主文 1 本件訴えのうち,後記第1の1(2)及び2の請求に係る訴えをいずれも却下する。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 甲事件(1) 主位的請求ア被告が,平成14年8月21日付けで原告Aに対してした公文書部分公開決定のうち,別紙非公開部分の記載内容一覧表記載の部分を非公開とする部分が無効であることを確認する。 イ被告が,平成14年8月21日付けで原告B,同C及び同Dに対してした行政文書部分開示決定のうち,別紙非公開部分の記載内容一覧表記載の部分を非開示とする部分が無効であることを確認する。 (2) 予備的請求ア被告が,平成14年8月21日付けで原告Aに対してした公文書部分公開決定のうち,別紙非公開部分の記載内容一覧表記載の部分(ただし,文書番号13,25,26を除く。)を非公開とする部分を取り消す。 イ被告が,平成14年8月21日付けで原告B,同C及び同Dに対してした行政文書部分開示決定のうち,別紙非公開部分の記載内容一覧表記載の部分(ただし,文書番号13,25,26を除く。)を非開示とする部分を取り消す。 2 乙事件(1) 別紙非公開部分の記載内容一覧表記載の文書について原告Aが平成12年9月22日付けでした公文書公開請求に対し,被告が公開決定を行わないことは違法であることを確認する。 (2) 別紙非公開部分の記載内容一覧表記載の文書について原告B,同C及び同Dが平成13年9月24日付けでした行政文書開示請求に対し,被告が開示決定を行わないことは違法であることを確認する。 (3) 被告は,原告らに対し,それ 覧表記載の文書について原告B,同C及び同Dが平成13年9月24日付けでした行政文書開示請求に対し,被告が開示決定を行わないことは違法であることを確認する。 (3) 被告は,原告らに対し,それぞれ5万円及びこれに対する平成15年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要原告Aが千葉県公文書公開条例(昭和63年3月28日千葉県条例第3号。以下「旧条例」という。なお,旧条例は千葉県情報公開条例(平成12年12月8日千葉県条例第65号。以下「新条例」という。)により廃止された。)に基づき,原告B,原告C及び原告Dが新条例に基づき,それぞれ,旧条例及び新条例の実施機関である被告に対し,被告が各県立高校から受け取った学校調査に関する文書(以下「本件公開請求文書」という。)の公開(開示)を請求した(以下,原告Aの公開請求を「本件公開請求1」,原告B,同C及び同Dの開示請求をそれぞれ「本件公開請求2」,「本件公開請求3」及び「本件公開請求4」といい,本件公開請求1ないし4を併せて「本件各公開請求」という。)ところ,被告は,本件公開請求文書は旧条例11条2号,7号及び8号の非公開理由に該当するとして,本件各公開請求についていずれも公開しない旨の決定(以下,原告Aに対する公開しない旨の決定を「本件非公開決定1」,原告B,同C及び同Dに対する開示しない旨の決定をそれぞれ「本件非公開決定2」,「本件非公開決定3」及び「本件非公開決定4」といい,本件非公開決定1ないし4を併せて「本件各非公開決定」という。)をしたが,その後,被告は,本件各非公開決定をそれぞれ取り消した(以下,原告Aに対する本件非公開決定1の取消しを「本件取消決定1」,原告B,同C及び同Dに対する本件非公開決定2,本件非公開決定3及び本件非公開決定4の取消 は,本件各非公開決定をそれぞれ取り消した(以下,原告Aに対する本件非公開決定1の取消しを「本件取消決定1」,原告B,同C及び同Dに対する本件非公開決定2,本件非公開決定3及び本件非公開決定4の取消しをそれぞれ「本件取消決定2」,「本件取消決定3」及び「本件取消決定4」といい,本件取消決定1ないし4を併せて「本件各取消決定」という。)上で,さらに,本件公開請求文書のうち,別紙非公開部分の記載内容一覧表(以下「別表」という。)記載の文書(以下「本件非公開文書」という。)の記載内容の一部(以下「本件非公開部分」という。)については旧条例11条2号に該当するとして公開しない旨の,それ以外の部分については公開する旨の決定(以下,原告Aに対する決定を「本件新非公開決定等1」,そのうち公開しないとする部分を「本件新非公開決定1」といい,原告B,同C及び同Dに対する決定をそれぞれ「本件新非公開決定等2」,「本件新非公開決定等3」及び「本件新非公開決定等4」,そのうち公開しないとする部分をそれぞれ「本件新非公開決定2」,「本件新非公開決定3」,「本件新非公開決定4」という。また,本件新非公開決定等1ないし4を併せて「本件各新非公開決定等」といい,「本件新非公開決定1ないし4」を併せて「本件各新非公開決定」という。)をした。 そこで,原告らが,被告に対し,甲事件において,① 主位的に,本件各取消決定を行った後に行った本件各新非公開決定は本件各取消決定と矛盾し無効であるとして,本件各新非公開決定の無効確認を求めるとともに,② 予備的に,本件非公開部分(ただし,別表文書番号13,25,26を除く。)はいずれも旧条例11条2号に該当しないとして,本件各新非公開決定の取消しを求め,また,乙事件において,行政事件訴訟法19条の請求の追加的併合の訴えとして,① 本件 文書番号13,25,26を除く。)はいずれも旧条例11条2号に該当しないとして,本件各新非公開決定の取消しを求め,また,乙事件において,行政事件訴訟法19条の請求の追加的併合の訴えとして,① 本件各公開請求に対して被告が公開決定を行わないことの不作為の違法確認を求めるとともに,② 本件各新非公開決定は原告らの訴えの利益を失わさせる嫌がらせであるなどとして,不法行為(民法709条,710条)による損害賠償請求権に基づき,それぞれ慰謝料5万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成15年4月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。 1 前提事実(証拠等の記載のない事実は,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である。)