平成24年1月12日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成22年(ワ)第3533号通信料金返還請求事件(口頭弁論終結の日平成23年9月21日)判決主文 1 被告は,原告に対し,10万7138円及びこれに対する平成22年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第1項の額を超える額の金員の支払を求める原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを20分し,その11を被告の,その余を原告の各負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求の趣旨 1 被告は,原告に対し,19万6571円及びこれに対する平成22年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,電気通信事業者である被告との間で,携帯電話端末を利用する電気通信役務提供契約(3Gサービス契約)を締結した原告が,携帯電話端末とパソコンを接続し,携帯電話端末をモデムとして用いることにより,パソコンでインターネット通信をすることができるサービスを利用し,上記通信に係る通信料金として被告から計20万6571円を請求され,これを支払ったことに関し,被告に対し,①上記通信契約における通信料金を定める契約条項のうち,一般消費者が上記サービスを利用する際に通信料金として通常予測する額である1万円を超える部分は,消費者契約法10条若しくは公序良俗に反し無効であると主張して,不当利得返還請求権に基づき,被告に対し支払った上記通信料金のうち1万円を超える部分に相当する19万6571円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるか,または②被告が,上記通信 支払った上記通信料金のうち1万円を超える部分に相当する19万6571円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるか,または②被告が,上記通信契約に関し,原告に対し,上記サービスを利用する際の通信料金を具体的に説明する義務若しくは同サービスの利用により通信料金が高額化することを防止するための措置を採るべき義務の履行を怠ったと主張して,上記通信契約の債務不履行による損害賠償請求権に基づき,損害(原告が被告に支払った通信料金の一部であり,原告が上記通信に係る通信料金として予想していた額である1万円を超える部分である19万6571円)及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の範囲内である年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提となる事実関係(証拠の掲記のない事実は争いがない。)(1) 本件契約の締結原告は,平成19年9月29日,電気通信事業等を目的とする株式会社である被告との間で,携帯電話を利用する電気通信役務提供契約である3Gサービス契約を締結した(以下「本件契約」という。)。 本件契約は,消費者契約法10条にいう「消費者契約」に当たる。 (2) 原告によるアクセスインターネットの利用原告は,平成20年3月26日から同年4月1日までの間,複数回にわたり,本件契約締結の際に購入した携帯電話端末(以下「本件携帯電話」という。)を自宅にあるパソコンと接続し,携帯電話をモデムとして用いることによりパソコンでインターネット通信を行うサービスである「アクセスインターネット」(以下,被告のサービスに関しては「アクセスインターネット」といい,他の電気通信事業者が提供する同内容のサービスを含む場合には,「インターネット接続」という。) ビスである「アクセスインターネット」(以下,被告のサービスに関しては「アクセスインターネット」といい,他の電気通信事業者が提供する同内容のサービスを含む場合には,「インターネット接続」という。)を,送受信するデータを複数の単位(パケット(小包の意味))に分割して伝送し(以下,この方式による通信を「パケット通信」という。),その単位数に従って一定の通信料金が課金される方式(以下「パケット通信方式」という。)により利用し,パソコンでウェブサイトの閲覧を行った(以下「本件通信」という。)。 (3) 本件契約約款における通信料金の規定(乙10)本件契約に適用される約款の第52条には,「契約者は,その契約者回線から行った通信等(当該契約者回線契約者以外の者が行った通信又は当該契約者が利用した国際アウトローミング機能を利用した場合に,その移動無線装置へ着信した通信を含みます。)について,当社等が測定した通信時間,情報量又は通信回線と料金表第1表第3(通信料)の規定とに基づいて算定した通信料の支払いを要します。」との定めがあり,これを受けた同約款の料金表第1表第3においては,本件通信時における原告の加入していた料金プランを前提とすると,パケット通信方式によるアクセスインターネットの通信料金は,1課金対象パケットあたり0.2円(消費税転嫁分除く。以下同様とする。)と定められている(以下,本件約款52条及び料金表第1表第3における上記規定を併せて「本件パケット料金条項」という。)。 (4) 通信料金の請求及び支払原告は,平成20年4月及び同年5月ころ,被告より,本件通信に係る通信料金として,合計20万6571円の支払の請求を受け,被告に対し,同額を支払った。 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) アクセスイ 月及び同年5月ころ,被告より,本件通信に係る通信料金として,合計20万6571円の支払の請求を受け,被告に対し,同額を支払った。 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) アクセスインターネットの利用により発生する通信料金に関する被告の説明義務違反・情報提供義務違反の有無(原告の主張)ア事業者と消費者の間には情報力及び交渉力に格差があることから,消費者基本法,消費者契約法1条・3条及び民法1条2項(信義則)等の規定により,事業者は,消費者がその内容を容易には理解できない契約や,料金が消費者が予測し得ないような高額なものとなり得る契約については,その内容について,消費者が理解できるように説明する義務を負うというべきである。 イパケットによる従量制の課金方式においては,(ア)パケットという単位が不明確かつ不可視であるため,提供される情報について,どの程度の料金が課されるのかが不明であること(単位の不明確性),(イ)サービスの提供を受ける際に,提供される情報量が,あらかじめ明らかにならないこと(サービス量のコントロールの不能性)から,サービスを受ける消費者は,当該ウェブサイトを閲覧することによりどの程度の通信料金が発生するかについて,事前に計算し,課金される通信料金を予測することが出来ない。また,携帯電話によるインターネット通信においては,1分間の通信により最大で8万6000円を超える料金が発生することもあり,アクセスインターネットは,月額4200円に通信料金の上限額が定められている料金プランである「パケットし放題」(以下,単に「パケットし放題」という。)の対象外とされていることから,同サービスの利用により,通信料金が,消費者の予測に反し高額になるおそれがある。現実に,独立 プランである「パケットし放題」(以下,単に「パケットし放題」という。)の対象外とされていることから,同サービスの利用により,通信料金が,消費者の予測に反し高額になるおそれがある。現実に,独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)等には,消費者から,平成18年度で249件,平成19年度で865件もの多数の高額パケット料金の苦情が寄せられ,平成19年4月5日には,国民生活センターが高額パケット料金に関する注意喚起を行い,平成20年にかけて報道で高額パケット料金のトラブルが取り上げられ,総務省も注意喚起をした。 このように,本件契約においては,異常に高額なパケット料金が発生する事態が生じる危険性があったのであるから,情報・交渉力において消費者と格差のある事業者である被告は,消費者に高額なパケット料金が発生しないよう,単に「1パケット=0.2円」と説明するだけでは足りず,具体的に消費者が予測できるような形で,消費者が当該ウェブサイトを閲覧すれば,いくらのパケット料金が課されるかを説明し,情報提供する義務,または,本件契約当時,消費者が高額パケット料金発生を避けられるように情報提供,説明する義務があった。 ウ原告は,本件契約時に,被告の販売代理店の従業員から,通信料金が1パケットあたり0.2円であることや,携帯電話をパソコンにつないでインターネット通信をすると,通信料金が高額になるおそれがあるので注意すべきこと等について説明を受けていない。また,原告は,アクセスインターネットを利用した際や,楽曲や動画等をダウンロードした際に発生する通信料金について,具体的な説明を受けていない。 エ被告は,ウェブサイト,カタログ及び取扱説明書等において,通信料金が高額となり得ることについて や,楽曲や動画等をダウンロードした際に発生する通信料金について,具体的な説明を受けていない。 エ被告は,ウェブサイト,カタログ及び取扱説明書等において,通信料金が高額となり得ることについて注意喚起をしていた旨主張するが,これらが十分なものではないことは,国立大学医学部の学生であった原告でさえ高額パケット料金の発生を防ぐことができなかったこと,被告や国民生活センター等に対する同種の高額パケット料金に対する苦情が極めて多数にのぼっていることからも明らかである。 オ被告は,アクセスインターネットは,通常想定される携帯電話端末の利用方法ではないことから,原告がその利用をする際に自ら料金等を確認すべきであった旨主張するが,被告は,アクセスインターネットの使用が可能となるUSBケーブルを携帯電話端末の個装箱に同梱して無償で配布していたのであり,本件携帯電話にも同ケーブルが同梱されていた。このように,被告自らがアクセスインターネットを利用するための器具を無償で配布していることからすれば,アクセスインターネットが通常の利用方法ではないとの主張は失当であり,上記主張自体が信義則違反と評価されるべきである。 カ原告は,アクセスインターネットの使用料金は,インターネットカフェのせいぜい2倍程度で高くても月1万円くらいと認識していたのであり,これを超える部分については,被告の説明・情報提供義務違反により生じた損害であると評価すべきである。 (被告の主張)ア携帯電話の通信契約においては,提供するサービス内容等が極めて多種にのぼるところ,契約時に,利用者に対し,そのすべての内容を説明することを義務づけることは,大量かつ定型的に処理される携帯電話サービスの特質を無視し,携帯電話事業者に不可能を強いるもので 多種にのぼるところ,契約時に,利用者に対し,そのすべての内容を説明することを義務づけることは,大量かつ定型的に処理される携帯電話サービスの特質を無視し,携帯電話事業者に不可能を強いるものであるし,利用者にとっても,契約手続に長期間拘束されることとなり,煩雑である。したがって,契約締結時においては,一般的な利用者が通常利用することが想定されるサービスの内容及びその利用料金を説明すれば必要かつ十分なのであり,それを超えてすべての契約内容を説明する義務を負うものではない。①アクセスインターネットは,その利用者もごく僅かであり,一般的な利用者が通常利用すると想定される利用方法ではないこと,②被告は,平成19年9月当時,利用者に対し,パケット通信サービスの課金システム(従量制),料金単価,ウェブ通信料の目安及びデータ量の多い送受信を行うと通信料が高額となる場合があることを説明していたこと,③アクセスインターネットを利用する場合の課金システム及び料金単価は通常の携帯電話によるウェブ閲覧の場合と同様であること,④パソコンでの閲覧を想定して作成されたウェブサイト(以下「PCサイト」という。)が,情報量を抑えて作成された携帯電話用のウェブサイト(以下「携帯サイト」という。)と比較して画面に表示される情報量が大きいことは常識的に考えて明らかであり,利用料金が相当高額になる可能性があることは利用者にも十分に認識可能であること等から,被告は,利用者からの質問がない限り,パケット通信サービスの1つであるアクセスインターネットの利用料金について別途,積極的に説明すべき義務を負わないというべきである。 