内陸地震」という。)及びNo.2の2000年鳥取県西部地震(以下「鳥取県西部地震」という。)を対象に,本件原子炉の立地地点と岩手・宮城内陸地震及び鳥取県西部地震の震源域との地域差等について検討を行った。その結果,岩手・宮城内陸地震の震源域には新第三紀以降の火山岩,堆積岩が厚く分布しているのに対し,本件原子炉の立地地点には堅硬かつ緻密な結晶片岩が少なくとも地下2㎞まで連続している点で地域差が顕著であり,鳥取県西部地震の震源域については,地震テクトニクスが異なり,活断層の成熟度及びこれに寄与する歪み蓄積速度や地下の均質性において地域差が認められること,両地震の震源域と本件原子炉の立地地点では地震地体構造が異なっていることから,地震の起こり方も異なるとして,両地震のい - 36 - ずれも検討対象地震として選定する必要はないと考えた。 両地震の震源域と本件原子炉の立地地点では地震地体構造が異なっていることから,地震の起こり方も異なるとして,両地震のい - 36 - ずれも検討対象地震として選定する必要はないと考えた。 さらに,債務者は,鳥取県西部地震については,大局的には本件原子炉の立地地点と同じく西南日本の東西圧縮横ずれの応力場にあることから,地震が発生する地下深部の構造について検討を加え,その結果,深部地下構造に違いがあって,本件原子炉の立地地点と鳥取県西部地震の震源域とでは地震ガイドにいう「活断層の成熟度」に地域差が認められ,やはり,鳥取県西部地震を震源を特定せず策定する地震動の評価において考慮する必然性はないと考えた。しかし,債務者は,上記の検討にかかわらず,大局的にはいずれも西南日本の東西圧縮横ずれの応力場であることを踏まえ,保守的に,鳥取県西部地震の観測記録をもって震源を特定せず策定する地震動として考慮することとした。 鳥取県西部地震については,鳥取県にある賀祥ダムの監査廊(以下「賀祥ダム」という。)に設置された地震計による信頼性の高い観測記録が得られている。国立研究開発法人防災科学技術研究所の強震観測網によっても信頼性の高い観測記録が得られているが,賀祥ダムの観測記録がこれを概ね上回ることなどから,震源を特定せず策定する地震動による基準地震動Ssの検討においては賀祥ダムの観測記録で代表させることとした。 (ウ) 基準地震動Ssの策定a 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動敷地ごとに震源を特定して策定する地震動のうち,応答スペクトルに基づく手法による地震動評価において求めた応答スペクトル及び基準地震動S2(本件原子炉建設時の基準地震動)の応答スペクトルを包絡するように,設計用応答スペクトルを設定し,水平方向の基準地震動Ss-1 づく手法による地震動評価において求めた応答スペクトル及び基準地震動S2(本件原子炉建設時の基準地震動)の応答スペクトルを包絡するように,設計用応答スペクトルを設定し,水平方向の基準地震動Ss-1Hを設定するとともに,鉛直方向については,Ss-1Hに対して, - 37 - 耐専式の鉛直方向の地盤増幅率を乗じて基準地震動Ss-1Vを設定した。 また,敷地ごとに震源を特定して策定する地震動のうち,断層モデルを用いた手法による地震動評価の結果,本件原子炉施設に与える影響が大きいケースとして,内陸地殻内地震(中央構造線断層帯による地震)における検討ケースのうち,①断層長さ480㎞で壇ほか(2011)のスケーリング則を用いて応力降下量の不確かさを考慮したケース,②断層長さ480㎞でFujiiandMatsu'ura (2000)のスケーリング則を用いて応力降下量の不確かさを考慮したケース及び③断層長さ54㎞で入倉・三宅の手法を用いて応力降下量の不確かさを考慮したケースを選定し,経験的グリーン関数法と理論的手法によるハイブリッド合成を行った。その結果,上記の基準地震動Ss-1を一部の周期帯において超えた7ケースを基準地震動Ss-2-1ないしSs-2-7とした。 また,債務者は,中央構造線断層帯に係る経験的グリーン関数を用いた評価では,東西方向の地震動の周期0.2ないし0.3秒で基準地震動Ss-1を超過する結果が得られているが,仮に,要素地震の南北方向の地震動が東西方向の地震動と同程度のレベルであったとすれば,南北方向でも基準地震動Ss-1を超過する可能性も否定できないとして,東西方向の周期0.2ないし0.3秒で基準地震動Ss-1を超過するケースのうち,基準地震動Ss-1を超過する度合いが大きく,かつスケーリング則として基本に考え を超過する可能性も否定できないとして,東西方向の周期0.2ないし0.3秒で基準地震動Ss-1を超過するケースのうち,基準地震動Ss-1を超過する度合いが大きく,かつスケーリング則として基本に考えている壇ほか(2011)に基づいて評価した断層長さ480㎞で応力降下量の不確かさ(20M㎩)を考慮したケースについて,東西方向と南北方向の地震波を入れ替えたケースを仮想してSs-2-8として設定した。 一方,プレート間地震については上記(ア)d⒝により,海洋プレート内地震については同⒞により,それぞれ地震動評価をしたところ,解放基 - 38 - 盤表面における地震動の最大加速度は,前者にあっては181ガル,後者にあっては336ガルとなり(甲35),いずれもSs-1を下回ったことから,いずれの地震も基準地震動Ss-2としては設定しなかった。 b 震源を特定せず策定する地震動震源を特定せず策定する地震動のうち,加藤ほか(2004)は基準地震動Ss-1に包絡されることから,Ss-1を一部の周期帯で超える留萌支庁南部地震の基盤地震動及び鳥取県西部地震の際の賀祥ダムの観測記録を基準地震動Ss-3として選定することとした。 c 基準地震動Ssの最大加速度以上の結果,基準地震動Ssとして基準地震動Ss-1では1ケース,基準地震動Ss-2は8ケース,基準地震動Ss-3は2ケースをそれぞれ設定した。これらの最大加速度の一覧は,次のとおりである(なお,単位はガル。また,「H」は水平動,「V」は鉛直動,「NS」は水平動NS成分,「EW」は水平動EW成分,「UD」は鉛直動UD成分を示す。)。 ⒜ 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動ⅰ 応答スペクトルに基づく地震動評価による基準地震動・ Ss-1 H:650,V:377ⅱ 断層モデ ,「UD」は鉛直動UD成分を示す。)。 ⒜ 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動ⅰ 応答スペクトルに基づく地震動評価による基準地震動・ Ss-1 H:650,V:377ⅱ 断層モデルを用いた手法による地震動評価による基準地震動(なお,いずれも中央構造線断層帯によるものである。)・ Ss-2-1(480㎞,壇ほか(2011),20M㎩,西破壊)NS:579,EW:390,UD:210・ Ss-2-2(480㎞,壇ほか(2011),20M㎩,中央破壊)NS:456,EW:478,UD:195・ Ss-2-3(480㎞,壇ほか(2011),20M㎩,第1アス - 39 - ペリティ西破壊) NS:371,EW:418,UD:263・ Ss-2-4(480㎞,FujiiandMatsu'ura (2000),1.5倍,西破壊) NS:452,EW:494,UD:280・ Ss-2-5(480㎞,FujiiandMatsu'ura (2000),1.5倍,中央破壊) NS:452,EW:388,UD:199・ Ss-2-6(480㎞,FujiiandMatsu'ura (2000), 1. 5倍,東破壊) NS:291,EW:360,UD:201・ Ss-2-7(54㎞,入倉・三宅の手法,1.5倍,中央破壊) NS:458,EW:371,UD:178・ Ss-2-8(480㎞,壇ほか(2011),20M㎩,中央破壊,NS・EW入替ケース) NS:478,EW:456,UD: ⒝ 震源を特定せず策定する地震動・ Ss-3-1(留萌支庁南部地震を考慮した地震動) H:620,V:320・ Ss-3-2(鳥取県西部地震賀祥ダムの観測記録) NS:528,EW:531,UD:485 せず策定する地震動・ Ss-3-1(留萌支庁南部地震を考慮した地震動) H:620,V:320・ Ss-3-2(鳥取県西部地震賀祥ダムの観測記録) NS:528,EW:531,UD:485(エ) 基準地震動Ssの年超過確率a 年超過確率の算定方法年超過確率の算定は,一般社団法人日本原子力学会(以下「日本原子力学会」という。)が定めた「原子力発電所の地震を起因とした確率論的安全評価実施基準:2007」(以下「原子力学会(2007)」という。)に基づき,「特定震源モデルに基づく評価」及び「領域震源モデルに基づく評価」を実施した。 「特定震源モデルに基づく評価」は,一つの地震に対して,震源の位置,規模及び発生頻度を特定して扱うモデルで,「敷地ごとに震源を特 - 40 - 定して策定する地震動」に対応する。債務者は,敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)による地震,その他の活断層で発生する地震及び南海地震を考慮した。 「領域震源モデルに基づく評価」は,ある拡がりを持った領域の中で発生する地震群として取り扱うモデルで,「震源を特定せず策定する地震動」に対応する。債務者は,活断層の存在が知られていないところで発生し得る内陸地殻内地震,南海地震以外のフィリピン海プレートで発生する地震(プレート間地震及び海洋プレート内地震)を考慮した。 そして,両モデルにおける年超過確率を足し合わせて,全体としての年超過確率を算出した。 b 年超過確率の算出結果債務者は,上記aにより年超過確率を算出した結果として,基準地震動Ss-1の年超過確率は,10-4~10-6/年(1万年ないし100万年に1回)程度であり,基準地震動Ss-2及び基準地震動Ss-3の年超過確率も同程度であるとした。 ウ原子力規制委員会の審査結果 年超過確率は,10-4~10-6/年(1万年ないし100万年に1回)程度であり,基準地震動Ss-2及び基準地震動Ss-3の年超過確率も同程度であるとした。 ウ原子力規制委員会の審査結果債務者の基準地震動策定に対する原子力規制委員会による審査の結果は次のとおりである(乙37)。 (ア) 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動原子力規制委員会は,審査の過程において,①敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)による地震動評価に当たっては,当該断層群が長大であるため,部分破壊も考慮するとともに,スケーリング則の適用性を検討すること,②破壊伝播速度につき,敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)が長大な横ずれ断層であることを考慮し,最新の知見を考慮して検討することを求めた。 この点に関して債務者がした上記地震動評価は,原子力規制委員会によ - 41 - る上記求めに応じて補正された結果を含んでいる。 (イ) 震源を特定せず策定する地震動原子力規制委員会は,審査の過程において,①震源を特定せず策定する地震動の評価で収集対象となる内陸地殻内地震の例として地震ガイドに示している全ての地震について観測記録等を収集し,検討することを求め,このうち鳥取県西部地震については,鳥取県西部地震の震源域と本件原子炉立地地点との間に地質学的背景に大きな地域差が認められない旨指摘し,②留萌支庁南部地震については,その地震観測記録について,既往の知見である微動探査等に基づく地盤モデルによるはぎとり解析のみならず,適切な地質調査データに基づく地盤モデルによるはぎとり解析等を求めた。 この点について債務者がした上記地震動評価は,原子力規制委員会による上記求め又は指摘を踏まえた結果である。 (ウ) 原子力規制委員会は,上記 データに基づく地盤モデルによるはぎとり解析等を求めた。 この点について債務者がした上記地震動評価は,原子力規制委員会による上記求め又は指摘を踏まえた結果である。 (ウ) 原子力規制委員会は,上記(ア)及び(イ)を経た上で,債務者が策定した基準地震動Ssが設置許可基準規則解釈別記2の規定に適合しているとした。 ⑼ 平成28年の運転再開後の本件原子炉をめぐる裁判の経過ア債権者F,同D及び同Gは,平成28年3月11日,当裁判所に,人格権に基づく差止請求権を被保全権利として,債務者に対して本件原子炉の運転差止めを命ずる仮処分を求める申立てをした(同年(ヨ)第38号)。また,債権者Eも,同年8月3日,同旨の仮処分を求める申立てをした(同年(ヨ)第109号)。当裁判所は,上記両事件を併合審理した末(併合後の事件を以下「第1次仮処分事件」という。),平成29年3月30日,第1次仮処分事件の申立てをいずれも却下するとの決定をした。 これに対し,第1次仮処分事件の債権者であった上記4名(以下「債権者Fら」という。)は,即時抗告した(広島高等裁判所平成29年(ラ)第63号)。広島高等裁判所は,平成29年12月13日,平成30年9月30日までに限って本件原子炉の運転の差止めを命じる旨,第1次仮処分事件の原 - 42 - 審決定を変更する決定をしたが,同裁判所は,平成30年9月25日,その保全異議審(同裁判所平成29年(ウ)第62号)において上記変更決定を取り消して債権者Fらの抗告を棄却する決定をし,同決定がその頃確定した。 (以上につき,乙1,116,153,154)イ債権者Fらは,平成30年5月18日,当裁判所に,人格権に基づく差止請求権を被保全権利として,債務者に対して本件原子炉の運転差止めを命ずる仮処分を求める申立て ,116,153,154)イ債権者Fらは,平成30年5月18日,当裁判所に,人格権に基づく差止請求権を被保全権利として,債務者に対して本件原子炉の運転差止めを命ずる仮処分を求める申立てをした(同年(ヨ)第75号。以下「第2次仮処分事件」という。)。当裁判所は,同年10月26日,第2次仮処分事件の申立てをいずれも却下する決定をした。同決定は,その頃,確定した。(乙2,155)ウ一方,愛媛県の住民ら(ただし,債権者Eを除く。),大分県の住民ら及び山口県の住民らは,それぞれ,松山地方裁判所,大分地方裁判所及び山口地方裁判所岩国支部に,人格権に基づく差止請求権を被保全権利として,債務者に対して本件原子炉の運転差止めを命ずる仮処分を求める申立てをしたが,ともかくも,現時点までに,いずれも上記申立てを却下する旨の決定が確定している(乙3ないし6)。 エ債権者A,同B及び同C(以下「債権者Aら」という。)及び債権者Fらは,令和2年3月11日,本件申立てをした。 3 争点及び争点をめぐる当事者の主張の要旨⑴ 司法審査の在り方(争点1)(債権者らの主張)ア最高裁平成4年10月29日判決・民集46巻7号1174頁は,これを新規制基準の下に引き直せば,要するに,原子炉設置許可処分の取消訴訟においては,当該原子炉が安全かどうかを裁判所が直接判断するのではなく,新規制基準の合理性及びそれに適合するとした原子力規制委員会の判断が合理的か否か,特に看過し難い不合理があるかどうかを最新の科学的知見に照 - 43 - らし判断するのが相当であり,その合理性の立証責任は事実上被告が負うとするものである。この法理は,行政訴訟(原子炉設置許可処分取消訴訟)にとどまらず,人格権に基づく原子炉の運転差止請求訴訟,ひいて らし判断するのが相当であり,その合理性の立証責任は事実上被告が負うとするものである。この法理は,行政訴訟(原子炉設置許可処分取消訴訟)にとどまらず,人格権に基づく原子炉の運転差止請求訴訟,ひいては,同差止請求権を被保全権利とする仮処分事件においても用いられるべきである。 イ上記法理の下における新規制基準の合理性をめぐる判断は,当該基準が住民の安全を図る内容になっているかどうかの判断にほかならず,単に当該基準が前後の辻褄さえ合っていれば合理性が認められるというようなものであってはならない。 また,原子力規制委員会による適合性判断の合理性をめぐる判断は,原子力規制委員会による審査が,住民の安全を確保するという理念に沿い,放射性物質の拡散を防止する内実を備えているかどうかが問われるべきである。 そうでなければ,上記最高裁判決の法理を正しく理解し,人格権侵害に基づく原子炉の運転差止請求権を被保全権利とする仮処分事件に生かしたことにはならない。 ウそして,上記最高裁判決は,当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁側が所持していることなどの点を考慮し,原告側の立証の負担を軽減しようとするものである。そうしたところ,債務者は,本件原子炉の安全性に関する資料をすべて所持している上,安全である旨地域住民らを説得して本件原子炉を建設したことなどの事情にかんがみると,裁判所は,本件において上記最高裁判決の法理を用いるのであれば,新規制基準に不合理な点がないこと及び本件原子炉が審査基準に適合したとする原子力規制委員会の判断に不合理な点がないことについて債務者が疎明責任を果たしたといえるかどうかを,厳密に判断すべきである。 (債務者の主張)ア人格権は,明文の根拠を持たず,要件や効果が自明ではない一方,人格権 理な点がないことについて債務者が疎明責任を果たしたといえるかどうかを,厳密に判断すべきである。 (債務者の主張)ア人格権は,明文の根拠を持たず,要件や効果が自明ではない一方,人格権に基づく差止請求は,将来発生するか否か不確実な侵害の予測に基づいて, - 44 - 相手方が本来行使できる権利や自由を直接制約しようとするものである。