平成16(わ)356 窃盗,強盗殺人,住居侵入被告事件

裁判年月日・裁判所
平成17年7月19日 函館地方裁判所
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判決文本文4,896 文字)

- 1 -平成17年7月19日宣告平成16年(わ)第356号,平成17年(わ)第35号,第40号窃盗,強盗殺人,住居侵入被告事件主文被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中140日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1いわゆる闇金融からの借金の返済に追われていたところ知人を介しA当,,(時18歳)から,居住用アパートの紹介方を依頼された際,函館市a町b番c号所在のBへの入居を約束して敷金,礼金等として同女から現金9万円を受領したものの,入居させることができず,同女から上記9万円の返還を迫られたが,既に全額を費消済みで返還できないこと及び闇金融からの熾烈な借金返済の督促を恐れる余り,この際,同女を殺害して,上記9万円の返還債務を免れるとともに,同女から金員等を強取しようと決意し,平成15年8月7日午後3時ころ,同女を上記Bに呼び出した上,同日午後5時30分ころ,上記B駐車場奥の物置内において,同女の頸部に電気配線工事用の電線を巻き付けて絞め付け,よって,そのころ,同所において,同女を絞頸による窒息により死亡させて殺害し,上記9万円の返還債務を免れるとともに,同女所有に係る現金,()約7000円キャッシュカード1枚等在中の財布1個時価合計2万円相当を強取し,第2同月8日午前11時56分ころ,同市de丁目f番g号所在のC信用金庫D支店自動サービスコーナーに設置された現金自動預払機に強取した前記A名義のキャッシュカードを挿入して同機を作動させ,同機から同支店支店長E管理に係る現金3万4000円を窃取し,- 2 -第3別紙一覧表(1)記載のとおり,平成14年11月2日ころから平成16年10月12日ころまでの間,前後8回にわたり,同市hi丁目j番k号F方前駐車場に駐車中の自動車内ほか7か 取し,- 2 -第3別紙一覧表(1)記載のとおり,平成14年11月2日ころから平成16年10月12日ころまでの間,前後8回にわたり,同市hi丁目j番k号F方前駐車場に駐車中の自動車内ほか7か所において,Gほか7名所有又は管理に係る現金合計約3万9750円及び財布等合計約171点(時価合計約26万7110円相当)を窃取し,第4別紙一覧表(2)記載のとおり,平成15年4月12日ころから同年8月4日ころまでの間,前後8回にわたり,いずれも金品窃取の目的で,同市dl丁目m番n号H方ほか7か所に,無施錠の便所窓等から侵入し,いずれもそのころ,同人方ほか7か所において,Iほか8名所有又は管理に係る現金合計約39万7368円及び財布等合計184点(時価合計約41万1580円相当)を窃取し,第5同年4月30日午前1時30分ころ,同市o町p番q号所在のJビル2階K店舗内において,L所有に係る現金約1万4500円及び自動車運転免許証ほか6点在中の財布1個(時価合計4万円相当)を窃取したものである。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為は平成16年法律第156号附則3条1項により,同法による改正前の刑法240条後段に,判示第2,第3の別紙一覧表(1)番号1ないし8及び第5の各所為はいずれも同法235条に,判示第4の別紙一覧表(2)番号1ないし8の各所為のうち,各住居侵入の点はいずれも同法130条前段に,各窃盗の点はいずれも同法235条にそれぞれ該当するところ,判示第4の別紙一覧表(2)番号1ないし8の各住居侵入と各窃盗との間にはいずれも手段結果の関係があるので,それぞれ同法54条1項後段,10条により1罪として重い窃盗罪の刑で処断することとし,判示第1の罪について所定刑中無期懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるが,判示第1の罪 