令和1(ワ)9185 消費者契約法による差止請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年7月21日 大阪地方裁判所
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判決文本文33,829 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は、消費者との間で、インターネットを経由して、被告運営に係るテーマパークであるユニバーサル・スタジオ・ジャパンのチケットの購入契約を締結するに際し、別紙契約条項目録記載の各条項を内容とする意思表示を行ってはならない。 2 被告は、前項記載の各条項が記載されたWEBチケットストア利用規約が印 刷された規約用紙及び同規約が掲載されたウェブページを破棄せよ。 3 被告は、その従業員らに対し、下記の内容を記載した書面を配布せよ。 記当社は、消費者との間でユニバーサル・スタジオ・ジャパンのチケット購入契約を締結するに際し、別紙契約条項目録記載の各条項を含む意思表示を 行いませんので、当社が当該各条項を使用したチケット購入契約を行うための事務は一切行わないようにするとともに、当該各条項が記載されたWEBチケットストア利用規約が印刷された規約用紙及び同規約が掲載されたウェブページは全て破棄してください。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、適格消費者団体である原告が、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(以下「USJ」という。)を運営する被告に対し、①被告が消費者との間でインターネットを経由してチケットの購入契約を締結する際に適用される利用規約(WEBチケットストア利用規約)中にある、一定の場合 を除き購入後のチケットのキャンセルができない旨の条項(別紙契約条項目録 記載1の条項。以下「本件条項1」という。)が、消費者の利益を一方的に害する条項に該当するなど消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの。以下、単に「法」という。 紙契約条項目録 記載1の条項。以下「本件条項1」という。)が、消費者の利益を一方的に害する条項に該当するなど消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの。以下、単に「法」という。)10条及び法9条1号の条項にあたると主張するとともに、②上記利用規約中にある、チケットの転売を禁止する旨の条項(別紙契約条項目録記載2の条項。以下「本件条項2」といい、本件条項1 と併せて「本件各条項」ともいう。)が、同じく法10条の条項にあたると主張し、法12条3項に基づく差止請求として、本件各条項を内容とする意思表示の停止(上記第1の1)、本件各条項が記載された上記利用規約が印刷された規約用紙等の破棄(上記第1の2)及び上記の意思表示の停止等のための被告の従業員らに対する書面の配布(上記第1の3)を求める事案である。 2 前提となる事実(各項の末尾に掲記の証拠等により容易に認定できる事実等)当事者ア原告は、消費者の権利の実現に寄与することを目的とする特定非営利活動法人であり、法13条に基づき内閣総理大臣から認定を受けた適格消費者団体である。(甲1の1・2、弁論の全趣旨) イ被告は、大阪市内においてテーマパークであるUSJを運営する合同会社であり、USJに入場するために必要なチケット等をそのWEBチケットストア等を通じて販売している。(甲2、3、8、乙17、32、弁論の全趣旨)WEBチケットストア利用規約の内容等 ア消費者である被告の顧客が、WEBチケットストアにより、インターネットを経由して、USJへの入場に際して必要となる「スタジオ・パス」、一部のアトラクション等への優先入場のための「エクスプレス・パス」、当該期間内に実施されているイベントに入場するなどのための「その他チケット て、USJへの入場に際して必要となる「スタジオ・パス」、一部のアトラクション等への優先入場のための「エクスプレス・パス」、当該期間内に実施されているイベントに入場するなどのための「その他チケット」等の各種チケット(以下、これらのチケットを併せて「本件チケ ット」という。)を購入する際、被告のWEBチケットストア利用規約(以 下「本件利用規約」という。なお、最新の改定は、令和4年8月1日に行われている。)が適用される。そして、このように不特定かつ多数の消費者に販売するにあたって適用される本件利用規約には、一定の場合を除き購入後のチケットのキャンセルができない旨の条項(本件条項1)及びチケットの転売を禁止する旨の条項(本件条項2)が存在する。(甲2、8、 11の1~20、乙17、32、40、弁論の全趣旨)イ消費者である顧客と事業者である被告との間のWEBチケットストアを通じたチケット購入契約は、消費者契約(法2条3項)にあたり、本件各条項を含む本件利用規約の内容は、上記の契約の一部となっている。被告は、本件各条項を含む本件利用規約の適用を前提に、上記のチケット購入 契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行っており、今後も同内容の意思表示を行う可能性がある。(甲2、乙32、弁論の全趣旨)原告による事前請求原告は、令和元年9月27日付けで、被告に対し、法41条1項に定める書面により、上記第1の請求の趣旨と同様の内容の差止めなどを求め、同書 面は、同月28日、被告に到達した。(甲7の1・2)本件訴えの提起原告は、令和元年10月16日、本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著) 3 関連法令の定め法9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について 訴えの提起原告は、令和元年10月16日、本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著) 3 関連法令の定め法9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。 一当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解 除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分二 (以下略)法10条消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しな い規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。 法12条3項適格消費者団体は、事業者又はその代理人が、消費者契約を締結するに際 し、不特定かつ多数の消費者との間で第八条から第十条までに規定する消費者契約の条項(第八条第一項第一号又は第二号に掲げる消費者契約の条項にあっては、同条第二項の場合に該当するものを除く。次項において同じ。)を含む消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者又はその代理人に対し、当該行為の停止若しくは 予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該消費者契約の条項が無効とされないときは、この限りでない。 除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。ただし、民法及び商法以外の他の法律の規定によれば当該消費者契約の条項が無効とされないときは、この限りでない。 4 争点及びこれに対する当事者の主張 本件の争点は、本件条項1について、同条項が、①法10条前段要件を充足するか否か、②法10条後段要件を充足するか否か、③法9条1号の規定する「解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に該当するか否か、④同号の規定する「平均的な損害の額を超える」損害賠償等を定めるものにあたるか否かであるほか、本件条項2について、同条項が、⑤法10条前 段要件を充足するか否か、⑥法10条後段要件を充足するか否かである。 本件条項1が法10条前段要件を充足するか否か(争点1)。 【原告の主張】ア任意解除権を制限するものであることチケット購入契約は、消費者がUSJに入場するのみならず、その入場後にアトラクション等を利用することを目的とするものであるから、消費 者が被告から事実行為という役務提供を受けるという性質のもので、準委任契約にあたるといえる。仮に、準委任契約にそのまま該当するものでないとしても、役務提供契約であることは明らかであり、その効力を検討する際にはかかる契約の受け皿となる規定である準委任契約に準じて検討すべきである。以上によれば、チケット購入契約においては、それが準委任 契約に該当するか、仮に、該当しないとしても同契約に準じて解釈されるべきであり、委任者の任意解除権(民法656条、651条1項)についての規定が当然に適用ないし準用(又は類推適用)される。そして、この規定は法10条前段の「法令中の公の秩序に関しない規定」(以下「任 べきであり、委任者の任意解除権(民法656条、651条1項)についての規定が当然に適用ないし準用(又は類推適用)される。そして、この規定は法10条前段の「法令中の公の秩序に関しない規定」(以下「任意規定」という。)に該当し、キャンセルを不可とする本件条項1は上記任 意解除権を制限するものであるから、法10条前段該当性が認められる。 イ一般的な慣習等による取扱いを制限するものであること非典型契約においては、類似する典型契約を参照して当該契約における基本的構成要素を想起し、一般的な慣習や沿革を含む一般的な取扱いと問題となる契約条項とを比較して、消費者に不利に変更されているのであれ ば、法10条前段要件を具備すると解するべきである。 