昭和56(行ウ)3 行政処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和57年3月16日 東京地方裁判所 警察関係
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【DRY-RUN】○ 主文 本件訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実 (当事者の求めた判決) 第一 原告ら 一 被告が、昭和五五年一月一二日付け五五仙通産商第一四四号をもつてジヤスコ 株式

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○ 主文本件訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実(当事者の求めた判決)第一原告ら一被告が、昭和五五年一月一二日付け五五仙通産商第一四四号をもつてジヤスコ株式会社に対して行つた、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律七条一項の規定に基づく第一種大規模小売店舗における小売業の事業活動の変更勧告処分のうち、届出に係るジヤスコ株式会社分の店舗面積(七、五〇〇平方メートル)を六、三九〇平方メートル以下まで認めた部分は、原告らのためにこれを取消す。 二訴訟費用は被告の負担とする。 第二被告一本案前主文と同旨二本案 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 (当事者の主張)第一請求原因一本件変更勧告に至る経緯 1 訴外江釣子シヨツピングセンター協同店舗株式会社(代表取締役A)は、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(以下「大店法」という。同法は、「大規模小売店舗」における小売業の事業活動を調整するもので、大規模小売店舗を「第一種大規模小売店舗」と「第二種大規模小売店舗」に分かつが、これらを以下「大店舗」、「第一種大店舗」、「第二種大店舗」という。)三条一項の規定に基づき、昭和五四年三月二〇日、被告に対し、要旨次のとおり、一の建物であつてその建物内の店舗面積の合計が一、五〇〇平方メートル以上のものを新設する旨の届出をなした。 記(一) 建物の名称及び所在地岩手中部シヨツピングプラザ(以下「本件店舗」という。)岩手県和賀郡<地名略>(二) 建物の延床面積及び店舗面積延床面積三一、二五九平方メートル店舗面積二三、九〇四平方メートル(三) 建物の構造鉄筋コンクリート造り地上三階塔屋付(四) 工事完成予定日昭和五五年一 (二) 建物の延床面積及び店舗面積延床面積三一、二五九平方メートル店舗面積二三、九〇四平方メートル(三) 建物の構造鉄筋コンクリート造り地上三階塔屋付(四) 工事完成予定日昭和五五年一〇月一日(五) 小売業を営む者及びその店舗面積ジヤスコ株式会社(以下「ジヤスコ」という。)一四、〇〇〇平方メートル地元テナント六、〇〇〇平方メートル共用通路三、九〇四平方メートル(六) 附帯駐車場約一、〇〇〇台(七) 閉店時刻午後七時(ただし年間一二〇日に限り午後八時)(八) 休日日数年間二〇日(九) 開店予定日昭和五五年一〇月一日 2 本件店舗は、被告の大店法三条二項の規定による公示で第一種大店舗となり、本件店舗で小売業を営もうとするジヤスコ及び地元テナントは、大店法五条一項の規定に基づき、昭和五四年九月一二日被告に対し、店舗面積をジヤスコ七、五〇〇平方メートル、地元テナント六、〇〇〇平方メートルとする届出をなし、同月一八日付けで受理された。 3 大店法七条一項は、「通産大臣は、五条一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る第一種大店舗の周辺の人口の規模及びその推移、中小小売業の近代化の見通し、他の大店舗の配置及び当該他の大店舗における小売業の現状等の事情を考慮して、その届出に係る事項が実施されることによりその届出に係る第一種大店舗における小売業の事業活動がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは、大規模小売店舗審議会(以下「大店審」という。)の意見を聴いて、その届出を受理した日から四月以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを勧告することができる。」旨規定し、同条二項は、 う。)の意見を聴いて、その届出を受理した日から四月以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを勧告することができる。」旨規定し、同条二項は、「大店審は、前項の規定により意見を聴かれた場合において、その意見を定めようとするときは、その第一種大店舗の所在地がその地区内にある商工会議所又は商工会(以下「会議所」という。)の意見及び申出者の意見を聴かなければならない。」旨規定している。そして、「商業活動調整協議会の運用について」(日本商工会議所会頭及び全国商工会連合会会長あての昭和五四年五月一一日付け五四産局第三六五号通産省産業政策局長通達。以下「三六五号通達」という。)は、会議所が、大店審から大店法七条二項の規定により意見を求められたときは、会議所に設置される商業活動調整協議会(以下「商調協」という。)に諮つて調査審議させ、意見を取りまとめること、第一種大店舗の新増設について、当該店舗の主たる商圏が、二以上の会議所の地区に及ぶ場合において、当該店舗の所在地がその地区内にない会議所の地区で当該店舗の主たる商圏の居住人口の相当部分を含むこととなる地区の会議所(以下「関係会議所」という。)からの申出があつたときは、当該店舗の所在地がその地区内にある会議所(以下「出店地区会議所」という。)は、申出をした会議所との間で広域商業活動調整協議会(以下「広域商調協」という。)を編成し、右の調査審議及び意見の取りまとめを行わせること、商調協の委員は、商業者、消費者及び学識経験者の代表者の中から会議所の長が委嘱すること、広域商調協は、出店地区会議所の商調協の全委員及び関係会議所の商調協の商業者委員、消費者委員及び学識経験者委員の代表者各一名により編成すること、会議所は、大店法三条一項の規定による届出の通知 ること、広域商調協は、出店地区会議所の商調協の全委員及び関係会議所の商調協の商業者委員、消費者委員及び学識経験者委員の代表者各一名により編成すること、会議所は、大店法三条一項の規定による届出の通知を受けた場合は、五条一項の規定による届出前においても、商調協又は広域商調協を開催し、調査審議を開始させること、を定めている。 本件店舗の所在地は<地名略>であるが、その主たる商圏は北上市であるため、出店地区会議所たる江釣子村商工会は、関係会議所たる北上市商工会議所の申出に基づき、同会議所との間で江釣子村広域商業活動調整協議会(以下「本件広域商調協」という。)を編成した。本件広域商調協は、1の大店法三条一項の規定による届出に伴い、昭和五四年五月一八日第一回会議を開催し、同年七月二三日の第六回会議において、本件店舗における店舗面積をジヤスコ七、五〇〇平方メートル、地元テナント六、〇〇〇平方メートルとする意見案を強行採決し、大店法五条一項の規定による届出前の事前審議を結審した。 2 の大店法五条一項の規定による届出の受理に伴い、本件広域商調協は、同年一〇月一九日審議を再開し、同月二九日の第八回会議において、右店舗面積に関する三つの案について採決を行い、ジヤスコ七、五〇〇平方メートル、地元テナント六、〇〇〇平方メートル合計一三、五〇〇平方メートルとする意見案を賛成一二、反対二、保留一で可決した。 4 大店審東北第一地方部会は、本件広域商調協の右意見を踏まえ、昭和五四年一一月二七日被告に対し、本件店舗における店舗面積をジヤスコ六、三九〇平方メートル以下、地元テナント五、一一〇平方メートル以下とする旨の意見を答申した。 5 被告は、右答申を受けて、大店法七条一項の規定に基づき、昭和五五年一月一二日付け五五仙通産商第一四四号をもつてジヤスコに対し、次の内容の変 ント五、一一〇平方メートル以下とする旨の意見を答申した。 5 被告は、右答申を受けて、大店法七条一項の規定に基づき、昭和五五年一月一二日付け五五仙通産商第一四四号をもつてジヤスコに対し、次の内容の変更勧告(以下「本件変更勧告」という。)をなした(なお、地元テナントは大店審の答申の内容に従つて店舗面積を五、一一〇平方メートルに変更したため、これに対しては変更勧告はなされなかつた。)。 (一) 届出に係る店舗面積(七、五〇〇平方メートル)を六、三九〇平方メートル以下とすること。 (二) 届出に係る閉店時刻(午後六時三〇分。ただし年間一二〇日を限度として午後七時)を午後六時三〇分以内とすること。 ただし、年間六〇日以内に限り午後七時以前とすることは差し支えない。 