平成17(行ウ)11 不当労働行為救済命令取消請求事件(通称 西日本旅客鉄道救済命令取消)

裁判年月日・裁判所
平成17年12月26日 東京地方裁判所
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判決文本文46,962 文字)

- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は,補助参加によって生じた費用を含め,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求,()(()被告が中労委平成11年不再第23号事件初審岡山地労委平成7年不第1号事件)について,平成16年12月1日付けでした命令を取り消す。 第2事案の概要本件事案の概要は,次のとおりである。 岡山県地方労働委員会(以下「岡山地労委」という)は,被告補助参加人らが原。 告を被申立人として申し立てた不当労働行為救済申立事件(岡山地労委平成7年不第1号事件以下本件初審というについて①原告岡山支社以下岡(),「」。),(「山支社」という)の岡山運転区及び津山鉄道部津山西分室において,科長及び助役。 が補助参加人ジェーアール西日本労働組合(以下「補助参加人JR西労」という)。 の組合員に対し,昇進,転勤等の人事権を利用して同組合からの脱退を慫慂したこ,(),とがいずれも労働組合法7条3号所定の不当労働行為支配介入に当たるとし②岡山支社が補助参加人ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部(以下「補助参加人岡山地本」という)から平成7年2月21日に申し入れられた団体交渉(以下。 「本件団交」又は「本件団交申入れ」という)に応じなかったことが同条2号所定。 の不当労働行為(正当な理由のない団交拒否)に当たるとして,別紙1のとおり,救済命令を発した(以下「本件初審命令」という。原告は,本件初審命令のうち。)補助参加人らの申立てを棄却した部分を除く部分を不服として,被告に対し再審査((),「」を申し立てたところ中労委平成11年不再第23号事件以下本件再審査。),,(「」という被告は同再審査申立てを棄 を除く部分を不服として,被告に対し再審査((),「」を申し立てたところ中労委平成11年不再第23号事件以下本件再審査。),,(「」という被告は同再審査申立てを棄却するとの命令を発した以下本件命令という。本件は,原告が被告に対し本件命令の取消しを求めた事案である。 。) 争いのない事実等(証拠等によって認定した事実は,文章中又は文末に当該証拠等を掲記し,当事者間に争いのない事実は証拠等を掲記しない)。 (1)当事者等ア原告(ア)原告は,昭和62年4月1日,日本国有鉄道改革法に基づき,日本国有鉄道(以下「国鉄」という)が経営していた旅客鉄道事業のうち。 。 本州の西日本地域における事業を承継して設立された株式会社である原告の平成7年3月当時の社員数は約4万8000名であった。 (イ)原告は,大阪市,岡山市等に10支社を置いている。このうち岡山支社は,岡山県全域,広島県及び兵庫県の一部を事業区域とし,現業,,,。 部門として岡山運転区岡山車掌区津山鉄道部などを置いているそして,岡山運転区は,山陽本線,宇野線等の動力車の運転等を担当しており,津山鉄道部は,津山線,姫新線及び因美線の各一部の鉄道事業等を担当していた(甲B4,5,7,乙15【3ないし5頁)。 】- 2 -イ補助参加人ら(ア)補助参加人JR西労補助参加人JR西労は,平成3年5月23日,西日本旅客鉄道労働組合(以下「JR西労組」という)に所属していた組合員の一部が中。 心となって結成された労働組合であり,原告及びその関連会社の社員などで組織されている。補助参加人JR西労の平成7年3月当時の組合員数は約3000名であった。補助参加人JR西労には,下部組織として補助参加人岡山地本等8つの地方本部がある。補助参 の関連会社の社員などで組織されている。補助参加人JR西労の平成7年3月当時の組合員数は約3000名であった。補助参加人JR西労には,下部組織として補助参加人岡山地本等8つの地方本部がある。補助参加人JR西労は,全日本鉄道労働組合総連合会(以下「鉄道労連」又は「JR総連」という)に加盟している。 。 (イ)補助参加人岡山地本補助参加人岡山地本は,岡山支社管内の職場に勤務する者で組織されている補助参加人JR西労の下部組織である。補助参加人岡山地本の平成7年3月当時の組合員数は412名であった。補助参加人岡山,,,地本には更に下部組織として岡山支部津山支部等4支部があるが(,「」このうち岡山支部には岡山運転区分会以下単に岡山運転区分会という,岡山電車区分会等5分会があり,津山支部には津山分会,。)岡山気動車分会の2分会がある。 ウ併存組合原告には,補助参加人JR西労,JR西労組のほか,国鉄労働組合西日本本部(以下「国労西日本」という,全国鉄動力車労働組合西日本地方本部。)(以下「全動労西日本」という)等の労働組合がある。 。 (2)国鉄の分割・民営化を巡る労働組合の状況ア国鉄の経営再建推進のために設立された国鉄再建監理委員会は,昭和60年7月26日,政府に対し,国鉄の分割・民営化の実施,新会社の在り方,余剰人員対策,長期債務の処理等を骨子とする国鉄改革に関する意見を答申した。 イ昭和61年1月ころ国鉄に存在した労働組合のうち,国鉄労働組合(以下「国労」という)及び国鉄動力車労働組合(以下「動労」という)は国鉄。 。 ,(「」。),の分割・民営化に反対の立場であり鉄道労働組合以下鉄労という全国鉄施設労働組合(以下「全施労」という)は賛成の立場であった。動労。 は,当初は国鉄の分 は国鉄。 。 ,(「」。),の分割・民営化に反対の立場であり鉄道労働組合以下鉄労という全国鉄施設労働組合(以下「全施労」という)は賛成の立場であった。動労。 は,当初は国鉄の分割・民営化に反対していたが,後に賛成するようになった。 ウ動労,鉄労及び全施労は,昭和61年1月13日,国鉄との間で労使共同宣言を締結した。また,前記3組合及び真国鉄労働組合は,国鉄改革労働組合協議会(以下「改革協」という)を結成した。改革協は,昭和61年8月。 27日,国鉄との間で,今後争議権が認められても鉄道事業の健全な経営が定着するまではその行使を自粛することなどを内容とする第二次労使共同宣。 ,,言を締結したさらに改革協を構成する各労働組合と鉄道社員労働組合は- 3 -昭和62年2月2日,鉄道労連を結成した。 エ国鉄は,昭和62年4月1日,分割・民営化され,原告をはじめ各JR新会社が発足した。 オ鉄道労連を構成する各労働組合は,国鉄の分割・民営化に伴って解散し,JR各社毎に新たな労働組合を結成することとなり,原告においてはJR西労組が結成された。なお,鉄道労連は,これらJR各社の労働組合によって構成される連合団体(平成元年に「JR総連」に略称変更)となった。 ,,。 カ助役はJR各社発足に伴って新たに組合員資格を有することとなった原告の助役らは,昭和62年5月,JR西日本鉄輪会(以下「鉄輪会」という)を結成したが,同年7月にJR西労組に加入し,鉄輪会を解散した。 。 キ原告は,昭和62年6月6日,JR西労組及び鉄輪会との間で「会社発足,に当たっての合意書(JR西日本労使共同宣言」を締結した。そこでは,相)互の信頼関係を基礎に,会社は社員の雇用と生活の安定に最大限の努力を行うこととし,JR西労組と鉄輪会は争議 間で「会社発足,に当たっての合意書(JR西日本労使共同宣言」を締結した。そこでは,相)互の信頼関係を基礎に,会社は社員の雇用と生活の安定に最大限の努力を行うこととし,JR西労組と鉄輪会は争議権の行使を必要とするような労使紛争は発生しないと認識し,鉄道事業の健全な経営を定着させるため,列車等,。 の安全運行を全てに優先させそれに万難を排して取り組むことを確認した(3)補助参加人JR西労結成に至る経緯アJR総連は,平成2年6月19日開催の第5回定期大会において,国鉄清算事業団職員の雇用問題を契機にストライキ権の確立及び委譲に関する論議(以下「スト権論議」という)を提起し,傘下各労働組合の全組合員による。 ,。 ,,職場討議を実施しその意見を集約することとなったこの際JR総連は国鉄清算事業団職員を再雇用することは民営鉄道としての原告に政治介入を許し,二度と採用しないとの約束を反故にするものであるとし,また,労働組合としての力とは団結力ないし組織力であり,闘うべき時はいつでも闘える組織体制を作り上げることが必要であるとの態度をとった。 イJR西労組は,平成2年11月20日開催の第8回中央委員会において,スト権論議は,原告の経営基盤,JR西労組の組織状況からみて時期尚早であるとし,JR総連から提起されたスト権確立は是認しないとの意見集約を行った。そして,JR西労組のP1委員長は,平成3年2月19日開催の第9回中央委員会において,JR総連との断絶を明言した。JR西労組内部では,P1委員長の考え方を支持するグループとこれに反対するグループに分かれて対立を深め,中央執行委員会の開催が不可能な状態になった。 ウJR西労組においてJR総連との断絶に批判的な旧動労組合員を中心とする組合員は,平成3年5月23日,JR西労組を脱退 るグループに分かれて対立を深め,中央執行委員会の開催が不可能な状態になった。 ウJR西労組においてJR総連との断絶に批判的な旧動労組合員を中心とする組合員は,平成3年5月23日,JR西労組を脱退し,補助参加人JR西労を結成し,JR総連に加盟した。補助参加人岡山地本は,前記補助参加人JR西労結成に伴い,平成3年6月1日に組合員数約484名で結成された(乙1【79頁。他方,JR西労組は,平成3年7月31日,JR総連を】)脱退し,日本鉄道労働組合連合会(略称「JR連合)に加盟した。 」(4)原告における労働組合の状況- 4 -ア(ア)補助参加人JR西労は,JR総連の下,組合員の利益を第一義とす,,,,る労働組合主義に基づき政党の支配介入を許さず団結を強化し労働者の総結集を図ることを基本方針とし,JR総連が大会で統一闘争の決定をした場合は,闘争委員会の指示に従って交渉,妥結,ストライキを行うとしていた。 (イ)補助参加人JR西労は,組合結成以降,以下のとおり,ストライキを実施した。 a平成4年3月31日から同年4月1日までの間(26時間)要求項目賃上げ,安全問題,不当労働行為問題b平成4年12月8日から同月11日までの間(96時間)要求項目乗務員勤務制度改正反対c平成5年3月18日から同月25日までの間要求項目乗務員勤務制度改正反対d平成5年3月18日から同年8月11日までの間(下関運転所での指名ストライキ)要求項目ブルートレインの1人乗務反対(ウ)原告は,補助参加人JR西労の前記ストライキ行為は,前記JR西日本労使共同宣言の趣旨に反するとして同組合を批判した(弁論の全趣旨。 )イJR西労組は,平成5年7月の中央本部大会において,組織率80%達成を当面の目標とし,運転関係の職場を重点 ,前記JR西日本労使共同宣言の趣旨に反するとして同組合を批判した(弁論の全趣旨。 )イJR西労組は,平成5年7月の中央本部大会において,組織率80%達成を当面の目標とし,運転関係の職場を重点に組織拡大に取り組む方針を決定した。また,JR西労組は,平成6年7月の中央本部大会において,組織率80%達成のほか,動力車乗務員の過半数確保を必達の課題とする方針を決定した。 ウ原告は,本件初審申立当時,JR西労組,JR西日本近畿地方労働組合,JR西日本米子地方労働組合との間では労使間のルール,労働条件に関する部分を含む労働協約を締結していたが,補助参加人JR西労,国労西日本,全動労西日本との間では労使間のルールに関する部分についてのみ労働協約を締結していた。 (5)岡山運転区における本件紛争前までの労使関係(),,ア岡山運転区における社員数区長を含む補助参加人JR西労の組合員数割合の推移は,別紙2記載のとおりであり,同組合結成以降,同運転区において少なからぬ数の脱退者が出ていた(弁論の全趣旨。 )イ岡山運転区分会は,ストライキ権の確立等に関して投票を行うため,岡山支社に対し,平成4年2月26日から同月29日までの間,午前9時から午後8時まで岡山運転区の会議室の使用許可申請を行った。しかし,岡山支社は,ダイヤ改正作業等に使用するとの理由で,前記申請を許可しなかった。 そこで,岡山運転区分会は,ストライキ権の確立等に関する投票を路上ないし有料駐車場に駐車した自動車内で行った。なお,岡山支社の課員が前記投- 5 -票期間中投票場所付近にいたことが確認されている。 ウ補助参加人JR西労所属の組合員40名が,平成3年6月から同8年11月までの間,岡山運転区から他の部署へ転勤を命ぜられたこと等を不服として簡易苦情処理の申告をしたが にいたことが確認されている。 ウ補助参加人JR西労所属の組合員40名が,平成3年6月から同8年11月までの間,岡山運転区から他の部署へ転勤を命ぜられたこと等を不服として簡易苦情処理の申告をしたが,いずれも却下された。 エ補助参加人岡山地本は,平成5年7月26日,岡山支社に対し,同支社が補助参加人JR西労の組織破壊のため人事権を濫用して岡山運転区分会役員に対し転勤命令を発しているとして,団体交渉を申し入れた。 オ補助参加人岡山地本は,平成6年2月4日,岡山支社に対し,岡山運転区の区長が,社員との個人面接の場で上部組織である同JR西労を誹謗,中傷したとして,団体交渉を申し入れた。 カ補助参加人JR西労青年婦人部は「JR」という文字の刺繍が入っている,(「」。)。 ,ネクタイ以下本件ネクタイというを販売していた補助参加人らは組合員に対し,本件ネクタイの着用を指示してはいないものの,他労組の組合員が同ネクタイをすることはなく,同ネクタイを着用することは補助参加人JR西労組合員であることを表しており,助役等現場管理者が同ネクタイを外せと発言することは同組合から脱退せよということを意味していた。なお,本件ネクタイには組合のマーク等は入っておらず,原告は補助参加人J,。