係があるので,それぞれ同法54条1項後段,10条により1罪として重い窃盗罪の刑で処断することとし,判示第1の罪について所定刑中無期懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるが,判示第1の罪の刑は無期懲役であるから,,,同法46条2項本文により他の刑を科さないこととして被告人を無期懲役に処し- 3 -同法21条を適用して未決勾留日数中140日をその刑に算入することとし,訴訟費用は刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の事情)本件は,被告人が,浮気相手との交際費や生活費等を賄うため,車上狙い(判示第3の各窃盗,侵入盗(判示第4の各住居侵入・窃盗,窃盗(判示第5)を累))行し,A(以下「被害者」という)から不当に受領した9万円の返還債務を免,。 れるとともに闇金融への借金返済等に充てるため,同女を殺害し,現金やキャッシュカード等を強取し(判示第1の強盗殺人,強取した同女名義のキャッシュカー)ドを使用して現金を窃取した(判示第2)という事案である。 被告人は,個人で営んでいた電気設備業による収入が平成15年6月ころには月数万円程度まで落ち込み,以前にも増して金銭に窮するようになり,同月ころから同年8月上旬にかけて,暴力団員からいわゆる十一の利率で合計150万円を,闇金融から5日で2割の利率で合計20万円を借り入れた。被告人は高利の利息の支払に頻繁に追われるようになり,数千円でもいいから現金を手に入れたいという状況に陥っていた。同年7月,知り合いを介して,被害者の入居先アパートの紹介を依頼されたのを奇貨として,利息の支払等に充てるため,被害者に,自己が居住するアパートへの入居を持ち掛け,敷金,礼金は不要であったのにこれが必要であるなどと偽り,被害者から現金9万円を受け取った。その後 されたのを奇貨として,利息の支払等に充てるため,被害者に,自己が居住するアパートへの入居を持ち掛け,敷金,礼金は不要であったのにこれが必要であるなどと偽り,被害者から現金9万円を受け取った。その後,被害者をアパートに入居させることができなくなり,被告人は被害者から9万円の返還を迫られるに至った。しかし,被告人は,既にこの9万円を利息の支払い等に充てて全額費消済みであり,返還できる見込みもなかった。また,被告人は,知人らに対する見栄から,未成年者である被害者から金を騙し取ったことを何としても知られたくなかった。 そこで,被告人は,かかる不都合な事態を手っ取り早く解決するには,被害者を殺害するしかない,そうすれば,被害者の所持金品を奪い取れる上,被害者からキャッシュカードの暗証番号を聞き出していたことから,被害者の口座から預金を払い- 4 -戻せるなどと考え,被害者殺害を決意し,本件犯行に及んだ。そして,被告人は,被害者の殺害を決意するに当たって,被害者は今風の女の子で生活が乱れている,家出状態にあるなどと思い込み,被害者がいなくなっても誰も何とも思わないなどと被害者を蔑む気持ちすら抱いていたのである。被告人の犯行動機は,見栄と分不相応な生活を夢見る一方で自堕落な生活を送る自らを取り繕うため,被害者の生命を踏みにじることも厭わないとするものであって,余りに短絡的で,身勝手かつ自己中心的なものであり,被害者の生命軽視も甚だしい。 被告人は,被害者に怪しまれないようアパートに入居するための打合せと称して被害者を誘い出す,被害者を誰にも目撃されることなく殺害するために,日中ほとんど人気がなく,被告人のほかに出入りする者がいない本件アパート物置内を殺害場所とする,殺害方法は血痕等の痕跡が残らないよう絞殺とする,絞殺には同物置内に保管してある電線を 殺害するために,日中ほとんど人気がなく,被告人のほかに出入りする者がいない本件アパート物置内を殺害場所とする,殺害方法は血痕等の痕跡が残らないよう絞殺とする,絞殺には同物置内に保管してある電線を利用するなどと予め考え,実行したのであって,計画性も認められる。 