二違法事由 1 手続上の違法(一) 本件広域商調協の構成の違法三六五号通達は、前記のとおり、広域商調協は出店地区会議所の商調協の全委員並びに関係会議所の商調協の商業者委員、消費者委員及び学識経験者委員の代表者各一名により編成することと定めており、本件広域商調協も、江釣子村商調協の委員一五名、北上市商調協の委員三名で構成された。 しかし、本件店舗は、<地名略>と北上市との境界線までわずか五〇〇メートルのところに位置し、店舗の敷地は約三〇、〇〇〇平方メートルで、約一、〇〇〇台もの車を駐車させることができるから、江釣子村のみならず北上市の中小小売業者の事業活動にも大きな影響を及ぼすことが明らかである。そして、<地名略>と北上市の人口、小売店舗面積及び小売売上高を比較すると、六倍ないし九倍も北上市の方が上回つているから、本件店舗の営業により影響を受ける中小小売業者の数及び売上高は北上市の方が圧倒的に多いのである。したがつて、本件広域商調協において本件店舗の営業により影響を受ける周辺中小小売 方が上回つているから、本件店舗の営業により影響を受ける中小小売業者の数及び売上高は北上市の方が圧倒的に多いのである。したがつて、本件広域商調協において本件店舗の営業により影響を受ける周辺中小小売業者の意見を質的にも量的にも正しく反映させるためには、右影響の度合いに応じ本件広域商調協を構成する北上市商調協の委員の数を多くすべきであつた。しかるに、本件店舗の営業により影響を受ける中小小売業者の数及び売上高が圧倒的に多い北上市の商調協委員を三名とし、同じく影響を受けるにせよ、その数と売上高の少ない江釣子村の商調協委員を一五名とした本件広域商調協の構成は、周辺中小小売業者の利益を違法に損うものであつて、大店法一条の趣旨に違反する。 (二) 本件広域商調協に不適格者が参加した違法三六五号通達一(1)(3)(4)は、商調協の委員は「学識経験者については、特に中立性に留意すること。」、「百貨店、スーパー等特定の大型小売業者への専属的納入業者等特殊な利害関係のある委員は選定しないよう十分注意すること。なお、特定の案件について特殊な利害関係を有することとなつた委員は、当該案件の調査審議には参加させないこととし、必要がある場合には臨時委員を選任すること。」と定めている。しかるに、本件広域商調協に参加した江釣子村商調協の商業者委員二名(B及びC)及び学識経験者委員一名(D)の配偶者は、本件店舗の地元テナント入居予定者であつて、特殊利害関係者であり、また、中立性を欠く学識経験者である。このような委員を参加させた本件広域商調協は、三六五号通達に違反し、大店法一条の目的に違背する。 (三) 江釣子村商調協委員の人選の違法江釣子村商調協は、一1の大店法三条一項の規定による届出後である昭和五四年四月に、本件事案を審議するために組織された。 <地名略>には約九〇戸 目的に違背する。 (三) 江釣子村商調協委員の人選の違法江釣子村商調協は、一1の大店法三条一項の規定による届出後である昭和五四年四月に、本件事案を審議するために組織された。 <地名略>には約九〇戸の小売業者が存在するが、その半数の四六戸の小売業者は、ジヤスコをキー・テナントとする右届出に係る計画に対して反対してきた。しかるに、江釣子シヨツピングセンター協同店舗株式会社の代表取締役Aの父親である江釣子村商工会会長Eは、賛成派の小売業者に対してのみ商調協委員を委嘱し、反対派の小売業者からは一人も委嘱しなかつた。右人選は三六五号通達一(1)(1)の「小売業者を代表する委員については、当該地域の小売商全体の意見が正しく反映されること。」との定めに違反し、このように小売商全体の意見を反映しない本件広域商調協での審議は違法無効である。 (四) 実質審議を行わなかつた違法三六五号通達二(1)(4)は、商調協の審議について、「法第三条一項の規定による届出後概ね八月間を目途として行うこととし、公正かつ円滑な審議が行われるよう特に留意すること。」と定めている。ところが、本件広域商調協は、十分な審議を尽さないまま、右届出からわずか四月後である昭和五四年七月二三日の第六回会議で委員二名の反対を押し切つた強行採決により、大店法五条一項の規定による届出前の事前審議を結審している。また、三六五号通達添付の「商業活動調整協議会審議スケジユール及び審議項目(例)」には、審議項目として、(1)当該地域の小売業の事業活動の現状等について、(2)消費者の買物利便の程度について、(3)中小小売業の近代化の見通しについて、(4)新(増)設店舗の周辺中小小売業への影響の程度について、が掲げられており、更に、「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整のための審査方法について」 3)中小小売業の近代化の見通しについて、(4)新(増)設店舗の周辺中小小売業への影響の程度について、が掲げられており、更に、「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整のための審査方法について」(日本商工会議所会頭及び全国商工会連合会会長あての昭和五四年六月二三日付け五四産局第五九三号通産省産業政策局長通達。以下「五九三号通達」という。)は、詳細な計算方法を含んだ商調協における審査方法を定めている。しかるに、本件広域商調協においては、以上の審議項目や審査方法による審査はすべて省略され、実質的な調査及び審議は行われなかつた。以上のような拙速主義による手続的瑕疵は重大である。 (五) 仙台通産局による適切な指導がなされなかつた違法三六五号通達は、商調協委員の委嘱に際しては所轄通産局の了承を得るとともに、通産局の職員を特別委員として委嘱することとし、もつて、通産局の適切な指導により商調協の運営が法の目的に反した違法、不当なものになることのないようにしている。しかるに、仙台通産局の大友特別委員代理は、大店法五条一項の規定による届出前の本件広域商調協の会議に一度も出席していない。また、北上市商調協委員は、文書によつて仙台通産局に対し、本件広域商調協の前記構成及び運営の通達違反のいくつかを指摘し、指導を要望したが、同局はこれをすべて無視した。更に、北上市商調協委員は、昭和五四年七月三〇日付け仙台通産局あて要望書により、これまでの本件広域商調協の構成及び審議についての問題点のいくつかを指摘して大店法五条一項の規定による届出を受理しないよう要望したが、同局は右要望の内容を調査することなく右届出を受理した。そして、本件広域商調協は、前叙のとおり意見の一本化をみないまま同年一〇月二九日の第八回会議を迎えることになつたが、この最後の段階に至つて、それまで 右要望の内容を調査することなく右届出を受理した。そして、本件広域商調協は、前叙のとおり意見の一本化をみないまま同年一〇月二九日の第八回会議を迎えることになつたが、この最後の段階に至つて、それまで行政指導の責務を放棄していた仙台通産局は、F商工部長を通じ、ジヤスコに意見一本化のための調整案を示しその了解を得ようと試みたものの、足許を見られて失敗に終り、結局三案の採決となつた。これは、それまで適正な行政指導の行使を怠つてきたことの結果というべきである。 大店法の立法時である第七一回国会における政府委員の答弁及び大店法に関する諸通達をみると、大店法一条の目的を達するためには適切な行政指導が不可欠であることが強調されている。すなわち、大店法の立法目的達成のためには、適切な行政指導いかんがその決め手であるから、その不行使は、単に当、不当の問題にとどまらず、違法事由になるものというべきである。 (六) 瑕疵の承継広域商調協の組織及び運営が適正になされることに対しては、周辺中小小売業者は、直接の権利ないし法的利益を有するものである。そして、大店審の通産大臣に対する答申は独自の調査審議活動を行わない限り商調協の意見に規定されざるを得ないし、また、通産大臣も特別の事情のない限り大店審の答申に従うこととなるから、商調協の段階における手続的違法は、特別の事情のない限り、大店審の答申、更には通産大臣の勧告に承継されることになる。本件においては、大店審において五九三号通達に従つた独自の審議を行つていないから、本件広域商調協の段階における手続的瑕疵は大店審の答申に、更に本件変更勧告にと引き継がれ、本件変更勧告は違法というべきである。 2 実体上の違法(一) 本件変更勧告に係る本件店舗の店舗面積について、五九三号通達に基づき検討すると、次のとおり過大面積であるこ 本件変更勧告にと引き継がれ、本件変更勧告は違法というべきである。 2 実体上の違法(一) 本件変更勧告に係る本件店舗の店舗面積について、五九三号通達に基づき検討すると、次のとおり過大面積であることが明らかである。 (1) まず、占有率指標をみると、本件店舗の出店後の北上市及び<地名略>における第一種大店舗の売場面積占有率は三一・二パーセント(従来の約二倍)、同じく販売額占有率は四〇・三パーセント(従来の約四・六倍)という極めて高い数値となる。 (2) 次に、類似都市比較指標から検討するに、北上市の類似都市における大店舗の売場面積総量と人口との割合からすると、北上市及び<地名略>において中小小売商が共存可能な大店舗の店舗面積の総量は一〇、〇六四平方メートルであり、これから北上市の既存大店舗の店舗面積七、〇〇〇平方メートルを差し引くと三、〇六四平方メートルが残された店舗面積の総量である。