原告は,本件契約締結手続において,被告の販売スタッフに対して,アクセスインターネットの利用料金について質問する トの利用料金について別途,積極的に説明すべき義務を負わないというべきである。 原告は,本件契約締結手続において,被告の販売スタッフに対して,アクセスインターネットの利用料金について質問することはなく,原告にアクセスインターネットの利用を窺わせる行動は一切なかったのであるから,被告が,このような原告に対して,利用料金を説明する義務を負うことはない。 イ仮に,被告に,アクセスインターネットを利用した場合の料金について特別に説明する義務があるとしても,次のとおり,被告は,十分な説明を行っており,説明義務違反・情報提供義務違反がないことは明らかである。 (ア) 被告は,本件契約締結当時,すべての契約者に,アクセスインターネットがパケットし放題の適用対象外となるサービスであることを契約締結時に口頭で説明し,さらに,アクセスインターネットの利用を具体的に予定していた契約者に対しては,利用料金が高額になる場合があることを口頭で説明していた。 (イ) 被告は,本件契約締結当時,各店舗の店頭に,サービスの内容,料金プラン及び各携帯電話端末の有する機能等を分かりやすく説明した商品のカタログ(以下「カタログ」という。)を設置して利用者に提供し,契約締結時には,必要な契約条件を網羅的に記載した提供条件書及びサービス内容や本件携帯電話の具体的な使用手順等を詳細に説明した取扱説明書等を交付しており,次のとおり,アクセスインターネットを含むパケット通信サービスの課金システム,料金単価,ウェブ通信料の目安及び容量の大きいデータの送受信を行う場合には通信料が高額となる場合があることを説明していた。 a カタログ及び提供条件書には,パケット通信料の料金単価が1パケットあたり0.2円であること及びパケット通信によ データの送受信を行う場合には通信料が高額となる場合があることを説明していた。 a カタログ及び提供条件書には,パケット通信料の料金単価が1パケットあたり0.2円であること及びパケット通信によるアクセスインターネットを利用した場合にも同様の料金単価が適用されることが明確に説明されている。また,カタログには,どのような通信を行うと,どの程度のパケット通信料金が発生するのかについて,利用者が具体的にイメージできるよう,ウェブ通信料の目安を記載しており,容量の大きいデータ通信を行う場合には,通信料が高額となる場合があることも注意事項として記載していた。 b 取扱説明書の中のPCブラウザ(携帯電話において,PCサイトを閲覧することができるサービス)に関する説明の欄に,「データ量の多い情報画面を表示するときは通信料が高額になりますのでご注意ください。」との注意書きがされており,携帯電話からPCサイトに接続し,データ量の多い情報画面を表示するときは,通信料が高額になることを説明している。 c 本件携帯電話の個装箱には,アクセスインターネットを利用してデータ量の多い通信を行う場合,パケット通信料が高額となる場合があることを,強調体で,かつ他の文字より一段大きな文字で,簡潔明瞭に記載したリーフレットを原告が同携帯電話の利用開始前に必ず目にするような形で同梱していた。また,平成19年9月当時の被告のウェブサイトのアクセスインターネットの説明ページにも,同内容の記載があった。 ウ上記イ,(ア),(イ)のような説明をしていれば,説明事項を認識した顧客は,利用料金に注意を払ってアクセスインターネットを利用することが可能になるのであるから,被告の説明としてはそれで足り,アクセスインターネットの具体的な料金例 ていれば,説明事項を認識した顧客は,利用料金に注意を払ってアクセスインターネットを利用することが可能になるのであるから,被告の説明としてはそれで足り,アクセスインターネットの具体的な料金例についてまで説明する義務はない。 むしろ,パケット通信の料金体系は従量制であり,顧客がどのようなウェブページを閲覧するかによって,利用料金は大きく変動するため,具体的な料金の説明を行うことは,かえって顧客の誤解を招き,クレームに発展する可能性がある。 エ本件携帯電話には,アクセスインターネットの接続に用いるUSBケーブルは同梱されていなかった。原告は,携帯電話をパソコンと接続してインターネット通信を行うという通常とは異なる利用をするのであるから,利用前に,利用料金を確認するのが当然である。原告は,被告の販売スタッフに利用料金を尋ねたり,被告のウェブサイト等で利用料金を確認することが可能であった。被告の販売スタッフは,原告からの問い合わせがあれば,アクセスインターネットの利用料金は高額になる場合があるので気を付けてほしいと注意喚起をしたはずである。仮に本件通信に係る利用料金が原告にとって予測できなかったとしても,それは被告の説明の不足によるものではなく,原告自身が利用前の料金確認を怠り,被告の提供した情報を十分に確認しなかったことによるものであるというほかない。 オ原告は,インターネットカフェの利用料金から,通信料金が1万円程度であると認識した旨主張するが,携帯電話を利用する場合と比較して,インターネットカフェにおいてインターネット通信を行う場合の利用料金の課金方法及び料金システムは全く異なるのであり,両者の料金が同程度になるという予測は,何ら根拠のないものである。 (2) 被告が,本件契約上,原告が おいてインターネット通信を行う場合の利用料金の課金方法及び料金システムは全く異なるのであり,両者の料金が同程度になるという予測は,何ら根拠のないものである。 (2) 被告が,本件契約上,原告がアクセスインターネットを利用した際にパケット通信料金がその予測を超えて高額となりすぎないよう,説明・情報提供・注意喚起等の措置を採る義務があったか否か。また,それが肯定される場合,被告に上記義務の違反があったか否か。 (原告の主張)ア前記第2,2,(1),(原告の主張),イのとおり,本件通信契約においては,異常に高額なパケット料金が発生する事態が生じる危険性があったのであるから,情報力及び交渉力において消費者と格差のある事業者である被告は,消費者に高額なパケット通信料金が発生するのを防止する措置を採る義務があった。被告は,上記義務を怠り,そのために,原告は,予測できない高額なパケット通信料金を課金されるという損害を被った。 イ被告は,ソフトバンクパケットメーター(以下「パケットメーター」という。)や高額請求アラートにより高額利用につき注意喚起をしていた旨主張するが,パケットメーターは一般的なソフトウェアではなく,その提供をもって十分な措置であったとは到底いえないし,高額請求アラートは,当時10万円という極めて高額な額を基準として設定され,しかも,基準額を超えた翌日にメールが発せられるという不十分なものであったから,これらをもって,被告が十分な措置を尽くしたとはいえない。 ウ被告は,データ通信につき月々の上限額を定めた定額サービスを導入しているが,顧客がアクセスインターネットを利用する場合も,一般消費者が予測できる程度の金額を通信料金の上限額として設定することが可能であったはずである。 々の上限額を定めた定額サービスを導入しているが,顧客がアクセスインターネットを利用する場合も,一般消費者が予測できる程度の金額を通信料金の上限額として設定することが可能であったはずである。 (被告の主張)ア本件のように従量制の料金システムが適用されるサービスにおいては,どの程度の量のサービスを利用するかは,サービスの利用の必要性,料金額等を考慮して,利用者が自ら判断,管理すべきものであり,被告に高額なパケット料金の発生を防止する義務など存在しない。 イ仮に,被告が,顧客に高額なパケット料金が発生することを防止する必要性があるとする原告の立場に依ったとしても,被告は,次のとおり,顧客が自ら利用料金を確認・管理することが可能となる十分な措置を講じていたのであり,被告にかかる義務の違反は認められない。 (ア) 被告は,契約者のパケット通信料金が基準額(10万円)を超えた場合,翌日に注意喚起のメール(SMS)を送信するサービスを提供していた。なお,契約回線の累計利用料金が基準値を超えているか否かの判断は,深夜0時を基準に行っており,基準値を超えたことを確認した利用者に対しては,翌日の早朝から順次これを通知するメールを送信していた。 (イ) 被告は,アクセスインターネットを利用した場合の通信データ量及びその利用概算金額を確認するためのソフトウェアであるパケットメーターを,被告のウェブサイトの中のアクセスインターネットの説明・紹介ページから自由にダウンロードすることができる形で利用者に提供をしていた。なお,被告は,同ウェブサイトにおいて,携帯電話とパソコンを接続してインターネットを利用する場合には,パケットメーターを利用するなどして,通信料金を確認しながら利用するよう求めていた。 ウ被告は, は,同ウェブサイトにおいて,携帯電話とパソコンを接続してインターネットを利用する場合には,パケットメーターを利用するなどして,通信料金を確認しながら利用するよう求めていた。 ウ被告は,契約者に対し,利用料金照会サービスを提供しており,利用者は,自身の携帯電話から,前日までの利用料金の概算を確認することができた。 エ被告は,契約者が所定の登録をすることにより,月毎の利用料金が利用者の指定する金額を越えた場合に,メールで通知するサービスを提供していた。 (3) 本件パケット料金条項が消費者契約法10条に反するか否か。 (原告の主張)被告の1契約あたりの月間平均売上収入(ARPU)は,平成20年度においては1740円であり,平成21年度においても2020円であることからすれば,一般消費者は,1か月間で,1万円を超える通信料金が発生することは予測できないというべきである。前記第2,2,(2),(原告の主張),イのとおり,本件パケット料金条項は,消費者が予測できない極めて高額なパケット料金を課金する不当な内容のものであること,被告は契約締結時等に料金について十分な説明,情報提供をしていないことからすれば,本件パケット料金条項のうち,消費者が通常予想する額である1万円を超える部分は,一般の条理に比して消費者に信義則に反する一方的な不利益を与えるものとして,消費者契約法10条により無効である。 ア通信サービス契約のように,契約後に,消費者の注文に応じた役務提供を行う契約等においては,あらかじめ,消費者に対して,提供を受けるサービスの価格が単価として示され,これに基づき,どの程度の量のサービスを受けるかについて消費者がコントロールできる条件が示されている場合には,合理的な契約が締結された 者に対して,提供を受けるサービスの価格が単価として示され,これに基づき,どの程度の量のサービスを受けるかについて消費者がコントロールできる条件が示されている場合には,合理的な契約が締結されたものとみなされる。すなわち,消費者は,単価及び量をあらかじめ計算することで,サービスを受けるか否かを決定することができるのである。しかしながら,前記第2,2,(1),(原告の主張),イのとおり,パケット通信方式においては,サービスを受ける消費者は,課金される通信料金を予測・計算することができず,予測外の高額な利用料金を課金されるおそれがある。現実に,高額な通信料金が発生する危険性を認識せずにアクセスインターネットを利用した結果,被告から超高額の通信料金の支払を請求された消費者被害が多数発生しているところである。 イ消費者契約法10条前段は,形式的要件であると解すべきであり,同条項は,任意規定の有無に関係なく,「民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」条項を広く無効とする趣旨である。また,仮に,同条前段に意味を持たせるとしても,「民法,商法,その他の法律の公の秩序に関しない規定」とは,明文の規定のみならず,判例や条理に基づく法準則,契約に関する一般法理も含まれると解すべきである。そして,消費者に予測がつかないような高額な通信料金が課される契約内容は,一般の条理に照らして消費者に不利益を与えるものということができるから,本件パケット料金条項は同条前段の要件に該当するというべきである。 ウ消費者の予測がつかない料金の課金を行う契約条項が,不意打ち的で略奪的であることは明らかであり,本件パケット料金条項のうち,消費者の予測を超える部分については暴利を目的とした契約といえ,信義則に 者の予測がつかない料金の課金を行う契約条項が,不意打ち的で略奪的であることは明らかであり,本件パケット料金条項のうち,消費者の予測を超える部分については暴利を目的とした契約といえ,信義則に反し消費者に一方的に不利益なものとして,同条後段の要件を満たすというべきである。 