(【,】,R西労組合員に対しその着用を禁止していなかった乙3 33頁【,,】,【】) 25ないし3077ないし7989ないし91頁 124頁(6)本件団交申入れ等ア補助参加人岡山地本は,平成7年2月21日,岡山支社に対し,運転職場,,,において同JR西労所属の組合員らに対する現場管理者による転勤昇職昇格を材料とした脱退強要の不当労働行為の事実が明らかになったとして,平成7年当時の原告と補助参加人JR西 ,運転職場,,,において同JR西労所属の組合員らに対する現場管理者による転勤昇職昇格を材料とした脱退強要の不当労働行為の事実が明らかになったとして,平成7年当時の原告と補助参加人JR西労との間で締結された労働協約(以「」。)(),,下本件労働協約という39条 号に基づき以下の事項について同年3月2日までに団体交渉を開催するよう文書で申し入れた(乙C1。 )(ア)津山西分室在勤者でEC転換教育終了者及び岡山運転区兼務者に対し「津山に残りたければ脱退せよ「ネクタイを替えなければ」などと」言いつつ転勤をほのめかし,脱退を迫っている事実行為について(イ)岡山運転区において平成7年度昇格・昇職試験を受験するにあたって「推薦してやった「合格したければ西労ではだめだ」などと脱退を」迫っている事実行為についてイ岡山支社は,平成7年3月2日,本件団交申入れについて,本件労働協約39条所定の団交事項に該当しないとして,補助参加人岡山地本に対し,口頭で団体交渉は行わないと伝えた。さらに,岡山支社は,平成7年3月10日,補助参加人岡山地本に対し,本件団交申入れについて「調査したが,そ,のような事実はないと文書で回答した乙16 48頁 。」。(【,】,【3,34頁,乙C2)】(7)本訴提起に至る経緯- 6 -ア補助参加人らは,平成7年3月9日,岡山地労委に対し,原告を被申立人として,①岡山運転区のP2助役及びP3が,同運転区の補助参加人JR西労組合員であるP4及びP5に対し,昇格試験等に関連して,同組合からの脱退を慫慂する発言を行ったこと,②津山鉄道部のP6運輸科長(以下「P6科長」という)及びP7助役が,補助参加人JR西労の組合員であるP8。 ,,,に対し転 格試験等に関連して,同組合からの脱退を慫慂する発言を行ったこと,②津山鉄道部のP6運輸科長(以下「P6科長」という)及びP7助役が,補助参加人JR西労の組合員であるP8。 ,,,に対し転勤等に関連して同組合からの脱退を慫慂する発言を行ったこと③本件団交拒否がそれぞれ不当労働行為に当たるとして,本件初審申立てをした。岡山地労委は,平成11年3月25日,別紙1のとおり本件初審命令を発した。 イ原告は,平成11年4月26日,本件初審命令を不服として被告に対し本件再審査申立てをしたが,被告は,同16年12月1日付けで,これを棄却した。そこで,原告は,前記被告の命令の取消しを求めて本件訴えを提起した。 争点 (1)アP2助役は,P4及びP5に対し,昇格試験等に関連して,両名が所属する補助参加人JR西労からの脱退を慫慂する発言をしたか。 ,。 イ前記アが認められる場合その事実を原告に帰責させることができるか(2)アP6科長及びP7助役は,P8に対し,転勤等に関連して,同人が所属する補助参加人JR西労からの脱退を慫慂する発言をしたか。 ,。 イ前記アが認められる場合その事実を原告に帰責させることができるか(3)本件団交拒否には正当な理由があるか。 争点に対する当事者の主張(1)争点(1(P2助役のP4及びP5に対する脱退慫慂行為の存否,原告の)帰責性)について【被告】ア脱退慫慂行為の存否についてP2助役は,P4及びP5に対し,以下のような発言をしており,このような発言は補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為に当たる。 (ア)P2助役は,P4が昇格試験(1次試験)の受験の前日である平成6年12月7日,大衆割烹「α」において飲食中,P4に対し「ついにそ,ういう時期がきたから,乗り遅れたら損をするぞ「あし る。 (ア)P2助役は,P4が昇格試験(1次試験)の受験の前日である平成6年12月7日,大衆割烹「α」において飲食中,P4に対し「ついにそ,ういう時期がきたから,乗り遅れたら損をするぞ「あした1次試験じ。」「ゃのう。わしが推薦しちゃっとるから大丈夫だ「西労もつまらん。か。」と言って西労組(JR西労組)も今の状態じゃあだめだ。だからパイパ。」,。 ンがいいんだなどと述べ補助参加人JR西労からの脱退を慫慂した(イ)P2助役は,P5が昇格試験の2次試験を受験後,結果発表前である平成7年2月12日,岡山市内のレストランにおいて,P5に対し「P,4君も西労と心中する気はない「他にも脱退を考えている者が15な。」いし20名程いて,その内の7名の脱退届を持っている」などと述べた。 うえで,白紙の脱退届用紙を渡して「こことここに書けばいいんだ」,。 - 7 -などと述べ,補助参加人JR西労からの脱退を慫慂した。 (ウ)P2助役は,P4が昇格試験の2次試験を受験後,結果発表前である平成7年2月13日午前9時5分ころから同日午前9時30分ころまでの間,JR岡山駅構内のレストラン「β」において,P4に対し「2月,の20日までに会社に忠誠を誓うようなあかしがほしいのだ。あかしというのは脱退届なんじゃ「西労にいたっていいことにはならん。その。」うち自然消滅するような組合だから。だけど西労組(JR西労組)もだめだ。運動方針もちゃんとしていない組合は労働組合ではない「パイ。」パンがいいんだ」などと述べ,補助参加人JR西労からの脱退を慫慂し。 た。 (エ)P2助役は,P4及びP5が昇格試験の2次試験を受験後,結果発表前である平成7年2月13日午後9時ころ,P3が開店を予定していたスナック「γ」において,P4及びP5に対 退を慫慂し。 た。 (エ)P2助役は,P4及びP5が昇格試験の2次試験を受験後,結果発表前である平成7年2月13日午後9時ころ,P3が開店を予定していたスナック「γ」において,P4及びP5に対し「西労のネクタイをして,面接に行った者をどうにかしてカバーしてやらなければいけない「2。」0日という日は2次試験が終わる日だ。だから何べんも言うように,それまでに会社に対して忠誠を誓うような態度を示しておいたほうが有利。」「,。 になるんだ15ないし20という数はP4ちゃんよく考えてみい36(三六協定)をとれるだろうがな。それは15でもいいんだが,多いほうがいいからなあ。しかし会社は皆はいらないと言っている「2。」。 次試験に合格させてやりたいので2月20日までに脱退届を出してくれ脱退届は預かっておいて,西労がストライキをするときに出す」などと。 述べ,補助参加人JR西労からの脱退を慫慂した。 イ原告の帰責性について原告では,助役が区長を補佐・代理し,部下社員の日常業務の監督・指導を行い,箇所長所見の参考資料を作成するなどの職務を行っていた。また,原告における昇格試験の最終合否は,2次試験の成績及び箇所長所見(その内容については後記第3の1(1)イ(ア)dのとおりである)を総合的に。 勘案して支社長が決定するところ,同所見は助役が提供した資料,助役の意見を参考に作成されており,助役は昇格試験の合否について事実上相当の影響力を与えうる地位にあり,社員もそのように認識していた。したがって,P2助役のP4ないしP5に対する所属組合からの脱退慫慂行為は,その行為の時期・内容,P2助役の職制上の地位・権限,当時の労使事情等からして,その職制上の地位を利用し,原告の意を体して行われたものといえ,その責任は原告に帰責される。なお, らの脱退慫慂行為は,その行為の時期・内容,P2助役の職制上の地位・権限,当時の労使事情等からして,その職制上の地位を利用し,原告の意を体して行われたものといえ,その責任は原告に帰責される。なお,P2助役は,JR西労組組合員ではあるがこれまで積極的に組合活動を行ったことはなく,P4及びP5に対する脱退慫慂行為をJR西労組の組合活動とみることはできない。 【原告】ア脱退慫慂行為の存否についてP2助役が,P4及びP5に対し,所属する補助参加人JR西労からの脱- 8 -退を慫慂するような発言をしたことはない。P2助役は昇格試験の合否決定に何ら権限を有しないこと,P4は平成6年12月末ころ既に補助参加人JR西労を脱退する気がなくなっていたこと,同7年2月には既に同年度の昇格試験が終了していたことからして,P2助役が被告主張の時期に,P4及びP5に対し,昇格試験を利用して同組合からの脱退を迫る発言をすることなどあり得ない。 イ原告の帰責性について原告の就業規則によれば,助役は職制に従い現場長の指揮の下,日々の業務を行っているにすぎない。また,原告では,社員の昇格決定等の人事権の行使は支社長が行っており,現場長は支社長が人事に関する決定をするに当たり,基礎資料を人事担当課に提出し,助役は現場長の指示に従って同基礎資料の収集を補助しているにすぎず,現場長や助役が昇格の決定に関与することはない。したがって,P2助役は昇格試験の合否等の決定権限を有していない。本件命令において,P2助役がP4及びP5に対し脱退慫慂を行ったと認定している部分は,ほとんどが原告の施設外における勤務時間外の出来事であり,P2助役の発言を職制上の地位を利用して会社の意を体して行。 ,,われたとみることはできないなおP2助役はJR西労組の組合員であり同組合が当 が原告の施設外における勤務時間外の出来事であり,P2助役の発言を職制上の地位を利用して会社の意を体して行。 ,,われたとみることはできないなおP2助役はJR西労組の組合員であり同組合が当時積極的に組織拡大を図っていたことからすれば,P2助役がそれまで積極的に同組合の組合活動を行っていなかったとしても,P4及びP5に対し,補助参加人JR西労を脱退したうえで時期をみてJR西労組に加入するよう勧めることは何ら不自然なことではない。 (2)争点(2(P6科長及びP7助役のP8に対する脱退慫慂行為の存否,原)告の帰責性)について【被告】ア脱退慫慂行為の存否についてP6科長及びP7助役は,P8に対し,以下のような発言をしており,このような発言は補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為に当たる。 (ア)P6科長は,平成6年4月14日午後3時ころ,津山西分室談話室において,補助参加人JR西労の組合員で,同組合のネクタイを着用していたP8に対し「ネクタイを替えろ」と述べた。 ,(イ)P7助役は,平成6年4月19日午後9時20分ころ,補助参加人JR西労を脱退していないP8に対し「言うことを聞かないから岡山だろ,う」と述べた。 。 (ウ)P6科長は,平成6年4月21日午前10時10分ころ,津山西分室談話室において,補助参加人JR西労の組合員であるP8に対し「考え,方を変ええや「ネクタイ替ええ「そりゃあネクタイ替えてくれたら・」」・・」などと述べた。 (エ)P6科長は,平成6年5月13日午後4時10分ころ,津山西分室談話室において,P8に対し「末端の組合員でコリがないんじゃったら考,- 9 -ええ」などと述べた。 イ原告の帰責性についてP6科長は,津山西分室の区域内の列車の運転,車掌,検修業務の管理監督者の地位にあった。 に対し「末端の組合員でコリがないんじゃったら考,- 9 -ええ」などと述べた。 イ原告の帰責性についてP6科長は,津山西分室の区域内の列車の運転,車掌,検修業務の管理監督者の地位にあった。また,P7助役は,津山西分室勤務の部下社員の日常業務の監督・指導を行ったり,岡山支社の行う転勤者の人選に際し,現場長であるP6科長の指示により各社員の個別的事情に関する具体的事実を把握するなどの職務を行っていた。P6科長及びP7助役は,岡山支社の行う転勤者の人選に際し,津山西分室勤務の社員の個別的事情に関する資料を提供しており,同資料は転勤等の決定の判断資料とされるから,P8は岡山運転,区所属であったものの平成6年4月から5月の間津山西分室に勤務しておりP6科長ないしP7助役はP8の転勤等の決定について事実上相当の影響を与えうる地位にあった。したがって,P6科長ないしP7助役のP8に対する脱退慫慂行為は,その行為の場所・内容,P6科長及びP7助役の職制上の地位・権限,当時の労使事情等に照らし,その職制上の地位を利用して,原告の意を体して行われたものといえ,その責任は原告に帰責される。 【原告】ア脱退慫慂行為の存否についてP6科長及びP7助役が,P8に対し,所属する補助参加人JR西労からの脱退を慫慂するような発言をした事実はない。P8は,岡山運転区から津山鉄道部に助勤として勤務していたところ,助勤については岡山支社人事課で決定し,その人選については助勤を出す側の現場長に任せられているのであり,助勤を受ける側の津山鉄道部は助勤を決定する権限も人選をする権限もない。したがって,津山鉄道部のP6科長及びP7助役が助勤に関する権限があるかのような言動をして,岡山運転区所属の社員であるP8に対し,所属する補助参加人JR西労からの脱退慫慂をすること する権限もない。したがって,津山鉄道部のP6科長及びP7助役が助勤に関する権限があるかのような言動をして,岡山運転区所属の社員であるP8に対し,所属する補助参加人JR西労からの脱退慫慂をすることなどあり得ない。 イ原告の帰責性について原告の支社での転勤は,支社の人事課において,支社全体の要員需給を把握,,。 し就業規則にある任用基準に基づいて人選を行い支社長が発令している現場長であるP6科長は,社員の転勤について,津山西分室勤務の社員の基礎資料の収集及び支社からの照会の回答を行うにすぎず,また,P7助役は現場長であるP6科長の指示に従い,津山西分室勤務の基礎資料の収集を行うにすぎず,P6科長及びP7助役は転勤に関する権限を有せず,事実上も関与していなかった。したがって,P6科長及びP7助役のP8に対する発言が,その職制上の地位を利用して会社の意を体して行われたとみることは相当でない。 (3)争点(3(本件団体交渉拒否の正当な理由の存否)について)【原告】ア原告における労使紛争処理制度は,本件労働協約により,団体交渉,経営協議会,苦情処理会議に大別され,それぞれ交渉,協議すべき事項が定めら- 10 -れている。