平成25(ワ)23702 特許権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年12月24日 東京地方裁判所
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判決文本文43,014 文字)

平成26年12月24日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成25年(ワ)第23702号特許権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成26年9月24日判決大阪市<以下略> 原告株式会社遊気創健美倶楽部同訴訟代理人弁護士小松陽一郎同川端さとみ同森本純同山崎道雄同辻淳子同藤野睦子同大住洋同補佐人弁理士西教圭一郎名古屋市<以下略> 被告株式会社MTG同訴訟代理人弁護士櫻林正己同補佐人弁理士小林徳夫 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙被告製品目録記載1ないし4の各製品を製造し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,前項記載の製品,その半製品(別紙被告製品目録記載1ないし4の製品の構造を具備するが製品として完成するに至らないもの)及び前項記載の製品の製造に供する金型を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,2500万円及びこれに対する平成25年9月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 前項記載の製品の製造に供する金型を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,2500万円及びこれに対する平成25年9月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,発明の名称を「美顔器」とする特許(特許第5329608号。 以下「本件特許」という。)についての特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が,被告に対し,被告の製造販売に係る別紙被告製品目録記載1ないし4の各製品(以下,同目録の番号に対応して「被告製品1」などといい,これらを併せて「被告製品」という。)は,本件特許の特許請求の範囲(以下,明細書及び図面と併せて,「本件明細書」といい,参照の便宜のため,本件特許に係る特許公報の写し〔甲14〕を本判決末尾に別添1として添付する。)の請求項1及び3ないし6に係る各発明(以下,請求項の番号に対応して「本件発明1」などといい,これらを併せて「本件発明」という。なお,特許権の侵害等に係る訴訟において,当該特許が特許無効審判により無効とされるべきものと認められるか否かが争点となる場合には,請求項ごとに特許がされたものとみなして審理判断することになるから〔特許法104条の3第1項(65条6項により準用される場合を含む。),123条1項柱書,185条参照〕,以下では,本件特許のうち,請求項1及び3ないし6に係るものを指して,「本件発明1についての特許」などということがある。)の技術的範囲に属すると主張して,(1)特許法100条1項及び2項に基づき,被告製品の製造,販売及び販売の申出の差止め,並びに被告製品及びその製造に供する金型の廃棄を求めるとともに,(2)①不法行為(特許権侵害)に基づく損害賠償金1000万円(被告製品の販売による損害額1195万2000円〔特許法102条2項による損害額〕の一部 及びその製造に供する金型の廃棄を求めるとともに,(2)①不法行為(特許権侵害)に基づく損害賠償金1000万円(被告製品の販売による損害額1195万2000円〔特許法102条2項による損害額〕の一部),②特許法65条1項に基づく補償金1500万円(主位的に平成24年11月29日から平 成25年8月2日までの実施料相当額3585万6000円の一部,予備的に平成25年4月30日から平成25年8月2日までの実施料相当額1593万6000円の一部),並びに③これら(上記①の損害賠償金1000万円及び上記②の補償金1500万円の合計2500万円)に対する平成25年9月28日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実等(当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実関係)(1) 当事者ア原告は,健康機器,健康器具の製造販売及び輸出入,美容機器,美容器具の製造販売及び輸出入等を目的とする株式会社である。 イ被告は,健康機器,美容機器等の製造,仕入,販売,レンタル等を目的とする株式会社である。 (2) 本件特許権原告は,次の内容の本件特許(本件特許)に係る特許権(本件特許権)を有している(甲3,14)。 特許番号特許第5329608号発明の名称美顔器出願日平成23年6月22日(分割出願をした日)出願番号特願2011-138980号分割の表示特願2008-255137号(以下「原出願」という。)の分割原出願日平成20年8月31日公開番号特開2011-235116号出願公開日平成23年11月24日登録日平成25年8月2日 (3) 本件発明の内 。)の分割原出願日平成20年8月31日公開番号特開2011-235116号出願公開日平成23年11月24日登録日平成25年8月2日 (3) 本件発明の内容等ア本件特許の特許請求の範囲の各請求項の記載は,別添1(本件特許に係る特許公報の写し〔甲14〕)の【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項9】のとおりである。 イ本件発明の構成要件の分説本件発明を構成要件(以下,各構成要件を符号に対応して「構成要件A」などという。)に分説すると,次のとおりである。 (ア) 本件発明1A 炭酸ガスを導く可撓性ホースPと,B スプレー本体Sであって,B1 可撓性ホースPの一端部に接続され,B2 スプレー本体Sの先端に設けられる噴出ノズル31と,B3 スプレー本体Sに設けられ,所定量の化粧水を収納するカップ29と,B4 スプレー本体Sに設けられ,スプレー本体Sを保持した手先Hで操作される操作部30とを備え,B5 可撓性ホースPからの炭酸ガスを,操作部30の操作によって開閉し,B6 操作部30の操作によって開いている状態で,可撓性ホースPから導かれた炭酸ガスを,噴出ノズル31から噴出させて,カップ29内の化粧水とともに,炭酸混合化粧水を,霧状に噴射するスプレー本体Sと,C 炭酸ガス供給用ボンベBであって,C1 全体の形状が上下に細長く形成され,C2 上端噴出口頭部3と,C3 上端噴出口頭部3に形成されるネジ4と, C4 上端噴出口頭部3に設けられる封印膜3aとを有する炭酸ガス供給用ボンベBと,D 一方向および反対方向に水平回転可能な円形調整用摘子17と,E 炭酸ガス供給用ボンベBを収納する直立型ボンベ収納ボックスXであって,E1 上側筒 aとを有する炭酸ガス供給用ボンベBと,D 一方向および反対方向に水平回転可能な円形調整用摘子17と,E 炭酸ガス供給用ボンベBを収納する直立型ボンベ収納ボックスXであって,E1 上側筒体1であって,E1-1 下開口であり,E1-2 円形調整用摘子17は,上側筒体1の上方で操作可能であり,E1-3 この上側筒体1内には,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4が,炭酸ガス供給用ボンベBを取替え可能に,捻じ込まれるネジ孔6が形成され,E1-4 炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通して炭酸ガス供給用ボンベBからの噴出ガスを導くガス流通路が形成され,E1-5 円形調整用摘子17の回転によって炭酸ガス供給用ボンベBからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をして,可撓性ホースPの他端部に供給する上側筒体1と,E2 下側筒体2であって,E2-1 上開口であり,E2-2 上側筒体1の下端開口縁と着脱自在であり,E2-3 上側筒体1の前記ネジ孔6に炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4を捻じ込んだ状態では,上側筒体1とともに,炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3を隠蔽して炭酸ガス供給用ボンベBを収納し,E2-4 底部が着座する下側筒体2とを備える直立型ボンベ収納ボックスXを含む F ことを特徴とする美顔器。 (イ) 本件発明3G 操作部30は,押しボタン形式であり,H スプレー本体Sは,操作部30の操作によって開いている状態とするI ことを特徴とする請求項1記載の美顔器。 (ウ) 本件発明4J 上側筒体1内には,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3に対峙し,その炭酸 を特徴とする請求項1記載の美顔器。 (ウ) 本件発明4J 上側筒体1内には,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3に対峙し,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通する噴出用管11が設けられ,K 前記ガス流通路は,炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通した噴出用管11からの噴出ガスを導くL ことを特徴とする請求項1~3のうちの1つに記載の美顔器。 (エ) 本件発明5M 円形調整用摘子17の回転によって,炭酸ガス供給用ボンベBからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出,停止もするN ことを特徴とする請求項1~4のうちの1つに記載の美顔器。 (オ) 本件発明6O 直立型ボンベ収納ボックスの下側筒体を有底で,而も下広状のスカート状に形成したP ことを特徴とする請求項1~5のうちの1つに記載の美顔器。 (4) 被告の行為被告は,少なくとも平成21年12月から平成24年11月29日までの間,被告製品1を製造し,販売し,販売の申出をしていた。 また,被告は,遅くとも平成21年12月から被告製品2を,平成25年 2月から被告製品3及び4を,それぞれ製造し,販売し,販売の申出をしている。 被告製品の構成を本件発明と対比し易いように分説すると,別紙被告製品の構成に記載のとおりとなる(以下,同別紙の符号に対応して「構成a」などということがある。ただし,同別紙の網掛け箇所は,被告において,被告製品が当該構成を有しない旨主張している箇所であり,下線を引いた箇所は,被告において,被告製品の構成要件充足性を争っている箇所である〔波線で下線を引いた箇所は,被告において,被告製品1及び2についてのみ構成要件充足性を争っている箇所である。〕。)。 被告製品は,下 ,被告において,被告製品の構成要件充足性を争っている箇所である〔波線で下線を引いた箇所は,被告において,被告製品1及び2についてのみ構成要件充足性を争っている箇所である。〕。)。 被告製品は,下記3(1)に掲げる点を除き,本件発明の各構成要件を充足する。 3 争点(1) 被告製品は本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア被告製品は「噴出ガスを導くガス流通路」を有し,「前記ガス流通路」を介する「炭酸ガスの噴出調整」をするものであるか(争点1-ア)イ被告製品は本件発明の「円形調整用摘子17」(構成要件D,E1-2,E1-5,M)に該当する構成を備えているか(争点1-イ)ウ被告製品1及び2は本件発明の「スプレー本体S」(構成要件B,B2,B3,B4,B6,H)に該当する構成を備えているか(争点1-ウ)エ被告製品は本件発明の「上側筒体1」(構成要件E1,E1-2,E1-3,E1-5,E2,E2-2,E2-3,J),「直立型ボンベ収納ボックスX」(構成要件E,E2-4,O)及び「下側筒体2」(構成要件E2,E2-4)に該当する構成を備えているか(争点1-エ)(2) 本件発明についての特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点2)ア 「YUUKI炭酸シャワー」(以下「原告旧製品」という。)に基づ く進歩性欠如の成否(争点2-ア〔無効理由1〕)イ乙15号証に基づく進歩性欠如の成否(争点2-イ〔無効理由2〕)ウ 「YUUKI炭酸ミストシャワープロ仕様小型器」(以下「本件小型器」という。)