したがって,同請求が認められるためには,前提として,人格権侵害による被害の危険が切迫していることを要し,かつ,その危険性は具体的危険性でなければならない。 そして,現代社会においては,科学技術の利用には一定の危険が内在していることを前提に,その内在する危険が顕在化しないよう,いかに適切に管理できるかが問題とされているところ,原子力発電もまた例外ではなく,原子炉等規制法もそのことを念頭に置いているものと解される。したがって,人格権に基づく原子炉の運転差止請求訴訟における具体的危険性の有無は原子力発電に内在する危険性を管理できるかどうかに基づいて判断されるべきであるし,原子力発電が高度に科学的・専門技術的なものであるからには,上記判断に際しては,科学的・専門技術的知見を踏まえることが不可欠であるというべきである。 また,人格権に基づく差止請求訴訟の一般原則によれば,人格権に基づく原子炉の運転差止請求訴訟にあっては,当該原子力発電所の安全性に欠けるところがあって,原告の人格権,すなわち,生命,身体が侵害される具体的危険性の存在についての主張立証責任については,これを原告が負うべきである。したがって,その保全処分としての運転差止めを求める仮処分においても,債権者は,被保全権利の要件としての具体的危険性及び保全の必要性について主張,疎明責任を負っているというべきである。 きである。したがって,その保全処分としての運転差止めを求める仮処分においても,債権者は,被保全権利の要件としての具体的危険性及び保全の必要性について主張,疎明責任を負っているというべきである。 イ仮に,まず原子炉設置者において安全性に欠ける点のないことについて主張立証する必要があると解するのであれば,原子炉設置者は,原子力規制委員会から所要の許認可を受けるなどして,現在の安全規制の下でその設置及び運転等がされていることを主張立証すれば足りるというべきである。したがって,本件においても,債務者は,本件原子炉が新規制基準に適合していることについて相当の根拠,資料に基づいて主張,疎明すれば足りるのであ - 45 - って,新規制基準が不合理であることや原子力規制委員会の審査及び判断が合理性を欠くことの主張,疎明責任は,債権者らがこれを負担すべきである。 ⑵ 本件原子炉施設の地震に対する安全性(争点2)(債権者らの主張)ア本件申請に当たって債務者が策定した基準地震動の内容及びこれに対する原子力規制委員会の審査結果によれば,債務者は,本件原子炉にあっては,650ガル(基準地震動Ss-1-H)を超える地震動は襲来しない旨予測し,原子力規制委員会はこれを承認したということになる。 イ新規制基準が不合理であること(ア) 新規制基準の枠組みは,強震動予測を基礎にすることによって,ある原子力発電所の運用期間中に当該発電所の敷地を襲う可能性のある地震動の強さの上限を将来にわたって的確に予測することができるということを前提にして成り立っている。 (イ) しかし,有史以前の地震の発生状況はほとんど不明というほかないし,地震の兆候は明確に認知されていないのが現状であって,強震動予測という学問は,あくまでも,平均的 提にして成り立っている。 (イ) しかし,有史以前の地震の発生状況はほとんど不明というほかないし,地震の兆候は明確に認知されていないのが現状であって,強震動予測という学問は,あくまでも,平均的な地震動を追求する学問であるというにとどまる。したがって,基準地震動の策定は,最高の安全性が保たれるべきであるがゆえに最大の地震動を追求すべき場面であるにもかかわらず,そこに平均的な地震動を追及する学問である強震動予測を無理やり持ち込むという,本質的な問題を抱え込んでいる。 そして,学問としての強震動予測の本質とそれを基準地震動策定の場面に持ち込んだ場合の限界や危険性については,強震動予測のモデルを提案した複数の地震学者を含む多くの専門家が同様に指摘しているところでもある。 (ウ) したがって,強震動予測を用いて基準地震動を策定してみたところで, - 46 - それは,あくまでも現時点におけるぼんやりとした地震の平均像と平均的な地震動を把握するものでしかないから,最大地震動を導いたことには決してならない。この点で,新規制基準は,原子炉等規制法43条の3の6第1項4号の定めに反し,合理性を欠いているというほかはない。したがって,これに沿って債務者が策定し,原子力規制委員会が承認した上記⑴の基準地震動も合理性がないことになる。 ウ新規制基準の適用が不合理であること(その1)地震ガイドでは,「震源を特定せず策定する地震動」を策定するに当たっては,別紙2記載の16の地震を参考にすることを求めている。そもそも科学者において収集した資料を検討対象から排除することを許されるのは,測定間違いの疑いの濃いものに限られる。これは,自分の知見に反する内容の資料を恣意的に排除してしまう誘惑を防止し,科学としての客観性を担保するための最低限のル 討対象から排除することを許されるのは,測定間違いの疑いの濃いものに限られる。これは,自分の知見に反する内容の資料を恣意的に排除してしまう誘惑を防止し,科学としての客観性を担保するための最低限のルールだからである。 しかるに,債務者は,「地盤のデータが不足している」とか,「地質学的に本件原子炉が立地している敷地と異なる」などの理由をつけ,事実上,留萌支庁南部地震だけを参考にして「震源を特定せず策定する地震動」を策定している点で,新規制基準の適用を誤っている。また,原子力規制委員会による適合性審査も,この点を看過している。したがって,その結果策定された上記⑴の基準地震動も合理性がない。 エ新規制基準の適用が不合理であること(その2)(ア) 基準地震動の策定は,震源モデルの設定から始まって,震源域の長さ及びその面積,地震モーメントの計算から最終の地震動の算出まで,すべて仮説又は推測の体系に過ぎない。 (イ)a そうしたところ,平成12年以降のみを対象としても,日本で700ガル以上の加速度を記録した地震は別紙1-1のとおり多数観測されている。 - 47 - b また,平成17年から平成23年までの間に,実際の地震によって原子力発電所の周辺の観測地点で観測された地震動が,当該原子力発電所の基準地震動(いずれも当時)を上回った事例が次のとおり5つある(単位はガル)。 ⒜ 平成17年8月16日宮城県沖地震(以下「宮城県沖地震」という。)原子力発電所女川原子力発電所(以下「女川原発」という。)基準地震動 375観測された地震動 560(宮城県石巻市)⒝ 平成19年3月25日能登半島地震(以下「能登半島地震」という。)原子力発電所志賀原子力発電所(以下「志賀原発」という。)基準地 動 375観測された地震動 560(宮城県石巻市)⒝ 平成19年3月25日能登半島地震(以下「能登半島地震」という。)原子力発電所志賀原子力発電所(以下「志賀原発」という。)基準地震動 490観測された地震動 543(石川県羽咋郡志賀町)⒞ 平成19年7月16日新潟県中越沖地震(以下「新潟県中越沖地震」という。)原子力発電所柏崎刈羽原子力発電所(以下「柏崎刈羽原発」という。)基準地震動 450観測された地震動 793(新潟県柏崎市)1018(同)758(同)496(新潟県刈羽郡刈羽村)⒟ 東北地方太平洋沖地震原子力発電所女川原発基準地震動 580 - 48 - 観測された地震動 633(宮城県石巻市)675(同)933(同)⒠ 東北地方太平洋沖地震原子力発電所福島第一原発基準地震動 600観測された地震動 922(福島県双葉郡大熊町)しかも,上記5つの事例のうち,当該原子力発電所における解放基盤表面における地震動を解析(はぎ取り解析)した結果が得られているのは,⒞と⒠であるが,その結果(前者については1699ガル,後者については675ガル)ですら,基準地震動を上回っている。 c 上記a及びbで見たような観測結果によれば,債務者が基準地震動として策定した650ガルを上回る地震動をもたらす地震は,ありふれているものといわなければならない。 d 一方,昭和56年改正後の建築基準法に基づく一般鉄筋コンクリート建造物では,少なくとも震度7(1500ガル程度)までの揺れに耐えることができる。実際,平成28年熊本地震(Mw7.3,最大加速度1740ガル,震度7 改正後の建築基準法に基づく一般鉄筋コンクリート建造物では,少なくとも震度7(1500ガル程度)までの揺れに耐えることができる。実際,平成28年熊本地震(Mw7.3,最大加速度1740ガル,震度7)において,昭和56年改正後の建築基準法に基づいて設計されたコンクリート建造物の倒壊・崩壊等は報告されていない。それどころか,今や,複数の大手ハウスメーカーが製造する住宅は,3000ガルないし5000ガル前後の地震動にも耐えられる性能を備えている。 しかるに,最大加速度650ガルをもたらす地震は,震度等級でいえば,震度6弱程度にしかならないから,本件原子炉の耐震性が一般鉄筋コンクリート建造物に劣っていることは明らかである。いわんや,大手ハウスメーカーが自社製の住宅に課している耐震性と比較すれば,本件 - 49 - 原子炉の耐震性の劣りようは,みすぼらしいほどである。 (ウ)a 債務者は,基準地震動の策定に当たり,「震源を特定して策定する地震動」のうち,「プレート間地震」について,南海トラフ地震を検討対象とした上,その強震動生成域を本件発電所の直下に置いたとしても,解放基盤表面で想定できる地震動が181ガルであるとしている。 b しかし,南海トラフ地震は,地震本部において,地震の規模がM8ないし9クラスと想定されており,その強震動生成域を本件発電所直下に置いた場合には,愛媛県の多くの地域が震度7の地震に襲われると考えられている。したがって,その場合,本件敷地に到来する地震動が181ガルにとどまるということはあり得ない。 実際にも,平成12年以降,震度5弱以上を記録した地震のうち,観測された最大加速度が181ガルを若干上回る200ガル以上であった地震は,優に170回を超える(別紙1-2)。 ま 実際にも,平成12年以降,震度5弱以上を記録した地震のうち,観測された最大加速度が181ガルを若干上回る200ガル以上であった地震は,優に170回を超える(別紙1-2)。 まず,近年発生した比較的規模の大きい地震(①2018年9月6日北海道胆振東部地震,②2021年2月13日福島県沖地震,③2021年3月20日宮城県沖地震)についてみると,次のとおりである。 ①は,震源の深さ(37㎞)の点では債務者が検討対象とした南海トラフ地震の震源の深さ(41㎞)と大差ないが,同地震よりも小さい規模(M6.7)であったのに,震央距離26㎞の観測点において最大加速度1796ガルをもたらしたほか,27か所の観測地点で200ガル以上の地震動が観測された(このうち,最も小さい地震動を観測した地点の震央距離48㎞)。 ②は,震源の深さ(55㎞)の点では債務者が検討対象とした南海トラフ地震のそれ(41㎞)よりも深く,かつ,同地震よりも規模がはるかに小さいのみならず(M7.3),海域で起きたのに,震央距離75㎞の観測地点で最大加速度1432ガルを観測したほか,73か所の観 - 50 - 測地点で200ガル以上の地震動が観測された(このうち最も小さい地震動を観測した地点の震央距離130㎞)。 ③は,震源の深さ(60㎞)が債務者が検討対象とした南海トラフ地震のそれ(41㎞)よりも深く,同地震よりも規模がはるかに小さいし(M7.2),かつ,海域で起きたのに,震央距離41㎞の観測地点で最大加速度747ガルを観測したほか,27か所の観測地点で200ガル以上の地震動が観測された(このうち最も小さい地震動を観測した地点の震央距離98㎞)。 次に,平成12年以降に発生したプレート間地震のうち,いわゆる巨大地震に分類されるM7.8以上の地震( 0ガル以上の地震動が観測された(このうち最も小さい地震動を観測した地点の震央距離98㎞)。 次に,平成12年以降に発生したプレート間地震のうち,いわゆる巨大地震に分類されるM7.8以上の地震(④2003年9月26日十勝沖地震,⑤東北地方太平洋沖地震,⑥2015年5月30日小笠原諸島西方沖の地震)についてみると,いずれも海域で起きた地震であるほか,次のとおりである。 ④は,地震規模M8.0,震源の深さ42㎞で,震央距離84㎞の観測地点で最大加速度988ガルを観測したほか,56か所の観測地点で200ガル以上の地震動が観測された(このうち最も小さい地震動を観測した地点の震央距離244㎞)。 ⑤は,地震規模M9.0であって,震源の深さ(24㎞)は債務者が検討対象とした南海トラフ地震のそれ(41㎞)よりは浅いものの,陸域から130㎞離れた海域で発生しているが,震央距離175㎞の観測地点で最大加速度2933ガルを観測したほか,183か所の観測地点で200ガル以上の地震動が観測された(このうち最も小さい地震動を観測した地点の震央距離243㎞)。中でも,福島第一原発では解放基盤表面において675ガルの地震動を,女川原発でも解放基盤表面において基準地震動580ガルを上回る地震動を,それぞれ観測している。 ⑥は,地震規模M8.1であったが,震源の深さ(682㎞)が債務 - 51 - 者が検討した南海トラフ地震のそれ(41㎞)よりもはるかに深いものの,震央距離750km の地点で最大加速度182ガルが観測されている。 c 上記①ないし⑥の各地震で得られたデータによれば,プレート間地震が海域ではなく陸域で生じた場合,その直上の地表にもたらされる地震動が,上記①ないし⑥の各地震で観測された最大加速度をはるかに上回るであろうことは容 の各地震で得られたデータによれば,プレート間地震が海域ではなく陸域で生じた場合,その直上の地表にもたらされる地震動が,上記①ないし⑥の各地震で観測された最大加速度をはるかに上回るであろうことは容易に予想することができる。 それどころか,平成12年以後に最大加速度200ガル以上を観測した地震が170回を超えることや,上記①ないし⑥のように,1個の地震で200ガル以上の地震動を観測した地点の多さに照らすと,200ガルという地震動は,我が国の地震記録にあっては,ごく平凡な地震動に過ぎないことが分かる。 以上によれば,債務者において,検討対象とした南海トラフ地震による地震動の策定に当たり,震源の深さが41㎞であることや,本件発電所周辺の地盤特性,地域特性をもっていかに説明しようとも,181ガルという設定が,観測記録という客観的な数値に照らし,およそ合理性を持たないことは明らかである。 d 債務者による基準地震動(650ガル)の策定は,要するに,「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」(内陸地殻内地震,プレート間地震及び海洋プレート内地震)並びに「震源を特定せず策定する地震動」のそれぞれについて導き出された地震動を比較して,その最も大きな数値を採用したというものである。 しかし,上記過程において比較の対象となる地震動のうちの一つ(プレート間地震による地震動)については,上記cのとおり,これが181ガルにとどまるという点で合理性を欠くばかりか,650ガルをも優に上回ることが容易に想定される。そうだとすると,ほかの比較対象である地震動(内陸地殻内地震,海洋プレート内地震及び震源を特定せず - 52 - 策定する地震動)の策定過程が合理的であろうがなかろうが,上記過程の結果策定された基準地震動(650ガル) である地震動(内陸地殻内地震,海洋プレート内地震及び震源を特定せず - 52 - 策定する地震動)の策定過程が合理的であろうがなかろうが,上記過程の結果策定された基準地震動(650ガル)が合理性を失うことになるというのが論理的帰結である。 (エ) 以上によれば,本件申請に当たって債務者が策定した基準地震動の内容及びこれを承認した原子力規制委員会による適合性審査は,いずれも合理性がない。 オ年超過確率について(ア) 原子力発電所にあっては,高度の安全性が図られるべきであるから,本件原子炉が基準地震動を超過する地震動に見舞われることが確率論的に否定しきれないまでも,その確率は1万年から100万年に1回にとどまるからといって,到底受容できる確率ではない。 (イ) 上記(ア)の点を措くとしても,基準地震動を策定する過程で債務者が設定した震源モデル以外のタイプの地震が将来にわたって起きるか起きないかは未確定なままであって,そのような未知の地震について発生確率を求めることはおよそ不可能である。すなわち,債務者が上記の過程で算出した年超過確率は,あくまでも,債務者が設定した震源モデルが正しいことを前提とした確率計算というに過ぎないから,そもそも信用性がない。 しかも,「1万年から100万年に1回」という数字自体が,平成17年から平成23年までの短期間に,実際の地震によって原子力発電所の周辺の観測地点で観測された地震動が,当該原子力発電所の基準地震動を上回った事例が5つもあったという事実(上記エ(イ)b)と明らかに矛盾している。 したがって,債務者が基準地震動を策定した際に,それを超える地震動が生じるとして算出した年超過確率には合理性がない。 カまとめ以上によれば, と明らかに矛盾している。 したがって,債務者が基準地震動を策定した際に,それを超える地震動が生じるとして算出した年超過確率には合理性がない。 カまとめ以上によれば,本件原子炉施設は,地震に対する安全性を欠いているとい - 53 - うべきである。 (債務者の主張)ア福島第一原発事故の教訓を踏まえて改正された原子炉等規制法の目的及び趣旨からすれば,原子炉等規制法は,特に地震についていえば,最新の科学的,専門技術的知見を踏まえて合理的に予測される規模の地震に対する安全性を確保することを求めているものと考えられる。