主文 1(1) 別紙2-1認容額等一覧表の「責任を負うべき被告」欄記載の被告らのうち同一覧表の「認容額(円)」に金額の記載がある被告らは、同一覧表の対応する「原告」欄記載の各原告に対し、各原告に係る同一覧表の「認容額(円)」欄記載の各金員及びこれに対する同一覧表の「遅延損害金起算日」欄記載の各 日から各支払済みまで同一覧表の「遅延損害金の割合(%)」欄記載の割合による各金員を(「責任を負うべき被告」欄の複数の被告の「認容額(円)」欄に金額の記載があるときは同額及びこれに対する遅延損害金の限度で連帯して)支払え。 (2) 別紙2-1認容額等一覧表の「原告」欄記載の原告らのその余の請求をい ずれも棄却する。 2 原告A4-1、原告A4-2、原告A4-3、原告A4-4、原告A6-1、原告A6-2、原告A7-1、原告A7-2、原告A7-3及び原告A15の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、別紙2-2訴訟費用記載のとおりの負担とする。 4 この判決は、上記第1項⑴に限り、仮に執行することができる。ただし、別紙2-1認容額等一覧表の「責任を負うべき被告」欄に記載された被告らが、各被告の列の「担保額(円)」欄に金額の記載のある行の「原告」欄記載の各原告に対し、同「担保額(円)」欄記載の各金員の担保を供するときは、当該原告との関係でその仮執行を免れることができる。 事実 及び理由 第1 請求被告らは、別紙3請求対象被告及び請求金額一覧表に記載された被告らに対応する列に「〇」と記載のある行の原告らに対し、同「請求金額(円)」欄記載の各金員及びこれに対する同「遅延損害金起算日 求被告らは、別紙3請求対象被告及び請求金額一覧表に記載された被告らに対応する列に「〇」と記載のある行の原告らに対し、同「請求金額(円)」欄記載の各金員及びこれに対する同「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで 同「遅延損害金の割合」欄記載の割合による各金員を(同一の行に複数の「〇」 の記載のあるときは当該被告らが互いに連帯して)支払え。 第2 事案の要旨別紙3請求対象被告及び請求金額一覧表の「被災者」欄に記載された者(以下「本件被災者」という。)はいずれも石綿(アスベスト)含有建材が使用された建設現場で就労していた者であり、原告らは、本件被災者本人又は本件被災者の 権利を相続した者である。被告らは、石綿含有建材を製造販売していた会社又はその承継会社である(ただし、一部の被告については争いがある。)。 本件は、原告らが、被告らにおいて石綿含有建材が石綿関連疾患を惹き起こす危険性がある旨を警告すべき義務等があったにもかかわらず、その義務を履行せずに石綿含有建材を製造販売し、その結果、本件被災者が被告らの製造販売した 石綿含有建材から発生した石綿粉じんにばく露して、石綿肺、肺がん、中皮腫等の石綿関連疾患にり患したと主張して、不法行為(民法719条1項後段の直接又は類推適用)に基づき、別紙3請求対象被告及び請求金額一覧表の各原告らに対応する被告欄に「〇」の記載がある被告らに対し、同「請求金額(円)」欄記載の損害賠償金(各本件被災者が石綿関連疾患にり患したことによって被った肉 体的・精神的損害に対する慰謝料及び弁護士費用の合計総額3850万円)及びこれに対する同「遅延損害金起算日」欄記載の日(上記不法行為の後の日に当たる各本件被災者の石綿関連疾患の確定診断日又は死亡日)から支払 神的損害に対する慰謝料及び弁護士費用の合計総額3850万円)及びこれに対する同「遅延損害金起算日」欄記載の日(上記不法行為の後の日に当たる各本件被災者の石綿関連疾患の確定診断日又は死亡日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合又は民法所定の年3分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 なお、本件では、原告らの被告国に対する訴えが係属していたが、同訴えは、全ての原告らと被告国との間で和解又は訴えの取下げにより終了した。また、一部の原告らの被告ニチハ株式会社及び被告太平洋マテリアル株式会社に対する訴えも係属していたが、上記被告らに対する訴えは全て取下げにより終了した。 また、原告A13の訴えも訴えの取下げにより終了した。 第3 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によ り容易に認められる事実) 1 原告ら本件被災者は、石綿含有建材が使用される建設現場で就労していた者であり、原告らは本件被災者又は本件被災者から本件請求に係る権利を別紙4個別被災者に関する一覧表の「基本情報」欄の「取得割合」欄記載の割合に従って相続又 は取得した者である(同一覧表「基本情報」欄の「取得割合」欄の右の「証拠」欄記載のとおり。なお、本件被災者について、同表の「基本情報」欄の「被災者番号」欄記載の番号で呼ぶことがある。)。 2 被告ら(1) 被告らの一部につき、以下のとおり、商号変更がされている(乙ケ40、 41、弁論の全趣旨)。 ア野沢石綿セメント株式会社は、昭和44年、株式会社ノザワに商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告ノザワ」という。)(弁論の全趣旨)。 イ日本アスベスト株式会社は、昭和56年、 。 ア野沢石綿セメント株式会社は、昭和44年、株式会社ノザワに商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告ノザワ」という。)(弁論の全趣旨)。 イ日本アスベスト株式会社は、昭和56年、ニチアス株式会社に商号変更 した(以下、商号変更の前後を問わず「被告ニチアス」という。)(甲C3〔5頁〕)、乙マ1002)。 ウ宇部スレート工業株式会社は、昭和62年、ウベボード株式会社に商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告ウベボード」という。)(被告ウベボードの履歴事項全部証明書)。 エ株式会社大阪パッキング製造所は、平成元年、日本インシュレーション株式会社に商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告日本インシュレーション」という。)(被告日本インシュレーションの履歴事項全部証明書)。 オ日本バルカー工業株式会社は、平成30年、株式会社バルカーに商号変 更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告バルカー」という。)(被 告バルカーの履歴事項全部証明書)。 カ旭硝子は、平成30年、AGC株式会社に商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告AGC」という。)(被告AGCの現在事項全部証明書)。 (2) 八幡化学工業株式会社は、昭和44年、新日本製鉄化学工業株式会社に商 号変更し、その後、新日鐵化学株式会社に商号変更し、平成24年、新日鉄住金化学株式会社に商号変更し、平成30年、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社に商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告日鉄ケミカル&マテリアル」という。)(乙チ8、16の1・2、26、被告日鉄ケミカル&マテリアルの履歴事項全部証明書)。 (3) 被告株式会社エーアンドエーマテリアルは、平成12年10月に、浅野スレート マテリアル」という。)(乙チ8、16の1・2、26、被告日鉄ケミカル&マテリアルの履歴事項全部証明書)。 (3) 被告株式会社エーアンドエーマテリアルは、平成12年10月に、浅野スレート株式会社(以下、「浅野スレート」という。)と株式会社アスク(旧商号は「朝日スレート株式会社」であり、昭和25年に「朝日石綿工業株式会社」に、昭和62年に「株式会社アスク」にそれぞれ商号変更した。以下、商号変更の前後を問わず、「朝日石綿工業」という。)とが合併した会 社である(以下、朝日石綿工業、浅野スレート及び被告エーアンドエーマテリアルを特に区別することなく、単に「被告エーアンドエーマテリアル」という。)。 (4) 三好石綿工業株式会社は、昭和47年4月、他社と事業統合するとともに、三菱セメント石綿工業株式会社に商号変更し、同社は、昭和48年1 月、三菱セメント建材株式会社に商号変更し、平成4年10月、三菱マテリアル建材株式会社に商号変更し、平成27年10月、株式会社エム・エム・ケイに商号変更した(以下、商号変更等の前後を問わず「被告エム・エム・ケイ」という。)(乙ワ11、12、被告エム・エム・ケイの履歴事項全部証明書)。 (5)ア久保田鉄工株式会社は、平成2年、株式会社クボタに商号変更した(以 下、商号変更の前後を問わず「被告クボタ」という。)。 イ被告クボタ及び松下電工株式会社(以下、「松下電工」という。)は、平成15年12月1日を効力発生日として、クボタ松下電工外装株式会社に対し、屋根材及び外壁材事業等並びにこれに関する権利及び義務の全部を、会社分割(吸収分割)によって移転した。 クボタ松下電工外装株式会社は、平成22年10月1日、ケイミュー株式会社に商号変更した(以下、商号変更の前後 等並びにこれに関する権利及び義務の全部を、会社分割(吸収分割)によって移転した。 クボタ松下電工外装株式会社は、平成22年10月1日、ケイミュー株式会社に商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず「被告ケイミュー」という。また、被告クボタ又は松下電工が製造・販売していた石綿含有建材についても、単に、被告ケイミューが製造・販売していたものと記載することがある。)。 被告クボタは、上記会社分割に際して、原告らに対して個別の催告を行っていなかったので、上記効力発生日に損害賠償責任を負っていた場合には、被告ケイミューと連帯して弁済責任を負う(上記効力発生日当時の商法374条の26第2項参照)。 松下電工は、平成20年10月1日、パナソニック電工株式会社に商号 変更し、平成24年1月1日にパナソニック株式会社に吸収合併された。 同社は、令和4年4月1日、パナソニックホールディングス株式会社に商号変更した(以下、商号変更の前後を問わず、「被告パナソニック」ということがある。)。(被告パナソニックの現在事項全部証明書)。 (6) 日本セメント株式会社は、太平洋セメント株式会社に商号変更した(以 下、商号変更の前後を問わず、「被告太平洋セメント」という。)(乙ギ1の1・2)。 被告太平洋セメントは、平成12年、耐火被覆工事部門を株式会社アサノに事業移管したが、同年までの被告太平洋セメントの債務は株式会社アサノには承継されなかった(乙ギ2、弁論の全趣旨)。 3 石綿及び石綿含有建材の概要 石綿は、天然に産出される繊維状の無機ケイ酸塩で鉱物学的名称ではなく、漠然とした商業的、工業的用語とされている。その種類としてはクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アン 、天然に産出される繊維状の無機ケイ酸塩で鉱物学的名称ではなく、漠然とした商業的、工業的用語とされている。その種類としてはクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト(角閃石)、トレモライト(透閃石)及びアクチノライト(緑閃石)がある。石綿は、紡織性、抗張力、耐熱性等に特長があり、建材等に広く使用されてきた。 日本における年間石綿輸入量は、昭和30年代後半に急増し、昭和36年に10万t、昭和44年に20万tをそれぞれ超え、昭和49年に35万2110tに達し、その後も20万t以上で推移し、昭和63年に32万0393tとなったが、平成元年以降は減少を続け、平成6年に20万t、平成12年に10万tをそれぞれ下回り、平成16年に8186t、平成17年に110t となり、平成18年以降はゼロとなった。日本に輸入された石綿の約7割は建設現場で使用された。 日本国内で使用されてきた石綿含有建材には、壁や天井の内装材として用いられるスレートボード及びケイ酸カルシウム板、外壁や軒天の外装材として用いられるスレート波板、屋根材として用いられる住宅屋根用化粧スレート、床 材として用いられるビニール床タイル等があった。また、鉄骨造建物の工事においては、躯体となる鉄骨の耐火被覆として、石綿とセメント等の結合材を混合した吹付け材が用いられていた。そのほか、煙突や給排水管として使用される石綿セメント円筒、建物内の配管の保温のための石綿含有保温材等があった。(甲A36、乙アA16、130、131、乙ケ40、弁論の全趣旨) 4 石綿ばく露の指標石綿ばく露の指標となる医学的所見としては、①胸膜プラーク、②石綿小体及び石綿繊維、③石綿肺が挙げられ、その概要は以下のとおりである。(甲A106) 全趣旨) 4 石綿ばく露の指標石綿ばく露の指標となる医学的所見としては、①胸膜プラーク、②石綿小体及び石綿繊維、③石綿肺が挙げられ、その概要は以下のとおりである。(甲A106)(1) 胸膜プラーク 胸膜プラークは、胸膜肥厚斑あるいは限局性胸膜肥厚ともいわれ、石綿ば く露と極めて関係の深い医学的所見である。現在の日本においては、石綿ばく露によってのみ発生すると考えてよいといわれている。 胸膜プラークは、石綿ばく露開始直後には認められず、石綿ばく露後少なくとも10年以上、おおむね15~30年で出現すると考えられている。経過とともに石灰化するが、ばく露開始から20年以内に石灰化胸膜プラーク が出現することはまれである。 (2) 石綿小体及び石綿繊維石綿繊維は、他の粉じん粒子とは異なり、吸入された数十μmといった比較的長い繊維も直径が極めて細いので、肺胞にまで到達し、そのまま長期間滞留する。そうした石綿繊維の一部は、表面に鉄蛋白が付着して亜鈴状にな った、いわゆる石綿小体を形成する。 (3) 石綿肺石綿肺は、じん肺の一種であり、石綿粉じんを吸入することによって起こる肺のびまん性間質性線維症である。日本では、胸部エックス線所見で下肺野の線状影を主とする異常陰影を不整形陰影と定義し、職業上の石綿ばく露 歴があり、じん肺法(昭和35年法律第30号)による胸部エックス線写真の像の型が第1型以上のものを石綿肺として、肺機能検査と組み合わせて健康管理の措置を講じている。 したがって、じん肺法で定めるところの石綿肺は、高濃度の石綿ばく露によって発生する疾患でもあり、同時に、石綿ばく露の重要な医学的所見の一 つでもある。 5 石綿関連疾患石綿を吸入することによって生ずる石綿関連疾 めるところの石綿肺は、高濃度の石綿ばく露によって発生する疾患でもあり、同時に、石綿ばく露の重要な医学的所見の一 つでもある。 5 石綿関連疾患石綿を吸入することによって生ずる石綿関連疾患としては、①石綿肺、②肺がん、③中皮腫、④びまん性胸膜肥厚、⑤良性石綿胸水が知られており、このうち①~④の概要は、以下のとおりである。(甲A106、107、乙アA1 4、37、48) (1) 石綿肺ア石綿肺は、石綿を大量に吸入することによって発生する職業性の疾患である。 石綿肺の自覚症状としては、最も早期に出現するのは労作時息切れであり、階段や坂道、平地での急ぎ足の際に自覚される。この自覚症状は石綿 ばく露中止後も次第に進行し、呼吸困難を来すようになることが多い。 咳・痰も主要な症状である。 イ石綿肺の発症と石綿ばく露濃度には量-反応関係(環境条件の変化量とそれに対する生体の反応との関係)が見られ、一般に、ばく露開始後から10年以上の職業性石綿ばく露歴を経て現れるが、石綿吹付けなどの非常 に高濃度の石綿ばく露作業では、1年程度のばく露でも所見が見られることがある。 (2) 肺がんア肺がん(原発性)は、石綿に特異的な疾患である中皮腫と異なり、喫煙をはじめ、石綿以外に発症原因が多く存在する疾患であり、石綿粉じんば く露者の肺がんと石綿粉じんばく露を受けていない者にみられる肺がんとで臨床像に違いはない。 肺がん発症における喫煙と石綿の関係は、相加的よりも相乗的に作用すると考えられており、喫煙歴も石綿粉じんばく露歴もない人の発がんリスクを1とすると、喫煙歴があり石綿粉じんばく露歴がない人では10.8 5倍、喫煙歴がなく石綿粉じんばく露歴がある人では5.17倍、喫煙歴も石綿粉じんばく露歴 粉じんばく露歴もない人の発がんリスクを1とすると、喫煙歴があり石綿粉じんばく露歴がない人では10.8 5倍、喫煙歴がなく石綿粉じんばく露歴がある人では5.17倍、喫煙歴も石綿粉じんばく露歴もある人では53.24倍になると報告されている。 イ石綿肺がんの潜伏期間は、15~60年(中央値43年)とする報告や、平均31.8年で、石綿ばく露開始から40年以上経過して発生する 事例もあるとする報告などがある。 石綿のばく露量と肺がんの発症率との間には、累積ばく露量が増えれば発症リスクが上がるという直線的な量-反応関係があることが判明している。 (3) 中皮腫ア中皮腫とは、漿膜(肺、心臓、消化管等の臓器の表面と体壁の内側を覆 う透明な膜)の表面にある中皮細胞に由来する腫瘍である。 中皮腫は、そのほとんどが石綿を原因とするものである。中皮腫の診断の確からしさが担保されれば、当該中皮腫は石綿を原因とするものと考えて差し支えないとされており、肺がんと異なり、喫煙との相互作用は見られない。 イ初発症状としては、息切れ、胸痛、咳が多い。胸痛は特定の部位に限局せず持続的で、中皮腫の進展とともに強くなる(肺がんなどによるがん性胸膜炎は疼痛を伴わないことが多く、極めて対照的である。)。胸痛のコントロールは難しく、予後不良因子の一つに挙げられている。 ウ石綿ばく露開始から中皮腫発症の症状確認日までの潜伏期間は、平均4 8.8年、中央値は51年とする報告などがあるが、ばく露量が多いほど短くなり、一般に肺がんより長く、また、肺がんと異なり、石綿ばく露開始からの年数を経るほど発生リスクが高くなるとされている。 職業ばく露とみなすために必要なばく露期間としては、おおむね1年以上とされているが、作業環境管理 り長く、また、肺がんと異なり、石綿ばく露開始からの年数を経るほど発生リスクが高くなるとされている。 職業ばく露とみなすために必要なばく露期間としては、おおむね1年以上とされているが、作業環境管理が十分に行われていなかった時代に吹付 け作業等に従事した場合は、1年未満でも発症が否定できない。 エ中皮腫は、非常に予後の悪い疾患である。2年生存率は約30%、5年生存率は約4%、平均余命の中央値は約15か月、平均値は約21か月であり、手術しても同じくらいの成績にすぎない。 オすべての種類の石綿が胸膜中皮腫を引き起こすが、その発がん性は、ク リソタイルを1とすると、アモサイトは100倍、クロシドライトは50 0倍とする意見もある。 (4) びまん性胸膜肥厚びまん性胸膜肥厚とは、胸膜プラークが壁側胸膜の病変であるのに対し、臓側胸膜(肺側胸膜)の病変であり、壁側胸膜との癒着を伴う。 石綿肺と同様に、病態は徐々に進行する経過をたどるが、肺がん・中皮腫 のように短期間で死に至ることはない。 6 業務上疾病の認定等(1) 労働者に発生した疾病が、石綿関連疾患として業務上疾病に該当するか否かを認定するための具体的基準として、厚生労働省労働基準局長通達(平成24年3月29日付け基発0329第2号「石綿による疾病の認定基準につ いて」。以下、「石綿認定基準」という。)が発出されている。石綿認定基準は、石綿との関連が明らかな業務上疾病として、①石綿肺、②肺がん、③中皮腫、④びまん性胸膜肥厚及び⑤良性石綿胸水を挙げる。そして、石綿認定基準は、良性石綿胸水以外について、具体的な認定要件を定めている(良性石綿胸水は全案件について本省協議とされている。)。(乙アA39、乙 ケ40)石綿 る。そして、石綿認定基準は、良性石綿胸水以外について、具体的な認定要件を定めている(良性石綿胸水は全案件について本省協議とされている。)。(乙アA39、乙 ケ40)石綿肺については、石綿ばく露作業に従事した労働者に発生した疾病であって、①じん肺管理区分が管理4に該当する石綿肺か、②石綿肺に合併した合併症のみが業務上の疾病として取り扱われている。 (2) 各本件被災者は、いずれも石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫及びび まん性胸膜肥厚)に罹患した者として、別紙4個別被災者に関する一覧表の「基本情報」欄の「石綿関連疾患名」欄記載のとおりの労働災害保険法所定の労災認定を受けている(同一覧表「基本情報」欄の「石綿関連疾患名」の右の「証拠」欄記載の証拠及び弁論の全趣旨)。 7 アスベスト規制に関する法令の改正経緯 別紙5関係法令の概要のとおり。 第4 争点 1 被告らの予見可能性の有無(争点1)(1) 建設作業従事者の石綿含有建材へのばく露による危険に関する予見可能性の有無とその時期(2) 屋外作業員の石綿含有建材へのばく露による危険に関する予見可能性の有 無 2 被告らの注意義務違反の有無(争点2)(1) 被告らの販売製造一時中止義務及び販売製造禁止義務違反の有無(2) 被告らの警告義務違反の有無ア警告義務の有無・内容・期間 イ警告表示義務を負担する相手方の範囲 3 各建材の到達について(争点3)(1) 到達の立証方法一般(2) 各職種と関わりのある建材の特定(3) 建材毎の原因企業の特定 (4) 本件被災者への各建材の到達の有無 4 損害等について(争点4) 到達の立証方法一般(2) 各職種と関わりのある建材の特定(3) 建材毎の原因企業の特定 (4) 本件被災者への各建材の到達の有無 4 損害等について(争点4)(1) 石綿ばく露と損害の因果関係(2) 被告らの寄与度(3) 損害額及びその他の減額事由 第5 争点に対する当事者の主張の要旨 1 被告らの予見可能性の有無(争点1)(1) 建設作業従事者の石綿含有建材へのばく露による危険の予見可能性の有無とその時期(原告らの主張) 被告らは、人体に危険をもたらす石綿を材料とした製品を製造・販売してお り、石綿の危険性を認識するのが容易な立場にあること、その製品が大量生産、大量消費を予定していること、その製品の製造販売によって利益を得ていることからすれば、製品の安全性を確保するために極めて高度かつ厳格な注意義務を負い、石綿粉じんばく露を原因とする疾患の発生を防ぐため、積極的に石綿に関する医学情報などを収集すべき立場にあったというべきである。 石綿粉じんばく露が石綿肺を生じさせることが明らかになった保安院調査報告(昭和15年)、石綿粉じんばく露が肺がんを生じさせることが明らかになったドール報告(昭和30年)又は低濃度の石綿粉じんばく露でも中皮腫を生じさせることが明らかになったニューヨーク科学アカデミー報告書(昭和40年)の時点で、石綿の人体有害性・少量でのばく露可能性に関する医学的知 見は確立していた。このような医学的知見は諸外国の規制状況、国内の関係法令及び社会の認識の高まりからすれば、企業活動・製造者としてこれによる健康被害が生じないようにする高度の注意義務を有していた被告らにも容易に認識可能である。 また 国の規制状況、国内の関係法令及び社会の認識の高まりからすれば、企業活動・製造者としてこれによる健康被害が生じないようにする高度の注意義務を有していた被告らにも容易に認識可能である。 また、我が国の建設現場では昭和40年までに石綿の加工時の発じん量を飛 躍的に増加させる電動工具が普及し、被告らはその作業内容からすれば建設作業従事者が、相当量の石綿にばく露することは認識可能であった。 以上からすれば、被告らには、昭和15年には販売製造一時中止義務違反に係る予見可能性が、どんなに遅くとも海外で濃度規制を含めた総合的な対策が行われた昭和47年には石綿含有建材に建設現場における加工時の粉じんば く露によって建設作業従事者に石綿関連疾患を発症させる危険性があるという警告義務違反に係る予見可能性が、また、どんなに遅くとも国際的に反石綿・脱石綿の潮流からILO石綿条約の採択がされた昭和61年には製造中止による他は建設作業従事者を石綿関連疾患から守ることができないという製造中止義務違反に係る予見可能性があったといえる。 (被告らの主張) 一企業である被告らが有する知見は、具体的な契機が無い限りは当時の法令による規制と解すべきであり、原告ら主張の医学的知見等に関する高度の調査義務は認められない。 予見可能性は、製品毎の危険性や個別事情に即して認定されるべきであり、特に石綿関連疾患に罹患する可能性が他の石綿と比べて低いとされる微量の クリソタイルのみを含有する建材を製造・販売していた被告らについては、自社の建材によって石綿関連疾患を発症することを予見することは不可能だった。 ドール報告は石綿の発がん性について根拠を示した初めての論文であり、これだけで直ちに石綿と肺がんの関連性が証 は、自社の建材によって石綿関連疾患を発症することを予見することは不可能だった。 ドール報告は石綿の発がん性について根拠を示した初めての論文であり、これだけで直ちに石綿と肺がんの関連性が証明されたとはいえない。ニューヨー ク科学アカデミー報告書もクロシドライトと中皮腫との関係について報告したに過ぎず、むしろ石綿の発がん性については不明確な要素が多いとしている。 また、その後の昭和46年にはマクドナルドによって石綿と肺がん及び中皮腫との間の因果関係を否定する内容の疫学研究結果が発表されている。よって、原告ら主張の医学的知見の確立はいずれも認められない。 最高裁平成30年(受)第1447号、同第1448号、同第1449号、同第1451号、同第1452号令和3年5月17日第一小法廷判決(以下「神奈川1陣判決」という。)において、国の規制権限の不行使が国家賠償法1条1項の適用上違法となる期間について、昭和50年10月1日からと判断されたことからすれば、国よりも調査能力・情報収集能力に乏し い被告らの予見可能性等は、どんなに早くとも同日以降に生じたと考えるべきである。 以上のような医学的知見の状況や我が国における各石綿の規制状況を踏まえれば、原告ら主張の時期の予見可能性は認められない。 (2) 屋外作業員の石綿含有建材へのばく露による危険の予見可能性の有無 (原告らの主張) 前記のとおり、企業に高度の予見義務が認められ、石綿の低濃度ばく露の危険性の基準も認められるところ、国内外の規制において屋内作業と屋外作業を分けたものは認められないこと、屋外作業に関するばく露濃度の測定結果においても当時の基準値を超える場合が認められること、実際屋外作業とされる職種でも被害が多発してい 規制において屋内作業と屋外作業を分けたものは認められないこと、屋外作業に関するばく露濃度の測定結果においても当時の基準値を超える場合が認められること、実際屋外作業とされる職種でも被害が多発していたこと、低濃度であっても累積ばく露事案としての予 見可能性が認められること、屋外作業員であっても外装材を屋内で加工等する作業が予定されていること及び昭和62年の段階でNHKの番組において屋外作業員の石綿ばく露の危険性が指摘されていること(甲A790)からすれば、屋外作業員に関する予見可能性は、昭和25年から、どんなに遅くとも平成13年までには認められる。 被告ら主張の後記最高裁判決(京都1陣判決及び大阪1陣判決)は測定結果のうち高濃度の結果を見逃していること、測定結果の発表年に誤りがあること、実際の作業内容に近い測定結果を重視していないこと等から誤りであるし、本件被災者の多くが作業を行った九州においては、屋根工や外装工といった屋外作業のみに従事する者は存在せず、各従事者が内装・外装共に請け負ったとい う特徴があるから、外装材の加工作業も内装と同様屋内で行われた可能性が高い。実際各外装材について、屋内で作業を行ったことを示す証拠(甲A1517、1541~1544)もある。特に押出成形セメント板は、間仕切り又は外壁材として用いられており、大きく相応の重量があって高いビルで使用されることが多いので、屋外で加工してからビル高層階の外壁等の施工部位にクレ ーンで運ぶのは非効率であり、各階の必要量をまとめて各階に運び込み、施工部位の近くの屋内で加工することや建設途中の住宅の養生シートで囲われた部分で施工されることがあった。 (外装材を製造販売していた被告らの主張)外装材に関する作業は石綿ばく露の程度が低いため、 の近くの屋内で加工することや建設途中の住宅の養生シートで囲われた部分で施工されることがあった。 (外装材を製造販売していた被告らの主張)外装材に関する作業は石綿ばく露の程度が低いため、外装材を製造していた 被告らには責任がない。このことは、最高裁平成31年(受)第290号、同 第291号、同第292号令和3年5月17日第一小法廷判決(以下「京都1陣判決」という。)及び最高裁平成31年(受)第491号、同第495号令和3年5月17日第一小法廷判決(以下「大阪1陣判決」という。)からも明らかである。 (被告エム・エム・ケイ) 外装材に関する原告ら準備書面(企業―24)第2編及び証拠(甲A789の1~790)の提出は、時機に後れた攻撃防御方法であり却下されるべきである。 