そして、本件店舗における地元テナントの店舗面積五、一一〇平方メートルについては変更勧告がなされず既に確定しているから、ジヤスコに対しては店舗面積を与えることができないのである。 (3) <地名略>における消費者の買物の便宜性指標は一〇一・一パーセントと高いので、消費者の便宜を考慮に入れる必要はない。 (4) 五九三号通達には「商店街整備事業等への配慮」という項目があるが、北上市の場合、各商店街は高度化資金を借り入れるなどして近代化の努力を行つており、一部商店街は現在その借入金償還の時期に至つているのであるから、本件変更勧告は右近代化を困難ならしめるものとして、違法である。 また、郊外型の本件店舗には周辺中小小売業者の近代化を促すようなメリツトが全くないので、江釣子村の中小小売業者も、テナントとして入居する者以外は近代化から取り残されることとなり、大店法一条の ある。 また、郊外型の本件店舗には周辺中小小売業者の近代化を促すようなメリツトが全くないので、江釣子村の中小小売業者も、テナントとして入居する者以外は近代化から取り残されることとなり、大店法一条の目的に反する。 (二) 本件変更勧告のような過大な店舗面積を認めてしまうと、周辺中小小売業者は深刻な苦境に追い込まれ、次第につぶれてゆくこととなり、小回りのきいた地域住民へのサービスは死滅せざるを得ず、市場の独占化により価格の釣上げがもたらされ、更には地元経済界にも打撃を与える結果となる。また、交通公害、騒音、地価高騰、自治体負担の増加など様々な悪影響がもたらされる。 (三) 以上のように、ジヤスコに対して六、三九〇平方メートルまでの店舗面積を認める本件変更勧告は、過大な店舗面積を認めたものとして大店法一条の目的に反し違法であり、取消しを免れない。 三本件変更勧告の行政処分性 1 大店法は、大店舗における小売業の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もつて国民経済の健全な進展に資することを目的とし(一条)、大店舗における小売業の事業活動を調整する手段として、大店舗において小売業を営もうとする者に対し、営業開始の日の五月前までに、住所氏名、店舗所在地、開店日及び店舗面積の届出義務を課している(五条一項)。そして、第一種大店舗についていえば、右届出を受けた通産大臣は、届出に係る事項が実施されることにより当該第一種大店舗における小売業の事業活動がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは、その届出を受理した四月以内に限り、その届出をした者に対し、届出に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを勧告する を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは、その届出を受理した四月以内に限り、その届出をした者に対し、届出に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを勧告することができ(七条一項。右勧告を以下「変更勧告」という。)、四か月の期間が満了前に、右のおそれがないことが明らかであると認めるときは、変更勧告をしないことを決定し、その旨を当該届出をした者に通知することができ(七条四項)、変更勧告を受けた者が勧告に従わない場合には、通産大臣は、右届出を受理した日から五月以内に限り、勧告を受けた者に対し、勧告に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを命ずることができる(八条一項。 右命令を以下「変更命令」という。)としている。 2 右のように、第一種大店舗における小売業は、大店法五条一項の規定による届出から五月間は全面的な営業禁止の状態に置かれ、その間に通産大臣の審査を受け、その審査結果が変更勧告、変更勧告をしない旨の決定通知、変更命令等となつて右小売業者に伝達されるのであつて、このような大店法の構成からすれば、右小売業者は、変更勧告等をまつて初めて営業を開始できるのであり、変更勧告等は営業許可の役割を果たしていると解すべきである。 すなわち、変更勧告は、届出に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を一定面積まで削減すべきことを勧告するものであるが、反面、勧告した開店日又は店舗面積の範囲においては右の禁止を解除し営業を認めるものである。換言すれば、変更勧告は、開店日の繰下げ又は店舗面積の削減を一定限度まで勧告するという効果と、右の限度では営業を認めるという効果を有する二重効果的行政処分であり、部分的許可の実質を有する処分である。そして、右の許可という側面において周辺中小小売業者の権利ないし法的に保護された利 う効果と、右の限度では営業を認めるという効果を有する二重効果的行政処分であり、部分的許可の実質を有する処分である。そして、右の許可という側面において周辺中小小売業者の権利ないし法的に保護された利益を侵害するものであるから、行政処分性を肯定すべきである。 また、大店法七条四項の変更勧告をしない旨の決定通知は、全面的許可の実質を有する処分であり、変更勧告も右の決定通知もないまま届出から四月を経過した場合は、営業を全面的に許可する旨の黙示の行政処分がなされたものと考えるべきであり、また、変更命令も、変更勧告と同様の部分的許可の実質を有する処分と解すべきである。 3 被告は、大店舗における小売業の営業が届出制であると主張する。 しかし、届出制であれば、そもそも変更勧告や変更命令の制度は不要であるし、また、大店法五条一項の規定による届出についても営業開始五月前という期限設定をする必要性はないのであり、届出の内容の適法性を審査し、それを受理する行政庁の準法律行為的行政行為がなされるだけのはずである。しかし、大店法がそのような構成をとつていないことは明らかである。届出から五月の間に行政庁の審査が行われ、その結果なされるのが変更勧告、変更命令であつて、これにより営業可能な店舗面積等が定められるのである。 また、届出さえすれば大店舗における営業が自由であるというのであれば、変更勧告等をなし得る期間を制限する必要は全くないはずである。 大店法の仕組みが許可制の実質を有するからこそ、変更勧告等をなす期限を定めておかなければ、営業届出をした者の営業の自由を不当に長期間制約することになるので、右の期間制限がなされていると解すべきである。 4 変更勧告を受けた者が勧告に従わない場合、通産大臣は変更命令を発することができるのであり、その限りでは変更勧告は変更命令の先行 約することになるので、右の期間制限がなされていると解すべきである。 4 変更勧告を受けた者が勧告に従わない場合、通産大臣は変更命令を発することができるのであり、その限りでは変更勧告は変更命令の先行行為としての性質を有するものといえるが、変更命令は、変更勧告の場合よりもその要件を限定されていることからみて、変更勧告の内容より厳しい内容とはならないものと解される。すなわち、変更命令の中身は変更勧告によつて規制されるわけであり、変更勧告を受けた者は、勧告の段階で一定限度の営業の許可を取得するのである。また、変更勧告を受けた者が勧告の内容に従つた場合は、変更命令が発せられる余地はないのである。したがつて、変更勧告の段階で周辺中小小売業者の権利ないし法的に保護された利益の侵害があり、周辺中小小売業者は変更勧告を対象として抗告訴訟を提起できるものといわなければならない。 5 以上の説明から明らかなように、本件変更勧告は、ジヤスコに対し六、三九〇平方メートルまでの店舗面積による営業を許可するという実質を有する処分であり、周辺中小小売業者に対する関係においては、抗告訴訟の対象としての行政処分性を有するものというべきである。 6 大店法は、百貨店法を廃止し、それに代わるべき法律として制定された。百貨店法の許可制であれば行政訴訟になじむことがだれの目からも明らかだが、変更勧告制を中心とする規制に変えた場合、周辺中小小売業者が行政訴訟を提起できるかどうかが問題であつたところ、大店法案を審議した昭和四八年七月一一日の衆議院商工委員会において、当時の通産大臣及び通産省企業局次長は、変更勧告が抗告訴訟の対象となる処分であること、周辺中小小売業者はこれについて抗告訴訟を提起する原告適格を有することを明確に答弁し、国会は、右答弁を承認の上、右の行政処分性及び原告適格 業局次長は、変更勧告が抗告訴訟の対象となる処分であること、周辺中小小売業者はこれについて抗告訴訟を提起する原告適格を有することを明確に答弁し、国会は、右答弁を承認の上、右の行政処分性及び原告適格を前提として大店法を成立させた。裁判所は、変更勧告の性質を解釈するに当たつて、右立法者の意思を重大な指針として扱うだけではなく、特別の事情の存しない限り、それに従うべきである。大店法の発案者である内閣が変更勧告の行政処分性及び周辺中小小売業者の原告適格を明確に肯定し、国会もそれを了解して法案を成立させたにもかかわらず、これと異つた解釈をするためには、法改正の手続がとられなければならないであろう。