エ被告は,本件パケット料金条項は対価条項であり,消費者契約法10条の適用がない旨主張するが,(ア)対価条項とその他の条項の区別は判然としない場合が多いこと,(イ)我が国において消費者契約法3条の事業者の義務は情報提供義務ではなく,情報提供努力義務にとどめられており,消費者に対する情報提供の基盤が十分ではないこと,(ウ)消費者契約の分野では,民法の公序良俗の基準のみならず,消費者契約法が予定する事業者と消費者との間の情報の質・量及び交渉力の格差を前提とした基準による不当条項の審査がなされるべきこと,(エ)我が国においては市場における競争メカニズムが完全に機能していないこと等から,同法10条は対価条項についても適用があると解すべきである。 本件パケット料金条項は,価格の合意そのものではなく,価格の決定方法を定める価格に付随する条項であり,内容規制の対象とすべきものであること,消費者はウェブサイトを閲覧した場合に課金されるパケット料金を知ることができない状態に置かれ,対価部分につき合理的に判断できる基盤がないこと,上記のとおり市場における競争メカニズムを機能させる措置が十分でないことからすると,少なくとも本件パケット料金条項については,同条が適用されるというべきである。 (被告の主張)ア消費者契約法10条は,市場への過剰介入とならないよう,契約の主要目的に関する条項または物品,権利,役務の価格・対価に関する条項(中 ,同条が適用されるというべきである。 (被告の主張)ア消費者契約法10条は,市場への過剰介入とならないよう,契約の主要目的に関する条項または物品,権利,役務の価格・対価に関する条項(中心条項・対価条項)には適用されないものとして立法されたものであり,同条が,パケット通信料金(役務の対価)に関する条項に適用がないことは明らかである。 イ仮に,本件パケット料金条項に,消費者契約法10条の適用があるとしても,本件パケット料金条項が,同条に反しないことは明らかである。 (ア) 本件契約において被告の採用する課金システムは,利用者が実際に送受信したデータ量に応じて課金を行うもので,文字のみのメール送信や,静止画のみの通信の場合にはパケット料金を低額に抑え,多くのデータが含まれる動画や音楽のデータ通信の場合は,より多くのパケット料金を発生させる合理的な料金システムであり,利用者は自身のサービス利用の必要性,料金額等を考慮して,どの程度の量のサービスを利用するかを判断,管理することができるとともに,送受信したデータ量が少ない月は,低額の利用料で足りるというメリットを享受する。 (イ) 被告におけるパケット通信の利用単価は,1パケットあたり0. 2円であるが,これは,国内の他の大手携帯電話事業者と同水準の利用料であり,消費者にとって不合理に高く設定されているわけではない。 (ウ) 利用者は,自らの使用量を正確に数値で把握していなくとも,電力,水道,ガス等と同じように,感覚的にその使用量の多寡から,利用料金をある程度予測することが可能である。また,取扱説明書やリーフレットの記載を確認すれば,利用単価や,利用料金を確認することができる。さらに,使用量や利用料金の概算を数値で把握したければ,被告が ある程度予測することが可能である。また,取扱説明書やリーフレットの記載を確認すれば,利用単価や,利用料金を確認することができる。さらに,使用量や利用料金の概算を数値で把握したければ,被告が無料で提供するパケットメーターや利用料金照会サービス等を用いて容易に利用料金を確認することが可能である。 (エ) 消費者契約法10条の「公の秩序に関しない規定」とは,任意規定のみを指すところ,上記(ア)ないし(ウ)によれば,本件パケット料金条項は,消費者が本来任意規定によって行使できる権利を制約し,または,消費者に任意規定によって本来加重されることのない義務を加重するものではなく,同条前段の要件を満たさない。また,同様の理由から,本件パケット料金条項は,なんら信義誠実の原則に反するものではなく,また,消費者の利益を一方的に害する契約でもないことから,同条後段の要件も満たさない。 (4) 本件パケット料金条項が,公序良俗(民法90条)に反するか否か(原告の主張)本件パケット料金条項は,消費者が予測できないような極めて高額のパケット料金を課するものであり,前記第2,2,(3),(原告の主張),アと同様の理由から,消費者が通常予想する額である1万円を超える部分は,公序良俗に反し,無効である。 (被告の主張)本件パケット料金条項は,その利用単価,課金の仕組み,同業他社の課金方法との比較,利用者の料金の予測可能性等,いずれの観点からしても合理的であり,事業者による役務の提供と,利用者による対価の支払との均衡が保たれているから,当該条項によって事業者が過大な利益を上げ,他方で消費者が著しい損害を受けるような内容ではなく,公序良俗に反しないことは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 れているから,当該条項によって事業者が過大な利益を上げ,他方で消費者が著しい損害を受けるような内容ではなく,公序良俗に反しないことは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記第2,1の事実,証拠(甲1ないし12,14ないし24,乙1,3ないし13,14の1・2,15,17ないし35,証人A,原告本人。ただし,後記認定に反する部分は除く。)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 (1) 当事者ア原告は,本件契約締結時においては,28歳であり,国立大学法人の設置する大学の医学部医学科の学生であった。 イ被告は,電気通信事業等を目的とする株式会社であり,データ通信の用に供することを目的として,電気通信回線設備を使用して行う電気通信サービスを提供する業務等を行っている。 (2) 本件契約の内容,料金等ア被告が提供するインターネット接続サービスの種類等① 携帯電話によるインターネット接続利用者は,携帯電話から,携帯サイトに接続し,携帯電話端末の画面において,携帯サイトの閲覧をすることができる。 ② PCサイトブラウザ・PCサイトダイレクト利用者は,携帯電話端末の画面を用いて,PCサイトを閲覧することができる。 ③ アクセスインターネット利用者は,携帯電話とパソコンを接続し,携帯電話をモデムとして用いることにより,パソコンの画面においてPCサイト等の閲覧をすることができる。 イアクセスインターネットのサービス内容及び利用状況等被告の顧客がアクセスインターネットを利用する際には,あらかじめ,契約時に購入した携帯電話端末に同梱されているCD-ROM等を用いて,専用のユーティリティーソフトをインストールし,アクセスポイントを設定する等の操作を行 ーネットを利用する際には,あらかじめ,契約時に購入した携帯電話端末に同梱されているCD-ROM等を用いて,専用のユーティリティーソフトをインストールし,アクセスポイントを設定する等の操作を行う必要がある。携帯電話とパソコンを接続するには,USBケーブルを用いるが,被告が指定するものであれば,一般に市販されているUSBケーブルを用いて接続をすることができる。 利用者は,アクセスインターネットを利用することにより,パソコンをインターネットと接続できる環境がない外出先等においても,携帯電話とパソコンを接続し,インターネット通信をすることが可能となる。 被告の契約者のうち,アクセスインターネットの利用者の割合は少なく,平成20年5月の時点において,被告の契約者のうち同サービスを利用する者の割合は,0.19パーセントであった。 ウパケット通信料金について(ア) 携帯電話端末を使用して,ウェブサイトの閲覧,ウェブサイトからのファイルのダウンロード,又は電子メールを送受信する際等に,データが複数のパケットと呼ばれる単位に分割して伝送されて通信が行われ(パケット通信),この単位数に応じて一定の通信料金が課金される(パケット通信方式。以下,パケット通信方式によって発生する通信料金のことを「パケット通信料金」という。)。上記通信の際には,通信情報量はパケットという単位により算定される。なお,通信情報量がバイトという単位で表示されることもある。 (イ) 本件契約における料金体系はパケット通信方式であり,パケット通信料金は,1パケット(128バイト)あたり0.2円と定められている。パケット通信によりアクセスインターネットを利用してインターネットに接続する際も,上記基準に従い,通信料金が課される。 本件契約におい 1パケット(128バイト)あたり0.2円と定められている。パケット通信によりアクセスインターネットを利用してインターネットに接続する際も,上記基準に従い,通信料金が課される。 本件契約において,パケットし放題に加入した場合は,接続料金が,1パケットあたり0.08円となり,月毎のパケット通信量がいくら増加しても,通信料金の上限は月額4200円に設定されている。また,パケットし放題に加入している場合であっても,PCサイトブラウザ及びPCダイレクトを利用すると,通信料金の上限額が自動的に変更になり,PCブラウザを利用した場合は月額5700円,PCダイレクトを利用した場合は月額9800円が通信料金の上限額となる。 (ウ) 上記のとおり,パケットは,送信される情報量の単位であり,通信情報量が大きくなるにつれ,パケットの数も大きくなる。一般に,楽曲や,動画,アプリケーション等,容量が大きいファイルをダウンロードする場合,パケット通信量は大きくなり,楽曲の長さ等によっては,1曲をダウンロードするのに,5000円以上の通信料がかかるときもある。また,ウェブサイトを閲覧する場合であっても,アクセスインターネット,PCサイトブラウザ及びPCサイトダイレクトを利用する場合等,データ量が比較的大きいウェブサイトを閲覧する場合には,一般の携帯サイトを閲覧する場合と比較して,通信料金が高額になることがあり,1つのウェブページを閲覧するのに約500円の料金が課金されることもある。被告が,利用者に提供していたカタログには,パケット通信により発生する通信料金の目安として,別紙「カタログ」のとおりの記載がある。 (エ) アクセスインターネットの利用料金は,パケットし放題の対象となるサービスではなく,パケットし放題に加入して 信により発生する通信料金の目安として,別紙「カタログ」のとおりの記載がある。 (エ) アクセスインターネットの利用料金は,パケットし放題の対象となるサービスではなく,パケットし放題に加入している利用者についても,月々の通信料金の上限額が定められていない。 (オ) 被告の,1契約あたりの月々の平均売上収入(ARPU)は,平成20年度においては4060円であり,平成21年度においては4070円であった。また,このうち,パケット通信を含むデータ通信による月々の平均収入(データARPU)は,平成20年度においては1740円であり,平成21年度においては2020円であった。 (3) 本件契約の締結から本件通信に至るまでの経緯についてア原告は,平成19年9月29日,富山県B町(当時,現在は富山市B町)所在の被告の販売代理店であるC(以下「本件販売店」という。)において,被告との間で,本件契約を締結した。原告が加入した料金プラン等は,次のとおりである。 (ア) 料金プランホワイトプラン(イ) 料金割引プランパケットし放題(同年10月末まで無料期間),家族割引イ原告が,本件契約締結時に購入した本件携帯電話の機種名はSoftBank810Pであり,同携帯電話端末の個装箱には,アクセスインターネットを利用する際に必要となるソフトウェアをインストールするためのCD-ROMが同梱されていた。なお,同サービスを利用する際に必要となる,パソコンと携帯電話端末を接続するためのUSBケーブルは,個装箱に同梱されていなかった。 ウ原告は,同年11月2日ころ,本件契約締結時に加入した,パケットし放題を解約した。 エ原告は,平成20年3月下旬ころ,京都市内に住居を移した。原告の転居先の 同梱されていなかった。 ウ原告は,同年11月2日ころ,本件契約締結時に加入した,パケットし放題を解約した。 エ原告は,平成20年3月下旬ころ,京都市内に住居を移した。原告の転居先の自宅には,インターネットの接続環境がなかったことから,転居した直後の同年3月26日から同年4月1日までの間,自ら調達したUSBケーブルを用いて本件携帯電話をパソコンに接続して本件携帯電話をモデムとして用いて,アクセスインターネットを利用し,PCサイトを閲覧した(本件通信)(原告が,アクセスインターネットの利用方法に関する知識を取得した時期及び経緯は,原告本人がこの点についての供述を回避していることもあり不明である。)。 