の公知・公用に基づく新規性又は進歩性欠如の成否(争点2-ウ〔無効理由3〕)エ本件小型器の外観が公知・公用となったことに基づく進歩性欠如の成否(争点2-エ〔無効理由4〕)(3) 損害及び補償 公知・公用に基づく新規性又は進歩性欠如の成否(争点2-ウ〔無効理由3〕)エ本件小型器の外観が公知・公用となったことに基づく進歩性欠如の成否(争点2-エ〔無効理由4〕)(3) 損害及び補償金の額(争点3)第3 争点に対する当事者の主張 1 争点1(被告製品は本件発明の技術的範囲に属するか)について(1) 争点1-ア(被告製品は「噴出ガスを導くガス流通路」を有し,「前記ガス流通路」を介する「炭酸ガスの噴出調整」をするものであるか)について(原告の主張)被告製品の構成は,別紙被告製品の構成記載のとおりであり,「噴出ガスを導くガス流通路」を有し,「前記ガス流通路」を介する「炭酸ガスの噴出調整」をするものである。 (被告の主張)被告製品の構成e1-4の「噴出ガスを導くガス流通路」は,単純に「噴出ガスが通る」という意味での「流通路」であり,本件発明の構成要件E1-4の「ガス流通路」にはあたらない。被告製品の構成e1-5と本件発明の構成要件E1-5についても,同様である。 被告製品の構成e1-5における「炭酸ガスの噴出調整」は否認する。原告は,「噴出量の調整をする」という意味で,構成e1-5において「炭酸ガスの噴出調整」の用語を使用していると思われるが,被告製品は,実用的には「炭酸ガスの噴出量の調整」をすることができないと評価される構成で ある。 (2) 争点1-イ(被告製品は本件発明の「円形調整用摘子17」〔構成要件D,E1-2,E1-5,M〕に該当する構成を備えているか)について(原告の主張)ア被告製品の「開閉ハンドル」(構成d,e1-2,e1-5,m)は,本件発明の「円形調整用摘子17」(構成要件D,E1-2,E1-5,M)に相当する。 イ被告は,本件発明では「片手で,スプレー本体Sの開閉操 「開閉ハンドル」(構成d,e1-2,e1-5,m)は,本件発明の「円形調整用摘子17」(構成要件D,E1-2,E1-5,M)に相当する。 イ被告は,本件発明では「片手で,スプレー本体Sの開閉操作だけを行い,他方の手で本体の円形調整用摘子17で流量調整をする」ことが可能である必要があるが,被告製品の「開閉ハンドル」は,片手で流量調整をすることが不可能であるから,本件発明の「円形調整用摘子17」には該当しない旨主張する。 しかし,そもそも,被告の解釈は,特許請求の範囲の記載に基づかないものである。 また,被告製品の使用者は,片方の手で本体を掴み(握り締める必要はなく,手を本体に当てておくだけでよい。),あとは二本の指だけで開閉ハンドルを水平に回転させることができるし,被告製品は,開閉ハンドルの回転角に応じてガス流量が変化する構成となっている(甲15)から,仮に,被告の解釈を前提としたとしても,被告製品の「開閉ハンドル」は,本件発明の「円形調整摘子17」に該当するといえる。 (被告の主張)本件特許の出願審査過程,とりわけ平成25年4月8日付け意見書(以下「本件意見書」という。乙1の8)における原告の主張にかんがみれば,本件発明は,「片手で,スプレー本体Sの開閉操作だけを行い,他方の手で本体の円形調整用摘子17で流量調整をする」ことが可能な構成であり,当該構成により特有の効果を生じるものであることが必要であって,当該効果 を生じない製品は,本件発明から意識的に除外されたものというべきである。 被告製品は,実用上,片手で流量調整をすることが不可能であり(乙2),その「開閉ハンドル」によって本件発明に特有の効果がもたらされるものでないから,本件発明の「円形調整用摘子17」の構成要件を充足しない。 (3) 争点1-ウ(被告 をすることが不可能であり(乙2),その「開閉ハンドル」によって本件発明に特有の効果がもたらされるものでないから,本件発明の「円形調整用摘子17」の構成要件を充足しない。 (3) 争点1-ウ(被告製品1及び2は本件発明の「スプレー本体S」〔構成要件B,B2,B3,B4,B6,H〕に該当する構成を備えているか)について(原告の主張)ア被告製品1及び2の「エアブラシ」(構成b,b2,b3,b4,b6,h)は,本件発明の「スプレー本体S」(構成要件B,B2,B3,B4,B6,H)に該当する。 イ被告は,本件発明の「スプレー本体S」を流量調整機構の備わっていないものに限定解釈すべきであるとした上,被告製品1及び2の「エアブラシ」が開閉量の調整機構を備えているから,「スプレー本体S」に該当しない旨主張する。 しかし,被告の解釈は,本件明細書に基づかない主張であるし,本件意見書を含む出願関係書類にも,被告の解釈の根拠となるものはない。 したがって,本件発明の「スプレー本体S」には流量調整機構が備わるものも含まれるというべきであり,被告製品1及び2の「エアブラシ」がエア調整ダイヤルを具備していることは,「スプレー本体S」に該当することを否定する理由とならない(なお,被告製品1及び2の「エアブラシ」に設けられたエア調整ダイヤルがガス流出調整機能を備えているかは,疑問である。)。 (被告の主張)原告が本件意見書において「噴出調整の頻度が低い円形調整用摘子17をスプレー本体Sに設けないでおくことは,スプレー本体Sの小形軽量化 に好都合である」,「円形調整用摘子17の水平回転による炭酸ガスの噴出調整をする構成が設けられるので,その分,スプレー本体Sの構成を簡素化して,スプレー本体Sの小形軽量化を図ることができる」などと主張 都合である」,「円形調整用摘子17の水平回転による炭酸ガスの噴出調整をする構成が設けられるので,その分,スプレー本体Sの構成を簡素化して,スプレー本体Sの小形軽量化を図ることができる」などと主張したことにかんがみれば,本件発明の「スプレー本体S」は,「構成を簡素化して,小型軽量化を図ることができる」ため,流量調整機構が備わっていないものに限定解釈されるべきである。 しかるところ,被告製品1及び2の「エアブラシ」は,開閉量の調整機構を備えているから,本件発明の「スプレー本体S」に該当しない。 (4) 争点1-エ(被告製品は本件発明の「上側筒体1」〔構成要件E1,E1-2,E1-3,E1-5,E2,E2-2,E2-3,J〕,「直立型ボンベ収納ボックスX」〔構成要件E,E2-4,O〕及び「下側筒体2」〔構成要件E2,E2-4〕に該当する構成を備えているか)について(原告の主張)ア被告製品の「レギュレータカバー」(構成e1,e1-2,e1-3,e1-5,e2,e2-2,e2-3,j),「本体」(構成e,e2-4,o)及び「本体ケース」(構成e2,e2-4)は,それぞれ本件発明の「上側筒体1」(構成要件E1,E1-2,E1-3,E1-5,E2,E2-2,E2-3,J),「直立型ボンベ収納ボックスX」(構成要件E,E2-4,O)及び「下側筒体2」(構成要件E2,E2-4)に該当する。 イ被告は,被告製品の「開閉ハンドル」を片手で操作することが極めて困難であることを理由として,被告製品の「レギュレータカバー」,「本体」,「本体ケース」は,大重量,大型で直立して置かれた状態が安定して保たれるものではないとし,そのため本件発明の「上側筒体1」,「下側筒体2」,「直立型ボンベ収納ボックスX」に該当しない旨主張する。 しかし,本件発明が「 重量,大型で直立して置かれた状態が安定して保たれるものではないとし,そのため本件発明の「上側筒体1」,「下側筒体2」,「直立型ボンベ収納ボックスX」に該当しない旨主張する。 しかし,本件発明が「大重量,大型」に限定されるという被告の立論自 体に無理がある。 また,被告製品は,争点1-イで主張したところから明らかなように,「片手で,スプレー本体Sの開閉操作だけを行い,他方の手で本体の円形調整用摘子17で流量調整をする」ことが極めて容易な構成を具備しており,「レギュレータカバー」,「本体」,「本体ケース」を大重量,大型で直立して置かれた状態が安定して保たれるものと評価することに支障はないから,仮に,被告の解釈を前提としたとしても,被告製品の「レギュレータカバー」,「本体」,「本体ケース」は,それぞれ本件発明の「上側筒体1」,「下側筒体2」,「直立型ボンベ収納ボックスX」に該当するといえる。 ウ被告は,原出願に係る特許(特許第4871937号。以下「原出願特許」という。)についての特許権(以下「原出願特許権」という。)の侵害訴訟(大阪地裁平成24年(ワ)第7151号事件。以下「別件訴訟」という。)における原告の主張を根拠に,本件発明の「上側筒体1」は,ガスの減圧を目的とした構成を含まないと解すべきところ,被告製品の「レギュレータカバー」は,ガスの減圧を目的とした構成を有し,その作用を果たしているため,「上側筒体1」に該当しない旨の主張もする。 しかし,別件訴訟における原告の主張を見ても,原出願特許に係る発明の「上側筒体1」についてさえ,ガスの減圧を目的としたものを除外するなどといった解釈の根拠となるものはなく,まして,これとは別の特許に係る本件発明について,被告主張の限定解釈をすべき理由はない。 原告は,原出願特許に係 てさえ,ガスの減圧を目的としたものを除外するなどといった解釈の根拠となるものはなく,まして,これとは別の特許に係る本件発明について,被告主張の限定解釈をすべき理由はない。 原告は,原出願特許に係る発明の「ガス流通路」につき,別件訴訟において書証として提出された公知文献(特開2008-128257号公報。 本訴訟における乙4。以下,同公報を「乙4文献」といい,これに記載された発明を「乙4発明」ということがある。なお,他の公知文献についても同様の例によることがある。)との相違点を主張しただけであり, しかも,同訴訟の判決において,当該主張が認められたことはない。 (被告の主張)ア本件意見書における原告の主張にかんがみれば,本件発明は,「上側筒体1」及び「下側筒体2」により構成される大重量,大形で直立して置かれた状態が安定して保たれる「直立型ボンベ収納ボックスX」と,大形にして外径を大きく構成され,角変位の位置を正確に設定することができ,炭酸混合化粧水の噴射の状態を,使用者が希望するように正確に調整することが容易な「円形調整用摘子17」を必須としている。 しかし,被告製品は,もともと「本体」の「開閉ハンドル」で流量調整をすることを意図していないため,片手で操作することは極めて困難で,かつ,両手を使っても流量調整自体,困難な構成となっており(乙2),本件発明における「大重量,大形で直立して置かれた状態が安定して保たれる直立型ボンベ収納ボックスX」を有しておらず,それを構成する「上側筒体1」及び「下側筒体2」も同様であるため,「本体」の「開閉ハンドル」で流量調整をすること自体が困難で,ましてや正確な調整は不可能である。同時に,「開閉ハンドル」も,「炭酸混合化粧水の噴射の状態を,使用者が希望するように正確に調整すること」ができ の「開閉ハンドル」で流量調整をすること自体が困難で,ましてや正確な調整は不可能である。同時に,「開閉ハンドル」も,「炭酸混合化粧水の噴射の状態を,使用者が希望するように正確に調整すること」ができる構成になっていない。 したがって,被告製品の「レギュレータカバー」,「本体」,「本体ケース」(及び「開閉ハンドル」)は,それぞれ本件発明の「上側筒体1」,「直立型ボンベ収納ボックスX」,「下側筒体2」(及び「円形調整用摘子17」)に該当しない。 イ原告は,原出願についての拒絶査定不服審判書(乙3)において,「引用刊行物7(判決注:特開昭62-226208号公報。本訴訟の乙1の5の8)の装置は,装置全体が密閉され,ガスノズル部や流路を有(しない)」と主張していた。また,原告は,別件訴訟において,乙4文献では 「ガス流通路」に当たりうる部分において減圧を行うのに対し,「上側筒体1」内に形成される「ガス流通路」は単にガスが流れるだけの孔,管,空間で,減圧という目的効果を奏せず,両者の構成は異なると主張していた。 他方,被告製品の「レギュレータ」は,乙1の5の8文献や乙4文献と同様に,ガスの減圧を目的とした構成を有し,その効果を奏している。 したがって,被告製品の「レギュレータカバー」は,上記観点からも,本件発明の「上側筒体1」に該当しない。 2 争点2(本件発明についての特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について(1) 争点2-ア(無効理由1)(原告旧製品に基づく進歩性欠如の成否)について(被告の主張)ア原告旧製品の公然実施原告は,本件特許の原出願日前である平成19年8月,別紙原告旧製品目録記載の構成を有する原告旧製品の販売を開始し,同製品に係る発明(以下「原告旧製品発明」という。) )ア原告旧製品の公然実施原告は,本件特許の原出願日前である平成19年8月,別紙原告旧製品目録記載の構成を有する原告旧製品の販売を開始し,同製品に係る発明(以下「原告旧製品発明」という。)は,日本国内において公然実施された発明となった。 イ本件発明1について(ア) 本件発明1と原告旧製品発明との一致点・相違点本件発明1と原告旧製品発明とは,次の点で相違し,その余の点で一致する。 