立法者意思をあえて変更して解釈しなければならない程の立法事情の変化は、本件において全く存しないのである。 四周辺中小小売業者の原告適格 1 大店法は、大店舗の周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保することを第一義的な目的としている。したがつて、店舗の周辺の中小小売業の事業活動は、大店法の規定による規制の適正な運用により保護される利益、すなわち法律上保護された利益であつて、単なる反射的利益ではない。そして、右規制の違法な運用によつて周辺中小小売業の事業活動が害されたときは、当該中小小売業者は抗告訴訟を提起する原告適格を有するというべきである。 なお、前記のとおり、立法者は周辺中小小売業者の原告適格を明確に認めていたのであるから、これに反するような解釈は許されない。 2 原告らは、本件店舗から半径四キロメートル以内の地点で営業している中小小売業者であり、本件変更勧告によりその適正な事業活動の機会を奪われる者である。したがつて、原告らが本件変更勧告の取消しを訴求する原告適格を有することは明らかである。 五訴えの利益 1 本件変更勧告が判決で取り消された 更勧告によりその適正な事業活動の機会を奪われる者である。したがつて、原告らが本件変更勧告の取消しを訴求する原告適格を有することは明らかである。 五訴えの利益 1 本件変更勧告が判決で取り消された場合、被告は改めて変更勧告を出さなければならず、ジヤスコは新たな変更勧告が出るまで事業活動ができないことになり、原告らは適正な変更勧告、更には変更命令の発動によつてその権利ないし利益を回復することになるのである。 新たな変更勧告、変更命令を出すことについて、大店法七条一項及び八条一項の期間制限が問題となるが、これらの規定は、同法三条ないし八条の規定に従つて手続が進展した場合のものであるから、単に最初の処分がその期間内になされるという意味にすぎないと解すべきであり、取消判決があつたときに機械的に適用すべきものではない。そうとすれば、大店法には、変更勧告ないし変更命令が取り消された場合の期間制限についての規定は欠落しているということになる。そして、このような法の欠缺は条理に基づいて解決されるべきである。してみると、取消判決が確定したとぎは、手続の振出しの段階、すなわち営業届出の段階に戻つたものであるから、変更勧告については、七条一項の「届出を受理した日から四月以内」という部分を「取消判決が確定した日から四月以内」と読み替えるべきであり、変更命令については、八条一項の「届出を受理した日から五月以内」を「取消判決が確定した日から五月以内」と読み替えるべきであり、またそうすればよいのである。 七条の「届出を受理した日から四月以内」という期間制限の規定を機械的に適用して、営業届出から四月を経過した以上もはや新たな変更勧告がなせないと解するのでは、極めて不合理な結果となつてしまい、許されない。すなわち、変更命令の名あて人たる大店舗において小売業を営もうとす 用して、営業届出から四月を経過した以上もはや新たな変更勧告がなせないと解するのでは、極めて不合理な結果となつてしまい、許されない。すなわち、変更命令の名あて人たる大店舗において小売業を営もうとする者自身が、取消訴訟を提起することが考えられるが、その場合、営業届出が受理された日から四月ないし五月以内に取消判決が確定するということは考えられないから、変更命令は違法であつて取り消さなければならないものの、反面、営業届出どおりの営業も周辺中小小売業者の事業活動の機会を違法に侵害するといつた場合に、右の機械的な解釈では、もはや適正な変更勧告がなせず、大店舗の小売業者は違法不当な届出の計画による営業によつて周辺中小小売業者の事業活動の機会をほしいままに奪うことができることとなり、大店法の立法趣旨は根本的に没却されてしまう。変更命令等が判決で取り消された場合、行政庁において改めて店舗面積等の見直しをするということは当然大店法の予測するところであり、四か月を経過すれば裁判が無意味となるような解釈は憲法違反の疑いもあり、条理にかなつていない。 六出訴期間原告らは、本件変更勧告に対し、昭和五五年三月八日付けで、行政不服審査法四五条の規定に従い被告に異議申立てを行い、右異議申立ては五五産第一五二一号事件として係属し、昭和五六年一月一四日に本件訴訟を提訴した時点においても右異議申立てが係属中であつた。したがつて、本件訴えは、行政事件訴訟法一四条の規定を遵守しているものである。 七結論以上により、原告らは、請求の趣旨一記載のとおり、本件変更勧告のうちジヤスコの店舗面積を六、三九〇平方メートル以下まで認めた部分の取消しを求める。 第二請求原因に対する被告の認否及び反論一請求原因一 (本件変更勧告に至る経緯)について 1 同1、2、4及び5の事実は認める 店舗面積を六、三九〇平方メートル以下まで認めた部分の取消しを求める。 第二請求原因に対する被告の認否及び反論一請求原因一 (本件変更勧告に至る経緯)について 1 同1、2、4及び5の事実は認める。 2 同3のうち、本件店舗の主たる商圏が北上市であること、昭和五四年七月二三日の採決が強行採決であつたことは否認し、その余の事実は認める。なお、本件広域商調協の第一回会議は同年四月二七日であり、原告ら主張の第一回会議は第二回会議、第六回会議は第七回会議、第八回会議は第九回会議が正しい。 二請求原因二(違法事由)について 1 同1(一)のうち、本件広域商調協の構成、本件店舗の位置及び規模、江釣子村と北上市との人口等の比較が原告ら主張のとおりであることは認め、その余の事実は否認し、主張は争う。 2 同1(二)のうち、三六五号通達に引用のとおりの規定があることは認めるが、その余の事実は否認し、主張は争う。 3 同1(三)のうち、<地名略>商調協の組織の年月日及び目的が原告ら主張のとおりであること、江釣子村に四六戸の反対者がいたこと、江釣子村商工会会長が江釣子シヨツピングセンター協同店舗株式会社の代表取締役の父親であつたこと及び三六五号通達に引用のとおりの規定があることは認めるが、その余の事実は不知、主張は争う。なお、右四六戸の反対者のうち、一〇戸は非小売業者である。 4 同1(四)のうち、三六五号通達に引用のとおりの規定があること、五九三号通達に詳細な計算方法を含んだ審査方法が定められていること及び事前審議が建物新設の届出から四月後の昭和五四年七月二三日に結審されたことは認めるが、その余の事実は否認し、主張は争う。なお、第六回会議は第七回会議が正しく、五九三号通達の審査方法は、商調協における審査方法の基準ではない 5 同1(五)のうち、仙台通産局が行政 されたことは認めるが、その余の事実は否認し、主張は争う。なお、第六回会議は第七回会議が正しく、五九三号通達の審査方法は、商調協における審査方法の基準ではない 5 同1(五)のうち、仙台通産局が行政指導を怠つたこと、同局が要望の内容を調査することなく営業届出を受理したこと、同局がジヤスコの了解を得ようと試みて失敗したことは否認し、その余の事実は認め、主張の趣旨は争う。なお、仙台通産局からは、第一回会議に志賀特別委員代理が出席しており、第八回会議は第九回会議が正しく、また、F商工部長はジヤスコに調整案を連絡しただけである。 6 同1(六)のうち、大店審において五九三号通達に従つた審査が行われなかつたことは否認し、主張は争う。 7 同2(一)の冒頭部分は争う。 同2(一)(1)ないし(3)のうち、事実は否認し、主張は争う。 同2(一)(4)のうち、北上市の商店街で高度化資金を借り入れて近代化を進めている商店街があり、償還の時期に至つているという事実は認めるが、その余の事実は不知、主張は争う。 8 同2(三)の主張は争う。 9 同2(三)の主張は争う。 三請求原因三(本件変更勧告の行政処分性)について 1 一般に、ある行為が抗告訴訟の対象となる処分といえるためには、(1)行政庁の行為とみることができるものであること、(2)公権力の行使、すなわち、行政庁がその優越的な地位に基づき権力的な意思活動としてするような行為、換言すれば、本来公定力を生ずるような性質の行為であること、(3)その行為が個人の法律上の地位ないし権利関係に対し、直接に何らかの影響を及ぼすような性質のものであることが必要である。一方、行政機関が、法令の根拠に基づいて又は基づかないで、その権限に属する公行政に関する事項について、特定の個人又は法人等を相手方として、その意図する行政秩序を実 性質のものであることが必要である。一方、行政機関が、法令の根拠に基づいて又は基づかないで、その権限に属する公行政に関する事項について、特定の個人又は法人等を相手方として、その意図する行政秩序を実現するための協力的行為(作為・不作為)を求める願望の表示は、行政指導と呼ばれており、法的効果の発生が認められず、非強制的な事実行為である点にその特徴があり、行政事件訴訟法の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するとは解されないのである。 