平成24(ネ)929 損害賠償等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成25年1月18日 名古屋高等裁判所 その他 名古屋地方裁判所 平成23(ワ)6906
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判決文本文14,775 文字)

平成25年1月18日判決名古屋高等裁判所平成24年(ネ)第929号損害賠償等請求控訴事件〔原審・名古屋地方裁判所平成23年(ワ)第6906号〕 主文 1 原判決を,次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ2万3701円及びこれに対する平成23年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人らのその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを20分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人ら(1) 原判決を取り消す。 (2) 被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ54万9005円及びこれに対する平成23年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人らの負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人らが,被控訴人との間で募集型企画旅行契約(Aへのツアー)を締結したが,平成23年10月18日0時(午前0時のことであり,以下の時刻も特に断らない限り24時制による。)の集合時間に集合せず,出発 時刻に遅延して旅行に出発することができなかったことについて,その原因は,被控訴人が控訴人Bに送付した日程表の表紙の集合日時欄に「2011年10月18日火曜日24時00分」と記載したことにあるなどと主張して,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金として,それぞれ57万9705円及びこれに対する平成23年10月18日か に「2011年10月18日火曜日24時00分」と記載したことにあるなどと主張して,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金として,それぞれ57万9705円及びこれに対する平成23年10月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したため,これを不服として,控訴人らが控訴した。 なお,控訴人らは,当審において,それぞれ控訴人ら主張の損害の一部である各3万0700円(燃油サーチャージ2万7000円,C空港施設使用料2000円及びA空港税1700円の合計額)について,預託金返還請求権に基づく請求に訴えを変更し,被控訴人は,同請求部分についてこれを認諾したため,控訴人らの請求は,第1の1(2)のとおりとなった。 略語については,特に断らない限り,原判決の例による。 2 前提事実以下のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決3頁3行目の「締結された」の次に「(以下「本件旅行契約」という。)」を加える。 (2) 原判決3頁14行目の「「本件日程表」という。」を「「本件日程表」といい,集合日時の記載を「本件記載」という。」(3) 原判決3頁16行目の「企画旅行」の次に「(オプショナルツアー。以下の(ア)ないし(ウ)を,それぞれ「本件オプショナルツアー(ア)」などといい,(ア)ないし(ウ)をまとめて「本件オプショナルツアー」という。)」を加え,同行目から17行目の「(各自1万0205円。原告ら合計3万0615 円)」を「(1万3050円。控訴人ら合計3万9150円)」と改める。 (4) 原判決3頁19行目 う。)」を加え,同行目から17行目の「(各自1万0205円。原告ら合計3万0615 円)」を「(1万3050円。控訴人ら合計3万9150円)」と改める。 (4) 原判決3頁19行目の「10月19日」の次に「(午前9時にホテルロビーに日本語ガイドが迎えに来る。)」を加える。 (5) 原判決3頁24行目の「10月19日」の次に「(午後4時30分にホテルロビーに日本語ガイドが迎えに来る。)」を加える。 (6) 原判決4頁5行目を削る。 (7) 原判決4頁10行目と11行目の間に,次のとおり加える。 「(4) 本件オプショナルツアーへの不参加による返金控訴人らは,本件オプショナルツアーに参加しなかったが,10月19日催行の本件オプショナルツアー(ア)及び(イ)については,出発日前日以降のキャンセルにより代金は返還されず,同月20日催行の本件オプショナルツアー(ウ)については,同月31日,合計8535円(1人あたり2845円)の返金を受けた(甲1,弁論の全趣旨)。」 3 争点及びこれに対する当事者の主張以下のとおり原判決を補正し,当審における当事者の補充主張を加えるほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決4頁12行目の「過失」を「過失による不法行為又は債務不履行」と改める。 (2) 原判決4頁23行目の「日程表表紙の記載」を「本件日程表表紙の本件記載」と改め,同行目の「回答により」を「回答は,不法行為又は債務不履行に該当し,これにより」と改める。 (3) 原判決5頁5行目の「原告ら主張の記載」を「本件記載」と改める。 (4) 原判決7頁1行目を,次のとおり改める。 「(2) 控 為又は債務不履行に該当し,これにより」と改める。 (3) 原判決5頁5行目の「原告ら主張の記載」を「本件記載」と改める。 (4) 原判決7頁1行目を,次のとおり改める。 「(2) 控訴人らの集合日時不参集後における被控訴人の対応の不法行為又 は債務不履行の成否」(5) 原判決7頁12行目の「対応に」を「対応は,不法行為又は債務不履行に当たり」と改める。 (当審における当事者の補充主張)(1) 控訴人らア 1日は0時から始まり,24時から始まることはないから,本件記載は,10月17日から18日に日付が変わる時刻の記載として,客観的に明白な誤記である。そして,日程表の表紙は,通常顧客が最初に目にし,かつ,最も目にしやすい箇所であるから,これに誤った集合日時を記載すれば,それを信頼した顧客が誤った集合日時に到着することは十分予見可能であるから,被控訴人は,顧客が集合日時を間違えないよう正確な集合日時を顧客に伝える注意義務を負っているというべきである。特に,C空港の日付をまたぐ時間帯は,間違いが発生しやすい時間帯であるから,被控訴人は,よりいっそう高度な注意義務を負っていた。 ところが,被控訴人は,本件日程表の表紙に明らかな誤記である本件記載をしたのであるから,上記注意義務違反の過失がある。 イ本件日程表の本文には,見開きの左頁に注意事項,宿泊ホテル,現地連絡先等が細かく記載され,右頁に旅程表が記載されている。そして,旅程表には,左から日程,月日,都市名(発着時間の記載がある),交通機関,スケジュール及び食事が図表により区切られて記載され,一見しただけで,10月18日1時35分発の航空機に搭乗するとは分からないし,月日欄と区別されたスケジュール欄に「D泊」と記載されている 通機関,スケジュール及び食事が図表により区切られて記載され,一見しただけで,10月18日1時35分発の航空機に搭乗するとは分からないし,月日欄と区別されたスケジュール欄に「D泊」と記載されていることにより,一目で本件記載との矛盾に気づくのは不可能である。 他方,本件記載は,一目で集合日時が10月18日24時であると明確に認識できるものであり,顧客は,それが旅行の専門業者である被控訴人が作成したという信頼により,上記日時が集合時間であると強く印象づけ られるから,その予断を持って本件日程表中の旅程表を見ると,航空機の出発時刻と本件記載の矛盾に気づかないことも十分あり得る。 さらに,控訴人らが本件日程表の送付を受けた後,申込時のEのウェブページ上の日程表を見ることはあり得ないから,両方の日程表を併せて検討することもあり得ない。 したがって,控訴人らは,集合日時に参集せずに本件ツアーに参加できなかったことに自ら責を負うべき事情はなく,仮に何らかの落ち度があったとしても,被控訴人の過失を否定する理由にはならない。 ウ被控訴人は,控訴人らの本件訴訟提起前,本件ツアーの旅行代金全額の返金と,お見舞い金1人あたり5万円を支払うという顧客サービスの範疇を超える内容による解決を求めていたものであり,被控訴人は,自らに法的責任がある旨認識していた。 (2) 被控訴人ア本件記載の24時は,0時とともに日付の変わり目に使用される表記であり,本件日程表は,その表紙に「5日間」の旅行として,「ご出発日10月18日」,「ご帰国日10月22日」と記載され,本文を見れば出発が10月18日1時35分であることは一目瞭然であり,Eのウェブページ上の画面の1日目の欄に「前日23:30~0:00:C集合」や 0月18日」,「ご帰国日10月22日」と記載され,本文を見れば出発が10月18日1時35分であることは一目瞭然であり,Eのウェブページ上の画面の1日目の欄に「前日23:30~0:00:C集合」や「1:35~2:00C空港出発」と明確に記載があるから,これらを総合すれば,本件記載が10月18日0時を示すことは明確となっている。 イ対面販売ではないインターネット上の旅行契約の申込み,それも航空機とホテルのみを定める旅行では,顧客の自己責任が強く要請される。本件ツアーについては,本件旅行契約の申込みまでに,Eのウェブページ上に次々現れる画面に日程表が表示されるのであるから,同契約の申込みを行ったということは,当然日程の確認をしたことが前提となっている。そして,本件日程表は,申込みの誘因文書ではなく,日程を確定して旅行契約 を締結した顧客に送付するものであるから,控訴人らが本件ツアーに参加できなかったのは,本件旅行契約を申し込んだ時点で日程を誤っていたのであり,本件日程表の本件記載に起因するものではない。 したがって,本件ツアーに参加できなかったことは,もっぱら控訴人らの責任によるものである。 ウ旅行業界では,顧客サービスを重視して顧客と対立することを回避し,苦情による職員の精神的負担の軽減を考慮して,対価以上のお見舞金を支払うこともあり得るのであり,被控訴人が控訴人らに対し,お見舞金を提示したのは,顧客サービスであり,法的責任を認めるものではない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ2万3701円及びこれに対する平成23年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 2 認定事実以下のと に対し,それぞれ2万3701円及びこれに対する平成23年10月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 2 認定事実以下のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決8頁21行目の「甲2」から「6,」までを,「甲1ないし4,6,8ないし11,乙1,3,6,9,10,」と改める。 (2) 原判決8頁25行目の「本件ツアーは,」を,「控訴人らは,控訴人Fが平成23年春に結婚してGへ転居する予定であったことから,その前に友人同士でAのDへ旅行しようと考えた。本件ツアーは,」と改める。 (3) 原判決10頁11行目から13行目までを,次のとおり改める。 「 なお,上記メールには,出発日の7日前を目途に,スケジュール詳細や出発日当日の集合場所・時間などを案内した参加者全員分の最終日程表を,参加者の代表者宅へ一括して送付する旨が案内されていた。 (4) 控訴人らは,10月3日,被控訴人に対し,本件ツアーの代金を支払い,その数日後,被控訴人は,上記メールの案内に従い,控訴人B宅に本件日程表を送付した。 本件日程表は,表裏4頁の簡易なものであり,表紙(1頁目)には,「H」「10月出発限定!ファイナルプライス A・D5日間」「ご出発日:2011年10月18日火曜日ご帰国日:2011年10月22日土曜日」と,四角の枠に囲まれた記載がされ,その下に「ご出発のご案内」として,「集合日時:2011年10月18日火曜日24時00分「時間厳守でお願いします。」」と,さらに「集合場所」の記載を挟んで,「出発便:A航空85便1時35分出発」と,それ 発のご案内」として,「集合日時:2011年10月18日火曜日24時00分「時間厳守でお願いします。」」と,さらに「集合場所」の記載を挟んで,「出発便:A航空85便1時35分出発」と,それぞれ記載されている。」(4) 原判決10頁22行目と23行目の間に,次のとおり加える。 「 そして,控訴人らは,10月11日に本件オプショナルツアー(ウ)を,同月13日に本件オプショナルツアー(ア)及び(イ)を,それぞれ予約した。」(5) 原判決11頁24行目から12頁4行目までを,次のとおり改める。 