平成27(ネ)983 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成29年6月1日 名古屋高等裁判所 名古屋地方裁判所 平成24(ワ)4022
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判決文本文11,773 文字)

平成29年6月1日判決言渡名古屋高等裁判所平成27年(ネ)第983号,平成29年(ネ)第111号損害賠償請求控訴同附帯控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成24年(ワ)第4022号) 主文 1 本件控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 (1) 被控訴人は,控訴人に対し,2348万1350円及びこれに対する平成17年8月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 控訴人のその余の請求(当審における請求拡張部分を含む。)を棄却する。 2 本件附帯控訴を棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審を通じて控訴人及び被控訴人に生じた費用総額の5分の1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。 4 この判決の主文第1項(1)は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 被控訴人は,控訴人に対し,1億2170万3425円及びこれに対する平成17年8月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 本件附帯控訴を棄却する。 (4) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 (5) 仮執行宣言 2 被控訴人 (1) 原判決中,被控訴人敗訴部分を取り消す。 (2) 上記取消しにかかる控訴人の請求を棄却する。 (3) 本件控訴を棄却する。 (4) 訴訟費用は第1,2審とも控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,被控訴人が所有し,一審相被告A(以下「A」という。)が運転する普通貨物自動車(以下「被控訴人車両」という。)が,控訴人が同乗し,Bが運転する普通乗用自動車(以下「控訴人車両」という。)に追突した交通事故について,控訴人が,被控訴 下「A」という。)が運転する普通貨物自動車(以下「被控訴人車両」という。)が,控訴人が同乗し,Bが運転する普通乗用自動車(以下「控訴人車両」という。)に追突した交通事故について,控訴人が,被控訴人及びAに対し,本件事故により高次脳機能障害,脳脊髄液減少症,胸郭出口症候群に罹患し後遺障害が残存した等と主張して,Aに対し民法709条,被控訴人に対し民法715条及び自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき,連帯して,損害賠償金1億2168万5662円及びこれに対する不法行為の日である平成17年8月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は,控訴人の請求につき,133万2255円及びこれに対する平成17年8月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度でこれを認容し,その余を棄却したところ,控訴人が控訴し(当審において請求を拡張し,また,Aに対しては,その後控訴を取り下げた。),被控訴人が附帯控訴した。 2 前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張は,以下のとおり被控訴人の当審における主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決中の「被告A」を「A」と,「被告ら」を「被控訴人及びA」と読み替える。その他,略称は,特に断りのない限り原判決の表記に従う。以下同様。)。 3 被控訴人の当審における主張-弁済被控訴人は,原判決言渡後の平成27年11月13日,原判決で認容された元金133万2255円及びこれに対する支払済みまで年5分の割合による遅延損害金68万2004円の合計201万4259円を任意に支払った。 よって,被控訴 年11月13日,原判決で認容された元金133万2255円及びこれに対する支払済みまで年5分の割合による遅延損害金68万2004円の合計201万4259円を任意に支払った。 