2 被告らの注意義務違反の有無(争点2)(1) 被告らの販売製造一時中止義務及び販売製造禁止義務違反の有無 (原告らの主張)被告らが本件被災者に対して行った加害行為は、石綿含有建材を製造し、当該建材が相当程度の蓋然性をもって本件被災者の就労する建設現場に到達し、建設作業に供されることによって、本件被災者にアスベスト関連疾患を発症させ得る態様において、販売し、流通に置く行為であり、被告らは昭和15年に 石綿粉じんの危険性を認識した時点で、その製造、販売等を一時的に中止してその健康被害についての調査を尽くす義務があった。 また、その後、昭和47年には、既に低濃度ばく露の危険性が明確に知れ渡っていた上、我が国では海外と異なり、マスクの着用義務付け、労働者教育、実効性ある濃度規制等の規制がなく、管理使用を実効性ある方法で実現できる 見込みが皆無であった中、警告義務を果たすだけでは っていた上、我が国では海外と異なり、マスクの着用義務付け、労働者教育、実効性ある濃度規制等の規制がなく、管理使用を実効性ある方法で実現できる 見込みが皆無であった中、警告義務を果たすだけでは、建設作業従事者が石綿関連疾患にり患する危険を防げないことが判明していたのだから、被告らは同年には販売製造禁止義務違反を負っていた。仮にこれが認められないとしても石綿ばく露に閾値が存在しないとの知見が確立し、国際的に反石綿・脱石綿の潮流からILO石綿条約の採択に結び付いた昭和61年には管理使用が不可 能であったことは明らかであり、製造中止による他には建設業従事者を保護す ることはできなかったのであるから同義務が認められる。 被告らは、昭和15年以降において、石綿含有建材の製造販売を中止することなく継続して販売製造一時中止義務に違反し、また昭和47年以降においても、漫然と石綿含有建材の製造販売を継続し、販売製造禁止義務に違反した。 (被告らの主張) 販売・流通に置く行為は加害行為としての危険性を有するとは言えないし、当時の状況からして原告ら主張の注意義務はいずれも認められない。 (2) 被告らの警告義務違反の有無ア警告義務の有無・内容・期間(原告らの主張) 石綿含有建材から生じる石綿粉じんに建設作業従事者がばく露することを避けさせるためには、最低でも、石綿含有建材の人体有害性に関する警告が行われる必要があり、先に述べた建材製造企業の立場に照らせば、これは被告らが負うべき注意義務の内容の1つでもあった。建設作業においては新築・中古建物に対する施工があること、その現場では解体・改修工事による 石綿被ばくの危険があることは容易に予見可能であるから、被告らに うべき注意義務の内容の1つでもあった。建設作業においては新築・中古建物に対する施工があること、その現場では解体・改修工事による 石綿被ばくの危険があることは容易に予見可能であるから、被告らにはこれらの作業従事者への危険を防ぐ態様での注意義務が発生する。 具体的には、建設作業従事者、雇用主、その後の解体・改修作業従事者に対し、①当該建材に石綿が含有されている具体的事実(当該建材の名称及び石綿含有量)、②石綿粉じんの人体に及ぼす作用(石綿粉じんを吸引すると 重篤な疾患に罹患する危険性があること)、③石綿含有建材の取扱上の注意(上記危険を回避するために石綿粉じんを吸引してはならないこと)、④改修・解体工事に備えた措置の必要性(当該建材を用いた建物に関し、当該建物には石綿含有建材が使用されていることを建物の所定の箇所に表示しておくべきであること)を伝達する義務である。その表示方法としては製品(説 明書・設計図書・竣工図・ラベルやプレートによる施工後の部分)への表示、 宣伝広告、講習の実施、販売店に対する指導又は施主への実施である(以下、このような具体的義務を「警告表示義務」という。)。 この義務は、上記予見可能性が認められる昭和15年からどんなに遅くとも昭和47年までには発生するものであるが、製造・販売時に限られず、製品販売後、その危険性を認識した後にも継続して存在するものであるので、 販売後の警告表示義務違反も併せて主張する。 被告らは、上記警告を適切に行っていれば建設作業従事者に石綿含有建材の危険性に関する理解が広く浸透して、石綿粉じんばく露を避けながら作業が行われるようになっていたはずであったにもかかわらず、上記警告を行っておらず、警告義務に違反した。被告らは、当時の 石綿含有建材の危険性に関する理解が広く浸透して、石綿粉じんばく露を避けながら作業が行われるようになっていたはずであったにもかかわらず、上記警告を行っておらず、警告義務に違反した。被告らは、当時の安全衛生法上要求されて いた「a」マークの表示や特約店販売による安全管理の実施を主張するが、上記義務の内容に照らしてこれだけでは不十分なことは明らかである。「a」マークについては、石綿含有建材であることを表示したものに過ぎない上、石綿含有率5%以上の建材に限られており、この表示をもって警告義務を免れるものではない。 (被告らの主張)警告義務等は原則事業主の問題であり、被告らには存在しない。被告らに警告義務があるとしても、その始期は前記のとおり国の規制権限不行使の始期である昭和50年10月1日かそれより相当程度遅い時期である。 被告らの個別主張は次のとおりである。 (被告AGC)被告AGCは、窯業系サイディング「ほんばん」について、建材店に対して直接営業を行う「トップショップ制度」をとっており、施工技術の統一や安全を図る観点から「ほんばん」を使用した工事を行う職人に対し、取扱い、施工技術、その他留意すべき事項について講習を行っており、職人の多くが 同講習を受けていた。 (被告ニチアス)被告ニチアスは、昭和50年から同年改正の労働安全衛生法施行令に沿った名称等の表示を行い、平成元年以降は「a」マーク(平成元年7月生産分から日本石綿協会が導入した制度で、石綿含有量が5%を超える石綿含有建材〔平成7年1月1日以降は石綿含有量が1%を超えるものに対象が拡大さ れた。〕について、20mm四方の当該マークを表示する扱いとしていた(甲A248〔23~24 含有量が5%を超える石綿含有建材〔平成7年1月1日以降は石綿含有量が1%を超えるものに対象が拡大さ れた。〕について、20mm四方の当該マークを表示する扱いとしていた(甲A248〔23~24頁〕、377)、以下同じ。)の表示も実施して、可能な限りの工夫によって法令を遵守してきたのだから警告義務に反するものではない。 (被告日鉄ケミカル&マテリアル) 被告日鉄ケミカル&マテリアルは、その製造するロックウール吹付け材を、十分な施工能力を有する認定特約店のみに供給し、その吹付け施工を認定特約店のみに行わせ、施工の際の指導を行ってきた。そこでは吹付けの際の特殊な防じん服、防じんマスクの着用や吹付け作業の養生囲い、吹付け作業現場への他の者への立ち入り禁止を徹底させていたから、その警告義務を尽く していた。 (被告太平洋セメント)被告太平洋セメントは、同社製品を系列化された特定の吹付け施工業者にしか販売しておらず、かかる業者には養生の設置や防じんマスクの着用に不備がないか等について厳しく指導していた。 したがって、吹付け工以外の職人へのばく露に関しての予見可能性や結果回避可能性がないし、その後の作業従事者に対する注意ができる程度の警告義務は果たしていた。 (被告エーアンドエーマテリアル)被告エーアンドエーマテリアルは、昭和50年以降、JIS規格の表示、 取扱注意事項、加工上の注意事項及び「a」マークの添付により、必要な警 告義務を果たしていた。 (被告エム・エム・ケイ)被告エム・エム・ケイは、古くから製品のパンフレットにおいて、各種石綿含有建材に石綿が含有されていることを表示し、一定の時期以降は製品添付の検査票の様式 (被告エム・エム・ケイ)被告エム・エム・ケイは、古くから製品のパンフレットにおいて、各種石綿含有建材に石綿が含有されていることを表示し、一定の時期以降は製品添付の検査票の様式に、粉じん吸入による健康被害の恐れや取扱注意事項等を 表示し、平成元年以降は「a」マークを製品に表示して必要な表示、警告を行ってきた。 (被告ノザワ)被告ノザワは、遅くとも平成2年頃より、石綿含有建材のカタログや包装袋において、建材の加工作業の際には防じんマスクを着用し集じん機を使用 すべきこと等、石綿の有害性を理解できる内容の警告表示を行っており(乙ラ7~10)、警告義務を果たしていた。 イ警告表示義務を負担する相手方の範囲(原告らの主張)上記のとおり、被告らにおいて、建設作業においては新築・中古建物に対 する施工があること、その現場では解体・改修工事による石綿被ばくの危険があることは容易に予見可能であるから、その警告義務の対象には解体・改修事業者も入ることは明らかである。このことは、後続作業を行う職種への責任を認めた神奈川1陣判決の存在からも明らかであり、解体作業従事者に対しての警告義務を認めなかった最高裁令和3年(受)第1125号、同第 1126号令和4年6月3日第二小法廷判決(以下、「神奈川2陣判決」という。)はその義務の内容や結果回避可能性の程度を誤っているし、警告義務の実効性は事実認定の問題であるので原審を拘束しない(裁判所法4条参照)。実際、原告ら主張の警告方法により解体作業従事者にも認識できる警告をすることは可能である。また、被告ら製造企業の後に解体業者等が介在 したとしても被告らにはなお建設作業員に対する警告義務があるというべ 法により解体作業従事者にも認識できる警告をすることは可能である。また、被告ら製造企業の後に解体業者等が介在 したとしても被告らにはなお建設作業員に対する警告義務があるというべ きであり、この義務がなければ解体・改修業者に作業前の調査義務として過剰な負担をかけることとなる。 (被告らの主張)一旦施工された後の建材に接触する者やその建材を直接取り扱わない者、説明書やラベルシールを見る機会がない者に対しては被告らの予見可能性 がないか、警告による結果回避可能性がないから、被告らには、同時作業者、後続作業従事者及び解体工事・完成後の建物の工事の従事者に対する警告義務はない。 (被告エム・エム・ケイの主張)原告らが、準備書面(企業―24)第3編で主張した解体工事の専門業者 の意見及びその根拠となる証拠(甲A793の1~794の2、1550、1551)は、解体・改修作業従事者に対する責任の成否が争点化された段階で作成・提出されるべきものであったのに、最後の尋問も終了し、令和5年10月5日の最終弁論を迎える前の同年9月15日に故意又は重過失により提出されたものであり、被告らがこれに反論するためには訴訟の遅延を 招くことは明らかであるから、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 3 各建材の到達について(争点3)(1) 到達の立証方法一般(原告らの主張) 前記のとおり、被告らには各種注意義務違反があり、被告らの行為が競合して原告らの損害をもたらしたものであるところ、このような損害について民法719条1項後段の類推適用により、被告らには共同不法行為責任が認められる。 上記規定の適用の前提として、本件被災者の作業 らの損害をもたらしたものであるところ、このような損害について民法719条1項後段の類推適用により、被告らには共同不法行為責任が認められる。 上記規定の適用の前提として、本件被災者の作業現場に被告らの各種建材 が到達している必要があるところ、建材到達の事実は以下の手法により認め られる(以下の手法により、各本件被災者のばく露の原因となった石綿含有建材を「病因建材」、各本件被災者に到達した病因建材を製造販売した企業を「責任企業」という。)。当該立証方法は最高裁平成31年(受)第596号令和3年5月17日第一小法廷判決(以下、「東京1陣判決」という。)で認められたものである。 ア国土交通省及び経済産業省(以下、それぞれ「国交省」及び「経産省」という。)により、過去に製造販売された石綿含有建材の名称、製造者、製造期間等を調査した結果として公表されている「石綿(アスベスト)含有建材データベース」(甲C29、以下「国交省データベース」という。)の平成25年2月版に掲載された2153の石綿含有建材を42の種別 に分類する。これに加えて、国交省データベースに掲載されていない石綿含有建材である混和材の種別を設け、同種別に属する建材の名称、製造者、製造期間等を特定する。そして、上記の合計43の種別のうち、本件被災者の職種ごとに、通常の作業内容等を踏まえて、直接取り扱う頻度が高く、取り扱う時間も長く、取り扱う際に多量の石綿粉じんにばく露するといえ る石綿含有建材の種別を選定する。その内容は、別紙6石綿(アスベスト)含有建材一覧表記載のとおりである(番号は国交省データベース上のIDであり、以下「建材番号」として引用する。)。 イ上記のとおり選定された種別に属する石綿含有建材のうち、本件 アスベスト)含有建材一覧表記載のとおりである(番号は国交省データベース上のIDであり、以下「建材番号」として引用する。)。 イ上記のとおり選定された種別に属する石綿含有建材のうち、本件被災者が建設作業に従事していた地域での販売量が僅かであるもの、使用目的が 建物以外の設備等であるもの、特定の施工代理店等により使用されるもの等を本件被災者の作業する建設現場に到達した可能性が低いものとして除外し、さらに、本件被災者ごとに、建設作業に従事した期間とその建材の製造期間との重なりが1年未満である可能性のあるもの、建設作業に従事した主な建物の種類とその建材が用いられる建物の種類との重なりの 程度が低いもの等を同様に除外する。 ウ上記ア及びイにより本件被災者ごとに特定した石綿含有建材のうち、同種の建材の中での市場占有率(以下、市場占有率を「シェア」という。)がおおむね10%以上であるものは、そのシェアを用いた次のような確率計算を考慮して、その本件被災者の作業する建設現場に到達した蓋然性が高いものとする。すなわち、特定の石綿含有建材のシェアに照らし、その 建材が各建設現場で用いられる確率が10%である場合、特定の本件被災者が20箇所の建設現場で作業をするときに、その建材がその本件被災者の作業する建設現場に1回でも到達する確率は約88%(計算式は、1-(1-0.1)20)となり、30箇所の建設現場で作業をするときのその確率は約96%(計算式は、1-(1-0.1)30)となるところ、本件 被災者は、それぞれが建設作業に従事した期間と上記ア及びイにより特定した石綿含有建材の製造期間とが重なる期間において、おおむね数十箇所以上、多い場合で1000箇所以上の建設現場で作業をしてきたから、おおむね それぞれが建設作業に従事した期間と上記ア及びイにより特定した石綿含有建材の製造期間とが重なる期間において、おおむね数十箇所以上、多い場合で1000箇所以上の建設現場で作業をしてきたから、おおむね10%以上のシェアを有する石綿含有建材であれば、本件被災者の作業する建設現場に到達した蓋然性が高いということができる。 エ本件被災者がその取り扱った石綿含有建材の名称、製造者等につき具体的な記憶に基づいて供述等をする場合には、その供述等により本件被災者の作業する建設現場に到達した石綿含有建材を特定することを検討する。 オ被告らから、自社の石綿含有建材につき販売量が原告らの主張するものより少なかったことや販売経路が限定されていたこと等が具体的な根拠 に基づいて指摘された場合には、その建材を上記アからエまでにより特定したものから除外することを検討する。原告らの特定した石綿含有建材について、そのような指摘がされていない場合には、その建材は本件被災者の作業する建設現場に到達したということができる。 原告らは、上記立証方法に沿い、国交省データベースに沿った建材母集 団を抜き出し(上記ア)、後記(2)のとおり、各建材について施工される部 位ないし用途の共通性に従って、耐火被覆材、保温材、内装材、外装材、その他に分類した上で、そこから各職種の作業内容、作業時の発じん量や石綿含有量によって危険と評価される建材の種類を絞り込み(上記イ)、後記(3)のとおり、各建材に対応する企業をシェアから特定し(上記ウ)、後記(4)のとおり、本件被災者の個別事情に従って、病因建材及び責任企業 を特定した(上記エ、オ)。病因建材となり得る建材とその製造企業、製造時期等のデータベースの記載を示したのが別紙7責任 、後記(4)のとおり、本件被災者の個別事情に従って、病因建材及び責任企業 を特定した(上記エ、オ)。病因建材となり得る建材とその製造企業、製造時期等のデータベースの記載を示したのが別紙7責任企業特定表(ただし、このうち「被告太平洋マテリアル」との記載は「被告太平洋セメント」と読み替える。)であり、本件被災者についての病因建材は別紙4個別被災者に関する一覧表の「原告らの主張」欄の「病因建材(建材番号)」、 責任企業は同一覧表の「原告らの主張」欄の「責任企業」欄記載のとおりである。 (被告らの主張)原告ら主張の立証方法は不当である。国交省データベースは情報の信用性に乏しい。神奈川一陣判決で認められた立証は、相当回数に渡り建材が現場 に到達している必要があり、少なくとも対象となる病因建材たり得るためのシェアは20%以上であることを要する。 (2) 各職種と関わりのある建材の特定(原告らの主張)建設作業従事者は、その建物が一定の品質、機能ないし性能を有するように 建設作業現場において定型的な作業に従事することが予定されるものであるから、本件被災者は何らかの「職種」に該当し、当該職種と関わりのある一般的な種類の建材(各建材の建材番号は別紙7責任企業特定表の「建材番号」欄記載のとおりである。)と病因建材を結びつけることができる。また、建材は、その用途に基づき分類すれば、大きく分けて①耐火被覆材(耐火被覆を目的と した種類の建材を含むもの、建材番号1~3等の吹付け材及び耐火被覆板)、 ②保温材(熱を発生する部分、熱を搬送するための部分の保温を目的に用いられる建材、建材番号7等)、③内装材(建物の内壁、天井、床の材料として用いられる建材を含むもの、建材番号15~ ②保温材(熱を発生する部分、熱を搬送するための部分の保温を目的に用いられる建材、建材番号7等)、③内装材(建物の内壁、天井、床の材料として用いられる建材を含むもの、建材番号15~18等、23、24等の内壁、天井、床の材料)、④外装材(建物の外壁、天井(軒天)及び屋根の材料として用いられる建材を含むもの、建材番号15、16、22、23、33、35、37 ~39等の外壁、天井及び屋根の材料)、⑤その他(建材番号41、43等)に分類することができ、特定の職種と関わりのある建材を当該分類により1つの建材群として把握することが可能になる。上記建材群の中の具体的な建材の特定については、その部位に使われる出荷状況、発じん量等を参考に定めていく。 各職種毎の建材の特定は以下のとおりである。 ア大工大工は、鉄筋・鉄骨造りの建物に従事する場合、吹付け材の施工時にその周辺で作業すること、その施工後に作業すること、鉄骨の表面の吹付け材を削りとること及び耐火被覆板を施工場所に合わせて加工して施工すること により、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、耐火被覆材とばく露の関係が認められる。耐火被覆材のうち、吹付け材はその形状・使用方法や市場での使用量の観点から耐火被覆板に比べて圧倒的に有害であるから、吹付け材(建材番号1~3、耐火被覆目的以外で使用されることの多い建材番号4、5は除く)と大工のばく露の関係性が認められる。 また、内装材を施工場所に合わせて加工すること、内装材の施工された建物の改修作業に従事することによって、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、内装材とのばく露の関係が認められる。内装材のうち、壁及び天井に用いられる建材が粉じんの発生 施工された建物の改修作業に従事することによって、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、内装材とのばく露の関係が認められる。内装材のうち、壁及び天井に用いられる建材が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からばく露との関係が認められ、その中でも出荷量及び石綿含有量の観点 から、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カ ルシウム板第1種(建材番号23)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)と大工のばく露の関係性が認められる。 そして、外装材を施工場所に合わせて加工すること、外装材の施工された建物の改修作業に従事することによって、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、外装材とばく露の関係が認められる。外装材の うちでもその生産量や粉じんばく露の量に照らせば、石綿含有スレートボード(建材番号15、16)、石綿含有押出成形セメント板(建材番号22)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)、石綿含有窯業系サイディング(建材番号35)、石綿含有スレート波板(建材番号37~39)と大工のばく露の関係 性が認められる。 イ内装工内装工は、鉄筋・鉄骨造りの建物に従事する場合、吹付け材の施工時にその周辺で作業すること、その施工後に作業すること、鉄骨の表面の吹付け材を削りとること及び耐火被覆板を施工場所に合わせて加工して施工することによ り、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、耐火被覆材とばく露の関係が認められる。耐火被覆材のうち、吹付け材はその形状・使用方法や市場での使用量の観点から耐火被覆板に比べて圧倒的に有害であるから、吹付け材(建材番号1 く露したといえるため、耐火被覆材とばく露の関係が認められる。耐火被覆材のうち、吹付け材はその形状・使用方法や市場での使用量の観点から耐火被覆板に比べて圧倒的に有害であるから、吹付け材(建材番号1~3、耐火被覆目的以外で使用されることの多い建材番号4、5は除く)と内装工のばく露の関係性が認められる。 また、内装材を施工場所に合わせて加工すること、内装材の施工された建物の改修作業に従事することによって、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、内装材とのばく露の関係が認められる。内装材のうち、壁及び天井に用いられる建材が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からばく露との関係が認められ、その中でも出荷量及び石綿含有量の観点から、石綿 含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第 1種(建材番号23)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)と内装工のばく露の関係性が認められる。 ウ軽天工軽天工は、鉄筋・鉄骨造りの建物に従事する場合、吹付け材の施工時にその周辺で作業すること、その施工後に作業すること、鉄骨の表面の吹付け材を削 りとること及び耐火被覆板を施工場所に合わせて加工して施工することにより、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、耐火被覆材とばく露の関係が認められる。耐火被覆材のうち、吹付け材はその形状・使用方法や市場での使用量の観点から耐火被覆板に比べて圧倒的に有害であるから、吹付け材(建材番号1~3、耐火被覆目的以外で使用されることの多い建 材番号4、5は除く)と軽天工のばく露の関係性が認められる。 また、内装材を施工場所に合わせて加工すること、内装材の施工された建物の改修作業に従事することによ 使用されることの多い建 材番号4、5は除く)と軽天工のばく露の関係性が認められる。 また、内装材を施工場所に合わせて加工すること、内装材の施工された建物の改修作業に従事することによって、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、内装材とのばく露の関係が認められる。内装材のうち、壁及び天井に用いられる建材が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からば く露との関係が認められ、その中でも出荷量及び石綿含有量の観点から、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)と軽天工のばく露の関係性が認められる。 エ左官 左官は、石綿を含有したセメントと砂を主たる材料とするモルタルやプレミックス材又はモルタル混和材を現場で練り上げる際に発生した粉じんにばく露したといえるため、その他に当たる混和材(建材番号43)と左官のばく露の関係性が認められる。 被告ノザワは、混和材について、モルタル壁に混和材は含まれていないと主 張するが、薄塗り工法でモルタル塗りを用いる場合、当然混和材が含まれてい たから誤りである。 オ塗装工塗装工は既に備え付けられた外装材について、塗装作業を始めるに当たって下地調整を行い、塗装面全体を研磨し、その際に発生した粉じんにばく露したといえるため、外装材とのばく露の関係が認められる。外装材のうち、その生 産量や粉じんばく露の量に照らせば、石綿含有スレートボード(建材番号15、16)、石綿含有押出成形セメント板(建材番号22)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)、石綿含 石綿含有スレートボード(建材番号15、16)、石綿含有押出成形セメント板(建材番号22)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)、石綿含有スレート波板(建材番号37~39)と塗装工のばく露の関係性が認められる(元々意匠が施され、塗装する必要のない建材として製造 販売された石綿含有窯業系サイディング(建材番号35)については除外する。)。 また、混和材を含むモルタルの塗装面の下地調整を行う場合も外装材と同様、その際に発生した粉じんにばく露したといえるため、混和材(建材番号43)と塗装工のばく露の関係が認められる。 カ電工電工は、鉄骨造建物に従事する場合、配管作業・配線作業下準備において、天井等にある吹付け材を上を向いてそぎ落とし、吹付け材が顔にかかること、吹付け材の施工された梁の近くで作業することからばく露したといえるため、耐火被覆材とのばく露の関係が認められる。耐火被覆材のうち、吹付け材はそ の形状・使用方法や市場での使用量の観点から耐火被覆板に比べて圧倒的に有害であるから、吹付け材(建材番号1~3、耐火被覆目的以外で使用されることの多い建材番号4、5は除く。)と電工のばく露の関係性が認められる。 また、照明器具の取付け、配線工事又は改修改築工事において内装材の切断・加工を行うため、その際に発生した粉じんにばく露したといえるため、内装材 とのばく露の関係が認められる。内装材のうち、壁及び天井に用いられる建材 が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からばく露との関係が認められ、その中でも出荷量及び石綿含有量の観点から、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番 が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からばく露との関係が認められ、その中でも出荷量及び石綿含有量の観点から、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)と電工のばく露の関係性が認められる。 キ解体工解体工は、解体の対象たる建物を構成するあらゆる建材を細かく破壊することになるため、その際に発生した粉じんにばく露したといえるため、耐火被覆材、内装材、外装材、その他に該当する建材とのばく露の関係が認められる(施工箇所が限られている保温材は除く。)。 耐火被覆材のうち、吹付け材はその形状・使用方法や市場での使用量の観点から耐火被覆板に比べて圧倒的に有害であるから、吹付け材(建材番号1~3、耐火被覆目的以外で使用されることの多い建材番号4、5は除く。)と解体工のばく露の関係性が認められる。内装材のうち、壁及び天井に用いられる建材が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からばく露との関係が認められ、そ の中でも出荷量及び石綿含有量の観点から、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)と解体工のばく露の関係性が認められる。外装材のうち、その生産量や粉じんばく露の量に照らせば、石綿含有スレートボード(建材番号15、16)、石綿含有押出成形セメント板(建 材番号22)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)、石綿含有窯業系サイディング(建材番号35)、石綿含有スレート波板(建材番号37~39)と解体工のばく露の関係性が認められる。その他の建材 号23)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)、石綿含有窯業系サイディング(建材番号35)、石綿含有スレート波板(建材番号37~39)と解体工のばく露の関係性が認められる。その他の建材のうち、その施工箇所等を考慮すると、石綿セメント円筒(建材番号41)及び混和材(建材番号43)と解体工のば く露の関係性が認められる。 ク保温工保温工は、保温材を施工する場所に合わせて加工することやその改修により発生した粉じんにばく露したといえるため、保温材とのばく露の関係が認められる。保温材のうち、その使用量からすれば、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)と保温工のばく露の関係性が認められる。 ケ配管工(給排水配管工事、空調配管工事共通の主張)配管工は、鉄筋・鉄骨造りの建物に従事する場合、天井裏や床下配線において狭い天井裏で吹付け材に接触し又はこれを直接剥がすことにより、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、耐火被覆材とばく露の関係が認められる。耐火被覆材のうち、吹付け材はその形状・使用方法や市場で の使用量の観点から耐火被覆板に比べて圧倒的に有害であるから、吹付け材(建材番号1~3、耐火被覆目的以外で使用されることの多い建材番号4、5は除く。)と配管工のばく露の関係性が認められる。 管を通すために内装材に穴を開けることによって、これらから生じた石綿含有粉じんにばく露したといえるため、内装材とのばく露の関係が認められる。 内装材のうち、壁及び天井に用いられる建材が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からばく露との関係が認められ、その中でも出荷量及び石綿含有量の観点から、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カ び天井に用いられる建材が粉じんの発生量、施工面積の広さの観点からばく露との関係が認められ、その中でも出荷量及び石綿含有量の観点から、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)と配管工のばく露の関係性が認められる。 保温材を施工する場所に合わせて切断することやその改修により発生した粉じんにばく露したといえるため、保温材とのばく露の関係が認められる。保温材のうち、その使用量からすれば、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)と配管工のばく露の関係性が認められる。 また、石綿含有セメント円筒(建材番号41)の切断により発生した粉じん にばく露したといえるため、その他に当たる石綿含有セメント円筒(建材番号 41)と配管工のばく露の関係が認められる。 (被告らの主張)神奈川一陣判決の判断を前提にしても、各建材を原告ら独自の5つの用途(耐火被覆材、保温材、内装材、外装材、その他)に区別する手法は各建材の具体的な用途や職種の関係を無視して病因建材を広げるものであり不当であ る。 また、被告らは製品に石綿含有を示す「a」マークを付与したり安全管理に努めており、各建材とばく露の関係が認められない。 被告らの製品と原告ら主張の職種の結び付きに関する個別の反論は後記(3)又は(4)のとおりである。 (3) 建材毎の責任企業の特定(原告らの主張)責任企業の特定については、当該建材のシェア、その継続性、発じん量からみた危険性をもとに決定していく。同種の建材の中でのシェアが概ね10%以上のものは、本件被災者の作業する建設現場に到達した蓋然性 責任企業の特定については、当該建材のシェア、その継続性、発じん量からみた危険性をもとに決定していく。同種の建材の中でのシェアが概ね10%以上のものは、本件被災者の作業する建設現場に到達した蓋然性が高い。 被告らは代替建材(非石綿建材)と競合建材を考慮すべきである旨主張するが、代替建材(非石綿建材)については、本件被災者のアスベスト関連疾患の発症に何ら影響を及ぼしていないから考慮する必要がないし、競合建材については、マーケットシェアは到達の事実の1つの要素であり、1つの建物の中で排他的・独占的に競合関係に立つものとはいえないから、シェアを考える上で これを考慮する必要はない。 ア耐火被覆材について耐火被覆材のうち、吹付け材(建材番号1)、石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)が問題になることは上記のとおりであるが、これらについて責任企業の特定は以下のとおり である。 吹付け石綿(建材番号1)、石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)は、鉄骨の耐火被覆という点で用途を同じくするが、吹付け石綿(建材番号1)は昭和50年の規制により市場流通が同年で終了している。よって、昭和50年までは吹付け石綿(建材番号1)の上位シェア企業が、昭和50年以降は石綿含有吹付けロックウー ル(建材番号2)及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)の上位シェア企業が製造販売した製品が病因建材と認められる。 (ア) 吹付け石綿(建材番号1)吹付け石綿(建材番号1)のシェアは、昭和43年の生産、施工状況の統計を見ると、被告ニチアス(日本アスベスト)が月間15~20万㎡、 被告バルカーが同 (ア) 吹付け石綿(建材番号1)吹付け石綿(建材番号1)のシェアは、昭和43年の生産、施工状況の統計を見ると、被告ニチアス(日本アスベスト)が月間15~20万㎡、 被告バルカーが同7~8万㎡、被告エーアンドエーマテリアル(朝日石綿工業)が4~5万㎡、被告ノザワが2~3万㎡と続き(甲A2149・25頁)、昭和46年の統計では被告ノザワが41%、被告バルカーが33%、被告エーアンドエーマテリアルが9%、被告ニチアスおよび内外アスベストが8%である(甲A2139・24頁)。よって、責任企業は、被告エ ーアンドエーマテリアル、被告ニチアス、被告バルカー及び被告ノザワである。 なお、被告バルカーにおいて、仮に日本リンペット工事が製造・販売するという形式を取っていたとしても、実質的には、日本バルカーと日本リンペット工事が一体となって製造・販売していたと十分に評価できるから 責任企業となり得る。 (イ) 石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)これらは区別せずにシェアを検討すべきところ、その被告らのシェアは、別紙8シェア一覧表1の原告らの主張のとおりであり、責任企業とし て、被告エーアンドエーマテリアル、被告日鉄ケミカル&マテリアル、被 告太平洋セメント、被告ニチアス及び被告日東紡績が認められる。 被告日鉄ケミカル&マテリアルは、独自に計算した証拠(乙チ14)を根拠にそのシェアの平均を5.8%と主張するが、当該計算では吸音断熱ロックウール、耐火被覆用ロックウール及び吹付け石綿を合計した吹付けロックウールをその分母としているが、同社製品は耐火被覆用途 であるので、少なくとも吸音断熱ロックウールをその分母から除する必要があるのにこれをしていな ックウール及び吹付け石綿を合計した吹付けロックウールをその分母としているが、同社製品は耐火被覆用途 であるので、少なくとも吸音断熱ロックウールをその分母から除する必要があるのにこれをしていないこと、同社の石綿製品全てを計上していないこと及び吹付けロックウール全体の出荷量の算出方法が誤っていることから不当であり、正確に計算すればそのシェアは優に10%を超えるものである。また、特約店のみに流通していたという主張は根拠のな いものであるし、その後続作業者には関わりのない事情であるから失当である。 被告エーアンドエーマテリアル及び被告太平洋セメントは、同社製品について昭和53年までに石綿含有のものから非含有のものに変更したこと(以下、「非石綿化」という。)をシェアの算定において考慮すべ きと主張するが、上記被告らは乾式製品の非石綿化後も湿式石綿の販売を継続しているのだから、上記シェアは石綿含有建材のシェアを表していると解するのが相当であり、その主張は採用することができない。 被告太平洋セメントは、同社製品が鉄骨造建物に主に利用されるものであるところ、吹付け材が施工される建物についてはS造の建物が大半 であるから鉄骨造建物の割合を考慮して、到達のシェアには20%必要であると主張する。しかし、本件被災者がその厳密な区別をすることは困難であるし、シェアによる到達の認定は規範的なものであるから、2種類あるから2倍のシェアが必要といった形式的な計算は要しない。また、同被告の系列化の主張やその作業態様から到達が否定されるという 主張はその根拠が信用できないし、後続作業者には当てはまらない主張 である。 被告ニチアスは、同社製品が超高層建物等の大規模な都会の現場で用いられたと主張するが、そのよ 主張はその根拠が信用できないし、後続作業者には当てはまらない主張 である。 被告ニチアスは、同社製品が超高層建物等の大規模な都会の現場で用いられたと主張するが、そのような現場に限定されていたとする証拠はないし、地方でのばく露の可能性も否定はされない。 イ内装材について 内装材について、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)が問題になることは上記のとおりであるが、これらについて責任企業の特定は以下のとおりである。 (ア) 石綿含有スレートボード(建材番号15~18) これらの建材番号は一つの建材としてシェアを算定すべきであるところ、その被告らのシェアは、別紙8シェア一覧表2の「原告らの主張」のとおりであり、同種建材と比較した石綿含有スレートボード(建材番号15~18)の出荷割合等に照らしても、その責任企業として、被告エーアンドエーマテリアル、被告ノザワ及び被告エム・エム・ケイが認められる。 なお、石綿含有スレートボード(建材番号15~18)について九州への出荷量を集計した証拠が存在し(甲A2252の2の1、2252の3)、そこでは昭和53年の被告ノザワの出荷量は3.32%と僅少に見えるが、平成2年段階では14.25%に回復していることから、安定した出荷量はあったものと認められる。 被告エーアンドエーマテリアルは、シェアの計算において内装材用途以外の建材は除外すべきと主張するが、同計算の分母において内装・外装の区別はされておらず、当該主張は同社の製造販売した当該種類の建材について、内装材の占める割合が全体のそれに比して小さな 内装材用途以外の建材は除外すべきと主張するが、同計算の分母において内装・外装の区別はされておらず、当該主張は同社の製造販売した当該種類の建材について、内装材の占める割合が全体のそれに比して小さなものでなければ成立しないが、実際被告エーアンドエーマテリアルの販売する同種類の建材 は、いずれも内装の用途を有するから、この主張は失当である。 (イ) 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種の被告らのシェアは、別紙8シェア一覧表3の「原告らの主張」のとおりである。(ただし、根拠とする石綿スレート統計年報(甲A2252の2の1、2252の3)は石綿スレート協会会員企業以外の企業により製造販売されたものが反映されていな いことから、その他の根拠として甲A2167及び甲A2177を提出してその出荷量を比較する。)同種建材と比較した石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)の出荷割合等に照らしても、その責任企業として、被告エーアンドエーマテリアル、被告ニチアス及び被告エム・エム・ケイが認められる。 また、被告神島化学工業及び被告大建工業は、それぞれ一定のシェアを有していた時期があることと、被告神島化学工業が原板を製造して被告大建工業に供給した時期があることからすれば、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種においては両社のシェアを合算して評価すべきであり、その結果両社は責任企業として評価される。 同建材に関する被告エーアンドエーマテリアルの主張に対する反論は前記(ア)と同様である。 被告ニチアスは、同建材のシェアの計算においては、石綿含有スレートボード(建材番号15、16)が合算されるべきであると主張する。しかし、これらは耐火性・耐 る反論は前記(ア)と同様である。 被告ニチアスは、同建材のシェアの計算においては、石綿含有スレートボード(建材番号15、16)が合算されるべきであると主張する。しかし、これらは耐火性・耐水性に優れた繊維強化ボードである点で共通する が、主原料・比重・強度・組成といった違いがあり、完全に代替性があるとはいえず、少なくとも現場全体で互いに排除、独占し合う場合があるとはいい難いからシェア算出において相互に分母に入れることは不適切である。また、同被告は、住宅への出荷量が小さいとも主張するが、同被告は上述のとおり、大きなシェアを有していることや住宅用と非住宅用では 後者の量が大きくなることからすれば、被告ニチアスにおける住宅用の割 合が小さくとも木造住宅の建設に従事した本件被災者への現場到達事実が肯定し得る。同被告のカッターで切断されるから石綿の被ばくが少ないとの主張についても、カッターで切断できるから電動工具を用いないとはいえないし、カッターでの切断でも石綿へのばく露はあり得るものである。 被告神島化学工業は、原告らの根拠とする証拠(甲A2177)が信用 性を欠くと主張するが、そのために引用する各証拠は、信用できない。また、同被告の建材が本件被災者の現場に到達していないとする根拠は、本件被災者と異なる作業員のいくつかの陳述のみであり、これらの陳述から上記一般的事実を認定することは相当でない。さらに、同被告は、電工・配管工・軽天工についての病因建材性を否定するが、認定できる作業内容 からすれば不当な主張であることは明らかである。 (ウ) 石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)の全ての石綿含有建材の出荷量のうちの割合は16.25 主張であることは明らかである。 (ウ) 石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)の全ての石綿含有建材の出荷量のうちの割合は16.25%と僅少であるが(甲A1055)、天井材としてのシェアは石綿含有スレートボードの2倍以上あり、割合と して無視できない病因建材として責任企業を検討すべきところ、そのシェアは、昭和52年の統計において、被告日東紡績41.4%、被告大建工業34.3%、被告パナソニック24.3%、昭和54年の統計において被告日東紡績41%、被告大建工業25%、被告パナソニック20%であり、責任企業として、被告大建工業、被告日東紡績及び被告パナソニック が認められる。 同被告らは、同建材の競合建材となる天井材をシェアに含めるべきと主張するが、同じ天井であってもその建材は部屋により異なるし、使用量の違いは寄与度の問題であるから、天井材全体でシェアを検討し、責任企業を特定するのは相当でない。 また、被告大建工業及び被告パナソニックは同製品の石綿含有量や加工 方法からして危険性は低いと主張するが、石綿粉じんの発生は否定できず、危険性が否定できるものではない。 ウ外装材について外装材のうち、石綿含有スレートボード(建材番号15、16)、石綿含有押出成形セメント板(建材番号22)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建 材番号23)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)、石綿含有窯業系サイディング(建材番号35)、石綿含有スレート波板(建材番号37~39)が問題になることは上記のとおりであるが、これらについて責任企業の特定は以下のとおりである。 (ア) 石綿含有スレートボード(建材番号15、16) 、石綿含有スレート波板(建材番号37~39)が問題になることは上記のとおりであるが、これらについて責任企業の特定は以下のとおりである。 (ア) 石綿含有スレートボード(建材番号15、16) これら建材については、イ(ア)と同様、外装材としてもシェア上位企業は、被告エーアンドエーマテリアル、被告エム・エム・ケイ及び被告ノザワであり、責任企業と認められる。 (イ) 石綿含有スレート波板(建材番号37~39)石綿含有スレート波板の被告らのシェアは、別紙8シェア一覧表4の「原 告らの主張」のとおりであり、シェア上位企業は、被告ウベボード、被告エーアンドエーマテリアル及び被告ノザワであり、責任企業と認められる。 被告ウベボードは同社の製品は非飛散性であり危険性も低いと主張するが、そのことだけから危険性が否定されるものではない。 (ウ) 石綿含有押出成形セメント板(建材番号22) 石綿含有押出成形セメント板のシェアは、証拠(甲A2182)によれば、被告ノザワと被告エム・エム・ケイの寡占状態であり、この状況が大きく変わったことを示す証拠もないことからすれば、シェア上位企業は、被告ノザワ及び被告エム・エム・ケイであり、責任企業と認められる。 (エ) 石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33) 石綿含有住宅屋根用化粧スレートのシェアは、証拠(甲A2176、21 87)によれば、被告クボタが圧倒的シェアを占めており、それに続いて被告パナソニックが全体の3割弱を占めているから、シェア上位企業は、被告クボタ、被告パナソニック及びその責任を連帯して負う被告ケイミューであり、責任企業と認められる。 被告ケイミューは、屋根材は押切カッターで行うため発じんが少ないと から、シェア上位企業は、被告クボタ、被告パナソニック及びその責任を連帯して負う被告ケイミューであり、責任企業と認められる。 被告ケイミューは、屋根材は押切カッターで行うため発じんが少ないと主 張するが、屋根材の切断でもしばしば電気サンダー等の電動工具が使用されていたし、押切カッターの場合でも発じん性は否定できない。また、被告ケイミューが製造販売していた屋根材は内装材に比べて10~15%と石綿含有率が高い。 (オ) 石綿含有窯業系サイディング(建材番号35) 石綿含有窯業系サイディングのシェアは、昭和62年度において被告クボタと被告パナソニックを合算したもの(同部門が合併したため)が26.1%、被告AGC(旭硝子)が12.2%、昭和63年度において被告クボタと被告パナソニックを合算したものが26.4%、被告AGCが13.8%であるから、シェア上位企業は、被告AGC、被告クボタ、被告ケイミュー及び 被告パナソニックであり、責任企業と認められる。 被告ケイミューは、被告クボタないし被告パナソニックの権利義務を承継したのだから、被告ケイミューの製品の到達の判断には、合併の前後を問わず両社のシェアを合算して判断するのが正当である。また、両社が製造販売していたサイディング材は内装材に比べて4~22%と石綿含有率が高い。 また、これらにつきプレカット製品であることや販売実績がないことは証拠によって裏付けられていない。被告AGCのばく露濃度の低さ、非石綿化、流通経路や期間の限定に関する主張はいずれも理由がない。 (カ) 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種についてイ(イ)と同様、シェア上位企 業は、被告エーアンドエーマテリアル、被告ニチア い。 (カ) 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種についてイ(イ)と同様、シェア上位企 業は、被告エーアンドエーマテリアル、被告ニチアス及び被告エム・エム・ ケイであり、責任企業と認められる。 エ保温材について石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)のシェアは、昭和50年から昭和52年までの統計(甲A2250の10)によれば、被告ニチアスがいずれも約30%、被告日本インシュレーションがいずれも19.7%、被告エ ーアンドエーマテリアルがいずれも20%、被告神島化学工業いずれも15~20%であり、責任企業は、被告エーアンドエーマテリアル、被告神島化学工業、被告ニチアス及び被告日本インシュレーションであり、責任企業と認められる。 被告らは、競合する他の保温材をシェアの算定に含めるべきと主張するが、 石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)は過去もっとも使用量の多い保温材であり、国交省データベースにおいても最も具体的な種類も多い建材であるから、その中のシェアを検討すれば、他を考慮する必要はない。 被告日本インシュレーションは、同被告の同製品が用いられたのは発電所や石油化学工場などのプラントのみであると主張するが、これを認めるに足りる 証拠は存在しない。 オその他について(ア) 石綿セメント円筒(建材番号41)石綿セメント円筒のうち、被告らの耐火被覆塩ビ管のシェアは、昭和60年時点において被告エーアンドエーマテリアルが17%という証拠がある から(甲A1058)、責任企業は、被告エーアンドエーマテリアルであり、責任企業と認められる。 同製品は屋外で施 年時点において被告エーアンドエーマテリアルが17%という証拠がある から(甲A1058)、責任企業は、被告エーアンドエーマテリアルであり、責任企業と認められる。 同製品は屋外で施工されても病因建材性が認められるし、同製品は給排水管に用いられるから、これが煙突のみの使用と主張する被告エーアンドエーマテリアルの主張には理由がない。 (イ) 混和材(建材番号43) 混和材(建材番号43)についての責任企業は、これを開発し、多くの左官がその商品名(テーリング)を挙げていること(甲A116、2248の8~10)から、被告ノザワである。 被告ノザワは、自己及び委託した研究所が行ったばく露濃度の測定実験結果からテーリングによるばく露量は小さいと主張するが、前者については測 定機関の信用性・再現方法の正確性等の観点から最高裁(神奈川1陣判決)でもその信用性が否定されている。また、新たな再現実験についても、代替物質とされたセピオライトの性質がアスベストと同様か否か、作業の手順・スピード・作る量や作業場所等実際と異なる部分が多くあることからすればこれを信用することはできない。 (被告らの主張)シェアに基づく確率計算によって建材の到達を認定することは誤りであるし、これがあり得るとしてもそのシェアは原告ら主張のものより相当に高い数値、少なくとも20%以上が、確実な証拠に基づいて認められるべきである。 また、各建材の影響を考える上では、他の建材によるばく露の影響を考慮するべきである。石綿含有建材の建材現場到達事実が認められるためには、代替建材ないし競合建材の存在を当該石綿含有建材のシェアの算定に当たって合算すべきである。 は、他の建材によるばく露の影響を考慮するべきである。石綿含有建材の建材現場到達事実が認められるためには、代替建材ないし競合建材の存在を当該石綿含有建材のシェアの算定に当たって合算すべきである。 (被告らの個別主張) ア耐火被覆材について(建材番号1~3)(被告エーアンドエーマテリアル)吹付け材(建材番号1~3)はいずれも主として鉄骨造建物の耐火被覆を目的として使用されるものであり、相互に代替性を有するものであるから、個別にシェアを算出すべきではない。 被告エーアンドエーマテリアルは、昭和50年までに石綿含有吹付けロ ックウール(建材番号2)の製造を終了し非石綿製品に変更していること、湿式石綿含有吹付け材(建材番号3、吹付けロックウール(湿式))は、価格差や施工方法の差から耐火被覆目的で施工された吹付けロックウール(建材番号2、乾式)と比較して施工実績が大幅に小さいことからすれば、被告エーアンドエーマテリアルの昭和50年以降のシェアの大部分 は、石綿を含有しない製品によるものであり、被告エーアンドエーマテリアルの吹付け材は本件被災者に到達していない。 (被告ニチアス)注意義務違反の発生時期が昭和50年以降であるから、昭和49年までに製造を終了した吹付け石綿(建材番号1)について責任を負わない。 湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)について、ATM-120及びトムウェットは特殊な工法で取扱いが少なく地方でばく露する機会がないし、発じんも少ない。また、この施工は超高層ビル(高さ60mを超える建物)等の大規模な現場に限定され(以上、乙マ1002~1005、1023、1023の2、乙マ1024)、限られた業者の責任施工とされていたから、 取扱いが非常に 高層ビル(高さ60mを超える建物)等の大規模な現場に限定され(以上、乙マ1002~1005、1023、1023の2、乙マ1024)、限られた業者の責任施工とされていたから、 取扱いが非常に限られる。 シェアの算定について、昭和49年に耐火被覆用の石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)の製造・販売も終了しており、湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)と代替可能なものとしてシェアを算定することは許されない。 (被告バルカー)原告らにおいて、被告バルカーが製造・販売した石綿含有建材であるとして主張するものは、被告バルカーが実施権を付与した日本リンペットが製造した製品であるから、その責任を被告は負わない。 日本リンペットの作った製品を前提にして検討しても、これは限られた 企業のみに流通し、鉄筋建物・鉄骨建物のみの工事に関わるものだから、 原告らに到達していないし、日本リンペットは昭和50年以降アスベストの健康被害を防ぐ措置をとっていたことや当該製品のアスベスト使用量は微々たるものであるから本件被災者のばく露との関係が認められない。また、原告らの主張するシェアについて、その算定証拠は信用性に欠け、単年度のものしか提出できていないから被告バルカーのシェアの認定は認め られない。 (被告ノザワ吹付け石綿(建材番号1)についての製造は昭和50年までであるからそれ以降の警告義務違反はない。 原告ら主張のシェアは算定証拠の時期・算定根拠となる数値が不当であ り認められない。 (被告日鉄ケミカル&マテリアル)被告日鉄ケミカル&マテリアル製造の石綿含有ロックウール吹付け材(建材番号2)の石綿含有量は他と比べて小さいこと、その製造年数期間が短いことからすれば、同建材でのばく露の可能 カル&マテリアル)被告日鉄ケミカル&マテリアル製造の石綿含有ロックウール吹付け材(建材番号2)の石綿含有量は他と比べて小さいこと、その製造年数期間が短いことからすれば、同建材でのばく露の可能性は低い。 原告ら主張のシェアについて、その根拠となる証拠に記載された数値は、あくまで推定の数値にすぎず客観性を欠くこと、非石綿化された製品も含まれていること、限られた期間のものであること、耐火被覆目的以外の建材も含んでいること及び出典が同一でなく数値にぶれがあり信用性が認められないことからすれば、これを用いたシェアは認められず、被告日鉄ケミカル &マテリアルのシェアは、正確な証拠(甲A394、乙チ15~25)に基づき算出され、代替建材である吹付け石綿も含んだ証拠(乙チ14)に基づき、平均5.8%とするべきである。なお、被告日鉄ケミカル&マテリアル製造の製品は耐火被覆用と吸音断熱用の両方の用途をもっていたから、吸音断熱用はシェア計算から除すべきという原告らの反論は失当である。 また、被告日鉄ケミカル&マテリアルは、認定特約店の制度を設け、限 られた業者のみにこれを納入していたことから、単純なシェアによって到達の事実が認定できるものではない。 (被告太平洋セメント)被告太平洋セメントが製造していた石綿含有吹付けロックウール(建材番号2、商品名スプレーコート)の販売期間は昭和46年から昭和53年まで と限られた期間のものであること、昭和49年から非石綿化が進んでいたこと、主に鉄骨造の建物(その中でも耐火建築物)に使用されること、耐火被覆材として他の種類の建材も多数存在すること、販売先が特定され安全指導もされていたこと、石綿使用量も少なく、同時並行作業や養生を行うなど各作業方法におけるばく露の可 建築物)に使用されること、耐火被覆材として他の種類の建材も多数存在すること、販売先が特定され安全指導もされていたこと、石綿使用量も少なく、同時並行作業や養生を行うなど各作業方法におけるばく露の可能性は低いこと等を考慮すれば、これによる本 件被災者のばく露は認められない。 