しかるところ、変更勧告については、これに従うべき旨を定めた規定もなく、変更命令について予定されているような違反者に対する営業停止や刑罰の制裁も予定されていないので、これに従うかどうかは相手方の任意にゆだねられているというはかなく、変更勧告自体では、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定するものではない。したがつて、変更勧告は、前記の意味における行政指導にほかならないのであつて、抗告訴訟の対象となる処分であるために必要とされる前記(2)及び(3)の要件を欠くので、処分性を有しないというほかない。 なお、大店法一七条は、変更命令についての不服申立手続における聴聞について規定しているが、変更勧告については触れていない。これは、変更勧告について不服申立てができないことを前提としているものと理解することができるのであつて、右の解釈を裏付けているものである。 また、変更命令の中身は、変更勧告の内容によつて規制されるものではない。大店法八条の「その勧告に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを命ずることができる。」という規定は、開店日について勧告した場合には開店日について、店舗面積について勧告した場合には店舗面積について、変更命令をなし得ることを規定したにとどまり、変更命令の中身である開店日 ことができる。」という規定は、開店日について勧告した場合には開店日について、店舗面積について勧告した場合には店舗面積について、変更命令をなし得ることを規定したにとどまり、変更命令の中身である開店日をいつにするか、又は店舗面積の削減をどの程度にするかという点についてまで、変更勧告の内容に拘束されることを定めたものではない。両者はその要件が独立したものであつて、変更勧告よりも緩い内容又は厳しい内容の変更命令を発することは、法律上可能である。 したがつて、この点においても、変更勧告に処分性を認めることができない。 2 大店法は、大店舗における小売業の営業について、五条一項の規定による届出の義務を履行しさえすれば原則として自由であるとの建前、すなわち届出制を採用しており、許可制をとるものではない。店舗面積についていえば、これを一定限度以下とすることとの変更勧告は、右の限度を超える部分の削減を勧告するだけのものであつて、右の限度以内の部分の営業については何ら触れるところがないのである。右の営業は変更勧告をまつまでもなく本来自由なのであつて、変更勧告が営業許可の役割を果たしているものではない。 なお、大店法が変更勧告をなし得る期間を制限しているのは、同法が開店日の五月前までに営業届出をさせた上、その期間内に変更勧告等の調整に関する事柄を処理するものとしていることに由来するものであつて、変更勧告の処分性とは全く関係がない。 また、変更勧告をしないことの決定通知は、大店法五条一項の規定による届出後五か月間は営業開始ができない状態となつているところ、この期間を短縮する効果を有するにすぎないのであり、全面的営業許可の実質をもつ処分ではない。原告らは、届出制の下における調整期間短縮の効果と、許可制の下で営業が全面的に禁止されている場合の右禁止の解除とを全く同一 る効果を有するにすぎないのであり、全面的営業許可の実質をもつ処分ではない。原告らは、届出制の下における調整期間短縮の効果と、許可制の下で営業が全面的に禁止されている場合の右禁止の解除とを全く同一レベルの問題として混同する誤りを犯しているといわなければならない。結局、原告らの変更勧告をしないことの決定通知及び黙示の営業許可についての主張は、届出制をとる大店法について、許可制の考え方を無理に当てはめようとするものであつて失当というほかない。 3 更に、当該行為の申立権あるいは異議申立て又は審査請求権が法律によつて認められている場合について、行政処分性を認めた判例があるが、大店法においては、変更勧告を求める申立権も、変更勧告に対する異議申立権等も認められていないので、この点からも変更勧告の処分性を肯定することはできない。 4 なお、昭和四八年七月一一日の衆議院商工委員会における通産大臣等の答弁は、変更勧告と変更命令とを峻別しないで答えているため、変更勧告についても処分性があると解釈できる余地を残すような表現となつているが、変更勧告にとどまらず変更命令にまで至る場合を念頭において答えたものであつて、あくまでも変更命令を前提としての答弁であるから、原告らの主張は失当である。 5 以上のように、本件変更勧告は処分性を欠くので、その取消しを求める原告らの訴えは、不適法なものとして却下を免れない。 四請求原因四(周辺中小小売業者の原告適格)について 1 原告らが本件店舗の周辺の中小小売業者である事実は認めるが、その余の事実は不知、主張は争う。 2 行政事件訴訟法九条にいう「法律上の利益」の存否の判断は、当該処分の根拠法規たる行政法規が右処分の取消しを求める者の個人的、具体的な権利・利益を保護対象としているか否か、そして、当該処分によりその権利・利益が侵害 九条にいう「法律上の利益」の存否の判断は、当該処分の根拠法規たる行政法規が右処分の取消しを求める者の個人的、具体的な権利・利益を保護対象としているか否か、そして、当該処分によりその権利・利益が侵害されたか否かにより決せられなければならない。 ところで、最高裁判所昭和五三年三月一四日第三小法廷判決(民集三二巻二号二一一ページ)は、行政庁の処分に対し不服申立てをすることができる者は、法律に特別の定めがない限り、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり、その取消し等によつてこれを回復すべき法律上の利益をもつ者に限られるべきであり、右にいう法律上保護された利益とは、行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益である旨判示したが、右判示は行政事件訴訟法九条の解釈に当たつてもそのまま妥当するものである。 しかるところ、小売業の営業は、法令による制限のない限り自由であるから、小売業者が他の小売業者の正当な事業活動によつて受ける経済上の利益又は不利益は、当該小売業者の権利義務又は法律上の利益とは関係のないものである。したがつて、大店舗における小売業の営業自体は、本来周辺中小小売業者の権利義務又は法律上の利益に何ら影響を与えるものではない。そして、大店法の下においても、大店舗内の小売業の営業については、届出義務が課せられてはいるものの原則として自由であるので、大店法は周辺中小小売業者の権利義務又は法律上の利益に影響を与えるものではないのである。確かに、大店法は、大店舗の周辺中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図ることを目的としており、大店舗における小売業者、それ以外の中小小売業者、専門店等がそれぞれ いのである。確かに、大店法は、大店舗の周辺中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図ることを目的としており、大店舗における小売業者、それ以外の中小小売業者、専門店等がそれぞれの特色に従い、その機能を十分に発揮しつつ共存するような商業秩序の確保が社会的に望ましいとの認識に立ち、そのため、変更勧告や変更命令等、通産大臣の適切な権限行使を求めている。しかしながら、こうした大店法による調整は、通産大臣の適切な権限行使を通じて「その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もつて国民経済の健全な進展に資する」(一条)との公共の福祉の達成という観点からなされるものであつて、直接個々の周辺中小小売業者に個別・具体的な利益を賦与したものではない。してみれば、変更命令によつて個々の周辺中小小売業者が経済上の利益を得ることがあつても、これは、前記のような公共の福祉の達成という観点から届出者の営業の自由が制限されたことによる反射的利益というべきものであつて、法律上の利益ということはできないのであり、まして、変更勧告については右のことが一層明らかである。 なお、原告らは、立法当時の国会答弁を援用しているが、その後右の最高裁判所判決が出るに及び、大店法の規定の仕方からして、原告適格については右のように解さざるを得ないのである。 3 そうすると、原告ら周辺中小小売業者には、本件変更勧告の取消しを訴求する法律上の利益がなく、本件訴えは原告適格を欠き不適法として却下を免れない。 五請求原因五(訴えの利益)について 1 本件変更勧告は、営業の部分的許可の実質をもつものではないから、これが取り消されたと仮定しても、ジヤスコが本件店舗において営業できなくなるわけではない。したがつて、本件変更勧告を取り消しても、原告らの事 変更勧告は、営業の部分的許可の実質をもつものではないから、これが取り消されたと仮定しても、ジヤスコが本件店舗において営業できなくなるわけではない。したがつて、本件変更勧告を取り消しても、原告らの事業活動の機会等が保護される結果になるわけではないから、本件訴えは訴えの利益を欠くものといわざるを得ない。 2 大店法七条一項は、「届出を受理した日から四月以内に限り」変更勧告をすることができると定めている。