「(7)ア控訴人らは,集合日時である10月18日午前0時にG国際空港(C)内の集合場所に参集せず,搭乗予定であった航空機は予定どおり同日午前1時35分ころに出発した。被控訴人の担当者であるIは,このことを上司のJに報告をして指示を受け,同日午前9時50分ころ,控訴人Bに電話をし,集合場所に参集しなかった理由を確認したところ,同日夜に集合するものと認識していたとのことであり,困っていたので,対応を検討して改めて電話をもらうことにし,控訴人らが認識していた日程での旅行を希望した場合,それに対応できるように航空機の座席を探すことにした。 その後,同日午前11時ころ,控訴人Kから相談を受けたLから, 被控訴人に電話があり,本件日程表の本件記載が集合日時の記載ミスであることを指摘され,控訴人らが申し込んだのは同日出発のものであったことなどを説明したが,納得してもらえなかったので,お詫びをし,Lの了解を得て再び控訴人Bに電話をし,本件記載による集合日時がわかりにくかったことを詫びたが,控訴人Bは激高し,本件記載は誤記であるとして謝罪を要求したため,Iは,控訴人Bに本件記載について謝罪し,控訴人らが理解して 人Bに電話をし,本件記載による集合日時がわかりにくかったことを詫びたが,控訴人Bは激高し,本件記載は誤記であるとして謝罪を要求したため,Iは,控訴人Bに本件記載について謝罪し,控訴人らが理解していた日程に併せて旅行ができるように航空機を手配している旨伝えた。ところが,控訴人Bは,本件オプショナルツアーに間に合わないなどとしてそれを拒否し,旅行代金の全額返還とD以外への無償旅行を要求したため,Iは,再び連絡をする旨伝えていったん電話を切った。 Iは,上司のJらに上記電話の内容を伝えて相談をした。被控訴人としては,D以外への無償旅行には応じられないが,10月19日午前0時30分C発のM経由D行きのM航空便の座席3席の確保ができたので,追加費用なしでのDへの同等のツアー(オプショナルツアーの手配も含む。)を手配すること,あるいは,支払を受けた旅行費用を全額返還し,見舞金として旅行代金相当額(1人3万8800円)を支払うことの二案を提案しようということになり,18日午後2時ころ,Iが控訴人Bに電話をして上記二案を提案したが,控訴人Bは,電話がかかるまで2時間もかかったと非難するなどして,上記二案とも拒否した。 Jは,Iから上記報告を受けたところ,Lから電話があり,本件記載に問題がある旨指摘されたので,控訴人Bへの上記提案内容を説明したが,Lは納得せず,再び被控訴人が内容を検討することになった。 そして,Jは,控訴人Bに対し,被控訴人内部の手続を経て,旅行代金の全額返還とお見舞金5万円を支払う旨の最終提案をしたが,控訴 人Bは納得せず,交渉は決裂に終わった。 イこれに対し,控訴人らは,Iが無償で代替旅行の提案をしながら,その後,提案を覆したと主張し,控訴人Bは,Iが,当初,無償で他の海外旅行を手配すると約束 人Bは納得せず,交渉は決裂に終わった。 イこれに対し,控訴人らは,Iが無償で代替旅行の提案をしながら,その後,提案を覆したと主張し,控訴人Bは,Iが,当初,無償で他の海外旅行を手配すると約束したとの趣旨の供述をし,その陳述書(甲9)にも同趣旨の記載がある。 しかし,I作成の陳述書(乙9)には,無償旅行を要求されたものの,自分の一存で決めることのできる問題ではないので,いったん電話を置かせてもらってから連絡したいと伝え,一応控訴人らの要望を聞いたにすぎないとの趣旨の記載があるところ,一社員にすぎないIが,社内での検討もなく無償で他の海外旅行の手配を約束するとは考えられないから,Iの上記陳述書中の記載部分は合理的であって,控訴人Bの上記供述等は採用できず,その他,控訴人らの上記主張を認めるに足りる証拠はない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 また,控訴人Bは,本人尋問において,代替航空機はN発O経由であったとか,Dへの代替旅行には追加料金がかかると言われたなどと供述し,控訴人Bの陳述書(甲9)にもこれに沿う部分があるが,代替航空機の航空会社はわからないとか,追加料金の額は覚えていないなどとあいまいな供述に終始しており,たやすく採用できない。」 3 争点(1)(控訴人らの本件ツアー不参加は被控訴人の不法行為又は債務不履行によるものか)について(1) 本件記載についてアまず,不法行為責任について検討する。 