原告は,上記アクセスインターネットの利用をするのに先立ち,カタログ,取扱説明書及び被告のウェブサイト等における,アクセスインターネットに関する説明書きの内容を確認しなかったオ原告は,本件契約締結後,本件携帯電話を利用して日常頻繁に携帯サイトを閲覧することはなく,電子メールの送受信を除く月々のパケット通信料金はいずれも3000円に満たないものであった。また,原告は,本件通信を行うまでの間に,アクセスインターネットを利用した経験はなかった。 カ同年3月及び4月において,原告が,本件携帯電話を用いて,本件通信を含むパケット通信を行った日時及びそれに伴い発生したパケット通信料金は,別紙「通信料金一覧表」記載のとおりであり,同年3月30日午後8時の時点において,同年3月分の累積パケット通信料金は5万円を超え,翌31日の午後10時の時点においては,同月分の累積パケット通信料金は10万円を超えた。 原告は,本件通信により,転居先の周辺区域に関する情報が掲載されたウェブサイトや,インターネットプ 超え,翌31日の午後10時の時点においては,同月分の累積パケット通信料金は10万円を超えた。 原告は,本件通信により,転居先の周辺区域に関する情報が掲載されたウェブサイトや,インターネットプロバイダ会社のウェブサイト,通信販売のウェブサイトの閲覧等を行ったが,動画を提供するウェブサイトを閲覧したり,楽曲や動画等の容量の大きいファイルをダウンロードすることはなかった。上記期間において,原告がアクセスインターネットを利用したのは,合計で約10時間程度である。なお,アクセスインターネットには,データの送受信の量に応じて料金が発生するパケット通信方式と,接続時間の長さに応じて料金が発生するデジタルデータ方式があるが,原告は,パケット通信方式を選択し,アクセスインターネットを利用した。 キ被告は,同年4月1日,本件携帯電話の原告のメールアドレス宛に,電子メールを送信し,前日までのパケット通信料金等の後記概算パケット通信料が10万円を超過したことを通知した(後記高額請求アラート)。原告は,同日午後6時ころ,上記メール内容を確認し,アクセスインターネットの利用によりパケット通信料金が予想外に高額になったと考え,以後,アクセスインターネットの利用を止めた。なお,原告は,アクセスインターネットの利用を開始して以後,上記メールを閲覧するまでの間,パケットメーターや利用料金照会等のサービスを利用することにより,累積パケット通信料金の額を確認しなかった。 (4) 本件契約締結時における口頭による説明内容ア本件契約締結の際,本件販売店の担当者は,原告に対し,カタログの記載等を示して,料金プランや,サービスの内容等を説明した。原告は,本件契約締結前から,本件契約におけるパケット通信料金が,1パケットあたり0.2円 本件販売店の担当者は,原告に対し,カタログの記載等を示して,料金プランや,サービスの内容等を説明した。原告は,本件契約締結前から,本件契約におけるパケット通信料金が,1パケットあたり0.2円であることを認識していた。なお,原告は,本件契約締結時において,本件販売店の担当者に対し,携帯電話を用いてウェブサイトの閲覧やメールの送受信をすると,具体的にどの程度の通信料金が発生するかについて,自ら質問をしなかった。 イ本件販売店では,本件契約が締結された時点において,アクセスインターネットの利用を具体的に検討している顧客に対しては,アクセスインターネットは,パケットし放題の対象外となるサービスであるから,通信料金が高額になるおそれがあることを口頭で説明することとしており,朝礼や連絡帳等を通じてその旨店員に指示が出されていた。原告は,本件契約締結時,アクセスインターネットを利用する具体的な予定があることを本件販売店の店員に述べず,アクセスインターネットを利用した際に発生する通信料金について質問をしなかったため,本件販売店の担当者は,原告に対し,アクセスインターネットの料金等について,別途説明をしなかった。 (5) 被告が本件契約締結時に原告に対し交付した書類等本件販売店の店員は,契約締結時に,原告に対し,カタログ,提供条件説明書及び取扱説明書等の書類を交付した。また,本件携帯電話にはリーフレットが同梱されていた。それぞれの記載内容は,大要,次のとおりである。 アリーフレット本件携帯電話に同梱されていたリーフレットには,「<重要>ソフトバンクモバイルからのお知らせ」という表題の下,携帯電話端末とパソコンがUSBケーブルで接続されている状態の図が描かれ,その側に,「パソコンやPDAでのUSB リーフレットには,「<重要>ソフトバンクモバイルからのお知らせ」という表題の下,携帯電話端末とパソコンがUSBケーブルで接続されている状態の図が描かれ,その側に,「パソコンやPDAでのUSB接続による通信(インターネット接続など)はパケット通信料割引サービス「パケットし放題」の対象外となります。画像を含むサイトの閲覧などデータ量の多い通信を行いますと,パケット通信料が高額となる場合がございます。ご利用にはご注意願います。」との注意書きが記載されている。上記説明書きのうち,「パケット通信料割引サービス「パケットし放題」の対象外」という部分は赤い太ゴシック体の文字で記載され,右側にイラストでもUSBケーブルを用いたインターネット接続がパケットし放題の対象外であることが示されている。被告は,同リーフレットを,平成19年6月ころから,被告が販売する携帯電話端末の個装箱内の見つかりやすい箇所に同梱していた。 イカタログ被告は,販売店の店頭等に,携帯電話端末の機能や料金プラン,サービスの内容,価格等を詳細に記載したカタログを備置し,顧客に提供していた。また,契約締結時等において,本件販売店の店員は,顧客に同カタログの記載を示して,契約内容等を説明することとしていた。 カタログには,本件契約において,パケット通信料金が1パケットあたり0.2円であることや,アクセスインターネットを利用した場合にも同様の通信料金が課されることが記載されていた。また,原告が本件契約締結時に交付を受けたカタログの中の,パケットし放題に関する説明書きがある頁には,「パソコンやPDAでのモバイルデータ通信(インターネット接続など。アクセスインターネットを含む),SMS,国際SMS,国際S!メール(MMS)および通話料, 題に関する説明書きがある頁には,「パソコンやPDAでのモバイルデータ通信(インターネット接続など。アクセスインターネットを含む),SMS,国際SMS,国際S!メール(MMS)および通話料,TVコール通信料は,パケットし放題の定額サービスの対象外となります。」との記載があり,上記記載は,赤字で記載され,かつ,同記載が目立つように,黄色の実線で囲まれている。さらに,カタログのパケットし放題に関する説明の記載がある頁には,PCブラウザやPCダイレクトを利用すると,上限料金が自動的に変更になる旨の記載があり,それぞれ,上限額も記載されている。 なお,カタログには,別紙「カタログ」のとおり,パケット通信の通信料金の目安が記載されていた。 ウ取扱説明書原告が本件契約締結時に交付を受けたSoftBank810Pの取扱説明書には,上記機種の携帯電話端末の利用方法や機能,サービスの内容等が詳細に記載されている。同説明書のPCサイトブラウザに関する説明書きがある頁には,携帯電話からPCサイトに接続する際には,「データ量の多い情報画面を表示するときは通信料が高額になりますので,ご注意ください。」との注意書きがある。なお,同説明書の中の,携帯電話端末とパソコンをUSBで接続し,インターネットに接続する方法に関する説明書きがある頁には,通信料金に関する注意書きは記載されていない。 エ提供条件書本件契約締結時に原告に交付された提供条件書には,料金プランの一覧,各プランにおける通信・通話料金,サービスの種類・内容等が記載されている。同提供条件書には,パケット通信料金が1パケットあたり0.2円であること等も記載されている。同提供条件書のパケットし放題に関する説明書きがある頁には,PCブラウザやPCダイレ 記載されている。同提供条件書には,パケット通信料金が1パケットあたり0.2円であること等も記載されている。同提供条件書のパケットし放題に関する説明書きがある頁には,PCブラウザやPCダイレクトを利用すると,上限料金が自動的に変更になる旨の記載があり,それぞれ,上限額も記載されている。 (6) 被告ウェブサイトにおける説明内容ア被告ウェブサイトにおけるアクセスインターネットの説明被告のウェブサイトの,アクセスインターネットの説明書きがあるウェブページにおいては,「パケットし放題は適用対象外となります。」「パケット通信を利用してデータ量の多い通信を行うと,通信料が高額となりますのでご注意ください。」との記載がある。また,同ページには,パケットメーターに関する説明が記載され,同ソフトウェアを当該ページからダウンロードすることができる。 イ平成19年4月27日付けのウェブサイトにおける告知被告は,平成19年4月27日付けで,被告のウェブサイトに,「パケット通信のご利用にあたってのご注意」という表題で,「パケット通信のご利用にあたっては,ご利用方法によりパケット通信料が高額となる場合もございます。ご契約内容をお確かめの上,思わぬ高額とならないようご注意ください。」との注意書きを載せるとともに,顧客に対し,利用料金の照会が可能であること及び定額サービス,割引サービスの利用を奨める案内を掲載した。また,PCサイトブラウザ,PCサイトダイレクトについて,「閲覧されるページが携帯電話向けに作成されていない場合が多く,パケット通信料が高額となることがございます。」との注意書きを記載し,その下に,パケットし放題に関する案内を掲載している。さらに,「ソフトバンク携帯電話をパソコンと接続してインター 合が多く,パケット通信料が高額となることがございます。」との注意書きを記載し,その下に,パケットし放題に関する案内を掲載している。さらに,「ソフトバンク携帯電話をパソコンと接続してインターネットをご利用いただく場合」との表題の下に,「携帯電話とパソコンを接続してインターネットをご利用頂く場合(モバイルデータ通信)は,短時間で大量のパケット通信が行われることが多く,パケット通信料が高額となる場合がございます。ご利用される場合は,ソフトバンクパケットメーターをご利用いただくなど,通信量を確認しながらご利用いただくことをお勧めします。」との記載があり,その下には,「なおモバイルデータ通信は,パケット定額サービスの対象となりませんので,ご注意ください」との赤字の記載がある。 (7) アクセスインターネット利用の際の画面表示等アクセスインターネットに接続する際には,あらかじめ,本件携帯電話の個装箱に同梱されているCD-ROMを用いて,ユーティリティソフトをインストールする必要があるが,その際,画面にパケット通信料金に関する注意書きが表示されることはない。同様に,アクセスインターネットを利用する時点において,パケット通信料金に関する何らかの注意事項が画面に表示されることはない。 (8) アクセスインターネットの利用による高額料金発生に関する消費者からのクレーム等ア平成18年12月22日付けで,被告は,被告の販売店に対し,「パケット通信料割引サービスの説明徹底のお願いについて」という表題で,平成17年8月の「着うたフル®」サービス開始以降,顧客の利用状況によりパケット通信料が高額となり,クレームに発展するケースが散見されるとし,新規契約,契約更新申込みの際に「着うたフル®」対応機種を購入する顧 着うたフル®」サービス開始以降,顧客の利用状況によりパケット通信料が高額となり,クレームに発展するケースが散見されるとし,新規契約,契約更新申込みの際に「着うたフル®」対応機種を購入する顧客に「着うたフル®」等について利用意思を確認し,各種パケット通信料金割引サービスの説明並びに加入推奨を徹底するよう要請する旨の通知を発した。 イ平成19年4月5日,国民生活センターは,パケット通信料金の高額化に関し,消費者からのパケット料金が高額で納得できないといった相談が多く寄せられていることなどを発表し,消費者に注意を呼び掛けた。 同発表において使用された記者説明会資料において,相談件数については,パケット通信関連の相談件数と携帯電話サービス全体に占める割合の推移を平成14年度から平成18年度までの相談件数等の数値を示して,いずれも平成15年度以降増加し,パケット通信に関する相談件数は年間600件ないし800件以上で,携帯電話サービス全体に対する相談件数中に占める割合も15%ないし16%で推移していること,パケット通信料金の高額化によりトラブルとなった相談事例として,パケット定額制を契約していなかったもの3事例,パソコンと携帯電話をつないだデータ通信のもの3事例,海外の使用であることから定額対象外であることを理解していなかった1事例を具体的に紹介し,消費者へのアドバイスとしては,①料金プランやオプション契約の内容など,十分に確認し,不明な点は説明を求めること,②携帯電話事業者によって,パケットの定額制であっても対象外があることに注意すること,③子どもに携帯電話を使わせる場合には利用方法などよく家族で話し合うこと,④利用料金はこまめにチェックすることを呼びかけている。 