a 本件発明1の「円形調整用摘子17」は,「上側筒体1の上方」で「水平回転」操作可能であり,炭酸ガスが上側筒体1から供給されるのは「円形調整用摘子17の回転によって炭酸ガス供給用ボンベBからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をして」からである (構成要件D,E1-2,E1-5)のに対して,原告旧製品発明の「ニードルアジャスター」は,「アトマイザー①の後端」で「垂直回転」操作可能で,炭酸ガスが「レギュレーター⑥」から供給されるのは「ニードルアジャスターの回転によって炭酸ガスカートリッジ⑦からの前記アトマイザー①を介する炭酸ガスの噴出調整をするため」であり,本件発明1の「上側筒体1の上方」で「水平回転」操作可能な「円形調整用摘子17の回転によって炭酸ガス供給用ボンベBからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をして」ではない点(相違点1)。 b 本件発明1の下側筒体2は「上側筒体1の下端開口縁と着脱自在」であり,上側筒体1の前記ネジ孔6に炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4を捻じ込んだ状態では,「上側筒体1とともに,炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3を隠蔽して炭酸ガス供給用ボンベBを収納する」(構成要件E2-2,E2-3)のに対して,原告旧製品発明の「炭酸ガスカートリッジ台⑧」は「レギュレーター⑥」の下端開口縁と着 ンベBの上端噴出口頭部3を隠蔽して炭酸ガス供給用ボンベBを収納する」(構成要件E2-2,E2-3)のに対して,原告旧製品発明の「炭酸ガスカートリッジ台⑧」は「レギュレーター⑥」の下端開口縁と着脱されないため,本件発明1の「上側筒体1の下端開口縁と着脱自在」ではないとともに「上側筒体とともに炭酸ガス供給用ボンベBの頭部を隠蔽して炭酸ガス供給用ボンベBを収納する」ものではない点(相違点2)。 c 本件発明1の「直立型ボンベ収納ボックスX」は,「上側筒体1」と「下側筒体2」とを備え,「炭酸ガス供給用ボンベBを収納する」「箱状体(ボックス)」である(構成要件E,E2-4)のに対して,原告旧製品発明は,本件発明1の「上側筒体1」,「下側筒体2」に相当する「レギュレーター⑥」,「炭酸ガスカートリッジ台⑧」を有するが,両者を併せても「炭酸ガスカートリッジ⑦を収納する」「箱状体(ボックス)」とはいえない点(相違点3)。 (イ) 相違点の容易想到性a 相違点1についてガスボンベのガスを減圧する減圧部を有する部材(レギュレーター以外にも,減圧弁,圧力調整装置,減圧装置等,各種名称がある)の上部に水平回転可能でガスの流量等の調節を可能とする「円形調整用摘子」に相当する部材を設けることは,乙4文献のほか,特公平4-72554号公報(乙13の1),登録実用新案第3007447号公報(乙13の2),特開昭64-33410号公報(乙13の3),特開平10-19719号公報(乙13の4),特開平5-296397号公報(乙13の5),実開平5-14750号公報(乙13の6)にみられるとおり,周知慣用技術である。 原告旧製品発明の「レギュレーター⑥」も「減圧弁」である(乙12・6頁)点で,乙4文献の「減圧弁」と用途,機能が共通し,組み合わ 750号公報(乙13の6)にみられるとおり,周知慣用技術である。 原告旧製品発明の「レギュレーター⑥」も「減圧弁」である(乙12・6頁)点で,乙4文献の「減圧弁」と用途,機能が共通し,組み合わせの動機付けが存在する。 また,「GSICreos 2002/2003 COLOR& MODELKIT」のカタログ(乙9の1)及び「GSICREOS 2007/2008 AIRBRUSHES, COMPRESSOES & COLORS」のカタログ(乙9の2)に掲載された「PRO-SPRAYMk-4(ps-155)」の使用説明書(乙9の3。少なくとも平成15年中には発行された刊行物である。)及び同カタログに掲載された「プロスプレーMK-1(PRO-SPRAYMk-1)PS-152」の取扱説明書(乙9の4)によれば,ガスの流量調整ダイヤルをスプレー本体のみならず,ボンベ口部に装着してボンベからのガスを吐出する部材(エアー調整バルブ)の双方に設けることも公知である。登録実用新案第3136465号公報(乙15)も,その図2,図5において,スプレー本体1に ガス噴出調整用の噴出調整用摘子16を設けることを開示するのみならず,炭酸ガス供給用ボンベBの上部に装着される構造物にも回転式の流量調整ダイヤルを設けることを強く示唆している。 したがって,原告旧製品発明において,アトマイザー①に設けたニードルアジャスターに代えて,レギュレーター⑥に乙4文献記載の「ハンドル10」の構成を採用すること,または原告旧製品発明のアトマイザー①にニードルアジャスターを設けたまま,レギュレーター⑥に乙4文献記載のハンドル10の構成を採用してガスの流量の調整を可能とすることには十分な動機付けがあり,原告旧製品発明を相違点1に係る本件発明1の構成とする ジャスターを設けたまま,レギュレーター⑥に乙4文献記載のハンドル10の構成を採用してガスの流量の調整を可能とすることには十分な動機付けがあり,原告旧製品発明を相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 b 相違点2について乙14文献の図1及び図4には,収容部3,収容部の下端縁に着脱されるキャップ部4とで構成された本体1,本体1の内部に直立状態で収容された酸素ガスのカートリッジC,キャップ部4の内部に配置された開封兼ガス制御機構5が記載されており,図4,図5に示されるカートリッジCは当部の露出部にネジが形成されていることから,カートリッジCの頭部のネジを開封兼ガス制御機構5のネジ孔にねじ込むことによりカートリッジCが装着されることは自明である。よって,乙14文献には相違点2に相当する構成が開示されている。 乙15文献には,炭酸ガス供給用ボンベを使用者から遮蔽して違和感をなくする技術思想が開示されているほか,ある物(本件発明1では炭酸ガスボンベ)を隠蔽するための手段としてそれをケース等で外から覆って隠すということは,例えば,特開平7-269790号公報(乙17)に開示されているように一般的である。なお,特開平10-80488号公報(乙18)には,酸素ボンベ27及び減圧部2 8を上カバー51と下カバー52とからなる収容器53によって覆う構成が,特開昭64-33410号公報(乙13の3)には,ガスボンベ30,31を収納するトーチ本体21を,上側の収納ケース25とその下部に着脱自在に設けた底ケース26とから構成することが,特開2005-249193号公報(乙20)には,ガスボンベ5は下側収納(31)と上側収納(32)とからなるハウジング(10)に収納された構成が,それぞれ開示されてい ース26とから構成することが,特開2005-249193号公報(乙20)には,ガスボンベ5は下側収納(31)と上側収納(32)とからなるハウジング(10)に収納された構成が,それぞれ開示されている。 以上,ボンベ及びこれに装着してボンベからガスを吐出させる部材を上下のカバーで覆うという構成それ自体は周知技術であり,かつそのような構成も美観の向上という本件発明1と同様の目的も含めて各種目的,技術を問わずに広く行われているものであり,組み合わせの動機付けは十分に存在する。 したがって,乙14文献の記載に基づいて,原告旧製品発明を相違点2に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 c 相違点3について上記bで相違点2について主張したところ同様に,原告旧製品発明のレギュレーター⑥をキャップ部4で覆い(このキャップ部を含めて本件発明1の上側筒体1に相当する。),これに着脱可能な収容部3とで構成された本体1によって,炭酸ガスカートリッジ⑦を直立して収納する構成とすることは容易である。 そして,乙14文献の図1,図4等に示すように,キャップ部4と収容部3とからなる本体1は,「炭酸ガスカートリッジ⑦を収納する」「箱状体(ボックス)」である。 したがって,乙14文献の記載に基づいて,相違点3に係る本件発明1の構成とすることは,相違点2が容易であることと同様の理由に より,当業者が容易に想到し得たものである。 d まとめ本件発明1は,原告旧製品発明及び上述した公知文献記載の技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものにすぎず,進歩性がない。 ウ本件発明3について(ア) 本件発明3と原告旧製品発明との一致点・相違点本件発明3と原告旧製品発明とは,本件発明1と原告旧製品発明との相違点のほか 想到し得たものにすぎず,進歩性がない。 ウ本件発明3について(ア) 本件発明3と原告旧製品発明との一致点・相違点本件発明3と原告旧製品発明とは,本件発明1と原告旧製品発明との相違点のほか,本件発明3の操作部30が「押しボタン形式」であるのに対して,原告旧製品発明は「レバー形式」である点で相違し,その余の点で一致する。 (イ) 相違点の容易想到性乙9の1文献,乙9の2文献の記載に基づいて,原告旧製品発明の操作レバーを押しボタン形式とし,上記相違点に係る本件発明3の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 このことと,前記イで主張したところによれば,本件発明3は,原告旧製品発明及び上述した公知文献記載の技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものにすぎず,進歩性がない。 エ本件発明4について本件発明4と原告旧製品発明とは,本件発明1と原告旧製品発明との相違点において相違し,その余の点で一致するから,本件発明4は,本件発明1と同様に,進歩性がない。 オ本件発明5について(ア) 本件発明5と原告旧製品発明との一致点・相違点本件発明5と原告旧製品発明とは,本件発明1と原告旧製品発明との相違点のほか,本件発明5が「炭酸ガスの噴出,停止もする」ものであるのに対し,原告旧製品発明が「炭酸ガスの噴出調整をする」ものの, 「炭酸ガスの噴出,停止もする」ものではない点で相違し,その余の点で一致する。 (イ) 相違点の容易想到性乙4文献には,「ハンドル10」を回転させて減圧弁を開閉,すなわち炭酸ガスの噴出,停止をすることが開示されている(図1など)。 このことと,前記イで主張したところによれば,本件発明5は,原告旧製品発明及び上述した公知文献記載の技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものにす ,停止をすることが開示されている(図1など)。 このことと,前記イで主張したところによれば,本件発明5は,原告旧製品発明及び上述した公知文献記載の技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものにすぎず,進歩性がない。 カ本件発明6について(ア) 本件発明6と原告旧製品発明との一致点・相違点本件発明6と原告旧製品発明とは,本件発明1と原告旧製品発明との相違点のほか,原告旧製品発明が「炭酸ガスカートリッジ台⑧を有底で,而も設置面を大径状に形成」するのに対し,本件発明6が「直立型ボンベ収納ボックスの下側筒体を有底で,而も下広状のスカート状に形成」する点で相違し,その余の点で一致する。 (イ) 相違点の容易想到性下広状のスカート状に形成することは,乙13の4文献の図1に記載されているように公知である。 このことと,前記アで主張したところによれば,本件発明6は,原告旧製品発明及び上述した公知文献記載の技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものにすぎず,進歩性がない。 (原告の主張)ア原告旧製品発明と,本件発明1,3ないし6との一致点及び相違点は争わない。 イ相違点1について被告は,相違点1に係る構成は周知技術であって,相違点1は容易想到 である旨主張するが,以下のとおり,理由がない。 (ア) 周知性がないこと周知技術が認定されるためには,相当数の公知技術が存在しなければならず,また仮にある特定の分野で周知技術と認められたとしても,主引例との組合せの容易性を認めるには,技術分野,課題,技術的意義・作用効果の共通性が認められる必要がある。 a 相違点が開示されていない副引例乙9の1文献,乙9の2文献及び乙13の6文献には,レギュレータ上部に水平回転可能でガスの噴出量を調整可能とする「円形調整用摘子 通性が認められる必要がある。 a 相違点が開示されていない副引例乙9の1文献,乙9の2文献及び乙13の6文献には,レギュレータ上部に水平回転可能でガスの噴出量を調整可能とする「円形調整用摘子17」に相当する部材の開示はない。 乙4文献,乙13の4文献,乙13の5文献には,ガス噴出量の調整が可能であることの開示はない。 乙9の3文献は,発行年月日が不明であり,先行文献としての適格がない。 このように,相違点1を開示する副引例は,相当数に及ばない。 b 技術分野が無関係であること副引例の技術分野について,乙4発明は,「水草栽培用の炭酸ガス容器」,乙13の1発明は,「軽便型酸素補吸器」,乙13の2発明は,「軽便型接着用二液混合吐出装置」,乙13の3発明は,「携帯用トーチ」,乙13の4発明は,「簡易水圧試験装置」,乙13の5発明は,「ガス供給装置及びこのガス供給装置を使用した飲料供給装置」,乙13の6発明は「半導体基板上の微粉塵等の吹浄用のガス供給器の一次圧安全装置」,乙9発明は「塗装用スプレー」である。 