令和4(ネ)1675 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月25日 大阪高等裁判所 棄却 大阪地方裁判所 平成31(ワ)1258
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判決文本文50,261 文字)

令和4年(ネ)第1675号損害賠償請求控訴事件令和7年3月25日大阪高等裁判所第14民事部判決 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人らに対し、各100万円及びこれに対する平成31年3 月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨⑴ 控訴人らは、平成31年1月又は同年2月に同性の者と婚姻をしようとして婚姻の届出をしたが、両者が同性であることを理由に不受理処分を受けた。 控訴人らは、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定が憲法24条、13条、14条1項に違反すると主張し、同性間の婚姻を認める立法措置を講じない立法不作為の違法を理由に、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ慰謝料100万円及びこれに対する平成31年3月4日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号に よる改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。 ⑵ 原審は、同性間の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定が憲法の上記各条項に違反するということはできず、これらの規定を改廃しないことは国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとして、控訴人らの請求をいずれも棄却した。 控訴人らは、原判決を不服として本件各控訴を提起した。 2 前提事実及び法令の定め以下のうち、事実関係は、当事者間に争いがないか、後掲の各書証(以下、書証の掲記は、枝番号の全てを含むときは枝番号の記載を省略する。)又は弁論の全趣旨によって容易に認められる。 ⑴ 控訴人 以下のうち、事実関係は、当事者間に争いがないか、後掲の各書証(以下、書証の掲記は、枝番号の全てを含むときは枝番号の記載を省略する。)又は弁論の全趣旨によって容易に認められる。 ⑴ 控訴人らの婚姻の届出及び不受理処分 ア控訴人らは、いずれも恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向(性的指向)が同性に向く、いわゆる同性愛者である(甲B1、2、甲C4、5、甲D2、3)。 イ控訴人1及び控訴人2は、いずれも男性(以下、性別は、特に断らない限り、法令の規定の適用の前提となる戸籍上の性別(法的性別)をいう。) であり、平成31年2月、居住地において、互いを配偶者とする婚姻の届出をしたが、男性同士を当事者とする婚姻届は不適法であるとして不受理処分を受けた(甲B3)。 ウ控訴人3及び控訴人4は、いずれも女性であり、控訴人4は、米国籍を有している。控訴人3及び控訴人4は、平成27年8月、米国オレゴン州 において婚姻し、平成31年1月、日本の居住地においても、互いを配偶者とする婚姻の届出をしたが、女性同士を当事者とする婚姻届は不適法であるとして不受理処分を受けた。(甲C1~3)。 エ控訴人5及び控訴人6は、いずれも男性であり、平成31年2月、居住地において、互いを配偶者とする婚姻の届出をしたが、男性同士を当事者 とする婚姻届は不適法であるとして不受理処分を受けた(甲D1)。 ⑵ 民法及び戸籍法の婚姻に関する規定ア民法(令和6年法律第33号による改正前のもの)民法は、第4編の親族編において、第2章として婚姻法制を定め、婚姻の要件、効力、離婚等について規定するほか、第3章の親子法制及び第5 編の相続法制等にも婚姻の効果に関する規定を設けている。 民法は、婚姻の成立に 、第2章として婚姻法制を定め、婚姻の要件、効力、離婚等について規定するほか、第3章の親子法制及び第5 編の相続法制等にも婚姻の効果に関する規定を設けている。 民法は、婚姻の成立について、婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずるものとし(739条1項)、婚姻の効果として、親族関係の発生(725条)、夫婦同氏(750条)、同居、協力及び扶助の義務(752条)、夫婦間契約の取消権(754条)、婚姻費用の分担義務(760条)、日常家事債務の連帯責任(761条)、 夫婦間財産の共有推定(762条)、離婚時の財産分与(768条)、貞操義務(770条1項1号参照)、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定する嫡出推定(772条)、未成年者を養子とする場合の夫婦共同縁組(795条)、配偶者の養子縁組の同意権(796条)、特別養子縁組の養親資格(817条の3)、婚姻中の共同親権行使(818条3項)、配 偶者の相続権(890条、900条)、配偶者居住権(1028条)、配偶者の遺留分(1042条)、配偶者の後見開始等の申立権(7条等)等を定め、裁判上の離婚の原因を定めている(770条)。 イ戸籍法(令和5年法律第48号による改正前のもの)婚姻をしようとする者は、夫婦が称する氏その他法務省令で定める事項 を届書に記載して、その旨の届出をしなければならず(74条)、婚姻の届出があったときは、夫婦について新戸籍を編成するか(16条1項本文)、婚姻後の氏を称する者が筆頭者である戸籍に氏を変更する配偶者が入る(同条1項ただし書、同条2項)ことにより、同一の戸籍において夫又は妻である旨が記載される(13条6号)。戸籍の正本は市役所又は町 村役場に備え置かれ(8条)、一定の要件を具備 る配偶者が入る(同条1項ただし書、同条2項)ことにより、同一の戸籍において夫又は妻である旨が記載される(13条6号)。戸籍の正本は市役所又は町 村役場に備え置かれ(8条)、一定の要件を具備する者に戸籍謄本等の交付請求権を付与している(10条、10条の2)。 ウ民法は、配偶者となる者が異性であることを婚姻の要件として明記していないが、婚姻当事者を、異性同士であることを意味する「夫婦」(750条等)、「夫又は妻」(同条等)と表しているから、婚姻当事者は異性 同士であることを婚姻の要件としているものと解される。戸籍は、国民各 自の民法上の身分行為及び身分関係を公簿上に明らかにしてこれを公証する制度であるから(最高裁昭和57年(ク)第272号同58年10月13日第一小法廷決定・集民140号109頁参照)、戸籍法は、民法が定めている異性間の婚姻(以下「異性婚」ともいう。)を戸籍に記載する手続及び方法は規定しているが、同性間の法律上の婚姻(以下「同性婚」と もいう。)を戸籍に記載する手続及び方法は規定していない(以下、異性同士であることを婚姻の要件とし、同性婚を認めていない民法の規定及び異性婚についてのみ婚姻の届出の手続等を定める戸籍法の規定を総称して「本件諸規定」という。)。 ⑶ 法令上の性別の取扱い 戸籍には、父母との続柄欄に、出生の届書に記載された子の男女の別が、長、二、三男(女)のように父母との続柄として記載される(戸籍法13条4号、49条2項1号、戸籍法施行規則33条1項及び附録第六号)。出生の届書には、出産に立ち会った医師等が作成した出生証明書(子の性別等の記載がある。)を添付することとされており(戸籍法49条3項、出生証明 書の様式等を定める省令1条)、出生の届書に記載される男女 書には、出産に立ち会った医師等が作成した出生証明書(子の性別等の記載がある。)を添付することとされており(戸籍法49条3項、出生証明 書の様式等を定める省令1条)、出生の届書に記載される男女の別(性別)は、生物学的な性別であることが明らかであるから、法令の規定の適用の前提となる戸籍上の性別(法的性別)は、出生の届出時においては生物学的な性別と一致する。しかし、生物学的な性別と心理的な性別が不一致であるとの持続的確信を持ち、心理的な性別への適合の意思を有する者であって、必 要な知識等を有する複数の医師の診断を受けた者は、一定の要件の下で性別の取扱いの変更の審判を受けることができるものとされており(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「性別取扱い特例法」という。)2条、3条1項)、この変更の審判を受けた者は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別が変わったものとみなされ(同法4条1項)、新戸 籍を編製するなどして戸籍上の父母との続柄欄が更正される(戸籍法20条 の4)。 また、最高裁令和2年(ク)第993号同5年10月25日大法廷判決(民集77巻7号1792頁)(以下「令和5年大法廷判決(性別取扱い特例法)」という。)は、性別取扱い特例法において、「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。」を性別の取扱いの変更の 要件として定めた同法3条1項4号の規定が憲法13条に違反し、無効であると判断した。 ⑷ 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性ア恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向を性的指向といい、これが異性のみに向く者を異性愛者、同性のみに向く者を同性愛者、 同性及び異性の両方に向く者を両性愛者という。自己の属する性別についての 的感情の対象となる性別についての指向を性的指向といい、これが異性のみに向く者を異性愛者、同性のみに向く者を同性愛者、 同性及び異性の両方に向く者を両性愛者という。自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る認識をジェンダーアイデンティティ(又は「性自認」「性同一性」)という。 LGBTは、レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(ジェンダーアイデ ンティティが不一致の者)を意味する性的少数者の総称であるが、性的指向やジェンダーアイデンティティが定まらないなどいずれにも当てはまらない者もあり、性的指向やジェンダーアイデンティティの在り方は多様である。我が国におけるLGBTの人口規模は6%から10%程度であるとの平成27年、平成28年及び令和元年の民間企業等による国内調査の結 果があるほか、3.5%であるとの令和5年の国立社会保障・人口問題研究所による国内調査(18~69歳の1万8000人を対象とした全国調査)の結果がある。(甲A164、567、689、700資料③)イ性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年6月23日公布・施行)は、性的指向及び ジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分 でない現状に鑑み、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵養(かんよう)し、もって性 的指向及びジェ 役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵養(かんよう)し、もって性 的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的としている(1条)。同法は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるもので あるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別があってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならないことを規定している(3条)。 3 争点 ⑴ 本件諸規定の憲法適合性(憲法24条、13条、14条1項違反の有無)⑵ 本件諸規定を改廃し、同性婚を法制化しない立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか⑶ 控訴人らの損害の有無及び額⑷ 控訴人4につき国家賠償法6条所定の相互保証の有無 4 当事者の主張⑴ 本件諸規定の憲法適合性(争点⑴)【控訴人らの主張】ア同性愛者は、社会的・政治的マイノリティであり、社会には同性愛者に対する差別意識や偏見が根強く存在する。同性婚の法制化は多くの国民の 福利を向上させる一方、誰の福利も減少させないにもかかわらず、差別的 言辞が繰り返されるのは、同性愛者に対する偏見等の根深さを示すものである。同性婚についての国会における理性的な議論は阻害されており、民主政治の過程による解決は期待できない。裁判所は、本件諸 言辞が繰り返されるのは、同性愛者に対する偏見等の根深さを示すものである。同性婚についての国会における理性的な議論は阻害されており、民主政治の過程による解決は期待できない。裁判所は、本件諸規定の憲法適合性審査を厳格に行い、違憲との判断を行うべきである。 イ憲法24条1項は、個人より家を優位に置く明治民法(親族・相続編) (昭和22年法律第222号による民法の一部改正(以下「昭和22年民法改正」という。)前の明治31年法律第9号をいう。)における婚姻の在り方を排し、「婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきである」とする趣旨を明らかにし、これを婚姻に関する事項の立法に当たっての要請ないし指 針として婚姻の自由を保障したものである。憲法24条1項にいう「婚姻」は、それぞれの時代に相応しい婚姻制度が立法により具体化されることを予定した開放性を有する概念であり、制憲当時に同性婚を想定していなかったとしても、現時点においてこれが含まれると解することは妨げられない。 婚姻相手が同性であるか異性であるかの違いによって、永続的な精神的及び肉体的結合を目的として公的承認を得て共同生活を営むという婚姻の本質が損なわれるものではない。また、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)2条1項及び26条の「性(sex)」には性的指向も含まれ、性的指向に基づく差別の解消は同規約に基づく国家の義務である ことからすれば、憲法24条につき、異性同士のカップル(以下「異性カップル」ともいう。以下、「カップル」とは、相互の恋愛感情又は性的感情を基礎とする二者間の人的結合関係をいうものとする。)と同性同士のカップル(以下「同性カップル」ともいう。)