- 1 - 令和7年2月12日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和6年(ワ)第70083号不当利得返還請求事件口頭弁論終結日令和6年11月11日判決 原告株式会社DAPリアライズ 被告ソフトバンク株式会社 同訴訟代理人弁護士生田哲郎佐野辰巳 主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、70万5777円及びこれに対する令和6年3月27日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」とする特許第4555901号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告の販売する別紙物件目録記載の各スマートフォン(以下 「被告製品」という。)は、本件特許に係る無効審判請求(無効2020-8- 2 - 0032事件)において原告が令和3年3月22日付けでした訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)の技術的範囲に属するものであり、被告は、法律上の原因なく、原告に対する実施料相当額の利得の返還について課される消費税相当額の利益を受け、そのために原告に同額の損失を及ぼしたと主張し て、被告に対し、不当 に属するものであり、被告は、法律上の原因なく、原告に対する実施料相当額の利得の返還について課される消費税相当額の利益を受け、そのために原告に同額の損失を及ぼしたと主張し て、被告に対し、不当利得返還請求権(民法703条)に基づき、70万5777円(実施料相当額の利益である705万7771円の返還について課される消費税相当額)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和6年3月27日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)本件特許権原告は、本件特許権を保有している(甲1、弁論の全趣旨)。 被告の行為 被告は、平成23年頃から平成25年頃まで、シャープ株式会社から被告製品を購入し、業として販売していた(甲1、2、弁論の全趣旨)。 関連訴訟原告は、令和2年11月24日、東京地方裁判所に対し、被告を相手方として、被告が販売する被告製品は本件訂正請求による訂正前の特許請求 の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件訂正前発明」という。)の技術的範囲に属すると主張して、不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求(両請求は選択的併合)の一部として3000万円及びこれに対する同訴訟の訴状送達の日の翌日である令和2年12月5日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める訴 えを提起した(当庁令和2年(ワ)第29604号)。同裁判所は、令和- 3 - 4年4月27日、被告製品は、本件訂正前発明の技術的範囲に属するものであるから、原告は、被告製品の販売により、本件訂正前 起した(当庁令和2年(ワ)第29604号)。同裁判所は、令和- 3 - 4年4月27日、被告製品は、本件訂正前発明の技術的範囲に属するものであるから、原告は、被告製品の販売により、本件訂正前発明の実施に係る実施料相当額である705万7771円の損害又は損失を受けたが、別紙物件目録記載のイ号物件ないしト号物件(以下「被告製品1」という。)に係る損害賠償請求権は、時効により消滅しているとして、被告製品1に 係る損害賠償請求権は理由がなく、その不当利得返還請求の一部は理由があるため、その限度で認容し、同目録記載のチ号物件及びリ号物件(以下「被告製品2」という。)に係る不当利得返還請求の一部は理由があり、その余の請求部分及びこれと選択的に併合された損害賠償請求に係る部分は理由がないから、いずれも棄却するとして、被告が原告に対して705 万7771円及びこれに対する令和2年12月5日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払うことを命じ、原告のその余の請求を棄却する旨の判決を言い渡した(以下、この判決を「前訴地裁判決」という。)。(甲1)原告及び被告は、いずれも、前訴地裁判決を不服として控訴したとこ ろ(知的財産高等裁判所令和4年(ネ)第10056号。以下、当該訴訟と前記アの訴訟を併せて「前訴」という。)、知的財産高等裁判所は、令和4年12月19日に口頭弁論を終結した上、令和5年2月28日、原告の請求は、不当利得返還請求権に基づき705万7771円及びこれに対する令和2年12月5日から支払済みまで民法所定の年3パーセ ントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の前訴地裁判決は相当であるとして、原告の控訴及び被告の控訴をいずれも棄却す ーセ ントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の前訴地裁判決は相当であるとして、原告の控訴及び被告の控訴をいずれも棄却する旨の判決を言い渡し(以下、この判決を「前訴控訴審判決」という。)、同判決は確定した(甲2、3)。 ウ被告は、原告に対し、令和6年2月29日、前訴控訴審判決に基づき、- 4 - 前訴地裁判決で認容された合計774万2764円(遅延損害金を含む金額)を支払った(甲4、5)。 前訴における原告の主張原告は、前訴において、被告の不法行為により原告に生じた損害及び被告の不当利得が原告に及ぼした損失について、要旨以下のとおり主張した(甲 1、2、乙1)。 