平成24(行ウ)408 弁護士報酬請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年7月16日 東京地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文25,708 文字)

平成25年7月16日判決言渡平成24年(行ウ)第408号弁護士報酬請求事件 主文 1 被告は,原告ら各自に対し,1億5000万円及びこれに対する平成24年2月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを5分し,その2を原告らの負担とし,その余は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告ら各自に対し,2億5442万5500円及びこれに対する平成24年2月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告である東京都の住民であり弁護士でもある原告らが,原告兼原告ら訴訟代理人として地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項4号に基づき,被告に代位して提起した住民訴訟(以下「本件住民訴訟」という。)において一部勝訴したため,同条7項に基づき,本件住民訴訟について委任を受けた原告らを含む弁護士ら(以下「本件受任弁護士ら」という。)に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額(以下「弁護士報酬相当額」という。)として,原告ら各自に対し,不可分債権として2億5442万5500円及びこれに対する請求の後の日である平成24年2月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を被告に求める事案である。 1 関係法令の定め別紙関係法令の定めのとおり。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨 により容易に認められる事実)(1) 公正取引委員会による審査公正取引委員会は,平成10年9月17日,被告又はA一部事 いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨 により容易に認められる事実)(1) 公正取引委員会による審査公正取引委員会は,平成10年9月17日,被告又はA一部事務組合(以下「一部事務組合」という。)を発注者とする4か所の清掃工場に係るストーカ炉(ストーカ式燃焼装置(内部に階段状の火格子(ストーカ)を設け,このストーカ上にごみを落とし込みながら燃焼する方式の燃焼装置をいう。)を採用する全連続燃焼式及び准連続燃焼式ごみ焼却施設(なお,当該ごみ焼却施設と一体として発注されるその他のごみ処理施設を含む。)をいう。)の更新又は新設工事について,各工事を受注した株式会社B(以下「B」という。),C株式会社(以下「C」という。)及びD株式会社(以下「D」という。)が,E株式会社(現F株式会社)及びG株式会社(以下,B,C,D,E株式会社及びG株式会社を併せて「5社」といい,B,C及びDを「前訴被告ら」という。)としたとされる談合行為(以下「5社談合」という。)についての審査を開始し,平成11年8月3日,5社に対する排除勧告を発したが,5社がこれを争ったため,同年9月8日,5社を被審人として私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反審判事件(平成○年(判)第○号。以下「本件審判事件」という。)の審判開始決定をした。(甲1)(2) 住民訴訟の帰趨ア本件住民訴訟の提起原告らは,平成12年7月14日,前訴被告らが5社談合を行って違法に入札価格又は見積価格をつり上げる不法行為を行い,これにより被告及び一部事務組合に対し5社談合がなければ存在したであろう落札価格と現実の落札価格(請負契約金額)との差額に相当する損害を与えたと主張して,前訴被告らを相手方として,地方自治法242条の2第 り被告及び一部事務組合に対し5社談合がなければ存在したであろう落札価格と現実の落札価格(請負契約金額)との差額に相当する損害を与えたと主張して,前訴被告らを相手方として,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告及び一部事務組合に代位して,被告及び一部事務組合が被 った損害額(請負契約金額の23%と算定するのが合理的であると主張)の一部である請負契約金額の15%相当額及びその5%に相当する弁護士報酬額の合計額(損害賠償金元金)並びにこれに対する遅延損害金の支払(詳細は,(ア)ないし(エ)のとおり)を求めるとともに,東京都知事及び一部事務組合の管理者は,被告又は一部事務組合が談合行為によって損害を受けたにもかかわらず,その賠償請求を違法に怠っていると主張して,東京都知事及び一部事務組合の管理者に対し,同項3号に基づき,同人らが前訴被告らに対し損害賠償金元金の各請求を怠っていることが違法であることを確認することを求める本件住民訴訟を東京地方裁判所に提起した(平成○年(行ウ)第○号)。(甲1)(ア) B被告に対し138億4914万8250円及びこれに対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(イ) Ca 被告に対し68億8509万6750円並びに内金52億4473万4250円に対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金16億4036万2500円に対する平成10年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払b 一部事務組合に対し29億9013万7500円及びこれに対する平成10年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(ウ) D被告に対し70億5678万7500円及びこれに対する平成7年3月10日から支払済みまで年5分の割合に 及びこれに対する平成10年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(ウ) D被告に対し70億5678万7500円及びこれに対する平成7年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払イ本件住民訴訟の委任原告らは,本件住民訴訟の提起及び追行を,原告らを含む本件受任弁護士ら17名に委任した。原告らは,委任に際し,本件受任弁護士らとの 間で,本件住民訴訟に勝訴した場合,被告及び一部事務組合に確保された経済的利益の額を基準に日本弁護士連合会作成の報酬等基準規程(平成7年9月11日会規第38号,同年10月1日施行。以下「本件報酬等基準規程」という。)に基づく弁護士報酬(着手金及び報酬金)を支払う旨約した。(甲4,6)ウ東京地方裁判所における審理及び判決(ア) 本件住民訴訟においては,訴訟要件(民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことが「怠る事実」に当たるか否かなど),5社談合の有無,5社談合と因果関係のある被告及び一部事務組合の損害の額,被告又は一部事務組合が前訴被告らに対し損害賠償請求権を行使しないことが違法か否か等が問題となったが,東京地方裁判所は,6回の口頭弁論期日,21回の弁論準備手続期日の合計27回の期日を経て,平成18年12月5日の第7回口頭弁論期日に弁論を終結した。 本件受任弁護士らは,本件審判事件の事件記録を証拠として提出した。