同じころ,国民生活センターは,被 象外があることに注意すること,③子どもに携帯電話を使わせる場合には利用方法などよく家族で話し合うこと,④利用料金はこまめにチェックすることを呼びかけている。 同じころ,国民生活センターは,被告を含む携帯電話事業者各社に対し,①契約内容について,消費者個々人のレベルに合わせたわかりやすい説明を望むこと,②パケット通信の接続先ごとのパケット数を消費者が把握できるように努力することを求め,接続先の履歴と利用パケット数を利用者が容易に確認できるような仕組みが望ましいことを要望事項として伝え,このような要望を伝えたことも発表した。 ウ平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間,国民生活センターが受付をした相談事例で,同年4月22日までにPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に登録されたもののうち,被告の契約者からのパケット通信に関する相談は,1114件あり,そのうち,平成18年(ただし,10月以降のみ)は249件,平成19年は865件であった。 上記期間における相談事例の中の最新のもの50件のうち,アクセスインターネットの利用により発生したパケット通信料金が高額に過ぎるとする相談事例は,海外での利用により定額制の範囲外となったものを除き,8件あった。その内容は,概ね,次のとおりである。 ① 息子がアクセスインターネットにより,インターネットのオンラインゲームを長時間していたら,請求額が150万円にも達した。(甲5の別添50例中の事例番号1)② 息子が携帯電話を契約した後,アクセスインターネットによりインターネットのオンラインゲームを約5時間したところ,1週間の利用で150万円の請求が来た。(同2)③ アクセスインターネットを30分ほど使用したところ,翌日,携帯電 ンターネットによりインターネットのオンラインゲームを約5時間したところ,1週間の利用で150万円の請求が来た。(同2)③ アクセスインターネットを30分ほど使用したところ,翌日,携帯電話会社から高額な利用料になっているとの連絡があった。(同3)④ 携帯電話のアンテナショップで店員にインターネットをしたい旨告げたところパケットし放題の料金形態を勧められて加入し,携帯電話をモデム代わりにしてパソコンに接続し,インターネットを利用したところ,1日半から2日間で利用料金が100万円になった。(同12)⑤ 約7時間,アクセスインターネットを利用したところ,通信料金が78万円になっているとの連絡が携帯電話会社からあった。定額制適用外であることは知っていたが,1時間1万円くらいだと思っていた。 (同13)⑥ 携帯電話を契約した際,パケット代金定額制にしたが,パソコンにつないで使った場合も定額制の範囲内であるとの説明であったのに,1か月間パソコンとつないで使ったら高額の請求が来て驚いた。実際は範囲外だった。交渉して請求額は3分の1になったが納得いかない。 (同18)⑦ 取扱説明書にアクセスインターネットを利用した場合,パケットし放題の対象外となり利用料が高額となる旨の記載があることは知っていたが,便利なのでつい数日間利用したところ,計52万円の通信料金の請求を受けた。分割払いを要望してほしい。(同23)⑧ アクセスインターネットを利用したところ,1日の通信で60万円のパケット通信料金を請求された。(同36)エ国民生活センターに寄せられたパケット料金に関する相談事例について,相談者が,通信事業者から請求を受けたパケット通信料金を含む利用料金の平均額は,平成14年度は8万6733円,平成15年度 エ国民生活センターに寄せられたパケット料金に関する相談事例について,相談者が,通信事業者から請求を受けたパケット通信料金を含む利用料金の平均額は,平成14年度は8万6733円,平成15年度は8万7229円,平成16年度は8万4391円,平成17年度は12万8135円,平成18年度は15万5216円であった。 オ適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者機構日本は,平成20年5月ころ,インターネット接続によるパケット通信料金の高額化に関する消費者からの相談事例が増加しているとして,被告を含む携帯電話事業者3社に対し,通信料金の高額化を防止するための説明や情報提供をするよう業務改善を要望し,それに対する各社の回答を発表した。 同回答によれば,被告を除く2社(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「ドコモ」という。)及びKDDI株式会社(以下「KDDI」という。))は,同時点において,インターネット接続等の高額料金防止のために,次のような措置を採っている旨回答した。 ① ドコモ携帯電話端末の個装箱に同梱されているCD-ROMから,インターネット接続のためのソフトをダウンロードする際,インターネット接続は,パケット定額制プランの対象外であることについて注意喚起をする文章を表示させている。また,その際,ウェブ閲覧の際にパケット通信料金の目安を確認することのできるソフト(FOMAバイトカウンタ)が自動的にインストールされる。さらに,パケット通信料金が一定額に到達した場合に,電子メールで通知するサービス(無料)を利用者の任意申込みがあれば提供している。以上に加えて,例月に比べて通信料等が高額となった場合は,確認のために,料金請求前に利用金額を知らせるはがきを送付している。 ② KDDI 料)を利用者の任意申込みがあれば提供している。以上に加えて,例月に比べて通信料等が高額となった場合は,確認のために,料金請求前に利用金額を知らせるはがきを送付している。 ② KDDI携帯電話端末の個装箱に同梱されているCD-ROMから,インターネット接続のためのソフトをダウンロードする際,インターネット接続は,パケット定額制プランの対象外であることについて注意喚起をする文章を表示させている。パケット通信料金が一定額に到達した場合に電子メールで通知するサービスである「料金安心サービス」を利用者の任意申込みがあった際には,無料で提供している。 カ平成20年5月30日,総務省は,同省内にある電気通信消費者相談センター等に寄せられた消費者からの相談に基づき,「携帯電話のパケット通信料金の高額利用の防止策」と題する発表を行い,パケット料金高額化を防止するための消費者の対策を紹介し,利用者に対する注意喚起を行った。同発表においては,パケット通信料金が思いがけず高額となる理由として,①音楽等データ量が大きいサービスの利用,②パケット通信料金の定額制の対象外となるインターネット接続などの利用,③通信速度が速いサービス・端末の利用が紹介され,インターネット接続が定額制の対象外となることがあるサービスであり,その利用により通信料金が高額になるおそれがある旨の注意が示された。 (9) インターネット接続に関し,被告の講じた対応策について上記のような各種団体からの申入れや消費者からの苦情等に対応して,平成19年以降,被告は,次のとおり,対策措置を講じた。 ア平成19年2月以降,カタログを改訂し,前記第3,1,(5),イのパケットし放題についての注意喚起文について,次のとおり,記載の方法,文字の大き 降,被告は,次のとおり,対策措置を講じた。 ア平成19年2月以降,カタログを改訂し,前記第3,1,(5),イのパケットし放題についての注意喚起文について,次のとおり,記載の方法,文字の大きさ,色等を変更した。 ① 同年2月版それまで黒字であった文字を,利用者に見やすいように,赤字に変更した。 ② 同年3月版文字サイズを,それまでの5ポイントから,6ポイントに変更し,大きくした。併せて注意喚起文を囲む黒枠をなくした。 ③ 同年5月版パケットし放題の適用除外の対象となるモバイルデータ通信に,アクセスインターネットが含まれることを明記した。 ④ 同年9月版「「パケットし放題」をご利用の場合でも,定額の対象外となる通信がありますのでご注意下さい。」との表題(文字の大きさ・8ポイント,太字)を追加し,本文を一部改訂した。また,注意喚起文を,より見やすいよう,黄色の枠で囲った。 イ同年6月ころより,携帯電話端末の個装箱へのリーフレット(前記第3,1,(5),ア)の同梱を開始した。 ウ平成19年夏モデルの携帯電話端末の一部機種について,パソコンと携帯電話端末を接続するために必要となるUSBケーブルを同梱することを取り止め,別売りにした。なお,CD-ROMの同梱については,継続することとした。 本件携帯電話の機種は,平成19年6月に発売が開始された同年夏モデルのSoftBank810Pであり,これはUSBケーブルが同梱されなかった機種の1つである。 エ被告の販売代理店に対し,契約締結時に,利用者に,アクセスインターネットは,パケットし放題の対象外であることを説明するよう指示を出した。 オ前記第3,1,(6),イのとおり,同年4月27日付けで,アクセスインターネットの利 ,利用者に,アクセスインターネットは,パケットし放題の対象外であることを説明するよう指示を出した。 オ前記第3,1,(6),イのとおり,同年4月27日付けで,アクセスインターネットの利用に関する注意喚起を,被告のウェブサイトで行った。 (10) 被告の利用者がパケット通信料金を確認するための措置についてア利用料金照会サービス被告の契約者は,被告の顧客専用のウェブサイトである「MYSOFTBANK」の該当ウェブページを閲覧することにより,前日までの,当月分における累積パケット通信料金の額等を確認することができる。 同サービスの内容は,カタログにおいて紹介されている。 イパケットメーター同ソフトウェアをインストールすることにより,ウェブ閲覧等のパケット通信時に,当該パケット通信に係るパケット通信量及びそれに伴い発生する通信料金(概算)が表示される。被告のウェブサイトから無料でダウンロードすることができる。また,パケット通信料金が一定額に達した場合には,警告が表示されるように設定をすることも可能である。 同サービスは,被告のウェブサイトにおいて紹介されているが,カタログ等の交付書類には同サービスの内容に関する記載はない。 ウ一定額Eメール通知サービス当月分の利用料金(音声通話料,メール通信料,ウェブ通信料,パケット通信料金,データ通信料,コンテンツ情報料等の合計)が,利用者があらかじめ設定した一定の額に達した場合には,その旨を電子メールにより通知するサービス。利用者の申込みが必要となるが,利用料金は無料である。同サービスの内容は,カタログに掲載されている。なお,原告は,同サービスの申込みをしていない。 エ高額請求アラート当月分のパケット通信料金 みが必要となるが,利用料金は無料である。同サービスの内容は,カタログに掲載されている。なお,原告は,同サービスの申込みをしていない。 エ高額請求アラート当月分のパケット通信料金等が一定額に達した場合,利用者への注意喚起のため,被告から利用者に対し,電子メールにて累積概算パケット通信料(メール通信料,ウェブ通信料,パケット通信料,データ通信料の合計金額)が通知される。前日の0時において,パケット通信料金が基準額を超えている利用者に対し,翌日の早朝から順次メールが自動配信される仕組みとなっている。被告が同サービスの導入を販売代理店等に通知するために作成した平成20年1月31日付けの書面には,パケットし放題に加入している契約者も,アクセスインターネット等のパケットし放題の適用除外サービスを利用する場合もあることから,高額請求アラートに関する説明をするよう指示する記載がある。 なお,同サービスは,平成20年2月1日に開始され,基準額は10万円に設定されていたが,被告は,平成20年5月2日に,同サービスの基準額を5万円に変更した。現在,同サービスの基準額は3万円に設定されている。 オ上記各サービスに関する原告の認識等本件契約締結時において,本件販売店の店員は,原告に対し,上記アないしウのサービス内容に関し口頭で説明をしなかった。また,原告は,本件通信時において,上記各サービスが提供されていることを認識していなかった。 2 事実認定の補足判断(1) 原告は,本件携帯電話の個装箱には,USBケーブルが同梱されていた旨主張し,甲18号証(原告の陳述書)及び原告本人の供述中にはこれに沿う部分がある。