このうち団交事項は,本件労働協約39条により,一般的,集団的な基準の設定,改訂に関する事項に限られている。この点,本件団交申入れの内容は,昇進,転勤という個人の人事に関する事項であり,本件労働協約39条所定の一般的,集団的な基準の設定,改訂には当たらないから,原告がこれについて団体交渉を行わなかったことには正当な理由があり,不当労働行為に当たらない。 イ岡山支社と補助参加人岡山地本との間では,組合側が申し入れた事項の多くは,窓口整理(窓口説明)で処理しており,組合側もこれに応じている。 また,原告のP9人事 があり,不当労働行為に当たらない。 イ岡山支社と補助参加人岡山地本との間では,組合側が申し入れた事項の多くは,窓口整理(窓口説明)で処理しており,組合側もこれに応じている。 また,原告のP9人事課長代理ないしP10人事課主席は,平成7年3月2日及び同月8日,補助参加人岡山地本のP11副委員長に対し,本件団交申入れ事項は本件労働協約上の団交事項に該当しないので,団体交渉ではなく窓口説明で対応すると伝え,同月10日,窓口説明により,回答を書面で交付している。したがって,本件団交申入れに対する原告の対応は,本件労働,。 協約の規定及び従来の慣行に従ったものであり不当労働行為に当たらない【被告】ア本件団交申入れは,運転職場において不当労働行為が行われたとして,この問題を解決し,現場の労使関係の改善を図るために行われたものであるところ,本件労働協約39条は平常時における労働条件決定の団体交渉に関する規定であり,不当労働行為の労使紛争処理に関する事項を想定した規定ではない。したがって,原告は,本件団交申入れについて,本件労働協約39条所定の団交事項に当たらないことを理由に団体交渉を拒否することはできない。 イ労働協約上,苦情処理事項と団交事項が明確に区別され,従業員の個別人事事項については苦情処理機関内で最終的に処理されるとの明確な規定があり,実際上も同規定に従い処理されているという実態がある場合には,使用者は従業員の個別人事事項に関する団体交渉申入れに対し,苦情処理事項であるとして団体交渉を拒否できる場合がある。しかしながら,①原告には,本件労働協約上,従業員の個別人事事項を処理するものとして簡易苦情処理会議が存在するものの,これは従業員の転勤等に関する事前通知を対象とするものであり,従業員の個別人事事項に関する苦情処理一般を対象 本件労働協約上,従業員の個別人事事項を処理するものとして簡易苦情処理会議が存在するものの,これは従業員の転勤等に関する事前通知を対象とするものであり,従業員の個別人事事項に関する苦情処理一般を対象とするものではないこと,②原告では,平成3年6月から同8年11月までの間に,補助参加人JR西労組合員延べ40人が転勤命令を不服として簡易苦情処理,,の申告をしたがいずれも苦情として適当でないとして却下されていること③原告は,本件団交申入れ以降も,補助参加人JR西労組合員の配置転換・組合役員の転勤等に関する団体交渉申入れについて,本件労働協約39条所定の団交事項に該当しないとして団体交渉に応じていないことからすれば,原告では,従業員の個別人事事項について,団体交渉を実施しておらず,また,簡易苦情処理制度が規定上も実際上も団体交渉を補完する機能を果たしているとはいえない。したがって,原告が本件労働協約39条により従業員- 11 -の個別事項に関する団体交渉を制限することは,補助参加人らの団体交渉権を著しく制限することになるから,本件団交拒否は労働組合法7条2号所定の不当労働行為(正当な理由のない団交拒否)に当たる。なお,原告は,本件団交申入れについて,窓口説明により対応したと主張するが,原告は本件団交要求書に「調査したが,そのような事実はない」と付記して回答したに。 すぎず,これをもって団体交渉を補完するものであったということもできない。 第3争点に対する判断()(,) 争点 P2助役のP4及びP5に対する脱退慫慂行為の存否原告の帰責性について(1)前提事実(文章中又は文末の括弧内に証拠を掲記した事実以外は争いがない)。 ア岡山運転区の概要(ア)岡山運転区では,区長の下に総括,指導,計画の各助役1名,当直助 告の帰責性について(1)前提事実(文章中又は文末の括弧内に証拠を掲記した事実以外は争いがない)。 ア岡山運転区の概要(ア)岡山運転区では,区長の下に総括,指導,計画の各助役1名,当直助役5名を配置していた。各助役は業務を分担しながら社員管理を行っており,このうち指導助役は主に運転士に対する指導を行っていた。岡山運転区は,平成7年3月当時,区長以下222名が所属しており,その職制等は別紙3のとおりであった。なお,平成6年12月から同7年2月までの間の岡山運転区長はP12(以下「P12区長」という,総。)括助役はP13(以下「P13助役」という,指導助役はP2助役で。)あった。 (イ)岡山運転区では,P12区長及びP13助役を除く全職員が組合員資格を有しており,平成6年12月から同7年2月までの間の補助参加人JR西労所属の組合員数は118名であった。なお,P2助役は,JR西労組組合員であった。 (ウ)岡山運転区の建物の2階には,岡山支社と社員食堂運営委託契約を締(「」。)。 結したP14が経営する社員食堂以下社員食堂というがあった岡山運転区において社員食堂を利用する職員は,同食堂に食材を運び込む元国鉄職員であるP3を社長と呼んでいた。 イ昇格試験について(ア)原告は,平成5年9月30日,補助参加人JR西労との間で,社員の昇進の取扱いに関する協定を締結しており,原告における昇格試験は,前記協定に基づき,以下のとおり行われていた(甲A2,乙21【31ないし33頁,乙A2,3。 】)a原告では,上位の職名になることを昇職,上位の等級になることを昇格といい,昇職と昇格を併せて昇進という。 b昇格試験は,基本的に一定の在級年数を受験資格とし,1ないし9等級までを1等級ずつ試験により進級する。この 職名になることを昇職,上位の等級になることを昇格といい,昇職と昇格を併せて昇進という。 b昇格試験は,基本的に一定の在級年数を受験資格とし,1ないし9等級までを1等級ずつ試験により進級する。このうち,3等級から4等級,5等級から6等級への昇進は職名及び職務内容が大きく変わる- 12 -ためB昇格と呼ばれ,それ以外はA昇格と呼ばれている。A昇格では1次試験で小論文,2次試験で面接を行い,B昇格では1次試験で筆記試験及び小論文,2次試験で面接を行う。なお,2次試験は,1次試験合格者を対象に実施する。 c1次試験の問題は原告本社が一括して作成し,試験の実施,採点,面接は各支社が行う。昇格試験の最終合否は,2次試験の成績,箇所長所見(人事考課,2次試験実施から昇格発令までの間の勤務成績を)総合的に勘案して各支社長が決定する。 d箇所長所見とは,社員の業務遂行に関する知識,技能,実績,社員としての自覚,勤務態度,勤務に対する意欲等の人事考課についての現場長たる箇所長の所見をいう。 原告の現業機関である運転区の助役の職務は,就業規則において,区長の補佐又は代理と規定されており,助役は,部下の社員の日常の仕事の監督指導を行ったり,個々の社員の勤務実態を把握し,箇所長所見の参考資料となる社員の執務記録を作成するなどの職務を行っている。このため,現場長である箇所長が,箇所長所見を作成するに当たっては,助役が提供した資料や助役の意見を参考にして作成している。 e以上のとおり,昇格試験において合否の資料とされる箇所長所見は助役が提供した資料や助役の意見を参考にして作成されること,岡山運転区のように200名を越える社員を擁する職場では区長一人で社,,員個々の勤務態度を把握することは困難であり勢い助役の作成資料意見に依拠する度合いが大きい 見を参考にして作成されること,岡山運転区のように200名を越える社員を擁する職場では区長一人で社,,員個々の勤務態度を把握することは困難であり勢い助役の作成資料意見に依拠する度合いが大きいことなどから,助役は,昇格試験の合否について事実上相当の影響力を有しており,社員もまた助役の権限について同様の認識を有しており,昇格に関する助役の発言内容は会社の意見を反映したものと認識していた(乙19【23,24頁,。 】弁論の全趣旨)(イ)平成5年度の岡山支社における昇格試験の主要組合別の合格率は,おおむね別紙4のとおりである。これによれば,補助参加人JR西労組合員の合格率が10.5%であるのに対し,JR西労組所属の組合員の合格率は71.0%,国労西日本所属の組合員の合格率は54.5%となっており,補助参加人JR西労の組合員の合格率が極端に低い結果となっている。また,平成6年度及び同7年度の岡山支社における昇格試験の補助参加人JR西労組合員の試験結果は,おおむね別紙5のとおりであった。これによれば,平成6年度の補助参加人JR西労組合員(岡山運転区所属)の合格率は5.6%,同7年度のそれは14.6%と,極めて低い合格率となっている。このような合格率から,補助参加人JR西労の組合員ら(P4,P5を含む)は,組合に所属していると昇格試験には不利であるという認識,換言すれば,昇格試験において,補助参- 13 -加人JR西労所属の組合員が原告から差別されているとの認識を持っていた(乙1【112ないし115頁,2【102ないし105,12。 】1ないし124頁,4【119,120,153頁,8【86ないし】】88頁,13【21,22頁,19【15ないし17頁,乙A4,弁】】】論の全趣旨)(ウ)平成7年度の岡山支社における昇 1ないし124頁,4【119,120,153頁,8【86ないし】】88頁,13【21,22頁,19【15ないし17頁,乙A4,弁】】】論の全趣旨)(ウ)平成7年度の岡山支社における昇格試験の日程は,以下のとおりであった。 1次試験平成6年12月7日から同月11日までの間の1日2次試験平成7年1月20日から同年2月6日までの間の1日合格発表平成7年3月25日ウP4,P5の経歴と昇格試験受験(ア)P4aP4は,昭和49年8月に国鉄に臨時雇用員として採用されて岡山機関区に配属され,同50年6月に正式に職員となり,同55年5月1日に機関士になった。P4は,昭和62年4月1日に原告に採用さ,()れ岡山運転区平成元年3月10日までの名称は岡山運転所派出所において運転士として勤務していたが,平成7年8月28日に糸崎運転区(同年10月1日に「せとうち地域鉄道部糸崎乗務員センター」に改称)に配転された。P4は,国鉄時代は動労に所属しており,原告発足後はJR西労組に所属していたが,補助参加人JR西労結成と同時に同組合に加入した。P4は,動労において青年部岡山支部常任委員を務めたことがある(乙8【51ないし59頁,乙A6)。 】bP4は,平成6年12月に実施された平成7年度昇格試験の1次試験には合格したが,同7年1月から2月にかけて実施された2次試験は不合格となった。 cP4は,P2助役から昇格試験の個別指導を受けるなどの間柄であった。また,P4は,何度か妻が勤務していた素麺屋から社員食堂に素麺を運んだことがあり,P3からお礼に珈琲を奢ってもらったこともあったがそれ以外にはP3と親しく付き合う間柄ではなかった乙,。 (8【64ないし67頁)】(イ)P5aP5は,昭和50年4月1日に国鉄に採用 P3からお礼に珈琲を奢ってもらったこともあったがそれ以外にはP3と親しく付き合う間柄ではなかった乙,。 (8【64ないし67頁)】(イ)P5aP5は,昭和50年4月1日に国鉄に採用されて岡山機関区に配属され,同55年5月1日に電気機関士になった。P5は,昭和62年4月1日に原告に採用され,岡山運転区において運転士として勤務していた。P5は,国鉄時代は動労に所属しており,原告発足後はJR西労組に所属していたが,補助参加人JR西労結成と同時に同組合に加入した。なお,P5は,これまで組合の役職に就いたことはない。 (乙4【77ないし83頁,乙A4)】,bP5は,平成6年12月に実施された平成7年度昇格試験の1次試- 14 -験には合格したが,同7年1月から2月にかけて実施された2次試験は不合格となった。 cP5は,P4とほぼ同時期に国鉄に採用され,同人と親しい間柄である。しかし,P5は,P3とは社員食堂で時々話をする程度の間柄であり一緒に酒を飲みに行ったりするような付き合いはなかった乙,。 (6【107,108頁,弁論の全趣旨)】(2)P2助役のP4ないしP5に対する脱退慫慂行為の存否ア証拠評価について(ア)P2助役がP4及びP5に対し組合からの脱退慫慂を行ったことを証する主な証拠としては,P2助役のP4ないしP5に対する平成7年2月13日のスナック「γ」における言動が記載されている補助参加人岡山地本執行委員長P15(以下「P15委員長」という)作成の平成7。 年11月30日付け報告書(乙A5,以下「本件報告書」という,P。)4(乙A6)及びP5(乙A4)の各陳述書,同人らの本件初審における各供述が存在する。他方,P2助役がP4及びP5に対し脱退慫慂行為など行っていないことを証する証拠として 報告書」という,P。)4(乙A6)及びP5(乙A4)の各陳述書,同人らの本件初審における各供述が存在する。他方,P2助役がP4及びP5に対し脱退慫慂行為など行っていないことを証する証拠としては,P2助役の陳述書(甲A1)及び陳述録取書(甲A14,P2助役から事情聴取した岡山支社)のP9人事課長代理,P16人事課長,P17人事課長の労働委員会,。 ,,当裁判所での供述が存在する原告側被告・補助参加人ら側の証拠はP2助役のP4及びP5に対する組合脱退慫慂行為の存否について正反対の事実を述べており,どちらの証拠を信用すべきかが問題となる。そこで,以下,前記証拠の証明力について検討することにする。 (イ)本件報告書の信用性についてa証拠(乙8【133ないし144頁,13【59ないし62,71】頁,19【31,32頁,20【2ないし6,9ないし11頁)及】】】び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (a)P4は,平成7年2月13日午後零時46分ころ,JR広島駅において当時岡山運転区分会の委員長であったP18以下P,(「18分会長」という)に対し,同日夜にP5と一緒にP2助役と。 会う予定であることを伝えた。P18分会長は,同日午後8時ころ,JR岡山駅において,P4に対し,P2助役との間の会話を録音するためのテープレコーダーを渡した。P4は,同日午後9時ころ,スナック「γ」において,P2助役,P3,P5と会食,。 をした際P2助役との会話を前記テープレコーダーで録音したP4は,前記P2助役らとの会食後,同日午後11時ころ,補助参加人岡山地本の事務所に立ち寄り,P18分会長らに対し,同会食の概要を報告するとともに,P2助役との会話を録音したテープを渡した。 (b)P4は,平成7年2月16 食後,同日午後11時ころ,補助参加人岡山地本の事務所に立ち寄り,P18分会長らに対し,同会食の概要を報告するとともに,P2助役との会話を録音したテープを渡した。 (b)P4は,平成7年2月16日ころ,補助参加人岡山地本の事務- 15 -所において,P19書記次長とともに,前記(a)の録音テープを聴きながら同月13日のP2助役らとの会話の内容をまとめた書面を作成した。なお,P4らは,前記録音テープに雑音が入って聞き難い箇所もあったが,P4の記憶も交えてP2助役との間の会話の内容をまとめた。P19書記次長は,前記P4とP2助役らとの会話内容をまとめた書面をP15委員長に渡した。 (c)P15委員長は,自ら前記(a)のテープを聴いたうえで,前記(b)の書面に基づき本件報告書を作成した。 b前記aで認定した事実によれば,本件報告書は,平成7年2月13日のスナック「γ」におけるP2助役,P3,P4,P5の会話のいわゆる録音反訳ではないものの,基本的には録音テープに基づき,テープが聴き取り難い部分はP4の記憶により補完するなどして作成された書面に基づき作成されたものであること,P4らによるテープ起こし作業は前記会話が行われてから3日後というP4の記憶が新鮮なうちに行われていること,その内容は具体的かつ詳細なものであり,内容自体に不自然不合理な点がないことからして信用性が高いと評価するのが相当である。 (ウ)P4及びP5の各陳述書(乙A4,乙A6,同人らの本件初審におけ)る各供述の信用性についてP4(乙A6)及びP5(乙A4)の各陳述書,同人らの本件初審における各供述は,それぞれ具体的かつ詳細なものであり,客観的事実との齟齬もなく,その内容自体自然であるうえ,前記(イ)のとおり信用性が高い本件報告書の内容やそれぞれの陳述ないし供述 人らの本件初審における各供述は,それぞれ具体的かつ詳細なものであり,客観的事実との齟齬もなく,その内容自体自然であるうえ,前記(イ)のとおり信用性が高い本件報告書の内容やそれぞれの陳述ないし供述と互いに整合するものであることからして信用性が高いと評価するのが相当である。 (エ)P2助役の陳述書及び陳述録取書(甲A1,甲A14,P9人事課長)代理,P16人事課長,P17人事課長の各供述の信用性についてP2助役は,陳述書(甲A1)ないし陳述録取書(甲A14)において,被告・補助参加人ら主張の日時に,P4ないしP5と飲食をともにしたことは認めるものの,その際,同人らに対し,組合からの脱退を慫慂した事実はないと陳述している。しかしながら,P2助役の前記陳述書ないし陳述録取書は,行為時から相当期間経過後に作成されたものであること,外形的な事実関係については認めるものの,そこでの発言内容について具体的陳述がないこと,P2助役が部下のうちP4及びP5だけを短期間に頻繁に飲食に誘った理由が明らかでないこと(後述するとおり組合活動を積極的に行っていなかったP2助役が突如としてP4及びP5をJR西労組に加入させるためこのような行為に及んだとは考え難い,P2助役は,本件初審及び本件再審査において,証人として。)採用されたものの,いずれも審問に出頭しなかったこと(当事者間に争いのない事実)に照らすと,信用性に乏しく採用することができない。 - 16 -なお,原告は,P9人事課長代理が本件団交申入時,本件初審申立時にそれぞれP12区長及びP2助役に対し,P4,P5に対する組合からの脱退慫慂行為の存否を調査したところ,そのような事実が認められなかった,また,岡山支社人事課長であったP16人事課長が本件初審命令後改めて,勤労担当者に命じてP2助役から 4,P5に対する組合からの脱退慫慂行為の存否を調査したところ,そのような事実が認められなかった,また,岡山支社人事課長であったP16人事課長が本件初審命令後改めて,勤労担当者に命じてP2助役から事情聴取を行ったが,同様に脱退慫慂行為は認められなかった,更に,P17人事課長も,本件命令後,P2助役から事情聴取したが同様の結果であったなどと主張し,これら3名はこれに沿う供述をしている(乙16【40ないし43頁,21【4ないし22頁,証人P17【2ないし7頁。しかしな】】】)がら,前記調査は,社内の人事課員による事情聴取であること,P2助役の供述内容は補助参加人らの反対尋問にさらされたものではなく,一方的に自己の主張をしているものにすぎず,しかも前記のとおり信用性の乏しい内容であることなどに照らすと,P9人事課長代理,P16人事課長,P17人事課長の各供述も信用性に乏しいというべきである。 したがってこれらの調査が存在するからといって本件報告書P4乙,,(A6)及びP5(乙A4)の各陳述書,同人らの本件初審における各供述の信用性が左右されることはない。 (),,()(),オその他本件報告書P4乙A6及びP5乙A4の各陳述書同人らの本件初審における各供述の信用性に疑いを容れるような事情は存在しない。そうだとすると,これらの証拠を事実認定に供するのが相当であり,これらの証拠等により認定した事実は,次のイで述べるとおりである。 イP2助役の脱退慫慂行為についての事実認定(), 証拠 文章中又は文末の括弧内に掲記のもの及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (ア)P4は,同人の平成7年度昇格試験の1次試験受験前日である平成6年12月7日午後6時ころ,岡山運転区に帰着後,P3に 末の括弧内に掲記のもの及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (ア)P4は,同人の平成7年度昇格試験の1次試験受験前日である平成6年12月7日午後6時ころ,岡山運転区に帰着後,P3に誘われて岡山「」。 ,「」,運転区の近くにある喫茶δに行ったP3は喫茶δにおいて同所で合流したP14とともに,P4に対し「15人程度パイパンにな,ったら,岡山運転区の数が変わる「組織率が変わってあんたらが都合の」いい方へ15人ほど動けば,あんたらが運転区を動かせることになる」などと述べた(乙8【60ないし63,67ないし75頁)。 】(イ)P4は,前記(ア)の後,P3に誘われて,平成6年12月7日午後,「」。 ,7時ころP3の自宅付近にある大衆割烹αに行ったP4がP3「」,,P14とαで飲んでいたところ同日午後7時20分ころになってP2助役が現れた。これに対し,P3は,P2助役に対し「P4ちゃん,に例の話をしよったとこじゃ」と述べた。その後,P2助役は「α」。 ,において飲食中,P4に対し「P4ちゃんには前々から言っていたんだ,が,ついにそういう時期がきたから,乗り遅れたら損をするぞ「わし。」- 17 -はP4ちゃんを信用しているから,こういう話もするし,世話もするんだ。だから絶対誰にも言ったらいけんぞ。こういうことは水面下で秘かに動かないといけん。人にバレたら元も子もなくなる「あした1次試。」。 。」「。 験じゃのうわしが推薦しちゃっとるから大丈夫だ西労もつまらんかと言って西労組も今の状態じゃだめだ。だからパイパンがいいんだ」。 などと述べ,昇格試験の合格推薦と引き換えに,補助参加人JR西労を脱退する意思はないか打診する行為に及んだ。ちなみに,P4は,平成 かと言って西労組も今の状態じゃだめだ。だからパイパンがいいんだ」。 などと述べ,昇格試験の合格推薦と引き換えに,補助参加人JR西労を脱退する意思はないか打診する行為に及んだ。ちなみに,P4は,平成7年度の昇格試験の1次試験には合格した。なお,この際の「α」の飲食代金はすべてP3が支払った(乙8【75ないし94頁,乙A6)。 】(ウ)P4は,平成6年12月末ころ,岡山運転区庁舎内において,P2助役に対し,補助参加人JR西労からの脱退の件はなかったことにしてほしいと述べた。これに対し,P2助役は,P4に対し「もう一遍考えて,くれ」と述べたが,P4は「もう考える気はない」と述べた(乙8。 ,。 。 【98,99頁,9【35,36頁)】】(エ)P2助役は,平成7年2月12日,既に同年度昇格試験の1次試験に合格し,2次試験受験後合格発表を待っていたP5を誘って,岡山市内のレストランに行き,P3を含む3人で会食をした。この際,P3は,P5に対し「昇格試験はワシがP2助役に頼んでおいたんだ「このネ,。」クタイ(本件ネクタイ)では通る者も通らないよ。このまま西労にいたらだめだ「誰でも彼でも言ってるんじゃない。あんたのことを思って。」言ってるんだ」などと述べた。また,P2助役は,P5に対し「P4。 ,君も西労と心中する気はない。そういう考えを持っているんだ「他にも」脱退を考えている者が15人から20人くらいいる「7人くらい脱退。」届を持っている」などと述べたが,P5が納得していない様子であった。 ため,自分の自動車から脱退届と思われる用紙を持ってきて同人に対し少し見せた。さらに,P2助役は,白紙の脱退届用紙を取り出して,P5に対し「こことここに書けばいいんだ」などと述べ,補助参加人J,。 R西労からの脱退を慫慂し と思われる用紙を持ってきて同人に対し少し見せた。さらに,P2助役は,白紙の脱退届用紙を取り出して,P5に対し「こことここに書けばいいんだ」などと述べ,補助参加人J,。 R西労からの脱退を慫慂した。これに対し,P5は,P2助役に対し,,。 P4と相談をしたいなどと述べて前記白紙の脱退届用紙を持ち帰ったなお,この際の飲食代金は,すべてP2助役が支払った(乙4【83な。 いし109頁,乙A4)】(オ)P5は,前記(エ)の会食後,P4に電話を掛けて補助参加人JR西労脱退の意思の有無を確認したところ,P4に脱退の意思がないことが,()。 わかり同人の指示を受けて前記エの白紙の脱退届用紙を破棄したP4から前記(エ)の会食について報告を受けたP18分会長は,P5に対し,補助参加人岡山地本を訪れるよう指示した。P5は,平成7年2月13日午後5時30分ころ,P2助役に対し「ゴタゴタはイヤだ。 ,白紙に戻してくれ。P4さんとは相談した「P18に今日,地本に来。」」,。 いと言われたなどと述べて補助参加人JR西労からの脱退を断った- 18 -(乙7【5ないし12,24ないし29頁,8【100ないし103,】106頁,13【50ないし59頁,乙A4)】】(カ)P4も,P5同様,平成7年度の昇格試験の1次試験に合格し,2次試験を受験後合格発表を待っていた平成7年2月13日,P2助役から,,誘われて同日午前9時5分ころから同日午前9時30分ころまでの間JR岡山駅構内のレストラン「β」に行った(P2助役は勤務中,P4は手待ち時間であった。この際,P2助役は,P4に対し,添乗指導。)等の話をしたほか「ワシは部下がかわいいから2次試験に合格させてや,りたいんだ「西労にいたって,いいことにはならん。パイパンが は手待ち時間であった。この際,P2助役は,P4に対し,添乗指導。)等の話をしたほか「ワシは部下がかわいいから2次試験に合格させてや,りたいんだ「西労にいたって,いいことにはならん。パイパンがいいん」だ。こんなことは水面下でひっそりとやらなければいけない」などと述べた。さらに,P2助役は,P4に対し「今晩時間をくれ」と述べて同,日夜の飲食に誘った。なお,この際の飲食代金はすべてP2助役が支払った(乙8【126ないし132頁,乙A6)。 】(キ)P2助役は,平成7年2月13日午後9時ころ,P4及びP5を誘っ,「」,てP3が開店を予定していたJR岡山駅近くのスナックγに行きP3を含む4人で会食をした。この際,P2助役は,P4及びP5に対し「西労のネクタイをして面接に行った者をどうにかしてカバーしてや,らなければいけない「ただ人間関係があるから今(西労の)ネクタイ。」をしている。だけど大きく動く時にはそれに乗りますよということをアピールしてやらなければいけんからな「西労と心中しないという意志。」,。 があるということを会社に言ってやらなければいけないがなワシらがただ人間関係があるから今はネクタイをしている。だけど大きく動く時には,それに乗りますよ,ということをアピールしてやらなければいけんがな「15ないし20という数はP4ちゃん,よく考えてみい。3。」6をとれるだろうがな。それは15でもいいんだが,多いほうがいいからなあ。しかし会社は皆はいらないと言っている「西労みたいにいつ。」自然消滅するかもわからないような組合にいたっていいことにはならない。今回は地震があったからストをできないだろうけれども,今度ストをする時までにワシが手の中におさめておいてストをするといった時にバッと出すんだ。しか からないような組合にいたっていいことにはならない。今回は地震があったからストをできないだろうけれども,今度ストをする時までにワシが手の中におさめておいてストをするといった時にバッと出すんだ。しかも自分らだけで考えてストをする労組ならまだしも中央の言いなりで動くような,そんなどうしようもない組織に執着するようなことはないじゃないか。よく考えてみい。これは不当労働行為だというのはワシはわかってやっているんだぞ「20日というのは2。」次試験が終わる日だ。だから何べんも言うように,それまでに会社に対して忠誠を誓うような態度を示しておいたほうが有利になるんだ」と述。 