【被告の主張】ア任意解除権の有無について民法に定めのない無名契約であるチケット購入契約の中核的な内容は、施設の自由な利用にあり、被告は顧客に対して特定の時間帯に特定のアト ラクションを運行するなどの役務提供義務を負わないから、チケット購入 契約が役務提供契約であるということはできない。また、USJの顧客の関心事はUSJを運営する法人が誰かではなくUSJで体感できる娯楽が何かであり、個々の顧客と被告との間に委任契約が想定するような強い信頼関係は存在しない。仮に、役務提供的な契約の性質を有するとしても、役務提供的側面を持つ契約は様々なものがあり、かかる側面を有するあら ゆる契約を準委任契約の類型に該当させる必要もなく、本件チケットの購入契約において民法651条に基づく任意解除権は認められないというべきである。さらに、その他のテーマパークにおいてもいずれもキャンセルは認められておらず、任意解除権が認められるような社会通念や期待も存しない。本件条項1においては、法 意解除権は認められないというべきである。さらに、その他のテーマパークにおいてもいずれもキャンセルは認められておらず、任意解除権が認められるような社会通念や期待も存しない。本件条項1においては、法令上の解除又は無効事由等がある場合 には、キャンセルが可能であるから、顧客(消費者)の権利関係は、任意規定の適用による場合と同様の状況にあるといえる。 イ一般的な慣習等による取扱いが不明確であること本件チケットの購入契約に関し、原告の主張する「一般的な慣習や沿革を含む一般的な取扱い」の具体的内容は何ら特定されておらず、この点に ついての原告の主張をもって、本件条項1が任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は義務を加重するものということはできない。 本件条項1が法10条後段要件を充足するか否か(争点2)。 【原告の主張】 ア法10条後段該当性の判断基準等本件条項1にチケット高額化の防止という目的があったとしても、かかる目的を達成するために、消費者の権利に対する制限が、当該条項よりも、より制限的でなく、消費者の被る不利益・損害がより少ない、他の手段・方法を容易に用いることが可能であるにもかかわらず、そうした手段等を 用いず、当該条項を規定して、消費者に不利益や損害を与える著しい権利 制限をしていると評価できる場合には、当該条項は、法10条後段要件に該当するといえるところ、次の各事情に照らせば、本件条項1は同条後段要件を充足するということができる。 イ消費者に生じる不利益が大きいこと消費者は、急な予定の変更等により、予定された入場日にUSJに来場 することができない場合においても、被告との契約を解除してチケット代金の返金を受けることができないという一 が大きいこと消費者は、急な予定の変更等により、予定された入場日にUSJに来場 することができない場合においても、被告との契約を解除してチケット代金の返金を受けることができないという一方的な不利益を受ける。これは、一旦契約してしまえば、その後に事情変更があっても、消費者は契約上受けられる中核的権利を享受することも、中核的に負担した義務を一部たりとも免れることもできないもので、消費者が受ける不利益は大きいという ことができる。 ウ適切なキャンセル料の設定等消費者の権利に対する制限が少ない方法が存在すること転売を念頭においたチケットの購入の抑制は、現状の日付変更等ではなく、解除時期に応じたキャンセル料を取得することで十分に可能である。 また、チケット価格の高額化の防止は、キャンセルを不可とするのではなく、高額転売のみの禁止によってもその目的を達成することができる。 エ消費者の認識、交渉力の格差があること消費者は、WEBチケットストアでの購入の際、誤入力や購入後の変更があったとしても、チケットのキャンセルや転売により、損失を回避でき るものと考えているのが通常である。 また、チケットの内容については、本件利用規約で一方的に定められている以上、消費者に交渉力は存在しない。とりわけ、被告は、世界有数のインフラを独占しており、サービスを受けたい消費者は、いわば被告の言いなりに契約条件を受け入れざるを得ず、消費者である顧客と被告との間 の交渉力の格差は顕著である。 オキャンセルを認める必要性や誤購入しやすい仕様であること消費者の急な予定の変更や体調の変化等によるキャンセルを認める必要性は高い。しかるに、当日券の購入では、時間や費用をかけてUSJを訪れても入場できるか 認める必要性や誤購入しやすい仕様であること消費者の急な予定の変更や体調の変化等によるキャンセルを認める必要性は高い。しかるに、当日券の購入では、時間や費用をかけてUSJを訪れても入場できるか否かは明らかではないし、日付の変更についても、間違えて多数の枚数のチケットを購入してしまった場合には、日付 の変更では対応できないなど、十分な措置とはいえない。 また、被告のWEBチケットストアは、様々な券種があるため内容が分かりにくく、誤購入しやすい仕様となっている。被告の説明は、複雑で理解が容易でなく、消費者から十分な理解と合意を得たものとはいい難い。 さらに、本件で問題となっている本件各条項の内容は、被告と同様のテーマパークにおける規約の内容よりも厳しいものとなっている。仮に、利用規約の文言自体はその他のテーマパークと同程度のものであったとしても、上記のように被告のWEBチケットストアは誤購入しやすい仕様になっていることからすれば、実質的には、被告の利用規約の方がそ の他のテーマパークよりも制限的なものとなっている。東京オリンピック・パラリンピックのチケット規約においては、購入後のキャンセルや転売について一定の要件の下でこれらを認めている。 【被告の主張】ア法10条後段該当性の判断基準等 法10条後段のいう「民法1条2項に規定する基本原則に反する」か否かは、消費者契約法の趣旨、目的(同法1条参照)に照らし、当該条項の性質、契約が成立に至った経緯、消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきところ、当該条項による消費者の不利益の程度、契約締結時に当該条項 の内容を十分に説明していたか等の事情も考慮 する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきところ、当該条項による消費者の不利益の程度、契約締結時に当該条項 の内容を十分に説明していたか等の事情も考慮して、上記趣旨目的に照ら して判断されるべきである。また、同条後段の「消費者の利益を一方的に害する」か否かについては、消費者と事業者との間にある情報・交渉力の格差を背景として、当該条項により、任意規定によって消費者が本来有しているはずの利益を、信義則に反する程度に両当事者の衡平を損なう形で侵害することを指すものである。 次の各事情によれば、本件条項1は、同条後段要件を充足しない。 イ本件条項1の趣旨及び目的がチケット価格の高額化の防止にあること本件条項1は、転売目的で大量にチケットを購入し、転売できなかった場合に入場日直前にキャンセルを行うという事態が生じ得るため、このような転売を念頭においたチケットの購入を抑制し、転売の機会を減らすた めに設けられたものであり、チケット価格の高額化防止の目的を有しており、かかる趣旨及び目的は合理的なものである。そして、チケット価格の高額化の防止によって、顧客もまた利益を得ている。 ウ顧客において不利益を回避することができること顧客は、急に生じる予定変更等に備えて、来場する当日に、当日券を購 入することが可能であるほか、本件チケットのうちスタジオ・パスについては、無料で入場日を変更することが可能となっている。また、顧客に法令上の解除又は無効事由等が認められる場合には、キャンセルが可能であり、実際に被告はキャンセルに応じている。 本件チケットのうちエクスプレス・パス等は、入場日の変更は不可能で あるが、かかるチケットは販売量が少なく、希少性が認め 合には、キャンセルが可能であり、実際に被告はキャンセルに応じている。 本件チケットのうちエクスプレス・パス等は、入場日の変更は不可能で あるが、かかるチケットは販売量が少なく、希少性が認められ、特に高額化のリスクが高いものであり、かかる措置も合理的である。 エ顧客は、本件条項1が契約内容となることを十分に理解していること被告のWEBチケットストアでは、顧客がチケットの購入に至るまで繰り返し、本件条項1の内容を十分に説明しており、顧客と事業者との間に ある情報・交渉力の格差を背景として、両当事者の衡平を損なうような形 で顧客の利益を侵害しているような事情は存しない。 オ類似のテーマパークにおいても同様にキャンセルが制限されていること被告の運営するUSJと、規模、施設内容、顧客層等が比較的近いテーマパークである東京ディズニーランド、東京ディズニーシー及びレゴランドにおいても、チケットの購入後のキャンセルは制限されている。 なお、東京オリンピック・パラリンピックはテーマパークではなく、USJの本件チケットとの比較対象としては不適切である。 本件条項1が法9条1号の「解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に該当するか否か(争点3)。 【原告の主張】 ア本件条項1により購入後の解除が認められないということは、解除をしても、チケット代金の全額を返還しないという点において、チケット代金全額を損害金又は違約金として徴収することと全く同じ機能や効果を有する。 