平成18(行ウ)265等 退去強制令書発付処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年5月25日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文25,973 文字)

主文 本件訴えのうち,甲事件原告及び乙事件原告に対する在留特別許可をしないとの各決定の取消しを求める部分並びに甲事件原告及び乙事件原告に対し在留特別許可処分をすることを求める部分をいずれも却下する。 その余の訴えに係る甲事件原告及び乙事件原告の各請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,甲事件及び乙事件を通じ,甲事件原告及び乙事件原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 裁決行政庁が甲事件原告及び乙事件原告に対して平成17年12月6日付けでそれぞれした在留特別許可をしないとの各決定をいずれも取り消す。 裁決行政庁が甲事件原告及び乙事件原告に対して平成17年12月6日付けでそれぞれした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく甲事件原告及び乙事件原告の異議の申出には理由がない旨の各裁決をいずれも取り消す。 裁決行政庁は,甲事件原告及び乙事件原告に対し,在留資格を「定住者」及び在留期間を「3年」とする在留特別許可処分をそれぞれせよ。 処分行政庁が甲事件原告及び乙事件原告に対して平成17年12月12日付けでそれぞれした各退去強制令書発付処分をいずれも取り消す。 第2事案の概要本件は,それぞれ東京入国管理局(以下「東京入管」という。)横浜支局入国審査官から出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条4号ロ(不法残留)に該当する旨の認定を受け,次いで,同支局特別審理官から 同認定に誤りがない旨の判定を受け,さらに,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長(以下「東京入管局長」という。なお,以下,法務大臣及び同大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長を「法務大臣等」という。)から入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件各裁決」という。)を受けた大韓民国(以下「 務大臣及び同大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長を「法務大臣等」という。)から入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件各裁決」という。)を受けた大韓民国(以下「韓国」という。)の国籍を有する外国人の女性である甲事件原告(以下「原告子」という。)及び乙事件原告(以下「原告母」といい,原告子と併せて「原告ら」という。)が,東京入管横浜支局主任審査官からそれぞれ退去強制令書発付処分(以下「本件各退令処分」という。)を受けたため,原告らに在留特別許可を認めなかった本件各裁決には,原告らに「定住者」の在留資格該当性があることを判断の基礎としなかった点において,裁量権の逸脱又は濫用があり,本件各裁決を前提としてされた本件各退令処分もまた違法である旨主張して,本件各裁決及び本件各退令処分の各取消しを求めるとともに,東京入管局長が本件各裁決に当たってした在留特別許可をしないとの各決定の取消し及び在留特別許可付与の義務付けを求める事案である。 なお,甲事件及び乙事件に係る訴状及び訴状訂正書には,前記第1の請求欄記載1及び2の日付けが「平成17年12月12日」であると記載されているが,これらは「平成17年12月6日」の誤記であると認める。 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。なお,証拠により容易に認めることのできる事実並びに当裁判所に顕著な事実は,その旨付記しており,それ以外の事実は,当事者間に争いがない。 (1)原告らの身分事項について原告母は,昭和▲年(▲年)▲月▲日,韓国において出生した韓国国籍を有する外国人の女性であり,原告子は,平成▲年▲月▲日,東京都葛飾区において,原告母と韓国国籍を有する男性の外国人であるA(昭和▲年(▲年)▲月▲日生まれ。以下「A」という。)との間の子として出生 有する外国人の女性であり,原告子は,平成▲年▲月▲日,東京都葛飾区において,原告母と韓国国籍を有する男性の外国人であるA(昭和▲年(▲年)▲月▲日生まれ。以下「A」という。)との間の子として出生した韓国国籍を有する外国人の女性である。(乙1,乙5の4及び5,乙11,乙13,乙29)(2)原告母の1回目の入国及び原告らの1回目の在留の状況についてア原告母は,平成6年7月18日,新東京国際空港(現在の成田国際空港。 以下「成田空港」という。)に到着し,東京入管成田支局入国審査官から,在留資格を「短期滞在」及び在留期間を「15日」とする上陸許可を受けて,本邦に入国した(以下,同上陸許可に基づいてした原告母の入国を「1回目の入国」ということがある。)。 原告母は,その後,在留期間の更新又は在留資格の変更の許可を受けることなく,在留期限である平成6年8月2日を超えて,本邦に不法に残留した。 (乙1)イ原告母と,永住者の在留資格をもって本邦に在留するAは,平成9年3月7日,婚姻の届出をした。(乙1,乙5の4及び5)ウ原告母は,平成▲年▲月▲日,東京都葛飾区においてAとの間の子である原告子を出産した。 原告子は,出生後,入管法22条の2第2項に定める期限である平成9 年6月1日までに同条3項及び4項に定める在留資格の取得の許可を受けることなく,同条1項により本邦に在留することができる出生日から60日後である同年7月1日を超えて本邦に不法に残留した。 (乙1,乙2の1ないし3,乙13)エAは,平成9年8月22日,原告子の親権者をAとする協議離婚の届出をした。(乙5の4)オ原告らは,平成10年3月6日,韓国への早期帰国を求めて,東京入管横浜支局に出頭し,不法残留の事実を申告した。同支局入国審査官は,原告母が入管法24条4号ロ(不法 婚の届出をした。(乙5の4)オ原告らは,平成10年3月6日,韓国への早期帰国を求めて,東京入管横浜支局に出頭し,不法残留の事実を申告した。同支局入国審査官は,原告母が入管法24条4号ロ(不法残留)に該当する旨の認定及び原告子が同条7号(不法残留)に該当する旨の認定をそれぞれ行い,これらを通知したところ,原告らは,同各認定に服し,口頭審理の請求を放棄した。同支局主任審査官は,同月17日,原告らに対する各退去強制令書をそれぞれ発付し,原告らは,同月19日,同各令書の執行により韓国に向けて強制送還された。(乙1,乙2の1ないし3,乙3の1ないし4)(3)原告母の2回目の入国及び在留の状況並びに原告子の入国及び2回目の在留の状況についてア原告母は,平成12年11月23日,成田空港に到着し,東京入管成田空港支局入国審査官から,在留資格を「短期滞在」及び在留期間を「15日」とする上陸許可を受け,本邦に入国した(以下,同上陸許可に基づいてした原告母の入国を「2回目の入国」ということがある。)。 原告母は,その後,在留期間の更新又は在留資格の変更の許可を受けることなく,在留期限である平成12年12月8日を超えて,本邦に不法に 残留した。 (乙1,乙30の2)イAは,平成13年6月14日,東京入管において,原告子に係る在留資格認定証明書交付申請書を提出し,法務大臣は,Aに対し,同年7月24日,在留資格を「定住者」及び在留期間を「3年」とする原告子に係る在留資格認定証明書を交付した。