べ,補助参加人JR西労からの脱退を慫慂した(乙4【122ないし1。 43頁 100ないし103頁 30頁 】,【】,【,,】,【9,143ないし151頁,乙A4ないし6)】(ク)P4及びP5は,P2助役の勧めを断り,補助参加人JR西労に残留- 19 -した。P4及びP5は,平成7年3月25日,同年度の昇格試験に不合格となった(弁論の全趣旨)。 ウ小括前記イの認定事実から明らかなとおり,P2助役は,平成6年12月7日,同月末ころ,同7年2月12日,同月13日,P4及びP5に対し,所属する補助参加人JR西労からの脱退を慫慂していることが認められ,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 (3)P2助役の言動に関する原告の帰責性についてア帰責性についての判断基準前記(2)で判示したとおり,P2助役は,P4及びP5に対し,その所属する労働組合からの脱退を慫慂したことが認められるところ,問題は,かかるP2助役の行為を使用者である原告に帰責させることができるか否かという点である。 この点については,昇格試験の合否について事実上相 る労働組合からの脱退を慫慂したことが認められるところ,問題は,かかるP2助役の行為を使用者である原告に帰責させることができるか否かという点である。 この点については,昇格試験の合否について事実上相当の影響力を有している助役が,その立場を利用して,助役の権限について同様の認識を有している社員に対し,所属する労働組合からの脱退を慫慂することは,特段の事情がない限り,使用者又は利益代表者との間に意思の連絡があったものと推認することができるか,少なくとも,使用者又は利益代表者の意を体したものとして,使用者の行為と評価するのが相当である。そして,特段の事情の,,,有無については行為の行われた当時の労使間の事情行為者の地位・権限,,,行為の内容及び影響力行為者の組合活動の状況行為者と相手方との関係。 使用者が当該行為についてとった態度等を総合して判断するのが相当である以下,上記の基準に照らし,P2助役のP4及びP5に対する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為を原告に帰責させることができるのか,換言す,。 れば原告の行為と評価することができるのかについて検討することにするイ認定事実前記争いのない事実等,前記(1(2,証拠(文章中の括弧内に掲記の))もの)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)P2助役の脱退慫慂行為がされた当時の状況P2助役がP4及びP5に対し脱退慫慂行為を行った時期においては。 ,()以下のような事情が認められるすなわち前記争いのない事実等 (4)によれば,①補助参加人JR西労はスト権の確立を求めてJR西労組から独立した組合であり,実際,平成4年から同5年にかけて,賃上げ,安全問題,乗務員勤務制度改正反対,ブルートレインの1人乗務反対を要求項目として,4回にわたりスト はスト権の確立を求めてJR西労組から独立した組合であり,実際,平成4年から同5年にかけて,賃上げ,安全問題,乗務員勤務制度改正反対,ブルートレインの1人乗務反対を要求項目として,4回にわたりストライキを行っていること,②当該ストライキに対し,原告は,補助参加人JR西労の態度を批判して,,,,いることが認められこれらの事実によれば原告は同社の経営方針業務施策に反対する補助参加人JR西労を嫌悪していたことが推認できる。また,前記争いのない事実等(5)によれば,①岡山支社は,平成- 20 -4年2月ころ,岡山運転区分会のストライキ権の確立等に関する投票に関し,会議室の使用を許可しなかったり,施設外での同投票を監視するなどしていたこと,②補助参加人JR西労に所属する岡山運転区勤務の組合員40名が平成3年6月から同8年11月までの間に同運転区から他の部署への転勤を不服として岡山支社に対し簡易苦情処理を申告していること,③補助参加人岡山地本は,岡山支社に対し,平成5年7月,同支社が補助参加人らの組織破壊のため人事権を濫用して転勤命令を発したとして,また,同6年2月,岡山運転区長が個人面接において補助参加人JR西労を誹謗中傷したとして,それぞれ団体交渉を申し入れていることなどが認められ,これらの事実によれば,原告と補助参加人らとの間には絶えず緊張関係が生じていたことがうかがえる。 (イ)P2助役の地位・権限前記(1)ア(ア,イ(ア)d,eによれば,P2助役の地位・権限)は次のとおりであったことが認められる。すなわち,P2助役は,平成,,6年12月から同7年2月までの間岡山運転区指導助役の地位にありP4及びP5の上司の地位にあった。岡山支社における昇格試験の2次試験は,面接の成績,箇所長所見,2次試験から昇格発令までの ,,6年12月から同7年2月までの間岡山運転区指導助役の地位にありP4及びP5の上司の地位にあった。岡山支社における昇格試験の2次試験は,面接の成績,箇所長所見,2次試験から昇格発令までの間の勤務成績を総合的に勘案して支社長が決定するところ,P2助役は,岡山運転区の箇所長所見の判断材料の収集に当たる職務を担当しており,昇格試験の合否に事実上相当の影響力を有していた。 (ウ)社員のP2助役の権限,発言についての受け取り方前記(1)イ(ア)e(イ)によれば,岡山運転区所属の社員のP2,助役の権限,発言についての受け取り方は次のとおりであったことが認められる。すなわち,岡山運転区所属の社員も,P2助役の昇格試験に関する権限について,試験の合否に事実上相当の影響力を有しているとの認識を持っており,昇格に関するP2助役の発言内容は会社の意思に基づくものと認識していた。また,岡山支社における補助参加人JR西労の組合員の昇格試験の合格率はJR西労組等の他の組合員と比べて極めて低く,補助参加人JR西労の組合員は同組合に所属することにより昇格試験において原告から差別されており,同組合に所属することは昇格試験に不利に働くと考えており,P4及びP5も同様の認識を持っていた。 (エ)P2助役の発言内容前記(2)イ及び弁論の全趣旨によれば,P2助役のP4及びP5に対する発言内容は次のとおりであったことが認められる。すなわち,P2助役は,前記のとおり,補助参加人JR西労に所属することが昇格において不利に働くという認識を持っていたP4及びP5に対し,昇格試験の合格発表前に,補助参加人JR西労を脱退すれば利益を受けることや,逆に同組合にとどまれば昇格において不利益を被ることなどをほの- 21 -めかした。そして,補助参加人JR西労を脱退すること 試験の合格発表前に,補助参加人JR西労を脱退すれば利益を受けることや,逆に同組合にとどまれば昇格において不利益を被ることなどをほの- 21 -めかした。そして,補助参加人JR西労を脱退することを拒否したP4及びP5は,実際,平成7年度昇格試験に不合格となっている。 (オ)P2助役の組合活動歴等前記争いのない事実等(4)イ,前記(1)ア(イ)及び証拠(乙8【151,152頁)並びに弁論の全趣旨によれば,P2助役の組合活】動歴等は次のとおりであったことが認められる。確かに,P2助役は組合員資格を有し,JR西労組に所属していたこと,P2助役のP4及びP5に対する脱退慫慂行為が行われた当時,JR西労組は組織拡大行動を展開していたことが認められる。しかし,他方,P2助役はJR西労組の役員等の経験はなく,同組合の活動を積極的に行っていたともうかがえないことが認められ,加えて前記のとおりP2助役のP4及びP5に対する脱退慫慂行為が主に昇格試験に言及したものであったことからすれば,前記P2助役の脱退慫慂行為はJR西労組への勧誘行為として行われたとみることはできない。 (カ)P2助役とP4及びP5との関係等前記(1)ウ(ア(2)イ(イ)ないし(エ(カ(キ)によれ),),),ば,P4はP2助役から昇格試験の個別指導を受けるなどの間柄であったこと,P2助役のP4及びP5に対する脱退慫慂行為のほとんどは同人らの就業時間外に原告の施設外の飲食店等で行われたことが認められる。しかし,前記のとおり,P2助役はP4及びP5の直接の上司に当たること,P2助役が昇格試験について事実上相当の影響力を有する地位にあり,一般社員もそのように認識していたこと,同脱退慫慂行為が昇格試験に言及して行われたものであることからすれば,P2助役のP4及びP5に P2助役が昇格試験について事実上相当の影響力を有する地位にあり,一般社員もそのように認識していたこと,同脱退慫慂行為が昇格試験に言及して行われたものであることからすれば,P2助役のP4及びP5に対する言動が個人的な関係における助言・忠告等であったと解することは困難である。 (キ)原告の対応前記争いのない事実等(6)及び弁論の全趣旨によれば,P2助役のP4及びP5に対する所属組合からの脱退慫慂行為に対する原告の対応等は次のとおりであったことが認められる。すなわち,補助参加人岡山地本は,平成7年2月21日,岡山支社に対し,運転職場において,現場管理者による転勤,昇職,昇格を材料とした脱退強要の不当労働行為,(),の事実が明らかになったとして本件労働協約39条 号に基づき「岡山運転区において平成7年度昇格・昇職試験を受験するにあたって『推薦してやった『合格したければ西労ではだめだ』などと脱退を迫っ』ている事実行為」について,同年3月2日までに団体交渉を開催するよう文書で申し入れ,P2助役のP4及びP5に対する組合からの脱退慫慂行為に関し,団体交渉の開催を求めた。これに対し,岡山支社は,平成7年3月2日,上記団交申入れについて,本件労働協約39条所定の団交事項に該当しないとして,補助参加人岡山地本に対し,口頭で団体- 22 -交渉は行わないと伝えた。さらに,岡山支社は,平成7年3月10日,補助参加人岡山地本に対し,本件団交申入れについて「調査したが,そ,のような事実はない」と文書で回答し,P2助役のP4及びP5に対す。 る脱退慫慂行為の存在を否定し,今日に至っている。 ウ当裁判所の判断前記イで認定した事実によれば,P2助役は,岡山運転区の社員の昇格試験の合否について事実上相当の影響力を有していること,岡山運転区の 脱退慫慂行為の存在を否定し,今日に至っている。 ウ当裁判所の判断前記イで認定した事実によれば,P2助役は,岡山運転区の社員の昇格試験の合否について事実上相当の影響力を有していること,岡山運転区の社員であるP4,P5はいずれもP2助役の権限について同様の認識を有していること,P2助役は,JR西労組の立場ではなく助役の立場から,部下であるP4及びP5に対し所属する労働組合からの脱退を慫慂したことが認められる。そうだとすると,P2助役のP4及びP5に対する労働組合からの脱退慫慂行為は,特段の事情がない限り,使用者である原告との間に意思の連絡があったものと推認することができるか,少なくとも,使用者である原告の意を体したものとして,原告の行為と評価することができる。 ,,,そこで本件において特段の事情が存在するかという点が問題となるが前記イでみてきたとおり,P2助役の脱退慫慂行為がされた当時の状況,P2助役の地位・権限,P4及びP5のP2助役の権限,発言についての受け取り方,P2助役の発言内容,P2助役の組合活動歴等,P2助役とP4及びP5との関係,本件についての原告の対応のいずれをとっても,特段の事情が存在すると認めることは困難であって,むしろ,P2助役と原告との間に意思の連絡があったことを推認させるか,少なくとも原告の意を体したことを基礎づける内容ばかりである。 以上によれば,P2助役のP4及びP5に対する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為は,使用者である原告との間に意思の連絡があったものと推認することができるか,少なくとも,使用者である原告の意を体したものということができ,使用者である原告の行為と評価するのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。そうだとすると,P2助役のP4及びP5に対する補助参加人JR西労 ある原告の意を体したものということができ,使用者である原告の行為と評価するのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。そうだとすると,P2助役のP4及びP5に対する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為は,労働組合法7条3号所定の不当労働行為(支配介入)に該当するということになる。 争点(2(P6科長ないしP7助役のP8に対する脱退慫慂行為の存否,原告の)帰責性)について(1)前提事実(文章中又は文末の括弧内に証拠を掲記した事実以外は争いがない)。 ア津山鉄道部及び津山西分室の概要(ア)津山鉄道部は,岡山県津山市に本拠を置き,津山線,姫新線及び因美。 ,,線の一部をエリアに鉄道事業等を行っている津山鉄道部は部長の下総務,運輸,車両,工務の各科長が配置され,その下にそれぞれ助役が配置されている。津山鉄道部の平成6年4月当時の鉄道部長は,P20(以下「P20部長」という)であった。 。 - 23 -(イ)津山西分室は,津山鉄道部の区域内の列車の運転,車掌,検修業務を担当し,津山鉄道部運輸科長が管理監督者であった。津山西分室には当直助役が複数名配置されているが,それぞれの間に上下関係はない。津山西分室の平成7年3月当時の職制等は別紙6のとおりであり,運輸科,,,長のもと3名の当直助役が配置されておりその下に92名の運転士車掌等が配属されていた。津山西分室はJR津山駅構内にあり,その中には通称「談話室」と呼ばれる応接室(以下「談話室」という)があっ。 た。 (ウ)P6科長は,平成6年4月当時の津山西分室の管理監督者であり,P7助役は当直助役であった。なお,津山西分室においては,P6科長は組合員資格がなかったが,それ以外の職員は全員組合員資格を有しており,補助参加人JR西労所属の組合員数は47 室の管理監督者であり,P7助役は当直助役であった。