いずれも美容業界とは全く無関係であって,国際特許分類も一致しない。 c 小括 したがって,相違点1に係る構成は,周知技術とは評価できず,少なくとも,技術分野を問わず広く技術常識となったものとまでは到底いえず,具体的な動機付けの検討なしに,原告旧製品との組み合わせが容易であったとは評価できない。 (イ) 動機付けの不存在a 上記(ア)bのとおり,本件発明及び原告旧製品発明は,化粧水と炭酸ガスとの混合液を顔肌等に噴霧状に吹き付ける美顔器である。これに対し,上記副引例は,本件発明と異なる技術分野に属するものばかりである。 b また,本件発明の課題は,化粧水と炭酸ガスとの混合液を顔肌等に噴霧状に吹き付ける美顔 状に吹き付ける美顔器である。これに対し,上記副引例は,本件発明と異なる技術分野に属するものばかりである。 b また,本件発明の課題は,化粧水と炭酸ガスとの混合液を顔肌等に噴霧状に吹き付ける美顔器の美観の問題と操作性の難を克服することである。操作性に関しより詳細には,ガス噴出量の調整の煩雑さ,不正確さ,スプレー本体の大型化・重量化を問題とするものである(本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0002】ないし【0005】。 乙1の8・5枚目17行目以下。)。 しかしながら,上記副引例には,かかる課題について開示も示唆もされていない。 c さらに,各副引例が円形調整用摘子に相当する部材を採用したのは,ガス噴出・停止のためであるところ,本件発明の技術思想・作用効果は,これに留まらず,噴出調整の簡易化,正確性の確保,ガスの浪費の防止,スプレー本体の小形軽量化を実現するものであって,作用効果の共通性も見出せない。 d 本件発明は,(上側筒体,下側筒体からなる)直立型ボンベ収納ボックス,円形調整用摘子とスプレー本体の操作部との連携によりガスの噴出調整をし,もって,噴出調整の簡易化,正確性の確保,ガスの浪費の防止,スプレー本体の小形軽量化等を実現するという,複数の 作用効果が相乗的に認められるものであるが,この点をカバーする副引例は存在しない。 e したがって,原告旧製品と各引用例は,(たとえ各引用例をもって周知技術との評価をするとしても,当該周知技術と)組み合わせを行う具体的な動機付けとなる事実がなく,両者を組み合わせて相違点1にかかる構成に想到することは当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 ウ相違点2について(ア) 引用例の記載内容a 乙14文献には,ガス制御機構5にネジ孔があること,カートリッジCにネ 構成に想到することは当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 ウ相違点2について(ア) 引用例の記載内容a 乙14文献には,ガス制御機構5にネジ孔があること,カートリッジCにネジがあること,ガス制御機構のネジ孔にカートリッジCが捻じ込まれることは,具体的に開示されていない。また,乙14発明の技術分野は,「酸素ガス供給器」に関するものであり(段落【0001】),収容部3そのものの技術的意義・作用効果は,ガスカートリッジを収容するというほかに具体的な示唆はない。さらに,(上側筒体,下側筒体からなる)直立型ボンベ収納ボックス,円形調整用摘子とスプレー本体の操作部との連携によりガスの噴出調整をし,もって,噴出調整の簡易化,正確性の確保,ガスの浪費の防止,スプレー本体の小形軽量化等を実現するという本件特許発明の技術思想を示唆する記載は存在しない。 b その他の文献乙15文献には,図面を一見するだけで明らかなとおり,下側筒体2に相当する部材の開示はない。また,乙17文献及び乙18文献は,各容器は,ガス供給ボンベのネジが上側筒体のネジ孔に捻じ込まれるものではなく,形状も大幅に異なる。したがって,これら文献には,相違点2にかかる構成の開示はない。 (イ) 原告旧製品発明と副引例の組合せが容易でないことa 被告は,相違点2に係る構成が周知技術であるとも主張するが,相違点2を全部開示するものはなく,関連するのは,せいぜい乙14文献及び乙20文献のみであり(ただし,乙14文献もネジによる装着かは開示がない。),理由がない。 b 乙14発明及び乙20発明は,本件発明及び原告旧製品発明とは,技術分野及び課題が全く異なる(国際特許分類も異なる。)。 c しかも,本件発明は,複数の作用効果が相乗的に認められるものであ 。 b 乙14発明及び乙20発明は,本件発明及び原告旧製品発明とは,技術分野及び課題が全く異なる(国際特許分類も異なる。)。 c しかも,本件発明は,複数の作用効果が相乗的に認められるものであるが,この点をカバーする副引例は存在しない。 d 被告は,乙15文献,乙17文献にガスボンベの美観に関する問題意識が記載されている旨主張するが,乙15文献及び乙17文献の解決手段は,相違点2と異なるものであり,しかも,本件発明,原告旧製品発明及び乙14発明とは,技術分野,作用効果が異なるものである。なお,乙15発明はデスクトップ器体型の美顔器に関するものであるのに対し,本件発明は持ち運び可能な美顔器に関するものである。 このような副引例が動機付けとなるはずはなく,上記被告の主張は理由がない。 e したがって,原告旧製品発明と乙14発明,乙20発明は,組合せを行う具体的な動機付けがなく,これらを組み合わせて相違点2にかかる構成に想到することは当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 エ相違点3について上記ウ(ア)aと同様,原告旧製品発明と乙14発明は,組合せを行う具体的な動機付けがなく,両者を組み合わせて相違点3にかかる構成に想到することは,当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 オ相違点4について 乙9の1発明及び乙9の2発明の技術分野は塗装具であり,課題・作用効果は不明であって,共通性も見いだせない。 したがって,原告旧製品発明と乙9の1発明及び乙9の2発明は,組合せを行う具体的な動機付けがなく,両者を組み合わせて相違点4にかかる構成に想到することは,当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 カ相違点5について本件発明及び原告旧製品発明と乙4発明は,技術分野が異なり,課題の共通 組み合わせて相違点4にかかる構成に想到することは,当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 カ相違点5について本件発明及び原告旧製品発明と乙4発明は,技術分野が異なり,課題の共通性も見出せない。 したがって,原告旧製品発明と乙4発明は,組合せを行う具体的な動機付けがなく,両者を組み合わせて相違点5にかかる構成に想到することは,当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 キ相違点6について乙13の4発明は,本件発明及び原告旧製品発明とは,技術分野が異なり,課題の共通性も見出せない。 したがって,原告旧製品発明と乙13の4発明は,組合せを行う具体的な動機付けがなく,両者を組み合わせて相違点6にかかる構成に想到することは,当業者をもってしても困難であったとみるほかない。 クまとめ以上のとおり,本件発明について原告旧製品発明に基づく進歩性欠如をいう被告の主張は,理由がない。 (2) 争点2-イ(無効理由2)(乙15号証に基づく進歩性欠如の成否)について(被告の主張)ア本件発明1について(ア) 本件発明1と乙15発明との一致点・相違点 本件発明1と乙15発明とは,次の点で相違し,その余の点において一致する。 a 本件発明1は,上端噴出口頭部3(構成要件C2),上端噴出口頭部3に形成されるネジ4(構成要件C3)と,上端噴出口頭部3に設けられる封印膜3aとを有する(構成要件C4)「炭酸ガス供給用ボンベB」を具備するのに対し,乙15発明の炭酸ガス供給用ボンベが上記構成を具備するか不明な点(相違点1)。 b 本件発明1の「上側筒体1」(構成要件E1)は,下開口であり(構成要件E1-1),その「内」には,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4が,炭酸ガス供給用ボンベBを取替え可能に,捻じ込まれ 違点1)。 b 本件発明1の「上側筒体1」(構成要件E1)は,下開口であり(構成要件E1-1),その「内」には,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4が,炭酸ガス供給用ボンベBを取替え可能に,捻じ込まれるネジ孔6が形成され(構成要件E1-3),炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通して炭酸ガス供給用ボンベBからの噴出ガスを導くガス流通路が形成される(構成要件E1-4)のに対し,乙15発明は,炭酸ガス供給用ボンベの上側に構造物が設けられているが,上記構成を具備するか不明な点(相違点2)。 c 本件発明1の「円形調整用摘子17」は,一方向および反対方向に水平回転可能であり(構成要件D),上側筒体1の上方で操作可能であり(構成要件E1-2),回転によって炭酸ガス供給用ボンベBからのガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をして,可撓性ホースPの他端部に供給する(構成要件E1-5)のに対し,乙15発明は,スプレー本体に噴出調整用摘子を備えるのみであり,上記「円形調整用摘子17」に相当する構成を具備しない点(相違点3)。 d 本件発明1の「下側筒体2」は,上側筒体1の下端開口縁と着脱自在であり(構成要件E2-2),上側筒体1の前記ネジ孔6に炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4を捻じ込んだ状態では,上側筒体1ととも に,炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3を隠蔽して炭酸ガス供給用ボンベBを収納する(構成要件E2-3)のに対し,乙15発明は,炭酸ガスカートリッジ台を備えるものの,炭酸ガス供給用ボンベ上部の構造物と着脱自在ではなく,上記下側筒体2に相当する構成を具備しない点(相違点4)。 e 本件発明1は,上側筒体1及び下側筒体2からなり,炭酸ガス供給用ボンベBを収納する直立型ボン 用ボンベ上部の構造物と着脱自在ではなく,上記下側筒体2に相当する構成を具備しない点(相違点4)。 e 本件発明1は,上側筒体1及び下側筒体2からなり,炭酸ガス供給用ボンベBを収納する直立型ボンベ収納ボックスX(構成要件E,E2-4)を具備するのに対し,乙15発明は,上記直立型ボンベ収納ボックスXを具備しない点(相違点5)。 (イ) 相違点の容易想到性a 相違点1について実開昭62-59027号公報(乙16)には相違点1に係る「上端噴出口頭部,上端噴出口頭部に形成されるネジ,上端噴出口頭部に設けられる封板」に関する構成が開示されている。 乙15発明のガスボンベに装着された上部構造物がガスボンベからのガスを吐出する吐出バルブであることは明らかであり,乙15発明と乙16発明は,ガスボンベに装着する吐出バルブに関する技術である点で同じ技術分野に属する。 また,相違点1に係る構成(要するに,ボンベの上部口部周りにネジがあり口部に封板があること)は,ガスボンベとして極めて一般的な構造であり,公知技術の例として,美顔器である原告旧製品発明のボンベ,乙13の1文献のボンベB(第1図),乙13の2文献の小型高圧ガスカートリッジ22(図4)等がある。さらに,後記(3)のとおり,本件特許の原出願日前である平成20年8月5日,「パシフィコ横浜」で開催されたイベント「JUSTCUT’08 STYLINGFORUMFROMYOKOHAMA」(以下「本件 イベント」という。)で原告の新製品である本件小型器が発表され,公知公用となっているが,その場に展示されたボンベが相違点1に係る構成を有している。 このため,本件発明1の乙15発明との相違点1に係る構成は,乙16文献等に開示され,また原告旧製品のボンベや,本件イベントで発表さ が,その場に展示されたボンベが相違点1に係る構成を有している。 このため,本件発明1の乙15発明との相違点1に係る構成は,乙16文献等に開示され,また原告旧製品のボンベや,本件イベントで発表された本件小型器用のボンベにより公知公用となっており,当該構成を乙15発明に適用する動機付けは上述のとおり存在することから,乙15発明に相違点1に係る構成を採用することは,当業者にとって容易であったといえる。 b 相違点2について乙16文献には,相違点2に相当する「下開口」の「筒体」で,その「内」には炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4が捻じ込まれる「ネジ孔6」が形成され,「炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通」する「上側筒体1」という構成が開示されている。 