同じく被告太平洋セメントが製造した湿式石綿含有吹付け材(建材番号3、商品名スプレーコートウェット)は昭和50年以降販売が少ないこと、鉄骨造建物(その中でも耐火建築物)以外には使用されないこと、耐火被覆材には他の建材も存在し、販売先が特定され、安全指導もされていたこと、石綿 使用量も少なく、各作業方法におけるばく露の可能性は低いことを考慮すれば、これによる本件被災者のばく露は認められない。 上記に加えて、原告ら提出のシェアの証拠のうち、甲A2177は耐火被覆用途に限ったシェアしか明らかにしていないから、他の証拠と共にシェアの算定根拠とすることは適切でないこと、被告太平洋セメントの各製 品は材料および工事が系列化され建設作業従事者が一般的に取り扱うものではないこと及び現場への到達が必ずしもばく露を意味しないことからすれば、同社製品について一般的なシェアによる立証は当てはまらない。 (被告日東紡績)被告日東紡績が他に販売していた建材を考慮して計算すれば石綿含有吹 付けロックウール(建材番号2)におけるシェアは約3.6~約4.6% にとどまること、同製品は特定の下請業者に限定された範囲で流通し九州にはほとんど流通していないこと、昭和51年以降非石綿建材に切り替えられていること、有害性の低いクリソタイルのみ使用していたこと、吹付け後の施工により吹付表面が平滑になり、飛散しにくい状態となるためおりばく露の危険性が低いことから、 51年以降非石綿建材に切り替えられていること、有害性の低いクリソタイルのみ使用していたこと、吹付け後の施工により吹付表面が平滑になり、飛散しにくい状態となるためおりばく露の危険性が低いことから、到達は認められない。 湿式石綿吹付け材(建材番号3)は、シェアはほぼ0%であること、同製品は特定の下請業者に限定された範囲で流通し九州にはほとんど流通していないこと、昭和51年以降非石綿建材に切り替えられていること、白石綿のみ使用しておりばく露の少ない施工方法であることから到達は認められない。 イ内装材について(ア) 石綿含有スレートボード(建材番号15~18)(被告エーアンドエーマテリアル)建材の到達を議論する際のシェアからは、二次加工メーカー・プレハブメーカーへの出荷分、自社施工工事で使用した分及び内装用途以外の出荷分は 除外されるべきであり、これらを除外した被告エーアンドエーマテリアル製造の石綿含有スレートボード(建材番号16、17)のシェアは優に10%を下回る。また、シェアの算定に当たっては使用部位が共通である石膏ボードのうちの防水ボードを用いるべきである。 (被告ノザワ) 原告ら主張のシェアについて、断片的な証拠しか提出されていないし、これに基づいても20%より低いシェアしかないので到達の事実は立証されていない。また、シェアの算定においては施工部位、使用目的において共通性が高く、代替性のある石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)も考慮すべきであるから、原告ら主張のシェアは当たらない。 (被告エム・エム・ケイ) 石綿含有スレートボード(建材番号15~18)及び石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種 であるから、原告ら主張のシェアは当たらない。 (被告エム・エム・ケイ) 石綿含有スレートボード(建材番号15~18)及び石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)について、九州における被告エム・エム・ケイのシェアは平成2年段階で10%を切ることが認められ(甲A2252の3)、特に小さい九州南部で作業をしていた本件被災者との関係では到達が認められない。 (イ) 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)(被告エーアンドエーマテリアル)建材の到達を議論する際のシェアからは、二次加工メーカー・プレハブメーカー出荷分、自社施工で使用した分及び内装用途以外の出荷分は除外されるべきであり、これらを除外した被告エーアンドエーマテリアル製造の石綿 含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)のシェアは優に10%を下回る。 (被告ニチアス)石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)はカッターで切断されるから石綿の被ばくが少ない。また、中高層建物でしか利用されないので 戸建住宅を中心に扱った本件被災者には到達しない。同板は石綿含有スレートボードフレキシブル板(建材番号15)及び同平板(建材番号16)と用途や使用部位の共通性が高く、合算してそのシェアを判断されるべきであり、その結果被告ニチアスのシェアは10%を超えない。 (被告神島化学工業) 原告らがシェア算定の根拠とする証拠(甲A2177)は信用性を欠く。 被告神島化学工業を含む石綿スレート協会に加盟していない企業のシェアは、被告ニチアスを除いて、昭和54年以降低下の一途をたどっており、被告神島化学工業単独で10%を超えることはない。シェアの計算は、代替可能な建材である 石綿スレート協会に加盟していない企業のシェアは、被告ニチアスを除いて、昭和54年以降低下の一途をたどっており、被告神島化学工業単独で10%を超えることはない。シェアの計算は、代替可能な建材である石綿含有スレートボード(建材番号15、16)や石綿含有 スラグ石膏板(建材番号20)及び石綿含有パルプセメント板(建材番号2 1)を含めて論じるべきである。加えて各種証拠(乙シ105、106の1~107、109、110の1等)によれば、本件被災者の現場で石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)の使用は限られていたことからすれば、本件被災者への到達は認められない。 また、電工について内装材の切断等によるばく露は限定的なのに対し吹付 け材によるばく露が大きいこと、配管工について内装材の切断・穿孔によるばく露は限定的なのに対し吹付け材、保温材又は石綿セメント円筒によるばく露が大きいこと、軽天工について内装材の施工によるばく露は限定的なのに対し吹付け材によるばく露が大きいことからすれば、被告神島化学工業の製品によるばく露は認められない。 (被告大建工業)同製品はトンネル工事用に試作品として製造されたのみで納入先も3か所のトンネルに限られている。 (被告エム・エム・ケイ)(ア)と同様。 (ウ) 石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)(被告大建工業)現場の施工方法からすれば他の建材と比較しても粉じんの飛散がほとんどないこと、シェアの算定においては「内装材の総合分析」(甲A2174)を根拠とすべきところ、そこで一定のシェアを持ちかつ石綿使用量 において被告大建工業と同様の量になる東洋テックを被告としていないこと、被告大建工業製造の建材の利用状 総合分析」(甲A2174)を根拠とすべきところ、そこで一定のシェアを持ちかつ石綿使用量 において被告大建工業と同様の量になる東洋テックを被告としていないこと、被告大建工業製造の建材の利用状況は限定的であり天井利用の代替建材となる他の建材、特に天井用化粧石膏ボードも加えて算出すべきであること、吹付け材等によるばく露が大きいことから、ロックウール吸音天井板の非住宅天井のシェアは日東紡績が圧倒的なシェアを有することす れば、被告大建工業の製品の到達は認められない。 (被告日東紡績)被告日東紡績の製品について、有害性、飛散性及び発じん性が低いこと、原告らの被告日東紡績のシェア計算は、昭和45年以降非石綿化された建材も含んでいること、天井に使用される建材は他にも多数あるのに、これを含まずにシェアの計算をしていることからすれば到達は認められない。 (被告パナソニック)被告パナソニックの製品について、石綿含有率が低く、非飛散性であり、切断加工を行う場面が少ない上に容易なため飛散も少ないこと等からすれば、これを市場の流通に置いたことについて本件被災者のばく露との関係が認められない。 また、ロックウール吸音天井板は天井仕上げ材にのみ用いられる建材であるから、そのシェアについて、他の天井仕上げ材を考慮に入れなければ現場到達事実の立証として不当である。ロックウール吸音天井板は、住宅用途でも非住宅用途でも、天井材の中のシェアは低く、その中でも被告パナソニックの製品のシェアは低い。 ウ外装材について(ア) 石綿含有スレートボード(建材番号15、16)(被告エーアンドエーマテリアル、被告ノザワ)イ(ア)と同様(イ) 石綿含有スレート波板(建材番 ウ外装材について(ア) 石綿含有スレートボード(建材番号15、16)(被告エーアンドエーマテリアル、被告ノザワ)イ(ア)と同様(イ) 石綿含有スレート波板(建材番号37~39) (被告ウベボード)被告ウベボードの製品はいずれも非飛散性石綿建材かつ外装材であり、責任が認められない。 (ウ) 石綿含有押出成形セメント板(建材番号22)(被告ノザワ) その大半が外装材として用いられるものであり責任を負わないことは1 (2)で述べたとおりであるが、仮に間仕切壁用途として考えても、そのシェアは約1%であり、その工程からすると飛散も少ないから現場到達の事実が認められない。 (被告エム・エム・ケイ)被告エム・エム・ケイの石綿含有押出成形セメント板(メース)は主に鉄 骨造建物に用いられ、現場で切断加工することはなく、専門の販売工事店以外では施工しないから到達の事実が認められない。 (エ) 石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)(被告パナソニック)被告パナソニック製品のシェアの低さや非石綿化、飛散性の低さや施工過 程における発じん性の低さからすれば、同製品は本件被災者のばく露との関係が認められない。また、同製品は屋根工と呼ばれる専門の職人によって施工されるので、屋根工以外の職種の者が住宅屋根用化粧スレートを施工する機会自体が限定的である。 シェアの算定においては、他の屋根材市場を含んだ数値を算出すべきであ り、この中での被告パナソニックのシェアは低い。 (被告ケイミュー及び被告クボタ)石綿含有屋根材は外部で施工する製品であること、施工方法や発じんの程度からすれば病因建材足り得ない。 り、この中での被告パナソニックのシェアは低い。 (被告ケイミュー及び被告クボタ)石綿含有屋根材は外部で施工する製品であること、施工方法や発じんの程度からすれば病因建材足り得ない。また、同建材は屋根工と呼ばれる専門の職人によって施工されるので、屋根工以外の職種の者が住宅屋根用化粧スレ ートを施工する機会は限定的であるし、被告ケイミューの製品について下地調整という作業は存在しないから、塗装工のばく露との関係は認められない。 シェアの算定について、原告らの主張は代替建材を考慮しておらず不当であり、到達は認められない。 (オ) 石綿含有窯業系サイディング(建材番号35) (被告AGC) 被告AGCの製品は、販売期間や販売先が限定されており、その施工過程における石綿のばく露濃度も低いこと等からすれば、本件被災者のばく露との関係が認められない。 仮にシェアの算定まで至ったとしても、被告企業による無石綿化や代替品・競合性のある製品の有無、その使用割合などの事情を考慮する必要があ る。 (被告ケイミュー及び被告クボタ)石綿含有外壁材は外部で施工する製品であること、施工方法や発じんの程度からすれば病因建材足り得ない。また、製品はサイディング工と呼ばれる専門の職人によって施工されるので、サイディング工以外の職種の者が石綿 含有窯業系サイディングを施工する機会自体が限定的である。 シェアの算定について、原告らの主張は被告ケイミューが承継する前の被告クボタと被告パナソニックのシェアを合算し、これを被告ケイミューの責任としているが、承継前の両社のシェアを合算することには理由がない。また、代替建材の存在を考慮しておらず不当であるから、到達の事実は認めら 被告パナソニックのシェアを合算し、これを被告ケイミューの責任としているが、承継前の両社のシェアを合算することには理由がない。また、代替建材の存在を考慮しておらず不当であるから、到達の事実は認めら れない。 (被告パナソニック)被告パナソニック製品のうちの石綿含有製品の限定性、飛散性の低さや施工過程における発じん性の低さからすれば、同製品は本件被災者のばく露との関係が認められない。また、同製品はサイディング工と呼ばれる専門の職 人によって施工されるため、それ以外の職種の者がばく露する機会はない。 石綿含有窯業系サイディング自体を病因建材と扱うこと自体不合理であるし、仮にその中でシェアを算定したとしても、原告らの主張は被告パナソニックの非石綿化された建材の存在を考慮していないこと、被告クボタと被告パナソニックのシェアを合算して考慮していること等から不当であり、到 達は認められない。また、各種類の建材を一本化することで被告クボタと被 告パナソニックの製造時期を不当に合算して計算している。 (カ) 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)(被告エーアンドエーマテリアル、被告ニチアス)イ(イ)と同様。 エ保温材(石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7))について (被告エーアンドエーマテリアル)競合関係にある保温材を含めた形でシェアを算定する必要があるが、この証拠はなく、被告エーアンドエーマテリアルのシェアを認定できない。 (被告ニチアス)代替建材を考慮してシェアを検討すべきであり、非石綿化後も出荷は続い ていたパーライト保温材を含んだシェアを検討すべきである。また、この建材の使用は主に工場に限定されている。 (被 代替建材を考慮してシェアを検討すべきであり、非石綿化後も出荷は続い ていたパーライト保温材を含んだシェアを検討すべきである。また、この建材の使用は主に工場に限定されている。 (被告神島化学工業)代替建材を考慮してシェアを計算すれば、被告神島化学工業のシェアは10%を下回る。 (被告日本インシュレーション)被告日本インシュレーションの製品の性状や施工方法からすれば、石綿の粉じんの飛散はほぼ生じない。また、その施工先は発電所や石油化学工場などのプラントのみに使用されるため、本件被災者のばく露とは関係が認められない。 シェアの算定においては他にばく露した建材全てや代替品となる建材の存在及び石綿を含有しない保温材の存在を考慮すべきである。 オその他について(ア) 石綿セメント円筒(建材番号41)(被告エーアンドエーマテリアル) 石綿セメント円筒はいわゆる煙突であり、屋外で使用される建材のため (乙キC8)、被告エーアンドエーマテリアルが本件被災者に対して警告義務を負わない。また耐火二層管(耐火被覆塩ビ管)のシェアは、三菱樹脂名義で販売するOEM受注製品の販売実績を含めても低いこと、これは二次加工メーカーと同様シェアから除外すべきこと、耐火二層管の販売開始時期が遅いことを踏まえれば、そのシェアは低く、本件被災者に到達したとはいえ ない。 (イ) 混和材(建材番号43)(被告ノザワ)被告ノザワの作成していた混和材(テーリング)の石綿粉じんばく露濃度は極めて低いことは測定試験により明らかである(乙ラ16)し、テーリン グの石綿含有量も低い。 ノザワ)被告ノザワの作成していた混和材(テーリング)の石綿粉じんばく露濃度は極めて低いことは測定試験により明らかである(乙ラ16)し、テーリン グの石綿含有量も低い。 原告ら主張のシェアは、客観的な証拠がなく、非石綿化された建材の存在も考慮していないため、認められない。 塗装工の作業内容として、モルタル壁を直接削ることは考えにくく、またモルタル壁にはテーリングが含まれていない場合もあるため、塗装工のばく 露と混和材には関係が認められない。 (4) 各本件被災者への各建材の到達の有無(原告らの主張)本件被災者の職種による一般的なばく露態様は(2)で述べたとおりであるが、それぞれの特殊事情は別紙4個別被災者に関する一覧表の「原告らの主 張」欄の「作業実態に関する特記事項(特殊事情)」欄記載のとおりである。 別紙4個別被災者に関する一覧表の「原告らの主張」欄には、その他、石綿含有粉じんにばく露した職種、就労期間及び従事した建物の種類、改修の有無並びに各人の特殊事情が記載されている。 これらの事情を踏まえて、各職種と従事した建物に対応する建材番号の建 材のうち、新築建設に携わった者については就労期間と製造期間が3年以上 重なっているものを、改修・解体工事に携わった者については製造期間から20年後の就労期間と1年以上重なっているものを病因建材として捉え、これを製造した被告を責任企業とした。最終的に各本件被災者に対応する責任企業を特定したのが、別紙4個別被災者に関する一覧表の「原告らの主張」欄の「責任企業」の欄である。 被告らは、本件被災者の現場数の少なさを問題にすることがあるが、1つの現場であっても多数の部位を のが、別紙4個別被災者に関する一覧表の「原告らの主張」欄の「責任企業」の欄である。 被告らは、本件被災者の現場数の少なさを問題にすることがあるが、1つの現場であっても多数の部位を施工することで各建材が到達する可能性が高まることはあり得るのだから、機械的に現場の数を問題にすることには意味がない。 (被告らの主張) 各本件被災者に関する被告らの反論は別紙4個別被災者に関する一覧表の「被告らの主張」欄記載のとおりである。 4 損害等について(争点4)(1) 石綿ばく露と損害の因果関係(原告らの主張) 各証拠によれば、本件被災者の各疾患と石綿ばく露との間の因果関係は明らかである。 (被告らの主張)労災認定が石綿との因果関係を証明するものではない。本件被災者の疾患のうち石綿肺やびまん性胸膜肥厚、又は本件被災者の死亡について、石綿ばく露 以外の原因が考えられる。 被告らの建材以外のばく露、国や事業者の責任、原告らによるマスク着用等の結果回避措置義務違反が石綿関連疾患の原因であるから、その責任を被告らに押し付けるのは不当であり、被告らの建材のばく露と損害との間に因果関係がない。 (2) 被告らの寄与度 (原告らの主張)警告義務違反の始期以前のばく露を考慮しても、シェア上位企業が石綿建材の普及拡大を主導してきたこと、国が2分の1の責任を果たしていること等を踏まえれば、全ての被告について寄与度は5割を下らない。電動工具の普及によりばく露量が飛躍的に増大したことからすれば、時代の進展による石綿含有 量の減少や粉じん対策の改善を過度に評価すべきでない。また、損害の公平な分担の観点からすれば、製造期 い。電動工具の普及によりばく露量が飛躍的に増大したことからすれば、時代の進展による石綿含有 量の減少や粉じん対策の改善を過度に評価すべきでない。また、損害の公平な分担の観点からすれば、製造期間と作業従事期間の重なり合いの長短、間接ばく露や複合ばく露と直接ばく露の比較といった観点による寄与度減責は適切でない。 (被告らの主張) 当該建材の石綿のばく露量の小ささ、被告らの責任期間より前の石綿ばく露期間の長さ、被告らの責任期間の短さ、他の石綿製品の影響、及び事業者や国の責任により寄与度が算定されるべきであり、個別の本件被災者で勘案すべき事情は別紙4個別被災者に関する主張一覧表の「被告らの主張」記載のとおりである。被告らの責任は少なくとも損害額全体の3分の1を超えない。 (3) 損害額及びその他の減額事由(原告らの主張)ア本件被災者が受けた肉体的・精神的損害を考慮すれば、その損害額は本件被災者1名につき3500万円を下らない。また、その1割に当たる350万円も弁護士費用として被告らの共同不法行為との因果関係が認められる。 イ個々の雇用主の安全配慮義務違反、国の規制権限不行使、二次加工メーカーの存在を理由に損害額が減ぜられることはない。すなわち、①多くの事業主等にとっては、具体的で明確な警告がなければ危険性を認識する契機が得られないから、その安全配慮義務違反が寄与度減責の理由にならないし、②国の規制権限行使の有無に関わらず、被告らは有害な石綿含有建材を製造販 売すべきではなかったのであり、③二次加工メーカーが介在しようと、被告 らが石綿含有建材を製造販売して流通させたという点に何ら変わりはなく、二次加工メーカーの存在は寄与度減責の理由たり得ない きではなかったのであり、③二次加工メーカーが介在しようと、被告 らが石綿含有建材を製造販売して流通させたという点に何ら変わりはなく、二次加工メーカーの存在は寄与度減責の理由たり得ない。 ウ喫煙は違法ではなく、社会的に許容された嗜好の一つであり、成人男性の8~9割が喫煙習慣を有するという期間も長く続いたのであるから、被告らは、石綿含有建材の製造販売するに際し、その使用者である建設作業従事者 に喫煙者が多いという事実を認識し、認識し得た。また、喫煙は肺がんリスク全体に影響を与えるものの、この影響は石綿ばく露による肺がんリスクを減じるものではないから(ヘルシンキクライテリア、甲A1529)、喫煙歴やCOPDを寄与度減責の理由にすることは相当ではない。 エ本件被災者は、いずれも石綿含有粉じんの危険性について認識を有してい ないのであって、被告らの主張する健康保持義務を課す前提を欠く。 (被告らの主張)原告ら主張の損害額は争う。また、アスベストのみでなく、喫煙ひいてはそれに伴うCOPDが肺がんの発症に影響を与えているから、民法722条2項の類推適用によりその分の減額が行われるべきである。また、原告らはアスベ ストにばく露し、自らの健康に悪影響を来さないように自らの健康を管理する義務があるところ、法令上の使用義務として課されていた防じんマスクを着用しなかったことにより損害を被ったのであるから、損害の発生に過失がある。 第6 当裁判所の判断 1 認定事実等 後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1) 石綿関連疾患に係る医学的知見の集積状況等ア労働省は、労働衛生試験研究として、昭和31年度から昭和34年度まで、石綿肺等のじん肺に関する研究を専門家に委 下の事実が認められる。 (1) 石綿関連疾患に係る医学的知見の集積状況等ア労働省は、労働衛生試験研究として、昭和31年度から昭和34年度まで、石綿肺等のじん肺に関する研究を専門家に委託した。昭和31年度及び昭和32年度には、石綿肺の診断基準に関する研究が行われ、石綿肺のり患の実 態、臨床像、石綿粉じんにばく露することとの因果関係等が明らかとなり、 診断基準の設定にまで到達したと報告された。この昭和32年度の研究の報告がされた昭和33年3月頃には、石綿肺に関する医学的知見が確立した。 (甲A19、70[90頁~]、乙アA22、28[32~34頁]、31、60)イセリコフらは、1964年(昭和39年)、米国の医学誌において、「ア スベストばく露と新生物」と題する論文を発表した。同論文では、建築業の断熱作業労働者の石綿ばく露は比較的軽度で断続的であるが、1943年(昭和18年)以前にこの産業に就業した632人について1962年(昭和37年)まで追跡調査を行ったところ、45人が肺又は胸膜のがんにより死亡しており、うち3人は胸膜中皮腫であったこと、このほか腹膜中皮腫の 者が1名おり、255人の死亡者のうち4人が中皮腫であったこと、こうした結果はまれな腫瘍の発症率としては非常に高いこと等が報告されている。 (甲A204の1・2〔1頁〕、315の1・2)ウ労働省労働基準局長は、昭和46年1月5日付けで、「石綿取扱い事業場の環境改善等について」と題する通達(同日基発第1号)を発出し、その中 で、「最近、石綿粉じんを多量に吸入するときは、石綿肺をおこすほか、肺がんを発生することもあることが判明し、また、特殊な石綿によって胸膜などに中皮腫という悪性腫瘍が発生するとの説も生まれてきた。」と指摘し 最近、石綿粉じんを多量に吸入するときは、石綿肺をおこすほか、肺がんを発生することもあることが判明し、また、特殊な石綿によって胸膜などに中皮腫という悪性腫瘍が発生するとの説も生まれてきた。」と指摘した。 (乙アB31)エ国立療養所近畿中央病院院長の瀬良好澄は、昭和46年9月、雑誌「労働 の科学」26巻9号において、「石綿作業と肺疾患」と題する論文を発表した。同論文では、石綿と肺がんの発症との間に因果関係があることについては今や異論のないところであるとされ、石綿吹付け作業に従事した39名中6名に石綿肺を認めたこと等から吹付け作業については強力な予防指導を要すると思われるなどとされている。(甲A8〔4、6頁〕) 労働省労働衛生研究所の松下秀鶴及び河合清之は、同月、雑誌「労働の科 学」26巻9号において、「アスベストの発がん性」と題する論文を発表した。同論文では、石綿ばく露と中皮腫の関係について強い関心が寄せられるようになったのは1960年(昭和35年)のワグナーらの報告以来であり、この報告以後、胸膜及び腹膜の中皮腫に関する疫学的研究が、英国、南アフリカ、米国、カナダ、イタリア、ドイツ等から続々と発表され、その研究結 果からは、比較的低濃度の石綿ばく露であっても、長い年月を経れば十分に中皮腫が発生する危険性があるなどとされている。また、同論文では、石綿に発がん性があるということは、疫学的にも実験腫瘍学的にも、まず疑う余地はないように思われるなどとされている。(甲A8〔17、18、19頁〕)オセリコフらが1972年(昭和47年)に行った報告では、米国及びカナ ダの断熱作業労働者1万7800人の1967年(昭和42年)から1971年(昭和46年)までの肺がんと胸膜中皮腫による死亡者数 リコフらが1972年(昭和47年)に行った報告では、米国及びカナ ダの断熱作業労働者1万7800人の1967年(昭和42年)から1971年(昭和46年)までの肺がんと胸膜中皮腫による死亡者数について、石綿ばく露の開始からの年数に応じて分析がされ、肺がんによる死亡はばく露開始後15~19年で有意に増加し、肺がんによる死亡者数が最も多いのはばく露開始後30年以上39年までであり、ばく露開始から少なくとも40 年間観察しないと石綿ばく露による影響を評価するのは困難であるとされている。 上記発表は、昭和48年3月以降に、「昭和47年度環境庁公害研究委託費によるアスベストの生体影響に関する研究報告」において、我が国でも紹介された。(甲A31〔62頁、紹介時期が昭和48年3月以降であること につき、119頁〕、390の2〔15~17頁〕)カ国際労働機関(ILO)は、1972年(昭和47年)1月に開催した「職業がんの管理と予防に関する専門家会議」において、石綿は職業がんの危険性がある物質であると指摘した。(甲A307の1〔20頁〕、390の2〔9頁〕) キ世界保健機関(WHO)の付属機関である国際がん研究機関(以下「IA RC」という。)は、1972年(昭和47年)10月、石綿の生物学的影響に関して討議を行った。その結果の報告(「国際がん研究機関長に対する石綿癌諮問委員会の報告」)では、市販されている主要な種類の石綿は、全て肺がんを引き起こし得るとされ、アンソフィライトを除く市販の全ての種類の石綿が中皮腫を引き起こし得る証拠が得られているとされている。(甲 A307の1〔21、22、27頁〕、316の1・2〔2、3頁〕、390の2〔9頁〕)上記報告は、昭和48年3月以降に、 綿が中皮腫を引き起こし得る証拠が得られているとされている。(甲 A307の1〔21、22、27頁〕、316の1・2〔2、3頁〕、390の2〔9頁〕)上記報告は、昭和48年3月以降に、「昭和47年度環境庁公害研究委託費によるアスベストの生体影響に関する研究報告」において、我が国でも紹介された(甲A31[101~105頁、紹介時期が昭和48年3月以降で あることにつき、119頁])。 ク労働省労働基準局長は、昭和48年7月11日付けで、「特定化学物質等障害予防規則に係る有害物質(石綿およびコールタール)の作業環境気中濃度の測定について」と題する通達(同日基発第407号。以下「昭和48年通達」という。)を発出した。昭和48年通達では、通達発出の理由として、 最近、石綿が肺がん、中皮腫等を発生させることが明らかとなったこと等により、各国の規制においても気中石綿粉じん濃度を抑制する措置が強化されつつあることが挙げられていた。(乙アB54)ケ雑誌「労働の科学」28巻2号に掲載された「建設業における労働災害と疾病」において、山口裕は、建設労働者の職業性疾病の将来の展望として、 「近年アスベスト肺、およびアスベストによる呼吸器その他のがん発生が大きな問題となってきた。…現在建設業においては、アスベスト製品の加工使用によるアスベスト発じん作業が増加している。現在、技能工として盛んにアスベスト粉じんにばく露されている若い労働者の将来に黒い影がさしている」と指摘した。(甲A448〔48頁〕) コ IARCは、1973年(昭和48年)、化学物質の人体に対する発がん 性リスクについての検討結果を公表するモノグラフ集の第2巻を発行した。 