(1) 当事者原告らは,千葉県の住民であり,被告は,旧条例2条1項及び新条例2条1項の実施機関である。 (2) 旧条例及び新条例旧条例のうち,本件に関係する部分は,別紙千葉県公文書公開条例(抄)記載のとおりであり,新条例のうち,本件に関係する部分は,別紙千葉県情報公開条例(抄)記載のとおりである。 (3) 本件各公開請求ア原告Aは,被告に対し,平成12年9月22日付けで,旧条例に基づき,被告が平成12年度教企第142号によって各県立高校から受け取った学校調査に関する文書(本件公開請求文書)の公開(閲覧及び写しの交付)を請求した(本件公開請求1)。 イ原告B,同C及び同Dは,被告に対し,平成13年9月24日付けで,新条例に基づき,本件公開請求文書の公開(閲覧及び写しの交付)を請求した(本件公開請求2ないし4)。 (4) 本件各非公開決定ア被告は,原告Aに対し,平成12年10月 日付けで,新条例に基づき,本件公開請求文書の公開(閲覧及び写しの交付)を請求した(本件公開請求2ないし4)。 (4) 本件各非公開決定ア被告は,原告Aに対し,平成12年10月10日付けで,旧条例11条2号,7号及び8号の非公開理由に該当するとの理由により,本件公開請求文書についていずれも公開しない旨の決定(本件非公開決定1)をし,同月11日付け公文書非公開決定通知書をもって,そのころ,原告Aに対し,その旨通知した(甲1の2)。 イ被告は,原告B,同C及び同Dに対し,平成13年10月26日付けで,旧条例11条2号,7号及び8号の非公開理由に該当するとの理由により,本件公開請求文書についていずれも開示しない旨の決定(本件非公開決定2ないし4)をし,同月29日付け行政文書不開示決定通知書をもって,そのころ,原告B,同C及び同Dに対し,それぞれその旨通知した(甲2の2ないし4)。 (5) 本件各非公開決定に対する異議申立てア原告Aは,被告に対し,平成12年11月21日付けで,本件非公開決定1について,行政不服審査法に基づく異議申立てをした。 イ原告B,同C及び同Dは,被告に対し,平成13年11月18日付けで,本件非公開決定2ないし4について,行政不服審査法に基づく異議申立てをした。 (6) 従前の訴えの提起原告らは,平成14年7月10日,本件各非公開決定を不服として,被告を千葉県教育委員会とする本件各非公開決定の取消しを求める訴えを提起した(当庁平成14年(行ウ)第27号事件。以下「従前の訴え」という。記録上明らかな事実。)。 なお,原告らの前記各異議申立てに対する決定は,従前の訴えを提起した時点では,未だなされていなかった。 (7) 本件 号事件。以下「従前の訴え」という。記録上明らかな事実。)。 なお,原告らの前記各異議申立てに対する決定は,従前の訴えを提起した時点では,未だなされていなかった。 (7) 本件各取消決定被告は,平成14年8月21日付けで,本件各非公開決定について,いずれも決定の全部を取り消す旨の決定(本件各取消決定)をした。 (8) 本件各新非公開決定等被告は,原告らそれぞれに対し,同日付けで,本件公開請求文書のうち,別表記載の文書(本件非公開文書)の記載の一部(本件非公開部分。それぞれの記載内容は別表の「公開しない部分の記載内容」欄記載のとおり。)については旧条例11条2号の非公開理由に該当するとして公開しない旨の,それ以外の部分については公開する旨の決定(本件各新非公開決定等。そのうち公開しないとする部分が本件各新非公開決定。)をし,そのころ,原告らに対し,それぞれその旨通知した。 (9) 当裁判所は,本件各新非公開決定等がされたことから,原告らに対し,本件各新非公開決定の取消しを求める新訴(行政事件訴訟法19条の追加的併合)を提起するか検討を促していたが,原告らは,本件各新非公開決定等によって新たな決定がなされたとすると新非公開決定について新たな訴えを提起しなければならないことになるが,これは訴訟の蟻地獄ともいうべき事態であり無限連鎖に陥ってしまうことになる旨の記載がある平成14年10月1日付け準備書面(1)を提出した。なお,同準備書面には,原告らは,被告の未成熟な行政情報としての性格を失ったとの判断に疑義を感じており,また,本件各新非公開決定等による処分変更手続自体にもさまざまな問題が含まれていると考えている旨の記載もある。 (記録上明らかな事実,弁論の全趣旨)(10 判断に疑義を感じており,また,本件各新非公開決定等による処分変更手続自体にもさまざまな問題が含まれていると考えている旨の記載もある。 (記録上明らかな事実,弁論の全趣旨)(10) 甲事件の追加的併合の訴えの提起と従前の訴えの取下げ原告らは,平成15年1月16日,本件各新非公開決定の無効確認及び取消しを求める行政事件訴訟法19条による請求の追加的併合の訴え(甲事件)を提起し,平成15年1月24日の本件第2回弁論準備手続期日において,従前の訴えを取り下げた。 原告らは,従前の訴えにおいても,甲事件の訴えにおいても,本件公開請求文書が旧条例11条2号の非公開理由に該当しないことを被告の各処分の違法理由として主張している。 原告らは,従前の訴え及び甲事件の訴えを提起するに当たっては,代理人を依頼せず,自らこれにあたってきたものであり,弁護士を訴訟代理人に選任したのは,原告Dが平成15年10月1日,同Bが同月2日,同A及び同Cが同月3日である。 (記録上明らかな事実)(11) 乙事件の追加的併合の訴えの提起原告らは,平成15年3月26日,本件各公開請求に対して被告が公開決定をしないことの不作為の違法確認及び不法行為に基づく慰謝料の支払を求める行政事件訴訟法19条による請求の追加的併合の訴え(乙事件)を提起した。 (記録上明らかな事実) 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 原告らの本件各新非公開決定の無効確認を求める訴え(前記第1の1(1)の請求に係る訴え)について本件各新非公開決定は無効であるか。 (原告ら)ア行政庁が行った行政処分について,その後にこれと矛盾する行政処分を行ったときは,後 )の請求に係る訴え)について本件各新非公開決定は無効であるか。 (原告ら)ア行政庁が行った行政処分について,その後にこれと矛盾する行政処分を行ったときは,後の行政処分は無効であるところ,本件各取消決定は,本件公開請求文書が旧条例11条2号に定める非公開理由に該当するとの本件各非公開決定の判断を否定して,これを取り消すものであるのに対し,本件新非公開決定は,本件公開請求文書が旧条例11条2号に定める非公開理由に該当するとするものであるから,本件各新非公開決定は,本件各取消決定と矛盾するものであり,無効である。 イ被告が主張するように,被告において,本件公開請求文書を,個人情報を除き,公開することにしたのであれば,本件各取消決定のような本件各非公開決定の全部取消しをするのではなく,その一部を取り消しておくべきであったのであり,被告には手続上の瑕疵がある。 ウ被告が引用する後記判例は,事案を異にし,いずれも本件に適用することはできない。 (被告)ア被告は,本件各公開請求に対し全部非公開決定として本件各非公開決定を行った。 ところで,本件各公開請求の対象文書である本件公開請求文書は,県立高等学校再編計画策定のための調査として行った各県立高等学校長からの回答書であり,前記再編計画策定途上にあっては全体として未成熟な行政情報であったため,被告はこれを全部非公開(不開示)とした。 しかし,被告は,前記再編計画を平成14年7月17日までに策定完了し,これを公表し,これによって本件公開請求文書は未成熟な行政情報としての性格を失った。 そこで,被告は,本件各非公開決定を,本件公開請求文書のうち個人情報部分のみを非公開とする 了し,これを公表し,これによって本件公開請求文書は未成熟な行政情報としての性格を失った。 そこで,被告は,本件各非公開決定を,本件公開請求文書のうち個人情報部分のみを非公開とする一部公開決定に変更すべく,平成14年8月21日付けで,本件各非公開決定を取り消し,同日付けで本件非公開部分のみ非公開とし,その余の部分を全て公開する旨の一部公開決定(本件各新非公開決定等)をした。これは,本件各非公開決定では,個人情報部分について旧条例11条2号該当だけではなく,旧条例11条7号,8号該当も理由となっていたため,一旦これを取り消して本件各新非公開決定等を行ったものである。 本件各取消決定では,取消しの理由として「個人情報(第2号)を除き部分公開することとした。」(乙1)と明記されていて,個人情報部分を含めて本件公開請求文書の全部を公開する趣旨でなされたものではないことが明らかにされており,このことは容易に理解できるはずである。 よって,本件各取消決定と本件各新非公開決定とは矛盾しない。 イ仮に,本件各取消決定と本件各新非公開決定が矛盾していたとしても,行政庁が一旦行政行為を行った後,これと矛盾する行政行為をなし得ないのは,先になした行政行為が争訟裁断的行政行為である場合に限られる(最高裁昭和29年1月21日判決・民集8巻1号102頁,最高裁昭和42年9月26日判決・民集21巻7号1887頁)ところ,本件各取消決定は争訟裁断的行政行為ではないから,これと矛盾する行政行為がなされても違法・無効とはならず,本件各新非公開決定が無効となるものではない。 (2) 原告らの本件各新非公開決定の取消しを求める訴え(前記第1の1(2)の請求に係る訴え)についてア本案前の主張(出訴期間の徒 ,本件各新非公開決定が無効となるものではない。 (2) 原告らの本件各新非公開決定の取消しを求める訴え(前記第1の1(2)の請求に係る訴え)についてア本案前の主張(出訴期間の徒過)(被告)(ア) 原告らが本件各新非公開決定の取消訴訟を提起したのは同決定がなされた日から3か月経過後の平成15年1月16日であるから,原告らの訴えは出訴期間経過後に提起された不適法なものであり,却下されるべきである。 (イ) 原告らは,本件各新非公開決定を争う意思が実質的には従前の訴え提起の時に表明されていたと解すべきであるから,出訴期間遵守の点において欠けるところがないと解すべき特段の事情があると主張する。 しかしながら,判例(最高裁昭和61年2月24日判決・民集40巻1号69頁)が特別の事情を肯定したのは,変更前の訴えの対象である一時利用地指定処分が変更後の訴えの対象である換地処分を予定したものであるというように両処分間に特別な関係があったからであるところ,本件各非公開決定と本件各新非公開決定とは別個の処分であり,両処分間には違法性の承継が認められる関係がない上,本件各非公開決定は本件各新非公開決定を予定してなされたものではなく,前記のような特別な関係はなく,特段の事情を認めることはできないものである。 (ウ) 仮に特段の事情を認めるとしても,新請求に係る訴えの提起はいつなされてもよいわけではなく,処分がなされてから相当の期間内にしなければならないところ,原告らは,裁判所の訴訟指揮にもかかわらず,本件各新非公開決定の取消しを求める請求の追加的併合を平成15年1月16日までしなかったものであり,いずれにしても不適法である。 (原告ら) 裁判所の訴訟指揮にもかかわらず,本件各新非公開決定の取消しを求める請求の追加的併合を平成15年1月16日までしなかったものであり,いずれにしても不適法である。 (原告ら)① 従前の訴えにおける取消対象は本件各非公開決定であり,甲事件の取消対象は本件各新非公開決定であるところ,本件各新非公開決定は本件各非公開決定の一部であり,その取消請求の対象が同一であること,② 両請求とも,当事者が同一であること,③ 従前の訴えは適法に係属していたところ,被告の本件各取消決定により訴えの利益を欠くことになっただけで,その他の訴訟要件は欠けるところがなかったこと,④ 甲事件の訴えにおける本件各新非公開決定に対する不服と同一の事由がすでに従前の訴えの請求原因として主張されており,本件各新非公開決定を争う意思が実質的には,従前の訴え提起の時にすでに表明されていたと解すべきであることから,たとえ甲事件の訴えの提起の時期が本来の出訴期間経過後であっても,なお,従前の訴え提起の時から提起されたものと同様に扱うのを相当とし,出訴期間の遵守の点において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるというべきである(東京高裁昭和61年3月31日判決,仙台高裁平成10年6月24日判決参照)。 