昭和22(れ)297 強盗、窃盗

裁判年月日・裁判所
昭和23年3月9日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告はいずれもこれを棄却する。          理    由  被告人両名弁護人松永東同野原松次郎同名尾良孝上告趣意第一点は「原判決ハ次 ノ如キ理由不備ニヨリ破毀ヲ免レサ

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判決文本文4,167 文字)

主    文      本件上告はいずれもこれを棄却する。          理    由  被告人両名弁護人松永東同野原松次郎同名尾良孝上告趣意第一点は「原判決ハ次 ノ如キ理由不備ニヨリ破毀ヲ免レサルモノト信ス即チ原判決ハ其ノ理由ニ於テ第一 点ハ被告人等トA及Bカ共同シテ窃盗セル事実ヲ認メ第二点ニ於テ被告人CトAト 共同シテ強盗セル事実ヲ認メ各独立ノ犯罪トシテ両者ノ間ニ連続犯ノ規定ヲ適用シ 之カ証拠トシテ(一)被告人両名ノ当法廷ニ於ケル供述中判示第一ト同一ノ供述( 二)被告人Cノ当公廷ニ於ケル供述ノ一部(三)原審公判調書中被告人Cノ供述ノ 一部(四)被告人Dノ当公廷ニ於ケル供述ノ一部(五)被告人Dノ検事聴取書ノ一 部(六)当審公判廷ニ於ケル証人Aノ供述(七)当公判廷ニ於ケル証人Bノ供述( 八)当審証人E証人訊問中判示第一第二ニ照応スル被害顛末(九)Eノ提出ノ犯罪 届書ノ一部ヲ綜合シテ之ヲ認メタト判示セリ、然レトモ第一第二ノ事実ハ何レモ独 立ノ犯罪トシテ認定セラレタルヲ以テ之カ証拠説明ハ刑事訴訟法第三百六十条ノ規 定ヨリスルモ各犯罪毎ニ為サルルカ又ハ少クトモ之カ証拠トシテハ別個ノ犯罪事実 ノ証拠ト紛糾ヲ来ササル様判然トセル証拠説明ヲ為スコトヲ要スルモノトス。然ル ニ原判決ノ証拠説明ヲ見ルニ其ノ証拠中ニハ第一第二ノ犯罪事実ニ共通スルモノア リ又第一ノ事実ニノミ採用セラルルモノアリ又第二ノ事実ニノミ該当スルモノアリ 而シソレ等ハ何レモ漫然トシテ羅列シアルニ止リ何レヲ以テ第一第二ノ事実ヲ認定 セルヤ判然トセサルノミナラス全部ヲ共通ニシテ認定セリト為スニハ証拠トシテ事 実認定ニ符合セサルモノアルヲ以テ結局原判決ハ理由不備ニ付キ破毀ヲ免レサルモ ノト信ス」というにある。  しかし、数個の証拠を綜合して事実を認定する場合には、個々の証拠を各別に観 察すると、それが事実の如何なる部分の証 ルモノアルヲ以テ結局原判決ハ理由不備ニ付キ破毀ヲ免レサルモ ノト信ス」というにある。  しかし、数個の証拠を綜合して事実を認定する場合には、個々の証拠を各別に観 察すると、それが事実の如何なる部分の証明に役立つか紛らわしいことがあつても、 - 1 - これら数個の証拠がかれこれ関連して相互に矛盾しない限りそれらを綜合しておの ずから特定の事実が認定されるにおいてはこのような証拠説示の方法も許さるべき であつて、これを目して違法ということはできない。これを原判決の証拠説明につ いて観ると、判示第一及び第二事実を総括して認定するに当つて数個の証拠を羅列 しており、各個の証拠を各別に検討すると、共通のものもあり、第一若しくは第二 の各事実のみに関するものもあつて、それが如何なる部分の認定を目指すのか必ず しも明かでないものもあることは所論のとおりであるがこれらの証拠を綜合して判 断するとおのずから判示第一及び第二の各事実の全体を認定し得られるのであるか ら原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。  