そこでは、石綿のがん原性に関し、肺がんの過剰リスクは、過去 1973年(昭和48年)、化学物質の人体に対する発がん 性リスクについての検討結果を公表するモノグラフ集の第2巻を発行した。 そこでは、石綿のがん原性に関し、肺がんの過剰リスクは、過去の強いばく露の結果であることが通常であり、肺がんのリスクは石綿肺に関連しているようである、石綿を製造、利用する産業では、中皮腫はクロシドライトへのばく露で引き起こされており、アモサイト、クリソタイルで引き起こされる 頻度はより少ない、最初のばく露から腫瘍の発現までの期間は長く、通常は30年以上であるなどとされている。(乙アA3の1・2)サ労働省は、昭和51年、石綿粉じんにばく露することによる肺がん及び中皮腫の労災認定基準を検討するため、「石綿による健康障害に関する専門家会議」を設置した。同会議は、産業現場における石綿ばく露の実態、石綿関 連疾患の臨床、病理、疫学、環境管理等に関する国内外の文献を幅広く検討し、昭和53年9月に報告書をまとめた。同報告書では、石綿肺の進展度と肺がんの合併率との間には直線的な関連はなく、軽度所見や無所見の石綿ばく露労働者にも肺がんの発生が認められるとされ、石綿ばく露量が大となるにつれて肺がん発生の危険が大きくなる傾向がみられ、症例としては石綿ば く露歴がおおむね10年を超える労働者に発生したものが多いとされている。また、同報告書では、現時点の知見では、全ての種類の石綿繊維に肺がんの危険性があると考えるのが妥当であるとされ、中皮腫については、石綿粉じん濃度が低くても発生した例もあり、肺がんを発生するのに必要なばく露量よりも少量で発生する可能性があるなどとされている。(甲A5〔17 0~172頁〕)シ ILOは、1986年(昭和61年)6月24日、クロシドライトの使用及び石綿の吹付 に必要なばく露量よりも少量で発生する可能性があるなどとされている。(甲A5〔17 0~172頁〕)シ ILOは、1986年(昭和61年)6月24日、クロシドライトの使用及び石綿の吹付け作業を禁止し、それ以外の石綿の使用及び吹付け作業以外の使用は一定の管理の下で使用することを定める石綿の使用における安全に関する条約を採択した(甲E55)。 ス WHOが1989年(平成元年)に発表した「石綿の職業ばく露限界」と 題する報告書では、それ以下ではがんが起こらないという石綿ばく露の閾値が存在するという実質的証拠はないなどとされている。同報告書は、クロシドライト及びアモサイトの使用の禁止及びクリソタイルのばく露量を下げることを勧告した。(乙アA5の1・2〔5頁〕)セ ILOは、平成18年、クリソタイルを含む石綿の全面的な使用禁止を合 意するに至った。 (2) 石綿粉じん濃度の規制等ア(ア) 労働大臣は、昭和46年4月28日、旧特定化学物質等障害予防規則(以下「特化則」という。)6条2項の規定に基づき、局所排気装置の性能要件として、石綿の抑制濃度の規制値を1㎥当たり2mgと定めた (同年労働省告示第27号)。(乙アB34)(イ) 労働省労働基準局長は、昭和48年7月11日付けで昭和48年通達を発出し、当面、石綿粉じんの抑制濃度を5μm以上の繊維として1㎤当たり5本と指導することを指示した。これは、当時、石綿について、濃度基準を繊維数で表示することが医学的に適切であると考えられるよ うになったことや、石綿が悪性新生物を発生させるとの知見が示されたことなどから、石綿粉じんを抑制する措置を強化するものであった。 (甲A67の1[21頁]、乙アB54)(ウ) 労働大臣 うになったことや、石綿が悪性新生物を発生させるとの知見が示されたことなどから、石綿粉じんを抑制する措置を強化するものであった。 (甲A67の1[21頁]、乙アB54)(ウ) 労働大臣は、昭和50年9月30日、特化則に基づく告示を改正し、石綿の抑制濃度の規制値を5μm以上の繊維として1㎤当たり5本と定 めた。(乙アB55)(エ) 労働省労働基準局長は、昭和51年5月22日付けで「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」と題する通達(同日基発第408号)を発出し、最近、関係各国において環気中の石綿粉じん濃度の規制を強化しつつあるとして、当面、1㎤当たり2本(クロシドライトに あっては、1㎤当たり0.2本)以下の環気中粉じん濃度を目途とする よう指導することを指示した。(乙アB37)(オ) 労働省労働基準局長は、昭和59年2月13日付けで「作業環境の評価に基づく作業環境管理の推進について」と題する通達(同日基発第69号)を発出し、石綿の管理濃度を1㎤当たり2本とした。管理濃度とは、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、対象となる区 域について実施した測定結果から当該区域の作業環境管理の良否を判断する際の指標である。個々の労働者のばく露量と対比することを前提として設定されている許容濃度とは異なる考え方であり、環境の状態が健康にとって許容できるかどうかを判定するためのものではないことから、管理濃度の超過は、健康障害に直ちに結びつくものではないとされ る。(乙アA89〔35頁〕、乙アB57、58〔252、253頁〕)(カ) 労働大臣は、昭和63年法律第37号による安全衛生法の改正に伴い、管理濃度に基づく作業環境管理が法制化されたことから、同年9月 9〔35頁〕、乙アB57、58〔252、253頁〕)(カ) 労働大臣は、昭和63年法律第37号による安全衛生法の改正に伴い、管理濃度に基づく作業環境管理が法制化されたことから、同年9月1日、石綿の管理濃度を5μm以上の繊維として1㎤当たり2本(クロ シドライトにあっては、1㎤当たり0.2本)と定めた(同年労働省告示第79号)。(乙アB60、弁論の全趣旨)(キ) 厚生労働大臣は、平成16年10月1日、石綿の管理濃度を5μm以上の繊維として1㎤当たり0.15本と定めた(同年厚生労働省告示第369号)。(乙アB65) イ(ア) 日本産業衛生協会は、昭和40年、石綿粉じんの許容濃度として、1㎥当たり2mg(石綿の繊維数に換算すると、1㎤当たり33本。)を勧告した。許容濃度とは、労働者が有害物に連日ばく露した場合に、空気中の有害濃度がこの数値以下であれば、健康に有害な影響がほとんど見られないという濃度であり、その数値は、感受性が特別に高くない労 働者が、1日8時間以内、中等労働に従事する場合の1日のばく露労働 時間内の平均濃度である。なお、日本産業衛生協会は、昭和47年、日本産業衛生学会に名称を変更した(以下、この名称変更の前後を通じて「日本産業衛生学会」という。)。(甲A95、乙アA71、弁論の全趣旨)(イ) 日本産業衛生学会は、昭和49年、昭和40年の勧告に示された石綿 粉じんの許容濃度の数値の改訂を行い、クリソタイル、アモサイト、トレモライト、アンソフィライト及びアクチノライトの気中許容濃度を、時間荷重〔ママ〕平均として、5μm(マイクロメートル)以上の繊維として1㎤当たり2本、天井値(いかなる時も15分間の平均濃度がこの値を超えてはならない数値)として、5μm以上 トの気中許容濃度を、時間荷重〔ママ〕平均として、5μm(マイクロメートル)以上の繊維として1㎤当たり2本、天井値(いかなる時も15分間の平均濃度がこの値を超えてはならない数値)として、5μm以上の繊維として1㎤当 たり10本とし、クロシドライトの許容濃度については、これらの濃度をはるかに下回る必要があるとした。この改訂の理由として、石綿肺のみでなく肺及び消化器のがん及び中皮腫が注目されるようになり、日本の現行許容濃度が近年に各国で設定又は改訂された許容濃度と比較すると極めて高い値であること等が挙げられている。(乙アA75~77) (ウ) 日本産業衛生学会は、昭和57年、クロシドライトの許容濃度として、1㎤当たり0.2本を勧告した。(甲A98)(エ) 日本産業衛生学会は、平成13年、リスクアセスメントの手法を導入し、石綿を発がん物質と分類した上、過剰発がん生涯リスクレベル10-3、10-4に対応する評価値として、クリソタイルのみのときは、それぞ れ1ml(1㎤、以下同じ)当たり0.15本、1ml当たり0.015本、クリソタイル以外の石綿繊維を含むときは、それぞれ1ml当たり0.03本、1ml当たり0.003本を勧告した。上記の評価値の意味は、1日8時間、週40時間程度、50年間にわたり上記の濃度のクリソタイルのみの石綿粉じんにばく露した場合に、1ml当たり0. 15本では1000人に1人、平均寿命に到達するまでに肺がん又は中 皮腫で死亡するリスク(過剰発がんリスク)が生ずるという意味である。(乙アA79、乙ケ1、2、28)(3) 石綿粉じん濃度の測定結果ア屋内の作業に係る測定結果労働科学研究所の木村菊二は、昭和46年、雑誌「労働の科学」26巻 9号に である。(乙アA79、乙ケ1、2、28)(3) 石綿粉じん濃度の測定結果ア屋内の作業に係る測定結果労働科学研究所の木村菊二は、昭和46年、雑誌「労働の科学」26巻 9号において、「作業現場の石綿粉塵」と題する論文を発表した。同論文には、石綿板製造工場における石綿板切断に係る石綿粉じん濃度の測定結果が記載されているところ、これによれば、除じん装置がない場合で10.8~16.2本/㎤、除じん装置がある場合で7.4~10.0本/㎤であったとされている。(甲A5[11、15頁]) また、木村菊二は、昭和51年、第49回日本産業衛生学会・第20回日本産業医協議会において、「アスベスト粉塵の測定法についての検討」と題する講演を行った。同講演では、「最近の数年間に測定を行った」作業場における石綿粉じん濃度の測定結果が、①電動のこを使用して大型のアスベスト板を切断した場合において、吸じん装置作動中は2.89~2 5.08本/㎤、吸じん装置休止中は147.03~391.50本/㎤であり、②手動のこを使用して小型のアスベスト板を切断した場合において、0.31~2.55本/㎤あるいは0.11~0.38本/㎤であったとされている。(甲A5〔11、12、15頁〕)イ屋外建設作業に係る測定結果 (ア) 慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の東敏昭らは、昭和62年、「一般家屋壁材施工時の発塵状況調査結果」を公表した。この調査結果では、同年、一般個人用住宅建設時に、屋外で電動のこぎり又は丸のこを使用して防火サイディングの切断作業をする者につき測定時間を約2~3分として石綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した結果は、0.08本/㎤、 0.17本/㎤、0.20本/㎤、0.27本/㎤、0.27本/㎤、1. ィングの切断作業をする者につき測定時間を約2~3分として石綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した結果は、0.08本/㎤、 0.17本/㎤、0.20本/㎤、0.27本/㎤、0.27本/㎤、1. 16本/㎤、2.05本/㎤であった(除じん装置付き丸鋸や防じんマットの使用の有無といった条件に差はある。)(以下、この測定結果を「測定結果①」という。)。(乙アA91〔2~4頁〕)(イ) 花岡知之及び海老原勇は、平成10年、雑誌「労働科学」に「建設労働者のアスベスト曝露実態-個人住宅建設現場の環境調査成績-」と題する 論文を発表した。同論文では、昭和62年、屋外の木造住宅の建設現場において、防じん電動丸のこ、電動丸のこ又は手動のこぎりを使用して外壁材の切断及び張付けの作業をする者につき測定時間を129~203分として石綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した結果は、4件で0.94~1.58本/㎤であり、防じん電動丸のこを使用して外壁材の切断を中心 とする作業をする者につき測定時間を11~15分として個人ばく露濃度を測定した結果は、3件で2.3~6.7本/㎤であったとされている。 (甲A1514、以下、この測定結果を「測定結果②」という。)測定結果②は、海老原勇が平成19年に出版した書籍にも掲載されている(甲A108〔4~8頁〕))。 (ウ) 名古屋大学医学部衛生学教室の久永直見らは、昭和63年、雑誌「労働衛生」に「アスベストに挑む三管理環境管理と作業管理-建築業の現場を中心に-」と題する論文を発表した。同論文では、同年、屋根葺き用石綿スレートによる屋根葺き作業をする者につき測定時間を115分としてその者の鼻先で気中石綿粉じん濃度を測定した結果は、0.13本/㎤ であったとされている(以下、この測定結果を「 屋根葺き用石綿スレートによる屋根葺き作業をする者につき測定時間を115分としてその者の鼻先で気中石綿粉じん濃度を測定した結果は、0.13本/㎤ であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果③」という。)。 (甲A430〔28頁〕)(エ) 労働省労働基準局長は、平成4年1月1日付けで「石綿含有建築材料の施工作業における石綿粉じんばく露防止対策の推進について」と題する通達(同日基発第1号)を発出した。同通達に添付された資料では、「石 綿含有建築材料の施工における作業マニュアル」(後記(オ)の初版と考え られる。)を出典として、屋外で除じん装置付き電動丸のこを使用してスレートの施工作業をする者につき測定時間を各120分として石綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した結果は、4件で0.006~0.032本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果④」という。)。 (乙アB13〔221頁〕) (オ) 建設業労働災害防止協会は、平成9年に「改訂石綿含有建築材料の施工における作業マニュアル-石綿粉じんばく露防止のために-」を出版した(初版は平成4年)。このマニュアルでは、昭和62年から昭和63年にかけての測定結果として、屋外で除じん装置の付いていない電動丸のこ又はバンドソーを使用してスレート等の切断、葺上げ、張付け等の作業 をする者につき採取時間を32~180分として石綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した結果は、14件で0.01~0.31本/㎤(うち0. 15本/㎤以上のものは5件)であったとされ、昭和62年の測定結果として、屋外で除じん装置付き電動丸のこを使用して押出成形板の切断、葺上げ、張付け等の作業をする者につき採取時間を15~230分として石 綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した 和62年の測定結果として、屋外で除じん装置付き電動丸のこを使用して押出成形板の切断、葺上げ、張付け等の作業をする者につき採取時間を15~230分として石 綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した結果は、10件で0.002~0. 091本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果⑤」という。)。上記マニュアルには、屋外での石綿含有建材の切断作業に際しては、大気の拡散効果により、除じん装置を使用していなくても、風向き、天候によっては石綿粉じんの管理濃度の5分の1以下となり、作業者 に対してはばく露抑制となっている旨が記載されている。 (甲A248〔31、36、37頁〕)(カ) ドイツ産業職業協同組合連合本部は、1997年(平成9年)、石綿のばく露歴からばく露量を推定し、石綿原因の肺がんの労災認定を行う際のマニュアルとしてBKレポートを出版した。BKレポートでは、屋外で除 じん装置のない研削切断器を使用して行う配管工事において、管の切断1 0回、積み上げ、積み下ろし等の作業をした場合の繊維濃度90%値は2本/㎤、外壁化粧張りの作業をした場合の繊維濃度90%値は0.4本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果⑥」という。)。 なお、「BKレポート」の上記測定データは、「傷害保険組合関係の情報源から得た」ものと記載されているが、その元データや、測定条件の詳細 は不明である。(甲A492の1・2〔1、10、11頁〕)(キ) 平成17年に行われた第45回日本労働衛生工学会・第26回作業環境測定研究発表会の抄録集には、外山尚紀らによる建設現場における石綿含有建材加工時の気中石綿濃度に関する研究の報告が掲載されている。同報告では、屋根上でサンダーを使用して屋根用化粧スレートを加工する作 定研究発表会の抄録集には、外山尚紀らによる建設現場における石綿含有建材加工時の気中石綿濃度に関する研究の報告が掲載されている。同報告では、屋根上でサンダーを使用して屋根用化粧スレートを加工する作 業又は屋外で電動丸のこを使用してスレート若しくはサイディング材を加工する作業をする者につき採取時間を10~15分として石綿粉じんの個人ばく露濃度を測定した結果は、0.11本/㎤、0.14本/㎤、0.17本/㎤、0.25本/㎤であったとされている(以下、この測定結果を「測定結果⑦」という。)。(甲A499) (4) 電動工具の普及状況及び防じんマスクの着用状況ア電動工具の普及状況電動丸のこ、電動ドリルといった電動工具で建材を加工する場合、手工具で加工する場合に比して多量の粉じんが発散する。日本におけるこれらの電動工具の年間販売台数は、昭和43年に100万台、昭和48年に200万 台、昭和52年に300万台、昭和54年に400万台、昭和55年に500万台、昭和58年に600万台、平成2年に700万台まで増加し、その後も数百万台の販売台数を維持した。(甲A437の2、3、5、6、8、弁論の全趣旨)イ防じんマスクの着用状況 昭和60年頃の建設現場においても、大半の労働者は防じんマスクを着用 していなかった(甲A430〔30頁〕、乙マ28〔82頁〕、1009〔9、10頁〕)。 (5) 建設作業における石綿粉じんの発散(弁論の全趣旨)木造建物の建築工事において、大工や内装工等が石綿含有スレートボード等の石綿含有建材を切断する際に、石綿粉じんが発散した。また、左官工等がモ ルタルを作る際に、石綿又は石綿を含有する混和材を加えて攪拌することにより、石綿粉じんが発散し が石綿含有スレートボード等の石綿含有建材を切断する際に、石綿粉じんが発散した。また、左官工等がモ ルタルを作る際に、石綿又は石綿を含有する混和材を加えて攪拌することにより、石綿粉じんが発散した。設備工事においても、電工や配管工が石綿を含有するボードに穴を開ける際に、石綿粉じんが発散することがあった。 鉄骨造建物の建築工事においても、上記の木造建物の場合と同様に石綿粉じんが発散することがあったほか、吹付け材の吹付け作業の際に、ノズルから放 出された吹付け材の石綿粉じんが周囲に飛散することがあった。また、吹き付けられた石綿等を、配線・配管やエレベーター設置等のために削る際、石綿粉じんが発散することがあった。 建物の増改築工事や解体工事において、建物(建材)を解体する際に、建材に含まれる石綿が粉じんとなって発散することがあった。 このほか、保温工等が工場等における配管及び機械、焼却炉等への石綿含有保温材の取付け及び取替え等の作業において、石綿粉じんが発散することがあった。建設作業従事者は、自らが行った作業により発散し、又は飛散した石綿粉じんに直接的にばく露することがあったほか、同じ建設現場で他の者が行った作業によって発散し、又は飛散した石綿粉じんに間接的にばく露することも あった。 2 争点1(被告らの予見可能性の有無)について(1) 争点1(1)(予見可能性の有無とその時期)についてア上記認定事実のとおり、昭和33年3月頃には、石綿肺に関する医学的知見が確立し、昭和47年には、石綿粉じんにばく露することと肺がん及 び中皮腫の発症との関連性並びに肺がん及び中皮腫が潜伏期間の長い遅発 性の疾患であることが明らかとなっていた。 そして、国は、昭和48年通 にばく露することと肺がん及 び中皮腫の発症との関連性並びに肺がん及び中皮腫が潜伏期間の長い遅発 性の疾患であることが明らかとなっていた。 そして、国は、昭和48年通達において、石綿粉じんの抑制濃度を5μm以上の繊維として1㎤当たり5本としており、従前の1㎥当たり2mg(石綿の繊維数に換算すると1㎤当たり33本)から、石綿粉じん対策の指導を大幅に強化しているところ、通達発出の理由として、石綿が肺が ん、中皮腫等を発生させることが明らかとなったこと等により、各国の規制においても気中石綿粉じん濃度を抑制する措置が強化されつつあることが挙げられていた。 また、昭和50年までの建設現場は、我が国に輸入された石綿の約7割が建設現場で使用され、多量の粉じんを発散する電動工具の普及とあいま って、石綿粉じんにばく露する危険性の高い作業環境にあり、大半の労働者は防じんマスクを着用していなかったから、建設作業従事者には石綿粉じんにばく露することにより石綿関連疾患にり患する広範かつ重大な危険が生じていたと認められる。 被告らは、石綿販売企業として、国の規制に関して関心を有していたと 推認されるところ、上記のとおりの国の規制強化の流れを受け、また認定事実のとおりの世論や社会状況を踏まえれば、石綿含有建材の危険性についても関心を有し、上記のとおり日本にも紹介された医学的知見を把握していた若しくはこれを把握すべきであったといえる。 以上の諸点に照らすと、被告らは、遅くとも昭和48年には、石綿含有 建材が屋内の建設作業従事者に対して石綿関連疾患を惹き起こす危険性について予見可能性があったと認めるのが相当である。 イ原告らは、石綿建材の危険性について、どんなに遅くとも医 綿含有 建材が屋内の建設作業従事者に対して石綿関連疾患を惹き起こす危険性について予見可能性があったと認めるのが相当である。 イ原告らは、石綿建材の危険性について、どんなに遅くとも医学的知見の確立した昭和40年や海外で濃度規制を含めた総合的な対策がなされた昭和47年には予見可能性があったとも主張する。しかし、低濃度の場合を 含む石綿含有建材へのばく露が各石綿関連疾患を惹き起こすという医学的 知見が確立し、これが日本に紹介されて被告らも認識可能になった時期としては前記認定事実のとおり、昭和48年と解するのが相当であり、同年の国の規制強化の動きと相まって被告らの予見可能性を判断すれば、予見可能な時期は上記のとおりと解されるから、原告らの主張は理由がない。 ウ被告らの中には、石綿のうちクリソタイルについては石綿関連疾患への 罹患の危険性が少ないなどとして予見可能性を否定すべきである旨主張する企業もある。しかし、前記1(1)キのとおり、昭和47年のIARC報告以降、クリソタイルが肺がんや中皮腫を惹起し得る旨の医学的知見は国際機関によって示されており、その中皮腫へのリスクがクロシドライトやアモサイトに比べて低いとされていたとしても、アンソフィライトのように そのリスクが否定されていない以上、被告らの石綿製品の危険性の予見可能性は否定できず、上記の主張を採用することはできない。 また、被告らは、国に比べて調査能力・情報収集能力に乏しい被告らの予見可能性は、国の規制権限の不行使が違法となる時期と判断された昭和50年10月1日より後であると主張するが、最高裁判決(神奈川一陣判 決)においても国の予見可能時期は昭和48年とされており、その頃には上記認定のとおり、国の石綿に関する規 期と判断された昭和50年10月1日より後であると主張するが、最高裁判決(神奈川一陣判 決)においても国の予見可能時期は昭和48年とされており、その頃には上記認定のとおり、国の石綿に関する規制強化の流れは明らかであり、医学的知見も確立していたのだから、その調査の期間を踏まえても被告らの予見可能性は上記のとおり認められる。被告らの上記主張を採用することができない。 (2) 争点1(2)(屋外作業員に関する予見可能性の有無)についてア原告らが病因建材として主張する建材のうち、建材番号全体が外装材に当たるのは、石綿含有押出成形セメント板(建材番号22)、石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)、石綿含有窯業系サイディング(建材番号35)及び石綿含有スレート波板(建材番号37~39)であるが、これ らの建材は遅くとも平成16年中には製造が終了しているから、昭和48年 から平成16年までの間において、被告らが屋外建設作業に従事する者に石綿関連疾患にり患する危険が生じていることを認識することができたかを検討する。 イ国は、石綿粉じんの濃度について、前記1(2)アのとおり、昭和48年通達により、抑制濃度の規制値を5本/cm3と指導することを指示し、昭和50年、 労働省告示により抑制濃度の規制値を5本/cm3と定め、昭和51年、労働省労働基準局長通達で、当面、2本/cm3(クロシドライトにあっては0.2本/cm3)以下の環気中粉じん濃度を目途とするように指導することを指示し、昭和59年、同局長通達で、管理濃度を2本/cm3とし、昭和63年、労働省告示により管理濃度を2本/cm3と定め、平成16年10月1日、労働省告示 により管理濃度を0.15本/cm3と定めた。 ウ屋外における石 管理濃度を2本/cm3とし、昭和63年、労働省告示により管理濃度を2本/cm3と定め、平成16年10月1日、労働省告示 により管理濃度を0.15本/cm3と定めた。 ウ屋外における石綿粉じん濃度の測定結果としては、前記1(3)イの測定結果①~⑦があるところ、そのうちの測定結果①及び測定結果②は2本/cm3を超えているものがあるものの、いずれの測定結果も主に石綿含有建材の切断作業をする者につきその作業をする限られた時間の個人ばく露濃度を測定 したものであり、この測定結果をもって、屋外建築作業に従事する者が就業時間を通じて当該濃度の石綿粉じんにばく露していたということはできない。 エ日本産業衛生協会は、平成13年、石綿を発がん物質と分類し、評価値として0.15本/cm3を勧告したが、その意味は、労働者が1日8時間、週4 0時間程度、50年間にわたり0.15本/cm3のクリソタイルのみの石綿粉じんにばく露したときに、1000人に1人、過剰発がんリスクが発生するというものである(前記1(2)イ(エ))。そうすると、上記の数値以上の濃度の石綿粉じんに短時間ばく露することにより、直ちに上記の過剰発がんリスクが発生するというものではない。また、測定結果①、②、⑤~⑦には0. 15本/cm3以上のものが相当数あるが、測定結果①、②及び⑤については主 に石綿含有建材の切断作業をする者につきその作業をする限られた時間の個人ばく露濃度を測定したものであり、測定結果⑥については測定時間等の測定条件の詳細が明らかでないから、これらの測定結果をもって、屋外建築作業に従事する者が就業時間を通じて当該濃度の石綿粉じんにばく露していたということはできない。測定結果⑦は平成17年に報告されたものであ って、平成1 いから、これらの測定結果をもって、屋外建築作業に従事する者が就業時間を通じて当該濃度の石綿粉じんにばく露していたということはできない。測定結果⑦は平成17年に報告されたものであ って、平成16年厚生労働省告示が発出される前に、被告らが認識し得なかったものである。そして、測定結果③及び④は、いずれも0.15本/cm3を下回るものである。 前記1(3)によれば、屋外建設作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果①~⑦は、全体として屋内の作業に係る石綿粉じん濃度の測定結果を大きく下回る ところ、これは、屋外の作業場においては、屋内の作業場と異なり、風等により自然に換気がされ、石綿粉じん濃度が薄められるためであると考えられる。したがって、屋外建設作業に従事する者が、石綿含有建材の切断作業をする限られた時間に切断箇所に顔を近付けて作業をすることにより高い濃度の石綿粉じんにばく露する可能性があるとしても、就業時間を通じて屋内 の作業場と同程度に高い濃度の石綿粉じんにばく露し続けると直ちにいうことはできない。 オ以上によれば、測定結果①~⑦のなかに0.15本/cm3を上回るものがあるとしても、石綿含有建材を製造・販売していた被告らにおいて、昭和48年から平成16年までの間において、屋外建設現場における建設作業 従事者との関係で、その者が当該建材から発散される石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患にり患する危険性を具体的に予見することができたと直ちに認めることはできない。(京都1陣判決、大阪1陣判決参照)カ建物の外部へ設置される外装材については一般的に屋外でその加工や施工等を行うものと推認できるから、上記に照らせば、外装材を製造販売し ていた被告らにおいて、建設作業現場において外装材を使用する者との関 される外装材については一般的に屋外でその加工や施工等を行うものと推認できるから、上記に照らせば、外装材を製造販売し ていた被告らにおいて、建設作業現場において外装材を使用する者との関 係で、その者が当該外装材から発散される石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患にり患する危険性を具体的に予見することができたと認めることはできない。 