上記aのとおり,乙15発明と乙16発明は,同じ技術分野に属する。なお,相違点2に係る上側筒体の公知技術の例として,美顔器である原告旧製品発明のレギュレータ,乙13の1文献の軽便型酸素補給器の本体1(第1図),乙13の2文献のガス供給機構3(図4),乙13の3文献の調圧機構41(第6図)等がある。 このため,本件発明1の乙15発明との相違点2に係る構成は,乙16文献等に開示されており,当該構成を乙15に適用する動機付けは上述のとおり存在することから,乙15発明1に相違点2に係る構成を採用することは当業者にとって容易想到である。 c 相違点3について乙16文献にはガスボンベに装着する吐出バルブである本体1の上 部につまみ7を備えた構成が記載されており,このつまみ7は回転によりガス流路を介するガスの噴出調整を行うものである。 また,乙9の1文献,乙9の2文献にも,ガスボンベの上部に装着してガス流量を調整するエアー 7を備えた構成が記載されており,このつまみ7は回転によりガス流路を介するガスの噴出調整を行うものである。 また,乙9の1文献,乙9の2文献にも,ガスボンベの上部に装着してガス流量を調整するエアー調整ネジが記載されている(乙9の3)。 前記aのとおり,乙15発明と乙16発明は,ガスボンベに装着する吐出バルブに関する技術である点で同じ技術分野に属する。また,乙15発明と乙9の1発明,乙9の2発明は,ガスボンベに装着する吐出バルブ,同バルブから吐出されたガスをスプレーにて液体と混合して噴霧する技術である点で同じ技術分野に属する。 さらに,乙9の1文献,乙9の2文献,乙9の3文献,乙15文献の図2,図5には,ガスボンベに装着された吐出バルブに回転によりガス流量調整を行うダイヤル(円形調整用摘子)を設けることが示されていることからも,乙15発明に乙16発明を適用する動機付けは存在し,これらから乙15発明に相違点3に係る本件発明1の構成を採用することは容易である。 d 相違点4について無効理由1の相違点2と同じ理由により,容易想到である。 e 相違点5について無効理由1の相違点3と同じ理由により,容易想到である。 (ウ) まとめ以上から,本件発明1は,乙15発明及び上述した公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,進歩性を欠く。 イ本件発明3について(ア) 本件発明3と乙15発明との一致点・相違点本件発明3と乙15発明とは,本件発明1と乙15発明との相違点の ほか,本件発明3の操作部30が「押しボタン形式」であるのに対して,乙15発明は「レバー形式」である点で相違し(相違点6),その余の点で一致する。 (イ) 相違点6の容易想到性無効理由1の相違点4と同じ理由により,容易想到であ しボタン形式」であるのに対して,乙15発明は「レバー形式」である点で相違し(相違点6),その余の点で一致する。 (イ) 相違点6の容易想到性無効理由1の相違点4と同じ理由により,容易想到である。 ウ本件発明4について(ア) 本件発明4と乙15発明との一致点・相違点本件発明4と乙15発明とは,本件発明1と乙15発明との相違点のほか,次の点で相違し,その余の点で一致する。 a 本件発明4は,上側筒体1内には,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3に対峙し,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通する噴出用管11が設けられているのに対し(構成要件J),乙15発明は,炭酸ガス供給用ボンベB上部の構造物がこのような構成を具備するか不明である点(相違点7)。 b 本件発明4は,ガス流通路は,炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通した噴出用管11からの噴出ガスを導く構成であるのに対し,乙15発明は,炭酸ガス供給用ボンベB上部の構造物がこのような構成を具備するか不明である点(相違点8)。 (イ) 相違点7及び8の容易想到性a 乙16文献には,第2実施例として,相違点7に相当する,本体1の下面にネジ孔2が形成された有底状の開口を有し,開口の天井面には内部に流通孔23を有する切り矢24を備え,この切り矢24が炭酸ガスボンベ10の封板に当接して破封する構成が開示されている。 b また,乙16文献記載の切り矢24(本件発明4の「噴出用管11」に相当)は流通孔23を備えており,炭酸ガスボンベ10の封板(本 件発明4の「封印膜3a」に相当)を破封した際には,二酸化炭素ガスが中空室3から中空部26を通って流れるため,相違点8に相当する構成が開示されているといえる。 ガスボンベ10の封板(本 件発明4の「封印膜3a」に相当)を破封した際には,二酸化炭素ガスが中空室3から中空部26を通って流れるため,相違点8に相当する構成が開示されているといえる。 c 相違点1に係る本件発明1の構成と同様に,乙15発明に,乙16文献に開示された相違点7及び8に係る本件発明4の構成を採用することは当業者にとって容易想到である。 エ本件発明5について(ア) 本件発明5と乙15発明との一致点・相違点本件発明5と乙15発明は,本件発明1と乙15発明との相違点のほか,次の点で相違し,その余の点で一致する。 本件発明5は,円形調整用摘子17の回転によって,炭酸ガス供給用ボンベBからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出,停止もする「円形調整用摘子17」を具備するのに対し,乙15発明は,スプレー本体に噴出調整用摘子を備えるのみであり,上記「円形調整用摘子17」に相当する構成を具備していない点(相違点9)。 (イ) 相違点の容易想到性乙16文献記載のつまみ7は,本体1におけるガスの流路において,その流出の完全遮断も行えるものである(乙16・9頁18行ないし10頁2行)が,これは相違点9に係る構成に相当するものである。 相違点1に係る本件発明1の構成と同様に,乙15発明に,乙16文献に開示された相違点9に係る本件発明5の構成を採用することは,当業者にとって容易想到である。 オ本件発明6について(ア) 本件発明6と乙15発明との一致点・相違点本件発明6と乙15発明は,本件発明1と乙15発明との相違点のほか,次の点で相違し,その余の点で一致する。 本件発明6は,有底で,而も下広状のスカート状に形成した「下側筒体」を有するのに対し,乙15発明の炭酸ガスカートリッジ台は,このような構成 か,次の点で相違し,その余の点で一致する。 本件発明6は,有底で,而も下広状のスカート状に形成した「下側筒体」を有するのに対し,乙15発明の炭酸ガスカートリッジ台は,このような構成となっていない点(相違点10)。 (イ) 相違点10の容易想到性無効理由1の相違点6と同じ理由により,容易想到である。 (原告の主張)ア原告は,被告主張の一致点及び相違点について,争っていない。 イ本件発明及び乙15発明は,化粧水と炭酸ガスとの混合液を顔肌等に噴霧状に吹き付ける美顔器である。これに対し,乙16発明の技術分野は,「浴槽用簡易二酸化炭素放出器」に関するものであり,本件発明及び乙15発明とは具体的な技術分野を異にする。 また,本件発明の課題は,化粧水と炭酸ガスとの混合液を顔肌等に噴霧状に吹き付ける美顔器の美観の問題と操作性の難に関するものである。乙15発明は,化粧水と炭酸ガスとの混合液を顔肌等に噴霧状に吹き付ける美顔器のパイオニア発明であり,スチーム噴射や吸引パットではなく,顔肌へのソフト的な癒しを考慮した美顔器を提供することを課題・目的とするものである。これに対し,乙16発明は,「浴槽内に簡便に,二酸化炭素を細泡化して噴出させるとともに浴湯内に効率よく二酸化炭素を溶け込ませること」を課題・目的とするものであって,本件発明や乙15発明との課題の共通性を見いだせない。 したがって,乙15発明と乙16発明は,組合せを行う具体的な動機付けがなく,両者を組み合わせて各相違点に係る構成に想到することは,当業者をもってしても困難であったと見るほかない。 ウ相違点3に関連して,乙9の1文献及び乙9の2文献には,ガスボンベ上部のネジでガス流出量を調整するとの記載はない。 エ相違点4,相違点5,相違点6及び相違点10が容易想到で と見るほかない。 ウ相違点3に関連して,乙9の1文献及び乙9の2文献には,ガスボンベ上部のネジでガス流出量を調整するとの記載はない。 エ相違点4,相違点5,相違点6及び相違点10が容易想到でないことは, 無効理由1の場合と同様である。 (3) 争点2-ウ(無効理由3)(本件小型器の公知・公用に基づく新規性又は進歩性欠如の成否)について(被告の主張)ア本件小型器の公然実施(ア) 原告は,本件イベントに,別紙本件小型器目録(なお,以下,同目録で「ボンベケース」とあるものを「本体ケース」という。)記載の構成を有する本件小型器を出品,出展した。 (イ) 原告は,本件小型器を,化粧水カップに化粧水(原告の主張ではミネラルウォーター)を入れ,ボンベを装着した状態で,「業務用炭酸ミストシャワー YTS-G001」(以下「業務用大型器」という。)の天板という,高さも場所もまさに来場者の手に採りやすい位置に展示していた。 また,原告は,ブース奥に,化粧箱に予備のボンベ(炭酸ミニガスカートリッジ)と化粧水とともに本件小型器がセットされた箱入り状態のものを展示していた。 このように,本件小型器が不特定多数人,しかも販売取扱い商品の候補として,当該機器に高い関心を持つであろう美容院のスタッフに対し,その目の前で手に取れる状態で展示されていれば(しかもわざわざ化粧水のボトルと一緒に置いてある),関心を持った美容院のスタッフは,手に取って操作をしてみるであろう。アトマイザーを操作すれば化粧水と炭酸ガスが混合されて噴出され,その噴出量は上部の調整用のダイヤルで調整可能であること,炭酸ガスボンベは消耗品であり交換の必要があることは大型器との比較からも直ちに了解され,しかも,上部ケースと下部ケースを分離することは容易で,そうすれば炭酸 の調整用のダイヤルで調整可能であること,炭酸ガスボンベは消耗品であり交換の必要があることは大型器との比較からも直ちに了解され,しかも,上部ケースと下部ケースを分離することは容易で,そうすれば炭酸ボンベがあり,その炭酸ボンベ中の炭酸が上部から本体内部の機構を通じて噴出されることは容易に看取できる。そして,少なくともこのようなことが可能な 状態で本件小型器は展示されていたから,本件小型器の展示は「公然」行われたと評価できる。 (ウ) 原告の本件イベントにおける本件小型器の展示は,実際の現場で販売に密接に関与する美容院のスタッフに浸透させ取り扱ってもらうためのものであり,正に営業活動としての販売目的の展示であった。 (エ) 以上によれば,本件小型器の上記展示は「販売目的の展示」(特許法2条3項1号)にあたる。 イ本件小型器発明に基づく新規性及び進歩性欠如本件小型器により開示された発明(以下「本件小型器発明」という。)は,本件発明1,4ないし6の構成要件を全て備えている。 また,本件発明3と本件小型器発明とは,本件発明3の操作部30が「押しボタン形式」であるのに対し,本件小型器発明は「レバー形式」である点で相違し,その余点で一致するところ,乙9の1文献及び乙9の2文献の記載に基づいて,本件小型器発明の操作レバーを押しボタン形式とし,上記相違点に係る本件発明3の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。 したがって,本件発明1,4ないし6は新規性を欠き,本件発明3は進歩性を欠く。 (原告の主張)ア本件小型器の公然実施について(ア) 原告が,本件イベントに本件小型器を出品,出展したことは認める。 (イ) しかし,原告は,本件イベントにおいて,本件小型器について,詳細な説明,操作説明,内部構造の開示は 公然実施について(ア) 原告が,本件イベントに本件小型器を出品,出展したことは認める。 (イ) しかし,原告は,本件イベントにおいて,本件小型器について,詳細な説明,操作説明,内部構造の開示は一切行っていない。来場者は,担当者の誘導に従い,業務用大型器のデモンストレーションを体験するためにブースに訪れていたのであり,本件小型器に触れた者は皆無であった。そのため,本件発明のほとんどの構成について,第三者が知り得 る状況にはなく,本件イベントでの展示は「公然」性の要件を充足しない。 (ウ) また,本件イベントでのブースの出店は,あくまで業務用大型器のデモンストレーションを目的としており,本件小型器の展示は,主として来場者に美容サロンでの施術現場の様子をシミュレーションさせるための演出にすぎなかった(甲16ないし18)。これは,典型的な「特許製品以外の製品の宣伝活動や営業活動のために展示」あるいは「客寄せのための展示」であり,「譲渡等の申出(譲渡等のための展示・・・)」(特許法2条3項1号)に該当しない。 