イ法9条1号のいう「解除」は、事業者からの債務不履行解除にとどまら ず、消費者による法定解除権の行使として契約が解除されたとみなされる事由の発生等消費者契約が解消された場合を広く含む イ法9条1号のいう「解除」は、事業者からの債務不履行解除にとどまら ず、消費者による法定解除権の行使として契約が解除されたとみなされる事由の発生等消費者契約が解消された場合を広く含むと解すべきところ、本件においては、消費者がチケットの誤購入に気付き、あるいは、購入後のやむを得ない事情変更によりUSJを利用できなくなったことにより、準委任契約に基づく法定解除権の行使としてキャンセルの申入れをした時 点か、遅くとも上記各事由によりキャンセルの申入れをしたにもかかわらず、これが認められなかった消費者が入場日にUSJを訪れなかった時点において、契約解除の意思表示をしたとみなされる事由が発生したものであり、これは上記の「解除」に該当する。 ウ同号の「損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」とは、実質 的に損害賠償の予定等と解釈される条項であれば、名目の如何を問わず、 これに該当するところ、本件条項1と本件条項2があることにより、消費者は、チケット代金全額の回収はできず、かつ入場日にUSJを利用できなくなったにもかかわらず、チケット代金を徴収されることになるが、これは、最終的に、上記のように契約解除の意思表示をしたとみなされる消費者に対して、チケット代金全額を賠償させるものであるから、上記の「損 害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に該当する。 【被告の主張】法9条1号は、契約条項に基づく事業者による消費者の義務の加重として「解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」が定められ、消費者に不当な金銭的負担を強いる場合があることに着目し、消費者が不当 な出捐を強いられることがないように定められた規定であるが、本件条項1は、チケットを購入した顧客に法令上の解除 定められ、消費者に不当な金銭的負担を強いる場合があることに着目し、消費者が不当 な出捐を強いられることがないように定められた規定であるが、本件条項1は、チケットを購入した顧客に法令上の解除又は無効事由等が認められない場合を除き、購入後のキャンセルができないことを規定する条項であり、消費者契約の解除等に伴う高額な損害賠償等を請求することを予定するものではなく、同号に該当するものではない。 本件条項1が「平均的な損害の額を超える」損害賠償等を定めるものか否か(争点4)。 【原告の主張】消費者によるチケットのキャンセルはやむを得ないものであるところ、チケットがキャンセルされた場合に、被告において当該チケットを再販売する ことが困難であれば、売上及び利益が減少するという被告の「損害」を観念することはでき得るが、入場日まで相当の期間がある場合には、被告による再販売は十分可能なもので、上記「損害」は発生していない。仮に、本件条項1が設けられているために消費者がキャンセルの申出を諦め、入場日にUSJを利用しない方法で契約解除の意思表示をした場合には、チケットの再 販売が困難となり得ることもあるが、それはキャンセルを認める条項又は転 売を認める条項のいずれかを設けなかった被告が甘受すべきものである。 また、入場日に近接した時期におけるキャンセルについては、時期的区分に応じた違約金や手数料を設けるなどの対応が可能であるが、本件条項1により一切のキャンセルが認められない結果、消費者に過大な負担を強いるものとなり、これは平均的損害を超えるものに他ならない。 【被告の主張】いずれも否認ないし争う。本件条項1は、上記の【被告の主張】のとおり、法9条1号に該当するものではない。 なり、これは平均的損害を超えるものに他ならない。 【被告の主張】いずれも否認ないし争う。本件条項1は、上記の【被告の主張】のとおり、法9条1号に該当するものではない。 本件条項2が法10条前段要件を充足するか否か(争点5)。 【原告の主張】 ア原則自由とされている債権譲渡を制限するものであることチケットの転売は、被告から役務の提供を受ける権利を譲渡するものであり、債権譲渡として捉えるべきであるところ、本件条項2は、原則として自由とされている債権譲渡(民法466条1項)を制限するもので、任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものであるから、 法10条前段要件を充足する。 仮に、チケットの転売を被告が主張するように契約上の地位の移転と捉えても、当該契約の相手方は誰でも構わない状態債務のようなものであり、相手方である被告の承諾は不要と解すべきである。 イチケットの所有権を制限するものであること 本件条項2は、民法206条により自由な使用及び処分等が認められるチケットの所有権を制限するものであり、任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものとして、法10条前段要件を充足する。 ウ慣習上認められる転売権を制限するものであることチケット販売における商慣習上、事情変更等による解約は制限される一 方、チケットを第三者に譲渡する方法での権利の譲渡は幅広く容認されて きたものである。本件条項2は、転売権という慣習法ないし事実たる慣習により認められてきた消費者の権利を制限するものであり、法10条前段要件を充足する。 【被告の主張】アチケットの転売は契約上の地位の移転にあたり、相手方の承 習法ないし事実たる慣習により認められてきた消費者の権利を制限するものであり、法10条前段要件を充足する。 【被告の主張】アチケットの転売は契約上の地位の移転にあたり、相手方の承諾が必要で あることチケットの転売は、単純な債権の譲渡ではなく、特定の日の入場、入場後の物品の購入、施設内での種々の行動制約等の複合的な権利義務についての契約上の地位の移転に他ならず、これには相手方の承諾が原則として必要であるが、契約上の地位の移転に際して相手方の承諾を要しないとす る任意規定は存在しない。 なお、契約上の地位の移転に相手方の承諾が不要とする原告の主張は独自の見解にすぎないものである。 イチケットの転売を制限することは所有権を制限するものではないこと本件条項2は、有体物としてのチケットの所有権自体を制限するもので はなく、仮に、これをデータとしてみても、そもそも所有権の対象ではなく、いずれにせよ所有権を制限するものではない。 ウチケットの転売を請求する権利が慣習上認められるものではないこと顧客からテーマパークに対して、チケットの転売を許容するよう求める法的請求権が、慣習により認められているとは考え難く、これが法的確信 又は法的認識によって支持される程度に達する状況にない。 本件条項2が法10条後段要件を充足するか否か(争点6)。 【原告の主張】ア法10条後段該当性の判断基準等上記⑵の【原告の主張】の判断基準により判断すべきところ、次の各事 情に照らせば、本件条項2は同条後段要件を充足するということができる。 イ転売サイトの開設等で目的を達成できることチケット価格の高額化を防止するという目的は、被告において専用のチケット転売サイトを 2は同条後段要件を充足するということができる。 イ転売サイトの開設等で目的を達成できることチケット価格の高額化を防止するという目的は、被告において専用のチケット転売サイトを開設して当該サイトで定価でのみ転売する方法や、定価を上回る転売の禁止により達成することができ、転売を全面的に禁止する必要性は乏しい。 ウ消費者に与える不利益は直接的かつ一方的であり、転売を認める必要が高いこと消費者は、急な予定変更が生じても、本件条項2と本件条項1とが相まって、チケットの転売やキャンセルをすることができず、その代金の回収をすることができないという直接的かつ一方的な不利益を受けるもので、 チケットの転売を認める必要性が高い。本件条項2にチケット価格の高額化を防止するという目的があったとしても、本件条項1によってキャンセルが不可とされているのであるから、転売は消費者の不都合を回避するための必要不可欠な代替手段であり、少なくとも購入価格での転売は許容されるべきである。 また、被告はチケットの入場日の変更が可能である旨の主張をするが、誤って多数のチケットを購入してしまった場合には日付変更で対応できるものではない。 エ転売を認めても被告には不利益は生じないこと被告には転売による経済的損失や不利益は発生せず、かえって、被告は、 包括的な転売禁止によってチケットの市場価値の低下を防止することができるという利益を得ることになる。 オ消費者の認識、交渉力に格差があること消費者は、WEBチケットストアでの購入の際、誤入力や購入後の変更があったとしても、チケットのキャンセルや転売により、損失を回避でき るものと考えているのが通常である。被告のWEBチケットストアの内容 トストアでの購入の際、誤入力や購入後の変更があったとしても、チケットのキャンセルや転売により、損失を回避でき るものと考えているのが通常である。被告のWEBチケットストアの内容 がわかりにくく、誤購入しやすい表示となっているのであるから、被告はかかる誤購入には寛大であるべきである。本件条項2は、一方的に定められている以上、消費者に交渉力は存在しない。 【被告の主張】ア法10条後段該当性の判断基準等 上記⑵の【被告の主張】の判断基準により判断すべきところ、次の各事情に照らせば、本件条項2は同条後段要件を充足しない。 イ本件条項2の趣旨及び目的がチケット価格の高額化の防止にあること本件条項2は、実際には来場しないのに大量にチケットを購入し、来場を希望する者に当該購入価格よりも高い価格で転売する事態を防ぎ、チケット 価格の高額化の防止を実現する目的を有している。実際に、当該条項を導入した後においても、インターネット上においてチケットが高額で取引される例があり、かかる事態によって、国内のその余のテーマパークと熾烈な顧客獲得競争を行っている被告はリピーターを獲得することが困難となる。上記目的を有する本件条項2は合理性を有するものである。 なお、原告は、被告において転売サイトを開設すればよいなどと主張するが、被告が上記サイトを運営する意思はなく、その運営に要するコストを代金に転嫁することになると転売を考えない顧客の負担の増加に繋がり、被告の志向する運営方針とも合致しないこととなる。