商品としてのツアーを企画し旅行契約を締結した旅行会社は,ツアーを催行する債務を負っており,ツアーを円滑に催行する前提として,顧客に対して集合から解散までのツアーの具体的日程を正確に周知させることが 必要となる。そして,誤った,あるいは,あいまいな集合日時や集合場所を通知 ツアーを円滑に催行する前提として,顧客に対して集合から解散までのツアーの具体的日程を正確に周知させることが 必要となる。そして,誤った,あるいは,あいまいな集合日時や集合場所を通知した場合には,顧客が正しい集合日時や集合場所に集合できなくなることは容易に予見できるから,旅行会社は,ツアーの実施前において,顧客に対し,正確な集合日時や集合場所を周知する注意義務(以下,この注意義務を「本件注意義務」という。)を負うと解すべきである。 そして,旅行会社が顧客に配布する日程表は,顧客にとって上記各事項を正確に認識する重要な資料であるから,それに記載された集合日時等が,一義的でなく,顧客に誤った認識を与える可能性がある場合には,旅行会社は,本件注意義務に違反したものというべきである。 また,日程が掲載されたインターネットによってツアーの申込みをする場合であっても,顧客がその後に配布される日程表によって最終的に正確な集合日時等を認識するのが通常であるといえるから,上記申込みによる場合であっても,旅行会社が本件注意義務を負うことに変わりはないというべきである。 イそこで,本件についてみると,本件日程表の表紙中の本件記載は,通常10月18日から19日に日付が変わる時刻を指すものと解されるところ,本件ツアーの集合日時は10月18日0時(同月17日から18日に日付が変わる時刻)であるから,本件記載自体は,誤った日時の表記であり,顧客に対し,本件ツアーの集合日時を正しい集合日時から24時間後の時刻と誤信させる表記であるというべきである。 もっとも,本件日程表の表紙には,本件記載のほかにも,「A・D5日間」及び「ご出発日:2011年10月18日火曜日ご帰国日:2011年10月22日土曜日」と記載され,これを前提に「出 ある。 もっとも,本件日程表の表紙には,本件記載のほかにも,「A・D5日間」及び「ご出発日:2011年10月18日火曜日ご帰国日:2011年10月22日土曜日」と記載され,これを前提に「出発便:A航空85便1時35分出発」という記載があるところ,航空機の出発日を本件ツアーの出発日と理解すれば,出発日時は10月18日1時35分ということになり,本件記載がそれ以前の同日0時(同月17日から18日に 日付が変わる時刻)を示していると解することができないではない。また,本件日程表は全4頁という簡易なものであり,その本文のうち3頁目には,搭乗する航空機が10月18日1時35分発で同日6時20分にD着であることが明記されるとともに,本件ツアーの日程につき,10月18日から21日まですべてD泊と,一覧性のある表形式で記載されており,控訴人Bが本件ツアーの申込みの際に閲覧したEのウェブページ上の日程表では,集合日時が出発日の前日の23時30分から午前0時であることが記されていたことを併せ考慮すると,上記ウェブページでの記載を踏まえて,本件日程表の本文の記載を十分確認すれば,本件記載が10月18日0時の趣旨であると気づき,そのように判断することは,必ずしも困難なこととはいえない。 しかし,本件日程表の表紙の記載については,本件ツアーの集合日を出発日と理解すれば,本件ツアーは同日から同月22日までの5日間で,航空機の出発は同月19日1時35分発と解する余地があるから(控訴人Bは,本人尋問において,せこいとは思ったが格安であるからそんなものかなと思ったとして,同月18日24時に集合して,同日からであるとするツアーであると理解していた旨供述している。),表紙の記載のみからは,本件記載が10月18日0時の趣旨であると一義的に特定でき のかなと思ったとして,同月18日24時に集合して,同日からであるとするツアーであると理解していた旨供述している。),表紙の記載のみからは,本件記載が10月18日0時の趣旨であると一義的に特定できるものではない。また,本件記載は,表紙中央の目立つ場所に設けられた集合日時欄にある「10月18日24時」との表示であるから,本件日程表を手にした顧客がまず表紙の記載事項を確認し,本件記載を所与の前提として本件日程表を読み進めることになるため,本件記載の集合日時が3頁の日程欄1日目に記載された航空機の出発時刻と整合しないことに気がつかないことがあり得るのであり,現に控訴人Bは気づかなかったのである。