しかしながら,証拠(乙2,13)によれば,本件契約締結当時,被告の携帯電話端 USBケーブルが同梱されていた旨主張し,甲18号証(原告の陳述書)及び原告本人の供述中にはこれに沿う部分がある。しかしながら,証拠(乙2,13)によれば,本件契約締結当時,被告の携帯電話端末の商品カタログには,USBケーブルが同梱されている機種については,当該機種の紹介部分の「付属品キット」欄に「USBケーブル(試供品)」との記載があるが,同梱されていない機種に上記記載がないこと,本件携帯電話の機種であるSoftBank810Pの紹介部分の同欄には上記記載がないこと,また,原告が本件契約締結時に交付を受けたSoftBank810Pの取扱説明書には,「お買い上げ品の確認」の欄に,お買い上げ品として,本体,電池パック,急速充電器,取扱説明書,ファーストステップガイド及びユーティリティーソフトウェア(CD-ROM)が記載されているが,USBケーブルとの記載はなく,他方,別の通信・外部接続についての説明箇所に「本機とパソコンを当社指定のUSBケーブルで接続すると」アクセスインターネット等ができる旨,USBケーブルが同梱されていないことを前提とするかのような記載があることが認められる。加えて,甲18号証には,a「本件契約締結時に店員にパソコンに携帯電話を接続してインターネット通信をする方法を尋ねたが明確な回答がなかったので」b「梱包物を探したところUSBケーブル(「USB端子」とあるが,前後の文脈からUSBケーブルの意味と解される。)が出てきてこれを使用して接続することが分かった」,c「店員にUSBケーブルの使用方法を尋ねたが適切な説明がなかった。」旨の記載があるが,原告本人尋問においては,上記a,cは,本件契約前に原告の夫が携帯電話端末を購入した際の出来事である旨供述しており,原告の記憶の正確 使用方法を尋ねたが適切な説明がなかった。」旨の記載があるが,原告本人尋問においては,上記a,cは,本件契約前に原告の夫が携帯電話端末を購入した際の出来事である旨供述しており,原告の記憶の正確性には疑問があり,USBケーブルの同梱(上記b)についても,原告の夫の購入時の記憶と混同されている疑いがある。 以上によれば,本件携帯電話の個装箱にUSBケーブルは同梱されていなかったものと認められ,甲18号証及び原告本人の供述の上記部分は措信できない。 (2) 原告は,その本人尋問において,リーフレットを見た記憶が全くない旨供述する。証拠(乙4,27,28,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成19年5月ころ,携帯電話端末の個装箱に,前記第3,1,(5),ア記載の内容のリーフレットを同梱することを決定し,そのころから,印刷業者にその作成を発注したこと,その最終納期は同年6月29日であったことが認められ,これによれば,特段の事情のない限り,原告の購入した本件携帯電話の個装箱にも上記リーフレットが同梱されていたものと認められる。原告は,その内容を確認したかどうかはともかく,上記個装箱から同携帯電話を取り出す際に同リーフレットを目にしたはずであり(前記認定のとおりリーフレットは個装箱内の見つかりやすい箇所にあった。),本人尋問の時点ではその記憶が失われていたと考えるほかない。 3 消費者契約法10条違反の有無について(1) 前記第3,1,(1)の事実によれば,本件契約は,消費者契約法2条3項所定の「消費者契約」に該当する。したがって,本件契約における条項のうち,同法10条の要件を充たすものは無効となる。 しかし,本件パケット料金条項は,被告の提供する役務の対価に関する条項であるが,一般に,双務契約に する。したがって,本件契約における条項のうち,同法10条の要件を充たすものは無効となる。 しかし,本件パケット料金条項は,被告の提供する役務の対価に関する条項であるが,一般に,双務契約における対価又は対価の決定方法を定める明文規定又は一般法理は存在しないから,対価に関する条項について任意「規定の適用による場合」(同条前段)と当該条項による場合を比較することはできないことなどからすると,対価に関する条項に同条が適用されるかは極めて疑問である。また,原告は,本件パケット料金条項のうち1万円を超える部分が同条に違反して無効である旨主張するが,同料金条項に1万円を超える部分というべき部分が存在するのかも疑問である。原告の主張する1万円は,単に,同料金条項の定めるパケット料金の算定方法に従って計算した場合,消費者の得た通信情報量が一定のパケット数を超えたときに算出される計算結果に過ぎず,それ自体は消費者と被告との間の合意の内容ではないと解されるからである。あるいは,原告の主張は,計算結果として1万円を超えるパケット通信料金が算出されるような算定方法を定める合意が無効であるとの趣旨とも解されるが,その場合の無効とすべき合意部分の具体的範囲・内容が特定されているのか疑問であり,原告の主張は,結局,パケット通信料金が1万円を超えないような計算方法に契約内容が変更されるという同法10条の規定しない効果をいうものと解さざるを得ない。なお,仮に,本件パケット料金条項の1万円を超える部分に同条が適用され,同条の要件を充たすとされた場合,その効果としては,同料金条項に定める計算方法に従って計算したパケット通信料金が1万円に達したときは,当該料金計算期間内においては,以後,消費者がパケット通信をどれだけ行っても支払 れた場合,その効果としては,同料金条項に定める計算方法に従って計算したパケット通信料金が1万円に達したときは,当該料金計算期間内においては,以後,消費者がパケット通信をどれだけ行っても支払うべき対価は1万円に留まることになるのか,そうではなく,以後,被告も通信サービスを提供すべき義務を免れる(対応する反対給付の合意部分も無効となる)のかについて,原告の主張は明確ではない。前者とすると,任意規定を適用した場合,必然的に上記のような一種の料金定額制になるといえるのか疑わしく,後者とすると,消費者に不利益が生じない被告の役務提供義務を約する部分が無効となる法理(無効にならないが被告が役務提供義務を負わないとするならその法理)の説明が必要となる。 (2) 上記の点をひとまず措くとしても,本件パケット料金条項が消費者契約法10条前段の要件を充たすとは解されない。すなわち,本件パケット料金条項は,パケット通信に係る料金及びその算定方法を定めるものであるところ,本件契約における料金の算定にあたって用いられるパケットという単位は,通信情報量を示すものとして客観的なものであり,通信役務提供契約においては,利用者が提供を受けた役務の量である通信情報量に従い利用料金を算定する合理的なものであるといえるから,本件パケット料金条項が定める価格決定方法が任意規定(明文の規定のみならず,一般的な法理等も含まれる(最高裁平成22年(オ)第863号同23年7月15日第二小法廷判決参照))から乖離するとはいえない。このことは,我が国において,本件契約と同じく,消費者が供給量に応じて便益を受ける水道,電気及びガス等の供給契約において,利用量に応じた従量制の料金システムが広く採用され,これが水道法,電気事業法及びガス事業法等 おいて,本件契約と同じく,消費者が供給量に応じて便益を受ける水道,電気及びガス等の供給契約において,利用量に応じた従量制の料金システムが広く採用され,これが水道法,電気事業法及びガス事業法等の上記各事業を規律する事業法等において是認されていることからも明らかである。 さらに,本件パケット料金条項には,1パケットあたり0.2円という役務提供の単価が一義的かつ具体的に記載されており,当事者間において上記単価につき明確な合意がなされたと解される。このような場合において,合意された役務提供の単価の額の当否は,基本的には市場による評価及び調整に委ねるべき事柄であり,これを規律する明文の規定及び一般法理は存在しないといわざるを得ない。 以上によれば,本件パケット料金条項が,任意規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重するものであるとはいえず,消費者契約法10条前段が定める要件に該当しないというべきである。 (3) これに対し,原告は,パケットという単位は不明確かつ不可視であり,消費者は,ウェブ等を閲覧するに際し,あらかじめ通信量を把握することができず,パケット通信により高額な通信料金が発生するおそれがあること等を理由として,本件パケット料金条項は,不意打ち的に高額な料金を消費者に課すものであり,一般法理に比して消費者に不利益を与えるものである旨主張する。 しかしながら,本件契約のような役務提供契約に関し,提供される役務の量や価格が役務提供時にあらかじめ具体的に明らかにされるべきことを定める明文の任意規定はない。また,前記認定のとおり,本件パケット料金条項は,通信情報量に応じた客観的な料金算定方法が定められており,消費者は,カタログにおけるパケット通信料金の目安に きことを定める明文の任意規定はない。また,前記認定のとおり,本件パケット料金条項は,通信情報量に応じた客観的な料金算定方法が定められており,消費者は,カタログにおけるパケット通信料金の目安に関する記載や月々の通信料金等から,当該パケット通信により発生する通信料金をある程度予測することも可能であり,被告が契約者に無料で提供する利用料金照会等のサービスにより,自ら事後的に通信量を把握することもできる。そして,パケット方式による通信サービスを行う以上,サービス提供の量に従った料金制度としては,パケット当たりの単価を定める方法以外は考えにくい。そうすると,パケット通信においては,通信情報量によっては通信料金が予想外に高額化する可能性ないし傾向があること等を考慮しても,本件契約における通信料金の算定方法が,消費者にとって不明確かつ不可視であるとか,何らかの一般法理に比して消費者に不利益を与えるとはいえない。したがって,原告の主張は採用できない。 4 公序良俗違反の有無について原告は,本件パケット料金条項は,不意打ち的に高額な料金を消費者に課すものであり,公序良俗に反する旨主張する。 しかしながら,前記認定のとおり,パケットは,通信情報量を示す客観的な単位であり,利用者は,カタログの記載や,月々の通信料金等を目安とすることにより,パケット通信料金をある程度予測することが可能であること,利用料金照会等を用いることにより,事後的にパケット通信量を把握することもできることからしても,本件契約における通信料金の算定方法が,消費者にとって,不明確かつ不可視なものであるとか,不意打ちを与えるものとはいえない。また,被告が,契約締結時や通信役務提供時等に,原告に対し,本件契約に係るパケット通信料金について原告に誤 ,消費者にとって,不明確かつ不可視なものであるとか,不意打ちを与えるものとはいえない。また,被告が,契約締結時や通信役務提供時等に,原告に対し,本件契約に係るパケット通信料金について原告に誤解を与えるおそれのある説明若しくは情報提供をしたことを示す証拠はない。 本件パケット料金条項は,通信情報量に応じて料金が発生する従量制の料金システムを採っているが,インターネット通信役務の性質上,通信情報量が多ければ多いほど,利用者は,それに応じた便益を享受したといえるのであるから,通信情報量に応じて料金を定めることは合理的であり,通信情報量と被告の負担する経費が完全な比例関係にはないとしても,被告が提供役務の内容に照らし不相当に過大な利益を得るとはいえない。したがって,本件パケット料金条項により,被告が,原告又は契約者一般の窮迫・軽率・無経験に乗じて過大な利益を獲得するものとはいえず,同条項が公序良俗に反するとはいえない。 5 パケット通信料金に関する説明・情報提供義務違反の有無について(1) 被告が契約上の付随的義務として原告に対して負う説明義務・情報提供義務の内容ア本件契約においては,通信量に応じて通信料金が発生する料金制度が採られていることから,一定の通信を行った場合に,それに伴い発生する通信料金の額がいくらであるのかについては,原告が当該通信サービスの提供を受けるか否か,受けるとした場合にどの程度の量のサービスの提供を受けるのかを判断するのに極めて重要な影響を及ぼす事実である。したがって,被告は,本件契約上の義務として,原告が,各種通信サービスの提供を受けるか否かを決定することができるよう,当該サービスの提供を受けることを決定するまでの間に,原告に対し,適宜の方法により,当該通 は,本件契約上の義務として,原告が,各種通信サービスの提供を受けるか否かを決定することができるよう,当該サービスの提供を受けることを決定するまでの間に,原告に対し,適宜の方法により,当該通信サービスの利用により発生する通信料金について,わかりやすく説明する義務を負うというべきである。 