よって,被控訴人の控訴人に対する残債務は存在しない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,控訴人の請求は,2348万1350円及びこれに対する平成17年8月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきであり,その余は棄却すべきものと判断するが,その理由は,次のとおり付加訂正するほか,原判決「事実及び理由」の「第3 争点に対する判断」1ないし7に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の付加訂正(1) 原判決14頁20行目の「2度にわたり」の次に「強い」を付加する。 (2) 原判決15頁7行目の「頭痛を」の前に「特に意識して」を付加する。 (3) 原判決16頁8行目の「同年9月」の次に「1日までには頭痛(乙11の12頁),同月」を付加する。 (4) 原判決16頁10行目末尾の次に,次のとおり付加する。 「なお,C整形外科の医師は,D病院の医師に宛てた同年8月30日付け初診時回答書(乙11の2頁)において,同月26日に受診した控訴人は,本人の頭部の訴えが強いので脳外科へ紹介予定である旨を記載している。」(5) 原判決16頁19行目の「なく,」から21行目末尾までを次の とおり改める。 「なかった。同年10月31日には,買い物に行って歩いた時,後頭部のつっぱり感がある旨を訴えている。」(6) 原判決16頁25行目の「訴える」の前に「明確に」を付加する。 (7) 原判決25頁9行目の「原告が」から10行目の「また」までを「控訴人は,控訴人車の前後の損傷状況(乙2の えている。」(6) 原判決16頁25行目の「訴える」の前に「明確に」を付加する。 (7) 原判決25頁9行目の「原告が」から10行目の「また」までを「控訴人は,控訴人車の前後の損傷状況(乙2の写真番号2,3)等からしても,本件事故の際に2度にわたり相当程度強い衝撃を受けたものと認められ,渋滞時であったとはいえ,高速道路上での事故であることからすると,体感速度よりも速い速度であったとも考えられるから,頭部を車内で打った可能性も否定できないところではあるが」と改め,11行目の「頭痛を」の前に「未だ明確には」を付加する。 (8) 原判決27頁14行目末尾を改行した次に,次のとおり付加する。 「 控訴人は,当審においても,E医師の所見により控訴人が高次脳機能障害を発症したものと認められるべきである旨を強く主張するが,E医師の所見及び控訴人の主張は,本件事故直後における控訴人の客観的状況と大きく異なる控訴人の供述を踏まえたものでもあることからすると,控訴人の主張するF医師の党派的属性の有無如何にかかわらず,控訴人が高次脳機能障害を発症していたと認定することは困難といわざるを得ない。」(9) 原判決33頁25行目冒頭から38頁10行目末尾までを次のとおり改める。 「ア前記認定によれば,控訴人は,本件事故後,G病院,H病院及びI病院において,いずれも脳脊髄液減少症(なお,ここでは便宜上「低髄液圧症候群」,「脳脊髄液圧症候群」,「脳脊髄液漏出症」等の総称として「脳脊髄液減少症」の名称を用いることとする。)の臨床診断を受け,3度にわたるブラッドパッチ治療に より,完治はしていないものの,一時的ないし長期的にみて,その症状がある程度軽減又は改善されたことが認められる。 これに対し,被控訴人は,F医師の意見書(乙4)に依拠して, パッチ治療に より,完治はしていないものの,一時的ないし長期的にみて,その症状がある程度軽減又は改善されたことが認められる。 これに対し,被控訴人は,F医師の意見書(乙4)に依拠して,控訴人に脳脊髄液減少症が発症したことを否定し,主として,控訴人には起立性頭痛が生じていないこと,髄液漏れの画像所見が存しないことを主張するので,以下,この点について検討する。 イ起立性頭痛について前記1(2)ア,イのとおり,控訴人は本件事故直後,明確に頭痛を訴えることはなかったものの,同ウのとおり,本件事故から10日余り後には,医師に対して強く頭痛を訴えていることが診療記録上も認められる。また,控訴人は,本件事故により,頚部や腰部など,身体の他の箇所にも強い痛みや痺れを訴えており,特に,目眩,耳鳴り,光過敏等,脳脊髄液減少症に伴って生じる症状が事故直後から存在していたことは診療記録上も明らかである。これらからすると,控訴人は,事故直後には頭部痛を明確に意識し得なかったが,その後の身体症状の変化に伴って頭痛を意識できるようになり,その結果,本件事故の10日余り後になってから,医師に対して頭痛を強く訴え始めたとも考えられるところである。そして,このような事情を踏まえると,事故直後の諸状況につき他の客観的証拠に合致しておらず,全般に信用性の低いといわざるを得ない控訴人本人の供述(甲77の陳述書による陳述も含む。以下同様。)についても,事故後の早い時点以後には頭痛が生じていることを意識し始めたという限度において,その信用性を否定することは困難であるということができる。