さらに,顧客がEのウェブページ上の日程表を見て本件ツアーを申し込んだといっても,それはツアーの催行よりある程度前のことであり(控訴人らの場合 は20日前),集合日時も「前日11時30分から0時」と概括的に掲載されていたのであるから,その後送付された本件日程表の本件記載を見て,それが正式な集合日時であると認識することは考えられるのであって,上記ウェブページ上の日程表の記載を見ていたから,本件記載が当然10月18日0時を表示するものであると気づくというものでもない。 そうすると,本件記載にそれが同月17日から18日に日付が変わる時刻であるとの注意書き等がなされていない以上,顧客が集合日時を間違える可能性のあることは否定できず,被控訴人には本件注意義務に反する過失があったというべきである。 したがって,被控訴人は,控訴人らが集合日時を誤信して本件ツアーに参加できなかったことについて,不法行為責任を負うというべきである。 ウこれに対し,被控訴人は,0時と24時は同じ意味に解されることが多く,集合時間の記載は,本件日程表全体として理 ツアーに参加できなかったことについて,不法行為責任を負うというべきである。 ウこれに対し,被控訴人は,0時と24時は同じ意味に解されることが多く,集合時間の記載は,本件日程表全体として理解すべきものであり,一部分のみで解釈すべきものではないこと,本件日程表には,10月18日1時35分発の航空機に搭乗することが明記されているのであるから,これに間に合うように集合時間が設定されるのは当然であること,同月18日にDに到着することになっており,日程が5日間であることからすれば日程を間違うはずはないことを指摘し,本件ツアーの出発時刻までに集合しなかったのは控訴人らの落ち度であり,被控訴人に過失はなく不法行為責任を負わない旨主張する。 なるほど,本件日程表の本文(3頁目の記載)を読めば,本件記載が10月18日0時の趣旨であることに気づき,そのように判断することは必ずしも困難とはいえないことは前記のとおりであり,そうであるのに,本件記載を文字とおり「10月18日24時」(10月18日から19日に日付が変わる時刻)と理解し,そのように理解した場合には,本文記載の航空機の搭乗時刻との整合しなくなることに気づかずに行動したことにつ いて,控訴人らにも落ち度があったことは否定できない。しかし,集合時間の記載は,本件日程表全体として理解すべきであるという被控訴人の主張自体,集合日時の通知に関する前記重要性を軽視するものであり,本件日程表の本文やEの日程表の記載を踏まえなければ,本件記載が示す日時の趣旨を正しく理解できないということ自体,本件記載の不備を端的に表すものというほかはない。前日の24時と当日の0時が時刻としては同じ時間を意味するとしても,同一日の0時と24時では時刻が異なることは明らかであるから,本件日程表の と自体,本件記載の不備を端的に表すものというほかはない。前日の24時と当日の0時が時刻としては同じ時間を意味するとしても,同一日の0時と24時では時刻が異なることは明らかであるから,本件日程表の本文に合わせて,集合日時を10月18日0時と記載すれば足りたのであり,仮に,同日24時と記載するのであれば,顧客との理解の不一致を避けるために,「同月17日から18日に日付が変わる時刻」などとの注意書きを添えることもできたのであるから,本件記載の集合日時に疑問を抱かなかった控訴人らに落ち度があることをもって,被控訴人に本件注意義務違反がないということにはならない。 したがって,被控訴人の上記主張は採用できない。 エまた,被控訴人は,控訴人らは,インターネットで本件ツアーの日程の確認をした上で,日程が特定された本件ツアーを申し込み,本件旅行契約を締結したものであるから,控訴人らは,既に申込みの段階で日程を誤っていたものであるから,本件ツアーに参加できなかったことは,もっぱら控訴人らの責任によるものである旨主張する。 なるほど,インターネットで日程が特定された本件ツアーを申し込む以上,日程の確認をするのが通常であり,現実に控訴人らも,10月18日から同月22日までのツアーであることは認識していたものであり,集合日時(ただし,Eのホームページ上では,「前日23:30~0:00」と概括的な記載にとどまっている。)等のその他の事項も,一応目を通したものと推認される。