定価を上回る転売の禁止については、転売価格の正確な把握が困難であるし、いずれの方法をとっても、 被告が転売を許容すれば、当該転売によるトラブルに被告が巻き込まれる可能性があるが、被告はそのようなト 回る転売の禁止については、転売価格の正確な把握が困難であるし、いずれの方法をとっても、 被告が転売を許容すれば、当該転売によるトラブルに被告が巻き込まれる可能性があるが、被告はそのようなトラブルに積極的に関与する意向は有していない。 ウ顧客に対する制限の程度が相当に限定されていること本件チケットのうちスタジオ・パスについては、手数料等の負担なく、入 場日を変更することが可能であり、入場日に来場が困難となった場合であっ ても、別の日に来場することが可能である。 本件チケットのうちエクスプレス・パス等は、入場日の変更は不可能であるが、かかるチケットは販売量が少なく、希少性が認められ、特に高額化のリスクが高いものであり、かかる措置も合理的である。 エ顧客は、本件条項2が契約内容となることを十分に理解していること 被告のウェブサイトでは、購入に至るまで繰り返し、本件条項2の内容を十分に説明しており、消費者と事業者との間にある情報・交渉力の格差は存在せず、両当事者の衡平を損なうような形で顧客の利益を侵害しているような事情は存しない。また、本件利用規約が適用されるのはUSJに来場することを自ら希望した顧客であり、チケット購入に関する知識や関心が高く、 本件条項2により受け得る不利益等も勘案した上でチケットを購入することが十分に期待できる。 オ転売により顧客や被告に不利益が生じること仮に、チケットの転売が許容されると、チケット価格の高額化が生じ、顧客には直接の被害が生じる。また、チケット価格の高額化によって、その他の テーマパークと熾烈な競争下にある被告のリピーターの獲得が困難となるもので、被告においても損害が発生する。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実等上 ケット価格の高額化によって、その他の テーマパークと熾烈な競争下にある被告のリピーターの獲得が困難となるもので、被告においても損害が発生する。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実等上記第2の2の前提となる事実(以下「前提事実」という。)に加え、証拠 (甲2、4~6、8、11の1~20、甲14~15の4、甲18の1・2、甲27、30、31、33、乙1、4の1~5、乙6、8、9、12~14、17~20、24、25、27、29、31~33、34の1・2、乙35の1~3、乙36の1・2、乙38~40)及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の各事実を認めることができる(認定に用いた主たる証拠等を各項の末尾に掲記す る。)。 被告におけるUSJの運営等被告の運営するUSJは、映画やゲーム等のテーマやキャラクターに沿ったアトラクションその他の遊戯施設や建造物等を設置、稼働させ、園内におけるパレードやショーの上演、上記テーマ等に沿った物品飲食の販売提供、接遇等を通じてパーク全体においてそのテーマ等に基づく非日常的な空間を 創り、これらを来場者に感取させるとともに利用、体験及び鑑賞等させる大型娯楽施設型のテーマパークであり、わが国に設置されているテーマパークの中でも有数の入場者数を誇る施設の一つである。 USJにおいては、常設のアトラクション以外にも、期間限定の特定のキャラクター等に由来するアトラクション等も設置、開催されている。 被告の顧客であるUSJの来場者は、後記の本件チケットを購入し、入場に係るチケットを提示すればUSJに入場することができ、上記の各種アトラクション等の利用を含めた非日常的な空間での体験等をすることができる。(甲8、14~15の4、甲30、31、33、乙17~19、29、4 ケットを提示すればUSJに入場することができ、上記の各種アトラクション等の利用を含めた非日常的な空間での体験等をすることができる。(甲8、14~15の4、甲30、31、33、乙17~19、29、40、弁論の全趣旨) 本件チケットの販売経路等ア USJにおけるチケットには、その入場に必要なスタジオ・パス、一部のアトラクション等へ優先的に入場することができるエクスプレス・パス、期間限定のイベントへの入場が可能となるなどのその他チケット等の各種チケット(本件チケット)がある。 本件チケットのうち、上記のエクスプレス・パス及びその他チケットは、スタジオ・パスと比して、販売枚数が少なく、販売数量の上限に達して売切れとなる場合が多い。(甲11の1~20、甲14~15の4、甲18の2、乙17~19、40、弁論の全趣旨)イ被告による本件チケットの販売経路については、WEBチケットストア のほか、USJのチケットブース、コンビニエンスストア、パートナーホ テル等においても販売されている。(甲4、8、14~15の4、乙9)ウ被告は、チケットが高額で転売されているとの顧客の苦情等があったことから、そのような状況に対処するため、相応の費用をかけて、インターネット上におけるチケットの転売についての監視調査を行っており、転売されたとみられるエクスプレス・パスを無効にする措置を執るなどしてい るが、現時点においても、インターネット上のオークションサイト等では、本件チケット(デジタルデータのものを含む。)が正規の販売価格よりも高額で出品され取引されている例がある。(甲18の1・2、乙4の1~5、乙8、弁論の全趣旨)エ USJのチケットを購入し、入場しようとする顧客には、入場に係るチ ケッ 規の販売価格よりも高額で出品され取引されている例がある。(甲18の1・2、乙4の1~5、乙8、弁論の全趣旨)エ USJのチケットを購入し、入場しようとする顧客には、入場に係るチ ケットを提示することが求められ、入場後も同園内におけるルールとして、第三者の著作権、財産権、プライバシー等の権利侵害行為等が禁止行為として本件利用規約において定められているほか、手荷物検査、分煙、撮影、危険物等の物品の持込み禁止等の同園内における各種制約等も遵守することが求められている。(乙6、32、弁論の全趣旨) 本件利用規約の内容及び一部改訂等ア本件利用規約は、日本国内において、インターネットを経由して本件チケットをWEBチケットストアにおいて購入する際に適用されるものであり、本件条項1は、顧客に「法令上の解除または無効事由等」が認められる場合以外は、購入後のチケットのキャンセルができないことを定めるも のであり、本件条項2は、営利目的の有無にかかわらず、チケットの転売及び転売のために第三者に提供する行為はすべて禁止することを定めるものである。以上のうち、転売行為については、かかる行為をした者が購入したチケットではUSJに入場できなくなる措置や今後チケットの購入を禁止する措置を被告が執ることを認める条項(本件利用規約3条3項、4 項)が存在する。(前記前提事実ア、乙32) イスタジオ・パスについては、エクスプレス・パスとともに1回の決済で購入した場合等を除き当初指定した入場予定日を変更することが可能であり、その変更は、当初入場予定日の翌日から90日後までの日に変更することが可能となっており、その際には変更手数料等の顧客にかかる経済的な負担は存しない。 アトラクション等への優先入場 り、その変更は、当初入場予定日の翌日から90日後までの日に変更することが可能となっており、その際には変更手数料等の顧客にかかる経済的な負担は存しない。 アトラクション等への優先入場が可能なエクスプレス・パス及び期間限定のイベントへの入場が可能となるなどのその他チケットについては、日付の変更をすることはできない。 なお、本件利用規約は、令和4年8月1日に改定されているところ、本件提訴時点においては、日付変更可能なチケットは、クレジットカード決 済によるものだけであったが、現在では、それ以外のコンビニ払いによるチケットも日付変更が可能となっており、同じく日付変更に際して必要であった日付変更手数料200円(税込み)も、上記のとおり、現在では不要とされ、日付変更可能期間も、本件提訴時点においては入場予定日の「30日後まで」であったものが、上記のとおり、現時点は「90日後まで」 可能とされている。(前記前提事実ア、甲2、乙1、32)ウ本件利用規約におけるチケットのキャンセルについての条項は、平成29年4月26日時点においては、「チケットの種別、理由の如何にかかわらず、購入後のキャンセルは一切できません。」とするものであったところ、原告は、同日付けで、被告に対し、上記条項を定めた理由等について の質問事項を記載した書面(甲18の1)を送付した。 これを受けて、被告は、同年6月2日付けの回答書(甲18の2)において、上記質問事項について、「当社(判決注:被告を指す。)の責めに帰すべき事由がある場合、又は、法令上、消費者に解除権等が認められる場合には、キャンセルに応じることとしている」旨応答し、上記条項を「チ ケットの種別、理由の如何にかかわらず、購入後のキャンセルは一切でき 又は、法令上、消費者に解除権等が認められる場合には、キャンセルに応じることとしている」旨応答し、上記条項を「チ ケットの種別、理由の如何にかかわらず、購入後のキャンセルは一切でき ません。但し、法令上の解除・無効事由等がお客様に認められる場合はこの限りではありません。」として上記の場合にはキャンセルを認めることを明確にする条項に改定する予定である旨回答して、現在の本件条項1と同内容のものとなった。(甲18の1・2、弁論の全趣旨)被告のWEBチケットストアにおけるチケット販売画面 アまず、被告のウェブサイトのトップページから「チケットを探す・購入する」をクリックすると現れる画面において、その中央付近に「ご注意ください!チケットの転売は固く禁止されています。転売チケットはパークで利用できません。」との表示がされる。