(甲1,9の1ないし28)(イ) 東京地方裁判所は,平成19年3月20日の第8回口頭弁論期日において,前訴被告らに対し,被告及び一部事務組合に対して次のとおりの金員を支払うよう命ずるとともに,東京都知事及び一部事務組合の管理者について,同人らが上記損害賠償金元金の各請求を怠っていることが違法である 訴被告らに対し,被告及び一部事務組合に対して次のとおりの金員を支払うよう命ずるとともに,東京都知事及び一部事務組合の管理者について,同人らが上記損害賠償金元金の各請求を怠っていることが違法であることを確認する旨の判決をした。(甲1,9の29)aB被告に対し44億0967万4750円及びこれに対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払bC(a) 被告に対し21億9015万2375円並びに内金16億6 940万2375円に対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金5億2075万円に対する平成10年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払(b) 一部事務組合に対し9億4925万円及びこれに対する平成10年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払cD被告に対し22億2850万6225円及びこれに対する平成7年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払エ東京高等裁判所における審理及び判決(ア) 前訴被告らは,上記ウ(イ)の東京地方裁判所のした判決の敗訴部分を不服として,東京高等裁判所に控訴を提起し,原告らは,同判決で認容された損害額が過少であるとして,東京高等裁判所に附帯控訴を提起した(平成○年(行コ)第○号,○号)。なお,東京都知事及び一部事務組合の管理者は,敗訴部分について控訴をしなかった。(甲2,10の29,乙1)(イ) 東京高等裁判所は,3回の口頭弁論期日を経た後,第4回口頭弁論期日において,前訴被告らの各担当者3名の証人尋問を実施し,その後,平成20年7月17日の第6回口頭弁論期日に弁論を終結し,同日,和解を勧告した。(甲15の1ないし6,16,17)(ウ) 日において,前訴被告らの各担当者3名の証人尋問を実施し,その後,平成20年7月17日の第6回口頭弁論期日に弁論を終結し,同日,和解を勧告した。(甲15の1ないし6,16,17)(ウ) 東京高等裁判所における3回の和解期日を経た後,平成21年4月3日の和解期日において,C,D,被告及び一部事務組合との間で,次のとおりの内容の訴訟上の和解が成立した。(甲15の7,乙1)aC(a) 本件の解決に当たり31億5702万1652円の支払義務が あることを認め,被告に対し,上記金員のうち31億2341万9314円(元金21億9015万2375円並びに内金16億6940万2375円に対する平成10年3月16日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員及び内金5億2075万円に対する平成12年4月5日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員)を,原告らに対し,上記金員のうち3360万2338円をそれぞれ支払う。 (b) 本件の解決に当たり12億2505万2636円の支払義務があることを認め,一部事務組合に対し,上記金員のうち12億1048万8801円(元金9億4925万円及びこれに対する平成13年9月17日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員)を,原告らに対し,上記金員のうち1456万3835円をそれぞれ支払う。 bD本件の解決に当たり31億5562万5869円の支払義務があることを認め,被告に対し,上記金員のうち31億2143万5089円(元金22億2850万6225円及びこれに対する平成11年3月15日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員)を,原告らに対し,上記金員のうち3419万0780円をそれぞれ支払う。 (エ) 東京高等裁判所は,平成21年5月1 成11年3月15日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員)を,原告らに対し,上記金員のうち3419万0780円をそれぞれ支払う。 (エ) 東京高等裁判所は,平成21年5月12日の第7回口頭弁論期日において,Bについて,被告に対し44億0967万4750円及びこれに対する平成10年11月16日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を命ずる旨の判決をした(遅延損害金の起算日は,Bの工事受注に係る契約締結日である平成6年7月14日ではなく同契約に基づき代金額を支払ったときであるとされたが,元金額については, 原判決と同額である。)。(甲2)オ最高裁判所における審理及び決定Bは,最高裁判所に上告及び上告受理の申立てをしたが(平成○年(行ツ)第○号,平成○年(行ヒ)第○号),最高裁判所は,平成21年12月10日,上告を棄却する旨の決定及び本件を上告審として受理しない旨の決定をした。(甲3)(3) 本件住民訴訟の判決の履行Bは,平成22年2月3日,被告に対し,損害賠償金元金44億0967万4750円及び遅延損害金24億7364万6315円の合計68億8332万1065円を支払った。 (4) 本件に関連する判例等ア最高裁平成19年(受)第2069号同21年4月23日第一小法廷判決・民集63巻4号703頁(以下「最高裁平成21年判決」という。)は,地方自治法242条の2第7項の「相当と認められる額」とは,住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地 った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものと解するのが相当であるとし,「相当と認められる額」を定めるに当たっては,上記認容額及び回収額は重要な考慮要素となる旨判示している。 イ最高裁平成21年判決の第1審判決である京都地方裁判所平成18年(ワ)第1927号同19年3月28日判決(以下「京都地裁判決」という。)は,地方公共団体が弁済を受け又は受ける見込みのある債権の総額9448万6347円を経済的な利益とし,本件報酬等基準規程の 基準に基づき大阪弁護士会が定めた報酬規程(以下「大阪弁護士会報酬規程」という。)を参考に,次のとおり弁護士報酬額を算定している。 (ア) 着手金は,第1審及び控訴審共に大阪弁護士会報酬規程に基づきそれぞれの金額を算出する。もっとも,第1審の代理人が控訴審の代理人を受任する場合には,控訴審の着手金は相当減額するのが通常であるとして,大阪弁護士会報酬規程に基づく着手金の合計額700万円を500万円とする。 (イ) 報酬金については,経済的な利益を基準として計算し,700万円とする。 (ウ) 住民訴訟は,地方公共団体の財務行政の適正化を志向する住民によって提起され,財務行政を適正化するため委任事務を行ったことなどを考慮し,上記(ア)及び(イ)の合計額の1200万円を大阪弁護士会報酬規程を参考に30%減額し,900万円とする。 3 争点及びこれに関する当事者の主張の要旨本件の主たる争点は,本件住民訴訟 慮し,上記(ア)及び(イ)の合計額の1200万円を大阪弁護士会報酬規程を参考に30%減額し,900万円とする。 3 争点及びこれに関する当事者の主張の要旨本件の主たる争点は,本件住民訴訟のうちBを被告とするものにおいて勝訴したことを理由として,原告らが,弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で,地方自治法242条の2第7項に基づき,被告に対して支払を請求することのできる「相当と認められる額」(弁護士報酬相当額)がいくらかである。 この争点に関する当事者の主張の要旨は,以下のとおりである。 (1) 原告らア本件報酬等基準規程は,弁護士報酬は審級ごとに算定するものとし(ただし,上訴審を受任したときは,最終審の報酬金のみとする。),経済的利益の額が3億円以上の場合の着手金及び報酬金の標準額を,それぞれ次のとおり定めている(消費税は別途)。 (ア) 着手金経済的利益の額×2%+369万円(イ) 報酬金経済的利益の額×4%+738万円 そこで,以下,これを参考に,下記イにおいて,弁護士報酬額を算定することとする。 イ(ア) 第1審及び控訴審の着手金 2億0192万円a 第1審の着手金68億8300万円×0.02+369万円=1億4135万円b 控訴審の着手金上記aと同額。 c 京都地裁判決による減額割合(500万円/700万円)による減額1億4135万円×2×500万円/700万円=2億0192万円(千円未満切捨て)(イ) 報酬金 2億8270万円68億8300円×0.04+738万円=2億8270万円(ウ) 上記(ア)の着手金と上記(イ)の報酬金の合計額 4億84 切捨て)(イ) 報酬金 2億8270万円68億8300円×0.04+738万円=2億8270万円(ウ) 上記(ア)の着手金と上記(イ)の報酬金の合計額 4億8462万円(エ) 上記(ウ)に対する50%の減額による報酬額 2億4231万円京都地裁判決での減額割合は30%であるところ,本件においては経済的利益の額が高額であるため,減額割合は50%とするのが相当である。 (オ) 上記(エ)の金額に消費税を加算した金額は,2億5442万5500円となる。 ウ以上によれば,原告らは,被告に対して,地方自治法242条の2第7項に基づき,弁護士報酬相当額として,2億5442万5500円の支払を請求する権利を有する。 エ本件住民訴訟は不法行為に基づく損害賠償請求事件であり,被告が原 告らに支払う弁護士報酬相当額と不法行為との間に相当因果関係があると認められ,被告が原告らに支払う弁護士報酬相当額のうち,少なくともその一部は本件住民訴訟の被告であったBに請求することができるから,かかる事情も本件の弁護士報酬相当額を決定する上で十分に考慮されるべきである。 (2) 被告ア本件報酬等基準規程は,あくまで一般の私人と弁護士との間の委任契約に適用されることを予定したものであるところ,一般の私人と弁護士との間の委任契約で目的となるのは私人の利益の実現であるのに対し,住民訴訟で目的となるのは公共的な利益の実現であって,その前提が大きく異なるから,住民訴訟に係る弁護士報酬額を算定するのに必ずしも適切な基準であるとはいえない。 イ一般的に談合の事実を立証するのは容易とはいえず,被告が回収した損害賠償金の額は68億8332万1065円と必ずし に係る弁護士報酬額を算定するのに必ずしも適切な基準であるとはいえない。 イ一般的に談合の事実を立証するのは容易とはいえず,被告が回収した損害賠償金の額は68億8332万1065円と必ずしも少額ではないが,5社談合については,公正取引委員会による立入検査や本件審判事件が先行しており,本件住民訴訟における原告らの主張・立証も公正取引委員会の事件記録等に相当程度依拠したものといえ,主張・立証を同じくするC及びDの事案における弁護士報酬相当額との衡量等を踏まえて,本訴における弁護士報酬相当額がいくらかが判断されるべきである。 このことは,被告が回収した損害賠償金も,元々は東京都の住民の税金が形を変えたものであるから,本件住民訴訟における弁護士報酬は,その金額が本件住民訴訟に係る訴訟活動の対価として適正・妥当であるか,東京都の住民の理解を得られる程度の水準といえるかという観点から判断しなければならないことからも明らかである。 ウ本件住民訴訟においては,B以外にC及びDも被告となっており,C 及びDとの間では東京高等裁判所において訴訟上の和解が成立し,これら2社が支払った損害賠償金の一部が弁護士報酬相当額として直接原告らに支払われているところ,その金額は,Cが2か所の工事について支払った損害賠償金がそれぞれ31億5702万1652円,12億2505万2636円であるのに対して,弁護士報酬相当額がそれぞれ3360万2338円(割合にして約1.06%),1456万3835円(割合にして約1.18%),Dが支払った損害賠償金が31億5562万5869円であるのに対して,弁護士報酬相当額が3419万0780円(割合にして約1.08%)であった。 東京高等裁判所における和解協議は,弁論が終結した後に行わ 賠償金が31億5562万5869円であるのに対して,弁護士報酬相当額が3419万0780円(割合にして約1.08%)であった。 東京高等裁判所における和解協議は,弁論が終結した後に行われたため,Bとの和解協議が決裂した後判決がされるまでの間に原告らが何らかの訴訟活動をしたことはなく,Bによる上告及び上告受理の申立てに対しても,最高裁判所において弁論が開かれることもなく決定がされたのであるから,原告らが訴訟活動に要した労力は,他の2社と比べてBについてのみ大きかったとはいえない。ところが,原告らが本訴において被告に対し支払を求める弁護士報酬相当額は2億5442万5500円であって,これは被告が回収した68億8332万1065円の約3.69%にも相当する金額であるから,上記和解においてC及びDが支払った弁護士報酬相当額に照らしても極めて高額であって相当ではない。 エ ① 弁護士報酬の一般的な算定方法に照らし,地方公共団体の回収額が増大すれば,これに対する弁護士報酬額の割合は逓減するのが相当であることや,② 地方自治法242条の2第7項に基づく弁護士報酬相当額は,住民と地方公共団体との間で報酬額の合意が成立しなければ,地方公共団体の意思にかかわらず,判決により強制的に決定されてしまうものであることからすれば,弁護士報酬相当額は,相当程度抑制され た金額とすべきである。 オ以上によれば,原告らの主張する金額は余りに高額であるといわざるを得ず,相当な額とはいえない。 第3 当裁判所の判断 1 地方自治法242条の2第7項の趣旨地方自治法242条の2の定める住民訴訟は,住民が,自己の個人的な権利利益の保護救済を求めて提起するものではなく,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的として,自 2条の2第7項の趣旨地方自治法242条の2の定める住民訴訟は,住民が,自己の個人的な権利利益の保護救済を求めて提起するものではなく,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的として,自己を含む住民全体の利益のために,いわば公益の代表者として提起するものであり,これに勝訴すると結果として普通地方公共団体の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が防止され又は是正されることになる。特に,同条1項4号の規定による住民訴訟は,住民が普通地方公共団体に代わって提起するものであり,この訴訟において住民が勝訴したときは,そこで求められた是正等の措置が本来普通地方公共団体の自ら行うべき事務であったことが明らかとなり,かつ,これにより普通地方公共団体が現実に経済的利益を受けることになるのであるから,住民がそのために費やした費用を全て負担しなければならないとすることは,衡平の理念に照らし適当とはいい難い。そこで,同条7項は,上記住民訴訟を提起した住民が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合に,当該住民訴訟の提起及び追行を委任した弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を普通地方公共団体に対して請求することができることとしたのである。 以上のような同項の立法趣旨に照らすと,同項にいう「相当と認められる額」とは,上記住民訴訟において住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定めら れるべきものと解するのが相当である(最高裁平成21年判決)。 