そして,それら初期の頭痛が,当時から確実に起立性の頭痛として意識されていたことを認めるに足りる明確な証拠はないものの,本 件事故から数か月後の平成18年4月以降 あるということができる。そして,それら初期の頭痛が,当時から確実に起立性の頭痛として意識されていたことを認めるに足りる明確な証拠はないものの,本 件事故から数か月後の平成18年4月以降には起立性頭痛と認められる症状を控訴人がはっきり訴えていることからすると,むしろ初期の頭痛だけが起立性の頭痛ではなかったとは断じ難いところである。 なお,控訴人は,平成18年2月9日にブラッドパッチ治療を受けた後,急激に体調が悪化し,起立性頭痛が生じたかのように訴えているが,それこそ控訴人の愁訴によるものにすぎず(乙24の97頁),上記ブラッドパッチ治療に医療過誤があったために起立性頭痛が発症したとは認められない以上,起立性頭痛の原因は本件事故以外には考えられないというべきであるから,当初に起立性頭痛の明確な愁訴がなく,遅くなってからそれを強く訴えるようになったからといって,当初からの起立性頭痛の存在が否定されるものではない。 以上からすると,控訴人は,本件事故後の早い時期に頭痛を訴えていたことが認められ,それは起立性のものであったと推認することができる。 仮に,控訴人の頭痛が起立性のものでなかったとしても,国際頭痛分類第3版β版の基準では,頭痛が起立性であることが必須である旨の記載は認められないところであるから(乙56),控訴人の症状が直ちに前記各基準を満たさないものとはいえない。 ウ画像所見について前記1(2)カのとおり,G病院で平成18年2月8日に実施されたRI脳槽シンチグラフィーのRI注入6時間後の画像の腰椎レベルについて,J医師は,腰椎左側に明らかな髄液漏出所見を認めるとしている。 これに対し,F医師は,同画像所見として左側に3か所,右側 に1か所(少量),腰椎レベルに髄液漏出所見が認められるとした上 J医師は,腰椎左側に明らかな髄液漏出所見を認めるとしている。 これに対し,F医師は,同画像所見として左側に3か所,右側 に1か所(少量),腰椎レベルに髄液漏出所見が認められるとした上で,RIを脊髄に注入する際にできた針孔からRIが流出したものであるにすぎない可能性を示唆する。 しかしながら,上記RI脳槽シンチグラフィーにおいて用いられた針は,F医師が依拠する文献が想定するものとは異なり,25Gデシベルポイント針であると認められ(乙14の21,22頁),これによりRIを脊髄に注入する際にできた針孔からRIが流出する可能性は著しく減少しているものと考えられるから(甲102),1970年代の古い文献等に基づいて,上記可能性を示唆するF医師の意見に強い説得力があるとは解されない。 また,J医師は,同日に実施された控訴人の頭部MRIの画像により硬膜下腔の開大があると判断している箇所につき,F医師は,硬膜下腔かくも膜下腔かを区別する必要がある空間であるところ,血管が走行していることからくも膜下腔だとわかり,くも膜下腔が拡大している場合,くも膜下腔にあるのは髄液であるため,髄液が増加していることになり,脳脊髄液減少症という概念と矛盾するとの見解を示している。これに対し,同病院のK医師(以下「K医師」という。)は,硬膜下腔かくも膜下腔かはっきりしない部位もあるが,くも膜下腔の開大であったとしても,頭蓋内圧が低下したことにより開大する可能性は考えられ,積極的に両者を分ける意義は見いだせないとの意見を述べているところであって(甲70(枝番を含む。以下同様。),71),双方の意見を比較した場合,J医師の上記判断が誤りであるとは断じ得ない。また,上記頭部MRI画像において,J医師やK医師がガドリニウム造影剤による著明な硬膜増強効果があ 含む。以下同様。),71),双方の意見を比較した場合,J医師の上記判断が誤りであるとは断じ得ない。また,上記頭部MRI画像において,J医師やK医師がガドリニウム造影剤による著明な硬膜増強効果があると判断している部分(甲70,71)につき,F医師は,単に頭蓋骨の脂肪で あって,特段の硬膜造影効果は認められない旨述べるが,J医師らの臨床経験に基づく総合的判断に対し,画像判断のみに留まるF医師の見解が確実に正しいものとはいい切れない。 以上のとおり,臨床の現場で実際に診療活動を行っている専門医らにより,RI脳槽シンチグラフィー及び頭部MRIによって脳脊髄液減少症の発症を十分に認め得るとされる画像が存在し,それが誤りであるとはいえない上,J医師は,平成18年4月20日に施行されたMRミエログラフィーにおいても,腰椎レベルでの髄液漏出の可能性を判断しており,同年8月23日にH病院におけるRI検査においても3時間後に軽度のRI膀胱集積が認められていることをも考慮すると,本件において,脳脊髄液減少症を示す画像所見の存在一切を否定し去ることは困難というべきである。 