しかし,後に日程表が送付される以上,それ以上の詳細については,日程表が送付された時点で再確認をして本件ツアーに参 加することが当然予想されるのであるから,本件日程表の集合時間表示に誤記がある以上,控訴人らが本件ツアーに参加できなかったことが,もっぱら控訴人 れた時点で再確認をして本件ツアーに参 加することが当然予想されるのであるから,本件日程表の集合時間表示に誤記がある以上,控訴人らが本件ツアーに参加できなかったことが,もっぱら控訴人らのみの責任であるということはできない。 したがって,被控訴人の上記主張は採用できない。 (2) 10月17日の被控訴人の社員の応答について上記認定のとおり,10月17日,控訴人Bは,被控訴人の社員に,D到着時に現地ガイドの迎えがあるか否かを確認し,同社員はそれに回答をしたにすぎず,控訴人Bが,同月19日朝にDに到着することを確認し,同社員がそのとおりであると回答したとの事実が認められないことは,既に説示したとおりである。 したがって,10月17日の被控訴人の社員の応答は,控訴人らに集合日時を誤信させるものであったとはいえないから,不法行為又は債務不履行に当たるということはできない。 4 争点(2)(控訴人らの集合日時不参集後における被控訴人の対応の不法行為又は債務不履行の成否)について被控訴人は,控訴人らが本件ツアーの集合日時である10月18日の0時に集合場所に参集しなかった後,同日の午前9時40分ころまで,被控訴人の担当者が控訴人らに確認の電話を入れていないが,控訴人らに対し,既に本件日程表を送付しており,本件旅行契約を締結したからといって,同契約に付随して,顧客が集合日時を失念や誤解等をしている場合までを想定して,集合場所に参集しなかった顧客に確認の連絡を取る義務を負うとまではいえないから,被控訴人の担当者が,同日の午前9時50分ころまで確認の電話を入れなかったことが,不法行為又は債務不履行に当たるということはできない。 また,本件日程表に本件記載をしたことが不法行為に当たり,被控訴人は,これによって控訴 の午前9時50分ころまで確認の電話を入れなかったことが,不法行為又は債務不履行に当たるということはできない。 また,本件日程表に本件記載をしたことが不法行為に当たり,被控訴人は,これによって控訴人らが被った損害について賠償義務を負うのであるが,そのほかに当然に被控訴人が控訴人らに対して謝罪すべき法的義務を負うものでは ないから(民法722条1項による同法417条の準用,同法723条参照),被控訴人の担当者が,控訴人らに直ちに謝罪しなかったことが不法行為に該当するということはできないし,本件旅行契約上,対象となる本件ツアーにおいて問題が生じた場合に被控訴人の顧客に対して謝罪する旨の合意があることを認めるべき証拠はないから,被控訴人の債務不履行にも該当しない。 さらに,控訴人らは,被控訴人の担当者が無償で代替旅行の提案をしながら,その後,提案を覆し,金銭解決か,追加費用を控訴人らが負担して航空機を乗り継いでDに向かう提案をし,不誠実で一貫しない対応をしたことが不法行為に当たる旨主張するが,被控訴人の担当者が無償でのD以外への代替旅行の提案をしたことはなく,また,Dへの代替旅行について追加費用を負担させる提案をしたことのないことは前記認定のとおりである。 したがって,この争点に関する控訴人らの主張は,いずれも採用できない。 5 過失相殺について上記のとおり,被控訴人は控訴人らに対して不法行為責任を負うというべきであるが,他方,控訴人らにおいても,被控訴人から本件日程表が送付された以上,本件ツアーに参加するものとしてその内容を十分に確認すべきであり,本件日程表中の本件記載以外の部分を読めば(本文の1日目の日程欄を見れば,搭乗する航空機の出発時刻が18日午前1時35分であることが直ちに判明したものである。),出発日時 を十分に確認すべきであり,本件日程表中の本件記載以外の部分を読めば(本文の1日目の日程欄を見れば,搭乗する航空機の出発時刻が18日午前1時35分であることが直ちに判明したものである。),出発日時は,本件記載から読み取れる10月18日から19日に日付が変わる時刻ではなく,同月17日から18日に日付が変わる時刻ではないかと気づき,そのように判断することが,必ずしも困難ではなかったことは上記3(1)イで説示したとおりである。 