主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1請求諏訪税務署長が原告に対して平成20年2月29日付けでした株式会社aの滞納国税及び滞納処分費についての第二次納税義務に係る納付通知書による告知処分を取り消す。 第2事案の概要 事案の要旨本件は,株式会社a(以下「a」という。)から事業譲渡(以下「本件事業譲渡」という。)を受けた原告が,処分行政庁から平成20年2月29日付けで,国税徴収法38条の規定により,原告がaの滞納国税(消費税及び地方消費税1740万3388円並びに延滞税)及び滞納処分費について本件事業譲渡に際しaから原告に対して譲渡された別紙1記載の財産(以下「本件財産」という。)を限度とする第二次納税義務を負うとして,納付通知書による告知処分(以下「本件処分」という。)を受けたことに対し,①原告は,aから積極財産額と同額の債務を譲り受けており,事業譲受による原告の実質的な利得はないから,原告が負う納税義務はないこと,②告知処分時において,譲り受けた積極財産のうち実質的に残存しているのは846万9416円のみであり,その額の範囲で納税義務を負うことを主張して,本件処分の取消しを求める事案である。 関係法令の定め(1)国税徴収法38条の定め納税者がその親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるもの(以下「親族その他の特殊関 係者」という。)に事業を譲渡し,かつ,その譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいる場合において,その納税者が当該事業に係る国税を滞納し,その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいる場合において,その納税者が当該事業に係る国税を滞納し,その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは,その譲受人は,譲受財産(その財産の異動により取得した財産及びこれらの財産に基因して取得した財産(以下「取得財産」という。)を含む。)を限度として,その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。ただし,その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より1年以上前にされている場合は,この限りでない。 (2)国税徴収法施行令13条1項の定め国税徴収法38条本文(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)に規定する納税者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるものは,次に掲げる者とする。 ア納税者の配偶者(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。),直系血族及び兄弟姉妹(国税徴収法施行令13条1項1号)イ(略)(同項2号ないし6号)ウ納税者が同族会社である場合において,その判定の基礎となつた株主又は社員(これらの者と上記ア等に該当する関係がある個人及びこれらの者を判定の基礎として同族会社に該当する他の会社を含む。)の全部又は一部を判定の基礎として同族会社に該当する他の会社(同項7号) 前提事実(争いのない事実及び顕著な事実)(1)aは,原告の本店所在地と同一地を本店所在地として医療器械販売業等を営んでいた株式会社で,平成18年11月末日当時,b等を判定の基礎とする同族会社であった。 (2)原告は,平成16年1月28日に設立された医療機器販売等を目的とする株式会社で,平成18年11月末日当時,c(bの妻)等を判定の基礎と する同族会社であった。 (3)aは,平成18年11月22 原告は,平成16年1月28日に設立された医療機器販売等を目的とする株式会社で,平成18年11月末日当時,c(bの妻)等を判定の基礎と する同族会社であった。 (3)aは,平成18年11月22日,原告との間で,同月末日をもってaの事業の全部を原告に対して譲渡する旨の契約を締結した(本件事業譲渡)。 本件事業譲渡は,同月28日,原告及びaの株主総会で承認され,同月30日,aから原告に対し本件財産が譲渡された。 (4)aは,平成19年4月25日に,東京地方裁判所において破産手続開始決定を受け,同年7月26日に破産手続廃止決定を受けた。 (5)aは,平成19年6月25日を納期限とする平成19年度の消費税及び地方消費税の本税1740万3388円並びに延滞税の支払をしなかった。 (6)処分行政庁は,原告に対し,平成20年2月29日付けで,原告がaの上記(5)の滞納国税につき,国税徴収法38条に基づき第二次納税義務を負うこととなったので,本件財産を限度として上記滞納国税を納付すべきとの納付通知書による告知処分(本件処分)をした。 (7)原告は,平成20年3月28日,上記(5)の滞納国税の本税及び同日までの延滞税を支払った。 (8)原告は,平成20年4月25日,本件処分を不服として処分行政庁に対し異議申立てをしたが,処分行政庁は,同年6月27日付けで上記異議申立てを棄却する旨の異議決定をした。 (9)原告は,平成20年7月25日,前記(8)の異議決定を経た本件処分に不服があるとして,国税不服審判所長に対し審査請求の申立てをしたが,国税不服審判所長は,平成21年6月22日付けで,上記審査請求の申立てを棄却する旨の裁決をした。 (10)原告は,平成21年12月11日,本件訴えを提起した。 争点 本件処分の適法性に関し,具体的には,次の点が争 ,平成21年6月22日付けで,上記審査請求の申立てを棄却する旨の裁決をした。 (10)原告は,平成21年12月11日,本件訴えを提起した。 争点 本件処分の適法性に関し,具体的には,次の点が争点とされている。 (1)国税徴収法38条の規定する第二次納税義務の限度 (2)本件において原告が負うべき第二次納税義務の限度 当事者の主張の要旨(1)争点(1)(国税徴収法38条の規定する第二次納税義務の限度)についてア被告国税徴収法38条は,事業譲渡の譲渡人と譲受人との間の親近性が強く,かつ,外形的に事業の同一性を有し,さらに,その譲渡が納税者の事業に係る国税の法定納期限の1年前より後にされた場合(このような場合は,形式的には譲受人に財産が帰属しているとしても,実質的には譲渡人にその財産が帰属していると認めても公平を失しないといえる。),譲渡人の租税につき譲受人に対し第二次納税義務を負担させることにして,徴税の適正を期したものである。そして,同条は,第二次納税義務者に係る滞納処分の対象となる財産が責任限度である譲受財産に限られ,他の財産について滞納処分をすることができない,いわゆる物的第二次納税義務を定めたものであることから,その財産が滅失したときは第二次納税義務を追及することができないとされており,同条の譲受財産とは譲受けに係る事業に属する滞納処分の対象となる積極財産をいうものと解すべきであり,積極財産から債務額を控除することは許されない。 イ原告(ア)国税徴収法38条の規定は,事業譲渡に係る特例であり,事業譲渡という形での組織再編に際し租税負担回避行為があった場合に,事業を譲り渡した事業者(以下「譲渡事業者」ともいう。)が本来負担すべき租税について,事業を譲り受けた事業者(以下「譲受事業者」ともいう。)が利得を得 組織再編に際し租税負担回避行為があった場合に,事業を譲り渡した事業者(以下「譲渡事業者」ともいう。)が本来負担すべき租税について,事業を譲り受けた事業者(以下「譲受事業者」ともいう。)が利得を得た限度において,譲受事業者の責任を拡張させたものである。 事業譲渡は,営業活動の全部又は一部を受け継ぐという目的を有するものであるが,取引先等との関係を考慮すると,譲渡事業者が取引先に 対して負担していた負債等について譲受事業者が引き継がないとして同様の営業を継続することは常識的にも不可能というべきであり,譲渡事業者が取引先に対して負担していた負債等が引き継がれなければ実際の事業譲渡は成功しない。したがって,事業譲渡においては,財産のみならず負債をも負担する必要があり,実際にもそのようなことがされる例が認められる。このような場合,譲り受けた負債は譲受財産の価値を減少させるものであり,負債を控除した価値こそが譲受事業者が事業譲渡によって得た利得であると解すべきである。 そして,上記のとおり,国税徴収法38条の趣旨は租税負担回避行為を防止するというものであるから,その責任の限度は事業譲渡によって第二次納税義務者が得た利得に限定されるべきものである。 (イ)国税徴収法には譲受財産についての定義はなく,譲受財産が何を指すかについては,法律の規定や事業譲渡の仕組み等を総合的に考慮して解釈しなければならない。また,国税徴収法38条の規定は昭和33年以前から存在していたが,当時は事業譲渡の概念が必ずしも明らかとなっていなかったことからすると,昭和40年9月22日の最高裁大法廷判決により事業譲渡(営業譲渡)の概念が「譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部又は重要な一部を譲受人に受け継がせること」であると明らかとなった時点で,負債も引き継が 日の最高裁大法廷判決により事業譲渡(営業譲渡)の概念が「譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部又は重要な一部を譲受人に受け継がせること」であると明らかとなった時点で,負債も引き継がれるべきことを前提に同条の解釈も再検討されるべきであったと考えられる。