なお,津山西分室においては,P6科長は組合員資格がなかったが,それ以外の職員は全員組合員資格を有しており,補助参加人JR西労所属の組合員数は47名であった。また,P7助役はJR西労組組合員であった。 イ原告における転勤について(ア)原告は,就業規則において,業務上の必要がある場合には社員に転勤等を命ずることができると定めている。原告における転勤の人選は,就業規則に定める任用基準,すなわち,社員としての自覚,勤労意欲,勤務態度,知識,技能等に基づいて支社が行っている。支社の人事課は,転勤の人選について,現場長に対し,各社員の健康状態,勤務態度等の個別的事情について照会することがあり,その際,助役は現場長の指示により具体的事実の把握を行ったり,個人面談を行うことがあった。 (イ)鉄道部の助役の職務について,就業規則によれば,部長の補佐又は代理と規定されており,助役は,部下の社員の日常の仕事の監督・指導を行ったり,前記(ア)のとおり,支社の行う転勤者の人選に際して,現場長の指示により各社員の健康状態,勤務態度に関する具体的事実を把握するなどの職務を行っている。 (ウ)津山鉄道部の現場長はP20部長であるところ,津山西分室だけでも配属人員が96名にも及び,P20部長一人で同鉄道部所属の社員の健康状態,勤務態度等の個別的事情を把握することは困難である。したがって,岡山支社の行う転勤の人選に関し,津山西分室で勤務している社員(助勤を含む)に関する必要な情報は,P6科長やP7助役の提供する資料に頼らざるを得ず,このため,P6科長,P7助役の意向が事実上反映することになる。そして,津山西分室に助勤で勤務していたP8は,P6科長,P7助役が,転勤に関し,事実上の影響力を有する地位にあるとの 頼らざるを得ず,このため,P6科長,P7助役の意向が事実上反映することになる。そして,津山西分室に助勤で勤務していたP8は,P6科長,P7助役が,転勤に関し,事実上の影響力を有する地位にあるとの認識を有していた(乙5【88,89,93,94頁,弁。 】論の全趣旨)ウ津山鉄道部における転勤を巡る労使事情(ア)原告では,内燃車運転免許のみを有する者が新たに電気車運転免許を取得し,電車(EC)を運転できる資格と技術を身につけることをEC- 24 -転換教育と呼んでいる。補助参加人JR西労は,EC転換教育には反対していないが,運転士の転勤については安全面を考慮して本人の負担とならないように配慮すべきとする立場をとっていた。なお,津山西分室では,津山鉄道部エリア内が電化されておらず,ほとんどの運転士は気動車(DC)の運転資格のみを有していたため,EC転換教育を受けた者は岡山運転区等への転勤の可能性があるとして,同転換教育を積極的に希望する者は少なかった(乙11【59ないし61頁,弁論の全趣。 】旨)(イ)津山鉄道部では,同部発足の平成2年6月から同8年8月末日までの間に,15名がEC転換教育を受けたが,その全員が補助参加人JR西労組合員であった。なお,EC転換教育の養成期間終了後の異動では,自ら転換教育を希望した5名を含む11名が津山鉄道部から岡山運転区へ転勤した(乙11【85,86頁,弁論の全趣旨)。 】(ウ)岡山地本は,平成7年5月9日,岡山支社人事課長代理が転勤を利用し,補助参加人JR西労所属の組合員に対し,津山に残る条件として同組合からの脱退を働きかけたとして岡山支社に対し,団体交渉を申し入れた。 (エ)岡山地本は,平成7年8月9日,津山西分室において,管理者が,補助参加人JR西労所属の検修職の組合員に対し, として同組合からの脱退を働きかけたとして岡山支社に対し,団体交渉を申し入れた。 (エ)岡山地本は,平成7年8月9日,津山西分室において,管理者が,補助参加人JR西労所属の検修職の組合員に対し,転勤を材料に同組合からの脱退を慫慂しているとして,岡山支社に対し,団体交渉を申し入れた。 エP8の経歴等(),,アP8は昭和57年4月に国鉄に採用されて岡山気動車区に配属され同58年8月に津山機関区に配転され,同61年10月に気動車運転士になった。P8は,昭和62年4月1日に原告に採用され,津山運転区(その後津山西分室に名称変更)に運転士として勤務するようになったが,平成4年にEC転換教育を受け,同5年3月18日に岡山運転区に配転された。P8は,国鉄時代には動労に加入しており,原告発足後はJR西労組に所属していたが,補助参加人JR西労結成と同時に同組合に加入した。なお,P8は,平成4年に補助参加人岡山地本津山支部青年婦人部副部長を務めたことがある(乙3【6ないし14頁)。 】(イ)P8は,岡山県津山市内に居住しており,通勤に便利な津山西分室への配転を希望していた。また,P8は,岡山運転区に配転後,別紙7のとおり,兼務(社員が所属箇所に籍を置いたまま他の部署に勤務すること)又は助勤(社員が業務を応援するため一時的に他の部署において勤務すること)として,津山西分室において勤務をしており,平成6年3月25日から同年5月23日までの間,助勤として津山西分室で勤務していた。なお,兼務は原告の発令により行われるが,助勤は発令事項ではない(乙3【14ないし20,42,43頁,17【9頁,弁論の。 】】- 25 -全趣旨)(2)P6科長及びP7助役のP8に対する脱退慫慂行為の存否ア証拠評価について(ア)P6科長及びP7 乙3【14ないし20,42,43頁,17【9頁,弁論の。 】】- 25 -全趣旨)(2)P6科長及びP7助役のP8に対する脱退慫慂行為の存否ア証拠評価について(ア)P6科長及びP7助役がP8に対し所属する組合からの脱退慫慂を行ったことを証する主な証拠としては,P8とP6科長との平成6年4月21日の談話室における会話が記載されているP15委員長作成の平成7年11月30日付け反訳書(乙B1,以下「本件反訳書」という)及。 びP8の本件初審における供述が存在する。他方,P6科長及びP7助役がP8に対し組合からの脱退慫慂行為など行っていないことを証する証拠としては,P6科長及びP7助役の陳述録取書(甲B8,B9,P)20部長の初審における供述(乙15,17,P17人事課長の当裁判)所での供述(証人P17【7ないし13頁)が存在する。原告側,被告】・補助参加人ら側の証拠は,P6科長及びP7助役のP8に対する脱退慫慂行為について,正反対の事実を述べており,どちらの証拠を信用すべきかが問題となる。そこで,以下,前記証拠の証明力について検討することにする。 (イ)本件反訳書の信用性についてa証拠(乙3【48ないし55,58ないし62頁,5【47ないし】52,56,57頁,19【3,29,30頁,20【4,6,7】】頁)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 】(a)P8は,平成6年4月8日ころから,P6科長らによる脱退慫慂があるとして,補助参加人岡山地本津山支部P21書記長(以下「P21書記長」という)に相談をしていた。これを受けて,。 P21書記長は,平成6年4月21日午前9時50分ころ,P8に対し,P6科長らとの会話を録音するためテープレコーダーを渡した。P8は,同日午前10時10分ころから午前 をしていた。これを受けて,。 P21書記長は,平成6年4月21日午前9時50分ころ,P8に対し,P6科長らとの会話を録音するためテープレコーダーを渡した。P8は,同日午前10時10分ころから午前10時26分ころまでの間,談話室において,P6科長と話をした際,同人との間の会話を前記テープレコーダーで録音した。さらに,P8は,平成6年5月13日午後4時10分ころから同日午後4時24分ころまでの間,談話室において,P6科長と話をした際,同人との間の会話を前記テープレコーダーで録音した。 (b)P15委員長は,平成6年10月ころから同7年1月ころまでの間,補助参加人岡山地本の不当労働行為に関係する録音テープの整理をした際,前記(a)の録音テープの録音反訳を同地本の。 ,,,書記に指示したさらにP15委員長は本件初審申立て以降自ら前記(a)のテープを聴いたうえで,前記録音反訳を手直しして本件反訳書を作成した。 b前記aで認定した事実によれば,本件反訳書は,平成6年4月21日の談話室におけるP8とP6科長との会話のいわゆる録音反訳であ- 26 -り,その内容は具体的かつ詳細なものであり,内容自体に不自然不合理な点がないこと,P8自身録音テープを聞いた上で反訳の正確性を確認していること(乙5【52頁)からして信用性が高いと評価する】のが相当である。 (ウ)P8の本件初審における供述の信用性についてP8の本件初審における供述は,具体的かつ詳細なものであり,平成6年4月4日はP7助役が非番であったこと(甲B2,B3,乙3【37ないし39頁,5【35ないし37頁】参照)など一部分を除いては】客観的事実との齟齬もなく,その内容自体自然であるうえ,前記(イ)のとおり信用性が高い本件反訳書の内容とも整合するものであって信用性が高 39頁,5【35ないし37頁】参照)など一部分を除いては】客観的事実との齟齬もなく,その内容自体自然であるうえ,前記(イ)のとおり信用性が高い本件反訳書の内容とも整合するものであって信用性が高いと評価するのが相当である。 (エ)P6科長及びP7助役の陳述録取書,P20部長及びP17人事課長の各供述の信用性についてP6科長及びP7助役は,各陳述録取書(甲B8,B9)において,被告・補助参加人らの主張の日時に,P8と話をしたことはおおむね認めるものの,その際,同人に対し,組合からの脱退を慫慂した事実はないと陳述している。しかしながら,P6科長及びP7助役の前記陳述録取書は,行為時から相当期間経過後に作成されたものであること,外形的な事実関係についてはおおむね認めるものの,そこでの発言内容について具体性がないこと,P6科長及びP7助役は,本件初審において,証人として採用されたもののいずれも審問に出頭せず,陳述書すら提出していなかったこと(当事者間に争いのない事実)に照らすと,信用性に乏しく採用することができない。 また,P20部長は,本件団交申入時,本件初審申立時,岡山地労委におけるP8供述後に,P6科長及びP7助役に対し,P8に対する脱退慫慂行為を行ったか否かを調査したが,そのような事実は認められなかったなどと供述する(乙15【7ないし17頁。しかし,前記調査】)は,P6科長ないしP7助役の上司に当たるP20部長による事情聴取であること,P20部長のP6科長ないしP7助役からの事情聴取は,本件初審申立時にそれぞれ15分ないし20分,岡山地労委におけるP8供述後に10分ないし15分行った(なお,この際のP6科長からの事情聴取は電話により行われたものであるだけであること乙17 。)(【,】)。 0ないし29 山地労委におけるP8供述後に10分ないし15分行った(なお,この際のP6科長からの事情聴取は電話により行われたものであるだけであること乙17 。)(【,】)。 0ないし2931頁などからして信用性に乏しいというべきである更に,P17人事課長は,本件命令後,P6科長及びP7助役から事情聴取を行ったが,組合からの脱退慫慂行為はなかったと供述する(証人P17【7ないし13頁。しかし,前記事情聴取内容は,社内の人】)事課長の事情聴取であること,P6科長及びP7助役の供述内容は補助参加人らの反対尋問にさらされたものではなく,一方的に自己の主張をしているものにすぎず,しかも前記のとおりその内容も具体性に乏しい- 27 -ことなどに照らすと,信用性に乏しいというべきである。 (オ)以上によれば,P6科長及びP7助役の陳述録取書,P20部長及びP17人事課長の各供述は信用性に乏しく,これらの証拠が存在するからといって,本件反訳書,P8の本件初審における供述の信用性が左右されることはない。その他,本件反訳書,P8の本件初審における供述の信用性に疑いを容れるような事情はなく,そうだとすると,これらの証拠を事実認定に供するのが相当であり,これらの証拠等により認定した事実は,次のイで述べるとおりである。 イP6科長及びP7助役の脱退慫慂行為についての事実認定(), 証拠 文章中又は文末の括弧内に掲記のもの及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (ア)P8は,平成6年4月8日午後3時40分ころ,手待ち時間中に談話室において,P6科長に対し,年次有給休暇(以下「年休」という)を。 取得するため,いつまで津山西分室に勤務することができるか尋ねたところ,同科長は「条件だな」と述べた(乙3【22ないし27頁。 ,】 いて,P6科長に対し,年次有給休暇(以下「年休」という)を。 取得するため,いつまで津山西分室に勤務することができるか尋ねたところ,同科長は「条件だな」と述べた(乙3【22ないし27頁。 ,】)(イ)P8は,平成6年4月14日午後3時ころ,手待ち時間中に談話室において,P6科長に対し,勤務に関する質問をした。その際,P6科長は,補助参加人JR西労のネクタイを着用していたP8に対し,同組合からの脱退を意味する「ネクタイを替えろ」と述べ,P8が「今は考え。 ていません」と答えると,更に「よう考えよ」と述べ,補助参加人J。 。 R西労からの脱退を慫慂した。なお,P8は,勤務中も前記ネクタイを着用しているが,そのことでこれまで上司から注意されたことはなかった(乙3【29ないし34頁,5【55,56頁)。 】】(ウ)P8は,平成6年4月19日午後9時20分ころ,手待ち時間中にP,,,,7助役に対し年休の申請先を尋ねたところP7助役はP8に対し「お前はええようにしてないから(P6科長の前記指示に従っていないことを指す,5月から岡山に」と,前記P6科長の指示に従わないP。)8に対し,同年5月以降は,津山西分室ではなく岡山運転区に戻すことをほのめかす発言をした(乙3【40ないし44頁,弁論の全趣旨。 】)(エ)P8は,平成6年4月21日午前10時10分ころ,手待ち時間中に談話室において,P6科長及びP7助役との間で,津山西分室における助勤の期限,年休申請等について話合いをした。