このように、法律が変更勧告をなし得る期間を明定しているわけであるから、これを法律上の根拠もなしに、「取消判決が確定した日から四月以内に限り」と読み替えることなど許されるものではない。殊に、原告らの主張では、本件変更勧告は一面においてジヤスコに対して不利益を課する処分ということになるのであるから、かかる不利益処分を課することができるものとして法律が定めた期間を、法律上の根拠もなく伸長することができないことは、当然であろう。原告らのこの点に関する主張は、解釈論というよりも立法論に属するものであつて、到底採用されるべきものではない。 しかるところ、本件の場合、既に営業届出を受理してから四月を経過しているから、本件変更勧告に処分性があり、かつ、そのうち原告らの求める部分が取り消されたと仮定しても、被告において改めて変更勧告をし直すことはできないのである。したがつて、この点からも、原告らの本件訴えは、訴えの利益を欠き、不適法なものといわなければならない。 六請求原因六(出訴期間)について請求原因六のうち、事実は認めるが、主張の趣旨は争う。 原告らによる昭和五五年三月八日付けの通産大臣に対する異議申立ては、変更勧告に行政処分性がないため不適法なものとして、昭和五六年三月五日付けで却下されたものであり、行政事件訴訟法一四条四項の「処分又は裁決につき審査請 五年三月八日付けの通産大臣に対する異議申立ては、変更勧告に行政処分性がないため不適法なものとして、昭和五六年三月五日付けで却下されたものであり、行政事件訴訟法一四条四項の「処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合」に該当しない。したがつて、本件訴えは出訴期間を経過したものであつて、そもそも提起することのできないものである。 (証拠)(省略)○ 理由一第一種大店舗たる本件店舗において小売業を営もうとするジヤスコが被告に対し大店法五条一項の規定による届出をなし昭和五四年九月一八日受理された事実、被告が同法七条一項の規定に基づき昭和五五年一月一二日付け五五仙通産商第一四四号をもつてジヤスコに対し、(1)届出に係る店舗面積(七、五〇〇平方メートル)を六、三九〇平方メートル以下とすること、(2)届出に係る閉店時刻(午後六時三〇分。ただし年間一二〇日を限度として午後七時)を午後六時三〇分以内とすること、ただし年間六〇日以内に限り午後七時以前とすることは差し支えない、とする本件変更勧告をなした事実は、当事者間に争いがない。 二そこで、原告らに本件変更勧告の取消しを訴求する法律上の利益があるかどうかについて判断する。 1 原告らは、大店法七条一項の規定による変更勧告は営業許可の実質を有する処分であり、許可という側面において周辺中小小売業者の権利ないし利益を侵害する処分である旨主張するので、まずこの点について検討する。 (一) 大店法は、大店舗の周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もつて国民経済の健全な進展に資することを目的とする(一条)。そして、大店法は、右目的達成のため、大店舗における小売業の事業活動を調整することとし、調整の対象、方法、判断指標、項目、期間等について概要次のように定めている。すなわ ることを目的とする(一条)。そして、大店法は、右目的達成のため、大店舗における小売業の事業活動を調整することとし、調整の対象、方法、判断指標、項目、期間等について概要次のように定めている。すなわち、一の建物であつて、その建物内の店舗面積の合計が五〇〇平方メートルを超えるものの新設をする者は、右合計が一、五〇〇平方メートル(都の特別区及び政令指定都市の区域内においては三、〇〇〇平方メートル)以上である場合にあつては通産大臣に、その他の場合にあつてはその建物の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならず(三条一項)、通産大臣又は都道府県知事は、右届出があつたときは、届出に係る建物における小売業の事業活動について調整が行われることがある旨の公示をしなければならない(三条二項。この公示を以下「調整の公示」という。)。通産大臣の公示に係る建物は、第一種大店舗として通産大臣の調整の対象とし、都道府県知事の公示に係る建物は、第二種大店舗として都道府県知事の調整の対象とし、両者を合わせて大店舗と総称し大店法の調整の対象とする。大店舗においては、調整の公示の日から七月を経過した後でなければ、何人も、新たに小売業を営んではならない(四条一項)。第一種大店舗において小売業を営もうとする者は、その営業の開始の日の五月前までに、住所氏名、店舗所在地、開店日及び店舗面積を通産大臣に届け出なければならない(五条一項。この届出を以下「営業届出」という。)。通産大臣は、営業届出があつた場合において、届出に係る事項が実施されることにより届出に係る第一種大店舗における事業活動がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは、大店審の意見を聴いて、届出を受理した日から四月以内に限り、届出をした者に対 活動がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは、大店審の意見を聴いて、届出を受理した日から四月以内に限り、届出をした者に対し、届出に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを勧告することができる(七条一項。この四月の期間を以下「勧告期間」という。)。通産大臣は、四月内に右の変更勧告をすることができない合理的な理由があるときは、四月を越えない範囲内において、勧告期間を延長することができる(七条三項)。他方、通産大臣は、四月の勧告期間が満了する日前に、営業届出に係る事項が直ちに実施されても、届出に係る第一種大店舗における小売業の事業活勲がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがないことが明らかであると認めるときは、変更勧告をしないことを決定し、その旨を当該届出をした者に通知することができる(七条四項)。通産大臣は、変更勧告を受けた者がこれに従わない場合において、七条一項に規定する事態が生じ、中小小売業の利益が著しく害されるおそれがあると認めるときは、大店審の意見を聴いて、営業届出を受理した日から五月(前記延長がなされた場合は、当該延長期間が満了する日から一月)以内に限り、その変更勧告を受けた者に対し、勧告に係る開店日を繰り下げ、又は店舗面積を削減すべきことを命ずることができる(八条一項及び三項)。通産大臣は、第一種大店舗における小売業者が変更命令等に違反したときは、その小売業者に対し、一年以内の範囲を定めてその小売業の営業の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる(一四条一項)。変更命令や右の営業停止命令に違反した者は、罰金刑に処する(一八条)。以上のように規定している。 (二) 以上のように、大店法は、大店舗における小売業の すべきことを命ずることができる(一四条一項)。変更命令や右の営業停止命令に違反した者は、罰金刑に処する(一八条)。以上のように規定している。 (二) 以上のように、大店法は、大店舗における小売業の事業活動を調整するため、調整の公示の日から七月を経過する前及び営業届出に係る開店日前の大店舗における小売業を禁止している。しかし、調整の公示の日から七月を経過した後で営業届出に係る開店日以降の大店舗における小売業については、これを禁止する規定はない。国民は、本来、営業の自由を有するものであり、これを禁止するためには法律による明文の規定を要する。したがつて、調整の公示の日から七月を経過した後で営業届出に係る開店日以降の大店舗における小売業について、これを禁止する明文の規定が存しない以上、営業届出をなした者はこれを自由に営むことができ、行政庁の許可を要するものでないことは明らかというべきである。 大店法は、それまで百貨店法(昭和三一年法律第一一六号)が規制していた対象を適用範囲に取り込んで、百貨店法を廃止するとともに(大店法附則二条)、その調整対象を百貨店法のそれよりも格段に拡張した法律であるところ、百貨店法は、「百貨店業を営もうとする者は、通産大臣の許可を受けなければならない。」(三条)と規定し、百貨店業を許可制とすることを明らかにしていたが、大店法には、大店舗における小売業につき許可制を採用したことをうかがわせるような規定は何ら存しないのである。大店法は、前記の内容から明らかなように、大店舗における小売業を届出制(届出さえすれば許可なくして営業し得るもの)としたうえ、通産大臣等において、これに対し変更勧告及び変更命令を中心とした調整を行い得ることを規定しているにすぎない。すなわち、右の変更勧告及び変更命令は、店舗面積に関していえば、営業届出に の)としたうえ、通産大臣等において、これに対し変更勧告及び変更命令を中心とした調整を行い得ることを規定しているにすぎない。