(乙1,4)なお,入管法7条1項2号は,定住者の在留資格に係る上陸許可の審査は,法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに該当するか否かについてされる旨規定し,その告示については,「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第2の定 上陸許可の審査は,法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに該当するか否かについてされる旨規定し,その告示については,「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第2の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件」(平成2年法務省告示第132号。以下「定住者告示」という。)が存在するところ,定住者告示6号は,「永住者の在留資格をもって在留する者」の「扶養を受けて生活する」「未成年で未婚の実子」に該当するものをもって,入管法7条1項2号の「あらかじめ告示をもって定めるもの」に当たるとしている。 ウ原告子は,平成13年9月7日,成田空港に到着し,東京入管成田空港支局入国審査官から,在留資格を「定住者」及び在留期間を「3年」とする上陸許可を受け,本邦に入国した。(乙1,乙30の1,乙31の1)エ原告母は,平成14年12月5日,東京家庭裁判所に対し,原告子の親権者をAから原告母に変更する旨の審判を求める親権者変更の申立てをしたところ,同裁判所は,同15年6月30日,原告子の親権者をAから原告母に変更する旨の審判をし,同審判は確定した。(乙12) オ原告母は,平成15年8月26日,東京入管横浜支局に出頭し,原告母の不法残留の事実を申告し,原告子の養育などを理由に本邦での在留を希望する旨申し立てた。(乙6)カ原告子は,平成▲年▲月,川崎市内の小学校に入学した。(乙14の1,乙17の1)キ原告子は,平成16年8月18日,原告母を代理人として,東京入管横浜支局において,在留期間更新許可申請をした。 法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長は,平成16年12月8日,東京入管横浜支局入国審査官を介して,原告母に対し,上記申請については,原告子が定住者告示で定めた地位を有しているとは認められず,また,他に本邦への居住 受けた東京入管局長は,平成16年12月8日,東京入管横浜支局入国審査官を介して,原告母に対し,上記申請については,原告子が定住者告示で定めた地位を有しているとは認められず,また,他に本邦への居住を認めるに足りる特別な理由も認められないから,申請どおりの内容では許可することはできないが,申請内容を出国準備目的とする申請に変更するのであれば,その旨の申出書の提出によって変更することができる旨通知したところ,原告母が同申出書を提出したため,東京入管局長は,同日,原告子に対し,在留資格を「特定活動」及び在留期間を「4月」とする在留資格変更許可をした。 (乙1,乙5の1ないし6,乙7の1及び2)ク原告子は,平成16年12月20日,原告母を代理人として,東京入管横浜支局において,在留資格を「特定活動」から「定住者」に変更する旨の在留資格変更許可申請をした。 法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長は,平成17年1月24日,東京入管横浜支局入国審査官を介して,原告母に対し,上記申請につ いては,原告子が定住者告示で定めた地位を有しているとは認められず,また,他に本邦への居住を認めるに足りる特別な理由も認められないから,申請どおりの内容では許可することはできないが,申請内容を出国準備目的とする申請に変更するのであれば,その旨の申出書の提出によって変更することができる旨通知したところ,原告母が同申出書を提出しない旨の意思を表明したため,東京入管局長は,同日,上記申請を不許可とした。 原告子は,その後,在留期間の更新又は在留資格の変更の許可を受けることなく,在留期限である平成17年1月7日を超えて,本邦に不法に残留した。 (乙1,乙8の1及び2,乙9,乙10,乙26,乙30の1)(4)原告らに対する退去強制手続等についてア東京入管横浜支局入 く,在留期限である平成17年1月7日を超えて,本邦に不法に残留した。 (乙1,乙8の1及び2,乙9,乙10,乙26,乙30の1)(4)原告らに対する退去強制手続等についてア東京入管横浜支局入国警備官は,平成16年11月29日及び同17年1月24日,原告らについて違反調査を実施し,その結果,同年3月8日,原告らが入管法24条4号ロ(不法残留)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,同支局主任審査官から各収容令書の発付を受け,同月14日,同各令書を執行して,原告らを同支局収容場に収容した上,原告らを同号ロ該当容疑者として,同支局入国審査官に引き渡した。(乙14の1及び2,乙15の1及び2,乙16の1及び2)イ東京入管横浜支局入国審査官は,平成17年3月14日,原告らについて違反審査を実施し,その結果,原告らがそれぞれ入管法24条4号ロに該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨認定し,これらを通知したところ,原告らは,同日,特別審理官による口頭審理を請求した。 なお,東京入管横浜支局主任審査官は,平成17年3月14日,原告らについて仮放免を許可した。 (乙17の1及び2,乙18の1及び2,乙27の1及び2)ウ東京入管横浜支局特別審理官は,平成17年5月17日,原告らについて口頭審理を実施し,その結果,それぞれ同支局入国審査官の認定に誤りはない旨判定し,これらを通知したところ,原告らは,同日,法務大臣に対し,異議の申出をした。(乙19,乙20の1及び2,乙21の1及び2)エ法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長は,平成17年12月6日,原告らの異議の申出にはいずれも理由がない旨の本件各裁決をし,東京入管横浜支局主任審査官にこれらを通知したところ,同主任審査官は,同月12日,原告らに本件各裁決を告知するとともに 17年12月6日,原告らの異議の申出にはいずれも理由がない旨の本件各裁決をし,東京入管横浜支局主任審査官にこれらを通知したところ,同主任審査官は,同月12日,原告らに本件各裁決を告知するとともに,本件各退令処分をし,同支局入国警備官は,同日,各退去強制令書を執行した。 なお,東京入管横浜支局主任審査官は,平成17年12月12日,原告らについて仮放免を許可した。 (乙22の1及び2,乙23の1及び2,乙24の1及び2,乙25の1及び2,乙28の1及び2)(5)本件各訴えの提起について原告らは,平成18年6月9日,本件各裁決及び本件各退令処分の取消しを求める本件訴えをそれぞれ提起した。(当裁判所に顕著な事実)。 争点 (1)在留特別許可をしない決定の取消しを求める訴えの適法性 本件各裁決に当たってされた在留特別許可をしない旨の判断が「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)であるといえるか。 (2)在留特別許可付与の義務付けを求める訴えの適法性在留特別許可付与の義務付けを求める訴えについて,「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」(行政事件訴訟法37条の2第1項)に該当するか。 (3)本件各裁決の適法性など東京入管局長は,原告らにつき特別に在留を許可すべき事情があるとは認められないと判断して本件各裁決をしているが,原告らについては「定住者」の在留資格該当性があるなどとして在留特別許可が付与されるべきであって,東京入管局長のした判断は,その裁量権を逸脱又は濫用した違法なものであるということができるか。 (4)本件各退令処分の適法性東京入管横浜支局主任審査官のした本件各退令処分は,適法な本件各裁決を前提とするものとし た判断は,その裁量権を逸脱又は濫用した違法なものであるということができるか。 (4)本件各退令処分の適法性東京入管横浜支局主任審査官のした本件各退令処分は,適法な本件各裁決を前提とするものとして,適法であるということができるか。 当事者の主張の要旨(1)争点(1)(在留特別許可をしない決定の取消しを求める訴えの適法性)について(被告の主張)入管法は,在留特別許可を受けて本邦に在留することができる実体上の権 利を外国人に保障しているとはいえず,在留特別許可の許否の判断(応答)を求めるについての申請権などの手続上の権利を付与する立法政策を採用しているともいえない以上,法務大臣等が在留特別許可をしない旨判断したとしても,これを対外的に表示する必要性もなく,実際に入管法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決に当たって,異議の申出に理由がないと認められ,かつ,在留特別許可をしないと判断されても,在留特別許可が付与されなかった旨が当該容疑者に通知されているわけでもない。 法務大臣等が在留特別許可をしない判断をするということは,当該容疑者に恩恵を付与しないという不作為にすぎず,その者の権利義務に何らの変動も生じさせないものであるから,その判断が「処分」(行政事件訴訟法3条2項)に該当するとはいえず,更にいえば,処分の外形すら存在しない。 したがって,在留特別許可を付与しない決定の取消しを求める原告らの訴えは,存在しない処分の取消しを求めるものとして,あるいは,行政事件訴訟法3条2項所定の処分に該当しない判断の取消しを求めるものとして,不適法である。 (原告らの主張)入管法49条1項に基づく原告らの異議の申出に係る各「裁決・決定書」には,「在留特別許可に関する決定に係る事項」として,その「決定内容」の欄に「出入国管理及び難民認定法 法である。 (原告らの主張)入管法49条1項に基づく原告らの異議の申出に係る各「裁決・決定書」には,「在留特別許可に関する決定に係る事項」として,その「決定内容」の欄に「出入国管理及び難民認定法第50条第1項の規定は適用しない。」と記載されている。 さらに,出入国管理及び難民認定法施行規則(以下「入管法施行規則」という。)42条4号は,「退去強制が著しく不当であることを理由として申 し出るときは,審査,口頭審理及び証拠に現われている事実で退去強制が著しく不当であることを信ずるに足りるもの」を入管法49条1項に基づく異議の申出に係る不服の理由として規定しているところ,本件のように,退去強制事由の存在に争いがない事案については,その裁決の判断の重点は,在留特別許可の許否にある。 また,在留特別許可をするか否かは,当該容疑者にとって本邦での在留の許否を決する重大なもので,本邦における在留資格の存否という根本的な地位について影響を及ぼすことにかんがみると,法務大臣等の在留特別許可をしない決定は,行政事件訴訟法3条2項の「処分」に該当するか,そうでなくとも,「その他公権力の行使に当たる行為」として,処分の取消しの訴えの対象となるから,その決定の取消しを求める訴えは適法である。 (2)争点(2)(在留特別許可付与の義務付けを求める訴えの適法性)について(被告の主張)入管法は,在留特別許可の付与を求める申請権を容疑者に認めていないから,在留特別許可付与の義務付けを求める訴えは,非申請型の処分の義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項1号)に当たるところ,同訴えは,「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができる。」ものと定められている(同法37条の ろ,同訴えは,「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができる。」ものと定められている(同法37条の2第1項)。 ところが,本件では,原告らに在留特別許可を付与しなかった本件各裁決に裁量権の逸脱又は濫用があるとしてこれらが取り消されれば,原告らは,本邦での在留を求めて本件訴えを提起した目的を達することができるのであ るから,在留特別許可付与の義務付けを求める訴えは,救済の必要性に関する要件を欠く不適法な訴えである。 (原告らの主張)本件各裁決が取り消されても,原告らに対し直ちに在留資格が認められるわけではない。論理的には,判決によって本件各裁決が取り消されても,再度,在留特別許可をしない決定がされて,原告らに対し退去強制令書が発付される可能性がある。 したがって,在留特別許可付与の義務付けを求める訴えは,いわゆる補充性の要件を満たすものとして,適法である。 (3)争点(3)(本件各裁決の適法性など)について(原告らの主張)ア入管法別表第2は,「永住者」,「日本人の配偶者等」及び「永住者の配偶者等」と並んで,「定住者」の在留資格を定めるところ,定住者の在留資格が付与される者は,「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」であると規定している。 入管法別表第2は,入管法別表第1との比較などから,我が国と地縁又は血縁がある外国人の身分関係に着目して定められた在留資格の類型を規定しているものと解されるところ,定住者の在留資格は,日本人及び永住者等と一定の身分関係に立つ外国人のうち,「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」に該当しない者に対して認められるものであり,いわば補充的な性格の在留資格であるといえる。 イ 格は,日本人及び永住者等と一定の身分関係に立つ外国人のうち,「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」に該当しない者に対して認められるものであり,いわば補充的な性格の在留資格であるといえる。 イ原告子は,永住者の在留資格を有するAの子として我が国で生まれた者 であり,その出生当時にAが手続をしていれば,永住者の在留資格が付与されるはずであったという事情がある。原告子は,その後,原告母と共に韓国へ帰国したことから,「永住者の在留資格をもつて在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」と略称する。)の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者」という「永住者の配偶者等」の身分又は地位に該当しないことになった。 また,原告らが平成14年5月23日にAと別居して,その被扶養者ではなくなり,その後,原告子の親権者がAから原告母に変更されたことなどから,原告子については,「永住者の在留資格をもって在留する者」の「扶養を受けて生活する」「未成年で未婚の実子」(定住者告示6号)に該当しないことになった。 しかしながら,原告らは,原告子が我が国で教育を受けることを強く希望しており,実際,原告子は,小学校にまじめに通い,学習面や生活態度面の評価も良好である。原告子は,日本語を用いて学習及び生活をしており,母語であるべき韓国語は,簡単な単語を知っている程度にすぎない。 原告子は,地域社会になれ親しみ,ピアノのレッスンや学習塾での勉強等の学外での活動にも励んでいる。 そもそも,永住者等の子として本邦で出生し「その後引き続き本邦に在留している者」という「永住者の配偶者等」の身分又は地位は,我が国との地縁を尊重する趣旨の定めであるところ,上記のような事情からすると,原告子については,引き続き本邦に在留している者と同視できる 在留している者」という「永住者の配偶者等」の身分又は地位は,我が国との地縁を尊重する趣旨の定めであるところ,上記のような事情からすると,原告子については,引き続き本邦に在留している者と同視できるだけの地縁を有しており,「永住者の配偶者等」に準じるものとして,「定住者」 の在留資格該当性が認められる。 