イ本件小型器発明に基づく新規性又は進歩性欠如について上記アのとおり,本件イベントの展示により,本件発明の外観に関する構成要件AないしB2,B4,CないしC4及びFは秘密でなくなったとも思えるが,少なくともその余の構成要件は秘密内であり,本件発明は,公知公用発明とはならない。なお,本件イベントで展示された本件小型器と原告が実際に販売した商品は,同一ではない。 したがって,本件発明1,4ないし6の新規性欠如をいう被告主張は,理由がない。 また,乙9の1文献,乙9の2文献には,上記非公知部分は開示も示唆もされていないから,本件発明3の進歩性欠如をいう被告主張も理由がない。 (4) 争点2-エ(無効理由4)(本件小型 理由がない。 また,乙9の1文献,乙9の2文献には,上記非公知部分は開示も示唆もされていないから,本件発明3の進歩性欠如をいう被告主張も理由がない。 (4) 争点2-エ(無効理由4)(本件小型器の外観が公知・公用となったことに基づく進歩性欠如の成否)について(被告の主張)ア本件イベントにおいて,業務用大型器については実演されており,かつ,炭酸ガスボンベを本体で隠していること,アトマイザー(スプレー)の操作レバーを引くと,炭酸ガスが噴出し,アトマイザーに付設した化粧水容 器に収納されている化粧水と混合して,噴出されることなどの説明がなされていた。 本件小型器は,その大型器の小型版であるから,当然,本体内部には,炭酸ガスボンベが収納されており,アトマイザーの操作レバーを引くと化粧水が混合された炭酸ガスが霧状に噴出されることが看取される。 以上を踏まえると,当業者は,以下のとおり,本件イベントで展示された本件小型器の外部構成等から把握できる発明(以下「本件小型器外観発明」という。)に基づいて,本件発明に容易に想到することができたといえる。 イ(ア) 本件発明1についてa 本件発明1と本件小型器外観発明との一致点・相違点本件発明1と本件小型器外観発明とは,次の点で相違し,その余の点で一致する。 (a) 本件発明1の「炭酸ガス供給用ボンベB」は,上端噴出口頭部3に設けられる封印膜3aを有する(構成要件C4,E1-4)のに対して,本件小型器外観発明の「炭酸ミニガスカートリッジ」は上端の口部が封止されているが「封印膜」を有するかどうか不明である点(相違点1)。 (b) 本件発明1の「直立型ボンベ収納ボックスX」は,下開口の上側筒体1と,上側筒体1の下端開口縁と着脱自在な上開口の下側筒体2からなる(構成要件E1 有するかどうか不明である点(相違点1)。 (b) 本件発明1の「直立型ボンベ収納ボックスX」は,下開口の上側筒体1と,上側筒体1の下端開口縁と着脱自在な上開口の下側筒体2からなる(構成要件E1ないしE1-1,E2,E2-2)のに対して,本件小型器外観発明の「本体ケース」は,上側筒体と下側筒体とから構成されるかどうか不明である点(相違点2)。 (c) 本件発明1の「上側筒体1」内では,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを「貫通」する(構成要件E1-4)のに対して,本 件小型器外観発明の「本体ケース」は,「上側筒体1」を有するかどうかが不明であり(上記相違点2),また炭酸ミニガスカートリッジの封印膜を「貫通」するかどうか不明である点(相違点3)。 b 相違点の容易想到性(a) 相違点1ガスボンベの上端の口部を封板(「封印膜」に相当)で封止することは,登録実用新案第3136356号公報(乙14)のほか,特開昭62-235098号公報(乙1の5の5),乙1の5の8文献,乙4文献,乙13の2文献,出願前公然実施品である原告旧製品にも見られるとおり,周知慣用技術であり,本件小型器外観発明の「ボンベ」上端の口部を封印膜で封止し,相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,乙14文献等に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 (b) 相違点2ボンベを収納するケースを上下ケースで構成することは,乙14文献のほか,特開昭64-33410号公報(乙13の3),特開2005-249193号公報(乙20)にも見られるとおり,周知慣用技術であり,本件小型器外観発明の「本体ケース」について,下開口の上側筒体と,上側筒体の下端開口縁と着脱自在な上開口の下側筒体から構成 05-249193号公報(乙20)にも見られるとおり,周知慣用技術であり,本件小型器外観発明の「本体ケース」について,下開口の上側筒体と,上側筒体の下端開口縁と着脱自在な上開口の下側筒体から構成し,相違点2に係る本件発明1の構成とすることは,乙14文献等に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 (c) 相違点3ボンベの封板を貫通して開封する構成を設けることは,乙14文献のほか,乙1の5の8文献,乙4文献,乙13の1文献,乙13の2文献,原告旧製品にも見られるとおり,周知慣用技術で あり,本件小型器外観発明の「本体ケース」について,上側筒体内でボンベのネジをネジ孔にねじ込んだ際,ボンベの封印膜を「貫通」する構成とし,相違点3に係る本件発明1の構成とすることは,乙14文献等に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 (d) 相違点のまとめ以上のとおり,本件発明1と本件小型器外観発明との相違点1ないし3は,当業者が乙14文献等に基づいて容易に想到し得たものであり,本件発明1は進歩性を欠く。 (イ) 本件発明3についてa 本件発明3と本件小型器外観発明との一致点・相違点本件発明3と本件小型器外観発明とは,本件発明1と本件小型器外観発明との相違点のほか,本件発明3は「操作部30は,押しボタン形式であり,スプレー本体Sは,操作部30の操作によって開いている状態とする」のに対し,本件小型器外観発明は「操作レバーは,レバー形式であり,アトマイザーは,操作レバーの操作によって開いている状態とする」点(相違点4)で相違し,その余の点で一致する。 b 相違点の検討本件小型器外観発明に,上記(ア)b記載の各公知技術及び乙9の1文献,乙9の2文献を適用して,相違点に係る本件発明3の構成とすることは当業者が容易に し,その余の点で一致する。 b 相違点の検討本件小型器外観発明に,上記(ア)b記載の各公知技術及び乙9の1文献,乙9の2文献を適用して,相違点に係る本件発明3の構成とすることは当業者が容易に想到し得たものである。 (ウ) 本件発明4について本件発明4と本件小型器外観発明とは,本件発明1と本件小型器外観発明との相違点において相違し,その余の点で一致する(本件小型器のボンベにネジが形成され口部に封板が存在する以上,これを装着する上部ケース内にネジ孔が形成され,かつ封板を貫通してボンベからホース へと至るガス流路が存在することが明らかである。なお,ボンベの封板を貫通し,ガス流路を構成する部材として原告旧製品のレギュレータでは噴出ピンを備えており,これは「炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3に対峙し,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通する噴出用管11」に相当する。)。 したがって,本件発明4は,本件発明1と同様の理由で進歩性を欠く。 (エ) 本件発明5について本件発明5と本件小型器外観発明とは,本件発明1と本件小型器外観発明との相違点において相違し,その余の点で一致する(本件小型器の上部にはダイヤルがあり,ダイヤル側部には滑り止めの溝が形成されており,回転させて調整する機構であることは見てわかる事柄である。さらに,本件小型器の上部には「開閉」と記載されており,「開」はガスの噴出,「閉」はガス噴出停止であり,この開閉はダイヤルの回転によって行われる。)。 したがって,本件発明5は,本件発明1と同様の理由で進歩性を欠く。 (オ) 本件発明6について本件発明6と本件小型器外観発明とは,本件発明1と本件小型器外観発明との相違点において相違し,その余の点で一致する(構成要件Oは,本件小型器の本体ケースの下 を欠く。 (オ) 本件発明6について本件発明6と本件小型器外観発明とは,本件発明1と本件小型器外観発明との相違点において相違し,その余の点で一致する(構成要件Oは,本件小型器の本体ケースの下部形状そのものである。)。 したがって,本件発明6は,本件発明1と同様の理由で進歩性を欠く。 (原告の主張)ア本件イベントにおける本件小型器の展示によって,本件発明1の構成要件BないしB2,B4,CないしC3及びFが公知となったことは認めるが,その余は否認する。 イ(ア) 本件イベントの展示によって,被告が自認する相違点1ないし4に加えて,以下の構成も公知となっていない。 a 円形調整用摘子b 直立ボンベ収納ボックスXc ネジ孔及びガス流通路d 炭酸ガスを導く可撓性ホースe 化粧水収納カップf 炭酸混合化粧水の噴射g 噴出用管(イ) 本件発明と本件小型器外観発明との相違点は,本件発明と原告旧製品との相違点ないし本件発明と乙15発明との相違点を全部含むものとなっている。 そして,本件発明と原告旧製品との相違点及び乙15発明との相違点が容易想到でないことは,前記(1)及び(2)のとおりであるから,それより相違点の多い本件小型器外観発明に原告主張の副引例を組み合わせても,本件発明は容易に想到し得ない。 3 争点3(損害及び補償金の額)について(原告の主張)(1) 損害の額について被告は,遅くとも本件特許権が設定登録された平成25年8月2日以後,現在に至るまで,業として,被告製品を製造販売している。被告による被告製品の販売数量は,月々800個を下ることはなく,その単価は少なくとも1個あたり4万9800円を下ることはない。また,被告における被告製品の限界利益率は,少なくとも30パー している。被告による被告製品の販売数量は,月々800個を下ることはなく,その単価は少なくとも1個あたり4万9800円を下ることはない。また,被告における被告製品の限界利益率は,少なくとも30パーセントである。 したがって,被告による特許権侵害行為によって原告が受けた損害の額は,特許法102条2項により,少なくとも,800個(1ヶ月あたりの販売個数)×1ヶ月(平成25年8月2日から)×4万9800円(単価)×30パーセント(限界利益率)=1195万 2000円と算定され,被告は,原告に対し,少なくとも1195万2000円の損害賠償義務を負担するものである。 (2) 補償金の額についてア原出願は,平成22年3月11日,出願公開され,平成23年11月25日,特許権の設定登録がされた(原出願特許)。 原告は,平成24年7月3日,被告製品1及び2の製造が原出願特許権を侵害するとして,被告に対し,被告製品1及び2の製造販売の差止め及び損害賠償を求める別件訴訟を提起した。被告は,平成24年11月29日,別件訴訟において,原出願の出願関係書類一式を書証として提出した(甲10,11)。 本件特許に係る出願は,平成23年6月22日,原出願を分割してしたもので,平成23年11月24日,出願公開された(甲1)。その後,平成25年4月8日付け手続補正を経て,平成25年8月2日,特許権の設定登録がされた(甲3)。 被告は,上記設定登録に先立つ同年4月30日付けで,特許庁に対し,本件発明が進歩性を欠く旨の意見陳述等を内容とする刊行物等提出書を提出していた(甲12)。 イ主位的主張-平成24年11月29日を起算日とする補償金請求(ア) 被告が平成24年11月29日に別件訴訟において提出した審査書類一式(甲10,11)は,原出願に 提出していた(甲12)。 イ主位的主張-平成24年11月29日を起算日とする補償金請求(ア) 被告が平成24年11月29日に別件訴訟において提出した審査書類一式(甲10,11)は,原出願に関するものであるが,同書類の記載は,本件発明に関する記載も包含するものである。そのため,被告は,遅くとも平成24年11月29日時点で,本件発明との関係でも「出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知って」いたといえる。 本件特許は,平成25年4月8日付けの手続補正を経て,特許権の設定登録がされたものであるが,同補正は,願書に最初に添付した明細書, 図面に記載した事項の範囲内において,補正前の特許請求の範囲の減縮等を内容とするいわゆる減縮補正であり,補償金請求の発生に影響するものではない(最高裁昭和63年7月19日判決・民集42巻6号489頁)。 したがって,被告は,原告に対し,平成24年11月29日から本件特許権の設定登録がされた平成25年8月2日に至るまでの被告製品の製造販売につき,実施料相当額の補償金を支払う義務がある。 (イ) 被告による被告製品の販売数量は,月々800個を下ることはなく,その単価は少なくとも1個あたり4万9800円を下ることはない。また,被告における被告製品の実施料相当額は,少なくとも10パーセントである。 したがって,被告が原告に支払うべき補償金の額は,少なくとも,800個(1ヶ月あたりの販売個数)×9ヶ月(平成24年11月29日から現在)×4万9800円(単価)×10パーセント(実施料率)=3585万6000円と算定され,被告は,原告に対し,少なくとも3585万6000円の補償金支払義務を負担するものである。 