(乙33、弁論の全趣旨)イそして、顧客が、チケットの一覧の中から各チケットの詳細を確認する などして購入するチケットを選択し、「カートに商品を追加する」の画面において表示された購入するチケットを確認して、実際にチケット購入の申込みをする際には、選択した入場日の確認ないしその選択が求められ、その注意事項として、法令上の解除または無効事由等がお客様に認められる場合以外にはキャンセルができない旨表示されるとともに、チケットの 転売行為を固く禁止する旨の表示がされて、この表示の横にあるチェックボックスにチェックを入れないと、次の購入者情報画面に進むことができないようにされている。(乙27、34の1・2、乙38、39、弁論の全趣旨)ウ購入者情報画面においても、本件各条項を含む本件利用規約が全文表示 され、その内容を全てスクロールさせる必要があり、そのスクロールが全て終わり の1・2、乙38、39、弁論の全趣旨)ウ購入者情報画面においても、本件各条項を含む本件利用規約が全文表示 され、その内容を全てスクロールさせる必要があり、そのスクロールが全て終わり、本件利用規約に同意の上、確認画面に進むことを了承するチェックボックスにチェックを入れることで、はじめてチケットの注文内容の確認画面に進むことができるようにされている。(乙35の1~3、弁論の全趣旨) エ注文内容確認画面においては、チケットの種類、枚数、大人・子どもの 選択、入場日等の確認がされるとともに、上記イと同様に、チケットのキャンセルができないこと(なお、スタジオ・パスにおいては一定期間、日付変更が可能であるとして、その内容についてのリンクが張られている。)、チケットの第三者への転売が禁止されることなどの確認についての各チェックが必要となり、これらをいずれもチェックしないと、購入の決定がで きない仕様となっている。(乙20、36の1・2、弁論の全趣旨)オこのように、被告のWEBチケットストアを訪れた顧客において、最終的にチケットを購入するに至るまでに、本件各条項の内容が何度も表示されていることに加えて、それらの内容に着目するように目立つ位置で配置され、しかも、これらの内容を確認したことを示すチェックを入れること が求められ、これらの作業を経なければ、チケットの購入に至らない仕様とされている。 顧客からのキャンセルへの対応ア被告は、WEBチケットストアにおいてチケットを購入した顧客が、当該チケットのキャンセルを申し出た場合には、かかる事情が本件条項1に いう「法令上の解除または無効事由等」に該当するか否かを判断しており、このような顧客の申出に一定数応じている。(甲18の1・ 該チケットのキャンセルを申し出た場合には、かかる事情が本件条項1に いう「法令上の解除または無効事由等」に該当するか否かを判断しており、このような顧客の申出に一定数応じている。(甲18の1・2、乙31、弁論の全趣旨)イなお、原告は、上記アの認定の根拠となった被告の提出する特定の月におけるキャンセル件数を記載した書面(乙31)の信用性を争うけれども、 上記書面は、個々のキャンセル完了日のキャンセル件数が具体的に記載されたもので、客観的な資料を基にして作成されていることがうかがえることに加えて、その提出経緯をみても、原告が、被告が顧客からのキャンセルの申出にほとんど応じていないと主張し、それを立証するために後記の各文書提出命令の申立てなどをしている状況の中で、被告が当裁判所から 上記キャンセルに関する事情を具体的に主張立証するよう求められ、協議・ 検討の上、提出されたものであって(当裁判所に顕著)、上記書面について敢えて虚偽の内容を記載したものとは想定しにくく、また、当該記載の時期等に照らして新型コロナウイルス感染症が拡大したことに伴う外出・イベント等の自粛等の影響によるものとも認められず、上記書面の信用性を揺るがせるような事情は見出せない。 被告についての相談事例USJについては、全国の消費生活センターに対し、その顧客からチケット等についての「解約」又は「契約変更」等について相談が、平成26年4月23日から平成31年4月23日までの間に合計87件、令和2年2月14日から令和3年7月20日までの間に合計40件寄せられているが、その 中には、予定の変更や誤解等により誤ってチケットを購入したが、そのキャンセルができないという相談内容についてのものが存在するほか、それ以外にも年 日までの間に合計40件寄せられているが、その 中には、予定の変更や誤解等により誤ってチケットを購入したが、そのキャンセルができないという相談内容についてのものが存在するほか、それ以外にも年間パスポートへの切替えに関するもの、クレジットカードの不正利用等に関するもの、新型コロナウイルス感染症が蔓延したことによるキャンセルの希望等についてのものなども含まれている。(甲5、27) その他のテーマパーク等におけるチケットのキャンセル及び転売等の規律ア東京ディズニーリゾートテーマパークである東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーを運営する株式会社オリエンタルランドの利用規約及びホームページの記載においては、パークチケットについてその転売が禁止されているほか、同社 が認める場合を除きチケットのキャンセルはできないとされている。(乙12、24)イレゴランドレゴランドを運営するLEGOLANDJapan株式会社の利用規約及びホームページにおいて、チケットの転売が禁止されているほか、理 由の如何を問わず、チケットの取替え、変更、キャンセルはできないとさ れている。(乙13、14)ウハウステンボスハウステンボスを運営するハウステンボス株式会社のホームページにおいて、転売されたWEBチケットは使用できないとされているほか、チケットのキャンセルについて「チケット購入後のキャンセル、日程変更、返 金ならびに払い戻しはできません。」とされている。(乙25)エ東京オリンピック・パラリンピック東京オリンピック・パラリンピックのチケットについては、原則としてチケットの転売は禁止されているものの、東京2020公式チケットリセールサービスを利用して購入価格で ンピック・パラリンピック東京オリンピック・パラリンピックのチケットについては、原則としてチケットの転売は禁止されているものの、東京2020公式チケットリセールサービスを利用して購入価格での再販売をすることが可能であった。 また、チケットの払戻しは、チケットの券面額を上限として行われ、チケットの交換、変更、キャンセルやチケットの返品は認められないとされている。(甲6) 2 争点1(本件条項1の法10条前段該当性)についてチケット購入契約の法的性質 ア本件における各争点を検討するにあたって、まず、被告と顧客との間のWEBチケットストアにおけるチケット購入契約の法的性質について検討するに、上記1で認定したUSJにおいて提供されるサービスの内容等のほか、証拠(甲8、11の1~20、甲14、15の4、乙17~19、40)を総合すれば、上記のチケット購入契約は、顧客が、被告のWEB チケットストアにおいて、特定の日等を指定した上で、当該入場日等において有効となるチケットの代金を支払ってこれを購入し、これに対して、被告が、チケット購入者が購入したチケットの内容に応じて、当該入場日等に、テーマ等に沿ったアトラクションや建造物等の設置等により創った非日常的な空間としてのUSJに入場させ、パレードやショーの上演や、 アトラクション等を稼働して利用させ、テーマ等に沿った接遇をするなど するものであり、このような被告から提供を受けるサービスの内容等に鑑みると、チケット購入契約は、民法に規定のない無名契約であるということができる。 イそして、上記のチケット購入契約の内容等に照らすと、チケット購入契約においては、被告が、当該入場日等に入場等についての対応が可能なチ ケット数を設定し、当該チ あるということができる。 イそして、上記のチケット購入契約の内容等に照らすと、チケット購入契約においては、被告が、当該入場日等に入場等についての対応が可能なチ ケット数を設定し、当該チケットを顧客に販売して、これに対して顧客が対価として定められた代金を支払うという点においては、売買契約に類似する側面を有するものといえる一方、チケット代金の対価の対象としては、上記のとおり、被告の運営する非日常的な空間として創られたUSJに入場させ、アトラクション等を稼働して利用させるなどするものであること から、多分に役務提供契約としての側面を有するものということができる。 ウなお、被告の主張の中には、被告の債務の内容として、来場者を入場させた後にアトラクションの利用等を妨害しないという不作為義務しか負わず、役務提供義務を負うことはないとする部分があるが、上記に照らして採用できない。 法10条前段該当性についてア任意解除権の有無について上記のチケット購入契約の法的性質を前提に、法10条前段該当性について検討するに、法10条は、その前段において、消費者契約の条項が、任意規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の 義務を加重するものであることを要件とするところ、原告は、チケット購入契約は、準委任契約であり、仮に準委任契約に該当しないとしても役務提供契約の受け皿規定である準委任契約に準じて検討されるべきであり、いずれにしても法10条にいう任意規定としての委任者の任意解除権(民法656条、651条1項)についての規定が適用ないし準用(又は類推 適用)されるとして、上記任意解除権を制限する本件条項1は、任意規定 の適用による場合に比して、消費者の権利を制限する条項にあ 651条1項)についての規定が適用ないし準用(又は類推 適用)されるとして、上記任意解除権を制限する本件条項1は、任意規定 の適用による場合に比して、消費者の権利を制限する条項にあたる旨の主張をする。 しかしながら、上記でみたように、チケット購入契約は、民法上の典型契約に該当しない無名契約であると見受けられることに加えて、チケット購入契約の内容は、法律行為ではない事務の委託を目的とする準委任契 約とは、相当に異質な内容を含んでいるものといわざるを得ない。