同第二点は「原判決ハ次ノ如キ理由不備アルヲ以テ破毀セラル可キモノト信ス即 チ原判決ハ第一点ニ於テ被告人両名ハABト共謀ノ上E方士蔵内ノ隠匿物資カアル ト考へ之ヲ窃取シヨウト企テ昭和二十二年三月二十五日夜万一家人ニ見付ツタ時ハ 居直ツテ家人ヲ脅カシ右物資ヲ強取スル為ノ用意トシテ同C所有ノ拳銃一挺及日本 刀ヲ携帯シテ……ト認定シ之カ証拠トシテ上告趣意書第一点記載ノ如キ事実ヲ摘示 セリ、然レトモ右摘示ノ証拠ヲ仔細ニ検討スルトキハ「家人ニ見付ツタトキハ居直 ランコトヲ」予想セルコトハ第三ニ摘示セル第一審公判調書中被告人Cノ供述以外 ニハ何処ニモ之ヲ発見スルコトヲ得ス而シテ右公判調書ハ原審ニ於ケル公判ニ於テ ハ二百三十三頁九行以下問、尚被告ハ原審ニ於テハ斯様ニ居直ル為ダト言フ様ニ述 ベ ニ摘示セル第一審公判調書中被告人Cノ供述以外 ニハ何処ニモ之ヲ発見スルコトヲ得ス而シテ右公判調書ハ原審ニ於ケル公判ニ於テ ハ二百三十三頁九行以下問、尚被告ハ原審ニ於テハ斯様ニ居直ル為ダト言フ様ニ述 ベテ居ルカ怎ウカ此ノ時裁判長ハ原審公判調書中、記録第一九四丁表十行目ヨリ同 丁裏四行目迄ヲ読聞ケタリ答、其ノ様ニハ申上ケナカツタト思ヒマス日本刀ハ土蔵 ヲ破ル為テアリ拳銃ハAカ護身用ニ持ツテ行ツテ呉レト言ツタノデ夫々持参シタノ テス私ハ土蔵破リニ行ツテ相手ヲ脅カスナトトハ考ヘテ居マセンデシタトアリテ被 告人Cハ居直リノ意思ヲ明カニ否定セルノミナラスピストルヲ持参セルハ当時執行 猶予中ナリシAカ万一見付ツタトキハ自殺スル為ナルコトハ被告人Dノ原審公判ニ - 2 - 於ケル二五〇頁一二行以下ニモ問、其ノ時被告人ハ日本刀ピストル等ヲ持ツテ行ツ タノカ答、左様デス問、夫レカラ四人テ出掛ケタノカ答、左様デス歩イテ参リマシ タ問、其ノ時被告ハ持ツテ行ツタ日本刀、ピストルヲ誰ニ渡シタカ答、ピストルハ Aニ日本刀ハCニ渡シマシタピストルヲAニ渡シタノハ同人カ前ニ自殺用ニ持ツテ 来テ呉レト言ツタコトカアルノテ同人ニ渡シタノテス、中略二百五十六頁六行以下 問、若シ家人カ起キテ来タラ日本刀カピストルデ脅カサウト言フ気ガアツタノデハ ナイカ答、私ハ左様ナ気持ハアリマセンデシタ私ハ泥棒ニ行クノニ日本刀ナド持ツ テ行クノデ変ニ思ヒAニ聞クト何デモナイト言フノデ土蔵ヲ開ケルノニ使ウンダラ ウ位ニ考ヘテ居タノデス問、脅カス為ニ持ツテ行クノデハナイカト思ツテ聞イタノ デハナイカ答、左様デハアリマセン中略二百五十二頁十一行目問、被告ハ何ノ為ニ ピストルヲ持ツタノカ家人カ起キテ来タラ脅カス為メカ答、左様テス夫レテ私ハ心 配ニナリ五分位シテCニAガ土蔵ノ鍵ヲ開ケテ居ル処へ行キ此処へ置クト言ツテピ ストルヲ土蔵ノ入口ノ蓆 一行目問、被告ハ何ノ為ニ ピストルヲ持ツタノカ家人カ起キテ来タラ脅カス為メカ答、左様テス夫レテ私ハ心 配ニナリ五分位シテCニAガ土蔵ノ鍵ヲ開ケテ居ル処へ行キ此処へ置クト言ツテピ ストルヲ土蔵ノ入口ノ蓆ノ上ニ置キ元ノ処ニ戻リ見張ツテ居リマシタトアリ原審証 人Aノ証言中ニモ三百二十三頁九行以下問、其ノ時家人ノ若イ者ニ拳銃ヲ突付ケタ ノデハナイカ答、自分ハ拳銃ハ持ツテ居リマセン問、デハ何ノ為ニ日本刀ヲ持ツテ 這入ツタノカ答、前回ノトキ鍵カ開カス失敗シマシタノデ倉庫ノ壁ヲ切リ破ル為ニ 持ツテ行ツタノデス問、拳銃ハ何ウシテ持ツテ行ツタノカ答、自分ハ当時執行猶予 中ノ身デアリマシタノデモシ見付ツタラ自殺ヲ決心シテ持ツテ行ツタノデストアリ テ当初ヨリ居直リヲ予期セルコトハ証人並ニ被告人ノ否認セルトコロナルノミナラ ス原判決ハBモ共謀セルモノト認定セルモBハ右ノ如キ点ニ付キ共謀ノ事実ナキコ トハ公判調書二二六頁六行目以下問、被告ハ金ガ無イノデE方へ泥棒ニ行ツタト言 フガ誰ト行ツタノカ答、私トD、A、Bノ四人デ行キマシタ問、被告ガ始メテ言ヒ 出シタノカ答、Bヲ除キ外ノ三人ガ誰カラトモナク言ヒ出シタノデストアリ証人B 証言中三二八頁十二行以下問、其ノ時C及D等ガ拳銃ヤ日本刀ヲ持ツテ居ツタ事ハ - 3 - 知ラナイカ答、知リマセントアリテBニ付キ迄居直ル為ピストル日本刀携帯ニ関シ 共謀ノ事実ヲ認メタル原判決ハ理田不備ニ付キ破毀セラル可キモノト信ズ」という にある。  しかし、原判決の挙示する第一審公判調書中の被告人Cの供述記載によれば、被 告人両名において、万一家人に見つかつたときは居直つて家人を脅すための用意と して拳銃及び日本刀を携帯したことを認識していた事実を認めうるのであり、Bに 関する所論は被告人等の犯罪事実の認定とは関係がないのであるから、被告人両名 に対する原判決の証拠説明には所論 すための用意と して拳銃及び日本刀を携帯したことを認識していた事実を認めうるのであり、Bに 関する所論は被告人等の犯罪事実の認定とは関係がないのであるから、被告人両名 に対する原判決の証拠説明には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。  同第三点は「原判決ハ次ノ如キ理由不備ノ為メ破毀セラル可キモノト信ズ即チ原 判決ハ第三点ニ於テCトAトハ初メノ考へ通り金品ヲ強取シヨウト企テ共謀ノ上相 共ニ住宅裏ニ廻リ被告人Cハ外側ニアツテ見張リヲ為シAハ右居宅内ニテ……ト強 盗ノ事実ヲ認定セリ然レドモ原審証人Aノ証言ニモ「ソノ時BトDハリヤカーヲ引 張ツテ先へ逃ケテ行キマシタ、私トCハ後ニナツタノデ危険ト思ヒ先ノ二人ノ後ヲ 追フヤウニシテ逃ケマシタカ暫クシテ後ノ様子ガ気ニナツタノデ再ビ同家ノ母屋ニ 行キ様子ヲ見マシタ、ソシテ裏口ノ雨戸ヲ蹴破リ障子ニ体当リヲシテ内ニ入リマシ タ」トアリ被告人Cノ供述ニハ二百三十六頁二行目答、私ハ表ニ居タノデ中デAガ 怎ンナ事ヲシタカ判リマセンデシタトアリ、第二ノ事実ニ付イテハ何等意思ノ連絡 モ亦実行行為ニ付イテ共同加功モナク従ツテ共犯ト認定スルニハ理由不備ナルヲ以 テ破毀セラル可キモノト信ズ」というにある。  しかし原判決に挙示する証拠を綜合すれば、原判示第二事実を認定し得られるの で原判決には所論のような違法はない。論旨は原審と異なつた証拠上の観点から原 審の事実認定を非難するに帰着し理由がない。  よつて刑事訴訟法第四百四十六条により主文のとおり判決する。  この判決は裁判官全員の一致した意見である。 - 4 -  検察官宮本増蔵関与   昭和二十三年三月九日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎             裁判官    井   上       登             裁判 月九日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎             裁判官    井   上       登             裁判官    庄   野   理   一             裁判官    島           保 - 5 -

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