よって,本件各新非公開決定の取消しを求める訴えは適法である。 イ本案の主張(本件非公開部分は旧条例11条2号の非公開理由に該当するか。)(被告)(ア) 別表文書番号1ないし4,6,11,12,14,15,18,20ないし24,27,28の非公開部分(以下,これらの部分に記載されている情報を併せて「本件情報1」という。)についてa 前記文書の非公開部分には,高等学校の校地の個人 ,18,20ないし24,27,28の非公開部分(以下,これらの部分に記載されている情報を併せて「本件情報1」という。)についてa 前記文書の非公開部分には,高等学校の校地の個人たる貸主(不動産賃貸業者ではない貸主)の住所,氏名,賃借料の有無・金額(本件情報1)が記載されている。 したがって,本件情報1は,個人の収入,資産等個人の財産状況に関する情報であり,個人に関する情報であって,特定個人が識別され,かつ旧条例11条2号イないしハのいずれにも該当しない。 よって,被告の本件情報1の部分の非公開決定は適法である。 b 原告らは,前記各非公開部分は県の支出及び県の管理下にある土地に関する情報,すなわち「県に関する情報」であり,また,その土地に関して県との間に賃貸借関係を締結した以上,旧条例11条2号括弧書きの「事業を営む個人の当該事業に関する情報」であると主張する。 しかしながら,本件情報1は,個人の収入,資産等個人の財産状況に関する情報であって,「個人に関する情報」であることは明らかであり,また,各個人はたまたま当該土地を所有していたことから県の契約相手となっただけのことであって,不動産賃貸業を営んでいて,その事業の一環として賃貸したというものではなく,「事業を営む個人の当該事業に関する情報」ではない。 c なお,原告らは,住所について,市町村名まで含めて非公開としたことを問題にするが,住所は当然のことながら,その全体が独立した一体的な情報であって,その全体を非公開とすることは当然許される。 (イ) 別表文書番号9,10の非公開部分(以下,これらの部分に記載されている情報を併せて「本件情報2」という。) した一体的な情報であって,その全体を非公開とすることは当然許される。 (イ) 別表文書番号9,10の非公開部分(以下,これらの部分に記載されている情報を併せて「本件情報2」という。)についてa 前記文書の非公開部分には,PTA活動への出席者の氏名及び職名(本件情報2)が記載されている。 したがって,本件情報2は,個人の社会活動に関する情報であり,個人に関する情報であって,特定個人が識別され,かつ旧条例11条2号イないしハのいずれにも該当しない。 よって,被告の本件情報2の部分の非公開決定は適法である。 b 原告らは,本件各非公開部分は,PTAという「その他団体」に関するものであり,PTA活動は個人の社会活動であるから,その出席者氏名は「団体に関する情報」であって,「個人に関する情報」でないと主張する。 しかしながら,PTAは,社会教育法10条所定の「社会教育関係団体」であり,要するに自主的任意団体である。「個人に関する情報」には組織体の構成員としての活動も含まれ,現に旧条例に関する「公文書公開の手引」(甲7)においても「社会的活動に関する情報」が「個人に関する情報」の1つとして例示されているものである。したがって,本件情報2は「個人に関する情報」に該当するものである。 (ウ) 別表文書番号5,7ないし9,16,17,19,29,30の非公開部分(以下,これらの部分に記載されている情報を併せて「本件情報3」という。)についてa 前記文書の非公開部分は,学校内で開催された講演会の外部講師名及び職名(本件情報3)が記載されている。 したがって,本件情報3は,個人の社会活動 についてa 前記文書の非公開部分は,学校内で開催された講演会の外部講師名及び職名(本件情報3)が記載されている。 したがって,本件情報3は,個人の社会活動に関する情報であり,個人に関する情報であって,特定個人が識別され,かつ旧条例11条2号イないしハのいずれにも該当しない。 よって,被告の本件情報3の部分の非公開決定は適法である。 b 原告らは,前記各非公開部分に記載された大学教授等の講演は「事業を営む個人の当該事業に関する情報」であり,また「個人の社会活動」であって,個人の私的な活動ではないと主張する。 しかしながら,大学教授等は講演活動をその事業として営んでいるわけではないのであって,本件情報3は「事業を営む個人の当該事業に関する情報」ではないし,また,社会的活動も「個人に関する情報」に該当するものである。 (原告ら)(ア) 別表文書番号1ないし4,6,11,12,14,15,18,20ないし24,27,28の非公開部分について不動産賃貸は,個人事業情報であり,したがって,氏名,賃料額もまた個人事業情報である。そうすると,被告は,旧条例11条3号の非公開理由を主張・立証していないから,本件情報1を非公開とした決定は取り消されるべきである。 (イ) 別表文書番号9,10の非公開部分についてPTAという団体が「権利能力なき社団」として組織化されている場合には,当該団体の活動は「団体に関する情報」として旧条例11号3号でその公開・非公開が決定されることになる。 他方,「権利能力なき社団」として組織化されていない場合には,その所属 には,当該団体の活動は「団体に関する情報」として旧条例11号3号でその公開・非公開が決定されることになる。 他方,「権利能力なき社団」として組織化されていない場合には,その所属員の活動は,「個人に関する情報」となるが,PTA活動に関する情報は,「私的生活に関する情報」ではなく「社会活動に関する情報」であり,それは「個人に関する情報」であっても「個人事業情報」であるから,旧条例11条2号で非公開とすることはできない。 さらに,「権利能力なき社団」であるPTA会員が同会員の資格ではなく全く個人の資格で他のPTA団体の会合に出席する場合のその出席情報は,当該所属団体の活動情報ではなく「会員個人に関する情報」であると言える場合があるが,この場合も「個人事業情報」となる。 そうすると,被告は,PTA活動の情報に関しては,それが団体活動であるか個人活動であるかを区別することなく,旧条例11条3号で公開・非公開を決定すればよいことになるところ,本件において,被告は,旧条例11条3号での非公開理由を主張・立証していないから,当該情報を非公開とした決定は取り消されるべきである。 (ウ) 別表文書番号5,7ないし9,16,17,19,29,30の非公開部分について講演会の外部講師名は,講師が個人の資格で講演した場合は「個人に関する情報」となり,会社・大学等所属団体の構成員の資格で講演した場合は当該「団体に関する情報」となる。 また,講師が個人の資格で講演した場合であっても,講演は社会活動であるから,旧条例11条3号に基づき公開非公開が決定される。 そして,被告は,旧条例11条3号での非公開理由を主張・立証していないから,当該 演した場合であっても,講演は社会活動であるから,旧条例11条3号に基づき公開非公開が決定される。 そして,被告は,旧条例11条3号での非公開理由を主張・立証していないから,当該情報を非公開とした決定は取り消されるべきである。 (3) 原告らの被告が本件各公開請求に対して公開決定をしないことの不作為の違法確認を求める訴え(前記第1の2(1)及び(2)の請求に係る訴え)について(原告ら)ア被告が,原告らの本件各公開請求に対し,本件各取消決定をしたことにより,被告には旧条例に基づき原告らの本件各公開請求に対し応答する義務が生じており,また,被告が本件各取消決定を行ったことにより,被告は,本件各取消決定と相反する行政行為をすることができないという拘束を受けることになる。 イ被告は,本件各取消決定の後,本件公開請求文書のうち,本件非公開文書を除くその余の文書を公開しており,被告が前記アの義務を履行する方法としては,論理的には,本件非公開文書の公開決定をするか,本件公開請求文書について,本件各非公開決定で非公開の根拠とした旧条例11条2号,7号及び8号以外の非公開理由で非公開決定を行うこと以外はあり得ないというべきところ,被告は,本件各非公開決定当時,旧条例11条2号,7号及び8号以外の非公開理由で非公開決定を行う根拠は見当たらないと考えていたのであるから,被告には,前記義務を履行するためには,本件非公開文書の公開決定することしかあり得ないのである。 ウしかしながら,被告は,本件公開請求文書のうち,本件非公開文書については,未だ公開決定をしておらず,しかも,新たに本件各新非公開決定をしていることからすれば,被告には本件非公開文書を公開する意思は全く認められない。このように被 開請求文書のうち,本件非公開文書については,未だ公開決定をしておらず,しかも,新たに本件各新非公開決定をしていることからすれば,被告には本件非公開文書を公開する意思は全く認められない。このように被告が本件非公開文書の公開決定を怠っているという不作為は,旧条例に違反しているものである。 (被告)ア本案前の主張被告は,原告Aの本件公開請求1に対しては,平成12年10月11日付けで本件非公開決定1を行い,その後,平成14年8月21日付けで本件非公開決定1を取り消した上で,同日付けで本件新非公開決定等1を行っている。 また,被告は,原告B,同C及び同Dの本件公開請求2ないし4に対しては,平成13年10月29日付けで本件非公開決定2ないし4を行い,その後,平成14年8月21日付けで本件非公開決定2ないし4を取り消した上で,同日付けで本件新非公開決定等2ないし4を行っている。 したがって,被告は,原告らの本件公開請求に対し,決定を行っており,不作為はなく,原告らの請求は不適法である。 イ本案の主張被告は,原告らの本件各公開請求に対する応答として,本件各新非公開決定等を行っている。 (4) 原告らの不法行為に基づく慰謝料の支払を求める訴え(前記第1の2(3)の請求に係る訴え)について(原告ら)ア被告がした本件各新非公開決定は,従前の訴えにおける原告らの訴えの利益を失わせるための嫌がらせであり,原告らに対する不法行為を構成する。 イ被告には,本件各取消決定に基づき,本件非公開文書を公開決定すべき義務が生じたにもかかわらず,被告は公開決定を未だしておらず,このことは原告らに対する不法行為を構成する。 する。 イ被告には,本件各取消決定に基づき,本件非公開文書を公開決定すべき義務が生じたにもかかわらず,被告は公開決定を未だしておらず,このことは原告らに対する不法行為を構成する。 ウ原告らは,被告の前記不法行為によって精神苦痛を受けたものであり,これを慰謝するにはそれぞれ5万円が相当である。 (被告)ア本案前の主張被告は機関であり,損害賠償請求訴訟の当事者たり得ず,原告らの前記第1の2(3)の請求に係る訴えは不適法である。 イ本案の主張(ア) 被告は,平成14年7月17日に高校再編計画を公表し,本件公開請求文書が未成熟な行政情報でなくなったことから,本件各非公開決定を取り消して本件各新非公開決定等を行ったものであり,原告らに対する不法行為を構成しない。 (イ) 被告において,本件各取消決定に基づき,本件非公開文書を公開決定すべき義務が生じたにもかかわらず,公開決定をしていないことが,原告らに対する不法行為を構成する旨の原告の主張は争う。 (ウ) 原告らが,被告の不法行為によって精神的苦痛を受け,慰謝料としてそれぞれ5万円が相当である旨の原告らの主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 本件各新非公開決定の無効確認を求める訴え(前記第1の1(1)の請求に係る訴え)について(1) 前記第2の1の事実及び証拠(各項目の末尾に当該項目の事実認定に用いた証拠を掲記した。)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被告は,原告Aに対し,平成12年10月10日付けで,原告B,同C及び同Dに対し,平成13年10月26日付けで,それぞれ旧条例11条2号,7号及び8号の非公開理由に該当するとの理由に ア被告は,原告Aに対し,平成12年10月10日付けで,原告B,同C及び同Dに対し,平成13年10月26日付けで,それぞれ旧条例11条2号,7号及び8号の非公開理由に該当するとの理由により,本件公開請求文書についていずれも公開しない旨の決定(本件各非公開決定)をした。 