○ 主文原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴詮費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。○ 事実控訴代理人は主文と同旨の判決を求め、被控訴代理人に「1本件控訴を棄却する。2控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり訂正・付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。一訂正 1 原判決二枚目裏八行目中の「二万八五〇円」を「一万四、八五〇円」に、一一行目冒頭の「一万二、〇〇C円」を「○万六、〇〇〇円」にそれぞれ変更する。9 同六枚目裏一一行目から一二行目にかけての「、確定申告税額、更正所得税額」を削除する。3 同七枚目表一行目から二行目にかけての「、確定申告税額は一万四、八五〇円、更正所得税額は一〇万六、〇〇〇円」を削除する。二控訴人の主張 1 大阪国税局管内八三税務署のうち、大阪・京都・神戸の各市内、その近郊都市及び県庁所在地を管轄する四三税務署管内における個人企業の食堂経営者について昭和三九年分所得税の実額調査を行つた事例(実地調査を行つた青色申告者及び収入支出の実額調査を行つた白色申告者のうち、年の途中で開廃業したもの、他の業種を兼業してこれらの区別計算ができないもの、収集時において不服申立等で所得等が確定していないものを除き、全部)を収集整理したところ、別紙三九年分食堂実調同業者一覧表のとおりとなり、その平均差益率に四六・六四%、平均所得率は三二・九五%(以下、両者合せて実調率という)である。2 そこで、実調率によつて、被控訴人の昭和三九年分の所得金額を算定すると、次のとおり、一、四一一、九五八円となるから、右金額の範囲内でなされた本件更正は適法である。(一) 売上金額五、一〇一、〇九一円売上原価2、723、983円÷(1-差益率0 額を算定すると、次のとおり、一、四一一、九五八円となるから、右金額の範囲内でなされた本件更正は適法である。 ・九五%(以下、両者合せて実調率という)である。2 そこで、実調率によつて、被控訴人の昭和三九年分の所得金額を算定すると、次のとおり、一、四一一、九五八円となるから、右金額の範囲内でなされた本件更正は適法である。(一) 売上金額五、一〇一、〇九一円売上原価2、723、983円÷(1-差益率0 額を算定すると、次のとおり、一、四一一、九五八円となるから、右金額の範囲内でなされた本件更正は適法である。(一) 売上金額五、一〇一、〇九一円売上原価2、723、983円÷(1-差益率0.466)=売上金額5、101、091円(二) 一般経費六九八、八四九円差益率0.466-所得率0.329=一般経費率0.137売上金額5、101、091円×一般経費率0.137=一般経費698、849円(三) 所得金額一、四一一、九五九円売上金額5、101、091円-売上原価2、723、983円-一般経費698、849円-雇人費180、000円-事業専従者控除額86、300円=所得金額1、411、959円三被控訴人の主張 1 控訴人の前記1、2の主張は否認する。四証拠関係(省略)○ 理由一被控訴人の請求原因1ないし3に記載の事実は、被控訴人の営業場所の点を除き、当事者間に争いがない。二そこで、本件更正に被控訴人主張のような違法があるかどうかの点について判断する。1 請求原因5ないし7に記載の禁反言の原則違反・比例原則違背・税務訴訟の審判対象及び判断資料・調査に基づかずになされた違法に関する各主張について右各主張に対する判断は、原判決理由記載の判断説示のうち、関係部分(原判決二〇枚目裏一〇行目から二三枚目裏一〇行目まで)と同一であるから、これを引用する。2 本件更正額の認定について(一) 被控訴人は、控訴人が昭和三七、八年分の所得の認定の際、被控訴人の記帳を採用しないで、その記帳意欲を喪失せしめ、結局被控訴人の記帳慣行を廃せしめたものであるから、推計課税によることは許されないし、かつ、控訴人が被控訴人提示の昭和三七、八年分諸帳簿及び収支内訳明細書並びにこれに基づき推定作成した昭和三九年分収支内訳明 人の記帳慣行を廃せしめたものであるから、推計課税によることは許されないし、かつ、控訴人が被控訴人提示の昭和三七、八年分諸帳簿及び収支内訳明細書並びにこれに基づき推定作成した昭和三九年分収支内訳明細書(甲第五号証)により、被控訴人の所得を十分推計し得たにもかかわらず、これらを無視して訴外aの損益計算書(乙第一号証)等から右所得を推計したのは違法である旨主張する。 き推定作成した昭和三九年分収支内訳明 人の記帳慣行を廃せしめたものであるから、推計課税によることは許されないし、かつ、控訴人が被控訴人提示の昭和三七、八年分諸帳簿及び収支内訳明細書並びにこれに基づき推定作成した昭和三九年分収支内訳明細書(甲第五号証)により、被控訴人の所得を十分推計し得たにもかかわらず、これらを無視して訴外aの損益計算書(乙第一号証)等から右所得を推計したのは違法である旨主張する。