2 認定事 ,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定めら れるべきものと解するのが相当である(最高裁平成21年判決)。 2 認定事実前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1) 本件報酬等基準規程(甲6)ア本件報酬等基準規程について,民事事件の訴訟事件の着手金及び報酬金は,経済的利益の額を基準として,それぞれ次のとおり算定することとされている(17条1項)。 経済的利益の額着手金報酬金300万円以下の部分 8% 16%300万円を超え3000万円以下の部分 5% 10%3000万円を超え3億円以下の部分 3% 6%3億円を超える部分 2% 4%したがって,経済的利益の額が3億円以上の場合,着手金,報酬金の標準額は,それぞれ次のとおりとなる(消費税は別途)。 (ア) 着手金経済的利益の額×2%+369万円(イ) 報酬金経済的利益の額×4%+738万円イ 17条1項の着手金及び報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができるとされている(同条2項)。 ウ民事事件につき同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,17条1項及び同条2項にかかわらず,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができるとされている(同条3項)。 (2) 原告らと本件受任弁護士らとの委任契約原告らは,本件受任弁護士らに対し,次の内容のとおりの委任契約を締結した。(甲4)ア原告らは,本件受任弁護士らに対し,本件住民訴訟の提 2) 原告らと本件受任弁護士らとの委任契約原告らは,本件受任弁護士らに対し,次の内容のとおりの委任契約を締結した。(甲4)ア原告らは,本件受任弁護士らに対し,本件住民訴訟の提起及び追行を委 任し,本件受任弁護士らはこれを受任する。 イ原告らは,本件受任弁護士らに対し,次のとおりの弁護士報酬等を支払うものとする。 (ア) 第1審着手金本件住民訴訟に勝訴した場合(勝訴判決のほか,訴訟上の和解による解決その他勝訴判決と同等の結果を得られた場合を含む。),被告及び一部事務組合に確保された経済的利益の額を基準に本件報酬等基準規程に基づき算定した着手金の標準額(消費税別途)(イ) 控訴審着手金控訴審の訴訟追行を行って上記(ア)の結果を得られた場合,被告及び一部事務組合に確保された経済的利益の額を基準に,本件報酬等基準規程に基づき算定した着手金の標準額(消費税別途)(ウ) 上告審着手金上告審の訴訟追行を行って上記(ア)の結果を得られた場合,被告及び一部事務組合に確保された経済的利益の額を基準に,本件報酬等基準規程に基づき算定した着手金の標準額(消費税別途)(エ) 報酬金本件住民訴訟に勝訴した場合(勝訴判決のほか,訴訟上の和解による解決その他勝訴判決と同等の結果を得られた場合を含む。),被告及び一部事務組合に確保された経済的利益の額を基準に,本件報酬等基準規程に基づき算定した報酬金の標準額(消費税別途)(オ) 諸費用上記(ア)の結果を得られた場合,本件住民訴訟の追行のために要した訴訟提起の印紙・郵券代,交通費,通信費,謄写代等の実費全額ウ本件住民訴訟に勝訴した場合(勝訴判決 ) 諸費用上記(ア)の結果を得られた場合,本件住民訴訟の追行のために要した訴訟提起の印紙・郵券代,交通費,通信費,謄写代等の実費全額ウ本件住民訴訟に勝訴した場合(勝訴判決のほか,訴訟上の和解による解決その他勝訴判決と同等の結果を得られた場合を含む。),原告らは,被 告及び一部事務組合に対し,地方自治法242条の2第7項に基づき,弁護士報酬を請求することとし,本件受任弁護士らはこれに協力し,請求の結果,被告及び一部事務組合から支払を受けた弁護士報酬額が上記イの算定額に満たない場合には,原告らが負担する金額は,実際に支払を受けた弁護士報酬額を限度とする。 (3) 本件住民訴訟の経緯ア第1審(ア) 請求の内容本件住民訴訟は,前提事実(2)アのとおり,(ア) Bについて,被告に対し138億4914万8250円及びこれに対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求め,(イ) Cについて,a 被告に対し68億8509万6750円並びに内金52億4473万4250円に対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金16億4036万2500円に対する平成10年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を,b 一部事務組合に対し29億9013万7500円及びこれに対する平成10年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をそれぞれ求め,(ウ) Dについて,被告に対し70億5678万7500円及びこれに対する平成7年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求めるとともに,東京都知事及び一部事務組合の管理者について,同人らが上記損害賠償金元金の各請求を怠っていることが違法であることを確認することを求め 日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求めるとともに,東京都知事及び一部事務組合の管理者について,同人らが上記損害賠償金元金の各請求を怠っていることが違法であることを確認することを求めるものである。 上記請求金額は,ストーカ炉の更新又は新設工事における想定落札価格が実際の落札価格よりも約23%低額であったことを前提として算定した損害額の一部として,実際の落札価格の15%に基づいて算定したものであった。(甲1) (イ) 審理経過等東京地方裁判所では,平成12年10月10日に第1回口頭弁論期日が開かれ,合計6回の口頭弁論期日が開かれたが,平成13年11月12日の第6回口頭弁論期日において本件を弁論準備手続に付する旨の決定がされ,平成13年12月11日から平成18年10月2日までの間に21回の弁論準備手続期日が開かれた。平成18年10月2日の第21回弁論準備手続期日において弁論準備手続を終結する旨の決定がされ,同年12月5日に第7回口頭弁論期日が開かれ,弁論が終結された。平成19年3月20日に第8回口頭弁論期日が開かれ,第1審判決の言渡しがされた。(甲9の1ないし29)(ウ) 争点本件住民訴訟の争点は,本案前の争点が,① 監査請求期間経過により訴えが不適法となるか否か,② 地方自治法242条の2第1項4号の怠る事実の存否(民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことが「怠る事実」に当たるか否か)であり,本案の争点が,③ 5社談合の有無,④ 5社談合と相当因果関係のある被告及び一部事務組合の損害額,⑤ 被告及び一部事務組合が前訴被告らに対し損害賠償請求権を行使しないことが違法であるか否かの5点である。 このうち,争点①については,そもそも談合をした指名業者らに対する不法行為 組合の損害額,⑤ 被告及び一部事務組合が前訴被告らに対し損害賠償請求権を行使しないことが違法であるか否かの5点である。 