とで婚姻の自由の保 カップル」ともいう。以下、「カップル」とは、相互の恋愛感情又は性的感情を基礎とする二者間の人的結合関係をいうものとする。)と同性同士のカップル(以下「同性カップル」ともいう。)とで婚姻の自由の保障の有無や程度に差異を設けるような解釈は認められない。 したがって、憲法24条1項による婚姻の自由の保障は同性間の婚姻に も及ぶと解すべきである。本件諸規定は、婚姻の自由を直接制約するものであって、その制約を正当化できる理由はないから、憲法24条1項に違反する。 ウまた、法律上の婚姻をするかどうか、いつ誰とするかを自ら決定できることは個人の尊重の実現に不可欠であり、婚姻相手の選択は、個人の自己 実現そのものであって、幸福追求において重要であるから、婚姻の自由は、憲法13条によっても保障されると解すべきである。本件諸規定は、この婚姻の自由を直接制約するものであって、その制約を正当化できる理由はないから、憲法13条にも違反する。 エ望む相手と親密な関係を築き、社会的に公示、認知されることは、人格 の核心に関わる重要な事柄である。本件諸規定は、配偶者の選択という婚姻制度の中核的要素について、社会的少数者である同性愛者の婚姻の自由を直接かつ半永久的に制約するものであり、前記のとおり民主政治のプロセスによる解決は困難であるから、立法裁量の余地がない。 婚姻の本質は、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯 な意思をもって共同生活を営む点にあり、婚姻制度の主たる目的は生殖や養育と直接かかわらない、婚姻当事者の共同生活の保護にあるから、婚姻当事者が同性であるか異性であるかによって保護の必要性に差異が生じることはない。婚姻の法目的に生殖・養育関係の保護があるとしても、同性カップルも子の養育を行うことが可能 同生活の保護にあるから、婚姻当事者が同性であるか異性であるかによって保護の必要性に差異が生じることはない。婚姻の法目的に生殖・養育関係の保護があるとしても、同性カップルも子の養育を行うことが可能であるから、婚姻制度から同性カッ プルを排除することは、同性カップルによる子の養育に著しい不利益を及ぼし、上記の婚姻制度の目的を阻害する結果となる。 前記のとおり、同性婚の法制化により増大する国民の福利はあるが、減少するものはない。婚姻によって生じる法的効果の本質は、身分関係の創設・公証とその身分関係に応じた法的地位の付与にあり、他の制度によっ て代替することはできない。同性カップルについて異性カップルと異なる 制度を設けることは、同性カップルに劣等感やスティグマの付与を不可避的に生じさせることになる。 このように、同性愛者を婚姻制度から排除することは、個人の尊厳と両性の本質的平等の観点から許容することができず、国会の立法裁量を超えて著しく不合理であることは明白であるから、本件諸規定は、憲法24条 2項に違反する。 オ本件諸規定は、異性愛者のみに婚姻制度の利用を認め、同性愛者にはその利用を許さないものであるから、性的指向によって区別する取扱いを行っているものといえる(以下「本件区別取扱い」という。)。性的指向は、個人の意思や努力によって変えることができないものであり、本件区別取 扱いは、憲法14条1項後段が規定する社会的身分又は性別による差別に当たること、本件区別取扱いにより制約を受ける同性愛者の利益は、婚姻の自由という、個人の自己実現にとって必要不可欠な憲法上の権利であること、同性愛者は社会的少数者であり、民主政治の過程では救済されないことから、本件区別取扱いの合理性は厳格に審査されるべきである。 由という、個人の自己実現にとって必要不可欠な憲法上の権利であること、同性愛者は社会的少数者であり、民主政治の過程では救済されないことから、本件区別取扱いの合理性は厳格に審査されるべきである。 婚姻制度の目的は、現在では、当事者間の精神的な結合に基づく永続的な共同生活関係を公的に承認し、法的に規律し保護することにより結び付きを安定化させること、すなわち、婚姻当事者の共同生活の保護にあると解すべきところ、このような婚姻制度の目的と、同性カップルに婚姻制度の利用を認めず、同性カップルの共同生活を何ら保護しない本件諸規定と いう手段との間に関連性がないことは明らかである。性的指向が同性に向くことは精神疾患に当たらず、性的指向は個人の意思に基づいて決定されるものでないことが明らかになっており、本件区別取扱いに合理的理由はない。 同性カップルは、婚姻制度から排除されていることによって、法律婚を 選択した異性カップルに付与されている婚姻に伴う様々な法令上の権利、 利益を享受できないだけでなく、パートナーの医療行為に対して同意するなどの事実上の利益も享受することができない。特に、国民の間に法律婚を尊重する意識が広く浸透している我が国においては、法律上の婚姻をしたカップルが正式なカップルと認識されて社会的承認を受けているから、カップルの関係を公示して身分関係を明らかにすること自体にも社会的意 義、必要性があるが、同性カップルは、社会的承認が受けられない。婚姻制度から排除されていることにより同性愛者が被っている害悪は甚大であり、仮に生殖関係保護が婚姻制度の立法目的であるとしても、立法目的との関係において生殖のない異性カップルと同性カップルとの間に相違がないにもかかわらず、性的指向のみに着目して、制度に包摂するか制度 り、仮に生殖関係保護が婚姻制度の立法目的であるとしても、立法目的との関係において生殖のない異性カップルと同性カップルとの間に相違がないにもかかわらず、性的指向のみに着目して、制度に包摂するか制度から 排除するかを決することとなり、手段と目的との間に合理的関連性がないことは明らかである。 したがって、本件諸規定は、憲法14条1項に違反する。 【被控訴人の主張】ア 「両性」「夫婦」という憲法24条1項の文言に加えて、同条の制定経 過及び審議状況を踏まえれば、同条にいう「両性」が男女を意味することは明らかであり、憲法24条1項は、婚姻について異性間の人的結合関係のみを対象とし、同性間の人的結合関係を対象とすることを想定していないことは明らかである。また、異性間における「婚姻をするについての自由」と同性間のそれとの間には、憲法24条1項の解釈に照らして本質的 な差異があるものと解さざるを得ず、憲法24条1項について、同性間の婚姻の自由を含むものとして拡張解釈又は類推解釈する基礎はない。 したがって、婚姻について同性間の人的結合関係を対象とするものとして定めていない本件諸規定が憲法24条1項に違反するものとはいえない。 イ 「婚姻をするについての自由」は憲法の定める婚姻を具体化する法律に 基づく制度によって初めて個人に与えられる、あるいはそれを前提とした 自由であり、生来的、自然権的な権利又は利益でも、人が当然に享受すべき権利又は利益でもないから、憲法13条が規定する幸福追求権の一内容を構成すると解することはできない。本件諸規定は、憲法24条の要請に基づき、婚姻について異性間の人的結合関係のみを対象とするものとしてその具体的な内容を定めているにすぎず、控訴人らが本件諸規定により侵 害され ることはできない。本件諸規定は、憲法24条の要請に基づき、婚姻について異性間の人的結合関係のみを対象とするものとしてその具体的な内容を定めているにすぎず、控訴人らが本件諸規定により侵 害されていると主張する権利又は利益の本質も、結局、同性間の人的結合関係について積極的な保護や法的な利益の供与を認める法制度の創設を求めるものにほかならず、これは法制度を離れた生来的、自然権的な権利又は利益として憲法で保障されているものではないから、このような内実のものが、自己決定権により基礎付けられるとはいえない。 したがって、本件諸規定が憲法13条に違反するものとはいえない。 ウ憲法24条2項は、形式面でも内容面でも、同条1項の存在及び内容を前提として、婚姻及び家族に関する事項について個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする立法上の要請及び指針を示したものである。そして、憲法24条1項は、異性間の人的結合関係のみを対象として いることに加え、同条2項においても、「両性」の文言が用いられていることからすれば、同条2項も婚姻が異性間の人的結合を対象とするものであることを前提として、これを具体化する制度の整備を立法府に要請するものであることが明らかであり、同性間の人的結合関係をも対象として婚姻を認める立法措置を執ることを立法府に要請しているものではない。 いかなる人的結合関係を婚姻の対象とするかは婚姻の在り方を形作る核心ともいうべきものであり、我が国の家族の在り方、ひいては社会の根幹に関わる極めて重要な問題でもある。婚姻の当事者の範囲や要件については、国の伝統や国民感情を含めた社会状況に加え、将来の我が国の社会をどのような姿に導くことになるのか等を十分に検討して判断する必要があ り、そのためには、あ 。婚姻の当事者の範囲や要件については、国の伝統や国民感情を含めた社会状況に加え、将来の我が国の社会をどのような姿に導くことになるのか等を十分に検討して判断する必要があ り、そのためには、ある程度時間をかけた幅広い国民的議論が不可欠とい う意味で、民主的なプロセスに委ねることによって判断されるべき事柄にほかならず、その具体的な法制度の構築についても国会の合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当である。また、本件諸規定は、一人の男性と一人の女性との間に婚姻を認めるものであり、その文言上、婚姻の成立要件として当事者に特定の性的指向を有することを求めたり、当事者が 特定の性的指向を有することを理由に婚姻を禁じたりするものではなく、その趣旨・内容や在り方自体から性的指向に応じて婚姻制度の利用の可否を定めているものとはいえないから、性的指向について中立的な規定であるということができる。 したがって、同性愛者がその性的指向に合致する者と婚姻をすることが できないという事態が生じ、同性愛者と異性愛者との間に性的指向による差異が生じているとしても、それは、性的指向につき中立的な本件諸規定から生じる事実上の結果ないし間接的な効果による区別にすぎないというべきであり、このような場合は、法律の規定によって直接的な区別をする場合に比して、立法府の裁量は広範であると解するのが相当である。 現行法において、多種多様な人的結合関係のうち、異性間の人的結合関係が婚姻として制度化された背景には、自然生殖可能性を前提とする一人の男性と一人の女性の人的結合関係が我が国の社会を構成し、支える自然的かつ基礎的な集団単位である家族をその中心となって形成しているという社会的な実態があり、当該実態に対して歴史的に形成されてきた社会的 人の女性の人的結合関係が我が国の社会を構成し、支える自然的かつ基礎的な集団単位である家族をその中心となって形成しているという社会的な実態があり、当該実態に対して歴史的に形成されてきた社会的 な承認があるのに対し、同性間の人的結合関係にはいまだこれと同視し得るほどの社会的な承認が存在するとは必ずしもいえないことに照らせば、本件諸規定が婚姻という法制度の対象を一定の異性間の人的結合関係に限定していることには合理的な理由がある。 したがって、本件諸規定は、個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照 らして合理性を欠くものではなく、国会の立法裁量の範囲を超えるもので はないから、憲法24条2項に違反しない。 エ憲法24条1項は婚姻について異性間の人的結合関係のみを対象とすることを明文で定めて婚姻に係る法制度の構築を法律に委ねたのであるから、本件諸規定が婚姻について異性間の人的結合関係を対象とし、同性間の人的結合関係を対象とするものとして定めておらず、本件諸規定に基づき同 性間で婚姻することができないことは、憲法自体が予定し、かつ許容しているものであって、憲法14条1項に違反すると解することはできない。 婚姻及び家族に関する事項が憲法14条1項に違反するか否かについては、立法府に与えられた合理的な立法裁量とその限界を検討しつつ、憲法24条2項の解釈と整合的に判断する必要があるところ、前記ウのとおり、 同性間の人的結合関係を婚姻の対象としていない本件諸規定は憲法24条2項に違反しない。本件諸規定が憲法14条に違反する余地があるとしても、それは、本件諸規定の立法目的に合理的な根拠がなく、又はその手段・方法の具体的内容が立法目的との関連において著しく不合理なものといわざるを得ないような場合であって、立法府に する余地があるとしても、それは、本件諸規定の立法目的に合理的な根拠がなく、又はその手段・方法の具体的内容が立法目的との関連において著しく不合理なものといわざるを得ないような場合であって、立法府に与えられた裁量の範囲を 逸脱し又は濫用するものであることが明らかである場合に限られる。 しかし、本件諸規定に基づく婚姻は、人が社会生活を送る中で生成され得る種々の、かつ多様な人的結合関係のうち、一人の男性と一人の女性との人的結合関係とその間に生まれる子との人的結合関係を制度化し、夫婦に身分関係の発生に伴うものを含め、種々の権利を付与するとともに、こ れに応じた義務も負担させることによって、夫婦関係の長期にわたる円滑な運営及び維持を図ろうとするものであり、本件諸規定の目的は、一人の男性と一人の女性が子を産み育てながら共同生活を送るという関係に対して特に法的保護を与えることにある。我が国において、上記のような人的結合関係が、今後の社会を支える次世代の子を産み、育みつつ、我が国の 社会を構成し、支える自然的かつ基礎的な集団単位である家族をその中心 となって形成しているという実態があって、当該実態に対して歴史的に形成されてきた社会的な承認が存在していることに鑑みると、このような立法目的は、現時点においてもなお合理的根拠を有する正当なものであることは明らかである。 上記立法目的は、婚姻制度の対象として生物学的にみて生殖の可能性の ある男女の組合せとしての夫婦を抽象的・定型的に想定したものであるから、このような目的を達成するに当たり、実際の自然生殖可能性の有無にかかわらず婚姻を認めることは、基準として何ら不合理と評価されるものではない。パッケージとして構築される婚姻及び家族に関する制度においては、制度を利用することが 当たり、実際の自然生殖可能性の有無にかかわらず婚姻を認めることは、基準として何ら不合理と評価されるものではない。パッケージとして構築される婚姻及び家族に関する制度においては、制度を利用することができるか否かの基準が明確である必要がある から、実際の自然生殖可能性の有無にかかわらず婚姻を認めることは、本件諸規定の目的との関連において合理性を有するといえる。夫婦間に実際に子がなくとも、又は子を産もうとする意思や子が生まれる可能性がなくとも、夫婦間の人的結合関係を前提とする家族が自然的かつ基礎的な集団単位となっているという社会的な実態とこれに対する社会的な承認が存在 するという事実は、本件諸規定の立法目的との関連で合理性を有することを裏付ける一つの事情である。