ウ原告母は,1回目の入国の後,韓国へ帰国したため,法務省入国管理局作成の「入国在留審査要領第3分冊」と題する書面(以下「審査要領」という。)の「第30節定住者」の「第1該当範囲」の9(1)に記載されている,「永住者」の在留資格をもって在留する者と離婚後引き続き本邦に在留を希望する者に該当しないことになった。 しかしながら,原告母は,2回目の入国後,原告子の親権者となったことから,永住者の実子を扶養する外国人親として,平成8年7月30日付け法務省入国管理局長通達「日本人の実子を扶養する外国人親の取扱について」(以下「定住通達」という。)の準用を受ける身分又は地位を得た。 原告母は,原告子が生まれてから,原告母の父母が原告子を養育した時期を除いて,原告子を養育してきた。 原告母は,原告子の養育監護に努め,地域社会になれ親しむとともに,稼働して原告らの生活を維持するに十分な収入を得ている。 上記のような事情からすると,原告母については,Aと離婚したものの,独立の生計を営むに足りる収入を得て原告子を養育し,我が国における在留を希望しているのであるから,「永住者の配偶者等」に準じるものとして,「定住者」の在留資格該当性が認められる。 エこのように,原告らについては,いずれも定住者の在留資格に該当するものというべきであるところ,入管法違反の事実以外の非行事実は存在しない。他方において,原告らが韓国へ帰国しても,原告らの親族は,高齢であった ,原告らについては,いずれも定住者の在留資格に該当するものというべきであるところ,入管法違反の事実以外の非行事実は存在しない。他方において,原告らが韓国へ帰国しても,原告らの親族は,高齢であったり,病気であったり,無職であったりと,いずれも頼れる状況に ない。 そもそも,原告子は,自らの意思に基づいて入管法に違反した者ではないし,また,原告子が我が国で教育を受ける権利又は利益は,法的保護に値する。法務省入国管理局作成の平成18年10月付け「在留特別許可に係るガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)では,「本邦への定着性が認められ,かつ,国籍国との関係が希薄になり,国籍国において生活することが極めて困難である場合」を在留特別許可を認める積極的要素として挙げているところ,原告子は,この場合に該当するものである。 また,ガイドラインは,特別永住者の子であることを積極的要素として挙げているが,原告子は,永住者の在留資格を有するAの子であるから,これに準ずるものである。なお,ガイドラインは,消極的要素として,過去に退去強制手続を受けたことがあるときを挙げるが,原告子が過去に本邦から退去強制されたことにつき,原告子に帰責性がないことは,上記のとおりである。 さらに,ガイドラインは,日本人又は特別永住者の実子を扶養していることを積極的要素として挙げているところ,原告母は,永住者の在留資格を有するAの実子である原告子を扶養する者として,これに準ずる。また,同様の理由により,「本邦への定着性が認められ,かつ,国籍国との関係が希薄になり,国籍国において生活することが極めて困難である場合」にも該当する。なお,ガイドラインは,消極的要素として,過去に退去強制手続を受けたことがあるときを挙げるが,1回目の入国の際に原告母が受けた退去強制手続は,任 て生活することが極めて困難である場合」にも該当する。なお,ガイドラインは,消極的要素として,過去に退去強制手続を受けたことがあるときを挙げるが,1回目の入国の際に原告母が受けた退去強制手続は,任意出頭により開始されたものであって,その入管 法違反の程度が著しく高いとまではいえない。 オそのほか,法務省入国管理局から公表された在留特別許可がされた事例と比較しても,原告らに対しては在留特別許可が付与されるべきであり,本件各裁決は,原告らについて,「永住者の配偶者等」の在留資格に準ずる「定住者」の在留資格該当性が認められるべきであったのに,その事実を誤認して,原告らにつき「定住者」の在留資格該当性がないと判断してされたものであるから,本件各裁決における東京入管局長の判断は,事実の基礎を欠くものとして違法である。 カそして,前述したところによれば,在留特別許可をしない決定も違法であって取り消されるべきであるし,また,原告らに対しては,在留資格を「定住者」及び在留期間を「3年」とする在留特別許可付与の義務付けを命ずる判決がされるべきである。 (被告の主張)ア在留特別許可は,退去強制事由に該当することが明らかで,当然に本邦から退去を強制されるべき者に対し,特別に在留を認める処分であって,その性質は,恩恵的なものというべきである。そして,在留特別許可を付与するか否かの判断をするに当たっては,当該外国人の個人的事情のみならず,その時々の国内の政治,経済,社会等の諸事情,外交政策,当該外国人の本国との外交関係等の諸般の事情を総合的に考慮すべきものである。 このように,在留特別許可に係る法務大臣等の裁量の範囲は極めて広範なものであって,極めて例外的にその判断が違法となり得る場合があるとしても,それは,在留特別許可の制度を設けた入管法の趣旨に明 ある。 このように,在留特別許可に係る法務大臣等の裁量の範囲は極めて広範なものであって,極めて例外的にその判断が違法となり得る場合があるとしても,それは,在留特別許可の制度を設けた入管法の趣旨に明らかに反 するなど極めて特別な事情が認められる場合に限られる。 イ原告らについては,いずれも不法残留という退去強制事由に該当し,かつ,出国命令対象者の要件に該当しないのであるから,原告らが法律上当然に退去強制されるべき外国人に当たることは明らかである。 原告らは,在留特別許可を付与されるべき事情として,それぞれ「定住者」の在留資格に該当する身分又は地位を有する旨主張するが,その主張にはいずれも理由がない。 ウそして,原告母については,①その在留状況などが悪質であること,及び②原告母を韓国に送還しても特段の支障がないこと,原告子については,③我が国で出生した後約10箇月で韓国に送還され,平成13年9月に再度本邦に入国するまでの間,原告母やその両親と共に韓国で生活していたこと,及び④本件各裁決時には,▲歳という環境の変化に対する順応性や可塑性に富む年齢にあり,韓国に送還されることになっても,その生活歴などに照らし,時の経過とともに,現地の生活環境になじみ得るものと考えられることなどからすると,原告らについて,在留特別許可を付与しなかったことが在留特別許可制度を設けた入管法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情が存在するとは認められないというべきである。 エしたがって,本件各裁決は,適法である。 (4)争点(4)(本件各退令処分の適法性)について(原告らの主張)本件各裁決は違法であるから,これを前提とする本件各退令処分も違法である。 (被告の主張)退去強制手続において,法務大臣等から異議の申出には理由がないとの裁決をした旨 いて(原告らの主張)本件各裁決は違法であるから,これを前提とする本件各退令処分も違法である。 (被告の主張)退去強制手続において,法務大臣等から異議の申出には理由がないとの裁決をした旨の通知を受けた場合には,主任審査官は,速やかに退去強制令書を発付しなければならないのであって(入管法49条6項),退去強制令書を発付するにつき全く裁量の余地はない。 したがって,本件各裁決が前記のとおり適法である以上,本件各退令処分も当然に適法である。 第3争点に対する判断 争点(1)(在留特別許可をしない決定の取消しを求める訴えの適法性)について原告らは,入管法49条3項の法務大臣の裁決とは別に,入管法50条1項の在留特別許可を与えるか否かの法務大臣の決定が存在する旨主張するが,在留特別許可の許否の判断は,入管法49条1項に基づく異議の申出に対して行われるところ,異議の申出には理由がないとの裁決は,在留特別許可を与えないという判断をした上で行われるものであり,一方,在留特別許可は,異議の申出には理由がある旨の裁決とみなされている(入管法50条3項)。