ウ予備的主張-平成25年4月30日を起算日とする補償金請求(ア) 被告 5万6000円と算定され,被告は,原告に対し,少なくとも3585万6000円の補償金支払義務を負担するものである。 ウ予備的主張-平成25年4月30日を起算日とする補償金請求(ア) 被告は,遅くとも刊行物等提出書(甲11)を特許庁に提出した平成25年4月30日の時点において,本件発明が「出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知って」いた。 したがって,被告は,平成25年4月30日から本件特許権の設定登録がされた平成25年8月2日に至るまでの被告製品の製造販売につき,実施料相当額の補償金を支払う義務がある。 (イ) 平成25年4月30日を起算日とした場合,被告が原告に支払うべき補償金の額は,少なくとも, 800個(1ヶ月あたりの販売個数)×4ヶ月(平成25年4月30日から現在)×4万9800円(単価)×10パーセント(実施料率)=1593万6000円と算定され,被告は,原告に対し,少なくとも1593万6000円の補償金支払義務を負担するものである。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点2(本件発明についての特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか)について(1) 事案にかんがみ,まず,争点2-イ(無効理由2)(乙15号証に基づく進歩性欠如の成否)について,検討する。 (2) 本件特許の原出願日前に頒布された刊行物である乙15号証(登録実用新案第3136465号公報)には,次の各発明(以下,これらを併せて「乙15発明」という。)が開示されているものと認められる。 ア下記構成aないしrを備えてなる発明(以下「乙15発明1」という。)a 炭酸ガスを導く可撓性の炭酸ガス供給用パイプ9と,b スプレー本体1であって,可撓性の炭酸ガス供給用パイプ9の一端部 ア下記構成aないしrを備えてなる発明(以下「乙15発明1」という。)a 炭酸ガスを導く可撓性の炭酸ガス供給用パイプ9と,b スプレー本体1であって,可撓性の炭酸ガス供給用パイプ9の一端部に接続され,c スプレー本体1の先端に設けられる噴出ノズル8と,d スプレー本体1に設けられ,所定量の化粧水Wを収納する化粧水収納カップ5と,e スプレー本体1に設けられ,スプレー本体1を保持した手先Hで操作される操作レバー12とを備え,f 可撓性の炭酸ガス供給用パイプ9からの炭酸ガスを,操作レバー12 の操作によって開閉し,操作レバー12の操作によって開いている状態で,可撓性の炭酸ガス供給用パイプ9から導かれた炭酸ガスを,噴出ノズル8から噴出させて,化粧水収納カップ5内の化粧水Wとともに,炭酸混合化粧水を,霧状に噴射するスプレー本体1と,g 炭酸ガス供給用ボンベBであって,全体の形状が上下に細長く形成され,上端の噴出口となる頭部と,を有する炭酸ガス供給用ボンベBと,h 一方向および反対方向に垂直回転可能な噴出調整用摘子16と,j 上部構造物であって,k 噴出調整用摘子16は,スプレー本体1の後端で操作可能であり,l この上部構造物には,炭酸ガス供給用ボンベBが,炭酸ガス供給用ボンベBを取替え可能に装着でき,m 炭酸ガス供給用ボンベBを上部構造物に装着した際,炭酸ガス供給用ボンベBからの噴出ガスを導くガス流路が形成され,n 噴出調整用摘子16の回転によって炭酸ガス供給用ボンベBからの前記スプレー本体1を介する炭酸ガスの噴出調整をするため,炭酸ガス供給用パイプ9の他端部に供給する上部構造物と,o ボンベ支持筒であって,上開口であり,p 上部構造物に炭酸ガス供給用ボンベBを装着した状態では,炭酸ガス 炭酸ガスの噴出調整をするため,炭酸ガス供給用パイプ9の他端部に供給する上部構造物と,o ボンベ支持筒であって,上開口であり,p 上部構造物に炭酸ガス供給用ボンベBを装着した状態では,炭酸ガス供給用ボンベBの下部を収納し,底部が着座するボンベ支持筒とを備えるr 美顔器イ下記構成sを備えてなる発明(以下「乙15発明3」という。)s 前記操作レバー12は,レバー形式であり,スプレー本体1は,操作レバー12の操作によって開いている状態とするa~rの美顔器ウ下記構成t及びuを備えてなる発明(以下「乙15発明4」という。)t 上部構造物内には,炭酸ガス供給用ボンベBを上部構造物に装着した 際,炭酸ガス供給用ボンベBからの噴出ガスを導くガス流路が形成され,u 前記ガス流路は,炭酸ガス供給用ボンベBからの噴出ガスを導くa~sの美顔器エ下記構成vを備えてなる発明(以下「乙15発明5」という。)v 噴出調整用摘子16の回転によって,炭酸ガス供給用ボンベBからの前記スプレー本体1を介する炭酸ガスの噴出調整をするa~uの美顔器オ下記構成wを備えてなる発明(以下「乙15発明6」という。)w ボンベ支持筒を有底で,而も設置面を大径状に形成したa~vの美顔器(3) 本件発明1の容易想到性についてア本件発明1と乙15発明1との対比について本件発明1と乙15発明1とを対比すると,両者は,次の点で相違し,その余の点で一致する。 (ア) 本件発明1は,上端噴出口頭部3,上端噴出口頭部3に形成されるネジ4と,上端噴出口頭部3に設けられる封印膜3aとを有する「炭酸ガス供給用ボンベB」を備えているのに対し,乙15発明1の炭酸ガス供給用ボンベが上記構成を備えているか不明な点(以下「相違点1」という。)。 (イ) 口頭部3に設けられる封印膜3aとを有する「炭酸ガス供給用ボンベB」を備えているのに対し,乙15発明1の炭酸ガス供給用ボンベが上記構成を備えているか不明な点(以下「相違点1」という。)。 (イ) 本件発明1は,下開口であり,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4が,炭酸ガス供給用ボンベBを取替え可能に,捻じ込まれるネジ孔6が形成され,炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4をネジ孔6に捻じ込んだ際,その炭酸ガス供給用ボンベBの封印膜3aを貫通して炭酸ガス供給用ボンベBからの噴出ガスを導くガス流通路が形成される「上側筒体1」を備えているのに対して,乙15発明1は,炭酸ガス供給用ボンベの上側に構造物が設けられているが,上記上側筒体のように構成されているか不明な点(以下「相違点2」という。)。 (ウ) 噴出量調整手段として,本件発明1は,一方向および反対方向に水平回転可能であり,上側筒体1の上方で操作可能であり,回転によって炭酸ガス供給用ボンベBからのガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をして,可撓性ホースPの他端部に供給する「円形調整用摘子17」を備えているのに対して,乙15発明1は,「一方向および他方向に垂直回転可能であり,スプレー本体1の後端に設けられる「噴出調整用摘子16」を備えている点(以下「相違点3」という。)。 (エ) 本件発明1は,「上側筒体1の下端開口縁と着脱自在」であり,上側筒体1の前記ネジ孔6に炭酸ガス供給用ボンベBのネジ4を捻じ込んだ状態では,「上側筒体1とともに,炭酸ガス供給用ボンベBの上端噴出口頭部3を隠蔽して炭酸ガス供給用ボンベBを収納する」下側筒体2を備えているのに対して,乙15発明1は,そのような構成を備えていない点(以下「相違点4」という。)。 (オ) 本件発明1は,上側筒体1及び下側筒体2からなり,炭 給用ボンベBを収納する」下側筒体2を備えているのに対して,乙15発明1は,そのような構成を備えていない点(以下「相違点4」という。)。 (オ) 本件発明1は,上側筒体1及び下側筒体2からなり,炭酸ガス供給用ボンベBを収納する直立型ボンベ収納ボックスXを備えているのに対して,乙15発明1は,「ボンベ支持筒」を有するが,直立型ボンベ収納ボックスXを備えていない点(以下「相違点5」という。)。 イ本件発明1と乙15発明1との相違点に係る容易想到性について(ア) 相違点1について検討する。 乙15発明1において,炭酸ガス供給用ボンベからガス供給用パイプにガスを供給するために,当該ボンベ内のガスを外部に取り出す構成が必要であることは,乙15発明1の構成それ自体から明らかである。 そして,本件特許の原出願日前に頒布された刊行物である乙16号証(実願昭60-151628号〔実開昭62-59027号〕のマイクロフィルム〔以下,これに記載された技術事項を「乙16技術」という。〕)には,炭酸ガスボンベ10内のガスを外部に取り出すために, ボンベ10の上部にある小径部に形成されたネジを「上部にガス流量調整用のつまみ7が設けられ,全体として筒体であって,下開口の本体1」のネジ孔2に螺入させることにより,ボンベ上端にある封板を切り矢24によって破封(貫通)させる構成が開示されている。すなわち,本件発明1における「噴出口頭部3に形成されたネジ4」,「封印膜3a」と同様な構成が開示されているといえる。 そうすると,当業者であれば,乙15発明1におけるガスを外部に取り出す構成として,乙16技術を適用し,相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 この点,原告は,乙15発明1に乙16技術を適用する動機付けがない旨主 ガスを外部に取り出す構成として,乙16技術を適用し,相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 この点,原告は,乙15発明1に乙16技術を適用する動機付けがない旨主張するが,乙15発明1においてガスをボンベから外部へ取り出す構成が必要であること,乙16技術が本件発明1と同様な構成に係るものであることは,いずれも上述したとおりであり,これらは,両者を組み合わせる動機付けとなるというべきであるから,原告の上記主張は,採用することができない。 (イ) 相違点2について検討する。 上記(ア)のとおり,乙16技術における本体1は,ガスを外部に取り出すための構成という点についてみれば,本件発明1における上側筒体1に機能上相当するといえる。 したがって,当業者であれば,乙15発明1におけるガスを外部に取り出す構成として,乙16技術を適用し,相違点2に係る本件発明1の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 (ウ) 相違点3について検討する。 乙15号証には,ガスの噴出量調整用摘子16をスプレー本体1とは別体のデスクトップ器体Xの前板23に備える構成が開示されている。 すなわち,噴出量調整用摘子は,スプレー本体以外の場所に設けること が可能であることが示唆されているといえる。また,図2及び図5には,ボンベBの上部構造体側部に摘みのような部材が見て取れる。 他方,乙16号証には,一方向及び反対方向に水平回転可能であり,本体1の上方で操作可能であり,回転によって炭酸ガス供給用ボンベ10からのガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をする「つまみ7」が開示されている。 そうすると,乙15発明1には,摘子をスプレー本体以外に設けるという動機付けがあり,ボンベBの上部に摘子を設けることを妨げる特段の事情もない 酸ガスの噴出調整をする「つまみ7」が開示されている。 そうすると,乙15発明1には,摘子をスプレー本体以外に設けるという動機付けがあり,ボンベBの上部に摘子を設けることを妨げる特段の事情もないことからすれば(なお,乙9の1ないし3には,スプレー本体に設けるとともに,ガスボンベ側上部に噴出量調整手段を設ける点が開示されており,乙9の1,2及び4には,ガスボンベ側上部のみに噴出量調整手段を設ける点が開示されている。),当業者であれば,乙15発明1に乙16技術を適用して,相違点3に係る本件発明1の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 (エ) 相違点4について検討する。 乙15号証には,炭酸ガス供給用ボンベBを直立収納する筒部21と,後部の炭酸ガス供給用ボンベB等を遮蔽する前板23を含むデスクトップ器体Xが開示されている。すなわち,乙15号証には,炭酸ガス供給用ボンベを遮蔽する構成が開示されている。 他方,本件特許の原出願日前に頒布された刊行物である乙14号証(登録実用新案第3136356号公報〔以下,これに記載された技術事項を「乙14技術」という。〕)には,ガスボンベのカートリッジC内のガスを外部に取り出すために,封板を開封する機能を有するガス制御機構5を備えるキャップ部4にカートリッジCを取り付けるとともに,キャップ部4の下側開口縁と着脱自在であり,キャップ部をカートリッジCに取り付けた状態では,キャップ部とともにカートリッジC を収納する収容部3を備える酸素ガス供給器が開示されている。 また,本件特許の原出願日前に頒布された刊行物である乙20号証(特開2005-249193号公報〔以下,これに記載された技術事項を「乙20技術」という。