その際,P6科長は,P8に対し「まあ,考え方を変ええや「ネクタイ替ええ「そりゃあネ,」」クタイ替えてくれたら,どこまででも」などと述べ,補助参加人JR西。 労から脱退すれば,津山西分室での助勤勤務の期間を延ばしてもよいと受け取れる発 を変ええや「ネクタイ替ええ「そりゃあネ,」」クタイ替えてくれたら,どこまででも」などと述べ,補助参加人JR西。 労から脱退すれば,津山西分室での助勤勤務の期間を延ばしてもよいと受け取れる発言をした(乙3【45ないし48頁,乙B1,弁論の全。 】趣旨)(オ)P6科長は,平成6年5月12日午後3時30分ころ,同人の前記意見に従わず,依然として補助参加人JR西労にとどまっているP8に対- 28 -,()。 し同月23日から岡山運転区勤務となることを伝えた弁論の全趣旨(カ)P6科長は,平成6年5月13日午後4時10分ころ,談話室において,手待ち時間中のP8に対し,同人の後任が決まったことを伝えたうえ「末端の組合員でえれえコリがないんじゃったら(強くこだわる気持,ちがないことを指す)考ええ言うたが」などと述べた(乙3【58ない。 し64頁,弁論の全趣旨。 】)ウ小括前記イの認定事実から明らかなとおり,P6科長及びP7助役は,P8に対し,所属する補助参加人JR西労からの脱退を慫慂していることが認められ,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 (3)P6科長及びP7助役の発言に関する原告の帰責性についてア帰責性についての判断基準前記(2)で判示したとおり,P6科長及びP7助役は,P8に対し,そ,,の所属する労働組合からの脱退を慫慂したことが認められるところ問題はかかるP6科長及びP7助役の行為を使用者である原告に帰責させることができるか否かという点である。 この点については,社員の転勤について事実上影響力を有している科長,助役が,その立場を利用して,社員に対し,転勤を材料に,所属する労働組合からの脱退を慫慂することは,特段の事情がない限り,使用者又は利益代表者との間に意思の連絡があったものと推認するこ ている科長,助役が,その立場を利用して,社員に対し,転勤を材料に,所属する労働組合からの脱退を慫慂することは,特段の事情がない限り,使用者又は利益代表者との間に意思の連絡があったものと推認することができるか,少なくとも,使用者又は利益代表者の意を体したものとして,使用者の行為と評価するのが相当である。そして,特段の事情の有無については,行為の行われた当時の労使間の事情,行為者の地位・権限,行為の内容及び影響力,当該行為の行われた時間・場所等,行為者の組合活動の状況,使用者が当該行為についてとった態度等を総合して判断するのが相当である。 以下,上記の基準に照らし,P6科長及びP7助役のP8に対する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為を原告に帰責させることができるのか,換言すれば,原告の行為と評価することができるのかについて検討することにする。 イ認定事実前記争いのない事実等,前記1(1(3,2(1(2,証拠(文章中))))),。 の括弧内に掲記のもの及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる(ア)P6科長及びP7助役の脱退慫慂行為がされた当時の状況前記1(3)イ(ア)で判断したとおり,P6科長及びP7助役がP,8に対し所属する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為を行った当時原告は,同社の経営方針,業務施策に反対する補助参加人JR西労を嫌悪していたこと,転勤等を巡って岡山支社と補助参加人らとの間で対立があり,両者の間には絶えず緊張関係が生じていたことが認められる。 また,前記1(1)イ(イ)によれば,平成5年度の岡山支社におけ- 29 -る昇格試験の主要組合別の合格率は,補助参加人JR西労が10.5%,. ,. ,であるのに対しJR西労組は710%国労西日本は545%と補助参加人JR西労の組合員 におけ- 29 -る昇格試験の主要組合別の合格率は,補助参加人JR西労が10.5%,. ,. ,であるのに対しJR西労組は710%国労西日本は545%と補助参加人JR西労の組合員の合格率を大幅に上回っていることが認められる。 これらの事実及び証拠(乙3【28,29頁,5【19,20,66】ないし72頁,19【15,17,18頁)等によれば,補助参加人】】JR西労に所属する組合員は,同組合に所属していることは,転勤においても原告から差別されるおそれがあるのではないかとの認識を有していたことが推認される。 (イ)P6科長及びP7助役の地位・権限前記(1)ア(ウ,イ及び弁論の全趣旨によれば,P6科長及びP7)助役の地位・権限は次のとおりであったことが認められる。すなわち,平成6年4月当時,P6科長は津山鉄道部の運輸科長兼津山西分室の管理者であり組合員資格がなく,また,P7助役は,津山西分室の当直助役であり,いずれも,津山西分室に助勤の形で勤務していたP8の上司の地位にあった。また,P6科長及びP7助役は,岡山支社の行う転勤者の人選につき,津山西分室勤務の社員(助勤を含む)の健康状態,勤務態度等について具体的事実を把握するなどの職務に当たっており,同分室勤務の社員の転勤に関し事実上の影響力を有する地位にあった。 (ウ)社員のP6科長及びP7助役の権限,発言についての受け取り方前記(1)イ(ウ)によれば,津山西分室勤務の社員(助勤を含む)は,転勤に関し,P6科長及びP7助役が事実上の影響力を持っているとの認識を有しており,P8も同様の認識であった。 (エ)P6科長及びP7助役の発言内容前記(2)イ及び弁論の全趣旨によれば,P6科長及びP7助役のP8に対する発言内容は次のとおりであったことが認められる。P8は, ,P8も同様の認識であった。 (エ)P6科長及びP7助役の発言内容前記(2)イ及び弁論の全趣旨によれば,P6科長及びP7助役のP8に対する発言内容は次のとおりであったことが認められる。P8は,住居が津山市にある関係で津山西分室での勤務を希望していたところ,平成6年3月22日から助勤により同分室で勤務していたものの,助勤が解かれれば岡山運転区に戻らざるを得ない立場に置かれていた。P6科長及びP7助役は,前記のとおり,補助参加人JR西労に所属することが転勤において不利に働くという認識を持っており,かつ,住居の関係で津山西分室に転勤したいと願っていたP8に対し,同組合を脱退すれば転勤について利益を受け,逆に同組合にとどまれば転勤に不利になることをほのめかし,同組合からの脱退を慫慂した。 (オ)当該行為の行われた時間,場所等()()(),(),(【,】)前記 イのアないしエカ 証拠 乙5 12頁によれば,脱退慫慂行為の行われた時間,場所等は次のとおりであったことが認められる。すなわち,P6科長ないしP7助役は,勤務時間ではないものの事実上拘束時間である手待ち時間中のP8に対し,原告の- 30 -施設である津山西分室談話室において,補助参加人JR西労からの脱退を慫慂する発言を行った。また,P6助役とP7助役のP8に対する脱退慫慂行為は近接した時期に行われており,P6科長の平成6年4月21日のP8に対する脱退慫慂行為はP7助役同席の下行われた。 (カ)P6科長及びP7助役の組合活動歴等前記争いのない事実等(4)イ,前記(1)ア(ウ)及び証拠(乙8【151,152頁)並びに弁論の全趣旨によれば,P6科長及びP7】助役の組合活動歴等は次のとおりであったことが認められる。確かに,P7助役は組合員資格 (4)イ,前記(1)ア(ウ)及び証拠(乙8【151,152頁)並びに弁論の全趣旨によれば,P6科長及びP7】助役の組合活動歴等は次のとおりであったことが認められる。確かに,P7助役は組合員資格を有し,JR西労組に所属していたこと,P6科長及びP7助役のP8に対する脱退慫慂行為が行われた当時,JR西労組は組織拡大行動を展開していたことが認められる。しかし,他方,P6科長は津山西分室の管理者で組合員資格を有しないこと,P7助役もJR西労組の役員等の経験はなく,組合活動を積極的に行っていたこともうかがえないこと,P6科長及びP7助役はP8と個人的に懇意にはしていなかったことが認められ,加えて前記(エ)のとおりP6科長及びP7助役のP8に対する脱退慫慂行為が主に転勤に言及したものであったことからすれば,前記P6科長及びP7助役の脱退慫慂行為はJR西労組への勧誘行為として行われたとみることはできないし,また,個人的な関係における助言・忠告等と解することも困難である。 (キ)原告の対応前記争いのない事実等(6)及び弁論の全趣旨によれば,P6科長及びP7助役のP8に対する所属組合からの脱退慫慂行為に対する原告の対応等は次のとおりであったことが認められる。すなわち,補助参加人,,,,岡山地本は平成7年2月21日岡山支社に対し運転職場において現場管理者による転勤を材料とした組合脱退強要の不当労働行為の事実が明らかになったとして,本件労働協約39条(3)号に基づき「津山,西分室在勤者でEC転換教育修了者及び岡山運転区兼務者に対し『津山に残りたければ脱退せよ『ネクタイを替えなければ』などと言いつつ転』勤をほのめかし,脱退を迫っている事実行為」について,同年3月2日までに団体交渉を開催するよう文書で申し入れた。これに対し,岡山支 残りたければ脱退せよ『ネクタイを替えなければ』などと言いつつ転』勤をほのめかし,脱退を迫っている事実行為」について,同年3月2日までに団体交渉を開催するよう文書で申し入れた。これに対し,岡山支社は,平成7年3月2日,補助参加人岡山地本に対し,本件団交は本件労働協約39条所定の団交事項に該当しないとして,口頭で団交は行わないと伝えた。さらに,岡山支社は,同月10日,補助参加人岡山地本,,「,。」に対し本件団交申入れについて調査したがそのような事実はないと文書で回答し,P6科長及びP7助役のP8に対する脱退慫慂行為の存在を否定し,今日に至っている。 ウ当裁判所の判断前記イで認定した事実によれば,P6科長及びP7助役は,津山西分室所属の社員(助勤を含む)の転勤に関し事実上の影響力を有する地位にあった- 31 -こと,当時津山西分室に助勤という形で勤務していたP8もP6科長及びP7助役の権限について同様の認識を有していたこと,P6科長及びP7助役は,JR西労組の立場ではなく,また,個人的な助言・忠告等としてではなく,科長又は助役の立場から,部下であるP8に対し所属する組合からの脱退を慫慂したことが認められる。そうだとすると,P6科長及びP7助役のP8に対する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為は,特段の事情がない限り,使用者である原告との間に意思の連絡があったものと推認することができるか,少なくとも,使用者である原告の意を体したものとして,原告の行為と評価することができる。 ,,,そこで本件において特段の事情が存在するかという点が問題となるが前記イでみてきたとおり,P6科長及びP7助役の組合からの脱退慫慂行為がされた当時の状況,同人らの転勤についての権限等,P8のP6科長及びP7助役の権限,発言についての受け取り いう点が問題となるが前記イでみてきたとおり,P6科長及びP7助役の組合からの脱退慫慂行為がされた当時の状況,同人らの転勤についての権限等,P8のP6科長及びP7助役の権限,発言についての受け取り方,同人らの発言内容,当該行為がされた時間,場所,同人らの組合活動歴等,本件についての原告の対応のいずれをとっても,特段の事情が存在すると認めることは困難であって,むしろ,P6科長,P7助役と原告との間に意思の連絡があったことを推認させるか,少なくとも原告の意を体したことを基礎づける内容ばかりである。 以上によれば,P6科長及びP7助役のP8に対する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為は,使用者である原告との間に意思の連絡があったものと推認することができるか,少なくとも,使用者である原告の意を体したものということができ,使用者である原告の行為と評価するのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。そうだとすると,P6科長及びP7助役のP8に対する補助参加人JR西労からの脱退慫慂行為は,労働組()。 合法7条3号所定の不当労働行為支配介入に該当するということになる 争点(3(本件団交拒否の不当労働行為該当性)について)(1)本件団交拒否の経緯等ア前記争いのない事実等(6)によれば,原告が補助参加人岡山地本の団交申入れを拒否するに至った事情は次のとおりであることが認められる。 (ア)補助参加人岡山地本は,平成7年2月21日,岡山支社に対し,運転職場において,現場管理者による転勤,昇職,昇格を材料とした脱退強要の不当労働行為の事実が明らかになったとして,本件労働協約39条(3)号に基づき,以下の事項について,同年3月2日までに団体交渉を開催するよう文書で申し入れた。 a津山西分室在勤者でEC転換教育終了者及び岡山運転区 実が明らかになったとして,本件労働協約39条(3)号に基づき,以下の事項について,同年3月2日までに団体交渉を開催するよう文書で申し入れた。 a津山西分室在勤者でEC転換教育終了者及び岡山運転区兼務者に対し「津山に残りたければ脱退せよ「ネクタイを替えなければ」などと」言いつつ転勤をほのめかし,脱退を迫っている事実行為についてb岡山運転区において平成7年度昇格・昇職試験を受験するにあたって「推薦してやった「合格したければ西労ではだめだ」などと脱退を」迫っている事実行為について- 32 -(イ)岡山支社は,平成7年3月2日,補助参加人岡山地本に対し,本件団交は本件労働協約39条所定の団交事項に該当しないとして,口頭で団交は行わないと伝えた。