このように,法務大臣の裁決は,入管法24条各号の退去強制事由の存否の判断権限と在留特別許可の許否の判断権限とを一個の処分権限に取り込んだものであって,法務大臣が入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がないとする裁決の性質は,特別審理官の判定に対する異議に対し,特別審理官によって誤りがないと判定されたことによって維持された入国審査官の認定の当否を審査しこれを維持する判断と,容疑者に対する在留特別許可を付与しない判断とが不 可分的に一体となった処分と解される。 すなわち,上記のような入管法の規定によれば,入管法49条3項の法務大臣の裁決とは別に,入管法50条1項の在留特別許可を与えるか 許可を付与しない判断とが不 可分的に一体となった処分と解される。 すなわち,上記のような入管法の規定によれば,入管法49条3項の法務大臣の裁決とは別に,入管法50条1項の在留特別許可を与えるか否かの法務大臣の決定が存在するわけではない。そして,このことは,法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長である東京入管局長による裁決についても同様に当てはまるものであり,実際,原告らは,本件訴訟において,原告らに対し在留特別許可をしなかったことが違法であると主張して,本件各裁決の取消しを求めているところである。 したがって,在留特別許可をしない決定の取消しを求める原告らの訴えは,存在しない決定を対象とするものとして不適法である。 争点(2)(在留特別許可付与の義務付けを求める訴えの適法性)について(1)在留特別許可は,入管法50条1項の文言から明らかなように,入管法24条により退去強制されるべき者に対する法務大臣等の例外的な恩恵的措置であり,入管法24条に該当する外国人には自己を本邦に在留させることを法務大臣等に求める権利はないというべきであるから,在留特別許可を求める上申ないし申請は,行政事件訴訟法3条6項2号にいう「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求」には当たらないものと解される。したがって,在留特別許可付与の義務付けを求める訴えは,同項1号所定のいわゆる非申請型の義務付けの訴えであると解するのが相当である。 (2)このような非申請型の義務付けの訴えについては,行政事件訴訟法37条の2第1項において,「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに 限り,提起することができる」とされており,いわゆる救済の必要性が訴訟要件として定められている。 そこで,この点について検討すると,法務大臣 て,「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに 限り,提起することができる」とされており,いわゆる救済の必要性が訴訟要件として定められている。 そこで,この点について検討すると,法務大臣等が在留特別許可をすべきであるにかかわらず,これがされないとして在留特別許可付与の義務付けを求める訴えは,在留特別許可がされることなく,入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決がされたことに裁量権の逸脱又は濫用があるか否かを争点とするものであって,同裁決の取消しの訴えを提起し,在留特別許可がされないことに裁量権の逸脱又は濫用があると判断されてこれに勝訴すれば,行政事件訴訟法33条により,法務大臣等は,取消判決の主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断に拘束されることになるから(最高裁昭和63年(行ツ)第10号平成4年4月28日第三小法廷判決・民集46巻4号245頁参照),原告らは,その勝訴判決の後に改めてされる法務大臣等の裁決により,本邦での在留資格を得るという目的を達することができるはずである(他方において,同法37条の2第5項は,非申請型の義務付けの訴えの本案要件につき,「行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められる」ことを定めているところ,後記3のとおり,在留特別許可を付与するか否かの判断は,法務大臣等の極めて広範な裁量にゆだねられていると解されるのであるから,仮に原告らに対して在留特別許可を付与すべきであるとしても,どのような在留資格及び在留期間をもってそれを付与すべきか(入管法50条2項,入管法施行規則44条)は,法令の規定か ら明らかであると認めることはできない。 特別許可を付与すべきであるとしても,どのような在留資格及び在留期間をもってそれを付与すべきか(入管法50条2項,入管法施行規則44条)は,法令の規定か ら明らかであると認めることはできない。また,後記3で述べるところによれば,原告らに対し在留資格を「定住者」及び在留期間を「3年」とする在留特別許可をしないことが裁量権の逸脱又は濫用となると認めることはできないのであって,たとえ在留特別許可付与の義務付けを求める原告らの訴えが適法であるとしても,その請求には理由がないものといわざるを得ないことになる。)。 (3)したがって,在留特別許可付与の義務付けを求める原告らの訴えは,いわゆる救済の必要性の要件が存在しないものとして不適法である。 争点(3)(本件各裁決の適法性など)について(1)まず,東京入管局長の裁量権について検討する。 ア憲法22条1項は,日本国内における居住及び移転の自由を保障するにとどまっており,憲法は,外国人の日本へ入国する権利や在留する権利等について何ら規定しておらず,日本への入国又は在留を許容すべきことを義務付けている条項は存在しない。このことは,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別な条約がない限り,外国人を受け入れるかどうか,受け入れる場合にいかなる条件を付するかについては,当該国家が自由に決定することができるとされていることと考えを同じくするものと解される。したがって,憲法上,外国人は,日本に入国する自由が保障されていないことはもとより,在留する権利ないし引き続き在留することを要求する権利を保障されているということはできない。 このように外国人の入国及び在留の許否は国家が自由に決定することができるのであるから,我が国に在留する外国人は,入管法に基づく外国人在 留制度 要求する権利を保障されているということはできない。 このように外国人の入国及び在留の許否は国家が自由に決定することができるのであるから,我が国に在留する外国人は,入管法に基づく外国人在 留制度の枠内においてのみ憲法に規定される基本的人権の保障が与えられているものと解するのが相当である(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁,最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁参照)。 イ入管法2条の2,7条等は,憲法の上記の趣旨を前提として,外国人に対し原則として一定の期間を限り特定の資格により我が国への上陸又は在留を許すものとしている。したがって,上陸を許された外国人は,その在留期間が経過した場合は当然我が国から退去しなければならないことになる。そして,入管法21条は,当該外国人が在留期間の更新を申請することができることとしているが,この申請に対しては法務大臣が「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り,これを許可することができる。」