よって、建材番号全体が外装材に当たる石綿含有住宅屋根用化粧スレート(建材番号33)を病因建材とされる被告ケイミュー、被告クボタ及び被告 パナソニック並びに石綿含有窯業系サイディング(建材番号35)を病因建材とされる被告AGC、被告ケイミュー及び被告クボタ、石綿含有スレート波板(建材番号37~39)を病因建材とされる被告エーアンドエーマテリアル、被告ウベボード、被告ノザワについて、同被告らは同建材に関しての予見可能性が認められない。もっとも、証拠(甲A2167、2176、甲 C29の638~640、642~646、乙イ4、乙ラ6、31、乙シ56の8)によれば、押出成形セメント板は、昭和51年以降外壁とともに耐火間仕切壁に使用されていたこと、作業形態として、屋外のみならず屋内でもその加工等の作業をする場合があることが認められる。そうすると、押出成形セメント板を製造・販売する被告ノザワ及び被告エムエムケイは、遅く とも昭和51年頃には押出成形セメント板を屋内で加工等する建設作業従事者と関係で、当該建材から発散される石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患に罹患する危険性を具体的に予見することができたと認められる。 また、原告ら主張の責任建材のうち、内装材・外装材の両方の用途が予定される建材について、これを製造していた被告らは、これを外装材として施 工した建設作業者との間で ことができたと認められる。 また、原告ら主張の責任建材のうち、内装材・外装材の両方の用途が予定される建材について、これを製造していた被告らは、これを外装材として施 工した建設作業者との間で予見可能性がないのは上記と同様であるが、同建材が内装材として用いられる場合の予見可能性があることは前記のとおりであるから、同建材についての被告らの責任の有無はなお検討する必要がある。 キ原告らは、測定結果①~⑦の中には上記基準値を超えるものもあり、ばら つきがあることやNHKの番組で屋外作業の危険性が指摘されていたこと から予見可能性があると主張する(この点、被告エム・エム・ケイは後者に関する原告ら準備書面(企業―24)第2編の主張及び証拠(甲A789の1~790)の提出は時機に後れた攻撃防御方法であり却下されるべきと主張するが、当該主張及び証拠は訴え提起時から主張されている被告ら製造の建材の危険性に関する予見可能性の主張の補充ないし裏付けに過ぎず、これ により訴訟の完結を遅延されることとなるとは認められないから、その主張は採用することができない。)。そこで原告らの主張について検討すると、予見可能性を認めるに当たっては当時認められる医学的知見、規制の程度等から被告ら企業が製造している石綿含有建材からの粉じんのばく露によって生命・身体に危険が及ぶことを認識している必要があり、一部基準値を超 える測定結果があることやNHKの番組で屋外作業の危険性が指摘されていたことだけで直ちにこの危険を認識できたわけではなく、上記測定結果全体を考慮すれば、屋外作業についての危険性は低く、予見可能性がないことは上記のとおりであり、その指摘は上記結論を左右するものではない。 ク原告らは、九州においては屋外作業のみに従事する 定結果全体を考慮すれば、屋外作業についての危険性は低く、予見可能性がないことは上記のとおりであり、その指摘は上記結論を左右するものではない。 ク原告らは、九州においては屋外作業のみに従事する者は存在せず、各従事 者が内装・外装ともに請け負ったという特徴があるから、その加工作業を屋内で行った可能性があるし、他の建材との累積被ばくの危険性は認識し得たと主張する。しかし、前記カで述べたとおり、外装材の加工作業については、基本的には屋外で行われると推認され、内装の作業を行うことが必ずしも外装材の作業を屋内でするということはできず、原告らが外装材を扱ったと述 べる職種(大工、塗装工、解体工)の本件被災者(本件被災者番号2、4、6、9、20、25)について、外装材の加工を屋内で行ったという事実は証拠上認められず、原告らが指摘する九州内の建設作業従事者の陳述(甲A1541~1544)も屋外作業におけるばく露状況や屋根のない倉庫での作業等を述べたもので、屋内での作業を行ったことを裏付けるものではない。 そうすると、原告らが主張するような外装材の屋内での加工作業の可能性を 直ちに認めることができないし、そのような作業態様が時にあり得たとしても、被告らに警告義務を生じさせるような態様とは認め難く、その主張は採用することができない。 ケ原告らは、屋外作業につき低濃度であっても累積ばく露事案として危険の予見可能性があるとも主張するが、石綿の累積被ばくが人体に危険をもたら すことは予見可能であるものの、後述する石綿製造企業らの注意義務を発生させる予見可能性を肯定するためには、自己の建材が累積ばく露に僅かでも関与するだけでは足りず、自己の建材による被ばくが一定の危険性を有して累積ばく露に貢献するものであることを認 業らの注意義務を発生させる予見可能性を肯定するためには、自己の建材が累積ばく露に僅かでも関与するだけでは足りず、自己の建材による被ばくが一定の危険性を有して累積ばく露に貢献するものであることを認識する必要があるから、累積ばく露への関与が予想されることだけから、自己の建材によるばく露だけでは石 綿関連疾患をもたらす危険性の低い外装材の製造企業についての予見可能性を認めることはできず、その主張は採用することができない。 3 争点2(被告らの注意義務違反の有無)について(1) 争点2(1)(被告らの販売製造一時中止義務違反及び販売製造禁止義務違反の有無)について ア原告らは、遅くとも昭和47年から昭和61年までには、被告らには石綿含有建材の製造・販売を中止又は禁止すべき義務があった旨主張する。 イ前記認定事実によれば、昭和47年のIARCの報告により石綿の発がん性等が指摘されて、同報告は翌年には日本で紹介されていることが認められるが、同報告をもって、石綿の製造等を直ちに禁止すべきとの考え方が示さ れたとはいえず、これを受けて石綿の製造等の禁止措置を直ちに採った国があると認めるに足りる証拠はない(前記1(1)キ、乙アA142)。また、昭和61年のILO石綿条約においてもクロシドライト以外の石綿の吹付け作業以外の使用は一定の管理の下で使用することを定めており(前記1(1)シ)、平成元年のWHOの報告書においても、少なくともクリソタイルにつ いては使用を継続することができるとの考え方を採っており(前記1(1)ス)、 証拠上、国際的にクリソタイルを含む石綿の全面的な使用禁止を合意するに至ったのは平成18年のILO総会と認められる(前記1(1)セ)。 加えて、国内においては、前記認 (1)ス)、 証拠上、国際的にクリソタイルを含む石綿の全面的な使用禁止を合意するに至ったのは平成18年のILO総会と認められる(前記1(1)セ)。 加えて、国内においては、前記認定事実のとおり、昭和46年以降石綿粉じん濃度の規制が行われ、代替措置や管理使用に関する規制も順次進められてきたと認められ、上記国際的潮流と併せ鑑みれば、これらの規制を前提に しても石綿の管理使用の実現が不可能であり、石綿ばく露による人体への危険を防ぐためには製造禁止を行うべきであったと被告らが予見すべき事情があったとは認められない。 以上のとおり、石綿の使用を全面的に禁止すべきとの知見が確立したといえるのは原告らが指摘する時点より相当程度後であると認められ、国の規制 状況を踏まえても、石綿の管理使用において、被告らの販売製造禁止義務を生じさせる危険は認められず、このような中で、上記時点において、被告らが、直ちに石綿含有建材の製造・販売の一時中止・禁止義務及び販売製造禁止義務を負っていたということはできない(なお、後記のとおり被告らは昭和50年1月1日以降警告表示義務を負うものと認められるので、上記時点 以降販売製造一時中止義務及び販売製造禁止義務を負うか否かについては判断しない。)。 (2) 争点2(2)(被告らの警告義務違反の有無)についてア警告義務の有無・内容被告らが製造・販売する石綿含有建材は、その性質上、切断や加工等の 際に石綿粉じんを発散し、石綿粉じんにばく露した者が石綿関連疾患にり患する危険性のある製品であるから、石綿含有建材を製造・販売をしていた被告らにおいて、建設作業従事者が当該建材から発散される石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患にり患する危険性を具体的に予見することができ 危険性のある製品であるから、石綿含有建材を製造・販売をしていた被告らにおいて、建設作業従事者が当該建材から発散される石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患にり患する危険性を具体的に予見することができた場合には、石綿含有建材を製造・販売をしていた被告らは、当該建設 作業従事者との関係で、当該建設作業従事者の生命・身体・健康という重 要な法益への侵害を防止するために、その製造・販売する石綿含有建材に内在する危険性の内容及び回避手段について、当該建設作業従事者に対し警告すべき義務を負うものというべきである。 石綿関連疾患は人の生命・身体に重大な危険を及ぼすものであるから、その危険性を具体的に予見することができた被告らにおいては、石綿含有建材 を購入又は使用する者に対しその危険性に関する情報を正しく伝達し、適切な予防策を具体的に認識させることで、危険を生じさせないようにする必要があったというべきであり、石綿含有建材の流通形態等を踏まえれば、警告の具体的な方法としては、①建材に石綿が含有されていること、②石綿粉じんを吸引すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する 危険性があること、③上記危険を回避するために、当該建材を取り扱う際には適切な防じんマスクを着用する必要があること等を、当該建材に明確かつ具体的に表示することが要求され、取り扱う作業者の目に確実に触れるように、個々の建材自体(又はその最小単位の包装)にラベルを貼付すること等により表示すべき警告表示義務を負うものというべきである。 イ警告義務の期間(ア) 上記のとおり、石綿含有建材(外装材は除く。)を製造・販売していた被告らは、昭和48年には、少なくとも、屋内建設現場における建設作業従事者との関係で、当該建材から発散 警告義務の期間(ア) 上記のとおり、石綿含有建材(外装材は除く。)を製造・販売していた被告らは、昭和48年には、少なくとも、屋内建設現場における建設作業従事者との関係で、当該建材から発散される石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患にり患する危険性を具体的に予見することができたところ、 これを予見した後、上記の警告表示をするまでには、企業としてその対応策を検討し、各製品にそれを履践することに一定の期間を要するものと認められる一方で、その措置は上記のとおり、石綿含有建材の性質を変更するものではないことからすればどんなに長くとも2年を超えないものと推認され、上記被告らは、昭和50年1月1日には、屋内建設現場 における建設作業従事者との関係で、自らが製造・販売した石綿含有建 材の危険性及びその回避手段について警告すべき義務(警告表示義務)を負担することになったというべきである。 被告らは、国に比べて調査能力・情報収集能力に乏しい被告らの義務の発生時期は、国の規制権限の不行使が違法となる時期と判断された昭和50年10月1日より後であると主張するが、調査能力等を踏まえて も被告らの予見可能時期は昭和48年となることは上記のとおりであり、国の特化則の施行の時期まで上記義務の発生を待つ理由はないことから、これを国の義務発生時期と合わせるべきであるという被告らの主張は採用することができない。他方、原告らは、警告表示義務の発生時期をどんなに遅くとも昭和47年と主張するが、上記のとおり被告らの予見可能 性が認められるのは昭和48年であり、その後の対応に一定の期間を要することは上記のとおりであるから、警告表示義務の発生時期を昭和5 主張するが、上記のとおり被告らの予見可能 性が認められるのは昭和48年であり、その後の対応に一定の期間を要することは上記のとおりであるから、警告表示義務の発生時期を昭和50年1月1日とすべきであり、原告らの上記主張は採用することができない。 (イ) 上記アの警告義務(警告表示義務)は、石綿含有建材の製造・販売に伴 って課されるものであるから、当該石綿含有建材の製造・販売を終了した時が終期となり(石綿等の製造は平成18年9月1日に施行された安衛令で全面的に禁止されたところ、それ以降も被告らが石綿含有建材の製造・販売を続けたと認めるに足りる証拠はない。したがって、製造・販売期間が不明な製品に関しても、遅くとも同年8月31日が警告義務の終期とな る。)、被告らが責任を負う可能性のある期間(以下「責任期間」という。)は昭和50年1月1日から平成18年8月31日である。 ウ警告表示義務を負担する相手方の範囲(ア) 後続作業者、間接ばく露者等前記のとおり、被告らの製造・販売する石綿含有建材は、その性質上、 加工等の際に石綿粉じんを発散し、その粉じんにばく露した者が石綿関連 疾患にり患する危険性のある製品であるところ、屋内建設現場において石綿含有建材が一旦使用された後に、当該工事において、必要な限度で吹付け材を剥がすといった作業や当該建材に配線や配管のため穴を開ける作業等が実施され、その作業等を実施する者が発散した石綿にばく露したり、石綿粉じんの発散を伴う作業が行われている現場の近辺で他の作業等(建 築資材の運搬を含む。)が実施され、その近辺で当該工事に係る作業等を実施する者が発散した石綿にばく露することはあり得ることであり、石綿含有建材を製造・販売する ている現場の近辺で他の作業等(建 築資材の運搬を含む。)が実施され、その近辺で当該工事に係る作業等を実施する者が発散した石綿にばく露することはあり得ることであり、石綿含有建材を製造・販売する被告らにおいても、このような屋内建設現場における作業実態を予見することができなかったとは考え難い。そして、屋内建設現場において、当該建材が石綿を含有しており、当該建材から生ず る粉じんを吸入すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があることは、石綿含有建材に付された上記の表示を契機として、当該工事を監督する立場にある者等を通じて、一旦使用された石綿含有建材に後から作業をする者等にも伝達することが可能であり、かつ、伝達されるべきものであるところ、そもそも、上記の表示がされていなけ れば、当該工事を監督する立場にある者等が当該建材に石綿が含有されていること等を知る契機がなく、上記の危険があることを伝達することもできないのである。これらのことからすれば、石綿含有建材の製造・販売する者が、建物の工事において、当該建材を建物に取り付ける作業等のような当該建材を最初に使用する際の作業に従事する者に対する義務として、 当該建材が石綿を含有しており、当該建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺、肺がん、中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること等を当該建材に表示する義務を負う場合には、当該義務は、上記の者に対する関係においてのみ負担するものではなく、屋内建設現場において当該建材が一旦使用された後に、当該工事において、必要な限度で吹付け材 を剥がすといった作業や当該建材に配線や配管のため穴を開ける作業等 をする者や石綿粉じんの発散を伴う作業が行われている現場の近辺で他の作業等を実施する者 、必要な限度で吹付け材 を剥がすといった作業や当該建材に配線や配管のため穴を開ける作業等 をする者や石綿粉じんの発散を伴う作業が行われている現場の近辺で他の作業等を実施する者に対する関係においても負担するものと解するのが相当である。(神奈川1陣判決参照)被告らは、被告らが二次加工メーカーに出荷した建材の警告義務は当該二次加工メーカーが負うべきものであるから、被告らは同義務を負わない とも主張する。しかし、被告らが警告義務を果たすことで二次加工メーカーも後続の建設作業従事者に対し、その警告を伝えることができるものと推認され、このように発生した被告らの警告義務は、その間に他の義務者が入ったことで消滅するものではないからその主張は採用することができない。 (イ) 建物の解体作業従事者a 原告らは、石綿含有建材を製造・販売する被告らは、当該建材が使用される建物の解体作業従事者に対しても上記の警告義務(警告表示義務)を負担している旨主張する。この点、被告エム・エム・ケイは、原告らが準備書面(企業―24)第3編で主張した解体工事の専門業者の意見 及びその根拠となる証拠(甲A793の1~794の2、1550、1551)の提出は時機に後れた攻撃防御方法であり却下されるべきと主張するが、その主張は前記のとおり採用することができない。 そこで原告らの上記主張について検討するに、石綿含有建材の中には、吹付け材のように当該建材自体に警告情報を記載することが困難なも のがある上、その記載をしたとしても、加工等により当該記載が失われたり、他の建材、壁紙等と一体となるなどしてその視認が困難な状態となったりすることがあり得る。また、建物において石綿含有建材が使用される部位や態様は様々である としても、加工等により当該記載が失われたり、他の建材、壁紙等と一体となるなどしてその視認が困難な状態となったりすることがあり得る。また、建物において石綿含有建材が使用される部位や態様は様々であるから、警告情報を記載したシール等を当該建材が使用された部分に貼付することが困難な場合がある上、その貼 付がされたとしても、当該シール等の経年劣化等により警告情報の判読 が困難な状態となることがあり得る。警告情報を記載した注意書及びその交付を求める文書を石綿含有建材に添付したとしても、当該建材が使用された建物の解体までには長期間を経るのが通常であり、その間に当該注意書の紛失等の事情が生じ得るのであって、当該注意書が解体作業従事者に提示される蓋然性が高いとはいえない。そして、被告らは、建 材メーカーであり、上記の貼付又は交付等の実現を確保することはできず、石綿含有建材を製造・販売するに当たり、解体作業従事者が石綿粉じんにばく露する危険を回避するための警告情報の表示方法として、実効性等の高い表示方法があったということもできない。加えて、被告らは、その製造・販売した石綿含有建材が使用された建物の解体に関与し 得る立場になく、建物の解体作業は、当該建物の解体を実施する事業者等において、当該建物の解体の時点での状況等を踏まえ、あらかじめ職業上の知見等に基づき安全性を確保するための調査をした上で必要な対策をとって行われるべきものということができる。 以上によれば、被告らが、石綿含有建材を製造・販売するに当たり、 当該建材が使用される建物の解体作業従事者(建物の全面解体や一部解体のみならず、建物の改修に伴う解体作業に従事する者も含む。)に対し、上記アの警告義務(警告表示義務)を負っていたということはできない( 建材が使用される建物の解体作業従事者(建物の全面解体や一部解体のみならず、建物の改修に伴う解体作業に従事する者も含む。)に対し、上記アの警告義務(警告表示義務)を負っていたということはできない(神奈川2陣判決)。 原告らは、建物の解体作業従事者に対しても警告表示は可能である旨 主張し、裏付ける証拠として解体業者の意見書(甲A793、794の各1、2)を提出する。しかし、仮にこれらの意見書において指摘されているとおり、建材の説明書や仕様書等に石綿使用の有無を記載したり、建材そのものに表示することができたとしても、解体事業従事者に対する関係で実現性又は実効性のある警告表示となり得るか否かは前記の とおりなお疑問であるし、建材メーカーにおいて解体事業者に対して説 明書の交付の実現を確保することはできない。そして、被告ら建材メーカーは建物の解体に関与し得る立場にないし、完成後の建築物における石綿含有建材の使用状況は個々の建築物により異なり、複数種の石綿含有建材が出荷時と異なる形態で使用されることが多いと考えられることからすれば、解体事業者において必要な対策を講じるのが実際的であ ると言わざるを得ない。原告らの上記主張は採用することができない。 被告らは、解体作業従事者と同様の理由により、改修作業に携わった者に対しても一律に警告義務(警告表示義務)が認められないと主張するが、改修作業のうち解体作業に従事した者については上記の理由が当てはまるのに対し、改修作業のうち新しい建材を使用・加工した者に対 しては、新築工事と同様に被告ら製造の建材を新たに用いるものであり、その警告の実効性を担保することができるのであるから、そのような作業に従事した者に対しては、なお警告義務(警告表示義務)を負ってい しては、新築工事と同様に被告ら製造の建材を新たに用いるものであり、その警告の実効性を担保することができるのであるから、そのような作業に従事した者に対しては、なお警告義務(警告表示義務)を負っていたと解するのが相当であり、改修作業について一律に警告義務を否定する被告らの主張は採用することができない。 b 原告らは、解体・改修作業従事者について、建設作業においては新築・中古建物に対する施工があること、その現場では解体・改修工事による石綿被ばくの危険があることは容易に予見可能であるから、被告らにはこれらの作業従事者への危険を防ぐためにより広い態様・時期(特に建材の製造・販売後に判明した知見に基づく事後)の警告義務違反があると主張す る。しかし、前記のとおり、建物の解体作業に従事する者の石綿粉じんへのばく露については、被告らの表示による結果回避可能性には疑問があり、当該建物の解体を実施する事業者等において、当該建物の解体の時点での状況等を踏まえ、あらかじめ職業上の知見等に基づき安全性を確保するための調査をしたうえで必要な対策をとって行われるべきものである。そし て、前記のとおり、警告義務は石綿含有建材の製造・販売に伴って課され るものであるから、当該石綿含有建材の製造・販売を終了した時が終期となるものであって、製造販売の終了後まで警告義務を認めるべき法令上の根拠は存しない。原告らの上記主張は採用することができない。 エ被告らにおける警告義務の履行の有無被告らのうち警告表示義務を負担していた者が石綿含有建材を製造販売 するに当たり、前記アで述べた警告表示義務を履行したものとは証拠上認めることができない。 被告ニチアス、被告エーアンドエーマテリアル及び被告エム・エム・ケイは、自社の製造・ 有建材を製造販売 するに当たり、前記アで述べた警告表示義務を履行したものとは証拠上認めることができない。 被告ニチアス、被告エーアンドエーマテリアル及び被告エム・エム・ケイは、自社の製造・販売した石綿含有建材に「a」マークを付すこと等で警告表示を行った旨主張するが、上記マークは、当該建材に石綿が含有されてい る事実を表示するにとどまるものであるから、これを付しただけでその義務を履行したとはいえない。 被告日鉄ケミカル&マテリアルは、吹付け施工を行う認定特約店に行わせ、施工の際の指導を行ってきたと認められるが(乙チ6、7、11~13)、これが上記警告義務を満たす内容であったこと及びその後続作業者など被 告日鉄ケミカル&マテリアルが警告義務を負う本件被災者に伝わったことを認めるに足りる証拠はない。 被告太平洋セメントは、同社製品を系列化された特定の吹付け施工業者に販売し、かかる業者には養生の設置や防じんマスクの着用に不備がないか等について指導していたと認められるものの(乙ニ32、42)、ここから全 ての同社製品が同社において管理する施工業者に販売・施工されていたとまでは認められない。また、被告らの義務が吹付け施工業者のみでなく、その付近での作業者や後続作業従事者にも発生することは上記のとおりであるから、特定の吹付け施工業者への上記指導だけでは、被告太平洋セメントがその警告義務を履行したとはいえない。 被告エーアンドエーマテリアルは、昭和50年以降、上記「a」マークの 添付に加えて、JIS規格、取扱注意事項及び加工上の注意事項の添付により、必要な警告義務を果たしていたと主張するが、これを認めるに足りる証拠もこの内容が上記警告義務を満たす内容であったと認めるに足 添付に加えて、JIS規格、取扱注意事項及び加工上の注意事項の添付により、必要な警告義務を果たしていたと主張するが、これを認めるに足りる証拠もこの内容が上記警告義務を満たす内容であったと認めるに足りる証拠もない。 4 争点3(各建材の到達について)について (1) 争点3(1)(到達の立証方法一般)について本件被災者が、ある石綿含有建材を取り扱っており、かつ、当該石綿含有建材のうち特定の被告の製造販売したものが、当該本件被災者の現場に相当回数にわたり到達して用いられたとの事実(以下「現場到達事実」という。)が認められる場合には、当該本件被災者が特定の被告の製造販売した石綿含 有建材から生じた粉じんにばく露しており、ひいては、被告らは当該本件被災者の石綿関連疾患の発症に何らかの寄与をしているということができるのであるから、被害者保護の見地から、民法719条1項後段が適用される場合との均衡を図って、同項後段の類推適用により、因果関係の立証責任が転換されると解するのが相当である(神奈川1陣判決参照)。 原告ら主張の現場到達事実の立証方法(前記3(1)原告らの主張)は、相応の合理性を有する(東京1陣判決参照)ところ、以下では、原告ら主張の病因建材に関して被告らが責任企業となり得るか(争点(3)建材番号毎の原因企業の特定、原告ら主張の到達の立証方法ウ)をまず検討し、次に各本件被災者の職種・個別事情に照らして、その病因建材及び責任企業の有無を検討す る(争点3(2)各職種と関わりのある建材の特定、争点3(4)各本件被災者への各建材の到達の有無、原告ら主張の到達の立証方法イ、エ、オ)。 (2) 争点3(3)(建材番号毎の責任企業の特定)について(原告ら主張の病因建材に関 る建材の特定、争点3(4)各本件被災者への各建材の到達の有無、原告ら主張の到達の立証方法イ、エ、オ)。 (2) 争点3(3)(建材番号毎の責任企業の特定)について(原告ら主張の病因建材に関して被告らが責任企業となり得るか)アシェアを用いた責任企業(候補)の選定は、建材のシェアが高ければ高い ほど、また、本件被災者の作業現場が多ければ多いほど、現場到達事実が認 められる蓋然性が高くなるという経験則に基づくものである。そして、本件被災者が作業を実施した建設現場の数は、職種や現場の規模等によって、1つの現場に要する時間の長さは異なるし、石綿含有建材を取り扱う時間の長さも異なると考えられるから、一概にはいえないものの、原告らは、本件被災者の多くは長年にわたり建設作業に従事し、石綿含有建材を取り扱った期 間も短期間ではないと主張し、その主張が認められるのであれば、本件被災者が作業を実施した建設現場の数も相当多数に上るはずである。そして、例えば、特定の石綿含有建材が作業現場で用いられる確率が10%、本件被災者の作業現場数が20~30か所である場合(作業現場数が1か所であっても、当該作業現場で20~30回作業した場合も含む。)、当該建材が作業 現場に1回でも到達する可能性は約88%~96%になるのであるから、原告らが主張するシェア10%は、一応の合理性を有する数値であると考えられる。 この点について、被告らの中には、シェアの計算の際に、非石綿化製品、用途が共通の製品又は代替製品を考慮すべきと主張する企業が存するが、こ れらの事情やその考慮の仕方に関する主張は、建材の種類によって異なるから一律に判断できるものではなく、以下個別の建材番号のシェアの認定や、個々の本件被災者に関す と主張する企業が存するが、こ れらの事情やその考慮の仕方に関する主張は、建材の種類によって異なるから一律に判断できるものではなく、以下個別の建材番号のシェアの認定や、個々の本件被災者に関する責任企業の検討の際に、適宜検討する。 イ耐火被覆材について(ア) 原告らが耐火被覆材として分類した吹付け材(石綿吹付け材)は、 石綿をセメント等の結合材と水に混合して、直接吹き付けて使用する建材である。吸音、断熱、結露防止、耐火等に優れており、昭和31年頃から各目的で学校、ビル、ホテル、劇場等の大型建築において、使用され、昭和42年頃から建築物の高層ビル化と鉄骨構造化が進み、耐火被覆目的で鉄骨に吹き付けられた。 