さらに,岡山支社は,平成7年3月10日,補助参加人岡山地本に対し,本件団交申入れについて「調査したが,その,ような事実はない」と文書で回答した。 。 イ原告は,本件団交拒否の理由について,主として,次の2点を主張している。第1点は,団交事項は,本件労働協約39条により,一般的,集団的な基準の設定,改訂に関する事項に限られているところ,本件団交申入れの内容は,昇進,転勤という個人の人事に関する事項であり,本件労働協約39条所定の事項に該当しないので,原告が団交を拒否したことには正当な理由があり,不当労働行為に当たらないという主張である。第2点は,岡山支社と補助参加人岡山地本との間では,組合側が申し入れた事項の多くは,窓口整理(窓口説明)で処理しており,組合側もこれに応じているところ,本件,,団交申入れ事項は本件労働協約上の団交事項に該当しないので岡山支社は補助参加人岡山地本に対し,団体交渉ではなく窓口説明で対応すると伝えており,かかる対応は,本件労働協約の規定及び従来の慣行に従っ 団交申入れ事項は本件労働協約上の団交事項に該当しないので岡山支社は補助参加人岡山地本に対し,団体交渉ではなく窓口説明で対応すると伝えており,かかる対応は,本件労働協約の規定及び従来の慣行に従ったものであり,不当労働行為に当たらないという主張である。 以下,原告の前記主張が正当か否か検討することにする。 (2)原告における労使紛争処理制度について原告による本件団交拒否が不当労働行為に当たるか,それとも正当な行為かを判断するに先立ち,原告における労使紛争処理制度がどのようになっているかについて概観してみることにする。 (。), 証拠 文末に証拠を掲記してない事実は当事者間に争いがないによれば次の事実が認められる。 ア本件労働協約において,原告と補助参加人JR西労との間の労使紛争処理制度として,団体交渉,経営協議会,苦情処理会議,簡易苦情処理会議が設けられていた。また,原告と補助参加人JR西労の間には,労使慣行による紛争処理制度として,窓口整理(窓口説明)があった(甲C5,乙C3,証。 人P17【22,23頁)】イ団体交渉団体交渉については,本件労働協約第31条から第43条に規定されており,団交事項については,第39条に次のとおり規定されている。 (団交事項)第39条団体交渉は次の各号に定める事項について行う。 (1)賃金,期末手当及び退職手当の基準に関する事項(2)労働時間,休憩時間,休日及び休暇の基準に関する事項(3)転勤,転職,出向,昇職,降職,退職,解雇,休職及び懲戒の基準に関する事項(4)労働に関する安全,衛生及び災害補償の基準に関する事項- 33 -(5)その他労働条件の改訂に関する事項(6)この協約の改訂に関する事項また,中央における団体交渉は本社において,地方における団体交渉は支社等の 生及び災害補償の基準に関する事項- 33 -(5)その他労働条件の改訂に関する事項(6)この協約の改訂に関する事項また,中央における団体交渉は本社において,地方における団体交渉は支社等の地方機関において行うこととされ,あらかじめ交渉事項を相手方に示したうえで,交渉の日時,所要時間及び場所等の取り決めを行うとされている(本件労働協約第32条,第40条。 )ウ経営協議会経営協議会については,本件労働協約第19条から第30条に規定されており,労使相互の意志疎通を図るため次の事項を議題とすることができるとされている。 (議題)第27条経営協議会においては,次の各号に掲げる事項を議題とする。 (1)事業計画に関する事項(2)営業報告及び決算に関する事項(3)事務の合理化ならびに能率の向上に関する事項(4)福利厚生に関する事項(5)事故防止に関する事項(6)その他必要と認めた事項エ苦情処理苦情処理については,本件労働協約第57条から第90条に規定されている。それによれば,苦情処理には苦情処理会議と簡易苦情処理会議があり,前者が組合員が協約及び規則等の適用及び解釈について苦情を有する場合の解決機関であり,後者は組合員個人の転勤,転職,降職,出向及び待命休職についての事前通知内容について苦情を有する場合の解決機関である。 オ岡山支社は,慣例として,補助参加人岡山地本から団体交渉,地方経営協議会,地方会議の開催要求がされ,その要求内容等が議題として取り上げるべき事項でないと判断した場合には,その拒否事由を文書で通知するか,口頭で説明を行っている。 (3)本件団交事項の理解について憲法28条は勤労者の団体交渉をする権利を保障し,これを受けて,労働組合法7条2号は使用者の正当な理由のない団体交渉拒否を不当労働行為と 口頭で説明を行っている。 (3)本件団交事項の理解について憲法28条は勤労者の団体交渉をする権利を保障し,これを受けて,労働組合法7条2号は使用者の正当な理由のない団体交渉拒否を不当労働行為として禁止しているところ,団体交渉とは,労働者の団体が使用者との間で対等の立場に立って労働者の労働条件その他の処遇や団体的労使関係の運営に関する労働協約を締結するために交渉を行うことといい(労働組合法1条1項等参照,憲法及び労働組合法の規定による団体交渉権の保障も,このよう)な団体交渉を対象とするものと解される。上記のような団体交渉権保障の趣旨に照らすと,使用者が団体交渉を行うことを憲法28条ないし労働組合法により義務づけられている事項(義務的団交事項)とは,団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員である労働者の労働条件その他の処遇や当該団体- 34 -的労使関係の運営に関する事項であって,使用者に処分可能なものをいうと解するのが相当である。 これを本件団交申入れについてみるに,同申入れは,いずれも岡山支社の現場管理者により補助参加人岡山地本組合員に対する転勤ないし昇格に関連する脱退慫慂行為が行われていることについて団体交渉を求めるというものであり,同組合の組合員である労働者の労働条件その他の処遇に関する事項に当たり義務的団交事項になるものと解するのが相当である。そうだとすると,岡山支社が本件団交申入れを正当な理由なく拒否することは,労働組合法7条2号所定の不当労働行為に該当することとなる。 (4)原告の主張第1についてところで,原告は,前記(1)イのとおり,第1に,本件申入れの団交事項は本件労働協約39条所定の団交事項に該当しないから,本件団交拒否には相当な理由があると主張する。この点,確かに,労使が労働協約において団交事項を具体的 1)イのとおり,第1に,本件申入れの団交事項は本件労働協約39条所定の団交事項に該当しないから,本件団交拒否には相当な理由があると主張する。この点,確かに,労使が労働協約において団交事項を具体的に定めておくことは許されないではないが,同協約により本来義務的団交事項とされる事柄について団交事項から除外することは労働者の団体交渉権を保障した憲法28条ないし労働組合法に違反し許されないものと解するのが相当である。 これを本件労働協約についてみるに,前記(2)によれば,①本件労働協約39条(3)号は,転勤,昇職等の基準について団交事項とするものの,具体的な転勤ないし昇職に関する事項を団交事項としていないこと,②本件労働協約においては,団体交渉のほかに労使紛争処理制度として,経営協議会,苦情処理会議,簡易苦情処理会議を設けているものの,経営協議会は会社の経営方針,業務の事業計画等に関する事項を議題とし,苦情処理会議は労働協約及び就業規則等の適用及び解釈に対する苦情を処理範囲とし,簡易苦情処理会議は組合員個人による転勤等についての事前通知内容に対する苦情を処理範囲とするものであり,いずれも組合員の転勤ないし昇格試験に関連する脱退慫慂行為について組合から原告への申入れを議題ないし処理範囲とするものではないことが認められる。以上からすれば,本件労働協約は本来義務的団交事項とされる事柄である現場管理者による組合員に対する転勤ないし昇格に関連する脱退慫慂行為の是正について団交事項から除外することとなり,労働者の団体交渉権を保障した憲法28条ないし労働組合法に違反することとなるから,同労働協約の存在をもって団体交渉を拒否することは正当な理由とはならないと解するのが相当である。したがって,原告の主張第1は,その余の点を判断するまでもなく理由がないというこ 反することとなるから,同労働協約の存在をもって団体交渉を拒否することは正当な理由とはならないと解するのが相当である。したがって,原告の主張第1は,その余の点を判断するまでもなく理由がないということになる。 (5)原告の主張第2についてまた,原告は,前記(1)イのとおり,本件団交申入れについて,労使慣行に基づき,窓口整理(窓口説明)で対応しており,不当労働行為に当たらないと主張する。 この点,確かに,労働者の待遇に関する不満やその他労使関係の運営を巡- 35 -る諸問題を労使が自主的に交渉して解決する手続は団体交渉のほかいわゆる労使協議制や苦情処理手続があり,これらの制度が団体交渉を補完する機能を果たしている場合には,同制度によるべきことを主張して団体交渉を拒否することが許されないものではないと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,証拠(乙19【61頁,乙C5)及び弁論の】全趣旨によれば,①岡山支社は,本件団交申入れについて,窓口整理(窓口説明)により,補助参加人岡山地本に対し「前記要求に係る事実はない」と,回答したにすぎず,どのような調査をしたうえで事実がないと判断したのかなどについて何ら説明しておらず,実質的な協議・交渉を行ったと解することはできないこと,②さらに,補助参加人岡山地本は,本件団交申入れ以降も,平成7年から同8年にかけて11回にわたり,岡山支社に対し,脱退工作,配転命令,組合間差別等について団体交渉等を申し入れたが,岡山支社はいずれも「前記要求に係る事実はない」などと回答するのみであり,実質的な協議・交渉を行ったとうかがうことはできないことが認められる。そうだとすると,岡山支社においては,不当労働行為に係わる事項について窓口整理(窓口説明)がいわゆる労使協議制として団体交渉を補完する機能を果たし を行ったとうかがうことはできないことが認められる。そうだとすると,岡山支社においては,不当労働行為に係わる事項について窓口整理(窓口説明)がいわゆる労使協議制として団体交渉を補完する機能を果たしていたとみることは困難であるというべきである。 したがって,岡山地本が本件団交申入れについて窓口整理(窓口説明)により対応したことをもって,本件団交拒否が正当な理由に基づくものであったと解することはできない。なお,原告は,本件団交申入れの団交事項が簡易苦情処理会議により処理されるべきであると主張するものではなく,前記のとおり,原告における簡易苦情処理会議は組合から原告に対する不当労働行為是正の申告を処理対象とするものではないから,同会議の存在が本件団交拒否の正当な理由となることもない。以上から明らかなとおり,原告の主張第2は,その余の点を判断するまでもなく理由がない。 (6)小括以上の検討結果によれば,原告の本件団交拒否には正当な理由はなく,労働組合法7条2号所定の不当労働行為(正当な理由のない団交拒否)に該当すると解するのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。 第4 結論 以上によれば,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部裁判長裁判官難波孝一裁判官福島政幸裁判官知野明- 36 -- 37 -(別紙1) 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は,申立人ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部所属の組合員に対し昇格試験,転勤等を利用した脱退慫慂を行うことにより申立人の組織,運営に支配介入してはならない。 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は,申立人ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部が平成7年2月21日に申し入れた団体交渉について誠実に交渉し とにより申立人の組織,運営に支配介入してはならない。 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は,申立人ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部が平成7年2月21日に申し入れた団体交渉について誠実に交渉しなければならない。 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は,申立人ジェーアール西日本労働組合及び同組,,。 合岡山地方本部に対して本件命令後速やかに次の文書を手交しなければならない記平成年月日ジェーアール西日本労働組合中央執行委員長P22殿ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部執行委員長P15殿西日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長P23当社の助役等が,岡山支社管内の岡山運転区及び津山鉄道部において,平成6年4月から同7年2月にかけて貴組合所属の組合員に対し貴組合からの脱退を慫慂したこと及び当社が同7年2月21日の団体交渉の申入れに対し誠実に対応しなかったことは,岡山県地方労働委員会において,労働組合法第7条3号及び第2号に該当する不当労働行為であると認定されましたので,今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 申立人のその余の申立てを棄却する。 - 38 -- 39 -

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