(同条3項)ものと定められている。これらによると,入管法においても,在留期間の更新が当該外国人の権利として保障されていないことは明らかであり,法務大臣は,更新事由の有無の判断につき広範な裁量権を有するというべきである(前掲昭和53年最高裁大法廷判決参照)。 ウまた,入管法50条1項柱書きは,入管法49条1項所定の異議の申出を受理したときにおける同条3項所定の裁決に当たって,異議の申出が理由がないと認める場合でも,法務大臣は在留を特別に許可することができるとし,入管法50条3項は,上記の許可をもって異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす旨定めている。 しかし,①前記のように外国人には と認める場合でも,法務大臣は在留を特別に許可することができるとし,入管法50条3項は,上記の許可をもって異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす旨定めている。 しかし,①前記のように外国人には我が国における在留を要求する権利が当然にあるわけではないこと,②入管法50条1項柱書き及び同項4号は,「特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」に在留を特別に許可することができると規定するだけであって,この在留特別許可の判断の要件,基準等については何ら定められていないこと,③入管法には,そのほか,上記在留特別許可の許否の判断に当たって考慮しなければならない事項の定めなど上記の判断をき束するような規定は何も存在しないこと,④在留特別許可の判断の対象となる者は,在留期間更新の場合のように適法に在留している外国人とは異なり,既に入管法24条各号の規定する退去強制事由に該当し,本来的には退去強制の対象となる外国人であること,⑤外国人の出入国管理は,国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,外交関係の安定,労働市場の安定等,種々の国益の保持を目的として行われるものであって,このような国益の保持の判断については,広く情報を収集し,時宜に応じた専門的,政策的考慮を行うことが必要であり,時には高度な政治的判断を要することもあり,特に,既に退去強制されるべき地位にある者に対してされる在留特別許可の許否の判断に当たっては,このような考慮が必要であることを総合勘案すると,上記在留特別許可を付与するか否かの判断は,法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられていると解すべきである。そして,その裁量権の範囲は,在留期間更新許可の場合よりも更に広範であると解するのが相当である。したがって,これらの点からすれば,在留特別許可を付与するか否かについての法務大臣の判 と解すべきである。そして,その裁量権の範囲は,在留期間更新許可の場合よりも更に広範であると解するのが相当である。したがって,これらの点からすれば,在留特別許可を付与するか否かについての法務大臣の判断が違法とされるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上 著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した場合に限られるというべきである。 そして,以上のことは,法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長である東京入管局長についても同様に当てはまるところというべきである。 (2)そこで,以上の判断の枠組みに従って,原告らに在留特別許可を付与しなかった東京入管局長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるといえるか否かについて検討する。 ア証拠(該当箇所に併記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)原告母が昭和▲年▲月▲日に韓国において出生した韓国国籍を有する外国人の女性であることは,前記前提事実(1)のとおりである。 原告母は,昭和▲年(▲年)▲月▲日生まれの父と,昭和▲年(▲年)▲月▲日生まれの母との間に生まれた。原告母は,6人兄弟の第3子(2女)であり,消防局に勤める兄1人のほか,姉1人,妹2人及び弟1人がいる。原告母の父母及び兄弟は,いずれも韓国で居住している。 (甲12,乙5の5,原告母本人)(イ)原告母は,商業高等学校を卒業した後,昭和52年ころ,潜水服を製造する会社に就職したが,同社が倒産したため,同54年6月ころ,化粧品を扱う会社に就職した。原告母は,同57年ころから洋服店を開いて自営業を始めたが,同63年ころには廃業し,その後は,実家で家事の手伝いなどをしていた。 原告母は,平成元年7月29日,韓国人の男性と結婚したが,子供に恵まれなかったこ ころから洋服店を開いて自営業を始めたが,同63年ころには廃業し,その後は,実家で家事の手伝いなどをしていた。 原告母は,平成元年7月29日,韓国人の男性と結婚したが,子供に恵まれなかったことなどから,夫の母との折り合いが悪くなるなどして,同5年11月1日に離婚した。 (甲12,乙5の5)(ウ)原告母が平成6年7月18日に1回目の入国をし,在留期限である同年8月2日を超えて本邦に不法残留したことは,前記前提事実(2)アのとおりである。 原告母は,本邦上陸後,工場や飲食店等で稼働していたが,平成8年10月ころからAと同居するようになり,前記前提事実(2)イのとおり,同▲年▲月▲日に古物商を営むAと婚姻し,前記前提事実(2)ウのとおり,同年▲月▲日には原告子を出産した。Aは,昭和45年ころに本邦に入国し,永住者の在留資格をもって在留する外国人の男性であるところ,平成▲年▲月▲日,原告子を認知した。(甲12,乙5の4,乙12,乙14の1,乙19)原告子が平成8年7月1日を超えて本邦に不法残留したことは,前記前提事実(2)ウのとおりである。 (エ)Aは,原告子が男子ではなかったことから原告子の出生を喜ばず,原告らの在留資格の取得に積極的に協力しようとはしなかった。 原告母は,Aが原告子に愛情を持たないことや,Aが離婚のために必要な書類を準備しようとすることなどから,原告子を連れてAと別居したところ,前記前提事実(2)エのとおり,Aは,平成9年8月22日,原告子の親権者をAとする協議離婚の届出をした。 その後,原告らは,Aと同居することにしたものの,Aが原告母に対し暴力を振るったりすることなどから,再びAと別居し,原告母は,原告子を連れて韓国に帰国することとした。 (甲12,乙14の1,乙21の2,乙32)(オ)原告母は,平 にしたものの,Aが原告母に対し暴力を振るったりすることなどから,再びAと別居し,原告母は,原告子を連れて韓国に帰国することとした。 (甲12,乙14の1,乙21の2,乙32)(オ)原告母は,平成10年3月6日,原告子と共に,東京入管横浜支局に出頭し,同月13日,同支局入国警備官の違反調査に当たり,原告母が無職で収入がなく,Aと離婚したため,我が国において生活できないなどと供述した。原告らが同月19日に韓国へ向けて強制送還されたことは,前記前提事実(2)オのとおりである。(乙2の1ないし3,乙3の1ないし4)(カ)原告らは,韓国において原告母の実家で原告母の父母と共に生活し,原告母は,アルバイトをして,月6万円程度の報酬を得て食費を賄うなどしていたが,韓国ではいわゆる母子家庭に対する偏見が強く,また,生活費を十分に得るための就職先も見付からないとして,我が国においていわゆる出稼ぎをして収入を得ようと決意し,前記前提事実(3)アのとおり,平成12年11月23日,2回目の入国をした。なお,原告母は,2回目の入国に際しての上陸審査に当たり,その渡航目的を「訪問」であると申告した。