しかしながら、原審における被控訴本人の供述によると、被控訴人が昭和三九年分の記帳をしなかつたのは被控訴人主張のような事由によるものではないことが窺われ、また、被控訴人主張の前記収支内訳明細書(甲第五号証)では所得の実額把握は到底不可能であつて、被控訴人が控訴人に所得の実額把握について協力したことの認められない本件においては、控訴人は被控訴人の昭和三九年分の所得について推計課税によらざるを得ない必要性があるというべきであるから、被控訴人の右主張はいずれも理由がない。(二) 推計課税は、所得金額又は損失金額の実額が把握できない場合に、推計により得た蓋然的近似値を一応真実の所得金額又は損失金額と認定して課税する制度であるから、納税者と対比すべき同業者の事業規模は、当該納税者のそれと細部の点に至るまで完全に一致する必要はなく、その主要な点において、例えば、本件のような食堂経営者にあつては、営業場所(立地条件)・営業(客席)面積・店内設備・従業員数・販売品目・販売価格・仕入金額等の点において、類似しておれば足りるものであり、なお、同一地区で他に正確な資料を有する同業者のない場合には、青色申告者のような資料の正確性の認められる同業の一業者だけと対比することも許されると解するのが相当であるところ、成立に争いのない乙第三号証の一、二、原審における被控訴本人の供述により真正に成立したものと認め のような資料の正確性の認められる同業の一業者だけと対比することも許されると解するのが相当であるところ、成立に争いのない乙第三号証の一、二、原審における被控訴本人の供述により真正に成立したものと認められる甲第五号証、原審証人bの証言により真正に成立したものと認められる乙第一号証、原審証人cの証言により真正に成立したものと認められる乙第四号証、原審証人dの証言により真正に成立したものと認められる乙第五号証、原審証人c、同d、当審証人e、同fの各証言、原審における被控訴本人の供述並びに弁論の全趣旨を綜合すると、(1) 同業者の選定控訴人は昭和三九年における管内の青色申告にかかる食堂経営者一二名のうちから、被控訴人と専門の異なる業者(洋食・中華料理・そば・うどん・レストラン)を除外したところ、a一名だけとなつたので、aを被控訴人の同業者として選定したこと、(2) 営業場所(立地条件)・営業(客席)面積被控訴人に昭和三七年一月から大阪市<以下略>において「g」の屋号で営業面積一〇坪(三三m2)の大衆食堂を経営し、aも昭和二六年頃から同区<以下略>において「h」の屋号で営業面積約一二坪(三九・六m2)の大衆食堂を営んでおり、右両店舗は通りを三つ隔てた近所にあつて、ともに百貨店三越大阪店に近く、かつ、大阪船場のビジネス街の中心にあること、(3) 店内設備被控訴人の店では、四人掛と二人掛のテーブル各三個宛のほか、四人用座敷席三個を有し、aの店では、四人掛テ-ブル七台、二人掛テーブル一台を有し、ともに計三〇人を収容できること、(4) 従業員数・顧客の質・経験年数・営業時間被控訴人の店でに、昭和三九年当時平均五名、うち一名は男の板前、二名は家族(妻・三女)であつたのに対し、aの店では、五名、うち一名は家族(夫)であつたこと、昭和三九年当時、被 店内設備被控訴人の店では、四人掛と二人掛のテーブル各三個宛のほか、四人用座敷席三個を有し、aの店では、四人掛テ-ブル七台、二人掛テーブル一台を有し、ともに計三〇人を収容できること、(4) 従業員数・顧客の質・経験年数・営業時間被控訴人の店でに、昭和三九年当時平均五名、うち一名は男の板前、二名は家族(妻・三女)であつたのに対し、aの店では、五名、うち一名は家族(夫)であつたこと、昭和三九年当時、被 質・経験年数・営業時間被控訴人の店でに、昭和三九年当時平均五名、うち一名は男の板前、二名は家族(妻・三女)であつたのに対し、aの店では、五名、うち一名は家族(夫)であつたこと、昭和三九年当時、被控訴人は開店後僅か三年目にしかならなかつたものの、従業員中に材料の仕入・調理等に通じた男の板前一名がいたのに対し、aは開店後既に一三年に及んでいたものの、従業員中に板前はいなかつたこと、ともに殆んど付近の会社員が顧客であつたが、aの店では殆んど固定客であつたこと、被控訴人の店では、正午前から夏場は午後七時、冬期は六時まで、aの店では、午前一一時半頃から午後八時頃までであり、ともに出前はしていなかつたこと、(5) 販売品目・販売価格aの店では、玉子丼一〇〇円、天丼一五〇円、親子丼一〇〇円、焼飯一〇〇円で販売していたのに対し、被控訴人の店では、玉子丼一三〇円、天丼一五〇円、親子丼一五〇円、焼飯一三〇円で販売していたが、ジユース・ビール等はともに同価格で販売していたこと、なお、被控訴人の店では、aの店で取扱つていない「うどん五〇円」「そば五〇円」等の麺類その他和定食等も販売していたこと、(6) 仕入金額(昭和三九年)被控訴人の店では、二七二万三、九八三円であるのに対し、aの店では、二九九万七、五二五円であること、(7) 営業用電気・瓦斯・水道料金(昭和三九年)被控訴人の店では、合計一七万八、九九〇円と計上しているのに対し、aの店では、合計一七万三五〇円と計上していること、が認められ、以上の事実によると、aは被控訴人と同規模・同程度の極めて類似した同業者であると認めるのが相当であるから、aの営業における差益率・一般経費率に基づいて、被控訴人の昭和三九年の所得を推計することは合理的であるといわなければならない。