したがって,基準地震動は,そのような合理的に予測される規模を上回る地震を想定して策定されるべきであるかのような理解は,実質的に絶対安全を求めるものであって,誤りである。 イ新規制基準が不合理である旨の主張について(ア) 強震動予測の手法を基礎とする耐震設計は,建築基準法においても否定されているわけではなく,建設地の特性を考慮して作成した地震動(サイト波)の利用も予定されているのであって,原子力発電所の耐震設計にのみ用いられる特殊な手法ではない。 (イ) 地震学には不確かさが伴うが,原子力発電所の耐震設計において求められているのは,寸分違わぬような正確な地震動予測ではなく,そのような不確かさを踏まえた上で,その点を十分に保守的に考慮した地震動評価が可能であれば,原子炉等規制法の目的及び趣旨に悖るところはない。すなわち,基準地震動Ssの策定は,地震が起きることを前提に,震源域及び地震の規模を保守的に想定するものであって,地震防災応急対策の前提となっているがゆえに地震の発生時期,発生場所及び規模を確度高く予測することが求められる大規模地震対策特別措置法が前提としている 及び地震の規模を保守的に想定するものであって,地震防災応急対策の前提となっているがゆえに地震の発生時期,発生場所及び規模を確度高く予測することが求められる大規模地震対策特別措置法が前提としている地震予測とは全くの別物である。 また,多くの専門家が強震動予測を基準地震動の策定に持ち込んだ場合の限界や危険性を指摘している旨の債権者らの主張は,その依拠する専門家の見解に対する誤った理解に基づく主張である。 - 54 - (ウ) したがって,新規制基準の下において,強震動予測を用いて基準地震動を策定することがそもそも非科学的であるかのような債権者らの主張は失当である。 ウ新規制基準の適用が不合理である旨の主張(その1)について(ア) 債務者は,本件申請における「震源を特定せず策定する地震動」を策定するにあたり,地震ガイドが例示する別紙2記載の16の地震のうち,留萌支庁南部地震のほかに,鳥取県西部地震も考慮しており,前者しか考慮していないとの債権者らの主張は事実に反する。 (イ) また,債務者が上記16の地震のうち,留萌支庁南部地震及び鳥取県西部地震以外の14の地震を「震源を特定せず策定する地震動」の評価の過程で考慮しないこととした理由については,前提事実⑻イ(イ)のとおりであって,その点については原子力規制委員会の審査も経ている。また,債務者による「震源を特定せず策定する地震動」の評価については,既に,第1次仮処分事件の即時抗告審においても審理され,妥当である旨判断されている。 (ウ) したがって,債務者による「震源を特定せず策定する地震動」の評価において,新規制基準の適用に不合理な点はない。 エ新規制基準の適用が不合理である旨の主張(その2)について(ア) 地震動の評価におい 債務者による「震源を特定せず策定する地震動」の評価において,新規制基準の適用に不合理な点はない。 エ新規制基準の適用が不合理である旨の主張(その2)について(ア) 地震動の評価において,将来発生する地震による地震動の最大加速度や地震波形等と一致するような予測をすることが不可能であることはいわば当然である。 (イ)a しかし,だからといって,別紙1-1の観測記録や,実際の地震によって原子力発電所周辺の観測地点で観測された地震動が当該原子力発電所の基準地震動を上回った5つの事例(以下「本件超過事例」という。)を引き合いにして,債務者が策定した基準地震動650ガルが過小であり,したがって,これを上回る地震動をもたらす地震がありふれている - 55 - などということはできない。なぜなら,特定の地点における地震動は震源ごとに異なる震源特性,地点ごとに異なる地震波の伝播特性,地盤の増幅特性といった地域特性の影響を強く受けることから,地域特性の異なる地点で計測された観測記録を単純に本件敷地に当てはめることに意味はないからである。 特に,本件超過事例については,それぞれ次のような地域特性があることが分かっている上,宮城県沖地震,新潟県中越沖地震及び能登半島地震については,超過したとされる基準地震動は,平成18年改訂前の耐震設計審査指針による基準地震動S1又は基準地震動S2であって,現行の基準地震動Ssとは別物であるところ,いずれも当該原子力発電所の基準地震動Ssと比較すると,これを上回らない。 ⒜ 宮城県沖地震及び東北地方太平洋沖地震いずれも宮城県沖近海で発生したものであるところ,宮城県沖近海のプレート境界に発生する地震の地域的な特性(震源特性)として,短周期成分の卓越が顕著である傾向が認められる。 ⒝ 新潟県中 洋沖地震いずれも宮城県沖近海で発生したものであるところ,宮城県沖近海のプレート境界に発生する地震の地域的な特性(震源特性)として,短周期成分の卓越が顕著である傾向が認められる。 ⒝ 新潟県中越沖地震逆断層型の地震であり,通常より強い揺れ(1.5倍程度)を生じさせる震源特性を有していた。また,同地震の際,柏崎刈羽原発の地下深部地盤の不整形性の影響により2倍程度増幅する傾向(伝播特性),同発電所敷地下の古い褶曲構造(増幅特性)についても確認されている。 ⒞ 能登半島地震周期0.6秒に大きなピークがあるが,それは敷地地盤の増幅特性によるものであった。 b また,建築基準法に基づく一般鉄筋コンクリート建造物が震度7(1500ガル)までの揺れに耐えられることや,大手ハウスメーカーが製 - 56 - 造する住宅の耐震性能(3000ガルないし5000ガル程度)との比較において,債務者が策定した基準地震動650ガルが過小であるということもできない。なぜなら,平成8年4月以降に公表されている震度(計測震度)は,単なる加速度のみならず,揺れの周期や継続時間も考慮して計算された値であって,震度7が当然に1500ガル以上であるとはいえないし,建築物の耐震性は,地震動の経時特性や周期特性に加え,建築物の固有周期を考慮することが極めて重要であって,これらの事情を無視して単純に数値のみを比較することは不適切だからである。 ましてや,大手ハウスメーカーが製造するような一般的な住宅の耐震性能は,地盤の条件が必ずしも良くない平野部で建築されることが多い上,大規模な基礎地盤の改良工事を伴わないことから,住宅に作用する地震動が増幅されやすいことを前提としており,この点でも上記のように比較対象としては不適切である。 (ウ)a 建築されることが多い上,大規模な基礎地盤の改良工事を伴わないことから,住宅に作用する地震動が増幅されやすいことを前提としており,この点でも上記のように比較対象としては不適切である。 (ウ)a 債務者が,基準地震動の策定に当たり,「震源を特定して策定する地震動」のうち,「プレート間地震」について,南海トラフ地震を検討対象とした上,その強震動生成域を本件発電所の直下に置いたとしても,解放基盤表面で想定される地震動が181ガルであるとした過程は,前提事実⑻イ(ア)d⒝,(ウ)aのとおりであって,新規制基準に照らしても合理的である。そして,そのことは原子力規制委員会の審査でも確認されている。 b これに対し,別紙1―2記載の観測記録のほか,このうち,①2018年9月6日北海道胆振東部地震,②2021年2月13日福島県沖地震,③2021年3月20日宮城県沖地震,④2003年9月26日十勝沖地震,⑤東北地方太平洋沖地震,⑥2015年5月30日小笠原諸島西方沖の地震の観測記録を引き合いにして,上記aの策定が過小であり,本件敷地においてプレート間地震(南海トラフ地震)によってもた - 57 - らされる地震動が181ガルにとどまることはあり得ないなどということはできない。なぜなら,そのような比較検討は,結局のところ,本件敷地において想定されるべき地震動の最大加速度と,他の地域において発生した地震において観測された最大加速度とを,地域特性を無視しており,相当でないからである。 実際にも,上記①の地震においては,最大加速度1796ガルを観測した観測点(K-NET追分・震央距離26㎞)と震央距離がそれほど変わらない地盤条件の良い別の観測地点(KiK-net夕張)ではその10分の1程度である128ガルにとどまっていたし,東北地方太平洋沖地 観測点(K-NET追分・震央距離26㎞)と震央距離がそれほど変わらない地盤条件の良い別の観測地点(KiK-net夕張)ではその10分の1程度である128ガルにとどまっていたし,東北地方太平洋沖地震(上記⑤)においては,震源に近くても最大加速度が比較的小さな観測点もあれば,逆に震源から遠くても大きな最大加速度を記録した観測点もあったほか,震源域に比較的近い福島県沿岸であっても,地表付近までS波速度2000m/秒以上の極めて堅硬な岩盤が広がっている観測地点で観測された最大加速度はいずれも150ガル前後であった。このように,近接する観測地点どうしであっても,地域特性の違いによって,観測された地震動の大きさに顕著な差が生じるから,過去の地震で得られた最大加速度の値だけを本件発電所の基準地震動の最大加速度の値と比較することには意味がない。 (エ) したがって,債務者がした基準地震動の策定において,債権者が主張するような新規制基準の適用に不合理な点はない。 オ年超過確率について(ア) 本件原子炉が基準地震動を超過する地震動に見舞われる確率について,「1万年から100万年に1回」よりも小さくなければならないかのような債権者らの主張は,本件原子炉について地震との関係で絶対安全を求めるに等しく,不合理である。 (イ) 債務者が基準地震動の年超過確率を評価するに当たっては,本件発電所 - 58 - に将来の一定期間内にもたらされる地震動の強さ・頻度(確率)を評価し,その結果に基づき,原子力学会(2007)を用いて,一様ハザードスペクトルを作成し,これと基準地震動の応答スペクトルとを比較することで年超過確率の評価を行っている。そして,原子力学会(2007)は,学識者,実務者の長年にわたる議論と公正な手続きを経て策定されたものであって, 成し,これと基準地震動の応答スペクトルとを比較することで年超過確率の評価を行っている。そして,原子力学会(2007)は,学識者,実務者の長年にわたる議論と公正な手続きを経て策定されたものであって,年超過確率の評価手法として十分信頼性を有している。 また,本件超過事例は,当該原子力発電所の地域特性によるものであったり,現行の基準地震動Ssを超過した事例ではなかったりするものであって,本件発電所における基準地震動の評価において引き合いに出すべきでないことは上記ウ(イ)aで主張したとおりである。そのことは,年超過確率の評価においても同様である。 したがって,債務者による基準地震動の年超過確率の評価には合理性がある。なお,この点については,原子力規制委員会の審査や,第1次仮処分事件の即時抗告審においても認められている。 カまとめ以上によれば,本件原子炉施設が地震に対する安全性を欠いているといえないことは明らかである。 ⑶ 保全の必要性(争点3)(債権者らの主張)ア本件原子炉は,既に原子力規制委員会による許可を受けて,実際に通常営業運転を行っている。そして,本件原子炉においてひとたび重大事故又は破局的大事故が起これば,債権者らの人格権が回復不能な程度に害されるおそれが極めて高い。本件原子炉の運転は,そのような重大事故又は破局的大事故を発生させ,債権者らの重要な権利を不可逆的に侵害するおそれがある行為である。 イそして,被保全権利(人格権に基づく差止請求権)が認められるならば, - 59 - 保全の必要性は極めて高いというべきである。「保全の必要性」は,確率の問題ではない。 もっとも,本件原子炉は,中央構造線断層帯のほぼ真上に位置し,かつ,南海トラフ地震の想定震源域に立地しているにもかかわらず,債務者が というべきである。「保全の必要性」は,確率の問題ではない。 もっとも,本件原子炉は,中央構造線断層帯のほぼ真上に位置し,かつ,南海トラフ地震の想定震源域に立地しているにもかかわらず,債務者が策定した基準地震動が過小であるために地震に対して極端に脆弱であるから,上記の事故が発生する確率も高いといえる。 ウ以上によれば,保全の必要性もある。 (債務者の主張)本件原子炉については,その安全性が確保されており(争点2),債権者らの人格権が侵害される事態は考えられない。 また,債権者らは,本件原子炉から相当程度遠方(地方公共団体に避難計画の策定が義務付けられている半径30㎞圏よりも遠い地点)に居住しているから,仮に,本件原子炉について過酷事故が起こったとしても,その健康の維持に悪影響を及ぼす程度の放射線に被ばくする危険性は著しく小さいものと考えられる。 したがって,本件申立ては保全の必要性がない。 ⑷ 本件申立ては訴権濫用又は信義則違反といえるか(争点4)(債務者の主張)ア(ア) 本件申立ては,第1次仮処分事件及び第2次仮処分事件(以下,これらの事件をまとめて「先行事件」ということがある。)と同様に,本案訴訟の原告団における協議の結果として申し立てられたものであって,形式的には,先行事件では債権者ではなかった者が本件申立ての債権者に含まれているものの,実態としては,同一主体が繰り返し申し立てていることと何ら変わりがない。 また,債権者Aらは,いずれも先行事件では債権者ではなかったが,債権者Fと同じ広島市内に居住する者であって,本件発電所と各住所地との - 60 - 距離には大差はないから,少なくとも債権者Fが主張している被保全権利や保全の必要性についての判断が両者の間で異なり得る蓋然性はないと考 る者であって,本件発電所と各住所地との - 60 - 距離には大差はないから,少なくとも債権者Fが主張している被保全権利や保全の必要性についての判断が両者の間で異なり得る蓋然性はないと考えられる。 したがって,本件申立てでは先行事件では債権者の立場になかった者が新たに申し立てているからといって,先行事件と本件申立てにおける被保全権利の重なりのなさは考慮すべきではない。 (イ) 本件申立てにおける債権者らの主張(争点1及び2)は,第1次仮処分事件におけると同じ争点の蒸し返しであることは明らかである。また,債権者らは,例えば,争点2において,要するに,債務者が策定した基準地震動の不合理性を主張するばかりであるなど,上記各争点について第1次仮処分事件における裁判所の判断を覆すような新しい事情を主張,疎明しているわけでもない。 しかも,債権者らにおいて,本件申立てで行っている主張,疎明の内容を,先行事件の手続中に遂げることが困難であったといえるような時間的制約や,密行性確保のための制約があったとはおよそ考えられない。また,先行事件において可能であったはずの主張,疎明を基に再度申立てが認められるとなれば,訴訟における時機に後れた攻撃防御方法の却下の規律(民事訴訟法157条1項)との比較においてバランスを欠く。 したがって,本件申立てにおける債権者らの主張,疎明について,一部に先行事件におけるそれと異なる部分があるからといって,再度の申立てが認められるべきではない。 イ債権者らを含む本案訴訟の原告らは,第1次仮処分事件の保全異議審決定に対して不満の意を示しながら,最高裁判所へ上訴しても勝てる見込みがないとか,上訴して敗訴すると他の同種の裁判に影響するなどとして,敢えて上訴権を行使しない選択をした。その一方で,「リスクがある 定に対して不満の意を示しながら,最高裁判所へ上訴しても勝てる見込みがないとか,上訴して敗訴すると他の同種の裁判に影響するなどとして,敢えて上訴権を行使しない選択をした。その一方で,「リスクがあるので,仮処分だけは彼ら(債務者)はして欲しくないでしょうね。となると,しないわけ - 61 - にはいかないじゃないですか。仮処分。」などという債権者GのSNS上の発言や,原子炉の運転差止めの仮処分命令を発してくれる裁判官に当たるまで仮処分申立てを重ねなければならない旨の債権者ら代理人河合弘之弁護士の発言等を総合的に勘案すれば,債権者らを含む本案訴訟の原告らは,保全手続の裁判では既判力がないこと及び一旦仮処分命令の決定があれば,それが後に取り消されるべき決定であったとしても即時に効力が発生することを奇貨として,自らの主張,疎明を認めてくれる決定(裁判官)を求めて,何度でも仮処分命令の申立てを繰り返す意思を持っていると考えられる。 債権者ら(及び債権者らを含む本案訴訟原告団を構成する原告ら)のこのような訴訟態度は,民事保全制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものであり,到底,真に救済を求める者の真摯な訴訟態度と評価することはできないし,裁判所の訴訟経済を害し,債務者を不当に長く不安定な立場に置いた状態でことさらに債務者に応訴負担を強いることを意に介さない身勝手なものといわざるを得ない。 したがって,このような訴訟態度の下に,再度申し立てられた本件申立ては,信義則に反し,又は訴権を濫用するものであって相当でないというべきである。 ウしたがって,本件申立てについては,具体的な審理に立ち入るまでもなく,直ちに却下されるべきである。 (債権者らの主張)ア本件における被保全権利を構成する人格権は各個人に由来し,裁判 ウしたがって,本件申立てについては,具体的な審理に立ち入るまでもなく,直ちに却下されるべきである。 (債権者らの主張)ア本件における被保全権利を構成する人格権は各個人に由来し,裁判を受ける権利も各個人に帰属する。そして,本案訴訟の原告団自体には,人格権も裁判を受ける権利もない。 したがって,先行事件を申し立てていなかった債権者Aらの各申立てが訴権の濫用であるとか,信義則に反するなどと解する余地はない。 