すなわち、チケット購入契約において、被告が提供する役務は、上記のとおり、非日常的空間を創出し、アトラクション等を稼働して利用させるなどするものであるが、当該顧客のみならず不特定多数の顧客にも同時に被告が予め定めた役務を提供するもので、個々のチケット購入契約の購入者と当該 役務の内容との関連性は希薄である上、上記購入者から被告に対する何らかの特定の事実行為の委託等の要素は見出すことができず、このような点に照らすと、チケット購入契約において被告が一定の役務を提供するという側面があったとしても、この点をもって準委任契約ないしこれに準ずるものと捉えるのは困難である。 加えて、準委任契約ないし委任契約において任意解除権(民法656条、651条1項)が認められている趣旨は、これらの契約が当事者間の人的信頼関係に基づく点に求められ、かかる人的信頼関係が一旦破壊された場合には、かかる契約関係を維持させることが相当でないことにあり、一般的に認められる契約の拘束力の例外としての機能を有するものであると ころ、上記でみたチケット購入契約においては、USJの顧客の関心事はUSJを運営する法人が誰かではなくUSJで体験等できることが何かであるなど の拘束力の例外としての機能を有するものであると ころ、上記でみたチケット購入契約においては、USJの顧客の関心事はUSJを運営する法人が誰かではなくUSJで体験等できることが何かであるなど、USJへの入場等を希望する不特定多数の顧客と被告との間には人的信頼関係に基づく契約関係の締結及びその履行という側面を認めることはできないもので、これに基づき当事者間に任意解除権を認めた 同条の趣旨があてはまるような契約類型と捉えることもまたできない。 なお、上記イのとおり、チケット購入契約には売買契約に類似する側面もあるが、売買契約においては、いわゆる手付解除(民法557条)を除き、任意解除権を認めるような条項は存在しない。 上記で検討したところによれば、チケット購入契約を準委任契約ないしそれに準ずるものとみることは困難であるほか、任意解除権(民法656 条、651条1項)を認める基礎となる当事者間の信頼関係があるとも見受けられず、チケット購入契約に任意解除権についての規定が適用ないし準用(又は類推適用)されるということはできないから、原告の上記主張を採用することはできない。 イ一般的な慣習等の有無について また、原告は、キャンセルを制限する本件条項1は任意規定に該当する「一般的な慣習や沿革を含む一般的な取扱い」よりも消費者の権利を制約するものである旨の主張をする。 しかし、法10条にいう任意規定に一般的な法理等も含まれると理解したとしても、原告の主張は、かかる一般的な慣習等の内容を具体的に主張 するものではなく、かえって、USJと同じく大型娯楽施設である上記1アからウまでのテーマパークにおいても顧客からの任意のキャンセルを認める条項は定められておらず、テーマパークとその入場者との するものではなく、かえって、USJと同じく大型娯楽施設である上記1アからウまでのテーマパークにおいても顧客からの任意のキャンセルを認める条項は定められておらず、テーマパークとその入場者との間のチケット購入契約において購入者からのキャンセルを認める契約慣行等が存在しているとは認められず、上記の一般的な慣習や沿革を含む一般的な取扱 いが存在していると認めることはできないから、原告の主張は採用できない。 ウ以上で検討したところによれば、本件チケットの購入契約において、任意解除権ないしこれに関する一般的な慣習等が存在し、これらが法10条のいう任意規定にあたると認めることはできず、本件条項1について、法 10条前段該当性を認めることはできない。 3 争点2(本件条項1の法10条後段該当性)について上記2でみたように、本件条項1について、法10条前段該当性を認めることはできないが、この点を措くとしても、次のとおり、法10条後段該当性を認めることもできない。 法10条後段は、消費者契約の条項が民法1条2項に規定する基本原則、 すなわち信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであることを要件としている。 そして、これを本件についてみると、本件条項1においては、一旦、WEBチケットストアにおいてチケットを購入した場合、顧客において法令上の解除事由又は無効事由等がある場合を除いて、キャンセルをすることができ ないものであり、かかる条項は、顧客に一律に適用されるもので、個々の顧客がチケットの購入前にその内容等を被告と交渉して定めることは予定されておらず、顧客である消費者にとっては、自ら又は同行者の予定の変更があった場合等において、後記でみるように本件条項2によってチケットを転売すること 前にその内容等を被告と交渉して定めることは予定されておらず、顧客である消費者にとっては、自ら又は同行者の予定の変更があった場合等において、後記でみるように本件条項2によってチケットを転売することもできないことも相まって、一定の不利益が及ぶ内容となっている ということができる。 アしかしながら、他方で、本件条項1が定められた趣旨及び目的を考察すると、本件条項1は、任意かつ自由なキャンセルを認めると、一部のチケットの高額な転売を目的とする者が、大量にチケットを購入した上で、これを被告の販売価格よりも高額で転売し、転売ができなかったチケットは キャンセルするというような手法等を取ることによって、本来被告が販売する正規のチケット価格で入場等することができるはずであった顧客が、かかる高額のチケットを購入せざるを得なくなる事態を避けるためのもので(甲18の1・2、甲21、乙4の1~5、乙8、弁論の全趣旨)、チケット価格の高額化を防ぐ目的を有するものといえ(かかる目的を有するこ とについて当事者間に争いはない。)、このような趣旨及び目的は合理性 のあるものということができる。 そして、このようなチケット価格の高額化の防止によって、顧客がUSJに来場する意欲を減退させることを防ごうとする被告のみならず、消費者である顧客も、チケットの転売者から高額化したチケットを入手しなくとも、正規の販売価格でチケットを入手してUSJに入場等することがで き、それによる利益を得ているものと評価することができるから、顧客と被告の双方において、上記手法等によるチケット価格の高額化による不利益を免れているといえ、このような本件条項1は、被告のみを一方的に利するものであるとは認められない。 加えて、上記の転売及びキャンセルを組み合わ て、上記手法等によるチケット価格の高額化による不利益を免れているといえ、このような本件条項1は、被告のみを一方的に利するものであるとは認められない。 加えて、上記の転売及びキャンセルを組み合わせた手法によるチケット の高額転売については、被告においても労力とコストをかけてそれらに対する監視等の措置を実際に執っており、現時点においてもなお本件チケットがインターネット上において正規の販売価格よりも高額で取引される例が見受けられることからすると(上記1ウ)、現時点でも本件条項1を維持する必要性は否定できない。 ところで、原告は、解除時期に応じたキャンセル料の取得や高額転売のみの禁止によってもチケット価格の高額化の防止という本件条項1の目的は達成できる旨の主張をする。 しかし、かかる方法はチケット価格の高額化を防止するための一つの方策であるとは考えられるものの、消費者契約法1条及び10条等の趣旨目 的に照らしてもみても、事業者において、消費者との間で消費者契約を締結するにあたっては、常に、消費者に生じ得る不利益が少ない、より制限的でないその他の手段や方法を講じることが求められているとまで解することはできないことに加えて、上記1ウによれば、一定の対策を講じたとしても、高額化させたチケットの転売を防止することは必ずしも容易な ものではないことがうかがわれることに照らすと、原告の上記主張を採用 することはできない。 イ次に、本件チケットの購入過程をみると、顧客は、自ら又は同行者らの予定等から、WEBチケットストアにおいて、特定の日を自ら選択して、チケットを購入しており(上記1イ)、チケット購入後における購入者らの事情変更等は専ら顧客側の事情によるものといえ、また、チケットの 購入場面におい トストアにおいて、特定の日を自ら選択して、チケットを購入しており(上記1イ)、チケット購入後における購入者らの事情変更等は専ら顧客側の事情によるものといえ、また、チケットの 購入場面においても、被告は、当該入場日等の確認を再度顧客に促すなどして顧客による誤購入がないよう注意喚起をしており(上記1)、顧客による誤購入への一定の配慮がされていると評価できる。 この点について、原告は、被告のWEBチケットストアは、様々な券種があるため内容が分かりにくく、誤購入しやすい仕様となっている旨の主 張をする。 しかし、被告のWEBチケットストアでは、最終的な決済に至るまでに、購入するチケットの種類、枚数及び入場日等を確認する画面は複数回表示される仕様となっており(上記1)、上記のとおり、誤購入に対する一定の配慮はされているということができる。確かに、WEBチケットスト アにおける券種等の表示は、原告が指摘するようにチケット購入者に同行する者の年齢、人数等によっては可変的なものになる上、期間限定のイベントやアトラクション等に参加するためなどのその他チケット等の購入も含めれば、顧客が選ぶことのできる選択肢は、極めて多数に上るが、これらについても、チケットの購入画面において順を追って入力や選択を行う 仕様となっており、特段、顧客による誤購入を誘発するような表示になっているものとは認められず(上記1)、チケット購入の最終的な場面に至るまでに、チケットの種類、枚数及び入場日等を確認するよう注意喚起もされていることからすれば(上記1)、選択肢が極めて多数に上るという事情を考慮しても、とりたてて顧客において誤購入が生じやすい仕様 となっているということは困難である。 ウまた、本件各条項についての顧客の認 )、選択肢が極めて多数に上るという事情を考慮しても、とりたてて顧客において誤購入が生じやすい仕様 となっているということは困難である。 