このうち,争点①については,そもそも談合をした指名業者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求に地方自治法242条2項の監査請求期間の規定が適用されるか否かが問題となったが,最高裁判所は,本件住民訴訟係属中の平成14年7月2日,本件受任弁護士らを含む弁護士らが上告代理人としてした別事件の上告受理申立てを受けて同事件を上告審として受理し,地方公共団体が談合した指名業者らに対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているのにその行使を怠っているとしてされた住民監査請求には地方自 治法242条2項の規定は適用されないとして,監査請求期間経過により訴えが不適法とはならないとする旨の判決をした(最高裁判所平成10年(行ヒ)第51号同14年7月2日第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁)ため,争点①は争点から除外された。 他方,争点②について,東京地方裁判所は,平成16年2月9日の第10回弁論準備手続期日において,金銭債権については存在する以上行使するのが原則であり,立証の困難性等を理由に債権を行使しないことが怠る事実に当たらないと解するのも困難であるなどとして,民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことが怠る事実に当たらないとの見解を採ることはできない旨明らかにした。 その結果,最終的には,争点③の5社談合の有無,争点④の5社談合と相当因果関係のある被告及び一部事務組合の損害額,争点⑤の被告及び一部事務組合が前訴被告らに対し損害賠償請求権を行使しないことが違法であるか否かの3点のみが争点として残り,原告らと前訴被告らとの間で,特に争点③及び争点④をめぐって,弁論終結時 ,争点⑤の被告及び一部事務組合が前訴被告らに対し損害賠償請求権を行使しないことが違法であるか否かの3点のみが争点として残り,原告らと前訴被告らとの間で,特に争点③及び争点④をめぐって,弁論終結時まで主張が大きく対立した。(甲1,9の1ないし29,10の1ないし28,12)(エ) 本件受任弁護士らの訴訟活動本件受任弁護士らは,頁数28頁の訴状に加え,合計13通,総頁数388頁の準備書面及び254点(ただし,枝番は除く。)の書証を提出した。また,本件受任弁護士らは,第1回口頭弁論において,冒頭意見陳述を行った。 本件受任弁護士らのうち通常3,4名が各口頭弁論期日及び各弁論準備手続期日に出頭し,各期日に出頭した代理人の延べ人数は106名であった。 また,本件受任弁護士らは,多数回にわたり,関連事件の弁護士らと共に弁護団会議を開催し,協議をした。(甲9の1ないし29,10の 1ないし28,11)(オ) 書証等の入手の経緯本件受任弁護士らは,平成13年7月23日の第5回口頭弁論期日において,本件審判事件の事件記録について,公正取引委員会に対し,文書送付嘱託の申立てをしたが,公正取引委員会が仮に申立てが採用されたとしても審判開始決定のみを送付する旨事前に回答したため,平成13年12月11日の第1回弁論準備手続期日において,同事件記録について文書提出命令の申立てをし,これをめぐって審理が続けられた。 その後,本件受任弁護士らは,下記(4)の関連訴訟の経緯を経て,本件審判事件の事件記録を謄写し,これを書証として,本件住民訴訟に提出した(なお,文書提出命令の申立ては,却下された。)。(甲9の5ないし28,10の5ないし28,11)(カ) 第1審判決本件住民訴訟の第1審判決は,争点③につい て,本件住民訴訟に提出した(なお,文書提出命令の申立ては,却下された。)。(甲9の5ないし28,10の5ないし28,11)(カ) 第1審判決本件住民訴訟の第1審判決は,争点③については,5社談合があった旨認定したが,争点④については,被告及び一部事務組合に損害が生じたことは認められるものの,損害の性質上その額を立証することは極めて困難といわざるを得ず,民事訴訟法248条により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき相当な損害額を算定すべきであるとした上で,健全な入札価格等は多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるから,落札率等の客観的指標に算定基準を求めることは困難であり,各工事の発注について指名見積合わせの方式によっているものもあり,このように損害額の算定が困難な中で前訴被告らに損害賠償義務を負わせる以上,当該賠償額の算定に当たってはある程度控えめな金額をもって相当とすることもやむを得ない側面があるとし,本件に現れた一切の諸事情を考慮して,5社談合によって被告及 び一部事務組合が被った損害額は,請負契約金額の5%に相当する金額をもって相当と認めると判断し,前提事実(2)ウ(イ)のとおり,aBについて,被告に対し44億0967万4750円及びこれに対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を命じ,bCについて,(a) 被告に対し21億9015万2375円並びに内金16億6940万2375円に対する平成6年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金5億2075万円に対する平成10年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を,(b) 一部事務組合に対し9億4925万円及びこれに対する平成10年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支 対する平成10年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を,(b) 一部事務組合に対し9億4925万円及びこれに対する平成10年1月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をそれぞれ命じ,cDについて,被告に対し22億2850万6225円及びこれに対する平成7年3月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を命ずるとともに,東京都知事及び一部事務組合の管理者について,同人らが上記損害賠償金元金の各請求を怠っていることが違法であることを確認した。(甲1)イ控訴審(ア) 控訴の趣旨等前訴被告らは,第1審判決の敗訴部分を不服として,その取消しを求めて控訴をし,原告らは,5社談合と相当因果関係のある被告及び一部事務組合の損害額は請負契約金額の15%とするのが相当であり,更に上記損害額の5%相当の弁護士費用を認めるべきであると主張して附帯控訴をした。 東京都知事及び一部事務組合の管理者は,控訴をせず,本件住民訴訟に対する訴訟参加もしなかった。(甲2,10の29,15の1)(イ) 審理経過等東京高等裁判所では,平成19年7月10日に第1回口頭弁論期日が 開かれ,合計5回の口頭弁論期日が開かれた。この間,第4回口頭弁論期日には,前訴被告らの申請による前訴被告らの各担当者3名の証人尋問が実施されたが,平成20年7月17日の第6回口頭弁論期日において,弁論が終結されるとともに,和解勧告がされた。平成20年9月8日に第1回目の和解期日が開かれ,その後,2回の和解期日と6回の進行協議期日を経て,平成21年4月3日の和解期日において,前提事実(2)エ(ウ)のとおり,aCが,(a) 本件の解決に当たり31億5702万1652円の支払義務があることを認め,被告に対し,上記金 行協議期日を経て,平成21年4月3日の和解期日において,前提事実(2)エ(ウ)のとおり,aCが,(a) 本件の解決に当たり31億5702万1652円の支払義務があることを認め,被告に対し,上記金員のうち31億2341万9314円(元金21億9015万2375円並びに内金16億6940万2375円に対する平成10年3月16日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員及び内金5億2075万円に対する平成12年4月5日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員)を,原告らに対し,上記金員のうち3360万2338円をそれぞれ支払い,(b) 本件の解決に当たり12億2505万2636円の支払義務があることを認め,一部事務組合に対し,上記金員のうち12億1048万8801円(元金9億4925万円及びこれに対する平成13年9月17日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員)を,原告らに対し,上記金員のうち1456万3835円をそれぞれ支払い,bDが,本件の解決に当たり,31億5562万5869円の支払義務があることを認め,被告に対し,上記金員のうち31億2143万5089円(元金22億2850万6225円及びこれに対する平成11年3月15日から平成19年3月20日まで年5分の割合による金員)を,原告らに対し,上記金員のうち3419万0780円をそれぞれ支払う旨の訴訟上の和解が成立した。 