昭和50年に改正された特化則は、石綿含有率5%を超える石綿含 有製剤を吹き付ける作業を原則として禁止したため、吹付け石綿(建材番号1)の使用期間は、耐火被覆用のものが昭和38年頃から昭和50年まで、吸音・断熱用のものが昭和30年頃から昭和50年までとされ、代替製品として、石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)や湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)が、同様の用途で使われ た(その方式の違いから建材番号2を「乾式」、建材番号3を「湿式」と区別して呼ぶこともあった)。 (甲A36〔14頁〕、36の2〔8、12~15頁〕、395〔6~11頁〕、乙ケ40、弁論の全趣旨)石綿含有建材(吹付け材を含むが、外装材は除く。)の製造・販売 をしていた被告らが、屋内建設現場における建設作業従事者との関係で、自らが製造・販売した石綿含有建材の危険性及びその回避手段について警告すべき義務を負担することになったのは昭和50年1月1日であるから、以下、同年以降 屋内建設現場における建設作業従事者との関係で、自らが製造・販売した石綿含有建材の危険性及びその回避手段について警告すべき義務を負担することになったのは昭和50年1月1日であるから、以下、同年以降のシェアについて検討する。 (イ) 吹付け石綿(建材番号1)について 吹付け石綿(建材番号1)については上記のとおり、昭和50年の特化則による作業の禁止を受けて昭和50年に製造販売が終了したものと認められ、このように製造販売終了となった建材がその後新築建物の現場に流通したものとはにわかに認め難く、昭和50年以降の被告らの責任期間の中で、本件被災者の就労期間と同製品の販売期間が 重なる期間はどんなに長くとも1年を超えないものと認めるのが相当であり、このような期間の重なりでは現場到達事実を認定するには足りないから、当該建材についてシェアを検討する必要を要しない。 (ウ) 石綿含有吹付けロックウール及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号2、3)について a 上記のとおり、吹付け石綿(建材番号1)を製造していた被告らは、 昭和50年までに当該製品の製造を中止し、同年以降の流通量は相当程度減少していたことが推認されることからすれば、同年以降のシェアの認定に当たり、吹付け石綿(建材番号1)と吹付けロックウール(石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号3))を合算して検討する必要はない。 他方、石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)は、用途が重なる部分があり、業界におけるシェアの集計も合算して行われていたものと認められるから、これを合算してシェアを検討することが相当である。当該建 号2)及び湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)は、用途が重なる部分があり、業界におけるシェアの集計も合算して行われていたものと認められるから、これを合算してシェアを検討することが相当である。当該建材について、原告ら主張の責任企業のシェアをみると、証拠(甲A2167、21 76及び2177)によれば、そのシェアは別紙8シェア一覧表1の「原告らの主張」以下のとおり(ただし、原告が昭和51年のシェアと主張する数値については昭和49年の推定値と認められ(甲A2167)昭和52年の数値は耐火被覆目的のシェアに限られると認められる(甲A2177))と認めるのが相当である。 b 被告日鉄ケミカル&マテリアルは、自社製品の販売数量に係る内部資料に基づいて同被告の製品の製造期間(昭和43年~昭和53年)のシェアが平均で5.8%であると主張し、その証拠として報告書(乙チ14)を提出する。同報告書は、被告日鉄ケミカル&マテリアルの内部資料に基づく同社製品の販売量(t)を分子とし、当時のロック ウール吹付け材(吸音断熱用と耐火被覆用を含む。)全体の施工面積(㎡)を生産量(t)に換算した数値を分母としてシェアを計算するものであるが、これによると、被告日鉄ケミカル&マテリアルの昭和50年以降のシェアは5.8~6.8%で推移しており、平均値も上記主張のとおりと認められる。同報告書のロックウール吹付け材の施 工面積を生産量に換算する手法は、社団法人日本作業環境測定協会作 成の環境省委託事業報告書(甲A394)に則った換算方法であるし、その分子は、当時作成された証拠(業務概況)(乙チ16~26(枝番省略))を基にしたものであるから一応信用できるものといえる。 原告らは、被告日鉄ケミカル&マテリア 算方法であるし、その分子は、当時作成された証拠(業務概況)(乙チ16~26(枝番省略))を基にしたものであるから一応信用できるものといえる。 原告らは、被告日鉄ケミカル&マテリアルの製品は耐火被覆用途であるから、吸音断熱用途の製品はシェアの計算における分母から除く 必要があると主張するが、石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)は一般的に吸音断熱にも用いられる建材と認められ(甲A2167[72頁])、被告日鉄ケミカル&マテリアルの製品が耐火被覆用途に限定されるという証拠はなく、原告らがシェアの算定の根拠とする証拠(甲A2167、2176)においても吸音断熱用途と耐火被覆用 途の建材を区別することなく計算していることからもその主張は採用することができない。また、原告らはシェアの計算においては、同被告の「スプレエースA」の販売量も分子に含めるべきと主張するが、原告らが石綿含有建材として主張するのは「スプレエース」のみであり、「スプレエースA」が同様の石綿含有建材であると認めるに足り る証拠はないからその主張は採用することができない。さらに、原告らは前記報告書の吹付けロックウール全体の生産量の算出過程の不備を主張するが、同報告書の施工面積の数値は実際の数値(甲A396)から大きく外れたものではなく、施工面積から生産量への換算過程は上記のとおり一応正当なものであると認められるし、原告らが吹 付けロックウール全体の生産量として主張する数値(甲A2177[130頁])は、ロックウール吹付け材のうち断熱用途に限られる数値と認められ、上記のとおり耐火被覆用途、吸音断熱用途の両方を分母とすべきシェアの計算においては不適当であり、結局被告日鉄ケミカル&マテリアルの算出過程の信用性に疑いをもたらす不備がある れる数値と認められ、上記のとおり耐火被覆用途、吸音断熱用途の両方を分母とすべきシェアの計算においては不適当であり、結局被告日鉄ケミカル&マテリアルの算出過程の信用性に疑いをもたらす不備がある とは認められない。よって、上記のとおりの被告日鉄ケミカル&マテ リアル提出の証拠及び上記のとおりの認定したシェアを考慮すると、同被告のシェアが10%を超えるかについては疑問を差し挟む余地があり、原告ら主張のシェアに基づく推認は、被告日鉄ケミカル&マテリアルについては覆されたものというべきである。 c 被告日鉄ケミカル&マテリアル以外の被告らについて、上記で認定 した別紙8シェア一覧表1によれば、原告らが責任企業と主張する被告エーアンドエーマテリアル、被告太平洋セメント、被告ニチアス及び被告日東紡績は、建材番号2、3について一定期間概ね10%を超えるシェアを有していたものと認められるので、以下各被告毎の個別事情を検討し、各被告らが責任企業となり得るかを検討する。 d 被告エーアンドエーマテリアル、被告ニチアス及び被告日東紡績は、別紙7責任企業特定表のとおり、被告ニチアスは昭和49年に、被告エーアンドエーマテリアル及び被告日東紡績は昭和50年に石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)の製造・販売を終了している一方で、昭和62年まで湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)の製造・ 販売を継続している(甲C29の18、19)、弁論の全趣旨。ただし、原告らは被告ニチアスの建材番号2について病因建材として主張していないため、別紙7に同社の記載はない)。 原告らは、同被告らの石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)の製造販売後のシェアは湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)のシェ 主張していないため、別紙7に同社の記載はない)。 原告らは、同被告らの石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)の製造販売後のシェアは湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)のシェ アを表したものであり、同シェアに基づいて責任を追及し得ると主張するが、同建材の主たる用途は耐火被覆のみであること、耐火被覆材としての数値ではあるが、昭和52年度の吹付けロックウール(湿式)の施工実績推定値は合計で59万㎡、吹付けロックウール(乾式)の施工実績推定値は合計で682万㎡であり、吹付けロックウール(湿 式)の施工実績推定値は耐火被覆用途の吹付けロックウール(乾式) の施工実績推定値の1割に満たないものであったことが認められる(甲A2177〔119頁〕、弁論の全趣旨)のに、被告エーアンドエーマテリアル、被告ニチアス及び被告日東紡績が製造・販売の上記認定できるシェアはその製造販売を終了した以降も減少することなく、一定の数値を保っていることからすれば、石綿含有吹付けロック ウール(建材番号2)の製造を終了した翌年以降における被告エーアンドエーマテリアル、被告ニチアス及び被告日東紡績の上記シェアの算定においては、同被告らが同建材の代替品として製造・販売を開始した非石綿化された吹付け材が相当含まれていた可能性を排除することができず、このシェアから石綿含有建材の到達の事実を推認する ことはできない。 よって、被告エーアンドエーマテリアル及び被告日東紡績は建材番号2、3について、昭和50年から昭和51年までの1年間の製造分について石綿被害の責任企業となり得るが、本件被災者の就労期間と1年間の重なり合いだけでは現場到達事実が認められず、責任企業と なり得ない。また、被告ニチアスは建材番号 年までの1年間の製造分について石綿被害の責任企業となり得るが、本件被災者の就労期間と1年間の重なり合いだけでは現場到達事実が認められず、責任企業と なり得ない。また、被告ニチアスは建材番号3について、責任企業となり得ない。 e 被告太平洋セメントは、別紙7責任企業特定表のとおり、昭和50年から昭和53年まで石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)を製造・販売していたところ、上記認定したシェアのとおり、被告太平 洋セメント(日本セメント株式会社)は、昭和50年以降から製造販売を停止する昭和53年までの間、建材番号2、3の約15%のシェアを有していたものと認められる。 被告太平洋セメントは、同建材について、昭和49年から非石綿製品(スプレーコートS)を導入していたことをシェアの算定で考慮す べきと主張するが、証拠(乙ニ49)によれば、同被告は昭和49年 頃には非石綿化された吹付けロックウールを製造し、販売していたことが認められるものの、これを超えて、被告太平洋セメントが非石綿化された吹付けロックウールをどの程度販売していたのかといった事実関係を認めるに足りる証拠はなく、むしろ、上記証拠によれば、上記建材には接着強度の問題で顧客からのクレームが多く、石綿を含 有する製品(スプレーコート)を指定する顧客も依然として存在し、技術開発の結果、昭和53年10月に非石綿化された製品で統一されたことが認められ、上記非石綿化された吹付けロックウールについてシェアの算定に考慮すべきほどの流通量があったとは認められないから、その主張は採用することができない。 また、被告太平洋セメントは、同被告の同建材について、原告らへの到達が認められず、責任企業とはならない理由 があったとは認められないから、その主張は採用することができない。 また、被告太平洋セメントは、同被告の同建材について、原告らへの到達が認められず、責任企業とはならない理由として、①同建材は主に鉄骨造の建物(その中でも耐火建築物)に使用される、②耐火被覆材として他の種類の建材も多数存在し、同被告の製品は石綿使用量も少ない、③販売先が特定され安全指導もされていたと主張する。し かし、①については、同種類の建材におけるシェアを算定するにあたってはその施工建材の施工先を検討する必要はなく、同事情は各本件被災者に個別に到達したか否かを検討する際に考慮すれば足り、②については、耐火被覆材として利用される建材の中で同建材が一定程度利用頻度が高く、石綿含有量も認められるから病因建材足り得るとい う原告らの主張に合理性が認められることは上記のとおりであり、これを覆す具体的な反証がされたとは認められない。また、③については、吹付け作業を行わない後続作業者には当てはまらないことは前記警告義務において述べたとおりであるし、吹付け作業員以外はばく露する作業は予定されていないという主張については、これを認めるに 足りる証拠は乏しく、むしろ本件被災者はこのような作業の存在を主 張し、労災申請等で申し立てていること(被災者番号3、5、7、8、10、11、17、22に係る各証拠)等を考慮すれば、このような作業が認められないということはできない。よって、これらの点に関する被告太平洋セメントの主張はいずれも採用することができない。 他方、被告太平洋セメントは、別紙7責任企業特定表のとおり、昭 和50年から平成元年まで湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)を製造・販売していたところ、昭和50年に ができない。 他方、被告太平洋セメントは、別紙7責任企業特定表のとおり、昭 和50年から平成元年まで湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)を製造・販売していたところ、昭和50年に、同被告の同建材の施工箇所における大規模な崩落事故によりその販売量が減少したと述べる同被告の従業員の陳述書(乙ニ9、13・6頁、16・7頁)は一応信用でき、上記のとおり、湿式石綿含有吹付け材(建材番号3)は石綿 含有吹付けロックウール(建材番号2)に比べて施工量が少ないことや昭和54年から石綿含有吹付け材の製造・販売が終了した平成元年までのシェアの確率計算ができるに足りる証拠もないことを併せ鑑みれば、同被告が石綿含有吹付けロックウール(建材番号2)の販売・製造を終了した昭和53年より後の被告太平洋セメントのシェアに ついては非石綿化された建材が含まれていた可能性が否定できず、従前と同様に被告太平洋セメントが約15%のシェアを有していたと推認することはできず、同被告の建材番号2、3については責任期間の始期である昭和50年から昭和53年までの現場到達が認められ得る一方で、それ以降の製品については認めることができない。 よって、被告太平洋セメントは建材番号2、3について、昭和50年から昭和53年までの製造分について石綿被害の責任企業となり得るが、同昭和54年以降の製造分についてはこの責任は認められない。 f 以上からすれば、建材番号2、3について、現場到達事実が認めら れ責任企業となり得るのは、被告太平洋セメント(昭和50年1月1 日~昭和53年12月31日までに製造のもの)である。 ウ外装材について外装材のうち、押出成形セメント板(建材番号22)については、証拠 告太平洋セメント(昭和50年1月1 日~昭和53年12月31日までに製造のもの)である。 ウ外装材について外装材のうち、押出成形セメント板(建材番号22)については、証拠(乙イ4、乙ラ6、31ないし34、乙ワ11、12)によれば、被告ノザワ及び被告エム・エム・ケイの製品ともに、押出成形セメント板をプレカットで 納品するために現場での作業がほとんどなかったこと、しかも切断作業は専門の業者が行っていたこと、作業の際の集じん機の使用及び集じんマスクの使用割合が極めて高いこと、その需要割合が相当低いことに照らすと、これらにつき現場到達事実を認めることはできない。 その余の外装材については、前記認定判断のとおり被告らにおいて警告表 示義務違反が認められないので、検討を要しない。 エ内装材について(ア) 石綿含有スレートボード(建材番号15ないし18)a 石綿含有スレートは石綿とセメントを主原料とした建材であり、その形状により、「波板」(後述するスレート波板)と「ボード」に大 別される。 石綿含有スレートボードの代表的製品であるフレキシブル板(フレキシブルボード)は、防火性能が高く、湿度による膨張・収縮が少ないという特性を有しており、外装材としては軒天井に、内装材としては壁、天井等、特に浴室の壁・天井、台所の壁等にも使用された。平 板も、内装材としては壁、天井等に使用された。軟質板は、湿度による伸縮性があることから外部には使用できなかった。軟質フレキシブル板は、耐候性等を改善する化粧加工を施した製品については外装材として、その他の化粧加工を施した製品は内装材として使用された。 (甲A36の2〔24、40、41頁〕、2161[100頁]、乙ケ 40、弁論の全趣旨) る化粧加工を施した製品については外装材として、その他の化粧加工を施した製品は内装材として使用された。 (甲A36の2〔24、40、41頁〕、2161[100頁]、乙ケ 40、弁論の全趣旨) b 内装材について検討するにあたり、ある建材が内装用途であるとしてもその使用箇所は壁、天井、床が考えられ、これらの箇所は1つの建物に複数存在するのが通常で、同一の建物内に複数の種類の部屋があり、ある箇所に一つの建材が用いられたとしても他の種類の部屋にその用途に併せた別の建材が用いられることもあり得るから、内装用 途であることから直ちにそれらの建材のシェアを合算して算定することは相当ではない。 原告らは、石綿含有スレートボードについて、フレキシブル板、平板、軟質板及び軟質フレキシブル板(建材番号15ないし18)を合算したシェアを主張するが、上記のとおり、フレキシブル板(建材番 号15)及び平板(建材番号16)はともに内装材・外装材として使用され、その使用箇所や性能も異ならず、1つの建材種類として考えられるが、軟質板(建材番号17)及び軟質フレキシブル板(建材番号18)はその湿度に対する耐性や加工性能等を勘案すると前記2種と同種の建材とすることは相当でない。そして、証拠(甲A2252 の1~3)によれば、昭和46年から平成2年にかけての建材番号15及び建材番号16の出荷量は、石綿含有スレートボード全体の8割を超えていたと認められるから、石綿含有スレートボードの中で病因建材足り得るのはフレキシブル板(建材番号15)及び平板(建材番号16)と考えるのが相当であり、この2つを合算したシェアを計算 すべきといえる。 石綿含有スレートボードのうち、フレキシブル板及び平板(建材番号15、16 号15)及び平板(建材番号16)と考えるのが相当であり、この2つを合算したシェアを計算 すべきといえる。 石綿含有スレートボードのうち、フレキシブル板及び平板(建材番号15、16)を合算したものについて、原告ら主張の責任企業のシェアは証拠(甲A2252の1~3)によれば、別紙8シェア一覧表2の「裁判所認定」以下のとおりと認められ、被告エーアンドエーマ テリアル(浅野社、朝日社)、被告ノザワ及び被告エム・エム・ケイ (三菱社)のシェアがおおむね10%を超えていると認められる。 被告らは、シェアの算定に当たっては、用途が共通する石綿含有スレートボード(建材番号15、16)、石綿含有スラグ石膏板、石綿含有パルプセメント板及び石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)を合算すべきと主張する。しかし、上記のとおり内装材は 天井や壁という用途の共通性が認められても1つの建物に異なる建材を用いることもあり得るものと認められ、それだけでは競合性があると認めることはできず、原材料がほぼ同一でその性質や用途に異なる部分のない石綿含有スレートボードの中のフレキシブル板及び平板(建材番号15、16)以外に、上記被告らが主張する建材の中でシ ェアの算定に当たって合算すべき建材種類は認められないから上記主張はいずれも採用することができない。 c 上記のとおり、継続的に10%のシェアを超えていたと認められる被告らについて個別に検討すると、被告ノザワについて、原告らが病因建材と主張する被告ノザワ製造の建材番号15、16はいずれも外 装材であり、上記のとおり被告ノザワの警告義務違反が認められない。 被告エーアンドエーマテリアルは、責任期間としては昭和50年から平成16年まで石綿含有 番号15、16はいずれも外 装材であり、上記のとおり被告ノザワの警告義務違反が認められない。 被告エーアンドエーマテリアルは、責任期間としては昭和50年から平成16年まで石綿含有スレートボードのフレキシブル板及び平板(建材番号15、16)を製造していたところ(責任期間の終期は別 紙7責任企業特定表のとおり、以下同じ。)、①同被告のシェアの計算において、二次加工メーカー・プレハブメーカー出荷分及び自社施工で使用した分を控除すべきである、②シェアの算定において、分子(各被告の出荷量)から内装用途分以外のシェアを控除すべきである、③石膏ボードのうちの防水ボードについてシェア算定の考慮に入 れるべきであると主張する。しかし、①二次加工メーカーやプレハブ メーカーといった第三者を間に挟んでも被告らの建設作業従事者らに対する警告義務が免除されないのは前記警告義務の判断で記載したとおりであるし、自社施工分について本件被災者が作業をしていないことを示す証拠はなく、②同算定における分母(全体の出荷量)においても内装用途以外の建材が加わっているものと認められ(甲A225 2の1~3)、被告エーアンドエーマテリアルの製品の内装・外装の割合が証拠上明らかではない本件においては内装・外装問わず建材全体の中のシェアを見ることでその到達の蓋然性を判断するのが相当というべきであり、また、③防水ボードは石膏ボードの1種類である上その出荷量が明らかな証拠はなく、これが競合建材と認められたとし ても上記認定のとおり概ね4割を超えるシェアを有していた被告エーアンドエーマテリアルのシェアを大きく減殺するものと認めるに足りる証拠がないから(乙キC7)、その主張はいずれも採用することができない。 被告エム・エム を超えるシェアを有していた被告エーアンドエーマテリアルのシェアを大きく減殺するものと認めるに足りる証拠がないから(乙キC7)、その主張はいずれも採用することができない。 被告エム・エム・ケイは、責任期間としては昭和50年から平成13 年まで石綿含有スレートボードのフレキシブル板及び平板(建材番号15、16)を製造していたところ、証拠(甲A2252の2[134、135頁]・3[84、85頁])によれば、被告エム・エム・ケイのボード類(石綿含有スレートボード(建材番号15~19)、石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)及び石綿含有パーライト板を総称 したもの。甲A2252の1~3)の平成2年の出荷割合が九州北部へ6.03%、九州南部へ2.24%と低廉であることから、同被告の製品の九州南部への到達が認められないと主張するが、同被告の全国におけるシェアが継続的に概ね10%を超えていることは上記のとおり認められるし、昭和53年の九州への出荷割合は約19%であること(甲 A2252の2)からすれば、平成2年の出荷状況のみをとらえて九州 南部への到達を否定することはできず、採用することができない。 d 以上からすれば、建材番号15及び建材番号16について、現場到達事実が認められ責任企業となり得るのは、被告エーアンドエーマテリアル(昭和50年1月1日~平成16年12月31日までに製造のもの)及び被告エム・エム・ケイ(昭和50年1月1日~平成13年12月3 1日までに製造のもの)である。 (イ) 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)a 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種は、石綿とケイ酸カルシウムを原料とした石綿含有成形板の一種であり、軽量で耐火性・断熱性に優れて (イ) 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)a 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種は、石綿とケイ酸カルシウムを原料とした石綿含有成形板の一種であり、軽量で耐火性・断熱性に優れているという特性を有することから、一般建築物の内装材(壁、天 井、耐火間仕切り)や外装材(軒天井材)として使用された(甲A36の2〔26、31、39頁〕、2167[50頁])。 石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種(建材番号23)について、原告らが責任企業と主張する被告らのシェアは、証拠(甲A2167、2176)によれば、別紙8シェア一覧表3の「裁判所認定」以下の とおりと認めるのが相当である(ただし、これらの証拠では、「石綿セメント珪酸カルシウム板」という項目でまとめられており、ケイ酸カルシウム板第2種(建材番号11)を含めた数値が記載されていることがうかがわれる。)。なお、原告らがその根拠とする甲A2252の3は、石綿スレート協会会員企業以外の企業が反映されておらず (弁論の全趣旨)、他に平成2年当時の出荷量を認めるに足りる証拠は認められないため、平成2年当時の各企業のシェアの割合は認定できない。なお、甲A2177で原告らが各被告らのシェアの根拠とする数値は「生産数量」という項目に記載されており、同年の証拠である甲A2176や2252の2の1の各被告の「出荷実績」の数値と 乖離しており、にわかに信用することができない。 以上からすれば、少なくとも昭和49年頃から昭和53年頃までの間に建設現場で使用された石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種については、被告エーアンドエーマテリアル(朝日石綿工業、浅野スレート)、被告ニチアス(日本アスベスト)及び被告エム・エム・ケイ(三菱セメント)のシェアがおおむ れた石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種については、被告エーアンドエーマテリアル(朝日石綿工業、浅野スレート)、被告ニチアス(日本アスベスト)及び被告エム・エム・ケイ(三菱セメント)のシェアがおおむね10%を超えており、その後そ のシェアが大きく落ち込んだと認めるに足りる証拠もないことからすれば、同被告らについては現場到達事実が認められる。 b 被告エーアンドエーマテリアルが同建材のシェアに関して二次加工メーカー・プレハブメーカー出荷分、自社施工で使用した分及び内装用途以外の出荷分を除外すべきと主張する部分が採用できないのは前 記石綿含有スレートボード(建材番号15ないし18)の判断で記載したとおりである。 被告ニチアスは、同建材についてカッターで切断されるから石綿の被ばくがないと主張するが、カッターで切断可能な建材について直ちに電動丸鋸が使用されていないと推認することはできないし、カッタ ーで切断した場合も一定程度の被ばくはあったものと推認できるから、このことだけからその現場到達の事実を否定する理由にはならず、その主張は採用することができない。被告ニチアスは、自社の製品は中高層ビル等の非住宅の現場で使用され、戸建住宅ではほとんど使用されなかった旨主張するところ、証拠(乙マ1032、103 3)によれば、被告ニチアスの昭和50年頃の出荷先は非住宅が90%であり、工場やマンションを含む中高層建築に使用されることが多く、その傾向はその後も続いていたことが認められる。この事情は本件被災者のうち、主に住宅の新築工事に従事した者について考慮すべき事情であるから、個別の本件被災者の現場到達事実を認定する際 に考慮することとする。他方、被告ニチアスはその出荷先のほとんど がゼネコンであるからこ 従事した者について考慮すべき事情であるから、個別の本件被災者の現場到達事実を認定する際 に考慮することとする。他方、被告ニチアスはその出荷先のほとんど がゼネコンであるからこれが関与しない中小規模建物の建設作業現場には到達しなかったと主張するが、販売先にゼネコンが多かったことは証拠上認められ得るものの(乙マ1045)、このことと到達する作業現場の性質は直ちに結びつかないことからその主張は採用することができない。 被告エム・エム・ケイが、九州南部の本件被災者について同所での平成2年のシェアを根拠として到達を否定する主張が採用することができないことは前記石綿含有スレートボード(建材番号15ないし18)の判断で記載したとおりである。 