ウまた、本件各条項についての顧客の認識等についてみると、被告のWEBチケットストアにおいては、トップページから最終的なチケットの購入に至るまでの各画面において、複数回にわたって本件各条項の内容が繰り返し表示されているほか、これらの内容を確認するよう顧客に求めていることが認められ(上記1)、このような表示、確認の作業を経ることで、 顧客においても、本件各条項の内容について十分な認識を持ったうえで、チケット購入契約を締結しているということができ、顧客と被告との間に本件各条項についての理解の差があるとは認められない。 エさらに、顧客の予定変更等に伴う日程の変更についても、一部のものを除きスタジオ・パスについては、日付変更手数料等の経済的負担なく、9 0日間という相応に長期間といえる期間内において、入場日を変更することが可能であることから(上記1イ)、仮に、当初予定された入場日に不都合が生じた場合においても上記期間内に入場日を変更することで、かかる事態に伴う不利益を回避することが可能となっており、このような特定の入場日を変更することを認める条項が本件利用規約に存在することに よって予定変更等に伴う顧客(消費者)の不利益にも相当程度の対処がされているとみることができる。 この点について、原告は、間違えて多数の枚数のチケットを購入してしまった場合には日付の変更では対応できない旨の主張をするが、上記イのとおり誤購入がされないように一定の配慮はされている上、90日間は入 場日を変更することも可能とされているのであるから、原告の上記主張をもって均衡を欠く程 応できない旨の主張をするが、上記イのとおり誤購入がされないように一定の配慮はされている上、90日間は入 場日を変更することも可能とされているのであるから、原告の上記主張をもって均衡を欠く程度に消費者に不利益となっているということは困難である。 なお、上記でみたスタジオ・パス以外のアトラクション等への優先入場が可能となるエクスプレス・パス及び期間限定のイベントへの入場が可能 となるなどのその他チケットについては日付変更をすることができないが (上記1イ)、これらのチケットの販売数はスタジオ・パスよりも少なく(上記1ア)、特にチケットの転売を目的とする者の標的となりやすいと考えられることのほか、日付変更についても、当初予定された入場日以外の日にも当該エクスプレス・パス等の対象となるアトラクションないしイベント等が実施されているのかという問題もあり、日付変更が認めら れないエクスプレス・パス等について、日付変更が認められないことをもって、不合理な制約であるということはできない。 オさらに、原告は、本件各条項の内容は、被告と同様のテーマパークにおける規約の内容よりも厳しいものとなっている旨の主張をするが、上記1アからウまでのとおり、本件各条項の内容が、東京ディズニーリゾート、 レゴランド及びハウステンボスと比して厳しい内容になっているということはできず、原告の上記主張は採用できない(原告は、被告のWEBチケットストアは誤購入しやすい仕様になっているとして、実質的には被告の利用規約の方が制限的なものとなっている旨の主張もするが、上記イのとおりであり、かかる主張もその前提において採用できない。)。 以上のとおり、チケット価格の高額化を防ぐという本件条項1の趣旨及び目的は合理的なものであり ている旨の主張もするが、上記イのとおりであり、かかる主張もその前提において採用できない。)。 以上のとおり、チケット価格の高額化を防ぐという本件条項1の趣旨及び目的は合理的なものであり、現時点においてもこれを維持する必要性は否定されないこと、本件条項1により顧客である消費者には本件条項2とも相まって一定の不利益が及ぶものではあるが、同時に顧客に利益となる側面も有するものであること、顧客による誤購入がないよう一定の配慮がされ、本件 各条項の内容も複数回にわたって表示されるなど顧客もその内容を十分に認識して契約しているといえること、一部のチケットでは顧客の予定変更等に伴う日程の変更にも応じられていることなど上記で説示した各事情に照らせば、本件条項1は、消費者である本件チケットの購入者と事業者である被告との間の情報や交渉力等についての一般的な格差を考慮しても、信義則に反 する程度に当事者間の衡平を害するものということはできず、したがって、 信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものということはできない。 小括以上によれば、本件条項1は、法10条後段の要件を充足するということはできない。 したがって、本件条項1は、法10条前段の要件を充足するということも、 同条後段の要件を充足するということもできないのであるから、いずれにせよ、法10条の条項にあたるということはできない。 4 争点3(本件条項1の法9条1号該当性)について 原告は、本件条項1は、解除をしてもチケット代金の全額を返還しないという点において、チケット代金全額を損害金又は違約金として徴収すること と全く同じ機能や効果を有するものであり、本件条項1は「解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」にあたる いう点において、チケット代金全額を損害金又は違約金として徴収すること と全く同じ機能や効果を有するものであり、本件条項1は「解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」にあたる旨の主張をする。 しかし、本件条項1は、その文理からすれば、一定の場合を除き、チケット購入契約の解約ができない旨を定めるものであって、法9条1号の規定する契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項である とは捉えられない。本件条項1が法9条1号の条項にあたるとの原告の主張は、本件条項1及び法9条1号の文理解釈として無理のあるものといわざるを得ず、採用できない。 小括したがって、本件条項1は、法9条1号の要件を満たすということはでき ず、法9条1号の条項にあたるということはできない。 そして、上記3のとおり、本件条項1は法10条の条項にあたるということもできないのであるから、法10条及び法9条1号の条項にあたるとして、本件条項1についての差止めを求める原告の請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。 5 争点5(本件条項2の法10条前段該当性)について 原則自由とされている債権譲渡を制限するものか否か。 ア原告は、本件条項2について、チケットの転売は被告から役務の提供を受ける権利の譲渡であり、債権譲渡と捉えるべきであるところ、原則自由とされている債権譲渡を制限するもので、任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものである旨の主張をする。 しかし、被告との間でチケットの購入契約を締結して本件チケットを購入した者は、購入したチケットの内容に応じて、上記2のとおり、被告から、非日常的な空間として創られたUSJに入場させ、アトラクション しかし、被告との間でチケットの購入契約を締結して本件チケットを購入した者は、購入したチケットの内容に応じて、上記2のとおり、被告から、非日常的な空間として創られたUSJに入場させ、アトラクション等を稼働して利用させるなどの役務の提供を受けることができるものであるが、他方で、上記1エのとおり、チケットの購入者には、手荷物検査、 分煙、撮影、危険物等の物品の持込み禁止等のUSJの園内における各種制約等も遵守することが求められ、仮にチケットの転売が許容されたとしても、チケットを譲り受けた者は、チケットの購入者が遵守を求められていたこのような制約等も承継して遵守することが求められると解されるのであり、このような側面をみると、チケットの転売には、債権譲渡に還元 できない要素があり、被告とチケット購入者との間の複合的な権利義務関係としての法的地位の移転を伴うものとして、契約上の地位の移転とみるべきである。 したがって、本件チケットの転売が債権譲渡であることを前提に、本件条項2が原則自由とされている債権譲渡を制限するものとして、任意規定 の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものである旨の原告の上記主張は採用できない。 イまた、原告は、チケットの転売を契約上の地位の移転と捉えても、当該契約の相手方は誰でも構わない状態債務のようなものであるとして、相手方である被告の承諾は不要である旨の主張をするが、契約上の地位を移転 するためにはその契約の相手方の承諾が必要とされているところ(民法5 39条の2)、本件チケットの転売を自由に認めると、上記3アのとおりチケット価格が高額化するなどの弊害が生じるおそれがあり、誰がどのような目的で転売をし、転売を受けるのかについては被告も合理的な利害ないし関心を有し ケットの転売を自由に認めると、上記3アのとおりチケット価格が高額化するなどの弊害が生じるおそれがあり、誰がどのような目的で転売をし、転売を受けるのかについては被告も合理的な利害ないし関心を有しているということができることからすれば、本件チケットの転売である契約上の地位の移転について、上記規定と異なる解釈を採 るべき理由はなく、被告の承諾は不要である旨の原告の上記主張も採用できない。 チケットの所有権を制限するものか否か。 原告は、本件条項2について、自由な使用及び処分等が認められるチケットの所有権を制限するものであり、法10条前段要件を充足する旨の主張を する。 しかし、チケットが所有権の客体となる有体物として発行されていた場合について考えたとしても、本件条項2によって制限されるのは、契約上の地位の移転としてのチケットの転売であり、本件条項2は、チケットが転売されたとしても、有体物としての当該チケットの所有権の移転の効果まで否定 するものではないという意味で、所有権の客体としてのチケットの処分等を禁じるものではないと解されるものであるから、本件条項2について、チケットの所有権を制限するとして法10条前段要件を充足する旨の原告の上記主張は採用できない。 