同性間の人的結合関係を我が国における婚姻の在り方との関係でどのように位置付けるかについては、いまだ社会的な議論の途上にあり、我が国において同性間の人的結合関係を異性間の人的結合関係と同視し得るほどの社会的な承認が存在しているとはいい難い。 同性間の婚姻が認められていないという事態は、同性間の人的結合関係に特別の法的保護が与えられていないにとどまり、同性間において婚姻類似の人的結合関係を構築、維持したり、家族を形成したり、共同生活を営んだりする自由は何ら制限されるわけではないといえるし、婚姻により生ずる法的効果を受ける権利利益は、憲法上も具体的な法制度上も同性間の人 的結合関係に対して保障されているものではない上、民法上の他の制度 (契約、遺言等)を用いることによって、同性間の婚姻が認められないことによる事実上の不利益が相当程度解消ないし軽減される余地もある。 以上からすれば、本件諸規定は、その立法目的との関連においても合理性を有する。 とによって、同性間の婚姻が認められないことによる事実上の不利益が相当程度解消ないし軽減される余地もある。 以上からすれば、本件諸規定は、その立法目的との関連においても合理性を有する。 したがって、本件諸規定が憲法14条1項に違反するとはいえない。 ⑵ 本件諸規定を改廃し、同性婚を法制化しない立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか(争点⑵)【控訴人らの主張】ア法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることなどが明 白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては、国会議員の立法過程における行動が職務上の法的義務に違反したものとして、例外的にその立法不作為は国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受ける。ここでいう立法状態の違憲性が明白であることとは、「明白である」という用語の一般的 な用法(異論を生じない場合を意味する。)よりも緩やかな程度を指すと解され、口頭弁論終結時までの社会状況の変化等を含む全ての事情がその判断の基礎となる。 イ本件諸規定は、具体的な制度の構築が第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねられている婚姻に関するものであるが、婚姻制度に関わる立法 に際して考慮されるべき種々の事柄や要因は時代と共に変遷するものであるから、その定めの合理性については、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され、吟味される必要がある。また、本件諸規定が性的指向に基づく本件区別取扱いをもたらすものであることからすると、国会議員には、その職務を行うについて、少数者である同性愛者を も視野に入れたきめ細かな配慮が必要であ る。また、本件諸規定が性的指向に基づく本件区別取扱いをもたらすものであることからすると、国会議員には、その職務を行うについて、少数者である同性愛者を も視野に入れたきめ細かな配慮が必要であり、同性愛者の権利利益を十分 に擁護することが要請されているというべきである。これらのことからすれば、本件諸規定に関し、国会議員が個々の国民に対し負担する職務上の法的義務は、本件諸規定が違憲であるとする司法判断等を受けてからそれを踏まえた立法措置を講ずれば足りるという受動的なものにとどまるものではなく、その合理性に関わる種々の事柄等について、自ら率先して調査、 検討することを通じて、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして、自ら主体的に本件諸規定の合理性を不断に検討し、吟味すべき能動的な義務を含むものである。 そうすると、地方自治体や企業が可能な範囲で同性カップルの保護に資する策を講じる動きが生まれた平成27年から平成28年よりも前の、遅 くとも平成20年には、立法府には、同性婚制度の不存在が人権を侵害し違憲であることが明白になっていたものであり、その後間もなく諸外国が相次いで同性カップルの法律婚制度の利用を実現したことから、同性カップルが法律婚制度を利用できないことの違憲性が更に明白になったといえる。そして、令和元年6月には、野党から同性婚を法制化する法案が提出 され、立法措置の内容を具体的に検討することが容易になっていたのに、国会議員らの不当な偏見等により検討が進まなかった。 このように、控訴人らが婚姻届を提出する相当前に、本件諸規定の違憲性は明白になっていたのに、国会は、正当な理由なく長期にわたってその改廃の立法措置を怠っていたのであるから、本件諸規定を改廃して同性婚 を法制化しない立 届を提出する相当前に、本件諸規定の違憲性は明白になっていたのに、国会は、正当な理由なく長期にわたってその改廃の立法措置を怠っていたのであるから、本件諸規定を改廃して同性婚 を法制化しない立法不作為は、国家賠償法1条1項の適用上違法というべきである。 【被控訴人の主張】本件諸規定は、憲法の規定に違反するものであることが明白であるとは到底いえない。また、法律上同性カップルの法的処遇に係る制度設計について は、同性婚制度の創設以外にも複数の選択肢ないし組合せが考えられ、執る べき立法措置の内容は一義的に明白でなく、親子関係等の適用に当たっての検討課題も山積しているのであるから、仮に法律上同性カップルの法的処遇について、何らかの立法措置を執るべきとの評価があり得るとしても、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠ったといえないことも明らかである。 ⑶ 控訴人らの損害の有無及び額(争点⑶)【控訴人らの主張】控訴人らは、本件諸規定を改廃し、同性婚を法制化しないという被控訴人の立法不作為により、憲法上保障される婚姻の自由を侵害され、婚姻により生ずる社会的承認に伴う心理的・社会的利益、法的・経済的権利利益及び事 実上の利益を受けることができず、また社会が承認しない関係性というスティグマを与えられて尊厳を深刻に傷付けられ、著しい精神的苦痛を被った。 この精神的苦痛を慰謝するに足りる慰謝料は、控訴人らそれぞれについて100万円を下らない。 【被控訴人の主張】 否認し、争う。 ⑷ 控訴人4につき国家賠償法6条所定の相互保証の有無(争点⑷)【控訴人4の主張】国家賠償請求権について定めた憲法17条は、「何人も」と規定し、国家賠償法1条1項は、その文言上、対 ⑷ 控訴人4につき国家賠償法6条所定の相互保証の有無(争点⑷)【控訴人4の主張】国家賠償請求権について定めた憲法17条は、「何人も」と規定し、国家賠償法1条1項は、その文言上、対象を日本国民ないし相互保証の存在する国 の国籍を有する外国人に限定しておらず、同法6条は、被害者が外国人である場合に初めて、その外国人が国籍を有する国と日本との間に相互の保証があるかどうかを問題にしている。このような憲法及び国家賠償法の構造に鑑みると、同法に基づき損害賠償請求をする者は、その者が外国人であったとしても、請求原因としては同法1条1項の事実関係を主張立証すれば足り、 当該被害者である外国人が国籍を有する国と日本との間に相互の保証がされ ていないことは抗弁事実と解すべきである。 もっとも、平成14年当時、米国と我が国との間には、国家賠償に関し相互の保証が存在し、現在に至るまでその状況に変更は見られないから、控訴人4につき、国家賠償法6条所定の相互保証がある。 【被控訴人の主張】 国家賠償法6条が相互保証主義を採用していることからすると、同条は、外国人に対して相互保証が存在することを条件として同法上の請求権を与えたものというべきである。したがって、同条は外国人にとって同法上の権利根拠規定と解すべきであり、相互保証の要件を充足することは、同法1条1項に基づく損害賠償請求における請求原因を構成するから、控訴人4におい て、同法6条所定の相互保証があるとの主張立証をすべきである。 第3 当裁判所の判断 1 結論要旨当裁判所は、婚姻当事者が異性同士であることを婚姻の要件とし、異性婚についてのみ婚姻の手続等を定め、婚姻の法的効果を異性カップルのみが享受す ることができることとする本件諸規定は、 結論要旨当裁判所は、婚姻当事者が異性同士であることを婚姻の要件とし、異性婚についてのみ婚姻の手続等を定め、婚姻の法的効果を異性カップルのみが享受す ることができることとする本件諸規定は、憲法14条1項及び24条2項に違反するが、現時点において国会が同性婚を法制化していないことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできないから、控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、以下の2から6までに摘示する事実関係(前提事実に加えて、掲記の書証若しくは弁論の全趣旨によって認 定したか、又は公知のもの)等を踏まえて、7及び8において各争点について示した判断のとおりである。 なお、控訴人らは、平成31年1月又は同年2月に婚姻届出の不受理処分を受け、本件請求に係る慰謝料について、同年3月の本件訴状送達の日の翌日以降の遅延損害金を請求していることから、同不受理処分時の立法不作為の違法 を主張しているものと解されるが、その後に生じた事実等も違法性を基礎付け るものとして主張、立証の対象としていることからすると、併せて現時点(当審における口頭弁論終結時)に至るまでの立法不作為の違法も主張しているものと解されるので、当裁判所もこれを前提に判断する。 【事実関係等】 2 我が国における婚姻法制 ⑴ 明治民法制定前婚姻は、男女が配偶関係を形成し、自然生殖により子孫を産み育てて種の保存を図るという生物としての自然の営みが文明の発展とともに共同生活を営む家族の形態として習俗化し、これが制度化されて社会を構成する基本的単位として保護、統制の対象とされ、国や社会から様々な役割を担うことを期待され ながら発展してきたものである。婚姻の在り方は、時代、地域、文化等によって一様でな 度化されて社会を構成する基本的単位として保護、統制の対象とされ、国や社会から様々な役割を担うことを期待され ながら発展してきたものである。婚姻の在り方は、時代、地域、文化等によって一様でないものの、家族の中核を形成する男女の生活共同体であって、歴史的、伝統的に生殖及び子の養育と密接に結び付いていた。近代市民社会以降、国家が法律により婚姻当事者に一定の権利義務等を付与する法律婚制度が台頭し、18世紀以降、欧米諸国において、男女による意思の合致に基づく婚姻に 一定の要件の下で国家等が承認を付与する近代的婚姻制度が確立した。 我が国においては、明治民法制定前には、一組の男女が仲人を立てるなどして儀式等を行って配偶関係を形成して共同生活を営み、近隣の者や親族がこれを承認する婚姻の慣習が存在した。(甲A143、174、239の25・28・29、598、604、乙1~3、5、33) ⑵ 明治民法制定ア明治初期には、主として行政的、警察的目的から、太政官布告による縁組(婚姻)の届出制等の規律があったが、広く婚姻の要件効果を規定した法律は存在せず、婚姻は主に慣習により行われていた。明治3年頃から近代的な民法典の制定を目指した起草作業が行われ、明治23年に民法典(明治23 年法律第98号)(以下「旧明治民法」という。)が制定、公布されたが、 施行に至らず、明治31年に明治民法が制定、施行された。明治民法は、家父長制的家族観に立脚し、家族の長である戸主が強い権限を有して家族を統率する「家」の制度を採用した。婚姻は、従来の慣習を前提としつつ、これによる弊害や不明瞭な事項を法律により補正して規律するとの方針の下、特定の儀式を不要とし、戸籍吏に対する届出によって成立する届出婚として法 制化された。婚姻は は、従来の慣習を前提としつつ、これによる弊害や不明瞭な事項を法律により補正して規律するとの方針の下、特定の儀式を不要とし、戸籍吏に対する届出によって成立する届出婚として法 制化された。婚姻は家のためのものと位置付けられ、当事者の合意に加えて戸主の同意等が要件とされ、婚姻の届出は戸主を通じて行うものとされた。 また、夫婦の関係では、財産管理、行為能力、相続権、貞操義務、親権等において妻を夫の従属的地位に置く規定が設けられた。明治民法制定当時、同性間の婚姻を明示的に禁止する国もあったが、明治民法においては、婚姻が 男女間で行われるのは当然のことで、同性同士で婚姻をすることができないことは明らかであるとされ、禁止する規定は置かれなかった。婚姻の要件に関し、旧明治民法人事編の起草過程において、生殖能力を持たない男女は婚姻の目的を達し得ないとして「身体ノ不能力」を婚姻の無効原因とする意見があったが、婚姻とは男女が夫婦の共同生活を送ることであり、子を得るこ とを目的とするものではないなどとされて、老年者や生殖不能な者の婚姻も有効に成立するものとされた。明治民法にも、生殖能力の保持を婚姻の要件とし、又は生殖能力や子がないことを離婚事由とする規定は設けられなかった。(甲A143~145、206、213、214、218、219、602、乙3、4、11) イこのようにして法制化された明治民法における婚姻は、終生の共同生活を目的とする一男一女の正当な、すなわち道徳上及び風俗上の要求に合致した結合関係であるとか、異性間の結合によって定まった男女間の生存結合を法律によって公認したものであるなどと解されており、当然に異性間のものであり、また、必ずしも子を得ることを目的としないため、生殖能力を有しな い者の婚姻も有効である 定まった男女間の生存結合を法律によって公認したものであるなどと解されており、当然に異性間のものであり、また、必ずしも子を得ることを目的としないため、生殖能力を有しな い者の婚姻も有効であると解されていた。同性間の婚姻を禁じる規定はなか ったものの、同性間の婚姻は、婚姻意思を欠く無効な婚姻であると解されていた。(甲A19、206、207、541、542、乙3~5)⑶ 日本国憲法の制定第二次世界大戦後、大日本帝国憲法(明治23年11月29日施行)を改正する形式により日本国憲法(昭和21年11月3日公布・昭和22年5月3日 施行)が制定された。大日本帝国憲法は、家族に関する規定を置かず、家族制度の設計を法律に委ねていたのに対し、日本国憲法は、24条1項において、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならないこと、同条2項において、配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関 するその他の事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないことを定めた。 