他方,Bは,裁判上の和解に応じなかったため,平成21年5月1 2日の第7回口頭弁論期日において控訴審判決の言渡しがされた。(甲2,15の1ないし8,16,乙1)(ウ) 争点第1審判決における争点のほかに,争点⑥として,被告及び一部事務組合の損害に関する遅延損害金の起算点が問題となった。(甲2) された。(甲2,15の1ないし8,16,乙1)(ウ) 争点第1審判決における争点のほかに,争点⑥として,被告及び一部事務組合の損害に関する遅延損害金の起算点が問題となった。(甲2)(エ) 本件受任弁護士らの訴訟活動本件受任弁護士らは,頁数15頁の附帯控訴状に加え,合計4通,総頁数103頁の準備書面及び11点(ただし,枝番を除く。)の書証を提出した。また,本件受任弁護士らは,第4回口頭弁論期日における3名の証人尋問に対しては,相当程度の時間を使って反対尋問を行った。 本件受任弁護士らのうちの2名ないし4名が各口頭弁論期日及び各和解期日に出頭し,各期日に出頭した代理人の延べ人数は35名であった。 (甲10の29ないし35,15の1ないし8,16,17,乙1)(オ) 控訴審判決本件住民訴訟の控訴審判決は,争点③の5社談合の有無について,5社談合があったと認定し,争点④の5社談合と相当因果関係のある被告及び一部事務組合の損害額について,請負契約金額の5%に相当する金額であると認定したが,争点⑥の被告の損害に関する遅延損害金の起算点については,Bの工事受注に係る契約締結日である平成6年7月14日ではなく同契約に基づき被告が代金額を支払った日であるとして,Bに対し,44億0967万4750円及びこれに対する平成10年11月16日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を命じた。(甲2)ウ上告審(甲3)(ア) 上告及び上告受理の申立ての趣旨Bは,控訴審判決を不服として,敗訴部分の取消しを求めて上告及び 上告受理の申立てをした。 (イ) 審理経過等口頭弁論等は開かれず,平成21年12月10日,最高裁判所による決定がされた。 (ウ) 本件受任弁護士らの訴訟活動 しを求めて上告及び 上告受理の申立てをした。 (イ) 審理経過等口頭弁論等は開かれず,平成21年12月10日,最高裁判所による決定がされた。 (ウ) 本件受任弁護士らの訴訟活動本件受任弁護士らは,上告及び上告受理の申立てがされて以降は,特段の訴訟活動を行っていない。 (エ) 最高裁判所による決定本件住民訴訟の最高裁判所による決定は,Bのした上告については,その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであり,民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に該当しないとして,上告を棄却し,上告受理の申立てについては,同法318条1項により受理すべきものとは認められないとして,本件を上告審として受理しないとした。 (4) 関連訴訟の経緯(甲5)ア本件審判事件の事件記録の謄写許可(ア) 本件受任弁護士らのうち原告Hは,平成12年7月21日,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律69条に基づき,本件審判事件の事件記録の謄写を申請した。 (イ) 公正取引委員会は,5社に対し,本件審判事件の事件記録のうち秘匿を要する部分につき照会した上,平成13年3月12日,上記(ア)の申請を許可した(以下「本件許可」という。)。 イ取消訴訟(ア) 5社は,本件許可及び別事件の住民訴訟の原告らによる本件審判事件の事件記録の謄写申請に対する許可(以下,併せて「本件各許可」という。)を不服として,公正取引委員会を被告として,本件各許可の 取消しを求める取消訴訟を東京地方裁判所に提起した(平成○年(行ウ)第○号,○号,平成○年(行ウ)第○号)。 原告Hと別事件の住民訴訟の原告らは,上記訴訟において,本件受任弁護士らを含む弁護士らに委任し,参加人として上記 所に提起した(平成○年(行ウ)第○号,○号,平成○年(行ウ)第○号)。 原告Hと別事件の住民訴訟の原告らは,上記訴訟において,本件受任弁護士らを含む弁護士らに委任し,参加人として上記訴訟の被告である公正取引委員会側に訴訟参加した。 (イ) 東京地方裁判所は,3回の口頭弁論を経て,平成13年10月17日,5社の請求を却下ないし棄却する旨の判決をした。 (ウ) 5社は,上記(イ)の第1審判決を不服として,控訴を東京高等裁判所に提起した(平成○年(行コ)第○号)。 (エ) 東京高等裁判所は,1回の口頭弁論を経て,平成14年6月5日,原判決を取り消し,本件各許可を取り消す旨の判決をした。 (オ) 公正取引委員会は,上記(エ)の控訴審判決に対して上告をしなかったが,原告Hと他の住民訴訟の原告らから委任を受けた本件受任弁護士らを含む弁護士らは,平成14年6月13日付けで上告受理申立てを行った(平成○年(行ヒ)第○号)。本件受任弁護士らを含む弁護士らは,同年8月12日付けで頁数12頁の上告受理申立理由書を最高裁判所に提出した。 (カ) 最高裁判所は,平成15年5月13日,同事件を上告審として受理する旨の決定をし,同年7月15日,口頭弁論を開き,原告Hは,頁数3頁の弁論要旨に基づき弁論を行った。 最高裁判所は,同年9月9日,原判決を破棄し,5社の控訴を棄却する旨の判決をした。(甲5,13,14の1・2)(5) 被告の回収額Bは,平成22年2月3日,被告に対し,損害賠償金元金44億0967万4750円及び遅延損害金24億7364万6315円の合計68億8332万1065円を支払った。 3 本件における弁護士報酬相当額の認定(1) 本件住民訴訟における事案 7万4750円及び遅延損害金24億7364万6315円の合計68億8332万1065円を支払った。 3 本件における弁護士報酬相当額の認定(1) 本件住民訴訟における事案の難易,本件受任弁護士が要した労力の程度及び時間ア前記2(3)ア(ウ)及びイ(ウ)のとおり,本件住民訴訟においては,5社談合の有無が主要な争点の1つであったところ,一般に談合は秘密裏に行われるものである上,これに関係した者も多数に及び,その証拠も散在しているものということができるところ,5社談合についてもその存在を示す証拠は少なく,同争点についてBとの間で主張が大きく対立していたため,本件受任弁護士らとしては,間接事実を積み重ねることによりこれを推認するという立証方法を採ることを余儀なくされたことがうかがわれる。そして,5社談合の立証のためには,本件審判事件の事件記録が重要な証拠であったというべきところ,本件審判事件の事件記録が本件住民訴訟に提出されるまでには,前記2(3)ア(オ)及び(4)のとおり,本件受任弁護士らにおいて文書送付嘱託の申立てをしたが,公正取引委員会が審判開始決定以外の事件記録を送付しない旨回答したために,文書提出命令の申立てをすることを余儀なくされたのみならず,原告Hにおいて上記事件記録の謄写申請をし,前記2(4)の関連訴訟に参加せざるを得なくなり,他の弁護士らも,原告Hからの委任を受けて関連訴訟のための訴訟活動を行うことになるなど,相当程度の労力を割くことをやむなくされていたものである。 