(甲12,乙14の1,乙17の2,乙19,乙30の2,乙31の2,乙32,原告母本人)原告母が在留期限である平成12年12月8日を超えて本邦に不法残留したことは,前記前提事実(3)アのとおりである。 (キ)原告母は,本邦上陸後,飲食店で稼働するなどし,当初は2,3年 ほど働いてから帰国しようと考えていたが,原告母の実家で暮らす原告子が原告母と会いたいと言ってきたことなどから,原告子を我が国に呼び寄せることにした。 原告子を本邦に入国させるには,原告子の親権者とされているAの協力が必要であったことから,原告母は,Aに連絡したところ,このころ,Aは,原告 たことなどから,原告子を我が国に呼び寄せることにした。 原告子を本邦に入国させるには,原告子の親権者とされているAの協力が必要であったことから,原告母は,Aに連絡したところ,このころ,Aは,原告母と離婚した後に再婚した女性と更に離婚し,その間の平成▲年▲月▲日に生まれた男子1人を養育していたことなどもあって,原告母に対し復縁を持ち掛けるなどし,原告母はこれを承諾した。 Aが平成13年6月14日に原告子に係る在留資格認定証明書交付申請書を提出し,同年7月24日,在留資格を「定住者」及び在留期間を「3年」とする原告子に係る在留資格認定証明書が交付されたことは,前記前提事実(3)イのとおりであり,原告子が同年9月7日に本邦に入国したことは,前記前提事実(3)ウのとおりであるが,このころから,原告らとA及び上記男子1人とは同居するようになった。 (甲12,乙5の4,乙14の1,乙17の2,乙19,乙32,原告母本人)なお,前記(カ)に関連し,原告母は,2回目の入国の動機について,原告子の親権者をAから原告母に変更する手続をするためであった旨供述するが(原告母本人),原告母作成の陳述書(甲12)には,原告母は,原告子を我が国に呼び寄せる手続をしようとした際に,「私は,この時初めて,Aが離婚届を出した際,長女の親権者をAにしていたことに気づきました。」と記載されているのであるから,上記供述部分は直 ちに採用することができない。 (ク)ところが,同居してから1箇月ほどすると,Aは原告子に対し冷淡な態度を見せ始め,原告母に対しても暴力を振るうようになったことなどから,原告母は,原告子を連れて,平成14年5月23日にAと別居するに至った。(甲12,乙14の1,乙17の2,乙19,原告母本人)(ケ)原告母は,平成14年9月ころから飲食店で稼 ったことなどから,原告母は,原告子を連れて,平成14年5月23日にAと別居するに至った。(甲12,乙14の1,乙17の2,乙19,原告母本人)(ケ)原告母は,平成14年9月ころから飲食店で稼働し,現在,約20万円の月収を得ている。(甲12,乙5の6,乙12,乙14の1)他方において,原告母が平成14年12月5日に東京家庭裁判所に対し原告子の親権者をAから原告母に変更する旨の審判を求める親権者変更の申立てをし,同15年6月30日に原告子の親権者をAから原告母に変更する旨の審判がされたことは,前記前提事実(3)エのとおりである。 なお,上記審判に係る審判書(乙12)には,「申立人は,現在,日本での在留資格がないが,日本で未成年者(定住者としての在留資格あり)の養育監護を継続するため,在留特別許可の申請を行っている。在留特別許可が得られない場合は,未成年者を伴って韓国へ帰国するつもりである。」と記載されている(上記「申立人」は,原告母を指している。)。 また,原告らは,遅くとも上記審判がされた後には,Aと全く交流がなく,原告母は,これまでのAの所業などに照らし,少なくとも原告子が成人するころまでは,原告子をAと会わせる意思はない。Aは,少なくとも平成14年5月23日に原告らと別居した後は,原告らに対し, 生活費や養育費の支払などの援助を全くしていない。(乙17の2,乙32,原告母本人)(コ)原告母が平成15年8月26日に東京入管横浜支局に出頭し,原告子の養育などを理由に本邦での在留を希望する旨申し立てたことは,前記前提事実(3)オのとおりであり,その後の原告らの在留状況及び原告らに対する退去強制手続の経緯等は前記前提事実(3)キ及びク並びに(4)のとおりである。 イ原告らは,前記前提事実(3)ア及びクのとおり,本邦に不法残 とおりであり,その後の原告らの在留状況及び原告らに対する退去強制手続の経緯等は前記前提事実(3)キ及びク並びに(4)のとおりである。 イ原告らは,前記前提事実(3)ア及びクのとおり,本邦に不法残留したものであり,いずれも入管法24条4号ロ所定の退去強制事由に該当する。したがって,原告らがそれぞれ法律上当然に退去強制されるべき外国人に当たることは明らかである。 ウところで,原告らは,いずれにも「定住者」の在留資格該当性が認められることから,在留特別許可を付与しないとした東京入管局長の判断には裁量権の逸脱又は濫用があると主張するので検討するに,まず,本件各裁決時において,原告らが定住者告示をもって定めるものに該当する地位を有しないことは,当事者間に争いがない。 もっとも,定住者告示は,直接的には「定住者」の在留資格をもって本邦に上陸しようとする外国人がした上陸申請についてこれを許可する場合の要件の一部を定めるものであるところ,定住者告示をもって定める事由に直接該当しない場合であっても,定住者告示において類型化して列挙された外国人の場合と同視し,若しくはこれに準じるものと考えられる人道上の理由その他特別の事情があり,又は我が国の社会及び経済等の諸情勢 の変化によりその居住を認める必要があるものとして,一定の在留期間を定めて居住を認めるのが相当であると認められる場合には,在留特別許可によって定住者の在留資格を付与する余地もあり得るものと解される。しかしながら,この点について,前記前提事実及び前記アの認定事実によると,①原告母とAとは既に離婚していたところ,原告らがAと別居した平成14年5月23日から現在に至るまで原告子を養育監護してきたのは原告母であること,②原告らがAと別居してから後の原告らの生活は,すべて原告母が働いて得た収入 していたところ,原告らがAと別居した平成14年5月23日から現在に至るまで原告子を養育監護してきたのは原告母であること,②原告らがAと別居してから後の原告らの生活は,すべて原告母が働いて得た収入によって維持されており,Aから金員又は物品等の援助は全くないこと(そもそも,Aが原告子に対して愛情を注ぎ,我が国における原告子の生活を保障するような意思を有することをうかがわせる事情がないこと),③同15年6月30日に原告子の親権者を原告母に変更する旨の審判がされ,同審判が確定したこと,④親権者変更後,原告らは,Aとは全く交渉がないこと(原告母としても,原告子が成人するころまでは,原告子をAと会わせる意思はないこと),⑤原告母は,韓国国籍を有する外国人であり,1回目の入国後不法残留をして不法就労を続け,同10年3月19日に韓国に向けて退去強制されたこと,⑥それにもかかわらず,原告母は,退去強制から2年8箇月余りが経過した同12年11月23日に,当初から不法就労の目的で,その目的を申告せずに短期滞在の在留資格を得て2回目の入国をし,不法就労を続けたこと,⑦原告母は,その後,本邦に不法残留しており,本件各裁決当時,在留資格を有していなかったことなどの事情が認められることからすると,原告らにつき,本邦において安定した在留を継続している者と評価することはできな い。 そして,原告子は,生後10箇月余りを日本で過ごしていたが,その後約3年6箇月を原告母又はその両親と共に韓国で過ごし(この点に照らし,原告子と我が国との結び付きにつき,原告子が「永住者の配偶者等」の身分又は地位に準ずる地縁を有するという原告らの主張は直ちに採用することができない。),その後本件各裁決に至るまでの約4年3箇月を我が国で過ごしているところ,原告子に定住者の在留資格が認め 者等」の身分又は地位に準ずる地縁を有するという原告らの主張は直ちに採用することができない。),その後本件各裁決に至るまでの約4年3箇月を我が国で過ごしているところ,原告子に定住者の在留資格が認められずに韓国において生活することとなると,原告子について,周囲の生活環境や教育環境が変化することによって受けるであろう心理的及び物理的影響があることは容易に想像がつくところであるが,他方において,原告子は,本件各裁決当時,▲歳であることからすると,原告子が,自分の意思で,今後我が国で生活していくべきか否かを適正に判断することができるとは想定し難いところであり,また,原告子は,その年齢に照らし,環境の変化に対する順応性や可塑性を相当に有しているであろうことも容易に推認することができる。