慣習上認められる転売権を制限するものか否か。 原告は、チケットを第三者に譲渡する方法は幅広く容認されており、本件条項2は、転売権という慣習法ないし事実たる慣習により認められてきた消費者の権利を制限する旨の主張をする。 しかし、上記のとおり、本件チケットの転売は、契約上の地位の移転としての性質を持つものであり、契約上の地位の移転は従前より原則として相 手方の承諾が必要と解されていることのほか、上記1ア しかし、上記のとおり、本件チケットの転売は、契約上の地位の移転としての性質を持つものであり、契約上の地位の移転は従前より原則として相 手方の承諾が必要と解されていることのほか、上記1アからウまでのとお り、他のテーマパーク(東京ディズニーリゾート、レゴランド、ハウステンボス)においても、チケットの転売は禁止ないし転売されたチケットは使用できないとされているところであり、本件チケットについて、慣習法ないし事実たる慣習により転売権が認められているということはできず、原告の上記主張は採用できない。 以上で検討したところによれば、本件条項2について、任意規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限するものということはできず、法10条前段該当性を認めることはできない。 6 争点6(本件条項2の法10条後段該当性)について 上記5でみたように、本件条項2について、法10条前段該当性を認める ことはできないが、この点を措くとしても、次のとおり、法10条後段該当性を認めることもできない。 すなわち、上記3のとおり、何らかの事情により予定された入場日にUSJに来場できなくなった顧客は、法令上の解除事由又は無効事由等が認められない場合、本件条項1によりチケット購入契約をキャンセルすることが できず、また、本件条項2によってその譲渡代金の多寡を問わずチケットを転売することもできないのであるから、顧客である消費者にとっては、本件条項2は、本件条項1と相まって、一定の不利益が及ぶ内容となっているということができる。 しかしながら、他方で、①上記3アのとおり、本件条項2が定められた 趣旨及び目的は、高額で転売する目的でのチケットの入手及び販売という手法等を封じることで、チケット うことができる。 しかしながら、他方で、①上記3アのとおり、本件条項2が定められた 趣旨及び目的は、高額で転売する目的でのチケットの入手及び販売という手法等を封じることで、チケット価格の高額化を防ぐことにあり、このような趣旨及び目的は合理性のあるものということができ、これによって、被告のみならず、消費者である顧客においてもチケット価格の高額化による不利益を免れるという利益を得ており、本件条項2は被告のみを一方的に利するも のとは認められないものでもあること、実際に、現時点においても本件チケ ットがインターネット上において高額で取引されている例も見受けられ、かかる状況下においては、上記の目的を達成するために本件条項2を維持する必要性は否定できないこと、②また、上記3イのとおり、チケット購入後の購入者らの事情変更等は専ら顧客側の事情によるものであるほか、誤購入に関しても、被告は、入場日等の確認を再度顧客に促すなどして顧客による 誤購入がないよう注意喚起をしており、顧客による誤購入への一定の配慮がされていると評価できること、③さらに、上記3ウのとおり、最終的なチケットの購入に至るまでの各画面において、複数回にわたって本件各条項の内容が繰り返し表示されるなどしており、顧客においても、本件各条項の内容について十分な認識を持ったうえで、チケット購入契約を締結していると いうことができ、顧客と被告との間に本件各条項についての理解の差があるとは認められないこと、④加えて、上記3エのとおり、顧客の予定変更等に伴う日程の変更についても、一部のものを除きスタジオ・パスについては、経済的負担なく長期間といえる期間内での入場日の変更が可能とされており、上記の不利益にも相当程度の対処がされているとみることができ う日程の変更についても、一部のものを除きスタジオ・パスについては、経済的負担なく長期間といえる期間内での入場日の変更が可能とされており、上記の不利益にも相当程度の対処がされているとみることができることな どの各事情に照らせば、本件条項2は、信義則に反する程度に当事者間の衡平を害するものということはできず、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものということはできない。 アところで、原告は、チケット価格の高額化を防止するという目的は、被告において専用のチケット転売サイトを開設して当該サイトで定価でのみ 転売する方法や定価を上回る転売の禁止により達成することができ、転売を全面的に禁止する必要性は乏しい旨の主張をし、実際に、上記1エのとおり、東京オリンピック・パラリンピックにおいては公式チケットリセールサービスが開設され、同サービスを利用して購入価格での再販売が可能とされていたところでもある。 しかし、上記3アのとおり、事業者において、消費者との間で消費者 契約を締結するにあたって、常に、消費者に生じ得る不利益が少ない、より制限的でないその他の手段や方法を講じることが求められているとまで解することはできないところ、専用のチケット転売サイトの開設とその運営には、被告による費用等の負担を要し、最終的にはそのためのコストは消費者の負担となる可能性もあるものであるから、上記サイトを設けるか 否かは、多分に被告の事業運営上の裁量判断によるべき性質のものであること、加えて、上記のとおり、本件チケットについては、顧客による誤購入がないように一定の配慮がされ、顧客においても本件各条項の内容について十分な認識を持ったうえでチケット購入契約を締結しているといえること、チケット購入後の購入者らの事情変更等は専 、顧客による誤購入がないように一定の配慮がされ、顧客においても本件各条項の内容について十分な認識を持ったうえでチケット購入契約を締結しているといえること、チケット購入後の購入者らの事情変更等は専ら顧客側の事情によ るものであり、一部のものを除きスタジオ・パスについては入場日の変更も可能とされて消費者の不利益にも相当程度の対処がされていることなどの事情も踏まえて考慮すれば、専用のチケット転売サイトの開設によってチケット価格の高額化防止という目的は実現できる旨の原告の主張をもって、本件条項2が信義則に反する程度に当事者間の衡平を害するものとい うことはできず、同条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものということはできない。なお、上記1ウによれば、一定の対策を講じたとしても、高額化させたチケットの転売を防止することは必ずしも容易なものではないことがうかがわれるところであって、定価を上回る転売の禁止によってチケット価格の高額化を防止できる旨の原告の主張をもっ て、本件条項2が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものということもできない。 イまた、原告は、転売を認めても被告には経済的損失や不利益は発生しない旨の主張をするが、転売目的による大量のチケットの購入等の手法等が取られることとなれば、チケット価格の高額化によってUSJに入場等し ようとする顧客の意欲を減退させることにつながりかねず、また、消費者 においても正規のチケット代金によって入場等する機会の減少を招くもので、原告の上記主張は採用できない。 小括以上によれば、本件条項2は、法10条後段の要件を充足するということはできない。 このように、本件条項2は、法10条前段の要件を充足するということも、同条後 は採用できない。 小括以上によれば、本件条項2は、法10条後段の要件を充足するということはできない。 このように、本件条項2は、法10条前段の要件を充足するということも、同条後段の要件を充足するということもできないのであるから、いずれにせよ、法10条の条項にあたるということはできず、したがって、法10条の条項にあたるとして、本件条項2についての差止めを求める原告の請求は理由がない。 7 文書提出命令の申立て(当庁令和3年第816号、同令和4年第371号)について原告は、被告において法令上の解除又は無効事由等を認めてチケット購入後にキャンセルに応じたケースはほとんど存在しない事実を証明すべき事実とし、被告の総勘定元帳(令和3年第816号)及び会計帳簿等(令和4年第3 71号)を対象文書として、文書提出命令の申立てをするけれども、上記で検討したところによれば、上記各対象文書についてはいずれも証拠調べの必要性を認めることができないから、上記の文書提出命令の申立てはいずれも却下する。 第4 結論 以上によれば、原告の請求はいずれも理由がないからこれらをいずれも全部棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第4民事部 裁判長裁判官谷村武則 裁判官三重野 真 人 裁判官竹田泰樹 (別紙)契約条項目録 1(WEBチケットストア利用規約第8条)1.チケットの種別、理由の如何にかかわらず、購入後のキャンセルは一切で きません。但し、法令 (別紙)契約条項目録 1(WEBチケットストア利用規約第8条)1.チケットの種別、理由の如何にかかわらず、購入後のキャンセルは一切で きません。但し、法令上の解除または無効事由等がお客様に認められる場合はこの限りではありません。 2(WEBチケットストア利用規約第3条)1.お客様が、第三者にチケットを転売したり、転売のために第三者に提供することは、営利目的の有無にかかわらず、すべて禁止します。 以上

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