また,昭和40年当時の商法285条の7によればのれんは資産として考えられていたが,会社法施行後においては,会社計算規則によりのれんは事業譲渡において譲渡された資産と負債の差額概念であることが明らかにされ,資産としてののれんと負債としてののれんがあるというようにのれんの概念は明確に変更されており,また,この差額概念は法人税法62条の8第1項及び同条第3項において資産調整勘定及び負債調整勘定と して扱われている。このことからすれば,国税徴収法38条の解釈においても,事業譲渡には資産と負債の差額というものがあることを前提にして譲受財産の内容を解釈すべきである。事業譲渡においては,「正ののれん」と「負ののれん」のいずれもがあり得るという実態にかんがみ,本来の納税義務者から事業譲渡において財産を得た者(第二次納税義務者)の利益の限度で課税をすることが公平に合致するという同条の趣旨からすれば,資産から負債を控除したものを譲受財産とすべきである。 被告は,国税徴収法38条が物的第二次納税義務を定めたものであるとするが,物的第二次納税義務の内容は明らかではない。 (ウ)第二次納税義務を定める国税徴収法33条ないし39条及び41条の定めについてみると,商法上当然のことを定めたにすぎない無限責任社員の責任を定めたもの(33条),任務懈怠に基づく清算人等の責任を定めたもの(34条),形式と実態のそごを実質に合わせるためのもの(36条1号,2号,37条)を除いては,第二次納税義務者は受けた 社員の責任を定めたもの(33条),任務懈怠に基づく清算人等の責任を定めたもの(34条),形式と実態のそごを実質に合わせるためのもの(36条1号,2号,37条)を除いては,第二次納税義務者は受けた利益を限度として納税の義務を負う旨定められているということができ,38条のみがこの例外として規定されていて,消極財産は考慮されないと解すべき根拠はない。 (2)争点(2)(本件において原告が負うべき第二次納税義務の限度)についてア被告国税徴収法38条は,本件事業譲渡のように負債を引き継いだ事業譲渡が行われた場合であっても,納税者に対する国税債権について,譲り受けた財産を限度として譲受人に第二次納税義務を負わせることとしたものである。同条にいう「譲受財産」が譲受けに係る事業に属する積極財産を指すものであることは,上記(1)アで述べたとおりである。そして,同条は,「譲受財産」である財産自体を責任限度としており,財産の価額を限度とする規定ではない。したがって,同条の「譲受財産」を処分を受けた時点 における積極財産の残存価額と解することはできない。 本件財産を限度としてされた本件処分は適法である。 イ原告(ア)原告は,aから資産の譲受けを受けているものの,その営業活動を承継する必要上,aの取引先に対する負債一切と源泉諸税の預り金について重畳的債務引受けを行い,これらの債務を弁済している。したがって,原告は,aからの事業譲渡によって財産を承継したが同額の負債も負担しているので,何らの財産的利得も得ていないことになり,aからの事業譲渡に係る原告の譲受財産は存在しないというべきである。 (イ)仮に,上記主張が認められないとしても,原告が,aから譲り受けた財産のうち,本件処分の日現在で残存している可能性のある財産は,別紙2記載の出資金及び保証金 財産は存在しないというべきである。 (イ)仮に,上記主張が認められないとしても,原告が,aから譲り受けた財産のうち,本件処分の日現在で残存している可能性のある財産は,別紙2記載の出資金及び保証金であり,その金額は,同別紙A欄記載のとおり,出資金225万円と保証金2195万3094円であるところ,これらについては,それぞれ担保され,相殺されるべき売掛金等の債務があり,これらを差し引くと,実質的に残存しているのは保証金846万9416円のみである。原告は,この金額を限度として第二次納税義務を負うにすぎない。 (ウ)本件処分は,国税徴収法38条に反するものであり,取り消されるべきである。 第3当裁判所の判断 争点(1)(国税徴収法38条の規定する第二次納税義務の限度)について(1)国税徴収法第3章の第二次納税義務制度は,形式的には第三者に財産が帰属している場合であっても,実質的には納税者にその財産が帰属していると認めても公平を失しないようなときにおいて,形式的な権利の帰属を否認して私法秩序を乱すことを避けつつ,その形式的に権利が帰属している者に対して補充的に納税義務を負担させることにより,徴税手続の合理化を図る ために認められた制度であると解される(乙6参照)。 (2)この第二次納税義務制度につき,原告は,国税徴収法において,商法上当然のことを定めたにすぎない規定等(国税徴収法33条,34条,36条1号及び2号並びに37条)を除き,第二次納税義務者は受けた利益を限度として納税の義務を負う旨定められているということができ,同法38条のみがこの例外として規定されていると解すべき根拠はないなどと主張している。しかし,国税徴収法33条ないし39条及び41条の規定を通覧しても,各条ごとに規定内容は様々であり,同法33条,34条,36条 みがこの例外として規定されていると解すべき根拠はないなどと主張している。しかし,国税徴収法33条ないし39条及び41条の規定を通覧しても,各条ごとに規定内容は様々であり,同法33条,34条,36条1号及び2号並びに37条が第二次納税義務を負う範囲につき例外を定めたものであって,その余が原則を定めたものであるとにわかに解することはできないし,原告がこの原則を定めたものとする条項の中にも,例えば同法41条1項の規定のように受けた利益を限度とする旨定められていないものも存することにかんがみても,国税徴収法上,原告の主張するような原則が規定されていると解することはできない。 むしろ,国税徴収法の規定を通覧すれば,同法が「財産」という用語を用いている場合,特段の注記がない限り,それが積極的な資産価値を有し,担保権や差押え,換価等の対象となる個々の資産あるいはその総体を意味することは明らかである。そして,同法38条にいう「譲受財産」とは,納税者からの事業の譲渡を受けた譲受人がこの譲渡を受けたことにより譲り受けた「財産」を意味するものであることも,その文言上明らかである。この点,原告は,事業譲渡の場合に会社計算規則上計上が認められるのれんに資産性のものと負債性のものとがあることなどから,「譲受財産」とは,事業譲渡によって移転された資産から同じく移転された負債を控除した差額を指すものと解すべきであるというが,同条は「譲受事業」とか「譲受財産の価額」とか定めているのではなく「譲受財産」と定めているのであって,原告の上記主張は採用し難いものといわざるを得ない(のれんが資産又は負債として 計上されることと,「譲受財産」を譲渡を受けた資産と負債の差額であると解すべきこととはそもそも直接関係しない。)。 そして,同条の規定には,事業の譲受人が負う第二次納税 のれんが資産又は負債として 計上されることと,「譲受財産」を譲渡を受けた資産と負債の差額であると解すべきこととはそもそも直接関係しない。)。 そして,同条の規定には,事業の譲受人が負う第二次納税義務の範囲について,「譲受財産(取得財産を含む。)を限度として」とする以上に,「譲受財産(取得財産を含む。)」から事業譲渡に伴い事業の譲受人が引き受けた債務の額を控除した限度であること,あるいは,当該譲受人が事業譲受によって得た利益の限度であることを示す文言は一切見当たらない。 (3)さらに,前記(1)において説示したところに国税徴収法38条の規定内容を併せ考えれば,そもそも同条の規定する第二次納税義務制度の趣旨は,次の(ア),(イ)のような点を考慮し,同条所定の,事業譲渡をした納税者に「譲受財産」が帰属している場合と同様に取り扱っても公平を失しないといえる場合に限って,租税債権を回収することができる財産(以下「責任財産」という。)の範囲を「その譲受人」の「譲受財産」にまで拡張して,租税債権者と譲受人との間の利害を調整するものであると解される。 (ア)事業譲渡が行われた場合,その事業に係る債権を有していた一般債権者については,事業譲渡契約において,譲渡された事業に係る債務も引き受ける旨定められるのが通常であり,また,譲渡人の商号を使用した譲受人の責任を定める規定(商法17条)もあることから,法律上又は事実上,譲受人から弁済を受けられることが多い(仮に,譲受人の資力の問題で弁済を受けられないことはあっても,少なくとも譲受人の財産に対する強制執行をすることができる地位は与えられることが多い。)のに対し,租税債権者は,事業を譲渡した者を納税者とする納期限を徒過した租税債権について,仮に当事者間の契約で譲受人が納付することを合意していたとしても ることができる地位は与えられることが多い。)のに対し,租税債権者は,事業を譲渡した者を納税者とする納期限を徒過した租税債権について,仮に当事者間の契約で譲受人が納付することを合意していたとしても,自主的に納付がされない限り,譲受人から徴収することはできないばかりか,事業譲渡がされこれに伴い納税者の財産が移転することによって,本来当該財産から租税債権の回収をすることができたはずであるのに これができなくなって,上記の一般債権者に比して不利な地位に置かれることとなる。 (イ)一方,譲受人は事業譲渡を受ける際,対価を支払うのが通常であることなどにかんがみ,上記租税債権者の支障を取り除くために事業を譲渡した納税者の租税債務を無限定にその譲受人に負わせることにすると,譲受人の利益を不当に害する事態を招来することになる。 (4)以上の諸点からすれば,納税者から事業の譲渡を受けた譲受人が負うべき第二次納税義務は,「譲受財産」,つまり,当該納税者から事業の譲渡を受けた当該譲受人が譲り受けた財産を限度とするものであり,この場合の財産とは,事業譲渡がなければ,納税者の責任財産となっていたはずである,積極的な資産価値を有し,担保権や差押え,換価等の対象となる個々の資産あるいはその総体を指すものと解される(原告は,国税徴収法38条の趣旨が租税負担回避行為を防止するというものであり,そのことから,譲受人の負う第二次納税義務の限度は当該事業譲渡によって譲受人が得た利得に限定されるなどというが,同条の趣旨に関する原告の主張の当否はさておき,その主張を前提としても,納税者の租税負担回避行為を防止するためには,納税者がこの行為をした場合でも結果は何ら変わらないとすることが必要であると考えれば,譲受人が負うべき第二次納税義務の範囲は当該事業譲渡によって移転し ,納税者の租税負担回避行為を防止するためには,納税者がこの行為をした場合でも結果は何ら変わらないとすることが必要であると考えれば,譲受人が負うべき第二次納税義務の範囲は当該事業譲渡によって移転した納税者の責任財産のすべてに及ぶべきであるとも解されるのであって,この場合に譲受人が得た利得に限定されることが必然であるかのようにいう原告の主張に合理性を認めることはできない。また,以上に説示したところに照らし,その余の原告の主張がいずれも失当であることは多言を要しない。)。 争点(2)(本件において原告が負うべき第二次納税義務の限度)について上記1で説示したところからすれば,仮に原告がaからの譲受財産と同額の負債を承継して負担しているとしても,譲受財産が存在しないということはで きない。 また,原告は,aから譲り受けた財産のうち,実質的に残存しているのは保証金846万9416円のみであり,原告は,この金額を限度として第二次納税義務を負うにすぎないなどとも主張するが,上記1において説示したところ及び国税徴収法38条が「譲受財産を限度として」と規定していることに照らせば,同条の第二次納税義務は財産の価額を限度とするものではなく,本件処分時における財産の残存価額をもって「譲受財産」と解することはできない。 そして,前記前提事実によれば,原告が負うべき第二次納税義務は本件財産を限度とすることが明らかであって(財産が滅失したときには,滞納処分を執行し第二次納税義務を負担させることができなくなるにすぎない。),原告の上記主張に理由はない。 本件処分の適法性について(1)ア前記前提事実(1)及び(2)によれば,原告がその事業を譲受した平成18年11月末日時点で,原告とaはいずれも同族会社(法人税法2条10号)であり,原告の同族会社の判定の基 適法性について(1)ア前記前提事実(1)及び(2)によれば,原告がその事業を譲受した平成18年11月末日時点で,原告とaはいずれも同族会社(法人税法2条10号)であり,原告の同族会社の判定の基礎となる株主であるcは,aの同族会社の判定の基礎となる株主であるbの妻であってaの特殊関係者に該当し(国税徴収法施行令13条1項1号),したがって,原告は,aの特殊関係者に該当することが認められる(同項7号)。 イそして,前記前提事実(1)ないし(3)によれば,原告とaの本店所在地は同一地であること,原告とaが同一の事業を行っていることが認められる。 ウまた,前記前提事実(3)ないし(6)によれば,本件事業譲渡は平成18年11月末日に行われ,同(5)の滞納国税の法定納期限は平成19年6月25日であって,本件事業譲渡は滞納に係る国税の法定納期限より1年以上前にされたものではないことが認められる。 エさらに,前記前提事実(4),(5)によれば,aは同(5)の滞納国税を滞納したこと,aは破産手続廃止決定を受けており,aに対し滞納処分を行っ ても上記滞納国税の徴収すべき額に不足することが認められる。 (2)本件処分は,上記(1)によれば国税徴収法38条の要件を満たし(本件財産を限度として行われた点が適法であることは既に説示したとおりである。),また,前記前提事実(6)によれば同法32条の手続に従ってされたものであると認められるから,適法である。 結論 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官川神裕 裁判官小海隆則 裁判官須賀康 法61条を適用して主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官川神裕 裁判官小海隆則 裁判官須賀康太郎
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