もっとも,以上述べた画像所見を個別的に見ると,前記の厚生労働省研究班画像診断基準を満たすものではないが,同基準は本件事故後に作成されたものであり,かつ,今後の変更の余地がないとはいえないところであるから,現時点において,これら個々の画像が同基準に必ずしも合致しないからといって,その画像の臨床的な価値を全て否定する方向で同基準を用いることは相当ではない。 エ以上のアないしウを総合すると,控訴人には事故当初からの起立性頭痛が認められ,脳脊髄液の漏出を裏付ける画像所見が認められ,ブラッドパッチ治療により症状の改善が認められるといえるから,前記した諸基準を総合判 ないしウを総合すると,控訴人には事故当初からの起立性頭痛が認められ,脳脊髄液の漏出を裏付ける画像所見が認められ,ブラッドパッチ治療により症状の改善が認められるといえるから,前記した諸基準を総合判断すると,前記アの冒頭に記載の3病院における臨床診断は十分に信頼性があり,これらに基づき,控訴人は,本件事故により脳脊髄液減少症を発症したものと 認められる。」(10) 原判決39頁14行目冒頭から40頁10行目末尾までを次のとおり改める。 「 控訴人には,本件事故後,左上肢から手指にかけての痛み,脱力,しびれがあったものと認められるところ,前記1(2)ケのとおり,L医師は,控訴人において,握力低下とモーレーテストでの左上肢陽性の所見があったことから,左前斜角筋離断神経剥離術を実施したこと,L医師は,この手術中,前斜角筋の癒着を直接確認したと陳述しており(甲102),その信用性を否定すべき事情は存しないこと,本件事故後約2年半を経過した後に実施された手術であるとはいえ,左前斜角筋の癒着の原因は本件事故以外に考え難いこと,脳脊髄液減少症には胸郭出口症候群が併発する例があるといえるところ,前記のとおり控訴人に脳脊髄液減少症が認められることにも合致すること,実際,上記手術後に不定愁訴が増え完治はしなかったとはいえ,最終的に前記のような症状の軽減又は改善が6割程度認められたといえること,前記1(2)キのとおり,M医師が諸検査を実施したが胸郭出口症候群との確定診断をしなかったとはいえ,M医師が腕神経叢造影検査等において,肋鎖間隙で狭窄所見を認めたことにもむしろ整合し,少なくとも矛盾はしないこと等からすると,控訴人は,本件事故により胸郭出口症候群を発症したものと認められ,これを覆すに足りる十分な証拠はない。」(11) 原判決40 認めたことにもむしろ整合し,少なくとも矛盾はしないこと等からすると,控訴人は,本件事故により胸郭出口症候群を発症したものと認められ,これを覆すに足りる十分な証拠はない。」(11) 原判決40頁13行目冒頭から41頁6行目末尾までを次のとおり改める。 「(1) 前記2ないし4のとおり,控訴人は,本件事故により,脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群を発症したと認められるところ,前記1(2)ケのとおり,L医師が胸郭出口症候群につき平成22 年10月26日を症状固定日と診断していること,同エ(イ)のとおり,N医師が頚部挫傷,腰背部挫傷として平成23年1月29日を症状固定日と診断していることに鑑みると,控訴人の症状固定日は,平成23年1月29日と認めることが相当である。 被控訴人は,控訴人の症状固定日は平成18年5月24日である旨主張するが,これは控訴人の症状が頚椎捻挫のみであることを前提としたものであるから採用できない。 (2) 後遺障害の程度について,控訴人は,脳脊髄液減少症が後遺障害等級表の5級2号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」に相当し,胸郭出口症候群が後遺障害等級表の7級4号「神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの」に相当する旨主張する。 しかしながら,控訴人は,ブラッドパッチ治療により脳脊髄液減少症が完治したものではないが,その症状が相当程度緩和されたものであり,同治療により認められる効果からすると,今後の治療経過次第では更に緩和が見込まれないではないこと,胸郭出口症候群についても,左前斜角筋離断神経剥離術が施されたために相当程度緩和したものと認められるから,これらの諸事情を総合的に考慮 ,今後の治療経過次第では更に緩和が見込まれないではないこと,胸郭出口症候群についても,左前斜角筋離断神経剥離術が施されたために相当程度緩和したものと認められるから,これらの諸事情を総合的に考慮して,控訴人の後遺障害の程度としては,症状固定時である46歳から就労可能年齢の67歳までの21年間のうち,当初の7年間については,後遺障害等級表の9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に該当し,残り14年間については,12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するものと認めるのが相当である。」 (12) 原判決41頁8行目冒頭から44頁8行目末尾までを次のとおり改める。 「(1) 治療費 163万1808円上記のとおり,控訴人は,本件事故によって脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群を発症したものであるから,これらのために症状固定日である平成23年1月29日より以前に要したと認められるものは,本件事故との相当因果関係がある。 そうすると,証拠(甲6の1・2,甲7,甲8の1ないし36,甲9,甲16の1ないし17,乙40)及び弁論の全趣旨により,D病院の2万2730円,H病院の3万3608円,C整形外科の6万3590円,O外科・整形外科の53万9180円,P接骨院の1万8480円,G病院の60万1510円,Q病院の9360円及びI病院の34万3350円の合計163万1808円が本件事故と相当因果関係の認められる治療費であると認められる。 (2) 入院雑費 11万8500円本件事故による傷害を治療するために控訴人が入院した期間は79日であり,日額1500円として,合計11万8500円の入院雑費を損害として認める。 (3) 通院交通費 27万12 11万8500円本件事故による傷害を治療するために控訴人が入院した期間は79日であり,日額1500円として,合計11万8500円の入院雑費を損害として認める。 (3) 通院交通費 27万1240円証拠(甲24の3ないし5・14)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,本件事故と相当因果関係のある症状固定までの通院交通費として,O外科・整形外科につき2万4000円,G病院につき580円,Q病院につき6960円,I病院につき23万9700円を要したものと認められ,これらの合計は27万1240円となる。 (4) 付添介護費用 0円控訴人は,本件事故により高次脳機能障害となったものとは認められず,通院に当たって付添介護を必要としたと認めるに足りる的確な証拠もない。 (5) 将来介護費用 0円控訴人は,本件事故により後遺障害等級表9級10号相当の後遺障害が残ったものであるが,将来の付添介護の必要性までは認められない。 (6) 装具代 0円控訴人が,本件事故によって,頚椎装具の費用負担をしたと認めるに足りる的確な証拠はない。 (7) 文書料 13万7995円控訴人は,本件事故により受傷した後,多数の医療関係機関において受診し又は治療を受けており,それらのカルテ等の書類を取り寄せた上で検討吟味しなければ本件訴訟を遂行することはできなかったと認められるから,控訴人が各医療機関から文書を収集するために要した費用のうち控訴人の求める合計13万7995円(甲25ないし32,34。枝番のあるものは枝番を含む。)は,必要性及び相当性の範囲内のものであると認められ,いずれも本件事故と相当因果関係のある損害として認められる。 (8) その他の費用 5460円証拠(甲39,控訴人本人)及び弁論の全趣旨に 必要性及び相当性の範囲内のものであると認められ,いずれも本件事故と相当因果関係のある損害として認められる。 (8) その他の費用 5460円証拠(甲39,控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,平成17年8月22日にH病院に通院するために要した宿泊費5460円は,本件事故と相当因果関係のある通院治療のために必要であったことが認められるから,本件事故と相当因果関係のある損害と認める。 その余の費用は,本件事故と相当因果関係のある損害であることの主張立証がなく認められない。 (9) 休業損害 585万7102円前記5(1)のとおり,原告は,本件事故当時,家事労働に従事していたが,本件事故日から症状固定日である平成23年1月29日までの間(1990日),これに従事することが制限されたものと推認される。 もっとも,その制限の程度は,控訴人の受傷内容に照らし,治療期間中,全く家事に従事することができなかったとは認められず,後記のような後遺障害の程度も考慮すると,治療期間にわたり平均して50%と認めるのが相当である。 また,その一連の診療経緯からすると,控訴人は,I病院において胸郭出口症候群の手術を受けて症状が緩和されるまでに相当の年数を要しており,いわば治療の遅延が認められるともいえるところであるから,損害の公平な分担の見地から,休業期間が500日を超えた以後は,その金額を更に50%減額させるのが相当である。 そして,休業損害の基礎となる収入は,平成17年賃金センサス女性学歴計全年齢平均賃金343万4400円(日額9409円)と認めるのが相当である。 以上からすると,控訴人に認められる休業損害は,以下の計算式のとおり,585万7102円となる。 9409円×500日×0.5=235万2 0円(日額9409円)と認めるのが相当である。 