憲法24条1項の起草過程において作成された連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)民政局職員のベアテ・シロタ・ゴードンの草案には、「家族ハ人類社会ノ基底ニシテ其ノ伝統ハ善カレ悪シカレ国民ニ浸透ス婚姻ハ男女両性ノ法 律上及社会上ノ争フ可カラサル平等(英語の原案では「undisputedlegalandsocialequalityofbothsexes」)ノ上ニ存シ両親ノ強要ノ代リニ相互同意ノ上ニ基礎ツケラレ且男性支配ノ代リニ協力ニ依リ維持セラルヘシ此等ノ原則ニ反スル諸法律ハ廃止セラレ配偶ノ選択、財産権 qualityofbothsexes」)ノ上ニ存シ両親ノ強要ノ代リニ相互同意ノ上ニ基礎ツケラレ且男性支配ノ代リニ協力ニ依リ維持セラルヘシ此等ノ原則ニ反スル諸法律ハ廃止セラレ配偶ノ選択、財産権、相続、住所ノ選定、離婚並ニ婚姻及家族ニ関スル其ノ他ノ事項ヲ個人ノ威厳及両性ノ本質的平等ニ立脚スル 他ノ法律ヲ以テ之ニ代フヘシ」とあった。日本政府側はこれを基に、第1案(3月2日案)「婚姻ハ男女相互ノ合意ニ基キテノミ成立シ、且夫婦ガ同等ノ権利ヲ有スルコトヲ基本トシ相互ノ協力ニ依リ維持セラルヘキモノトス」を作成し、その後、第2案(3月5日案)として、第1案を第1項とし、第2項を「配偶者ノ選択、財産権、相続、住所ノ選定、離婚並ニ婚姻及家族ニ関スル其 ノ他ノ事項ニ関シ個人ノ威厳及両性ノ本質的平等ニ立脚セル法律ヲ制定スへシ」 とする条項案を作成し、最終的に帝国議会に提出された帝国憲法改正案22条は、現行憲法24条2項の「個人の尊厳」とあるのが「個人の権威」とされていたほかは現行憲法24条と同じ文言であり、上記の文言及び条名が修正されて現行憲法24条となった。帝国議会における審議の過程で、伝統的な家族制度が維持されることになるのかが論点となり、家督相続や戸主権等について議 論されたが、同性間の婚姻に関する議論はなかった。(甲A186~188、190、192、228、乙31)⑷ 昭和22年民法改正後の民法(昭和23年1月1日施行)昭和22年民法改正は、家制度の廃止など、憲法の基本原則である個人の尊厳と両性の本質的平等に抵触する明治民法の規定の改正を中心に行われ、戸主、 家族、その他「家」に関する規定は削除され、婚姻に関しては、両性の合意のみに基づいて成立すべきものとする基本原則に従い、婚姻当事者が未成年者 抵触する明治民法の規定の改正を中心に行われ、戸主、 家族、その他「家」に関する規定は削除され、婚姻に関しては、両性の合意のみに基づいて成立すべきものとする基本原則に従い、婚姻当事者が未成年者である場合以外における父母等の婚姻同意に関する規定を廃止し、婚姻生活の内部においても両性の平等を徹底するため、従来の夫優位の不平等な規定を一掃し、婚姻の効果及び離婚に関する規定を整理するなどの改正が行われた(なお、 昭和22年民法改正は、妻の無能力規定、家に関する規定、家督相続の規定、夫婦関係規定で両性の本質的平等に反する規定の不適用や成年者の婚姻について父母の同意の不要、親権の父母共同行使、配偶者相続権の確立等を定めた昭和22年4月19日公布の「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律」の方針・骨格を明文化したものである。)。この改正の審議過程にお いても、同性間の婚姻について議論された形跡はなく、昭和22年民法改正当時も、婚姻は男女間のものであることが当然で、同性間の婚姻は、民法が想定している夫婦関係を形成するものではないとか、婚姻意思とはその社会の通念において婚姻と見られる生活共同体を形成しようとする意思であるといった理由から、婚姻ではなく、婚姻意思を欠く無効な婚姻であると解されていた。 このようにして成立した現行民法は、自由な意思に基づき婚姻した夫婦が相 互に協力して安定的な婚姻共同生活を維持、継続するための権利、義務、法的地位を定型的に付与することとしている。また、税法、社会保障法、その他各種法令においても、配偶者に一定の法的利益を付与して婚姻共同生活の安定が図られているほか、配偶者に対する医療行為の同意等の社会生活の様々な場面においても、配偶者の生活関係に関与することができる扱いがされてお おいても、配偶者に一定の法的利益を付与して婚姻共同生活の安定が図られているほか、配偶者に対する医療行為の同意等の社会生活の様々な場面においても、配偶者の生活関係に関与することができる扱いがされており、婚 姻当事者であることによる社会生活及び共同生活上の利益は大きい。(甲A19、143~146、152、153、182、183、185、186、192、239の27・28、乙6~10、13、17) 3 性的指向及び同性愛についての医学的知見等⑴ 性的指向及び同性愛についての現在の医学的知見 性的指向の決定要因や決定過程はいまだ解明されていないが、現在の精神医学及び心理学上の知見によると、性的指向は、出生前又は人生の初期に決定されることがほとんどで、意思によって選択したり、変更したりできるものではなく、精神医学的療法によっても変わることはないとされている。また、同性愛それ自体は疾患や障害ではないというのが現在の先進諸国における精神医学 及び心理学における一般的見解となっている。(甲A2、3、7、48、322~326)⑵ 欧米諸国における同性愛についての医学的知見の進展等ア中世から1960年代まで中世以降のヨーロッパにおいては、同性愛を罪であると考える宗教上の教 義の影響により同性愛に対して否定的な見方が支配的であり、19世紀末頃、都市部を中心に同性愛者を自認する者の存在が表面化するようになると、同性間の性行為を刑法上の犯罪として処罰の対象とすることが進められ(犯罪化)、同性愛は、精神的病理として治療の対象にもされるようになった(病理化)(甲A24、163)。 第二次世界大戦後、国際的な人権条約の発効、解釈の影響により、欧米諸 国においては、同性間の性行為を処罰の対象 て治療の対象にもされるようになった(病理化)(甲A24、163)。 第二次世界大戦後、国際的な人権条約の発効、解釈の影響により、欧米諸 国においては、同性間の性行為を処罰の対象とする法律は次第に廃止されたが(脱犯罪化)、同性愛を精神的な疾患、障害として治療の対象とする考え方は残っており、アメリカ精神医学会のDSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)第1版(1952年(昭和27年))及び第2版(1968年(昭和43年))においては、「同性愛」は「性的逸脱」の一つに分類されてい た。また、世界保健機関の策定に係るICD(国際疾病分類)第9回改訂版(1975年(昭和50年))においては、「同性愛」は「精神障害」のうち「性的逸脱及び障害」の項目に分類されていた。(甲A29、30、48、161)イ 1970年代以降 第二次世界大戦中から、米国を中心に同性愛や同性愛者についての実証的研究が行われ、同性愛を精神疾患とする従来の知見に実証的根拠がないことが明らかになるとともに、同性愛者の人権運動が活発になった。アメリカ精神医学会は、1973年(昭和48年)、同性愛それ自体は精神障害として扱わないとの決議をし、1980年(昭和55年)に刊行したDSM第3版 においては、同性愛者自身が、同性に性的興奮を感じる状態を望まず、その状態が苦痛で、変わりたい旨を訴える場合にのみ精神疾患(自我異和的同性愛)に当たるものとされたが、これも1987年(昭和62年)に刊行されたDSМ第3版の改訂版においては削除され、同性愛は精神疾患とはみなされなくなった。アメリカ心理学会は、1975年(昭和50年)、アメリカ 精神医学会の上記決議を支持し、同性愛それ自体では、判断力、安定性、信頼性、一般的な社会的能力ないし職業遂行 患とはみなされなくなった。アメリカ心理学会は、1975年(昭和50年)、アメリカ 精神医学会の上記決議を支持し、同性愛それ自体では、判断力、安定性、信頼性、一般的な社会的能力ないし職業遂行における障害を意味しないとの決議を採択した。世界保健機関は、1992年(平成4年)に策定したICD第10回改訂版において、同性愛を疾病分類から削除し、性的指向は単独では障害とはみなされないことを明記した(脱病理化)。(甲A1、27、2 8、30、48、161、164、590)。 ⑶ 我が国における同性愛についての医学的知見の進展等ア近代以前我が国においては、同性愛に対する宗教的な罪悪感が希薄であり、男性間の関係は、男色、衆道などと呼ばれて種々の文学作品の題材に取り上げられることもあったが、対等な関係でないなど現在の同性愛とは異なる側面もあ った(甲A163、365、537)。 イ明治時代以降我が国においても、西欧諸国の影響により、同性愛は不純なもの、禁止すべきものとされ、明治5年に制定された条例によって男性間の性行為が犯罪とされ、その翌年には、改定律例266条(明治6年太政官布告第206号) に鶏姦(男性間の肛門性交)罪が新設された(犯罪化)。もっとも、この規定は、明治15年の旧刑法(明治13年太政官布告第36号)の施行に伴い廃止された(脱犯罪化)。また、明治半ば頃以降、同性愛を精神的病理であるとする西洋精神医学の知見が導入され、同性愛は健康者と精神病者との中間にある変質狂の一つである色情感覚異常又は先天性の疾病であるなどと考 えられ、治療の対象とされるようになった(病理化)。(甲A24、366、乙25~27)ウ戦後初期(昭和20年頃)から昭和50年代前半まで 異常又は先天性の疾病であるなどと考 えられ、治療の対象とされるようになった(病理化)。(甲A24、366、乙25~27)ウ戦後初期(昭和20年頃)から昭和50年代前半まで第二次世界大戦後においても、鶏姦と女子相姦は、変態性欲の一種で、陰部暴露症などと並んで精神異常者や色欲倒錯者に多くみられるものとされ、 精神医学的病理と捉えられていた。心理学の分野においても、同性愛は、民族や階級等にかかわらず存在する性欲の質的異常とされ、同性愛が病的に定着した場合には、性的不適応の一種として心理療法の対象となると考えられていた。また、教育の分野においては、昭和54年1月に文部省が発行した中学校及び高等学校の生徒指導用の資料「生徒の問題行動に関する基礎資料」 に、倒錯型性非行として同性愛が挙げられており、正常な異性愛が何らかの 原因によって異性への嫌悪感となり得ること、年齢が長ずるに従い正常な異性愛に戻る場合が多いが成人後まで続くこともあること、一般的に健全な異性愛の発達を阻害するおそれがあり、また社会的にも健全な社会道徳に反し、性の秩序を乱す行為となり得るもので、現代社会にあっても是認されるものではないことなどが記載されていた。(甲A26、147~151、543) エ昭和50年代後半以降昭和56年頃になると、欧米諸国における知見の変化の影響を受け、我が国においても、精神医学の分野で、同性愛は、当事者が普通に社会生活を送っている限り問題にすべきものではなく、当事者が精神的苦痛を訴えるときにだけ治療の対象とすれば足りるとの知見が広がった。平成7年に日本精神 神経学会が「ICD-10に準拠し、同性への性的指向それ自体を精神障害とみなさない」との見解を示して以降は、同性愛は精 きにだけ治療の対象とすれば足りるとの知見が広がった。平成7年に日本精神 神経学会が「ICD-10に準拠し、同性への性的指向それ自体を精神障害とみなさない」との見解を示して以降は、同性愛は精神疾患とみなされなくなった(脱病理化)。我が国において統計基準とされている疾病、傷害及び死因の統計分類は、世界保健機関のICDに準拠しているため、同性愛は疾病に分類されていない。 また、昭和61年に文部省が発行した「生徒指導における性に関する指導」には同性愛に関する記述はない。(甲A48、163、164)。 4 性的指向による差別の解消等に向けた動き⑴ 国際情勢ア市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)(我が国は昭和5 4年に批准)に基づいて設置された人権委員会(以下「自由権規約委員会」という。)は、1994年(平成6年)、オーストラリアのタスマニア州におけるソドミー法の自由権規約適合性に関する個人通報事件において、差別の禁止等を規定した自由権規約2条1項及び26条の「性(sex)」に「性的指向」が含まれるとの見解を示し、現在では、性的指向に基づく差別のない 権利保障が締約国に義務付けられているというのが同規約の確立した解釈と なっている。また、自由権規約委員会は、国家報告制度における定期報告の審査後の総括所見においても、国内法により同性カップルに家族生活の法的保障を付与することを含む、性的指向に基づく差別の改善勧告を多数発出している。経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)(我が国は昭和54年に批准)に基づいて設置された人権委員会(以下「社 会権規約委員会」という。)も、2000年(平成12年)以降、一般的意見において、性的指向に基づく差別なき権利享有に 規約)(我が国は昭和54年に批准)に基づいて設置された人権委員会(以下「社 会権規約委員会」という。)も、2000年(平成12年)以降、一般的意見において、性的指向に基づく差別なき権利享有に繰り返し言及し、2009年(平成21年)に採択した一般的意見では、社会権規約2条2項の「他の地位(otherstatus)」に性的指向が含まれること、同3条の男女同権が性的指向に基づく差別禁止の根拠となり得るとの見解を示した。(甲A50、 550、696)イ国際連合人権理事会には、2000年(平成12年)代に入り、性的指向やジェンダーアイデンティティに基づく差別の撤廃が国際人権法上の義務であることを確認し、人権保障に向けた各国の取組みの強化と国際協力の達成についての決意を示す共同声明(日本を含む数十か国のもの)が3回にわた って提出され、2011年(平成23年)及び2014年(平成26年)には、性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とした差別と暴力に重大な懸念を表明する「性的指向・ジェンダーアイデンティティと人権に関する決議」が採択され、我が国もこれに賛成した。国際連合人権理事会の下で国際連合の全加盟国に実施される普遍的定期検査においても、性的指向を含む 性的少数者に関する改善勧告は年々増加しており、2020年(令和2年)1月の審査では差別禁止法制への性的指向差別禁止の明記等の160の改善勧告が発せられた。(甲A550、590、696)ウ自由権規約委員会は、2008年(平成20年)、日本政府の第5回定期報告の審査後の総括所見において、法律上の差別禁止事由に性的指向を含め る法改正を検討し、事実婚の異性カップルに付与されている便益を同様の同 性カップルに対しても同等に付与することを勧告し、20 の総括所見において、法律上の差別禁止事由に性的指向を含め る法改正を検討し、事実婚の異性カップルに付与されている便益を同様の同 性カップルに対しても同等に付与することを勧告し、2014年(平成26年)、第6回定期報告の審査後の総括所見において、性的少数者に対する包括的反差別法の制定、意識啓発活動の強化、同性カップルに対する制限となる公営住宅サービスの資格基準の撤廃を勧告し、2022年(令和4年)11月、第7回定期報告の審査後の総括所見において、性的少数者に対する差 別禁止法の制定、同性カップルが公営住宅へのアクセス及び同性婚を含む、自由権規約に規定された全ての権利を国内で享受できるようにすること等を勧告した。