さらに,前記2(3)ア(イ),イ(イ)及びウ(イ)のとおり,本件住民訴訟は,訴え提起から判決の確定まで9年以上もの年月を要し,審理期間は長期にわたっており,控訴審についてみても,第1回口頭弁論期日において結審することな イ),イ(イ)及びウ(イ)のとおり,本件住民訴訟は,訴え提起から判決の確定まで9年以上もの年月を要し,審理期間は長期にわたっており,控訴審についてみても,第1回口頭弁論期日において結審することなく,口頭弁論期日を重ね,各担当者3名の証人尋問まで実施されるに至っている。 このような事情に鑑みると,本件住民訴訟は,事案として複雑困難な 類型に属するものと認められる。 イこのように本件住民訴訟は複雑困難な類型に属するものであるところ,前記2(3)ア(エ)及びイ(エ)のとおり,この間,本件受任弁護士らは,多数の準備書面及び書証を提出し,証人尋問においては相当程度の時間を使って反対尋問を行い,各期日において必ず複数名が出席しており,さらに,多数回にわたり弁護団会議を開催し,協議をしているのであって,相当程度の労力及び時間を要したものと認められる。 また,前記2(4)のとおり,本件受任弁護士らは,5社談合の立証のための重要な証拠である本件審判事件の事件記録を本件住民訴訟に提出するために,本件審判事件の事件記録の謄写を申請し,謄写を認める旨の最高裁判所の判決を得るまで本件許可の取消訴訟に終始参加し又はそのための訴訟活動を行っており,これについても相当程度の労力及び時間を要したものというべきであるが,その労力及び時間は,本件住民訴訟に密接に関わるものとして本件住民訴訟において考慮されるべきものといえる(なお,前記2(3)ア(ウ)で言及した監査請求期間経過により訴えが不適法となるか否かについての最高裁判所の判決に関する本件受任弁護士らの労力及び時間については,あくまで別訴での労力及び時間と評価すべきものであるから,本件住民訴訟において考慮するのは相当ではない。)。 (2) 本件住民訴訟の判決において認容された額,本件住 らの労力及び時間については,あくまで別訴での労力及び時間と評価すべきものであるから,本件住民訴訟において考慮するのは相当ではない。)。 (2) 本件住民訴訟の判決において認容された額,本件住民訴訟の判決の結果,被告が回収した額前記2(3)イ(オ)及びウ(エ)のとおり,本件住民訴訟のうちBを被告とするものについて,判決において認容された額は44億0967万4750円及びこれに対する平成10年11月16日から支払済みまで年5分の割合による金員であり,前記2(5)のとおり,本件住民訴訟の判決の結果,被告が回収した額は損害賠償金元金44億0967万4750円及び遅延 損害金24億7364万6315円の合計68億8332万1065円である。 したがって,被告が本件住民訴訟の判決の結果回収した金額は,68億8332万1065円であり,被告は現実にこれだけの経済的利益を受けたものということができる。 (3) 住民訴訟の性格前記1のとおり,住民訴訟は,住民が,自己の個人的な権利利益の保護救済を求めて提起するものではなく,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的として,自己を含む住民全体の利益のために,いわば公益の代表者として提起するものであり,地方自治法242条の2第7項も,住民が地方公共団体に請求できる金額を訴訟を委任した弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額にとどめていることからすれば,弁護士報酬額が余りに多額になることは相当でない。そもそも,住民訴訟の原告とその代理人弁護士の間についてみても,訴訟代理人が,住民訴訟を受任するに際し,地方財務行政の適正化という住民訴訟の目的に反するような高額の弁護士報酬額の支払を依頼者である原告に対して求めることは予定されておらず,通常の民 いてみても,訴訟代理人が,住民訴訟を受任するに際し,地方財務行政の適正化という住民訴訟の目的に反するような高額の弁護士報酬額の支払を依頼者である原告に対して求めることは予定されておらず,通常の民事訴訟における弁護士報酬額に比べて,住民訴訟の提起・追行に係る報酬額を低額とすることも予定されているものと考えられる。このことは,前記2(2)ウのとおり,原告らと本件受任弁護士らとの間の委任契約において,被告から支払を受けた弁護士報酬相当額が本件報酬等基準規程により算定した金額に満たない場合には,原告らが負担する金額を実際に支払を受けた弁護士報酬額に限定していることからもうかがうことができるものというべきである。 (4) 本件報酬等基準規程による報酬額及び消費税原告らが本件受任弁護士らに支払うべき弁護士報酬額は,本件報酬等基準規程に基づく報酬額及び消費税である(ただし,前記2(2)ウのとおり の限定がある。)。 事件の内容による増減額等を考慮せず,被告の受けた経済的利益を基に本件報酬等基準規程をそのまま適用した場合に報酬額及び消費税がいくらになるかを算定すると,次のとおりとなる。 なお,前記(2)のとおり,被告の回収額は68億8332万1065円であるから,経済的利益は,原告らの主張のとおり,68億8300万円とする。 アまず,本件報酬等基準規程17条1項に基づき算定する。 (ア) 第1審の着手金68億8300万円×0.02×369万円=1億4135万円(イ) 控訴審の着手金1億4135万円(ウ) 報酬金68億8300万円×0.04+738万円=2億8270万円(エ) 合計1億4135万円+1億4135万円 1億4135万円(ウ) 報酬金68億8300万円×0.04+738万円=2億8270万円(エ) 合計1億4135万円+1億4135万円+2億8270万円=5億6540万円(オ) 上記(エ)の金額に消費税を加算した金額は,5億9367万円となる。 イ次に,本件受任弁護士らについて,第1審と控訴審とでは代理人がほぼ重複していることから(甲1,2),本件報酬等基準規程17条3項に基づき,控訴審の着手金について,50%を減額して算定する。 (ア) 第1審の着手金1億4135万円(イ) 控訴審の着手金1億4135万円×0.5=7067万5000円 (ウ) 報酬金2億8270万円(エ) 合計1億4135万円+7067万5000円+2億8270万円=4億9472万5000円(オ) 上記(エ)の金額に消費税を加算した金額は,5億1946万1250円となる。 (5) 判断ア上記(4)のとおり,被告の受けた経済的利益を基に本件報酬等基準規程をそのまま適用して報酬額及び消費税の額を計算すると,その額は5億円を超える額となる。 確かに,本件における弁護士報酬相当額の認定に当たって被告の受けた経済的利益は重要な考慮要素であるというべきであるが,被告の受けた経済的利益は実に68億円余りと極めて高額なものであって(上記(2)),弁護士の訴訟活動の労力の多寡,難易度と訴訟により依頼者が得る経済的利益との間に完全な比例関係があるわけではないことからすると,この経済的利益を弁護士報酬相当額の認定において重視しすぎることは相当でないといわざるを得な の多寡,難易度と訴訟により依頼者が得る経済的利益との間に完全な比例関係があるわけではないことからすると,この経済的利益を弁護士報酬相当額の認定において重視しすぎることは相当でないといわざるを得ない。また,住民訴訟が他の通常の訴訟とは異なって公益的な性格を有すること(上記(3))からすれば,本件報酬等基準規程をそのまま適用することは相当とはいえず,本件における弁護士報酬相当額が上記金額から大幅に減額されることはやむを得ないというべきである(この観点からは,本件住民訴訟におけるB以外の被告との間の和解において定められた弁護士報酬相当額が低額にとどまっていること(後記イ(ア)参照)も考慮すべき事情の一つといえよう。)