すなわち、右の変更勧告及び変更命令は、店舗面積に関していえば、営業届出に係る店舗面積を一定限度まで削減すべきことを勧告又は命令するものにすぎず、右限度内の営業を許可するという効力を有するものではない。右営業は変更勧告や変更命令をまつまでもなく自由なのであり、変更勧告や変更命令により一部制限を受けるというにすぎないのである。 (三) 原告らは、大店舗における小売業が届出制であるならば、そもそも変更勧告や変更命令の制度は不要であり、営業届出についても営業開始前五月前という期限設定は不要なはずであると主張する。しかし、右小売業の事業活動の調整の方法として、事業活動を禁止した上で許可により禁止を解除するという方法を必ず採用しなければならないものではなく、事業活動の自由を肯認した上で一定の制限を加えるという方法をとることももとより可能であつて、変更勧告や変更命令は右制限の手段として採用された制度である。そして、変更勧告や変更命令による調整は事業活動に制限を加えるものであるから、いつまでもできるということになれば、大店舗における小売業者を際限なく不安定な状態に置き、かつ、これに対し不当な犠牲を強いる結果となるため、大店法は、右調整を原則として開店日までに終了することとし、調整期間確保のために営業届出につき開店日五月前という期限を設定したものであつて、いずれも、許可制を裏付けるものではない。 また、変更勧告は、営業届出をした者に対し、勧告された店舗面積等の範囲内であれば営業を行つても変更命令を受けることのない地位を事実上与える効果を有するということはできるかも知れないが、それは、制限の範囲を一応限定するというものにすぎず、右範囲 された店舗面積等の範囲内であれば営業を行つても変更命令を受けることのない地位を事実上与える効果を有するということはできるかも知れないが、それは、制限の範囲を一応限定するというものにすぎず、右範囲外の営業を許可するというものではない。 なお、大店法七条四項は、通産大臣において四月の勧告期間が満了する日前に変更勧告をしないことを決定通知することができる旨規定しているが、これは、大店法が開店日五月前の営業届出義務を課していること、特に昭和五三年法律第一〇五号による改正によりそれまでの四月前から右の五月前に延長したこと、そして、その間の大店舗における小売業の営業を一律に禁止していることに鑑み、その営業が周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがないことが明らかな場合に限つて、変更勧告の期間を短縮し、開店日を繰上げできる途を開いたものである。すなわち、右の決定通知は、営業届出に係る開店日の繰上げを可能とする効果を有するにすぎず(七条五項)、営業の全面的許可の性質を有するものではない。 また、原告らは、変更勧告も右の決定通知もないまま営業届出から四月を経過すれば、営業を全面的に許可する旨の黙示の行政処分がなされたものとみなすべきであると主張するが、明文の規定をまたないで大店舗における小売業が許可制であると解する結果の不自然な解釈といわざるを得ない。ちなみに、四月の勧告期間が延長され、その間に営業届出に係る開店日が到来すれば、営業届出をした者は変更勧告も勧告期間の経過もまたずに営業を開始できるのである。 (四) また、成立に争いのない甲第一号証によれば、大店法案を審議した第七一回国会衆議院商工委員会において、通産大臣及び政府委員らは、大店法は従前の百貨店法における許可制から届出制に改めるものであることを明らかにした上、届出制の下にお 証によれば、大店法案を審議した第七一回国会衆議院商工委員会において、通産大臣及び政府委員らは、大店法は従前の百貨店法における許可制から届出制に改めるものであることを明らかにした上、届出制の下においても変更勧告、変更命令の適正な運用によつて許可制と変わらないような調整の実を挙げ得る旨答弁していることが認められ、この答弁は、原告らの主張を裏付けるものではなく、むしろ、大店法が大店舗における小売業につき届出制を採用したことを明らかにしたものというべきである。 (五) 以上、要するに、変更勧告は営業許可の実質を有する処分とはいえないのであり、許可という側面におい周辺中小小売業者の権利ないし利益を侵害する旨の原告らの主張は、その前提において失当といわなければならない。 2 次に、変更勧告が営業許可の側面を有するものではないとしても、周辺中小小売業者においてその違法性を主張して取消訴訟を提起する原告適格を有するか否かについて検討する。 (一) 小売事業は、本来、自由競争の関係にあり、既存の小売業者において、新規参入の小売業者の事業活動に対する規制を求むべき権利ないし法的地位というものをもともと有するものではない。もしあるとすれば、それは大店法によつて創設されたものということになる。そして、周辺中小小売業者にとつて変更勧告により自己の具体的権利又は法律上保護された利益が害されるということは、より広範な規制内容を含む変更勧告が出されるという利益を享受し得る権利ないし法的地位を有するにもかかわらず、それが一部否定されるということにほかならないから、大店法の下において、周辺中小小売業者に、一定の要件のある場合には一定以上の規制を内容とする変更勧告又は変更命令が出されるという利益を享受し得る権利ないし法的地位が保障されているか否かを検討する。 (二) 大店法 いて、周辺中小小売業者に、一定の要件のある場合には一定以上の規制を内容とする変更勧告又は変更命令が出されるという利益を享受し得る権利ないし法的地位が保障されているか否かを検討する。 (二) 大店法は、前叙のとおり、通産大臣等に、大店舗における小売業の事業活動に対する調整権限を与え、調整の方法として変更勧告及び変更命令の制度を設けたものであるが、第一種大店舗に対する変更勧告に関していえば、変更勧告を出すか否かの判断を通産大臣にゆだねていることが七条の規定から明らかであり、周辺中小小売業者に対しては、変更勧告を発すべきことを求める申請権を付与していない。 (三) 次に、通産大臣において変更勧告を発するか否か、いかなる内容の変更勧告を発するかを判断する際の基準であるが、大店法七条一項は、営業届出に係る第一種大店舗の「周辺の人口の規模及びその推移、中小小売業の近代化の見通し、他の大店舗の配置及び当該他の大店舗における小売業の現状等の事情を考慮して、その届出に係る事項が実施されることによりその届出に係る第一種大店舗における小売業の事業活動がその周辺の中小小売業の事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるかどうかを審査し、そのおそれがあると認めるときは」大店審の意見を聴いて変更勧告をすることができる旨規定し、同法一一条は、変更勧告の運用に当たつては「消費者の利益の保護について配慮し、あわせて、第一種大店舗における中小小売業の近代化その他の小売業の事業活動の円滑な遂行に支障を及ぼすことのないよう配意しなければならない。」と規定している。すなわち、大店法の定める判断基準はかなり広範かつ抽象的であり、一定の要件が備わつた場合に一定内容の変更勧告を発すべきことが一義的に定まるというものではなく、変更勧告を発するか否か、変更勧告の内容をどのように定めるか める判断基準はかなり広範かつ抽象的であり、一定の要件が備わつた場合に一定内容の変更勧告を発すべきことが一義的に定まるというものではなく、変更勧告を発するか否か、変更勧告の内容をどのように定めるかは通産大臣の裁量にゆだねられているというほかない。 もつとも、成立に争いのない甲第三号証によれば、「法第七条第一項のおそれの有無の審査基準について」(各通産局長及び沖縄総合事務局長並びに各都道府県知事あて昭和五四年五月一一日付け産局第三六四号通産省産業政策局長通達)は、大型小売業者(一の建物における店舗面積の合計が五〇〇平方メートルを超える店舗を有する小売業者)が入居する第一種大店舗であつて店舗面積が一〇、〇〇〇平方メートル以上のものは大店法七条一項の「おそれ」ありとする等、右おそれの有無の審査基準をかなり明確にしていることが認められる。同じく甲第三号証によれば、大店審は、昭和五四年六月二〇日「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整のための審査方法について」の決定を行い、大店審における審査に関し、大店舗の店舗面積の調整は中小小売業の事業機会の確保の観点からの審査と、消費者利益の確保及び流通近代化の観点からの審査とをそれぞれ行い、これらの審査結果を踏まえ、総合的な判断をし、結論を定めること、中小小売業の事業機会の確保の観点からの審査では、(1)類似都市比較指標、(2)占有率指標、(3)将来性指標、(4)影響度指標の四指標をそれぞれ求め、審査対象大店舗の周辺の中小小売業への影響をこれらの指標から総合的に判断すること、と決定したことが認められる。