以上からすると,控訴人に認められる休業損害は,以下の計算式のとおり,585万7102円となる。 9409円×500日×0.5=235万2250円9409円×1490日×0.25≒350万4852円(円未満切捨て。以下同様。)235万2250円+350万4852円=585万7102円 (10) 逸失利益 1071万2988円前記5のとおり,控訴人の後遺障害等級は症状固定後7年間は9級10号相当で,その労働能力喪失率は35%を認めるのが相当であり,その後の14年間は12級13号相当で,その労働能力喪失率は14%を認めるのが相当である。また,基礎収入は,平成23年賃金センサス女性学歴計全年齢平均賃金である355万9000円を認めるのが相当である。 したがって,控訴人に認められる逸失利益は,以下の計算式のとおり,1071万2988円となる。 355万9000円×0.35×5.7864〔7年のライプニッツ係数〕≒720万7829円355万9000×0.14×7.0348[21年のライプニッツ係数12.8212-7年のライプニッツ係数5.7864]≒350万5159円720万7829円+350万5159円=1071万2988円(11) 入通院慰謝料 250万0000円控訴人の受傷内容,治療経過,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,控訴人に認められる入通院慰謝料は250万円が相当である。 (12) 後遺障害慰謝料 500万0000円控訴人の後遺障害の内容及び程度,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,控訴人に認められる後遺障害慰謝料は500万円が相当である。 (13) 物的損害など 1万2180円 0000円控訴人の後遺障害の内容及び程度,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,控訴人に認められる後遺障害慰謝料は500万円が相当である。 (13) 物的損害など 1万2180円車両代金51万円については,控訴人が控訴人車両の所有者で あると認めるに足りる証拠はないから,控訴人に上記損害が生じたと認めることはできない(なお,被控訴人が付保する保険会社から車両代は支払済みである(乙7の1,2))。車付属品5万円及び車内の荷物9867円については,本件事故と相当因果関係のある損害と認めるに足りる証拠がない。宿泊キャンセル代1万2180円については,証拠(甲41,77,控訴人本人)及び弁論の全趣旨より認める。 (14) 小計 2624万7273円(15) 損害の填補(368万3668円)後の損害額 2256万3605円(16) 弁護士費用 225万0000円本件事案の内容,審理の経過,認容額等一切の事情に照らせば,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は225万円と認めるのが相当である。 (17) 以上の合計 2481万3605円(18) 一部弁済 133万2255円証拠(乙53ないし55)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人が控訴人に対し,平成27年11月13日,原判決が認容した元金として133万2255円及びこれに対する本件事故日である平成17年8月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金として68万2004円の合計201万4259円を任意に支払ったことが認められるところ,上記133万2255円は元金に,上記68万2004円は支払済みまでの遅延損害金にそれぞれ充当されることとなる。 (19) 合計 2348万1350円 」(13) 原判決44 られるところ,上記133万2255円は元金に,上記68万2004円は支払済みまでの遅延損害金にそれぞれ充当されることとなる。 (19) 合計 2348万1350円 」(13) 原判決44頁10行目冒頭から11行目の「しかし」までを次の とおり改める。 「 前記5のとおり,控訴人の症状固定日は平成23年1月29日であるから,本件訴訟の提起日である平成24年9月3日には未だ消滅時効は完成していない。なお仮に,控訴人の症状固定日が更に早く,被控訴人の主張するとおり平成18年5月24日であったとしても」第4 結論よって,以上と異なる原判決を控訴人の本件控訴に基づき変更し,被控訴人の本件附帯控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部 裁判長裁判官藤山雅行 裁判官上杉英司 裁判官丹下将克は,異動により署名押印することができない。 裁判長裁判官藤山雅行

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