。 もっとも,本件住民訴訟が複雑困難な類型に属し,本件受任弁護士ら が相当程度の時間及び労力を要したものというべきこと(上記(1))は弁護士報酬相当額の認定に当たって十分に考慮されるべきである。また,他の住民訴訟の判決における地方公共団体の受けた経済的利益に対する弁護士報酬相当額の比率について,経済的利益の額が20億円を超える例でみると(上記のとおり弁護士の訴訟活動の労力の多寡等と依頼者が得る経済的利益との間に完全な比例関係があるわけではなく,弁護士報酬額の上昇の割合は経済的利益の上昇の割合に比し逓減していくものと認められることからこれらの判決を検討してみる。),約2.31%(43億1455万0068円の経済的利益に対して弁護士報酬相当額は1億円,甲21)ないし約3.09%(22億5949万5921円の経済的利益に対して弁護士報酬相当額は7000万円,甲20)であり,これらの判決と比較した場合に,本件における弁護士報酬相当額について,その比率に大幅な差異が生ずるのも相当とはいえない。 以上の事情を に対して弁護士報酬相当額は7000万円,甲20)であり,これらの判決と比較した場合に,本件における弁護士報酬相当額について,その比率に大幅な差異が生ずるのも相当とはいえない。 以上の事情を総合的に考慮すると,本件における弁護士報酬相当額は,これを1億5000万円(68億8332万1065円の経済的利益に対する比率は,約2.17%)と算定するのが相当である。 イ当事者の主張について(ア) 被告は,本件住民訴訟においては,B以外にC及びDも被告となっており,C及びDとの間では訴訟上の和解が成立し,これら2社が支払った損害賠償金の一部が弁護士報酬相当額として直接原告らに支払われているところ,その金額は,Cが2か所の工事について支払った損害賠償金が31億5702万1652円,12億2505万2636円であるのに対して,弁護士報酬相当額が3360万2338円(割合にして約1.06%),1456万3835円(割合にして約1.18%),Dが支払った損害賠償金が31億5562万5869円であるのに対して,弁護士報酬相当額が3419万0780円(割 合にして約1.08%)であったとし,本件についても,上記和解金額を上回るような水準で弁護士報酬相当額が算定されるべきではないと主張する。 しかしながら,そもそも訴訟上の和解は,判決に至った場合の認容額のみならず,紛争の早期解決や双方当事者が現実に和解することのできる条件等の様々な事情を考慮した上で成立するものであり,上記和解における弁護士報酬相当額についても,被告が回収することのできた損害賠償金額のみを基準として算定されたものとは解されない。 したがって,上記和解金額を一事情として考慮することを超えて,その水準を上回る算定がされるべきではないとする被告の主張は採用 とのできた損害賠償金額のみを基準として算定されたものとは解されない。 したがって,上記和解金額を一事情として考慮することを超えて,その水準を上回る算定がされるべきではないとする被告の主張は採用することができない。 (イ) 被告は,地方自治法242条の2第7項に基づく弁護士報酬相当額は,住民と地方公共団体との間で報酬額の合意が成立しなければ,地方公共団体の意思にかかわらず,判決により強制的に決定されてしまうものであることからすれば,弁護士報酬相当額は,相当程度抑制された金額とすべきであるとも主張する。 しかしながら,住民訴訟の性格は既に前記(3)で考慮済みであって,それとは別に上記の被告の主張が弁護士報酬相当額の算定に影響するものとはいえない。 したがって,被告の主張は採用することができない。 (ウ) 原告らは,本件住民訴訟は不法行為に基づく損害賠償請求事件であり,被告が原告らに支払う弁護士報酬相当額と不法行為との間に相当因果関係があると認められ,被告が原告らに支払う弁護士報酬相当額のうち,少なくともその一部は本件住民訴訟の被告であったBに請求することができるから,かかる事情も本件の弁護士報酬相当額を決定する上で十分考慮されるべきであると主張する。 しかし,仮に原告らの主張するとおり,被告が原告らに支払う弁護士報酬相当額をBに請求することができるとしても,弁護士報酬相当額の算定は求償の可否とは別の問題というべきであるから,上記の原告らの主張が弁護士報酬相当額の算定に影響するものとはいえない。 したがって,原告らの主張は採用することができない。 4 遅延損害金の起算点について地方自治法242条の2第7項に基づく被告の相当な弁護士報酬額の支払義務は期限の定 ない。 したがって,原告らの主張は採用することができない。 4 遅延損害金の起算点について地方自治法242条の2第7項に基づく被告の相当な弁護士報酬額の支払義務は期限の定めのない債務と解するべきであり,そうであるとすると,被告が原告らから履行の請求を受けた時から遅滞に陥ることになる(民法412条3項)。 原告らは,平成24年2月10日付けで,「ご連絡」と題する文書(以下「本件文書」という。)を被告代表者である東京都知事宛てに送付し,もって被告に対し弁護士報酬の支払を請求したとして,同請求により,被告が履行遅滞に陥った旨主張し,他方,被告は,本件文書の送付が請求に当たらない旨主張する。 そこで,検討するに,証拠(甲8)によれば,本件文書は,「ご連絡」との標題の下,本文において,「以下の見解に基づき本件事件の報酬を請求させていただきます。」「以上によりますと,本件事件の弁護士報酬は2億4231円(消費税を除く)となります。したがいまして,この金額を請求させていただきます。」との記載があり,被告に対し,明確に請求の意思表示をしていることが認められるのであって,本件文書の送付は請求に当たるというべきである。 したがって,本件の弁護士報酬の遅延損害金の起算点は,原告らの主張するとおり,本件文書の送付の後の日である平成24年2月13日とするのが相当である。 5 以上によれば,原告らの請求は,1億5000万円及びこれに対する平成2 4年2月13日から支払済みまで年5分の割合による金員の原告ら各自に対する支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容することし(なお,原告らの各請求に係る債権は,その性質上,不可分債権である。),その余の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負 する支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容することし(なお,原告らの各請求に係る債権は,その性質上,不可分債権である。),その余の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文,65条1項本文,61条を適用して,主文のとおり判決する(なお,仮執行宣言を付することは相当でないので,これを付さないこととする。)。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官日暮直子 裁判官佐野義孝 関係法令の定め 1 地方自治法242条の2第1項4号は,普通地方公共団体の住民は,住民監査請求をした場合において,監査委員の監査の結果に不服があるとき等は,裁判所に対し,住民監査請求に係る怠る事実につき,訴えをもって普通地方公共団体に代位して行う怠る事実に係る相手方に対する損害賠償の請求をすることができる旨定めている。 2 地方自治法242条の2第7項は,同条1項4号の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において,弁護士に報酬を支払うべきときは,普通地方公共団体に対し,その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる旨定めている。

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