そして,証拠(甲2,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,本件ツアーは,いわゆるパック旅行のような,集合日時に集合場所に参集さえすれば,後は顧客自身の判断や裁量に基づく行動が原則として必要とされず,添乗員や現地ガイドの指示で旅行や観光ができるといった内容ではなく,D滞在中の観光等につ いては,顧客がこれを希望するのであれば,予め自分でオプショナルツアーを探し,申込みをしなければならない内容となっていることが認められるから,本件ツアーは,その申込みをする顧客において,Eのウェブページ上の本件ツアーの日程表及び本件日程表の内容を十分に検討することが通常予定されているものということができるのであり,現に控訴人らは,オプショナルツアーを申し込み,その中には,10月19日午前9時にホテルに日本人ガイドの迎えが来るものがあったのであるから,出発日時と現地到着日時を十分に考慮してその申込みを行ったものと推認することができる。にもかかわらず,控訴人らは,当初のツアー申込時に,出発日の前日が集合日であることが記載されたEのウェブページ上の日程表の記載を確認せず,安易に,集合日時を18日中であると理解し,また,被控訴人からの確認のメールで,再度日程表の確認を促された際にも,これを確認せず,さらに,送付された本件日程表の本件記載 ジ上の日程表の記載を確認せず,安易に,集合日時を18日中であると理解し,また,被控訴人からの確認のメールで,再度日程表の確認を促された際にも,これを確認せず,さらに,送付された本件日程表の本件記載のみから,本件ツアーの集合日時を同月18日24時と考え,本件日程表のその他の記載を十分に確認することなく,その結果,本来の集合日時に間に合わなかったのであって,控訴人らには,本件ツアーの集合日時が10月18日0時であることを認識する機会が再三にわたってありながら,自らこれを逸したものといえるから,控訴人らの本件ツアーの不参加については,控訴人らにも大きな過失があったというべきである。 加えて,証拠(乙7,8,11)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人が本件ツアー及び本件ツアーと同様に集合日時を表示して行った旅行企画においても,控訴人ら以外に,集合日時を間違えてツアーに参加できなかった顧客はいなかったことが認められる。 以上のような諸事情もを総合勘案すると,被控訴人と控訴人らの過失割合は,被控訴人が3割,控訴人らが7割とするのが相当というべきである。 6 争点(3)(控訴人らの損害)について(1) 前提事実のとおり,控訴人らはそれぞれ,被控訴人に対し,本件ツアー の代金3万8800円を,その他の旅行業者に対し,本件オプショナルツアーの代金1万3050円を支払ったが(合計5万1850円),被控訴人の過失により,本件ツアーに参加することができず,その後,本件オプショナルツアーの代金の一部である2845円の返金を受けたにとどまるから,それぞれ4万9005円の損害を被ったというべきである。 また,控訴人らは,控訴人Fの結婚前の最後の友人同士の旅行であった本件ツアーに参加することができず,精神的損害を被ったものと認められ それぞれ4万9005円の損害を被ったというべきである。 また,控訴人らは,控訴人Fの結婚前の最後の友人同士の旅行であった本件ツアーに参加することができず,精神的損害を被ったものと認められるところ,その慰謝料はそれぞれ3万円とするのが相当というべきである。 そして,控訴人らが被った損害には,控訴人らの過失が7割寄与しているから,過失相殺後の控訴人らの損害額は,それぞれ2万3701円(79,005×0.3)となる。 (2) したがって,被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ損害賠償金2万3701円及びこれに対する不法行為の日である平成23年10月18日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払債務を負う。 第4 結論以上によれば,原判決は相当でないから,これを変更することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第3部 裁判長裁判官長門栄吉 裁判官内田計一 裁判官山崎秀尚

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