被告が原告に対して賠償すべき損害額は、被告製品の販売に係る本件訂正前発明の実施に対して原告が受けるべき金銭の額(実施料相当額)の合計である12億4744万円を下らないが、その一部として3000万円を請求する。 被告は、本件特許権の特許権者である原告から何らの実施許諾を得ないまま、被告製品を販売した結果、前記ア記載の実施料相当額の支払を免れることで、12億4744万円を下らない利益を不当に受け、原告は、被告が同利益を受けた結果として、同額を下らない損失を受けた。したがって、被告が原告に返還すべき不当利得の額は12億4744万円を下らな いが、その一部として3000万円を請求する。 よって、原告は、被告に対し、不法行為による損害賠償金又は不当利得返還金として、3000万円及びこれに対する前訴の訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。 本件特許権に係る原告の被告に対する不当利得返還 して、3000万円及びこれに対する前訴の訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。 本件特許権に係る原告の被告に対する不当利得返還請求権の有無及び原告に及ぼした損失の額被告製品は、本件発明の技術的範囲に属し、被告は、被告製品の販売により、法律上の原因なく本件特許権により利益を受け、そのために原告に損失を及ぼした。 被告の上記の不当利得により原告に及ぼした損失額のうち実施料相当額- 5 - は、705万7771円である。 3 争点本件訴えは、その提起が信義則に反して許されず、不適法であるか(争点1)本件請求に係る原告の主張は、前訴の確定判決の既判力に抵触するか(争 点2) 4 争点に関する当事者の主張争点1(本件訴えは、その提起が信義則に反して許されず、不適法であるか)について(被告の主張) 最高裁平成9年(オ)第849号同10年6月12日第2小法廷判決(以下「平成10年最高裁判決」という。)は、債権の数量的一部請求において敗訴した原告が、債権の残部を請求する後訴を提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されないとしているところ、原告は、前訴において、被告製品の販売が本件特許権を侵害するなどと主張して、そ の被告の不法行為によって原告に生じた損害の額又は被告の不当利得が原告に及ぼした損失の額について、そのうちの一部を請求していたから、本件訴えは、債権の数量的一部請求において敗訴した原告による残部請求の訴えに当たる。 したがって、上記特段の事情がない限り、本件訴えは信義則に反し許さ れないところ、①原告は、前訴において、実施料相当額以外の損害又は損失があることを明示した上で、実 部請求の訴えに当たる。 したがって、上記特段の事情がない限り、本件訴えは信義則に反し許さ れないところ、①原告は、前訴において、実施料相当額以外の損害又は損失があることを明示した上で、実施料相当額の損害又は損失のみを主張したものではないこと、②消費税は基本となる取引に付加されて一体で請求されるものであるから、実施料相当額の損失と消費税相当額の損失は、実質的な発生原因が異ならないこと、③消費税額は、基本となる取引金額に 所定の消費税率を乗じることにより算定できるため、前訴において消費税- 6 - 相当額の損失を併せて請求することに何ら困難な事情はなく、実際に、消費税相当額を加算して請求した前例が多数あることからすると、本件訴えにつき、上記特段の事情はない。よって、本件訴えは、その提起が信義則に反して許されず、不適法であるから、却下されるべきである。 (原告の主張) 原告は、前訴において、被告の不当利得によって原告に及んだ損失として消費税相当額を請求しておらず、その損失に関する主張も一切していないから、前訴は、消費税相当額の損失の有無及びその額について審理判断していない。そうすると、原告は、前訴において、消費税相当額の損失に係る請求につき敗訴したものとはいえないから、消費税相当額の損失に係 る請求については、平成10年最高裁判決のいう、債権の数量的一部請求において敗訴した原告による残部請求の訴えに当たらない。 したがって、仮に、平成10年最高裁判決を前提にしたとしても、本件訴訟は、前訴において審理の対象となっておらず、前訴において審理判断されていない消費税相当額を被告の不当利得として返還請求するものであ るから、実質的にみても前訴の蒸し返しに当たらず、被告に二重の応訴の負担を強いるもので となっておらず、前訴において審理判断されていない消費税相当額を被告の不当利得として返還請求するものであ るから、実質的にみても前訴の蒸し返しに当たらず、被告に二重の応訴の負担を強いるものではない。また、実施料相当額の損失は、被告製品の販売により発生するのに対し、消費税相当額の損失は、被告が実施料相当額を支払わずに被告製品を販売したことにより生じるものであるから、両者はその発生原因が異なる。しかも、消費税相当額は、実施料相当額全体に ついて判断した判決が確定した日の税率により決せられるため、原告が、前訴において消費税相当額の損失を併せて請求することは困難な事情が存在したか、少なくとも、前訴において消費税相当額の損失を請求しなかったことには考慮すべき事情があるといえる。 以上によれば、平成10年最高裁判決に照らしても、特段の事情がある といえるから、本件訴えの提起は、信義則に反するものではなく、不適法- 7 - ではない。 争点2(本件請求に係る原告の主張は、前訴の確定判決の既判力に抵触するか)について(被告の主張)前訴控訴審判決の確定により、前訴地裁判決の認容額を超える金員について、 原告に不当利得返還請求権が存在しないことにつき既判力が生じている。本件訴訟は、前訴地裁判決の認容額を超える金員を請求するものであるから、原告が、消費税の納税義務を負うか否かに関わらず、本件請求に係る原告の主張は、前訴の確定判決である前訴控訴審判決の既判力に抵触するものであって認められないから、本件請求は棄却されるべきである。 (原告の主張)一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合は、同一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない 却されるべきである。 (原告の主張)一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合は、同一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばない。原告は、前訴において、被告製品の販売による本件特許権侵害に係る損失の一部請求であること明示して訴えを提起しており、本件請求は、 残部請求に当たるから、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件訴えは、その提起が信義則に反して許されず、不適法であるか)について一個の金銭債権の数量的一部請求は、当該債権が存在しその額は一定額を 下回らないことを主張して一定額の限度でこれを請求するものであり、債権の特定の一部を請求するものではないから、このような請求の当否を判断するためには、おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。 すなわち、裁判所は、当該債権の全部について当事者の主張する発生、消滅の原因事実の存否を判断し、債権の一部の消滅が認められるときは債権の総 額からこれを控除して口頭弁論終結時における債権の現存額を確定し(最高- 8 - 裁平成2年(オ)第1146号同6年11月22日第三小法廷判決・民集48巻7号1355頁参照)、現存額が一部請求の額以上であるときは上記請求を認容し、現存額が請求額に満たないときは現存額の限度でこれを認容し、債権額が全く現存しないときは上記請求を棄却するのであって、当事者双方の主張立証の範囲、程度も、通常は債権の全部が請求されている場合と変わ るところはない。数量的一部請求を全部又は一部棄却する旨の判決は、このように債権の全部について行われた審理の結果に基づいて、当該債権が全く現存しないか又は一部として請求された額に満たない額しか現存 るところはない。数量的一部請求を全部又は一部棄却する旨の判決は、このように債権の全部について行われた審理の結果に基づいて、当該債権が全く現存しないか又は一部として請求された額に満たない額しか現存しないとの判断を示すものであって、言い換えれば、後に残部として請求し得る部分が存在しないとの判断を示すものにほかならない。したがって、上記判決が確 定した後に原告が残部請求の訴えを提起することは、実質的には前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すものであり、前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものというべきである。以上の点に照らすと、金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起する ことは特段の事情がない限り、信義則に反して許されないと解するのが相当である。(最高裁平成9年(オ)第849号同10年6月12日第二小法廷判決・民事判例集52巻4号1147頁(平成10年最高裁判決)参照)これを本件についてみると、前提事実(3)及び(4)のとおり、前訴において、原告は、被告に対し、数量的一部請求として、被告の不法行為により原告に 生じた損害又は被告の不当利得が原告に及ぼした損失の一部として3000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたが、このような原告の請求のうち、不当利得返還請求につき、705万7771円及びこれに対する遅延損害金の限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却する旨の判決が確定したものである。したがって、原告の本件訴えにかかる請求は、前訴で数量 的一部を請求して一部棄却判決を受けた不当利得返還請求権につき、その残- 9 - 部を請求するものであるといえるから、特段の事情が認められない限り、 の本件訴えにかかる請求は、前訴で数量 的一部を請求して一部棄却判決を受けた不当利得返還請求権につき、その残- 9 - 部を請求するものであるといえるから、特段の事情が認められない限り、当該請求に係る訴えの提起は、訴訟上の信義則に反して許されないというべきである。 これに対し、原告は、前訴において、消費税相当額の損失を請求しておらず、一部敗訴した部分は実施料相当額の損失に係る部分に限られるから、消 費税相当額の損失を請求する本件訴えは、平成10年最高裁判決のいう一個の金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した者による残部の請求に係る訴えに当たらないと主張する。 しかし、原告が主張する消費税相当額の損失と実施料相当額の損失とは、いずれも、被告による被告製品の販売に係る不当利得が原告に及ぼした損失 であるといえる上、本件全証拠によっても、原告が、前訴において、被告の不法行為によって原告に生じた損害又は被告の不当利得が原告に及ぼした損失のうち実施料相当額の損害又は損失のみを請求することを明示していたとは認められない。そうすると、前訴における不当利得返還請求について、原告は、被告の不当利得が及ぼした原告の損失の全部として実施料相当額であ る12億4744万円を下らないと主張した上で、その一部である3000万円及びこれに対する遅延損害金を請求したものであって、当該請求の一部について敗訴したものといわざるを得ないから、一個の金銭債権の数量的一部請求訴訟で一部敗訴した者に当たる。したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 そこで、次に、特段の事情について検討すると、 前記(1)の信義則違反となる理由に照らし、その存否の判断に当たっては、一部請求訴訟における審理や判断の範囲が債権全部に及んでいたか否か 。 そこで、次に、特段の事情について検討すると、 前記(1)の信義則違反となる理由に照らし、その存否の判断に当たっては、一部請求訴訟における審理や判断の範囲が債権全部に及んでいたか否か、実質的に前訴で認められなかった請求及び主張の蒸し返しといえるか否か、前訴によって紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるもので あるか否かなどの点を考慮するのが相当である。 - 10 - これを本件についてみると、前提事実(4)のとおり、原告は、前訴において、損害又は損失として実施料相当額を主張していたものであり、そのため、前訴の裁判所は、原告の主張に基づき、実施料相当額の損害又は損失の発生の有無及びその額についてのみ判断したものであると思料される。そうすると、前訴は、消費税相当額の損害又は損失の発生原因事実の存否について具 体的に審理したとは認められず、また、原告による本件訴えは、実質的に前訴で認められなかった主張を蒸し返すものとまではいえない。 しかし、特許権侵害訴訟において、消費税相当額の損害賠償請求や不当利得返還請求がされる事例が少なくなく、消費税相当額が損害又は損失の一部として認容されていることは、当裁判所に顕著である上、本件全証拠によっ ても、原告がそのような実情を認識し得なかったといった事情を認めることはできない。また、消費税相当額の損失は、実施料相当額の損失に所定の消費税率を乗じることで容易に算定できるものであるから、前訴の事実審の口頭弁論終結時において、消費税相当額を含めた損失の全体が確定していなかったとはいえず、原告が、前訴において、不当利得返還請求につき、実施料 相当額の損失に加えて、同額に所定の消費税率を乗じた額を消費税相当額の損失として主張することが 損失の全体が確定していなかったとはいえず、原告が、前訴において、不当利得返還請求につき、実施料 相当額の損失に加えて、同額に所定の消費税率を乗じた額を消費税相当額の損失として主張することが困難な事情や同主張をしない合理的な理由があったものとはうかがわれない。そうすると、原告は、前訴の審理や判断の対象として消費税相当額の損失を加えることや、前訴ではその対象としないことを明示することが可能であったのに、それをしなかったものといわざるを得 ない。なお、原告は、消費税相当額は、実施料相当額全体について判断した判決が確定した日の税率により決せられることを理由として、前訴において消費税相当額の損失を併せて請求することは困難な事情が存在したか、少なくとも、前訴において消費税相当額の損失を請求しなかったことには考慮すべき事情があると主張するが、前提事実(3)イのとおり、前訴の口頭弁論終 結時は令和4年12月9日であり、その時点で既に消費税率が現在の10パ- 11 - ーセントとなっていたことは顕著な事実であるから、原告が、前訴の判決確定日の消費税率を予測し、前訴において消費税相当額を請求することが困難であったとまではいえず、その点に関し考慮すべき事情があるということもできない。 しかも、前記(2)のとおり、原告は、前訴において、被告の不当利得によ り原告に及んだ損失のうち実施料相当額の損失のみを主張することを明示していたものとは認められないことからすると、本件訴えの提起は、前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものといわざるを得ない。 以上の点を総合すれば、本件において上記の特段の事情があると認めるこ とはできないというべきである。 されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものといわざるを得ない。以上の点を総合すれば、本件において上記の特段の事情があると認めることはできないというべきである。よって、本件訴えは、金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が提起した残部請求の訴えに当たり、本件訴えの提起は、信義則に反して許されない。 第4 結論 以上によれば、原告の本件訴えは不適法であるから、これを却下することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判官 塚田久美子 裁判官 木村洋一 裁判長裁判官國分隆文は、差支えにつき署名押印することができない。 裁判官 塚田久美子 (別紙)物件目録 1 イ号物件スマートフォン「GALAPAGOSSoftBank003SH」 2 ロ号物件スマートフォン「DM009SH」 3 ハ号物件スマートフォン「GALAPAGOSSoftBank005SH」 4 ニ号物件スマートフォン「AQUOSPHONESoftBank006SH」 5 ホ号物件スマートフォン「AQUOSPHONETHEHYBRIDSoftBank007SH」 6 ヘ号物件 AQUOSPHONESoftBank 006SH」 5 ホ号物件スマートフォン「AQUOSPHONETHEHYBRIDSoftBank 007SH」 6 ヘ号物件スマートフォン「AQUOSPHONETHEHYBRIDSoftBank 007SHJ」 7 ト号物件 スマートフォン「SoftBank 007SHKT」 8 チ号物件スマートフォン「AQUOSPHONEXx 106SH」 9 リ号物件スマートフォン「AQUOSPHONEXxSoftBank 203SH」 以上
▼ クリックして全文を表示