社会権規約委員会も、2013年(平成25年)、日本政府に対し、同性カップルが社会権の享有において不利な立場にあることに懸念を表明した。(甲A95~97、550、625、626、696) また、国際連合人権理事会が2023年(令和5年)2月に出した普遍的定期的レビュー作業部会の報告書では、5か国が同性間の婚姻の法制化を我が国に勧告した(甲A676)。 エ他方、宗教的な禁忌を介して、同性同士の性的関係を刑事処罰の対象とする法規定をもつ国は、国際連合加盟国の中にも相当数存在している(甲A6 62)。 ⑵ 国内情勢ア平成14年3月、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律7条に基づき、人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために「人権教育・啓発に関する基本計画」が閣議決定され、平成22年12月に 第3次男女共同参画基本計画が、平成27年12月に第4次男女共同参画基本計画が、令和2年12月に第5次男女共同参画基本計画がそれぞれ閣議決定され、い 計画」が閣議決定され、平成22年12月に 第3次男女共同参画基本計画が、平成27年12月に第4次男女共同参画基本計画が、令和2年12月に第5次男女共同参画基本計画がそれぞれ閣議決定され、いずれにおいても、同性愛者への差別、性的指向を理由とする差別や偏見の解消を目指して、解決に資する施策の検討、啓発活動や相談、調査救済活動に取り組むことなどが明記された(甲A57、239の5、356 ~358)。 イ日本弁護士連合会は、平成27年7月にされた、同性婚が認められないことが人権侵害に当たる旨の人権救済申立てに対し、令和元年7月、同性婚を認めないことは性的指向が同性に向く人々の婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に違反するものであり、憲法13条、14条に照らし重大な人権侵害というべきであるとして、国に同性婚を認める法令改正を求める意見書を発出 し、その後各地の単位弁護士会や弁護士会連合会も同旨の会長声明等を発表するなど同性婚法制化に向けた意見表明をしている(甲A102、113、129、239の7、424~436、634~643、712)。 ウ家族法研究者らが参加する日本家族<社会と法>学会婚姻法グループは、平成28年11月、同性婚導入を含む婚姻法改正試案を提示し、日本学術会議 法学委員会「社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会」は、平成29年9月、婚姻の性中立化を実現する民法改正を提言の一つとした(甲A114、239の9の1、239の10)。 エ一般社団法人日本経済団体連合会は、平成29年5月、企業において、同性愛者を含む性的少数者(LGBT)への適切な理解を促し、その存在を受 容することに向けて、性的指向等に基づくハラスメントや差別の禁止の社内規定等への具体的明記、 29年5月、企業において、同性愛者を含む性的少数者(LGBT)への適切な理解を促し、その存在を受 容することに向けて、性的指向等に基づくハラスメントや差別の禁止の社内規定等への具体的明記、配偶者に適用される福利厚生の同性パートナーへの適用等のLGBTに配慮した社内制度の整備、LGBTへの理解増進に向けた社内セミナー等の開催等の各種取組を行っていくことが急務である旨の「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」と題する提言を した(甲A94)。 オ在日米国商工会議所は、平成30年9月、外国で婚姻した同性カップルが我が国においては配偶者ビザを得られないなどLGBTの外国人材の活動が制約されているなどとして、日本政府に対し、LGBTカップルにも婚姻の権利を認めることを提言する意見書を公表した(その後も同旨の意見書が公 表されている。)。また、在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所、 在日英国商工会議所、在日カナダ商工会議所及び在日アイルランド商工会議所も、同月、上記意見書に対する支持を表明し、その後、在日デンマーク商工会議所も支持を表明した。(甲A112、130、131、516)カ令和2年以降、複数の地方議会において同性婚の法制化を求める意見書が可決されている(甲A499、500)。 キ国内主要1000社のCSR(企業の社会的責任)情報等を提供する情報雑誌によると、権利の尊重や差別の禁止などLGBTに対する基本方針を策定している企業数は、平成28年の調査では173社であったが、令和元年の調査では364社に増加した。同性パートナーを死亡保険金の受取人、家族割引、ペアローン等の家族向けのサービスの対象としたり、従業員の同性 パートナーを福利厚生の対象としたり、同 が、令和元年の調査では364社に増加した。同性パートナーを死亡保険金の受取人、家族割引、ペアローン等の家族向けのサービスの対象としたり、従業員の同性 パートナーを福利厚生の対象としたり、同性パートナーを持つ従業員を家族手当等の社内制度の対象としたりする企業及び同性婚の法制化に賛同する企業や団体も年を追うごとに増加している。(甲A61、239の62、391、392、513~515、518、519、548、567)ク令和5年6月23日、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性 に関する国民の理解の増進に関する法律が公布・施行された。 5 同性カップルに対する法的保護の状況⑴ 諸外国における状況ア西欧諸国では、性的指向による差別の禁止や婚姻及び家族形成の権利保障に関する条約を背景に同性カップルを保護する法整備が進み、まず、1 989年(平成元年)、デンマークにおいて、法律婚ではないものの、同性の二者間の人的結合関係を公証し、法律婚に準じた地位を付与する登録制度(付与される法的地位の内容や異性間の関係が適用対象となるかなど国によって制度の内容が異なるが、以下、総称して「登録パートナーシップ制度」という。)が法制化され、以後、平成22年までに、ノルウェー、ア イスランド、ベルギー、オランダ、フィンランド、ドイツ、英国、スイス、 ルクセンブルク、オーストリア、アイルランド、イタリアにおいて登録パートナーシップ制度が導入された。また、ベルギーでは、1998年(平成10年)に同性又は異性の同棲関係に一定の法律上の地位を認める法定同棲の制度が導入され(スウェーデンも同様の制度を導入)、フランスでは、1999年(平成11年)に二人の成人の間の共同生活に関する契約に基 づく届出制度で 棲関係に一定の法律上の地位を認める法定同棲の制度が導入され(スウェーデンも同様の制度を導入)、フランスでは、1999年(平成11年)に二人の成人の間の共同生活に関する契約に基 づく届出制度である民事連帯契約(PACS)が導入された。(甲A181、564)イ同性間にも異性間と同様の法律婚を認める同性婚の法制化は、2000年(平成12年)にオランダにおいて初めて行われ(施行は翌年)、以後、ベルギー、スペイン、カナダ、南アフリカ、ノルウェー、スウェーデン、 ポルトガル、アイスランド、アルゼンチン、デンマーク、ブラジル、フランス、ウルグアイ、ニュージーランド、英国(イングランド及びウェールズ、スコットランド)、ルクセンブルク、メキシコ、アイルランド、コロンビア、フィンランド、マルタ、ドイツ、オーストリア、オーストラリア、台湾、エクアドル、英国(北アイルランド)、コスタリカ、チリ、スイス、 スロヴェニア、キューバ、アンドラ、ネパール、エストニアがこれに続き、令和5年7月時点で36の国と地域が同性婚を認め、その後もその数は増加している。先行して登録パートナーシップ制度を導入していた国では、同性婚の法制化とともに同制度を廃止した国もあれば、併存させる国もある。また、同性婚を法制化した国においても、嫡出推定、養子縁組といっ た親子法制に関する規定の適用を排除し、異性婚との規定の差を設けている国もある。なお、我が国を除く主要7か国(G7)は、全て同性カップルの法的保護制度を設けている。(甲A139、181、355、564、662、663、673、686)ウ米国においては、同性間の婚姻を認める州と認めない州が併存していた 状況で、米国連邦最高裁判所が、2015年(平成27年)6月26日、 婚姻 662、663、673、686)ウ米国においては、同性間の婚姻を認める州と認めない州が併存していた 状況で、米国連邦最高裁判所が、2015年(平成27年)6月26日、 婚姻の要件を異性間のカップルに限り、同性間のカップルの婚姻を認めない州法の規定は、デュー・プロセス及び平等保護を規定する合衆国憲法修正第14条に違反する旨の判決を言い渡した(オバーゲフェル事件判決)(甲A195)。 ⑵ 我が国における同性カップル保護のための制度 ア東京都渋谷区は、平成27年10月、性的少数者の人権尊重の理念に基づき、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合にパートナーの関係であることを証明するパートナーシップ証明制度を導入した。東京都世田谷区も、同年11月、同性カ ップルの気持ちを受け止める取組みとしてパートナーシップ宣誓制度を導入した。これ以降、同性カップルのパートナーシップを「証明」、「宣誓」、「登録」の方法によって認定する制度(以下、これらの制度を総称して「パートナーシップ認定制度」という。)を導入する地方公共団体が増加し、令和6年6月28日の時点でその数は458に達し、これらがカバーする 人口は我が国の総人口の85.1%に及んでいる。中には、二者間のパートナーシップのみならず、家族として暮らしている子ども(未成年者)との関係も併せて証明する制度を導入したり、近隣の自治体との間で連携協定を締結したりする地方公共団体も現れている。また、複数の地方公共団体において、同性カップルの住民票の続柄欄に、男女の事実婚の場合と同 様に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載する運用が始まっ 定を締結したりする地方公共団体も現れている。また、複数の地方公共団体において、同性カップルの住民票の続柄欄に、男女の事実婚の場合と同 様に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載する運用が始まった。このようにパートナーシップ認定制度は着実に拡充しているものの、地方公共団体の施策であるため、各自治体の行政サービスにおいて優遇措置の対象とする場合はあるものの、親族的身分関係を形成するものではなく、その他の婚姻に準ずる法的効果を生じさせるものでもない。(甲A67、75~91、9 8、645、710、711) イ最高裁令和4年(行ツ)第318号、同年(行ヒ)第360号同6年3月26日第三小法廷判決(民集78巻1号99頁)は、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律4条1号に規定する遺族給付金の支給対象者となる、犯罪被害者の死亡の時において、婚姻の届出をしていないが、犯罪被害者と事実上婚姻関係と同様の事情にあった者 (同法5条1項1号の括弧書き)に犯罪被害者と同性の者が該当し得るとの判断を示した。しかし、この判決は、内縁関係に同性間の関係が含まれ得ると解したものではなく、その射程は限定されており、同様の文言が用いられている他の法令の規定の解釈は、当該規定ごとに検討されるべきものであるとの指摘もある。 6 婚姻及び同性婚に対する国民意識等⑴ 婚姻に関する統計数値ア厚生労働省による人口動態調査の結果によると、我が国の婚姻件数は、昭和47年の約110万組をピークに平成25年以降減少傾向が続いているものの、平成28年は約62万組、令和5年は約47万組であった。婚 姻率(年間婚姻件数を総人口で除した上で1000を乗じた割合)は、昭和47年以降おおむね減少傾向 5年以降減少傾向が続いているものの、平成28年は約62万組、令和5年は約47万組であった。婚 姻率(年間婚姻件数を総人口で除した上で1000を乗じた割合)は、昭和47年以降おおむね減少傾向にあり、平成28年には5%、令和5年は3.9%であったが、イタリア(3.1%)、フランス(2.3%)、イギリス(1.3%)を上回っている。出生に占める嫡出でない子の出生割合(令和元年)は、我が国は2.3%であり、米国(40.0%)、フランス (61.0%)、ドイツ(33.3%)、イタリア(35.4%)、英国(48.2%)等よりもかなり低い。(甲A330)イ厚生労働省による国民生活基礎調査の結果によると、我が国において、児童のいる世帯が全世帯に占める割合は年々減少しており、昭和61年には46.2%であったが、平成30年は22.1%、令和5年は18. 1%であった(甲A331)。 ⑵ 婚姻に関する意識調査ア内閣府の平成17年版国民生活白書によれば、独身の時に子供ができたら結婚した方がよいかとの質問に対し、15~49歳のいずれの年齢層においても、そう思うとの回答が4~6割であり、そう思わないとの回答はおおむね1割に満たないものであった。また、いずれ結婚するつもりであ ると回答した男女(18~40歳未満の未婚者)は、昭和57年から平成14年までの各年の調査を通じてそれぞれ9割を超えていた。(甲A332)イ日本家族社会学会が平成22年に公表した報告書によると、「夫婦は、お互いの同意があれば、入籍しなくてもかまわない」との意見に「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と回答した者(28歳から72歳 までの男女)の割合は72%に上った(甲A239の53)。 ウ厚生 籍しなくてもかまわない」との意見に「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と回答した者(28歳から72歳 までの男女)の割合は72%に上った(甲A239の53)。 ウ厚生労働省による平成25年版厚生労働白書によれば、平成21年の調査では、「結婚は個人の自由であるから、結婚してもしなくてもどちらでもよい」という考え方に賛成又はどちらかといえば賛成する者は70%であったが、平成22年に20~49歳を対象として行った調査では、「結婚は 必ずするべきだ」又は「結婚はしたほうがよい」との意見を持つ者は合計で64.5%に上り、米国(53.4%)、フランス(33.6%)、スウェーデン(37.2%)を上回った(甲A333)。 