イまた,前記認定のとおり,本件契約は被告の設けた定型的な契約の1つであるが,この定型的契約(以下,本件契約と同一内容の定型的契約を総称して「本件定型契約」という。)における通信役務の種類,内容は多種多様であり,利用者がいかなる内容,種類の通信を行うかにより,通信量及び発生する通信料金は大きく異なる。そして,利用者は,インターネット通信サービスの性質上,通信時において,当該通信に係る通信量を正確に把握することは困難であること等から,利用者が,当該通信により発生する通信料金につき十分な認識を有しないまま,通信サービスの利用を開始するおそれが多分にある。さらに,アクセスインターネットによるパケット通信は,PCサイトの情報量が携帯サイトと比較して大きいことから,通信内容如何によっては,短時間のうちに通信料金が高額となるおそれがある。そのうえ,被告は,本件携帯電話にアクセスインターネットの利用の際に必要となるソフトウェアをインストールするためのCD-ROMを同梱し,市販のUSBケーブルを用いることにより,原告がアクセスインターネットを利用することのできる状態を作出している。そうすると,被告は,本件契約上の義務として,原告がアクセスインターネットを利用するに先立ち,原告に対し,同サービスを利用することにより高額な料金が発生する可能性があることにつき,情報提供をする義務を負うと解するのが相当である。 (2) そこで,以下 スインターネットを利用するに先立ち,原告に対し,同サービスを利用することにより高額な料金が発生する可能性があることにつき,情報提供をする義務を負うと解するのが相当である。 (2) そこで,以下,被告が,上記説明ないし情報提供義務を果たしたか否かについて検討する。 前記認定のとおり,被告が本件契約締結時に原告に交付したカタログ及び提供条件書には,アクセスインターネットを含むパケット通信料金が1パケットあたり0.2円であることが明確に記載されており,原告も本件契約締結前から上記通信料金の額を認識していた。また,上記カタログには,楽曲や動画のダウンロード等,情報量の大きいパケット通信を行った場合の通信料金の目安が記載されており,PCサイトは携帯サイトと比較して通信情報量が大きく,原告本人も,その旨認識していたと供述することからすれば,アクセスインターネットを利用してPCサイトを閲覧した場合,上記カタログに記載がある楽曲や動画等のダウンロードと比較して,発生する通信料金が格段に低額にならないことは,原告にとって予測が可能であったといえる。さらに,本件携帯電話の個装箱に同梱されていたリーフレットには,アクセスインターネットに関し,データ容量の大きい通信を行う場合には,通信料金が高額となるおそれがある旨の注意書きが記載されており,そのうえ,被告は,上記カタログや被告のウェブサイトにおいて,利用料金照会,一定額メール通知サービス及びパケットメーター等のサービスに関する紹介を行っており,契約者は,これらのサービスを利用することにより,自らウェブサイト閲覧時等のパケット通信料金の目安を確認することも可能であった。上記に加えて,①本件定型契約において被告の提供する通信役務の内容は多種,多様であり,契約締結時等に することにより,自らウェブサイト閲覧時等のパケット通信料金の目安を確認することも可能であった。上記に加えて,①本件定型契約において被告の提供する通信役務の内容は多種,多様であり,契約締結時等に口頭においてすべてのサービスの内容や料金等を説明することは時間的制約から困難であり,利用者にとってかえって理解しにくいものとなる可能性もあること,②アクセスインターネットの利用者は極めて少なく,大部分の被告の顧客にとって同サービスの料金説明は不要なものであることからすれば,上記のとおり,口頭による説明ではなく,契約締結時に提供したカタログ及び提供条件書並びにウェブサイト等の記載を通じて契約者にアクセスインターネットの通信料金に関する情報提供をすることは,説明・情報提供の方法として不十分なものであるとはいえない。 したがって,被告は,原告に対し,アクセスインターネットによりPCサイトを閲覧する際に発生する通信料金の額及び同サービスの利用により高額な料金が発生する可能性があることについて,本件契約に基づき要求される範囲の説明・情報提供をしたと認めるのが相当である。 (3) これに対し,原告は,①パケットという単位は,不明確かつ不可視なものであり,パケット通信時に通信量を把握することは困難であること,②アクセスインターネットの利用により,通信料金が高額化するおそれがあり,現実に,国民生活センター等にアクセスインターネットの利用による通信料金の高額化に関する苦情が多数寄せられていること等から,被告は,原告に対し,具体的に原告が予測できる形で,原告が当該ウェブサイトを閲覧すれば,いくらのパケット通信料金が課されるかを説明し,情報提供する義務があった旨主張する。 原告が,いつの時点で被告が上記義務を履行すべきであると 測できる形で,原告が当該ウェブサイトを閲覧すれば,いくらのパケット通信料金が課されるかを説明し,情報提供する義務があった旨主張する。 原告が,いつの時点で被告が上記義務を履行すべきであると主張するのか不明であるが,本件契約締結時点では,将来,原告がいかなるウェブサイトを閲覧するかは,原告自身も分からなかったはずであるから,被告が原告主張の上記義務を履行することはおよそ不可能である。また,原告が当該ウェブサイトを閲覧しようとする段階においても,当該ウェブサイトを構成するウェブページ又はデータファイルのうちいずれを閲覧するかを被告が予測することは不可能であり,さらに,原告が特定のウェブページ等を閲覧する操作を実行した際に,当該ページの情報が送信される前に,当該ページを閲覧することにより課される通信料金を概算にしろ原告に告知し,原告が上記情報送信を中止させることもできるようにすることも,技術的には可能であるとしても,少なくとも,本件通信当時,普及はしていなかったと考えられる。したがって,特定のウェブサイト閲覧前に,被告が原告主張の具体的料金情報を原告に提供し,それに基づいて当該ウェブサイトを閲覧するか否かを判断させることは不可能であるか又はそれを可能とするサービスの提供を求めることは著しく困難であったというほかない。本件契約上,被告が要求されるパケット通信料金に関する事前の説明及び情報提供としては,前記説示のとおり,カタログ及びウェブサイト等を通じ,アクセスインターネットを含むパケット通信により発生する通信料金の算定方法及び楽曲や動画のダウンロード等,情報量の大きいパケット通信を行った場合の通信料金の目安を説明するとともに,アクセスインターネットを利用してデータ量の多い通信を行う場合には,通 信料金の算定方法及び楽曲や動画のダウンロード等,情報量の大きいパケット通信を行った場合の通信料金の目安を説明するとともに,アクセスインターネットを利用してデータ量の多い通信を行う場合には,通信料金が高額化するおそれがあることにつき説明をしていれば足りると解すべきである。 なお,顧客による明示の申出がない場合においても,アクセスインターネットによるパケット通信時に,逐時,送受信した通信量や,それに伴い発生する通信料金が明らかになるよう,当該通信に係る通信量や通信料金を画面で表示するサービス等を提供することとすれば(被告の同業者であるドコモは平成20年5月の時点においてこのようなサービスを導入していたことは前記認定事実のとおりである。),ウェブサイト閲覧開始後ではあるが,利用者が現に発生中の通信料金を即時的に把握することが容易になり,利用者にとって予測外の通信料金が発生するという事態は回避することができる可能性が高いと考えられる。しかしながら,上記のようなサービスを導入するには一定の経済的負担が伴い,特に本件のように財産的利益に関する情報提供が問題となる局面においては,そのようなシステムを導入して顧客に詳細な情報を提供する必要性の程度と,当該システムの導入に伴う被告への負担を比較衡量し,被告に課される情報提供義務の存否を判断せざるを得ない。そして,前記認定のとおり,アクセスインターネットの利用者は極めて少なく,利用者は自ら既に発生した通信料金を確認する手段も存することからすれば,国民生活センターにアクセスインターネットの利用による通信料金の高額化に関する苦情が相当数寄せられていること等を考慮しても,上記サービスの導入が,本件契約上の義務として要求されているとまでは認めることができない。 インターネットの利用による通信料金の高額化に関する苦情が相当数寄せられていること等を考慮しても,上記サービスの導入が,本件契約上の義務として要求されているとまでは認めることができない。 6 原告の通信料金が高額化した段階における被告の情報提供義務違反の有無について(1) 前記第3,5は,未だ利用者がアクセスインターネットを利用する以前の段階において,被告に契約上課される通信料金に関する説明義務ないし情報提供義務であるが,これに対し,一旦,利用者がアクセスインターネットの利用を開始し,通信料金が高額化した後の段階においては,利用者に生じる予測外の財産的負担の拡大の防止という観点から,情報提供の必要性の程度が高まるといえるのであり,この段階において被告に課される情報提供義務の有無については,別途検討する必要がある。 (2)ア前記認定説示のとおり,本件定型契約は,利用者が認識しないうちに高額な通信料金を発生させる危険性を内包するものであり,特に,アクセスインターネットは,通信情報量が大きくなりがちであることから,利用料金の高額化のおそれが高い。そして,同定型契約におけるサービス内容は多種多様であり,かつ,利用者は,契約締結時から一定期間経過後に初めてアクセスインターネットを利用する意思が生じることも想定されることからすれば,利用者が,契約締結時等における説明や情報提供の内容をサービス利用時点においては失念したり,契約締結時に交付されたリーフレット等の説明書類等が既に廃棄される等して手元にないために,上記説明書類等や被告ウェブサイトにおける説明書き等を確認しないままにサービスの利用を開始することも予想されるところである。 さらに,利用者としては,利用料金照会,パケットメーター及び一定額通知サ 書類等や被告ウェブサイトにおける説明書き等を確認しないままにサービスの利用を開始することも予想されるところである。 さらに,利用者としては,利用料金照会,パケットメーター及び一定額通知サービス等の被告が提供するサービスを利用することにより,パケット通信料金を確認することができるものの,①パケットメーター及び一定額通知サービスは,利用者が自ら被告ウェブサイトを通じて申込みやインストールをすることを要するし,利用料金照会についても,被告ウェブサイトにアクセスをしなければ料金の確認ができないこと,②これらのサービス等は,被告のウェブサイトやカタログにおいて紹介されているものの,被告が,契約者に対し,口頭や書面等を通じ,アクセスインターネットを利用する際等に上記サービスを利用するよう具体的に働き掛けたことを認めるに足りる証拠はなく,上記各サービスはカタログや被告ウェブサイトにおいて紹介がされているのみであることからすれば,上記各サービス等の存在について認識がない利用者や,サービスの内容自体は認識していても,これらをアクセスインターネットによる通信の際に活用しない利用者がいることも十分に予測されるところである(なお,被告がウェブサイトにおいて平成19年4月27日付けでアクセスインターネットを利用する際に,パケットメーターを利用するよう告知したことは前記認定のとおりであるが,上記ウェブページが本件通信時にも被告のウェブサイトに残されていたことを認めるべき証拠はない。)。そして,このことは,前記認定のとおり,平成19年ころの時点において,相当数のアクセスインターネットの利用者が,国民生活センター等に,通信料金が予想外に高額になったことにつき苦情・相談等を寄せていたことからも明らかである。また,前記のとおり ころの時点において,相当数のアクセスインターネットの利用者が,国民生活センター等に,通信料金が予想外に高額になったことにつき苦情・相談等を寄せていたことからも明らかである。また,前記のとおり,被告は,本件携帯電話にアクセスインターネットの利用の際に必要となるソフトウェアをインストールするためのCD-ROMを同梱し,市販のUSBケーブルを用いることによりアクセスインターネットを利用することのできる状態を作出している。そのうえ,被告は,平成20年2月に高額請求アラートを開始し,顧客に発生したパケット通信料金を日々把握していることからすれば,本件通信時において,原告がアクセスインターネットを利用したことにより発生したパケット通信料金の額について,容易に把握することができる立場にあったということができるし,原告のパケット通信料金が一定額を超過した場合にこれを通知することを要求することとしても,被告に過大な負担を与えるともいえない。 