以上からすれば、建材番号23について、現場到達事実が認められ責 任企業となり得るのは、被告エーアンドエーマテリアル(昭和50年1月1日~平成16年12月31日までに製造のもの)、被告ニチアス(昭和50年1月1日~平成4年12月31日までに製造のもの)及び被告エム・エム・ケイ(昭和50年1月1日~平成9年12月31日までに製造のもの)である。 (ウ) 石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)は、主に住宅、事務所、学校、講堂、病院等の天井に不燃・吸音天井板として多く使用された内装材(僅かに軒天等にも使用された。)である(甲A36の2〔25頁〕)。 同建材は、上記のとおり主に天井の仕上げ材として用いられていたが(甲A2150[73頁])、天井材の分野において、住宅用の場合はインシュレーションボードなど木質系の天井板、不燃面では化粧石膏ボード等と競合するなど、多数の種類の の仕上げ材として用いられていたが(甲A2150[73頁])、天井材の分野において、住宅用の場合はインシュレーションボードなど木質系の天井板、不燃面では化粧石膏ボード等と競合するなど、多数の種類の競合製品があった(甲A2150[72、166頁])。昭和51年の同建材が占める出荷面積の割合は、住宅 用天井材において5.3%、非住宅用天井材において22.0%であり (甲A2150)、昭和53年の住宅用天井においても5.2%であった(甲A2176)。さらに、昭和53年8月発行の通商産業省生活産業局編「建材産業の長期ビジョン」(甲A2172)においては、ロックウール吸音天井板について、住宅用天井材におけるシェアは2.4%、非住宅用天井材におけるシェアは12%であるとされ、高層ビル、地下 街等大規模建物に使用され、化粧石こうボードと競合する旨の記載があること(同5、129、138頁)が認められる。このような状況に鑑みれば、多数回天井に関する作業を行った本件被災者であっても、石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)以外の建材を使用した可能性が高く、同建材単体でのシェアでは現場到達事実を判断できない。 原告らは、天井材といっても部屋の種類によって異なる建材が用いられるから、他の天井材を考慮に入れる必要はないと主張するが、前記(ア)bで述べた天井、壁、床等に用いられる石綿含有スレートボード(建材番号15、16)とは異なり、石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)については主に天井の仕上げ材として用いられ、このような狭 い用途での競合建材の存在が多数認められること、競合建材の中での出荷面積の割合が低いことに鑑みれば、1つの建物の建設現場において同建材が用いられない可能性は相当程度あり、また用いら ような狭 い用途での競合建材の存在が多数認められること、競合建材の中での出荷面積の割合が低いことに鑑みれば、1つの建物の建設現場において同建材が用いられない可能性は相当程度あり、また用いられたとしてもその施工面積は小さいものと推認され、そのような建材におけるシェアの上位企業について、責任企業とすることは相当でないから、その主張は 採用することができない。 よって、同建材についてシェアの検討を要しない。 オ保温材について(石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7))(ア) 石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)は、ボイラー、タービン、化学プラント、焼却炉等、熱を発生する部分、熱を搬送するため のダクト、エルボ部分等の保温のために用いられるものである(甲A3 6の2[18、19頁]、2250の1)。石綿含有の保温材としては、同建材の他に石綿含有けいそう土保温材(建材番号6)、石綿含有バーミキュライト保温材(建材番号8)、石綿含有パーライト保温材(建材番号9)、石綿保温材(建材番号10)があり、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)が最も用いられた保温材であった(別紙7に 記載のない建材番号につき別紙6参照、甲A2250の1)。 原告らは、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)を病因建材として、そのシェアに基づいた責任企業該当性を主張するが、証拠上、同建材は、石綿含有の他の保温材とその主な使用部位と用途は同一に記載され(甲A36の2[18、19頁])、うち石綿含有パーライト 保温材と石綿保温材は、形状が板・筒状、密度が200kg/㎡、安全使用温度が650℃という点で共通性が認められ(乙マ1038[5頁])、シェアの算定においてこれらの建材も考慮に入れるべ イト 保温材と石綿保温材は、形状が板・筒状、密度が200kg/㎡、安全使用温度が650℃という点で共通性が認められ(乙マ1038[5頁])、シェアの算定においてこれらの建材も考慮に入れるべきものといえる。原告らは、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)が最も用いられた保温材で他の保温材は生産状況が明らかでないし、特に石 綿含有パーライト保温材は他の分野で用いられている部分が大きいからこれをシェアの算定に含めるのは相当でないと主張するが、昭和52年の保温材の出荷量においては「パーライト[保温保冷耐火用]」(建材番号9)は7万5400㎡出荷されており、これはパーライトの密度200kg/㎡で換算すると1万5080tと同年の「ケイ酸カルシウム[プ ラント用]」(建材番号7)の1万9000tに近い数量といえ(乙マ1038[7頁])(なお、石綿含有パーライト保温材は昭和49年にその製造を終えているが、上記証拠は昭和52年のものであるから、上記は非石綿建材の数値と解するのが相当である。)、このように一定の生産量が見込まれる中で、生産状況が不明であることは逆にこれらの建材の 生産状況が到達の認定に影響を及ぼさないほど小さいかどうかも明らか ではないということであり、他の分野でどの程度用いられているかは不明であることからすれば、その主張は採用することができない。 よって、保温材に関する責任企業を検討する上では石綿含有パーライト保温材及び石綿保温材も考慮に入れてシェアを検討する必要がある。 他方で、被告らは石綿含有けいそう土保温材やその他の保温材をシェア の算定に入れるべきとも主張するが、その他の石綿含有保温材は安全使用温度や密度、形状等に違いが認められ(乙マ1038[5頁])、その他の保温材に 綿含有けいそう土保温材やその他の保温材をシェア の算定に入れるべきとも主張するが、その他の石綿含有保温材は安全使用温度や密度、形状等に違いが認められ(乙マ1038[5頁])、その他の保温材については石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)と用途目的が競合すると認めるに足りる証拠はないからその主張は採用することができない。 (イ) 証拠(甲A2250の10、乙ケ40)によれば、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)単独のシェアは、昭和50年、51年及び52年の統計で、被告ニチアスがいずれも29.7%、被告日本インシュレーションが19.7~19.8%、被告エーアンドエーマテリアルがいずれも20%、被告神島化学工業がいずれも15.6~19.8%と認めら れる。石綿含有パーライト保温材(建材番号9)及び石綿保温材(建材番号10)のシェアは証拠上明らかでないが、国交省データベース上の製造企業は石綿含有パーライト保温材(建材番号9)について三井金属鉱業株式会社、石綿保温材(建材番号10)について被告エーアンドエーマテリアル及び被告ニチアスであるから、各建材について同社らが相当のシェア を有していたものと推認できる。 以上を前提に石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)、石綿含有パーライト保温材(建材番号9)及び石綿保温材(建材番号10)のシェアを考慮すると、上記認定のとおり、保温材の中で石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)が最も用いられたこと、上記のとおり推認で きる石綿含有パーライト保温材(建材番号9)の出荷量は多くても石綿含 有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)と同程度と考えられること、石綿保温材(建材番号10)について被告エーアンドエーマテリアル及び被告ニ 材(建材番号9)の出荷量は多くても石綿含 有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)と同程度と考えられること、石綿保温材(建材番号10)について被告エーアンドエーマテリアル及び被告ニチアスが相当のシェアを有していたと認められることからすれば、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)において常に20%以上のシェアを有し、石綿保温材(建材番号10)について相当のシェアを有し ていた被告ニチアス及び被告エーアンドエーマテリアルについては、石綿含有パーライト保温材の存在(建材番号9)を考慮してもなお責任企業として認められ得る。他方、石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)のシェアが20%を超えないこともあり、石綿含有パーライト保温材(建材番号9)や石綿保温材(建材番号10)の製造の事実が認められない被 告日本インシュレーション及び被告神島化学工業は、その他の建材の存在を考慮すれば、シェアが継続的に10%を超えるものとは認められず、責任企業と認めることはできない。 (ウ) 以上からすれば、建材番号7について、現場到達事実が認められ責任企業となり得るのは、被告エーアンドエーマテリアル(昭和50年1月1 日~昭和53年12月31日までに製造のもの)及び被告ニチアス(昭和50年1月1日~昭和55年12月31日までに製造のもの)である。 ただし、被告ニチアスが製造した石綿含有ケイ酸カルシウム保温材(建材番号7)は主に工場で用いられたと認められる(甲C29の57、58)ので、この点については、個別の本件被災者の現場到達事実を認定する際 に考慮することとするカその他について(ア) 石綿セメント円筒(建材番号41)a 石綿セメント円筒は、石綿とセメントを主原料とし、製造した円筒の総称で 到達事実を認定する際 に考慮することとするカその他について(ア) 石綿セメント円筒(建材番号41)a 石綿セメント円筒は、石綿とセメントを主原料とし、製造した円筒の総称であり、煙突、排気管、雑排水管等に用いられた(甲A36、10 58)。そのうち、耐火被覆塩ビ管の用途は、マンション・ホテル・学 校・事務所ビルの汚水及び雑排水管、雨水管、通気管であり、このうち汚水及び雑排水用途が用途全体の80%を占めている(甲A1058)。 b 同建材のうち耐火被覆煙ビ管のシェアについて、証拠(甲A1058)によれば、被告エーアンドエーマテリアル(浅野スレート)の製品(浅野耐火パイプ、通し番号2088)は、昭和57年から60年にかけて 概ね10%を超えるシェアを有していたものと認められる。 原告らは、上記シェアから石綿セメント円筒(建材番号41)全体の責任企業を主張するが、上記認定のとおり、石綿セメント円筒は煙突、排気管、雑排水管等に用いられた建材の総称であり、そのうち耐火被覆塩ビ管は主に汚水及び雑排水用途に用いられたものであり、このシェア だけから石綿セメント円筒(建材番号41)全体のシェアを考慮することはできず、到達が認められるのは、上記でシェアが認められた耐火被覆煙ビ管(浅野耐火パイプ、通し番号2088、甲A1058、甲C29の2088)に限られると解するのが相当である。 したがって、建材番号41について、現場到達事実が認められ責任企 業となり得るのは、被告エーアンドエーマテリアル(昭和56年1月1日~昭和63年12月31日までに製造のもの、甲C29の2088)である。 c 被告エーアンドエーマテリアルは同被告の製品について煙突であり外装材であると主張す ーマテリアル(昭和56年1月1日~昭和63年12月31日までに製造のもの、甲C29の2088)である。 c 被告エーアンドエーマテリアルは同被告の製品について煙突であり外装材であると主張するが、ここで根拠とする浅野煙突(通し番号20 86、甲C29の2086、乙キC8)と上記建材は異なる商品であり、当該製品が上記耐火被覆塩ビ管のシェアの認定において影響していたと認めるに足りる証拠もないから、その主張は採用することができない。 また、被告エーアンドエーマテリアルは、シェアの算定に当たっては三菱樹脂名義の製品となる加工品については、警告義務を負わないからシ ェアの算定から除外すべきと主張するが、間に他の警告義務者が入った としても、製造者である被告エーアンドエーマテリアルが作業従事者に対する義務を免除されないのは警告義務違反の判断で記載のとおりであるからその主張も採用することができない。 (イ) 混和材(建材番号43)a 混和材は、モルタルに混ぜることで必要な性能(可塑性、保水性、亀 裂防止等)を付与させる目的で使用されるもののうち、材料の粘度を増してコテ滑り(伸び)を良くし、作業性を向上させる目的で混和されるものである。被告ノザワが昭和30年から平成15年まで製造・販売した「テーリング」がその代名詞となっていた。(甲A665、1501~1503、2248の7~10、弁論の全趣旨) 被告ノザワは他にも混和材を製造・販売していた会社が複数あったなどと主張するが、同被告が同主張を裏付けるに足りる証拠等を提出していないこと(競合他社の名称も明確には述べられていない。)を踏まえれば、「テーリング」と競合するモルタル混和材(建材番号43)の市場においては、少なくとも昭和49年以 付けるに足りる証拠等を提出していないこと(競合他社の名称も明確には述べられていない。)を踏まえれば、「テーリング」と競合するモルタル混和材(建材番号43)の市場においては、少なくとも昭和49年以降、同製品が圧倒的なシェアを 占めていたと認めることが相当であり、これらの事情を踏まえれば、混和材について責任企業と認められ得るのは、被告ノザワ(昭和50年1月1日~平成15年12月31日までに製造のもの)である。 b 被告ノザワは、株式会社ノザワ技術研究所作成の平成元年9月付け報告書(乙ラ1)及び中外テクノス株式会社が作成した令和3年11月付 け報告書(乙ラ16の1)を根拠として、「テーリング」を使用した左官作業の作業環境における石綿粉じん濃度は極めて低いなどと主張する。 しかし、前者(乙ラ1)の測定は、利害関係のない中立的な第三者によるものとはいい難い上、測定の際には、舟(混練作業用の容器)とス コップを用いて混練が行われ、電動かくはん機は用いられていないが、 左官がテーリングを使用する際に、舟とスコップのみを用い、電動かくはん機を用いていなかったことはうかがわれないからこの報告書から直ちに石綿粉じん濃度の低さを認定することはできない(神奈川一陣判決参照)。 また、後者(乙ラ16の1)の測定は、中立的な第三者機関による測 定といい得るものの、他方で、実験で用いられたセピオライトがクリソタイルのサイズに近いとしても、テーリングとセピオライトの飛散性等の性質が類似しているかが定かでなく、むしろ単体で飛散させた場合の気中濃度とセメントを混ぜた場合の気中濃度の相関関係はテーリングとセピオライトで異なることを示しており(乙ラ21)、混和材の投入 から混合・混錬の一連の作業の粉じ むしろ単体で飛散させた場合の気中濃度とセメントを混ぜた場合の気中濃度の相関関係はテーリングとセピオライトで異なることを示しており(乙ラ21)、混和材の投入 から混合・混錬の一連の作業の粉じん濃度を測定するに当たってセピオライトで同様の結果が出るのかには疑問が残る。また、同報告書の作業者は、なるべく粉じんが舞わないように心がけて作業をしたと述べており(乙ラ19)、そのように周りに粉じんが舞わないように作業するやり方について、テーリングを取り扱っていた複数の者が、混和材を投入 した際の粉じんの飛散の状況、水の投入の時期や量、作製するモルタルの量、攪拌時の混ぜ方、実験場所の広さ等につき、実際に経験してきた現場における作業と異なる点を指摘している(甲A2631、2633~2637)ことからして、上記の報告書が、実際の建設現場における作業実態とは異なる状態を前提とするものであるとの疑問を拭うこと ができず、この報告書に基づく上記主張を直ちに採用することはできない。 以上からすれば、建材番号43について、被告ノザワは責任企業として認め得る。ただし、塗装工については、石綿粉じんばく露作業の内容によって個別に結論を異にし得ると考えられるので、個別の本件被災者 (被災者番号4)への到達の認定において別途検討する。 (3) 各本件被災者の病因建材及び責任企業について(争点3(2)(各職種と関わりのある建材の特定)、争点3(4)(各本件被災者への各建材の到達の有無))以上の判断を前提として、本件被災者毎の病因建材及び責任企業の有無を検討すると、各本件被災者の作業内容・石綿ばく露態様・期間に関する認定事実は、別紙4個別被災者に関する一覧表の「当裁判所の判断」欄の「作業内容・ 石綿粉じんばく露 の病因建材及び責任企業の有無を検討すると、各本件被災者の作業内容・石綿ばく露態様・期間に関する認定事実は、別紙4個別被災者に関する一覧表の「当裁判所の判断」欄の「作業内容・ 石綿粉じんばく露態様・作業期間に関する認定事実」欄記載のとおり、各本件被災者の病因建材は同一覧表の「当裁判所の判断」欄の「病因建材の特定」欄記載のとおり、各本件被災者の責任企業は同一覧表の「当裁判所の判断」欄の「責任企業」欄記載のとおりと認められる。 なお、これまでの検討から、原告らが病因建材と主張する建材のうち、外装 材として主張される建材(建材番号15、16、23、33、35、37~39)は被告らの警告義務が認められないことから、吹付け石綿(建材番号1)、石綿含有スレートボードの軟質板(建材番号17)、石綿含有スレートボードの軟質フレキシブル板(建材番号18)、押出成形セメント板(建材番号22)及び石綿含有ロックウール吸音天井板(建材番号24)は被告らの建材全部に ついて現場到達事実が認められないことから、いずれも前記一覧表で病因建材に当たるか否かの改めての判断を要しない。また、これまでの検討から、原告らが責任企業と主張する被告らのうち、前記シェアの検討において現場到達事実が認められないと判断された被告らについては、上記一覧表で責任企業に当たるか否かの改めての判断を要しない。 5 争点4(損害等)について(1) 争点4(1)(石綿ばく露と損害の因果関係)について各本件被災者に関する石綿ばく露と因果関係のある疾患は別紙4個別被災者に関する一覧表の「基本情報」欄の「石綿関連疾患名」欄記載のとおりと認められ、死亡した本件被災者と同疾患の因果関係がそれぞれ認められる。 被告らは、本件被災者のうち、B12(被災 災者に関する一覧表の「基本情報」欄の「石綿関連疾患名」欄記載のとおりと認められ、死亡した本件被災者と同疾患の因果関係がそれぞれ認められる。 被告らは、本件被災者のうち、B12(被災者番号12)の死亡の原因はC OPD(慢性閉塞性肺疾患)の急性増悪であり、同人の石綿関連疾患であるびまん性胸膜肥厚との因果関係は否定されると主張するが、同人の死亡診断書の直接死因は「アスベスト肺」と記載され(甲D12の5の9)、びまん性胸膜肥厚との因果関係に疑問は呈されておらず(甲D12の5の10、11)、COPD疾患の存在によりびまん性胸膜肥厚と死亡との因果関係が否定される 医学的知見等が示されていないことからすれば、同人がCOPDの末期患者として治療を受けていたこと(乙マ2002の1~2002の18)は、前記意見書の信用性に疑いをもたらすものではなく、その主張は採用することができない。 その他被告らは、本件被災者の石綿ばく露には、被告らの建材以外のばく露、 国や事業者の責任、原告らにおいて防じんマスクを着用していなかった等の結果回避措置義務違反があることを理由に被告らの建材による石綿ばく露との因果関係を否定するが、上記のとおり被告らにおいて警告義務違反が認められ、かつ被告らの建材のうち各本件被災者への到達が認められるものについては、他の原因があることでその石綿関連疾患との因果関係は否定されないから、採 用することができない。 (2) 争点4(2)(被告らの寄与度)について前記のとおり、病因建材と責任企業が認められた本件被災者であっても、責任期間外にも石綿粉じんにばく露し、又は、責任期間内であっても、病因建材以外の建材から生じた石綿粉じんにばく露するなどした場合に責任企業 である被 責任企業が認められた本件被災者であっても、責任期間外にも石綿粉じんにばく露し、又は、責任期間内であっても、病因建材以外の建材から生じた石綿粉じんにばく露するなどした場合に責任企業 である被告らによる石綿粉じんのばく露は一部にとどまるものと認められ、責任企業である被告らは、上記のような事情等も考慮して定まる損害の発生に対する寄与度に応じた範囲で損害賠償責任を負うものというべきである(神奈川1陣判決参照)。この判断は、本件被災者の就労期間と責任企業の責任期間の重なり合いの期間、有責期間外の石綿粉じんにばく露の期間、他 にばく露した石綿含有建材の種類・性質や使用した期間等、本件被災者ごと の個別事情を考慮して、総合的に判断すべきものである。 以上を踏まえて、各本件被災者における各責任企業の寄与度を検討すると、その判断と割合は、別紙4個別被災者に関する一覧表の「当裁判所の判断」欄の「寄与度」欄記載のとおりと認められる。 (3) 争点4(3)(損害額及びその他の減額事由)について ア基本慰謝料額前記認定事実のとおり、本件各被災者は死亡又は肺がんにり患しているところ、本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件被災者一人当たりの基本となる慰謝料額は、肺がんを発症した者について2200万円、石綿関連疾患により死亡した者について2500万円とするのが相当である。 イ喫煙歴による修正喫煙歴も石綿粉じんばく露歴もない人の発がんリスクを1とすると、喫煙歴があり石綿粉じんばく露歴がない人では10.85倍、喫煙歴がなく石綿粉じんばく露歴がある人では5.17倍、喫煙歴も石綿粉じんばく露歴もある人では53.24倍になると報告されており(前提事実第3の2 ⑵)、喫煙が石綿を原因とする 10.85倍、喫煙歴がなく石綿粉じんばく露歴がある人では5.17倍、喫煙歴も石綿粉じんばく露歴もある人では53.24倍になると報告されており(前提事実第3の2 ⑵)、喫煙が石綿を原因とする肺がんのり患リスクを相乗的に高めていることは明らかである。したがって、損害の公平な分担の見地に照らし、民法722条2項の規定を類推適用し、肺がんにり患した被災者のうち喫煙歴がある者の慰謝料額を定めるにあたっては、喫煙歴があることを斟酌することとする。 そして、個々の喫煙量や喫煙期間がどの程度肺がんの発症に影響を与えるかは不明瞭であること、喫煙自体は社会的に許容された嗜好であることを考慮すれば、肺がんにり患した被災者の喫煙歴による慰謝料の額については、一律1割を減ずることとする。各被災者の喫煙歴の有無については別紙4個別被災者に関する一覧表の「当裁判所の判断」欄の「喫煙歴」欄記載のとお りである(ただし、石綿関連疾患が肺がんでない本件被災者について、喫煙 歴の有無を検討する必要がないため、同欄は斜線とした。)。 なお、被告らにおいては、肺がん以外の石綿関連疾患についても喫煙の影響を主張するが、これを認めるに足りる証拠はなく、採用することができない。また、被告らは、COPDは喫煙関連疾患であるものの、そのリスクを増大させることから減額事由として考慮すべきとも主張し、「CO PD診断と治療のためのガイドライン2018」(乙マ1076)によれば、COPDは喫煙とは独立した肺がんの危険因子であるとされる。しかし、上記文献によればCOPDはたばこ煙を主とする有害物質を長期に吸入ばく露すること等により生ずる肺疾患であり、あくまで喫煙関連疾患であり、上記喫煙歴を勘案することでその考慮は尽くされているというべき 、上記文献によればCOPDはたばこ煙を主とする有害物質を長期に吸入ばく露すること等により生ずる肺疾患であり、あくまで喫煙関連疾患であり、上記喫煙歴を勘案することでその考慮は尽くされているというべき であるからその主張は採用することができない。他方、びまん性胸膜に罹患した者のうちB12(被災者番号12)については、証拠(甲D12の5の1、12の5の15、乙A38、乙マ2002の1・12)によれば、3年以上の石綿ばく露歴が認められれば石綿が原因であると考えて差し支えないものの、同人のこれまでの喫煙の結果、COPDに罹患し、死 亡時点で末期のCOPDであり、同人の死亡はびまん性胸膜肥厚に加えてCOPDであることも原因の1つであることが否定できないことからすれば、肺がんの場合と同様に1割を減ずるのが相当である。 ウその他の減額事由について被告らは、本件被害者が健康保持義務に反し、防じんマスクを着用しな かったことにより損害を被ったから損害の発生に過失があると主張する。 しかし、前記認定判断したとおり、被告らが警告義務を履行しなかった結果、本件被災者が石綿被ばくの危険性を認識できなかったのであるから、上記主張は失当である。 被告らは、上記の他、種々の減額事由を主張するが、上記で認められる もの以外は採用することができない。 エ弁護士費用本件の一切の事業を考慮すると、認容額の1割に相当する弁護士費用が本件と相当因果関係のある損害として認められる。 オ遅延損害金起算日について原告らは損害金の起算日を本件被災者の死亡日又は石綿関連疾患の診断 日として別紙3請求対象被告及び請求金額一覧表の「遅延損害金起算日」欄記載のとおり主張するが、うち、被災者番号10及び被災者 原告らは損害金の起算日を本件被災者の死亡日又は石綿関連疾患の診断 日として別紙3請求対象被告及び請求金額一覧表の「遅延損害金起算日」欄記載のとおり主張するが、うち、被災者番号10及び被災者番号22の石綿関連疾患の各診断日は、証拠(甲D10の5の6~10の5の9、22の5の7)上、別紙4個別被災者に関する一覧表の「死亡日又は石綿関連疾患の診断日」欄記載のとおり原告ら主張の日より後の日と認められるから、同本 件被災者らに係る原告ら(本件被災者本人)の遅延損害金の起算日は、上記認定のとおりと認められる。 カ本件被災者の損害額合計以上のとおり修正すると、本件被災者のうち、被告らへの請求が認められる者の認容額は、別紙4個別被災者に関する一覧表の「当裁判所の判断」欄 の「認容額(円)」欄記載のとおりであり、原告らの相続分に応じた認容額は同表の「当裁判所の判断」欄の「各原告認容額」欄記載のとおりである。 第7 結論以上によれば、原告らの被告らに対する各請求は、別紙2-1認容額等一覧表の「原告」欄記載の各原告が各原告に対応する同一覧表の「責任を 負うべき被告」欄記載の被告らに対し、「認容額(円)」欄記載の金額及びこれに対する同一覧表の「遅延損害金起算日」欄記載の日から、同一覧表の「遅延損害金の割合(%)」欄記載の割合による遅延損害金の支払を求める限度(同一覧表の「責任を負うべき被告」欄に複数の被告の記載があるときは連帯して支払を求める限度)で理由があるから、その限度で認容 し、その余の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することと し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法64条本文、61条、65条1項ただし書を、仮執行宣言につき同法259条1項を、仮執行免脱宣言につき同条3項を ないから、これらを棄却することと し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法64条本文、61条、65条1項ただし書を、仮執行宣言につき同法259条1項を、仮執行免脱宣言につき同条3項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する(仮執行免脱宣言については、その申立てをした被告らとの関係ではその申立てに基づき、その申立てをしていない被告らの関係では職権で付すこととした。)。 福岡地方裁判所第6民事部 裁判長裁判官上田洋幸 裁判官武村重樹 裁判官馬渡万紀子 (別紙の掲載省略)
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