〕)には,上側収納32と着脱自在に形成される下側収納31と,炭酸ガスカート 布された刊行物である乙20号証(特開2005-249193号公報〔以下,これに記載された技術事項を「乙20技術」という。〕)には,上側収納32と着脱自在に形成される下側収納31と,炭酸ガスカートリッジボンベ5の開口部13近傍をネジ止めするためのネジ穴35と,炭酸ガスカートリッジボンベ5の蓋体14を貫通する尖鋭体6を備えた上側収納32とからなり,炭酸ガスカートリッジボンベ5を収納するハウジング10が開示されている。 ここで,乙14技術におけるキャップ部は,カートリッジC(ボンベ)上端の封板を開封し,ガスを外に取り出す構成である点で,乙15発明1における上部構造体と機能・作用を共通するものといえる。そして,乙14技術の収容部3はキャップ部4と共にカートリッジCを隠蔽する機能を有することは明らかである。 また,乙20技術における上側収納32は,下側収納31と共に炭酸ガスカートリッジボンベ5を隠蔽する機能を有することも明らかである。 乙15発明1には,ガスボンベを隠蔽するという動機付けがあるから,当業者であれば,乙15発明1における上部構造体とガスボンベ支持筒(乙15号証の図2に図示のもの)との関係を,乙14技術のキャップ部と収容部のような関係とし,又は乙20技術の上側収納32と下側収納31のような関係として,相違点5に係る本件発明1の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 (オ) 相違点5について検討する。 乙15号証には,ガスボンベ側を直立させることが開示されているから,乙15発明1に乙14技術又は乙20技術を適用する際に,直立型に構成することは,当業者が容易に想到し得たといえる。 ウ小括上記検討したところによれば,本件発明1は,当業者が乙15発明1,乙16技術,乙14技術,乙20技術に基づいて,容易に に構成することは,当業者が容易に想到し得たといえる。 ウ小括上記検討したところによれば,本件発明1は,当業者が乙15発明1,乙16技術,乙14技術,乙20技術に基づいて,容易に想到することができたというべきであり,本件発明1についての特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 (4) 本件発明3の容易想到性について本件発明3と乙15発明3とを対比すると,相違点1ないし5のほか,本件発明3では,操作部30が押しボタン形式であるのに対し,乙15発明3では,操作部がレバー形式である点(以下「相違点6」という。)で相違し,その余の点で一致する。 そこで,相違点6について検討するに,本件特許の原出願日前に頒布された刊行物である乙9号証の1及び乙9号証の2には,ボタン形式の操作部を有するスプレー装置が記載されており,操作部をレバー形式とするかボタン形式とするかは,周知手段の置換にすぎないものとみるべきであるから,当業者であれば,相違点6に係る本件発明3の構成は,容易に想到し得たといえる。 したがって,本件発明3は,当業者が乙15発明3,乙16技術,乙14技術,乙20技術及び上記周知手段に基づいて,容易に想到することができたというべきであり,本件発明3についての特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 (5) 本件発明4の容易想到性について本件発明4と乙15発明4とを対比すると,相違点1ないし5のほか,本件発明4が封印膜を貫通する噴射用管を有するのに対し,乙15発明4がそのような構成を有しない点(以下「相違点7」という。)で相違し,その余の点で一致する。 そこで,相違点7について検討するに,乙16号証には封印膜を貫通する 切り矢24が開示され,この切り矢の内部に流通 有しない点(以下「相違点7」という。)で相違し,その余の点で一致する。 そこで,相違点7について検討するに,乙16号証には封印膜を貫通する 切り矢24が開示され,この切り矢の内部に流通孔23が形成されているから,乙16技術における上記構成は,封印膜を貫通し,ガスを流通させる点で本件発明4における噴射管と機能が共通するといえるところ,管は,内部に流通孔を形成する部材として周知慣用手段とみるべきであるから,当業者であれば,乙15発明4に乙16技術を適用するに際して管を採用し,相違点7に係る本件発明4の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 したがって,本件発明4は,当業者が乙15発明4,乙16技術,乙14技術,乙20技術及び上記周知慣用手段に基づいて,容易に想到することができたというべきであり,本件発明4についての特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 (6) 本件発明5の容易想到性について本件発明5と乙15発明5とを対比すると,相違点1ないし5のほか,本件発明5が炭酸ガス供給用ボンベBからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出,停止もするのに対し,乙15発明5がそのような構成を有するか否かが不明な点(以下「相違点8」という。)で相違し,その余の点で一致する。 そこで,相違点8について検討するに,乙16号証には,つまみ(円形調整用摘子に相当)によりガスの噴出,停止をする点が記載されている(乙16技術におけるつまみ7は,噴出を停止することもできるものである。)から,当業者であれば,乙15発明5に乙16技術を適用し,相違点8に係る本件発明5の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 したがって,本件発明5は,当業者が乙15発明,乙16技術,乙14技術,乙20技術に基づいて,容易に想到するこ 技術を適用し,相違点8に係る本件発明5の構成とすることは,容易に想到し得たといえる。 したがって,本件発明5は,当業者が乙15発明,乙16技術,乙14技術,乙20技術に基づいて,容易に想到することができたというべきであり,本件発明5についての特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 (7) 本件発明6の容易想到性について 本件発明6と乙15発明6とを対比すると,相違点1ないし5のほか,本件発明6が「下広状のスカート状に形成した」のに対し,乙15発明6がそのような構成を有しない点(以下「相違点9」という。)で相違し,その余の点で一致する。 そこで,相違点9について検討するに,乙15号証の図2をみると,ボンベBは断面凸状の部材に直立保持され,この凸状部材の床に接する部分がボンベの下部を収納する部分に対して下広状に構成することが見て取れるところ,このように構成する理由は,直立させる際の安定性を高めるためであることが明らかである。そして,一般に,物を直立させる際に安定性を高めるために下広状のスカート状とすることは,周知慣用手段とみるべきである(このことは,被告の言及する乙13号証の4の記載からもうかがえるところである。)から,当業者であれば,乙15発明6に上記周知慣用手段を適用し,相違点9に係る本件発明6の構成とすることは,容易に想到したといえる。 したがって,本件発明6は,当業者が乙15発明6,乙16技術,乙14技術,乙20技術及び上記周知慣用手段に基づいて,容易に想到することができたというべきであり,本件発明6についての特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 第5 結論以上によれば,その余の争点について検討するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないというべきであるか 発明6についての特許は,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる。 第5 結論以上によれば,その余の争点について検討するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないというべきであるから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 西村康夫 裁判官石神有吾は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 嶋末和秀 別紙被告製品目録 1 製品名を「炭酸ミストケア Plosion」,品番を「CMC-L1413」とする美顔器 2 製品名を「炭酸ミストケア Plosion」,品番を「CMC-L1413-W」とする美顔器 3 製品名を「炭酸ミストフェイスセット」,品番を「PL-FS1804B-G」とする美顔器 4 製品名を「炭酸ミストフェイスセット」,品番を「PL-FS1804B-W」とする美顔器以上 別紙被告製品の構成 ※ 網掛け箇所は,被告において,被告製品が当該構成を有しない旨主張している箇所である。 ※ 下線を引いた箇所は,被告において,被告製品の構成要件充足性を争っている箇所である(ただし,波線で下線を引いた箇所は,被告が被告製品1及び2の構成要件充足性を争っている箇所である。)。 1)a 炭酸ガスを導くエアホースと,b エアブラシであって,bl エアホースの一端部に接続され,b2 エアブラシの先端に設 1及び2の構成要件充足性を争っている箇所である。)。 1)a 炭酸ガスを導くエアホースと,b エアブラシであって,bl エアホースの一端部に接続され,b2 エアブラシの先端に設けられるエアノズルと,b3 エアブラシに設けられ,所定量の化粧水を収納するボトルと,b4 エアブラシに設けられ,エアブラシを保持した手先で操作されるエアボタンとを備え,b5 エアホースからの炭酸ガスを,エアボタンの操作によって開閉し,b6 エアボタンの操作によって開いている状態で,エアホースから導かれた炭酸ガスを,噴出口から噴出させて,ボトル内の化粧水とともに,炭酸混合化粧水を,霧状に噴射するエアブラシと,c 炭酸ガスカートリッジであって,cl 全体の形状が上下に細長く形成され,c2 頭部と,c3 頭部に形成されるネジと,c4 頭部に設けられる封板とを有する炭酸ガスカートリッジと,d 一方向および反対方向に水平回転可能な開閉ハンドルと, e 炭酸ガスカートリッジを収納する本体であって,el レギュレータカバーであって,e1-1 下開口であり,e1-2 開閉ハンドルは,レギュレータカバーの上方で操作可能であり,e1-3 このレギュレータカバー内には,炭酸ガスカートリッジのネジが,炭酸ガスカートリッジを取替え可能に,捻じ込まれるネジ孔が形成され,e1-4 炭酸ガスカートリッジのネジをネジ孔に捻じ込んだ際,その炭酸ガスカートリッジの封板を貫通して炭酸ガスカートリッジからの噴出ガスを導くガス流通路が形成され,e1-5 開閉ハンドルの回転によって炭酸ガスカートリッジからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をして,エアホースの他端部に供給するレギュレータカバーと,e2 本体ケースであって れ,e1-5 開閉ハンドルの回転によって炭酸ガスカートリッジからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出調整をして,エアホースの他端部に供給するレギュレータカバーと,e2 本体ケースであって,e2-1 上開口であり,e2-2 レギュレータカバーの下端開口縁と着脱自在であり,e2-3 レギュレータカバーの前記ネジ孔に炭酸ガスカートリッジのネジを捻じ込んだ状態では,レギュレータカバーとともに,炭酸ガスカートリッジの頭部を隠蔽して炭酸ガスカートリッジを収納し,e2-4 底部が着座する本体ケースとを備える本体を含むf ことを特徴とする美顔器。 2)g エアボタンは,押しボタン形式であり,h エアブラシは,エアボタンの振作によって開いている状態とするi ことを特徴とする構成aないし構成fの各構成を備えた美顔器。 3)j レギュレータカバー内には,炭酸ガスカートリッジのネジをネジ孔に捻じ込んだ際,炭酸ガスカートリッジの頭部に対峠し,その炭酸ガスカートリッジの封板を貫通する噴出用管が設けられ,k 前記ガス流通路は,炭酸ガスカートリッジの封板を貫通した噴出用管11からの噴出ガスを導く 1 ことを特徴とする構成aないし構成iの各構成を備えた美顔器。 4)m 開閉ハンドルの回転によって,炭酸ガスカートリッジからの前記ガス流通路を介する炭酸ガスの噴出,停止もするn ことを特徴とする構成aないし構成1の各構成を備えた美顔器。 5)o 本体ケースの下部につき,ローションボトルスタンドを形成し,同下部を有底で,而も下広状のスカート状に形成したp ことを特徴とする構成aないし構成nの各構成を備えた美顔器。 同下部を有底で,而も下広状のスカート状に形成したp ことを特徴とする構成aないし構成nの各構成を備えた美顔器。

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