イ被告の原告らに対する本件各非公開決定の通知書には,「公開しない理由」として,旧条例11条2号,7号及び8号に該当する,2号該当理由は,個人に関する情報であって特定個人が識別され,又は識別され得る情報が記録されているためであり,非公開部分は氏名・住所等である,7号該当理由は,実施機関が行う県立高等学校の再編成に係る意思形成過程における県の機関内部の調査研究等に関し,実施機関が作成し依頼したものに対して,各県立高等学校が回答したもので,未成熟な行政情報であり,回答項目から憶測が広まるなど,公開することにより,当該事務事業また将来の同種の事務事業に係る意思形成に著しい支障が生じると認められるためである,8号該当理由は,実施機関が行う県立高等学校の再編成に係る事務事業に関する情報であり,当該事務事業の性質上,公開することにより,当該事務事業もしくは将来の同種の事務事業の公正もしくは円滑な執行に著しい支障が生じると認められるためである,と記載されている。なお,原告Aに対する本件非公開決定1の通知書には,さらに,7,8号非公開部分は収受した「学校調査について」(回答)145校分の全て,と記載されている。 (甲1の2,2の2ないし4)ウ被告は,平成14年8月21日付けで,本件各非公開決定について,決定の全部を取り消す旨の決定(本件各取消決定)をした。 エ本件各取消決定の通知には,取消しの理由として,「・・・県立高等学校再編 ,平成14年8月21日付けで,本件各非公開決定について,決定の全部を取り消す旨の決定(本件各取消決定)をした。 エ本件各取消決定の通知には,取消しの理由として,「・・・県立高等学校再編計画(最終案)の作成をもって意思形成が終了し,事業執行に関する骨子が公表されたため,個人情報(第2号)を除き部分公開することとした。」との記載がある(乙1の1,2の1,3の1,4の1)。 オ被告は,原告らに対し,同日付けで,本件公開請求文書のうち,別表記載の文書(本件非公開文書)の一部(本件非公開部分。それぞれの記載内容は別表の「公開しない部分の記載内容」欄記載のとおり。)については旧条例11条2号に該当するとして公開しない旨の,それ以外の部分については公開する旨の決定(本件各新非公開決定等。そのうち公開しないとする部分が本件各新非公開決定。)をし,そのころ,原告らに対し,それぞれその旨通知した。 (2) 前記(1)の認定事実によれば,被告は,いったん,本件公開請求文書が旧条例11条2号,7号及び8号の非公開理由に該当するとして,これを全部非公開とする旨の決定(本件各非公開決定)をしたが,その後,新たに生じた県立高等学校再編計画の作成という事情によって,本件公開請求文書が同条7号及び8号に該当するとの非公開理由が失われるに至り本件各非公開決定の効力を維持し難くなったと判断したことから,本件公開請求文書のうち同条2号に該当する部分を除き公開することとし,本件各非公開決定を全部取り消す旨の本件各取消決定をした上で,同日付けで,改めて本件各新非公開決定等をしたことが認められる。 そうすると,本件各取消決定は,行政庁が,いったん瑕疵なく成立した行政処分について,事後的にその効力を維持しておくことを不相当とするような事情が発生した場合に,その 公開決定等をしたことが認められる。 そうすると,本件各取消決定は,行政庁が,いったん瑕疵なく成立した行政処分について,事後的にその効力を維持しておくことを不相当とするような事情が発生した場合に,その処分の効力を将来に向かって失わせるために職権に基づいて行う,処分の撤回として行われたものということができる。 (3) 原告らは,本件各取消決定について,本件各非公開決定の全部を取り消したものであるから,本件公開請求文書が旧条例11条2号に定める非公開理由に該当するとの本件各非公開決定における判断をも否定したものであると解した上で,本件各新非公開決定は,本件公開請求文書が旧条例11条2号に定める非公開理由に該当するとして,その一部を非公開とすることを決定するものであるから,本件各取消決定と矛盾し,無効であると主張する。 しかしながら,前記(2)のとおり,本件各取消決定の目的及び効力は,いったん成立した本件各非公開決定の効力を,その全部について,本件各取消決定時以降,将来に向かって失わせることにあり,かつ,それに尽きるというべきであって,本件各公開請求に対する最終的な応答として,本件公開請求文書が旧条例所定の非公開理由に該当するか否かの判断を示し,その公開又は非公開を決定するものではないから,本件公開請求文書が旧条例11条2号所定の非公開理由に該当するとの本件各非公開決定における判断を,否定する趣旨のものとはいえない(むしろ,前記(1)で認定したとおり,本件各取消決定の通知に記載された取消しの理由中には,本件公開請求文書を「個人情報(第2号)を除き部分公開することとした」と記載されていたのであって,本件各取消決定が,本件公開請求文書が旧条例11条2号所定の非公開理由に該当するとの本件各非公開決定の判断を否定する趣旨のものではないことは を除き部分公開することとした」と記載されていたのであって,本件各取消決定が,本件公開請求文書が旧条例11条2号所定の非公開理由に該当するとの本件各非公開決定の判断を否定する趣旨のものではないことは,前記通知にも明示されていたということができる。)。 したがって,本件各取消決定後に,本件公開請求文書が旧条例11条2号に定める非公開理由に該当するとして,その一部を非公開とした本件各新非公開決定は,本件取消決定と矛盾するものとはいえず,その無効をいう原告らの主張は,これを採用することができない。 (4) 原告らは,本件各新非公開決定の無効事由として,被告において本件公開請求文書を個人情報を除いて公開しようとしたのであれば,本件各非公開決定を全部取り消すのではなく,その一部取消しをしておくべきであったのであって,被告には手続上の瑕疵があるとも主張する。 