これらの通達及び決定は、行政内部における審査基準をかなり明確化し、特に通産大臣が大店法七条一項の規定により大店審に諮問するか否かを決定するに当たつての「おそれ」の有無の判断について具体的基準を定めてい らの通達及び決定は、行政内部における審査基準をかなり明確化し、特に通産大臣が大店法七条一項の規定により大店審に諮問するか否かを決定するに当たつての「おそれ」の有無の判断について具体的基準を定めているが、変更勧告を行うべきか否か、その内容をどのように定めるかについては、これらの審査基準によつても一定の結論が当然に導かれるものではなく、依然として通産大臣の総合的な判断にゆだねられているのである。 その上、大店法の規定自体においても、また、行政の内部基準においても、周辺の個々の中小小売業者の営業の実態等は、審査の対象事項とされていない。 したがつて、変更勧告に関する通産大臣の判断基準の面からも、一定の要件のある場合に一定の変更勧告を求め得るとか、あるいは一定範囲の事業活動を享受し得るという周辺中小小売業者の具体的権利ないし利益を見いだすことはできない。 (四) 更に、周辺中小小売業者の変更勧告に対する異議申立権の有無を考察するに、大店法には右異議申立権を想定した規定がない。大店法七条の規定によれば、営業届出が受理された場合の通産大臣の措置としては、原則四月の勧告期間内に変更勧告をすること、変更勧告をしない旨の決定通知をすること、変更勧告も右の決定通知もしないで勧告期間を経過することの三つがあり得る。もし、変更勧告に対し周辺中小小売業者に異議申立権が存すれば、右小売業者にとつて最も不利な措置である三番目の変更勧告をしない措置に対しても異議申立権が存するといわなければならないであろう。しかし、後者の場合は、通産大臣が変更勧告をなし得る勧告期間内に異議の対象とすべき行政行為が存しないのである。大店法が右の異議申立権を認めたとすれば、周辺中小小売業者の変更勧告申請権とこれに対する通産大臣の勧告期間内の応答義務を規定したはずであり、そのような規定が存しな とすべき行政行為が存しないのである。大店法が右の異議申立権を認めたとすれば、周辺中小小売業者の変更勧告申請権とこれに対する通産大臣の勧告期間内の応答義務を規定したはずであり、そのような規定が存しない以上、右の異議申立権は否定せざるを得ない。 したがつて、異議申立権の側面からも、周辺中小小売業者の変更勧告に関する具体的権利ないし利益を導くことは困難である。 (五) なお、大店法七条は、通産大臣において変更勧告を行おうとするときは大店審の意見を聴くべきこと、大店審においてその意見を定めようとするときは地元の会議所の意見及び申出者の意見を聴かなければならないことを規定し、周辺中小小売業者の意見が会議所の意見又は申出者の意見となつて変更勧告に反映される途を開いている。また、大店法一七条は、変更命令又は営業停止命令についての不服申立てに対する裁決又は決定は公開による聴聞を行つた後にしなければならないこと、聴聞に際しては不服申立人及び利害関係人に対し証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならないことを規定している。したがつて、周辺中小小売業者にも右聴聞の際に証拠を提示し意見を述べる機会が保障されているといい得る。しかし、これらの規定も、行政に関係者の意見を反映させ、行政判断の妥当性を担保し、適正を期するための規定であつて、周辺中小小売業者に対し一定の変更勧告、変更命令を求むべき具体的権利ないし利益を付与したものと解することは困難である。 (六) 以上のように、周辺中小小売業者には変更勧告の申請権がなく、変更勧告を出すべきか否か、変更勧告の内容をどのように定めるかは通産大臣の裁量にゆだねられ、その判断基準も広範かつ抽象的であり、変更勧告に対する異議申立権も周辺中小小売業者に認められていないことからすれば、大店法は、一般的に周辺中小小売業の事業 うに定めるかは通産大臣の裁量にゆだねられ、その判断基準も広範かつ抽象的であり、変更勧告に対する異議申立権も周辺中小小売業者に認められていないことからすれば、大店法は、一般的に周辺中小小売業の事業活動の機会の適正な確保を図るという公益上の目的から、本来自由である大店舗における小売業の事業活動を調整するため、変更勧告及び変更命令という制度を採用したものであつて、個々の周辺中小小売業者に対し、一定の要件のある場合には、一定内容の変更勧告が出されるという利益を享受し得る地位を具体的に保障したものと解することはできない。大店法が個々の周辺中小小売業者に対し具体的権利ないし利益を保障するものでない以上、一定の変更勧告が出され又は出されなかつたとしても、周辺中小小売業者の具体的権利又は法律上保護された利益を侵害するものではないから、個々の周辺中小小売業者に変更勧告の取消しを訴求する原告適格を認めることはできない。 3 最後に、本件変更勧告の取消しを求むべき訴えの利益(狭義)について検討する。 (一) 大店法七条の規定によれば、通産大臣が変更勧告をなし得るのは営業届出を受理した日から四月以内に限られており、右期間内に変更勧告をすることができない合理的理由があるときの期間延長も四月を超えない範囲内に限られているところ、本件の営業届出の受理日は昭和五四年九月一八日であつて、本訴提起日(昭和五六年一月一四日)において既に八月以上を経過しているのである。したがつて、判決で本件変更勧告を取り消しても、被告において更に厳しい内容の変更勧告を発する余地はなく、本訴は訴えの利益を欠くといわざるを得ない。 (二) 原告らは、判決によつて変更勧告が取り消された場合にいつまで変更勧告をなし得るかの点は、法の欠缺の場合に当たるので、条理に従い、取消判決が確定した日から四月以 利益を欠くといわざるを得ない。 (二) 原告らは、判決によつて変更勧告が取り消された場合にいつまで変更勧告をなし得るかの点は、法の欠缺の場合に当たるので、条理に従い、取消判決が確定した日から四月以内は新たな変更勧告をなし得ると解すべきである旨主張する。 しかし、変更勧告は、変更命令と相まつて大店舗における小売業の自由を制限する不利益行為であるから、法律が、前叙のように、営業が本格化してから変更勧告及び変更命令の措置をとつたのでは右小売業者に不当な犠牲を強いることを考慮し、また、右小売業者を際限なく不安定な状態に置くことを避けるため、変更勧告をなし得る期間を原則四月、延長しても最長八月と明定している以上、解釈によつてこれを更に延長することは許されない。 なお、原告らは、変更命令の名あて人たる営業届出者が変更命令の取消訴訟を提起し、変更命令が判決で取り消された場合を想定すれば、判決確定の日から四月以内に新たな変更勧告を発し得ると解さなければ不合理である旨主張するが、この場合にいかなる内容の取消判決をなすべきか、あるいは取消判決により行政庁がいかなる措置をとるべきかは別として、右は不利益処分を受けた者の権利ないし自由を回復する場合であるから、不利益の範囲を更に増大させる場合と同日に論ずることはできない。 4 なお、原告らは、大店法案を審議した第七一回国会衆議院商工委員会において、通産大臣等は、変更勧告が抗告訴訟の対象となり、周辺中小小売業者にも原告適格が存する旨明確に答弁しており、大店法は右答弁を前提として成立したのであるから、これと異つた解釈をすることは許されないと主張する。 前掲甲第一号証によると、政府委員は、右委員会において、変更勧告が出されない場合の不作為は訴訟の対象にならないことを明言しながら、変更勧告、変更命令が出された場合について とは許されないと主張する。 前掲甲第一号証によると、政府委員は、右委員会において、変更勧告が出されない場合の不作為は訴訟の対象にならないことを明言しながら、変更勧告、変更命令が出された場合については、両者を峻別しないまま、訴訟の対象となり、周辺中小小売業者にも原告適格が存する旨答弁したことが認められる。変更勧告が出されないということは、周辺中小小売業者側にとつては最も不利な場合であり、その場合に抗告訴訟を提起できず、変更勧告、変更命令が出された場合には抗告訴訟を提起できると解することは、論理的整合性を欠くと評さざるを得ないが、それはともかく、国会における審議内容はあくまで法律解釈の一資料たるにすぎず、裁判所がこれに拘束されるいわれはない。裁判所は、あくまでも国民に対し公布された法律の条文に拘束されるものであつて、右の国会審議を参考とするにしても、大店法の条文解釈としては前叙のように判断せざるを得ないのである。 5 以上の説示によれば、本件においては、原告らは本件変更勧告によつて権利又は法律上保護された利益を侵害されたと認めることができず、かつ、本件変更勧告を取り消してもそれによつて原告らの主張する不利益が救済されることにはならないから、いずれにしても、原告らは本件変更勧告の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者ということができないので、本件訴えは不適法といわなければならない。 三よつて、本件訴えをいずれも却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官泉徳治岡光民雄菅野博之)別紙目録(省略) 泉徳治 岡光民雄 菅野博之 別紙目録(省略)

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