イ一方,債権者Fらについては,被保全権利や保全の必要性は先行事件にお - 62 - けるそれと同じであるが,被保全権利に係る主張,疎明の内容は大きく異なる。 また,その主張の基になった専門的知見が得られたのは平成29年9月のことであり,その上で,債権者Fらにおいて,強震動予測という手法によって基準地震動を策定することがいかに危険極まりなく,不合理であるかを確信したのは,第1次仮処分事件の抗告審決定の後であったから,先行事件において本件におけるような主張,疎明を遂げることは困難であった。 しかも,本件の被保全権利に関する債権者らの主張,疎明の内容に照らすと,債務者に反論等のために過重な負担を強いるものではないし,裁判所が判断する際の負担も上記各事件に照らして各段に小さい。本件申立てについては,素直な視点,通常の経験則及び欠けるところのない良心を備えた裁判官であれば,適切な判断に容易にたどり着けることができるはずであり,そうなれば,多くの仮処分を申し立てる必要もなくなる。 したがって,債権者Fらの各申立てが訴権の濫用であるとか,信義則に反するともいえない。 ⑸ 担保の額(争点5)(債権者らの主張)本件の目的は,債権者らの人格権の保全にあるが,それと同時に,公共の安全や,極めて 各申立てが訴権の濫用であるとか,信義則に反するともいえない。 ⑸ 担保の額(争点5)(債権者らの主張)本件の目的は,債権者らの人格権の保全にあるが,それと同時に,公共の安全や,極めて広範かつ多数の国民の生命と健康を基礎とする人格権を守ることにあるから,債権者らに担保を立てさせ,経済的な負担を強いることは,正義・公平に反する。 被保全権利が認められるのに,債権者らが立担保に応じることができなかったがゆえに仮処分の発令に至らず,本件原子炉の破局的大事故を招いてしまったとなれば,それこそ許され難い不正義である。 本件にあっては,債権者らに担保を立てさせないで仮処分命令を発するべきである。 - 63 - (債務者の認否)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1について⑴ア本件において,債権者らが主張する被保全権利は,人格権に基づく妨害予防請求権としての差止請求権である。個人の生命,身体等の重大な法的利益が侵害される具体的危険がある場合には,当該個人は,人格権に基づく妨害予防請求権として,侵害行為を予防するため,当該侵害行為の差止めを請求することができるというべきである。 イ債権者らは,本件原子炉には,特に地震に対する安全性が欠けており,それに起因する重大な事故がその運転中に発生し,これによって大量の放射性物質が放出されて,債権者らの生命,身体等が侵害される具体的危険があるとして,債務者が本件原子炉を運転する行為を侵害行為として,その差止めを求めるものである(被保全権利)。 ところで,一件記録によれば,債務者は,新規制基準が適用された後に策定した基準地震動Ssを踏まえ,本件原子炉施設の設備ごとに耐震設計上の重要度分類を行った上,必要に応じて耐震安全性向上工事を実施するとともに,耐 記録によれば,債務者は,新規制基準が適用された後に策定した基準地震動Ssを踏まえ,本件原子炉施設の設備ごとに耐震設計上の重要度分類を行った上,必要に応じて耐震安全性向上工事を実施するとともに,耐震安全性を確保すべき施設を拡充するなどしたことが一応認められるところ(乙43,72,74ないし84),審尋の全趣旨によれば,債権者らは,これら一連の耐震設計又は各種工事の施工に瑕疵があり,したがって,本件原子炉施設が基準地震動Ssをもたらす地震動にすら耐えられずに損傷し,大量の放射線物質が放出される旨主張しているとは見受けられない。 そうであれば,本件において債権者らが主張する「生命,身体等が侵害される具体的危険」は,「債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険」を不可欠の前提としているものと解すべきである。 - 64 - ⑵ そこで,本件において,債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険をめぐる司法審査の在り方について検討すると,次のようにいうことができる。 ア原子炉は,原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する核燃料物質を燃料として使用する装置であり,その稼働により,内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって(前提事実⑶,⑷),ひとたび事故が発生し,放射性物質が原子炉外に放出されると,周辺住民等の生命,身体に重大な危害を及ぼし,周辺の環境を放射能によって汚染するなど,深刻な災害を引き起こすおそれがある。このことは,福島第一原発事故の経験からも明らかであり(前提事実⑸),福島第一原発事故のような深刻な被害の発生を防止するためには,重大な事故が発 て汚染するなど,深刻な災害を引き起こすおそれがある。このことは,福島第一原発事故の経験からも明らかであり(前提事実⑸),福島第一原発事故のような深刻な被害の発生を防止するためには,重大な事故が発生しないよう,原子力発電所の安全性を確保する必要がある。 イそして,福島第一原発事故の反省と教訓を踏まえて,原子力利用における安全の確保を図るための施策の策定・実施の事務を一元的につかさどるとともに,専門的知見に基づいて中立公正な立場で独立して職権を行使する行政機関として,原子力規制委員会が新たに設置され,改正された原子炉等規制法は,発電用原子炉の設置及び変更について,原子力規制委員会の許可を受けなければならないとし(同法43条の3の5第1項,同条の3の8第1項),これらの許可をするために求められる要件の一つとして,「発電用原子炉施設の位置,構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物又は発電用原子炉による災害防止上支障がないものとして設置許可基準規則で定める基準に適合するものであること」(同法43条の3の6第1項4号,同条の3の8第2項)と定め(前提事実⑹ア,イ(ア)),もって,発電用原子炉施設の安全性に関する基準の策定及び安全性の審査の権限を原子力規制委員会に与えることとなった。 - 65 - 上記のような権限を原子力規制委員会に委ねることとしたのは,(ア)発電用原子炉施設の安全性に関する基準の策定についていえば,地震等の自然災害や人為的要因などの事故発生の原因となり得る様々な事象をあらかじめ想定し,それらの事象によって発電用原子炉施設を構成する各種設備等(例えば,前提事実⑷)が機能を損なうことがないよう備えるべき強度を定め,又は想定外の事態に対してその拡大を防止するために必要な設備,機器等の設置を の事象によって発電用原子炉施設を構成する各種設備等(例えば,前提事実⑷)が機能を損なうことがないよう備えるべき強度を定め,又は想定外の事態に対してその拡大を防止するために必要な設備,機器等の設置を求めるなど,多角的,総合的見地から,幾重にも安全性を確保するための基準を検討する必要があるし,(イ)上記(ア)により策定された基準に基づいて実際に発電用原子炉施設の安全性を審査する点についていえば,例えば地震一つとってみても,当該発電用原子炉施設が所在する立地の地形,地質等の自然条件を前提として,影響を及ぼし得る地震等の規模を具体的に想定し,設備,機器等が想定した地震等によってその機能を損なうことがないかを確認することなどが必要となるなど,対象となる事項が多岐にわたり,科学的には十分に解明されていない事項や将来予測に係る事項も多分に含まれているために,原子力工学や地震学等の多方面にわたる極めて高度な最新の科学的,専門技術的知見に基づく総合的判断が不断に必要とされるからであるといってよい。 ウ債務者が本件原子炉施設を運転することができる立場にあるのは,本件申請について,原子力規制委員会から原子炉等規制法所定の許可処分を受けたからにほかならない(前提事実⑺ア)。そして,原子力規制委員会は,上記許可処分の過程において,本件申請について,上記イの権限に基づいて,その策定に係る新規制基準に照らして,地震に対する安全性を含む新規制基準への適合性を審査したというのである(前提事実⑻)。しかも,地震に対する安全性をめぐる上記審査の対象には,基準地震動Ssの年超過確率,すなわち,債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険に関する評 - 66 - 価も含まれていた の年超過確率,すなわち,債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険に関する評 - 66 - 価も含まれていたことが明らかである(前提事実⑻イ(エ))。 そうすると,本件申請における債務者による上記の具体的危険をめぐる評価が合理性を有することについて債務者に主張,疎明責任を負わせ,それが遂げられているかを裁判所が審査するということは,結局のところ,原子力規制委員会による多方面にわたる極めて高度な最新の科学的,専門技術的知見に基づく総合的判断の過程を,そのような知見を持ち合わせていない裁判所が事後にやり直すことと実質的には等しいことになる。しかし,そのような司法審査のありようは,上記イの趣旨に反し,相当でないといわねばならない。 さればといって,①債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険をめぐる裁判所の審理,判断は,原子力規制委員会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた原子力規制委員会の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって,新規制基準に不合理な点があり,又は本件原子炉施設が新規制基準に適合するとした本件申請をめぐる原子力規制委員会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があり,原子力規制委員会の判断がそれに依拠してされたと認められる場合には,原子力規制委員会の判断に不合理な点があると解すべきであること,②原子力規制委員会の判断に不合理な点があることの主張,疎明責任については,債務者の側において,まず,新規制基準並びに原子力規制委員会における調査審議及び判断の過程等,原子力規制委員会の判断に不合理な点のないことを 会の判断に不合理な点があることの主張,疎明責任については,債務者の側において,まず,新規制基準並びに原子力規制委員会における調査審議及び判断の過程等,原子力規制委員会の判断に不合理な点のないことを相当の根拠,資料に基づき主張,疎明すべきであり,債務者がその主張,疎明を尽くさない場合には,原子力規制委員会がした上記判断に不合理な点があることが事実上推認されるとすることは,上記イの権限を有さず,新規制基準の策定,それに基づく安全性に関する審査における調査審議や判断を行った主体ではない私人(原子力規制委員会から行政処分を受けた者)をして, - 67 - 処分行政庁(原子力規制委員会)の判断に不合理な点がないことの主張,疎明責任を負わせることにほかならず,これまた相当ではない。新規制基準に不合理な点があり,又は本件原子炉施設が新規制基準に適合するとした本件申請をめぐる原子力規制委員会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があり,原子力規制委員会の判断がそれに依拠してされたと認められるかどうかを審理,判断し,それが認められる場合には,原子力規制委員会の判断に不合理な点があるとする枠組みで行われるべき司法審査の在り方(最高裁判所平成4年10月29日判決・民集46巻7号1174頁参照)は,国及び処分行政庁(原子力規制委員会)を被告とする本件原子炉をめぐる設置変更許可処分の取消しを求める抗告訴訟において採用されるべき筋合いである。 エ(ア) もとより,本件は民事保全事件であって,債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険,ひいてはそのような評価を根拠づける具体的事実は,被保全権利である人格権に基づく妨害予防請求権としての本件原子炉運転差止請求権を を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険,ひいてはそのような評価を根拠づける具体的事実は,被保全権利である人格権に基づく妨害予防請求権としての本件原子炉運転差止請求権を発生させるために必要な法律要件に該当する具体的事実であると解されるのであるから,その法律効果の発生によって利益を受ける債権者らに主張,疎明責任があると解するべきである。 (イ) 債務者は,本件原子炉施設の安全性に関する資料をいかに多数保持していようとも,また,本件原子炉施設の安全性に対する地元の理解を得るための働きかけを重ねたとしても,原子力規制委員会による許可処分を得られない限り,本件原子炉施設を運転することは事実上できない立場にあることに変わりはない。したがって,処分行政庁である原子力規制委員会が関与しない手続である民事保全事件において,債権者らと債務者との間のいわゆる「証拠の偏在」なるものや,地元に対する働きかけの態様を強調することに決定的な意義を見出し難い。また,仮に本件原子炉が地震に起 - 68 - 因して損傷し,放射性物質が放出された場合に想定される被害が甚大だからといって,債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険が高いという論理的関係にあるとも考え難い。 そうであれば,本件において,上記具体的危険があることが当然に推定されるなどとして,上記(ア)で説示した主張,疎明責任を転換することは相当でない。 ⑶ 上記第2の3⑴債務者の主張欄アの主張は,上記⑴,⑵の点をいうものとして,その限りで理由がある。 これに対し,債権者らは,上記第2の3⑴債権者らの主張欄のとおり主張するけれども,上記⑴,⑵の説示に反する部分は,同説示に照らし,いずれも採 上記⑴,⑵の点をいうものとして,その限りで理由がある。 これに対し,債権者らは,上記第2の3⑴債権者らの主張欄のとおり主張するけれども,上記⑴,⑵の説示に反する部分は,同説示に照らし,いずれも採用することができない。 2 争点2について⑴ 上記1で検討したところによれば,本件原子炉施設の地震に対する安全性は,債務者が策定した基準地震動Ssを少なくとも上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険が認められるか,という点をめぐる検討に収斂されることになる(本件発電所の各施設が,基準地震動Ssを超える規模の地震動に対し,どの程度の裕度を具えているかという点については,しばらく措く。)。 ⑵ 上記⑴によれば,上記第2の3⑵債権者らの主張欄アないしウの主張は,その内容からして,上記の具体的危険の存在又はそのような評価を根拠づける具体的事実を摘示するものでないことが明らかであるから,いずれも失当であり,採用することができない。 ⑶ア一方,上記第2の3⑵債権者らの主張欄エの主張は,要するに,①平成12年以降,日本で700ガル以上の加速度を観測した地震が多数存在する事実,②本件超過事例,③震度7に相当する地震動が1500ガル程度である - 69 - ことを前提に,一般的な鉄筋コンクリート造の建造物については,建築基準法上,震度7までの揺れに耐えられる耐震性能を求められている事実,④大手ハウスメーカーが製造する住宅は3000ガルないし5000ガル前後の地震動にも耐え得る性能を具えている事実,⑤債務者が基準地震動Ssを策定する過程で検討対象としたプレート間地震の地震動が181ガルであったのに対し,平成12年以降,1個の地震で200ガル以上の地震動を観測した地点が多数存在する事実等から帰 債務者が基準地震動Ssを策定する過程で検討対象としたプレート間地震の地震動が181ガルであったのに対し,平成12年以降,1個の地震で200ガル以上の地震動を観測した地点が多数存在する事実等から帰納すると,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険がある旨の主張ということができる。 イそこで検討するに,一件記録によれば,次の事実が一応認められる。 (ア) 前提となる知見a 地震は,地下の岩盤が周囲から力を受けることによって,ある面(震源断層面)を境として破壊する(ずれる)現象である。ある点(震源)から始まった破壊は震源断層面を拡大していき(破壊が広がった震源断層を含む領域を震源域という。),震源域から地震波が逐次放出される。 放出される地震波の性質は,どの程度の大きさの断層がどのように破壊したかによって決まる。このように,放出される地震波を特徴づける震源断層の大きさやその破壊のありようを震源特性という。 b 震源域から放出された地震波は,原則として震源からの距離とともにその振幅を減じながら地下の岩盤中を伝播していくが,例えば,伝播経路中に深部地盤の不整形性が見られる場合等,地震波が特定の観測点に到達するまでの伝播経路に固有の特性が地震波に反映されていくこととなる。このような伝播経路に固有の特性を伝播特性という。 c 地震波は,硬い地盤から軟らかい地盤に入射すると振幅が大きくなる性質を持っているため,軟らかい地盤上にある観測点には,硬い岩盤上にあるそれに比べて大きな揺れ(地震動)をもたらす。このような地震 - 70 - 動に作用する対象地点近傍の地盤構造の特性を増幅特性という。 