ところで,法律上の争訟,事実上の争いを解決するために行われる裁決,裁定等の行政処分については,その性質上,処分庁が職権によってこれを取り消し又は変更することは許されないと解される(最高裁昭和29年1月21日第一小法廷判決・民集8巻1号102頁,同昭和29年5月14日第二小法廷判決・民集8巻5号937頁,最高裁昭和42年9月26日判決・民集21巻7号1887頁参照)が,これと異なる本件各非公開決定のような情報公開条例に基づく公文書の公開・非公開の決定については,前記のような不可変更力が当然に認められると解することはできないのであって,本件各非公開決定のような情報公開条例に基づく公文書の公開・非公開の決定については,処分後に,その処分を撤回する公益上の必要性があり,それが,処分の撤回により生じる不利益を上回るような場合には,行政庁が職権に基づいて処分を撤回することも許されると解 の公開・非公開の決定については,処分後に,その処分を撤回する公益上の必要性があり,それが,処分の撤回により生じる不利益を上回るような場合には,行政庁が職権に基づいて処分を撤回することも許されると解すべきである。 そして,前記(2)のとおり,被告は,本件各非公開決定後に新たに生じた県立高等学校再編計画の作成という事情によって,本件公開請求文書が旧条例11条7号及び8号所定の非公開理由に該当しなくなり,本件各非公開決定の効力を維持し難くなったと判断したため,本件公開請求文書のうち同条2号に該当する部分を除き公開することとし,本件各非公開決定を撤回する本件各取消決定をした上で,同日付けで,改めて本件各新非公開決定等をしたというのであるから,少なくとも本件各非公開決定のうち,本件公開請求文書が旧条例11条7号及び8号所定の非公開理由に該当することを理由として本件公開請求文書を非公開とした部分については,これを撤回すべき公益上の必要性があったといえる。 もっとも,前記(1)で認定した経緯に照らすと,本件では,被告が行ったように本件各非公開決定の全部を撤回した上で,改めて,本件各公開請求全部に応答する決定(本件各新非公開決定等)をするのではなく,例えば,「本件各非公開決定のうち,旧条例11条7号及び8号該当部分(ただし,2号該当部分を除く。)を取り消す。」というように,本件各非公開決定の一部を撤回するにとどめるという方法をとることも,被告において可能であったと考えられる。 しかしながら,本件各非公開決定が,原告らに対し,本件公開請求文書の一部又は全部を公開するものではなく,その全部を非公開とするものであって,本件各非公開決定の全部が撤回されても,それによって,原告らが既に公開決定を受けた公文書を非公開とされる等の不 件公開請求文書の一部又は全部を公開するものではなく,その全部を非公開とするものであって,本件各非公開決定の全部が撤回されても,それによって,原告らが既に公開決定を受けた公文書を非公開とされる等の不利益を被るわけではないことに照らすと,被告が,本件各非公開決定の一部を撤回する方法ではなく,本件各非公開決定の全部を撤回した上で,改めて,本件各公開請求の全部について本件各新非公開決定等を行う方法を選択したことは,前記の撤回を行うべき公益上の必要性を上回る不利益を生じさせるような不合理なこととはいえないというべきであって,本件各取消決定,ひいては,これを前提として行われた本件各新非公開決定に,これを無効とすべき重大かつ明白な手続上の瑕疵があったとは認められない。 (5) 以上によれば,本件各新非公開決定は無効であるとはいえない。 2 本件各新非公開決定の取消しを求める訴え(前記第1の1(2)の請求に係る訴え)について(1) 訴えの追加的併合は新たな訴えの提起であり,出訴期間の制限がある場合には,出訴期間の遵守の有無は,新訴の提起時を基準としてこれを決しなければならないが,当初の訴えと新訴との間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,新訴を当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときは,新訴の提起の時期が出訴期間経過後であっても,当初の訴え提起の時から提起されていたものと同様に扱うのを相当とし,出訴期間遵守の点においては欠けるところはないと解すべきである。 (2) 前記第2の1(8)及び(10)のとおり,原告らが本件各新非公開決定の取消しを求める請求の追加的併合の訴えを提起したのは,本件各新非公開決定の通知を受けてから5か月近く経過した ある。 (2) 前記第2の1(8)及び(10)のとおり,原告らが本件各新非公開決定の取消しを求める請求の追加的併合の訴えを提起したのは,本件各新非公開決定の通知を受けてから5か月近く経過した後であるから,前記提起の時点ですでに出訴期間が経過していたことは明らかである。 また,従前の訴えに係る請求が本件各非公開決定が違法であるとしてその取消しを求めるものであるのに対し,新訴に係る請求は本件各新非公開決定が違法であるとしてその取消しを求めるものであるから,両請求は訴訟物を異にすることも明らかである。 (3) そこで,新訴を当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるか否かについて,以下検討する。 ア前記1のとおり,被告は,従前の訴えの非公開理由とした旧条例11条2号,7号及び8号のうち,2号に該当する部分を除き公開するため,本件各新非公開決定等を行ったものであるところ,前記第2の1(10)のとおり,従前の訴えに係る請求も甲事件の訴えに係る請求も,被告が旧条例11条2号に該当し非公開とした部分について,非公開理由に該当しないとして,被告の本件各非公開決定又は本件各新非公開決定が違法である旨主張していることが認められる。 また,前記第2の1(6)のとおり,従前の訴えにおいても,本件各新非公開決定の取消しを求める訴えにおいても,当事者が同一であることが認められる。 さらに,前記第2の1(4)ないし(7)のとおり,従前の訴えは,平成12年10月10日付けで原告Aに対してされた本件非公開決定1及び平成13年10月26日付けで原告B,同C及び同Dに対してされた本件非公開決定2ないし4に対し,原告Aが平成12年11月21日付 ,平成12年10月10日付けで原告Aに対してされた本件非公開決定1及び平成13年10月26日付けで原告B,同C及び同Dに対してされた本件非公開決定2ないし4に対し,原告Aが平成12年11月21日付けで,原告B,同C及び同Dが平成13年11月18日付けでそれぞれ異議申立てをした上,それぞれについて決定がなされる前に,その取消しを求めてそれぞれの出訴期間内である平成14年7月10日に提起された訴えであり,従前の訴えの提起後に,同年8月21日付けで被告によって本件各取消決定がなされたために,従前の訴えはその訴えの利益を欠く結果となったにすぎず,その他の訴訟要件には欠けるところがなかったものであることが認められる。 