被控訴人は、被控訴人の店は、客席の 者であると認めるのが相当であるから、aの営業における差益率・一般経費率に基づいて、被控訴人の昭和三九年の所得を推計することは合理的であるといわなければならない。 被控訴人と同規模・同程度の極めて類似した同業者であると認めるのが相当であるから、aの営業における差益率・一般経費率に基づいて、被控訴人の昭和三九年の所得を推計することは合理的であるといわなければならない。被控訴人は、被控訴人の店は、客席の 者であると認めるのが相当であるから、aの営業における差益率・一般経費率に基づいて、被控訴人の昭和三九年の所得を推計することは合理的であるといわなければならない。被控訴人は、被控訴人の店は、客席の配置不良、一品の最低価格が五〇円程度であること、固定客のないこと、経験年数の少いこと等のため、差益率が低く、aの店とは類似していない旨主張するけれども、大衆食堂においては客席の配置不良や固定客のないことは利潤の低下につながるものとはいえず、販売価格の安いものは通常その仕入価格も安く必ずしも薄利とは限らないし、また、被控訴人の店では従業員中に男の板前一名がいて、材料の仕入・調理等に当り経験年数の不足を補つていたことが窺われるから、被控訴人の右主張もまた理由がない。そして、被控訴人の昭和三九年における仕入金額(売上原価)が二七二万三、九八三円であることは当事者間に争いがなく、控訴人主張の被控訴人の同年の雇人費が一八万円、事業専従者控除額が八万六、三〇〇円であることは被控訴人の明らかに争わないところ、前記乙第一号″証によると、aの昭和三九年の売上金額は五一一万八、八八九円、差益金額は二一一万九、八四四円、一般経費額は四九万九、六五八円であることが認められ、右各金額により算出したaの同年の差益率は四一・四%(差益金額2、119、844円/売上金額5、118、889)、一般経費率は九・八%(一般経費額499、658円/売上金額5、118、889円)であつて、右差益率は控訴人主張の実調率(平均差益率)を五%余りも下廻ることが明らかであるから、aの右各率に基づいて、被控訴人の昭和三九年の所得金額を推計すると、次のとおり一二〇万二、六〇六円となることが計数上明らかである。(1) 売上金額四、六四八、四三五円売上原価2、723、983円÷(1-差益率0 、被控訴人の昭和三九年の所得金額を推計すると、次のとおり一二〇万二、六〇六円となることが計数上明らかである。(1) 売上金額四、六四八、四三五円売上原価2、723、983円÷(1-差益率0.414)=売上金額4、648、435円(2) 一般経費四五五、五四六円売上金額4、648、435円×一般経費率9.8%=一般経費455、546円(3) 所得金額一、二〇二、六〇六円売上金額4、648、435円-売上原価2、723、983円-一般経費445、546円-雇人費180、000円-事業専従者控除額86、300円=所得金額1、202、606円(三) したがつて、本件更正は、右所得金額の範囲内でなされたものであつて、他にこれを取消すべき瑕疵も認められないから相当であるといわなければならない。 一般経費率9.8%=一般経費455、546円(3) 所得金額一、二〇二、六〇六円売上金額4、648、435円-売上原価2、723、983円-一般経費445、546円-雇人費180、000円-事業専従者控除額86、300円=所得金額1、202、606円(三) したがつて、本件更正は、右所得金額の範囲内でなされたものであつて、他にこれを取消すべき瑕疵も認められないから相当であるといわなければならない。三してみると、本件更正及びこれに基づく過少申告加算税賦課決定には何らの違法もなく、その取消を求める被控訴人の請求は理由がないから失当であるというべきである。四以上の次第で、被控訴人の請求は棄却すべきところ、これと趣旨を異にする原判決に不当であつて、本件控訴は理由があるから、民事訴訟法第三八六条により原判決を取消して被控訴人の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき同法第九六条第八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判官増田幸次郎仲西二郎三井喜彦)(別表省略)
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