原告子は,現時点では韓国語の読み書きができないのであり(原告母本人),また,知らない韓国語の単語も多数あるものと考えられるから,原告子が韓国において生活するとなると,言葉の点で不便を感じることがあると考えられるものの,原告子が現時点で少なくとも簡単な韓国語を話すことができること(乙33),原告母が韓国語の日常会話に不自由せず,原告子が言葉の点で不便を感じる点について配慮し得ることを考慮すると,原告子は,時の経過とともに韓国における生活になじみ得るであろうと考えることができる。このように検討すると,原告子に定住者 の在留資格が認められずに韓国において生活することになった場合,原告子がしばらくの間は心理的及び物理的に相当の負担を負うとしても,このことを理由として,原告子に定住者の在留資格が認められずに韓国において生活することになることが人道に反するとまではいい難いというべきである。 このような事情に照らすと,原告らについて「定住者」の在留資格該当性が認められ 子に定住者の在留資格が認められずに韓国において生活することになることが人道に反するとまではいい難いというべきである。 このような事情に照らすと,原告らについて「定住者」の在留資格該当性が認められるという原告らの上記主張は採用することができず,したがって,上記主張を前提として,本件各裁決が違法であるとする原告らの主張は失当であるといわざるを得ない。 なお,原告らは,原告母が原告子の親権者となったことから,原告母につき,永住者の実子を扶養する外国人親として,定住通達の準用を受ける身分又は地位を得た旨主張するが,弁論の全趣旨によれば,そもそも,定住通達は,①日本人親から認知されている子を扶養する外国人を対象とし,②親である外国人が在留資格に基づき適法に本邦に在留していることを前提とするものであることが認められるところ,原告子の父であるAが日本国籍を有するものではなく,原告母が本邦に不法残留していることに照らすと,原告らの上記主張は採用することができない。 エそして,前記前提事実及び前記アの認定事実のほか,証拠(甲1ないし7,甲9,甲10,甲12,甲14ないし19,甲20の1及び2,甲21の1及び2,乙32,乙33,原告母本人)及び弁論の全趣旨によれば,①原告子は,現在,日本語を使用し,小学校での学校生活を含め,我が国における生活に満足して,その生活環境に適応しており,今後も我が国に おいて原告母と一緒に生活していくことを強く望んでいること,②原告母も,働いて収入を得ながら原告子との生活を維持し,原告子の成育上は,韓国に帰国するよりも,原告子と共にこのまま我が国で生活を続けたいと強く望んでいること,③永住者の在留資格を有するAの子である原告子が過去に我が国から退去強制され,そして,現在,Aの扶養を受けていないことについては,原告子に と共にこのまま我が国で生活を続けたいと強く望んでいること,③永住者の在留資格を有するAの子である原告子が過去に我が国から退去強制され,そして,現在,Aの扶養を受けていないことについては,原告子に責任があるとはいえないことなど,原告らについてしんしゃくすべき事情が認められるものの,他方において,前記ウで述べた事情のほか,前記前提事実及び前記アの認定事実によれば,原告らにおいては,我が国において頼るべき親族などがいることをうかがわせる証拠がなく,むしろそのような親族は韓国に存在することが認められること,原告母が韓国で生育し,1回目の入国に至るまで我が国とは何ら関わりはなかったものであり,健康で稼働能力も有する成人であることが認められることなどに照らすと,本件各裁決をするに当たって原告らに在留特別許可を付与しなかった東京入管局長の判断が全く事実の基礎を欠き,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえないから,東京入管局長に裁量権の逸脱又は濫用があったと認めることはできない。 なお,原告らは,ガイドラインにおいて,「本邦への定着性が認められ,かつ,国籍国との関係が希薄になり,国籍国において生活することが極めて困難である場合」が在留特別許可の許否の判断に当たっての積極的要素として挙げられているところ,原告らがいずれもこの場合に該当する旨主張するが,前記ウで述べたところによれば,原告らがこの場合に該当する と認めることはできず,また,そもそも,ガイドラインは,そこで挙げられている積極的要素が存在すれば直ちに在留特別許可がされるべきであることを定めた基準などではないこと(甲11の2)からすれば,原告らの上記主張は採用することができない。 また,原告らは,原告子が永住者の子であること,原告母が永住者の子である原告子を扶 るべきであることを定めた基準などではないこと(甲11の2)からすれば,原告らの上記主張は採用することができない。 また,原告らは,原告子が永住者の子であること,原告母が永住者の子である原告子を扶養する者であることから,ガイドラインで挙げられている積極的要素に準ずる事由がある旨主張するが,そもそも上記各事実はガイドラインで挙げられている事由に直接該当しない上,このような事実を考慮したとしても本件各裁決に違法性がないことは前述したとおりであるから,原告らの上記主張をもって上記認定が左右されることはない。 さらに,原告らは,法務省入国管理局作成の平成18年6月付け「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」(甲22)と題する事例集のうち,原告らと共通又は類似する事案について在留特別許可がされている旨主張するが,その出入国歴や,家族構成,子の年齢及び就学状況等を本件と比較すると,原告らについて在留特別許可がされなければ平等原則に反するといえるまでの事案が存在するとは認められないから,原告らの上記主張は採用することができない。 争点(4)(本件各退令処分の適法性)について法務大臣等は,入管法49条1項による異議の申出を受理したときには,異議の申出が理由があるかどうかを裁決して,その結果を主任審査官に通知しなければならず(同条3項),主任審査官は,法務大臣等から異議の申出には理由がないと裁決した旨の通知を受けたときには,速やかに当該容疑者に対し, その旨を知らせるとともに,入管法51条の規定する退去強制令書を発付しなければならない(入管法49条6項)。 したがって,東京入管主任審査官は,東京入管局長から前記のとおり適法な本件各裁決の通知を受けた以上,これに従って退去強制令書を発付するほかない。 以上によれば,本件各 ならない(入管法49条6項)。 したがって,東京入管主任審査官は,東京入管局長から前記のとおり適法な本件各裁決の通知を受けた以上,これに従って退去強制令書を発付するほかない。 以上によれば,本件各退令処分は適法というべきである。 結論 よって,本件訴えのうち,原告らに対する在留特別許可をしないとの各決定の取消しを求める部分及び原告らに対し在留特別許可をすることを求める部分は不適法であるからいずれも却下し,その余の訴えに係る原告らの各請求は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官杉原則彦裁判官島村典男裁判官市原義孝は,差し支えにつき,署名押印することができない。 杉原則彦裁判長裁判官

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