イそして,前記1で認定したとおり,本件各新非公開決定は,本件各非公開決定後に生じた事情変更により,その一部を撤回する公益上の必要性が生じたことから,本件各非公開決定を本件各取消決定により全部撤回した上で,再度,本件各公開請求に応答する趣旨で行われたものであり,本件各非公開決定と関連性があることは否定できない。 しかしながら,本件各非公開決定と本件各新非公開決定は,一連の処分とはいえず,また,本件各新非公開決定は,本件各非公開決定後に生じた事情変更(県立高等学校再編計画の作成)により,本件公開請求文書について旧条例11条7号及び8号の非公開理由が失われるに至ったために行われたものであって,実質的にも,本件各非公開決定と同一の処分であるとはいえないこと,前記第2の1(9)のとおり,被告が本件各非公開決定を全部撤回した本件各取消決定及びその後の本件各新非公開決定等という被告のとった手続に対して,原告らは疑義を感じており,そのため,本件各新非公開決定の取消しの訴えを提起することについても疑問を抱いていたものと推認でき 各取消決定及びその後の本件各新非公開決定等という被告のとった手続に対して,原告らは疑義を感じており,そのため,本件各新非公開決定の取消しの訴えを提起することについても疑問を抱いていたものと推認できることからすると,原告らが被告に対し,本件各新非公開決定を争う意思が実質的には従前の訴え提起の時にすでに表明されていたものとまでは解し難く,加えて,前記第2の1(9)(10)のとおり,本件各新非公開決定の取消しの訴えの提起時には本人訴訟であったとはいえ,原告らは,出訴期間が経過する以前から,裁判所より,本件各新非公開決定の取消しの追加的併合の訴えを提起するか検討するよう促されていたことに照らすと,出訴期間の関係において,本件各新非公開決定の取消しの訴えを従前の訴え提起の時から提起されたものと同様に取り扱うことが相当であるとはいえず,出訴期間遵守の点において欠けることがないと解すべき特段の事情があるということはできない。 (4) したがって,本件各新非公開決定の取消しを求める訴えは不適法といわなければならない。 3 被告が本件各公開請求に対して公開決定をしないことの不作為の違法確認を求める訴え(前記第1の2(1)及び(2)の請求に係る訴え)について原告らは,本件各公開請求に対し,被告が公開決定を行わないことが違法であると主張する。 しかしながら,「不作為の違法確認の訴え」とは,行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内になんらかの処分又は裁決をすべきにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいい(行政事件訴訟法3条5項),申請に対応して何らかの処分がされた場合には,それが申請を認容するものであるか,申請を棄却又は却下するものであるかを問わず,不作為状態は解消されたことになると解されるところ,前記第2の 法3条5項),申請に対応して何らかの処分がされた場合には,それが申請を認容するものであるか,申請を棄却又は却下するものであるかを問わず,不作為状態は解消されたことになると解されるところ,前記第2の1(4),(7)及び(8)のとおり,被告は,本件不作為の違法確認請求にかかる訴えが提起される以前に,すでに,原告らの本件各公開請求に対して本件各非公開決定をしており,その後,本件各取消決定によって本件各非公開決定を全部撤回したとはいえ,同日付けで本件各新非公開決定等をしたことが認められる。 そうすると,本件においては,そもそも原告らが違法確認を求めている被告の不作為は存在しないというべきであるから,本件各公開請求に対する被告の不作為の違法確認を求める原告らの訴えは,不適法なものというべきである。 また,原告らの前記不作為の違法確認請求が,被告が本件公開請求文書についての「公開」決定を行わないことの違法確認を求める趣旨であるとしても,申請に対応して何らかの処分がされた場合には,それが申請を認容するものであるか,申請を棄却又は却下するものであるかを問わず,不作為状態は解消されたことになるのであるから,申請を認容しないことの不作為の違法確認を求める訴えは,不適法なものと言わざるを得ず,却下を免れない。 4 不法行為に基づく慰謝料の支払を求める訴え(前記第1の2(3)の請求)について原告らは,本件において,本件各新非公開決定が原告らの訴えの利益を失わせることを目的とした嫌がらせである等と主張して,民法709条,710条に基づく損害賠償請求権に基づき,千葉県教育委員会を被告として慰謝料請求訴訟を提起したものであるが,千葉県教育委員会は,行政庁であって,権利義務の帰属主体ではなく,したがって,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟におけ 請求権に基づき,千葉県教育委員会を被告として慰謝料請求訴訟を提起したものであるが,千葉県教育委員会は,行政庁であって,権利義務の帰属主体ではなく,したがって,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟における当事者たり得ないことは明らかである。したがって,原告らの前記訴えは,当事者能力を欠く者を被告とする不適法な訴えであって,却下を免れない。 5 結論以上によれば,原告らの本件(甲乙事件)訴えのうち前記第1の1(2)及び2の請求に係る訴えはいずれも不適法であるから却下し,原告らのその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第3部裁判長裁判官山口博裁判官武田美和子裁判官島根里織は,差支えにより,署名押印することができない。 裁判長裁判官山口博
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