被告人は,被害者に対し「お前,首細いな。俺も首が細いって言われるんだけ,ど。俺でこれくらいなんだけど,お前はどれくらいだ」などと言って,あたかも。 電線をメジャー代わりにするかのように装って,背後からその首に電線を巻き付けて絞め付けた。被害者が両手で電線を外そうとしたり,身体をよじって逃げようと,,,したところを被告人は思い切り力を込めて電線を引っ張って首を絞め付けたが被害者が背後にいる被告人の方に仰け反ってきたため力を入れにくくなったので,被害者を床に押し倒し,電線が手から抜け落ちないように電線を両手の甲にそれぞれ1周させるように巻き付け,力の限り被害者の首を絞め続けたところ,被害者が動かなくなった。それでもなお,被告人は,電線の端の一方を左足の甲に1周させて踏みつけて固定し,他方の電線の端を両手で力の限り引っ張り被害者の首を絞め続けた。被害者は足をばたつかせることもなくなり,ぐったりとして動かなくなったこのような被害者を見て被告人は被害者は死んだと思ったが被害者のク。 ,,,「ー」という息が漏れる音を聞いたことから,被害者がまだ死んでいないと思い,今- 5 -度は,被害者の首に巻き付いたままの電線の両端を両手で掴み,その両端を交差させるように多数回ねじりさらに交差部分をペンチで掴んで多数回ねじ上げた上電,(線がねじられた回数は,合計37回に及ぶ,粘着テープを持ち出して,被害者。)の鼻口部分を閉塞させ,両手足首を縛り付けた。かかる被告人の行為 らに交差部分をペンチで掴んで多数回ねじ上げた上電,(線がねじられた回数は,合計37回に及ぶ,粘着テープを持ち出して,被害者。)の鼻口部分を閉塞させ,両手足首を縛り付けた。かかる被告人の行為は,被害者を確実に殺害するために執ように,かつ,徹底的になされたものであり,被害者殺害に向けた被告人の意思がいかに強固かつ確定的なものであるかが如実に看て取れるとともに,被害者を確実に死に至らしめる冷酷かつ残忍なものというほかない。 被害者は,平凡でもいいから幸せな家庭を築きたいという夢を抱いた,人を疑うことを知らない,心の優しい女性であった。被害者は,被告人によって電線を首に巻かれ執ように絞め続けられるという残忍な手口で窒息死させられ,その後,1年4か月もの長期間にわたって物置に放置され,全身高度に腐敗し,革皮様化するなど無惨な姿に変わり果ててしまった。まさに哀れというほかなく,これから様々な可能性を開花させられる18歳という若さで,訳も分からないまま人生を閉ざされたのであり,その無念さは察するに余りある。被害者の帰りを待ち続けた遺族は,被害者の遺体と対面すら叶わなかったのであり,かけがえのない被害者の生命を無惨にも奪われた悲嘆は筆舌に尽くしがたいものである。母親の証言からも遺族の悲痛な心情の一端がうかがえるのであり,遺族が被告人に対し極刑を望むのも無理からぬところである。 本件のごとき凶悪犯罪が地域社会に与えた衝撃,不安等も量刑上無視できない。 強盗殺人の罪質,犯行態様,結果,動機などを総合考慮すれば,本件においては無期懲役刑を選択するのが相当である。 被告人が,当公判廷において「本当に取り返しの付かないことをしてしまった,と思います。本当に申し訳ありませんでした」などと被告人なりに反省の言葉を。 述べていること,窃盗の被害物品の一部が返還 。 被告人が,当公判廷において「本当に取り返しの付かないことをしてしまった,と思います。本当に申し訳ありませんでした」などと被告人なりに反省の言葉を。 述べていること,窃盗の被害物品の一部が返還されたこと,被告人には道路交通法違反の罪による罰金1犯のほかには前科がないことなど被告人のために酌むことができる諸事情をもってしても,無期懲役刑を減軽するほどのものがあるとはいえな- 6 -い。 (求刑無期懲役)平成17年7月19日函館地方裁判所刑事部裁判長裁判官園原敏彦裁判官伊藤聡裁判官深野英一(別紙一覧表省略)

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