エ国立社会保障・人口問題研究所が平成27年に行った調査によると、結婚することに利点があると思う未婚の者は、男性で64.3%、女性で7 7.8%であり、その理由として多かったのは、「子どもや家族をもてる」、「精神的安らぎの場が得られる」といったものであり、未婚者に対する「生涯を独身で過ごすというのは、望ましい生き方ではない」との質問には、男性の64.7%、女性の58.2%が賛成し、「男女が一緒に暮らすなら結婚すべきである」との質問には、男性の74.8%、女性の70. 5%が賛成と回答をした。(甲A239の52の2・3)。 ⑶ 同性婚に対する賛否に関する意識調査マスメディアや研究者等による同性婚に対する賛否についての意識調査の結果は以下のとおりであり、いずれも賛成が反対を上回っており、概して年を追うごとに賛成の割合が高まる傾向にあり、特に年齢層が低いほど賛成の割合が高い。 実施時期実施主体調査対象等調査結果書証平成27 年2 賛成が反対を上回っており、概して年を追うごとに賛成の割合が高まる傾向にあり、特に年齢層が低いほど賛成の割合が高い。 実施時期実施主体調査対象等調査結果書証平成27 年2 月朝日新聞社電話調査同性婚を法律で、認めるべきだ:41%認めるべきではない:37%甲A508平成27 年3 月毎日新聞社全国の1018人を対象とする電話調査同性同士の結婚に、賛成:44%反対:39%甲A105平成27 年3 月大学教授らの研究グループ全国の20~ 79 歳の男女 2600 人(回収数1259)同性同士の結婚を法で認めることに、賛成、やや賛成:51.2%反対、やや反対:41.3%甲A104、 平成29 年3 月 NHK全国の18 歳以上の国民 4800 人を対象とする面接調査(調査有効数2643 人)「男性どうし、女性どうしが結婚することを認めるべきだ」に、そう思う:50.9%そうは思わない:40.7%甲A106平成29 年5 月朝日新聞社全国調査「同性婚を法律で認めるべきか」に、認めるべきだ:49%認めるべきはでない:39%甲A109平成30 年国立社会保障・人口問題研究所全国家庭動向調査(有配偶女性6142 人の回答)「男性どうしや、女性どうしの結婚(同性婚)を法律で認めるべきだ」に、まったく賛成、どちらかといえば賛成:69.5%まったく反対、どちらかといえば反対:30.5%甲A298令和30 年10月株式会社電通全国の20~ 59 歳の6229人同性婚の合法化に、賛成、どちらかというと賛成 78.4%甲A110、 239 の 30.5%甲A298令和30 年10月株式会社電通全国の20~ 59 歳の6229人同性婚の合法化に、賛成、どちらかというと賛成 78.4%甲A110、 239 の 令和元年6 月~7 月大学教授らの研究グループ全国の20~ 79 歳の男女 5500 人(回収数2709)同性同士の結婚を法で認めることに、賛成、やや賛成:64.8%反対、やや反対:30.0%甲A512令和3 年3 月朝日新聞社全国電話調査(有効回答 1564 人)「同性婚を法律で認めるべきか」に、認めるべきだ:65%認めるべきでない:22%甲A508令和3 年4 月北海道新聞社道内電話調査(有効回答 505 人)同性同士の結婚を、「認めるべきだ」70%「認めるべきではない」21%甲A510令和3 年3 月NHK放送文化研究所全国電話調査(有効回答 1508 人)男性どうし、女性どうしの結婚も認めるべきだという意見について、賛成、どちらかといえば、賛成:56.7%反対、どちらかといえば、反対:36.6%甲A511令和4 年7 月国立社会保障・人口問題研究所全国家庭動向調査(有配偶女性5518 人の回答)「男性どうしや、女性どうしの結婚(同性婚)を法律で認めるべきだ」に、まったく賛成、どちらかといえば賛成:75.6%まったく反対、どちらかといえば反対:24.4%甲A709令和5 年2 月朝日新聞社全国電話調査「同性婚を法律で認めるべきか」に、認めるべきだ:72%認めるべきではない:18%甲A646令和5 年2 月~4 月朝日新聞社及び東京大学研究室 社全国電話調査「同性婚を法律で認めるべきか」に、認めるべきだ:72%認めるべきではない:18%甲A646令和5 年2 月~4 月朝日新聞社及び東京大学研究室-同性婚に、賛成:50%反対:19%甲A708令和5 年2 月日本経済新聞社-同性婚を法的に認めることに、賛成:65%反対:24%甲A647令和5 年3 月時事通信社全国18 歳以上の2000 人に対する個別面接(有効回収率59.9%)同性婚を法的に認めることに、賛成:56.7%反対:18.3%どちらともいえない・分からない:25%甲A648令和5 年3 月~4 月共同通信社 18 歳以上の男女3000 人を対象とする郵送方式同性婚について、認める方がよい:71%認めない方がよい:26%甲A708 令和5 年4 月頃JNN全国の18 歳以上の男女 2474 人に対する電話調査(有効回答 1205 人)「同性婚」を法的に認めることについて、賛成:63%反対:24%甲A707令和5 年4 月NHK全国の18 歳以上の3275人に対する電話調査(有効回答1544人)同性どうし結婚についてどう思うか。 法的に認められるべきだと思う:44%法的に認められるべきではないと思う:15%甲A708⑷ 性的少数者の意識調査ア NHKが平成27年に全国のLGBTを含む性的マイノリティ当事者を対象に行ったウェブ調査(有効回答数2600人)において、「同性間の結婚についてどう考える?」という質問に対し、「同性間の結婚を認める法律を作って欲しい」という回答が65.4%、「結婚 ティ当事者を対象に行ったウェブ調査(有効回答数2600人)において、「同性間の結婚についてどう考える?」という質問に対し、「同性間の結婚を認める法律を作って欲しい」という回答が65.4%、「結婚ではなくパートナ ー関係の登録制度を国が作って欲しい」という回答が25.3%、「現状のままで良い」という回答が2.9%であった(甲A103)。 イ大学教授らが令和元年に実施したLGBTsを対象にした全国インターネット調査(対象年齢13~79歳、有効回答数1万0769件)によると、「異性婚と同じ法律婚(同性婚)を同性間にも適用してほしい」と回 答したのは60.4%であり、年齢層が低いほど肯定の回答が高い傾向にあった(甲A301)。 ウライフネット生命保険株式会社が令和4年から令和5年にかけて実施したLGBTQ当事者の意識調査によると、「同性婚を法律で認めてほしい」と回答したのは68.6%で、パートナーシップ認定制度の利用者のうち 91.5%が同回答をした(甲A687)。 【争点についての判断】 7 本件諸規定の憲法適合性(争点⑴)⑴ 憲法24条の趣旨及び婚姻をするについての自由の保障 ア憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と規定する。同条項は、その文言及び制定経緯に照らし、家父長制的家族観に基づく家制度の下、婚姻について戸主等に同意権を付与し、夫婦における夫の法的優位性を認めた明治民法の規定を、憲法の基 本原理である個人の尊厳と平等原則に反するものとして否定し、家族、すなわち親族的身分関係の基盤となる婚姻の成立及び維持については当事者の自主性を尊重し、婚姻をするかどうか、いつ誰 を、憲法の基 本原理である個人の尊厳と平等原則に反するものとして否定し、家族、すなわち親族的身分関係の基盤となる婚姻の成立及び維持については当事者の自主性を尊重し、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにして、婚姻についての当事者の自律的な意思決定に対する不 合理な制約を課すことを許さない旨を規定するとともに、婚姻当事者の権利が同等であり、婚姻は相互の協力によって維持されるものとする婚姻法の基本原則を規定したものと解される(最高裁平成25年(オ)第1079号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2427頁(以下「平成27年大法廷判決(再婚禁止期間)」という。)、最高裁平成26 年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(以下「平成27年大法廷判決(夫婦同氏)」という。)参照)。 そして、婚姻及び家族に関する事項は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や 親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断によって定められるべきものであって、その内容の詳細については、憲法が一義的に定めるのではなく、法律によってこれを具体化することがふさわしいものと考えられることから、憲法24条2項は、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法 律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければなら ない。」と規定し、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本 されなければなら ない。」と規定し、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示して立法府の裁量の限界を画したものといえる(平成27年大法廷判決(再婚禁止期間))。 このように、憲法24条は、婚姻及び家族に関する法的規律を個人の尊厳と両性の本質的平等という憲法の基本原理によるべきこととして、国民の家族生活における民主的基盤の確立を図り(最高裁昭和34年(オ)第1193号同36年9月6日大法廷判決・民集15巻8号2047頁参照)、かつ、家族生活及び親族的身分関係の中心となる婚姻については、 上記基本原理並びにこれにより導かれる婚姻の自律性、婚姻当事者の権利の同等性及び婚姻維持における相互協力性を基本原則として法律により制度を構築すべきことを宣言したものであり、憲法24条における「婚姻」は、上記基本原理及び基本原則に則って、同条2項の要請、指針に基づき法律により具体化される制度をいうものであると解される。 イ憲法24条1項は、婚姻当事者につき異性同士を意味する「両性」「夫婦」と表しており、同項の起草過程においても婚姻当事者を「男女」と表記していたこと、人類の婚姻(結婚)制度は異性間のものとして生成、発展し、近代的婚姻制度として確立したこと、我が国における法制化前の慣習上の婚姻も同様であり、明治民法によって法制化された婚姻制度も当然 に異性間のものとされていたこと、憲法制定過程においても、婚姻が異性間のものであることにつき格別の検討が加えられることはなかったことといった憲法24条1項の文言、制定経緯及び歴史的、伝統的な婚姻の在り方を踏まえると、同項 たこと、憲法制定過程においても、婚姻が異性間のものであることにつき格別の検討が加えられることはなかったことといった憲法24条1項の文言、制定経緯及び歴史的、伝統的な婚姻の在り方を踏まえると、同項は、婚姻当事者は一組の男女であることを所与の前提として規定されたものであるといえる。 もっとも、制定経緯からも明らかなとおり、憲法24条1項は、家父長 制的婚姻制度から民主的婚姻制度への転換を図ることを主眼として、婚姻の自律性、婚姻当事者の権利の同等性、婚姻維持における相互協力性が婚姻法の基本原則であることを宣言したものであり、「両性」や「夫婦」の文言は、制定時に想定していた婚姻当事者が異性同士であったことから婚姻当事者双方を表すものとして用いられたものである。制定過程において 同性婚の許否が論じられた形跡はなく、異性婚のみを婚姻の対象とすることが憲法24条が規定する婚姻法の基本原理である個人の尊厳及び両性の本質的平等並びに上記基本原則に合致するかについて検討された形跡もない。 また、歴史的、伝統的な婚姻形態が異性婚制度として発展したのは、性 的指向が異性に向く者が多数を占める社会においては異性婚が自然なこととして捉えられていたこと、婚姻制度は婚姻当事者が子孫を産み育てる父母としての役割を果たすことと密接に結び付いて存続、発展してきたことによるものである。しかし、科学的知見の進展により、性的指向はほぼ生来的に決定され意思により変えることのできない自然的属性であり、性的 指向が同性に向くことも、人としての自然な在り方であることが明らかになった。また、我が国において法制化された婚姻制度は、明治民法制定前に慣習として存在した婚姻を基にしたものであるが、当初より、生殖能力の保持や子の存在を婚姻の成立、維持の要件 方であることが明らかになった。また、我が国において法制化された婚姻制度は、明治民法制定前に慣習として存在した婚姻を基にしたものであるが、当初より、生殖能力の保持や子の存在を婚姻の成立、維持の要件としておらず、婚姻は必ずしも子を得ることを目的とするものではないと解されており、婚姻と自然生 殖の可能性は一体のものとはされていない。しかも、平成15年の性別取扱い特例法の施行後は生物学的性別と法的性別は必ずしも一致しないこととなり、同法の規定のうち生殖機能喪失を性別変更の要件とする部分を違憲無効であるとした令和5年大法廷判決(性別取扱い特例法)後は、法的性別によると異性カップルであっても生物学的には同性同士であり自然生 殖の可能性がない場合や、法的性別によると同性カップルであっても生物 学的には異性同士であり自然生殖の可能性がある場合も想定されることとなり、異性婚保護が自然生殖の抽象的可能性のあるカップルを定型的に保護することとなるという理解自体が、現在の法体系と必ずしも合致していないこととなる。同性カップルであっても協力して子を監護養育することは可能であり、現にそのような同性カップルも存在し、性的少数者による 出産、子育てが異性カップルによる子育てと比較して子の発達に大きな影響を与えていないという研究結果もある(甲A689)。 これらのことからすると、憲法24条が所与の前提とした異性婚を法律婚制度の対象とすることの正当性、合理性、必要性に何ら疑いはないものの、同条は、異性婚のみが婚姻法の基本原理及び基本原則に沿うことを規 定したものではなく、日本国憲法制定当時に法律婚化されていた異性婚の由来に照らしても、同条が将来にわたって婚姻当事者を異性同士に限定し、婚姻制度から同性婚を排除する趣旨を含むものと解する 規 定したものではなく、日本国憲法制定当時に法律婚化されていた異性婚の由来に照らしても、同条が将来にわたって婚姻当事者を異性同士に限定し、婚姻制度から同性婚を排除する趣旨を含むものと解することはできない。 同条にいう「婚姻」は、親族的身分関係の基礎となる、一男一女が継続的に共同生活を営む人的結合関係を典型とするものの、これに限られるもの ではなく、それ以外の人的結合関係の法律婚化は、個人の尊厳と両性の本質的平等に則り、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代の社会の在り方に相応しいものであるかという観点からの検討を経て、具体化されるべきものであり、同性婚の法制化の要否は、同条2項によって画された立法裁量の範囲の問題であると 解するのが相当である。 