増幅特性は,地盤のせん断波速度と相関があり,地盤のせん断波速度が な揺れ(地震動)をもたらす。このような地震 - 70 - 動に作用する対象地点近傍の地盤構造の特性を増幅特性という。 増幅特性は,地盤のせん断波速度と相関があり,地盤のせん断波速度が大きいほど地震動の増幅率が小さいことが知られている。 また,表層地盤増幅率が与える影響について,表層地盤増幅率が異なる2地点において,一方が他方の増幅率の2倍であり,その他の条件が全て同じ場合,表層増幅率が大きい方の地点での最大振幅値は,小さい方の地点のそれの2倍になる。 地震本部による地震動評価では,山地,扇状地等の地形区分(微地形分類)等に基づく平均的な地盤のS波速度から経験的に評価された増幅率が考慮されており,0.5から3.8までの幅が設定されている。 d ある観測点で現実に観測される地震動は,上記aないしcの特性が地震波に与える影響が組み合わさって構成されていることになるが,震源特性は地震ごとに,伝播特性及び増幅特性は地震波が伝わり揺れとして現れる地点ごとに,それぞれ異なる。 (以上につき,乙41,156の1,121,122,194,審尋の全趣旨)(イ) 観測記録等a 別紙1-1記載の各地震につき,地震規模(マグニチュード),最大震度及び観測された最大加速度(小数点以下は適宜切り捨て又は切り上げ。以下同じ。 )は,同別紙記載のとおりである。また,別紙1-2中「地震発生時刻」欄記載の年月日時に発生した各地震につき,震央位置(北緯・東経),震源深さ,地震規模(マグニチュード)及び観測された最大加速度は,同別紙記載のとおりである。(甲82,83,審尋の全趣旨)b 東北地方太平洋沖地震(M9.0,震源の深さ24㎞)において,震央距離175㎞の地点(K-NET築館)で最大加速度2933ガルを, - 71 - 震央距離1 2,83,審尋の全趣旨)b 東北地方太平洋沖地震(M9.0,震源の深さ24㎞)において,震央距離175㎞の地点(K-NET築館)で最大加速度2933ガルを, - 71 - 震央距離121㎞の地点(K-NET牡鹿)で最大加速度939ガルを,それぞれ観測した(甲75の6)。 c 2018年9月6日北海道胆振東部地震(M6.7,震源の深さ37㎞)において,震央距離26㎞の地点(KiK-net追分,K-NET追分)で,前者にあっては最大加速度1505ガルを,後者にあっては1796ガルをそれぞれ観測し,震央距離34㎞の地点(KiK-net夕張)で128ガルを観測した(甲75の1,乙175)。 d 2014年3月14日伊予灘地震(M6.2,震源の深さ78㎞)において,本件発電所では地下5mにおいて最大加速度66ガル(東西方向)が観測され,震央距離が本件発電所より遠いK-NET八幡浜において,最大加速度260ガル(三成分合成値)が観測された(乙123,124,156)。 e 愛媛県は,平成25年に実施した愛媛県地震被害想定調査において,想定される複数の地震ごとに市町村別の地表最大加速度に関する想定結果を示した。 それによれば,伊方町については,内閣府検討会が想定した南海トラフの巨大地震の4ケースのモデル(前提事実⑻イ(ア)a⒝)を重ね合わせた最大値が他の想定地震との比較で最も大きく,その値は1531ガルとされている。もっとも,上記調査における南海トラフの巨大地震の地表加速度分布図においては,伊方町の内部においても地表加速度分布にはムラがあり,本件発電所周辺の地域は「400.01ないし500. 00ガル」のカテゴリーとして図示されている。 (以上につき,甲40)(ウ) 本件超過事例a 宮城県沖地震女川原発では,標記の地 があり,本件発電所周辺の地域は「400.01ないし500. 00ガル」のカテゴリーとして図示されている。 (以上につき,甲40)(ウ) 本件超過事例a 宮城県沖地震女川原発では,標記の地震により,女川原子力発電所工事用基準面- - 72 - 8.6m(せん断波速度1500m/秒相当)の岩盤中で得られた記録について,同地点から上部の地盤の影響を取り除いて解析的に求めた同岩盤表面の地震動(はぎとり波)の応答スペクトルが一部の周期帯で基準地震動S1又はS2を超えていた。 その要因については,標記の地震のような宮城県沖近海のプレート境界に発生する地震については短周期成分の卓越が顕著である傾向が認められるという地域特性によるものと考えられている。 (以上につき,甲27,乙48)b 能登半島地震志賀原発では,標記の地震により,標高-10m(せん断波速度1500m/秒相当)の岩盤中で得られた記録について,同地点から上部の地盤の影響を取り除いて解析的に求めた解放基盤表面の地震動(はぎとり波)の応答スペクトルが長周期側の一部の周期帯で基準地震動S2を超えていた。 その要因については,標記の地震の震源周辺における,さまざまな観測地点で得られた他機関の観測記録やこれまでに敷地で観測された別の方向からの地震記録を検討した結果に加え,実地に探査したところから推定される同原発の敷地地盤の地下構造のありようによれば,震源特性や伝播特性ではなく,地盤深部からの増幅特性に起因するものと考えられている。 (以上につき,甲28,乙50)c 新潟県中越沖地震柏崎刈羽原発では,標記の地震について,原子炉建屋基礎版(原子炉建屋の最地下部)における観測記録をもとに推定された解放基盤表面における地震動が,同原発の基準地震動S2を上回っていたこ 県中越沖地震柏崎刈羽原発では,標記の地震について,原子炉建屋基礎版(原子炉建屋の最地下部)における観測記録をもとに推定された解放基盤表面における地震動が,同原発の基準地震動S2を上回っていたことに加え,同原発敷地内においても,原子炉ごとに有意な差があったことが判明し - 73 - た。 その要因については,①標記の地震の震源(断層面)が逆断層型であって,同程度の規模の地震の約1.5倍の地震動を発生させる特徴を有していたこと,②敷地地下深部における堆積層の厚さと傾き(不整形性)の影響により,地震動が2倍程度増幅する傾向があったこと及び③敷地地下にある古い褶曲構造のために地震波が屈折し,さらに2倍程度増幅した箇所があったこと,以上の点が指摘されている。 (以上につき,甲29,乙49)d 東北地方太平洋沖地震⒜ 女川原発では,標記の地震について女川原子力発電所工事用基準面-8.6mの岩盤中で得られた観測記録は,一部の周期帯において,基準地震動Ssを上回っていたが,その後,同地点から上部の地盤の影響を取り除いて解析的に求めた同岩盤表面の地震動(はぎとり波)の応答スペクトルについても,一部の周期帯で基準地震動Ssを上回っていたことが確認された。 ⒝ 福島第一原発では,標記の地震により,敷地地盤において600ガルを上回る最大加速度を観測した地点が複数認められた。また,同原発の解放基盤表面(小名浜港工事基準面-196m)に近似する小名浜港工事基準面-200mの地点(2か所・東西方向及び南北方向)における観測記録に基づいて同地点から上部の地盤の影響を取り除いて解放基盤表面の地震動(はぎとり波)を解析したところ,上記のうち1か所の東西方向において最大加速度675ガルと推定され,基準地震動Ssによる最大加速度(600ガル)を上 上部の地盤の影響を取り除いて解放基盤表面の地震動(はぎとり波)を解析したところ,上記のうち1か所の東西方向において最大加速度675ガルと推定され,基準地震動Ssによる最大加速度(600ガル)を上回ったこと,上記はぎとり波による応答スペクトルが一部の周期帯で基準地震動Ssを上回ったことがそれぞれ確認された。 (以上につき,甲5〔211頁以下〕,30,31,乙54) - 74 - e 基準地震動S1,S2,SSについて⒜ 原子力安全委員会は,発電用原子炉施設の耐震設計に関する安全審査を行うに当たり,昭和56年7月20日付けで,従来の指針に代わるものとして,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(その後,一部改訂されたものも含め,以下「旧耐震指針」という。)によるべき旨を決定した。 旧耐震指針においては,過去の地震から見て原子炉施設の敷地に影響を与えるおそれのある地震及び近い将来敷地に影響を与えるおそれのある活動度の高い活断層による地震のうち,最も影響の大きいものを,工学的見地から起こることを予期することが適当と考えられる地震として「設計用最強地震」を設定すること,また,敷地周辺の活断層の性質,地震地体構造及び直下地震を考慮し,設計用最強地震を超える地震の発生が地震学的見地から否定できない場合には,これを「設計用限界地震」として設定することが求められていた。そして,前者(設計用最強地震)によってもたらされる地震動を「基準地震動S1」とし,後者(設計用限界地震)によってもたらされる地震動を「基準地震動S2」として,それぞれ策定することになっていた。 ⒝ その後,原子力安全委員会は,平成18年9月19日,それまでの地震学及び地震工学に関する新たな知見の蓄積並びに発電用軽水炉施設の耐震設計技術の改良及び進歩を反映し, 策定することになっていた。 ⒝ その後,原子力安全委員会は,平成18年9月19日,それまでの地震学及び地震工学に関する新たな知見の蓄積並びに発電用軽水炉施設の耐震設計技術の改良及び進歩を反映し,旧耐震指針を全面的に見直した結果として,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(以下「改訂耐震指針」という。)によるべき旨を決定した。 改訂耐震指針においては,基準地震動を「基準地震動Ss」に一本化することとし,これを「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」と「震源を特定せず策定する地震動」とに分けて策定することとした。 そして,「基準地震動Ss」の策定については,その後,新規制基準 - 75 - にも引き継がれた。 (以上につき,前提事実⑻ア,乙153,審尋の全趣旨)(エ) 建築基準法の耐震基準の概要等a 昭和56年施行後の建築基準法施行令に基づく,いわゆる耐震基準によれば,概要,①一次設計(中規模の地震動(震度5強程度)による地震力でほとんど損傷しないこと(許容応力度計算)),②二次設計(大規模の地震動(震度6強ないし7に達する程度)による地震力で倒壊・崩壊しないこと(保有水平耐力計算,許容応力度等計算,限界耐力計算等)が求められている。 ここにいう「地震力」とは,地震動に対する建築物の応答として生ずる力を指し,通常の場合,建築物が弾性挙動をすれば,建築物の最大応答加速度は入力地震波の概ね2.5倍から3倍の値となることが知られている。 上記②(二次設計)のうち保有水平耐力計算においては,おおよそ水平方向に1G(建築基準法施行令88条3項。標準層せん断力係数C0=1.0。980ガルに相当する。)の弾性挙動を仮定しており,300ないし400ガル程度の地震動に対する設計を要求していることになるとされている。 b⒜ 法施行令88条3項。標準層せん断力係数C0=1.0。980ガルに相当する。)の弾性挙動を仮定しており,300ないし400ガル程度の地震動に対する設計を要求していることになるとされている。 b⒜ ところで,気象庁が発表する震度は,平成8年以降,人の体感に基づくものから,原則として地表や低層建物の1階に設置した計測震度計によって得られた加速度波形について,建物被害との相関を考慮して,震度算出に用いる地震動の周期を長周期に広げるとともに,計測震度の値が連続量として扱えるように継続時間を考慮して,特定の計算式を用いて算出されるものに改訂された。 ⒝ 国土交通省国土技術政策総合研究所が示した,震度と最大加速度等に関する概ねの対応表によれば,震度7に対応する最大加速度は15 - 76 - 00ガルとされている。 ⒞ しかし,気象庁は,計測震度の計算には,上記の考慮(周期及び継続時間)が働くことから最大加速度が大きい場所が震度も大きくなるとは限らないとした上,実際の地震波はさまざまな周期の波が含まれているので,震度7が加速度で何ガルに相当するといえないとしている。そして,気象庁は,周期1秒の波が同じ振幅で数秒間続くと仮定した場合に震度7の下限に相当する計測震度に達するためには,3成分の合成値で約600ガル以上の加速度が必要で,これが周期0.1秒の波になると2700ガル以上になる旨指摘している。 (以上につき,甲20,32,乙139,143ないし145)(オ) 大手ハウスメーカー製の住宅の耐震性能等三井ホーム株式会社は,平成28年に,独自の木造建築構法を採用した2つのタイプの住宅について実大振動実験を実施し,うち1タイプについては加振最大加速度5115ガルに,別のタイプについては加振最大加速度4176ガルに,それぞれ耐えられる 自の木造建築構法を採用した2つのタイプの住宅について実大振動実験を実施し,うち1タイプについては加振最大加速度5115ガルに,別のタイプについては加振最大加速度4176ガルに,それぞれ耐えられることを確認した。このほか,住友林業株式会社も,同会社の独自構法による木造住宅について行った振動実験において,最大3406ガルの加速度に耐えられることを確認した。なお,これらの加速度は,振動実験の際に建物の躯体を固定した振動台で計測された実測値であった。(甲38,審尋の全趣旨)ウ前提事実及び上記イの事実をもとに,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険があるといえるかどうか検討すると,次のようにいうことができる。 (ア) 別紙1-1及び1-2記載の各観測記録からの帰納についてa ある地点で観測される地震動は,地震ごとに異なる震源特性,地震波の伝播経路ごとに異なる伝播特性及び観測地点近傍の地盤構造ごとに異 - 77 - なる増幅特性の組み合わせによって構成されるというのである(上記イ(ア))。 b そうであれば,例えば,A地点で実際に観測された地震動と同程度の地震動がB地点でももたらされるおそれがあるかどうかを検討するに当たっては,A地点で実際に観測された地震動について,それをもたらした地震の震源特性,当該地震の震源域からA地点までの地震波の伝播経路における伝播特性及びA地点近傍の地盤構造に基づく増幅特性をそれぞれ解析するとともに,B地点で想定する地震の震源特性,想定される地震の震源域からB地点まで及びB地点近傍の各地盤構造を明らかにすることによって想定される伝播特性や増幅特性のありように置き換え,A地点で実際に観測された地震動を補正する過程が必須で 性,想定される地震の震源域からB地点まで及びB地点近傍の各地盤構造を明らかにすることによって想定される伝播特性や増幅特性のありように置き換え,A地点で実際に観測された地震動を補正する過程が必須であるといわねばならない。すなわち,地震ごとや観測地点ごとに異なる震源特性,伝播特性及び増幅特性が地震波に与える影響を無視したまま,ある地点で現実に観測された地震動の最大加速度の絶対値のみを引き合いに,直ちに別の地点でもそれと同様の最大加速度を伴う地震動がもたらされるなどという推論は,到底科学的であるとはいえない。このことは,専門的知見を介さずとも見やすい道理である。 また,震央距離及び震源の深さは,要するに,当該地震の震源から特定の観測地点までの震源距離を特定するためのデータに過ぎないから,上記aで説示したところによれば,震央距離及び震源の深さをもって,「震源距離が大きくなるほど地震波が減衰する」という一般的かつ原理的な現象を説明することはできても,伝播特性を解析したことにはならないし,ましてや,震源距離が震源特性や増幅特性を決定づける要素であるとは考え難い。 同様に,地震の規模(マグニチュード,モーメントマグニチュード)は,要するに,震源域に蓄えられていた歪みが地震によって一気に解放 - 78 - された際に放出されたエネルギーの総量であるから(乙40),上記aで説示したところによれば,震源特性を構成する要素の一つであるけれども,すべてを決定づける要素であるとまではいえないし,伝播特性や増幅特性とは直接の関係はないといわねばならない。 c 以上によれば,別紙1-1及び同1-2各記載の地震について実際に観測された最大加速度(上記イ(イ)a)について,当該地震及び当該観測点に係る震源特性,伝播特性及び増幅特性を解析し,これを本件 c 以上によれば,別紙1-1及び同1-2各記載の地震について実際に観測された最大加速度(上記イ(イ)a)について,当該地震及び当該観測点に係る震源特性,伝播特性及び増幅特性を解析し,これを本件発電所の解放基盤表面における各種特性を踏まえて補正しない限り,650ガルを上回る最大加速度の観測例が多数あるからといって,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険があるとは即断できないし,そのことは,上記各地震について,地震の規模や震源距離に関するデータが付け加えられたとしても,何ら異ならない。 それどころか,同じ地震において,一方の震央距離(すなわち,震源距離)が他方のそれよりも大きいのに,観測された最大加速度が逆に有意に大きかった実例(上記イ(イ)b,d)や,同じ地震によって観測された最大加速度が,震央距離にして約8㎞しか異ならない地点間で,一方が他方の10倍以上も異なっていた実例(上記イ(イ)c)があるというのであるから,震源特性が同一であっても,伝播特性又は増幅特性の違いが地震波に与える影響はむしろ決定的であるものというべく,実際に観測された最大加速度の絶対値の大きさをいくら強調しても,上記の補正をせずじまいの比較対照に科学的な意味を見出すことはできない。 しかるに,一件記録を精査しても,上記の補正をした結果を窺わせる資料は何ら見当たらない。 (イ) 本件超過事例からの帰納についてa 基準地震動は,改訂耐震指針及び新規制基準にあっては,原子炉施設 - 79 - の耐震設計の基準として,施設の共用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり,施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動であると考えられているところ,そのような考 の耐震設計の基準として,施設の共用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり,施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動であると考えられているところ,そのような考え方は旧耐震指針にあっても同様であったと考えられる(乙42,45)。 したがって,一般的には,原子炉施設において基準地震動を上回る規模の地震動が観測されることが一切許されないとまではいえないが(仮にそのことが許されないとすれば,基準地震動の策定を通じて絶対安全を課すことと同義となり,相当でない。),他方で座視できない事象であることは承認しなければならない。 b しかし,旧耐震指針の下における基準地震動S1,S2と,改訂耐震指針から採用されて現在に至る基準地震動Ssとでは,その策定原理を異にするから(上記イ(ウ)e),他の原子力発電所において実際に観測された最大加速度が基準地震動を上回った事例があることを引き合いに,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険があるというためには,少なくとも,他の原子力発電所の事例において観測された最大加速度と当該原子力発電所の基準地震動の大小を比較対照するに当たり,後者につき新規制基準の下における基準地震動Ssを用いなければ意味がないというべきである。 c また,実際に観測された最大加速度について,当該地震及び当該観測点に係る震源特性,伝播特性及び増幅特性を解析し,これを本件発電所の解放基盤表面における各種特性を踏まえて補正しない限り,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険があると即断できないことは(上記(ア)),本件超過事例を引き合いにする場合であっても同様である 策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険があると即断できないことは(上記(ア)),本件超過事例を引き合いにする場合であっても同様であることはいうまでもない。 - 80 - d 上記b及びcを踏まえて本件超過事例をみると,宮城県沖地震における女川原発の事例,能登半島地震における志賀原発の事例及び新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原発の事例は,いずれも観測された最大加速度が基準地震動S1又はS2を上回った事例であって(上記イ(ウ)aないしc),基準地震動Ssを上回った事例ではないし,一件記録を精査しても,基準地震動Ssをも上回っていたことを窺わせる資料はないから,これらの事例は「超過事例」として引き合いに用いることがそもそも適切ではない。 また,上記の点を措くとしても,宮城県沖地震における女川原発の事例については地域特性(宮城県沖近海のプレート境界に発生する地震に特有の震源特性ということができる。),能登半島地震における志賀原発の事例については増幅特性,新潟県中越沖地震については震源特性,伝播特性及び増幅特性が,それぞれ既に具体的に指摘されているのであるから(上記イ(ウ)aないしc),これらの諸特性を本件発電所の解放基盤表面における各種特性に置き換えて補正しなければ,これらの事例を引き合いにすることは相当でない。 一方,東北地方太平洋沖地震における女川原発及び福島第一原発の各事例は,いずれも基準地震動Ssを一部の周期帯ではあれ上回った事例である上(上記イ(ウ)d),他の事例と異なり,基準地震動Ssを上回る地震動が観測される要因になった震源特性,伝播特性及び増幅特性は具体的には指摘されるに至っていないことが窺える(審尋の全趣旨)。しかし,ある地点で観測される地震 事例と異なり,基準地震動Ssを上回る地震動が観測される要因になった震源特性,伝播特性及び増幅特性は具体的には指摘されるに至っていないことが窺える(審尋の全趣旨)。しかし,ある地点で観測される地震動は,震源特性,伝播特性及び増幅特性の組み合わせによって構成されることは既に説示したとおりであるから(上記イ(ア)),上記各事例において観測された地震動についてもそれを特徴付けた震源特性,伝播特性又は増幅特性が存在するはずであり,これらの解析を抜きにして引き合いにすることはやはり不適切であるこ - 81 - とには変わりがない。 以上によれば,本件超過事例の存在のゆえに,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が発生する具体的危険があるとはいえないというに帰する。 (ウ) 建築基準法上の耐震基準からの帰納について建築基準法上の耐震基準は,一次設計及び二次設計からなっており,特に後者にあっては,大規模の地震動で倒壊・崩壊しないことの検証が求められているところ,そこで想定されている大規模の地震動については,震度6強ないし7に達する程度の地震が例示されている(上記イ(エ)a)。そして,国土交通省国土技術政策総合研究所が示した対応表による限り,震度7に対応する最大加速度は1500ガルとされているというのであるから(上記イ(エ)b⒝),建築基準法上の耐震基準を満たす建造物は,少なくとも最大加速度1500ガルに耐えられることが前提となっているものというべく,そのような最大加速度をもたらす地震が発生する可能性が相応に肯定されるかのようにみえる。 しかし,例えば,二次設計における保有水平耐力計算においては,おおよそ水平方向に980ガルの弾性挙動が仮定されているところ,通常の場合,建築物が弾性 る可能性が相応に肯定されるかのようにみえる。 しかし,例えば,二次設計における保有水平耐力計算においては,おおよそ水平方向に980ガルの弾性挙動が仮定されているところ,通常の場合,建築物が弾性挙動をすれば,建築物の最大応答加速度は入力地震波の概ね2.5倍から3倍の値となることが知られているというのであるから,保有水平耐力計算において前提とされている地震動は,300ないし400ガル程度に過ぎないことになる(上記イ(エ)a)。また,計測震度計による観測値を基にして計測震度を算出し,これを発表する立場にある気象庁は,計測震度を算出する際の考慮要素及び実際の地震動には様々な周期の波が含まれている(周期が異なれば,震度7の下限に当たる計測震度に達するための加速度の違いは数倍に達する。)ことを指摘した上,震度7に相当する加速度を特定することはできないというのである(上記イ(エ)b⒜, - 82 - ⒞)。 これらの事情を勘案すると,建築基準法上の耐震基準の中で想定されている「大規模の地震動」として震度6強ないし7に達する程度の地震が例示されているからといって,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動を本件発電所の解放基盤表面にもたらす規模の地震が,いわば「ありふれている」とまでいうことは困難である。 (エ) 大手ハウスメーカーが製造する住宅の耐震性能からの帰納について上記イ(オ)の認定事実によれば,大手ハウスメーカーが製造する住宅については,振動実験を通じて,数千ガルもの加振最大加速度に耐えられる耐震性能を具えていることが確認されているものといってよい。 しかし,これらの建物は,大手ハウスメーカーが取り扱う一般向けの住宅であるというのであるから,①表層地盤上に基礎を設置して建築する建物であること,②日本国内の宅地でありさえ いるものといってよい。 しかし,これらの建物は,大手ハウスメーカーが取り扱う一般向けの住宅であるというのであるから,①表層地盤上に基礎を設置して建築する建物であること,②日本国内の宅地でありさえすれば,地方や地域のいかんを選ばず建築されること,以上2点が前提となっており,上記のとおり求められる耐震性能も,そのことを踏まえて設定されたものであることは明らかである。 上記①によれば,住宅に直接的な影響を及ぼす地震動として想定されるべき揺れは,表層地盤において観測されるべき地震動にほかならないものということになる。そのことは,大手ハウスメーカーが振動実験の結果として謳う加振最大加速度が,建物の躯体を固定した振動台における実測値であること(上記イ(オ))からも明らかである。してみると,大手ハウスメーカーが追求した耐震性能の前提となる地震動は,震源特性,伝播特性に加え,当該住宅が立地する地点近傍の地下構造に由来する増幅特性の影響を受けた末のものであるといわねばならない。また,上記②の点は,大手ハウスメーカーが自社商品である建物に具えさせる耐震性能のレベルを設定するに当たり,特定の建築予定地点における具体的な地域特性(震源特 - 83 - 性,伝播特性,増幅特性)を個別に考慮し,反映させることがそもそも予定できず,それゆえに,これまで知られている最も深刻な増幅現象を踏まえざるを得ないということにほかならない。 そうであれば,大手ハウスメーカーが,上記のとおり耐震性能のレベルを設定するに当たり,別紙1-1や同1-2各記載の地震はもとより,日本各地で実際に観測された最大加速度の絶対値を参照し,そのような最大加速度に対する耐久性を追求することに合理性を見出せるのは,上記①及び②の点を前提にしているからこそであって,これらの事情を捨象して 本各地で実際に観測された最大加速度の絶対値を参照し,そのような最大加速度に対する耐久性を追求することに合理性を見出せるのは,上記①及び②の点を前提にしているからこそであって,これらの事情を捨象して上記の振動実験で耐久性を確認した加振最大加速度の数値のみに着目し,本件発電所の解放基盤表面に債務者が策定した基準地震動Ssを超える地震動をもたらす地震が発生する具体的危険があるということはできない。 (オ) 債務者が基準地震動の策定に当たって考慮したプレート間地震による地震動の加速度の想定(181ガル)が過小であるとする点についてある地点で観測される地震動が震源特性,伝播特性及び増幅特性の組み合わせによって構成されることは,上記イ(ア)で認定したとおりであって,そのことがプレート間地震に基づく地震動には該当しない旨の知見があることを窺わせる資料は見当たらない。 そうであれば,プレート間地震に基づく地震動が本件発電所の解放基盤表面にもたらす影響を評価するに当たっても,他の類型の地震の場合と同様に,検討対象とされるプレート間地震の震源特性,伝播特性及び増幅特性を分析,検討することが求められることには変わりがないというべきである。したがって,過去に発生したプレート間地震を始め規模が大きい地震の際に実際に観測された地震動に関するデータを基に,本件発電所の解放基盤表面において,181ガルはもちろん,債務者が策定した基準地震動Ssを上回る規模の地震動をもたらす地震が発生する具体的危険があるというためには,上記のデータを本件発電所の解放基盤表面におけるそれ - 84 - に補正した数値を前提に評価すべき筋合いである(上記(ア)参照)。しかし,一件記録を精査しても,そのように補正した結果としての数値を窺わせる資料は見当たらないから,上記の具体 - 84 - に補正した数値を前提に評価すべき筋合いである(上記(ア)参照)。しかし,一件記録を精査しても,そのように補正した結果としての数値を窺わせる資料は見当たらないから,上記の具体的危険があるというには至らない。 また,愛媛県が平成25年に実施した愛媛県地震被害想定調査においては,伊方町について,内閣府検討会が想定した南海トラフの巨大地震による想定加速度を1531ガルと示しているけれども(上記イ(イ)e),この数値が本件発電所の解放基盤表面において想定されるもの,すなわち,少なくとも増幅特性に関する補正についてどのように考慮した結果であるかは不明であるし,そもそも,伊方町の内部においても地表加速度分布は一様ではなく,本件発電所周辺の地域は「400.01ないし500.00ガル」のカテゴリーとして図示されている(同上)というのである。したがって,上記調査の結果によっても,上記の判断は何ら左右されない。 (カ) 以上によれば,この点に関する債権者らの主張は,採用することができないというに帰する。 ⑷アまた,債権者らは,上記第2の3⑵債権者らの主張欄オ(ア)のとおり主張する。そして,債務者が,本件申請において,本件発電所の解放基盤表面における基準地震動Ssの年超過確率を1万年から100万年に1回程度と算出したことは前提事実⑻イ(エ)のとおりである。 地震を始めとする自然現象の予測にあっては,科学技術に関する最新の専門的知見をもってしても,当該予測を上回る事象が発生する危険性を完全に払拭することはできないのが実情であることはいうまでもない。一方で,対象とする自然現象の規模が大きくなればなるほど,その発生頻度が低くなるという相関関係があることも,その限りでは一般的に広く知られているものといってよい。そして,その発生頻度をそ でもない。一方で,対象とする自然現象の規模が大きくなればなるほど,その発生頻度が低くなるという相関関係があることも,その限りでは一般的に広く知られているものといってよい。そして,その発生頻度をそもそも許容するか否か,許容するとしてどのレベルの発生頻度まで受け入れることができるかは,社会通念をもって判断するよりほかはないものというべきである。 - 85 - そうしたところ,原子力の平和利用に関する限り,その利用に関する科学的知見や先進的技術を不断に発展させ,それによってもたらされる便益を享受している現代社会にあっては,その絶対安全が保証されない限りこれを一切用いるべきではないとか,1万年から100万年に1回という発生頻度を許容し難いなどということが社会通念として確立されているとはいい難い。 この点に関する債権者らの主張は,採用することができない。 イさらに,債権者らは,上記第2の3⑵債権者らの主張欄オ(イ)のとおり主張する。 しかし,債務者が算出した年超過確率(前提事実⑻イ(エ))には合理性がない旨の主張は,債務者の策定に係る基準地震動Ssを上回る地震動をもたらすような地震が発生する確率が1万年から100万年に1回程度よりも大きい旨の主張と実質的には同義であるというべきであるから,結局のところ,上記⑴で説示した具体的危険が認められるかどうかをめぐる検討に収斂されることになる。そして,そのような具体的危険を認めるに至らないことは,上記⑶で説示したとおりである。この点に関する債権者らの主張は,採用することができない。 ⑸ 小括以上によれば,標記の争点をめぐる債権者らの主張は,その他の点も含め,いずれも採用することができない。 そうすると,本件原子炉が特に地震に対する安全性を欠いており,それに起因する重大な事故がその運 以上によれば,標記の争点をめぐる債権者らの主張は,その他の点も含め,いずれも採用することができない。 そうすると,本件原子炉が特に地震に対する安全性を欠いており,それに起因する重大な事故がその運転中に発生し,これによって大量の放射性物質が放出されて,債権者らの生命,身体等が侵害される具体的危険があることが疎明されているとはいえないことになるから,債権者らの被保全権利はいずれも認められないというほかはない。 3 争点3について⑴ 債権者らの被保全権利の存在が疎明されていないことは上記2のとおりであ - 86 - るが,本争点についても判断しておく。 ⑵ア債権者らは,上記第2の3⑶債権者らの主張欄のとおり主張する。 イしかし,仮の地位を定める仮処分は,争いのある権利関係について,債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避ける必要性(保全の必要性)があるときに発することができる(民事保全法23条2項)。そして,仮の地位を定める仮処分は,一般的には,債務者に与える打撃が大きくなることが避けられない。 そうであれば,ここにいう保全の必要性については,債権者において,本案判決による救済を待っていたのでは債権者の権利が実質的に満足されなくなるような具体的な事情が求められるというべきであるし,その疎明責任は債権者にあるものと解すべきである。 ウこれを本件についてみるに,仮に,上記2において被保全権利が一応認められたとしても,さらに保全の必要性が認められるというためには,債務者を被告とする本件原子炉の運転差止請求訴訟の判決(本案判決)による救済を待っていたのでは本件原子炉の運転差止請求権が実質的に満足されなくなるという具体的な事情が疎明されなければならないということになるから,債務者が本件原子炉を運転することによって,債 決)による救済を待っていたのでは本件原子炉の運転差止請求権が実質的に満足されなくなるという具体的な事情が疎明されなければならないということになるから,債務者が本件原子炉を運転することによって,債権者らが上記本案判決の確定まで受忍することが酷であると考えられるほどの損害を被るとか(著しい損害),そのような損害が現実化する危険が上記本案判決の確定を待てないほどに差し迫っていること(急迫の危険)の疎明を要する筋合いである。 