【DRY-RUN】主 文 原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。 被告人Aを懲役一年三月に処する。 原審における未決勾留日数中三十日を右本刑に算入する。 押収に係る丸首縞
主文 原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。 被告人Aを懲役一年三月に処する。 原審における未決勾留日数中三十日を右本刑に算入する。 押収に係る丸首縞シヤツ一枚(釧路地方裁判所網走支部昭和二十五年領第十九号検第三号)及び青色ボタン一個(同検第四号)はいずれも之を被害者Bに還付する。 当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 弁護人の控訴趣意は別紙のとおりである。 <要旨第一>およそ被告人甲の公判廷における供述が同被告人甲に対し証拠能力を有することは当然である。しかして刑事</要旨第一>訴訟法第三百十一条第三項によれば共同被告人は裁判長に告げて何時にても必要とする事項につき他の被告人に対し任意の供述を求め得るのであつて、被告人乙は右法条に基ずき自己に不利益な共同被告人甲の供述部分につき同人に対し質問を発し反対訊問権の行使をなし得るのであるから、被告人甲の公判廷における供述は又<要旨第二>一面他人である共同被告人乙に対しても原則として証拠能力を有する。しかも右の場合裁判所は公判廷におい</要旨第二>て特に被告人甲の公判廷における供述を他人である共同被告人乙のため証拠として採用するの手続を採ることなく単に判決に被告人乙の証拠として共同被告人甲の公判廷における供述を引用するだけで足りるのである。 之を本件について見ると原審は被告人が原審相被告人Cと共謀の上窃盗行為をなした事実を認定したのであるから両被告人の公判廷における其の限度の自白は何等伝聞に亘る事項を含まないのみならず、記録上原審が前記刑事訴訟法第三百十一条第三項による被告人の質問権を不当に制限し反対訊問権の機会を与へなかつたような事跡もないのであつて、かゝる場合においては原審相被告人Cの原審公 まないのみならず、記録上原審が前記刑事訴訟法第三百十一条第三項による被告人の質問権を不当に制限し反対訊問権の機会を与へなかつたような事跡もないのであつて、かゝる場合においては原審相被告人Cの原審公判廷における自白は被告人に対して証拠能力を有するものと解すべく原審が之を特段の手続を経ず証拠として判決に引用したのは相当である。従つて弁護人の所論は採用に値しない。 次に職権を以て原判決引用の各証拠を検すると原判決には「被告人両名の当公判廷における自白」と記載してあるが被告人Aは原審において本件犯行を自白した事跡がない。又原判決には「被害者D作成の盗難届中判示に照応する盗難にあつた顛末記載」と記載してあるが右盗難届中には判示に照応する顛末記載はない。従つて原判決には理由のくひちがいがあつて結局論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。 よつて刑事訴訟法第三百九十七条により原判決中被告人Aに関する部分を破棄し同法第四百条但書により更に判決する。 被告人は原審相被告人と共謀の上第一昭和二十五年五月十八日午前十一時頃北海道斜里郡a村字bB方において同人所有の白キャラコツメエリワイシャツ二枚外衣類等二十四点を窃取し第二前同日午後十一時半頃前同所c番地D方倉庫において同人所有の裸麦三俵を窃取したものである。 (証拠説明省略)被告人の判示所為は刑法第二百三十五条第六十条に各該当するところ右は同法第四十五条前段の併合罪であるから、同法第四十七条本文第十条により犯情の最も重い判示第一の窃盗罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役一年三月に処し、同法第二十一条により原審に於ける未決勾留日数中三十日を右本刑に算入し押収に係る丸首縞シヤツ一枚(釧路地方裁判所網走支部昭和二十五年領第十九号検第三号)及び青色ボタン一個(同検第四号)はいず 処し、同法第二十一条により原審に於ける未決勾留日数中三十日を右本刑に算入し押収に係る丸首縞シヤツ一枚(釧路地方裁判所網走支部昭和二十五年領第十九号検第三号)及び青色ボタン一個(同検第四号)はいずれも被害者に還付する理由が明らかであるから刑事訴訟法第三百四十七条により之を被害者Bに還付し、同法第百八十一条第一項に則り当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。 よつて主文のとおり判決する。 (裁判長判事黒田俊一判事猪股薫判事鈴木進)
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