ウこれに対し、控訴人らは、憲法24条1項による婚姻の自由の保障は同性間の婚姻にも及び、同条は同性婚の法制化を要請していると主張する。 しかし、憲法24条1項が用いている「両性」や「夫婦」といった異性を前提とした文言に加え、憲法24条1項において、戸主の同意など両当 事者以外の第三者の介入によって婚姻の成否が左右され、男性である夫の 法的優位性を認めた明治民法と決別し、婚姻における個人の尊厳と両性の平等を宣言するとともに、同条2項において、婚姻及び家族に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示して立法府の裁量の限界を画すという24条の制定経緯や構造からすると、憲法24条1項が直ちに同性間の婚姻の自由を保障し、同性婚の法 制化を要請しているものとまで解することはできない。 エ控訴人らは、婚姻の自由が憲法13条によっても保障されており、同性婚を認めない本件諸規定は同条に違 性間の婚姻の自由を保障し、同性婚の法 制化を要請しているものとまで解することはできない。 エ控訴人らは、婚姻の自由が憲法13条によっても保障されており、同性婚を認めない本件諸規定は同条に違反するとも主張する。 しかし、婚姻及び家族に関する事項は、憲法24条の要請により法律によって具体的な内容を規律するものとされているから、婚姻及び家族に関 する権利利益の内容は、憲法上一義的に捉えられるべきものではなく、婚姻をするについての自由は、憲法の定める基本原理及び基本原則に則った婚姻を具体化する法律に基づく制度によって初めて個人に与えられるか、又はそれを前提とした自由であり、憲法13条が同性と婚姻(法律婚)をする自由を人格権の一内容として直接保障し、同性婚の法制化を立法府に 義務付けているものと解することはできない。 したがって、同性婚を認めていない本件諸規定が直ちに憲法13条に違反するとはいえない。 もっとも、婚姻制度の意義や婚姻関係に入ることにより享受できる法的、社会的利益の大きさに照らすと、同性カップルが自ら伴侶として選んだ同 性の者と互いに助け合いながら共同生活を営むに当たって、婚姻制度を利用し、法的安定性を獲得することができることは、人生における幸福追求の重要な手段であって、人格的生存にとって必要であり、個人の尊重の原理に沿うものといえる。憲法24条2項は、婚姻制度の構築を個人の尊厳と両性の本質的平等によって画される立法府の合理的裁量に委ねているの であるから、同性間の人的結合関係について婚姻制度の利用を可能にする ことによる重要な人格的利益の保護は、同性婚を認めない現行の婚姻制度が個人の尊厳の基本原理によって画される立法裁量の範囲を超えるものであるか否かの検討に当たって考慮すべきことと 能にする ことによる重要な人格的利益の保護は、同性婚を認めない現行の婚姻制度が個人の尊厳の基本原理によって画される立法裁量の範囲を超えるものであるか否かの検討に当たって考慮すべきこととなる。 ⑵ 憲法24条2項の趣旨前記のとおり、憲法24条2項は、婚姻及び家族に関する事項についての 具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たっては、同条1項も前提としつつ、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示すことによって、その裁量の限界を画したものである。 そして、憲法24条2項が、本質的に様々な要素を検討して行われるべき 立法作用に対してあえて立法上の要請、指針を明示していることからすると、その要請、指針は、単に、憲法上の権利として保障される人格権を不当に侵害するものでなく、かつ、両性の形式的な平等が保たれた内容の法律が制定されればそれで足りるというものではないのであって、憲法上直接保障された権利とまではいえない人格的利益をも尊重すべきこと、両性の実質的な平 等が保たれるように図ること、婚姻制度の内容により婚姻をすることが事実上不当に制約されることのないように図ること等についても十分に配慮した法律の制定を求めるものであり、この点でも立法裁量に限定的な指針を与えるものといえる。 他方で、婚姻及び家族に関する事項は、国の伝統や国民感情を含めた社会 状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断によって定められるべきものである。特に、憲法上直接保障された権利とまではいえない人格的利益や実質的平等は、その内容として多様なものが考えられ、それらの実現の在り方は、その時々にお えた総合的な判断によって定められるべきものである。特に、憲法上直接保障された権利とまではいえない人格的利益や実質的平等は、その内容として多様なものが考えられ、それらの実現の在り方は、その時々における社会的条件、国民生活の状況、家族の在り方等と の関係において決められるべきものである。 そうすると、憲法上の権利として保障される人格権を不当に侵害して憲法13条に違反する立法措置や不合理な差別を定めて憲法14条1項に違反する立法措置を講じてはならないことは当然であるとはいえ、憲法24条2項の要請、指針に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定が国会の多方面にわたる検討と判断に委ねられているものであることからすれ ば、婚姻及び家族に関する法制度を定めた法律の規定が憲法13条、14条1項に違反しない場合に、更に憲法24条2項にも適合するものとして是認されるか否かは、当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し、当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法の裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないよ うな場合に当たるか否かという観点から判断すべきものとするのが相当である。(平成27年大法廷判決(夫婦同氏))⑶ 個人の尊厳の要請からの検討ア我が国の法律婚制度は、特定の者を伴侶とし、継続的、安定的な共同生活を営むという人間としての本質的・本能的欲求に由来する習俗があるこ とを前提に、配偶者との共同生活を中心とする人的結合関係を家族生活の中心に据え、社会を構成する基本的単位として承認するとともに、そのような人的結合関係を法的な権利義務関係として規律し、配偶者の親族を含めて親族的身分関係を形成してこれを登録・公証し、その解消にも法的規律が及 、社会を構成する基本的単位として承認するとともに、そのような人的結合関係を法的な権利義務関係として規律し、配偶者の親族を含めて親族的身分関係を形成してこれを登録・公証し、その解消にも法的規律が及ぶとすることにより、長期的かつ安定的なものとして保護するもの である。このような婚姻の特質に鑑みて、税制度、社会保障制度その他の各種社会制度において配偶者の地位に一定の法的効果が付与されたり、社会生活上の様々な場面において婚姻当事者であることにより格別の扱いがされたりしているのである。我が国においては、昨今生涯未婚率の増加傾向が見られるものの、なお、婚姻をすることに価値を見出し、法律婚制度 の利用を希望する未婚者は多く、現にこれを利用する異性カップルも多く、 法律婚を尊重する意識が浸透していることは、各種統計や意識調査の結果からも見て取れるのであり、婚姻は、人々が幸せを求めて充実した人生を歩むための重要な選択肢となっている。 このような婚姻制度の由来や法的、社会的意義に照らすと、相互に求め合う者同士が自ら選択した配偶者と婚姻関係に入ることができる利益は、 現代社会を生きる上での個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益に当たるものといえ、同性カップルがこれを享受することができないのは、同性カップルの人格的利益を著しく損なうものといわざるを得ない。 イ我が国においては、性的指向が異性に向く者が多数を占める社会において慣習として存在した婚姻が明治民法によって法制化されたが、子をもう けることや自然生殖能力があることは婚姻の成立、維持の要件とはされず、当初より婚姻と自然生殖の可能性とは一体のものとはされていなかった。 また、異性婚制度は、歴史的、伝統的に子の出生、養育と密接に結び付いていたものの、子をもうける前提 姻の成立、維持の要件とはされず、当初より婚姻と自然生殖の可能性とは一体のものとはされていなかった。 また、異性婚制度は、歴史的、伝統的に子の出生、養育と密接に結び付いていたものの、子をもうける前提としての生殖行為は配偶者に対する性愛に裏打ちされたものであり、生殖能力や子の有無が婚姻の成立や存続の要 件と解されなかったのは、このような人間としての自然な、本能に由来する性愛感情を抱き合う関係自体をも婚姻関係として保護する趣旨であると解されるところ、自然な性愛感情を抱き合う関係が同性同士であっても、その関係を保護することに生物学的、倫理的、道徳的な障壁がないのであれば、可能な限り異性同士と同等に扱うのが個人の人格を尊重する個人の 尊厳の要請に適うといえる。 同性愛を精神的病理と捉える明治以来の医学上の扱いは不適切であるとして平成初期に改められ、同性愛と異性愛は、生来的な性的指向の違いによるものであり、自らの意思により決定・変更することができるものでない自然的属性であることが明らかになった。性的指向による差別が許され ないことは、国際人権法上の確立した解釈となっており、我が国における 人権擁護施策上の課題としても繰り返し取り上げられ、令和5年6月には、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律が施行され、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現を目指すことが確認されている。性的指向による差別の解消の動き、同性カップルの法的保護の必要性の認識の高まり、 諸外国における同性婚導入事例の増加といった国内外の情勢変化に伴い、我が国においても、性的指向の相違を含む多様な個人の属性を受け入れ、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することが健全な社会の発展 諸外国における同性婚導入事例の増加といった国内外の情勢変化に伴い、我が国においても、性的指向の相違を含む多様な個人の属性を受け入れ、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することが健全な社会の発展に繋がるとの理解が広まるとともに、同性カップルが人生の伴侶として認め合い協力しながら共同生活を営んでいる実態を、地域社会において受け入 れて支援する必要があることが認識され、平成27年以降、地方公共団体におけるパートナーシップ認定制度の導入・拡大が急速に進んでおり、人口カバー率は85%に達している。民間企業が従業員の待遇や顧客サービスにおいて同性カップルに配慮する動きも拡大し、我が国においても同性婚の導入を求める意見等が各種団体から表明され、平成27年以降に行わ れたマスメディアや学者らによる同性婚制度に対する賛否を問う世論調査では、全てにおいて賛成が反対を上回り、年を追うごとに賛成の割合が高まる傾向が見られ、若い世代ほど賛成の意見が多く、これからの社会の在り方として、性的指向が同性に向く者らの多くが求めている同性婚の法制化を受け入れる社会環境が整い、国民意識も醸成されているといえる。 ウ妻が産んだ子を夫の子と推定し、夫(父)の認知によらずに、子と父との間に法律上の親子関係を成立させる嫡出推定制度は、婚姻と生殖を結び付ける婚姻の主要な効果の一つである。しかし、これは第一次的には子の福祉及び利益を第一に制度設計されるべき親子法制の分野に関わる事項であり、生殖及び家族の在り方等が多様化した現代社会において、嫡出推定 制度が婚姻における不可欠かつ本質的要素である、すなわち嫡出推定を及 ぼさない婚姻は婚姻と観念し得ないということはできない。性別の取扱い特例法の施行によって法的性別と生物学的性別が必ずしも一致せ 婚姻における不可欠かつ本質的要素である、すなわち嫡出推定を及 ぼさない婚姻は婚姻と観念し得ないということはできない。性別の取扱い特例法の施行によって法的性別と生物学的性別が必ずしも一致せず、令和5年大法廷判決(性別取扱い特例法)によれば、生物学的性別に基づく生殖能力を保持したまま法的性別を変更することも可能となり、そうすると、夫が父、妻が母になるのが当然とはいえず、嫡出推定の在り方は、同性婚 のみならず異性婚においても検討すべき課題といえる。したがって、同性婚を法制化した場合に嫡出推定規定の適用の可否について議論を要するところがあることをもって、同性婚を法律婚の対象とすることができないとか、同性婚の法制化が現行法体系に照らして相応しくないということはできない。 また、そもそも、法的性別と異なる性別の生殖能力を保有している者があることは、異性婚を保護することが必ずしも自然生殖の抽象的可能性のあるカップルのみを保護することにはならないことを意味し、自然生殖を背景とする異性婚保護の価値観は現行の婚姻制度の説明としてはもはや十分でない。 エ確かに、婚姻制度は、社会的・法的秩序を構成する国民生活の基盤であり、婚姻共同体は社会の基礎的単位として存在するものであるから、婚姻の在り方は国民の重大な関心事であり、多様な国民感情に配慮し、安定的な社会基盤を構築することは、婚姻制度の設計に当たっての重要な考慮要素である。もとより、国民の意識がいかなる状況にあるかということ自体、 国民を代表する選挙された議員で構成される国会において評価、判断されることが原則であるが、法律婚を異性婚のみに限定する現行の婚姻法の在り方の合理性を基礎付ける立法事実の存否の評価として、国民意識や国民感情についても検討しなければなら れる国会において評価、判断されることが原則であるが、法律婚を異性婚のみに限定する現行の婚姻法の在り方の合理性を基礎付ける立法事実の存否の評価として、国民意識や国民感情についても検討しなければならない。各種世論調査において、同性婚の法制化に賛成する意見が多数を占めているのは前記のとおりである一方、 これに反対する意見も相当程度存在し、異性婚のみを婚姻とする伝統的な 婚姻観を大切に思う国民が相応に存在することも公知の事実である。しかし、同性婚の法制化は、同性カップルについても、法的に親族的身分関係を形成し、同居協力扶助義務、相続権、財産分与その他の各種法的効果を発生させ、権利と責任を伴う安定的な共同生活を継続的に営む法的地位を付与するというものである。法的効果を超えた婚姻の意義や主観的な価値 は、国民一人一人が自らの人生観や価値観に照らして見出し、形作るものといえ、同性婚の法制化によって、婚姻に対して期待し、婚姻によって実現しようとする一人一人にとっての婚姻の意義や主観的な価値が損なわれるものではない。