すなわち,①現時点で本件原子炉の運転に伴って既に大量の放射性物質の放出が発生・継続しており,債権者らの生命や身体等の重大な法益が侵害されている具体的事実,又は②少なくとも,本件発電所の解放基盤表面において債務者が策定した基準地震動Ssを上回る地震動をもたらす地震が発生する危険性について,それが本件原子炉の運転期間を通じて一応認められるというにとどまらず(その程度にとどまる場合は,被保全権利が疎明されたと - 87 - いうに過ぎない。),その危険性が本案判決の確定を待つ暇もなく差し迫っている旨の評価を基礎づける事実,以上2点のいずれかの疎明を要するものといわねばならない。 このうち,上記①については,本件原子炉の運転によって債権者らの生命や身体等の重大な法益が侵害されている具体的事実の疎明がないのに「著しい損害」(民事保全法23条2項)があるとはいえないし,そのことは,仮に危険が現実化した場合に想定される被害が深刻かつ甚大であることが容易に予想できるとしても,何ら異ならない。また,上記②については,こと地震に関する限り,現時点における最新の専門的知見をもってしても,どこを震源とし,どのような規模を有する地震が,いつ発生するかを正確に予測することが不可能であることは承認しなければならないが,そのような予測が 限り,現時点における最新の専門的知見をもってしても,どこを震源とし,どのような規模を有する地震が,いつ発生するかを正確に予測することが不可能であることは承認しなければならないが,そのような予測が不可能であるからといって,債権者らの生命や身体等の重大な法益が侵害される危険が上記本案判決の確定を待てないほどに差し迫っているとまで評価するには,なお論理の飛躍があるものというほかはなく,「急迫の危険」(同上)の存在が推認されるということにはならないし,その存在が推定されるということも相当ではない。 結局のところ,一件記録を精査しても,上記①及び②のいずれの事実も疎明されているとはいえないから,保全の必要性についても認められないものというべく,この点に関する債権者らの主張は,採用することができない。 第4 結論以上の次第で,債権者らの申立ては,その余の争点について検討するまでもなく,いずれも理由がない。 令和3年11月4日 広島地方裁判所民事第4部 - 88 - 裁判長裁判官吉岡茂之 裁判官中井沙代 裁判官佐 々 木悠土 - 89 - (別紙)文献等目録Nodaet.al(2002):「Responsespectrafordesignpurposeofstiffstructuresonrocksites,OECD-NEAworkshopontherelationbetweenseismologicaldataandseismicengineeringanalysis」ShizuoNoda・KazuhikoYashiro・Katsuya onbetweenseismologicaldataandseismicengineeringanalysis」ShizuoNoda・KazuhikoYashiro・KatsuyaTakahashi ・MasayukiTakemura ・SusumuOhno ・MasanobuTohdo ・TakahideWatanabe壇ほか(2011):「長大横ずれ断層による内陸地震の平均動的応力降下量の推定と強震動予測のためのアスペリティモデルの設定方法への応用」壇一男・具典淑・入江紀嘉・アルズペイマサマン・石井やよい(乙66)FujiiandMatsu'ura (2000):「RegionalDifferenceinScalingLawsforLargeEarthquakesanditsTectonicImplication」Fujii,YoshihiroandMitsuhiroMatsu'ura入倉・三宅(2001):「シナリオ地震の強震動予測」入倉孝次郎・三宅弘恵松田(1975):「活断層から発生する地震の規模と周期について」松田時彦(乙171)加藤ほか(2004):「震源を事前に特定できない内陸地殻内地震による地震動レベル-地質学的調査による地震の分類と強震観測記録に基づく上限レベルの検討-」加藤研一・宮腰勝義・武村雅之・井上大榮・上田圭一・壇一男(乙46) 佐藤ほか(2013):「物理探査・室内試験に基づく2004年留萌支庁南部の地震によるK-NET 港町観測点 (HKD020)の基盤地震動とサイト特性評価」佐藤浩章・芝良昭・東貞成・功刀卓・前田宜浩・藤原広行(乙69)(摘示順) - 90 - (別紙1-1) №1 2000年10月6日 20)の基盤地震動とサイト特性評価」佐藤浩章・芝良昭・東貞成・功刀卓・前田宜浩・藤原広行(乙69)(摘示順) - 90 - (別紙1-1) №1 2000年10月6日鳥取県西部地震 M7.3最大震度6強 1142ガル№2 2001年3月24日芸予地震 M6.4最大震度6弱 853ガル№3 2003年5月26日宮城県沖 M7.0最大震度6弱 1571ガル№4 2003年9月26日十勝沖地震 M8.0最大震度6弱 1091ガル№5 2004年10月23日新潟県中越地震 M6.8最大震度7 1750ガル№6 2004年11月29日釧路沖地震 M7.1最大震度5強 879ガル№7 2004年12月14日留萌支庁南部地震 M6.1最大震度5強 1176ガル№8 2007年3月25日能登半島地震 M6.9最大震度6強 945ガル№9 2007年7月16日新潟県中越沖地震 M6.8最大震度6強 813ガル№10 2008年6月14日岩手宮城内陸地震 M7.2最大震度6強 4022ガル№11 2008年7月24日岩手県沿岸北部地震 M6.8最大震度6弱 1186ガル№12 2009年12月18日伊豆地震 M5.1最大震度5弱 703ガル - 91 - №13 2011年3月11日東北地方太平洋沖地震 M9.0最大震度7 2933ガル№14 2011年3月12日長野県北部地震 M6.7最大震度6強 804ガル№15 2011年3月 東北地方太平洋沖地震 M9.0最大震度7 2933ガル№14 2011年3月12日長野県北部地震 M6.7最大震度6強 804ガル№15 2011年3月15日静岡県東部地震 M6.4最大震度6強 1076ガル№16 2011年3月19日茨城県北部地震 M6.1最大震度5強 1084ガル№17 2011年7月5日和歌山県北部地震 M5.5最大震度5強 1084ガル№18 2012年3月10日茨城県北部地震 M5.4最大震度5弱 826ガル№19 2013年2月2日十勝地方南部地震 M6.5最大震度5強 733ガル№20 2013年2月25日栃木県北部地震 M6.3最大震度5強 1300ガル№21 2016年4月14日熊本地震 M7.3最大震度7 1580ガル№22 2016年6月16日北海道内浦湾地震 M5.3最大震度6弱 976ガル№23 2016年10月21日鳥取県中部地震 M6.6最大震度6弱 1494ガル№24 2016年12月28日茨城県北部地震 M6.3最大震度6弱 886ガル№25 2018年6月18日大阪府北部地震 M6.1最大震度6弱 806ガル - 92 - №26 2018年9月6日北海道胆振東部地震 M6.7最大震度7 1796ガル№27 2019年6月18日山形県沖地震 M6.7最大震度6 強 1191ガル - 93 - (別紙1-2)地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さ 7 2019年6月18日山形県沖地震 M6.7最大震度6 強 1191ガル - 93 - (別紙1-2)地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2019年2019/12/12-01:0945.10N141.88E007kmM4.2宗谷地方北部の地震 2019/08/04-19:2337.71N141.63E045kmM6.4福島県沖の地震 2019/06/18-22:2238.61N139.48E014kmM6.7山形県沖の地震 2019/05/10-08:4831.80N131.97E025kmM6.3日向灘の地震 2019/02/21-21:2242.77N142.00E033kmM5.8胆振地方中東部の地震 2018年2018/10/05-08:5842.59N141.97E031kmM5.2胆振地方中東部の地震 2018/09/06-03:0842.69N142.01E037kmM6.7平成30 年北海道胆振東部地震17962018/06/18-07:5834.84N135.62E013kmM6.1大阪府北部の地震 2018/04/14-04:0043.17N145.74E053kmM5.4根室半島南東沖の地震 2018/04/09-01:3235.18N132.59E012kmM6.1島根県西部の地震 145.74E053kmM5.4根室半島南東沖の地震 2018/04/09-01:3235.18N132.59E012kmM6.1島根県西部の地震 2017年2017/10/06-23:5637.09N141.16E053kmM5.9福島県沖の地震 2017/07/11-11:5631.38N130.62E010kmM5.3鹿児島湾の地震 - 94 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2017/07/02-00:5833.00N131.24E011kmM4.5熊本県阿蘇地方の地震 2017/07/01-23:4542.79N141.86E027kmM5.1胆振地方中東部の地震 2017/06/25-07:0235.87N137.59E007kmM5.6長野県南部の地震 2017/02/28-16:4937.51N141.37E052kmM5.7福島県沖の地震 2016年2016/12/28-21:3836.72N140.57E011kmM6.3茨城県北部の地震 2016/11/22-05:5937.35N141.60E025kmM7.4福島県沖の地震 2016/10/21-14:0735.38N133.85E011kmM6.6鳥取県中部の地震14942016/06/16-14:2141. 沖の地震 2016/10/21-14:0735.38N133.85E011kmM6.6鳥取県中部の地震14942016/06/16-14:2141.95N140.99E011kmM5.3内浦湾の地震 2016/05/16-21:2336.03N139.89E042kmM5.5茨城県南部の地震 2016/04/29-15:0933.26N131.37E007kmM4.5大分県中部の地震 2016/04/19-17:5232.53N130.63E010kmM5.5熊本県熊本地方の地震 2016/04/18-20:4233.00N131.20E009kmM5.8熊本県阿蘇地方の地震 2016/04/16-16:0232.70N130.72E012kmM5.4熊本県熊本地方の地震 2016/04/16-09:4832.85N130.84E016kmM5.4熊本県熊本地方の地震 2016/04/16-07:2332.79N130.77E012kmM4.8熊本県熊本地方の地震 - 95 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2016/04/16-07:1133.27N131.40E006kmM5.4大分県中部の地震 2016/04/16-03:5533.02N131.19E011kmM5.8熊本県阿蘇 33.27N131.40E006kmM5.4大分県中部の地震 2016/04/16-03:5533.02N131.19E011kmM5.8熊本県阿蘇地方の地震 2016/04/16-03:0332.96N131.09E007kmM5.9熊本県阿蘇地方の地震 2016/04/16-01:4632.86N130.90E011kmM5.9熊本県熊本地方の地震 2016/04/16-01:4432.75N130.76E015kmM5.4熊本県熊本地方の地震 2016/04/16-01:2532.75N130.76E012kmM7.3平成28 年(2016 年)熊本地震13622016/04/15-01:5332.70N130.75E012kmM4.8熊本県熊本地方の地震 2016/04/15-00:0332.70N130.78E007kmM6.4熊本県熊本地方の地震 2016/04/14-22:0732.77N130.85E008kmM5.8熊本県熊本地方の地震 2016/04/14-21:2632.74N130.81E011kmM6.5平成28 年(2016 年)熊本地震15802016/01/14-12:2541.97N142.80E052kmM6.7浦河沖の地震 2015年2015/07/10-03:3340.35N141.56E088kmM5.7岩手県内陸北部の地震 80E052kmM6.7浦河沖の地震 2015年2015/07/10-03:3340.35N141.56E088kmM5.7岩手県内陸北部の地震 2015/06/04-04:3443.49N144.06E000kmM5.0網走地方の地震 2015/05/30-20:2427.86N140.68E682kmM8.1小笠原諸島西方沖の地震 2015/05/25-14:2836.05N139.64E056kmM5.5埼玉県北部の地震 - 96 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2015/05/13-06:1338.86N142.15E046kmM6.8宮城県沖の地震 2015/02/1713:46-40.09N142.11E050kmM5.7岩手県沖の地震 2015/02/06-10:2533.73N134.37E011kmM5.1徳島県南部の地震 2014年2014/11/22-22:0836.69N137.89E005kmM6.7長野県北部の地震 2014/09/16-12:2836.09N139.86E047kmM5.6茨城県南部の地震 2014/09/03-16:2436.87N139.52E007kmM5.1栃木県北部の地震 2014/07/08-18:0542.65N141. 2014/09/03-16:2436.87N139.52E007kmM5.1栃木県北部の地震 2014/07/08-18:0542.65N141.27E003kmM5.6胆振地方中東部の地震 2014/07/05-07:4239.67N142.13E049kmM5.9岩手県沖の地震 2014/03/14-02:0733.69N131.89E078kmM6.2伊予灘の地震 2013年2013/09/20-02:2537.05N140.69E017kmM5.9福島県浜通りの地震 2013/08/04-12:2938.16N141.80E058kmM6.0宮城県沖の地震 2013/04/17-21:0338.46N141.62E058kmM5.9宮城県沖の地震 2013/04/17-17:5734.05N139.35E009kmM6.2三宅島近海の地震 2013/04/13-05:3334.42N134.83E015kmM6.3淡路島付近の地震 - 97 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2013/02/25-16:2336.87N139.41E003kmM6.3栃木県北部の地震13002013/02/02-23:1742.70N143.23E102kmM6.5十勝地方南部の地震 2012年 003kmM6.3栃木県北部の地震13002013/02/02-23:1742.70N143.23E102kmM6.5十勝地方南部の地震 2012年2012/12/07-17:1838.02N143.87E049kmM7.3三陸沖の地震 2012/08/30-04:0538.41N141.91E060kmM5.6宮城県沖の地震 2012/08/25-23:1642.33N143.11E049kmM6.1十勝地方南部の地震 2012/05/24-00:0241.34N142.12E060kmM6.1青森県東方沖の地震 2012/04/01-23:0437.08N141.13E053kmM5.9福島県沖の地震 2012/03/27-20:0039.80N142.33E021kmM6.6岩手県沖の地震 2012/03/14-21:0535.75N140.93E015kmM6.1千葉県東方沖の地震 2012/03/10-02:2536.72N140.61E007kmM5.4茨城県北部の地震 2012/02/19-14:5436.75N140.59E007kmM5.2茨城県北部の地震 2012/02/08-21:0137.87N138.17E014kmM5.7佐渡付近の地震 2011年2011/11/21-19:1634.87N132.89E012km :0137.87N138.17E014kmM5.7佐渡付近の地震 2011年2011/11/21-19:1634.87N132.89E012kmM5.4広島県北部の地震 2011/11/20-10:2336.71N140.59E009kmM5.3茨城県北部の地震 - 98 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2011/09/21-22:3036.74N140.58E009kmM5.2茨城県北部の地震 2011/09/07-22:2942.26N142.59E010kmM5.1日高地方中部の地震 2011/08/19-14:3637.65N141.80E051kmM6.5福島県沖の地震 