主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人芹沢孝雄、同相磯まつ江の上告理由第一点について。按ずるに、本件記録によれば、上告人は、第一審において、本件不法行為に基づく損害のうち、慰藉料金五〇万円の賠償および遅延損害金を請求し、そのうち金二〇万円に関する部分が認容され、その余が棄却されたので、控訴を申し立て、控訴審においては、慰藉料として金二〇〇万円(第一審で認容された金二〇万円を含む)、弁護士費用として金三〇万円、右合計金二三〇万円の損害賠償請求権がある旨主張し、右金員およびこれに対する本件事故発生当日である昭和三五年九月二一日以降の遅延損害金の支払を請求したこと、および右請求拡張の経過として、上告人は、まず、昭和四二年九月二一日原審に提出した準備書面において、後記契約に基づく弁護士費用として、従前主張の慰藉料金五〇万円の一割五分に相当する金七万五〇〇〇円の賠償を求める旨主張し、ついで、昭和四三年五月二三日原審に提出した準備書面において、従前主張していた慰藉料金五〇万円に金一五〇万円を追加して合計金二〇〇万円とし、これに伴い弁護士費用の額を金三〇万円と主張して、それぞれ右金員を請求したことが認められる。そして、上告人の主張によれば、上告人は、昭和三六年一〇月頃弁護士に本訴の提起を委任した際、成功時に成功額の一割五分の割合による報酬金を支払う旨約したというのであるが、かように、上告人が、弁護士に本訴の提起を委任し、前述のような成功報酬に関する契約を締結した場合には、右契約の時をもつて、上告人が、民法七二四条にいわゆる損害を知つた時に当たるものと解するについて、妨げはないというべきである。けだし、同条が、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時- 場合には、右契約の時をもつて、上告人が、民法七二四条にいわゆる損害を知つた時に当たるものと解するについて、妨げはないというべきである。 が、弁護士に本訴の提起を委任し、前述のような成功報酬に関する契約を締結した場合には、右契約の時をもつて、上告人が、民法七二四条にいわゆる損害を知つた時に当たるものと解するについて、妨げはないというべきである。けだし、同条が、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時- 場合には、右契約の時をもつて、上告人が、民法七二四条にいわゆる損害を知つた時に当たるものと解するについて、妨げはないというべきである。けだし、同条が、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時- 1 -効が進行をはじめるためには、不法行為によつて損害が生じ、被害者にその賠償請求権が発生したのみでは足りず、これに加えて、被害者が右損害および加害者を知つたことを要するとしたのは、客観的には不法行為により損害賠償請求権が発生したとしても、直ちに被害者が損害の発生および加害者を知りえないため、右請求権を行使することができない場合があることを考慮したためと解されるが、前述のように、上告人は、本件不法行為による損害の賠償を請求する目的ですでに弁護士に訴訟を委任し、同弁護士と前記成功報酬に関する契約を締結したのであるから、上告人としては、右訴訟を追行し、その主張する損害賠償請求権が認められて勝訴した暁には、弁護士に対し右約定による成功報酬を支払わなければならないこと、換言すれば、本件不法行為によつてこの種の損害の発生したことを、右契約の時に知つたものというに足りるのであり、この場合、右損害を知つたとするためには、損害の額が確定していること、あるいは上告人が弁護士に対し現実に報酬を支払つたことは必要でないと解されるからである。そうすると、かりに、所論弁護士費用金七万五〇〇〇円が本件不法行為によつて生じた損害であるとして、その賠償請求権が認められるとしても、原審が、上告人の主張による弁護士に本訴提起を委任し報酬金の支払を約した時である昭和三六年一〇月頃から起算しても、上告人の原判示請求拡張の時にはすでに三年の時効期間が経過しており、したがつて上告人の右損害賠償請求権は、時効により消滅したものである旨判示した点に、所論の違法はないというべきである。論旨 算しても、上告人の原判示請求拡張の時にはすでに三年の時効期間が経過しており、したがつて上告人の右損害賠償請求権は、時効により消滅したものである旨判示した点に、所論の違法はないというべきである。 月頃から起算しても、上告人の原判示請求拡張の時にはすでに三年の時効期間が経過しており、したがつて上告人の右損害賠償請求権は、時効により消滅したものである旨判示した点に、所論の違法はないというべきである。論旨 算しても、上告人の原判示請求拡張の時にはすでに三年の時効期間が経過しており、したがつて上告人の右損害賠償請求権は、時効により消滅したものである旨判示した点に、所論の違法はないというべきである。論旨は、採用することができない。同第二点について。本件記録によれば、原審における昭和四三年一〇月一日の口頭弁論期日において、上告人が、従来、弁護士費用の損害賠償として金七万五〇〇〇円を請求していたのを訂正して、金三〇万円の支払を求める旨陳述したのに対し、被上告人が、三年の- 2 -消滅時効を援用したものと認めるに足りるから、所論金七万五〇〇〇円の請求部分に対しても消滅時効の援用がなされたものというべきである。原判決に所論の違法はなく、論旨は、採ることができない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官草鹿浅之介裁判官城戸芳彦裁判官色川幸太郎裁判官村上朝一- 3 -
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