昭和55(オ)474 貸金

裁判年月日・裁判所
昭和59年3月13日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所 昭和54(ネ)1065
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を大阪高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人志賀親雄の上告理由について  一 原審は、原判決理由二の冒頭に挙示し

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判決文本文3,733 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を大阪高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人志賀親雄の上告理由について一原審は、原判決理由二の冒頭に挙示した証拠によつて、(一) D産業株式会社(以下「D産業」という。)は、台湾の会社であるE社外一名に対し、日本産のうなぎの稚魚であるシラスを代金四万二六〇〇米ドルで輸出することになり、F銀行発行の取消不能信用状三通(以下「本件信用状」という。)を得たので、同銀行を支払人とし右代金額を合計金額とする荷為替手形三通(以下「本件荷為替手形」という。)を振り出した、(二) D産業は、これより先の昭和五一年二月四日銀行取引停止処分を受けて事実上倒産し、自ら銀行に本件荷為替手形の割引を依頼することができない状況にあつた、(三) D産業の代表取締役である上告人は、かねてから取引のあつた被上告人に対し、本件荷為替手形を被上告人の取引銀行において割引いてほしい、その割引代金(買取代金)はD産業の被上告人に対する債務の一部の弁済にあてるから、これとは別に、上告人が個人として経営している不動産業のために緊急に必要とする資金七八〇万円を貸してほしい、二日後に返済する、旨申入れた、(四) 当時、G貿易株式会社との取引に関連してD産業振出の手形又は小切手を取得し、同社に対し多額の債権を有し、同社の倒産により、その回収に苦慮していた被上告人は、当時の為替レートによると本件荷為替手形の合計金額は邦貨にして一二七八万円と換算されたので、右債権の回収をはかるため、上告人の申出に応ずることにし、上告人に対し、同年三月一一日、弁済期を同月一三日、利息を市中銀行の貸出利率以上とするとの約定で、金額一二八万円、支払場所株式会社H銀行I支店、振出地大阪市とする小切手一通(以下「本件小切手」と し、上告人に対し、同年三月一一日、弁済期を同月一三日、利息を市中銀行の貸出利率以上とするとの約定で、金額一二八万円、支払場所株式会社H銀行I支店、振出地大阪市とする小切手一通(以下「本件小切手」という。)を- 1 -振り出して同金額の金員を貸し付け、残余については同じくD産業の債権者であつたJ食品株式会社(のちに商号を株式会社Kと変更した。以下「K」という。)に話をし、その結果、同社が上告人に対し、同日金額合計六四六万円の小切手二通を振り出して同金額の金員を貸し付けたとし、本訴請求の原因である本件消費貸借契約の成立を認めている。 二記録を検討すると、本件消費貸借契約を直接証明する借用証等の客観的証拠はなく、原判決が理由二の冒頭に挙示している証拠のうち本件消費貸借契約を直接証明する証拠としては、被上告人代表者L及び被上告人と同様前示の小切手に関する紛争につき上告人に対して訴訟を提起しているKの代表者Mの各供述が存するにすぎないことが明らかであるところで上告人は、本件小切手は本件消費貸借契約のために授受されたものではなく、D産業が、被上告人に対し、本件荷為替手形を銀行買取の方法で換金することを委託し、これを承諾した被上告人と、(一) 被上告人は銀行に本件荷為替手形を買い取らせることによつて得た金員のうち一一二八万円をD産業に支払うが、そのうち五五〇万円はD産業の債権者であるG貿易株式会社が被上告人に対して負担する債務の弁済に充当するものとして控除し、被上告人はD産業に対し残金五七八万円を支払う、(二) 銀行の本件荷為替手形の買取代金と右一一二八万円の差額は、被上告人が手数料として取得する旨の合意をし(以下「本件合意」という。)、この合意に基づき、被上告人がD産業に対し、前記五七八万円の内金一二八万円の支払のために本件小切手を振り 一二八万円の差額は、被上告人が手数料として取得する旨の合意をし(以下「本件合意」という。)、この合意に基づき、被上告人がD産業に対し、前記五七八万円の内金一二八万円の支払のために本件小切手を振り出し、残額四五〇万円についてはK振出の小切手を現金化して支払つたものであると主張し、その趣旨の供述をしていたものである。