2011/08/12-03:2236.97N141.16E052kmM6.1福島県沖の地震 2011/08/01-23:5834.71N138.55E023kmM6.2駿河湾の地震 2011/07/31-03:5436.90N141.22E057kmM6.5福島県沖の地震 2011/07/25-03:5137.71N141.63E046kmM6.3福島県沖の地震 2011/07/23-13:3438.87N142.09E047kmM6.4宮城県沖の地震 2011/07/05-19:1833.99N 2011/07/23-13:3438.87N142.09E047kmM6.4宮城県沖の地震 2011/07/05-19:1833.99N135.23E007kmM5.5和歌山県北部の地震10842011/06/23-06:5139.95N142.59E036kmM6.9岩手県沖の地震 2011/04/23-00:2537.17N141.19E021kmM5.4福島県沖の地震 2011/04/19-04:1439.60N140.39E006kmM4.9秋田県内陸南部の地震 2011/04/16-11:1936.34N139.94E079kmM5.9茨城県南部の地震 2011/04/13-10:0836.91N140.71E005kmM5.7福島県浜通りの地震 2011/04/12-14:0737.05N140.64E015kmM6.4福島県中通りの地震 2011/04/11-20:4236.97N140.63E011kmM5.9福島県浜通りの地震 - 99 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2011/04/11-17:1636.95N140.67E006kmM7.0福島県浜通りの地震 2011/04/07-23:3238.20N141.92E066kmM7.1宮城県沖の地震14962011 006kmM7.0福島県浜通りの地震 2011/04/07-23:3238.20N141.92E066kmM7.1宮城県沖の地震14962011/04/02-16:5636.21N139.96E054kmM5.0茨城県南部の地震 2011/04/01-19:4940.26N140.36E012kmM5.0秋田県内陸北部の地震 2011/03/23-07:3637.06N140.77E007kmM5.8福島県浜通りの地震 2011/03/23-07:1237.08N140.79E008kmM6.0福島県浜通りの地震 2011/03/19-18:5636.78N140.57E005kmM6.1茨城県北部の地震10842011/03/15-22:3135.31N138.71E014kmM6.4静岡県東部の地震10762011/03/14-10:0236.46N141.12E032kmM6.2茨城県沖の地震 2011/03/12-22:1537.20N141.43E040kmM6.2福島県沖の地震 2011/03/12-04:3236.95N138.57E001kmM5.9長野県・新潟県県境付近の地震 2011/03/12-03:5936.98N138.60E008kmM6.7長野県・新潟県県境付近の地震 2011/03/11-20:3739.17N142.62E 12-03:5936.98N138.60E008kmM6.7長野県・新潟県県境付近の地震 2011/03/11-20:3739.17N142.62E024kmM6.7岩手県沖の地震 2011/03/11-17:4137.42N141.32E027kmM6.1福島県沖の地震 2011/03/11-16:2939.03N142.28E036kmM6.5岩手県沖の地震 2011/03/11-14:4638.10N142.86E024kmM9.0平成23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震2933 - 100 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2010年2010/06/13-12:3337.40N141.79E040kmM6.2福島県沖の地震 2009年2009/12/18-08:4534.96N139.13E005kmM5.1静岡県伊豆地方の地震 2009/12/17-23:4534.96N139.13E004kmM5.0静岡県伊豆地方の地震 2009/08/11-05:0734.78N138.50E023kmM6.5駿河湾の地震 2008年2008/09/11-09:2141.77N144.15E031kmM7.1 2008/07/24-00:2639.73N141.63E108kmM6.8 9/11-09:2141.77N144.15E031kmM7.1 2008/07/24-00:2639.73N141.63E108kmM6.8岩手県沿岸北部の地震11862008/07/08-16:4227.46N128.55E045kmM6.1 2008/07/05-16:4936.64N140.95E050kmM5.2 2008/06/14-09:2038.88N140.68E006kmM5.7 2008/06/14-08:4339.03N140.88E008kmM7.2平成20 年(2008 年)岩手・宮城内陸地震40222008/05/08-01:4536.23N141.61E051kmM7.0茨城県沖の地震 2008/01/26-04:3337.32N136.77E011kmM4.8 - 101 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2007年2007/10/01-02:2135.23N139.12E014kmM4.9 2007/07/16-15:3737.50N138.64E023kmM5.8 2007/07/16-10:1337.56N138.61E017kmM6.8平成19 年(2007 年)新潟県中越沖地震 2007/04/15-18:3434.79N136.42 0:1337.56N138.61E017kmM6.8平成19 年(2007 年)新潟県中越沖地震 2007/04/15-18:3434.79N136.42E017kmM4.6 2007/04/15-12:1934.79N136.41E016kmM5.4 2007/03/26-14:4637.16N136.55E009kmM4.8 2007/03/25-18:1137.30N136.84E013kmM5.3 2007/03/25-09:4237.22N136.69E011kmM6.9平成19 年(2007 年)能登半島地震 2006年2006/10/14-06:3834.89N140.30E064kmM5.1 2006/09/26-07:0333.51N131.88E070kmM5.3 2006/06/12-05:0133.13N131.41E146kmM6.2 2006/05/02-18:2434.92N139.33E015kmM5.1 2006/04/21-02:5034.94N139.19E007kmM5.8 - 102 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2006/03/27-11:5032.60N132.16E035kmM5.5 2005年 源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2006/03/27-11:5032.60N132.16E035kmM5.5 2005年2005/10/19-20:4436.38N141.04E048kmM6.3 2005/08/21-11:2937.30N138.71E017kmM5.0 2005/08/16-11:4638.15N142.28E042kmM7.2宮城県沖の地震 2005/07/23-16:3535.58N140.14E073kmM6.0 2005/04/20-06:1133.68N130.29E014kmM5.8 2005/04/11-07:2235.73N140.62E052kmM6.1 2005/03/20-10:5333.74N130.18E009kmM7.0福岡県西方沖の地震 2005/02/16-04:4636.03N139.90E045kmM5.4 2005/01/18-23:0942.88N145.01E050kmM6.4 2005/01/18-21:5037.37N139.00E008kmM4.7 2004年2004/12/14-14:5644.08N141.70E009kmM6.1 11762004/12/06-23:1542.85N145.34E046kmM6.9 14-14:5644.08N141.70E009kmM6.1 11762004/12/06-23:1542.85N145.34E046kmM6.9 - 103 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2004/11/29-03:3242.95N145.27E048kmM7.1釧路沖の地震 2004/11/10-03:4337.37N139.00E005kmM5.3 2004/11/08-11:1637.40N139.03E000kmM5.9 2004/11/04-08:5737.43N138.91E018kmM5.2 2004/10/27-10:4037.29N139.03E012kmM6.1 2004/10/25-06:0537.33N138.95E015kmM5.8 2004/10/25-00:2837.20N138.87E010kmM5.3 2004/10/24-14:2137.25N138.82E011kmM5.0 2004/10/23-19:4637.30N138.87E012kmM5.7 2004/10/23-19:3637.22N138.82E011kmM5.3 2004/10/23-18:3437.31N138.93E014km 004/10/23-19:3637.22N138.82E011kmM5.3 2004/10/23-18:3437.31N138.93E014kmM6.5 2004/10/23-18:1237.25N138.83E012kmM6.0 2004/10/23-18:0337.35N138.98E009kmM6.3 2004/10/23-17:5637.29N138.87E013kmM6.8平成16 年(2004 年)新潟県中越地震17502004/10/06-23:4035.99N140.09E066kmM5.7 - 104 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2004/09/05-23:5733.15N137.14E044kmM7.4東海道沖の地震 2004/08/10-15:1339.67N142.13E048kmM5.8 2004/05/06-22:4342.47N145.12E043kmM5.7 2004/04/14-11:1139.34N140.40E009kmM3.8 2004/02/04-15:0840.14N141.89E063kmM5.3 2003年2003/09/26-06:0841.71N143.69E021kmM7.1 2003/09/2 1.89E063kmM5.3 2003年2003/09/26-06:0841.71N143.69E021kmM7.1 2003/09/26-04:5041.78N144.07E042kmM8.0平成15 年(2003 年)十勝沖地震 2003/09/20-12:5535.22N140.30E070kmM5.8 2003/08/04-20:5736.44N140.61E058kmM4.9 2003/07/26-07:1338.40N141.17E012kmM6.2宮城県北部の地震 2003/07/26-00:1338.43N141.16E012kmM5.5宮城県北部の地震 2003/07/20-02:2541.46N140.28E009kmM4.1 2003/05/26-18:2438.81N141.68E071kmM7.0宮城県沖の地震1571 - 105 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2002年2002/12/05-00:5338.72N142.26E037kmM4.9 2002/11/04-13:3632.41N131.87E035kmM5.7 2002/11/03-12:3738.90N142.14E046kmM6.1 2002/06/14- N131.87E035kmM5.7 2002/11/03-12:3738.90N142.14E046kmM6.1 2002/06/14-11:4236.22N139.98E057kmM4.9 2002/05/28-09:2434.38N139.25E008kmM4.3 2002/02/12-22:4436.59N141.08E048kmM5.5 2001年2001/12/09-05:2928.25N129.49E036kmM5.8 2001/12/02-22:0239.40N141.26E122kmM6.4岩手県内陸南部の地震 2001/04/27-02:4943.02N145.88E083kmM5.9 2001/04/25-23:4032.79N132.35E042kmM5.6 2001/03/31-06:0936.82N139.39E008kmM4.9 2001/03/24-15:2834.12N132.71E051kmM6.4平成13 年(2001 年)芸予地震 2001/01/10-19:0932.81N131.13E006kmM3.9 - 106 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2001/01/04-13:1836.96N - 106 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2001/01/04-13:1836.96N138.76E014kmM5.1 2000年2000/10/31-01:4334.29N136.34E044kmM5.5 2000/10/18-12:5836.92N139.70E009kmM4.5 2000/10/08-20:5135.37N133.31E009kmM5.0 2000/10/06-13:3035.28N133.35E011kmM7.3平成12 年(2000 年)鳥取県西部地震11422000/08/29-11:0034.38N139.22E009kmM4.9 2000/07/30-21:2533.97N139.40E018kmM6.4 2000/07/27-10:4934.19N139.29E012kmM5.6 2000/07/24-17:4434.37N139.20E006kmM4.7 2000/07/21-03:3936.53N141.09E049kmM6.0 2000/07/15-10:1134.42N139.25E005kmM4.4 2000/07/15-05:1834.41N139.23E006kmM3.9 2000/07/01-16: 9.25E005kmM4.4 2000/07/15-05:1834.41N139.23E006kmM3.9 2000/07/01-16:0234.21N139.22E015kmM6.4 2000/06/08-09:3232.70N130.75E010kmM4.8 - 107 - 地震発生時刻震央北緯震央東経震源深さマグニチュード地震名最大加速度(ガル)2000/04/01-03:1242.51N140.82E008kmM4.6 2000/01/28-23:2142.98N146.71E056kmM6.8 - 108 - (別紙2) No.地震名日時規模 2008 年岩手・宮城内陸地震2008/06/14,08:43Mw6.9 2000 年鳥取県西部地震2000/10/06,13:30Mw6.6 2011 年長野県北部地震2011/03/12,03:59Mw6.2 1997 年3 月鹿児島県北西部地震1997/03/26,17:31Mw6.1 2003 年宮城県北部地震2003/07/26,07:13Mw6.1 1996 年宮城県北部(鬼首)地震1996/08/11,03:12Mw6.0 1997 年5 月鹿児島県北西部地震1997/05/13,14:38Mw6.0 1998 年岩手県内陸北部 震1996/08/11,03:12Mw6.0 1997 年5 月鹿児島県北西部地震1997/05/13,14:38Mw6.0 1998 年岩手県内陸北部地震1998/09/03,16:58Mw5.9 2011 年静岡県東部地震2011/03/15,22:31Mw5.9 1997 年山口県北部地震1997/06/25,18:50Mw5.8 2011 年茨城県北部地震2011/03/19,18:56Mw5.8 2013 年栃木県北部地震2013/02/25,16:23Mw5.8 2004 北海道留萌支庁南部地震2004/12/14,14:56Mw5.7 2005 年福岡県西方沖地震の最大余震2005/04/20,06:11Mw5.4 2012 年茨城県北部地震2012/03/10,02:25Mw5.2 2011 年和歌山県北部地震2011/07/05,19:18Mw5.0

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