伝統的婚姻観を重視するがゆえに同性婚の法制化に困惑し心理的抵抗を覚える国民に、多様な属性、価値観を有する国民が相互に 人格と個性を尊重し合いながら平和に共生するため、もはや社会の倫理にも健全な社会道徳にも公益にも反しないとの社会的合意が形成されているというべき同性婚に対して冷静かつ寛容な態度を期待することは、個人より集団の利益を優先する明治民法の規定を廃し、かけがえのない個人を尊厳ある主体として重んじることを旨として家族制度を構築することを命ず る憲法24条の理念に沿うものといえる。したがって、同性婚に対する国民感情が一様でないことは、同性婚を法制化しないことの合理的理由にはならない。 オ以上のこと 族制度を構築することを命ず る憲法24条の理念に沿うものといえる。したがって、同性婚に対する国民感情が一様でないことは、同性婚を法制化しないことの合理的理由にはならない。 オ以上のことからすると、現時点において、同性婚を許容しない本件諸規定は、性的指向が同性に向く者の個人の尊厳を著しく損なう不合理なもの であるといわざるを得ない。 ⑷ 法の下の平等の要請からの検討(憲法14条1項適合性)ア憲法14条1項は、国民に対し法の下の平等を保障した規定であって、この平等の要請は、事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的な取扱いをすることを禁止する趣旨のものと解すべ きである(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法 廷判決・民集18巻4号676頁、最高裁昭和45年(あ)第1310号同48年4月4日大法廷判決・刑集27巻3号265頁、平成27年大法廷判決(夫婦同氏)、平成27年大法廷判決(再婚禁止期間)等参照)。 本件諸規定は、婚姻当事者が異性同士であることを婚姻の要件としたものであるところ、誰もが異性と婚姻をすることはできるが、同性とは婚姻 をすることができないのであるから、形式的には平等の要請に反するものではないともいえる。しかし、婚姻の本質は、婚姻当事者が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあり(最高裁昭和61年(オ)第260号同62年9月2日大法廷判決・民集第41巻6号1423頁参照)、現行の婚姻法制は、不貞行為を離婚 事由としていることからも(民法770条1項1号)、婚姻を、性愛を基礎とする親族身分的人的結合関係として規定しているものと解されるところ、性的指向が異性に向く者は愛し合うパートナーと共に 婚 事由としていることからも(民法770条1項1号)、婚姻を、性愛を基礎とする親族身分的人的結合関係として規定しているものと解されるところ、性的指向が異性に向く者は愛し合うパートナーと共に婚姻制度を利用できるのに対し、性的指向が同性に向く者は愛し合うパートナーと婚姻をすることができないのであるから、本件諸規定は、性的指向が異性に向く 者と性的指向が同性に向く者との間に、婚姻制度の利用の可否について性的指向による実質的な区別取扱い(本件区別取扱い)をしているものといえる。 イ性的指向は、ほぼ生来的に決定される自然的属性であり、自己の意思によって左右することができないものである。同性愛は、疾患でも障害でも なく、人間の本能的欲求の発露であり、同性カップルが互いに自然な愛情を抱き、法的保護を受けながら相互に協力して共同生活を営むことは、異性カップルのそれと同様に人格的生存にとって重要であって、現在では、社会の倫理、健全な社会道徳、公益のいずれにも何ら反するものではないとの社会的、規範的認識が確立されているといえる。そうであるのに、異 性カップルは婚姻し、親族的身分関係を形成し、互いに権利と責任を負い、 各種の法的効果を享受して安定した共同生活を営むことができる一方、同性カップルはこのような法的利益を享受することができないのであるから、同性カップルが被る不利益は著しく大きく、このような差異をやむを得ないものとして正当化できる根拠は見出し難い。また、婚姻制度の在り方は、社会状況における種々の要因を踏まえ、各時代における家族法制全体を見 据えて総合的に規律されるべきものであるから、現行民法における婚姻制度が昭和22年民法改正当時の憲法24条が想定していた婚姻形態を法制化したことをもって、現在に 各時代における家族法制全体を見 据えて総合的に規律されるべきものであるから、現行民法における婚姻制度が昭和22年民法改正当時の憲法24条が想定していた婚姻形態を法制化したことをもって、現在においても同性婚を認めないことに合理的理由があるということはできない。 ウ婚姻当事者が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思を もって共同生活を営むという婚姻の本質は、同性同士でも実行可能であり、憲法24条1項が規定する婚姻の自律性、権利の同等性及び相互協力性の基本原則は同性婚においても実現することができるものである。確かに、婚姻は、歴史的、伝統的に子孫の繁栄の基礎となる生殖と結びついて男女の結合関係であると理解されており、現行の婚姻法制もそのように制度設 計されているが、明治民法以来、子を持つことやその可能性があることは婚姻の成立、存続の要件とされておらず、自然生殖の抽象的可能性を背景とした異性愛保護の価値観が現行法制を支えるものとして十分でなくなったことは既に説示したとおりである。その他の点においても合理性を肯定し得ないことは個人の尊厳の要請からの検討において示したとおりである。 これに対し、被控訴人は、同性間の人的結合関係について異性間のそれと同視し得るほどの社会的な承認があるとはいえず、同性間において、婚姻類似の人的結合関係を構築、維持し、共同生活を営む自由は何ら制限されておらず、契約、遺言等の制度の活用により事実上の不利益の緩和・軽減の余地もあるから、本件区別取扱いにつき合理性があると主張する。確 かに、婚姻制度は社会の基盤となる制度であるから、社会の倫理、健全な 社会道徳、公益に反するものを対象とすることは相当でないというべきである。しかし、それを超えて社会的承認があること かに、婚姻制度は社会の基盤となる制度であるから、社会の倫理、健全な 社会道徳、公益に反するものを対象とすることは相当でないというべきである。しかし、それを超えて社会的承認があること、すなわち社会の多数者がその関係を婚姻と同視し、婚姻と同じ保護を与えることを是とするに至らなければ区別取扱いの合理性があるとするのは、性的少数者の権利利益の保護を不当に制限することになるものであって、憲法14条1項の解 釈として採用することができない。また、本件区別取扱いにおいて問題となるのは、種々の法的効果を伴う現在の婚姻制度の利用の可否について差異であり、法的保護のない事実上の共同生活を妨げられないことや既存の法制度の活用により婚姻の一部の法的効果に類似した法的地位を獲得できることは、区別の合理性を基礎付けるものとはいえない。 エしたがって、異性婚のみを保護することを目的とし、同性婚を認めていない本件諸規定による本件区別取扱いは、事柄の性質に即応した合理的根拠に基づくものということはできず、法の下の平等原理に反し、憲法14条1項に違反するというべきである。 オなお、現行の婚姻法における婚姻の本質は同性婚においても当てはまる ものであるから、法制化に当たって嫡出推定規定の適用等において検討を要するところがあることなどをもって、同性カップルの法的保護を法律上の婚姻と異なる形式で行うことは、性的指向という人間の自然的、本質的属性によって、その属性に基づく人格的生存の在り方において合理的理由のない差異を設けることになり、法の下の平等の原則に悖るものといわざ るを得ない。また、婚姻に関する統計数値や意識調査によれば、我が国では現時点においても法律婚を尊重する意識が幅広く浸透していることが窺え、配偶者の地位により得ら 平等の原則に悖るものといわざ るを得ない。また、婚姻に関する統計数値や意識調査によれば、我が国では現時点においても法律婚を尊重する意識が幅広く浸透していることが窺え、配偶者の地位により得られる様々な法律上の効果のみならず、配偶者として公認されること自体が、安定した共同生活や充実感につながると考えられる。さらに、同性カップルについてのみ婚姻とは別の制度を設ける ことは、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民 の理解が必ずしも十分でない現状に鑑みると、新たな差別を生み出すとの危惧が拭えない。 したがって、近年パートナーシップ認定制度の導入・拡大が急速に進んでいることなどの事情は、本件区別取扱いが憲法14条1項に違反するとの上記結論を左右しないし、同性カップルについて諸外国において導入さ れているような法律婚以外の制度を設けたとしても、現時点において異性カップルと同性カップルの間に生じている不合理な差別を根本的に解消し得ないというべきである。 ⑸ まとめ以上によれば、現時点において同性婚を法律婚の対象としない本件諸規定 は、性的指向が同性に向く者の個人の尊厳を著しく損なう不合理なものであり、かつ、婚姻制度の利用の可否について性的指向による不合理な差別(合理性のない区別)をするものとして法の下の平等の原則に反するから、国会の立法の裁量の範囲を超えるものであって、憲法14条1項及び24条2項に違反するものというべきである。 8 本件諸規定を改廃し、同性婚を法制化しない立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか(争点⑵)⑴ 国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個々の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反して当該国民に損害を が国家賠償法1条1項の適用上違法であるか(争点⑵)⑴ 国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個々の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定する ものであるところ、国会議員の立法行為又は立法不作為が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題であり、立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきものである。そして、上記行動についての評価は原則として国民の政治的判断に委ねられるべき事柄であって、仮に当該立 法の内容が憲法の規定に違反するものであるとしても、そのゆえに国会議員 の立法行為又は立法不作為が直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。もっとも、法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては、国会議員の 立法過程における行動が上記職務上の法的義務に違反したものとして、例外的に、その立法不作為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることがあるというべきである(最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁、最高裁平成13年(行ツ)第82号、第83号、同年(行ヒ)第76号、第77号同17 年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁、平成27年大法廷判決(再婚禁止期間)、令和2年(行ツ)第255号、同年(行ヒ)第290号、第291号、第292号 第76号、第77号同17 年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁、平成27年大法廷判決(再婚禁止期間)、令和2年(行ツ)第255号、同年(行ヒ)第290号、第291号、第292号同4年5月25日大法廷判決・民集76巻4号711頁参照)。 ⑵ 婚姻は、歴史的、伝統的に男女間のものとして制度化され、我が国におい て明治民法によって法制化された婚姻も異性婚であり、憲法24条1項にも、婚姻当事者は異性同士であることを所与の前提として、そのような文言が用いられており、同性婚の法制化が憲法上の要請であるかは、憲法の文言上、一義的に明らかとはいえない。我が国において同性愛が障害や疾患でないとの知見が確立したのは平成7年であり、その後、性的指向に基づく差別が許 されないとの国際人権法上の解釈が広がり、平成14年以降は、我が国の人権擁護施策に反映されるようになったものの、同性婚の法制化の実例は国際的にも平成12年以降である。我が国においても、平成20年に自由権規約委員会による定期報告の審査後の総括所見において、事実婚の異性カップルに付与されている便益を同様の同性カップルに対しても同等に付与すること が勧告され(同性婚の法制化の勧告は令和4年11月である。)、平成27年 以降、地方公共団体において登録パートナーシップ制度が導入され、その後、法律家による同性婚の法制化の提言、同性婚を認めないことが憲法に違反する人権侵害である旨の日本弁護士連合会の意見書、地方議会の議決、同性婚の法制化に賛同する民間企業等の動き、同性婚の法制化に賛成する各種世論調査結果の報道等により、同性婚を許容し、あるいはこれを推し進める必要 があるとの国民意識の高まりや社会情勢の変化はここ数年顕著であるものの、伝統的婚姻観を有する 性婚の法制化に賛成する各種世論調査結果の報道等により、同性婚を許容し、あるいはこれを推し進める必要 があるとの国民意識の高まりや社会情勢の変化はここ数年顕著であるものの、伝統的婚姻観を有する国民も相応に存在し、同性婚を認めないことが憲法に反するかどうかは、同種訴訟における下級審裁判例の判断も分かれており、最高裁判所における統一的判断はされていない。これらのことからすると、現時点において、同性婚を法制化しないことは憲法14条1項及び24条2 項に違反するものの、これが国会にとって明白であるとか、国会が正当な理由なく長期にわたって法制化を怠っていたということはできず、上記立法不作為が、国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできない。 第4 結論以上によれば、その余の点につき判断するまでもなく、控訴人らの請求はい ずれも理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の原判決は結論において相当であり、本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第14民事部 裁判長裁判官本 多 久美子 裁判官小堀 悟 裁判官寺本佳子

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