したがつて本件においては、本件小切手授受の趣旨が重要な争点となつていたといわなければならず、この争点に関し動かし難い客観的証拠があれば、これを基礎として各当事者の前示主張・供述の当否を判断すべきであるところ、右争点に関する書- 2 -証として甲第三九号証が存する。同号証の内容は、原審の認定するところによると、(一) D産業がエル・シーの銀行買取を被上告人に委託し、被上告人はその取引銀行においてエル・シーの買取をさせるものとする、(二) 被上告人は取引銀行のエル・シー買取と同時にD産業に対し銀行買取額を現金にて支払う、(三) D産業は相手国銀行の買取完了後に委託手数料として一五〇万円を被上告人に支払うというのであるから、右記載内容は、大綱において上告人主張の本件合意と合致するものというべきである。したがつて、甲第三九号証を排斥するに足りる特段の事情のないかぎり、本件合意、ひいては本件小切手授受の趣旨についての上告人の主張を認めるべき筋合である。 しかるに原判決は、本件荷為替手形の買取代金はすべてD産業が被上告人に対して負担していた債務の弁済にあてる約旨であつたが、甲第三九号証は本件荷為替手形についての取引が通常の商取引であることを示すために形式上作成されたものにすぎないとして、その証明力を否定している。しかしながら、右説示からは、D産業と被上告人との間において、何故に、殊更このような書面の作成を必要としたかの実質的理由は、 すために形式上作成されたものにすぎないとして、その証明力を否定している。しかしながら、右説示からは、D産業と被上告人との間において、何故に、殊更このような書面の作成を必要としたかの実質的理由は、必らずしも明らかではない。もつとも、原審は、甲第三九号証を排斥し、ひいては本件小切手授受の趣旨を前示のように認定するについて、D産業が昭和五一年三月当時被上告人に対し多額の債務を負つていたことを主要な根拠としているが、この点について被上告人の主張するところは、被上告人は、D産業振出にかかる原判決別紙目録記載の約束手形六通手形金合計一八六七万五〇二〇円の不渡により五二八万七五〇〇円の損害を被つたので、D産業に対し同額の損害賠償請求権(以下「本件損害賠償請求権」という。)を取得し、また、昭和五〇年一〇月一五日売却した冷凍むき海老の単価仕切直しによる六一四万六四〇〇円の残代金債権(以下「本件残代金債権」という。)を有するというのであつて、記録によると、本件損害賠償請求権は、右約束手形金、その利息又は遅延損害金とは別個のも- 3 -のであるが、どのような法律上の事由に基づいて被上告人が右のような多額の損害賠償請求権を取得しうるのかは全く不明というのほかはなく、また、冷凍むき海老の取引の当事者が被上告人とG貿易株式会社であるとの記録上明らかな事実(甲第三五号証の一、二、乙第三号証の一、二参照)に照らすと、何故に、被上告人がD産業に対し本件残代金債権を取得しうるかも理解し難いといわざるをえない。のみならず、原判決が甲第三九号証を排斥する根拠として付加しているところの、本件小切手が被上告人から上告人に交付された昭和五一年三月一一日当時本件荷為替手形の銀行による買取が実現するかどうか予断を許さなかつたとする点も、本件信用状がいわゆる取消不能信用状であり、そ ろの、本件小切手が被上告人から上告人に交付された昭和五一年三月一一日当時本件荷為替手形の銀行による買取が実現するかどうか予断を許さなかつたとする点も、本件信用状がいわゆる取消不能信用状であり、その支払が通常確実にされるものであることにかんがみると、直ちに首肯しうるものとはいえない。 以上説示したところによれば、他に甲第三九号証の証明力を否定するに足りる特段の事由がない限り同号証の証明力を否定することは許されないところ、原判決は、かかる特段の事由を認定することなく同号証を排斥し、本件合意の成立を否定し、ひいては本件合意と事実上両立し難い関係にある本件消費貸借契約の成立を認定したことに帰するから、原判決には審理不尽、採証法則違背、ひいては理由不備の違法があるものというべきであり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、D産業の被上告人に対する債務の存否、甲第三九号証の証明力及び本件消費貸借契約の成否についてさらに審理を尽くさせる必要があるから、本件を原審に差し戻すこととする。 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官木戸口久治- 4 -裁判官横井大三裁判官伊藤正己裁判官安岡滿彦- 5 - 申し訳ありませんが、整形するテキストが提供されていません。整形したいテキストをお送りいただければ、すぐに対応いたします。

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