イ以上に掲げた諸事情を考慮すれば,本件通信時において,原告のアクセスインターネットの利用により高額なパケット通信料金が発生しており,それが原告の誤解や,不注意に基づくものであることが被告においても容易に認識し得る場合においては,被告は,本件契約上の付随義務として,原告の予測外の通信料金の発生拡大を防止するため,上記パケット通信料金が発生した事実をメールその他の手段により原告に告知して注意喚起をする義務を負うと解するのが相当である。 (3) そこで,次に,本件において,被告が,原告に予測を超える高額の通信料金が発生したことを容易に認識することができたか否かにつき,検討する。 ア前記認定のとおり,平成19年に国民生活センターに寄せられた相談事例の中の最新のもの50件のうち, える高額の通信料金が発生したことを容易に認識することができたか否かにつき,検討する。 ア前記認定のとおり,平成19年に国民生活センターに寄せられた相談事例の中の最新のもの50件のうち,アクセスインターネットの利用による通信料金の高額化に関する相談が8件(16%)あり,総務省が,平成20年5月に行った前記第3,1,(8),カの発表からも,平成19年ころの時点において,インターネット接続による通信料金の高額化に関する相談が相当数存在したことが窺われる。そして,被告の契約者のうちアクセスインターネットを利用する者の割合が極めて低いことを考慮すると,アクセスインターネットを利用した者のうち,予測外に通信料金が高額化した者の割合は相当高いといえる。また,①被告は,平成19年1月以降,順次,カタログ掲載のアクセスインターネットを含むパケットし放題の対象外となるサービスに関する注意書きを改訂して,消費者に見やすいものとするよう文字の大きさ等を変更し,②平成19年4月5日に,国民生活センターが,被告に対し,アクセスインターネットの通信料金の高額化に関する対策の申入れを行って以降は,アクセスインターネットの利用に関する注意書きが記載されたリーフレットを携帯電話端末の個装箱へ同梱することを開始するとともに,一部機種につきUSBケーブルの携帯電話端末への同梱を取り止め,③被告の販売店に,アクセスインターネットがパケットし放題の対象外であることの説明を顧客に行うよう指示している。さらに,④平成20年3月においては,販売代理店等に,アクセスインターネットの利用者等が存することから,パケットし放題に加入している契約者にも,高額請求アラートに関する案内をするよう指示を出している。したがって,被告は,遅くとも,本 理店等に,アクセスインターネットの利用者等が存することから,パケットし放題に加入している契約者にも,高額請求アラートに関する案内をするよう指示を出している。したがって,被告は,遅くとも,本件通信時において,アクセスインターネットの利用により,通信料金が予想外に高額化した契約者が相当数存在し,予想外に高額な通信料の請求を顧客が受けたとしてクレームとなるケースを減らすべくより一層の対処が必要であるとの認識を有していたと推認できる。 イそして,①被告の契約者のデータARPUは,平成20年度においては1740円,平成21年度においては2020円であり,原告の本件通信時までのメールの送受信を除く月々のパケット通信料金は,いずれも3000円に満たない額であったこと,②パケットし放題の上限料金が月額4000円台に設定されていることから,どれほど高く見積もっても,短期間のインターネット通信に係る通信料金として,その10倍以上の5万円を超える料金を支払うことを認識しつつ,あえて同サービスを利用する契約者はほとんどいないと考えられること(前記第3,1,(8),ウ,⑤認定の相談者は,1回約7時間の利用で約7万円の料金負担を覚悟していたことになるが,例外的な少数者と見られる。),③被告は,平成20年2月,高額請求アラートを開始し,その基準額を10万円と設定したものの,そのわずか3か月後の同年5月には基準値を5万円に変更しており,その間に,10万円で設定したアラートを受けて,高額すぎると苦情を被告に述べた顧客が少なからずいたことが推認され,なお,その後,さらに基準額を変更し,現在においては3万円に設定していること,④被告は,高額請求アラートを開始した後である本件通信時点において,原告の累積パケット通信料金を日々把握し 推認され,なお,その後,さらに基準額を変更し,現在においては3万円に設定していること,④被告は,高額請求アラートを開始した後である本件通信時点において,原告の累積パケット通信料金を日々把握していたこと等を考慮すれば,被告は,遅くとも,原告のアクセスインターネットの利用によるパケット通信料金が5万円を超過した平成20年3月30日午後8時の段階において,原告が,誤解や不注意に基づきアクセスインターネットを利用し,通信料金が予測外に高額化したことを容易に認識し得たといえる。 ウしたがって,被告が原告に発生したパケット通信料金を把握し,通知をするために要する時間を考慮しても,遅くとも,平成20年3月31日午後7時までには,被告は,原告に対し,パケット通信料金が5万円を超過していることをメールその他の方法により通知することにより,原告に通信料金の高額化に関する注意喚起をする義務があったというべきである。 (4) 被告は,上記義務があるにもかかわらず,原告の累積パケット通信料金が10万円を超過した翌日である平成20年4月1日になって初めて,その旨の警告メールを原告に送信していることからすれば,被告には,上記義務違反があるといえる。そして,前記認定のとおり,原告は,同年4月1日,上記警告メールを見てパケット通信料金が予測外に高額になったと考え,直ちにアクセスインターネットの利用を中止していること等からすれば,被告が,同年3月31日午後7時までに,累積パケット通信料金が5万円を超過した旨の電子メールを送信するなどして上記債務を履行していれば,原告は直ちにアクセスインターネットの利用を中止したものと認められ,同日午後7時以降に発生した通信料金相当額は被告の債務不履行と相当因果関係のある損害と認められる。 て上記債務を履行していれば,原告は直ちにアクセスインターネットの利用を中止したものと認められ,同日午後7時以降に発生した通信料金相当額は被告の債務不履行と相当因果関係のある損害と認められる。その額は,別紙「通信料金一覧表」により,15万3055円と認めるのが相当である(なお,電子メールを送信しても原告が実際にこれを閲覧しなければ情報提供としての実効性を欠き,同月31日午後7時以降に発生した通信料金のすべてを上記債務不履行と相当因果関係のある損害として認めることはできないとも考えられる。しかしながら,原告は,特段の事情のない限り,携帯電話端末を用いてアクセスインターネットを利用する際に,同携帯電話の画面を確認し,送信されてきた電子メールを確認することを期待することができると解することができるのであり,原告がアクセスインターネットを利用する以前の時点において,被告が,上記内容を通知する電子メールの送信をしていれば,原告はこれを閲覧し,直ちに同サービスの利用を中止したと解することができる。したがって,この点は上記判断を左右しないというべきである。)(5) これに対し,被告は,①パケット通信のように従量制の料金システムが適用されるサービスにおいては,どの程度の量のサービスを利用するかは,利用者が自ら判断,管理すべきものであり,被告に高額なパケット料金の発生を防止する義務など存在しない,②仮にそのような義務が被告にあるとしても,被告は,利用料金照会,一定額通知サービス,パケットメーター等のサービスを提供し,原告のパケット通信料金が予測外に高額化しないよう十分な措置を尽くしており,被告に義務違反はない旨主張する。 しかしながら,本件通信時において,被告に,原告のパケット通信料金の高額化について注意 のパケット通信料金が予測外に高額化しないよう十分な措置を尽くしており,被告に義務違反はない旨主張する。 しかしながら,本件通信時において,被告に,原告のパケット通信料金の高額化について注意喚起する情報提供義務が認められることは前記説示のとおりであり,被告の上記①の主張は,採用できない。また,利用者は,利用料金照会,パケットメーター及び一定額通知サービス等の被告が提供するサービス若しくはソフトウェアを利用することにより,パケット通信料金を確認することができるものの,これらのサービス等を認識していない契約者が存することも十分に考えられ,高額料金の発生防止のための実効性が十分とはいい難いことは前記説示のとおりである。したがって,被告の上記②の主張も,採用できない。 (6) また,原告は,被告はアクセスインターネットに関し通信料金の上限を設けた料金プランを原告に提供すべきであった旨主張するが,通信料金の上限額を設けるか否かは,契約者の動向,当該サービスの内容,価格,他の料金プランとの関係等,諸般の事情を考慮し,被告の裁量的な経営判断に委ねられるべき事柄であり,被告に上記のような料金プランを定める義務があったということはできないから,原告の上記主張は採用できない。 7 過失相殺について原告は,被告が前記第3,5説示の説明・情報提供義務を履行したにもかかわらず,アクセスインターネットを利用した場合の通信料金について,被告に問い合わせをしたり,利用料金照会等のサービスを利用してパケット通信料金の確認をすることなく,5日間にわたり,アクセスインターネットの利用を継続した。原告は,本件通信時に至るまでの間,アクセスインターネットを利用したことがなく,ただ,パケット通信量に従い,通信料金が発生することは知 5日間にわたり,アクセスインターネットの利用を継続した。原告は,本件通信時に至るまでの間,アクセスインターネットを利用したことがなく,ただ,パケット通信量に従い,通信料金が発生することは知悉し,携帯サイトの閲覧よりアクセスインターネットによるPCサイト等の閲覧の方が画面に表示される情報量が大きいことも認識していた(原告本人)のであるから,アクセスインターネットの利用にあたり,通信料金の高額化については十分な注意を払うべきであったといえ,被告が相当な方法により利用可能な程度の説明,広報を行い設定していたパケットメーターや料金照会制度を利用し,短い間隔で累積パケット通信料金額を把握しておくべきであったのに,これらを一切行わなかった点で過失があり,この過失が原告の損害拡大に一定程度寄与しているというべきである。原告は,インターネットカフェにおける料金との比較から,本件通信により発生するパケット通信料金は高くてもせいぜい1万円程度であろうと予測していた旨主張するが,インターネットカフェと本件契約では,提供されるサービスの内容や,料金の体系等に著しい差異があることは明らかであり,インターネットカフェにおける料金を基準に,本件通信によるパケット通信料金を予測することは合理的な推測とは到底いえない。 以上の事情等を総合的に考慮すると,原告の側にも,本件通信に係るパケット通信料金が高額化したことにつき過失があるというべきであり,被告の債務不履行により発生した損害につき,3割の過失相殺を認めるのが相当である。 したがって,被告が,原告に対し,上記債務不履行に基づき賠償責任を負う損害額は,10万7138円(1円未満切り捨て。)となる。 計算式:153,055×(1-0.3)=107,138(1円未満切り捨て。) 被告が,原告に対し,上記債務不履行に基づき賠償責任を負う損害額は,10万7138円(1円未満切り捨て。)となる。 計算式:153,055×(1-0.3)=107,138(1円未満切り捨て。) 8 結論以上によれば,原告の本訴のうち,本件契約に基づく料金高額化への注意喚起のための情報提供義務の不履行による損害賠償請求は,10万7138円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成22年9月22日から支払済みまで商事法定利率年6分の範囲内である年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,上記債務不履行に基づくその余の請求,並びに上記認容額を超える額の支払を求めるアクセスインターネットの通信料金に関する説明義務違反を理由とする請求及び不当利得返還請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第4民事部裁判長裁判官佐藤明 裁判官栁本つとむ 裁判官板東純(別紙省略)
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